(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】切り離された胴体を備えたボールバット
(51)【国際特許分類】
A63B 60/54 20150101AFI20240116BHJP
A63B 59/54 20150101ALI20240116BHJP
A63B 102/18 20150101ALN20240116BHJP
【FI】
A63B60/54
A63B59/54
A63B102:18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019089817
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2022-05-09
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517098734
【氏名又は名称】イーストン ダイアモンド スポーツ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Easton Diamond Sports, LLC
【住所又は居所原語表記】3500 Willow Lane, Thousand Oaks, California 91361 United States
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】デューイ・ショーバン
(72)【発明者】
【氏名】リンダ・ハント
(72)【発明者】
【氏名】イアン・モンゴメリー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・サン-ローラン
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0252586(US,A1)
【文献】米国特許第06625848(US,B1)
【文献】特開2012-096003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B49/00-51/16
A63B55/00-60/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールバットであって、
第1の外側シェルセグメントと、
前記第1の外側シェルセグメントから長手方向に間隔を置いて配置され、前記第1の外側シェルセグメントと第2の外側シェルセグメントとの間にギャップを形成している、第2の外側シェルセグメントと、
前記第1の外側シェルセグメントを前記第2の外側シェルセグメントに接続するジョイントと
を備え、
前記第1の外側シェルセグメントは、前記ボールバットの胴体部分と、前記ボールバットのテーパ付き部分の少なくとも一部とを備え、
前記第2の外側シェルセグメントは、前記テーパ付き部分の少なくとも一部を備え、
前記ジョイントは、前記第1の外側シェルセグメントの中に位置決めされており、前記第1の外側シェルセグメントの内部表面に固定されている第1の部分と、前記第2の外側シェルセグメントの中に位置決めされており、前記第2の外側シェルセグメントの内部表面に固定されている
前記第1の部分と一体である第2の部分と、を有する管状エレメントを備え、前記管状エレメントは、エラストマー材料を備える、ボールバット。
【請求項2】
前記第2の外側シェルセグメントは、前記ボールバットのグリップ部分をさらに備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項3】
前記ギャップは、前記ボールバットの前記テーパ付き部分の中に位置決めされている、請求項1に記載のボールバット。
【請求項4】
前記管状エレメントは、少なくとも部分的に前記ギャップの中へ延在する少なくとも部分的に円周方向の突出部を備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項5】
前記管状エレメントは、第1の管状エレメントであり、前記ボールバットは、前記第1の管状エレメントを強化するために前記第1の管状エレメントの中に位置決めされている第2の管状エレメントをさらに備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項6】
前記エラストマー材料は、第1の剛性を有しており、前記第2の管状エレメントは、前記第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する材料を備える、請求項5に記載のボールバット。
【請求項7】
前記第1の外側シェルセグメントまたは前記第2の外側シェルセグメントのうちの少なくとも1つは、複合材ラミネート材料を備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項8】
前記エラストマー材料は、強化繊維を有するエラストマー複合材を備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項9】
前記エラストマー材料は、ポリウレタン、エポキシ、アクリル、シアノアクリレート、シリコーン、またはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームのうちの1つまたは複数を備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項10】
ボールバットであって、
第1の外側シェルセグメントと、前記第1の外側シェルセグメントは、前記ボールバットの胴体部分を形成している、
第2の外側シェルセグメントと、前記第2の外側シェルセグメントは、前記ボールバットのテーパ付き部分の少なくとも一部を形成しており、前記第2の外側シェルセグメントは、前記第1の外側シェルセグメントから所定のギャップだけ長手方向に間隔を置いて配置されている、
前記第1の外側シェルセグメントを前記第2の外側シェルセグメントに接合するために、前記第1の外側シェルセグメントと前記第2の外側シェルセグメントの間を固定して前記ボールバットの外側シェルの一部を形成する
、一部材であるエラストマー材料と、前記エラストマー材料は、前記第1の外側シェルセグメントと前記第2の外側シェルセグメントとの間の相対的な移動を促進させるために、屈曲するように構成されている、
を備える、ボールバット。
【請求項11】
前記第2の外側シェルセグメントは、前記ボールバットのグリップ部分をさらに形成している、請求項10に記載のボールバット。
【請求項12】
前記エラストマー材料は、強化繊維を含むエラストマー複合材料の1つまたは複数の層を備える、請求項10に記載のボールバット。
【請求項13】
前記エラストマー複合材料は、炭素、ガラス、グラファイト、ホウ素、アラミド、セラミック、またはシリカのうちの1つまたは複数の繊維を含む、請求項12に記載のボールバット。
【請求項14】
前記エラストマー材料は、ポリウレタン、エポキシ、アクリル、シアノアクリレート、シリコーン、またはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームのうちの1つまたは複数を備える、請求項10に記載のボールバット。
