IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピジョン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-飲料容器 図1
  • 特許-飲料容器 図2
  • 特許-飲料容器 図3
  • 特許-飲料容器 図4
  • 特許-飲料容器 図5
  • 特許-飲料容器 図6
  • 特許-飲料容器 図7
  • 特許-飲料容器 図8
  • 特許-飲料容器 図9
  • 特許-飲料容器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20240116BHJP
   A61J 11/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B65D47/06 400
A61J11/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019083798
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020179885
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】新井 啓介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 恵
(72)【発明者】
【氏名】生井 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】大原 将友
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-158120(JP,A)
【文献】米国特許第2372281(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
A61J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器開口部を有し飲料を収容する容器本体と、
前記飲料が通過可能なアダプター開口部を有し、前記容器開口部に対向して前記容器本体に装着されるアダプターと、
前記アダプターに取り付けられ前記アダプター開口部を覆い、吸い口部、及び、通気部を有する飲み口と、
前記飲み口を前記アダプターに装着するためのキャップと、
を備え、
前記アダプターは、前記アダプター開口部を形成し前記容器本体の内部の前記飲料を前記吸い口部へ導くガイド部を有し、
前記ガイド部のうち前記容器本体から前記飲み口に向かって流れる前記飲料に接触する内面は、前記容器本体の側から前記飲み口の側へ向かうにつれて前記アダプター開口部の中心部へ向かって傾斜すると共に、
前記ガイド部は、前記内面と、前記内面の反対側に形成された外面と、を貫通し前記飲料を通過させる飲料通過部を有し、
前記飲み口は、前記キャップが前記アダプターに装着されることで、前記キャップと前記アダプターの間に挟設されて前記アダプターへの装着状態となり、その装着状態において、前記通気部が前記ガイド部の前記飲料通過部に配置されることを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
前記アダプターの内周部には、前記容器開口部のねじと嵌まり合うねじが形成されると共に、前記アダプターの外周部には、前記キャップのねじと嵌まり合うねじが形成され、前記アダプターの内側には段差部が形成され、
前記ガイド部は、前記段差部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記飲料通過部は、前記ガイド部の上端部から下端部まで延びたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記飲料通過部は、前記アダプターに対する前記飲み口の位置を決める位置決めスリットを含み、
前記飲み口は、前記位置決めスリットに嵌まる突起部を有し、
前記突起部と前記ガイド部の下端部との間に隙間が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の飲料容器。
【請求項5】
前記アダプターは、前記ガイド部の周囲に設けられ前記ガイド部の下端部から前記飲み口に向かって伸びる外周部をさらに有し、
前記外面と前記外周部の内面との交差部は、前記飲料通過部に向かって下方に傾斜したことを特徴とする請求項~4のいずれか1項に記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲み口を備える飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上部に開口部を備える容器本体と、容器本体の開口部を開閉するために容器本体の開口部を覆うように容器本体に装着されるアダプターと、を有する飲料容器が開示されている。アダプターは、アダプター本体と、アダプター本体に設けられるスパウト部と、を有している。
