(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】封止用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/68 20060101AFI20240116BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240116BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240116BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C08G59/68
C08L63/00 C
C08K3/013
C08K3/36
(21)【出願番号】P 2019567101
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(86)【国際出願番号】 JP2019002010
(87)【国際公開番号】W WO2019146617
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2018008661
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000214250
【氏名又は名称】ナガセケムテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】大井 陽介
(72)【発明者】
【氏名】平岡 崇志
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-224758(JP,A)
【文献】特開昭62-210653(JP,A)
【文献】特開昭61-089247(JP,A)
【文献】特開2006-176678(JP,A)
【文献】特開2012-162585(JP,A)
【文献】特開2007-314702(JP,A)
【文献】特開平11-199651(JP,A)
【文献】特開2004-018786(JP,A)
【文献】特開2002-076203(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221682(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/030126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00 - 59/72
C08L 63/00
C08K 3/013
C08K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物
、(C)無機フィラー
、及び、(E)硬化促進剤を含有し、
イミダゾール化合物以外の硬化剤を含有しない封止用樹脂組成物であって、
前記(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物は、下記(B-1)で表される化合物であり、
前記(B)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して、10~100質量部であって、
前記(C)無機フィラーは、球状シリカ粒子であって、その含有量が、組成物中
80質量%以上で
あり、
前記(E)硬化促進剤は、イミダゾール化合物であることを特徴とする封止用樹脂組成物。
(B-1)炭素数2又は3のアルキレングリコール繰り返し単位を有し、その繰り返し単位が5以上であるポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂(但し、前記(A)成分を除き、さらに前記炭素数2又は3のアルキレングリコール繰り返し単位がエチレングリコール単独の場合は、その繰り返し単位が1
5以上である。)
【請求項2】
前記(A)成分のエポキシ樹脂は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及び、ナフタレン型エポキシ樹脂から選択される1種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)成分のポリアルキレングリコール鎖は、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖から選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の封止用樹脂組成物。
【請求項4】
前記(E)硬化促進剤が自己重合反応促進剤を含有することを特徴とする、請求項
1~3のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
【請求項5】
前記封止用樹脂組成物は液状であることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
【請求項6】
前記封止用樹脂組成物は、7000mm
2
以上の面積を有する電子部材を封止するための封止用樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部材を封止するための樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、大面積のウエハ又はパネル等の電子部材を封止するための樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体等に代表される電子部材は、熱、光、湿気、ほこり、物理的衝撃等から保護するために、エポキシ樹脂等の硬化性材料により封止する必要がある。
近年、半導体パッケージコストを大幅に削減することを目的として、半導体回路の形成されたウエハを個別のチップに切断する前に、大面積基板を封止し、次いで個片化させる技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大面積基板を熱硬化性樹脂で全面封止した場合、基板と熱硬化性樹脂の熱膨張係数の違いから大きな反りが発生する。反りが大きいとその後の研磨工程や個片化工程において問題が生じるため、反りの防止が大きな技術課題となっている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、大面積基板を封止した場合においても、反りを抑制できる封止用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂とポリアルキレングリコール鎖を有する特定の化合物を併用することで、基板、特に7000mm2以上の面積を有する基板を封止した際においても反りを抑制できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の封止用樹脂組成物である。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の封止用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、及び、(C)無機フィラーを含有する封止用樹脂組成物であって、前記(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物は、下記(B-1)及び/又は(B-2)で表される化合物であることを特徴とするものである。
