(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】回転駆動制御装置、シート処理装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20240116BHJP
G01D 5/244 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H02P29/00
G01D5/244 K
(21)【出願番号】P 2019224989
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 哲也
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-90307(JP,A)
【文献】特開2008-207313(JP,A)
【文献】特開2018-201260(JP,A)
【文献】特開2002-268502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
G01D 5/244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転方向及び
該第1の
回転方向とは反対方向の
第2の回転方向に回転するモータと、
前記モータを駆動制御す
る制御部と、
前記モータの駆動を受けて回転する回転部材を有する機構部と、
前記回転部材
に設けられた第1の検出部を検出する第1の検出手段及び前記回転部材
に設けられた第1の検出部と異なる第2の検出部を検出する第2の検出手段を有する検出部と、を備え、
前記制御部は、前記モータを制御して
前記回転部材を回転させた際に得られる前記第1の検出手段の検出
結果に基づいて前記第2の検出手段の検出値をカウントし、前記回転部材の移動量を制御する第1のモードと、
前記制御部、前記機構部および前記検出部の中から少なくとも一つの異常個所を特定する第2のモードと、を有し、
前記制御部は、
前記モータを前記
第1の回転方向に回転させた際に得られる前記第1の検出手段
による検出結果と、
前記モータを前記第1の回転方向に回転させた際に得られる前記第2の検出手段
の検出結果との組み合わせからなる第1の検出パターンと、
前記モータを前記
第2の回転方向に回転させた際に得られる前記第1の検出手段
による検出結果と、
前記モータを前記第2の回転方向に回転させた際に得られる前記第2の検出手段
による検出結果との組み合わせからなる第2の検出パターンと、に基づいて、
前記第2のモードにおいて前記異常個所を特定する、ことを特徴とする回転駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1のモードによる動作異常が発生した場合に
前記第2のモードを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の回転駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の検出パターン及び第2の検出パターンをそれぞれ記憶すると共に、予め記憶された第1の検出パターンと第2の検出パターンの組み合わせとの比較に基づいて、異常個所を前記モータ、前記制御部、前記機構部、前記検出部の中から特定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転駆動制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2のモード
において、
前記
第1の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記前記
第1の検出部を検出し、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出し、
前記
第2の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出せず、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出した場合に、
前記機構部を異常個所として特定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転駆動制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2のモード
において、
前記
第1の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出し、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出し、
前記
第2の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出せず
に前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出しない場合に、
前記機構部もしくは前記制御部を異常個所として特定する
ことを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の回転駆動制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2のモード
において、
前記
第1の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出し、前記第2の検出手段が所定時間内に前記第2の検出部を検出せず、
前記
第2の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出し、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出した場合に、
前記第2の検出手段を異常個所として特定する