【0003】
特許文献1に記載されたアダプター本体は、扁平な円形の蓋状もしくはキャップ状に形成されている。アダプター本体の上面(天面)は、水平に形成されている。アダプター本体の下面(内面)は、アダプター本体の上面と同様に水平に形成されている。
【0004】
ここで、乳幼児等の使用者がアダプター本体の外周に設けられた取っ手を把持し、飲料容器を傾けてスパウト等の飲み口を通して容器本体の内部に収容された飲料を飲むと、容器本体の内部に収容された飲料がアダプター本体の下面(内面)やアダプター本体の内側の段差部などに引っ掛かり残ることがある。そうすると、飲料の飲み残しが生ずることがある。そのため、特許文献1に記載された飲料容器については、飲料の飲み残しを抑えるという点において改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-230731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、飲料の飲み残しを抑えることができる飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、本発明によれば、容器開口部を有し飲料を収容する容器本体と、前記飲料が通過可能なアダプター開口部を有し、前記容器開口部に対向して前記容器本体に装着されるアダプターと、前記アダプターに取り付けられ前記アダプター開口部を覆い、吸い口部、及び、通気部を有する飲み口と、前記飲み口を前記アダプターに装着するためのキャップと、を備え、前記アダプターは、前記アダプター開口部を形成し前記容器本体の内部の前記飲料を前記吸い口部へ導くガイド部を有し、前記ガイド部のうち前記容器本体から前記飲み口に向かって流れる前記飲料に接触する内面は、前記容器本体の側から前記飲み口の側へ向かうにつれて前記アダプター開口部の中心部へ向かって傾斜すると共に、前記ガイド部は、前記内面と、前記内面の反対側に形成された外面と、を貫通し前記飲料を通過させる飲料通過部を有し、前記飲み口は、前記キャップが前記アダプターに装着されることで、前記キャップと前記アダプターの間に挟設されて前記アダプターへの装着状態となり、その装着状態において、前記通気部が前記ガイド部の前記飲料通過部に配置されることを特徴とする飲料容器により解決される。
【0008】
本発明に係る飲料容器によれば、ガイド部は、アダプター開口部を通して容器本体の内部に収容された飲料を飲み口の吸い口部へ導く。このとき、ガイド部のうち容器本体から飲み口に向かって流れる飲料に接触する内面は、容器本体の側から飲み口の側へ向かうにつれてアダプター開口部の中心部へ向かって傾斜している。そのため、容器本体の内部に収容された飲料は、アダプターの内面やアダプターの内側の段差部などに引っ掛かることなく、ガイド部の内面の傾斜に沿って円滑に流れ、飲み口の吸い口部へ導かれる。これにより、容器本体の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
また、前記構成によれば、本発明に係る飲料容器によれば、例えば乳幼児等の使用者が飲料容器を傾けて容器本体の内部に収容された飲料を飲んだり、飲料容器が傾いたりした際に、容器本体の内部に収容された飲料がガイド部の外面に一時的に溜まった場合であっても、ガイド部の外面に一時的に溜まった飲料は、飲料通過部を通過して容器本体の内部に戻る。これにより、飲料がガイド部の外面に溜まったままになることを抑え、容器本体の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
【0009】
本発明に係る飲料容器において、好ましくは、前記アダプターの内周部には、前記容器開口部のねじと嵌まり合うねじが形成されると共に、前記アダプターの外周部には、前記キャップのねじと嵌まり合うねじが形成され、前記アダプターの内側には段差部が形成され、前記ガイド部は、前記段差部の内側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る飲料容器において、好ましくは、前記飲料通過部は、前記ガイド部の上端部から下端部まで延びたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る飲料容器によれば、飲料通過部がガイド部の上端部から下端部まで延びているため、容器本体の内部に収容された飲料がガイド部の外面に一時的に溜まった場合であっても、ガイド部の外面に一時的に溜まった飲料は、飲料通過部を通過して容器本体の内部に戻りやすい。これにより、飲料がガイド部の外面に溜まったままになることを抑え、容器本体の内部に収容された飲料の飲み残しをより一層抑えることができる。
【0013】
