(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】人力駆動車用コンポーネント
(51)【国際特許分類】
B62M 6/20 20100101AFI20240116BHJP
B62M 7/02 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B62M6/20
B62M7/02 A
(21)【出願番号】P 2018069942
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-03-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(73)【特許権者】
【識別番号】500073951
【氏名又は名称】シマノ(シンガポール)プライベートリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野田 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】タン チュン シン
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】八木 誠
【審判官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-255151(JP,A)
【文献】特開2001-180565(JP,A)
【文献】特開2017-24700(JP,A)
【文献】特開2015-217928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 1/00-29/02
B62K19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸が貫通するように構成される貫通孔が設けられる樹脂製のハウジングと、
前記ハウジングから突出するように前記ハウジングに設けられ、人力駆動車のフレームに取り付けられるように構成される金属製の取付部と、を含み、
前記取付部は、前記ハウジングに固定されるように構成される固定部を含み、
前記固定部は、前記ハウジングと一体に形成さ
れ、
前記取付部は、第1取付部および第2取付部を含み、
前記第1取付部および前記第2取付部は、前記フレームに個別に固定されるように前記クランク軸の軸方向に間隔をあけて配置され、
前記取付部は、前記取付部と前記フレームとの間に隙間が存在する場合に、前記隙間を埋めることができるように可撓性を有する、人力駆動車用コンポーネント。
【請求項2】
前記固定部は、前記ハウジングにインサート成形されている、請求項1に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項3】
前記固定部は、前記ハウジングの外周面を形成する側壁に設けられ、
前記取付部は、前記クランク軸の軸方向と直交する方向に延びるように、前記側壁から前記ハウジングの外部に向けて突出する、請求項1または2に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項4】
前記第1取付部、前記第2取付部および前記固定部は一体に形成されている、請求項1または2に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項5】
前記第1取付部、前記第2取付部および前記固定部は、板金によって形成されている、
請求項4に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項6】
前記取付部は、第3取付部を含み、
前記第3取付部は、前記第1取付部とは、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置され、
前記第1取付部は、前記第3取付部とは別体に形成されている、
請求項4または5に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項7】
前記取付部は、第3取付部および第4取付部を含み、
前記第3取付部および前記第4取付部は、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置される、
請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項8】
前記取付部は、第3取付部および第4取付部を含み、
前記第3取付部および前記第4取付部は、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置され、
前記第3取付部、前記第4取付部および前記固定部は、一体に形成されている、
請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項9】
前記第3取付部、前記第4取付部および前記固定部は、板金によって形成されている、
請求項8に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項10】
前記取付部は、第5取付部をさらに含み、
前記第1取付部および前記第2取付部と、前記第5取付部とは、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置される、
請求項4または5に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項11】
前記取付部は、第5取付部をさらに含み、
前記第1取付部および前記第2取付部と、前記第5取付部とは、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置され、
前記第1取付部、前記第2取付部、前記第5取付部および前記固定部は、一体に形成されている、
請求項4または5に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項12】
前記第1取付部、前記第2取付部、前記第5取付部および前記固定部は、板金によって形成されている、
請求項11に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項13】
前記取付部は、第6取付部をさらに含み、
前記第5取付部および前記第6取付部は、前記クランク軸の軸方向に間隔をあけて配置される、
請求項10から12のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項14】
前記取付部は、第6取付部をさらに含み、
前記第5取付部および前記第6取付部は、前記クランク軸の軸方向に間隔をあけて配置され、
前記第1取付部、前記第2取付部、前記第5取付部、前記第6取付部および前記固定部は、一体に形成されている、
請求項11に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項15】
前記第1取付部、前記第2取付部、前記第5取付部、前記第6取付部および前記固定部は、板金によって形成されている、
請求項14に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項16】
前記ハウジングに設けられ、前記クランク軸を回転可能に支持する軸受部と、
前記取付部に連結され、前記軸受部を支持する金属製の支持部と、をさらに含む、
請求項1から15のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項17】
前記ハウジングに設けられ、前記クランク軸を回転可能に支持する軸受部と、
前記取付部に連結され、前記軸受部を支持する金属製の支持部と、をさらに含み、
前記取付部および前記支持部は一体に形成されている、
請求項1から5、8、9、11、12、14、15のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項18】
前記取付部および前記支持部は、板金によって形成されている、
請求項17に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項19】
前記支持部は、前記ハウジングにインサート成形されている、
請求項18に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項20】
ナットをさらに含み、
前記取付部は、前記ナットが設けられる孔を含む、
請求項1から19のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項21】
前記取付部は、前記孔の縁に形成される第1フランジ部をさらに含む、
請求項20に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項22】
前記第1フランジ部は、バーリング加工によって形成される、
請求項21に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項23】
前記取付部は、ねじ孔をさらに含む、
請求項1から22のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項24】
前記取付部は、前記ねじ孔の縁に設けられる第2フランジ部をさらに含む、
請求項23に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項25】
前記第2フランジ部は、バーリング加工によって形成される、
請求項24に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項26】
ステータを有する電気モータをさらに含み、
前記ステータは、前記ハウジングにインサート成形される、
請求項1から25のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項27】
前記ハウジングに設けられる電気モータと、
前記ハウジング内に設けられ、前記取付部と一体に形成される金属製の補強部材と、をさらに含み、
前記補強部材は、前記電気モータに接触する、
請求項1から26のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人力駆動車用コンポーネントの一例であるドライブユニットは、人力駆動車の推進をアシストする電気モータ、および、電気モータが設けられる樹脂製のハウジングを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の人力駆動車用コンポーネントでは、フレームへの取付部も樹脂で形成されている。取付部には金属が埋め込まれることによって補強されているが、ボルトなどによって負荷が与えられると、取付部を形成する樹脂が破損するおそれがある。
本発明の目的は、軽量で、フレームに安定して取り付けることができる人力駆動車用コンポーネントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用コンポーネントは、クランク軸が貫通するように構成される貫通孔が設けられる樹脂製のハウジングと、前記ハウジングから突出するように前記ハウジングに設けられ、人力駆動車のフレームに取り付けられるように構成される金属製の取付部と、を含む。
第1側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、ハウジングが樹脂製であるため、人力駆動車用コンポーネントを軽量化しやすい。さらに、金属製の取付部がハウジングから突出するようにハウジングに設けられているので、取付部をフレームに取り付ける場合に取付部が破損してしまうことが抑制され、フレームに安定して取り付けることができる。
【0006】
第1側面に従う第2側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、前記ハウジングに固定されるように構成される固定部を含む。
第2側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部がハウジングから外れることを抑制できる。
