(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】折り取りスパウト
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B65D33/38
(21)【出願番号】P 2019231654
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩光
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-197104(JP,A)
【文献】特開2016-172561(JP,A)
【文献】特開2016-011165(JP,A)
【文献】特開2014-073867(JP,A)
【文献】特開2006-341908(JP,A)
【文献】特開2009-166851(JP,A)
【文献】実開昭61-014611(JP,U)
【文献】実開昭56-151647(JP,U)
【文献】特開2002-029551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
B65D 47/14
B65D 47/36
B65D 55/16
B65D 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心を貫通する流路を有する筒部と、前記筒部の上端から弱化部を介して一体形成され前記流路の先端を閉塞する折取部と、前記筒部の下端に設けられた取付部とを備えた折り取りスパウトであって、
前記折取部は、前記折取部を貫通した
閉じた孔状の係合孔を有し、
前記係合孔は、
前記折取部のうち、前記弱化部を挟んで前記筒部とは反対側に設けられ、前記筒部の外周面に係合可能に構成され、
前記係合孔は、前記筒部の外周面に係合した際、前記折取部を前記筒部の上端から離脱可能に構成されていることを特徴とする折り取りスパウト。
【請求項2】
前記係合孔の内径は、少なくとも前記筒部の上端の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の折り取りスパウト。
【請求項3】
前記係合孔には、一部を半径方向外方側に開放した開放部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の折り取りスパウト。
【請求項4】
前記筒部の外周面の、前記係合孔が係合可能な箇所のうち少なくとも下端部には、前記筒部の外周面よりも半径方向外方に突出した保持部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の折り取りスパウト。
【請求項5】
前記筒部の外周面には、前記筒部の外周面から前記筒部の外周面よりも半径方向外方に突出した抜け止め部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の折り取りスパウト。
【請求項6】
少なくとも前記抜け止め部の下部には、前記筒部の外周面よりも前記筒部の半径方向外方に突出した保持部が前記抜け止め部に連続して設けられ、
前記抜け止め部は、前記保持部よりも前記筒部の半径方向外方へ突出していることを特徴とする請求項5に記載の折り取りスパウト。
【請求項7】
前記係合孔は、複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の折り取りスパウト。
【請求項8】
前記筒部は、楕円形であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の折り取りスパウト。
【請求項9】
前記折取部は、前記筒部の上端から切り離された際、前記筒部を閉塞可能なシール部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の折り取りスパウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の先端が一体成型された折取部により閉じられた折り取りスパウトに関し、特に折取部をスパウト本体に係合可能な折り取りスパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中心を貫通する流路を有する筒部を備え、筒部の先端に一体形成された折取部により流路の先端が閉じられたスパウト本体を有する折り取りスパウトは周知である。
例えば、特許文献1には、中心を貫通する流路(内部空間5a)を有する筒部(筒状本体5)と、筒部(筒状本体5)の上端から弱化部(薄肉部19)を介して一体形成された流路(内部空間5a)の先端を閉塞する折取部(キャップ3)と、筒部(筒状本体5)の下端に設けられた取付部(接合部7)とを備えた折り取りスパウト(スパウト1)が記載されている。
