(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】情報端末、情報提供装置及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240116BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240116BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240116BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240116BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240116BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/09 F
G08G1/0969
G08G1/123 A
G09B29/10 A
G09B29/00 F
(21)【出願番号】P 2019193271
(22)【出願日】2019-10-24
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】織田 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】中西 葵
(72)【発明者】
【氏名】宮本 理恵子
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006890(JP,A)
【文献】特開2012-063306(JP,A)
【文献】特開2015-103047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09B 29/10
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供装置と通信可能であり、車両に設けられた情報端末であって、
第1の範囲と対応付けられている第1のモードから前記第1の範囲よりも狭い第2の範囲と対応付けられている第2のモードに切り替える操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が前記第2のモードに切り替える操作を受け付けた後に、前記第2のモードに対応する走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報提供装置から取得する情報取得部と、
前記ルート情報に基づいて、前記第2の範囲を示す画像と、前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートを示す画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる表示制御部と、
を有
し、
前記表示制御部は、前記操作受付部が前記第2のモードに切り替える操作を受け付けた時点で前記表示部に表示している現行走行推奨ルートの表示を継続した後に、前記ルート情報が示す前記走行推奨ルートの表示を開始する、
情報端末。
【請求項2】
情報提供装置と通信可能であり、車両に設けられた情報端末であって、
第1の範囲と対応付けられている第1のモードから前記第1の範囲よりも狭い第2の範囲と対応付けられている第2のモードに切り替える操作と、前記第2のモードを解除する操作と、を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が前記第2のモードに切り替える操作を受け付けた後に、前記第2のモードに対応する走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報提供装置から取得する情報取得部と、
前記ルート情報に基づいて、前記第2の範囲を示す画像と、前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートを示す画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記操作受付部が前記第2のモードを解除する操作を受け付けた後に、前記第2の範囲内又は前記第2の範囲外の前記走行推奨ルートを前記表示部に表示させる、
情報端末。
【請求項3】
情報提供装置と通信可能であり、車両に設けられた情報端末であって、
第1の範囲と対応付けられている第1のモードから前記第1の範囲よりも狭い第2の範囲と対応付けられている第2のモードに切り替える操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が前記第2のモードに切り替える操作を受け付けた後に、前記第2のモードに対応する走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報提供装置から取得する情報取得部と、
前記ルート情報に基づいて、前記第2の範囲を示す画像と、前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートを示す画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記第2の範囲は、前記操作受付部が前記第2のモードに切り替える操作を受け付けた時点における前記車両の位置を中心とする領域である、
情報端末。
【請求項4】
情報提供装置と通信可能であり、車両に設けられた情報端末であって、
第1の範囲と対応付けられている第1のモードから前記第1の範囲よりも狭い第2の範囲と対応付けられている第2のモードに切り替える操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が前記第2のモードに切り替える操作を受け付けた後に、前記第2のモードに対応する走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報提供装置から取得する情報取得部と、
前記ルート情報に基づいて、前記第2の範囲を示す画像と、前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートを示す画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記第2の範囲は、前記操作受付部が中心位置を指定する操作を受け付けた場合に、前記中心位置を中心とする領域である、