【0007】
第2側面に従う第3側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記固定部は、前記ハウジングと一体に形成されている。
第3側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部がハウジングから外れることを抑制できる。
【0008】
第3側面に従う第4側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記固定部は、前記ハウジングにインサート成形されている。
第4側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部がハウジングから外れることを抑制できる。
【0009】
第1~第4側面のいずれか1つに従う第5側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、第1取付部および第2取付部を含み、前記第1取付部および前記第2取付部は、前記クランク軸の軸方向に間隔をあけて配置される。
第5側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に安定して取り付けることができる。
【0010】
第2~第4側面のいずれか1つに従う第6側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、第1取付部および第2取付部を含み、前記第1取付部および前記第2取付部は、前記クランク軸の軸方向に間隔をあけて配置され、前記第1取付部、前記第2取付部および前記固定部は一体に形成されている。
第6側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部がハウジングから外れにくくなり、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に安定して取り付けることができる。
【0011】
第6側面に従う第7側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第1取付部、前記第2取付部および前記固定部は、板金によって形成されている。
第7側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部を安価に製造できる。
【0012】
第1~第7側面のいずれか1つに従う第8側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、第3取付部および第4取付部を含み、前記第3取付部および前記第4取付部は、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置される。
第8側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に安定して取り付けることができる。
【0013】
第2~第4、第6および第7側面のいずれか1つに従う第9側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、第3取付部および第4取付部を含み、
第3取付部および前記第4取付部は、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置され、前記第3取付部、前記第4取付部および前記固定部は、一体に形成されている。
第9側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部がハウジングから外れにくくなり、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に安定して取り付けることができる。
【0014】
第9側面に従う第10側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第3取付部、前記第4取付部および前記固定部は、板金によって形成されている。
第10側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部を安価に製造できる。
【0015】
第5~第7側面のいずれか1つに従う第11側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、第5取付部をさらに含み、前記第1取付部および前記第2取付部と、前記第5取付部とは、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置される。
第11側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に安定して取り付けることができる。
【0016】
第6または第7側面に従う第12側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、第5取付部をさらに含み、前記第1取付部および前記第2取付部と、前記第5取付部とは、前記クランク軸の周方向に間隔をあけて配置され、前記第1取付部、前記第2取付部、前記第5取付部および前記固定部は、一体に形成されている。
第12側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部がハウジングから外れにくくなり、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に好適に取り付けることができる。
【0017】
第12側面に従う第13側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第1取付部、前記第2取付部、前記第5取付部および前記固定部は、板金によって形成されている。
第13側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部を安価に製造できる。
【0018】
第11~第13側面のいずれか1つに従う第14側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、第6取付部をさらに含み、前記第5取付部および前記第6取付部は、前記クランク軸の軸方向に間隔をあけて配置される。
第14側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に安定して取り付けることができる。
【0019】
第12側面に従う第15側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、第6取付部をさらに含み、前記第5取付部および前記第6取付部は、前記クランク軸の軸方向に間隔をあけて配置され、前記第1取付部、前記第2取付部、前記第5取付部、前記第6取付部および前記固定部は、一体に形成されている。
第15側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部がハウジングから外れにくくなり、人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に安定して取り付けることができる。
【0020】
第15側面に従う第16側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第1取付部、前記第2取付部、前記第5取付部、前記第6取付部および前記固定部は、板金によって形成されている。
第16側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部を安価に製造できる。
【0021】
第1~第16側面のいずれか1つに従う第17側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記ハウジングに設けられ、前記クランク軸を回転可能に支持する軸受部と、前記取付部に連結され、前記軸受部を支持する金属製の支持部と、をさらに含む。
第17側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、軸受部を安定して支持できる。
【0022】
第2~第4、第6、第7、第9、第10、第12、第13、第15および第16側面のいずれか1つに従う第18側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記ハウジングに設けられ、前記クランク軸を回転可能に支持する軸受部と、前記取付部に連結され、前記軸受部を支持する金属製の支持部と、をさらに含み、前記取付部および前記支持部は一体に形成されている。
第18側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、軸受部を安定して支持できる。
【0023】
第18側面に従う第19側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部および前記支持部は、板金によって形成されている。
第19側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部および支持部を安価に製造できる。
【0024】
第19側面に従う第20側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記支持部は、前記ハウジングにインサート成形されている。
第20側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、支持部がハウジングから外れることを抑制できる。
【0025】
第1~第20側面のいずれか1つに従う第21側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、ナットをさらに含み、前記取付部は、前記ナットが設けられる孔を含む。
第21側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、人力駆動車用コンポーネントをボルトによって人力駆動車に容易に取り付けることができる。
【0026】
第21側面に従う第22側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、前記孔の縁に形成される第1フランジ部をさらに含む。
第22側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部からナットが外れることを抑制できる。
【0027】
第22側面に従う第23側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第1フランジ部は、バーリング加工によって形成される。
第23側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第1フランジ部を容易に形成できる。
【0028】
第1~第23側面のいずれか1つに従う第24側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、ねじ孔をさらに含む。
第24側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、ボルトによって人力駆動車用コンポーネントを人力駆動車に取り付けることができる。
【0029】
第24側面に従う第25側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、前記ねじ孔の縁に設けられる第2フランジ部をさらに含む。
第25側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第2フランジ部においてボルトとの係合する部分が増えるので、取付部にボルトを安定して取り付けることができる。
【0030】
第25側面に従う第26側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第2フランジ部は、バーリング加工によって形成される。
第26側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第2フランジ部を容易に形成できる。