この特許文献1に記載の折り取りスパウト(スパウト1)は、弱化部(薄肉部19)を破断して折り取った折取部(キャップ3)に設けられた筒状螺子体13と、流路(内部空間5a)内に設けられた螺条9とを螺子係合させることで、筒部(筒状本体5)を折取部(キャップ3)によってリシールすることができるものである。
また、折取部(キャップ3)には、筒状螺子体13の上端を閉じるように形成されている水平基板15と、水平基板15に一体に形成されている直立板状の摘み板17が設けられている。
これによって、摘み板17を手で持って折取部(キャップ3)をスパウト1から切り離すことができるとともに、筒部(筒状本体5)に折取部(キャップ3)を螺子係合させる際にも、摘み板17を手で持って閉栓方向に旋回させることができるものである。
さらに、取付部(接合部7)の上部に形成された板状フランジ6の上面に設けられた一対の線状のリブ23、23に、摘み板17が干渉することで、筒部(筒状本体5)に折取部(キャップ3)を螺子係合させる際の摘み板17の旋回を制限し、折取部(キャップ3)のオーバーターンを防止することができるものである。
ところが、この特許文献1に記載の折り取りスパウトは、弱化部(薄肉部19)を破断させて折り取った折取部(キャップ3)が完全にスパウト1から離れるため、折取部(キャップ3)をリシールする前に折取部(キャップ3)を紛失したり、折取部(キャップ3)が床に落ちて汚れたりしないように意識的に管理する必要があった。
【0003】
特許文献2には、中心を貫通する流路(注出路7)を有する筒部(注出筒3)と、筒部(注出筒3)の上端から弱化部(薄肉部4)を介して一体形成された流路(注出路7)の先端を閉塞する折取部(キャップ5)と、筒部(注出筒3)の下端に設けられた取付部(ベース6)とを備えた折り取りスパウト(注出口1)が記載されている。
この特許文献2に記載の折り取りスパウト(注出口1)は、取付部(ベース6)の上面の、筒部(注出筒3)の周囲には雌型嵌合用穴13が形成されるとともに、折取部(キャップ5)の鋭角部には雄型嵌合用突起12が形成されている。
これによって、弱化部(薄肉部4)を破断して筒部(注出筒3)から折り取った折取部(キャップ5)は、雄型嵌合用突起12を雌型嵌合用穴13に嵌合させることで、折取部(キャップ5)を筒部(注出筒3)付近に固定することができるため、折取部(キャップ5)を紛失して筒部(注出筒3)をリシールできなくなることを防止できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-056271号公報
【文献】特開2002-29552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献等で公知の折り取りスパウトは、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献2で公知の折り取りスパウトは、折取部の鋭角部に形成された雄型嵌合用突起を、取付部の上面に形成された雌型嵌合用穴に嵌合固定しているが、筒部から内容物を取り出す作業中等に不意に折取部に触れてしまった場合、雄型嵌合用突起と雌型嵌合用突起との嵌合が解除され、折取部が抜け落ちてしまう虞があった。
また、雄型嵌合用突起を雌型嵌合用突起に嵌合させた折取部が、筒部の近傍で、筒部の開口方向に沿って筒部よりも長く進出しているため、筒部の先端にアダプター等を取り付けて抽出作業をする場合、向きによってはアダプターに干渉して作業を阻害してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、筒部からの内容液の取り出しに関連する作業を阻害することがなく、折取部を確実に筒部に保持可能で、筒部に保持した折取部が不意に筒部から脱落することを防止可能な折り取りスパウトを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の折り取りスパウトは、中心を貫通する流路を有する筒部と、前記筒部の上端から弱化部を介して一体形成され前記流路の先端を閉塞する折取部と、前記筒部の下端に設けられた取付部とを備えた折り取りスパウトであって、前記折取部は、前記折取部を貫通した閉じた孔状の係合孔を有し、前記係合孔は、前記折取部のうち、前記弱化部を挟んで前記筒部とは反対側に設けられ、前記筒部の外周面に係合可能に構成され、前記係合孔は、前記筒部の外周面に係合した際、前記折取部を前記筒部の上端から離脱可能に構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明の折り取りスパウトによれば、折取部は、筒部の外周面に係合可能な閉じた孔状の係合孔を有し、係合孔は、筒部の外周面に係合した際、折取部を筒部の上端から離脱可能に構成されているため、弱化部を破断して折り取った折取部を筒部の外周面に係合することで、折取部を紛失することがなく、廃棄する場合にも折取部が床に散乱することなどがない。