情報端末。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第1のモードにおいて、前記第1の範囲を基準とした前記走行推奨ルートを、前記第1のモードに対応する前記走行推奨ルートとして前記表示部に表示させ、
前記表示制御部は、前記第2のモードにおいて、前記第2の範囲を基準とした前記走行推奨ルートを示す画像を、前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートとして前記表示部に表示させる、
請求項1
から4のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記車両が実車状態になっている間は、前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートの表示を中止し、前記車両が空車状態になった時点で前記車両が前記第2の範囲外にいる場合、前記第2の範囲に到達するためのルートを前記表示部に表示させる、
請求項1
から5のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記第2の範囲内、又は前記第2の範囲の外縁から所定の距離内の領域に含まれる前記走行推奨ルートを、前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートとして前記表示部に表示させる、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記操作受付部が前記第2のモードに切り替える操作を受け付けた時点で前記表示部に表示している現行走行推奨ルートの表示を継続した後に、前記ルート情報が示す前記走行推奨ルートの表示を開始する、
請求項
2から4のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートを表示している間に前記車両が前記第2の範囲の外に出た場合、前記第2の範囲に到達するためのルートを前記表示部に表示させる、
請求項1から
8のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項10】
前記操作受付部は、前記第2のモードを解除する操作をさらに受け付け、
前記表示制御部は、前記第2のモードを解除する操作を前記操作受付部が受け付けた後に、前記第2の範囲内又は前記第2の範囲外の前記走行推奨ルートを前記表示部に表示させる、
請求項1
、3及び4のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項11】
前記車両がタクシーであり、
前記情報取得部は、タクシーの乗車需要が所定条件を満たす経路を前記走行推奨ルートとして示す前記ルート情報を取得する、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記車両の位置を中心とする所定の半径の円の外縁から前記中心に向けて濃度が段階的に変化する領域を含む画像を、前記第2の範囲を示す画像として前記表示部に表示させる、
請求項1から
11のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項13】
情報提供装置と通信可能であり、車両に設けられた情報端末であって、
指定エリア内の走行推奨ルートを表示するエリア指定モードを起動するためのエリア指定操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が前記エリア指定操作を受け付けた後に、前記指定エリア内の前記走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報提供装置から取得する情報取得部と、
前記ルート情報に基づいて、前記指定エリアを示す指定エリア画像と、前記指定エリア内の前記走行推奨ルートを示すルート画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記操作受付部が前記エリア指定操作を受け付けた時点で前記表示部に表示している現行走行推奨ルートの表示を継続した後に、前記ルート情報が示す前記走行推奨ルートの表示を開始する、
情報端末。
【請求項14】
情報提供装置と通信可能であり、車両に設けられた情報端末であって、
指定エリア内の走行推奨ルートを表示するエリア指定モードを起動するためのエリア指定操作と、前記エリア指定モードを解除する操作と、を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が前記エリア指定操作を受け付けた後に、前記指定エリア内の前記走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報提供装置から取得する情報取得部と、
前記ルート情報に基づいて、前記指定エリアを示す指定エリア画像と、前記指定エリア内の前記走行推奨ルートを示すルート画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記エリア指定モードを解除する操作を前記操作受付部が受け付けた後に、前記指定エリア内又は前記指定エリア外の前記走行推奨ルートを前記表示部に表示させる、
情報端末。
【請求項15】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の情報端末に前記ルート情報を提供する前記情報提供装置であって、
前記第2のモードに切り替える操作を受けたことの通知を前記情報端末から取得する通知取得部と、
前記情報端末が前記通知を送信した時点における前記車両の位置に基づいて決定した前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートを示す前記ルート情報を前記情報端末に提供する情報提供部と、
を有する情報提供装置。
【請求項16】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の情報端末と、前記ルート情報を提供する前記情報提供装置と、を備え、
