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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】生体情報処理装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/333 20210101AFI20240116BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240116BHJP
   G06F 3/0483 20130101ALI20240116BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20240116BHJP
【FI】
A61B5/333
A61B5/00 D
G06F3/0483
G16H10/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019211424
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021079008
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】小林 大夢
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-177229(JP,A)
【文献】特開平09-146670(JP,A)
【文献】特開2010-061228(JP,A)
【文献】特開昭62-147581(JP,A)
【文献】特開2003-244506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0024603(US,A1)
【文献】特開2010-244223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/0538
A61B 5/06 - 5/398
G06Q 50/22
G16H 10/00 -80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者が携行する機器を用いた生体情報の計測に関して用いられる、所定の様式を有する記入用紙の画像を取得する取得手段と、
前記記入用紙に記入された内容を転記してデータ化するための転記用の入力画面を表示装置に表示させる制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記記入用紙の画像の記入欄が前記入力画面から視認できるように、前記入力画面を前記記入用紙の画像に重畳表示することを特徴とする生体情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記入力画面の不透明度を低下させて前記記入用紙の画像に重畳表示することを特徴とする請求項1に記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
前記記入用紙は複数の記入欄を有し、
前記入力画面は、前記複数の記入欄に対応する複数の入力フィールドを有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記入力画面が有する複数の入力フィールドと前記記入用紙が有する複数の記入欄との位置が対応するように前記入力画面を重畳表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記入力画面のうち、前記複数の入力フィールドの不透明度を低下させて前記記入用紙の画像に重畳表示することを特徴とする請求項3または4に記載の生体情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記入力画面の全体について不透明度を低下させて前記記入用紙の画像に重畳表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項7】
前記記入用紙が有するチェック記入欄に対応する前記入力画面の入力フィールドが、操作されるごとに入力状態が切り替わるトグルフィールドであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項8】
前記チェック記入欄が、予め定められた複数の行動または症状の1つに対応することを特徴とする請求項7に記載の生体情報処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記記入用紙の画像に含まれる特定のパターンを検出し、前記特定のパターンが検出された位置を基準として前記入力画面の表示位置を決定することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、重畳表示された前記入力画面の不透明度を調整するためのユーザインタフェースをさらに前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記入力画面に入力された内容を、前記機器を用いて計測された生体情報と関連づけて保存することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項12】