本発明に係る飲料容器において、好ましくは、前記飲料通過部は、前記アダプターに対する前記飲み口の位置を決める位置決めスリットを含み、前記飲み口は、前記位置決めスリットに嵌まる突起部を有し、前記突起部と前記ガイド部の下端部との間に隙間が形成されたことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る飲料容器によれば、アダプターに対する飲み口の位置を決めることができるとともに、容器本体の内部に収容された飲料がガイド部の外面に一時的に溜まった場合であっても、ガイド部の外面に一時的に溜まった飲料を、アダプターに対する飲み口の位置を決める位置決めスリットを利用して容器本体の内部に戻すことができる。そのため、ガイド部の外面に一時的に溜まった飲料を容器本体の内部に戻すためだけの特別な孔やスリットを設ける必要がなく、ガイド部の外面に一時的に溜まった飲料を、位置決めスリットを利用して容器本体の内部に戻すことができる。これにより、飲料容器の構造を簡易化させつつ、容器本体の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
【0015】
また、飲み口は、位置決めスリットに嵌まる突起部を有する。そのため、飲み口の突起部がガイド部の位置決めスリットに嵌まった状態において、飲み口は、アダプターに対して位置決めされる。ここで、飲み口の突起部と、ガイド部の下端部と、の間には、隙間が形成されている。そのため、飲み口の突起部がガイド部の位置決めスリットに嵌まり、飲み口がアダプターに対して位置決めされた状態であっても、ガイド部の外面に一時的に溜まった飲料は、位置決めスリットのうち、飲み口の突起部と、ガイド部の下端部と、の間の隙間を通過して容器本体の内部に戻ることができる。これにより、飲料がガイド部の外面に溜まったままになることをより一層に抑え、容器本体の内部に収容された飲料の飲み残しをより一層抑えることができる。
【0016】
本発明に係る飲料容器において、好ましくは、前記アダプターは、前記ガイド部の周囲に設けられ前記ガイド部の下端部から前記飲み口に向かって伸びる外周部をさらに有し、前記外面と前記外周部の内面との交差部は、前記飲料通過部に向かって下方に傾斜したことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る飲料容器によれば、ガイド部の外面と、ガイド部の周囲に設けられた外周部の内面と、の交差部が飲料通過部に向かって下方に傾斜しているため、ガイド部の外面に一時的に溜まった飲料は、飲料通過部に向かって流れやすい。そのため、ガイド部の外面に一時的に溜まった飲料は、飲料通過部を通過して容器本体の内部に戻りやすい。これにより、飲料がガイド部の外面に溜まったままになることを抑え、容器本体の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、飲料の飲み残しを抑えることができる飲料容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る飲料容器を表す正面図である。
図2】本実施形態に係る飲料容器を図1に表した矢印A15の方向からみたときの側面図である。
図3】本実施形態に係る飲料容器を表す分解図である。
図4図1に表した切断面A1-A1における断面図である。
図5図2に表した切断面A2-A2における断面図である。
図6】本実施形態に係る飲料容器を図1に表した矢印A16の方向からみたときの底面図である。
図7】本実施形態のアダプターを表す上面図である。
図8図7に表した切断面A3-A3における断面図である。
図9】本実施形態の飲み口を表す正面図である。
図10】本実施形態の飲み口を図9に表した矢印A17の方向からみたときの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0021】
図1図3を参照して、本発明の実施形態に係る飲料容器の要部構成を説明する。本実施形態に係る飲料容器2は、ボトル3と、アダプター5と、飲み口6と、を備える。本実施形態のボトル3は、本発明の「容器本体」の一例である。本実施形態に係る飲料容器2は、パッキン4と、キャップ7と、フード8と、を備えていてもよい。言い換えれば、飲料容器2は、キャップ7およびフード8を必ずしも備えていなくともよい。例えば、飲み口6は、キャップ7を介することなく直接的にアダプター5に装着されてもよい。あるいは、飲み口6は、ボトル3とアダプター5との間に挟設される部分を有していてもよい。本実施形態の説明では、飲み口6がアダプター5とキャップ7との間に挟設される部分を有し、キャップ7を介してアダプター5に装着される場合を例に挙げる。
【0022】
ボトル3は、上部に容器開口部31を有し、内部に飲料を収容することができる。ボトル3は、ガラスや合成樹脂の成形品で形成されており、比較的大きな容器開口部31を有する。これにより、飲料容器2の使用者等は、飲用後にボトル3を洗浄したり、液体をボトル3に注入したり、粉末ミルクなどをボトル3の内部に入れて調乳したりする作業などを容易に行うことができる。容器開口部31の外周部32には、雄ねじが形成されている。一方で、アダプター5のアダプター本体51の内周部には、雌ねじが形成されている。これにより、ボトル3の雄ねじとアダプター5の雌ねじとが互いに嵌まり合い、アダプター5は、ボトル3に対して着脱可能とされている。