前記情報提供装置は、
前記第2のモードに切り替える操作を受けたことの通知を前記情報端末から取得する通知取得部と、
前記情報端末が前記通知を送信した時点における前記車両の位置に基づいて決定した前記第2のモードに対応する前記走行推奨ルートを示す前記ルート情報を前記情報端末に提供する情報提供部と、
を有する情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート情報を表示する情報端末、並びにルート情報を提供する情報提供装置及び情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーの運転手は、利用客を見付けるために、運転手自身の経験に基づいて運行ルートを決定していた。タクシーの効率的な運行を可能にするために、特許文献1には、過去にタクシーの需要があった点を通るルート情報を、タクシーの車載端末に通知するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タクシーの運転手は、特定のエリアを走行したかったり、逆に特定のエリアを回避したかったりする場合がある。システムによって提示されたルート情報が示す経路が運転手の好みに合っていないために、運転手がルート情報を利用せずにタクシーを運転すると、タクシーの効率的な運行が妨げられるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、タクシーに対してルート情報を提供するシステムにおいて、運転手によるルート情報の利用率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報端末は、情報提供装置と通信可能であり、車両に設けられた情報端末であって、指定エリア内の走行推奨ルートを表示するエリア指定モードを起動するためのエリア指定操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が前記エリア指定操作を受け付けた後に、前記走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報提供装置から取得する情報取得部と、前記ルート情報に基づいて、前記指定エリアを示す指定エリア画像と、前記走行推奨ルートを示すルート画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる表示制御部と、を有する。
【0007】
前記表示制御部は、前記車両が実車状態になっている間は、前記指定エリア内の前記走行推奨ルートの表示を中止し、前記車両が空車状態になった時点で前記車両が前記指定エリア外にいる場合、前記指定エリアに到達するためのルートを前記表示部に表示させてもよい。
【0008】
前記表示制御部は、前記指定エリア内、又は前記指定エリアの外縁から所定の距離内の領域に含まれる前記走行推奨ルートを前記表示部に表示させてもよい。
【0009】
前記表示制御部は、前記操作受付部が前記エリア指定操作を受け付けた時点で前記表示部に表示している現行走行推奨ルートの表示を継続した後に、前記ルート情報が示す前記走行推奨ルートの表示を開始してもよい。
【0010】
前記表示制御部は、前記指定エリア内の前記走行推奨ルートを表示している間に前記車両が前記指定エリアの外に出た場合、前記指定エリアに到達するためのルートを前記表示部に表示させてもよい。
【0011】
前記操作受付部は、前記エリア指定モードを解除する操作をさらに受け付け、前記表示制御部は、前記エリア指定モードを解除する操作を前記操作受付部が受け付けた後に、前記指定エリア内又は前記指定エリア外の前記走行推奨ルートを前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
前記指定エリアは、前記操作受付部が前記エリア指定操作を受け付けた時点における前記車両の位置を中心とする領域であってもよい。
【0013】
前記指定エリアは、前記車両の位置を中心とする領域であり、かつ前記車両に関連付けられた営業エリアの一部であってもよい。
【0014】
前記車両がタクシーであり、前記情報取得部は、タクシーの乗車需要が所定条件を満たす経路を前記走行推奨ルートとして示す前記ルート情報を取得してもよい。
【0015】
前記情報端末は、前記操作受付部が前記エリア指定操作を受け付けた場合に、前記情報提供装置に前記エリア指定操作を受けたことを通知する通知部をさらに有し、前記情報取得部は、前記通知部が通知した前記情報提供装置から前記ルート情報を取得してもよい。
【0016】
前記表示制御部は、前記車両の位置を中心とする所定の半径の円の外縁から前記中心に向けて濃度が段階的に変化する領域を含む前記指定エリア画像を前記表示部に表示させてもよい。
【0017】
本発明の第2の態様の情報提供装置は、車両に設けられた情報端末に走行推奨ルートを示すルート情報を提供する情報提供装置であって、指定エリア内の前記走行推奨ルートを表示するエリア指定モードを起動するためのエリア指定操作を受けたことの通知を前記情報端末から取得する通知取得部と、前記情報端末が前記通知を送信した時点における前記車両の位置に基づいて決定した前記指定エリア内の前記走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報端末に提供する情報提供部と、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様の情報提供システムは、車両に設けられた情報端末と、前記情報端末に走行推奨ルートを示すルート情報を提供する情報提供装置と、を備え、前記情報提供装置は、指定エリア内の前記走行推奨ルートを表示するエリア指定モードを起動するためのエリア指定操作を受けたことの通知を前記情報端末から取得する通知取得部と、前記情報端末が前記通知を送信した時点における前記車両の位置に基づいて決定した前記指定エリア内の前記走行推奨ルートを示すルート情報を前記情報端末に提供する情報提供部と、を有し、前記情報端末は、前記エリア指定操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が前記エリア指定操作を受け付けた後に、前記ルート情報を前記情報提供装置から取得する情報取得部と、前記ルート情報に基づいて、前記指定エリアを示す指定エリア画像と、前記走行推奨ルートを示すルート画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる表示制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一例として、タクシーに対してルート情報を提供するシステムにおいて、運転手によるルート情報の利用率を向上させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る情報提供システムの概要を説明するための図である。
