(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】シート搬送装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/59 20060101AFI20240116BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20240116BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240116BHJP
B65H 85/00 20060101ALI20240116BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240116BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240116BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240116BHJP
B41J 3/50 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H04B1/59
H04B5/02
G06K7/10 268
B65H85/00
G03G15/00 445
B41J29/00 E
B41J29/38
B41J3/50 101A
(21)【出願番号】P 2020011482
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩由
(72)【発明者】
【氏名】冨山 隆志
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-137784(JP,A)
【文献】特開2007-164477(JP,A)
【文献】特開2012-037676(JP,A)
【文献】特開2008-097293(JP,A)
【文献】国際公開第2006/016607(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/59
H04B 5/02
G06K 7/10
B65H 85/00
G03G 15/00
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが搬送される第1搬送路
と、
前記第1搬送路を通過した前記シートを迂回させて、再び前記第1搬送路に前記シートを戻す第2搬送路と、
前記第1搬送路を通過した前記シートを排出部に導く第3搬送路と、
前記第1搬送路に前記シートが位置する場合に、前記シートに設けられた無線タグに情報を書くことが可能
であり、前記第1搬送路よりも前記第2搬送路に近い位置に配置される一の無線タグ通信装置と、
前記無線タグに前記情報が書かれたか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記無線タグに前記情報が書かれなかったと判定された場合、前記シートの搬送先を
前記第2搬送路に切り替えることを決定し、前記判定部によって前記無線タグに前記情報が書かれたと判定された場合、前記シートの搬送先を
前記第3搬送路に切り替えることを決定する切替え制御部と、
前記シートが前記第2搬送路に位置する場合に、前記無線タグに前記情報を書くように、前記
一の無線タグ通信装置を制御する通信制御部と、
を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記無線タグに前記情報が前記第2搬送路で書かれたか否かを判定し、
前記通信制御部は、前記判定部によって前記第2搬送路で前記無線タグに前記情報が書かれなかったと判定された場合、前記シートの前記無線タグに、前記第1搬送路で前記情報を書くように、前記
一の無線タグ通信装置を制御する、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送路は、前記シート上に画像を形成するための搬送路であり、
前記第2搬送路は、裏面印刷を行う際に使用される搬送路である、
請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
シートが搬送される第1搬送路
と、
前記第1搬送路を通過した前記シートを迂回させて、再び前記第1搬送路に前記シートを戻す第2搬送路と、
前記第1搬送路を通過した前記シートを排出部に導く第3搬送路と、
前記第1搬送路に前記シートが位置する場合に、前記シートに設けられた無線タグに情報を書くことが可能
であり、前記第1搬送路よりも前記第2搬送路に近い位置に配置される一の無線タグ通信装置
と、
を備えるシート搬送装置のコンピュータに、
前記無線タグに前記情報が書かれたか否かを判定し、
前記無線タグに前記情報が書かれなかったと判定した場合、前記シートの搬送先を
前記第2搬送路に切り替えることを決定し
、前記無線タグに前記情報が書かれたと判定された場合、前記シートの搬送先を
前記第3搬送路に切り替えることを決定し、
前記シートが前記第2搬送路に位置する場合に、前記無線タグに前記情報を書くように、前記
一の無線タグ通信装置を制御する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シート搬送装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙カセットや手差しトレイに載置されたシートを搬送し、当該シートに画像を形成する画像形成装置が普及している。シートには、無線タグが設けられたものもある。シートの無線タグに情報を書くために、画像形成装置には、無線タグ通信装置を備えたシート搬送装置が具備される。
【0003】
シート搬送装置は、搬送中のシートの無線タグに情報を書く。このため、電波状況等によっては正常に無線タグに情報を書くことができないことがある。そこで、無線タグへの情報の書き込みに成功したシートと、失敗したシートとを別々に排出するようにすることが知られている。
【0004】
しかしながら、無線タグへの情報の書き込みに失敗すると、当該無線タグを設けたシートは、使用できなくなってしまう。このため、無線タグへの情報の書き込みの失敗が多いと、その分、使用できなくなるシートも増加してしまい、印刷物を効率よく生成できなくなってしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、印刷物を効率よく生成することができる、シート搬送装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のシート搬送装置は、第1搬送路と、第2搬送路と、第3搬送路と、無線タグ通信装置と、判定部と、切替え制御部と、通信制御部とを持つ。第1搬送路は、シートが搬送される搬送路である。第2搬送路は、前記第1搬送路を通過した前記シートを迂回させて、再び前記第1搬送路に前記シートを戻す搬送路である。第3搬送路は、前記第1搬送路を通過した前記シートを排出部に導く搬送路である。前記第1搬送路に前記シートが位置する場合に、前記シートに設けられた無線タグに情報を書くことが可能であり、前記第1搬送路よりも前記第2搬送路に近い位置に配置される一の装置である。判定部は、前記無線タグに前記情報が書かれたか否かを判定する。切替え制御部は、前記判定部によって前記無線タグに前記情報が書かれなかったと判定された場合、前記シートの搬送先を前記第2搬送路に切り替えることを決定し、前記判定部によって前記無線タグに前記情報が書かれたと判定された場合、前記シートの搬送先を前記第3搬送路に切り替えることを決定する。通信制御部は、前記シートが前記第2搬送路に位置する場合に、前記無線タグに前記情報を書くように、前記一の無線タグ通信装置を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の画像形成装置の構成の一例を示す説明図。
