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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】バルブとそれを用いた間欠塗工装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 5/04 20060101AFI20240116BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20240116BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240116BHJP
   F16K 11/22 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F16K5/04 E
B05C5/02
B05C11/10
F16K5/04 Z
F16K11/22 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019115177
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2021001646
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 康裕
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 文生
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-090922(JP,U)
【文献】実開昭63-112676(JP,U)
【文献】実開昭55-124661(JP,U)
【文献】特開2019-063780(JP,A)
【文献】特開2015-112520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0020645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00 - 5/04
B05C 7/00 - 21/00
F16K 3/00 - 3/36
F16K 5/00 - 5/22
F16K 11/00 - 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒型の第1弁箱と、
前記第1弁箱に開口した流体の第1流入口と、
前記第1弁箱の外周部に開口した前記流体の第1吐出口と、
前記第1弁箱内で回転する第1回転体と、
前記第1回転体を回転させる第1駆動部と、
前記第1回転体の外周部から突出するように設けられ、かつ、前記第1吐出口を閉塞する第1弁体と、
を有し、
前記第1回転体は、複数の扇形の扇開口部が形成されたインペラであり、
前記第1吐出口は、前記第1回転体の軸方向に延びたスリット状であり、
前記第1弁体の外周部は円弧状であって、スリット状の前記第1吐出口を閉塞できるものであり、前記第1弁体の外周面であって、前記軸方向には、凹部が形成され、前記凹部の前記軸方向の長さは、スリット状の前記第1吐出口の長さよりも大きく形成され、
前記第1駆動部で前記第1回転体を回転させて、前記第1弁体を前記第1吐出口の位置に配して前記第1吐出口を閉塞するか、又は、前記第1弁体を前記第1吐出口以外の位置に配して前記第1吐出口を開口する、
バルブ。
【請求項2】
円筒型の第2弁箱と、
前記第2弁箱の外周部に開口した流体の第2吐出口と、
前記第2弁箱に開口した前記流体の第2流入口と、
前記第2弁箱内で回転する第2回転体と、
前記第2回転体を回転させる第2駆動部と、
前記第2回転体の外周部に円筒型に設けられ、かつ、前記第2吐出口を閉塞する第2弁体と、
を有し、
前記第2回転体は、複数の扇形の扇開口部が形成されたインペラであり、
前記第2吐出口は、前記第2回転体の軸方向に延びたスリット状であり、
円筒型の前記第2弁体には、前記軸方向に切り欠き部が形成され、
前記切り欠き部が形成されている前記第2回転体の外周部が切り欠かれて前記流体の通過口が形成され、
前記切り欠き部の前記軸方向の長さは、スリット状の前記第2吐出口の長さよりも大きく形成され、
前記第2駆動部で前記第2回転体を回転させて、前記第2弁体を前記第2吐出口の位置に配して前記第2吐出口を閉塞するか、又は、前記切り欠き部を前記第2吐出口の位置に配して前記第2吐出口を開口する、
バルブ。
【請求項3】
円筒型の第1弁箱と、
前記第1弁箱の外周部に開口した流体の第1流入口と、
前記第1弁箱に開口した前記流体の第1吐出口と、
前記第1弁箱内で回転する第1回転体と、
前記第1回転体を回転させる第1駆動部と、
前記第1回転体の外周部から突出するように設けられ、かつ、前記第1流入口を閉塞する第1弁体と、
を有し、
前記第1回転体は、複数の扇形の扇開口部が形成されたインペラであり、
前記第1流入口は、前記第1回転体の軸方向に延びたスリット状であり、
前記第1弁体の外周部は円弧状であって、スリット状の前記第1流入口を閉塞できるものであり、前記第1弁体の外周面であって、前記軸方向には、凹部が形成され、前記凹部の前記軸方向の長さは、スリット状の前記第1流入口の長さよりも大きく形成され、