【
図2】実施形態に係る情報提供システムのブロック図である。
【
図3】経路特定部が営業エリア内の走行推奨ルートを特定する方法を説明するための模式図である。
【
図4】通常モードで走行推奨ルートを表示している情報端末の正面図である。
【
図5】経路特定部が指定エリア内の走行推奨ルートを特定する方法を説明するための模式図である。
【
図6】エリア指定モードで走行推奨ルートを表示している情報端末の正面図である。
【
図7】経路特定部が指定エリアへの戻りルートを特定する方法を説明するための模式図である。
【
図8】実施形態に係る情報提供システムが実行する情報提供方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[情報提供システムの概要]
図1は、本実施形態に係る情報提供システムSの概要を説明するための図である。情報提供システムSは、タクシー等の旅客輸送車両にルート情報を提供するシステムである。以下、情報提供システムSがタクシーに適用される例を説明するが、情報提供システムSは乗客を輸送するその他の旅客輸送車両に適用されてもよい。
【0022】
情報提供システムSは、情報提供装置1と、情報端末2とを備える。情報提供システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。情報提供装置1は、タクシーに提供するルート情報を特定するサーバ等のコンピュータである。情報提供装置1は、インターネット等の通信ネットワークを介して複数の情報端末2と通信可能である。
【0023】
情報端末2は、タクシーに設けられている、スマートフォン、タブレット端末、カーナビゲーションシステム等の通信端末である。情報端末2は、運転手が視認可能な位置に設けられており、情報提供装置1から受信した情報を運転手に対して表示するとともに、運転手から受け付けた操作を示す情報を情報提供装置1へ送信する。
【0024】
本実施形態に係る情報提供システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。情報提供装置1は、タクシーの営業エリア内においてタクシーの乗車需要が所定条件を満たすルートを、走行推奨ルートとして特定する。営業エリアは、タクシーに予め関連付けられている、タクシーが業務として走行可能な領域である。情報提供装置1は、営業エリア内の走行推奨ルートを示すルート情報を、情報端末2に提供する。
【0025】
情報端末2は、情報提供装置1が提供したルート情報に基づいて、営業エリア内の走行推奨ルートを示すルート画像を、地図画像とともに表示部に表示させる。情報端末2は、指定エリア内の走行推奨ルートを表示するエリア指定モードを起動するためのエリア指定操作を、運転手から受け付ける。エリア指定操作を受け付けた場合に、情報端末2は、エリア指定操作を受けたことを示すエリア指定通知を、情報提供装置1へ送信する。
【0026】
情報提供装置1は、エリア指定通知を、情報端末2から取得する。情報提供装置1は、エリア指定通知を取得した場合に、情報端末2がエリア指定通知を送信した時点におけるタクシーの位置に対応する指定エリアを決定する。指定エリアは、例えば営業エリアの一部の領域であって、情報端末2がエリア指定通知を送信した時点におけるタクシーの位置を中心とした所定半径の円状領域である。情報提供装置1は、決定した指定エリア内においてタクシーの乗車需要が所定条件を満たすルートを、走行推奨ルートとして特定する。情報提供装置1は、指定エリア内の走行推奨ルートを示すルート情報を、情報端末2に提供する。
【0027】
情報端末2は、情報提供装置1が提供したルート情報に基づいて、指定エリアを示す指定エリア画像と、指定エリア内の走行推奨ルートを示すルート画像とを、地図画像とともに表示部に表示させる。指定エリア画像は、例えば地図画像に重畳された、指定エリアに対応する円状の画像である。
【0028】
このように、情報提供システムSは、運転手によるエリア指定操作に応じた指定エリア内で乗車需要が所定条件を満たす走行推奨ルートを示すルート情報を、情報端末2に提供する。これにより、情報提供システムSは、運転手の好みに合った走行推奨ルートを運転手に提示できるため、運転手によるルート情報の利用率を向上させることができる。
【0029】
[情報提供システムの構成]
図2は、本実施形態に係る情報提供システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0030】
情報提供装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。制御部13は、経路特定部131と、情報提供部132と、通知取得部133とを有する。
【0031】
通信部11は、インターネット等の通信ネットワークを介して情報端末2と通信を行うための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、情報提供装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0032】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、経路特定部131、情報提供部132及び通知取得部133として機能する。制御部13の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部13の機能の少なくとも一部は、制御部13がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0033】