取得手段が、被検者が携行する機器を用いた生体情報の計測に関して用いられる、所定の様式を有する記入用紙の画像を取得する取得工程と、
制御手段が、前記記入用紙に記入された内容を転記してデータ化するための転記用の入力画面を表示装置に表示させる制御工程と、を有し、
前記制御工程において前記制御手段は、前記記入用紙の画像の記入欄が前記入力画面から視認できるように、前記入力画面を前記記入用紙の画像に重畳表示することを特徴とする生体情報処理装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1から11のいずれか1項に記載の生体情報処理装置が有する各手段として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体情報処理装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通院時に一般的に行われる数十秒程度の心電図計測では見つかりづらい一過性の症状を把握することなどを目的として、長時間連続して心電図を計測することがある。例えば、ホルタ心電図検査では、ホルタ心電計を患者に携帯させて日常生活下で例えば24時間連続して心電図を計測する。
【0003】
ホルタ心電計のような被検者が携行する機器を用いて生体情報を計測(記録)する場合、計測中の患者の行動や自覚症状などを時刻とともに記録するための記入用紙(行動記録カード)が用いられることがある(非特許文献1)。行動記録カードの記入内容は例えば計測データを参照したり判読したりする際の有用な情報となるため、計測データと関連づけて取り扱うことが望ましい。
【0004】
しかし、行動記録カードは手書きで記入する用紙であるため、そのままでは計測データと関連づけて取り扱うことが難しい。そのため、従来は、生体情報処理装置に接続された画像読取装置で行動記録カードを画像データに変換したり、行動記録カードの記入内容を生体情報処理装置に表示される入力画面に入力(転記)したりすることにより、行動記録カードの記入内容をデータ化していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】”ホルター心電図”、[online]、[令和1年7月8日検索]、インターネット〈URL:http://www.setagayaku-hokencenter.or.jp/thorough/heart.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像データに変換する方法では、行動記録カードの記入内容(時間と行動または自覚症状)をデータとして活用することができない。また、行動記録カードの記入内容を目視で確認しながら生体情報処理装置に入力しなおす(転記する)場合、手間がかかるほか、転記時にミスが発生しやすい。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものである。本発明の目的は、被検者が携行する機器を用いた生体情報の計測に関して用いられる所定の記入用紙に手書きで記入された情報を効率よくデータ化することが可能な生体情報処理装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、被検者が携行する機器を用いた生体情報の計測に関して用いられる、所定の様式を有する記入用紙の画像を取得する取得手段と、記入用紙に記入された内容を転記してデータ化するための転記用の入力画面を表示装置に表示させる制御手段と、を有し、制御手段は、記入用紙の画像の記入欄が入力画面から視認できるように、入力画面を記入用紙の画像に重畳表示することを特徴とする生体情報処理装置によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
このような構成により、本発明によれば、被検者が携行する機器を用いた生体情報の計測に関して用いられる所定の記入用紙に手書きで記入された情報を効率よくデータ化することが可能な生体情報処理装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る生体情報処理装置を実施可能な汎用コンピュータの機能構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る計測データ読み込み処理に関するフローチャートである。
図3】行動記録カードの一例を示す図である。
図4】行動記録カードの転記用GUI(入力画面)の一例を示す図である。
図5】行動記録カードの画像に入力画面を重畳表示した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明をその例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定しない。また、実施形態には複数の特徴が記載されているが、その全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