(B-1)炭素数2以上のアルキレングリコール繰り返し単位を有し、その繰り返し単位が5以上であるポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂(但し、前記(A)成分を除き、さらに前記炭素数2以上のアルキレングリコールがエチレングリコール単独の場合は、その繰り返し単位が10以上である。)
(B-2)炭素数2以上のアルキレングリコール繰り返し単位を有し、その数平均分子量が1500以上であるポリアルキレングリコール(但し、(B-1)成分を除く。)
この特徴によれば、大面積基板を封止した際においても、基板の反りを抑制することができる。
【0008】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、(A)成分のエポキシ樹脂は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及び、ナフタレン型エポキシ樹脂から選択される1種以上を含有することを特徴とする。
この特徴によれば、大面積基板の反りをより抑制することが可能である。
【0009】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、(B)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対して、3~100質量部であることを特徴とする。
この特徴によれば、大面積基板の反りをより抑制することが可能である。
【0010】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、(B)成分のポリアルキレングリコール鎖は、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖及びポリテトラメチレングリコール鎖から選択される1種以上を含むことを特徴とする。
この特徴によれば、封止用樹脂組成物において、より低反り性を発現することが可能である。
【0011】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、(B-2)成分は、ポリプロピレングリコール鎖のみを有し、両末端が水酸基であることを特徴とする。
この特徴によれば、封止用樹脂組成物において、より低反り性を発現することが可能である。
【0012】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、(D)硬化剤及び/又は(E)硬化促進剤を含有することを特徴とする。
この特徴によれば、低反り性を維持しつつ、エポキシ樹脂の硬化を効率良く行うことが可能である。
【0013】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、(C)フィラーの含有量が、組成物中60質量%以上であることを特徴とする。
この特徴によれば、低反り性を維持しつつ、耐熱性の向上を図ることができる。
【0014】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、(C)フィラーは、球状シリカ粒子であることを特徴とする。
この特徴によれば、低反り性を維持しつつ、成型流動性の向上を図ることができる。
【0015】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、封止用樹脂組成物は液状であることを特徴とする。
この特徴によれば、コンプレッション成型等の成型方法を用いることができ、大面積基板の端部まで封止することが可能である。
【0016】
また、本発明の封止用樹脂組成物の一実施態様によれば、封止用樹脂組成物は、7000mm2以上の面積を有する電子部材を封止するための封止用樹脂組成物であることを特徴とする。
この特徴によれば、7000mm2以上の面積を有する電子部材を封止しても、反りを発生させずに封止することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大面積基板を封止した際にも、基板の反りを抑制できる封止用樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を含めて説明する。
[封止用樹脂組成物]
本発明の封止用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、(C)フィラーを含有することを特徴とする。
次に、本発明の封止用樹脂組成物に使用する各成分について、詳細に説明する。
【0019】
<(A)エポキシ樹脂>
本発明における(A)エポキシ樹脂は、封止材料として用いられるエポキシ樹脂を使用することができ、2官能以上の多官能エポキシ樹脂が好ましい。多官能エポキシ樹脂としては、例えば、カテコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエーテル、2,5-ジイソプロピルヒドロキノンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル等のベンゼン環を1個有する一核体芳香族エポキシ樹脂類;3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、ジエポキシリモネン等の脂環式エポキシ樹脂;ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂が部分縮合したオリゴマー混合物、ビスフェノール型エポキシ樹脂の核水添型エポキシ樹脂;テトラメチルビス(4-ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、テトラメチルビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテルジグリシジルエーテル;ビフェニル型又はテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、これらの核水添型エポキシ樹脂;ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型エポキシ樹脂等のフルオレン型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0020】