情報端末2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、表示部24と、操作部25とを有する。制御部23は、情報取得部231と、表示制御部232と、操作受付部233と、通知部234とを有する。表示部24は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含む。操作部25は、人間による操作を受け付け可能なボタン、スイッチ、タッチパネル等を含む。
【0034】
通信部21は、インターネット等の通信ネットワークを介して情報提供装置1と通信を行うための通信インターフェースである。記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、情報端末2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部23との間でデータの授受を行ってもよい。
【0035】
制御部23は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部231、表示制御部232、操作受付部233及び通知部234として機能する。制御部23の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部23の機能の少なくとも一部は、制御部23がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0036】
本実施形態に係る情報提供システムSは、
図2に示す具体的な構成に限定されない。情報提供装置1及び情報端末2は、それぞれ2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。例えば情報提供装置1は、単一のコンピュータによって構成されてもよく、互いに連携する複数のコンピュータによって構成されてもよく、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0037】
[情報提供方法の説明]
以下、本実施形態に係る情報提供システムSが実行する情報提供方法を詳細に説明する。情報端末2においてルート情報を表示するためのアプリケーションが起動されると、情報提供装置1において、経路特定部131は、情報端末2が設けられているタクシーの現在の位置を示す位置情報を取得する。例えば経路特定部131は、情報端末2から、位置情報を取得する。また、経路特定部131は、タクシーを管理する配車管理装置から、位置情報を取得してもよい。
【0038】
経路特定部131は、タクシーに関連付けられた営業エリアを示す営業エリア情報を取得する。営業エリアは、タクシーが業務として走行可能な領域であり、例えば1つ以上の市区町村又は1つ以上の都道府県である。記憶部12は、タクシーごとの営業エリアと、タクシー(例えばタクシーの車体番号)とを関連付けた営業エリア情報を予め記憶している。経路特定部131は、記憶部12において、タクシーに関連付けられている営業エリア情報を取得する。
【0039】
経路特定部131は、取得した位置情報及び営業エリア情報に基づいて、営業エリア内でタクシーの乗車需要が所定条件を満たす経路を、タクシーの空車時における走行ルートとして推奨される、営業エリア内の走行推奨ルートとして特定する。走行推奨ルートは、タクシーが走行中に乗客を見付けることができる確率が比較的高いと推測される経路である。
【0040】
図3は、経路特定部131が営業エリアA1内の走行推奨ルートR1を特定する方法を説明するための模式図である。例えば経路特定部131は、取得した営業エリア情報が示す営業エリアA1内において、取得した位置情報が示すタクシーの位置を始点とし、目的地が設定されていない複数の経路それぞれのスコアを算出する。スコアは、過去の乗車実績から算出される統計的な乗車需要を示す値であり、乗車需要が高いほど大きい値に設定される。例えばスコアは、タクシーの乗車需要の期待値であり、複数の経路それぞれに沿った地点で過去にタクシーに乗車した利用客の、単位時間あたりの人数又は利用料金によって表される。
【0041】
経路特定部131は、複数の経路の中で、算出したスコアが所定条件を満たす経路を、営業エリアA1内の走行推奨ルートR1として特定する。例えば経路特定部131は、複数の経路の中でスコアが所定値以上である経路を抽出し、複数の経路が抽出された場合にはそれらの中でスコアが最も大きい経路を、走行推奨ルートR1として特定する。経路特定部131は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法で走行推奨ルートR1を特定してもよい。
【0042】
情報提供部132は、タクシーに設けられた情報端末2に対して、経路特定部131が特定した営業エリア内の走行推奨ルートを示すルート情報を提供する。情報提供部132は、ルート情報を、情報端末2に直接送信してもよく、タクシーを管理する配車管理装置を介して情報端末2に送信してもよい。情報端末2において、情報取得部231は、情報提供装置1が送信したルート情報を取得する。表示制御部232は、情報取得部231が取得したルート情報が示す営業エリア内の走行推奨ルートを、通常モードで表示部24に表示させる。通常モードは、営業エリア内の走行推奨ルートを表示するモードである。
【0043】
図4は、通常モードで走行推奨ルートを表示している情報端末2の正面図である。表示部24は、タクシーの現在位置の周辺の地図画像とともに、営業エリア内の走行推奨ルートを示すルート画像241と、エリア指定ボタン242とを表示している。ルート画像241は、例えば地図画像上で走行推奨ルートに沿って重畳された帯状の画像である。エリア指定ボタン242は、運転手による操作によって選択可能な仮想的なボタン(アイコン)である。タクシーの運転手は、情報端末2に表示されたルート画像241が示す走行推奨ルートを参照し、タクシーを走行させる。これにより、タクシーの運転手は、情報提供装置1が特定した走行推奨ルートを容易に把握できる。
【0044】
操作受付部233は、運転手による操作部25の操作を受け付ける。操作受付部233は、表示部24に表示されたエリア指定ボタン242を選択する操作を、指定エリア内の走行推奨ルートを表示するエリア指定モードを起動するためのエリア指定操作として受け付ける。操作受付部233がエリア指定操作を受け付けた場合に、通知部234は、エリア指定操作を受けたことを示すエリア指定通知を、情報提供装置1へ送信する。
