(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】導電体を回路基板に接続する電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/48 20060101AFI20240116BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240116BHJP
【FI】
H01R4/48 A
H01R12/71
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019189468
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】10 2018 126 144.6
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513243480
【氏名又は名称】ヴァイトミュラー インターフェイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クレヒト, マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクマン, ラース
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ギーセン, ベルント
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06039582(US,A)
【文献】国際公開第2002/013319(WO,A1)
【文献】特開平10-012417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48
H01R 9/24
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体を回路基板に接続する電気コネクタ(1)であって、
a. 内部に導電体レール(4)が配備される接続チャンバ(10)を有し、
b. 導電体レール(4)は電気コネクタ(1)の接続側(131)にて、電気接続部品(2)に電気的に接続され、電気コネクタ(1)の接触側(141)にて回路基板(3)と電気的接触を生成し、
c. 導電体レール(4)は電気接続部品(2)と接続するための接続アーム(41)と回路基板(3)と接続するための接触アーム(42)を備え、接続アーム(41)と接触アーム(42)は連結アーム(43)によって一緒に結合された電気コネクタ(1)において、
d. 電気コネクタ(1)が回路基板に接続された状態で、接触アーム(42)は回路基板を押すようにばねとして構成さ
れ、
e.
導電体レール(4)は前記接続チャンバ(10)内で2つの位置(I、II)に選択的に位置決め可能であり、導電体レール(4)の第2の位置(II)と第1の位置(I)とは、接続方向(50)の周りの回転方向(55)に180°回転した位置関係となっている、電気コネクタ(1)。
【請求項2】
a. 接続アーム(41)は接続方向に延び
ている、請求項1に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項3】
前記接続チャンバ(10)の接続側(131)と接触側(141)は、
前記電気コネクタ(1)の反対側に位置する、請求項1又は2に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項4】
前記電気コネクタ(1)を回路基板(3)に接続した状態の接続方向(50)は回路基板(3)に直交して延びる、請求項2に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項5】
前記電気コネクタ(1)の接続側(131)の導電体レール(4)は、クランプ接触部として、又はクランプ接触部の一部として、又ははんだ付け接触部、又は圧着接触部、又は切断接触部又はプラグ接触部として構成される、請求項1乃至4の何れかに記載の電気コネクタ(1)。
【請求項6】
クランプ接触部は、
ばね接触部として構成されている、請求項5に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項7】
前記電気コネクタ(1)は内壁(12)を備え、該内壁に対して導電体レール(4)の接続アーム(41)が少なくとも部分的に平らに横たわっている、請求項1乃至6の何れかに記載の電気コネクタ(1)。
【請求項8】