【請求項15】
前記第1の外側シェルセグメントは、前記ボールバットの前記テーパ付き部分の少なくとも一部をさらに形成している、請求項10に記載のボールバット。
【請求項16】
前記ギャップは、前記ボールバットの長手方向軸線に沿って、おおよそ幅1インチから幅2インチの間にある、請求項10に記載のボールバット。
【請求項17】
半径方向内向きの方向に前記エラストマー材料に隣接して位置決めされている強化用管状エレメントをさらに備え、前記エラストマー材料は、第1の剛性を有しており、前記強化用管状エレメントは、前記第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有している、請求項10に記載のボールバット。
【請求項18】
ボールバットを作製する方法であって、
複合材ラミネート材料の1つまたは複数の層によって、第1の外側シェルセグメントを形成することと、ここにおいて、前記第1の外側シェルセグメントは、前記ボールバットの胴体部分を画定している、
複合材ラミネート材料の1つまたは複数の層によって、第2の外側シェルセグメントを形成することと、ここにおいて、前記第2の外側シェルセグメントは、前記第1の外側シェルセグメントから長手方向に間隔を置いて配置されており、前記ボールバットのテーパ付き部分の少なくとも一部を画定している、
前記第1の外側シェルセグメントを前記第2の外側シェルセグメントに接続するためにジョイントを形成することと、ここにおいて、前記ジョイントを形成することは、
一部材であるエラストマー材料を前記第1の外側シェルセグメント及び前記第2の外側シェルセグメントの内部表面に固定するように提供すること、および、前記エラストマー材料によって前記第1の外側シェルセグメントを前記第2の外側シェルセグメントに接続することを備える、
を備える、方法。
【請求項19】
前記エラストマー材料を提供することは、強化繊維を備えるエラストマー複合材料の1つまたは複数の層を提供することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ジョイントを形成することは、前記ジョイントの内側に強化用管状エレメントを位置決めすることを備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]野球およびソフトボール管理団体は、打球速度を規制する目標を持って、長年にわたってさまざまなバット性能限界を課してきた。それぞれの協会は、一般的に、所望のレベルのプレイを実現するために、さまざまな規制を改革している。これらの規制のうちのいくつかは、具体的には、BBCOR、または「バット-ボール反発係数」などのような、バットの性能を規制することを目指している。
【0002】
[0002]BBCORは、バットがボールとのインパクトの間に示す「トランポリン効果」の尺度として知覚され得る。より高いBBCOR値は、一般的に、より少ないエネルギーがバット-ボールのインパクトの間に失われることになることを示しており、それは、より高い性能のバットを示唆する。より低いBBCOR値は、より多いエネルギーがインパクトの間に失われることになることを示しており、それは、より低い性能のバットを示唆する。いくつかの協会または規制機関は、最大許容可能なBBCOR値を決定付ける。したがって、バット設計者は、BBCORなどのような性能規制を満たしながらバットを改善させる方式を探している。
【0003】
[0003]それに加えて、ボールバット(ball bat)がボールまたは別の物体を打つときには、インパクトは、競技者が衝撃として感知する振動の波を引き起こす。ボールバットの中の振動および衝撃は、競技者の不快感または傷害を引き起こす可能性がある。したがって、バット設計者は、インパクトの性能、感触、または音の質を過度に低減させることなく、ボールバットの中の振動と衝撃とを低減させる方式を探している。たとえば、競技者は、一般的に、打撃の間にボールバットが「濡れた新聞紙」のような感触になるかまたはそのような音を出すことを望まない。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本技術の代表的な実施形態は、ボールバットであって、第1の外側シェルセグメントと、第1の外側シェルセグメントから長手方向に間隔を置いて配置され、第1の外側シェルセグメントと第2の外側シェルセグメントとの間にギャップを形成している、第2の外側シェルセグメントと、第1の外側シェルセグメントを第2の外側シェルセグメントに接続するジョイントとを有する、ボールバットを含む。第1の外側シェルセグメントは、ボールバットの胴体部分(barrel portion)と、ボールバットのテーパ付き部分の少なくとも一部とを含むことが可能である。第2の外側シェルセグメントは、テーパ付き部分の少なくとも一部を含むことが可能である。ジョイントは、第1の外側シェルセグメントの中に位置決めされており、第1の外側シェルセグメントの内部表面に少なくとも部分的に重なっている第1の部分と、第2の外側シェルセグメントの中に位置決めされており、第2の外側シェルセグメントの内部表面に少なくとも部分的に重なっている第2の部分と、を有する管状エレメントを含むことが可能である。管状エレメントは、エラストマー材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、ボールバットは、第1の管状エレメントを強化するために第1の管状エレメントの中に位置決めされている第2の管状エレメントをさらに含むことが可能である。
【0005】
[0005]本技術の別の代表的な実施形態は、ボールバットであって、第1の外側シェルセグメントと、第1の外側シェルセグメントは、ボールバットの胴体部分を形成している、第2の外側シェルセグメントと、第2の外側シェルセグメントは、ボールバットのテーパ付き部分の少なくとも一部を形成しており、第2の外側シェルセグメントは、第1の外側シェルセグメントから所定のギャップだけ長手方向に間隔を置いて配置されている、を備えた、ボールバットを含むことが可能である。ボールバットは、第1の外側シェルセグメントを第2の外側シェルセグメントに接合するために、第1の外側シェルセグメントと第2の外側シェルセグメントとの間に位置決めされているエラストマー材料を含むことが可能であり、エラストマー材料は、第1の外側シェルセグメントと第2の外側シェルセグメントとの間の相対的な移動を促進させるために、屈曲するように構成されている。
【0006】
[0006]本技術の別の代表的な実施形態は、ボールバットを作製する方法を含む。方法は、互いから長手方向に間隔を離して配置されるように外側シェルセグメントを形成することと、外側シェルセグメント同士を接続するためにジョイントを形成することとを含むことが可能である。ジョイントは、エラストマー材料を含むことが可能である。
【0007】
[0007]本技術の実施形態によるボールバットは、望ましくない低い性能がなく、協会ルールを満たすのに十分な性能を提供する。また、本技術の実施形態は、スイングおよび打撃の間に十分な耐久性と快適性とを提供するとともに、満足のいくインパクト音を提供する。