【0031】
第1~第26側面のいずれか1つに従う第27側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、ステータを有する電気モータをさらに含み、前記ステータは、前記ハウジングにインサート成形される。
第27側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、電気モータをハウジングに取り付けるための部材を省略できる。
【0032】
第1~第27側面のいずれか1つに従う第28側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記ハウジングに設けられる電気モータと、前記ハウジング内に設けられ、前記取付部と一体に形成される金属製の補強部材と、をさらに含み、前記補強部材は、前記電気モータに接触する。
第28側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、補強部材を介して電気モータの熱を放出でき、放熱性能を向上させることができる。
【0033】
第1~第28側面のいずれか1つに従う第29側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記取付部は、可撓性を有する。
第29側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、取付部と人力駆動車用コンポーネントとの間に隙間が存在する場合であっても、取付部が撓むことによって、取付部と人力駆動車用コンポーネントとの間に隙間を埋めることができる。したがって、人力駆動車用コンポーネントが人力駆動車に取り付けられた状態において、人力駆動車用コンポーネントの人力駆動車のフレームに対するがたつきを抑制できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の人力駆動車用コンポーネントは、軽量で、フレームに安定して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用コンポーネントを含む自転車の側面図。
【
図2】人力駆動車用コンポーネントとブラケットとの分解斜視図。
【
図3】
図1の人力駆動車用コンポーネントの正面図。
【
図5】人力駆動車用コンポーネントの第1ハウジングの斜視図。
【
図6】
図5の第1ハウジングを別の角度から見た斜視図。
【
図7】(a)は締結部材の正面図、(b)は締結部材の断面図。
【
図8】人力駆動車用コンポーネントの取付部の斜視図。
【
図10】人力駆動車用コンポーネントの別の取付部の斜視図。
【
図11】人力駆動車用コンポーネントのさらに別の取付部の斜視図。
【
図12】人力駆動車用コンポーネントの第2ハウジングの斜視図。
【
図14】(a)および(b)は取付部とブラケットとの取付構造を示す側面図。
【
図15】取付部とブラケットとの取付構造の別例の分解斜視図。
【
図17】
図15の取付部とブラケットとの取付構造を示す断面図。
【
図18】第2実施形態の人力駆動車用コンポーネントの第1ハウジングの斜視図。
【
図19】
図18の人力駆動車用コンポーネントの取付部の斜視図。
【
図21】第3実施形態の人力駆動車用コンポーネントのモータおよびその周辺の断面図。
【
図24】ロータコアの第1ラミネーションの平面図。
【
図25】ロータコアの第2ラミネーションの平面図。
【
図27】第4実施形態の人力駆動車用コンポーネントにおけるモータの一部の分解斜視図。
【
図30】
図27のモータのストッパ部材およびその周辺の断面図。
【
図31】(a)は変形例の人力駆動車用コンポーネントにおける取付部の断面図、(b)は(a)の取付部とブラケットとの取付構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態の人力駆動車用コンポーネント30を含む人力駆動車10について説明する。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、例えば、自転車を含む。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動アシスト自転車(E-bike)を含む。以下、実施の形態において、人力駆動車10を、自転車として説明する。
【0037】
人力駆動車10は、クランク12、および、駆動輪14を備える。人力駆動車10は、フレーム16をさらに含む。クランク12には、人力駆動力Hが入力される。クランク12は、フレーム16に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の両端部にそれぞれ設けられるクランクアーム12Bとを含む。各クランクアーム12Bには、ペダル18が連結される。駆動輪14は、クランク12が回転することによって駆動される。駆動輪14は、フレーム16に支持される。クランク12と駆動輪14とは、駆動機構20によって連結される。駆動機構20は、クランク軸12Aに結合される第1回転体22を含む。クランク軸12Aと第1回転体22とは、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体22を前転させ、クランク12が後転した場合に、第1回転体22を後転させないように構成される。第1回転体22は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構20は、連結部材26と、第2回転体24とをさらに含む。連結部材26は、第1回転体22の回転力を第2回転体24に伝達する。連結部材26は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0038】
第2回転体24は、駆動輪14に連結される。第2回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体24と駆動輪14との間には、第2ワンウェイクラッチが設けられていることが好ましい。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体24が前転した場合に、駆動輪14を前転させ、第2回転体24が後転した場合に、駆動輪14を後転させないように構成される。
【0039】
人力駆動車10は、前輪および後輪を含む。フレーム16には、フロントフォーク16Aを介して前輪が取り付けられている。フロントフォーク16Aには、ハンドルバー16Cがステム16Bを介して連結されている。以下の実施形態では、後輪を駆動輪14として説明するが、前輪が駆動輪14であってもよい。
【0040】
人力駆動車用コンポーネント30は、フレーム16に設けられる。
図2に示されるように、人力駆動車用コンポーネント30は、フレーム16の一部であるブラケット28に取り付けられる。ブラケット28は、例えばダウンチューブとシートチューブとに固定される。ブラケット28は、チェーンステイに接続されてもよい。
人力駆動車用コンポーネント30は、樹脂製のハウジング40と、金属製の取付部50とを含む。本実施形態で用いられる金属は、鉄、または、アルミニウムを少なくとも含む合金である。取付部50は、可撓性を有する。ハウジング40は、例えばポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)等が用いられることが好ましい。例えば、ハウジング40にポリフェニレンサルファイトが用いられた場合、ハウジング40の放熱性が向上する。ハウジング40の一例は、樹脂にガラスファイバーを混合して形成されてもよい。ハウジング40の一例は、樹脂にカーボンフィラーおよび金属フィラーの少なくとも一方を混合して形成されてもよい。ハウジング40にカーボンフィラーおよび金属フィラーが混合された場合、ノイズの影響を低減できる。取付部50は、例えばステンレス鋼(SUS系)、または、みがき特殊帯鋼(SAE1010系)が用いられることが好ましい。
【0041】
人力駆動車用コンポーネント30は、クランク軸12Aをさらに含む。クランク軸12Aは、人力駆動車10の左右方向においてハウジング40の両側から突出するようにハウジング40を貫通した状態で延びる。ハウジング40は、クランク軸12Aが貫通する貫通孔42Aが設けられる。ハウジング40は、貫通孔42Aに挿入されたクランク軸12Aを回転可能に支持する。取付部50は、ハウジング40から突出するようにハウジング40に設けられ、人力駆動車10のフレーム16に取り付けられるように構成される。
図2では、取付部50は、フレーム16の一部であるブラケット28に取り付けられるように構成される。
【0042】
図3に示されるように、本実施形態の人力駆動車用コンポーネント30は、自転車の推進をアシストするドライブユニットを含む。人力駆動車用コンポーネント30は、電気モータ32を含む。電気モータ32は、人力駆動車10の推進をアシストするように構成される。一例では、
図4に示されるように、人力駆動車用コンポーネント30は、電気モータ32を駆動させるための駆動回路34をさらに含む。電気モータ32は、ハウジング40に設けられる。駆動回路34は、ハウジング40に収容される。
【0043】
ハウジング40は、第1ハウジング40Aおよび第2ハウジング40Bを含む。第1ハウジング40Aは、クランク軸12Aの軸線Cに平行な方向の一方側が開口した凹状を有する。クランク軸12Aの軸線Cに平行な方向を、以下、クランク軸12Aの軸方向CAと記載する。第2ハウジング40Bは、第1ハウジング40Aの開口部を閉塞する。
図2に示されるように、第2ハウジング40Bは、第1ハウジング40Aと例えば複数のボルト41Aによって固定される。
【0044】
図2に示されるように、好ましくは、取付部50は、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bを含む。取付部50は、第3取付部52C,52Dおよび第4取付部52E,52Fを含む。
図2に示されるとおり、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bは、クランク軸12Aの軸方向CAに間隔をあけて配置される。第3取付部52Cおよび第4取付部52Eは、クランク軸12Aの周方向に間隔をあけて配置される。第3取付部52Dおよび第4取付部52Fは、クランク軸12Aの周方向に間隔をあけて配置される。第3取付部52Cおよび第3取付部52Dは、クランク軸12Aの軸方向CAに間隔をあけて配置され、第4取付部52Eおよび第4取付部52Fは、クランク軸12Aの軸方向CAに間隔をあけて配置される。
図2および
図3に示されるとおり、クランク軸12Aの軸方向CAから見て、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bは、互いに重なる位置に配置される。クランク軸12Aの軸方向CAから見て、第3取付部52Cおよび第3取付部52Dは、互いに重なる位置に配置され、第4取付部52Eおよび第4取付部52Fは、互いに重なる位置に配置される。
【0045】
人力駆動車用コンポーネント30は、ボルト36により、ブラケット28に取り付け可能である。ブラケット28は、上壁28Aおよび一対のフランジ28Bを含む。上壁28Aは、人力駆動車用コンポーネント30を上側から覆う。一対のフランジ28Bは、クランク軸12Aの軸方向CAにおいて第1取付部52A、第2取付部52B、第3取付部52C,52Dおよび第4取付部52E,52Fと隣り合うように上壁28Aから延びる。一対のフランジ28Bのそれぞれは、クランク軸12Aの軸方向CAにおいて、第1取付部52A、第2取付部52B、第3取付部52C,52Dおよび第4取付部52E,52Fと対向する箇所に設けられた貫通孔28Cを含む。ボルト36は、貫通孔28Cに挿入されて取付部50に固定される。
【0046】
図4は、人力駆動車用コンポーネント30の内部構造の一例を示す。
図4に示されるように、人力駆動車用コンポーネント30は、出力部38、ワンウェイクラッチ60、検出軸61、第1軸受62A、第2軸受62B、第5軸受62E、減速機64、ワンウェイクラッチ66およびセンサ68をさらに含む。