また、折取部を折り取った後の折り取りスパウトの筒部にアダプター等を取り付けて使用する場合、閉じた孔状の係合孔を筒部の外周面に係合した折取部は筒部の上端からのみ離脱可能に構成されているため、折り取りスパウトの使用中は確実に折取部の筒部からの離脱を防ぐことができ、不意に筒部から折取部が脱落することがない。
さらに、閉じた孔状の係合孔に指を引っかけることができるため、弱化部の破断時に折取部から指を滑らせてしまうことなく確実に折取部を掴んで折り取ることができる。
また、例えば、弱化部との連続部分以外を平板状に形成した折取部を用いた場合等では、筒部の根元に折取部を係合させることで、筒部先端側に折取部が干渉するようなことがなく、筒部からの内容液の取り出しに関連する作業を阻害することがない。
【0009】
請求項2に記載の構成によれば、係合孔の内径は、少なくとも筒部の上端の外径よりも大きいため、折取部の筒部への脱着は筒部の上端からのみ実施でき、筒部の上端以外からの不意な折取部の脱落を確実に防ぐことができる。
請求項3に記載の構成によれば、係合孔には、一部を半径方向外方側に開放した開放部が形成されているため、係合孔の筒部と直接係合する箇所の形状や数を調整することで、筒部と係合孔との係合時にかかる抵抗を調整できる。
【0010】
請求項4に記載の構成によれば、筒部の外周面の、係合孔が係合可能な箇所のうち少なくとも下端部には、筒部の外周面よりも半径方向外方に突出した保持部が設けられているため、係合孔と筒部の外周面とを直接係合させた場合に比べて、係合孔と保持部とを係合させた方がきつく係合させることができ、筒部に係合させた折取部のグラつきを抑制できる。
請求項5に記載の構成によれば、筒部の外周面には、筒部の外周面から筒部の外周面よりも半径方向外方に突出した抜け止め部が設けられているため、例えば、抜け止め部の外径を係合孔の内径よりも大きく形成することで、使用者が係合孔の係合および離脱作業をしない限り係合孔は抜け止め部を乗り越えられず、振動などによる筒部の上端側への折取部の不意の移動を防止できる。
【0011】
請求項6に記載の構成によれば、少なくとも抜け止め部の下部には保持部が抜け止め部に連続して設けられ、抜け止め部は、保持部よりも筒部の半径方向外方へ突出しているため、保持部に係合孔を係合した折取部はグラつきを抑制できるとともに、筒部に保持された折取部を離脱操作する際、保持部から抜け止め部を乗り越えさせるため、筒部の外周面から抜け止め部を乗り越えさせる場合に比べて段差が少なく、簡単に折取部を筒部の上端側へ移動させることができる。
請求項7に記載の構成によれば、係合孔は複数設けられているため、例えば、複数の折り取りスパウトをまとめて使用する際に、それぞれの筒部を1つの折取部に設けられた複数の係合孔で係合することで、複数の折り取りスパウトの相対位置を固定してまとめて取り扱うことができる。
【0012】
請求項8に記載の構成によれば、筒部は楕円形であるため、係合孔の形状を筒部と同様の楕円形にすることで、筒部に係合させた折取部の、筒部の周方向への回転を規制できる。
請求項9に記載の構成によれば、折取部は、筒部の上端から切り離された際、筒部を閉塞可能なシール部を有しているため、弱化部を破断して折取部を折り取った後、シール部によって簡単に筒部の開口を閉塞して折り取りスパウトを再栓できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の正面半断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の側面半断面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の、折取部120を取り除いた状態を示す上面図および下面図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の、折取部120を筒部110に装着する手順1を示す正面図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の、折取部120を筒部110に装着する手順2を示す正面部分断面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の、折取部120を筒部110に装着した状態を示す上面図。
【