ことを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか1項に記載の回転駆動制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2のモード
において、
前記
第1の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出せず、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出し、
前記
第2の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出し、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出した場合に、
前記機構部を異常個所として特定する
ことを特徴とする請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の回転駆動制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2のモード
において、
前記第1の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出せず、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出し、
前記
第2の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出せず、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出した場合に、
前記第1の検出手段を異常個所として特定する
ことを特徴とする請求項
1乃至7のいずれか1項に記載の回転駆動制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2のモード
において、
前記
第1の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出せず、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出せず、
前記
第2の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出し、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出した場合に、前記機構部もしくは前記制御部を異常個所として特定する
ことを特徴とする請求項
1乃至8のいずれか1項に記載の回転駆動制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2のモード
において、
前記第1の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出せず、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出せず、
前記第2の回転方向に前記モータ
を回転させた際に、前記第1の検出手段が所定時間内に前記
第1の検出部を検出せず、前記第2の検出手段が所定時間内に前記
第2の検出部を検出しない場合に、前記モータ、前記機構部もしくは前記制御部を異常個所として特定する
ことを特徴とする請求項
1乃至9のいずれか1項に記載の回転駆動制御装置。
【請求項11】
前記第1の検出手段
は、第1のフォトセンサを有し、
前記第2の検出手段は、第2のフォトセンサ
を有し、
前記第1の検出部は、前記回転部材が回転する回転方向に沿って
複数形成され
た第1のスリット
を有し、
前記第2の検出部は、該第1のスリットの周期より細かい周期で
前記回転方向に沿って複数形成された第2のスリットを有する、
ことを特徴とする請求項
1乃至10のいずれか1項に記載の回転駆動制御装置。
【請求項12】
前記機構部は、シートを穿孔するパンチ刃
と、前記第1のモードにおいて前記モータの回転によって回転することで前記パンチ刃による穿孔処理を実行するための前記回転部材を備える
ことを特徴とする請求項1
乃至11のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項13】
前記機構部は、前記第1のモードにおいて前記モータの回転によって回転することでシートを搬送する搬送ユニットを備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項14】
シートに対して画像を形成する画像形成ユニットと、
前記画像形成ユニットによって画像が形成されたシートに対して処理を実行する請求項
12又は13に記載のシート処理装置と、を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の駆動機構やこれを制御する制御部の中から動作異常個所を抽出及び特定するための機能を有した回転駆動制御装置、シート処理装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の駆動機構や駆動部材からなる各種の装置にあっては、動作異常が生じた場合にその異常個所を迅速に特定することが困難となっている。このため、各種の装置においては、内部又は外部に通常の動作機構とは別に動作異常個所を検知するためのセンサや回路等の異常診断機能を備えたものがある。
【0003】
