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特許7420507連続した出力伝達電流を生成するスイッチングレギュレータ及びその動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】連続した出力伝達電流を生成するスイッチングレギュレータ及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240116BHJP
   H02M 3/07 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H02M3/155 A
H02M3/155 H
H02M3/07
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019148397
(22)【出願日】2019-08-13
(65)【公開番号】P2020078224
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0134439
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白 種 範
(72)【発明者】
【氏名】金 東 秀
(72)【発明者】
【氏名】方 俊 錫
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0163157(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0176076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0089910(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックモード、バックブーストモード、及びブーストモードを支援するスイッチングレギュレータであって、
入力ノードと接地ノードとの間で順次に直列連結された第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、及び第4スイッチと、
前記入力ノードに連結された一端と、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチに連結された一端とを有する第5スイッチと、
前記第2スイッチ及び前記第3スイッチに連結された一端と、出力ノードに連結された一端とを有するインダクタと、
前記出力ノードに連結された一端と、前記接地ノードに連結された一端とを有する出力キャパシタと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチに連結された一端と、前記第3スイッチ、前記第4スイッチ、及び前記第5スイッチに連結された一端とを有するフライングキャパシタと、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、前記第4スイッチ、及び前記第5スイッチを制御するように構成されたコントローラと、を備え
前記コントローラは、基準電圧及び前記入力ノードの電圧に基づいて前記スイッチングレギュレータのモードを設定し、設定されたモードに従って前記第1~第5スイッチを制御するように更に構成され
前記コントローラは、前記バックモード時、前記フライングキャパシタが前記入力ノードの電圧のノイズを抑制するように前記第1~第5スイッチを制御するように更に構成され、
前記出力ノードの電圧は、前記基準電圧を変更することによって変更されることを特徴とするスイッチングレギュレータ。
【請求項2】
前記コントローラは、前記バックブーストモード時、第1位相で前記第1スイッチ、前記第3スイッチ、及び前記第4スイッチをオンにして前記第2スイッチ及び前記第5スイッチをオフにし、第2位相で前記第2スイッチ及び前記第5スイッチをオンにして前記第1スイッチ、前記第3スイッチ、及び前記第4スイッチをオフにすることを特徴とする請求項に記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記バックブーストモード時、前記第2位相に後続する第3位相で前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第4スイッチをオンにして前記第3スイッチ及び前記第5スイッチをオフにすることを特徴とする請求項に記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項4】
前記インダクタを通過する電流は、前記第1位相及び前記第2位相で前記出力キャパシタ及び前記出力ノードに連結される負荷に提供されることを特徴とする請求項に記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項5】
前記コントローラは、前記ブーストモード時、第1位相で前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第4スイッチをオンにして前記第3スイッチ及び前記第5スイッチをオフにし、第2位相で前記第2スイッチ及び前記第5スイッチをオンにして前記第1スイッチ、前記第3スイッチ、及び前記第4スイッチをオフにすることを特徴とする請求項に記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項6】
前記インダクタを通過する電流は、前記第1位相及び前記第2位相で前記出力キャパシタ及び前記出力ノードに連結される負荷に提供されることを特徴とする請求項に記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項7】
前記コントローラは、前記バックモード時、第1位相で前記第1スイッチ、前記第3スイッチ、及び前記第4スイッチをオンにして前記第2スイッチ及び前記第5スイッチをオフにし、第2位相で前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第4スイッチをオンにして前記第3スイッチ及び前記第5スイッチをオフにすることを特徴とする請求項に記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項8】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、前記第4スイッチ、及び前記第5スイッチに加わる電圧は、前記バックブーストモード、前記ブーストモード、及び前記バックモードに関係なく、前記入力ノードの電圧以下であることを特徴とする請求項に記載のスイッチングレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給電圧生成に関し、より詳細には、連続した出力伝達電流を生成するスイッチングレギュレータ及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
供給電圧(supply voltage)は、電子部品に電力を提供するために生成され、電子部品による電力消耗を低減させるために、電子部品に提供される供給電圧のレベルが変更される。例えば、デジタル信号を処理するデジタル回路の場合、相対的に低い性能が要求されるときに低レベルの供給電圧が提供される一方、相対的に高い性能が要求されるときに高レベルの供給電圧が提供される。それにより、多様なレベルの供給電圧を生成することができるスイッチングレギュレータが使用され、スイッチングレギュレータは、迅速に変更可能に低減されたノイズを有する供給電圧を生成することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/014931号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、連続した出力伝達電流を生成るスイッチングレギュレータ及びその動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による入力電圧から出力電圧を生成するスイッチングレギュレータは、インダクタと、前記インダクタを通過する電流によって前記出力電圧を生成する出力キャパシタと、フライングキャパシタと、バックブースト(buck-boost)モード時又はブーストモード時、第1位相で前記フライングキャパシタを前記入力電圧に充電し、第2位相で電荷ポンピングによって前記入力電圧からブースティングされた電圧を前記フライングキャパシタから前記インダクタに提供する複数のスイッチと、を備える。
