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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】エアロゾル生成
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/17 20200101AFI20240116BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20240116BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240116BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20240116BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240116BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D3/04
A24D1/20
A24B15/30
A24F40/20
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022082167
(22)【出願日】2022-05-19
(62)【分割の表示】P 2020544241の分割
【原出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2022116100
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】1803424.9
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード ジョン
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/198876(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/055456(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/170947(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00- 3/18
A24B 15/30
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成媒体及びフィルターを備える非燃焼加熱式物品であって、
前記フィルターが1つ又は複数の押潰し可能なカプセルを包含し、
前記エアロゾル生成媒体が、前記エアロゾル生成媒体の全重量の10重量%以上のエアロゾル生成剤を含み、
使用時、前記エアロゾル生成媒体が燃焼させられることなく加熱され、前記カプセルが30~100℃の温度に曝され、少なくとも12mgの水に曝され
前記カプセルが30~100℃の温度、及び少なくとも12mgの水に曝されている間に前記カプセルの構造的完全性が損なわれることはなくその結果、使用者が、加熱前、加熱中、又は加熱後に前記カプセルを押し潰すことができるようになっており、
前記カプセルがコア-シェル構造を有し、前記コアが液体を含み、前記シェルが前記コアを包む、非燃焼加熱式物品。
【請求項2】
加熱前、加熱中、または加熱後に前記カプセルを押し潰すときのクリック感は、押し潰したという触覚フィードバックを使用者に与える、請求項1に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項3】
前記シェルがカプセルシェル全重量の5~90重量%のゲル化剤を含み、前記ゲル化剤がカラギーナンを含む、請求項1又は2に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項4】
前記エアロゾル生成媒体がタバコ材料を含む、請求項1または2に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項5】
前記エアロゾル生成媒体がエアロゾル生成剤及びタバコ材料を含み、前記エアロゾル生成剤及び前記タバコ材料は、前記エアロゾル生成媒体の同じ部分、又は前記エアロゾル生成媒体の別々の部分に設けられ得る、請求項1または2に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項6】
前記1つ又は複数のカプセルが、前記フィルターの5~30% v/vを占める、請求項1または2に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項7】
前記フィルターが、70~95% v/vのフィルター材料を含む、請求項1に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項8】
前記フィルター材料が、150℃以上の平均融解点を有する、請求項に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項9】
前記フィルター材料が、0.130W/mK以上の平均熱伝導率を有する、請求項7又は8に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項10】
前記フィルターが、他のフィルター構成部品を囲むラッパーをさらに備える、請求項1または2に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項11】
カプセルシェルが、カプセルシェル全重量の5~60重量%のカラギーナンをゲル化剤として含む、請求項3に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項12】
カプセルシェルが、カプセルシェル全重量の10~35重量%のカラギーナンをゲル化剤として含む、請求項に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項13】
カプセルシェルが、可塑剤又はでんぷんなどの炭水化物をさらに含むか、可塑剤及びでんぷんなどの炭水化物をさらに含む、請求項3に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項14】
前記1つ又は複数のカプセルが、加熱が開始される前に、0.8kp~3.5kp、適切には1.0kp~2.5kpの破壊強度を有する、請求項1または2に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項15】
カプセルコアが香味料を含む、請求項1または2に記載の非燃焼加熱式物品。
【請求項16】
請求項1に記載の非燃焼加熱式物品及びヒーターを備える非燃焼加熱式アセンブリ。
【請求項17】
前記1つ又は複数のカプセルが、前記ヒーターから25mm以上のところに配置されている、請求項16に記載の非燃焼加熱式アセンブリ。
【請求項18】
前記ヒーターが、点火時、前記非燃焼加熱式物品のエアロゾル生成媒体を加熱するが燃焼させないように配置された可燃性燃料源を備える、請求項16又は17に記載の非燃焼加熱式アセンブリ。
【請求項19】
前記ヒーターは、使用時、前記エアロゾル生成媒体が加熱されるが燃焼しないように前記非燃焼加熱式物品が部分的に挿入されるデバイスである、請求項16又は17に記載の非燃焼加熱式アセンブリ。
【請求項20】
前記1つ又は複数のカプセルが30~100℃の温度に曝されるように構成されている、請求項16または17に記載の非燃焼加熱式アセンブリ。
【請求項21】
前記1つ又は複数のカプセルが40~90℃の温度に曝されるように構成されている、請求項20に記載の非燃焼加熱式アセンブリ。
【請求項22】
加熱期間の50%以上の間、エアロゾル生成媒体を200℃以上に曝すように構成されている、請求項16又は17に記載の非燃焼加熱式アセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼加熱式物品及び非燃焼加熱式アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの物品は、使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。これらの可燃性物品に代わるものは、基材を加熱することによって吸引可能なエアロゾルを生成する。
【0003】
これらの製品は一般に、エアロゾル生成デバイスと称されることがある。そのようなエアロゾル生成デバイスの例としては、タバコ加熱製品又はタバコ加熱デバイスとしても知られているいわゆる非燃焼加熱式製品があり、これらは、固体の基材を燃焼させるのではなく加熱することで化合物を放出して吸引可能なエアロゾルを形成する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよいし、ブレンドされた混合物などの組合せでもよく、それらは、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様は、エアロゾル生成媒体及びフィルターを備える非燃焼加熱式物品を提供し、フィルターには1つ又は複数の破壊可能ないしは押潰し可能な(crushable)カプセルが入っており、使用時、エアロゾル生成媒体は燃焼させられることなく加熱され、カプセルは約30~100℃の温度に曝され、そのように曝されている間にカプセルの構造的完全性は損なわれることなく、その結果、使用者は、加熱前、加熱中、又は加熱後にカプセルを押し潰すことができる。