【0047】
ハウジング40は、クランク軸12Aの一部、出力部38の一部、電気モータ32の一部、駆動回路34、ワンウェイクラッチ60、第1軸受62A、第2軸受62B、第3軸受62C、第4軸受62D、第5軸受62E、減速機64、ワンウェイクラッチ66およびセンサ68を収容する。
【0048】
ハウジング40の貫通孔42Aは、第1孔42Bおよび第2孔42Cを含む。第1孔42Bは、第2ハウジング40Bに設けられる。第2孔42Cは、第1ハウジング40Aに設けられる。ハウジング40の第1孔42Bには第1軸受62Aが設けられる。第1軸受62Aは、クランク軸12Aの軸方向CAの一方の端部の近傍を回転可能に支持する。出力部38は、クランク軸12Aと同軸を有する。出力部38は、クランク軸12Aの軸方向CAの他方の端部の近傍の外周部を覆う。ハウジング40は、出力部38を支持する。具体的には、ハウジング40の第2孔42Cに設けられる第2軸受62Bが出力部38を回転可能に支持する。出力部38とクランク軸12Aとの間には、第5軸受62Eが設けられる。第5軸受62Eは、出力部38をクランク軸12Aに対して回転可能に支持する。第5軸受62Eは、ニードルベアリングを含む。
【0049】
電気モータ32は、出力部38に人力駆動車10の推進をアシストするためのトルクを付与する。電気モータ32は、ブラシレスモータを含む。
図4に示される駆動回路34は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。駆動回路34は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。一例では、駆動回路34は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。
【0050】
減速機64は、第1回転軸64A、第2回転軸64B、第3軸受62Cおよび第4軸受62Dを含む。第1回転軸64Aは、一対の第3軸受62Cによってハウジング40に対して回転可能に支持される。第2回転軸64Bは、一対の第4軸受62Dによってハウジング40に対して回転可能に支持される。第1回転軸64Aには、第1ギア64Vおよび第2ギア64Wが設けられる。第2回転軸64Bには、第3ギア64Xおよび第4ギア64Yが設けられる。第1ギア64Vは、電気モータ32の出力軸32Aに設けられるギア32Bと噛み合う。第2ギア64Wは、第2回転軸64Bに設けられる第3ギア64Xに噛み合う。第4ギア64Yは、出力部38の外周部に設けられるギア38Aに噛み合う。電気モータ32の回転は、出力軸32Aのギア32Bから第1ギア64Vへの伝達時、第2ギア64Wから第3ギア64Xへの伝達時、および、第4ギア64Yから出力部38のギア38Aへの伝達時の3段階において減速されて出力部38に出力される。本実施形態では、減速機64は、電気モータ32から出力部38までの間で、3段階で減速しているが、1段階、2段階または4段階以上で減速する構成としてもよい。減速機64は、平行軸の歯車以外の減速機構を含んでもよい。例えば、減速機64は、遊星歯車機構、ウォームギア、ヘリカルギア、または、ローラ減速機を含んでもよく、複数の種類の減速機構を組み合わせてもよい。
【0051】
ワンウェイクラッチ66は、電気モータ32の出力軸32Aから出力部38までのモータ駆動力の伝達経路に設けられる。例えば、ワンウェイクラッチ66は、第1回転軸64Aと第1ギア64Vとの間に設けられる。ワンウェイクラッチ66は、第1ギア64Vの一方向の回転を第1回転軸64Aに伝達し、第1ギア64Vの他方向の回転を第1回転軸64Aに伝達しない。ワンウェイクラッチ66は、電気モータ32が人力駆動車10の推進をアシストする場合に、電気モータ32の回転を伝達し、人力駆動力によって電気モータ32の出力軸32Aが回転することを阻止するように構成される。ワンウェイクラッチ66は、例えば、ローラクラッチを含む。第3ギア64Xと第2回転軸64Bとの間、または第4ギア64Yと第2回転軸64Bとの間に、ワンウェイクラッチ66と同様のワンウェイクラッチ66Aが設けられてもよい。この場合、ワンウェイクラッチ66を省略してもよい。
【0052】
検出軸61は、筒状に形成され、クランク軸12Aの外周部に設けられる。検出軸61の軸方向の一端部はクランク軸12Aに、たとえばセレーションによって固定され、他端部はワンウェイクラッチ60に連結される。検出軸61は、ワンウェイクラッチ60の内輪と一体に形成されていてもよい。
ワンウェイクラッチ60は、クランク軸12Aと出力部38との間の人力駆動力の伝達経路に設けられる。ワンウェイクラッチ60は、例えばローラクラッチまたはラチェット式クラッチを含む。ワンウェイクラッチ60は、クランク12が前転した場合に、第1回転体22を前転させ、クランク12が後転した場合に、第1回転体22を後転させないように構成される。ワンウェイクラッチ60は、省略されてもよく、この場合、検出軸61と出力部38とが一体に形成されてもよい。
センサ68は、クランク軸12Aに入力される力に応じた信号を出力する。センサ68は、検出軸61または検出軸61の外周部に配置される。センサ68は、例えば歪みセンサまたは磁歪センサを含む。センサ68は、無線または有線によって駆動回路34に通信可能に接続される。駆動回路34は、センサ68の出力信号に応じて、電気モータ32を制御する。
【0053】
図5および
図6は、第1ハウジング40Aを示す。
図5および
図6に示す第1ハウジング40Aは、底壁44Aおよび側壁44Bを含む。側壁44Bは、底壁44Aの外周縁を取り囲むように設けられる。底壁44Aおよび側壁44Bは、一体に成形される。
図5に示されるように、第1ハウジング40Aは、収容部44C、モータ取付部44D、第1支持部44E、第2支持部44Fおよび複数の第1固定部44Gを含む。
【0054】
収容部44Cは、底壁44Aから凹んで形成される。収容部44Cは、略円筒状の収容空間を形成する。収容部44Cには、第2孔42Cが形成される。
図4に示されるとおり、収容部44Cには、クランク軸12Aの一部、出力部38の一部、ワンウェイクラッチ60および第2軸受62Bが収容される。
【0055】
図5に示されるように、モータ取付部44Dは、底壁44Aに設けられる。モータ取付部44Dは、底壁44Aと一体に成形される。モータ取付部44Dは、ボルト41B(
図4参照)により電気モータ32が取り付けられるための複数の挿入孔44Hと、電気モータ32の出力軸32Aが貫通する貫通孔が形成され、電気モータ32のロータを回転可能に支持するベアリングが取り付けられる支持部44Iとを含む。支持部44Iは、クランク軸12Aの軸方向CAにおいて底壁44Aから側壁44Bとは反対側に延びる。
図4に示されるように、ボルト41Bは、ボルト頭がハウジング40内となるように複数の挿入孔44Hに挿入され、電気モータ32のケース32Cに設けられるねじ孔に連結される。
【0056】
第1支持部44Eは、減速機64の第1回転軸64Aを回転可能に支持する。第1支持部44Eは、底壁44Aに設けられる。第1支持部44Eは、モータ取付部44Dに設けられる。第1支持部44Eは、第3軸受62Cを収容して、支持する。第1支持部44Eは、底壁44Aと一体に成形される。
【0057】
第2支持部44Fは、底壁44Aから凹んで形成される。第2支持部44Fは、第1ハウジング40Aにおいて収容部44Cと隣り合う位置に設けられる。第2支持部44Fは、減速機64の第2回転軸64Bを回転可能に支持する。第2支持部44Fは、第4軸受62Dを収容して、支持する。第2支持部44Fは、底壁44Aと一体に成形される。
【0058】
図5に示されるように、複数の第1固定部44Gはそれぞれ、第1固定部本体と、金属製の第1締結部材46Aとを含む。第1固定部本体は、側壁44Bに設けられる。第1固定部本体は、側壁44Bと一体に成形される。第1締結部材46Aは、第1固定部本体に取り付けられる。一例では、第1締結部材46Aは、第1固定部本体にインサート成形される。第1締結部材46Aは、第1固定部本体に形成される孔に圧入されてもよく、第1固定部本体に形成される孔に挿入して、第1固定部本体に接着されてもよい。第1締結部材46Aは、略円筒形状の外周面を有する。
図7(a)に示されるとおり、第1締結部材46Aの外周面には、好ましくは、ローレット加工によってローレット46Cが形成される。ローレット46Cの一例は、綾目のローレットである。好ましくは、第1締結部材46Aの外周部において、第1締結部材46Aの軸方向の中間部には、ローレットが形成されない溝46Dが形成される。溝46Dは、第1締結部材46Aの軸方向に延びる軸線まわりの全周にわたって形成されていてもよく、断続的に形成されていてもよい。
図7(b)に示されるとおり、第1締結部材46Aには、第1締結部材46Aの軸方向において、第1締結部材46Aの一端部に開口する孔46Eが設けられる。孔46Eを定義する第1締結部材46Aの内周面には、雌ねじ46Fが形成される。好ましくは、第1締結部材46Aの外周部において、開口の付近にも、ローレットが形成されない溝46Dが形成される。ローレット46Cおよび溝46Dを形成することによって、第1締結部材46Aを第1固定部本体にインサート成形した場合に、第1締結部材46Aを第1固定部本体に強固に固定することができる。好ましくは、孔46Eは、第1締結部材46Aの軸方向において、第1締結部材46Aを貫通しない。これによって、第1締結部材46Aを第1固定部本体にインサート成形する場合に、孔46Eに樹脂が入ることを抑制することができる。第1締結部材46Aは、孔46Eが露出するように第1固定部本体に設けられる。好ましくは、第1締結部材46Aの軸方向が、クランク軸12Aの軸方向CAに平行になるように、第1締結部材46Aが第1固定部本体に固定される。
【0059】
図6に示されるように、第1ハウジング40Aは、第1壁部44J、第2壁部44Kおよび第3壁部44Lを含む。第1壁部44J、第2壁部44Kおよび第3壁部44Lは側壁44Bと一体に成形され、クランク軸12Aの軸方向CAに延びる。第1壁部44J、第2壁部44Kおよび第3壁部44Lは、側壁44Bの一部を含み、底壁44Aに対して側壁44Bとは反対側に延びる部分を有する。第1壁部44Jは、モータ取付部44Dの周囲に設けられる。クランク軸12Aの軸心および電気モータ32の出力軸32Aの軸心を通る第1平面に垂直であり、かつ、電気モータ32の出力軸32Aの軸心を通る第2平面に関して、好ましくは、クランク軸12Aが配置される領域とは反対側の領域に第1壁部44Jが設けられる。第2壁部44Kおよび第3壁部44Lは、収容部44Cと一体に形成される。第2壁部44Kおよび第3壁部44Lは、クランク軸12Aまわりの周方向に間隔をあけて設けられる。好ましくは、第2壁部44Kおよび第3壁部44Lは、クランク軸12Aまわりに、90度以上間隔をあけて設けられる。
【0060】
第1ハウジング40Aには、取付部50が設けられる。取付部50は、第1ハウジング40Aと一体に形成される。
図5に示されるとおり、取付部50は、複数の取付部50A,50B,50Cを含む。取付部50Aは、第1壁部44Jに固定される。取付部50Bおよび取付部50Cはそれぞれ、収容部44C、第2壁部44Kおよび第3壁部44Lに固定される。取付部50Bおよび取付部50Cは、クランク軸12Aの軸方向CAにおいて間隔をあけて配置される。
【0061】
取付部50Aは、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bを含む。第1取付部52Aおよび第2取付部52Bはそれぞれ、クランク軸12Aの軸方向CAと直交する平面に沿って、第1壁部44Jから第1ハウジング40Aの外部に向けて突出する。
【0062】
取付部50Bは、第3取付部52Cおよび第4取付部52Eを含む。第3取付部52Cは、クランク軸12Aの軸方向CAと直交する平面に沿って、第2壁部44Kから第1ハウジング40Aの外部に向けて突出する。第4取付部52Eは、クランク軸12Aの軸方向CAと直交する平面に沿って、第3壁部44Lから第1ハウジング40Aの外部に向けて突出する。
【0063】