例えば、コピーやスキャナ等の複数の機能を備えた画像形成装置には、画像が形成されたシートを綴じたり、所定箇所に穿孔を設けたりするシート処理装置が備えられており、このシート処理装置は様々な駆動機構や駆動部材で構成されている。その中には、シートの所定箇所を穿孔するパンチユニットがある。このパンチユニットでは、モータの回転運動を直線的な往復運動に変換させることによって、先端に円形刃を有する穿孔部材をシートの所定箇所に通すことでパンチ孔が設けられる。その機構は、モータと、このモータを駆動する制御部と、モータによって回転するカム部材と、このカム部材に連結される穿孔部材とを備える。前記カム部材は、モータの正転運動及び逆転運動を受けて回転することによって、パンチ刃をシート面から離間し、動作開始の基準となるホーム位置と、シートを穿孔する穿孔動作位置との間を往復移動する。前記カム部材には、ホーム位置を検出するホーム位置検出センサ及び穿孔する際の位置を検出するための位相検出センサがそれぞれ設けられており、これらのセンサの出力値に基づいてモータの回転が制御される。
【0004】
このような装置にあっては、ホーム位置から穿孔動作位置への移動を行うときに、予め設定された所定時間以上経過しても、移動先のホーム位置を検出しない場合には、エラー通知をする制御を行っている。その際、パンチユニットを保守する保守員は、エラー通知で通知されたエラーコードに基づいて修理を行う。このように、パンチユニットの動作を正常状態に復帰させるサービスサポートが運用されている。
【0005】
保守員は、エラーコードに基づいてシート処理装置を修理する場合に、現場でエラーコードに関連した構成部品が故障していないかを逐次確認して、修理が必要な故障箇所の特定を行うが、故障個所の特定が迅速にされないと修理に多大な時間が必要となり、修理の間、ユーザには不便を強いられることになる。よって、すばやく装置を復帰するために、装置内の故障箇所を詳細に特定する技術が重要となる。
【0006】
特許文献1では、モータの回転状態を検出する回転状態検出手段に加え、モータの各端子電位とモータ駆動電源の低電位側の電位との間の中間電位を検出する中間電位検出手段にて、モータを駆動する駆動回路の異常を検出する異常検出手段が開示されている。
【0007】
また、特許文献2では、電源に抵抗を介して接続し、この抵抗の端子電圧を検出する構成を用いて、モータ断線の識別検出を行う手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-202259号公報
【文献】特開2007-330040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようなパンチユニットを動作させる場合、その駆動源としてモータ並びにモータを駆動する駆動回路が用いられている。モータの代表的な例としてDCモータ及びこのDCモータを駆動する回路としてHブリッジ回路(もしくはHブリッジ回路が内臓されたドライバIC)で構成された装置の動作異常個所を特定する際、特許文献1では電流を検出する回路が前記駆動回路とは別に必要となり、基板の大型化や部品追加による回路の複雑化が予想される。
【0010】
また、特許文献2の構成では、大きな構成追加とはならなないが、断線のみしか検出できず、エラー要因を発生させている詳細箇所を特定することが困難であるため、異常を修復するまでに時間がかかるという課題がある。
【0011】
そこで本発明は、上記課題を解決するために、複数の駆動機構及び制御部を有する構成において、通常動作の制御を行う検出手段から、異常発生時に得られる検出の組み合わせパターンに基づいて、動作異常が発生している箇所を抽出及び特定することのできる手段を備えた回転駆動制御装置、シート処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る回転駆動制御装置は、第1の回転方向及び該第1の回転方向とは反対方向の第2の回転方向に回転するモータと、前記モータを駆動制御する制御部と、前記モータの駆動を受けて回転する回転部材を有する機構部と、前記回転部材に設けられた第1の検出部を検出する第1の検出手段及び前記回転部材に設けられた第1の検出部と異なる第2の検出部を検出する第2の検出手段を有する検出部と、を備え、前記制御部は、前記モータを制御して前記回転部材を回転させた際に得られる前記第1の検出手段の検出結果に基づいて前記第2の検出手段の検出値をカウントし、前記回転部材の移動量を制御する第1のモードと、前記制御部、前記機構部および前記検出部の中から少なくとも一つの異常個所を特定する第2のモードと、を有し、前記制御部は、前記モータを前記第1の回転方向に回転させた際に得られる前記第1の検出手段による検出結果と、前記モータを前記第1の回転方向に回転させた際に得られる前記第2の検出手段の検出結果との組み合わせからなる第1の検出パターンと、前記モータを前記第2の回転方向に回転させた際に得られる前記第1の検出手段による検出結果と、前記モータを前記第2の回転方向に回転させた際に得られる前記第2の検出手段による検出結果との組み合わせからなる第2の検出パターンと、に基づいて、前記第2のモードにおいて前記異常個所を特定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の回転駆動制御装置によれば、通常の駆動制御を行うための第1のモードに加えて、第1のモードでの駆動や制御に異常が生じた場合に異常個所を抽出する機能を有しているので、異常個所を確認及び回復するといった対応を迅速且つ適格に行うことができる。また、第2のモードを実現する構成が第1のモードの構成と共通するので、部品点数の増加やコストアップを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の回転駆動制御装置を備えたシート処理装置及びシート処理装置を備えた画像形成装置の断面図である。
【
図3】回転駆動制御装置を備えたパンチユニットの正面概略図である。
【
図5】回転駆動制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図7A】第1及び第2の検出手段の一の回転方向における検出位置を示す説明図である。
【
図7B】第1及び第2の検出手段の他の回転方向における検出位置を示す説明図である。
【
図8】第1のモードにおける動作タイミングチャートである。