前記第1駆動部で前記第1回転体を回転させて、前記第1弁体を前記第1流入口の位置に配して前記第1流入口を閉塞するか、又は、前記第1弁体を前記第1流入口以外の位置に配して前記第1流入口を開口する、
バルブ。
【請求項4】
円筒型の第2弁箱と、
前記第2弁箱の外周部に開口した流体の第2流入口と、
前記第2弁箱に開口した前記流体の第2吐出口と、
前記第2弁箱内で回転する第2回転体と、
前記第2回転体を回転させる第2駆動部と、
前記第2回転体の外周部に円筒型に設けられ、かつ、前記第2流入口を閉塞する第2弁体と、
を有し、
前記第2回転体は、複数の扇形の扇開口部が形成されたインペラであり、
前記第2流入口は、前記第2回転体の軸方向に延びたスリット状であり、
円筒型の前記第2弁体には、前記軸方向に切り欠き部が形成され、
前記切り欠き部が形成されている前記第2回転体の外周部が切り欠かれて前記流体の通過口が形成され、
前記切り欠き部の前記軸方向の長さは、スリット状の前記第2流入口の長さよりも大きく形成され、
前記第2駆動部で前記第2回転体を回転させて、前記第2弁体を前記第2流入口の位置に配して前記第2流入口を閉塞するか、又は、前記切り欠き部を前記第2流入口の位置に配して前記第2流入口を開口する、
バルブ。
【請求項5】
前記第1流入口は、前記第1弁箱の一面、又は、前記第1弁箱の外周部に設けられている、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
前記第1回転体の回転軸を中心とした前記第1弁体の円弧開き角は、前記第1吐出口を閉塞する閉塞時間が長いほど大きい、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
第1弁座が、前記第1弁箱の内周面から突出し、
前記第1吐出口は、前記第1弁座に開口している、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項8】
前記第1弁箱は、前記軸方向が水平に配され、かつ、前記第1吐出口が最上部に位置するように設けられ、
前記第1流入口は、前記第1回転体の回転軸より下方に開口している、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項9】
前記第2流入口は、前記第2弁箱の一面、又は、前記第2弁箱の外周部に設けられている、
請求項2に記載のバルブ。
【請求項10】
前記第2回転体の回転軸を中心とした前記第2弁体の円弧開き角は、前記第2吐出口を閉塞する閉塞時間が長いほど大きい、
請求項2に記載のバルブ。
【請求項11】
第2弁座が、前記第2弁箱の内周面から突出し、
前記第2吐出口は、前記第2弁座に開口している、
請求項2に記載のバルブ。
【請求項12】
走行するウエブに塗工液を間欠塗工するダイと、
前記塗工液を供給するポンプと、
第1流入口が前記ポンプに接続され、第1吐出口が前記ダイに接続された第1バルブと、
を有した間欠塗工装置において、
前記第1バルブは、請求項1に記載のバルブであり、
前記第1駆動部で前記第1回転体を回転させて、前記第1弁体を前記第1吐出口の位置に配して前記第1吐出口を閉塞し前記ウエブに未塗工部を形成するか、又は、前記第1弁体を前記第1吐出口以外の位置に配して前記第1吐出口を開口し前記ウエブに塗工部を形成する、
間欠塗工装置。
【請求項13】
第2バルブをさらに有し、
前記ポンプは、タンクから前記塗工液を供給し、
前記ポンプから供給された前記塗工液は、第1分岐管と第2分岐管に分岐され、
前記第1バルブの前記第1流入口が、前記第1分岐管に接続され、
前記第2バルブの第2流入口が、前記第2分岐管に接続され、
前記第2バルブの第2吐出口が、前記タンクに接続され、
前記第2バルブは、請求項2に記載のバルブであり、
前記第2駆動部で前記第2回転体を回転させて、前記第2弁体を前記第2吐出口の位置に配して前記第2吐出口を閉塞し前記塗工液を前記タンクに循環させないか、又は、前記第2弁体を前記第2吐出口以外の位置に配して前記第2吐出口を開口し前記塗工液を前記タンクに循環させる、
請求項12に記載の間欠塗工装置。
【請求項14】
前記第1弁体が前記第1吐出口を開口しているときは、前記第2弁体が前記第2吐出口を閉塞し、
前記第1弁体が前記第1吐出口を閉塞しているときは、前記第2弁体が前記第2吐出口を開口している、
請求項13に記載の間欠塗工装置。
【請求項15】
走行するウエブに塗工液を間欠塗工するダイと、
前記塗工液を供給するポンプと、
第1流入口が前記ポンプに接続され、第1吐出口が前記ダイに接続された第1バルブと、
を有した間欠塗工装置において、
前記第1バルブは、請求項3に記載のバルブであり、
前記第1駆動部で前記第1回転体を回転させて、前記第1弁体を前記第1流入口の位置に配して前記第1流入口を閉塞し前記ウエブに未塗工部を形成するか、又は、前記第1弁体を前記第1流入口以外の位置に配して前記第1流入口を開口し前記ウエブに塗工部を形成する、
間欠塗工装置。
【請求項16】
第2バルブをさらに有し、
前記ポンプは、タンクから前記塗工液を供給し、
前記ポンプから供給された前記塗工液は、第1分岐管と第2分岐管に分岐され、
前記第1バルブの第1流入口が、前記第1分岐管に接続され、