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による入力電圧から出力電圧を生成するスイッチングレギュレータは、インダクタと、前記インダクタを通過する電流によって前記出力電圧を生成する出力キャパシタと、フライングキャパシタと、バックブーストモード時又はブーストモード時、第1位相で前記インダクタに前記入力電圧又は接地電圧を提供し、第2位相で電荷ポンピングによって前記入力電圧からブースティングされた電圧を前記フライングキャパシタから前記インダクタに提供する複数のスイッチと、を備える。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の更に他の態様による入力ノード及び出力ノードを有するスイッチングレギュレータは、前記入力ノードと接地ノードとの間で順次に直列連結された第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ及び、第4スイッチと、前記入力ノードに連結された一端と、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチに連結された一端とを有する第5スイッチと、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチに連結された一端と、前記出力ノードに連結された一端とを有するインダクタと、前記出力ノードに連結された一端と前記接地ノードに連結された一端とを有する出力キャパシタと、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチに連結された一端と、前記第3スイッチ、前記第4スイッチ、及び前記第5スイッチに連結された一端とを有するフライングキャパシタと、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、前記第4スイッチ、及び前記第5スイッチを制御するコントローラと、を備える。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による複数の位相を含む周期に応じて反復されるスイッチングレギュレータの動作方法は、第1位相でフライングキャパシタを入力電圧に充電する段階と、前記第1位相に後続する第2位相で電荷ポンピングによって前記フライングキャパシタの一端の電圧をブースティングする段階と、前記第2位相で前記ブースティングされた電圧をインダクタに提供する段階と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低減されたノイズを有する供給電圧を生成し、改善された動作信頼度、及び効率性を有するスイッチングレギュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態によるスイッチングレギュレータを示すブロック図である。
図2A】比較例によるスイッチングレギュレータを示す図である。
図2B】比較例によるスイッチングレギュレータを示す図である。
図3】本発明の第1実施形態によるスイッチングレギュレータを示す回路図である。
図4A】本発明の第1実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータを示す回路図である。
図4B】本発明の第1実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータを示す回路図である。
図5】本発明の第1実施形態による図4A及び図4Bのスイッチングレギュレータの動作例を示すタイミング図である。
図6】本発明の第2実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータを示す回路図である。
図7】本発明の第2実施形態による図6のスイッチングレギュレータの動作例を示すタイミング図である。
図8A】本発明の第1実施形態によるブーストモードにおけるスイッチングレギュレータを示す回路図である。
図8B】本発明の第1実施形態によるブーストモードにおけるスイッチングレギュレータを示す回路図である。
図9】本発明の第1実施形態による図8A及び図8Bのスイッチングレギュレータの動作例を示すタイミング図である。
図10A】本発明の第1実施形態によるバックモードにおけるスイッチングレギュレータを示す回路図である。
図10B】本発明の第1実施形態によるバックモードにおけるスイッチングレギュレータを示す回路図である。
図11】本発明の第1実施形態による図10A及び図10Bのスイッチングレギュレータの動作例を示すタイミング図である。
図12】本発明の他の実施形態によるスイッチングレギュレータを示すブロック図である。
図13A】本発明の第1実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法を示すフローチャートである。
図13B】本発明の第2実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法を示すフローチャートである。
図14】本発明の第1実施形態によるブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法を示すフローチャートである。
図15】本発明の第1実施形態によるバックモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法を示すフローチャートである。
図16A】本発明の第1実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法の他の例を示すフローチャートである。
図16B】本発明の第2実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法の他の例を示すフローチャートである。
図17】本発明の第1実施形態によるブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法の他の例を示すフローチャートである。
図18】本発明の第1実施形態によるバックモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法の他の例を示すフローチャートである。
図19】本発明の一実施形態によるシステムを示す図である。
図20】本発明の一実施形態による無線通信装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態によるスイッチングレギュレータ10を示すブロック図である。スイッチングレギュレータ10は、入力ノード13を介して入力電圧VINを受信し、出力ノード14を介して出力電圧VOUTを出力する。出力電圧VOUTは、他の電子部品(又は、負荷)の供給電圧(supply voltage)として使用される。図1に示すように、スイッチングレギュレータ10は、スイッチ回路11、コントローラ12、フライングキャパシタC、インダクタL、及び出力キャパシタCを含む。一部実施形態において、スイッチングレギュレータ10に含まれる構成要素は1つの半導体パッケージに含まれる。一部実施形態において、スイッチングレギュレータ10は印刷回路基板(PCB:printed circuit board)を含み、スイッチングレギュレータ10の構成要素のうちの少なくとも2個は、分離された半導体パッケージとして印刷回路基板(PCB)に実装される。
【0013】
スイッチングレギュレータ10は、素子のオン/オフを切換え(switch)ることにより出力電圧VOUTを生成する任意の電子回路を指す。例えば、スイッチングレギュレータ10のスイッチ回路11は、コントローラ12から提供されるスイッチ制御信号C_SWに基づいてスイッチ回路11に含まれる少なくとも1つのスイッチをオン(on)/オフ(off)し、それによりインダクタLを通過するインダクタ電流Iの経路を調整する。本明細書において、スイッチのオンはスイッチの両端が電気的に接続された(connected)状態を指し、スイッチのオフはスイッチの両端が電気的に遮断された(disconnected)状態を指す。また、オン状態のスイッチ及び/又は導線を経由して電気的に接続された2以上の構成要素は単に接続されたと称され、導線などを介して電気的に常時接続された2以上の構成要素は結合された(coupled)と称される。
【0014】
図3などを参照して後述するように、スイッチングレギュレータ10の例として、DC-DCコンバータは、DC電圧である入力電圧VINからDC電圧である出力電圧VOUTを生成する。例えば、バック(buck)コンバータは、入力電圧VINのレベルよりも低レベルの出力電圧VOUTを生成し、降圧(step-down)コンバータとも称される。ブーストコンバータは、入力電圧VINのレベルよりも高レベルの出力電圧VOUTを生成し、昇圧(step-up)コンバータとも称される。バックブースト(buck-boost)(又は、昇降圧)コンバータは、入力電圧VINのレベルよりも低いか又は高いレベルの出力電圧VOUTを生成する。以下、本明細書において、スイッチングレギュレータ10を、バックブーストDC-DCコンバータを主に参照して説明するが、本発明の一実施形態は、入力電圧VINがAC電圧であるAC-DCコンバータであるように、他種のスイッチングレギュレータ10にも適用されるということは、理解されるであろう。
【0015】
スイッチ回路11は、コントローラ12からスイッチ制御信号C_SWを受信してスイッチ制御信号C_SWによりオン/オフされる少なくとも1つのスイッチを含む。スイッチ回路11は、スイッチ制御信号C_SWに基づいて、インダクタLに提供される電圧を調節することによりインダクタLを通過するインダクタ電流Iを調整する。例えば、スイッチ回路11は、出力キャパシタCを充電するためにスイッチ制御信号C_SWに応答してインダクタ電流Iを誘発させる一方、出力キャパシタCの過充電を防止するためにスイッチ制御信号C_SWに応答してインダクタ電流Iを調節する。スイッチ回路11は、例えばスイッチングレギュレータ10の出力電圧VOUTを受信する負荷(load)LD(図3)がある場合、インダクタ電流Iの少なくとも一部が負荷に提供される。スイッチ回路11の例は、図3を参照して後述する。
【0016】