【
図16】検出パターンの組み合わせに基づく異常抽出テーブルである。
【
図17】検出パターンの組み合わせに基づく異常特定テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る回転駆動制御装置及びこれを用いたシート処理装置及び画像形成装置について説明する。
図1はシート処理装置Bを搭載した画像形成装置Aと全体構成を示す断面図、
図2はシート処理装置Bの断面図である。
【0017】
画像形成装置Aは、
図1に示したように、電子写真方式を用いたもので画像形成部2の下方にシートを収納する3段の給紙カセット1a、1b、1cからなる給紙部1と、シート処理装置Bを装着しないときは画像形成部2の上方を排紙空間としてその上方に画像読取装置20を配置してある。したがって、シート処理装置Bを配置する場合には、図示の様に上記排紙空間を利用する所謂胴内タイプとして装置フレーム29上に配置している。
【0018】
画像形成部2は、4色の色成分(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBK)からなる感光ドラム3aと、この感光ドラム3aを帯電する帯電ローラからなる帯電装置4aと、画像読取装置20で読み取った画像信号を潜像とする露光装置5aを有している。さらに、感光ドラム3aに形成された潜像をトナー像として形成する現像装置6aと、この現像装置6aで形成された感光ドラム3a上の像を中間転写ベルト9に1次転写する一次転写ローラ7aを備えている。この構成が色成分ごとに中間転写ベルト9に1次転写される。感光ドラム3aに残った色成分は感光クリーナ8aによって回収され次の画像形成に備えられる。
【0019】
画像読取装置20では、原稿スタッカ25に載置した原稿を原稿送り装置24でプラテン21に送り、この送られた原稿をスキャンユニット22で照射することにより光電変換素子23(例えば、CCD)で順次読み取り、図示していないデータ貯蔵部に画像を蓄積していく。
【0020】
図2に示したシート処理装置Bには、本体排出ローラ30から排出されるシートを搬入口32から受け入れるシフトローラユニット50を備えた搬送ユニット40と、シートにパンチ孔を穿孔するパンチユニット60と、処理トレイ90に一時シートを載置して綴じ処理を行う綴じユニット100が配置されている。本実施形態の以降の説明において、特に断りがない限り、本体排出ローラ30から搬送ユニット40に受け入れ、処理トレイ90の方向にシートが搬送される方向をシート搬送方向とする。
【0021】
また、前記シート処理装置Bは、搬入口32からのシートを案内する搬入経路34からシフトローラユニット50のシート搬送方向の下流において、処理トレイ90側に導く第1搬送経路70と、分岐した第2搬送経路80が設けられている。第1搬送経路70のシート搬送方向の下流には処理トレイ90から排出されるか、あるいは第1搬送経路70から直接排出されるシートを収納する第1の集積トレイ110が設けられ、この上方には必要に応じて第2搬送経路80から送られるシートを収納する第2の集積トレイ115が重なるように配置されている。
【0022】
前記第1の集積トレイ110は、
図2に示されるように、これを収納するシートの上面を集積トレイセンサ111が接して紙面を検知する紙面センサ111Sが設けてある。この紙面センサ111Sの紙面レベルにより昇降モータ110Mを駆動して、常に収納位置が一定の範囲内にあるようしている。
【0023】
なお、このシート処理装置Bを構成するシートの縁部(シート搬送方向の先後端縁)付近にパンチ孔を穿孔するパンチユニット60が配置されているが、特にシートへの穿孔を必要としない場合には、このパンチユニット60を単にシートをガイドする搬送ガイドユニットとして機能するようになっている。
【0024】
次に、パンチユニット60について、
図3の正面図及び
図4の断面図を用いて説明する。パンチユニット60は、パンチ刃62とダイ孔63を備えるパンチ移動ユニット61と屑ボックス67などを備える固定部69とからなる。パンチ刃62はダイ孔63に対して回転部材(パンチカム)64の回転により、
図4に示す上下の方向に往復移動するように構成されている。パンチカム64は、シート搬送方向と交差するシートの幅方向におけるシートのセンタを挟んだ両側に2穴のパンチ孔を穿孔するための2穴用カム64WCとシートのセンタに穿孔するとともにこの両側に穿孔する3穴用カム64TCが設けられている。
【0025】
パンチ移動ユニット61は、シート搬送方向と交差するシートの幅方向に移動できるように、屑ボックス67を含む固定部69に設けられた移動モータ61Mの回転が移動ギア61Gを介してパンチ移動ユニット61に固定された移動ラック66に係合している。したがって移動モータ61Mの正逆転駆動に従って、パンチ移動ユニット61は
図3に示す矢印の左右方向に移動する。この移動をスムーズに行うためパンチ移動ユニット61と固定部69との間に移動コロ61Rが設けられている。パンチ孔は、上述したように2穴用パンチ刃62WPが2箇所に、3穴用パンチ刃62TPが3箇所設けられ、これに2穴用ダイ孔63WDと3穴用ダイ孔63TDが対応している。
【0026】
図3及び
図4に示したように、2穴用カム64WCと3穴用カム64TCとで位相が異なるように設けられている。このパンチカム64は、ブラシ付DCモータ(モータ)60Mによってパンチギア65を介して駆動され、モータ60Mのa矢印方向の回転とb回転方向の切り替えにより、カム駆動軸64Jによって回転される偏芯カム64Cを回転し、その外側に設けられパンチ刃62に連結されたカムホルダー64Hを移動する。この際、カムの位相が異なっているので、2穴用パンチ刃62WPと3穴用パンチ刃62TPを切り替えることができる。
【0027】