前記第2バルブの第2流入口が、前記第2分岐管に接続され、
前記第2バルブの第2吐出口が、前記タンクに接続され、
前記第2バルブは、請求項4に記載のバルブであり、
前記第2駆動部で前記第2回転体を回転させて、前記第2弁体を前記第2流入口の位置に配して前記第2流入口を閉塞し前記塗工液を前記タンクに循環させないか、又は、前記切り欠き部を前記第2流入口の位置に配して前記第2流入口を開口し前記塗工液を前記タンクに循環させる、
請求項15に記載の間欠塗工装置。
【請求項17】
前記第1弁体が前記第1流入口を開口しているときは、前記第2弁体が前記第2流入口を閉塞し、
前記第1弁体が前記第1流入口を閉塞しているときは、前記第2弁体が前記第2流入口を開口している、
請求項16に記載の間欠塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブとそれを用いた間欠塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルム、紙、金属箔などに塗工液を塗工する場合に、ウエブの走行方向に沿ってダイによって塗工部と未塗工部を間欠塗工する間欠塗工装置がある。このときに、ダイに塗工液を供給するバルブを開閉し、塗工部と未塗工部とを交互に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-112520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような間欠塗工装置におけるバルブは、ボイスコイルモータなどを使用した直動式のものであるため、その開閉を迅速に行うことが困難であり、未塗工部の長さを短くすることが困難であるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、バルブの吐出口の開閉を迅速に行うことができる回転式バルブと、そのバルブを用いた間欠塗工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、円筒型の第1弁箱と、前記第1弁箱に開口した流体の第1流入口と、前記第1弁箱の外周部に開口した前記流体の第1吐出口と、前記第1弁箱内で回転する第1回転体と、前記第1回転体を回転させる第1駆動部と、前記第1回転体の外周部から突出するように設けられ、かつ、前記第1吐出口を閉塞する第1弁体と、を有し、前記第1回転体は、複数の扇形の扇開口部が形成されたインペラであり、前記第1吐出口は、前記第1回転体の軸方向に延びたスリット状であり、前記第1弁体の外周部は円弧状であって、スリット状の前記第1吐出口を閉塞できるものであり、前記第1弁体の外周面であって、前記軸方向には、凹部が形成され、前記凹部の前記軸方向の長さは、スリット状の前記第1吐出口の長さよりも大きく形成され、前記第1駆動部で前記第1回転体を回転させて、前記第1弁体を前記第1吐出口の位置に配して前記第1吐出口を閉塞するか、又は、前記第1弁体を前記第1吐出口以外の位置に配して前記第1吐出口を開口する、バルブである。
【0007】
また、本発明は、円筒型の第2弁箱と、前記第2弁箱の外周部に開口した流体の第2吐出口と、前記第2弁箱に開口した前記流体の第2流入口と、前記第2弁箱内で回転する第2回転体と、前記第2回転体を回転させる第2駆動部と、前記第2回転体の外周部に円筒型に設けられ、かつ、前記第2吐出口を閉塞する第2弁体と、を有し、前記第2回転体は、複数の扇形の扇開口部が形成されたインペラであり、前記第2吐出口は、前記第2回転体の軸方向に延びたスリット状であり、円筒型の前記第2弁体には、前記軸方向に切り欠き部が形成され、前記切り欠き部が形成されている前記第2回転体の外周部が切り欠かれて前記流体の通過口が形成され、前記切り欠き部の前記軸方向の長さは、スリット状の前記第2吐出口の長さよりも大きく形成され、前記第2駆動部で前記第2回転体を回転させて、前記第2弁体を前記第2吐出口の位置に配して前記第2吐出口を閉塞するか、又は、前記切り欠き部を前記第2吐出口の位置に配して前記第2吐出口を開口する、バルブである。
【0008】
また、本発明は、円筒型の第1弁箱と、前記第1弁箱の外周部に開口した流体の第1流入口と、前記第1弁箱に開口した前記流体の第1吐出口と、前記第1弁箱内で回転する第1回転体と、前記第1回転体を回転させる第1駆動部と、前記第1回転体の外周部から突出するように設けられ、かつ、前記第1流入口を閉塞する第1弁体と、を有し、前記第1回転体は、複数の扇形の扇開口部が形成されたインペラであり、前記第1流入口は、前記第1回転体の軸方向に延びたスリット状であり、前記第1弁体の外周部は円弧状であって、スリット状の前記第1流入口を閉塞できるものであり、前記第1弁体の外周面であって、前記軸方向には、凹部が形成され、前記凹部の前記軸方向の長さは、スリット状の前記第1流入口の長さよりも大きく形成され、前記第1駆動部で前記第1回転体を回転させて、前記第1弁体を前記第1流入口の位置に配して前記第1流入口を閉塞するか、又は、前記第1弁体を前記第1流入口以外の位置に配して前記第1流入口を開口する、バルブである。
【0009】