図1に示すように、インダクタL及び出力キャパシタCは直列連結され、それにより、コントローラ12に流れる電流を無視すると、インダクタ電流I及び出力伝達電流Iは実質的に一致する。インダクタ電流Iは、スイッチ回路11によってインダクタLに印加される電圧Vに依存する。本明細書において、スイッチ回路11及びインダクタLが連結されたノードの電圧はインダクタ電圧Vと称される。一部実施形態において、出力キャパシタCのキャパシタンスは、スイッチングレギュレータ10の出力端14に連結される負荷に提供される電流(又は、負荷が消費する電流)に基づいて決定される。また、一部実施形態において、インダクタLのインダクタンスは、出力キャパシタCのキャパシタンス及び/又はスイッチング周波数に基づいて、例えばスイッチングレギュレータ10の設計時に決定される。一部実施形態において、フライングキャパシタCのキャパシタンスは、負荷に提供される電流、スイッチング周波数、入力電圧VIN、及び/又は出力電圧VOUTに基づいて決定される。
【0017】
コントローラ12は、基準電圧VREF及び出力電圧VOUTに基づいてスイッチ制御信号C_SWを生成する。例えば、コントローラ12は、2以上の抵抗で出力電圧VOUTを分割することによりフィードバック電圧を生成し、フィードバック電圧及び基準電圧VREFを比較することにより、フィードバック電圧が基準電圧VREFと一致するようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。それにより、出力電圧VOUTのレベルは基準電圧VREFのレベルによって決定され、基準電圧VREFのレベルを変更することにより出力電圧VOUTのレベルが変更される。一部実施形態において、コントローラ12は、上述の動作を遂行するために出力ノードの電流、即ちインダクタ電流I又は出力伝達電流Iを感知し、感知された電流の大きさに基づいてスイッチ制御信号C_SWを生成する。また、一部実施形態において、コントローラ12は、出力電圧VOUT及び出力ノードの電流の両方に基づいてスイッチ制御信号C_SWを生成する。一部実施形態において、コントローラ12は、少なくとも1つの比較器、少なくとも1つの論理ゲートを含む。
【0018】
一部実施形態において、スイッチングレギュレータ10は、出力電圧VOUTの目標レベルにより、バックモード、バックブーストモード、又はブーストモードに設定される。例えば、コントローラ12は、入力電圧VIN及び基準電圧VREFに基づいてスイッチングレギュレータ10のモードを設定する。一部実施形態において、コントローラ12は、出力電圧VOUTのレベルが入力電圧VINの約90%未満である場合、スイッチングレギュレータ10をバックモードに設定し、出力電圧VOUTのレベルが入力電圧VINの約110%超である場合、スイッチングレギュレータ10をブーストモードに設定し、出力電圧VOUTのレベルが入力電圧VINの約90%以上約110%以下である場合、スイッチングレギュレータ10をバックブーストモードに設定する。スイッチングレギュレータ10が、バックモード、バックブーストモード、及びブーストモードをいずれも支援することにより、出力電圧VOUTのレベルは広範囲に変動する。
【0019】
コントローラ12は、スイッチ回路11に連結されたフライングキャパシタC及びスイッチ回路11が電荷ポンプ(charge pump)として機能するようにスイッチ制御信号C_SWを生成し、スイッチング周期(cycle)に含まれる一部位相(phase)において、電荷ポンプによってブースティングされたインダクタ電圧VがインダクタLに提供される。一部実施形態において、ブースティングされた電圧は、近似的に入力電圧VINの2倍に対応する電圧である。それにより、図5などを参照して後述するように、出力キャパシタC及び負荷に提供される出力伝達電流Iが連続して変動する。後述するように、図2A及び図2Bのバックブーストコンバータから出力キャパシタC及び負荷LDに提供される出力伝達電流Iは、スイッチング周期毎に急激に変更される、それにより、スイッチングレギュレータ10は良好ではない特性を有し、それを解消するためにコスト及び複雑度が増大してしまう。しかし、スイッチングレギュレータ10において、連続して変動する出力伝達電流Iは迅速に変更可能であり、低減されたノイズを有する出力電圧VOUTを可能にする。また、不連続な出力伝達電流のピーク電流よりも低い出力伝達電流Iのピーク電流により、素子、例えばインダクタL及び出力キャパシタCは、小容量及び/又は低減された大きさを有する。それにより、コントローラ12は、小型化され、他回路と共に容易に集積される。
【0020】
スイッチングレギュレータ10が生成する出力電圧VOUTは電子部品に電力を提供する供給電圧として機能し、そのような電子部品はスイッチングレギュレータ10の負荷と称される。例えば、出力電圧VOUTは、デジタル信号を処理するデジタル回路、アナログ信号を処理するアナログ回路、及び/又はRF信号を処理するRF回路などに提供される。負荷の誤動作を防止するために、出力電圧VOUTは、低減されたノイズを有することが要求され、特にスイッチングレギュレータ10のスイッチング動作に起因するリップル(ripple)を低減させることが要求される。また、負荷の電力消耗を低減させるために出力電圧VOUTのレベルが動的に変更され、例えばスイッチングレギュレータ10は、負荷で低い性能又は電力消耗が要求される場合に低レベルの出力電圧VOUTを提供する一方、負荷で高い性能又は電力消耗が要求される場合に高レベルの出力電圧VOUTを提供する。そのことから、出力電圧VOUTのリップルを低減させるために出力キャパシタCの増大されたキャパシタンスが要求される一方、出力電圧VOUTのレベルを迅速に変更するために低減されたキャパシタンスが要求される。上述のように、スイッチングレギュレータ10は、連続した出力伝達電流Iにより低減されたリップルを有する出力電圧VOUTを生成することができる。それにより、出力キャパシタCのキャパシタンスは低減され、結果として、出力電圧VOUTのレベルが迅速に変更されるだけではなく、スイッチングレギュレータ10が小型化される。
【0021】
図2A及び図2Bは、比較例によるスイッチングレギュレータを示す図である。具体的に、図2Aはバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータ20aの回路図及びその動作を示すタイミング図であり、図2Bはブーストモードにおけるスイッチングレギュレータ20bの回路図及びその動作を示すタイミング図である。本明細書に含まれる図面において、スイッチング周期に含まれる位相の期間(duration)は実質的に同一に示されるが、それは図解の便宜のためのものであり、位相の期間が異なるという点に留意する。以下、図2A及び図2Bに関係する説明において、重複内容は省略される。
【0022】
図2Aを参照すると、スイッチングレギュレータ20aは、第1スイッチSW21、第2スイッチSW22、第3スイッチSW23、第4スイッチSW24、インダクタL、及び出力キャパシタCを含み、負荷LDがスイッチングレギュレータ20aに連結される。スイッチングレギュレータ20aは、バックモード、バックブーストモード、及びブーストモードを支援し、第1スイッチSW21、第2スイッチSW22、第3スイッチSW23、及び第4スイッチSW24のそれぞれが、モードによりオンになったりオフになったりする。例えば、図2Aに示すように、バックブーストモードにおいて、第1スイッチSW21、第2スイッチSW22、第3スイッチSW23、及び第4スイッチSW24のそれぞれは、スイッチング周期に含まれる第1位相P1及び第2位相P2により、オンになったりオフになったりする。
【0023】
図2Aの回路図において、第1位相P1で、第1経路PA1aとして示されるように、第2スイッチSW22及び第3スイッチSW23がオンになり、第1スイッチSW21及び第4スイッチSW24がオフになる。それにより、インダクタ電流Iは、接地ノードから第2スイッチSW22、インダクタL、及び第3スイッチSW23を通過して出力キャパシタC及び負荷LDに流れる。図2Aのタイミング図に示すように、第1位相P1で、インダクタ電流Iは漸進的に下降し、出力伝達電流Iも下降する。
【0024】
図2Aの回路図において、第2位相P2で、第2経路PA2aとして示されるように、第1スイッチSW21及び第4スイッチSW24がオンになり、第2スイッチSW22及び第3スイッチSW23がオフになる。それにより、インダクタ電流Iは、入力ノードから第1スイッチSW21、インダクタL、及び第4スイッチSW24を通過して接地ノードに流れる。図2Aのタイミング図に示すように、第2位相P2で、インダクタ電流Iは漸進的に上昇する一方、出力伝達電流IDは、オフになった第3スイッチSW23に起因して近似的にゼロになる。それにより、図2Aのタイミング図に示すように、インダクタ電流Iは連続する一方、出力伝達電流Iは不連続である。また、所望レベルの出力電圧VOUTのために、出力伝達電流Iは高いピーク値IPEAKを有する。
【0025】
図2Bを参照すると、スイッチングレギュレータ20bは、ブーストモードにおいて、第2スイッチSW22がオフになり、第1スイッチSW21、第3スイッチSW23、及び第4スイッチSW24は、スイッチング周期に含まれる第1位相P1及び第2位相P2により、オンになったりオフになったりする。
【0026】
図2Bの回路図において、第1位相P1で、第1経路PA1bとして示されるように、第1スイッチSW21及び第3スイッチSW23がオンになり、第4スイッチSW24がオフになる。それにより、インダクタ電流Iは、入力ノードから第1スイッチSW21、インダクタL、及び第3スイッチSW23を通過して出力キャパシタC及び負荷LDに流れる。図2Bのタイミング図に示すように、第1位相P1で、インダクタ電流Iは漸進的に下降し、出力伝達電流Iも下降する。
【0027】