【0045】
情報提供装置1において、通知取得部133は、エリア指定通知を情報端末2から取得する。通知取得部133は、エリア指定操作が行われた際(すなわちエリア指定通知を取得した際)の時刻及びタクシーの位置を示す履歴情報を、記憶部12に記憶させる。これにより、情報提供装置1は、履歴情報を、サービスの精度を向上させるためのデータとして収集できる。通知取得部133がエリア指定通知を取得した場合に、経路特定部131は、上述の方法で位置情報及び営業エリア情報を取得する。経路特定部131は、取得した位置情報に基づいて、情報端末2がエリア指定通知を送信した時点(すなわち情報端末2がエリア指定操作を受け付けた時点)におけるタクシーの位置に対応する指定エリアを決定する。
【0046】
指定エリアは、タクシーに関連付けられた営業エリアの一部である。経路特定部131は、例えば情報端末2がエリア指定通知を送信した時点におけるタクシーの中心とする、営業エリア内の所定半径(例えば2km)の円状の領域を、指定エリアとして決定する。経路特定部131は、円形に限られず、多角形や楕円形等のその他の形状の指定エリアを決定してもよい。経路特定部131は、ここに示した方法に限られず、その他の方法によって指定エリアを決定してもよい。例えば経路特定部131は、運転手が情報端末2において指定エリアの範囲を指定する操作を行った場合に、当該範囲に対応する指定エリアを決定してもよい。また、例えば経路特定部131は、運転手が情報端末2において指定エリアの中心位置を指定する操作を行った場合に、当該中心位置を中心とする領域を、指定エリアとして決定してもよい。
【0047】
経路特定部131は、位置情報、営業エリア情報及び指定エリアに基づいて、指定エリア内でタクシーの乗車需要が所定条件を満たす経路を、タクシーの空車時における走行ルートとして推奨される、指定エリア内の走行推奨ルートとして特定する。
【0048】
図5は、経路特定部131が指定エリアA2内の走行推奨ルートR3を特定する方法を説明するための模式図である。まず経路特定部131は、情報端末2がエリア指定通知を送信した時点で表示している現行走行推奨ルートR2の中で、指定エリアA2内の走行推奨ルートR3に切り替える切替地点を特定する。切替地点は、例えば現行走行推奨ルートR2の終点である。また、切替地点は、タクシーが現行走行推奨ルートR2を所定時間又は所定距離走行した場合の予定地点であってもよい。これにより、情報提供装置1は、運転手が急に走行推奨ルートR3に変更することを抑制し、安全性を高めることができる。
【0049】
また、切替地点は、タクシーの現在の位置であってもよい。この場合には、情報提供装置1は、現行走行推奨ルートR2から走行推奨ルートR3にすぐに切り替えるルート情報を提供するため、運転手が好みに合った走行推奨ルートR3を早期に走行することを可能にする。
【0050】
経路特定部131は、指定エリアA2内において、特定した切替地点を始点とし、目的地が設定されていない複数の経路それぞれのスコアを算出する。経路特定部131は、複数の経路の中で、算出したスコアが所定条件を満たす経路を、指定エリアA2内の走行推奨ルートR3として特定する。例えば経路特定部131は、複数の経路の中でスコアが所定値以上である経路を抽出し、複数の経路が抽出された場合にはそれらの中でスコアが最も大きい経路を、走行推奨ルートR3として特定する。経路特定部131は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法で走行推奨ルートR3を特定してもよい。
【0051】
経路特定部131は、所定の距離以内の範囲で指定エリアA2からはみ出た経路を含む走行推奨ルートR3を特定してもよい。この場合に、経路特定部131は、指定エリアA2内、又は指定エリアA2の外縁から所定の距離内の領域に含まれる経路の中で、タクシーの乗車需要が所定条件を満たす経路を、指定エリアA2内の走行推奨ルートとして特定する。これにより、情報提供装置1は、指定エリアA2からある程度出る経路を許容し、柔軟に走行推奨ルートを特定することができる。
【0052】
情報提供部132は、情報端末2に対して、タクシーの現在の位置から切替地点までの現行走行推奨ルートと、切替地点を始点とした指定エリア内の走行推奨ルートとを示すルート情報を提供する。現行走行推奨ルートから走行推奨ルートにすぐに切り替える場合には、情報提供部132は、指定エリア内の走行推奨ルートのみを示すルート情報を提供してもよい。情報提供部132は、ルート情報を、情報端末2に直接送信してもよく、タクシーを管理する配車管理装置を介して情報端末2に送信してもよい。
【0053】
情報端末2において、情報取得部231は、情報提供装置1が送信したルート情報を取得する。表示制御部232は、情報取得部231が取得したルート情報が示すルートを、エリア指定モードで表示部24に表示させる。エリア指定モードは、指定エリア内の走行推奨ルートを表示するモードである。ルート情報が現行走行推奨ルート及び走行推奨ルートの両方を示す場合に、表示制御部232は、現行走行推奨ルートの表示を継続した後に、走行推奨ルートの表示を開始する。ルート情報が走行推奨ルートのみを示す場合に、表示制御部232は、すぐに走行推奨ルートの表示を開始する。
【0054】
図6は、エリア指定モードで走行推奨ルートを表示している情報端末2の正面図である。表示部24は、タクシーの現在位置の周辺の地図画像とともに、指定エリア内の走行推奨ルートを示すルート画像241と、エリア指定ボタン242と、指定エリアを示す指定エリア画像243と、解除ボタン244とを表示している。ルート画像241は、例えば地図画像上で走行推奨ルートに沿って重畳された帯状の画像である。エリア指定ボタン242及び解除ボタン244は、それぞれ運転手による操作によって選択可能な仮想的なボタン(アイコン)である。
【0055】
指定エリア画像243は、例えば地図画像上で指定エリアに対応する領域に重畳された画像である。指定エリアに対応する領域の全部が地図画像に入らない場合には、指定エリア画像243は、指定エリアに対応する領域の一部を表してもよい。