【0008】
[0008]他の特徴および利点が、以降で明らかになる。上記に説明されている特徴は、別々にもしくは一緒に使用され得、または、特徴の1つまたは複数のさまざまな組み合わせで使用され得る。
【0009】
[0009]図面において、同じ参照数字は、図の全体を通して同じ要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]本技術の実施形態によるボールバットを図示する図。
【
図2】[0011]
図1に示されているボールバットの断面図。
【
図3】[0012]
図1および
図2に示されているボールバットの一部分の詳細断面図。
【
図4】[0013]本技術の実施形態によるボールバットを組み立てる例示的な方法を図示するフローチャート。
【
図5】[0014]
図3の図と同様の詳細断面図であるが、本技術の別の実施形態によるジョイントを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015]本技術は、切り離された胴体を備えたボールバット、ならびに、関連のシステムおよび方法に関連する。ここで、本技術のさまざまな実施形態が説明される。以下の説明は、これらの実施形態の徹底的な理解と実施可能な説明とに関する特定の詳細を提供する。しかし、当業者は、本発明がこれらの詳細の多くを用いずに実践され得ることを理解するであろう。追加的に、いくつかの周知の構造または機能、たとえば、ボールバットおよび複合材料に一般的なものなどは、さまざまな実施形態の関連の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、詳細には示されていないかまたは説明されていない可能性がある。したがって、本技術の実施形態は、追加的な要素を含むか、または、本技術の例を図示する
図1~
図5を参照して下記に説明されている要素のうちのいくつかを除外することが可能である。
【0012】
[0016]この説明において使用されている専門用語は、それが本発明の特定の具体的な実施形態の詳細な説明とともに使用されているとしても、その合理的な最も広い様式で解釈されることが意図されている。特定の用語は、下記にさらに強調されている可能性があるが、しかし、任意の制限された様式で解釈されることが意図された任意の専門用語は、この詳細な説明のセクションにおいて、そのように明白におよび具体的に定義される。
【0013】
[0017]文脈が許容する場合に、単数形または複数形の用語は、それぞれ、複数形または単数形の用語を含むことも可能である。そのうえ、「または」という語句が、2つ以上のアイテムのリストの中の他のアイテムから排他的な単一のアイテムだけを意味することに明示的に限定されていなければ、そのようなリストの中の「または」の使用は、(a)リストの中の任意の単一のアイテム、(b)リストの中のすべてのアイテム、または(c)リストの中のアイテムの任意の組み合わせ、を含むものとして解釈されるべきである。さらに、別段の定めがない限り、「取り付けられている」または「接続されている」などのような用語は、一体的な接続を含むことが意図されているとともに、物理的に別々のコンポーネント間の接続を含むことも意図されている。
【0014】
[0018]本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細は、ボールバットを参照して本明細書で説明されている。本技術の実施形態は、野球、ソフトボール、クリケット、または同様のスポーツにおいて使用され得る。
【0015】
[0019]
図1に示されているように、本技術の実施形態によるボールバット100は、胴体部分110と、グリップ部分(handle portion)120と、胴体部分110をグリップ部分120に接合するテーパ付き部分130とを有することが可能である。テーパ付き部分130は、胴体部分110のより大きい直径からグリップ部分120のより細い直径へ移行するようにテーパを付けられている。グリップ部分120の近位自由端部140は、端部ノブ150を含むことが可能である。胴体部分110は、任意選択で、端部キャップ170によって、その遠位自由端部160(スイングの間に競技者から最も遠い端部)において閉じられ得る。ボールバット100は、近位自由端部140(バッターの近く)と遠位自由端部160(バッターから最も遠い)との間に延びる長手方向軸線xを含む。
【0016】
[0020]ボールバット100の比率、たとえば、胴体部分110、グリップ部分120、およびテーパ付き部分130の相対的なサイズなどは、正しい縮尺で描かれておらず、ボールバットにおける使用に適切な任意の相対的な比率を有することが可能である。したがって、ボールバット100は、任意の適切な寸法を有することが可能である。たとえば、バット100は、20インチから40インチ、または、26インチから34インチの全体的な長さを有することが可能である。全体的な胴体直径は、2.0インチから3.0インチ、または、2.25インチから2.75インチであることが可能である。典型的なボールバットは、2.25インチ、2.625インチ、または2.75インチの直径を有している。これらの全体的な長さおよび胴体直径、または任意の他の適切な寸法のさまざまな組み合わせを有するバットが、本明細書において企図されている。バット寸法の具体的な好適な組み合わせが、一般的に、ボールバット100の使用者によって決定付けられ、使用者の間で大きく変化する可能性がある。
【0017】
[0021]また、本技術の実施形態によるジョイント180が、
図1に示されている。ジョイント180は、テーパ付き部分130または胴体部分110の中に、長手方向軸線xに沿って任意の適切な場所に位置決めされ得る。代表的な実施形態では、ジョイント180は、テーパ付き部分130が胴体部分110に出会う場所のおおよそ近くに位置決めされており、たとえば、テーパ付き部分130のテーパリングが最小になり、胴体部分110の円筒状の形状に対応する場所などに位置決めされている。
【0018】
[0022]ボールバット100は、実質的に中空であることが可能である。いくつかの実施形態では、それは、部分的にのみ中空であることが可能である。下記に詳細に説明されているように、ジョイント180は、第1の外側シェルセグメント185(それは、胴体部分110のすべてまたは一部に広がっていることが可能である)を第2の外側シェルセグメント190(それは、テーパ付き部分130およびグリップ部分120のすべてまたは一部に広がっていることが可能である)に接続している。ジョイント180は、さまざまな適切な場所に位置決めされ得るので、第1の外側シェルセグメント185および第2の外側シェルセグメント190は、テーパ付き部分130の一部分と胴体部分110の一部分とのさまざまな組み合わせを含むことが可能である。ジョイント180は、第1の外側シェルセグメント185が、第2の外側シェルセグメント190と連続的になっていない、切り離された構成を提供する。さらに詳細に下記に説明されているように、そのような構成は、シェルセグメント185、190が互いに対して屈曲するかまたは移動することを可能にし、それは、性能(BBCOR、たとえば、協会の限界値への準拠を維持するため)を低減させるか、または、グリップ部分120の中で競技者によって感じられる衝撃もしくは振動を低減させることが可能である。