【0005】
いくつかの場合、使用時、エアロゾル生成媒体は高湿分エアロゾルを生成し、カプセルは少なくとも12mgの水に曝される。
【0006】
いくつかの場合、カプセルはコア-シェル構造(core-shell structure)を有し、コアは液体を含み、シェルはコアを包み、シェルはカプセルシェル全重量の5~90重量%のゲル化剤を含み、ゲル化剤はカラギーナンを含む。
【0007】
いくつかの場合、エアロゾル生成媒体はエアロゾル生成剤を含む。いくつかの場合、エアロゾル生成媒体は、エアロゾル生成媒体の全重量の少なくとも10重量%のエアロゾル生成剤を含む。
【0008】
いくつかの場合、エアロゾル生成媒体はタバコ材料を含む。
【0009】
いくつかの場合、エアロゾル生成媒体はエアロゾル生成剤及びタバコ材料を含み、それらは、エアロゾル生成媒体の同じ部分、又はエアロゾル生成媒体の別々の部分に設けることができる。
【0010】
いくつかの場合、カプセルは、フィルターの約5~30% v/vを占める。
【0011】
いくつかの場合、フィルターは、70~95% v/vのフィルター材料を含む。いくつかの場合、フィルター材料は、少なくとも約150℃の平均融解点を有する。いくつかの場合、フィルター材料は、少なくとも0.130W/mKの平均熱伝導率を有する。
【0012】
いくつかの場合、フィルターは、他のフィルター構成部品を囲むラッパー(被覆体)をさらに含む。
【0013】
いくつかの場合、シェルは、カプセルシェル全重量の5~60重量%のカラギーナンをゲル化剤として含む。シェルは、カプセルシェル全重量の10~35重量%のカラギーナンをゲル化剤として含むことが適切である。
【0014】
いくつかの場合、カプセルシェル内のゲル化剤はカラギーナンを含む。いくつかの場合、カラギーナンは、少なくとも約30℃又は少なくとも約40℃の融解点を有する。
【0015】
いくつかの場合、カプセルシェルは可塑剤をさらに含む。いくつかの場合、可塑剤とゲル化剤とを組み合わせたもののシェル内の全量は、カプセルシェル全重量の約40~70重量%とすることができる。
【0016】
いくつかの場合、カプセルシェルは、でんぷんなどの炭水化物をさらに含む。
【0017】
いくつかの場合、カプセルは、約0.8キロポンド(kp)~約3.5kpの初期破壊強度(initial crush strength)(加熱前)を有し、それは、約1.0kp~約2.5kp、又は約1.0kp~約2.0kpが適切である。
【0018】
いくつかの場合、カプセルコアは香味料を含む。
【0019】
本発明の第2の態様は、第1の態様による非燃焼加熱式物品及びヒーターを備える非燃焼加熱式アセンブリを提供する。
【0020】
いくつかの場合、カプセルは、ヒーターから少なくとも約25mm又は少なくとも約30mmのところにある。いくつかの場合、カプセルはヒーターから25~30mmのところにある。いくつかの他の場合、カプセルはヒーターから30~35mmのところにある。
【0021】
いくつかの場合、ヒーターは、点火時、非燃焼加熱式物品のエアロゾル生成媒体を加熱するが燃焼させないように配置された可燃性燃料源を備える。
【0022】
いくつかの場合、ヒーターは、使用時、エアロゾル生成媒体が加熱されるが燃焼しないように非燃焼加熱式物品が少なくとも部分的に挿入されるデバイスである。
【0023】
いくつかの場合、アセンブリは、1つ又は複数のカプセルが約30~100℃の温度に曝されるように構成される。いくつかの場合、アセンブリは、1つ又は複数のカプセルが約40~90℃の温度に曝されるように構成される。
【0024】
いくつかの場合、アセンブリは、加熱期間の少なくとも50%の間、エアロゾル形成媒体を少なくとも200℃に曝すように構成することができる。
【0025】
さらなる態様によれば、本発明は、非燃焼加熱式物品用のフィルターを提供し、このフィルターには押潰し可能なカプセルが入っており、使用時、エアロゾル生成媒体は燃焼させられることなく加熱され、カプセルは約30~100℃の温度に曝され、そのように曝されている間にカプセルの構造的完全性は損なわれることなく、その結果、使用者は、加熱前、加熱中、又は加熱後にカプセルを押し潰すことができる。
【0026】
本発明の1つの態様に対して開示される特徴は、それらが矛盾しない範囲で、すべての他の態様と組み合わせて明示的に開示される。
【0027】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して単なる例として挙げる本発明の例の以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】非燃焼加熱式物品の例の概略側面図である。
図2】非燃焼加熱式アセンブリの例の概略側面図である。
図3】非燃焼加熱式物品の例の断面図である。
図4図3の物品の斜視図である。
図5】非燃焼加熱式物品の例の立面断面図である。
図6図5の物品の斜視図である。
図7】非燃焼加熱式アセンブリの例の斜視図である。
図8】例示的な非燃焼加熱式アセンブリの断面図である。
図9】非燃焼加熱式アセンブリの例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の態様は、エアロゾル生成媒体及びフィルターを備える非燃焼加熱式物品を提供し、フィルターには1つ又は複数の押潰し可能なカプセルが入っており、使用時、エアロゾル生成媒体は燃焼させられることなく加熱され、カプセルは約30~100℃の温度に曝され、そのように曝されている間、カプセルの構造的完全性は損なわれることなく、その結果、使用者は、加熱前、加熱中、又は加熱後にカプセルを押し潰すことができる。
【0030】
非燃焼加熱式製品によって生成されたエアロゾルは、加熱プロファイルの特性及びエアロゾル生成媒体の成分により、典型的には温かくて湿っている。例えば、本発明による非燃焼加熱式製品のエアロゾル生成媒体は、可燃性製品で用いられる喫煙材よりも多くの比率のエアロゾル生成剤を含んでもよい。さらに、又は、代わりに、本発明による非燃焼加熱式製品のエアロゾル生成媒体は、可燃性製品の燃焼温度/燃焼時間よりも高い温度及び/又は長い時間加熱することができる。本発明者らは、請求項1で詳しく述べるカプセルは、非燃焼加熱式製品及びその中にある状態で使用するのに特に適していることを確認した。請求項1で規定されたカプセルは、他のカプセルと比較して、非燃焼加熱式製品内の状態に曝されたときに故障や破裂が生じにくいことが分かった。
【0031】
いくつかの場合、使用時、エアロゾル生成媒体は高湿分エアロゾルを生成し、カプセルは少なくとも12mgの水に曝される。
【0032】
本発明者らは、フィルターの中央の温度プロファイルは、使用中、各パフ毎にピークに達することを確認した。これは、パフ時に高温のエアロゾルがフィルターを通って引き入れられることによる。いくつかの場合、カプセルは、使用中、約30℃、40℃、又は50℃を越える温度に曝されることがある。いくつかの場合、カプセルが使用時に曝される最高温度は、約100℃、90℃、80℃、又は70℃よりも低い。いくつかの場合、カプセルは、30℃~100℃の範囲の温度に曝されてもよく、それは、40℃~80℃又は50℃~70℃が適切である。
【0033】
本書では、用語「非燃焼加熱式物品」はエアロゾル生成媒体を含む物品を指し、使用時、エアロゾル生成媒体の成分は燃焼せずに加熱によって揮発されて吸引可能な蒸気又はエアロゾルを形成する。
【0034】
非燃焼加熱式物品のエアロゾル生成媒体は、(エアロゾル生成媒体が液体であるeシガレットのエアロゾル生成媒体とは対照的に)固体成分を含む。「固体」であることによって、定常状態時にエアロゾル生成媒体は流動性を示さないことを意味する。固体として、ゲル及び類似のものを含んでもよい。誤解を避けるために記すと、非燃焼加熱式物品のエアロゾル生成媒体は、固体成分に加えて液体成分を含んでもよい。
【0035】
本書に記載のカプセルはコア-シェル構造を有してもよい。このような場合、コアは液体を含む。いくつかの場合、コアは、1つ若しくは複数のエアロゾル生成剤及び/又は1つ若しくは複数の香味料を含んでもよい。いくつかの場合、コアは、酸、塩基、及び/又は水を含んでもよい。いくつかの場合、コアは溶剤を含んでもよい。いくつかの特定な場合、コアはメンソールを含んでもよい。
【0036】
カプセルシェル材料(本書では、この代わりに、バリア材料又はカプセル化材料と称することもある)はコアを包む。シェル材料は、いくつかの場合、製品の保管中のコアの移動を最小限にする機能を有することができる。いくつかの場合、シェル材料は、使用中のコアの放出を制御することができる。カプセルは、非燃焼加熱式物品の加熱前、加熱中、又は加熱後に破裂されて(すなわち押し潰されて)内容物を放出することができる。
【0037】