取付部50Cは、第3取付部52Dおよび第4取付部52Fを含む。第3取付部52Dは、クランク軸12Aの軸方向CAと直交する平面に沿って、第2壁部44Kから第1ハウジング40Aの外部に向けて突出する。第4取付部52Fは、クランク軸12Aの軸方向CAと直交する平面に沿って、第3壁部44Lから第1ハウジング40Aの外部に向けて突出する。
【0064】
取付部50A,50Bは、ハウジング40に固定される固定部54A,54Bを含む。固定部54A,54Bは、ハウジング40と一体に形成されている。好ましくは、固定部54A,54Bは、ハウジング40にインサート成形されている。固定部54A,54Bは、ハウジング40にファスナーおよび接着剤の少なくとも一方によって固定されてもよい。ファスナーは、ボルトを含む。好ましくは、人力駆動車用コンポーネント30は、ナット56をさらに含む。好ましくは、取付部50A,50B,50Cは、ナット56が設けられる孔52Gを含む。好ましくは、人力駆動車用コンポーネント30は、ハウジング40に設けられ、クランク軸12Aを回転可能に支持する軸受部と、取付部50Cに連結され、軸受部を支持する金属製の支持部54Cをさらに含む。クランク軸12Aを回転可能に支持する軸受部は、第2軸受62Bを含む。
【0065】
図8および
図9に示されるように、取付部50Aの固定部54Aは、第1取付部52Aと第2取付部52Bとを連結する。固定部54Aは、板状の金属板によって形成されている。本実施形態では、固定部54Aは、第1壁部44Jにインサート成形されて、第1壁部44Jに埋め込まれている。好ましくは、第1取付部52A、第2取付部52Bおよび固定部54Aは一体に形成される。好ましくは、第1取付部52A、第2取付部52Bおよび固定部54Aは、板金によって形成されている。第1取付部52A、第2取付部52Bおよび固定部54Aは、板金をプレス加工することによって形成されてもよい。この場合、取付部50Aは、固定部54Aに対して第1取付部52Aおよび第2取付部52Bを折り曲げることにより形成することができる。
【0066】
第1取付部52Aおよび第2取付部52Bのそれぞれの孔52Gは、例えば長孔を含む。長孔は、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bの突出する方向にそれぞれ延びている。
図5および
図6に示されるとおり、孔52Gに取り付けられるナット56は、第1部分56Aおよび第2部分56Bを含む。第1部分56Aおよび第2部分56Bはそれぞれ円筒形状を有する。第1部分56Aの外径は、第2部分56Bの外径よりも小さい。長孔の短手方向の幅は、好ましくは、第1部分56Aの外径と略等しい。好ましくは、第1部分56Aは、孔52Gに圧入される。第2部分56Bは、第1部分56Aが孔52Gに挿入された状態で、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bの孔52Gの周縁部分と対向する。ナット56は、第1部分56Aおよび第2部分56Bを貫通する貫通孔56Cを含む。貫通孔56Cを構成する内周面には、雌ねじが形成される。本実施形態では、長孔の長手方向の幅は、第1部分56Aの外径よりも大きくなるように形成され、ナット56が長孔の長手方向に移動可能となっている。好ましくは、長孔の長手方向は、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bがハウジング40から突出する方向に平行である。これによって、ハウジング40に対するナット56の相対位置を調整することができる。第1取付部52Aおよび第2取付部52Bのそれぞれの孔52Gの形状は、任意に変更可能である。一例では、第1取付部52Aの孔52Gおよび第2取付部52Bの孔52Gの少なくとも一方の形状は、孔52Gの延びる方向から見て円形であってもよい。
【0067】
固定部54Aは、複数の貫通孔54Dを含む。複数の貫通孔54Dは、固定部54Aは互いに間隔をあけて設けられる。複数の貫通孔54Dは、固定部54Aを板厚方向に貫通する。複数の貫通孔54Dは、固定部54Aが第1ハウジング40Aにインサート成形される場合に第1ハウジング40Aを形成する樹脂材料により埋められる。複数の貫通孔54Dの数、位置および形状はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、複数の貫通孔54Dの少なくとも1つは、長孔を含んでもよい。
【0068】
取付部50Bの固定部54Bは、第2壁部44K、収容部44Cおよび第3壁部44L(ともに
図5参照)にわたって延びている。好ましくは、固定部54Bは、第2壁部44K、収容部44Cおよび第3壁部44Lにインサート成形され、第2壁部44K、収容部44Cおよび第3壁部44Lに埋め込まれる。
図10に示されるように、好ましくは、第3取付部52C、第4取付部52Eおよび固定部54Bは、一体に形成されている。好ましくは、第3取付部52C、第4取付部52Eおよび固定部54Bは、板金によって形成されている。第3取付部52C、第4取付部52Eおよび固定部54Bは、板金をプレス加工することによって形成されてもよい。
【0069】
第3取付部52Cおよび第4取付部52Eの孔52Gは、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bの孔52Gと同じである。第3取付部52Cの孔52Gおよび第4取付部52Eの孔52Gのそれぞれには、ナット56が取り付けられる。
【0070】
固定部54Bは、複数の貫通孔54Fを含む。複数の貫通孔54Fは、クランク軸12Aの軸方向CAまわりの周方向に間隔をあけて設けられる。複数の貫通孔54Fは、固定部54Bを板厚方向に貫通する。複数の貫通孔54Fは、固定部54Bが第1ハウジング40Aにインサート成形される場合に第1ハウジング40Aを形成する樹脂材料により埋められる。複数の貫通孔54Fの数、形成位置および形状はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、複数の貫通孔54Fの少なくとも1つの形状が平面視において円形を含んでもよい。
【0071】
固定部54Bは、第3取付部52Cと連結される第1連結部54Gと、第4取付部52Eと連結される第2連結部54Hとを含む。好ましくは、第1連結部54Gおよび第2連結部54Hはそれぞれ、固定部54Bの他の部分に対して折り曲げられて形成される。さらに好ましくは、第1連結部54Gおよび第2連結部54Hはそれぞれ、固定部54Bの他の部分に対して90度折り曲げられて形成される。好ましくは、第3取付部52Cは、第1連結部54Gに対して固定部54Bの他の部分とは反対側に折り曲げられて形成される。さらに好ましくは、第3取付部52Cは、第1連結部54Gに対して90度折り曲げられて形成される。好ましくは、第4取付部52Eは、第2連結部54Hに対して固定部54Bの他の部分とは反対側に折り曲げられて形成される。さらに好ましくは、第4取付部52Eは、第2連結部54Hに対して90度折り曲げられて形成される。好ましくは、第1連結部54Gは第2壁部44Kに埋め込まれ、第2連結部54Hは第3壁部44Lに埋め込まれる。取付部50Bから第1連結部54Gおよび第2連結部54Hの少なくとも一方を省略してもよい。第1連結部54Gは、固定部54Bの他の部分に対して折り曲げられなくてもよく、この場合、第3取付部52Cは、第1連結部54Gに対して折り曲げられない。第2連結部54Hは、固定部54Bの他の部分に対して折り曲げられなくてもよく、この場合、第4取付部52Eは、第2連結部54Hに対して折り曲げられない。
【0072】
図11に示されるように、好ましくは、取付部50Cおよび支持部54Cは、一体に形成されている。取付部50Cは、第3取付部52D、第4取付部52Fおよび固定部54Iを含む。支持部54Cは、固定部54Iに設けられる。支持部54Cは、円筒状に形成される。第2軸受62B(
図4参照)は、支持部54Cの内周面に取り付けられる。一例では、固定部54Iは、環状に形成される。好ましくは、第3取付部52D、第4取付部52Fおよび固定部54Iは、一体に形成されている。好ましくは、第3取付部52D、第4取付部52Fおよび固定部54Iは、板金によって形成されている。第3取付部52D、第4取付部52Fおよび固定部54Iは、板金をプレス加工することによって形成することができる。
【0073】
支持部54Cは、固定部54Iと一体に形成される。一例では、支持部54Cは、固定部54Iの内周縁からクランク軸12Aの軸方向CAに沿って延びる円筒状に形成される。支持部54Cおよび固定部54Iは、例えばバーリング加工または絞り加工によって形成される。支持部54Cは、クランク軸12Aと同軸となるように形成される。好ましくは、支持部54Cは、ハウジング40にインサート成形されている。支持部54Cは、例えば収容部44Cにインサート成形され、収容部44Cに埋め込まれる。支持部54Cは、クランク軸12Aの軸方向CAにおいて第2軸受62Bの外輪を支持するように設けられる外輪支持部54Jを含む。外輪支持部54Jは、支持部54Cのうちのクランク軸12Aの軸方向CAの一方側の端部に設けられる。外輪支持部54Jおよび支持部54Cの内周面は、収容部44Cから露出する。
【0074】
固定部54Iは、第3取付部52Dを連結する第1連結部54Kと、第4取付部52Fを連結する第2連結部54Lとを含む。好ましくは、第1連結部54Kおよび第2連結部54Lはそれぞれ、固定部54Iの他の部分に対して折り曲げられて形成される。第3取付部52Dは、第1連結部54Kに対して折り曲げられて形成される。第4取付部52Fは、第2連結部54Lに対して折り曲げられて形成される。
【0075】
第3取付部52Dおよび第4取付部52Fの孔52Gは、第1取付部52Aおよび第2取付部52Bの孔52Gと同じである。第3取付部52Dの孔52Gおよび第4取付部52Fの孔52Gのそれぞれには、ナット56が取り付けられる。
【0076】
図12に示されるように、第2ハウジング40Bは、底壁48Aおよび側壁48Bを含む。側壁48Bは、底壁48Aの外周縁を取り囲むように設けられる。第2ハウジング40Bは、収容部48C、第1支持部48D、第2支持部48E、第3支持部48Fおよび複数の第2固定部48Gを含む。第2ハウジング40Bの側壁48Bは、第1ハウジング40Aの側壁48Bに当接する。第2ハウジング40Bの側壁48Bは省略されてもよい。
【0077】
収容部48Cは、底壁48Aから凹んで形成される。収容部48Cは、略円筒状の収容空間を形成する。収容部48Cには、第1孔42Bが形成される。
図4に示されるとおり、収容部48Cには、第1軸受62Aが収容される。
第1支持部48Dおよび第2支持部48Eは、底壁48Aから凹んで形成される。第1支持部48Dは、減速機64の第1回転軸64Aを回転可能に支持する。第1支持部48Dは、第3軸受62Cを収容して、支持する。第2支持部48Eは、第2ハウジング40Bにおいて第1支持部48Dに隣り合う位置に設けられる。第2支持部48Eは、減速機64の第2回転軸64Bを回転可能に支持する。第2支持部48Eは、第4軸受62Dを収容して、支持する。第3支持部48Fは、底壁48Aから突出して形成される。第3支持部48Fは、第1支持部48Dに対して収容部48Cが形成される側とは反対側に形成される。第3支持部48Fは、駆動回路34が形成される回路基板34A(
図4参照)を支持する。
【0078】
複数の第2固定部48Gはそれぞれ、第2固定部本体と、金属製の第2締結部材46Bとを含む。第2固定部本体は、側壁44Bに設けられる。第2固定部本体は、側壁44Bと一体に成形される。第2締結部材46Bは、第2固定部本体に取り付けられる。一例では、第2締結部材46Bは、第2固定部本体にそれぞれインサート成形される。第2締結部材46Bは、第2固定部本体に形成される孔に圧入されてもよく、第2固定部本体に形成される孔に挿入して、第2固定部本体に接着されてもよい。第2締結部材46Bは、略円筒形状の外周面を有する。第2締結部材46Bは、第1締結部材46Aと同様に外周面にローレット46Cを有する。第2締結部材46Bは、第1締結部材46Aとは異なり、ボルト41Aが貫通するように構成される貫通孔46Gを有する。第2締結部材46Bは省略されてもよく、この場合、複数の第2固定部48Gにはボルト41Aが挿入される挿入孔が形成される。第2締結部材46Bは、第1締結部材46Aと同様に外周面に溝46Dを有していてもよい。