また、本発明は、円筒型の第2弁箱と、前記第2弁箱の外周部に開口した流体の第2流入口と、前記第2弁箱に開口した前記流体の第2吐出口と、前記第2弁箱内で回転する第2回転体と、前記第2回転体を回転させる第2駆動部と、前記第2回転体の外周部に円筒型に設けられ、かつ、前記第2流入口を閉塞する第2弁体と、を有し、前記第2回転体は、複数の扇形の扇開口部が形成されたインペラであり、前記第2流入口は、前記第2回転体の軸方向に延びたスリット状であり、円筒型の前記第2弁体には、前記軸方向に切り欠き部が形成され、前記切り欠き部が形成されている前記第2回転体の外周部が切り欠かれて前記流体の通過口が形成され、前記切り欠き部の前記軸方向の長さは、スリット状の前記第2流入口の長さよりも大きく形成され、前記第2駆動部で前記第2回転体を回転させて、前記第2弁体を前記第2流入口の位置に配して前記第2流入口を閉塞するか、又は、前記切り欠き部を前記第2流入口の位置に配して前記第2流入口を開口する、バルブである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転体を高速で回転させることにより、弁体が吐出口を閉塞しているときと開口しているときの切り換えを高速に行うことができる。
【0011】
また、本発明によれば、第1回転体を高速で回転させることにより、第1弁体で第1吐出口を閉塞している時間を短くでき、それによってウエブに塗工液を塗工しない未塗工部の長さを短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1を示す間欠塗工装置の説明図である。
図2】間欠塗工したウエブの平面図である。
図3】塗工部を塗工しているときの第1バルブと第2バルブの概略説明図である。
図4】未塗工部を形成しているときの第1バルブと第2バルブの概略説明図である。
図5】第1バルブの分解斜視図である。
図6】第1バルブを側面から見た縦断面図である。
図7図6におけるA-A線断面図である。
図8】第1弁体と第1吐出口の位置関係を示す縦断面説明図である。
図9】第1弁体が第1吐出口の位置関係を示す平面説明図である。
図10】第2バルブの分解斜視図である。
図11】第2バルブの側面から見た縦断面図である。
図12図10におけるB-B線断面図である。
図13】第2弁体と第2吐出口の位置関係を示す縦断面説明図である。
図14】第2弁体と第2吐出口の位置関係を示す平面説明図である。
図15】実施形態2における塗工部を塗工しているときの第1バルブと第2バルブの概略説明図である。
図16】実施形態2における未塗工部を形成しているときの第1バルブと第2バルブの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態の回転式の第1バルブ100、第2バルブ200及びそれを用いた間欠塗工装置1について図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態の間欠塗工装置1は、ウエブWに対し走行方向に沿って塗工部と未塗工部とを交互に塗工するものであり、ウエブWとしては例えば、フィルム、紙、金属箔、金属網などである。なお、本明細書において「円筒型」とは、「円環型」、「リング型」を含む概念である。
【実施形態1】
【0015】
実施形態1の回転式の第1バルブ100、第2バルブ200及びそれを用いた間欠塗工装置1について図1図14を参照して説明する。
【0016】
(1)間欠塗工装置1
間欠塗工装置1について図1図2を参照して説明する。
【0017】
ウエブWは、図1に示すように、バックアップロール12の右周面を下から上に走行している。バックアップロール12の右側には、塗工液を塗工するためのダイ14が設けられている。ダイ14は、上本体16と下本体18よりなり、上本体16の左側は先端にいくほど狭く三角形に形成されている。下本体18も左側に行くほど狭く三角形に形成されている。下本体18の上周面には液溜め部20が形成されている。この液溜め部20からダイ14の先端に向かって、液通路22が形成されている。すなわち、液通路22は、上本体16の下面と下本体18の上面との間に形成されている。この液通路22の先端には吐出口24が形成されている。この吐出口24は、ウエブWの幅方向に沿ってスリット状である。液溜め部20から下本体18の下面に向かって供給口26が形成されている。
【0018】
タンク28には塗工液が溜められている。このタンク28に溜められた塗工液はポンプ30によって単位時間当たり一定量で圧送される。ポンプ30から圧送された塗工液は分岐部32を経て第1分岐管34と第2分岐管36に送られる。第1分岐管34に供給された塗工液は第1バルブ100を経て、第1供給管38からダイ14の供給口26に供給される。一方、分岐部32で第2分岐管36に分岐された塗工液は、第2バルブ200を経て、第2供給管40からタンク28に循環される。
【0019】
間欠塗工装置1は、コンピュータよりなる制御部50を有し、この制御部50には、バックアップロール12を回転させるロールモータ42、ポンプ30、第1バルブ100を駆動する第1モータ130、第2バルブ200を駆動する第2モータ230が接続されている。
【0020】
(2)第1バルブ100
回転式の第1バルブ100について図3図8を参照して説明する。
【0021】