【0019】
[0023]特定の例では、ジョイント180は、グリップ部分120からバットの打撃表面(それは、胴体部分110およびテーパ付き部分130の遠位エリアを含むことが可能である)のうちのいくらかまたはすべてを切り離すことが可能である。ジョイント180は、ボールバット100の質量の残りの部分(または、大部分)(たとえば、グリップ部分120およびテーパ付き部分130のほとんどなど)からボールインパクトを切り離す。したがって、バットの全体的な質量の一部分だけが、ボールを推進させるのに効果的であり、性能の低減をもたらす。
【0020】
[0024]いくつかの実施形態では、外側シェルセグメント185、190は、複合材ラミネート材料などのような、複合材料の1つまたは複数の層によって形成され得る。適切な複合材料のいくつかの例は、炭素、ガラス、グラファイト、ホウ素、アラミド(たとえば、Kevlar(登録商標)など)、セラミック、またはシリカ(たとえば、Astroquartz(登録商標)など)の繊維によって強化されたプライ(plies)を含む。したがって、さまざまな実施形態では、ボールバットにおける使用に適切な複数の異なる複合材プライが、外側シェルセグメント185、190のうちの一方または両方に使用され得、それは、たとえば、炭素繊維、ファイバグラス、アラミド繊維から形成された複合材、もしくは、他の複合材料、または、複合材料を形成するマトリックス、樹脂、繊維、ラミネート、およびメッシュの組み合わせを含む。
【0021】
[0025]いくつかの実施形態では、外側シェルセグメント185、190のうちの一方または両方は、同じ材料から作製された層またはプライを含むことが可能であるが(たとえば、それぞれのプライまたは層は、炭素繊維から形成され得る)、さらなる実施形態では、外側シェルセグメント185、190のうちの一方または両方は、複数の異なる材料から作製された層またはプライを含むことが可能である(たとえば、1つまたは複数のプライまたは層は、炭素繊維によって形成され得、1つまたは複数の他のプライまたは層は、ファイバグラスによって形成され得る)。いくつかの実施形態では、外側シェルセグメント185、190は、たとえば、アルミニウム、鋼、チタン、マグネシウム、または別の適切な金属もしくは金属合金などのような、金属または金属合金によって形成され得る。いくつかの実施形態では、第1の外側シェルセグメント185は、第2の外側シェルセグメント190と同じ材料から作製されている。いくつかの実施形態では、外側シェルセグメント185、190は、異なる材料から作製されている。
【0022】
[0026]
図2は、
図1に示されているボールバット100の断面図を図示している。ジョイント180は、ボールバット100の中空の内部200の内側に位置決めされている1つまたは複数のコンポーネントを含む。ジョイント180の1つまたは複数のコンポーネントは、第1および第2の外側シェルセグメント185、190に重なることが可能である。
図2は、本技術の実施形態によるジョイント180を有するボールバット100の代表的な断面であるが、そのセクションAの詳細図が、
図3に図示されている。
【0023】
[0027]
図3に示されているように、第1の外側シェルセグメント185および第2の外側シェルセグメント190は、ギャップ300によって長手方向に間隔を離して配置されている。ギャップ300は、外側シェルセグメント185、190が互いに直接的に接触しないように、好ましくは、ボールバット100の周りに完全に円周方向にある。しかし、いくつかの実施形態では、ギャップ300は、非連続的になっていることが可能であり、それによって、外側シェルセグメント185、190は、ボールバット100の周囲の周りの1つまたは複数の位置において、互いに接続されているか、または、互いに接触した状態になっていることが可能である。
【0024】
[0028]ジョイント180は、ボールバット100の中空の内部200の内側に位置決めされている主要管状エレメント310を含むことが可能である。主要管状エレメント310は、ギャップ300の遠位端部から距離O1に沿って、第1の外側シェルセグメント185の内部表面に重なっているか、または、第1の外側シェルセグメント185の内部表面と同一の広がりを持っており、また、ギャップ300の近位端部から距離O2だけ、第2の外側シェルセグメント190の内部表面に重なっているか、または、第2の外側シェルセグメント190の内部表面と同一の広がりを持っている。主要管状エレメント310は、それぞれのオーバーラップ距離O1、O2のすべてまたは一部に沿って、セグメント185、190に接着されるか、ピン止めされるか、または、その他の方法で適切に固定されることによって、外側シェルセグメント185、190のそれぞれに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、主要管状エレメント310は、製造の間に外側シェルセグメント185、190とレイアップされ、外側シェルセグメント185、190のうちの一方または両方と一体化されるように硬化される。いくつかの実施形態では、主要管状エレメント310は、外側シェルセグメント185、190と任意選択の強化用管状エレメント330(下記に説明されている)との間のギャップ300の中へ注入されている。
【0025】
[0029]いくつかの実施形態では、主要管状エレメント310は、均一な壁部厚さtを有することが可能であり、それは、外側シェルセグメント185、190の半径方向に内部の側部とともに円周方向に同一の広がりを持っていることが可能である。いくつかの実施形態では、それは、非連続的であることが可能であり、不均一な壁部厚さ、壁部の中の孔部、または他の特徴を有することが可能である。したがって、主要管状エレメント310は、均一な管であることに限定されない。
【0026】
[0030]主要管状エレメント310は、少なくとも部分的にギャップ300の中へ延在する、円周方向のまたは少なくとも部分的に円周方向の突出部320を有することが可能である。たとえば、突出部320は、外側シェルセグメント185と外側シェルセグメント190との間の滑らかな表面移行を形成するために、ギャップ300を充填するリングの形態になっていることが可能である。いくつかの実施形態では、突出部320は、部分的にのみギャップ300の中へ延在することが可能である。いくつかの実施形態では、突出部320は、主要管状エレメント310と一体化していることが可能であり、一方、他の実施形態では、それは、接着剤または別の適切な取り付け手段によって主要管状エレメント310に固定される別個のエレメントであることが可能である。
【0027】