さらに、多官能エポキシ樹脂としては、例えば、トリグリシジル-p-アミノフェノール(p-アミノフェノール型エポキシ樹脂)などのアミノフェノール型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリンなどのアニリン型エポキシ樹脂、ジグリシジルオルソトルイジンなどのトルイジン型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂等の多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル等のトリメチロールアルカン型エポキシ樹脂等の多官能グリシジルエーテルが挙げられる。
【0021】
また、その他のエポキシ樹脂、例えば、シリル化エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ポリアリーレンエーテルジグリシジルエーテル等を併用することもできる。
これらのうち、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及び、ナフタレン型エポキシ樹脂から選択される1種以上を含有することが好ましく、優れた低反り性を奏する観点からはグリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましく、さらにp-アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジグリシジルオルソトルイジンから選択される1種以上を含有することが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種又はそれ以上の組合せであってもよい。
【0022】
上記封止用樹脂組成物中、(A)エポキシ樹脂の含有量は例えば、1質量%以上25質量%である。下限値としては、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。上限値として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
【0023】
<(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物>
本発明の封止用樹脂組成物は、(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物を含有することを特徴とする。
本発明における(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物としては、(B-1)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂及び/又は(B-2)ポリアルキレングリコールを含むものである。
【0024】
・(B-1)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂
本発明における(B-1)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂は、(A)成分のエポキシ樹脂と異なるものである。
さらに、本発明における(B-1)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂は、炭素数2以上のアルキレングリコール繰り返し単位を有するもので、その繰り返し単位が5以上(但し、炭素数2以上のアルキレングリコールがポリエチレングリコール単独の場合は、その繰り返し単位が10以上)である。
【0025】
炭素数2以上のアルキレングリコール繰り返し単位とは、エチレングリコール単位、プロピレングリコール単位、ブチレンオキシド単位、テトラメチレングリコール単位、ヘキサメチレングリコール単位、オクタメチレングリコール単位、デカメチレングリコール単位等が含まれる。これら単位は単独でもよく、二種以上の単位を含んでいてもよい。また二種以上の単位を含む場合、ランダム型でもよく、ブロック型でもよい。
【0026】
ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂として、主鎖にポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。その他ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル等のフェノール付加型エポキシ樹脂なども挙げることができる。
【0027】
本発明における(B-1)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂において、炭素数2以上のアルキレングリコール鎖の繰り返し数は、5以上であることを特徴とする。好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上、特に好ましくは8以上である。上限値としては、特に限定されないが、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは70以下である。
但し、炭素数2以上のアルキレングリコールがポリエチレングリコール単独の場合は、その繰り返し単位数は10以上である。より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上である。上限値としては、特に限定されないが、好ましくは300以下、より好ましくは200以下、さらに好ましくは100以下である。
炭素数2以上のアルキレングリコール鎖の繰り返し数が5以上である(但し、炭素数2以上のアルキレングリコールがポリエチレングリコール単独の場合は、その繰り返し単位数は10以上である)ことで、大面積基板に対しても、優れた低反り性を発現することができる。
【0028】
なお、上記(B-1)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂は、市販品を購入するか、上記ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等の末端に水酸基を含有するポリアルキレングリコールに対して、エピクロロヒドリン等のエポキシ化剤を反応させることで入手することができる。
