IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電源装置 図1
  • 特許-電源装置 図2
  • 特許-電源装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240116BHJP
【FI】
H02M7/48 R
H02M7/48 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020008664
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021118565
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 規昭
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-244868(JP,A)
【文献】特開2014-204455(JP,A)
【文献】特開2009-033800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
B60L 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から入力される交流電力を直流電力に変換して負荷に出力できるとともに、前記負荷の直流電力を交流電力に変換できる、双方向インバータと、
前記双方向インバータの交流電力入力側の第1ノード及び第2ノードで、前記双方向インバータに並列接続された、コンセントと、
前記第1ノード及び前記第2ノードと前記コンセントとの間に設けられたリレーと、
前記双方向インバータ及び前記コンセントが前記交流電源に接続されている場合には、前記交流電源から前記双方向インバータに供給される電流と、前記交流電源から前記コンセントに供給される電流と、の合計電流が許容電流以下になるように、前記双方向インバータを制御し、前記双方向インバータ及び前記コンセントが前記交流電源に接続されていない場合には、前記負荷の直流電力を交流電力に変換して前記コンセントに供給するように、前記双方向インバータを制御前記合計電流、または、前記コンセントへ供給される電流が許容電流を超えたら、前記リレーを遮断するように制御する、制御装置と、
を含む、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記双方向インバータ及び前記コンセントが前記交流電源に接続されている場合には、前記合計電流の波形が正弦波形状になるように、前記双方向インバータを制御する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
車両に搭載され、
前記負荷がバッテリであり、
前記コンセントに電気機器が接続される、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1には、バッテリを充電するとともに、コンセントから電気製品に交流電力を供給する、充電器が記載されている。特許文献1記載の充電器では、交流電力を力率改善回路で直流電力に変換する。そして、直流電力を直流変換回路で電圧変換して、バッテリを充電する。また、直流電力を交流変換回路で交流電力に変換してコンセントに出力する。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の充電器では、回路素子数が多い。従って、回路素子数を抑制することが、望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-158322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回路素子数を抑制できる、電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電源装置は、
交流電源から入力される交流電力を直流電力に変換して負荷に出力できるとともに、前記負荷の直流電力を交流電力に変換できる、双方向インバータと、
前記双方向インバータの交流電力入力側に並列接続された、コンセントと、
前記双方向インバータ及び前記コンセントが前記交流電源に接続されている場合には、前記交流電源から前記双方向インバータに供給される電流と、前記交流電源から前記コンセントに供給される電流と、の合計電流が許容電流以下になるように、前記双方向インバータを制御し、前記双方向インバータ及び前記コンセントが前記交流電源に接続されていない場合には、前記負荷の直流電力を交流電力に変換して前記コンセントに供給するように、前記双方向インバータを制御する、制御装置と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0007】
前記電源装置において、
前記制御装置は、
前記双方向インバータ及び前記コンセントが前記交流電源に接続されている場合には、前記合計電流の波形が正弦波形状になるように、前記双方向インバータを制御する、
ことを特徴とする。
【0008】
前記電源装置において、
前記交流電源と前記コンセントとの間に設けられたリレーを更に含み、
前記制御装置は、
前記合計電流、または、前記コンセントへ供給される電流が前記許容電流を超えたら、前記リレーを遮断するように制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様の電源装置は、回路素子数を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態の電源回路の具体的な回路構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施の形態のコンセントに接続される機器の一例の等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の電源装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1は、電源2が電気的に接続されている場合には、電源2から交流入力電圧の供給を受けて、直流電圧を負荷3に出力する。電源2は、系統電源が例示されるが、本開示はこれに限定されない。負荷3は、リチウムイオン電池が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0013】