第1バルブ100は、図5に示すように、円筒型の第1弁箱102を有している。円筒型の第1弁箱102の表面には円板形の第1表板104が設けられて閉塞され、第1弁箱102の裏面には円板形の第1裏板106が設けられて閉塞されている。
【0022】
第1弁箱102の外周面の上部には円管よりなる第1吐出管108が突出し、ダイ14から延びている第1供給管38と接続されている。この第1吐出管108の底面は円形に開口している。
【0023】
第1弁箱102の内周面であって、第1吐出管108の部分には、図6図7に示すように、直方体よりなる第1弁座118が設けられている。この第1弁座118は、第1弁箱102の厚さよりも厚く形成され、第1弁箱102の内周面よりも第1弁座118の内周面がM1だけが突出している(図8(c)参照)。図8図9に示すように、第1弁座118の軸方向には、スリット状の第1吐出口120が形成されている。
【0024】
図5に示すように、第1表板104には、円形の第1流入口122が開口している。第1弁箱102の軸方向を水平に配し、かつ、第1吐出口120を最上部に配した場合に、図7に示すように、この第1流入口122の位置は、第1回転軸112よりも下方に開口している。図3図4に示すように、この第1流入口122には、第1分岐管34が接続されている。 これにより、ポンプ30から圧送された塗工液は分岐部32で分岐され、第1バルブ100の第1弁箱102に供給される。
【0025】
第1裏板106の中心部には、第1軸孔124が貫通している。この第1軸孔124の内周部には、円筒型の第1ダイナリップシール126が設けられている。
【0026】
第1弁箱102の内部には、第1回転体110が配されている。図5に示すように、この第1回転体110は円板形であって、中心部に円筒型の第1回転軸112が突出している。第1回転体110の外周部と第1回転軸112の間には4個の扇形の第1扇開口部114が設けられている。図5図7に示すように、この第1扇開口部114の外周部と内周部に挟まれた径方向の一辺には、厚みが次第に薄くなる第1羽根116が形成されている。これにより、第1回転体110は、インペラの役割を果たしている。
【0027】
図5に示すように、第1回転体110の外周部には、第1弁体140が取り付けられている。この第1弁体140は、図7に示すように正面から見て円弧状であり、図9に示すように、上方から見て長方形であって、第1弁箱102の軸方向に延びている。第1弁箱102の内周の半径をR1(図7参照)、第1弁座118の突出寸法をM1(図8(c)参照)、第1回転体110の半径をR2(図7参照)とした場合に、第1弁体140の径方向の長さM2は、M2=R1-R2-M1となる。また、第1弁体140の軸方向の長さM3は、スリット状の第1吐出口120を完全に閉塞できる寸法に設定されている(図9(a)、(c)参照)。
【0028】
第1弁体140の外周面であって、軸方向には、図5図7図9に示すように凹部142が形成されている。この凹部142の軸方向の長さM4は、スリット状の第1吐出口120の長さNよりもやや大きく形成されている(図9(a)、(c)参照)。
【0029】
図3図4に示すように、第1弁体140の周方向の長さ、すなわち第1回転軸112を中心とした第1弁体140の第1円弧開き角θ1は、第1回転体110の第1回転速度ω1と第1吐出口120を閉塞する閉塞時間によって求められる。これについては後から詳しく説明する。
【0030】
図6に示すように、第1裏板106の外方であって第1軸孔124の位置には円筒状の第1支持部128が設けられている。この円筒型の第1支持部128には、図6に示すように、サーボモータよりなる第1モータ130が取り付けられている。また、円筒型の第1支持部128の内周には第1ベアリング134,136が配され、第1モータ130の回転する第1駆動軸132を回転自在に支持している。第1モータ130の第1駆動軸132は、第1支持部128を貫通し、第1軸孔124の第1ダイナリップシール126を貫通し、第1回転体110の第1回転軸112に固定されている。図6に示すように、第1回転体110は、第1モータ130の第1駆動軸132が回転することにより回転する。
【0031】
(3)第2バルブ200
次に、回転式の第2バルブ200について図3図4図10図14を参照して説明する。
【0032】
第2バルブ200は、図10に示すように、円筒型の第2弁箱202を有している。円筒型の第2弁箱202の表面には円板形の第2表板204が設けられて閉塞され、第2弁箱202の裏面には円板形の第2裏板206が設けられ閉塞されている。
【0033】
第2弁箱202の外周面の上部には円管よりなる第2吐出管208が突出し、第2供給管40と接続されている。この第2吐出管208の底面は円形に開口している。
【0034】
第2弁箱202の内周面であって、第2吐出管208の部分には、図11図12に示すように、直方体よりなる第2弁座218が設けられている。この第2弁座218は、第2弁箱202の厚さよりも厚く形成され、第2弁箱202の内周面よりも第2弁座218の内周面がm1だけが突出している(図13(a)参照)。図13図14に示すように、第2弁座218の軸方向には、スリット状の第2吐出口220が形成されている。
【0035】