本実施形態の生体情報処理装置は、被検者が携行する機器を用いた生体情報の計測に関して用いられる所定の様式を有する記入用紙の一例である、ホルタ心電図検査中に用いられる、時刻と対応するイベント(行動や自覚症状)を記入するための行動記録カードの記入内容をデータ化するものとする。しかし本発明は被検者が携行する機器や記入用紙の種類には依存せず、被検者が携行する任意の機器を用いた生体情報の計測に関して用いられる、所定の様式を有する任意の記入用紙を対象としうる。ここで、所定の様式を有するとは、記入する情報に応じて記入欄が定められていることを意味し、所定の様式を有する記入用紙とは、一般的には記入すべき情報とその記入欄が予め印刷された用紙を意味する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る生体情報処理装置として機能可能な汎用コンピュータ100の機能構成例を示すブロック図である。制御部として機能するCPU1は、例えば記憶装置10に格納されているプログラムをRAM3に読み出して実行し、装置の各機能を実現する。なお、記憶装置10はハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などであり、基本ソフト(OS)、デバイスドライバ、アプリケーションなどが記憶されている。メニュー画面などを表示するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)データ、ユーザ設定データ、アプリケーションの初期設定データなども記憶装置10に記憶される。
【0014】
ROM2はブートストラップローダなど、コンピュータが起動するために必要なプログラムやファームウェア、各種の設定情報などが記憶されている。ROM2は少なくとも一部が書き換え可能であってよい。
【0015】
RAM3はCPU1が実行するプログラムを展開する領域や、変数やデータ等の一時記憶領域として用いられる。メモリカード4は他の機器、ここではホルタ心電計において心電データの記録に用いられる記録媒体であってよい。
【0016】
表示部6はドットマトリックス方式の表示装置であり、代表的には液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイである。なお、図2では表示部6が装置に内蔵されている構成を示しているが、外部装置として接続されてもよい。また、表示部6が内蔵ディスプレイと外付けディスプレイの両方から構成されてもよい。
【0017】
操作部8はユーザが装置に指示を入力する機器であり、代表的にはキーボード、ポインティングデバイス(マウスなど)、接触感知デバイス(タッチパネルなど)などの入力デバイスの1つ以上である。なお、キーボードはハードウェアキーボードであっても、ソフトウェアキーボードであってもよい。なお、タッチパネルは表示部6に設けられてもよいし、ノート型パソコンに多く見られるようなタッチパッドの形態であってもよい。
【0018】
通信インターフェース(I/F)20は自動解析装置などの外部機器21や、画像読取装置22とデータ通信を行うための1つ以上の通信インターフェースである。通信I/F20は例えばイーサネット(登録商標)、IEEE802.11x、USBなどの有線および/または無線通信規格に準拠した構成を有する。
【0019】
画像読取装置22は行動記録カードを画像データに変換して出力可能な機器であり、例えばスキャナやデジタルカメラ、またはそれらの機能を備え、汎用コンピュータ100と通信I/F20を通じて通信可能な任意の電子機器(例えばスマートホン)であってよい。また、図1では画像読取装置22が外部装置として記載されているが、汎用コンピュータ100が備えていてもよい。
【0020】
汎用コンピュータ100は例えば、ホルタ心電計で計測した心電データを、患者情報や依頼内容、行動記録カードに記入された情報とともに外部の自動解析装置に送信する端末であってよい。この場合、端末のユーザは患者の診察を行う医師(担当医)、あるいは担当医の指示によって自動解析の依頼を行う医療スタッフである。
【0021】
例えばユーザは、ホルタ心電計とともに患者から返却された行動記録カードを画像読取装置22で読み取り、画像データとして保存することができる。画像データは、行動記録カードに対応する計測データと関連づけて保存される。例えばユーザは、ホルタ心電計から取り出されてカードスロット5に装着されたメモリカード4に記録されている計測データを記憶装置10に保存する。その後、行動記録カードを画像読取装置22で読み取り、行動記録カードの画像データを計測データと同じ場所(例えばフォルダ)に保存することにより、行動記録カードと計測データとを関連づけて保存することができる。
【0022】