【0029】
・(B-2)ポリアルキレングリコール
本発明における(B-2)ポリアルキレングリコールは、炭素数2以上のアルキレングリコール繰り返し単位を有し、数平均分子量が1500以上であることを特徴とする。下限値としては、好ましくは2000以上であり、より好ましくは3000以上であり、さらに好ましくは4000以上である。上限値としては、例えば6000以下であり、5000以下であってもよい。
(B-2)成分として、炭素数2以上のアルキレングリコール繰り返し単位を有し、数平均分子量が1500以上のポリアルキレングリコールを含有させることで、大面積基板に対しても、優れた低反り性を発現することができる。
なお、本発明における(B-2)ポリアルキレングリコールは、上記(B-1)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂を含まないものである。
【0030】
また、本発明における(B-2)ポリアルキレングリコールは、炭素数2以上のアルキレングリコール繰り返し単位を好ましくは25以上有するものである。下限値としては、より好ましくは34以上であり、さらに好ましくは51以上であり、特に好ましくは68以上である。上限値としては、好ましくは100以下であり、より好ましくは80以下である。
【0031】
また、炭素数2以上のアルキレングリコール繰り返し単位としては、上記(B-1)で説明したものと同様であり、より好ましくはプロピレングリコール単位である。
【0032】
本発明の(B-2)成分において、その末端構造は、エポキシ基以外の構造であれば特に限定されないが、好ましくは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基等から選ばれる1種以上であり、より好ましくは両末端が水酸基である化合物である。
【0033】
なお、上記(B-2)ポリアルキレングリコールは、市販品を購入するか、アルキレンオキサイドモノマーを重合することで入手することができる。
【0034】
上記封止用樹脂組成物中、(A)エポキシ樹脂と(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物との合計の含有量は例えば、2質量%以上30質量%以下である。下限値としては、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。上限値として、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0035】
(A)エポキシ化合物樹脂100質量部に対して、(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物の含有量は、例えば3質量部以上100質量部以下である。下限値としては、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。上限値として、好ましくは70質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。(B)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂の含有量が、上記範囲内であると、大面積基板に対して、より低反り性を発現することができる。
【0036】
<(C)フィラー>
本発明の封止用樹脂組成物は、(C)フィラーを含有することを特徴とする。
本発明に用いられるフィラーは、特に限定されるものではなく、溶融シリカや結晶性シリカ等のシリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素(BN)、ガラスビーズ等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい
硬化物の熱線膨張係数を低減させるという点から、シリカ粉末を用いることが好ましく、シリカ粉末の中でも溶融シリカ粉末を用いることがより好ましい。溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末が挙げられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが特に好ましく、真球度の高いものがより好ましい。
シリカ粉末を用いることで硬化物の内部応力を低減し、大面積基板の反りをより抑制できる。
【0037】
本発明において用いられる、フィラーの平均粒径は、例えば、0.1~30μmの範囲のものを用いるのが好ましい。
なお、平均粒径は、体積粒度分布の累計体積50%における粒径(D50)として求められる。例えば、母集団から任意に抽出される試料を用い、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することにより導き出すことができる。
【0038】
本発明におけるフィラーの含有量は封止用樹脂組成物中、例えば、60~95質量%である。下限値としては、好ましくは73質量%以上、より好ましくは76質量%以上である。上限値としては、好ましくは93質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である。フィラーの含有量が60~95質量%であると、成型物の反り抑制効果が大きく、成型に適した流動性を付与することができる。
【0039】
また、上記フィラーは、あらかじめ表面にシランカップリング剤を反応させたものを用いることもできる。表面にシランカップリング剤を反応させたフィラーを用いることで、樹脂組成物中での分散性を向上させることができる。シランカップリング剤を使用する場合の配合量は、フィラー100質量部に対して、0.05~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。
【0040】
さらに、本発明の封止用樹脂組成物は、好ましくは(D)硬化剤及び/又は(E)硬化促進剤を含有することができる
【0041】
<(D)硬化剤>