図2Bの回路図において、第2位相P2で、第2経路PA2bとして示されるように、第1スイッチSW21及び第4スイッチSW24がオンになり、第3スイッチSW23がオフになる。それにより、インダクタ電流Iは、入力ノードから第1スイッチSW21、インダクタL、及び第4スイッチSW24を通過して接地ノードに流れる。図2Bのタイミング図に示すように、第2位相P2で、インダクタ電流Iは漸進的に上昇する一方、出力伝達電流Iは、オフになった第3スイッチSW23に起因して近似的にゼロになる。それにより、図2Bのタイミング図に示すように、インダクタ電流Iは連続する一方、出力伝達電流Iは不連続である。また、所望レベルの出力電圧VOUTのために、出力伝達電流Iは高いピーク値IPEAKを有する。
【0028】
図3は、本発明の第1実施形態によるスイッチングレギュレータ30を示す回路図である。図1のスイッチングレギュレータ10に類似して、図3のスイッチングレギュレータ30は、スイッチ回路31、コントローラ32、フライングキャパシタC、インダクタL、及び出力キャパシタCを含み、負荷LDがスイッチングレギュレータ30に連結される。以下、図3に関係する説明において、図1に関係する説明と重複する内容は省略される。
【0029】
スイッチ回路31は、第1スイッチSW1~第5スイッチSW5を含む。図3に示すように、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4は入力ノードから接地ノードまでの間に順次に直列連結され、第5スイッチSW5は入力ノードに連結された一端と第3スイッチSW3及び第4スイッチSWに連結された一端とを有する。図3に示すスイッチは、コントローラ32から提供されるスイッチ制御信号C_SWにより、両端を電気的に接続させたり電気的に遮断させたりする任意の構造を有する。スイッチは、パワースイッチと称され、一部実施形態において、スイッチ制御信号C_SWが印加されるゲートを有するNFET(N-channel field effect transistor)又はPFET(P-channel field effect transistor)を含み、一部実施形態において、相互直列連結されたり並列連結されたりする少なくとも1つのNFET及び/又は少なくとも1つのPFETを含む。また、一部実施形態において、スイッチは、BJT(bipolar junction transistor)のような少なくとも1つの他類型のトランジスターを含む。
【0030】
フライングキャパシタCは、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に連結された一端と第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4に連結された一端とを有する。以下、図面を参照して後述するように、コントローラ32は、第1スイッチSW1~第5スイッチSW5及びフライングキャパシタCが電荷ポンプとして動作するように、スイッチ制御信号C_SWを生成する。また、コントローラ32は、電荷ポンプによってブースティングされたインダクタ電圧VをインダクタLに印加するように、スイッチ制御信号C_SWを生成する。それにより、出力キャパシタCに提供される出力伝達電流Iは連続し、スイッチングレギュレータ30は良好な特性を有する。以下、本実施形態について、図4A及び図4Bのスイッチングレギュレータ40を参照して説明する。
【0031】
図4A及び図4Bは、本発明の第1実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータ40を示す回路図であり、図5は、本発明の第1実施形態による図4A及び図4Bのスイッチングレギュレータ40の動作例を示すタイミング図である。具体的に、図4Aは第1位相P1におけるスイッチングレギュレータ40を示し、図4Bは第2位相P2におけるスイッチングレギュレータ40を示し、図4A及び図4Bにおいて、電流が流れる経路及びオン状態のスイッチは太く表示される。
【0032】
図4Aを参照すると、図3のスイッチングレギュレータ30に類似して、スイッチングレギュレータ40は、スイッチ回路41、コントローラ42、フライングキャパシタC、インダクタL、及び出力キャパシタCを含み、スイッチ回路41は、第1スイッチSW1~第5スイッチSW5を含み、負荷LDがスイッチングレギュレータ30に連結される。バックブーストモード時、第1位相P1におけるコントローラ42は、第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4をオンにして第2スイッチSW2及び第5スイッチSW5をオフにするようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。一部実施形態において、バックブーストモード時、スイッチングレギュレータ40は、入力電圧VINに類似したレベルを有する出力電圧VOUTを生成する。
【0033】
フライングキャパシタCの両端は、例えば第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4がオン状態であるときに入力ノード及び接地ノードにそれぞれ接続され、フライングキャパシタCは入力電圧VINに充電される。また、インダクタ電流Iは、接地ノードから第4スイッチSW4、第3スイッチSW3、及びインダクタLを通過して出力キャパシタC及び負荷LDに流れる。それにより、図5に示すように、インダクタ電流Iは漸進的に下降し、出力伝達電流Iも漸進的に下降する。また、インダクタ電圧Vは、オン状態の第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4に起因して接地電圧に一致する。
【0034】
図4Bを参照すると、バックブーストモード時、第2位相P2におけるコントローラ42は、第2スイッチSW2及び第5スイッチSW5をオンにして第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4をオフにするようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。第1位相P1において、入力電圧VINに充電されたフライングキャパシタCの両端のうち、高電位の一端が第1スイッチSW1により入力ノードから遮断される一方、低電位の一端が第5スイッチSW5を介して入力ノードに接続される。それにより、ブースティングされた、例えば入力電圧VINの約2倍に対応する電圧がオン状態の第2スイッチSW2を介してインダクタLに提供される。
【0035】
インダクタ電流Iは、フライングキャパシタCから第2スイッチSW2及びインダクタLを介して出力キャパシタC及び負荷LDに流れる。それにより、図5に示すように、インダクタ電流Iは漸進的に上昇し、出力伝達電流Iも漸進的に上昇する。結果として、出力伝達電流Iは、図2Aに示す例と異なり、第1位相P1及び第2位相P2を含むスイッチング周期の間、連続して変動する。また、第2位相P2において、インダクタ電圧Vは、ブースティングされた電圧、即ち入力電圧VINの約2倍に対応する電圧に一致する。図解の便宜のために、第2位相P2の間、インダクタ電圧Vが一定に維持されるように図示しているが、一部実施形態において、インダクタ電圧Vは、第2位相P2の間、微弱に下降する。
【0036】
図4A図4B、及び図5を参照して説明した例において、スイッチングレギュレータ40に含まれる素子に加わる(across)電圧は、入力電圧VIN又は入力電圧VIN近辺の電圧に制限される。例えば、図4Bに示すように、第2位相P2において、ブースティングされた電圧、即ち入力電圧VINの2倍に一致するインダクタ電圧Vにも拘らず、インダクタ電圧Vに関係する素子、即ち第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、インダクタL、及びフライングキャパシタCに加わる電圧は、入力電圧VIN又は入力電圧VIN近辺の電圧のみが最大電圧として加わる。それにより、スイッチングレギュレータ40で高電圧素子が省略され、結果としてスイッチングレギュレータ40は、低減されたコストで製造され、相対的に小サイズの素子を含むことになる。
【0037】
図6は、本発明の第2実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータ60を示す回路図であり、図7は、本発明の第2実施形態による図6のスイッチングレギュレータ60の動作例を示すタイミング図である。具体的に、図6は、スイッチング周期に含まれる第2位相P2に後続する第3位相P3におけるスイッチングレギュレータ60を示し、図6において、電流が流れる経路及びオン状態のスイッチは太く示される。図6及び図7に関係する説明において、図4A図4B、及び図5に関係する説明と重複する内容は省略される。
【0038】
図6を参照すると、図3のスイッチングレギュレータ30に類似して、スイッチングレギュレータ60は、スイッチ回路61、コントローラ62、フライングキャパシタC、インダクタL、及び出力キャパシタCを含み、スイッチ回路61は、第1スイッチSW1~第5スイッチSW5を含み、負荷LDがスイッチングレギュレータ60に連結される。スイッチングレギュレータ60は、バックブーストモード時、3個の位相、即ち第1位相P1、第2位相P2、及び第3位相P3を順次に含むスイッチング周期に応じて動作する。コントローラ62は、第1位相P1及び第2位相P2において、図4A及び図4Bを参照して説明した箇所に類似して、第1スイッチSW1~第5スイッチSW5を制御するためのスイッチ制御信号C_SWを生成する。