カプセルシェル材料は押潰し可能である、すなわち、割れやすい又は壊れやすい。カプセルは、内容物を放出させるために使用者によって押し潰される、或いは割られる又は壊される。典型的には、カプセルは、加熱開始直前に壊されるが、使用者は、いつ内容物を放出するかを選択することができる(すなわち、加熱開始後に押し潰すことができる)。用語「押潰し可能なカプセル」は、包んでいる材料(シェルとすることができる)を圧力によって壊して包まれた材料(カプセルコアとすることができる)を放出することができるカプセルを指し、より詳細には、包んでいる材料(例えば、シェル)は、使用者がカプセルの内容物を放出したいときに、使用者の指(又は任意の他の圧力生成手段)によって加えられた圧力の下、割ることができる。いくつかの場合、カプセルは、約0.8kp~約3.5kpの初期(加熱前)破壊強度を有することができ、それは、約1.0kp~約2.5kp又は約1.0~約2.0kpが適切である。本発明者らは、加熱するとカプセルが弱くなることがあることを確認した。本発明者らは、少なくとも0.8kpの初期破壊強度を有するカプセルは加熱しても壊れ/割れにくいことを確認した。本発明者らは、3.5kpより強い破壊強度を有するカプセルは加熱前に壊れにくいことを確認した。本発明者らは、1.0kp~2.0kpの範囲の初期破壊強度が最良のカプセル性能を与えると決定した。
【0038】
いくつかの場合、本書に記載のカプセルは実質的に球状とすることができ、少なくとも約0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、2.5mm、2.8mm、又は3.0mmの直径を有する。カプセルの直径は、約10.0mm、8.0mm、7.0mm、6.0mm、5.5mm、5.0mm、4.5mm、4.0mm、3.5mm、又は3.2mmより小さくてもよい。例示的には、カプセルの直径は、約0.4mm~約10.0mm、約0.8mm~約6.0mm、約2.5mm~約5.5mm、又は約2.8mm~約3.2mmの範囲とすることができる。いくつかの場合、カプセルは約3.0mm~約3.5mmの直径を有してもよい。これらの大きさは、非燃焼加熱式物品用のフィルターにカプセルを組み入れるために特に適切である。
【0039】
いくつかの場合、本書に記載のカプセルの全重量は、約1mg~約100mgの範囲とすることができ、それは、約5mg~約60mg、約10mg~約50mg、約15mg~約40mg、又は約15mg~約30mgが適切である。
【0040】
いくつかの場合、コア配合剤の全重量は、約2mg~約90mgの範囲とすることができ、それは、約3mg~約70mg、約5mg~約25mg、約8mg~約20mg、又は約10mg~約15mgが適切である。
【0041】
シェルは、カプセルシェル全重量の5~90重量%のゲル化剤を含み、ゲル化剤はカラギーナンを含む、カラギーナンから実質的に構成される、又はカラギーナンのみから構成される。いくつかの場合、シェルは、カプセルシェル全重量の5~60重量%、5~50重量%、又は10~35重量%の前記ゲル化剤を含む。いくつかの場合、カプセルシェルのゲル化剤はカラギーナンを含む。いくつかの場合、このカラギーナンは、少なくとも約30℃又は少なくとも約40℃の融解点を有する。
【0042】
カラギーナンに加えて、シェルはさらなるゲル化剤を含んでもよい。カプセルシェル材料に含まれてもよい適切なゲル化剤は、限定するものではないが、多糖類又はセルロース系ゲル化剤、ゼラチン、ガム、ゲル、ワックス、又はそれらの混合物を含んでもよい。適切な多糖類には、アルギネート、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、及びペクチンが含まれる。適切なアルギネートには、例えば、アルギン酸塩、エステル化アルギネート、又はグリセリルアルギネートが含まれる。アルギン酸塩には、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン、並びに、アルギン酸ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムなどの第I属又は第II属の金属イオンアルギン酸塩が含まれる。エステル化アルギネートには、プロピレングリコールアルギネート及びグリセリルアルギネートが含まれる。いくつかの例では、バリア材料には、アルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムが含まれる。適切なセルロース系材料には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース、及びセルロースエーテルが含まれる。ゲル化剤は、1つ又は複数の改質されたでんぷんを含んでもよい。ゲル化剤は、1つ又は複数のカラギーナンを含んでもよい。適切なガムには、寒天、ジェランガム、アラビアゴム、プルランガム、マンナンガム、ガティガム、トラガカントガム、カラヤ、ローカストビーン、アカシアゴム、グアー、クインスシード及びキサンタンガムが含まれる。適切なゲルには、寒天、アガロース、カラギーナン、フロイダン(furoidan)、及びフルセラランが含まれる。適切なワックスには、カルナウバワックスが含まれる。いくつかの場合、ゲル化剤は、カラギーナン及び/又はジェランガムを含んでもよく、これらの結果得られたカプセルを壊すのに必要な圧力が特に適切であるため、これらのゲル化剤は、ゲル化剤として含むことが特に適している。いくつかの場合、カプセルシェルはゼラチンを含まない。
【0043】
カプセルシェルは、増量剤、緩衝剤、着色料、及び可塑剤のうちの1つ又は複数をさらに含んでもよい。
【0044】
いくつかの場合、カプセルシェル材料は、でんぷん、変性でんぷん(酸化でんぷんなど)及びマルチトールなどの糖アルコールなどの1つ又は複数の増量剤を含んでもよい。
【0045】
いくつかの場合、カプセルシェル材料は、製造中のタバコ産業製品内のカプセルの位置をより容易に表す着色料を含んでもよい。着色料は、着色剤と顔料とから選択されることが好ましい。
【0046】
いくつかの場合、カプセルシェル材料は、クエン酸塩化合物又はリン酸塩化合物などの少なくとも1つの緩衝剤をさらに含んでもよい。
【0047】
いくつかの場合、カプセルシェル材料は少なくとも1つの可塑剤をさらに含んでもよく、この可塑剤は、可塑性を有するグリセロール、ソルビトール、マルチトール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、又は別のポリアルコール、並びに、任意選択的に、一酸型、二酸型、又は三酸型のうちの1つの酸、特にクエン酸、フマル酸、及びリンゴ酸などであってもよい。いくつかの場合、可塑剤の量は、シェルの全重量の1~30重量%の範囲であり、それは、2~15重量%が好ましく、3~10重量%がさらに好ましい。いくつかの場合、可塑剤とゲル化剤とを組み合わせたもののシェル内の全量は、カプセルシェル全重量の約40~70重量%であり、それは、50~60重量%が適している。いくつかの場合、可塑剤は、グリセロールを含む、グリセロールから実質的に構成される、又はグリセロールのみから構成される。
【0048】
いくつかの場合、カプセルシェルはまた、1つ又は複数の充填剤を含んでもよい。適切な充填剤には、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン(アルファ、ベータ、又はガンマ)などのでんぷん誘導体、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:hydroxypropyl-methylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC:hydroxypropylcellulose)、メチルセルロース(MC:methylcellulose)、カルボキシメチルセルロース(CMC:carboxy-methylcellulose)などのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリオール、或いはそれらの混合物が含まれる。カプセルシェルは、いくつかの場合、カプセルシェル全重量の約60重量%までの充填剤を含んでもよい。いくつかの場合、カプセルシェルは、カプセルシェル全重量の約50重量%、40重量%、30重量%、又は20重量%までの充填剤を含んでもよい。いくつかの特定の場合には、カプセルシェルは充填剤を含まなくてもよい。
【0049】
カプセルシェルは、水分によって引き起こされる劣化をカプセルが受けにくくする疎水性外層をさらに含んでもよい。疎水性外層は、ワックス、特にカルナウバワックス、カンデリラワックス又は蜜ろう、カーボワックス、シェラック(アルコール溶液又は水溶液におけるもの)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ラテックス組成物、ポリビニルアルコール、或いはそれらの組合せを含む群から適切に選択される。少なくとも1つの水分バリア剤が、エチルセルロース、又はエチルセルロースとシェラックの混合物であることがより好ましい。
【0050】
カプセルを作製する方法としては共押出法があり、任意選択的ではあるが、この共押出法に続いて遠心分離及び硬化及び/又は乾燥が行われる。これら及び他の適切な技法は当該技術において知られている。
【0051】