電源装置1は、車載されることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。車両は、キャンピングカー、移動販売車、電動バイク、電動自転車、ゴルフカート等が例示されるが、本開示はこれに限定されない。電源装置1が車載される場合、負荷3は、補機バッテリ、EV(電気自動車)バッテリ、HV(ハイブリッド車)バッテリ等が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0014】
電源装置1は、双方向インバータ4と、コンセント5と、制御装置6と、を含む。コンセント5には、電気機器が接続されることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。電気機器は、電磁調理器、電気ポット、冷蔵庫、冷凍庫、照明機器、スマートフォン用充電器等が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0015】
双方向インバータ4の2つの入力端子は、ノードN1及びN2に夫々電気的に接続されている。コンセント5の2つの入力端子は、ノードN1及びN2に夫々電気的に接続されている。つまり、コンセント5は、双方向インバータ4と並列接続されている。
【0016】
ノードN1は、電流センサ11を介して、電源2の一端に電気的に接続されている。ノードN2は、電源2の他端に電気的に接続されている。
【0017】
電源2が電源装置1に電気的に接続されている場合には、ノードN1及びN2を介して、双方向インバータ4に交流電力が供給されるとともに、ノードN1及びN2を介して、コンセント5に交流電力が供給される。
【0018】
双方向インバータ4は、電源2が電気的に接続されている場合には、交流入力電圧の供給を電源2からノードN1及びN2を介して受けて、直流電圧を負荷3に出力する。双方向インバータ4は、電源2が電気的に接続されていない場合には、直流電圧の供給を負荷3から受けて、交流電圧を、ノードN1及びN2を介して、コンセント5に出力する。
【0019】
電流センサ11は、電源2が電源装置1に電気的に接続されている場合には、電源2から電源装置1に入力される交流電流を検出する。つまり、電流センサ11は、ノードN1及びN2から双方向インバータ4に流れる電流と、ノードN1及びN2からコンセント5に流れる電流と、の和(以下、「合計電流」と称する場合がある。)を検出する。電流センサ11は、検出信号を、制御装置6に出力する。電流センサ17は、ノードN1及びN2からコンセント5に流れる電流を検出する。電流センサ17は、検出信号を、制御装置6に出力する。
【0020】
制御装置6は、電源2が電源装置1に電気的に接続されている場合には、合計電流が許容電流以下になるように、双方向インバータ4をスイッチング制御する。また、スイッチング制御部6aは、電源2が電源装置1に電気的に接続されている場合には、合計電流が正弦波形状になるように、双方向インバータ4を制御する。
【0021】
図2は、実施の形態の電源回路の具体的な回路構成の一例を示す図である。
【0022】
双方向インバータ4の2つの入力端子は、チョークコイル12及び13を介して、ノードN1及びN2に夫々電気的に接続されている。
【0023】
双方向インバータ4は、力率改善コンバータ21と、DC/DCコンバータ22と、を含む。
【0024】
力率改善コンバータ21は、トランジスタ21aから21dまでと、コンデンサ21eと、を含む。トランジスタ21aから21dまでは、制御装置6内のスイッチング制御部6aから入力されるスイッチング制御信号によって、スイッチング制御される。
【0025】
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0026】
各トランジスタは、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。
【0027】
トランジスタ21aのソースは、トランジスタ21bのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ21cのソースは、トランジスタ21dのドレインに電気的に接続されている。
【0028】
トランジスタ21aのドレイン及びトランジスタ21cのドレインは、コンデンサ21eの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ21bのソース及びトランジスタ21dのソースは、コンデンサ21eの他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0029】
トランジスタ21aのソースとトランジスタ21bのドレインとの接続点が、力率改善コンバータ21の一方の入力端子である。トランジスタ21cのソースとトランジスタ21dのドレインとの接続点が、力率改善コンバータ21の他方の入力端子である。コンデンサ21eの両端が、力率改善コンバータ21の出力端子である。
【0030】
力率改善コンバータ21の一方の入力端子は、チョークコイル12を介して、電源2の一端に電気的に接続されている。力率改善コンバータ21の他方の入力端子は、チョークコイル13を介して、電源2の他端に電気的に接続されている。
【0031】
力率改善コンバータ21の2つの入力端子には、チョークコイル12及び13を介して、交流入力電圧が電源2から入力される。
【0032】
交流入力電圧が正極性の期間では、トランジスタ21aがオン状態、トランジスタ21bがオフ状態、トランジスタ21cがオフ状態、且つ、トランジスタ21dがオン状態になると、電流が電源2→チョークコイル12→トランジスタ21a→コンデンサ21e→トランジスタ21d→チョークコイル13→電源2の経路に流れる。これにより、コンデンサ21eが蓄電される。
【0033】
交流入力電圧が負極性の期間では、トランジスタ21aがオフ状態、トランジスタ21bがオン状態、トランジスタ21cがオン状態、且つ、トランジスタ21dがオフ状態になると、電流が電源2→チョークコイル13→トランジスタ21c→コンデンサ21e→トランジスタ21b→チョークコイル12→電源2の経路に流れる。これにより、コンデンサ21eが蓄電される。
【0034】
DC/DCコンバータ22は、トランジスタ22aから22dまで及び22fから22iまでと、トランス22eと、を含む。トランジスタ22aから22dまで及び22fから22iまでは、制御装置6内のスイッチング制御部6aから入力されるスイッチング制御信号によって、スイッチング制御される。
【0035】