図3に示されるように、パンチ移動ユニット61のモータ60Mと反対側にシート通路を挟んで側縁センサ61Sがシートサイズに応じて設けられている。この側縁センサ61Sはシートのシート搬送方向後端に近い位置のシートの幅方向の縁部を検出するもので、シートの幅方向の縁部外側から内側にパンチ移動ユニット61を多少移動してセンサの状態変化(立下りあるいは立ち上がり)でシート縁部を検出して2穴あるいは3穴の穿孔位置を決定している。また、シートの幅方向の中央(3穴用パンチ刃62TPの中央)に対応する位置には、シートの搬送方向の端部を検出するパンチセンサ60Sが設けられている。このパンチセンサ60Sをシートの搬送方向の後端が通過した位置がシートの穿孔位置になるように決められている。もちろんこのパンチセンサ60Sから所定カウントした位置を穿孔位置としてもよい。
【0028】
図5はパンチユニット60に搭載される回転駆動制御装置10のシステム構成を示したものである。回転駆動制御装置10は、モータ60M、モータ60Mを駆動制御する制御手段を有する制御部11、モータ60Mの駆動を受けて回転するパンチカム64及びパンチカム64に連動するパンチ刃62を有する機構部12、パンチカム64の回転基準位置P1aを検出する第1の検出手段14及びパンチカム64の回転移動位置P1bを検出する第2の検出手段15を有する検出部13によって構成されている。
【0029】
前記制御部11には、CPU16、メモリ17、制御回路18、Hブリッジ回路19及びこれらを制御するための制御手段を有し、この制御手段によってモータ60Mの回転が制御される。本発明の制御手段は、モータ60Mを制御して回転させた際に得られる第1の検出手段14の検出値に基づいて、第2の検出手段15の検出値をカウントし、パンチカム64の移動量を制御することによって通常の穿孔動作を行う第1のモードと、モータ60Mを制御して回転させた際に得られる第1の検出手段14が所定時間内に前記回転基準位置P1aを検出した状態あるいは検出しない状態と、第2の検出手段15が所定の時間内に前記回転移動位置P1bを検出した状態あるいは検出しない状態との組み合わせからなる検出パターンに基づいて、異常個所をモータ60M、制御部11、機構部12、第1の検出手段及び第2の検出手段15の中から少なくとも一つ抽出する第2のモードとを備えている。
【0030】
図6はHブリッジ回路19の構成を示したものである。このHブリッジ回路19は4個のスイッチ(トランジスタ)Trによって構成され、モータ60Mのコイル60Cの両端子にTr1、Tr2、Tr3、Tr4が接続されている。そして、CPU16から制御回路18にモータ60Mのオン/オフを制御するための制御信号IN1(H:ON/L:OFF)と、モータ60Mの回転方向を制御するための制御信号IN2(H:正転(CW)/L:逆転(CCW))とを入力することによって、モータ60Mの回転が制御される。
【0031】
図7A及び
図7Bは、検出部13における検出動作を示したものである。検出部13は、第1の検出手段14と第2の検出手段15とを備え、パンチカム64の駆動軸64Jを中心にして配置されている。第1及び第2の検出手段14、15は、駆動軸64Jと共に回転する円板状の第1及び第2の被検出部材14b、15bと、フォトインタラプタ等の第1及び第2のフォトセンサ14a,15aとを備えている。
【0032】
第1の被検出部材14bは駆動軸64Jを中心にして配置され、第2の被検出部材15bは第1の被検出部材14bの外側に配置され、それぞれの被検出部材が一体として駆動軸64Jを中心にして回転する。第1の被検出部材14bには、駆動軸64Jを挟んで180°対向する方向に光が透光する第1のスリット14cが設けられている。この第1のスリット14cは、パンチカム64の回転基準位置P1aを検出するフラグとなっている。また、第2の被検出部材15bには、駆動軸64Jを中心とした回転方向に沿って光が透光する第2のスリット15cが複数設けられている。この第2のスリット15cは、パンチカム64の回転移動位置P1bを検出するフラグとなっている。
【0033】
第1のフォトセンサ14aは、第1のスリット14cの各エッジにおける遮光(H)及び透光(L)を検知することによって、パンチカム64の回転基準位置P1aを検出する。一方、前記第2のフォトセンサ15aは、第2のスリット15cの各エッジにおける遮光(H)及び透光(L)を検知することによって、パンチカム64の回転移動位置P1bを検出する。第2のフォトセンサ15aは、複数の第2のスリット15cに追従してパンチカム64の回転移動位置P1bを検出する。本実施形態に示した第2の被検出部材15bは、第2のスリット15cが40箇所設けられているため、第2のフォトセンサ15aの検出変化として80箇所のエッジを使用することができる。後述する第2のモードにおける第2のフォトセンサ15aの検出分解能は、第1のフォトセンサ14aの検出分解能に対して1/2以下である必要がある。この検出分解能を実現するためには、第1の被検出部材14bに設けられた一対の第1のスリット14cに対して、90°ごとに第2のスリット15cを設ければよく、本実施形態における40箇所のスリットは十分な分解能を有する。なお、本実施形態では、非接触のセンサとしてフォトセンサを用いたが、誘導型の近接センサ等であってもよく、センサの種類には限定されない。
【0034】
次に、パンチユニット60における一連の穿孔動作(第1のモード)を
図5、
図7A、
図7B及び
図8を参照しつつ説明する。最初に第1の検出手段14において、パンチカム64の一方の回転基準位置P1aを前記第1のフォトセンサ14a及び第1のスリット14cを介して検出する(
図7A(a))。検出の初期時に第1のフォトセンサ14aと第1のスリット14cが重なる位置であった場合、第1のフォトセンサ14aの光は透光状態となる。この透光状態にあるときは、パンチカム64は回転基準位置P1aにあり、パンチ刃62は、