ここでは、心電データの管理アプリケーションを通じてメモリカード4から記憶装置10に計測データが保存するものとする。この場合、管理アプリケーションが計測データと行動記録カードの画像データとの関連付けを行う。
【0023】
(計測データ読み込み処理)
次に、本実施形態の生体情報処理装置における心電データの読み込み動作について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。この動作は、汎用コンピュータ100のCPU1がOS上で心電データの管理アプリケーションを実行することによって実現される。例えば、読み込む心電データを指定する画面の表示指示(例えば、「開く」コマンドの選択)が操作部8を通じて入力されると、CPU1は読み込むデータファイルを選択するための選択ウィンドウを表示部6に表示させる。なお、カードスロット5にメモリカード4が装着されている場合、選択ウィンドウは、メモリカード4に記録されているデータファイルを初期状態で表示する。
【0024】
S200でCPU1は操作部8を通じたデータの取得指示(例えば「読み込み」GUIボタンの押下操作)の検出を待機する。データの取得指示を検出すると、S202でCPU1は、選択ウィンドウで選択状態であったデータファイルをカードスロット5を通じて読み込み、記憶装置10の所定位置に保存する。CPU1は保存位置を例えば管理アプリケーションに入力された患者IDなどに基づいて特定することができる。なお、メモリカード4に、特定の名前を有するなどの予め定められた条件を満たすデータファイルが記録されている場合には、そのデータファイルを自動で読み込むなど、データファイルの選択や取得指示を必要としない構成であってもよい。
【0025】
S204でCPU1は、行動記録カードの読み取り方法をユーザに問い合わせる。ここでは、読み取り方法として、(1)スキャナで読み取り、(2)データファイルからの取り込み、のいずれかが選択可能であるものとするが、これに限定されない。CPU1は、スキャナで読み取りが選択された場合にはS208に、データファイルからの取り込みが選択された場合にはS212に、処理を進める。
【0026】
S208でCPU1は、画像読取装置22に行動記録カードをセットするようユーザに促し、読み取り開始指示の検出を待機する。例えば操作部8を通じた読み取り開始指示を検出すると、CPU1は処理をS210に進める。
S210でCPU1は、画像読取装置22を制御して読み取り動作を実行する。なお、CPU1は、行動記録カードの読み取りに適した設定値(解像度、読み取り範囲、階調数など)を画像読取装置22に設定してから読み取りを実行する。設定値は例えばROM2に予め記憶しておくことができる。CPU1は、通信I/F20を通じて画像読取装置22から画像データを取得し、RAM3に格納する。読み取りが終了するとCPU1は処理をS214に進める。
【0027】
一方、S212でCPU1は、外部機器21から画像ファイルを取得する。例えばCPU1は外部機器21としてデジタルカメラやスマートフォンなどの撮像装置と通信I/F20を通じて通信し、行動記録カードの画像データを格納したデータファイルを取得する。あるいはCPU1は、外部機器21ではなく、記憶装置10に既に読み込まれているデータファイルから行動記録カードの画像データを取得してもよい。CPU1は取得したデータファイルから画像データを抽出し、必要に応じて復号化したのち、RAM3に格納する。画像データの取得が終了するとCPU1は処理をS214に進める。
【0028】
S214でCPU1は、RAM3に格納された画像データに対し、表示用の処理を必要に応じて適用したのち、表示部6の所定位置に表示する。表示用の処理は例えば幾何変形処理、スケーリング、解像度変換、階調数変換などであってよいが、これらに限定されない。また、表示用の処理は必須ではない。
【0029】
S216でCPU1は、表示部6に行動記録カードの転記用GUI(入力画面)を表示させる。入力画面は、行動記録カードに記入された内容をデータ化するためのGUIである。ここで、CPU1は、入力画面を行動記録カードの画像の上に重畳表示する。この際、CPU1は、不透明度を100%(完全に不透明)より小さい値に低下させることにより入力画面を半透明とし、行動記録カードの画像における手書き入力内容が入力画面を透して視認できるようにする。後述するように、入力画面は、行動記録カードの画像に重畳された際に個々の入力フィールドが行動記録カードの個々の記入欄と位置が対応するように設計されている。そのため、ユーザは、透けて見える手書き入力内容を、同じ位置の入力フィールドに操作部8を用いて入力することで、行動記録カードの記入内容を容易かつ正確にデータ化することができる。
【0030】
S218でCPU1は、操作部8を通じた入力完了指示の検出を待機する。入力完了指示が検出されるとCPU1は処理をS220に進める。
S220でCPU1は、入力画面に入力された内容を予め定められた形式でデータ化して格納したデータファイル(行動記録データファイル)を生成する。そして、CPU1は、行動記録データファイルをS202で保存した計測データと関連づけて保存する。例えばCPU1は、行動記録データファイルをS202で保存した計測データと同じフォルダに保存したり、少なくとも一部が共通するファイル名を付けて保存したりすることにより、行動記録データファイルを計測データと関連づけることができる。