導電体レール(4)は、接続アーム(41)に配置され、内壁(12)の凹部(121)と係合する保持手段(411)を備える、請求項1乃至7の何れかに記載の電気コネクタ(1)。
【請求項9】
前記電気コネクタ(1)は2つ以上の接続チャンバ(10)を備え、各接続チャンバに導電体レール(4)が配備され、接続チャンバ(10)は、接続側(131)が電気コネクタ(1)の共通の接続面(13)を形成し、接触側(141)が電気コネクタ(1)の共通の接触面(14)を形成するように、互いに並んで配置される、請求項1乃至8の何れかに記載の電気コネクタ(1)。
【請求項10】
隣接する接続チャンバ(10)の導電体レール(4)は、第1の位置(I)と第2の位置(II)で交互に配置される、請求項1乃至9の何れかに記載の電気コネクタ(1)。
【請求項11】
接続チャンバ(10)は、上部ハウジング(15)に位置する電気コネクタ(1)のハウジング部(11)に夫々配置される、請求項1乃至10の何れかに記載の電気コネクタ(1)。
【請求項12】
ハウジング部(11)は上部ハウジング(15)にラッチされる、請求項1乃至11の何れかに記載の電気コネクタ(1)。
【請求項13】
電気コネクタ(1)の接触側(141)の導電体レール(4)が、プラグ又ははんだ接触部として構成されている、請求項2乃至12の何れかに記載の電気コネクタ(1)。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかに記載の電気コネクタ(1)を回路基板(3)に締結する方法であって、
-回路基板(3)に直交する接続方向(50)に沿って、電気コネクタ(1)を回路基板(3)上に設置し押圧するステップであって、回路基板(3)の結合接触部は電気コネクタの接触部に接触するステップと、
-電気コネクタ(1)のハウジング又は上部ハウジングを回路基板(3)に固定するステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体を回路基板に接続するための電気コネクタに関し、電気コネクタは導電レールが配置される接続チャンバを有し、導電レールは電気コネクタの接続側にて電気接続部に電気的に接続されて、電気コネクタの接続側にて回路基板との電気接触を生成し、導電レールは電気接続部の接続用の接続アームと、回路基板への接続用の接触アームを備える。接続アームと接触アームは連結アームにて一体に結合され、接続アームは接続方向に延びている。
本発明はさらに、そのような電気コネクタを回路基板に締結する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電体又はマルチコアケーブルを電気回路基板に接続するために、連結プラグが用いられ、該連結プラグは回路基板の貫通開口部に挿入するための各導電体の接触ピン、又は回路基板のはんだ面に接触するための接触面のいずれかを備え、はんだ面に回路基板の導電体トラックがはんだ付けされる。
回路基板の開口部に挿入できるプラグ接触部を有する連結プラグも知られており、プラグ接触部は、貫通開口部にクランプするように構成されている。このような連結プラグは、回路基板に迅速かつ簡単に接続して据え付けることができる。しかし、これに必要なプラグ接触部は、製造に費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基本的にそのような接続プラグの場合、導電体又はケーブルに引張荷重がかかると、特に回路基板に対して斜めの方向に危険が存在し、接続プラグは回路基板に対して斜めに配置されるが、これは有害である。
従って、本発明が解決することを提案する課題は、導電体を電気回路基板に接続する電気コネクタを改善して、電気コネクタをより素早く且つ簡単に回路基板に接続し据え付け、製造するのに簡単で経済的である一方、コネクタの個々の接触部間で適切な寸法の通気と沿面距離が確保され、引張荷重がかかっても、コネクタと回路基板の確実な接触が確実に保証されることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題は、独立請求項1、2及び9の特徴を有する電気コネクタ、独立請求項14の特徴を有する回路基板にそのようなコネクタを締結する方法によって解決される。有利な実施形態が、従属請求項に見出される。
電気コネクタが生成される。コネクタは、導電体やプラグなどの電気接続部品を回路基板に電気的に接続するように構成されている。
【0005】