[0031]主要管状エレメント310は、エラストマーまたはエラストマー材料、たとえば、ポリウレタン、熱可塑性のポリウレタン、エラストマーエポキシ、エラストマーアクリル、シアノアクリレート、シリコーン、またはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォーム、または、弾性と強度とを有する別の適切な材料を含むことが可能である。他の実施形態では、外側シェルセグメント185と外側シェルセグメント190との間に少なくともいくらかの構造的支持、および、少なくともいくらかの弾性を提供するために適切な他のエラストマーまたはエラストマー材料が使用され得る。
【0028】
[0032]いくつかの実施形態では、主要管状エレメント310の中のエラストマーまたはエラストマー材料は、エラストマー複合材またはエラストマー複合材プライを形成するために、さまざまな材料を含むことが可能であるか、または、さまざまな材料によって増強され得る。たとえば、主要管状エレメント310は、炭素、ガラス、ポリエステル、グラファイト、ホウ素、アラミド(たとえば、Kevlar(登録商標)など)、セラミック、またはシリカ(たとえば、Astroquartz(登録商標)など)から作製された繊維、織物、またはメッシュを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、エラストマー複合材は、剛性のエポキシまたは剛性の樹脂材料の代わりに、強化繊維のための複合材マトリックス材料として、エラストマー材料によって形成され得る。
【0029】
[0033]いくつかの実施形態では、主要管状エレメント310を形成する材料は、Shore 20AからShore 90Aの間の硬度値を有することが可能である。硬度値は、主要管状エレメントの所望の性能のレベル、重量、サイズ、コンポーネント間の結合部の強度および表面積、エラストマー材料の強度(たとえば、引張強度、圧縮強度、および引裂強度など)、または他の要因に依存し得る。いくつかの実施形態では、主要管状エレメントが、より薄くなっており、外側シェルセグメントとのより少ないオーバーラップを有するときには、より剛性のまたはより硬い材料が使用され得る。いくつかの実施形態では、主要管状エレメントが、より柔らかいおよびより厚い材料を含み、外側シェルセグメントとのより多いオーバーラップを備えているときに、同様の見かけ上の(apparent)剛性の感触が実現され得る。例示的な実施形態では、おおよそShore 90Dの硬度を有する半リジッドの熱可塑性の材料が使用され得る。
【0030】
[0034]より低い硬度値を有する材料が使用されるいくつかの実施形態では、材料の引裂強度は、より高い硬度値を有する材料と比較して、比較的に低くなることが可能であり、したがって、いくつかの実施形態では、耐久性を増加させるために、たとえば、可撓性のニット、ファブリック、または糸の層などのような、強化層が、主要管状エレメント310の中に含まれ得る。たとえば、特定の実施形態では、引裂抵抗の高い管状エレメント310を形成するために、オープンポリエステルニットが、ポリウレタン(たとえば、熱可塑性のポリウレタンまたはTPUなど)のシートまたは層の間に共成形され得る。また、エラストマー複合材は、引裂抵抗を増加させることが可能である。
【0031】
[0035]突出部320は、主要管状エレメント310と同じ材料から形成され得るか、または、それは、主要管状エレメント310に関して企図される任意の材料を含む、1つもしくは複数の他の材料を含むことが可能である。
【0032】
[0036]ジョイント180は、第1の外側シェルセグメント185と第2の外側シェルセグメント190との間の切り離しを提供する一方で、スイングまたは打撃の間にセグメント185、190が分離しないように維持するために十分な接続を提供する。主要管状エレメント310は、外側シェルセグメント185、190が互いに対して屈曲することを可能にし、それは、規制に準拠するために性能(たとえば、打球速度)を低減させる。また、それは、衝撃または振動の伝達を低減させる。たとえば、ボールが第1の外側シェルセグメント185に衝突するときには、振動または衝撃は、主要管状エレメント310を含む、ジョイント180によって少なくとも部分的に吸収され得る。
【0033】
[0037]本技術のいくつかの実施形態は、追加的な中空の管状エレメントを含むことが可能である。たとえば、
図3に図示されているように、強化用管状エレメント330は、任意選択で、主要管状エレメント310の内側の半径方向内向きの位置に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、強化用管状エレメント330は、長手方向軸線xに沿って主要管状エレメント310と完全に同一の広がりを持っていることが可能である。他の実施形態では、強化用管状エレメント330は、主要管状エレメント310の一部分(たとえば、ギャップ300に隣接する一部分)のみと同一の広がりを持っていることが可能である。強化用管状エレメント330は、エラストマーまたはエラストマー材料(たとえば、上記に説明されているエラストマー材料またはエラストマー複合材料のうちの1つなど)、金属材料(たとえば、アルミニウム、チタン、または、別の金属もしくは金属合金など)、ポリマー材料、または、リジッドのもしくは半リジッドの複合材料(たとえば、炭素繊維複合材料、または、上記に説明されている他の複合材料など)を含む、任意の適切な材料から形成され得る。特定の実施形態では、強化用管状エレメント330は、主要管状エレメント310よりもリジッドであり、また、強化用管状エレメント330は、外側シェルセグメント185、190のうちの一方または両方と同じ材料または同様の材料によって形成され得る。
【0034】
[0038]いくつかの実施形態では、主要管状エレメント310または強化用管状エレメント330と同様の材料によって形成された追加的な管状エレメントが、ジョイント180の中に含まれ得る。強化用管状エレメント(たとえば、
図3に示されている強化用管状エレメント330など)は、たとえば、相対的な屈曲を低減させることによって、外側シェルセグメント185と外側シェルセグメント190との間の相対的な屈曲をさらにチューニングするために、構造的硬直性を提供する。追加的な管状エレメント、たとえば、強化用管状エレメント330などは、主要管状エレメント310の内部に接着されるか、ピン止めされるか、もしくは、その他の方法で締結され得、または、それらは、複合材成形プロセスの間に複合材レイアップの中に含まれ得る。
【0035】
[0039]主要管状エレメント310、および、任意選択の強化用管状エレメント(たとえば、強化用管状エレメント330、または、さらに内向きに同心円状の管状エレメントなど)に関して使用される材料の硬度および厚さは、ジョイント180の柔軟性およびボールバット100の性能に影響を与えることが可能である。より柔らかいまたはより薄いエラストマーを用いた設計は、より多く屈曲することになり、バット性能を低減させ、一方、より硬いまたはより厚いエラストマーを用いた設計は、より少なく屈曲することになり、相対的により高い性能をもたらす。いくつかの実施形態では、主要管状エレメント310の厚さtは、0.010インチから0.50インチの間にあることが可能である。特定の実施形態では、主要管状エレメント310は、0.030インチから0.250インチの間の厚さtを有することが可能である。