図5に示したように、その先端がシートSの搬送経路35上から上方に所定量退避した穿孔退避位置P2aにある。この状態で、モータ60Mを回転方向1(CW)または回転方向2(CCW)のいずれかの方向に回転させ、第1のスリット14cのいずれかのエッジが検出されるとモータ60Mを停止する。さらに、モータ60Mを直前に回転させたCWまたはCCWに回転させ、第1の被検出部材14bの遮光部(第1のスリット14cを除く部分)から第1のスリット14cに切り替わるエッジを検出すると、再びモータ60Mを停止する。検出の初期時に第1のフォトセンサ14aと第1の被検出部材14bの遮光部が重なる位置であった場合、モータ60MをCWまたはCCWのいずれかの方向に回転させ、前記遮光部から第1のスリット14cに切り替わるエッジを検出すると再びモータ60Mを停止する。いずれの場合も、第1のフォトセンサ14aは光が透光された状態となる位置のまま、モータ60Mの動作を待機させる。その後、搬送されてきたシートのシート搬送方向の後端の端部をパンチセンサ60s(
図4参照)が検出すると、シートを穿孔位置で停止する。
【0035】
そして、穿孔位置にシートを停止させた後、
図6に示したHブリッジ回路19のTr1とTr4をONし、CW方向にモータ60Mを回転させる。そして、第2の検出手段15において、所定のパルス数を検出後、Tr1をOFF、TR3をONすることによってブレーキ動作に移行する。
図7A(b)に示した回転移動位置P1bは、ブレーキ動作の開始位置である。このとき、パンチ刃62は、
図5に示したように、シートSを穿孔する穿孔動作位置P2bに移動する。そして、ブレーキ動作後、モータ60Mが所定量オーバーランすることで、パンチカム64が180°反対側の他方の回転基準位置P1aで停止する(
図7A(c))。具体的には、モータ60Mを回転させ、第1のフォトセンサ14aが第1のスリット14cから遮光部に切り替わるエッジを検出すると、第2の検出手段15がパルスのカウントを始める。第1のフォトセンサ14aがエッジを検出した位置から100°回転した時点で(
図7A(b))、Tr1をOFF、TR3をONすることによりブレーキ動作を始める。ブレーキ動作後、パンチユニット60の慣性により65°オーバーランし、180°反対側の他方の回転基準位置P1aで停止する(
図7A(c))。他方の回転基準位置P1aにおいても、第1のフォトセンサ14aは光が透光された状態となる位置のまま、モータ60Mの動作を待機させる。
【0036】
上記穿孔動作が終了したら、穿孔された先のシートをシート搬送方向の下流側に排出し、次のシートを穿孔位置に案内して停止させる。そして、Hブリッジ回路19のTr2とTr3をONして、CCW方向にモータ60Mを回転させる(
図7B(d))。そして、第2の検出手段15において、所定パルスを検出後、Tr2をOFF、Tr3をONすることによって、回転移動位置P1bが
図7B(e)の位置にきたら、ブレーキ動作に移行する。ブレーキ動作後、モータ60Mが所定量オーバーランすることで、パンチカム64が180°反対側の他方の回転基準位置P1aで停止する(
図7B(f))。前述したように、パンチカム64に対して、2穴用カム64WCと3穴用カム64TCとが位相が異なるように設けられているため、シートに対して2箇所のパンチ孔を形成する場合には、モータ60Mの回転をCWとCCWとに交互に繰り返すように制御を行う。
【0037】
次に、上記制御手段における第2のモードについて説明する。この第2のモードは、前述したように、モータ60Mを制御して回転させた際に得られる第1の検出手段14が所定時間内に回転基準位置P1aを検出した状態あるいは検出しない状態と、第2の検出手段15が所定の時間内に前記回転移動位置P1bを検出した状態あるいは検出しない状態との組み合わせからなる検出パターンに基づいて、異常個所をモータ60M、制御部11、機構部12、検出部13(第1の検出手段14及び第2の検出手段15)の中から少なくとも一つ抽出するものである。
【0038】
図9は、第2のモードにおける全体フローを示したものである。この第2のモードは、モータ60Mを駆動し、予め設定された所定時間内に正常な穿孔動作が開始しない場合に起動する。第2のモードが起動されたら、最初の起動時における回転方向(回転方向1)と同じ方向にモータ60Mを回転駆動させる(S10)。そして、モータ60Mが停止するのを確認すると(S11)、そのときのパンチカム64の回転基準位置P1a及び回転移動位置P1bが第1及び第2の検出手段14、15によって検出される(S12)。この検出によって得られたデータは、第1の検出値としてメモリ17に記憶される。メモリ17には、
図16に示すような、第1及び第2の検出手段14、15の検出値の組み合わせパターンに基づいた異常抽出テーブルが予め記憶されている。回転方向1の方向にモータ60Mを回転駆動させた時に得られる第1及び第2の検出手段14、15からの検出結果(第1の検出値)と、
図16に示した異常抽出テーブルを比較することにより、異常が発生していると推定される箇所を抽出することができる。
【0039】
次に、モータ60Mを上記回転方向1とは逆の回転方向2に回転駆動させる(S13)。そして、モータ60Mが停止するのを確認すると(S14)、そのときのパンチカム64の回転基準位置P1a及び回転移動位置P1bが第1及び第2の検出手段によって検出される(S15)。この検出によって得られたデータは、第2の検出値としてメモリ17に記憶される。前述したように、メモリ17には、
図16に示されるような、第1及び第2の検出手段14、15の検出値の組み合わせパターンに基づいた異常抽出テーブルが予め記憶されている。回転方向2の方向にモータ60Mを回転駆動させた時に得られる第1及び第2の検出手段14、15からの検出結果(第2の検出値)と、
図16に示した異常抽出テーブルを比較することにより、異常が発生していると推定される箇所を抽出することができる。
【0040】
さらに、メモリ17には、