【0079】
第2ハウジング40Bには、金属製の補強部材49が設けられる。補強部材49は、第2ハウジング40Bに一体に形成される。補強部材49は、第2ハウジング40Bにインサート成形されている。補強部材49は、収容部48Cおよびその周辺の部分に取り付けられる。
【0080】
図13に示されるように、補強部材49は、第1平板部49A、第2平板部49Bおよび屈曲部49Cを含む。第1平板部49A、第2平板部49Bおよび屈曲部49Cは、板金によって形成されている。第1平板部49A、第2平板部49Bおよび屈曲部49Cは、板金をプレス加工することにより一体に形成されている。
【0081】
第1平板部49Aは、クランク軸12Aが挿入可能な貫通孔49Dと、貫通孔49Dを構成し、第1平板部49Aからクランク軸12Aの軸方向CAに延びるフランジ部49Eとを含む。貫通孔49Dを構成するフランジ部49Eの内周面は、収容部48Cから露出する。第1平板部49Aには、複数の貫通孔49Fが形成される。複数の貫通孔49Fは、第1平板部49Aを板厚方向に貫通する。複数の貫通孔49Fの平面視における形状は、例えば円形である。複数の貫通孔49Fは、クランク軸12Aまわりの周方向において間隔をあけて形成される。複数の貫通孔49Fは、補強部材49が第2ハウジング40Bにインサート成形される場合に第2ハウジング40Bを形成する樹脂材料により埋められる。
【0082】
第2平板部49Bは、第1平板部49Aの一部を外囲するように設けられる。第2平板部49Bは、側壁48Bに沿って設けられる。第2平板部49Bは、複数の貫通孔49Fを含む。複数の貫通孔49Fは、クランク軸12Aまわりの周方向において間隔をあけて形成される。複数の貫通孔49Fの平面視における形状は、例えば長孔である。複数の貫通孔49Fは、補強部材49が第2ハウジング40Bにインサート成形される場合に第2ハウジング40Bを形成する樹脂材料により埋められる。複数の貫通孔49Fの数、形成位置および形状は任意に変更可能である。クランク軸12Aの軸方向CAにおいて、第1平板部49Aと第2平板部49Bとはオフセットして配置され、屈曲部49Cによって第1平板部49Aおよび第2平板部49Bが接続されている。
【0083】
図14を参照して、人力駆動車用コンポーネント30のブラケット28への取付手順の一例について説明する。
図14では、取付部50のうちの取付部50Aを介して人力駆動車用コンポーネント30をブラケット28に取り付ける手順について説明する。なお、取付部50Bおよび取付部50Cを介して人力駆動車用コンポーネント30をブラケット28に取り付ける手順も同様である。
図14は、説明の便宜上、ブラケット28の形状を簡略化して示している。
【0084】
図14(a)に示されるように、ブラケット28の一方のフランジ28Bに第1取付部52Aを寄せて配置する。
図14(a)では、第1取付部52Aがフランジ28Bに接触した状態になる。そしてボルト36によって一方のフランジ28Bに第1取付部52Aを固定する。
図14(a)に示されるとおり、ブラケット28の他方のフランジ28Bと第2取付部52Bとの間には隙間G1が形成される場合がある。
【0085】
次に、
図14(b)に示されるように、ボルト36によって他方のフランジ28Bに第2取付部52Bを固定する。ボルト36がナット56を締め付けることにより、第2取付部52Bが他方のフランジ28Bに向けて撓み、隙間G1が小さくなる。これにより、人力駆動車用コンポーネント30がブラケット28に対してがたつくことを抑制して、人力駆動車用コンポーネント30をブラケット28に安定して固定することができる。
【0086】
人力駆動車用コンポーネント30のブラケット28への取付構造として、例えば、
図15~
図17に示される構造を採用することができる。
図15~
図17では、第1取付部52Aの構造および第1取付部52Aとブラケット28との取付構造を示す。
図15~
図17に示す構造では、ナット56の一部の構造および第1取付部52Aの一部の構造が異なる。
【0087】
好ましくは、取付部50は、孔52Gの縁に形成される第1フランジ部をさらに含む。好ましくは、第1フランジ部は、バーリング加工によって形成される。一例では、取付部50のうちの第1取付部52Aは、孔52Gの縁に形成される第1フランジ部52Hと、孔52Gを構成する内周面に形成されたローレット52Iと、をさらに含む。第1フランジ部52Hは、バーリング加工によって形成される。なお、図示しないが、第2取付部52B、第3取付部52C,52Dおよび第4取付部52E,52Fも同様に第1フランジ部52Hを含んでもよいし、ローレット52Iを含んでもよい。ローレット52Iは、省略されてもよい。
【0088】
ナット56は、第1部分56Aの外周部に設けられたローレット56Dと、第1部分56Aの外周部から貫通孔56Cに連通するスリット56Eとを含む。スリット56Eは、第1部分56Aの周方向に延びる。ローレット56Dは、クランク軸12Aの軸方向CAに延びる。ナット56の第1部分56Aが第1取付部52Aの孔52Gに取り付けられる場合、第1取付部52Aのローレット52Iと第1部分56Aのローレット56Dとが噛み合うことによりナット56の軸線まわりの回転を抑制できる。
【0089】
ナット56は、スリット56Eに配置される緩み止め部材58を含む。緩み止め部材58は、ナット56よりも硬度が低い材料によって形成される。緩み止め部材58は、例えば樹脂製である。緩み止め部材58は、ナット56のスリット56Eを塞ぐように形成され、例えば円弧状に形成される。緩み止め部材58は、スリット56Eに圧入されてもよく、接着剤によってナット56に接着されてもよい。緩み止め部材58は、変形可能な材料で構成されることが好ましい。ナット56の径方向における緩み止め部材58の厚みは、ナット56の径方向におけるスリット56Eの深さよりも大きくなるように形成される。
【0090】
ナット56の軸線に沿う方向において、第1部分56Aの長さL1は、第1フランジ部52Hを含めた第1取付部52Aの厚さL2よりも長い。クランク軸12Aの軸方向CAにおいてナット56の第1部分56Aの先端面は、ナット56が第1取付部52Aの孔52Gに圧入された状態において、ブラケット28のフランジ28Bに接触するように第1取付部52Aから軸方向CAにおいて突出することができる。緩み止め部材58の外周面は、ローレット52Iに接触する。緩み止め部材58の内周面は、ナット56の貫通孔56Cに形成された雌ねじとナット56の径方向において同じ位置か、雌ねじの内周面から僅かに突出して配置される。
【0091】
図17に示されるように、第1取付部52Aは、ナット56の貫通孔56Cに挿入されるボルト36によってブラケット28に取り付けられる。ボルト36は、クランク軸12Aの軸方向CAにおけるナット56の端面がブラケット28のフランジ28Bに接触した状態、または、軸方向CAにおけるナット56の端面とフランジ28Bとの間に形成された隙間が微小な状態でナット56にねじ込まれる。フランジ28Bは、第1取付部52Aとボルト36のボルト頭36Aとにより挟み込まれる。ボルト36の雄ねじ36Bは、緩み止め部材58の内周面を塑性変形させた状態で緩み止め部材58に食い込んでいる。緩み止め部材58の材料は、ボルト36の雄ねじ36Bが緩み止め部材58に食い込み可能なものであればよく、樹脂製以外にも例えばアルミニウム製であってもよい。緩み止め部材58は、省略されてもよい。
【0092】
図16および
図17に示すように、クランク軸12Aの軸方向CAにおいてナット56の第2部分56Bと第1取付部52Aとの間には、隙間G2が形成される。隙間G2を小さくするように、第1取付部52Aに対するナット56の位置が調整されることによって、ナット56の第1部分56Aが第1取付部52Aからブラケット28のフランジ28Bに向けて突出する。ナット56の第1部分56Aとブラケット28のフランジ28Bとが接触する、または、ナット56の第1部分56Aとブラケット28のフランジ28Bとの間の隙間が第1取付部52Aとフランジ28Bとの間の隙間よりも小さくなることにより、ブラケット28に対する人力駆動車用コンポーネント30のがたつきを抑制して、人力駆動車用コンポーネント30をブラケット28に安定して固定することができる。
【0093】
(第2実施形態)
図18~
図20を参照して、第2実施形態の人力駆動車用コンポーネント30の構成について説明する。本実施形態の人力駆動車用コンポーネント30は、第1実施形態の人力駆動車用コンポーネント30と比較して、取付部の構成が異なる。以降の説明において、第1実施形態の人力駆動車用コンポーネント30と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
図18に示されるように、ハウジング40は、第1ハウジング40A、第2ハウジング40B(
図12参照)および金属製の取付部70を含む。取付部70は、ハウジング40から突出するようにハウジング40に設けられ、人力駆動車10のフレーム16(ともに
図1参照)に取り付けられる。
【0095】
第1ハウジング40Aは、取付部70を含む。取付部70は、可撓性を有する。取付部70は、第1ハウジング40Aに一体化される。
図18に示されるとおり、取付部70は、取付部70A,70Bを含む。取付部70Aは、第1実施形態の取付部70Aと同様の構成である。取付部70Aは、第1実施形態の取付部50Aと同様にハウジング40に一体に設けられる。
【0096】
図18および
図19に示されるように、取付部70Bは、第1取付部72Aおよび第2取付部72Bを含む。第1取付部72Aおよび第2取付部72Bは、クランク軸12Aの軸方向CAに間隔をあけて配置される。取付部70は、第5取付部72Cおよび第6取付部72Dを含む。第1取付部72Aおよび第2取付部72Bと、第5取付部72Cとは、クランク軸12Aまわりの周方向に間隔をあけて配置される。第5取付部72Cおよび第6取付部72Dは、クランク軸12Aの軸方向CAに間隔をあけて配置される。
【0097】
第1取付部72Aおよび第2取付部72Bはそれぞれ、クランク軸12Aの軸方向CAと直交する平面に沿って、第2壁部44Kから第1ハウジング40Aの外部に向けて突出する。第5取付部72Cおよび第6取付部72Dは、クランク軸12Aの軸方向CAと直交する平面に沿って、第3壁部44Lから第1ハウジング40Aの外部に向けて突出する。
【0098】
取付部70Bは、ナット56が設けられる孔72Eを含む。孔72Eは、第1取付部72A、第2取付部72B、第5取付部72Cおよび第6取付部72Dのそれぞれに形成される。第1取付部72Aの孔72E、第2取付部72Bの孔72E、第5取付部72Cの孔72Eおよび第6取付部72Dの孔72Eは同じ形状である。各孔72Eには、ナット56が取り付けられる。孔72Eおよびナット56は、
図15~
図17に示す構造に変更することもできる。
【0099】
好ましくは、取付部70Bは、ハウジング40に固定される固定部74A,74B,74Iを含む。好ましくは、固定部74A,74B,74Iは、ハウジング40に一体に形成されている。好ましくは、固定部74A,74B,74Iは、ハウジング40にインサート成形されている。
【0100】
固定部74Aは、第1取付部72Aと第2取付部72Bとを連結する。好ましくは、固定部74Aは、第2壁部44Kにインサート成形されて、第2壁部44Kに埋め込まれる。好ましくは、第1取付部72A、第2取付部72Bおよび固定部74Aは一体に形成されている。好ましくは、第1取付部72A、第2取付部72Bおよび固定部74Aは、板金によって形成されている。第1取付部72A、第2取付部72Bおよび固定部74Aは、板金をプレス加工することによって形成されてもよい。この場合、取付部70Aは、固定部74Aに対して第1取付部72Aおよび第2取付部72Bを折り曲げることにより形成することができる。固定部74Aは、貫通孔74Cを含む。貫通孔74Cは、例えば固定部74Aの正面視において矩形状に形成される。貫通孔74Cは、固定部74Aが第1ハウジング40Aにインサート成形される場合に第1ハウジング40Aを形成する樹脂材料により埋められる。
