(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】内容器開封機構
(51)【国際特許分類】
B65D 83/68 20060101AFI20240116BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B65D83/68 140
B05B9/04
(21)【出願番号】P 2020006544
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000222129
【氏名又は名称】東洋エアゾール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】尾形 謙
(72)【発明者】
【氏名】清水 広和
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-057868(JP,U)
【文献】特開2003-292072(JP,A)
【文献】特公昭44-032149(JP,B1)
【文献】特開2015-030493(JP,A)
【文献】特開2004-059095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/68
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内容物が収納される外容器と、前記外容器内に装着され第1内容物とは異なる第2内容物が充填される内容器とを有するエアゾール製品に設けられた内容器開封機構であって、
前記内容器には、口部を密封する密封蓋体が設けられ、
前記外容器には、混合された第1内容物と第2内容物を吐出するエアゾールバルブが設けられ、
前記エアゾールバルブのステムは、前記内容器の密封蓋体側に向けて延びるステム延長部と、前記ステム延長部の先端側に設けられた先端開封部を有し、
前記密封蓋体は破断領域を有し、
前記破断領域は、前記ステムが押圧された際の前記先端開封部の下降で押圧されて一部または全部が前記密封蓋体と分離
し、
前記先端開封部は、前記ステムを最も押し下げた際に前記密封蓋体より前記内容器の内部側に突出する貫通領域と、前記ステムを最も押し下げた際に前記密封蓋体より前記内容器の内部側に突出しない非貫通領域とを有し、
前記貫通領域の外周形状の少なくとも一部は、前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の外周形状と異なるように構成され、
前記貫通領域の外周形状の一部は、前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の外周形状と同一形状で連続して伸びていることを特徴とする内容器開封機構。
【請求項2】
第1内容物が収納される外容器と、前記外容器内に装着され第1内容物とは異なる第2内容物が充填される内容器とを有するエアゾール製品に設けられた内容器開封機構であって、
前記内容器には、口部を密封する密封蓋体が設けられ、
前記外容器には、混合された第1内容物と第2内容物を吐出するエアゾールバルブが設けられ、
前記エアゾールバルブのステムは、前記内容器の密封蓋体側に向けて延びるステム延長部と、前記ステム延長部の先端側に設けられた先端開封部を有し、
前記密封蓋体は破断領域を有し、
前記破断領域は、前記ステムが押圧された際の前記先端開封部の下降で押圧されて一部または全部が前記密封蓋体と分離し、
前記先端開封部は、前記ステムを最も押し下げた際に前記密封蓋体より前記内容器の内部側に突出する貫通領域と、前記ステムを最も押し下げた際に前記密封蓋体より前記内容器の内部側に突出しない非貫通領域とを有し、
前記貫通領域の外周形状の少なくとも一部は、前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の外周形状と異なるように構成され、
前記貫通領域の外周面の一部は、前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の外周形状と同一形状で連続して伸びる面であることを特徴とする内容器開封機構。
【請求項3】
前記貫通領域
の外周面の一部は、
前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の
外周形状と同一形状で連続して伸びる面
であり、
前記連続して伸びる面の周方向長さは、前記ステム延長部の先端の外周面の周方向長さの1/2以下であることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の内容器開封機構。
【請求項4】
前記密封蓋体は、前記破断領域の一部または全部を前記密封蓋体から分離する弱化部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の内容器開封機構。