フィルターはフィルター材料を含むことができる。例えば、フィルターは、アセチルセルロースなどのセルロース材料、セラミック材料、ポリ乳酸、ポリマーマトリックス、及び/又は活性炭を含んでもよい。セラミック材料の適切な例には、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、炭化チタン、及び二酸化ジルコニウム(ジルコニア)が含まれる。
【0052】
いくつかの場合、フィルター材料は、少なくとも約150℃の平均融解点を有する。エアロゾル生成デバイスでの使用時、フィルターは概して150℃より低い温度に曝され、したがって、このような実施形態では、フィルターは融解せず、十分カプセルを支持する。これは、加熱開始後に使用者がカプセルを押し潰そうとすることを助ける。いくつかの場合、フィルター材料は、少なくとも約160℃、170℃、180℃、190℃、又は200℃の平均融解点を有する。
【0053】
いくつかの場合、フィルター材料は、少なくとも0.130W/mKの平均熱伝導率を有する。本発明者らは、これは、加熱開始後に使用者がカプセルを押し潰そうとすることを助けることを見出した。いくつかの場合、フィルター材料は、少なくとも0.140W/mK、0.150W/mK、又は0.160W/mKの平均熱伝導率を有する。
【0054】
いくつかの場合、フィルターは、他のフィルター構成部品を囲むラッパーをさらに含んでもよい。ラッパーはタバコチップペーパーを含んでもよい。
【0055】
いくつかの場合、カプセルは、フィルターの約5~30% v/vを占める。いくつかの場合、カプセルは、70~95% v/vのフィルター材料を含み、フィルター材料はアセチルセルロースが適切である。本発明者らは、これらの比率にするとカプセルによる熱吸収が適切になることを確認した。
【0056】
いくつかの場合、フィルターは実質的に円筒形であり、カプセルは円筒の直径に対して実質的に中央に配置される。いくつかの場合、カプセルは円筒の長さに対して実質的に中央に配置される。いくつかの場合、円筒状のフィルターは、長さが約8~14mmであってもよく、それは、9~13mm又は10~12mmが適切である。フィルターは、約5~9mmの断面直径を有してもよく、それは、7.5~8mmが適切である。フィルターはアセチルセルロース繊維から形成されてもよい。
【0057】
いくつかの場合、使用者が吸引するときのフィルター前後の圧力差は、カプセルが壊れていない状態では、30~90mmHOの範囲にある。フィルター前後の圧力差は、カプセルが壊れていない状態では、約30mmHO、33mmHO、35mmHO、38mmHO、又は40mmHO~約90mmHO、75mmHO、65mmHO、60mmHO、55mmHO、又は50mmHOの範囲であることが適切である。例示的には、フィルター前後の圧力差は、カプセルが壊れていない状態では、約35~60mmHOの範囲とすることができ、それは、38~55mmHO又は40~50mmHOが好ましい。
【0058】
いくつかの場合、フォルターにはカプセルが1つだけ入っている。他の場合には、フィルターにはカプセルが2つ以上入っている。フィルターが複数のカプセルを備える場合、個々のカプセルは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、使用者がカプセルを壊すときを選ぶ/壊すかどうかを選ぶことができるように複数のカプセルを提供することができ、以て、エアロゾル送出プロファイルを制御することができる。
【0059】
いくつかの場合、エアロゾル生成媒体はエアロゾル生成剤を含む。いくつかの場合、エアロゾル生成媒体はタバコ材料を含む。いくつかの場合、エアロゾル生成媒体は香味料を含む。いくつかの場合、エアロゾル生成媒体は、エアロゾル生成剤及び/又はタバコ材料及び/又は香味料から実質的に構成される、或いはエアロゾル生成剤及び/又はタバコ材料及び/又は香味料のみから構成される。いくつかの場合、エアロゾル生成媒体は単一の単体の構成部品として提供されてもよい。他の場合には、エアロゾル生成媒体は、異なる成分を含む別々の部分を備えてもよい。例えば、エアロゾル生成媒体は、エアロゾル生成剤及びタバコ材料を含み、これらは、エアロゾル生成媒体の別々の部分に設けられてもよい。
【0060】
いくつかの場合、カプセルには香味料が入っており、またエアロゾル生成媒体は香味料を含み、香味料は、両方の場合、実質的に同じである。これは、より一貫した香料プロファイルの送出を提供することができる。いくつかの場合、カプセルにはメンソールが入っており、またエアロゾル生成媒体はメンソールを含む。
【0061】
本書では、用語「タバコ材料」は、タバコ又はその派生物を含む任意の材料を指す。用語「タバコ材料」は、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ若しくは複数を含んでもよい。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコの茎、再生タバコ、及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ若しくは複数を含んでもよい。
【0062】
タバコ材料を生産するために使用されるタバコは、バージニア及び/又はバーレー及び/又はオリエンタルを含む、単一等級又はブレンド、刻みラグ又は全葉などの任意の適切なタバコであってもよい。タバコはまた、タバコ粒子の「微細物」又は粉末、膨張タバコ、茎、膨張茎、及びカットロールされた茎などの他の加工茎材料であってもよい。タバコ材料は、挽きタバコ又は再生タバコ材料であってもよい。再生タバコ材料は、タバコ繊維を含んでもよく、キャスティング、タバコ抽出物の逆添加を伴う長網抄紙式手段、又は押出成形によって形成することができる。
【0063】
本書では、用語「エアロゾル生成剤」は、エアロゾルの生成を促進する薬剤を指す。エアロゾル生成剤は、吸引可能な固体及び/又は液体のエアロゾルへの気体の初期蒸発及び/又は凝縮を促進することによって、エアロゾルの生成を促進することができる。
【0064】
適切なエアロゾル生成剤には、限定するものではないが、ポリオール(ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールのようなグリコールなど)、及び、非ポリオール(一価アルコール、高沸点炭化水素、乳酸のような酸、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、ミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含むトリエチルシトレート又はミリスチン酸塩などのエステル、並びにステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル及びテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステルなど)が含まれる。いくつかの場合、エアロゾル生成剤は、グリセロール及び/又はプロピレングリコールを含んでもよい。
【0065】
いくつかの場合、エアロゾル生成媒体は、エアロゾル生成媒体の全重量の少なくとも10重量%のエアロゾル生成剤を含む。エアロゾル生成媒体は、エアロゾル生成媒体の全重量の少なくとも12重量%、15重量%、18重量%、又は20重量%のエアロゾル生成剤を含むことが適切である。残りは、いくつかの場合、タバコ材料とすることができる。
【0066】
いくつかの場合、非燃焼加熱式物品は実質的に円筒形であってもよい。
【0067】
いくつかの場合、非燃焼加熱式物品は冷却要素をさらに備えてもよい。冷却要素は、例えば、フィルターとエアロゾル生成媒体との間に配置されてもよい。冷却要素は、これがある場合、非燃焼加熱式物品の(使用時)最も高い温度の部分からフィルターを離す。冷却要素は、これがある場合、空っぽのチューブを備えてもよく、紙から形成されることが適切である。エアロゾル生成媒体の気化した成分は、冷却要素がある場合、使用時、冷却要素に凝縮してエアロゾルを形成する。
【0068】
非燃焼加熱式物品は、換気開口をさらに備えてもよい。これら換気開口は、物品の側壁に設けられてもよい。いくつかの場合、換気開口は、フィルター及び/又は冷却要素に設けられてもよい。これらの開口によって、使用中、低温の空気を物品内に引き込むことができ、それが、加熱された揮発した成分と混合してエアロゾルを冷却する。
【0069】
使用時に物品が加熱されると、この換気によって物品からの加熱された揮発した可視成分の生成が促進される。加熱された揮発した成分の過飽和が生じるように、加熱された揮発した成分を冷却するプロセスによって、この加熱された揮発した成分は可視化される。次いで、加熱された揮発した成分は核形成としても知られる液滴形成をし、最終的には、加熱された揮発した成分のさらなる凝縮と、加熱された揮発した成分からの新たに形成された液滴の凝集とによって、加熱された揮発した成分のエアロゾル粒子のサイズが増大する。
【0070】
いくつかの場合、換気率として知られている、加熱された揮発した成分と低温空気との合計に対する低温空気の割合は、少なくとも15%である。換気率が15%であれば、上記の方法によって加熱された揮発した成分を可視化することができる。加熱された揮発した成分が可視化されると、使用者は揮発した成分が生成されたことを認識することができ、これが喫煙経験の感覚的経験に加わる。
【0071】
別の例では、換気率を50%~85%にして、加熱された揮発した成分をさらに冷却する。