このため、コネクタは、コネクタの接続チャンバ内に配置された導電体レールを備える。導電体レールは、電気コネクタの接続側で電気接続部品に電気的に接続され得る。導電体レールは電気コネクタの回路基板との接触側で電気接触を行うことができる。従って、導電体レールは、接続チャンバの内部にて接続側から接触側へ接続室の内部に延びる。この構成により、電気接続部品及び回路基板の導電体レールへの直接的な接続が可能となる。
【0006】
導電体レールは、電気接続部品を接続するために、接続方向に延びる接続アームを備える。更に、導電体レールは、回路基板と接続するための接触アームを有する。接続アームと接触アームは連結アームによって一緒に結合されている。
このために、導電体レールは単一の部品として形成されるのが好ましい。特に、導電体レールは、動又は銅合金のような良好な導電性材料から型抜き且つ曲げられて作られる。これは従来の方法でコスト的に効率的な方法で可能である。導電体レールは複合部品であってもよい。しかし、単一部品の変形例が優先される。
【0007】
コネクタは、コネクタの回路基板への接続状態で、回路基板を押すために、接触アームがばねとして構成されていることを特徴とする。接触アームのばね構成のおかげで、接触アームは復元力に抗して回路基板に押圧される。このようにして、接触アームは、回路基板上の接触面、特にはんだパッドと電気的に接触することができる。
【0008】
コネクタの回路基板への接続状態における接続方向は、回路基板に対して垂直に延びることが好ましい。この実施形態において、コネクタは回路基板に垂直に配置され得る。
接触面に対する接触アームの最も平らな接触を保証するために、接触アームは、回路基板に対して鋭角又は実質的に平行に延びるように提供されるのが好ましい。特に、接触アームの開口端に接触ラグが配備されるのが好ましい。接触ラグは、弓形を有し、回路基板に接触するように構成されていることが好ましい。
【0009】
接触アームをばねとして構成すべく、更に連結アームが接続アームに対して横方向に延在し、弓形を有するように提供されるのが好ましい。連結アームと接触アームはこの方法で、この方法である種のU字形を一緒に形成する。従って、回路基板上に接触アームを配置すると、復元力に抗して接続アームの方向に接触アームを押すことができる。更に、コネクタの傾きを避け、隣接部を形成するために、コネクタを回路基板に又は回路基板上に締結することがさらに提案される。
【0010】
更に、コネクタの接続側の導電体レールは、クランプ接触部又はクランプ接触部の一部、はんだ付け接触部、圧着接触部、切断接触部又はプラグ接触部として構成され得る。このために、接続アームの一方の自由端部にクランプ面、はんだ付けされたウェブ、圧着接続、チューリップ又はプラグが配備される。
同様に本課題を解決する1つの好ましい実施形態において、コネクタは、導電体レールが接続チャンバ内で2つの位置に配置されて、導電体レールは、第2の位置に対して接続方向の周りの回転方向に180°だけ第1の位置にて回転する点で特徴付けられる。この方法で、接触アームは、コネクタの横方向に、又は横方向に対して伸びることができる。従って、復元力によってコネクタに作用する傾斜モーメントは、両方の位置で反対方向に作用する。
【0011】
接続チャンバの接続側及び接触側はコネクタの反対側に位置するのが好ましい。従って、電気接続部品は上から取り付けられ、回路基板に取り付けられたコネクタとの接続状態でコネクタに接続される。このようにして、少なくとも殆どの部分で、接続部品の引張応力が回避され得る。
【0012】
更に、コネクタは内壁を備え、該内壁に対して導電体レールの接続アームが少なくとも部分的に平らに横たわっているのが好ましい。特に、内壁及び/又は導電体レールが回路基板に直交して延びるのが好ましい。このようにして、接続方向も回路基板に垂直に延びる。さらに、導電体レールが、接続アームに配置され、内壁の凹部と係合する保持手段を備えることが好ましい。保持手段のおかげで、導電体レールは、所定の方法で内壁に配置できる。保持手段は波形であるのが好ましい。この実施形態において、保持手段は、クランプばねのクランプ脚部の端部ストップとして同時に機能する。
【0013】
同様に本課題を解決する他の好ましい実施形態において、電気コネクタは2つ以上の接続チャンバを備え、各接続チャンバに導電体レールが配備され、接続チャンバは、接続側がコネクタの共通の接続面を形成し、接触側がコネクタの共通の接触面を形成するように、互いに並んで配置される点で特徴付けられる。少なくとも2つの接続チャンバに対してさらなる接続チャンバを配置することにより、コネクタを回路基板に適合させて、任意の数の電気接続部品を接続することができる。
【0014】