【請求項5】
前記弱化部は、無端状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の内容器開封機構。
【請求項6】
前記密封蓋体は、前記内容器に対しパッキン部材を介して取り付けられ、
前記パッキン部材は、無端状の前記弱化部より大径の中心孔部を有することを特徴とする請求項5に記載の内容器開封機構。
【請求項7】
前記ステム延長部は、長手方向に一様な形状であり、
前記先端開封部は、前記ステム延長部を一部切り欠いた形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の内容器開封機構。
【請求項8】
前記先端開封部の最先端部は、0.1~1.4mmの厚さを有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の内容器開封機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は第1エアゾール内容物が収納される外容器と、外容器内に装着され第1エアゾール内容物とは異なる第2エアゾール内容物が充填される内容器とを有し、第1エアゾール内容物と第2エアゾール内容物が外容器内で混合可能となるエアゾール製品の内容器開封機構に関する。
【背景技術】
【0002】
第1エアゾール内容物を収納した外容器内に、この第1エアゾール内容物とは異なる第2エアゾール内容物を充填した内容器を装着し、使用時に、この内容器を破壊して第1エアゾール内容物と第2エアゾール内容物とを混合するように構成したエアゾール製品は公知である。
例えば、ガラス等で形成した内容器をステムの押圧力で破壊し、内容器内の第2エアゾール内容物を外容器内に放出して第1エアゾール内容物と混合するものが知られている(特許文献1-3等参照。)。
これらのエアゾール製品は、ガラス等で形成した内容器をステムの押圧力で破壊するものであるが、内容器の強度を均一に形成することが困難で、ステムを強く押圧しても内容器を破壊することができなかったり、搬送、保存、展示等の際に衝撃が加わった場合、内容器が破壊されてしまう虞があった。
【0003】
このような問題点を解決するために、内容器を密封蓋体で密封し、ステムを押圧することで密封蓋体のみを開封して内容器内の第2エアゾール内容物を外容器内に放出して第1エアゾール内容物と混合するものが提案されている(特許文献4等参照。)。
これらのエアゾール製品は、板状の密封蓋体を用いることで強度を均一化することができるとともに、搬送、保存、展示等の際に衝撃によって開封することを防止することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭62-106659号公報
【文献】実開昭63-126062号公報
【文献】特開昭62-234562号公報
【文献】特開2003-292072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献4等で公知のエアゾール製品には、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献4等で公知のエアゾール製品は、ステムによって密封蓋体を貫通した箇所が、内容器と外容器とを連通する開口部となるため、開封した内容器から外容器へ第2エアゾール内容物を迅速に放出するには、開口部を大きく形成する必要があり、そのためには密封蓋体を貫通するステム自体の外径も大きく形成する必要があるため、ステムを構成する部材の量が増えてコストアップしてしまう虞や、密封蓋体を貫通させるために必要なステムの押圧力が高くなってしまう虞があった。
また、ステムの端部のうち密封蓋体を貫通する先端側を細く形成することで、密封蓋体の貫通初期の負荷を低減することも考えられるが、密封蓋体の開口部を十分に拡径するためにはステムの外径そのものが大きくなるところまで押圧する必要があり、徐々にステムの外径を大きくするためのステムのストローク量が大きく増加してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、簡単な構造で、ステムの押圧力を高くすることなく密封蓋体を開口可能で、ステムのストローク量の増加を抑制可能な内容器開封機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内容器開封機構は、第1内容物が収納される外容器と、前記外容器内に装着され第1内容物とは異なる第2内容物が充填される内容器とを有するエアゾール製品に設けられた内容器開封機構であって、前記内容器には、口部を密封する密封蓋体が設けられ、前記外容器には、混合された第1内容物と第2内容物を吐出