【0101】
固定部74Bは、第5取付部72Cと第6取付部72Dとを連結する。好ましくは、固定部74Bは、第3壁部44Lにインサート成形されて、第3壁部44Lに埋め込まれる。好ましくは、第5取付部72C、第6取付部72Dおよび固定部74Bは一体に形成されている。好ましくは、第5取付部72C、第6取付部72Dおよび固定部74Bは、板金によって形成されている。第5取付部72C、第6取付部72Dおよび固定部74Bは、板金をプレス加工することによって形成されてもよい。この場合、取付部70Aは、固定部74Bに対して第5取付部72Cおよび第6取付部72Dを折り曲げることにより形成することができる。固定部74Bは、貫通孔74Dを含む。貫通孔74Dは、例えば固定部74Bの正面視において矩形状に形成される。貫通孔74Dは、固定部74Bが第1ハウジング40Aにインサート成形される場合に第1ハウジング40Aを形成する樹脂材料により埋められる。
【0102】
人力駆動車用コンポーネント30は、取付部70Bに連結され、クランク軸12Aを回転可能に支持する軸受部を支持する金属製の支持部74Eをさらに含む。取付部70Bおよび支持部74Eは一体に形成されている。クランク軸12Aを回転可能に支持する軸受部は、第2軸受62Bを含む。
【0103】
取付部70Bおよび支持部74Eは、固定部74Iによって連結される。
図19に示されるように、好ましくは、取付部70Bおよび支持部74Eは、一体に形成されている。支持部74Eは、固定部74Iに設けられる。支持部74Eは、円筒状に形成される。第2軸受62B(
図4参照)は、支持部74Eの内周面にとりつけられる。一例では、固定部74Iは、環状に形成される。好ましくは、第2取付部72B、第6取付部72Dおよび固定部74Iは、一体に形成されている。好ましくは、第2取付部72B、第6取付部72Dおよび固定部74Iは、板金によって形成されている。第2取付部72B、第6取付部72Dおよび固定部74Iは、板金をプレス加工することによって形成することができる。固定部74Iは、第2取付部72Bに連結される第1連結部78Aと、第6取付部72Dに連結される第2連結部78Bと、を含む。
【0104】
支持部74Eは、固定部74Iと一体に形成される。一例では、支持部74Eは、固定部74Iの内周縁からクランク軸12Aの軸方向CAに沿って延びる円筒状に形成される。支持部74Eおよび固定部74Iは、例えばバーリング加工または絞り加工によって形成される。支持部74Eは、クランク軸12Aと同軸となるように形成される。好ましくは、支持部74Eは、ハウジング40にインサート成形されている。支持部74Eは、例えば収容部44Cにインサート成形され、収容部44Cに埋め込まれる。支持部74Eは、クランク軸12Aの軸方向CAにおいて第2軸受62Bの外輪を支持するように設けられる外輪支持部74Jを含む。外輪支持部74Jは、支持部74Eのうちのクランク軸12Aの軸方向CAの一方側の端部に設けられる。外輪支持部74Jおよび支持部74Eの内周面は、収容部44Cから露出する。
【0105】
支持部74Eの形状と、第1実施形態の支持部54Cの形状とは等しい。固定部74Iの形状と、第1実施形態の固定部54Iの形状とは等しい。外輪支持部74Jの形状は、第1実施形態の第1実施形態の外輪支持部54Jの形状と等しい。
【0106】
図19に示されるとおり、好ましくは、第1取付部72A、第2取付部72B、第5取付部72Cおよび固定部74Aは、一体に形成されている。好ましくは、第1取付部72A、第2取付部72B、第5取付部72Cおよび固定部74Aは、板金によって形成されている。好ましくは、第1取付部72A、第2取付部72B、第5取付部72C、第6取付部72D、および固定部74A,74Bは、一体に形成されている。好ましくは、第1取付部72A、第2取付部72B、第5取付部72C、第6取付部72D、および固定部74A,74Bは、板金によって形成されている。
図19では、第1取付部72A、第2取付部72B、第5取付部72C、第6取付部72Dおよび固定部74A,74B,74Iは、一体に形成されている。第1取付部72A、第2取付部72B、第5取付部72C、第6取付部72Dおよび固定部74A,74B,74Iは、板金によって形成されている。
【0107】
図20は、取付部70Bの展開図を示す。
図20に示されるとおり、第2取付部72Bは、固定部74Aの貫通孔74C内に設けられる。
図20では第2取付部72Bによって貫通孔74Cの一部が埋められている。第2取付部72Bから固定部74Aが折り曲げられることにより矩形状の貫通孔74Cが形成される。第6取付部72Dは、固定部74Bの貫通孔74D内に設けられる。
図20では第6取付部72Dによって貫通孔74Dの一部が埋められている。第6取付部72Dから固定部74Bが折り曲げられることにより矩形状の貫通孔74Dが形成される。
【0108】
(第3実施形態)
図21~
図26を参照して、第3実施形態の人力駆動車用コンポーネント30の構成について説明する。本実施形態の人力駆動車用コンポーネント30は、第1実施形態の人力駆動車用コンポーネント30と比較して、電気モータ32のハウジング40への取付構成が異なる。以降の説明において、第1実施形態の人力駆動車用コンポーネント30と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
図21に示されるように、電気モータ32は、ハウジング40に設けられる。電気モータ32は、ステータ32Dを有する。電気モータ32は、出力軸32Aと一体に回転するロータ32Eと、出力軸32Aを回転可能に支持する第1軸受32Fおよび第2軸受32Gと、第2軸受32Gを支持する支持部材32Hとをさらに有する。ステータ32Dは、ステータコアと、ステータコアに巻き掛けられるコイルとを含む。
【0110】
ステータ32Dは、ハウジング40にインサート成形される。
図21では、ステータ32Dは、第1ハウジング40Aにインサート成形される。第1ハウジング40Aのモータ取付部44Dは、ステータ32Dの全体を覆うモールド部44Mと、第1軸受32Fを支持する支持部44Nとを含む。モールド部44Mは、ロータ32Eを収容する収容部44Qを含む。収容部44Qは、ステータ32Dの内径と概ね同じ内径を有する貫通孔を含む。クランク軸12Aの軸方向CAにおいて収容部44Qにおける支持部44Nとは反対側には、雌ねじ44Pが形成される。
【0111】
支持部材32Hは、底部32Iおよび円筒部32Jを含むカップ状に形成される。円筒部32Jの外周部には、雄ねじ32Kが形成される。支持部材32Hは、雄ねじ32Kが雌ねじ44Pにねじ込まれることにより、モールド部44Mに取り付けられる。
【0112】
第1軸受32Fおよび第2軸受32Gの一例は、転がり軸受である。第1軸受32Fは、外輪が支持部44Nに取り付けられ、内輪が出力軸32Aに取り付けられることにより出力軸32Aを回転可能に支持する。第2軸受32Gは、外輪が支持部材32Hに取り付けられ、内輪が出力軸32Aに取り付けられることにより出力軸32Aを回転可能に支持する。
【0113】
人力駆動車用コンポーネント30は、金属製の補強部材31をさらに含んでもよい。一例では、
図22に示されるとおり、好ましくは、補強部材31は、ハウジング40内に設けられる。好ましくは、補強部材31は、電気モータ32に接触する。好ましくは、補強部材31は、取付部50Aと一体に形成される。
【0114】
補強部材31は、第1軸受32Fを支持する支持部31Aと、ステータ32Dに接触する接触部31Bとを有する。支持部31Aは、第1ハウジング40Aの支持部44Nに設けられる。支持部31Aは、出力軸32Aの軸方向において第1軸受32Fの外輪を支持する。接触部31Bは、例えば略円筒状に形成される。接触部31Bは、ステータ32Dの外周面と接触する。
【0115】
補強部材31と取付部50Aとは個別に形成されてもよい。この場合、補強部材31と取付部50Aとが連結されてもよいし、補強部材31と取付部50Aとが互いに離間して配置されてもよい。補強部材31は、板金によって形成されてもよい。
【0116】
補強部材31の形状は任意に変更可能である。一例では、補強部材31の接触部31Bは、出力軸32Aの軸方向においてステータ32Dの全体を外囲するように設けられてもよい。出力軸32Aまわりの周方向において接触部31Bの一部が切り欠かれた形状であってもよい。補強部材31は、支持部31Aおよび接触部31Bの少なくとも一方を省略した平板形状であってもよい。
【0117】
図23~
図26は、ロータ32Eの構成の一例を示す。
図23~
図26に示されるとおり、ロータ32Eは、磁石埋め込み型のロータ構造であり、ロータコア80および永久磁石86を有する。ロータコア80は、出力軸32Aに固定される(
図21および
図22参照)。
【0118】
図23に示されるように、ロータコア80は、軟磁性材料からなる。ロータコア80は、第1ラミネーション82Aおよび第2ラミネーション82Bの2種類のラミネーションを含む。第1ラミネーション82Aは、出力軸32Aの軸方向においてロータコア80の両端を構成する。第2ラミネーション82Bは、両端の第1ラミネーション82Aに挟まれるロータコア80の中間部を構成する。ロータコア80は、出力軸32Aの軸方向において第1ラミネーション82Aおよび第2ラミネーション82Bが積層されることによって構成される。第1ラミネーション82Aおよび第2ラミネーション82Bは、例えばプレス加工により形成される。
図23では、説明の便宜上、第2ラミネーション82Bの数を少なくして示している。
【0119】
図24に示されるように、第1ラミネーション82Aは、出力軸32Aが挿入される第1孔84Aと、永久磁石86が挿入される複数の第2孔84Bとを含む。第2孔84Bは、出力軸32Aまわりの周方向において離間して配置される。一例では、周方向において複数の第2孔84Bのピッチは等しい。第2孔84Bは、第1ラミネーション82Aの平面視において、径方向が長手となる略矩形状に形成される。
【0120】
第1ラミネーション82Aは、径方向における永久磁石86の位置を決めるための複数の突起84Cを含む。突起84Cは、第2孔84Bの外周縁に設けられる第1突起84Dと、第2孔84Bの内周部に設けられる第2突起84Eとを含む。1つの第2孔84Bに設けられた2つの第1突起84Dによって第2孔84Bの外周縁の周方向の幅が狭くなる。1つの第2孔84Bに設けられた2つの第2突起84Eによって第2孔84Bの内周部の周方向の幅が狭くなる。複数の突起84Cによって永久磁石86の径方向の移動が規制される。なお、突起84Cから第2突起84Eを省略してもよい。
【0121】
図25に示されるように、第2ラミネーション82Bは、第1ラミネーション82Aと比較して、第1ラミネーション82Aに、出力軸32Aまわりの周方向に隣り合う2つの第2孔に繋がる第3孔84Fが追加されている点が異なる。第3孔84Fに繋がっている第2孔84Bでは、第2突起84Eの一方が省略される。第1ラミネーション82Aは、中央部に繋がる第1ティース部と、中央部から離間している第2ティース部とを含む。第1ラミネーション82Aは、隣接する第1ラミネーション82Aに対して、回転軸心まわりに所定角度だけ回転させた状態で、積層される。本実施形態では、第1ティース部と、第2ティース部が積層方向に交互に重なるように第1ラミネーション82Aが積層される。
【0122】
図26に示されるように、永久磁石86は、平板状に形成される。永久磁石86は、第2孔84Bに挿入される。永久磁石86は、例えば接着剤により第2孔84Bを構成するロータコア80の内面に固定される。
図26に示されるとおり、永久磁石86は、出力軸32Aまわりの周方向においてN極およびS極が隣り合うように着磁される。周方向に隣り合う永久磁石86の磁極は逆向きとなる。すなわち、周方向に対向する永久磁石86の磁極が同じとなる。
【0123】
(第4実施形態)
図27~