【0039】
第3位相P3におけるコントローラ62は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオンにして第3スイッチSW3及び第5スイッチSW5をオフにするようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。それにより、フライングキャパシタCは入力電圧VINに充電され、インダクタ電流Iは入力ノードから第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2及びインダクタLを通過して出力キャパシタC及び負荷LDに流れる。それにより、図7に示すように、インダクタ電流I及び出力伝達電流Iは第3位相P3で実質的に一定に維持され、その結果インダクタ電流I及び出力伝達電流Iは低減されたピーク値IPEAKを有する。また、出力伝達電流Iは、図2Aに示した例と異なるように、第1位相P1、第2位相P2、及び第3位相P3を含むスイッチング周期の間、連続して変動する。また、インダクタ電圧Vは、オン状態の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に起因して入力電圧VINに一致する。また、図4A及び図4Bのスイッチングレギュレータ40に類似して、第3位相P3でスイッチングレギュレータ60に含まれる素子に印加される電圧も、入力電圧VIN又は入力電圧VIN近辺の電圧に制限される。
【0040】
図8A及び図8Bは、本発明の第1実施形態によるブーストモードにおけるスイッチングレギュレータ80を示す回路図であり、図9は、本発明の第1実施形態による図8A及び図8Bのスイッチングレギュレータ80の動作例を示すタイミング図である。具体的に、図8Aは第1位相P1におけるスイッチングレギュレータ80を示し、図8Bは第2位相P2におけるスイッチングレギュレータ80を示し、図8A及び図8Bにおいて、電流が流れる経路及びオン状態のスイッチは太く示される。一部実施形態において、ブーストモード時、スイッチングレギュレータ80は、入力電圧VINよりも大きい出力電圧VOUTを生成する。例えば、図9に示すように、出力電圧VOUTは、入力電圧VINよりも大きく、入力電圧VINの2倍よりは低い。
【0041】
図8Aを参照すると、図3のスイッチングレギュレータ30に類似して、スイッチングレギュレータ80は、スイッチ回路81、コントローラ82、フライングキャパシタC、インダクタL、及び出力キャパシタCを含み、スイッチ回路81は、第1スイッチSW1~第5スイッチSW5を含み、負荷LDがスイッチングレギュレータ80に連結される。ブーストモード時、第1位相P1におけるコントローラ82は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオンにして第3スイッチSW3及び第5スイッチSW5をオフにするようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。
【0042】
フライングキャパシタCの両端は入力ノード及び接地ノードにそれぞれ接続され、フライングキャパシタCは入力電圧VINに充電される。また、インダクタ電流Iは、入力ノードから第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及びインダクタLを通過して出力キャパシタC及び負荷LDに流れる。ブーストモードにおいて、出力電圧VOUTは入力電圧VINよりも高く、それにより図9に示すように、インダクタ電流Iは漸進的に下降し、出力伝達電流Iも下降する。また、インダクタ電圧Vは、オン状態の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に起因して入力電圧VINに一致する。
【0043】
図8Bを参照すると、ブーストモード時、第2位相P2におけるコントローラ82は、第2スイッチSW2及び第5スイッチSW5をオンにして第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4をオフにするようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。それにより、ブーストモード時、第3スイッチSW3はオフ状態にある。図4Bを参照して説明した箇所に類似して、ブースティングされた、例えば入力電圧VINの約2倍に対応するインダクタ電圧Vがオン状態の第2スイッチSW2を介してインダクタLに提供される。
【0044】
インダクタ電流Iは、フライングキャパシタCから第2スイッチSW2及びインダクタLを介して出力キャパシタC及び負荷LDに流れる。それにより、図9に示すように、インダクタ電流Iは漸進的に上昇し、出力伝達電流Iも漸進的に上昇する。結果として、出力伝達電流Iは、図2Bに示した例と異なるように、第1位相P1及び第2位相P2を含むスイッチング周期の間、連続して変動する。また、第2位相P2において、インダクタ電圧Vは、ブースティングされた電圧、即ち入力電圧VINの約2倍に対応する電圧に一致する。図解の便宜のために、第2位相P2の間、インダクタ電圧Vが一定に維持されるように図示しているが、一部実施形態において、インダクタ電圧Vは、第2位相P2の間、微弱に下降する。
【0045】
図8A図8B、及び図9を参照して説明した例において、スイッチングレギュレータ80に含まれる素子に加わる電圧は、入力電圧VIN又は入力電圧VIN近辺の電圧に制限される。例えば、図8Bに示すように、第2位相P2において、ブースティングされた電圧、即ち入力電圧VINの2倍に一致するインダクタ電圧Vにも拘らず、インダクタ電圧Vに関係する素子、即ち第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、インダクタL、及びフライングキャパシタCに加わる電圧は、入力電圧VIN又は入力電圧VIN近辺の電圧のみが最大電圧として加わる。
【0046】
図10A及び図10Bは、本発明の第1実施形態によるバックモードにおけるスイッチングレギュレータ100を示す回路図であり、図11は、本発明の第1実施形態による図10A及び図10Bのスイッチングレギュレータ100の動作例を示すタイミング図である。具体的に、図10Aは第1位相P1におけるスイッチングレギュレータ100を示し、図10Bは第2位相P2におけるスイッチングレギュレータ100を示し、図10A及び図10Bにおいて、電流が流れる経路及びオン状態のスイッチは太く示される。
【0047】
図10Aを参照すると、図3のスイッチングレギュレータ30に類似して、スイッチングレギュレータ100は、スイッチ回路101、コントローラ102、フライングキャパシタC、インダクタL、及び出力キャパシタCを含み、スイッチ回路101は、第1スイッチSW1~第5スイッチSW5を含み、負荷LDがスイッチングレギュレータ100に連結される。バックモード時、第1位相P1におけるコントローラ102は、第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4をオンにして第2スイッチSW2及び第5スイッチSW5をオフにするようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。バックモード時、スイッチングレギュレータ100は、一部実施形態において、図11に示すように、入力電圧VINよりも低い出力電圧VOUTを生成する。
【0048】
フライングキャパシタCの両端は入力ノード及び接地ノードにそれぞれ接続され、フライングキャパシタCは入力電圧VINに充電される。また、インダクタ電流Iは、接地ノードから第4スイッチSW4、第3スイッチSW3、及びインダクタLを通過して出力キャパシタC及び負荷LDに流れる。それにより、図11に示すように、インダクタ電流Iは漸進的に下降し、出力伝達電流Iも下降する。また、インダクタ電圧Vは、オン状態の第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4に起因して接地電圧に一致する。
【0049】
図10Bを参照すると、バックモード時、第2位相P2におけるコントローラ102は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオンにして第3スイッチSW3及び第5スイッチSW5をオフにするようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。それにより、バックモード時、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4はオン状態にあり、第5スイッチSW5はオフ状態にある。それにより、バックモードにおいて、出力電圧VOUTは入力電圧VINよりも低くなるため、図11に示すように、インダクタ電流Iは漸進的に上昇し、出力伝達電流Iも上昇する。また、インダクタ電圧Vは、オン状態の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に起因して入力電圧VINに一致する。
【0050】