するエアゾールバルブが設けられ、前記エアゾールバルブのステムは、前記内容器の密封蓋体側に向けて延びるステム延長部と、前記ステム延長部の先端側に設けられた先端開封部を有し、前記密封蓋体は破断領域を有し、前記破断領域は前記ステムが押圧された際の前記先端開封部の下降で押圧されて一部または全部が前記密封蓋体から分離し、前記先端開封部は、前記ステムを最も押し下げた際に前記密封蓋体より前記内容器の内部側に突出する貫通領域と、前記ステムを最も押し下げた際に前記密封蓋体より前記内容器の内部側に突出しない非貫通領域とを有し、前記貫通領域の外周形状の少なくとも一部は、前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の外周形状と異なるように構成され、前記貫通領域の外周形状の一部は、前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の外周形状と同一形状で連続して伸びていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明に係る内容器開封機構は、第1内容物が収納される外容器と、前記外容器内に装着され第1内容物とは異なる第2内容物が充填される内容器とを有するエアゾール製品に設けられた内容器開封機構であって、前記内容器には、口部を密封する密封蓋体が設けられ、前記外容器には、混合された第1内容物と第2内容物を吐出するエアゾールバルブが設けられ、前記エアゾールバルブのステムは、前記内容器の密封蓋体側に向けて延びるステム延長部と、前記ステム延長部の先端側に設けられた先端開封部を有し、前記密封蓋体は破断領域を有し、前記破断領域は、前記ステムが押圧された際の前記先端開封部の下降で押圧されて一部または全部が前記密封蓋体と分離し、前記先端開封部は、前記ステムを最も押し下げた際に前記密封蓋体より前記内容器の内部側に突出する貫通領域と、前記ステムを最も押し下げた際に前記密封蓋体より前記内容器の内部側に突出しない非貫通領域とを有し、前記貫通領域の外周形状の少なくとも一部は、前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の外周形状と異なるように構成され、前記貫通領域の外周面の一部は、前記貫通領域と前記非貫通領域の接続部から前記貫通領域の先端まで、前記ステム延長部の先端の外周形状と同一形状で連続して伸びる面であることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る内容器開封機構は、第1内容物が収納される外容器と、外容器内に装着され第1内容物とは異なる第2内容物が充填される内容器とを有するエアゾール製品に設けられた内容器開封機構であって、内容器には、口部を密封する密封蓋体を有し、外容器に設けられたエアゾールバルブのステムは、密封蓋体に向けて延びるステム延長部と、ステム延長部の先端側に設けられた先端開封部を有し、密封蓋体は破断領域を有し、破断領域はステムが押圧された際の先端開封部の下降で押圧されて一部または全部が分離するため、ステムで密封蓋体を貫通してステムの外径で開口を拡径する場合に比べて、小さい押圧力で密封蓋体を開口させることができ、使用者の負担を軽減できる。
また、ステムの外径で開口部を拡径する場合に比べて、密封蓋体の開口に必要なステムのストローク量を抑えることができる。
また、先端開封部は、ステムを最も押し下げた際に密封蓋体より内容器の内部側に突出する貫通領域と、ステムを最も押し下げた際に密封蓋体より内容器の内部側に突出しない非貫通領域とを有し、先端開封部は、ステム延長部と外周形状が異なるように構成されているため、密封蓋体を先端開封部で押圧した際に、開口部がステム延長部によって塞がれた状態をつくることがなく、内容器内の第2内容物を外容器側へ迅速に放出できる。
請求項2に係る内容器開封機構は、第1内容物が収納される外容器と、外容器内に装着され第1内容物とは異なる第2内容物が充填される内容器とを有するエアゾール製品に設けられた内容器開封機構であって、内容器には、口部を密封する密封蓋体を有し、外容器に設けられたエアゾールバルブのステムは、密封蓋体に向けて延びるステム延長部と、ステム延長部の先端側に設けられた先端開封部を有し、密封蓋体は破断領域を有し、破断領域はステムが押圧された際の先端開封部の下降で押圧されて一部または全部が分離するため、ステムで密封蓋体を貫通してステムの外径で開口を拡径する場合に比べて、小さい押圧力で密封蓋体を開口させることができ、使用者の負担を軽減できる。
また、ステムの外径で開口部を拡径する場合に比べて、密封蓋体の開口に必要なステムのストローク量を抑えることができる。