図10に示すように、第2表板204には、円形の第2流入口222が開口している。第2弁箱202の軸方向を水平に配し、かつ、第2吐出口220を最上部に配した場合に、図12に示すように、この第2流入口222の位置は、第2回転軸212よりも下方に開口している。図3図4に示すように、この第2流入口222には、第2分岐管36が接続されている。これにより、ポンプ30から圧送された塗工液は分岐部32で分岐され、第2バルブ200の第2弁箱202に供給される。
【0036】
第2裏板206の中心部には、第2軸孔224が貫通している。この第2軸孔224の内周部には、円筒型の第2ダイナリップシール226が設けられている。
【0037】
第2弁箱202の内部には、第2回転体210が配されている。図10に示すように、この第2回転体210は円板形であって、中心部に円筒型の第2回転軸212が突出している。第2回転体210の外周部と第2回転軸212の間には4個の扇形の第2扇開口部214が設けられている。図11図12に示すように、この第2扇開口部214の外周部と内周部に挟まれた径方向の一辺には、厚みが次第に薄くなる第2羽根216が形成されている。これにより、第2回転体210は、インペラの役割を果たしている。
【0038】
第2回転体210の外周部には、図10図12に示すように、円筒型の第2弁体240が設けられている。この円筒型の第2弁体240の一部には軸方向に切欠き部242が形成されている。この切欠き部242が形成されている第2回転体210の外周部は図12図13に示すように円形に切り欠かれ、通過口244を形成している。
【0039】
第2弁箱202の内周の半径をr1(図12参照)、第2弁座218の突出寸法をm1(図13(a)参照)、第2回転体210の半径をr2(図12参照)とした場合に、第2弁体240の径方向の長さm2は、m2=r1-r2-m1となる。また、第2弁体240の切欠き部242の幅方向の長さm3は、スリット状の第2吐出口220を完全に開口できる寸法に設定され、第2弁体240の切欠き部242の軸方向の長さm4は、スリット状の第2吐出口220の長さnを完全に開口できる寸法に設定されている(図14(a)、(c)参照)。
【0040】
図3図4に示すように、第2弁体240の周方向の長さ、すなわち第2回転軸212を中心とした第2弁体240の第2円弧開き角θ2は、第2回転体210の第2回転速度ω2と第2吐出口220を閉塞する閉塞時間によって求められる。これについては後から詳しく説明する。
【0041】
図11に示すように、第2裏板206の外方であって第2軸孔224の位置には円筒状の第2支持部228が設けられている。この円筒型の第2支持部228には、図11に示すように、サーボモータよりなる第2モータ230が取り付けられている。また、円筒型の第2支持部228の内周には第2ベアリング234,236が配され、第2モータ230の回転する第2駆動軸232を回転自在に支持している。第2モータ230の第2駆動軸232は、第2支持部228を貫通し、第2軸孔224の第2ダイナリップシール226を貫通し、第2回転体210の第2回転軸212に固定されている。図11に示すように、第2回転体210は、第2モータ230の第2駆動軸232が回転することにより回転する。
【0042】
(4)第1バルブ100と第2バルブ200の関係
次に、第1バルブ100と第2バルブ200との関係について図2図4を参照して説明する。なお、第1バルブ100と第2バルブ200は、軸方向が水平で、かつ、第1吐出口120と第2吐出口220が最上部にくるように間欠塗工装置1の不図示のフレームに取り付ける。
【0043】
図2は、ウエブWの平面図であり、塗工部44と未塗工部46とを交互に走行方向に沿って形成したものである。塗工部44の長さをL1、未塗工部46の長さをL2とする。ダイ14では、塗工部44を形成するときは第1バルブ100から塗工液が圧送され、未塗工部46を形成するときは塗工液が第1バルブ100から圧送されないようにする必要がある。
【0044】
図3は、塗工部44を形成しているときの第1バルブ100と第2バルブ200の概略説明図であり、図4は未塗工部46を形成しているときの第1バルブ100と第2バルブ200の概略説明図である。
【0045】
図3図4に示すように、塗工部44を形成するときは、第1弁体140は、第1吐出口120以外に位置し、第2弁体240は第2吐出口220を閉塞しておく必要がある。これにより、塗工液は第1バルブ100からダイ14にのみ送られ、第2バルブ200からタンク28には循環しない。一方、未塗工部46を形成するときは、第1弁体140は、第1吐出口120を閉塞し、ダイ14に塗工液が流れないようにする。また、第2弁体240の切欠き部242が第2吐出口220の位置に回転し、第2吐出口220を開口し、塗工液がタンク28に循環する。
【0046】
ウエブWの走行速度Vと回転速度(角速度)ωとの関係について説明する。なお、第1回転体110の回転速度ω1=第2回転体210の回転速度ω2=ωとする。
【0047】
第1回転体110と第2回転体210とが、回転速度ωでθ2°回転している間は、第1吐出口120は開口し、第2吐出口220は閉塞し、塗工液がダイ14から供給され、塗工部44が形成される。塗工部44の長さがL1であるため、