【0023】
図3に表したように、パッキン4は、ボトル3およびアダプター5の少なくともいずれかに装着可能とされ、ボトル3とアダプター5との間に配置される。パッキン4は、シリコーンやエラストマーなどにより形成されリング状を呈する。パッキン4がボトル3とアダプター5との間に挟設されることにより、ボトル3とアダプター5との間の液密性が確保されている。なお、パッキン4は、ボトル3およびアダプター5の少なくともいずれかに一体的に形成されていてもよい。
【0024】
アダプター5は、アダプター本体51と、取っ手52と、ガイド部53と、外周部55と、を有し、剛性の比較的高い材料、言い換えれば硬質の材料で形成されている。なお、アダプター5は、必ずしも取っ手52を有していなくともよい。アダプター5の材料としては、例えば、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの合成樹脂が挙げられる。アダプター本体51は、ボトル3の容器開口部31に対向して配置され、ボトル3の外周部32に嵌まり合うことでボトル3に装着可能とされている。
【0025】
図1および図2に表したように、取っ手52は、アダプター本体51の側面に接続され、アダプター本体51の側面から鉛直方向に対して約25°~30°程度の角度で斜め下方に延びている。これにより、乳幼児等の使用者は、取っ手52を把持しやすく、飲料容器2の前後方向を容易に認識することができる。なお、図2に表した飲料容器2では、左方向が飲料容器2の前方向(体側)に相当し、右方向が飲料容器2の後方向に相当する。つまり、乳幼児等の使用者が飲料容器2を傾けずに持った状態において、図2の左方向が乳幼児等の使用者の側(手前側)に相当し、図4の右方向が乳幼児等の使用者とは反対側(奥側)に相当する。
【0026】
ガイド部53は、アダプター本体51の内側に形成され、飲料が通過可能なアダプター開口部54を形成する。ガイド部53は、ボトル3の内部に収容された飲料をアダプター開口部54を通して飲み口6の吸い口部63へ導く。すなわち、ボトル3の内部に収容された飲料は、アダプター5のアダプター開口部54を通過し、飲み口6の吸い口部63に向かって流れる。
【0027】
外周部55は、ガイド部53の周囲に設けられている。外周部55は、アダプター本体51に接続され、ガイド部53の下端部532(図8参照)から飲み口6に向かって延びている。なお、ガイド部53の詳細については、後述する。アダプター5の外周部55には、雄ねじが形成されている。一方で、キャップ7の内周部には、雌ねじが形成されている。これにより、アダプター5の外周部55の雄ねじとキャップ7の雌ねじとが互いに嵌まり合い、キャップ7は、アダプター5に対して着脱可能とされている。
【0028】
飲み口6は、基部61と、鍔部62と、吸い口部63と、を有し、全体として軟質の材料で形成されている。飲み口6の材料としては、例えば、水添型スチレンイソプレン共重合樹脂やスチレンブチレン共重合樹脂等のエラストマーや、シリコーンなどが挙げられる。飲み口6は、哺乳瓶等で用いられる既知の人工乳首と同様の外形を有し、アダプター5に取り付けられアダプター開口部54を覆う。
【0029】
鍔部62は、基部61の下端部に接続され、基部61から径外方向に延びている。鍔部62は、アダプター5のガイド部53の上端部533(図8参照)、およびアダプター5の外周部55の上端部551(図8参照)に載置可能とされている。この詳細については、後述する。
【0030】
吸い口部63は、乳幼児等の使用者が口にくわえる部分であり、基部61の外形よりも小さい外形を有する。吸い口部63の先端部には、ボトル3の内部に収容された飲料が通過する例えばスリット状の液体通過孔64(例えば図10参照)が設けられている。吸い口部63の形状は、図3に表した例には限定されず、吸い口部としての適切な流量や硬さを有する限りにおいて乳首状であってもよい。
【0031】
キャップ7は、キャップ開口部71を有し、アダプター5のアダプター開口部54に対向して配置される。キャップ7は、アダプター5の外周部55に嵌まり合うことでアダプター5に装着可能とされている。キャップ7がアダプター5に装着されると、飲み口6の基部61および吸い口部63は、キャップ7のキャップ開口部71を貫通した状態になる。一方で、キャップ7がアダプター5に装着されると、飲み口6の鍔部62は、キャップ7とアダプター5との間に挟設される。具体的には、飲み口6の鍔部62は、キャップ7の内面と、アダプター5の上面と、の間に挟設される。ここでいう「アダプター5の上面」の例としては、アダプター5のガイド部53の上端部533の面、およびアダプター5の外周部55の上端部551の面が挙げられる。これにより、飲み口6は、キャップ7を介してアダプター5に装着される。