図10A図10B、及び図11を参照して説明した例において、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4はオン状態に維持され、フライングキャパシタCの両端は、スイッチング周期の間、続けて入力ノード及び接地ノードにそれぞれ接続される。それにより、バックモードにおいて、フライングキャパシタCは、入力電圧に対するデカップリング(decoupling)キャパシタ(又は、バイパス(bypass)キャパシタ)として、入力電圧VINに含まれるノイズを抑制し、更に良好な出力電圧VOUTが生成される。言い替えると、フライングキャパシタCは、バックブーストモード及びブーストモードにおいて電荷ポンプのために使用される一方、バックモードにおいて入力電圧VINのノイズを抑制する。他方、一部実施形態において、コントローラ102は、図10A及び図10Bに示した例と異なるように、第1スイッチSW1を第2スイッチSW2と同一に制御し、第4スイッチSW4を第3スイッチSW3と同一に制御することもできる。
【0051】
図12は、本発明の他の実施形態によるスイッチングレギュレータ120を示すブロック図である。図12に示すように、スイッチングレギュレータ120は、スイッチ回路121、コントローラ122、インダクタL、及び出力キャパシタCを含み、図1のスイッチングレギュレータ10と比較すると、複数のフライングキャパシタ(CF1、CF2)を含む。以下、図12に関係する説明において、図1に関係する説明と重複する内容は省略される。
【0052】
スイッチングレギュレータ120は、バックブーストモード又はブーストモードにおいて、ブースティングされたインダクタ電圧VをインダクタLに提供するために、例えば2以上のフライングキャパシタ(CF1、CF2)を含む。コントローラ122は、基準電圧VREFに基づいて、第1フライングキャパシタCF1、第2フライングキャパシタCF2、及びスイッチ回路121が電荷ポンプとして機能するようにスイッチ制御信号C_SWを生成し、インダクタ電圧Vは、第1フライングキャパシタCF1及び第2フライングキャパシタCF2により、入力電圧VINの2倍よりも大きいインダクタ電圧V、例えば入力電圧VINの約3倍に対応するインダクタ電圧VをインダクタLに提供する。図12に示す箇所と異なるように、一部実施形態において、スイッチングレギュレータ120は、2個超のフライングキャパシタを含む。また、図面を参照して説明した箇所に類似して、インダクタ電流Iのみならず、出力伝達電流Iは、スイッチング周期の位相の間、続けて連続する。
【0053】
図13A及び図13Bは、それぞれ本発明の第1及び第2実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法を示すフローチャートである。具体的に、図13Aは、第1位相P1及び第2位相P2を含むスイッチング周期による動作方法を示し、図13Bは、第1位相P1、第2位相P2、及び第3位相P3を含むスイッチング周期による動作方法を示す。一部実施形態において、図13Aの方法は図4A及び図4Bのコントローラ42によって遂行され、図13Bの方法は図6のコントローラ62によって遂行される。以下、図13Aを、図4A図4B、及び図5を参照して説明し、図13Bを、図6及び図7を参照して説明する。また、図13A及び図13Bに関係する説明において、重複する内容は省略される。
【0054】
図13Aを参照すると、第1位相P1で段階S11a及び段階S12aが遂行され、第2位相P2で段階S13a及び段階S14aが遂行される。第1位相P1の段階S11aにおいて、第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4をオンにして第2スイッチSW2及び第5スイッチSW5をオフにする動作が遂行される。例えば、図4Aのコントローラ42は、図4Aで太く示された経路が形成されるようにスイッチ制御信号C_SWを生成し、それにより、フライングキャパシタCは入力電圧VINに充電される。
【0055】
段階S12aにおいて、フィードバック電圧VFDを基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VREF-VMAR)と比較する動作が遂行される(VMAR>0)。例えば、コントローラ42は、出力電圧VOUTを分割することによりフィードバック電圧VFDを生成し、フィードバック電圧VFDを基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VREF-VMAR)と比較する。図13Aに示すように、フィードバック電圧VFDが基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VREF-VMAR)よりも小さい場合、第1位相P1を終了して第2位相P2が開始される。
【0056】
第2位相P2の段階S13aにおいて、第2スイッチSW2及び第5スイッチSW5をオンにして第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4をオフにする動作が遂行される。例えば、コントローラ42は、図4Bで太く示された経路が形成されるようにスイッチ制御信号C_SWを生成し、それにより、フライングキャパシタCによってブースティングされたインダクタ電圧VがインダクタLに提供される。
【0057】
段階S14aにおいて、フィードバック電圧VFDを基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの和(VREF+VMAR)と比較する動作が遂行される。図13Aに示すように、フィードバック電圧VFDが基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの和(VREF+VMAR)よりも大きい場合、第2位相P2を終了して第1位相P1が開始される。それにより、出力電圧VOUTは、フィードバック電圧VFDが、基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの和(VREF+VMAR)と、基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VREF-VMAR)との間の範囲にあるように調節される。一部実施形態において、段階S12aで使用されたマージン電圧及び段階S14aで使用されたマージン電圧は異なる。
【0058】
図13Bを参照すると、第1位相P1で段階S11b及び段階S12bが遂行され、第2位相P2で段階S13b及び段階S14bが遂行され、第3位相P3で段階S15及び段階S16が遂行される。一部実施形態において、第1位相P1の段階S11b及び段階S12bは、図13Aの段階S11a及び段階S12aにそれぞれ類似し、第2位相P2の段階S13b及び段階S14bは、図13Aの段階S13a及び段階S14aにそれぞれ類似する。図13Bに示すように、第2位相P2の段階S14bにおいて、フィードバック電圧VFDが基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの和(VREF+VMAR)よりも大きい場合、第2位相P2を終了して第3位相P3が開始される。
【0059】
第3位相P3の段階S15において、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオンにして第3スイッチSW3及び第5スイッチSW5をオフにする動作が遂行される。例えば、図6のコントローラ62は、図6で太く示された経路が形成されるようにスイッチ制御信号C_SWを生成し、それにより、インダクタ電圧Vは入力電圧VINに一致し、インダクタ電流I及び出力伝達電流Iは実質的に一定に維持される。
【0060】
段階S16において、フィードバック電圧VFDを基準電圧VREFとマージン電圧VMAR’との差(VREF-VMAR’)と比較する動作が遂行される(VMAR’>0)。一部実施形態において、段階S16で使用されたマージン電圧VMAR’は、段階S12bで使用されたマージン電圧VMARよりも低い。それにより、フィードバック電圧VFDが基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VREF-VMAR)よりも高レベルになるまで、スイッチングレギュレータ60は第3位相P3にある。一部実施形態において、図13Bに示す箇所と異なるように、段階S16で既定の時間に逹したか否かということが判断され、既定の時間に逹した場合、第3位相P3が終了する。
【0061】
図14は、本発明の第1実施形態によるブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法を示すフローチャートである。具体的に、図14は、第1位相P1及び第2位相P2を含むスイッチング周期による動作方法を示す。一部実施形態において、図14の方法は、図8A及び図8Bのコントローラ82によって遂行される。以下、図14を、図8A図8B、及び図9を参照して説明する。
【0062】
図14に示すように、第1位相P1で段階S21及び段階S22が遂行される。段階S21において、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオンにして第3スイッチSW3及び第5スイッチSW5をオフにする動作が遂行される。例えば、図8Aのコントローラ82は、図8Aで太く示された経路が形成されるようにスイッチ制御信号C_SWを生成し、それにより、フライングキャパシタCは入力電圧VINに充電される。その後、段階S22において、フィードバック電圧VFDを基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VREF-VMAR)と比較する動作が遂行される。図14に示すように、フィードバック電圧VFDが基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VREF-VMAR)よりも小さい場合、第1位相P1を終了して第2位相P2が開始される。