DC/DCコンバータ22は、フォワード型のコンバータとするが、本開示はこれに限定されない。DC/DCコンバータ22は、フライバック型のコンバータであっても良い。
【0036】
トランジスタ22aのソースは、トランジスタ22bのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ22cのソースは、トランジスタ22dのドレインに電気的に接続されている。
【0037】
トランジスタ22aのドレイン及びトランジスタ22cのドレインは、コンデンサ21eの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ22bのソース及びトランジスタ22dのソースは、コンデンサ21eの他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0038】
トランジスタ22aのドレインとトランジスタ22cのドレインとの接続点が、DC/DCコンバータ22の一方の入力端子である。トランジスタ22bのソースとトランジスタ22dのソースとの接続点が、DC/DCコンバータ22の他方の入力端子である。
【0039】
DC/DCコンバータ22の2つの入力端子には、コンデンサ21eの直流電圧が入力される。
【0040】
トランジスタ22aのソースとトランジスタ22bのドレインとの接続点は、トランス22eの1次巻線22e-1の一端に電気的に接続されている。トランジスタ22cのソースとトランジスタ22dのドレインとの接続点は、トランス22eの1次巻線22e-1の他端に電気的に接続されている。
【0041】
実施の形態では、DC/DCコンバータ22がフォワード型のコンバータであるので、トランス22eの1次巻線22e-1と、2次巻線22e-2とは、正極性に巻かれている。
【0042】
トランジスタ22fのソースは、トランジスタ22gのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ22hのソースは、トランジスタ22iのドレインに電気的に接続されている。
【0043】
トランジスタ22hのソース及びトランジスタ22iのドレインは、2次巻線22e-2の一端に電気的に接続されている。トランジスタ22fのソース及びトランジスタ22gのドレインは、2次巻線22e-2の他端に電気的に接続されている。
【0044】
トランジスタ22fのドレインとトランジスタ22hのドレインとの接続点が、DC/DCコンバータ22の一方の出力端子である。トランジスタ22gのソースとトランジスタ22iのソースとの接続点が、DC/DCコンバータ22の他方の出力端子である。
【0045】
トランジスタ22fのドレインとトランジスタ22hのドレインとの接続点は、コンデンサ14の一端(高電位端)に電気的に接続されている。トランジスタ22gのソースとトランジスタ22iのソースとの接続点は、コンデンサ14の他端(低電位端)に電気的に接続されている。
【0046】
コンデンサ14は、DC/DCコンバータ22の出力電圧を平滑化する。
【0047】
コンデンサ14の一端(高電位端)は、チョークコイル15を介して、負荷3の一端(高電位端)に電気的に接続されている。コンデンサ14の他端(低電位端)は、負荷3の他端(低電位端)に電気的に接続されている。
【0048】
制御装置6は、スイッチング制御部6aと、リレー制御部6bと、を含む。
【0049】
スイッチング制御部6aは、電源2が電源装置1に電気的に接続されている場合には、合計電流が許容電流以下になるように、双方向インバータ4をスイッチング制御する。また、スイッチング制御部6aは、合計電流の波形が正弦波形状になるように、双方向インバータ4を制御する。
【0050】
リレー制御部6bは、合計電流、または、コンセント5へ供給される電流が許容電流を超えたら、リレー16を遮断するように制御する。これにより、電源装置1は、過電流を抑制することができる。
【0051】
図3は、実施の形態のコンセントに接続される電気機器の一例の等価回路を示す図である。電気機器31は、コンデンサインプット型の機器の一例である。但し、電気機器31は、コンデンサインプット型の機器に限定されない。
【0052】
電気機器31は、整流回路31aと、抵抗31b及び31dと、コンデンサ31cと、を含む。
【0053】
整流回路31aは、コンセント5に電気的に接続され、コンセント5から供給される交流電力を直流電力に整流する。整流回路31aは、ブリッジダイオードが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0054】
抵抗31bの一端は、整流回路31aの高電位側の出力端子に電気的に接続されている。抵抗31bの他端は、コンデンサ31cの一端及び抵抗31dの一端に電気的に接続されている。コンデンサ31cの他端及び抵抗31dの他端は、整流回路31aの低電位側の出力端子に電気的に接続されている。
【0055】
以上説明したように、電源装置1は、特許文献1記載の充電器とは異なり、ノードN1及びN2とコンセント5との間に、交流変換回路を備える必要がない。従って、電源装置1は、特許文献1記載の充電器と比較して、回路素子数を抑制することができる。
【0056】
また、電源装置1は、合計電流、または、コンセント5へ供給される電流が許容電流以下になるように、双方向インバータ4を制御する。更に、電源装置1は、ノードN1及びN2とコンセント5との間に、リレー16を備える。そして、電源装置1は、合計電流が許容電流を超えたら、リレー16を遮断するように制御する。これにより、電源装置1は、過電流を抑制することができる。
【0057】
また、電源装置1は、合計電流の波形が正弦波形状になるように、双方向インバータ4を制御する。従って、合計電流の波形は正弦波形状になる。これにより、電源装置1は、力率を改善することができる。
【0058】
本発明の実施の形態を説明したが、実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 電源装置
2 電源
3 負荷
4 双方向インバータ
5 コンセント
6 制御装置
6a スイッチング制御部
6b リレー制御部
11 電流センサ
12、13、15 チョークコイル
14、21e、31c コンデンサ
16 リレー
21a、21b、21c、21d、22a、22b、22c、22d、22f、22g、22h、22i トランジスタ
22e トランス
31 電気機器
31a 整流回路
31b、31d 抵抗
図1
図2
図3