【0072】
本書では、用語「非燃焼加熱式アセンブリ」は、非燃焼加熱式物品とヒーターとを組み合わせたものを指す。ヒーターは、非燃焼加熱式物品のエアロゾル生成媒体を燃焼させることなく加熱して、基材の成分を揮発させて吸引可能な蒸気又はエアロゾルを生成する。
【0073】
いくつかの場合、ヒーターは、物品と一体的に設けられてもよい。例えば、ヒーターは、使用時、その燃焼が、エアロゾル生成媒体を燃焼させないで加熱するように物品に取り付けられた可燃性燃料源であってもよい。別の例では、ヒーターは、使用時に熱を生じるように発熱反応をする相変化材料などの化学的熱源を備えてもよい。
【0074】
他の場合、ヒーターは、物品とともに使用するように構成された別体の物であってもよい。例えば、ヒーターは、非燃焼加熱式物品が少なくとも部分的に挿入されるデバイスであってもよい。別の例では、ヒーターは、非燃焼加熱式物品に少なくとも部分的に挿入されるデバイスであってもよい。ヒーターは電気的に制御されてもよい。いくつかの場合、ヒーターは、薄膜の電気抵抗ヒーター、又は誘導ヒーターなどを含む。
【0075】
いくつかの場合、アセンブリは、加熱期間の少なくとも50%の間、非燃焼加熱式物品のエアロゾル生成媒体の少なくとも一部分が少なくとも180℃又は200℃の温度に曝されるように構成されてもよい。いくつかの例では、エアロゾル生成媒体は、内容全体が本書に援用される、同時係属中の出願PCT/EP2017/068804に記載の熱プロファイルに曝されてもよい。
【0076】
いくつかの特定の場合、エアロゾル生成媒体の2つの部分を別々に加熱するように構成された非燃焼加熱式アセンブリが提供される。第1の部分と第2の部分の温度プロファイルが異なるように、これらの部分の温度を経時的に制御することによって、使用中のエアロゾルのパフプロファイルを制御することが可能である。エアロゾル生成媒体の2つの部分に供給される熱を異なる時点又は比率で供給することができ、このように加熱を互い違いにすることによって迅速なエアロゾルの生成と使用の長時間化の両方が可能になる。
【0077】
1つの特定の例では、本アセンブリは、消費経験の開始時に、エアロゾル生成媒体の第1の部分に対応する第1の加熱要素が240℃の温度に直ちに加熱されるように構成することができる。この第1の加熱要素は、145秒間240℃に保たれ、次いで、135℃に下げられる(これは消費経験の残り時間維持される)。消費経験の開始後75秒の時点で、エアロゾル生成媒体の第2の部分に対応する第2の加熱要素が160℃の温度に加熱される。消費経験の開始後135秒の時点で、第2の加熱要素の温度は240℃に上げられる(これは消費経験の残り時間維持される)。消費経験は280秒続き、その時点で、両方のヒーターは室温に下げられる。
【0078】
いくつかの場合、本アセンブリは、非燃焼加熱式物品のフィルターが直接加熱されないように構成される。例えば、ヒーターが、物品が部分的に挿入されるデバイスである場合、アセンブリは、非燃焼加熱式物品のフィルターがデバイスに挿入されないよう構成することができる。
【0079】
いくつかの特定の場合、本アセンブリは、非燃焼加熱式物品のフィルター、及び、もしあれば、冷却要素が直接加熱されないように構成される。例えば、ヒーターが、物品が部分的に挿入されるデバイスである場合、アセンブリは、非燃焼加熱式物品のフィルター、及び、もしあれば、冷却要素がデバイスに挿入されないように構成することができる。他の場合には、冷却要素の少なくとも一部はデバイス内に挿入されてもよい。
【0080】
このような場合、フィルターが直接加熱されなくても、消費経験中(使用者のパフ中)、熱は非燃焼加熱式物品の中を通って引き入れられる。本発明者らは、フィルターの中央の温度プロファイルは、各パフ毎にピークに達することを確認した。これは、パフ時に高温のエアロゾルがフィルターを通って引き入れられることによる。いくつかの場合、フィルター(及びカプセル)は、使用中、約30℃、40℃、又は50℃を越える温度に曝されることがある。いくつかの場合、フィルター(及びカプセル)が使用時に曝される最高温度は、約100℃、90℃、80℃、又は70℃よりも低い。いくつかの場合、フィルター(及びカプセル)は、30℃~100℃の範囲の温度に曝されてもよく、それは、40℃~80℃又は50℃~70℃が適切である。
【0081】
本発明者らは、請求項1で規定されたカプセルは、非燃焼加熱式物品に使用するのに特に適していることを確認した。いくつかの場合、カプセルがシェルの融解点又はガラス転移温度を越える温度に曝されても、請求項1に規定されたカプセルは、他のカプセルと比較して、非燃焼加熱式アセンブリ内の状態に曝されたときに故障や破裂が生じにくいことが分かった。このようなカプセルは、加熱開始前、加熱開始中、又は加熱開始後、使用者によって容易に押し潰されてその内容物を放出することができる。押潰し時のクリック感は維持され、それは、押し潰したという触覚フィードバックを使用者に与える。次いで、使用者は、十分な圧力が加えられてカプセルの内容物が放出されたと知るので、このクリック感は有用である。したがって、非燃焼加熱式物品に損傷を与えることがある過大な圧力を加える可能性が低くなる。
【0082】
理論に縛られることを望むものではないが、本書に記載のカプセルが非燃焼加熱式物品に使用するのに適していることは、シェル材料の成分及び水吸収性によるものと考えられる。関係するであろう他の因子には、シェル材料の熱容量、シェル材料の融解点又はガラス転移温度、及び/又はヒーターからのカプセルの距離が含まれる。
【0083】
いくつかの場合、カプセルは、非燃焼加熱式アセンブリ内のヒーターから少なくとも約25mm又は少なくとも約30mmになるように非燃焼加熱式物品内に配置されてもよい。いくつかの場合、カプセルは、ヒーターから約25~30mm又は約30~35mmになるように非燃焼加熱式物品内に配置されてもよい(これらの距離は、カプセルの中央からヒーターの最も近い点までの距離を指す)。この位置決めは、カプセルが適切な熱レベルに曝される一方、非燃焼加熱式物品が適切な寸法を確実に有することを意味し得る。
【0084】
少なくとも30℃又は少なくとも40℃の融解点を有するカラギーナンを含むシェル材料から形成されたカプセルは、非燃焼加熱式状態への暴露にも十分耐えることが分かった。
【0085】
非燃焼加熱式物品の例が図1に示されている。図示の非燃焼加熱式物品10は実質的に円筒形である。物品10は、第1の端部2の方にエアロゾル生成媒体1のロッド、適切にはタバコ材料のロッドと、第2の端部4の方にフィルター3とを含むことができる。第2の端部4は口側となる端部(以下「口側端部」)である。カプセル5はフィルター3内に配置されている。フィルター3はフィルター材料を含み、フィルター材料はアセチルセルロースであってもよい。被覆紙6は、構成要素を円筒形状に保持し、タバコロッド1とフィルタープラグ3との間に通路7を提供する。通路7は、冷却要素として機能し、代替の実施形態では省略されてもよい。さらなる短い通路がフィルタープラグ3と第2の端部4との間に示されている。これもまた、代替の実施形態では省略されてもよい。
【0086】
使用時、非燃焼加熱式物品10は、加熱されて吸引可能なエアロゾルを形成することができるように非燃焼加熱式アセンブリ(図示せず)のヒーター内に部分的に挿入される。一実施形態において、ヒーターは、エアロゾル生成媒体の周りにオーブン型構成体を形成する。いくつかの実施形態では、非燃焼加熱式物品10の第1の端部2は、エアロゾル生成媒体1がヒーター内に入るように挿入される。非燃焼加熱式物品10及び非燃焼加熱式アセンブリは、フィルター3及び通路7の少なくとも一部がヒーターに入らないように構成される。
【0087】
代替の実施形態では、実質的に円筒状の非燃焼加熱式物品は、フィルター3とすぐ隣り合ってエアロゾル生成媒体1を含んでもよい。通路は、フィルターの媒体とは反対側に設けられてもよく、又は通路はなくてもよい。
【0088】
使用後、非燃焼加熱式物品はヒーターから取り出されて、典型的には廃棄される。その後にヒーターを使用する場合は、さらなる非燃焼加熱式物品を使用する。
【0089】
代替の非燃焼加熱式アセンブリが図2に描かれている。このアセンブリでは、可燃性熱源8が、非燃焼加熱式物品10の第1の端部2でエアロゾル生成媒体1と隣り合って配置されている。可燃性熱源8は、アルミニウム箔の層などの非可燃性材料(図示せず)によってエアロゾル生成媒体1から隔てられてもよい。アルミニウム箔又は他の伝導性非可燃性材料は、(a)エアロゾル生成媒体に熱を伝える、及び(b)燃料源の燃焼がエアロゾル生成媒体の燃焼を生じさせることを防ぐので、有用である。使用時、燃料源8は使用者によって点火され、熱は、アルミニウム箔(又は同様のもの)によってエアロゾル生成媒体1に伝えられて、燃焼させることなく媒体1の成分を揮発させる。
【0090】
図3及び図4を参照すると、図1に示されたものと類似の、非燃焼加熱式物品101の例の部分切欠き断面図及び斜視図が示されている。物品101は、電源及びヒーターを有するデバイスとともに使用するように構成されている。この実施形態の物品101は、以下で説明する図7図9に示されたデバイス51とともに使用するのに特に適している。使用時、物品101は、図7に示されたデバイス51の挿入点20において取出し可能にデバイスに挿入することができる。