接続チャンバ内の導電体レールは、部分的に第1の位置に配置され、部分的に第2の位置に配置されることが好ましい。同数のコネクタの導電体レールを第1及び第2の位置に配置すること、及び/又は導電体レールの配置が均一なパターンに従うことが特に好ましい。このようにして、導電体レールの接触アームの復元力によって生じるような、コネクタの捩れ及び傾きモーメントは回避され得る。更に有利なことには、通気と沿面距離が最適化される。特に好ましい実施形態において、隣接する接続チャンバの導電体レールは、従って第1の位置と第2の位置で交互に配置される。次に、第2の位置における導電体レールと同じ数の導電体レールが、第1の位置に配置されている場合、ねじれモーメントと傾斜モーメントが相殺される。
【0015】
更に、接続チャンバは、上部ハウジングに位置するコネクタのハウジング部に夫々配置されることが好ましい。ハウジング部は上部ハウジングにラッチされるのが好ましい。一方で、ハウジング部は、上部ハウジングに非常に迅速かつ簡単に取り付けることができる。更に、上部のハウジングは、ユーザの安全な耐衝撃保護を示す。
同様に、コネクタの実施形態は、コネクタの接触側の導電体レールが、プラグ又ははんだ接触部として構成されているのが好ましい。同様にこの実施形態において、導電体レールは型抜き且つ曲げられて作られる部品として非常に経済的に製造でき、従って、コネクタは全体として簡単かつ経済的に製造できる。更に、コネクタは同様に回路基板に素早く接続される。
【0016】
課題は電気コネクタを回路基板に締結する方法を用いて解決され、以下のステップを有する。
-コネクタを回路基板に直交する接続方向に、回路基板上に設置し押圧し、回路基板の結合接触部はコネクタの接触部に接触するステップと、
-(この後が好ましい)コネクタのハウジング又は上部ハウジングを回路基板に固定するステップ。
【0017】
そのようなコネクタは、電気回路基板に迅速に接続して据え付けることができる。コネクタが多数の接続チャンバを備えていれば、接触アームの復元力によって引き起こされ、コネクタが回路基板に押し付けられたときに作用する傾斜モーメントは、導電体レールを交互に、又は少なくとも第1及び第2の位置のパターンに配置することで相殺することができる。コネクタを回路基板上にラッチするおかげで、コネクタは更にさらに、回路基板にしっかりと配置されている。これにより、コネクタの接触面との圧縮バネの接触、特に回路基板の表面の接触面に耐久性のある方法で良好な通気と沿面距離で接触することが保証される。
コネクタのハウジング又は付随的に上部ハウジングは、回路基板の開口部の領域にラッチ手段又はねじ手段又は他のロック装置を用いて固定されるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下において、図面を参照する例示的な実施形態を用いて本発明を説明する。図は例として理解されるべきである。保護の範囲はそれらに限定されない。代わりに、図示された例示的な実施形態のさらなる変形及び均等物を実現することができる。
【
図1a】本発明に従った電気コネクタのハウジング部を示す。
【
図1b】本発明に従った電気コネクタのハウジング部を示す。
【
図1c】本発明に従った電気コネクタのハウジング部を示す。
【
図2a】本発明に従った電気コネクタの接続面である。
【
図2b】本発明に従った電気コネクタの接触面である。
【
図2c】電気コネクタの電気的回路基板への接続を示す。
【
図3a】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図3b】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図3c】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図4a】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図4b】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図4c】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図5a】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図5b】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図6a】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図6b】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【