第1吐出口120の開口時間=第2吐出口220の閉塞時間
=塗工時間t1=L1/V ・・・(1)

となる。そして、この塗工時間t1の間に、第1回転体110と第2回転体210とが、θ2°回転するため、

回転速度ω=θ2/t1 ・・・(2)

となる。(1)式と(2)式より、

L1=θ2×V/ω ・・・(3)

一方、第1回転体110と第2回転体210とが、θ1°回転している間は、第1吐出口120は閉塞し、第2吐出口220は開口し、塗工液がダイ14から供給されず、未塗工部46が形成される。未塗工部46の長さがL2であるため、

第1吐出口120の閉塞時間=第2吐出口220の開口時間
=未塗工時間t2=L2/V ・・・(4)

となる。そして、この未塗工時間t2の間に、第1回転体110と第2回転体210とが、θ1°回転するため、

回転速度ω=θ1/t2 ・・・(5)

(3)式と(4)式より、

L2=θ1×V/ω ・・・(6)

となる。また、

θ2°=360°-θ1° ・・・(7)

である。これら(1)式~(7)式により、

L2=(360×V/ω)-L1 ・・・(8)

θ1/θ2=L2/L1 ・・・(9)

となる。ウエブWの走行速度Vが一定であり、第1回転体110と第2回転体210の回転速度ωを上げれば上げるほど、(3)式、(6)式より、L1、L2が比例して短くできる。また、第1円弧開き角θ1と第2円弧開き角θ2は、(9)式により塗工部の長さL1と未塗工部の長さL2によって決まる。
【0048】
(5)第1弁体140の役割
第1弁体140について図7図9を参照して説明する。第1弁体140は、ほぼ直方体であり、軸方向に長く形成されている。そして、外周面には凹部142が軸方向に沿って設けられている。一方、第1吐出口120は、第1弁座118に軸方向にスリット状に貫通している。
【0049】
第1弁座118は、図8(c)に示すように、第1弁箱102の内周よりもM1だけ突出しているため、図8(a)(e)に示すように、第1弁体140の外周面と、第1弁箱102の内周面とは接触せずスムーズに回転できる。
【0050】
また、第1弁体140は軸方向に長く、第1吐出口120を閉塞する方向に回転するため、図8(b)(c)、図9(b)(c)に示すように、スリット状の第1吐出口120を迅速に閉塞、開口できる。そのため、ダイ14からの塗工液の吐出を迅速に停止できる。また、ダイ14から戻ろうとする塗工液があっても、第1弁体140の外周面には凹部142が形成されているため、この液バックを吸収でき、塗工部44の端部が盛り上がりにくい。
【0051】
第1回転体110には、図7に示すように、第1扇開口部114が設けられ、第1羽根116が4枚形成されている。そのため、回転している第1回転体110の遠心力により外周側に移動しようとする塗工液を、第1羽根116により内周側に案内し、第1弁箱102内の塗工液をかき混ぜることができる。
【0052】
また、第1流入口122は、図7に示すように、第1表板104の下部に設けられているため、塗工液に空気が流入していても、第1バルブ100内にある空気は、第1吐出口120から抜けやすい。
【0053】
なお、第1バルブ100の第1弁体140の初期位置を設定するために、板部材をスリット状の第1吐出口120から挿入して、第1回転体110を回転させる。そして、その板部材に第1弁体140が当接し、それ以上回転しない位置を初期位置とする。
【0054】
(6)第2弁体240の役割
次に、第2回転体210について図12図14を参照して説明する。第2回転体210の第2弁体240は殆ど円筒型であり、図13(a)(e)に示すように、第2弁座218にある第2吐出口220を殆ど閉塞している。また、第2弁座218は、図13(c)に示すように、第2弁箱202の内周面からm1だけ突出しているため、第2弁体240の外周面が第2弁箱202の内周面と接触せず回転できる。
【0055】
第2弁体240の切欠き部242が、図13(c)に示すように、第2吐出口220に位置したときには、第2吐出口220が開口し塗工液をタンク28に循環できる。このとき、切欠き部242にある第2回転体210の外周面には円形の通過口244が設けられているため、この第2回転体210が障害にならず塗工液を第2吐出口220に流すことができる。一方、第2吐出口220は、図13(a)~(e)、図14(a)~(e)に示すように、軸方向に延びるスリット状であるため、第2弁体240の端部で迅速に開口でき、また、閉塞できる。そのため、塗工液の液切れを迅速に行うことができる。
【0056】
第2回転体210には、図12に示すように、第2扇開口部214が設けられ、第2羽根216が4枚形成されている。そのため、回転している第2回転体210の遠心力により外周側に移動しようとする塗工液を、第2羽根216により内周側に案内し、第2弁箱202内の塗工液をかき混ぜることができる。
【0057】
また、第2流入口222は、図12に示すように、第2表板204の下部に設けられているため、塗工液に空気が流入しても、第2バルブ200内の空気は、第2吐出口220から抜けやすい。
【0058】
なお、第2バルブ200の第2弁体240の初期位置を設定するために、板部材をスリット状の第2吐出口220から挿入して、第2回転体210を回転させる。そして、その板部材に第2弁体240が当接し、それ以上回転しない位置を初期位置とする。
【0059】
(7)効果
本実施形態によれば、第1バルブ100第1回転体110と第2バルブ200の第2回転体210を回転させて第1吐出口120と第2吐出口220を交互に開閉することにより、ウエブWに塗工部44と未塗工部46とを交互に形成できる。
【0060】