また、先端開封部は、ステムを最も押し下げた際に密封蓋体より内容器の内部側に突出する貫通領域と、ステムを最も押し下げた際に密封蓋体より内容器の内部側に突出しない非貫通領域とを有し、先端開封部は、ステム延長部と外周形状が異なるように構成され、貫通領域の外周面の一部は、貫通領域と非貫通領域の接続部から貫通領域の先端まで、ステム延長部の先端の外周形状と同一形状で連続して伸びる面であるため、密封蓋体を先端開封部で押圧した際に、開口部がステム延長部によって塞がれた状態をつくることがなく、内容器内の第2内容物を外容器側へ迅速に放出できる。
【0009】
請求項3に記載の構成によれば、貫通領域の一部は、貫通領域と非貫通領域の接続部から貫通領域の先端まで、ステム延長部の先端の外周形状と同一形状で連続して伸びる面であり、連続して伸びる面の周方向長さは、ステム延長部の先端の外周面の周方向長さの1/2以下であるため、貫通領域が密封蓋体を貫通して最も下降した状態でも、非貫通領域が密封蓋体の開口部を閉塞しないため、内容器内の第2内容物を外容器側へ迅速に放出できる。
【0010】
請求項4に記載の構成によれば、密封蓋体は、破断領域の一部または全部を密封蓋体から分離する弱化部を有するため、先端開封部によって破断領域を押圧する際に弱化部近傍を押圧することで、破断領域を分離するための押圧力を低減できる。
また、弱化部の形状を変えることで、開口部の形状を所望の形に形成することもできる。
これによって、先端開封部の下降で密封蓋体を押圧した際の破断領域の破断開始方向の調整もできるため、密封蓋体の開口部を埋めていた箇所の破断片であるスコア片を、先端開封部に干渉しない位置や、密封蓋体の開口を塞がない位置へ移動するように制御することもできる。
請求項5に記載の構成によれば、弱化部は無端状に形成されているため、スコア片を密封蓋体の開口部から完全に切り離すこともでき、より確実にスコア片を先端開封部に干渉しない位置や、密封蓋体の開口を塞がない位置へ移動できる。
【0011】
請求項6に記載の構成によれば、密封蓋体は、内容器に対しパッキン部材を介して取付られ、パッキン部材は、無端状の弱化部より大径の中心孔部を有するため、内容器側へ落ちるスコア片にパッキン部材が引っかかることがなく、開口部付近にスコア片が留まることを防止でき、開口部を十分に開口させた状態を保つことができ、内容器内の第2内容物を外容器側へ迅速に放出できる。
請求項7に記載の構成によれば、ステム延長部は、長手方向に一様な形状であり、先端開封部は、ステム延長部を一部切り欠いた形状であるため、加工や成形が容易な形状のため生産性を向上でき、製造コストを削減できる。
【0012】
請求項8に記載の構成によれば、先端開封部の最先端部は、0.1~1.4mmの厚さを有するため、密封蓋体へ局所的に押圧荷重をかけることができ、大きな押圧力を与えることなく密封蓋体から破断領域の一部または全部を分離して開口部を形成できる。
また、先端開封部の最先端部が薄く形成されていることで、スコア片や開口部に先端開封部が引っかかることや、スコア片を巻き込んで開口部を閉塞することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100を有するエアゾール製品Pの正面断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100のステム111の正面図および下面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100の密封蓋体130を有する内容器∪の正面断面図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100の、ステム111による密封蓋体130の開封工程1を示すA部拡大断面図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100の、ステム111による密封蓋体130の開封工程2を示すA部拡大断面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100の、ステム111による密封蓋体130の開封工程3を示すA部拡大断面図。
【
図7】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100の、ステム111による密封蓋体130の開封時におけるスコア片133の位置関係の一例を示すA部拡大断面図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100の、ステム111の他の形状例1を示す正面図および下面図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100の、ステム111の他の形状例2を示す正面図および下面図。
【