【0036】
[0040]主要管状エレメント310と第1の外側シェルセグメント185との間のオーバーラップO1、および、主要管状エレメント310と第2の外側シェルセグメント190との間のオーバーラップO2は、また、ジョイント180の柔軟性に影響を与え、結果的に、ボールバット100の性能に影響を与える。より長いオーバーラップは、全体的なバットアセンブリに関して、追加的な曲げ強度と、軸線方向の引張強度または圧縮強度とを提供することが可能である。より長いオーバーラップは、外側シェルセグメント185と外側シェルセグメント190との間の屈曲の量を低減させることが可能であり、それは、性能を増加させる傾向がある可能性がある。より短いオーバーラップO1、O2は、ジョイント180の中により多い屈曲を引き起こし、性能を低減させることが可能である。また、オーバーラップ長さO1、O2は、耐久性に影響を与えることが可能である。たとえば、より短いオーバーラップO1、O2は、より長いオーバーラップに対して、ジョイント180の耐久性を低減させることが可能である。
【0037】
[0041]いくつかの実施形態では、オーバーラップ長さO1、O2のうちの一方または両方は、0.040インチから4.0インチの間にあることが可能である。たとえば、特定の実施形態では、それぞれのオーバーラップO1、O2は、少なくとも0.125インチであることが可能である。別の特定の実施形態では、それぞれのオーバーラップO1、O2は、おおよそ1インチであることが可能である。
【0038】
[0042]それに加えて、長手方向軸線xに沿ったギャップ300の幅G1は、外側シェルセグメント185と外側シェルセグメント190との間の相対的な屈曲に影響を与えることになる。たとえば、より大きいギャップ幅G1は、より小さいギャップ幅G1よりも多い屈曲をもたらすことが可能であり、それは、性能の減少、および、使用者によって経験される衝撃の減少につながる。いくつかの実施形態では、ギャップ幅G1は、長手方向軸線xに沿って0.040インチから0.375インチの間にあることが可能であり、または、ギャップ幅G1は、他の値を有することが可能である。
【0039】
[0043]ギャップ幅G1は、設計目標および材料選択に応じて、変化することが可能である。いくつかの実施形態では、より長いギャップ幅G1は、主要管状エレメント310または円周方向の突出部320がより低い圧縮強度を有する材料によって作製されているときに、有用である可能性がある。より短いギャップ幅G1は、外側シェルセグメント間で屈曲する間に応力および歪みを分配させるための材料をより少なくすることと関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、設計者は、耐久性よりも軽量化を優先させる可能性があり、より小さいギャップ幅G1を選ぶ可能性があるが、材料選択および他の要因は、また、重量と耐久性との間の関係に影響を与える可能性がある。
【0040】
[0044]
図1および
図3を参照すると、ギャップ300は、たとえば、テーパ付き部分130のテーパリングが最小になり、胴体部分110の円筒状の形状に概して対応する場所など、おおよそ、テーパ付き部分130が胴体部分110に出会う場所に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、ジョイント180の主要管状エレメント310の遠位端部340は、胴体部分110のわずかにだけ内側に位置決めされ得、一方、他の実施形態では、それは、胴体部分110の直ぐ外側に位置決めされ得る(たとえば、完全にテーパ付き部分130の中に)。いくつかの実施形態では、ジョイント180(主要管状エレメント310と任意の強化用管状エレメント330とを含む)は、ボールバットの主要打撃エリアから離れるように位置決めされている(すなわち、通常のスイングの間にボールが衝突することを意図される場所から離れるように位置決めされている)。そのような実施形態では、第1の外側シェルセグメント185は、ボールに衝突する胴体部分110の構造体を形成することが可能である。
【0041】
[0045]いくつかの実施形態では、ジョイント180は、ボールバット100の打撃中心(COP)の周りに中心を合わせられ得、または、COPのおおよそ3インチ以内にあるエリアの周りに中心を合わせられ得る。COPは、ASTM F2398-11標準によって決定され得る。いくつかの実施形態では、ジョイント180は、ボールバット100の「スイートスポット」の周りに中心を合わせられ得、または、スイートスポットのおおよそ3インチ以内にあるエリアの周りに中心を合わせられ得る。スイートスポットは、典型的に、COPの近くに位置する。スイートスポットは、バット100からボールへのエネルギーの伝達が概して最大になるが、競技者の手へのエネルギーの伝達が概して最小になる、ボール-バットのインパクト場所として定義され得る。スイートスポットの場所を定義する別の方式は、第1の曲げモードの第1の節と第2の曲げモードの第2の節との間にある。
【0042】
[0046]
図4は、本技術の実施形態によるボールバットを組み立てる1つの例示的な方法を図示するフローチャート400である。ステップ410において、任意選択の強化用管状エレメントのうちの1つまたは複数(たとえば、
図3の中の強化用管状エレメント330)が、1つまたは複数の未硬化の複合材プライ(たとえば、プリプレグ材料など)として、マンドレルの上に位置決めされ得るか、または、その他の方法でマンドレルに巻き付けられ得る。ステップ420において、1つまたは複数の未硬化の複合材プライ(たとえば、プリプレグ材料など)は、バット本体部(胴体部分と、テーパ付き部分と、グリップ部分とを含む)を形成するためにマンドレルに巻き付けられ、任意選択の強化用管状エレメントをカバーすることが可能である。ステップ430において、未硬化のバット本体部(強化用管状エレメントを除外する)が、ギャップ(たとえば、上記に説明されて
図3に示されているギャップ300など)を形成するために、円周方向にカットされ得る。ステップ440において、ギャップが、主要管状エレメントによって充填されるかまたは埋められ得る。ステップ450において、アセンブリは、ボールバットを形成するために硬化され得る。
【0043】
[0047]いくつかの実施形態では、強化用管状エレメントは、省略され得る。いくつかの実施形態では、ステップ430においてカットする代わりに、複合材プライは、巻き付けがギャップ(300)を残すように巻き付けられ得る。いくつかの実施形態では、金属バットは、カットされ得、主要管状エレメントと、任意選択で、強化用管状エレメントとを使用して、再接続され得る。本技術のさまざまな実施形態が、他の方式で組み立てられ得る。
【0044】
[0048]
図5は、本技術の別の実施形態によるジョイント500を有するボールバットの断面を図示している。上記に説明されているジョイント180のように、ジョイント500は、また、バットの打撃部分をグリップ部分から切り離す。ジョイント500は、
図1~