【0063】
第2位相P2において、段階S23及び段階S24が遂行される。段階S23において、第2スイッチSW2及び第5スイッチSW5をオンにして第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4をオフにする動作が遂行される。例えば、図8Bのコントローラ82は、図8Bで太く示された経路が形成されるようにスイッチ制御信号C_SWを生成し、それにより、フライングキャパシタCによってブースティングされたインダクタ電圧VがインダクタLに提供される。その後、段階S24において、フィードバック電圧VFDを基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの和(VREF+VMAR)と比較する動作が遂行される。図14に示すように、フィードバック電圧VFDが基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの和(VREF+VMAR)よりも大きい場合、第2位相P2を終了して第1位相P1が開始される。一部実施形態において、段階S22で使用されたマージン電圧及び段階S24で使用されたマージン電圧は異なる。
【0064】
図15は、本発明の第1実施形態によるバックモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法を示すフローチャートである。具体的に、図15は、第1位相P1及び第2位相P2を含むスイッチング周期による動作方法を示す。一部実施形態において、図15の方法は、図10A及び図10Bのコントローラ102によって遂行される。以下、図15を、図10A図10B、及び図11を参照して説明する。
【0065】
図15に示すように、第1位相P1で段階S31及び段階S32が遂行される。段階S31において、第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4をオンにして第2スイッチSW2及び第5スイッチSW5をオフにする動作が遂行される。例えば、図10Aのコントローラ102は、図10Aで太く示された経路が形成されるようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。その後、段階S32において、フィードバック電圧VFDを基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VREF-VMAR)と比較する動作が遂行される。図15に示すように、フィードバック電圧VFDが基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの差(VFD-VMAR)よりも小さい場合、第1位相P1を終了して第2位相P2が開始される。
【0066】
図15に示すように、第2位相P2において、段階S33及び段階S34が遂行される。段階S33において、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオンにして第3スイッチSW3及び第5スイッチSW5をオフにする動作が遂行される。例えば、図10Bのコントローラ102は、図10Bで太く示された経路が形成されるようにスイッチ制御信号C_SWを生成する。その後、段階S34において、フィードバック電圧VFDを基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの和(VREF+VMAR)と比較する動作が遂行される。図15に示すように、フィードバック電圧VFDが基準電圧VREFとマージン電圧VMARとの和(VREF+VMAR)よりも大きい場合、第2位相P2を終了して第1位相P1が開始される。一部実施形態において、段階S32で使用されたマージン電圧及び段階S34で使用されたマージン電圧は異なる。
【0067】
図16A及び図16Bは、それぞれ本発明の第1及び第2実施形態によるバックブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法の他の例を示すフローチャートである。具体的に、図16Aは、第1位相P1及び第2位相P2を含むスイッチング周期の間に遂行される動作方法を示し、図16Bは、第1位相P1、第2位相P2、及び第3位相P3を含むスイッチング周期の間に遂行される動作方法を示す。一部実施形態において、図16Aの方法は図4A及び図4Bのスイッチングレギュレータ40によって遂行され、図16Bの方法は図6のスイッチングレギュレータ60によって遂行される。以下、図16Aを、図4A図4B、及び図5を参照して説明し、図16Bを、図6及び図7を参照して説明する。また、図16A及び図16Bに関係する説明において、重複する内容は省略される。
【0068】
図16Aを参照すると、第1位相P1で段階S111及び段階S112が並列的に遂行される。段階S111において、フライングキャパシタCを入力電圧VINに充電する動作が遂行される。例えば、図4Aに示すように、オン状態の第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4によりフライングキャパシタCが入力電圧VINに充電される。また、段階S112において、インダクタLに接地電圧を提供する動作が遂行される。例えば、図4Aに示すように、オン状態の第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4により接地電圧がインダクタLに提供される。
【0069】
第1位相P1に後続し、第2位相P2で段階S121及び段階S122が遂行される。段階S121において、フライングキャパシタCの一端の電圧をブースティングする動作が遂行される。例えば、図4Bに示すように、オフ状態の第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4、並びにオン状態の第5スイッチSW5により、フライングキャパシタCの一端、即ち第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に連結された一端の電圧が、例えば入力電圧VINの2倍に対応する電圧にブースティングされる。段階S122において、ブースティングされた電圧をインダクタLに提供する動作が遂行される。例えば、図4Bに示すように、オン状態の第2スイッチSW2によってブースティングされた電圧がインダクタ電圧VとしてインダクタLに提供される。
【0070】
図16Bを参照すると、第1位相P1で段階S211及び段階S212が並列的に遂行され、第2位相P2で段階S221及び段階S222が遂行され、第3位相P3で段階S231及び段階S232が並列的に遂行される。一部実施形態において、第1位相P1の段階S211及び段階S212は図16Aの段階S121及び段階S122と類似し、第2位相P2の段階S221及び段階S222は図16Aの段階S121及び段階S122と類似する。第3位相P3は第2位相P2の終了後に開始される。
【0071】
第3位相P3の段階S231において、フライングキャパシタCを入力電圧に充電する動作が遂行される。例えば、図6に示すように、オン状態の第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4により、フライングキャパシタCが入力電圧VINに充電される。また、段階S232において、インダクタLに入力電圧VINを提供する動作が遂行される。例えば、図6に示すように、オン状態の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2により入力電圧VINがインダクタLに提供される。
【0072】
図17は、本発明の第1実施形態によるブーストモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法の他の例を示すフローチャートである。具体的に、図17は、第1位相P1及び第2位相P2を含むスイッチング周期の間に遂行される動作方法を示す。一部実施形態において、図17の方法は図8A及び図8Bのスイッチングレギュレータ80によって遂行され、以下、図17を、図8A図8B、及び図9を参照して説明する。
【0073】
図17を参照すると、第1位相P1で段階S311及び段階S312が並列的に遂行される。段階S311において、フライングキャパシタCを入力電圧VINに充電する動作が遂行される。例えば、図8Aに示すように、オン状態の第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4により、フライングキャパシタCが入力電圧VINに充電される。また、段階S312において、インダクタLに入力電圧VINを提供する動作が遂行される。例えば、図8Aに示すように、オン状態の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2により入力電圧VINがインダクタLに提供される。
【0074】
第1位相P1に後続し、第2位相P2で段階S321及び段階S322が遂行される。段階S321において、フライングキャパシタCの一端の電圧をブースティングする動作が遂行される。例えば、図8Bに示すように、オフ状態の第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4、並びにオン状態の第5スイッチSW5により、フライングキャパシタCの一端、即ち第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に連結された一端の電圧が、例えば入力電圧VINの2倍に対応する電圧にブースティングされる。段階S322において、ブースティングされた電圧をインダクタLに提供する動作が遂行される。例えば、図8Bに示すように、オン状態の第2スイッチSW2によってブースティングされた電圧がインダクタ電圧VとしてインダクタLに提供される。