図7】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の、折取部120によるリシール状態を示す正面部分断面図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100に設けられた折取部120の、係合孔121の形状例
および参考形状例を示す正面図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の、折取部120fを筒部110fに嵌合した状態を示す上面図。
【
図10】本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100に設けられた筒部110の、保持部112の形状例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100について、図面に基づいて説明する。
折り取りスパウト100は、
図1および
図2に示すように、中心を貫通する流路114を有する楕円形筒状に形成された筒部110と、筒部110の上端から薄肉形成された弱化部122を介して一体形成され流路114の先端を閉塞する折取部120と、筒部110の下端にフランジ部115を介して設けられた取付部113とを備えている。
【0015】
筒部110の下部には、筒部110の外周面から半径方向外方に突出し、筒部110を挟んで対向配置された一対の保持部112と、筒部110の外周面から保持部112よりもさらに半径方向外方に突出し、筒部110を挟んで対向配置された一対の抜け止め部111とが設けられている。
また、抜け止め部111は、保持部112よりも筒部110の先端側に形成されている。
【0016】
取付部113は、パウチ等の容器に取り付け溶着可能に構成されており、
図3に示すように、筒部110および流路114と中心が一致するひし形のような形状に形成されている。
なお、取付部113は、取付部113の短手方向の最大厚みが薄いほどパウチ等の容器への溶着に有利であるが、流路114の断面形状よりも大きく形成する必要があるため、取付部113の短手方向の厚みを薄くしたまま流路面積を確保することを考慮すると、流路114および筒部110の断面形状は真円形状であるよりも楕円形状である方が好ましい。
【0017】
折取部120は平板状に形成されており、折取部120には、折取部120を貫通した係合孔121が設けられている。
さらに、折取部120には、弱化部122の下方に形成された誘導部123と、弱化部122の上方に形成されたリシール部124とが設けられている。
係合孔121は筒部110と相似の楕円形状に形成され、係合孔121の内径は筒部110の外周面よりも大きく形成されており、一対の抜け止め部111の外周面間の距離よりも小さい。
誘導部123の外径は、流路114の内径よりも小さく、リシール部124の外径は、流路114の内径よりも大きい。
【0018】
次に、本発明の一実施形態に係る折り取りスパウト100の、取り去った折取部120の筒部110での保持手順について、
図4乃至
図6に基づいて説明する。
まず、折取部120を摘んで捻ることで弱化部122を破断させ、折取部120を筒部110から離脱させる。
このとき、係合孔121に指をかけると、折取部120から指が滑ることなく確実に捻ることができる。
【0019】
次に、弱化部122を破断して筒部110から離脱させた折取部120を、
図4に示すように、係合孔121と筒部110との向きを合わせて筒部110側へ下降させる。
このとき、係合孔121の内径は筒部110の外周面よりも大きく形成されているため、折取部120は筒部110に係合孔121を貫通させながら筒部110の下端に向かって移動できる。
【0020】
さらに折取部120を押し込むと、係合孔121は抜け止め部111に接触する。
このとき、係合孔121の内径は一対の抜け止め部111の外周面間の距離よりも小さく形成されているが、折取部120を多少の弾性変形が可能な材質で構成すれば、折取部120は係合孔121を変形させながら抜け止め部111を乗り越えて抜け止め部111よりも下方に移動することができる。
【0021】
抜け止め部111の下方へ移動した折取部120は、係合孔121を保持部112に係合した状態を維持する。
このとき、一対の保持部112は筒部110の外周面から突出形成されており、一対の保持部112の外周面間の距離は、係合孔121の内径よりも小さいため、係合孔121の内径と筒部110の外周面との間の距離よりも、係合孔121の内径と保持部112との間の距離の方が小さくなり、保持部112に係合孔121を係合した折取部120は、筒部110に直接係合孔121を係合して保持する場合に比べてグラつきを抑制できる。
これによって、折取部120の筒部110からの離脱を防ぎ、不意に筒部110から折取部120が脱落することがない。
【0022】