図17に示すような、前記メモリ17に記憶された第1及び第2の検出値に基づいて、モータ60M、制御部11、機構部12、検出部13の中から異常個所を特定する異常特定テーブルが予め記憶されている。モータ60Mを回転方向1、回転方向2に回転駆動させて得られた第1及び第2の検出値と、異常特定テーブルを比較することにより、モータ60M、制御部11、機構部12、検出部13の中から異常が発生している箇所を特定することができる(S16)。どちらか一方の方向にモータ60Mを回転して得られる第1及び第2の検出手段14、15の検出値と異常抽出テーブルの比較でも、異常が発生している可能性がある箇所を抽出することができるが、それぞれ異なる方向にモータ60Mを回転して得られる第1及び第2の検出手段14、15の検出値の組み合わせを、異常特定テーブルと比較することで、より明確に異常個所を特定することができる。なお、上記検出値の組み合わせから異常個所を特定できない場合は、異常診断の対象外となる。
【0041】
機構部12を駆動する駆動源としてDCモータ(モータ)60M、モータ60Mを駆動する駆動回路としてトランジスタやFETを用いたHブリッジ回路19で構成した場合、モータ60Mのコイル60Cに対して双方向に電流を流すことで、CW(回転方向1)及びCCW(回転方向2)の回転動作を行う。この場合、モータ60Mの回転方向を切り替えるためにON/OFFされるHブリッジ回路19のトランジスタTr1~Tr4の状態は異なるため、一方向の回転だけで得られる第1及び第2の検出手段14、15からの検出結果だけでは、Hブリッジ回路19を含む制御部11の異常が正確に特定できない。例えば、
図16に示すパターン3のように、一方向の回転結果からは、異常が発生していると推定される箇所が検出部13、機構部12と複数抽出される。これに対して、回転方向1と回転方向2との両方の検出結果を比較することで、
図17に示すパターン23の列のように、異常個所として機構部12と検出部13とを別々に特定することが可能となる。
【0042】
上記において、第2のモードは、第1のモードによってモータ60Mを駆動し、予め設定された所定時間内に正常な穿孔動作が開始しない場合、すなわち何らかの動作異常が発生した場合に起動するものとして説明したが、第1のモードでの通常制御と同時に、第2のモードも並行して動作しているので、所定時間内に正常な穿孔動作が開始されず異常が発生していると検知するのと同時に、異常個所を特定することも可能である。
【0043】
図10は、
図9におけるステップ(S12)の詳細フローを示したものである。ここでは、第1の検出手段14における検出値が所定時間内にL→Hに変化したか、変化しなかったか、第2の検出手段における検出値が所定時間内に変化したか、変化しなかったかを見る。
図9の詳細フローでは、各パターンへの分岐を見やすくするためにステップS21の判断の後に、ステップS22もしくはステップS23に進むように表示しているが、実際の検出の監視及び判断は、第1の検出手段14、第2の検出手段15がそれぞれ個別に行われる。前述した第1のモードでは、第1の検出手段14の検出を基準に第2の検出手段15の検出パルスをカウントしている。つまり、第1の検出手段14が検出されるまで第2の検出手段15からの検出値は使用されない。これに対し、第2のモードでは、第1の検出手段14と、第2の検出手段15との検出値を個別にメモリに記憶し、予め記憶されている異常抽出テーブルと比較を行う。これによって、第1の検出手段14と第2の検出手段15とを個別に判定することができる。第1の検出手段14が所定時間内に検出され、第2の検出手段15の検出値が所定時間内に変化していた場合は、パターン1となり、第1及び第2の検出手段14、15、モータ60M、制御部11、機構部12の中から異常はないと判定される。一方、第1の検出手段14が所定時間内に検出され、第2の検出手段15の検出値が所定時間内に変化しなかった場合は、パターン2となり、第2の検出手段15に異常ありと判定される(
図16参照)。
【0044】
前記第1の検出手段14における検出値が所定時間内に検出されず、第2の検出手段15における検出値が所定時間内に変化していた場合は、パターン3となり、第1の検出手段14、機構部12に異常ありと判定される。一方、第1の検出手段14における検出値が所定時間内に検出されず、第2の検出手段15における検出値が所定時間内に変化しなかった場合は、パターン4となり、モータ60M、制御部11、機構部12のいずれかに異常ありと判定される(
図16参照)。上記所定時間内とは、第1のスリット14cがパンチカム64の駆動軸64Jを挟んで180°対向する方向に設けられていることから、パンチカム64を180°回転させる時間に相当する。第1の検出手段14より高い検出分解能(2倍以上)を有する第2の検出手段15は、検出のために必要な所定時間を第1の検出手段14の1/2以下に設定してもよいが、第1の検出手段14の検出結果を待つ必要があるため、第1の検出手段14と同じ時間に設定してもよい。
【0045】
図11乃至
図15は、
図9におけるステップ(S16)の詳細フローを示したものである。以下の説明において、回転方向1における検出パターンをパターン11~14、回転方向2における検出パターンをパターン21~24とする。
【0046】
図11では、回転方向1における第1の検出パターンがパターン11~14のどの状態にあるかを判定する(S30,S40,S50,S60)。パターン11である場合は、異常ではなく、偶発的なエラーの可能性があるので、異常個所なしと判定する。パターン12である場合は、異常個所が第2の検出手段15である可能性があることを検出パターンから抽出できる。パターン13である場合は、異常個所が第1の検出手段14もしくはパンチ刃62やパンチカム64等の機構部12の可能性があることを検出パターンから抽出できる。パターン14である場合は、異常個所が機構部12、モータ60M、制御部11のいずれかの可能性がある事を検出パターンから抽出できる。
【0047】
図12は、