【0032】
フード8は、全体としてドーム状を呈し、例えば合成樹脂により形成されている。フード8の下端部の内面に形成された嵌合凸部82(図4参照)がキャップ7の下端部に形成された嵌合凹部72に嵌まることにより、フード8は、キャップ7に装着される。フード8の上端部の内面には、孔閉止部81(図4および図5参照)が設けられている。フード8がキャップ7に装着されると、孔閉止部81は、飲み口6の上端部と当接し、飲み口6の液体通過孔64を液密的および気密的に塞ぐ。これにより、フード8がキャップ7に装着された状態において、孔閉止部81は、ボトル3の内部に収容された飲料が液体通過孔64を通して漏れることを抑えることができる。
【0033】
乳幼児等の使用者は、取っ手52を把持し飲料容器2を傾けることにより、ボトル3の内部に収容された飲料を飲み口6に形成された液体通過孔64を通して飲むことができる。このとき、ボトル3の内部に収容された飲料は、ボトル3の容器開口部31を通過し、アダプター5のガイド部53により導かれてアダプター開口部54を通過し、飲み口6の吸い口部63に向かって流れる。
【0034】
ここで、例えば、比較的多くの段差部がアダプターの内側に設けられている場合には、乳幼児等の使用者が飲料容器を傾けてボトルの内部に収容された飲料を飲み口の液体通過孔を通して飲むと、飲料がアダプターの内側の段差部に引っ掛かり残ることがある。そうすると、飲料の飲み残しが生ずることがある。
【0035】
これに対して、本実施形態に係るアダプター5のガイド部53の内面は、ボトル3の側から飲み口6の側へ向かうにつれてアダプター開口部54の中心部に向かって傾斜している。アダプター5のガイド部53の内面は、ボトル3の内部に収容された飲料が飲み口6の吸い口部63に向かって流れる際に、飲料に接触する面である。これについて、図4図10を参照してさらに詳しく説明する。なお、図6では、説明の便宜上、ボトル3を省略している。
【0036】
図4図5および図8に表したように、アダプター5のガイド部53は、アダプター本体51の内側に接続され、ボトル3の側から飲み口6の側へ向かうにつれてアダプター開口部54の中心部541(図7参照)へ向かって傾斜し延びている。本願明細書において、「ボトル3の側から飲み口6の側へ向かう」とは、ボトル3の内部に収容された飲料が飲み口6へ向かい飲み口6から流れる出る向きをいうものとする。具体的には、ガイド部53の内面531は、ボトル3から飲み口6に向かって流れる飲料に接触する面であり、ボトル3の側から飲み口6の側へ向かうにつれてアダプター開口部54の中心部541へ向かって傾斜している。
【0037】
これによれば、図4に表した矢印A11および矢印A12、ならびに図8に表した矢印A13および矢印A14のように、ボトル3の内部に収容された飲料は、アダプター5の内面やアダプター5の内側の段差部などに引っ掛かることなく、ガイド部53の内面531の傾斜に沿って円滑に流れ、飲み口6の吸い口部63へ導かれる。これにより、ボトル3の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
【0038】
また、図6および図7に表したように、アダプター5のガイド部53は、第1位置決めスリット56と、第2位置決めスリット57と、通気開口部58と、を有する。本実施形態の第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58のそれぞれは、本発明の「飲料通過部」の一例である。第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58のそれぞれは、ガイド部53の内面531と、内面531の反対側に形成されたガイド部53の外面534と、を貫通し、飲料を通過させることができる。また、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58のそれぞれは、ガイド部53の上端部533から下端部532まで延びている。
【0039】
図9および図10に表したように、飲み口6は、第1突起部65と、第2突起部66と、通気部67と、を有する。図9に表したように、第1突起部65および第2突起部66は、鍔部62の下面621に接続され、鍔部62の下面621から基部61および吸い口部63とは反対側に向かって延びている。図6に表したように、飲み口6の第1突起部65は、ガイド部53の第1位置決めスリット56に嵌まる。つまり、飲み口6の第1突起部65の幅D5は、ガイド部53の第1位置決めスリット56の幅D3よりも僅かに小さい。また、飲み口6の第2突起部66は、ガイド部53の第2位置決めスリット57に嵌まる。つまり、飲み口6の第2突起部66の幅D6は、ガイド部53の第2位置決めスリット57の幅D4よりも僅かに小さい。図6に表したように、飲み口6の第1突起部65がガイド部53の第1位置決めスリット56に嵌まり、飲み口6の第2突起部66がガイド部53の第2位置決めスリット57に嵌まることにより、アダプター5に対する飲み口6の位置が決まる。つまり、第1位置決めスリット56および第2位置決めスリット57は、アダプター5に対する飲み口6の位置を決めるスリットである。