また、折取部120は平板状に形成されており、保持部112に係合孔121を係合した折取部120は筒部110の下端付近に位置するため、筒部110の先端側の周囲に折取部120が干渉することはなく、筒部110からの内容液の取り出しに関連する作業を阻害することがない。
さらに、保持部112に係合孔121を係合した折取部120の上方に抜け止め部111が形成されているため、筒部110が振動する等して折取部120が不意に上方に移動しようとしても、抜け止め部111を折取部120が乗り越えることはなく、確実に折取部120の筒部110からの離脱を防ぐことができる。
また、筒部110および係合孔121は楕円形に形成されているため、筒部110に保持された折取部120が筒部110の中心軸を回転中心とした回転方向へ力を受けても、折取部120は回転せず、筒部110と折取部120との相対的な向きが変わることはない。
【0023】
なお、筒部110から折取部120を取り外したい場合は、折取部120を摘む等して力をかけ、抜け止め部111を乗り越えさせて筒部110の先端側へ移動させる。
このとき、保持部112と抜け止め部111が上下方向に連続して形成していれば、抜け止め部111を乗り越えるための段差が、筒部110の外周面から直接抜け止め部111を乗り越える場合に比べて小さくなり、より簡単に折取部120を抜け止め部111よりも上方へ移動させることができ、迅速に筒部110から折取部120を離脱することができる。
【0024】
次に、折取部120による流路114のリシール方法について、
図7に基づいて説明する。
まず、弱化部122を破断して折り取った折取部120を、誘導部123が筒部110先端に対向するように向きを合わせた状態で筒部110側へ移動させる。
誘導部123は、筒部110の流路114の内径よりも小さく形成されているため、筒部110と折取部120との位置が完全に合っていなくても、簡単に誘導部123を流路114内へ進入させることができる。
【0025】
ここで、さらに折取部120を筒部110側へ移動させると、誘導部123よりも上方に形成された弱化部122も流路114内へ進入し、弱化部122よりも上方に形成されたリシール部124は筒部110の先端に接触する。
このとき、リシール部124の外径は流路114の内径よりも大きいため、リシール部124は流路114内へ圧入される。
これによって、流路114はリシール部124によって隙間なく塞ぐことができリシール状態となり、内容液が筒部110の流路114から漏れ出ることはない。
また、リシール部124が流路114に圧入された状態で、折取部120を引っ張る等して筒部110から離脱させることで、流路114からリシール部124が離脱し、再び筒部110の流路114を通して内容液の取り出し等の作業を実施できる。
【0026】
なお、筒部110の外周の形状や係合孔121の形状は楕円形に限定されるものではなく、例えば、
図8(a)に示すように、真円の係合孔121aと係合孔121aに係合可能な筒部110との組み合わせでもよい。
また、
図8(b)に示す
参考形状例のように、係合孔121bの一部を開放部125bによって折取部120bの最外部まで開放させ
た場合
は、折取部120bを歪ませて開放部125bの形状を変形させることで、筒部110の側方から係合孔121bを筒部110に係合できる。
また、係合孔121を折取部120に複数設けてもよく、例えば、
図8(c)に示すように、複数の係合孔121cを開放部125cで連通させてもよい。
これによって、複数の折り取りスパウト100をまとめて使用する際等に、複数の筒部110を一つの折取部120cで保持することで、複数の折り取りスパウト100の相対位置を固定してまとめて取り扱うこともできる。
【0027】
また、
図8(d)に示すように、係合孔121dの半径方向外方に放射状に開放した開放部125dを設けてもよく、開放部125dと対応するような配置で抜け止め部111を筒部110に設けることで、係合孔121dを変形させることなく、開放部125dと抜け止め部111との向きを合わせることのみで、折取部120dが抜け止め部111の上下に簡単に移動することができる。
さらに、抜け止め部111の下方に折取部120dが移動した際、抜け止め部111の下方に係合ツメ126dが位置するように折取部120dを回転させることで、折取部120dが不意に上方に移動しようとした場合でも、確実に抜け止め部111が係合ツメ126dに干渉し、折取部120dの離脱を防止できる。
また、
図8(e)に示すように、係合孔121eを、中心軸を一致させた真円と楕円とを組み合わせた形状で構成してもよく、これによって、異なる形状の筒部110に対しても折取部120eを係合させることができる。
【0028】
また、
図8(f)および