図3に関して上記に説明されているジョイント180と同様の場所に位置決めされ得る。外側シェルセグメント185と外側シェルセグメント190との間のギャップ510は、エラストマー材料またはエラストマー複合材(たとえば、上記に説明されているエラストマー複合材料の1つまたは複数など)などのような、材料520によって充填され得る。任意の数の層の複合材料が、外側シェルセグメント185、190を形成するために使用され得、任意の数の層のエラストマー複合材料が、ギャップ510を充填するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ギャップ510の幅G2は、おおよそ1インチから2インチの間にあることが可能であり、または、それは、他の寸法を有することが可能である。ギャップ510を充填するエラストマー複合材料は、
図1および
図2のバット100などのような、概して中空のバットの外側シェルの一部を形成している。
【0045】
[0049]
図5に図示されている実施形態のような実施形態では、比較的に可撓性のまたは弾性のエラストマー材料またはエラストマー複合材料が、バットの外側シェルの残りの部分(外側シェルセグメント185、190によって形成されている)の中に使用されているリジッド材料のセクションを効果的に交換している。これは、本明細書で説明されている他の実施形態と同様に、性能と振動または衝撃とを低減させることができる比較的に可撓性のゾーンを形成している。いくつかの実施形態では、バット形状を形成するためにプリプレグ複合材料をレイアップし、バット形状から材料を除去するためにバット形状のセクションをカットし、除去された材料をエラストマー材料またはエラストマー複合材料と交換し、アセンブリを硬化させることによって、ジョイント500が形成され得る。いくつかの実施形態では、ボールバットを作製するために、繊維マトリックスが、マンドレルに巻き付けられ得、ギャップ領域510を除く全体を通して、複合材エポキシまたは樹脂によってコーティングされるかまたは浸み込ませられ得、ギャップ領域510は、熱可塑性のポリウレタンまたは別の適切なエラストマー材料などのような、エラストマー材料によってコーティングされるかまたは浸み込ませられ得る。いくつかの実施形態では、ギャップ領域510の中の材料520は、エラストマーマトリックスの中に繊維材料を備えて形成されたエラストマー複合材料であることが可能であり、それは、ギャップ領域510の中のバットの全体的な外側シェルの厚さのほとんどまたはすべてを構成することが可能である。
【0046】
[0050]他の実施形態では、中空のボールバットの壁部の1つまたは複数のセクションは、より剛性のエポキシまたは樹脂ベースの層の複合材料に隣接する可撓性のおよび弾性のエラストマー複合材の層から構成された複合材スタックを含むことが可能である。たとえば、中空のグリップ部分の壁部、胴体壁部、または、テーパ付き部分における壁部は、複合材料の複数のプライ(たとえば、12プライなど)を含むことが可能であり、グリップ部分の選択されたセクションの中のいくつかのプライは、エラストマー複合材料になっている。特定の例では、セクションの中の4つを除くすべてのプライは、エラストマー複合材料であることが可能であり、残りのプライは、構造的支持のためにより剛性の複合材料(たとえば、エポキシ複合材料など)になっている。1つの実施形態は、エラストマー複合材料である4つを除くすべてのプライを必要とする可能性があるが、任意の適切な数のプライが、エラストマー複合材料であることが可能である。
【0047】
[0051]特定の実施形態では、最も外側の(バットの外径の周りの)プライ、および、最も内側の(バットの内径の周りの)プライは、エラストマー複合材プライを含むことが可能であり、一方、より剛性のエポキシ複合材プライが、エラストマー複合材プライの最も外側のグループと最も内側のグループとの間に挟まれ得る。エラストマー複合材層を有する複合材スタックを備えたバットの選択されたセクションは、衝撃と振動とを吸収するために、局所化された屈曲ゾーンを提供する。いくつかの実施形態では、エラストマー樹脂は、バットの1つまたは複数のパーツの中のエポキシの代わりに、複合材マトリックスとして使用され得、調整された柔軟性特性を有する概して連続的な壁部またはシェルをもたらす。
【0048】
[0052]いくつかの実施形態では、たとえば、BBCOR限界を満たすために必要とされるバットなどでは、より剛性のエポキシ複合材層が、最も外側の層の上に(バットの外径の周りに)、および、最も内側の層の周りに(バットの内径の周りに)位置決めされ得、一方、エラストマー複合材料の1つまたは複数のプライが、より剛性の最も外側のエポキシ複合材層と最も内側のエポキシ複合材層との間に位置決めされるかまたは挟まれ得る。そのような実施形態は、BBCOR標準のAccelerated Break-In(ABI)部分に準拠するための手段を提供することが可能であり、その理由は、最も外側の層が転がることまたは酷使から亀裂または破断を生じる場合には、バットが、性能の低減された柔らかくて遅い反応性のバットになるからである。したがって、エラストマー複合材層またはプライを有する複合材スタックを備えたバットの選択されたセクションは、バットの長さに沿って任意の適切な場所に位置決めされ得る。
【0049】
[0053]他の実施形態では、エラストマー複合材料の1つまたは複数の層またはプライは、たとえば、交互のエラストマー複合材の層およびエポキシまたは樹脂複合材の層などのような、さまざまな様式で複合材スタックの中に分配され得る。
【0050】
[0054]よりリジッドのエポキシまたは樹脂材料に対するエラストマー材料の比率は、ボールバットの全体的な柔軟性および耐久性に相関することが可能である。いくつかの実施形態では、ボールバットの外側シェルまたは胴体壁部を形成する複合材プライスタックの最大で75パーセントは、エラストマー複合材料を含むことが可能である。
【0051】
[0055]別の実施形態では、エラストマー材料またはエラストマー複合材料は、ボールバットの打撃表面の全長に沿って複合材バット壁部を形成する材料のスタックの中の1つまたは複数の層を形成することが可能であり、一方、材料のスタックの残りの部分は、打撃表面の長さに沿って全体的な柔軟性特性と胴体圧縮特性とを調整するために打撃表面の長さに沿って変化する厚さを有する、より剛性のまたはよりリジッドの複合材料を含むことが可能である。たとえば、例示的な実施形態では、リジッドの複合材料は、端部キャップ170およびテーパ付き部分130の近くにおいて、より薄くなっていることが可能であり、打撃表面の中間に向けて、より厚くなっていることが可能である。そのような実施形態は、打撃表面の中間の近くによりリジッドのセクションを提供することによって、BBCOR規制に準拠することが可能である。
【0052】
[0056]先述のものから、開示されている技術の具体的な実施形態は図示の目的のために説明されてきたこと、しかし、さまざまな修正が、本技術から逸脱することなく行われ得、特定の実施形態の要素が、他の実施形態の要素と相互交換され得ること、および、いくつかの実施形態は、いくつかの要素を省略することが可能であることが認識されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、主要管状エレメント(たとえば、主要管状エレメント310など)は、リジッドのまたは半リジッドの複合材料または金属材料によって作製され得る。