図11のステップ(S30)において、回転方向1における第1の検出パターンがパターン11である場合のフローである。ここでは、最初に回転方向2における第2の検出パターンがパターン22であるかどうかを判定する(S31)。パターン22である場合は、起こりえないセンサ状態となるため異常診断の対象外と判定する。
ステップ(S31)に戻って、パターン22でない場合は、パターン21であるかどうかを判定する(S32)。パターン21である場合は、異常ではなく、偶発的なエラーの可能性があるので、異常個所なしと判定する。
ステップ(S32)に戻って、パターン21でない場合は、パターン23であるかどうかを判定する(S33)。パターン23である場合は、パンチ刃62やパンチカム64等の機構部12が異常と特定できる。
ステップ(S33)に戻って、パターン23でない場合は、パンチ刃62やパンチカム64等の機構部12もしくは制御部11と特定できる。
【0048】
図13は、
図11のステップ(S40)において、回転方向1における第1の検出パターンがパターン12である場合のフローである。ここでは、最初に回転方向2における第2の検出パターンがパターン22であるかどうかを判定する(S41)。パターン22である場合は、異常個所が第2の検出手段であると特定できる。一方、パターン22でない場合は、起こりえないセンサ状態となるため異常診断の対象外と判定する。
【0049】
図14は、
図11のステップ(S50)において、回転方向1における第1の検出パターンがパターン13である場合のフローである。ここでは、最初に回転方向2における第2の検出パターンがパターン21であるかどうかを判定する(S51)。パターン21である場合は、異常個所が機構部12であると特定できる。
ステップ(S51)に戻って、パターン21でない場合は、回転方向2における第2の検出パターンがパターン23であるかどうかを判定する(S52)。パターン23である場合は、異常個所が第1の検出手段14であると特定できる。一方、パターン23でない場合は、起こりえないセンサ状態となるため異常診断の対象外と判定する。
【0050】
図15は、
図11のステップ(S60)において、回転方向1における第1の検出パターンがパターン14である場合のフローである。ここでは、最初に回転方向2における第2の検出パターンがパターン21であるかどうかを判定する(S61)。パターン21である場合は、異常個所が機構部12もしくは制御部11であると特定できる。回転方向1における第1の検出パターンがパターン14であると、異常個所が機構部12、モータ60M、制御部11の可能性があると抽出される。しかし、Hブリッジ回路19の場合、トランジスタの一つに異常があっても、どちらか一方の方向には回転駆動が可能であるため、回転方向2では第1の検出手段14と第2の検出手段15とに異常がなければ、どちらの検出手段からも検出値が検出される。これにより、モータ60Mは異常が発生している可能性がある箇所から排除され、異常個所が機構部12もしくは制御部11と特定される。ステップ(S61)に戻って、パターン21でない場合は、回転方向2における第2の検出パターンがパターン24であるかどうかを判定する(S62)。パターン24である場合は、異常個所が機構部12、モータ60M、制御部11のいずれかであると特定できる。一方、パターン24でない場合は、起こりえないセンサ状態となるため異常診断の対象外と判定する。
【0051】
上記説明したように、第1及び第2の検出パターンに基づく判定結果(
図16,
図17)をシート処理装置Bやこのシート処理装置Bを備えた画像形成装置Aに備わる操作表示部120(
図1参照)に表示することによって、異常が発生した場合の対応を迅速且つ適格に行うことができる。また、インターネット回線や電話回線を利用して判定結果を保守を受け持つサービスセンタ等に通知することにより、装置の保守を行う保守員に異常が発生しているパーツを知らせ、修理に要する時間を短縮することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、回転駆動制御装置10によって駆動される構成として、画像形成されたシートにパンチ孔を開けるパンチユニット60を例にして説明したが、このようなパンチユニット60には限定されることはなく、モータの正逆転を利用してシートを搬送するシート搬送ユニットやシート搬送方向に交差するシート幅方向にシートをシフトさせるシートシフトユニットであってもよい。また、パンチユニット60に搭載される回転駆動制御装置10が制御部11を有する構成で実施例を説明したが、制御部11はシート処理装置Bやシート処理装置Bを備えた画像形成装置Aに配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
S シート
P1a 回転基準位置
P1b 回転移動位置
P2a 穿孔退避位置
P2b 穿孔動作位置
10 回転駆動制御装置
11 制御部
12 機構部
13 検出部
14 第1の検出手段
14a 第1のフォトセンサ
14b 第1の被検出部材
14c 第1のスリット
15 第2の検出手段
15a 第2のフォトセンサ
15b 第2の被検出部材
15c 第2のスリット
16 CPU
17 メモリ
18 制御回路
19 Hブリッジ回路
20 画像読取装置
21 プラテン
22 スキャンユニット
25 原稿スタッカ
29 装置フレーム
30 本体排出ローラ
32 搬入口
34 搬入経路
35 搬送経路
40 搬送ユニット
50 シフトローラユニット
60 パンチユニット
60C コイル
60M モータ
60S パンチセンサ
61 パンチ移動ユニット
62 パンチ刃
63 ダイ孔
64 パンチカム(回転部材)
64J 駆動軸
65 パンチギア
66 移動ラック
67 屑ボックス
69 固定部
70 第1搬送経路
80 第2搬送経路
90 処理トレイ
100 綴じユニット
110 第1の集積トレイ
111 集積トレイセンサ
115 第2の集積トレイ
120 操作表示部