【0040】
図5および図6に表したように、飲み口6の第1突起部65がガイド部53の第1位置決めスリット56に嵌まり、飲み口6の第2突起部66がガイド部53の第2位置決めスリット57に嵌まった状態、すなわち飲み口6がアダプター5に対して位置決めされた状態において、ガイド部53の下端部532と、飲み口6の第1突起部65と、の間には、隙間S1が形成されている。また、ガイド部53の下端部532と、飲み口6の第2突起部66と、の間には、隙間S2が形成されている。
【0041】
図6に表したように、飲み口6がアダプター5に装着された状態において、飲み口6の通気部67は、ガイド部53の通気開口部58の位置に配置される。通気部67は、ボトル3の内部の圧力に応じてボトル3の内部に外気を導入させる。具体的には、通気部67は、ボトル3の内部の圧力がボトル3の内部に収容された飲料の飲用に伴って低下すると、通気部67の弁体が開くことにより、飲料容器2の外部から通気開口部58を通してボトル3の内部に外気を導入させる。これにより、ボトル3の内部に発生した陰圧を解消することができる。
【0042】
飲み口6の第1突起部65の幅D5は、ガイド部53の第2位置決めスリット57の幅D4よりも大きい。そのため、飲み口6の第1突起部65は、ガイド部53の第2位置決めスリット57には嵌まらない。これにより、図6に表した状態からみて飲み口6がアダプター5に対してアダプター開口部54の中心部541を中心として180°回転した状態で装着されることを抑えることができる。そのため、飲み口6の通気部67は、ガイド部53の通気開口部58の位置に確実に配置される。そして、乳幼児等の使用者が取っ手52を把持し、飲料容器2の前方向(図2の左方向)を手前にして飲料容器2を傾けると、通気部67は、飲料容器2の上部に配置される。これにより、乳幼児等の使用者がボトル3の内部に収容された飲料を飲用する際に、通気部67が飲料により塞がれることを抑えることができる。そのため、通気部67は、飲料容器2の外部からボトル3の内部に外気を確実に導入させ、ボトル3の内部に発生した陰圧を確実に解消することができる。
【0043】
本実施形態に係る飲料容器2によれば、例えば乳幼児等の使用者が飲料容器2を傾けてボトル3の内部に収容された飲料を飲んだり、飲料容器2が傾いたりした際に、ボトル3の内部に収容された飲料が第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58の少なくともいずれかを通過してガイド部53の外面534に一時的に溜まった場合であっても、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58の少なくともいずれかを通過してボトル3の内部に戻る。つまり、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58は、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料を通過させボトル3の内部に戻す機能を有する。これにより、飲料がガイド部53の外面534に溜まったままになることを抑え、ボトル3の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
【0044】
また、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58がガイド部53の上端部533から下端部532まで延びているため、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58の少なくともいずれかを通過してボトル3の内部に戻りやすい。これにより、飲料がガイド部53の外面534に溜まったままになることを抑え、ボトル3の内部に収容された飲料の飲み残しをより一層抑えることができる。
【0045】
また、前述したように、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58の少なくともいずれかを通過してボトル3の内部に戻る。そのため、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料をボトル3の内部に戻すためだけの特別な孔やスリットを設ける必要がなく、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料を、本発明の「飲料通過部」として機能する第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58の少なくともいずれかを利用してボトル3の内部に戻すことができる。これにより、飲料容器2の構造を簡易化させつつ、ボトル3の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