【0091】
一例の物品101は、ロッドの形態のエアロゾル生成媒体103の本体及びフィルターセンブリ105を含む実質的に円筒ロッドの形態である。フィルターセンブリ105は、3つのセグメント、すなわち冷却セグメント107、フィルターセグメント109、及び口側端部セグメント111を含む。物品101は、口側端部又は近位端としても知られる第1の端部113と、遠位端としても知られる第2の端部115とを有する。エアロゾル生成媒体103の本体は、物品101の遠位端115の方に配置されている。一例では、冷却セグメント107は、エアロゾル生成媒体103の本体とフィルターセグメント109との間でエアロゾル生成媒体103の本体と隣り合って配置され、その結果、冷却セグメント107は、エアロゾル生成媒体103及びフィルターセグメント103と当接関係になっている。他の例では、エアロゾル生成媒体103の本体と冷却セグメント107との間、及びエアロゾル生成媒体103の本体とフィルターセグメント109との間に間隔があってもよい。フィルターセグメント109は、冷却セグメント107と口側端部セグメント111との間に配置されている。口側端部セグメント111は、フィルターセグメント109と隣り合って物品101の近位端113の方に配置されている。一例では、フィルターセグメント109は口側端部セグメント111と当接関係にある。一実施形態では、フィルターセンブリ105の全長は37mm~45mmであり、フィルターセンブリ105の全長は41mmがより好ましい。
【0092】
一実施形態では、エアロゾル生成媒体103の本体はタバコを含む。しかし、他の各実施形態では、エアロゾル生成媒体103の本体は、タバコのみから構成されてもよく、実質的に完全にタバコから構成されてもよく、タバコとエアロゾル生成剤及び/又は香味料などの他の成分とを含んでもよい。いくつかの場合、エアロゾル生成媒体はタバコを含まなくてもよい。
【0093】
一例では、エアロゾル生成媒体103のロッドの長さは34mm~50mmであり、それは、38mm~46mmが適切であり、42mmが適切である。
【0094】
一例では、物品101の全長は71mm~95mmであり、それは、79mm~87mmが適切であり、83mmが適切である。
【0095】
エアロゾル生成媒体103の本体の軸線方向端部は、物品101の遠位端115において見ることができる。しかし、他の実施形態では、物品101の遠位端115は、エアロゾル生成媒体103の本体の軸線方向端部を覆う端部部材(図示せず)を備えてもよい。
【0096】
エアロゾル生成媒体103の本体は、環状のチップペーパー(図示せず)によってフィルターセンブリ105に接合され、このチップペーパーは、フィルターセンブリ105を取り囲むようにフィルターセンブリ105の実質的に全周に配置されており、エアロゾル生成媒体103の本体の長さに沿って部分的に延在している。一例では、チップペーパーは、58GSMの標準的なチップ原紙から作られる。一例では、チップペーパーの長さは42mm~50mmであり、それは、46mmが適切である。
【0097】
一例では、冷却セグメント107は環状のチューブであり、冷却セグメント内の空隙の周りに配置されその空隙を画定する。空隙は、エアロゾル生成媒体103の本体から生成される加熱された揮発した成分が流れるためのチャンバを提供する。冷却セグメント107は、エアロゾルを溜めるためのチャンバを提供するように中空であるが、それでも、製造中及び使用時に物品101がデバイス51に挿入されるときに生じることがある軸線方向の圧縮力並びに曲げモーメントに耐えるだけの十分な剛性がある。一例では、冷却セグメント107の壁厚は約0.29mmである。
【0098】
冷却セグメント107は、エアロゾル生成媒体103とフィルターセグメント109との間に物理的な間隔を提供する。冷却セグメント107によって与えられたこの物理的な間隔によって、冷却セグメント107の長さ全体にわたって熱勾配が生じる。一例では、冷却セグメント107は、冷却セグメント107の第1の端部に入る加熱された揮発した成分と冷却セグメント107の第2の端部を出る加熱された揮発した成分との間に少なくとも摂氏40度の温度差を与えるように構成されている。一例では、冷却セグメント107は、冷却セグメント107の第1の端部に入る加熱された揮発した成分と冷却セグメント107の第2の端部を出る加熱された揮発した成分との間に少なくとも摂氏60度の温度差を与えるように構成されている。デバイス51によって加熱されたときに、冷却要素107の長さ全体でのこの温度差が、温度に敏感なフィルターセグメント109をエアロゾル生成媒体103の高温から保護する。フィルターセグメント109と、エアロゾル生成媒体103の本体及びデバイス51の加熱要素との間に物理的な間隔が設けられていなければ、温度に敏感なフィルターセグメント109は使用時に損傷を受けることがあり、したがって、必要な機能を効果的に果たさないであろう。
【0099】
一例では、冷却セグメント107の長さは少なくとも15mmである。一例では、冷却セグメント107の長さは、20mm~30mmであり、それは、より詳細には23mm~27mm、より詳細には25mm~27mm、25mmが適切である。
【0100】
冷却セグメント107は紙で作られており、これは、使用時にデバイス51のヒーターと隣り合うときに、懸念のある化合物、例えば、毒性化合物を生成しない材料から構成されていることを意味する。一例では、冷却セグメント107は、螺旋状に巻かれた紙チューブから製造され、これは、中空の内部チャンバを備えるが、それでも機械的剛性を維持する。螺旋状に巻かれた紙チューブは、チューブの長さ、外径、真円度、及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0101】
別の例では、冷却セグメント107は、堅いプラグ巻取紙又はチップペーパーから作られた凹所である。堅いプラグ巻取紙又はチップペーパーは、製造中及び使用時、物品101がデバイス51に挿入される間に生じることがある軸線方向の圧縮力並びに曲げモーメントに耐えるだけの十分な剛性を有するように製造される。
【0102】
フィルターセグメント109は、エアロゾル生成媒体からの加熱された揮発した成分から1つ又は複数の揮発化合物を除去するのに十分な任意のフィルター材料から形成することができる。一例では、フィルターセグメント109は、アセチルセルロースなどのモノアセタート材料から作られる。フィルターセグメント109は、加熱された揮発した成分の量を使用者にとって不満なレベルにまで減らすことなく、加熱された揮発した成分を冷却し、それらから刺激を低減する。
【0103】
押潰し可能なカプセル5はフィルターセグメント109に設けられる。押潰し可能なカプセル5は、実質的にフィルターセグメント109の中央、すなわち、フィルターセグメント109の直径及びフィルターセグメント109の長さのどちらにとっても中央に配置することができる。他の場合には、押潰し可能なカプセル5は、1つ又は複数の方向にずれていてもよい。
【0104】
フィルターセグメント109のアセチルセルローストウ材料の密度は、フィルターセグメント109の端から端までの圧力降下を制御し、ひいては物品101の吸引抵抗を制御する。したがって、フィルターセグメント109の材料の選択は、物品101の吸引抵抗を制御するのに重要である。さらに、フィルターセグメントは物品101における濾過機能を果たす。
【0105】
一例では、フィルターセグメント109は8Y15グレードのフィルタートウ材料で作られ、これは、加熱された揮発した材料に対して濾過効果を発揮すると共に、加熱された揮発した材料から生じる凝縮したエアロゾル液滴のサイズを小さくする。
【0106】
フィルターセグメント109があることによって、冷却セグメント107を出る加熱された揮発した成分をさらに冷却することによる断熱効果が得られる。このさらなる冷却効果は、使用者の唇のフィルターセグメント109の表面との接触温度を下げる。
【0107】
一例では、フィルターセグメント109の長さは6mm~10mmであり、それは、8mmが適切である。
【0108】
口側端部セグメント111は環状のチューブであり、口側端部セグメント111内の空隙の周りに配置されその空隙を画定する。空隙は、フィルターセグメント109から流れる加熱された揮発した成分のためのチャンバを提供する。口側端部セグメント111は、エアロゾルを溜めるためのチャンバを提供するように中空であるが、それでも、製造中及び使用時に物品がデバイス51に挿入されるときに生じることがある軸線方向の圧縮力並びに曲げモーメントに耐えるだけの十分な剛性がある。一例では、口側端部セグメント111の壁厚は約0.29mmである。一例では、口側端部セグメント111の長さは6mm~10mmであり、それは、8mmが適切である。
【0109】
口側端部セグメント111は、螺旋状に巻かれた紙チューブから製造されてもよく、これは、中空の内部チャンバを備えるが、それでも最終的な機械的剛性を維持する。螺旋状に巻かれた紙チューブは、チューブの長さ、外径、真円度、及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0110】