図10】本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100の、ステム111の他の形状例3を示す正面図および下面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100について、図面に基づいて説明する。
【0015】
本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100を有するエアゾール製品Pは、
図1および
図2に示すように、第1内容物が収納される外容器Sと、外容器S内に装着され第1内容物とは異なる第2内容物が充填される内容器∪とを有している。
外容器Sには、エアゾールバルブ110が嵌着され、エアゾールバルブ110は、第1内容物と第2内容物の混合物を外容器S外へ噴射するステム111と、外容器Sの口部に嵌合するマウンティングカップ118と、外容器用ハウジング119と、押し込んだステム111を復帰させるスプリング123と、ディップチューブD1を接続された噴射用流路124とが設けられている。
外容器用ハウジング119の下部には、内容器∪を保持する内容器ホルダー122が設けられている。
【0016】
ステム111は、筒状噴射流路117と、筒状噴射流路117の下部に接続する拡径部112と、拡径部112を挟んで筒状噴射流路117と逆側に延びる円柱状のステム延長部113と、ステム延長部113の下部に接続する先端開封部114とを有している。
なお、ステム延長部113は、エアゾールバルブ110に組み込まれた際、ステムガイド121に挿通することによって、外容器用ハウジング119との相対的な傾きを補正される。
【0017】
先端開封部114は、ステム延長部113に直接接続する非貫通領域115と、非貫通領域115を挟んでステム延長部113と反対側に延びる貫通領域116とを有している。
なお、先端開封部114は、ステム延長部113の断面を一部切り欠いた長手方向に一様な形状で形成されており、先端開封部114の断面積はステム延長部113の断面積よりも小さい。
【0018】
内容器∪は、
図3に示すように、口部を密封する密封蓋体130と、密封蓋体130を下方から支持する内容器用ハウジング135およびパッキン部材134とを有している。
密封蓋体130の中心付近には、破断領域Bが設けられ、破断領域Bの周囲には、密封蓋体130の他の箇所よりも薄肉に形成された弱化部132が円状に設けられている。
なお、パッキン部材134の中央部には、中心孔部138が形成され、中心孔部138の内径は、弱化部132の外径よりも大きく形成されている。
内容器用ハウジング135の下部には、ディップチューブD2が接続された放出用流路136が設けられている。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る内容器開封機構100による、内容器∪の開封工程について、
図4乃至
図7に基づいて説明する。
まず、
図4に示すように、ステム111を押下して、先端開封部114を密封蓋体130へ近づける。
このとき、ステム111はステム延長部113をステムガイド121に挿通して傾きを補正されているため、先端開封部114を密封蓋体130の適正な押圧位置(本実施形態の場合は円状に形成された弱化部132の内側近傍)へ移動させることができる。
【0020】
さらにステム111を押下すると、先端開封部114は弱化部132の内側近傍に接触し、密封蓋体130を押下する。
このとき、弱化部132は先端開封部114に押圧されている付近から徐々に破断を開始し、
図5に示すように、密封蓋体130から分離した破断片であるスコア片133が内容器∪の内方へ押し込まれ、密封蓋体130は開口部137を形成し、内容器∪は開口され、内容器∪内の第2内容物は外容器S内へ放出される。
【0021】
また、先端開封部114は貫通領域116のみ内容器∪の内部に進入するが、非貫通領域115は内容器∪の内部に進入することはなく、ステム延長部113は密封蓋体130の上方に位置する。
これによって、開口部137はステム延長部113によって閉塞されることがなく、内容器∪内の第2内容物を迅速に外容器S内へ放出することができる。
【0022】
なお、弱化部132が一部破断されない場合、スコア片133は破断していない弱化部132を介して開口部137付近に留まるが、弱化部132が完全に破断された場合は、
図6に示すように、スコア片133はパッキン部材134の中心孔部138を通過して内容器用ハウジング135内に落下するため、スコア片133が開口部137を閉塞する虞をより一層防止できる。
【0023】
密封蓋体130の弱化部132を破断した後、ステム111の押下を解除すると、スプリング123の復元力によってステム111は上昇し、作業前の位置に復帰する。
【0024】