【0046】
また、飲み口6がアダプター5に対して位置決めされた状態であっても、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、第1位置決めスリット56のうちガイド部53の下端部532と飲み口6の第1突起部65との間の隙間S1、および第2位置決めスリット57のうちガイド部53の下端部532と飲み口6の第2突起部66との間の隙間S2を通過してボトル3の内部に戻ることができる。これにより、飲料がガイド部53の外面534に溜まったままになることをより一層に抑え、ボトル3の内部に収容された飲料の飲み残しをより一層抑えることができる。
【0047】
また、図4に表したように、飲み口6は、鍔部62においてアダプター5のガイド部53および外周部55の両方に支持されている。具体的には、飲み口6の鍔部62は、アダプター5のガイド部53の上端部533と、アダプター5の外周部55の上端部551と、の両方に当接し支持されている。
【0048】
これによれば、飲み口6がボトル3の内部に押し込まれることを抑えることができる。また、飲み口6の鍔部62とガイド部53の上端部533とが互いに接触しているため、ボトル3の内部に収容された飲料が飲み口6とガイド部53との間の隙間からガイド部53の外面534に流れることを押さえることができる。これにより、ボトル3の内部に収容された飲料の飲み残しをより一層抑えることができる。
【0049】
図7に表した矢印A21、矢印A22、矢印A23、矢印A24、矢印A25および矢印A26のように、ガイド部53の外面534は、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58のそれぞれに向かって下方に傾斜していてもよい。例えば、ガイド部53の外面534と、ガイド部53の外周部55の内面と、の交差部が、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58のそれぞれに向かって下方に傾斜していることがより好ましい。この場合には、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58のそれぞれに向かって流れやすい。そのため、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58を通過してボトル3の内部に戻りやすい。これにより、飲料がガイド部53の外面534に溜まったままになることを抑え、ボトル3の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
【0050】
あるいは、ガイド部53の外面534は、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58のいずれか1つに向かって下方に傾斜していてもよい。例えば、ガイド部53の外面534と、ガイド部53の外周部55の内面と、の交差部が、通気開口部58に向かって下方に傾斜していてもよい。この場合には、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、通気開口部58に向かって流れやすい。そのため、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、第1位置決めスリット56、第2位置決めスリット57および通気開口部58の少なくともいずれかを通過してボトル3の内部に戻りやすい。例えば、ガイド部53の外面534に一時的に溜まった飲料は、通気開口部58に向かって流れる途中で、第1位置決めスリット56および第2位置決めスリット57を通過してボトル3の内部に戻る。これにより、飲料がガイド部53の外面534に溜まったままになることを抑え、ボトル3の内部に収容された飲料の飲み残しを抑えることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0052】
2:飲料容器、 3:ボトル、 4:パッキン、 5:アダプター、 6:飲み口、 7:キャップ、 8:フード、 31:容器開口部、 32:外周部、 51:アダプター本体、 52:取っ手、 53:ガイド部、 54:アダプター開口部、 55:外周部、 56:第1位置決めスリット、 57:第2位置決めスリット、 58:通気開口部、 61:基部、 62:鍔部、 63:吸い口部、 64:液体通過孔、 65:第1突起部、 66:第2突起部、 67:通気部、 71:キャップ開口部、 72:嵌合凹部、 81:孔閉止部、 82:嵌合凸部、 531:内面、 532:下端部、 533:上端部、 534:外面、 541:中心部、 551:上端部、 621:下面、 S1:隙間、 S2:隙間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10