口側端部セグメント111は、フィルターセグメント109の出口に溜まるいかなる液体凝縮物も使用者と直接接触するのを防ぐ機能を果たす。
【0111】
一例では、口側端部セグメント111と冷却セグメント107は、単一のチューブから形成されてもよく、フィルターセグメント109はそのチューブ内に配置されて、口側端部セグメント111と冷却セグメント107とを分離することは理解されるべきである。
【0112】
図5及び図6を参照すると、物品301の例の部分切欠き断面図及び斜視図が示されている。図5及び図6に示されている参照符号は、図3及び図4に示された参照符号に「200」を加えた値と同じである。
【0113】
図5及び図6に示された物品301の例では、空気が物品301の外部から物品301の内部に流れることを可能にするために、物品301に換気領域317が設けられている。一例では、換気領域317は、物品301の外層を貫通して形成された1つ又は複数の換気穴317の形態をとる。換気穴は、物品301の冷却を助けるために冷却セグメント307に配置することができる。一例では、換気領域317は、1つ又は複数の列の穴を備え、各列の穴は、物品301の長手方向軸線に対して実質的に垂直な断面で物品301の全周にわたって配置されることが好ましい。
【0114】
一例では、物品301のための換気を行うために1列~4列の換気穴がある。換気穴のそれぞれの列は、12個~36個の換気穴317を有することができる。換気穴317の直径は、例えば、100μm~500μmとすることができる。一例では、換気穴317の列と列との間の軸線方向の間隔は、0.25mm~0.75mmであり、それは、0.5mmが適切である。
【0115】
一例では、換気穴317は均一の大きさである。別の例では、換気穴317は大きさが異なる。換気穴は、任意の適切な技術、例えば、以下の技術のうちの1つ又は複数を使用して作ることができる。すなわち、レーザ技術、冷却セグメント307の機械的穿孔、又は冷却セグメント307を物品301に形成する前の事前穿孔である。換気穴317は、物品301を効果的に冷却するように配置されている。
【0116】
1つの例では、換気穴317の列は、物品の近位端313から少なくとも11mmに配置され、物品301の近位端313から17mm~20mmに配置されることが適切である。換気穴317の位置は、物品301の使用時に使用者が換気穴317を塞がないように配置される。
【0117】
図8及び図9から分かるように、物品301の近位端313から17mm~20mmに換気穴の列を設けることによって、物品301がデバイス51内に完全に挿入されたときに、換気穴317をデバイス51の外側に配置することができる。デバイスの外側に換気穴を配置することによって、加熱されていない空気が、デバイス51の外側から換気穴を通って物品301に入って、物品301の冷却を助けることができる。
【0118】
冷却セグメント307の長さは、物品301がデバイス51内に完全に挿入されたときに、冷却セグメント307がデバイス51内に部分的に挿入されるような長さである。冷却セグメント307の長さは、デバイス51のヒーター構成体と熱に敏感なフィルター構成体309との間に物理的な間隙を設けるという第1の機能と、物品301がデバイス51内に完全に挿入されたときに、換気穴317が、冷却セグメント内に配置されているが、デバイス51の外側にも位置することも可能にするという第2の機能とを提供する。図8及び図9から分かるように、冷却要素307の大部分はデバイス51内に位置している。しかし、冷却要素307の一部分はデバイス51の外へ延在している。デバイス51から外に延在している冷却要素307のこの部分に換気穴317が位置している。
【0119】
次に、図7図9をより詳細に参照すると、エアロゾル生成媒体の少なくとも1つの成分を揮発させるために、典型的には吸引することができるエアロゾルを形成するために、前記エアロゾル生成媒体を加熱するよう構成されたデバイス51の例が示されている。デバイス51は、エアロゾル生成媒体を燃焼させることなく加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスである。
【0120】
第1の端部53は、本書では、デバイス51の口側端部又は近位端53とも称され、第2の端部55は、本書では、デバイス51の遠位端55とも称される。デバイス51は、使用者が望むように、デバイス51全体のオンオフを切り換えられるようにするオンオフボタン57を有する。
【0121】
デバイス51は、デバイス51の様々な内部構成部品を配置し保護するためのハウジング59を備える。図示の例では、ハウジング59は、デバイス51の周りを囲む一体型スリーブ11を備え、デバイス51の「上部」を概ね画定する上部パネル17、及びデバイス51の「底部」を概ね画定する底部パネル19を被せられている。別の例では、ハウジングは、上部パネル17及び底部パネル19に加えて、前部パネル、後部パネル、及び一対の両側の側部パネルを備える。
【0122】
上部パネル17及び/又は底部パネル19は、デバイス51の内部に容易にアクセスすることができるように、一体型スリーブ11に取外し可能に固定されてもよく、又は、例えば、使用者がデバイス51の内部にアクセスすることができないように、一体型スリーブ11に「永久的に」固定されてもよい。一例では、パネル17及び19は、例えば、射出成形によって形成されたガラス充填ナイロンを含むプラスチック材料から作られ、一体型スリーブ11はアルミニウムから作られるが、他の材料や他の製造プロセスが使用されてもよい。
【0123】
デバイス51の上部パネル17は、デバイス51の口側端部53に開口部20を有し、使用時、この開口部20を通して、使用者はエアロゾル生成媒体を含む物品101、301をデバイス51に挿入する、またデバイス51から取り出すことができる。
【0124】
ハウジング59内には、ヒーター構成体23と、制御回路25と、電源27とが配置又は固定されている。この例では、ヒーター構成体23、制御回路25、及び電源27は、制御回路25が概ねヒーター構成体23と電源27との間に配置された状態で、横方向に隣り合っている(すなわち、一端から見て隣り合っている)が、他の位置も可能である。
【0125】
制御回路25は、以下でさらに論じるように、物品101、301のエアロゾル生成媒体の加熱を制御するように構成及び配置されたマイクロプロセッサ構成体などのコントローラを含むことができる。
【0126】
電源27は、例えば、バッテリーでもよく、バッテリーは、再充電可能なバッテリーでもよいし、再充電できないバッテリーでもよい。適切なバッテリーの例には、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル電池(ニッケル-カドミウム電池など)、及び/又はアルカリ電池などが含まれる。バッテリー27は、必要時に電力を供給するために、また制御回路25の制御下で物品のエアロゾル生成媒体を加熱するために(上述したように、エアロゾル生成媒体を燃焼させることなく、エアロゾル生成媒体を揮発させるために)、ヒーター構成体23に電気的に接続されている。
【0127】
電源27をヒーター構成体23の側方に隣り合わせで配置する利点は、デバイス51全体を過度に長くすることなく、物理的に大きな電源25を使用することができることである。理解されるように、一般に、物理的に大きな電源25は、より大きな容量(すなわち、供給可能な総電気エネルギー、多くの場合はアンペア時などで測定されるもの)を有し、したがって、デバイス51のバッテリー寿命をより長くすることができる。
【0128】
一例では、ヒーター構成体23は、概ね、中空の内部加熱チャンバ29を有する中空の円筒状チューブの形態であり、使用時に、エアロゾル生成媒体を備えた物品101、301が加熱チャンバ29内に加熱のために挿入される。ヒーター構成体23の異なる構成が可能である。例えば、ヒーター構成体23は、単一の加熱要素を備えてもよいし、ヒーター構成体23の長手方向軸線に沿って整列した複数の加熱要素から形成されてもよい。この加熱要素又は各加熱要素は、環状でもよいし、管状でもよいし、又はその周囲が少なくとも部分的に環状でもよいし、部分的に管状でもよい。一例では、この加熱要素又は各加熱要素は薄膜ヒーターであってもよい。別の例では、この加熱要素又は各加熱要素はセラミックス材料から作られてもよい。適切なセラミックス材料の例には、アルミナ、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素セラミックスが含まれ、これらは積層及び焼結されてもよい。他の加熱構成体が可能であり、これには、例えば、誘導加熱、赤外線を放射することによって加熱する赤外線ヒーター要素、又は、例えば、抵抗電気巻線によって形成された抵抗加熱要素が含まれる。
【0129】
1つの特定の例では、ヒーター構成体23は、ステンレス鋼製の支持チューブによって支持され、ポリイミド加熱要素を備える。ヒーター構成体23は、デバイス51内に物品101、301が挿入されたときに、実質的に物品101、301のエアロゾル生成媒体103、303の本体の全体がヒーター構成体23内に挿入されるような寸法である。
【0130】
この加熱要素又は各加熱要素は、エアロゾル生成媒体の選択された領域を、例えば、望むように、順番に(上記のように、経時的に)又は一緒に(同時に)独立して加熱することができるように構成することができる。