内容器∪内の第2内容物は、エアゾール製品P全体を倒立状態にする他、予め外容器S内の内圧よりも高い圧力で加圧しておくこと等で外容器S側へ放出され、外容器S内の第1内容物と混合することで、混合内容物を得られる。
混合内容物を噴射する際は、再びステム111を押下することで、混合内容物をディップチューブD1から外容器用ハウジング119を介して筒状噴射流路117を通り、外容器Sの外へ噴射される。
【0025】
なお、第2内容物が内容器∪から放出された際の勢いや、外容器Sを振盪する等の撹拌動作などによって弱化部132を完全に破断して密封蓋体130から分離したスコア片133が密封蓋体130の上面に移動することがあるが、
図7に示すように、非貫通領域115の長さよりもスコア片133の厚みを薄く形成していれば、スコア片133は密封蓋体130とステム延長部113に挟まれることはなく、開口部137を閉塞することがない。
また、先端開封部114の最先端部の厚みは、密封蓋体130の開口しやすさと耐久性等を考慮すると0.1~1.4mmが好ましく、0.3~1.0mmがさらに好ましく、より好適には、0.5~0.8mmの厚みがあることが望ましい。
また、貫通領域116におけるステム延長部113の先端の外周面と同一形状で連続して延びる面の周方向長さは、ステム111押圧状態での開口部137の開口面積の確保を考慮すると、ステム延長部113の先端の外周面の周方向長さの1/2以下であることが望ましい。
【0026】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0027】
なお、上述した実施形態では、破断領域を有する密封蓋体の弱化部は密封蓋体の上面に円状に形成されているものとして説明したが、弱化部の形成状態はこれに限定されず、例えば、弱化部が多角形状に形成されていてもよく、弧状に形成されていてもよく、弱化部がなくてもよく、密封蓋体の下面側に弱化部が形成されていてもよく、破断領域外まで弱化部が連続して形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、先端開封部はステム延長部の断面を一部切り欠いた長手方向に一様な形状で形成されているものとして説明したが、先端開封部の形状はこれに限定されず、例えば、
図8に示すように、先端開封部114a(非貫通領域115a、貫通領域116a)がステム延長部113側から先端開封部114aの先端にかけて徐々に断面積が小さくなるように形成されていてもよく、
図9に示すように、先端開封部114b(非貫通領域115b、貫通領域116b)がステム延長部113から延びる角柱状に形成されていてもよく、
図10に示すように、先端開封部114c(非貫通領域115c、貫通領域116c)がステム延長部113から延びる円柱状に形成されていてもよく、ステム延長部がなくてもよい。
【0028】
また、上述した実施形態では、中心孔部は、弱化部の外径よりも大きく形成されているものとして説明したが、パッキン部材の構成はこれに限定されず、例えば、中心孔部が弱化部よりも小さく形成されていてもよく、中心孔部を弱化部をまたぐような星型の孔状に形成してもよく、パッキン部材を円板状に形成して中央から放射状にスリットを入れてもよい。
また、上述した実施形態では、ステム延長部は円柱状であるものとして説明したが、ステム延長部の構成はこれに限定されず、例えば、角柱状に形成してもよく、中空の筒状に形成してもよい。
【0029】
また、上述した実施形態では、ステム延長部はステムガイドに挿通されているものとして説明したが、ステムおよび外容器用ハウジングの構成はこれに限定されず、例えば、ステムガイドがなくてもよく、ステム延長部に長手方向に延びるキー溝を設けるとともに、キー溝内を摺動可能な凸状のキーを外容器用ハウジングに設けてもよい。
【符号の説明】
【0030】
100 ・・・ 内容器開封機構
110 ・・・ エアゾールバルブ
111 ・・・ ステム
112 ・・・ 拡径部
113 ・・・ ステム延長部
114、114a、114b、114c ・・・ 先端開封部
115、115a、115b、115c ・・・ 非貫通領域
116、116a、116b、116c ・・・ 貫通領域
117 ・・・ 筒状噴射流路
118 ・・・ マウンティングカップ
119 ・・・ 外容器用ハウジング
120 ・・・ 流路接続部
121 ・・・ ステムガイド
122 ・・・ 内容器ホルダー
123 ・・・ スプリング
124 ・・・ 噴射用流路
130 ・・・ 密封蓋体
132 ・・・ 弱化部
133 ・・・ スコア片
134 ・・・ パッキン部材
135 ・・・ 内容器用ハウジング
136 ・・・ 放出用流路
137 ・・・ 開口部
138 ・・・ 中心孔部
B ・・・ 破断領域
D1、D2 ・・・ ディップチューブ
P ・・・ エアゾール製品
S ・・・ 外容器
∪ ・・・ 内容器