本発明の封止用樹脂組成物に使用する硬化剤としては、特に限定されないがアミン化合物(アミン硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)及び酸無水物(酸無水物硬化剤)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール化合物としては、フェノール類またはナフトール類(例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール、アルキルフェノール、ビスフェノール、テルペンフェノールなど)と、ホルムアルデヒドとを、縮合重合させたものが好ましく用いられ、例えば、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、α-ナフトールノボラック樹脂、β-ナフトールノボラック樹脂、t-ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ-o-ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ-m-ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ-p-ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
上記酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などのアルキルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸などのアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、好ましくは、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0043】
上記アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、テトラメチルジアミノジフェニルメタン、テトラエチルジアミノジフェニルメタン、ジエチルジメチルジアミノジフェニルメタン、ジメチルジアミノトルエン、ジアミノジブチルトルエン、ジアミノジプロピルトルエン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジトリルスルホン、ジエチルジアミノトルエン、ビス(4-アミノ-3-エチルフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエートなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記(D)硬化剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくはエポキシ基1当量に対して、硬化剤の官能基の当量数が0.05~1.5当量となる量であり、より好ましくは0.1~1.2当量となる量である。
【0045】
また、上記(D)硬化剤は(E)硬化促進剤として自己重合反応促進剤を含有する場合は必ずしも配合する必要はない。また、配合する場合の含有量は、特に限定されないが、好ましくは(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、(D)は150質量部以下である。上限値としては、自己重合反応促進剤による自己重合反応の割合を多くする観点からは、硬化剤は実質的に含有しないか、含有する場合は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下、特に好ましくは1質量部以下である。硬化剤の含有量を(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、150質量部以下とすることで、優れた低反り性を発揮することができる。
【0046】
<(E)硬化促進剤>
本発明の封止用樹脂組成物は、好ましくは(E)硬化促進剤を含有することできる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物などのアミン化合物、リン化合物、及び有機金属化合物等の塩基性の化合物が挙げられ、エポキシ樹脂が自己重合できる自己重合反応促進剤が好ましく、特にイミダゾール化合物が好ましい。また硬化促進剤は、潜在性を有するものであってよく、マイクロカプセル型硬化促進剤が好ましい。
【0047】
上記イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、1-イソブチル2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール等の2-置換イミダゾール化合物、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト等のトリメリット酸塩、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン等のトリアジン付加物、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2-フェニル-4-メチル-5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
【0048】
上記リン化合物としては、トリブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン化合物、トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィン化合物が挙げられる。
上記アミン化合物としては、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4-ジメチルアミノピリジン等も挙げられる。アミン化合物はアミンアダクトであってよい。
【0049】
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
【0050】
上記マイクロカプセル型硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物粉末をエポキシ樹脂中に分散した微粒子組成物等を使用することができ、アミン化合物としては、以下に例示するものの中から、所望の増粘倍率に基づいて選択すればよい:脂肪族第一アミン、脂環式第一アミン、芳香族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂環式第二アミン、芳香族第二アミン、イミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、これら化合物とカルボン酸、スルホン酸、イソシアネート、エポキシ等との反応生成物、等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用することができ、例えば、脂肪族第一アミン、脂環式第一アミン、芳香族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂環式第二アミン、芳香族第二アミン、イミダゾール化合物、又は、イミダゾリン化合物と、それらのカルボン酸、スルホン酸、イソシアネート、又は、エポキシとの反応生成物との併用を好ましく使用することができる。上記アミン化合物粉末の体積平均粒径は、50μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。また、上記アミン系化合物粉末は、融点又は軟化点が60℃以上であることが、25℃での増粘を抑える観点から好ましい。