【0056】
指定エリア画像243は、例えば指定エリアに対応する円状の領域(すなわち情報端末2がエリア指定通知を送信した時点のタクシーの位置を中心とした所定半径の円)を所定色で塗りつぶす画像である。また、指定エリア画像243は、例えば指定エリアに対応する円状の領域にメッシュ(網)等の所定の模様を表す画像であってもよい。
【0057】
また、指定エリア画像243は、例えば指定エリアに対応する円状の領域を所定色で塗りつぶす画像であって、当該円状の領域の外縁をぼかした画像であってもよい。この場合に、指定エリア画像243は、円状の領域の外縁から当該円状の領域の中心に向けて濃度が段階的に変化する領域(すなわちグラデーション領域)を含む。情報提供システムSは、指定エリア画像243の外縁を曖昧にすることによって、上述のように走行推奨ルートが指定エリアから所定の程度はみ出た経路を含んでいる場合であっても、指定エリアを逸脱することによって生じ得る運転手の違和感を低減できる。
【0058】
このように、情報提供システムSは、運転手によるエリア指定操作に応じた指定エリアを地図画像上に表示するとともに、指定エリア内の走行推奨ルートを地図画像上に表示することによって、指定エリア内の走行推奨ルートであることを運転手に対して明示できるため、運転手によるルート情報の利用率を向上させることができる。
【0059】
情報端末2が指定エリア内の走行推奨ルートを表示している最中に、操作受付部233は、表示部24に表示された解除ボタン244を選択する操作を、エリア指定モードを解除する解除操作として受け付ける。操作受付部233が解除操作を受け付けた場合に、通知部234は、解除操作を受けたことを示す解除通知を、情報提供装置1へ送信する。
【0060】
情報提供装置1において、通知取得部133は、解除通知を情報端末2から取得する。通知取得部133は、解除操作が行われた際(すなわち解除通知を取得した際)の時刻及びタクシーの位置を示す履歴情報を、記憶部12に記憶させる。これにより、情報提供装置1は、履歴情報を、サービスの精度を向上させるためのデータとして収集できる。通知取得部133が解除通知を取得した場合に、経路特定部131は、上述の方法で営業エリア内の走行推奨ルートを特定する。情報提供部132は、情報端末2に対して、経路特定部131が特定した営業エリア内の走行推奨ルートを示すルート情報を提供する。
【0061】
情報端末2において、情報取得部231は、情報提供装置1が送信したルート情報を取得する。表示制御部232は、情報取得部231が取得したルート情報が示す営業エリア内(すなわち、指定エリア内又は指定エリア外)の走行推奨ルートを、通常モードで表示部24に表示させる。これにより、運転手は、指定エリアを容易に解除し、営業エリア全体における走行推奨ルートを参照することができる。
【0062】
情報端末2が指定エリア内の走行推奨ルートを表示している最中に、操作受付部233がエリア指定ボタン242を選択する操作を受け付けた場合に、情報提供装置1は、指定エリアを更新してもよい。この場合に、情報端末2の通知部234は、エリア指定操作を受けたことを示すエリア指定通知を、再び情報提供装置1へ送信する。情報提供装置1は、情報端末2がエリア指定通知を送信した時点におけるタクシーの位置に対応する指定エリアを改めて決定し、新たな指定エリア内の走行推奨ルートを示すルート情報を、情報端末2へ送信する。これにより、運転手は、指定エリアを容易に更新し、新たな指定エリア内の走行推奨ルートを参照することができる。
【0063】
タクシーは、現行走行推奨ルートを走行する際や、乗客を輸送した際に、指定エリアの外に出る場合がある。そこでタクシーが指定エリアの外に出ることが推測される場合又はタクシーが指定エリアの外に出た場合に、情報提供装置1は、タクシーが指定エリア内に戻るための戻りルートを特定してもよい。
図7は、経路特定部131が指定エリアA2への戻りルートR4を特定する方法を説明するための模式図である。
【0064】
経路特定部131は、現行走行推奨ルートR2から指定エリアA2内の走行推奨ルートR3への切替地点を指定エリアA2の外に特定した場合に、切替地点から指定エリアA2に到達するための経路を、戻りルートR4として特定する。戻りルートR4は、例えば切替地点から指定エリアA2への最短経路である。そして経路特定部131は、戻りルートR4の終点を始点とした、指定エリアA2内の走行推奨ルートR3を特定する。情報提供部132は、情報端末2に対して、現行走行推奨ルートR2と、戻りルートR4と、指定エリア内の走行推奨ルートR3とを示すルート情報を提供する。
【0065】
情報端末2において、情報取得部231は、情報提供装置1が送信したルート情報を取得する。表示制御部232は、情報取得部231が取得したルート情報が示すルートを、エリア指定モードで表示部24に表示させる。表示制御部232は、現行走行推奨ルートの走行が終了した後に戻りルートの表示を開始し、戻りルートの走行が終了した後に走行推奨ルートの表示を開始する。これにより、タクシーは、現行走行推奨ルートを走行したことによって指定エリア外に出た場合であっても、指定エリア内に戻って走行推奨ルートを走行できる。
【0066】
また、情報端末2が指定エリア内の走行推奨ルートを表示している間にタクシーが乗客を乗せた場合(すなわちタクシーが実車状態になっている間)に、表示制御部232は走行推奨ルートの表示を中止する。タクシーが乗客の輸送を完了した際(すなわちタクシーが空車状態になった時点)の位置が指定エリアの外である場合に、情報端末2において、経路特定部131は、当該位置から指定エリアに到達するための経路を、戻りルートとして特定する。経路特定部131は、戻りルートの終点を始点とした、指定エリア内の走行推奨ルートを特定する。情報提供部132は、情報端末2に対して、戻りルートと、指定エリア内の走行推奨ルートとを示すルート情報を提供する。
【0067】
情報端末2において、情報取得部231は、情報提供装置1が送信したルート情報を取得する。表示制御部232は、情報取得部231が取得したルート情報が示すルートを、エリア指定モードで表示部24に表示させる。これにより、タクシーは、乗客を輸送したことによって指定エリア外に出た場合であっても、指定エリア内に戻って走行推奨ルートを走行できる。