図6c】
図1及び
図2の電気コネクタ用の導電体レールの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、(a)-(c)において、本発明による電気コネクタ1のハウジング部11を夫々示している。ハウジング部11には、接続チャンバ10が配置されている。接続チャンバ10は、導電体レール4を受け入れるように構成されている。導電体レールはここでは、良好な導電性材料から型抜き且つ曲げられた単一の部品として作られる。導電体レールはハウジング部11の接続側131から接続チャンバ10を通ってハウジング部11の接触側141に延びる。接続側131及び接触側141は互いに反対側に位置する。しかし、本発明は、接続側131と接触側141が互いに角度を以って(図示せず)位置するコネクタ1、特に互いに直角、及び/又は互いに隣接するコネクタにも適用される。
【0020】
接続側131において、電気接続部品2は導電体レール4に直接的に電気接続することができる。接触側141において、導電体レール4は回路基板3と電気的に接触することができる。
このため、導電体レール4は、電気接続部品2を接続するための接続アーム41と、回路基板3に接続するための接触アーム42とを備えている。接続アーム41と接触アーム42とは、連結アーム43によってともに結合されている。
【0021】
接続アーム41は、接続方向50に延伸する。接続アーム41は、ハウジング部11の内壁12に対して少なくとも部分的に平坦に位置している。導電体レール4の接続アーム41上には、内壁12の凹部121と係合する保持手段411が設けられている。保持手段411のおかげで、導電体レール4は所定の方法で内壁12上に位置する。ここでの保持手段411は波形である。
このようにして、保持手段411は同時に、クランプばね6のクランプ脚部61のエンドストップとして機能することができる。好ましくは、保持手段411の波形の丸い形状の代わりに、いくらか角形の又はジグザグの形状の保持手段411を提供することもできる。凹部121は、保持手段411に対応して形成されており、結果、保持手段411は凹部121に嵌合する。
【0022】
接続側131には、接続アーム41のアームが、ここではクランプ接触部410として、特にばね接触部、ここでは押し込み接触部として形成されている。このために、保持脚部62によって接続チャンバ10内に固定されるクランプばね6が提供される。クランプばね6は、接続部品2を接続チャンバ10内にクランプ締めするために構成されたクランプ脚部61をさらに備える。クランプ脚部61と保持脚部62とは、接続弓状部63によってともに接合されている。クランプばね6は、単一片のばね鋼として作成されている。接続部品2を挿入するとき、接続部品2が導電体レール4とクランプ脚部61との間をスライドすることができるまで、クランプ脚部61は復元力に抗して接続チャンバ10内へと回転される。次いで、クランプ脚部61は、復元力によって後方に回転され、接続部品2を導電体レール4に対してクランプ締めする。
【0023】
図1(b)は、一例として、接続部品2としての導電体を示している。しかし、接続部品2としての導電体の代わりに、プラグ又は導電性ロッドも好ましい。導電体2は、導電性コア21と電気絶縁性ケーシング22とを備える。絶縁は、ケーシング22が取り外されてコア21が露出されるように、一端(図示せず)において剥がされる。導電体レール4とクランプ脚部61との間で接続方向50において導電体2の剥がされた端部を導入することによる、導電体2のコネクタ1のクランプ接触部410への接続が示されている。ここで、接続方向50は、コネクタ1の第1の延伸方向51に延伸する。
【0024】
接触アーム42は、ばねとして形成されている。コネクタ1が回路基板3上に配置され、回路基板に対して圧迫され、回路基板にラッチされている、コネクタ1の回路基板3への接続状態(図示せず)において、接触アーム42は回路基板3に対して圧迫されるように構成されている。従って、接続方向50は、コネクタ1の回路基板3への接続状態において、回路基板3に垂直に延伸する。
接触アーム42にばね作用を与えるために、連結アーム43は、接続アーム41に対して横方向に延伸する。さらに、連結アーム43は弓状になっている。このように、連結アーム43及び接触アーム42はU字状に配置されている。
【0025】