【0051】
本発明の封止用樹脂組成物において、(E)硬化促進剤の含有量は(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば0.1質量部以上40質量部以下である。下限値としては、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。上限値として、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。硬化促進剤を上記含有量とすることで、硬化不良の発生を抑制させつつ、反りを抑制することができる。
【0052】
<その他の添加剤>
本発明の組成物には、本発明の目的を阻害しないかぎり、その他の添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、シランカップリング剤、カーボンブラック、イオン捕捉剤等が挙げられる。シランカップリングとしては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記シランカップリング剤は、あらかじめ表面にシランカップリング剤を反応させたシリカを用いる場合でも、所望により、配合してもよい。
【0053】
上記シランカップリング剤の含有量は、封止用樹脂組成物中、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは2~6質量%である。
上記カーボンブラックの含有量は、封止用樹脂組成物中、好ましくは0.1~5質量%であり、より好ましくは0.5~3質量%である。
【0054】
上記イオン捕捉剤としては、封止組成物中の不純物イオンを捕捉する能力を有する剤であって、封止した電子部材の信頼性を向上させることができる。イオン捕捉剤としては、例えば、無機イオン交換剤などが挙げられる。
イオン捕捉剤を含有する場合の含有量は、特に制限されないが、好ましくは封止用樹脂組成中の0.05質量%以上であり、より好ましくは3質量%以下である。
【0055】
[封止用樹脂組成物の使用方法]
本発明の封止用樹脂組成物は、顆粒状、液状、シート状などの形態で使用することができる。以下、液状の形態で使用する場合について説明する。
【0056】
<液状封止用樹脂組成物>
液状とは、25℃で流動性を有する状態のことをいうが、例えば、25℃、せん断速度2.5(1/s)における粘度が2000Pa・s以下であることが好ましい。上記粘度は、測定方法により値が異なる場合は、ブルックフィールド社製、HBT型粘度計を用いて測定される値である。組成物の粘度が2000Pa・s以下であることで、圧縮成型時にワイヤースイープや充填不良を起こし難く、また製造時の樹脂供給がスムーズに進行する。
【0057】
液状封止用樹脂組成物の調製方法は、各成分が均一に分散混合される方法であれば特に限定されず、常法により混合することで調製することができる。例えば、各成分を所定の比率で配合し、30~480分間攪拌し、その後、減圧下で脱泡してから用いるとよい。
【0058】
液状封止用樹脂組成物の硬化条件として、特に限定されないが、硬化を十分に進行させるためには、加熱(成形時加熱、前硬化ともいう)と後硬化とを行うことが好ましい。加熱(成形時加熱)温度と時間は成形方法により異なるが、好ましくは50~200℃、さらに好ましくは70~180℃であり、時間は3秒~30分が好ましく、より好ましくは2~15分である。さらに、加熱(成形時加熱)を多段階に分けて硬化させることも可能であり、例えば、80~130℃で8~12分前硬化させた後、140~160℃で2~5分後硬化させることもできる。
後硬化は成形時加熱条件などにより異なるが、80~200℃で行うことが好ましく、100~180℃で行うことがより好ましい。後硬化の時間は成形時加熱条件などにより異なるが、10~300分間が好ましく、30~180分間がより好ましい。
【0059】
さらに、本発明は液状封止用樹脂組成物を用いて大面積のパネルやウエハ等の電子部材基板を封止する方法を含むものである。封止する方法としては、例えば、圧縮成型工法によって行う方法が挙げられる。圧縮成型工法は、公知のコンプレッション成型機等を用いて行うことができる。なお、封止する方法は圧縮成型工法に限るものではなく、印刷成形、トランスファー成形、ディスペンサなどによる塗布成形などであってもよい。
圧縮成型工法を用いる封止条件としては、硬化時の圧力は、0.5~10MPaが好ましく、1~5MPaがより好ましい。金型の温度は、上記硬化温度させる温度によって、適宜設定することができる。
【0060】
<封止部材>
本発明の封止用樹脂組成物は、ウエハやパネルに代表される電子部材の封止に用いることができる。また、好ましくは7000mm2以上の面積のパネルやウエハ等の電子部材基板に対して封止を行うことができ、さらには30000mm2以上の大面積のパネルやウエハ等の電子部材基板に対して封止を行うことができる。中でも、ウエハレベルパッケージ(WLP)、パネルレベルパッケージ(PLP)といったパッケージ封止に適している。また半導体素子等を搭載した電子部材基板に対してアンダーフィルとオーバーモールドとを一括して行うこと(モールドアンダーフィル材としての使用)も可能である。
大面積電子部材基板とは、直径が200mm(8インチ)以上のウエハや、300mm角以上パネルを含むものである。
また本発明の封止用樹脂組成物による封止は、例えば、基板面積の90%以上であり、片面封止であってもよく、両面封止であってもよい。
【0061】
本発明において用いるウエハとは、シリコンウエハ、サファイアウエハ、化合物半導体ウエハ、ガラス基板、樹脂基板(ビスマレイミドトリアジン基板、ポリイミド樹脂基板、フッ素樹脂など)、プリント配線基板等が含まれる。
ウエハのサイズとしては、直径が、100mm(4インチ)のウエハ、150mm(6インチ)のウエハ、200mm(8インチ)のウエハ、300mm(12インチ)のウエハ等が含まれる。