図30を参照して、第4実施形態の人力駆動車用コンポーネント30の構成について説明する。本実施形態の人力駆動車用コンポーネント30は、第1実施形態の人力駆動車用コンポーネント30と比較して、電気モータ32の構成の一部が異なる。以降の説明において、第1実施形態の人力駆動車用コンポーネント30と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0124】
図27に示されるように、電気モータ32は、ステータ32Dの複数のU相コイル、複数のV相コイルおよび複数のW相コイルをそれぞれ結線するためのバスバーユニット90と、ハウジング40に電気モータ32を取り付けるためのブラケット92とを有する。
【0125】
バスバーユニット90は、円環状の支持部90Aを含む。支持部90Aは、出力軸32Aの軸方向においてステータ32Dを覆うようにステータ32Dに取り付けられる。支持部90Aは、第1端子台90B、第2端子台90Cおよび第3端子台90Dを含む。第1端子台90B、第2端子台90Cおよび第3端子台90Dは、出力軸32Aまわりの周方向に互いに離間して設けられる。第1端子台90Bには、第1端子90Uが取り付けられる。第2端子台90Cには、第2端子90Vが取り付けられる。第3端子台90Dには、第3端子90Wが取り付けられる。第1端子90Uには、複数のU相コイルが電気的に接続される。第2端子90Vには、複数のV相コイルが電気的に接続される。第3端子90Wには、複数のW相コイルが電気的に接続される。
【0126】
ブラケット92は、出力軸32Aの軸方向においてバスバーユニット90を覆うようにケース32Cに取り付けられる。ブラケット92は、ケース32Cの開口を覆う。バスバーユニット90は、出力軸32Aの軸方向においてステータ32Dとブラケット92との間に配置される。ブラケット92は、第1孔92A、複数の第2孔92B、および、第3孔92Cを含む。一例として、
図27では、ブラケット92は、外周部分に設けられた複数の取付部92Dを含む。複数の取付部92Dは、出力軸32Aまわりの周方向において互いに離間して設けられる。
【0127】
第1孔92Aは、出力軸32Aが挿入される貫通孔である。第1孔92Aは、ブラケット92の中央部に設けられる。複数の第2孔92Bは、バスバーユニット90の第1端子台90B、第2端子台90Cおよび第3端子台90Dが挿入される。第3孔92Cは、ストッパ部材98が取り付けられる。
【0128】
図28に示されるように、ブラケット92は、支持部92Eを有する。支持部92Eは、第1孔92Aの周縁に円筒状に形成される。支持部92Eには、第1軸受32F(
図21参照)が取り付けられる。
【0129】
支持部92Eの外周部には、径方向に突出する複数の突出部92Fと、複数のリブ92Gとが設けられる。複数の突出部92Fは、出力軸32Aまわりの周方向において互いに離間して設けられる。複数のリブ92Gは、出力軸32Aまわりの周方向において互いに離間して設けられる。リブ92Gは、周方向に隣り合う突出部92Fの間に設けられる。リブ92Gが設けられることにより、電気モータ32の振動が抑制される。
【0130】
支持部92Eの端面には、回路基板94が取り付けられる。回路基板94は、平面視において円弧状に形成される。回路基板94は、周方向に隣り合う2つの突出部92Fにわたり設けられる。回路基板94は、ねじ94Aによって支持部92Eの突出部92Fに取り付けられる。ねじ94Aは、非磁性材料からなる。非磁性材料の一例は、アルミニウム合金である。回路基板94は、リブ92Gによって支持される。なお、回路基板94と支持部92Eとの取付構造は任意に変更可能である。一例では、回路基板94は、接着剤、両面テープおよび熱かしめのいずれかによって支持部92Eに取り付けられてもよい。
【0131】
回路基板94のうちの支持部92E側の面および支持部92Eとは反対側の面にはそれぞれ、電子部品が実装されている。一例では、回路基板94のうちの支持部92Eとは反対側の面には、電気モータ32のロータ32Eの回転位置を検出する位置検出素子94Bが実装される。位置検出素子94Bの一例は、3つのホール素子を含む。回路基板94のうちの支持部92E側の面には、コネクタ94Cが実装される。
【0132】
図30に示されるように、コネクタ94Cには、ハーネス96が電気的に接続される。ハーネス96は、ストッパ部材98を介してブラケット92の外部に引き出される。ストッパ部材98は、ハーネス96を固定する。ハーネス96は、ハウジング40内に設けられた回路基板34A(
図4参照)に電気的に接続される。
【0133】
図29に示されるように、ストッパ部材98は、一部材からなる。ストッパ部材98は、カバー部98Aおよび固定部98Bを有する。カバー部98Aは、ブラケット92の第3孔92Cの周縁を覆う。固定部98Bは、第3孔92Cに挿入される。
【0134】
カバー部98Aは、平面視において長方形に形成される。カバー部98Aは、第1貫通孔98C、一対の第2貫通孔98Dおよびヒンジ部98Eを含む。第1貫通孔98Cは、カバー部98Aの長手方向に沿う長孔である。第1貫通孔98Cは、平面視においてカバー部98Aの中央部に設けられる。第2貫通孔98Dは、平面視でカバー部98Aの長手方向と直交する方向において、第1貫通孔98Cの両側に設けられる。ヒンジ部98Eは、側面視でカバー部98Aの中央部の厚さが薄くなるように設けられる。
【0135】
固定部98Bは、第1固定部98Fおよび第2固定部98Gを含む。第1固定部98Fおよび第2固定部98Gは、平面視でカバー部98Aの長手方向と直交する方向において互いに離間して設けられる。第1固定部98Fと第2固定部98Gとの間には、ハーネス96を挿入するための挿入孔98Hが形成される。
【0136】
第1固定部98Fは、第1突起98I、第1突出部98Jおよび第1係合部98Kを含む。第1突起98Iは、挿入孔98H側に突出する。出力軸32Aの軸方向において、第1突起98Iは、側面視における第1固定部98Fの中間部に設けられる。第1突出部98Jは、平面視における第1固定部98Fの長手方向の両端部に設けられる。第1突出部98Jは、平面視における第1固定部98Fの長手方向の両側に設けられる。第1突出部98Jは、挿入孔98H側に突出する。第1係合部98Kは、平面視における第1固定部98Fの長手方向の中間部に設けられる。第1係合部98Kは、ブラケット92の第3孔92Cに挿入された状態で第3孔92Cの周縁と係合する。
【0137】
第2固定部98Gは、第2突起98L、第2突出部98Mおよび第2係合部98Nを含む。第2突起98L、第2突出部98Mおよび第2係合部98Nは、第1固定部98Fの第1突起98I、第1突出部98Jおよび第1係合部98Kと同じ形状である。第2突起98Lは、側面視において第1突起98Iとは異なる位置に設けられる。第2突出部98Mは、側面視において第1突出部98Jと同じ位置に設けられる。
【0138】
コネクタ94Cに接続されたハーネス96をストッパ部材98に挿入する場合、まず第1突出部98Jと第2突出部98Mとの間の隙間が大きくなるようにヒンジ部98Eを中心にカバー部98Aが折り曲げられる。この状態において、ハーネス96がストッパ部材98の挿入孔98Hに挿入される。ハーネス96がストッパ部材98に挿入された後、ストッパ部材98がブラケット92の第3孔92Cに取り付けられる。
【0139】
挿入孔98Hが小さくなるように第1固定部98Fおよび第2固定部98Gに力が加えられた場合、第1突出部98Jおよび第2突出部98Mが接触することにより、第1固定部98Fおよび第2固定部98Gの移動が規制される。これにより、ストッパ部材98がブラケット92から外れることが抑制される。
【0140】
(変形例)
各実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用コンポーネントが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用コンポーネントは、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0141】
・第2実施形態の人力駆動車用コンポーネント30において、第3および第4実施形態の人力駆動車用コンポーネント30の少なくとも一方の構成を組み合せてもよい。
・第1、第3および第4実施形態において、取付部50A,50B,50Cの少なくとも1つが第2ハウジング40Bに一体に形成されてもよい。第1、第3および第4実施形態において、取付部50A,50B,50Cの少なくとも1つが第2ハウジング40Bにインサート成形されてもよい。
【0142】
・第1、第3および第4実施形態において、取付部50Aおよび取付部50B,50Cの一方が樹脂製であり、ハウジング40と一体に形成されてもよい。
・第1および第3実施形態において、取付部50Aの第1取付部52Aおよび第2取付部52Bの少なくとも一方が固定部54Aとは別に設けられてもよい。取付部50Bの第3取付部52Cおよび第4取付部52Eの少なくとも一方が固定部54Bとは別に設けられてもよい。取付部50Cの第3取付部52Dおよび第4取付部52Fの少なくとも一方が固定部54Iとは別に設けられてもよい。
【0143】
・第1、第3および第4実施形態において、取付部50Bおよび取付部50Cの少なくとも一方が取付部50Aと一体に形成されてもよい。
・第2実施形態において、取付部70Aおよび取付部70Bの少なくとも一方と固定部74Iとが個別に設けられてもよい。
【0144】
・第2実施形態において、取付部50Aおよび取付部70の少なくとも一方が第2ハウジング40Bに一体に形成されてもよい。取付部70が第2ハウジング40Bに一体に形成される場合、取付部70と固定部74Iとは個別に設けられる。
【0145】
・第4実施形態において、取付部50A,50B,50Cのうちの少なくとも1つが樹脂製であり、ハウジング40と一体に形成されてもよい。
・各実施形態において、取付部50,70の第1取付部52A,72A、第2取付部52B,72B、第3取付部52C,52D、第4取付部52E,52F、第5取付部72Cおよび第6取付部72Dの形状は任意に変更可能である。例えば、取付部50,70は、ねじ孔をさらに含む。取付部50,70は、ねじ孔の縁に設けられる第2フランジ部をさらに含む。第2フランジ部は、バーリング加工によって形成される。取付部50,70の形状の一例として、第1取付部52Aの形状について
図31を用いて説明する。
図31(a)に示されるように、第1取付部52Aは、ねじ孔52Jを含む。第1取付部52Aは、ねじ孔52Jの縁に設けられる第2フランジ部52Kをさらに含む。第2フランジ部52Kは、バーリング加工によって形成される。
図31(b)に示されるように、第2フランジ部52Kは、第1取付部52Aに対してブラケット28が配置される側とは反対側に設けられる。ブラケット28は、第1取付部52Aとボルト36のボルト頭36Aに挟み込まれる。ボルト36の雄ねじ36Bは、ねじ孔52Jにねじ込まれることにより、ブラケット28に第1取付部52Aが固定される。
【0146】
・各実施形態の人力駆動車両用コンポーネント30はドライブユニットに適用されているが、人力駆動車両用コンポーネント30を、例えば国際特許公開公報WO2008/89932および米国特許公開公報US2016-257373などに開示されるような変速機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0147】
10…人力駆動車、12A…クランク軸、16…フレーム、30…人力駆動車用コンポーネント、31…補強部材、32…電気モータ、32D…ステータ、40…ハウジング、42A…貫通孔、49…補強部材、50,50A,50B,50C…取付部、52A…第1取付部、52B…第2取付部、52C,52D…第3取付部、52E,52F…第4取付部、52G…孔、52H…第1フランジ部、52J…ねじ孔、52K…第2フランジ部、54,54A,54B…固定部、54C…支持部、56…ナット、70,70A,70B…取付部、72A…第1取付部、72B…第2取付部、72C…第5取付部、72D…第6取付部、72E…孔、74A,74B,74I…固定部、74E…支持部。