従って、接触アーム42が回路基板3上に配置されると、接触アーム42を、復元力に抗して接続アーム41に向かって押すことができ、その結果、接続状態におけるその自由端(図示せず)が、復元力によって回路基板3に対して圧迫される。次に、又はこの工程において、コネクタ1はラッチ、スナップ、ねじ及び/又は留め具、舌部又はラッチアームのようなクランプ手段(図示せず)を用いて締結され、その結果、コネクタ1はその位置(図示せず)からもはや自然に解放することができない。
【0026】
接触アームのばね力は、非常に良好な接触が保証されるような大きさにする必要がある。接触アーム42は、その自由端部(図示せず)に、弓状部として成形され、回路基板3と接触するように設計された接触ラグ421を有する。弓形であることによって、回路基板3の接触面31は、接触ラグ421が接触面に対して圧迫されても損傷しない。
しかしながら、接触アーム42及び連結アーム43のU字構成は、コネクタ1に傾斜モーメントをもたらし、一方、コネクタ1の傾斜は当初、回路基板3に対するコネクタ1のロックによって防止される。
【0027】
傾斜モーメントを可能な限りさらに等しくし、コネクタ1が当初から傾斜するのを防ぐために、このコネクタ1内で、導電体レール4をハウジング部11の接続チャンバ10内で2つの位置I、IIに位置決めすることが可能にされる。
図1(a)は導電体レール4が第1の位置Iに配置されたコネクタ1を示し、
図1(b)は導電体レール4が第2の位置IIに配置されたコネクタ1を示し、
図1(c)は、コネクタ1の接続チャンバ10内で第1の位置Iにある導電体レール4を実線で示し、第2の位置IIにある導電体レール4を破線で示す。
【0028】
第1の位置Iにある導電体レール4は、接続方向50を中心とした回転方向55において第2の位置IIに対して180°回転していることが分かる。このように、第1の位置Iにある接触アーム42は、コネクタ1の第1の延伸方向51に対して横方向に延伸するコネクタ1の第2の延伸方向52に対向して延伸し、したがってまた接続方向50に対して横方向にも延伸する。第2の位置IIでは、接触アーム42は、コネクタ1の第2の延伸方向52に延伸する。したがって、これら2つの位置I、IIにおいて、コネクタ1が回路基板3に対して圧迫されるときに接触アーム42の復元力によって生じる傾斜モーメントが、対向する方向に作用する。
【0029】
第1の延伸方向51に対して横方向及び第2の延伸方向52に対して横方向に配置されている第3の延伸方向53にある2つ以上のそのようなハウジング部11を、第1の位置I及び第2の位置IIに交互に配置されている導電体レール4を用いて隣接して位置決めすることにより、コネクタ1は、2つ以上の接続部品2を回路基板3に接続するように製造することができ、ここで、傾斜モーメントが相殺される。そのようなコネクタ1は、偶数のハウジング部11が与えられた場合に、傾斜する傾向が全くない。
【0030】
図2は、(a)にてそのような電気コネクタ1の接続面13を示し、(b)にて電気コネクタ1の接触面14を示し、(c)は(a)及び(b)のコネクタ1の回路基板3への取付けを示す。
コネクタ1は2つ以上の接続チャンバ10を備え、接続チャンバ内に毎回導電体レール4が配置される。接続チャンバ10は、第3の延伸方向53に互いに並んで配置される。このようにして、ハウジング部11の接続側131と接触側141は、互いに同一平面上に配置される。従って、接続側131は、一緒になって、コネクタ1の接続面13を形成する。接触側141は一緒になって、コネクタ1の接触面14を形成する。
【0031】
ハウジング部11を互いに隣接して固定するために、それらは上部ハウジング15に配置される。ラッチ歯16(
図1(a)、(b)参照)がハウジング部11上に配置され、挿入されたときに、上部ハウジング15のラッチ開口部17に係合する。この方法で、ハウジング部11は、上部ハウジング15からもはや自然に解放されない。
接続側にて、接続部品2用のクランプ接触部410は、上部ハウジング15の接続開口部151を通って外側からアクセス可能である。接触側にて、一方でハウジング部11を上部ハウジング15内に押し込むために、他方で上部ハウジング15から接触アーム42を引き出すために、十分に大きな接触開口部152が設けられている。
【0032】
図2(b)から判るように、ハウジング部11の導電体レール4は第1の位置Iと第2の位置IIに交互に配置されており、コネクタ1が回路基板3に押し付けられたときに復元力によって生じる傾斜モーメントは互いに相殺し、従ってコネクタ1は傾こうとしない。