【0031】
図3は、行動記録カードの一例を示す図である。行動記録カード300は、時刻欄310、行動欄320、症状欄330、メモ欄340が水平方向に並んだ構成を有する。各欄の最上部は見出し部350Aであり、記入欄ではない。記入欄350Bは複数行から構成され、各行は時刻記入欄351、複数のチェック記入欄352、メモ記入欄353から構成される。複数のチェック記入欄352のそれぞれは予め定められた複数の行動および複数の症状の1つに対応している。被検者は、ホルタ心電計を装着して心電図を計測している期間において、予め定められた複数の行動に該当する行動をとった時や、複数の症状の1つに該当する症状を自覚した時には、時刻記入欄351に時刻を記入し、該当するチェック記入欄352にチェックマーク(○やレなど)を記入する。また、特に気付いた点などをメモ欄に記入する。図3の例において、チェックマーク354は午後1時に服薬したことを示し、チェックマーク355は午後8時30分に息切れを自覚したことを示す。
【0032】
図4は、行動記録カードの転記用GUI(入力画面)の一例を示す図である。なお、図4に示す入力画面400は、単独で表示部6に表示されている状態であり、半透明ではない。
【0033】
入力画面400は、行動記録カード300と同様に、時刻欄410、行動欄420、症状欄430、メモ欄440が水平方向に並んだ構成を有する。各欄の最上部は見出し部450Aであり、記入欄ではない。記入欄450Bは複数行から構成され、各行は時刻入力フィールド451、複数のチェックフィールド452、メモ入力フィールド453から構成される。複数のチェックフィールド452のそれぞれは予め定められた複数の行動および複数の症状の1つに対応している。
【0034】
時刻入力フィールド451は、日、時、分の入力フィールドを有し、操作部8の主にキーボードを用いて値を直接入力することが想定されている。もちろん、GUIで一般的に用いられるプルダウンメニューなどを用いてマウス操作のみで値を入力できるように構成してもよい。
【0035】
複数のチェックフィールド452は操作部8の主にマウスでクリックすることが想定されている。クリックされたチェックフィールド452にはチェックされたことを示すマークが表示される。チェックフィールド452は、操作されるごとに入力状態が第1の状態と第2の状態との間で切り替わるトグルフィールドである。ここでは、マークがない状態でクリックされるとマークが表示され(第1の状態)、マークが表示されている状態でクリックされるとマークが消去される(第2の状態)。
メモ入力フィールド453は操作部8の主にキーボードを用いてコメントを直接入力することが想定されている。
【0036】
なお、汎用コンピュータ100が例えばタブレットコンピュータであり、操作部8が表示部6に設けられたタッチパネルである場合、クリック操作の代わりにタップ操作を用いることができる。また、値の入力にはソフトウェアキーボードを用いることができる。
【0037】
図5は、図3に示した行動記録カードの画像に、図4に示した入力画面を重畳表示した状態の一例を示している。重畳表示を行う際、CPU1は入力画面の不透明度を低下させて半透明とする。
【0038】
表示部6に表示される行動記録カードの画像の表示位置や大きさは予め設定されている。スキャンにより、もしくは画像ファイルから取得された行動記録カードの画像データは、S214における表示処理において、必要に応じて大きさが調整された後に所定の表示位置に表示される。
【0039】
また、行動記録カードの様式(記入欄のレイアウトおよび個々の記入欄の大きさ)は予め知ることができる。そのため、行動記録カードの転記用GUIである入力画面は、行動記録カードの画像に重畳表示された場合に、行動記録カードの画像における各記入欄に対応して各入力フィールドが位置するように設計されている。換言すれば、ある入力フィールド(およびその周囲領域)を透して視認される行動記録カードの入力事項を、その入力フィールドに入力することにより、入力事項の転記が可能になるように、入力画面の各入力フィールドの位置および大きさ、並びに表示位置が定められている。
【0040】
なお、入力画面の表示位置については、行動記録カードに含まれる特定パターンの位置を行動記録カードの画像から認識することによって調整してもよい。例えば、図3に示す行動記録カードは、時刻記入欄310の見出しに時計のピクトグラムが、またメモ記入欄の見出しに鉛筆のピクトグラムが印刷されている。したがって、CPU1は、行動記録カードの画像におけるこれらのピクトグラムの位置を検出し、検出した位置を基準として入力画面の表示位置を決定することができる。
【0041】