図9に示すように、係合孔121fの一部を切り欠いて凹部131を形成するとともに、筒部110fの外周面の下端部に、凹部131に係合可能な凸部132を形成して方向規制部130としてもよく、折取部120fを筒部110fの下端部まで移動させた際、凹部131に凸部132を係合させれば、筒部110fに係合された折取部120fに不意に触れても、方向規制部130が筒部110fと折取部120fとの相対的な回転を規制することができる。
これによって、例えば、折り取りスパウトを複数並べて使用する際に、筒部110fに係合している折取部120fが筒部110fを中心に回転して他の折り取りスパウトに接触することを防止できる。
【0029】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0030】
なお、上述した実施形態では、筒部の下部には筒部の外周面から半径方向外方に突出し、筒部を挟んで対向配置された一対の保持部と、筒部の外周面から保持部よりもさらに半径方向外方に突出し、筒部を挟んで対向配置された一対の抜け止め部とが設けられているものとして説明したが、筒部の構成はこれに限定されず、例えば、筒部に保持部が設けられていなくてもよく、保持部や抜け止め部が筒部の外周面を囲むリング状に形成されていてもよく、
図10に示すように、保持部が抜け止め部よりも筒部の先端側に形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、折取部は平板状に形成されているものとして説明したが、折取部の形状はこれに限定されず、例えば、球体状に形成されていてもよく、井桁状に形成されていてもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、筒部は楕円形筒状に形成されているものとして説明したが、筒部の形状はこれに限定されず、例えば、真円形筒状に形成されていてもよく、多角形筒状に形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、係合孔の形状は、楕円形、真円、または中心軸を一致させた真円と楕円とを組み合わせた形状で構成されたものであると説明したが、係合孔の形状は筒部に係合可能な形状であればこれに限定されず、例えば、多角形状であってもよく、星型であってもよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、折取部は、弱化部よりも下方に誘導部を有しているものとして説明したが、折取部の構成はこれに限定されず、例えば、誘導部が設けられていなくてもよい。
また、上述した実施形態では、折取部を手で摘んで捻ることで弱化部を破断するものとして説明したが、弱化部の破断方法はこれに限定されず、例えば、折取部を押し倒すことで弱化部を破断してもよく、折取部を筒部から遠ざけるように引っ張ることで弱化部を破断してもよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、折取部は、弱化部よりも上方にリシール部が形成され、リシール部の外径は、流路の内径よりも大きいものとして説明したが、リシール部の構成はこれに限定されず、例えば、リシール部の下部の外径が流路の内径よりも小さく形成されるとともに、リシール部の上部の外径が流路の内径よりも大きく形成され、リシール部の上部と下部とが傾斜面で形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、リシール部を流路に圧入することで流路を閉塞するものとして説明したが、流路の閉塞方法はこれに限定されず、例えば、流路内周面に雌ねじを形成し、リシール部の外周面に雄ねじを形成して、リシール部と流路とを螺子係合させて流路を閉塞してもよい。
【符号の説明】
【0034】
100 ・・・ 折り取りスパウト
110、110f ・・・ 筒部
111、111f ・・・ 抜け止め部
112 ・・・ 保持部
113 ・・・ 取付部
114、114f ・・・ 流路
115、115f ・・・ フランジ
120、120a、120b、120c、120d、
120e、120f ・・・ 折取部
121、121a、121b、121c、121d、
121e、121f ・・・ 係合孔
122、122a、122b、122c、122d、
122e、122f ・・・ 弱化部
123、123a、123b、123c、123d、
123e、123f ・・・ 誘導部
124、124a、124b、124c、124d、
124e、124f ・・・ リシール部
125、125b、125c、125d ・・・ 開放部
126、126d ・・・ 係合ツメ
130 ・・・ 方向規制部
131 ・・・ 凹部
132 ・・・ 凸部