コネクタ1は、回路基板3に垂直に設置することにより、回路基板3に締結される。次に、コネクタ1は回路基板3に押し付けられ、接触アーム42又は接触ラグ421が接触面31、特に回路基板3の表面に押し付けられ、電気的に接触する。
【0033】
回路基板3の接触面31は、コネクタ1の接触面14に対応するように形成された導電体面34を形成する。このようにして、各接触アーム42は、コネクタ1が回路基板3に押し付けられたときに電気的に接触する接触面31に関連付けられている。
上部ハウジングは次に、回路基板の開口部の領域にラッチ手段又はねじ又は他の何らかのロック装置(ここでは図示せず)で固定されるのが好ましい。
【0034】
コネクタ1の回路基板3からの緩み又は持ち上がりは、コネクタ1を回路基板3にラッチすることにより防止される。このために、ラッチ、スナップ、ネジ、及び/又はクランプ手段(図示せず)を回路基板3及び/又はコネクタ1に設けることができる。ここには、回路基板3上のそのようなラッチ、スナップ、ネジ及び/又はクランプ手段の固定のために設けられた貫通孔32のみが示されている。
【0035】
図3と
図4は夫々、(a)乃至(c)にて電気コネクタ1用の導電体レール4の実施形態を示している。
図3の導電体レール4は各々、波状の保持手段411を有し、その波は弧状であり、従って丸みを帯びている。
図4の導電体レール4の保持手段411は同様に波形状である。しかし、保持手段411の波は角形である。従って、全体として、保持手段411はジグザク形に形成される。
【0036】
保持手段411の下には支持面412が設けられ、該支持面に対して、接続部品2は、クランプ接触部410(図示せず)に挿入された状態で支持され、導電体レール4とクランプばね6のクランプ脚部61の間にクランプされて、
図3(a)及び
図4(a)の各々にて円滑な構成を有する。
しかし、
図3(b)及び
図4(b)にて、支持面412は第1の粗面構造(図示せず)を有し、
図3(c)及び
図4(c)にて、支持面412は第1の粗面構造とは異なる第2の粗面構造を有する。従って、
図3(b)、(c)及び
図4(b)、(c)にて、支持面412は更に摩擦面として作用し、導電体レール4と接続部品2との間の電気的接触を改善する。
【0037】
図5(a)及び
図5(b)に表される導電体レール4は、
図3及び
図4の導電体レール4とは、接触アーム42だけ異なる。ここで接触アーム42はプラグ及び/又ははんだ接触として形成される。このため、接触アーム42の開放端には、接触ラグ421の代わりに接触ピン422が設けられている。更に、接触アーム42は、連結アーム43に対して直角(図示せず)に配置されている。
記載された導電体レール4の接触アーム42は、従って弾性体ではなく、回路基板3に対して押圧されるように構成されていない。その代わり、これらの導電体レール4の接触ピン422は、コネクタ1が所定の位置に配置され、はんだ付けされるときに、回路基板3の貫通孔(図示せず)に垂直に導入される。
【0038】
図6の導電体レール4について、
図1乃至
図4の接触アームに近似した接触アーム42は弾性体であり、回路基板3に対して押圧されるように提供される。
図6の導電体レール4は、接続側の導電体レール4の構成が異なる。
図6の導電体レール4はクランプ接触部410として構成されていない。その代わり、
図6(a)は接続部品2と接続する接続チューリップ413を備えた導電体レール4を示す。
図6(b)は、接続部品2を接続するための圧着接続又は圧着コネクタ414を備えた導電体レールを示し、
図6(c)は、接続部品2を接続するための接続プラグ415を備えた導電体レールを示す。
【符号の説明】
【0039】
1 電気コネクタ
10 接続チャンバ
11 ハウジング部
12 内壁
121 凹部
13 接続面
131 接続側
14 接触面
141 接触側
15 上部ハウジング
151 接続開口
152 接触開口
16 ラッチ歯
17 ラッチ開口
2 電気接続部品、導電体
21 コア
22 ケーシング
3 回路基板
31 接触面、はんだパッド
32 開口部
34 導電体面
4 導電体レール
41 接続アーム
410 クランプ接触部
411 保持手段
412 摩擦面
413 接続チューリップ
414 クリンプコネクタ
415 接続プラグ
42 接触アーム
421 接触ラグ
422 接触ピン
43 接続アーム
50 接続方向
51 第1の延伸方向
52 第2の延伸方向
55 回転方向
6 クランプばね
61 クランプ脚部
62 保持脚部
63 接続弓状部
I、II 第1の位置、第2の位置