例えば取得された行動記録カードの画像において、スキャン時の用紙セットや撮影時のフレーミングになどによって行動記録カードの端が切れていたり、周辺に余白が存在したりする場合がある。そのため、入力画面の表示位置を固定にした場合、入力フィールドの位置と行動記録カードの画像中の記入欄との対応関係が崩れることが起こりうる。したがって、S216でCPU1が入力画面を重畳表示する際に、行動記録カードの画像におけるこれらのピクトグラムの位置を検出し、検出した位置を基準として入力画面の表示位置を決定することで、行動記録カードの画像に対する入力画面の位置合わせをより正確に行うことができる。
【0042】
このように、入力画面は、少なくとも入力フィールドの位置や大きさについて、行動記録カードの記入欄と同様のレイアウトを有するように設計されている。なお、「同様」のレイアウトとは、完全同一であることを必要とせず、例えば入力フィールドの大きさが行動記録カードにおける対応する記入欄よりも小さかったり、大きかったりしてもよい。入力画面を行動記録カードの画像に重畳表示した際に、入力画面の入力フィールドと行動記録カードの記入欄との対応関係が崩れない範囲で入力フィールドの大きさや位置を決定することができる。
【0043】
なお、CPU1は、入力画面を重畳表示する際、図5にスライダ554として示す、入力画面の不透明度を調整するためのGUIを合わせて表示してもよい。CPU1は、操作部8を通じたスライダ554の操作が検出されると、スライダの位置に応じて入力画面の不透明度を調整する。これによりユーザは、入力画面を透した行動記録カードの画像の視認性を調整することができる。例えば不透明度を0%にすることで、実質的に入力画面の重畳表示を一時的に中止し、行動記録カードの記入内容を詳細に確認することができる。
【0044】
図5は、行動記録カードの記入欄350Bの記入内容の一部が入力画面に転記された状態を示している。時刻入力フィールド551に日時が入力され、チェックフィールド552がクリックされてマークが表示されている。また、メモ入力フィールド553にはコメントが転記されている。
【0045】
CPU1は、操作部8を通じた完了ボタン555の操作(あるいは不図示のメニュー項目に含まれる完了コマンドの選択操作)が検出されると、その時点で入力画面に入力された内容を予め定められた形式のデータとして格納したデータファイル(行動記録データファイル)を生成する。また、CPU1は、操作部8を通じたキャンセルボタン556の操作(あるいは不図示のメニュー項目に含まれるキャンセルコマンドの選択操作)が検出されると、行動記録データファイルを生成せずに転記処理を終了する。
【0046】
なお、ここでは計測データ読み込み時に行動記録カードの転記を行う構成について説明した。しかし、行動記録カードの転記は任意のタイミングで実行可能である。この場合、図2のS204からの動作を実行し、S220ではユーザが選択した計測データと関連づけて行動記録データファイルを保存すればよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、転記用の入力画面を半透明として、記入済みの記入用紙の画像に重畳表示するようにした。そのため、記入用紙に手書きで記入された情報を効率よくデータ化することが可能な生体情報処理装置およびその制御方法を提供できる。
【0048】
(他の実施形態)
上述の実施形態はホルタ心電図検査に用いる行動記録カードの転記に関するものであった。しかし、本発明は手書き入力される他の種類の記入用紙の転記についても同様に適用可能である。
【0049】
上述の実施形態では、記入用紙の画像に重畳表示させる入力画面の全体を半透明とする構成であったが、重畳表示された入力画面から記入用紙の記入内容を見ることができれば、入力画面全体を半透明にしなくてもよい。つまり、記入用紙の画像の記入欄が、重畳表示された入力画面から視認できればよい。例えば、記入用紙の記入欄に対応する領域だけが半透明もしくは完全に透明(不透明度0%)で、他の領域は不透明もしくは半透明であってもよい。
【0050】
また、入力画面が透明であってもよい。この場合も、入力画面の入力フィールドは目に見えないが存在はしているので、入力は可能である。なお、入力フィールドに対する入力内容が確認できるよう、入力内容については透明としない(半透明であっても不透明であってもよい)。また、透明な入力画面が重畳されていることが分かるように、入力画面の外縁や入力フィールドの外縁を半透明もしくは不透明とし、他の領域は透明としてもよい。
【0051】
また、本発明は、コンピュータに上述の実施形態において説明した図2の動作を実行させるプログラムや、そのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても実施可能である。また、本発明は上述した実施形態の内容に制限されず、発明の精神および範囲から離脱することなく様々な変更及び変形が可能である。したがって、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0052】
100…汎用コンピュータ、300…行動記録カード、400…入力画面
図1
図2
図3
図4
図5