【0131】
この例のヒーター構成体23は、その長さの少なくとも一部に沿って断熱体31によって囲まれている。断熱体31は、ヒーター構成体23からデバイス51の外部に流れる熱を減少させるのに役立つ。これは、一般に熱損失を低減するので、ヒーター構成体23に対する電力条件を低く抑えるのに役立つ。断熱体31はまた、ヒーター構成体23の動作中にデバイス51の外側を低温に維持するのに役立つ。一例では、断熱体31は、スリーブの2つの壁の間に低圧領域を設けた二重壁型のスリーブでもよい。すなわち、断熱体31は、例えば、「真空」チューブ、すなわち伝導及び/又は対流による伝熱を最小限にするように少なくとも部分的に真空にされたチューブであってもよい。断熱体31の他の構成が可能であり、これには、二重壁型のスリーブに加えて、又はそれに代えて、例えば適切な発泡型の材料を含む断熱材料の使用が含まれる。
【0132】
ハウジング59は、加熱構成体23だけでなく、すべての内部構成部品を支持するための様々な内部支持構造37をさらに備えることができる。
【0133】
デバイス51は、開口部20の周りに延在し開口部20からハウジング59の内部に突出するカラー33と、カラー33と真空スリーブ31の一端との間に配置された概ね管状のチャンバ35とをさらに備える。チャンバ35は冷却構造35fをさらに備え、冷却構造35fは、この例では、チャンバ35の外面に沿って間隔を置いて配置され、それぞれがチャンバ35の外面の周りに周方向に配置された複数の冷却フィン35fを備える。中空のチャンバ35の長さの少なくとも一部にわたって物品101、301がデバイス51に挿入されているとき、中空のチャンバ35と物品101、301との間に空隙36がある。空隙36は、冷却セグメント307の少なくとも一部にわたって物品101、301の全周の周りにある。
【0134】
カラー33は、開口部20の周囲に周方向に配置された複数の隆起部60を備え、これらの隆起部60は開口部20内に突出している。隆起部60は、隆起部60の位置での開口部20の開口スパンが、隆起部60のない位置での開口部20の開口スパンよりも狭くなるように、開口部20内の空間を占めている。隆起部60は、デバイス内に挿入された物品101、301と係合して物品101、301をデバイス51内に固定するのを助けるように構成されている。隣り合う隆起部60の対と物品101、301とによって画定される開放空間(図示せず)は、物品101、301の外側の周りに換気通路を形成する。これらの換気通路は、物品101、301から漏れた高温の蒸気がデバイス51から出ることを可能にし、また、冷却空気が空隙36内の物品101、301の周りからデバイス51内に流入することを可能にする。
【0135】
動作時、物品101、301は、図7図9に示すように、デバイス51の挿入点20に取出し可能に挿入される。特に図8を参照すると、一例では、物品101、301の遠位端115、315の方に配置されているエアロゾル生成媒体103、303の本体は、デバイス51のヒーター構成体23内に完全に収容されている。物品101、301の近位端113、313はデバイス51から延在して、使用者のためのマウスピースアセンブリとして働く。
【0136】
動作時、エアロゾル生成媒体103、303の本体からエアロゾル生成媒体の少なくとも1つの成分を揮発させるために、ヒーター構成体23は物品101、301を加熱する。
【0137】
エアロゾル生成媒体103、303の本体からの加熱された揮発した成分のための主流路は、物品101、301を軸線方向に貫通し、冷却セグメント107、307の内側のチャンバを通り、フィルターセグメント109、309を通り、口側端部セグメント111、313を通って使用者に至る。一例では、エアロゾル生成媒体の本体から生成された、加熱された揮発した成分の温度は60℃~250℃であり、これは使用者にとって許容可能な吸引温度よりも高い可能性がある。加熱された揮発した成分が冷却セグメント107、307を移動するにつれて、その温度は下がり、一部の揮発した成分は冷却セグメント107、307の内面で凝縮する。
【0138】
図5及び図6に示した物品301の例では、低温の空気は、冷却セグメント307に形成された換気穴317を通って冷却セグメント307に入ることができる。この低温の空気は、加熱された揮発した成分と混合し、加熱された揮発した成分をさらに冷却する。
【0139】
使用時に物品がデバイス51によって加熱されると、この換気によって物品317からの加熱された揮発した可視成分の生成が促進される。加熱された揮発した成分の過飽和が生じるように、加熱された揮発した成分を冷却するプロセスによって、この加熱された揮発した成分は可視化される。次いで、加熱された揮発した成分は核形成としても知られる液滴形成をし、最終的には、加熱された揮発した成分のさらなる凝縮と、加熱された揮発した成分からの新たに形成された液滴の凝集とによって、加熱された揮発した成分のエアロゾル粒子のサイズが増大する。
【0140】
一実施形態では、換気率として知られている、加熱された揮発した成分と低温空気との合計に対する低温空気の割合は、少なくとも15%である。換気率が15%であれば、上記の方法によって加熱された揮発した成分を可視化することができる。加熱された揮発した成分が可視化されると、使用者は揮発した成分が生成されたことを認識することができ、これが喫煙経験の感覚的経験に加わる。
【0141】
別の例では、換気率を50%~85%にして、加熱された揮発した成分をさらに冷却する。
【0142】
本書では、用語「香料」、「加香剤」、及び「香味料」は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りを生成するために(現地の規制によって許可される場合に)使用することができる材料を指す。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油など)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤、又は感覚受容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物(例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤)を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、或いはこれらの混合物であってもよい。これらは、任意の適切な形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0143】
誤解を避けるために記すと、本書において、本発明又は本発明の特徴を規定する際に用語「含む(comprises)」が用いられる場合、「含む」の代わりに、用語「から実質的に構成される(consists essentially of)」又は「のみから構成される(consists of)」を用いて本発明又は特徴を規定することができる実施形態も開示されている。
【0144】
上記の実施形態は、本発明の説明のための例であると理解されたい。本発明のさらなる実施形態も考えられる。任意の1つの実施形態に関して説明された任意の特徴は、単独で使用されてもよく、又は、説明された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、実施形態のうちの任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用されてもよく、又は実施形態のうちの任意の他の実施形態の任意の組合せにおいて使用されてもよいことを理解されたい。さらに、上で説明していない等価物及び修正物もまた、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱していなければ使用することができる。
【0145】
本書で説明した様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。これらの実施形態は、単に、実施形態の代表的な例として供され、すべてを網羅するものでもなければ、他を排除するものでもない。本書で説明した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されたように本発明の範囲を限定するもの、或いは特許請求の範囲に対する均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、修正を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの適切な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよい。さらに、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。
図1
図2
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図5
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図7
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