【0062】
本発明において用いるパネルとは、ガラス基板、シリコン基板、樹脂基板(ビスマレイミドトリアジン基板、ポリイミド樹脂基板、フッ素樹脂など)、化合物半導体基板、プリント配線基板等が含まれ、そのサイズは、例えば、60mm×220mm、100mm×300mm、また300mm角以上のもので、320mm×320mm等のパネルがある。さらに、400mm角以上のパネル、410mm×515mm、508mm×610mm、500mm×510mmのパネル、610mm×457mm、520×640mmのパネル等が含まれる。
【0063】
以下に実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
実施例1~26及び比較例1~24
表1~表6に示す各成分及び含有量(質量部)でそれぞれ配合し室温でよく混合して各封止用樹脂組成物を得た。各封止用樹脂組成物は25℃で液状であった。なお、表1~6において、(B-1)及び(B-2)における物質名の後に記載された括弧内の数値は、アルキレングリコール繰り返し単位数又は数平均分子量を表す。また、(C)フィラーの含有量は組成物全体における含有率(質量%)で記載している。
【0065】
つぎに、各封止用樹脂組成物をコンプレッション成型法により、成型圧力3MPa、125℃、10分で前硬化した後、150℃、60分で後硬化させ、シリコンウエハ上の封止を行った。
実施例1~14、17~19、比較例1~12、17においては、直径300mm×厚み775μmのシリコンウエハ上に硬化後の樹脂組成物の厚みが300μm(封止樹脂組成物層直径294mm)となるように封止を行った。
実施例15~16、20~26、比較例13~16、18~23においては、直径300mm×厚み300μmのシリコンウエハ上に硬化後の樹脂組成物の厚みが300μm(封止樹脂組成物層直径294mm)となるように封止を行った。
封止された基材について、以下の方法で評価した。
【0066】
[評価方法]
上記封止用樹脂組成物で封止されたシリコンウエハについて、以下の基準及び方法で評価した。
上記、後硬化後、室温まで冷却し、反り量を以下の基準で評価した。測定方法はレーザー変位計を用いて、シリコンウエハの基板側中心部と、ウエハ端部2点との高低差の平均を測定し、その値を反り量として、以下の基準で評価を行った。
○:反り量が9mm未満
×:反り量が9mm以上
なお、表6は、比較例22で測定された反り量を100として各実施例、比較例の反り量を比較評価した。
【0067】
【0068】
表1をみると、(B-1)ポリアルキレングリコール鎖を有するエポキシ樹脂を含有する実施例1~5の封止用樹脂組成物は、それらを含有しない比較例1~5の封止用樹脂組成物に対して、優れた低反り効果を発揮することがわかった。さらに、(A)エポキシ樹脂として、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂とジグリシジルオルソトルイジンを含有する実施例1と、p-アミノフェノール型エポキシ樹脂を含有する実施例4と、ジグリシジルオルソトルイジンとp-アミノフェノール型エポキシ樹脂を含有する実施例5の封止用樹脂組成物は、より優れた低反り効果を発揮することがわかった。
【0069】
【0070】
表2をみると、(B-1)を含有する実施例4、6~9の封止用樹脂組成物は、それらを含有しない比較例4、6~9の封止用樹脂組成物に対して、優れた低反り効果を発揮することがわかった。さらに、(E)硬化促進剤としてイミダゾール化合物を含有する実施例4、6の封止用樹脂組成物は、より優れた低反り効果を発揮することがわかった。
【0071】
【0072】
表3の、実施例5、10~14と比較例5、10を比較すると、(B-1)を含有することで、低反り効果を発揮できることがわかる。さらに、実施例5、10~14と比較例11、12を比較すると、特定の(B-1)を含有することで、優れた低反り効果を発揮することができる。
【0073】
【0074】
表4をみると、特定の(B-1)を含有する実施例15、16の封止用樹脂組成物は、それらを含有しない比較例13~16の封止用樹脂組成物に対して、厚みが300μmのウエハに対しても優れた低反り効果を発揮することがわかった。さらに、実施例15と16を比較すると、硬化促進剤のみを含有する実施例15が、硬化剤を含有する実施例16に比べてより低反り効果を有することがわかった。また実施例4、10と、実施例17~19とを比較すると、硬化促進剤のみを含有する実施例4、10が、硬化剤を含有する実施例17~19に比べてより低反り効果を有することがわかった。
【0075】
【0076】
表5の実施例4、20~23を比較すると、(A)100質量部に対して、(B-1)を30質量部含む実施例4、20は、実施例21、22及び実施例23に比べて、より低反り効果を発揮することがわかった。
【0077】
【0078】
表6の結果より、(B-2)数平均分子量が1500以上であるポリアルキレングリコールを含有する実施例24~26の封止用樹脂組成物は、それらを含有しない比較例19~22の封止用樹脂組成物に対して、厚みが300μmのウエハに対しても優れた低反り効果を発揮することがわかった。
【0079】
次に、実施例24の封止用樹脂組成物と、実施例24の(B)成分の代わりに、シリコーンオイルを用いた比較例23の封止用樹脂組成物とで、ブリード試験を行った。
試験方法としては、上記試験において、反りを測定したシリコンウエハを割り、シリコン部分を下にして260℃ホットプレートに30秒静置させた後に、目視で行った。
結果として、実施例24の封止用樹脂組成物は、ブリードが見られなかったが、シリコーンオイルを用いた比較例23はブリードが見られた。これらの結果より、本発明の封止用樹脂組成物は、低反り効果を発揮しつつ、ブリード発生を抑制できることから、ウエハと封止用樹脂組成物との界面の接着力を、高温環境に晒した後も保つことができるという効果を奏することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の封止用樹脂組成物は、ウエハやパネル等の電子部材を封止するのに有用である。さらに、7000mm2以上の面積のパネルやウエハ等の電子部材基板に対して封止を行うことができ、さらには30000mm2以上の大面積のパネルやウエハ等の電子部材基板に対して封止を行うことができるため、封止剤としてより有用である。
【0081】
さらに、本発明の封止用樹脂組成物で封止された電子部材は、半導体デバイス、トランジスタ(MOSトランジスタ、電界効果トランジスタ)、パワー半導体、半導体メモリ、イメージセンサ等に有用である。