【0053】
[0057]さらに、開示されている技術の特定の実施形態に関連付けられた利点が、それらの実施形態の文脈において説明されてきたが、他の実施形態が、そのような利点を示すことも可能であり、すべての実施形態が、必ずしも、本技術の範囲内に入るためにそのような利点を示す必要があるとは限らない。したがって、本開示および関連の技術は、本明細書で明示的に示されていないまたは説明されていない他の実施形態を包含することが可能であり、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ボールバットであって、
第1の外側シェルセグメントと、
前記第1の外側シェルセグメントから長手方向に間隔を置いて配置され、前記第1の外側シェルセグメントと第2の外側シェルセグメントとの間にギャップを形成している、第2の外側シェルセグメントと、
前記第1の外側シェルセグメントを前記第2の外側シェルセグメントに接続するジョイントと
を備え、
前記第1の外側シェルセグメントは、前記ボールバットの胴体部分と、前記ボールバットのテーパ付き部分の少なくとも一部とを備え、
前記第2の外側シェルセグメントは、前記テーパ付き部分の少なくとも一部を備え、
前記ジョイントは、前記第1の外側シェルセグメントの中に位置決めされており、前記第1の外側シェルセグメントの内部表面に少なくとも部分的に重なっている第1の部分と、前記第2の外側シェルセグメントの中に位置決めされており、前記第2の外側シェルセグメントの内部表面に少なくとも部分的に重なっている第2の部分と、を有する管状エレメントを備え、前記管状エレメントは、エラストマー材料を備える、ボールバット。
[2] 前記第2の外側シェルセグメントは、前記ボールバットのグリップ部分をさらに備える、[1]に記載のボールバット。
[3] 前記ギャップは、前記ボールバットの前記テーパ付き部分の中に位置決めされている、[1]に記載のボールバット。
[4] 前記管状エレメントは、少なくとも部分的に前記ギャップの中へ延在する少なくとも部分的に円周方向の突出部を備える、[1]に記載のボールバット。
[5] 前記管状エレメントは、第1の管状エレメントであり、前記ボールバットは、前記第1の管状エレメントを強化するために前記第1の管状エレメントの中に位置決めされている第2の管状エレメントをさらに備える、[1]に記載のボールバット。
[6] 前記エラストマー材料は、第1の剛性を有しており、前記第2の管状エレメントは、前記第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する材料を備える、[5]に記載のボールバット。
[7] 前記第1の外側シェルセグメントまたは前記第2の外側シェルセグメントのうちの少なくとも1つは、複合材ラミネート材料を備える、[1]に記載のボールバット。
[8] 前記エラストマー材料は、強化繊維を有するエラストマー複合材を備える、[1]に記載のボールバット。
[9] 前記エラストマー材料は、ポリウレタン、エポキシ、アクリル、シアノアクリレート、シリコーン、またはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームのうちの1つまたは複数を備える、[1]に記載のボールバット。
[10] ボールバットであって、
第1の外側シェルセグメントと、前記第1の外側シェルセグメントは、前記ボールバットの胴体部分を形成している、
第2の外側シェルセグメントと、前記第2の外側シェルセグメントは、前記ボールバットのテーパ付き部分の少なくとも一部を形成しており、前記第2の外側シェルセグメントは、前記第1の外側シェルセグメントから所定のギャップだけ長手方向に間隔を置いて配置されている、
前記第1の外側シェルセグメントを前記第2の外側シェルセグメントに接合するために、前記第1の外側シェルセグメントと前記第2の外側シェルセグメントとの間に位置決めされているエラストマー材料と、前記エラストマー材料は、前記第1の外側シェルセグメントと前記第2の外側シェルセグメントとの間の相対的な移動を促進させるために、屈曲するように構成されている、
を備える、ボールバット。
[11] 前記第2の外側シェルセグメントは、前記ボールバットのグリップ部分をさらに形成している、[10]に記載のボールバット。
[12] 前記エラストマー材料は、強化繊維を含むエラストマー複合材料の1つまたは複数の層を備える、[10]に記載のボールバット。
[13] 前記エラストマー複合材料は、炭素、ガラス、グラファイト、ホウ素、アラミド、セラミック、またはシリカのうちの1つまたは複数の繊維を含む、[12]に記載のボールバット。
[14] 前記エラストマー材料は、ポリウレタン、エポキシ、アクリル、シアノアクリレート、シリコーン、またはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームのうちの1つまたは複数を備える、[10]に記載のボールバット。
[15] 前記第1の外側シェルセグメントは、前記ボールバットの前記テーパ付き部分の少なくとも一部をさらに形成している、[10]に記載のボールバット。
[16] 前記ギャップは、前記ボールバットの長手方向軸線に沿って、おおよそ幅1インチから幅2インチの間にある、[10]に記載のボールバット。
[17] 半径方向内向きの方向に前記エラストマー材料に隣接して位置決めされている強化用管状エレメントをさらに備え、前記エラストマー材料は、第1の剛性を有しており、前記強化用管状エレメントは、前記第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有している、[10]に記載のボールバット。
[18] ボールバットを作製する方法であって、
複合材ラミネート材料の1つまたは複数の層によって、第1の外側シェルセグメントを形成することと、ここにおいて、前記第1の外側シェルセグメントは、前記ボールバットの胴体部分を画定している、
複合材ラミネート材料の1つまたは複数の層によって、第2の外側シェルセグメントを形成することと、ここにおいて、前記第2の外側シェルセグメントは、前記第1の外側シェルセグメントから長手方向に間隔を置いて配置されており、前記ボールバットのテーパ付き部分の少なくとも一部を画定している、
前記第1の外側シェルセグメントを前記第2の外側シェルセグメントに接続するためにジョイントを形成することと、ここにおいて、前記ジョイントを形成することは、エラストマー材料を提供すること、および、前記エラストマー材料によって前記第1の外側シェルセグメントを前記第2の外側シェルセグメントに接続することを備える、
を備える、方法。
[19] 前記エラストマー材料を提供することは、強化繊維を備えるエラストマー複合材料の1つまたは複数の層を提供することを備える、[18]に記載の方法。
[20] 前記ジョイントを形成することは、前記ジョイントの内側に強化用管状エレメントを位置決めすることを備える、[18]に記載の方法。