また、第1回転体110と第2回転体210の回転速度を上げることにより、未塗工部46の長さL2を短くできる。
【0061】
また、第1吐出口120が軸方向に延びたスリット状であるため、第1弁体140で迅速に開閉できる。また、第1弁体140には凹部142が形成されているため、ダイ14からの液バックを吸収でき、塗工部44の端部に盛り上がり部分が形成されにくい。
【0062】
また、第2吐出口220が軸方向に延びたスリット状であるため、第2弁体240で迅速に開閉できる。
【0063】
また、第1バルブ100の第1弁座118が第1弁箱102の内周面から突出しているため、回転している第1弁体140が第1弁箱102の内周面と接触しない。また、第2バルブ200の第2弁座218が第2弁箱202の内周面から突出しているため、回転している第2弁体240が第2弁箱202の内周面と接触しない。
【0064】
(8)変更例
上記実施形態では、第1流入口122と第2流入口222は、第1表板104と第2表板204の下部に設けたが、これに代えて中心部又は上部に設けてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、第1バルブ100の第1流入口122を第1表板104に設けたが、これに代えて、第1弁箱102の外周部に設けてもよい。第2バルブ200の第2流入口222も同様に第2弁箱202の外周部に設けてもよい。
【実施形態2】
【0066】
次に、実施形態2の回転式の第1バルブ100、第2バルブ200及びそれを用いた間欠塗工装置1について図15図16を参照して説明する。
【0067】
本実施形態と実施形態1の異なる点は、第1バルブ100と第2バルブ200にある。実施形態1では第1バルブ100及び第2バルブ200において、弁体が吐出口を開閉する構造であったが、本実施形態では吐出口は常に開口し、流入口を弁体が開閉する構造である。
【0068】
第1バルブ100について図15図16を参照して説明する。
【0069】
第1弁箱102の外周部には、第1吐出口120と第1流入口122がそれぞれ設けられている。第1吐出口120は、第1弁箱102を貫通した円形の孔である。
【0070】
第1流入口122には、第1弁座118が設けられ、第1弁箱102の内周面よりもやや突出している。そしてこの第1弁座118にスリット状の第1流入口122が設けられている。この第1流入口122は、軸方向に沿って開口している。
【0071】
第1弁箱102の内部に回転自在に設けられている第1回転体110は実施形態1と同様の構造である。第1回転体110の外周部には、第1流入口122を閉塞する第1弁体140が設けられている。この第1弁体140によって、第1流入口122から流入する塗工液を供給したり停止させたりする。第1吐出口120は、常に開口している。第1流入口122から塗工液が流入すると第1吐出口120からダイ14に供給され、第1弁体140によって第1流入口122からの塗工液の流入が停止すると、ダイ14への塗工液の供給も停止される。
【0072】
第1流入口122を第1弁体140で閉塞するときに、ダイ14から液バックが生じる可能性がある。この場合に、実施形態2の第1バルブ100においては、第1吐出口120から液バックされた塗工液は、第1弁箱102内部の容積全体で吸収し、かつ、第1回転体110のインペラ性能により、塗工部44の終端部に盛り上がりが生じない。
【0073】
なお、第1弁体140は、突出した第1弁座118に設けられている第1流入口122を閉塞するように、第1回転体110の回転軸からの長さが設定されているため、第1弁体140が第1吐出口120を閉塞しない。
【0074】
第2バルブ200においても、第1バルブ100と同様に第2弁体240が、第2流入口222を閉塞する構造となっている。
【0075】
なお、実施形態2の変更例として、第1吐出口120を第1表板104の上部に設けてもよい。
【0076】
また、第1バルブ100は実施形態2の構造のものを用い、第2バルブ200は、実施形態1の第2バルブ200を用いてもよい。
【変更例】
【0077】
上記各実施形態では、第1バルブ100と第2バルブ200の回転速度は同じであったが、異なる回転速度にしてもよい。この場合には第1バルブ100と第2バルブ200の径を変更してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、第1回転体110と第2回転体210には、それぞれ扇開口部が4個開口し、羽根を設けたが、このような扇開口部を設けず、インペラ構造にはしないで、単なる円板形に形成してもよい。
【0079】
また、第1表板104、第2表板204と第1裏板106、第2裏板206は、透明板でもよい。透明であると第1バルブ100、第2バルブ200内の塗工液の状態を外部から視認できる。
【0080】
また、第1バルブ100内の塗工液の内圧を測定する場合には、第1弁箱102の外周部から内部に圧力センサを差し込み測定する。第2バルブ200も同様である。
【0081】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10・・・間欠塗工装置、14・・・ダイ、28・・・タンク、30・・・ポンプ、50・・・制御部、100・・・第1バルブ、102・・・第1弁箱、110・・・第1回転体、120・・・第1吐出口、122・・・第1流入口、130・・・第1モータ、140・・・第1弁体、200・・・第2バルブ、202・・・第2弁箱、210・・・第2回転体、220・・・第2吐出口、222・・・第2流入口、230・・・第2モータ、240・・・第2弁体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16