【0068】
[情報提供方法のシーケンス]
図8は、本実施形態に係る情報提供システムSが実行する情報提供方法のシーケンス図である。情報端末2においてルート情報を表示するためのアプリケーションが起動されると、情報提供装置1において、経路特定部131は、情報端末2が設けられているタクシーの現在の位置を示す位置情報を取得する。経路特定部131は、タクシーに関連付けられた営業エリアを示す営業エリア情報を取得する。
【0069】
経路特定部131は、取得した位置情報及び営業エリア情報に基づいて、営業エリア内でタクシーの乗車需要が所定条件を満たす経路を、営業エリア内の走行推奨ルートとして特定する(S11)。情報提供部132は、情報端末2に対して、経路特定部131が特定した営業エリア内の走行推奨ルートを示すルート情報を提供する。
【0070】
情報端末2において、情報取得部231は、情報提供装置1が送信したルート情報を取得する。表示制御部232は、情報取得部231が取得したルート情報が示す営業エリア内の走行推奨ルートを、通常モードで表示部24に表示させる。操作受付部233は、指定エリア内の走行推奨ルートを表示するエリア指定モードを起動するためのエリア指定操作を受け付ける(S12)。操作受付部233がエリア指定操作を受け付けた場合に、通知部234は、エリア指定操作を受けたことを示すエリア指定通知を、情報提供装置1へ送信する。
【0071】
情報提供装置1において、通知取得部133は、エリア指定通知を情報端末2から取得する。通知取得部133がエリア指定通知を取得した場合に、経路特定部131は、位置情報及び営業エリア情報を取得する。経路特定部131は、取得した位置情報に基づいて、情報端末2がエリア指定通知を送信した時点におけるタクシーの位置に対応する指定エリアを決定する(S13)。
【0072】
経路特定部131は、位置情報、営業エリア情報及び指定エリアに基づいて、指定エリア内でタクシーの乗車需要が所定条件を満たす経路を、指定エリア内の走行推奨ルートとして特定する(S14)。情報提供部132は、情報端末2に対して、タクシーの現在の位置から切替地点までの現行走行推奨ルートと、切替地点を始点とした指定エリア内の走行推奨ルートとを示すルート情報を提供する。現行走行推奨ルートから走行推奨ルートにすぐに切り替える場合には、情報提供部132は、指定エリア内の走行推奨ルートのみを示すルート情報を提供してもよい。
【0073】
情報端末2において、情報取得部231は、情報提供装置1が送信したルート情報を取得する。表示制御部232は、情報取得部231が取得したルート情報が示すルートを、エリア指定モードで表示部24に表示させる。ルート情報が現行走行推奨ルート及び走行推奨ルートの両方を示す場合に、表示制御部232は、現行走行推奨ルートの表示を継続した後に、走行推奨ルートの表示を開始する。ルート情報が走行推奨ルートのみを示す場合に、表示制御部232は、すぐに走行推奨ルートの表示を開始する。
【0074】
情報端末2が指定エリア内の走行推奨ルートを表示している最中に、操作受付部233は、エリア指定モードを解除する解除操作を受け付ける(S15)。操作受付部233が解除操作を受け付けた場合に、通知部234は、解除操作を受けたことを示す解除通知を、情報提供装置1へ送信する。
【0075】
情報提供装置1において、通知取得部133は、解除通知を情報端末2から取得する。通知取得部133が解除通知を取得した場合に、経路特定部131は、ステップS11と同様の方法で営業エリア内の走行推奨ルートを特定する(S16)。情報提供部132は、情報端末2に対して、経路特定部131が特定した営業エリア内の走行推奨ルートを示すルート情報を提供する。情報端末2において、情報取得部231は、情報提供装置1が送信したルート情報を取得する。表示制御部232は、情報取得部231が取得したルート情報が示す営業エリア内の走行推奨ルートを、通常モードで表示部24に表示させる。
【0076】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報提供システムSによれば、情報提供装置1は、運転手によるエリア指定操作に応じた指定エリアを決定し、決定した指定エリア内で乗車需要が所定条件を満たす走行推奨ルートを特定する。そして情報提供装置1は、特定した走行推奨ルートを示すルート情報を、情報端末2に提供する。これにより、情報提供システムSは、運転手の好みに合った走行推奨ルートを運転手に提示できるため、運転手によるルート情報の利用率を向上させることができる。単にタクシーの周辺において乗車需要が高い経路を走行推奨ルートとして表示するシステムでは、駅や繁華街等に向かう経路ばかり表示する傾向がある。それに対して、本実施形態に係る情報提供システムSは、駅や繁華街等に限られず、運転手による指定エリアを考慮した走行推奨ルートを特定するため、様々な走行推奨ルートを運転手に提示できる。
【0077】
また、情報端末2は、運転手によるエリア指定操作に応じた指定エリアを地図画像上に表示するとともに、指定エリア内の走行推奨ルートを地図画像上に表示することによって、指定エリア内の走行推奨ルートであることを運転手に対して明示できるため、運転手によるルート情報の利用率を向上させることができる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0079】
情報提供装置1及び情報端末2のプロセッサは、
図8に示す情報提供方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、情報提供装置1及び情報端末2のプロセッサは、
図8に示す情報提供方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して情報提供システムSの各部を制御することによって、
図8に示す情報提供方法を実行する。
図8に示す情報提供方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0080】
S 情報提供システム
1 情報提供装置
13 制御部
131 経路特定部
132 情報提供部
133 通知取得部
2 情報端末
23 制御部
231 情報取得部
232 表示制御部
233 操作受付部
234 通知部