【0075】
図18は、本発明の第1実施形態によるバックモードにおけるスイッチングレギュレータの動作方法の他の例を示すフローチャートである。具体的に、図18は、第1位相P1及び第2位相P2を含むスイッチング周期の間に遂行される動作方法を示す。一部実施形態において、図18の方法は、図10A及び図10Bのスイッチングレギュレータ100によって遂行され、以下、図18を、図10A図10B、及び図11を参照して説明する。
【0076】
図18を参照すると、第1位相P1で段階S410が遂行され、第2位相P2で段階S420が遂行され、第1位相P1及び第2位相P2で段階S400が段階S410及び段階S420と並列的に遂行される。段階S400において、フライングキャパシタCの両端を入力電圧VIN及び出力電圧VOUTにそれぞれ接続させる動作が遂行される。例えば、図10A及び図10Bに示すように、バックモード時、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4はオン状態にあり、それにより、フライングキャパシタCは入力電圧VINのノイズを除去するデカップリングキャパシタとして機能する。
【0077】
第1位相P1の段階S410において、インダクタLに接地電圧を提供する動作が遂行される。例えば、図10Aに示すように、オン状態の第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4によりインダクタLに接地電圧が提供される。その後、第2位相P2の段階S420において、インダクタLに入力電圧VINを提供する動作が遂行される。例えば、図10Bに示すように、オン状態の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2によりインダクタLに入力電圧が提供される。
【0078】
図19は、本発明の一実施形態によるシステム190を示す図である。システム190は、一部実施形態において、システム・オン・チップ(SoC)のように1つの半導体集積回路であり、一部実施形態において、印刷回路基板及びそれに実装されたパッケージを含む。図19に示すように、システム190は、第1機能ブロック191~第4機能ブロック194、及びPMIC(power management integrated circuit)195を含む。図19で4個の機能ブロックを図示したが、本発明の技術的思想は、それに制限されるものではない。例えば、一部実施形態において、システム190は3個以下又は5個以上の機能ブロックを含む。
【0079】
第1機能ブロック191~第4機能ブロック194は、PMIC195から出力される第1供給電圧VDD1~第4供給電圧VDD4によって提供される電力に基づいて動作する。例えば、第1機能ブロック191~第4機能ブロック194のうちの少なくとも一つは、アプリケーションプロセッサ(AP:application processor)のようにデジタル信号を処理するデジタル回路であり、増幅器のようにアナログ信号を処理するアナログ回路である。また、アナログ・デジタルコンバータ(ADC:analog-to-digital converter)のような混合された信号(mixed signal)を処理する回路である。図19において、システム190は4個の機能ブロックを含むように図示しているが、一部実施形態において、システム190は4個未満又は5個以上の機能ブロックを含む。
【0080】
PMIC195は、入力電圧VINから第1供給電圧VDD1~第4供給電圧VDD4を生成し、電圧制御信号C_Vにより第1供給電圧VDD1~第4供給電圧VDD4のうちの少なくとも1つのレベルを変更する。第1機能ブロック191~第4機能ブロック194のうちの少なくとも一つは、要求される性能及び電力消耗により動的に可変されるレベルの供給電圧を受信する。例えば、第1機能ブロック191はイメージデータを処理するイメージプロセッサであり、一連のイメージを含む動画を処理する間、第1機能ブロック191は高レベルの第1供給電圧VDD1を受信する一方、単一イメージを含む写真を処理する間、第1機能ブロック191は低レベルの第1供給電圧VDD1を受信する。PMIC195は第1機能ブロック191で要求される性能及び電力消耗に対応する電圧制御信号C_Vを受信し、PMIC195は、電圧制御信号C_Vに基づいて、第1供給電圧VDD1のレベルを上昇させたり下降させたりする。そのように、機能ブロックの供給電圧のレベルを動的に変更する方法は、DVS(dynamic voltage scaling)と称される。
【0081】
PMIC195は、図面を参照して説明したスイッチングレギュレータを含み、それにより、第1供給電圧VDD1は一定レベルを維持するときに低減されたノイズを有し、第1電源電圧VDD1の低減されたノイズに起因して、第1機能ブロック191及びシステム190の動作信頼度が向上する。また、第1供給電圧VDD1のレベルが迅速に変更される。一部実施形態において、第1機能ブロック191は、第1供給電圧VDD1のレベルが変更される間、動作を中止し、第1供給電圧VDD1のレベルが変更された後、動作を再開する。それにより、第1供給電圧VDD1のレベルが迅速に変更される場合、第1機能ブロック191による動作の遂行時間が短縮され、結果として、システム190は向上した性能を提供する。また、PMIC195は、低下された電圧及び/又は電流のピーク値を有し、低減された大きさの素子を含む。それにより、PMIC195は、1つのパッケージに第1機能ブロック191~第4機能ブロック194と共に容易に集積される。
【0082】
図20は、本発明の一実施形態による無線通信装置200を示すブロック図である。具体的に、図20は、バッテリ250によって電力が提供されるユーザ機器(UE:user equipment)(又は、端末)を示す。無線通信装置200は、一部実施形態において、5G(5th generation)、LTE(long-term evolution)のようなセルラネットワークを使用する無線通信システムに含まれ、WLAN(wireless local area network)システム、又は他の任意の無線通信システムに含まれる。無線通信装置200において、本実施形態によるスイッチングレギュレータは、電力増幅器(PA)216に可変的な電力を提供するために使用される。図20に示すように、無線通信装置200は、送受信器210、基底帯域(ベースバンド)プロセッサ220、アンテナ230、電源回路240、及びバッテリ250を含む。
【0083】
送受信器210は、アンテナインターフェース回路211を含み、入力回路212、低ノイズ増幅器(LNA)213、及び受信回路214を含む受信器、並びに送信回路215、電力増幅器216、及び出力回路217を含む送信器を含む。アンテナインターフェース回路211は、送信モード又は受信モードにより、送信器又は受信器をアンテナ230に連結させる。一部実施形態において、入力回路212はマッチング回路又はフィルタを含み、低ノイズ増幅器213は入力回路212の出力信号を増幅し、受信回路214はダウンコンバーションのためのミキサを含む。一部実施形態において、送信回路215はアップコンバーションのためのミキサを含み、電力増幅器216は送信回路215の出力信号を増幅し、出力回路217はマッチング回路又はフィルタを含む。
【0084】
基底帯域プロセッサ220は、送受信器210との間で基底帯域の信号を送受信し、変調/復調、エンコーディング/デコーディングなどを行う。一部実施形態において、基底帯域プロセッサ220はモデムと称される。基底帯域プロセッサ220は、平均電力追跡モード又は包絡線追跡モードを設定するための設定信号SETを生成し、出力電圧VOUTのレベルを変更するための設定信号SETを生成する。
【0085】
電源回路240は、バッテリ250から入力電圧VINを受信し、電力増幅器216に電力を提供する出力電圧VOUTを生成する。電源回路240は、図面を参照して説明したスイッチングレギュレータを含み、連続した出力伝達電流を生成することにより、迅速な出力電圧VOUTのレベル変更、及び出力電圧VOUTの安定したレベルが可能になる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の、連続した出力伝達電流を生成するスイッチングレギュレータ及びその動作方法は、例えば電子システム関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
10、20a、20b、30、40、60、80、100、120 スイッチングレギュレータ
11、31、41、61、81、101、121 スイッチ回路
12、32、42、62、82、102、122 コントローラ
13 入力ノード
14 出力ノード 190 システム
191~194 第1~第4機能ブロック
195 PMIC
200 無線通信装置
210 送受信器
211 アンテナインターフェース回路
212 入力回路
213 低ノイズ増幅器(LNA)
214 受信回路
215 送信回路
216 電力増幅器
217 出力回路
220 基底帯域(ベースバンド)プロセッサ
230 アンテナ
240 電源回路
250 バッテリ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20