【
図2】両面印刷の場合のシートの動作の一例を示す説明図。
【
図3】本実施形態のシート搬送装置の機能的構成の一例を示すブロック図。
【
図4】画像形成装置が行う無線タグへの情報の書き込みに関する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態のシート搬送装置は、無線タグへの情報の書き込みに失敗したとしても、再度情報の書き込みを行うことができるため、印刷物を効率よく生成することが可能である。以下、実施形態のシート搬送装置を備えた画像形成装置について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。また、重複した構成の説明は省略する場合がある。
【0010】
先ず、
図1を用いて、実施形態の画像形成装置10の構成について説明する。
図1は、実施形態の画像形成装置10の構成の一例を示す説明図である。
【0011】
図1において、画像形成装置10は、コントロールパネル13、無線タグ通信装置201、及びプリンタ部18を有する。プリンタ部18は、画像形成制御部100、給紙カセット16a、16b等を備える。画像形成制御部100は、コントロールパネル13、無線タグ通信装置201、及びプリンタ部18を制御する。画像形成制御部100は、プリンタ部18におけるシートの搬送を制御する。シートの搬送の制御とは、シートの搬送タイミング、シートの停止位置、シートの搬送速度等を制御することである。
【0012】
コントロールパネル13は、入力キーと、表示部とを備える。例えば、入力キーは、ユーザによる入力を受け付ける。例えば、表示部は、タッチパネル式である。表示部は、ユーザによる入力を受け付け、ユーザへの表示を行う。例えば、コントロールパネル13は、画像形成装置10の動作に関する項目を設定可能に表示部に表示する。コントロールパネル13は、ユーザによって設定された項目を画像形成制御部100に通知する。
【0013】
給紙カセット16a、16bは、無線タグが設けられたシートを収納する。なお、給紙カセット16a、16bは、無線タグが設けられていないシートももちろん収納できる。以下の説明において、特に断らない限り、シートは、無線タグが設けられたシートとする。シートには、例えば、紙やプラスチックフィルム等の素材が用いられる。
【0014】
プリンタ部18は、画像を形成する動作を行う。例えば、プリンタ部18は、画像データが示す画像をシートに形成する。以下の説明では、シートに画像を形成することを「印刷」とも言う。なお、本実施形態において、プリンタ部18は、トナー像を定着させる装置であるが、これに限らず、インクジェット式の装置であってもよい。
【0015】
プリンタ部18は、中間転写ベルト21を備える。プリンタ部18は、従動ローラ41、及びバックアップローラ40等で中間転写ベルト21を支持する。プリンタ部18は、中間転写ベルト21を矢印m方向に回転させる。プリンタ部18は、4組の画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kを備える。各画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kは、各々Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)に対応する。画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kは、中間転写ベルト21の下側で、中間転写ベルト21の回転方向に沿って配置される。
【0016】
以下、各画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kのうち、Y(イエロー)の画像形成ステーション22Yを例に挙げて説明する。なお、画像形成ステーション22M、22C及び22Kについては、画像形成ステーション22Yと同様の構成を備えるため、詳細な説明を省略する。
【0017】
画像形成ステーション22Yは、帯電チャージャ26、露光走査ヘッド27、現像装置28及び感光体クリーナ29を備える。帯電チャージャ26、露光走査ヘッド27、現像装置28及び感光体クリーナ29は、矢印n方向に回転する感光体ドラム24の周囲に配置される。
【0018】
画像形成ステーション22Yは、1次転写ローラ30を備える。1次転写ローラ30は、中間転写ベルト21を介して感光体ドラム24と対向して配置される。
【0019】
帯電チャージャ26は、感光体ドラム24を一様に帯電させる。露光走査ヘッド27は、一様に帯電された感光体ドラム24を露光し、感光体ドラム24上に静電潜像を形成する。現像装置28は、トナーとキャリアとにより形成される二成分の現像剤を用い、感光体ドラム24上の静電潜像を現像する。
【0020】
1次転写ローラ30は、感光体ドラム24に形成されるトナー像を中間転写ベルト21に1次転写する。画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kのそれぞれの1次転写ローラ30が中間転写ベルト21上にトナー像を1次転写することにより、中間転写ベルト21上には、カラートナー像が形成される。カラートナー像は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)のトナー像を順次重ねて形成されたトナー像である。感光体クリーナ29は、感光体ドラム24に残留するトナーを1次転写後に除去する。
【0021】
プリンタ部18は、2次転写ローラ32を備える。2次転写ローラ32は、中間転写ベルト21を介してバックアップローラ40と対向して配置される。2次転写ローラ32は、シートに、中間転写ベルト21上のカラートナー像を一括して2次転写する。なお、以下の説明において「トナー像」という場合、カラートナー像と1色のみのトナー像のいずれであってもよいものとする。また、トナー像は、消色トナーを用いたトナー像であってもよい。
【0022】
搬送路33は、複数の搬送ローラ(例えば、搬送ローラ330等)によってシートが搬送される経路である。搬送路33は、第1搬送路33aと、第2搬送路33bと、第3搬送路33cとを含む。各搬送路33a、33b、33cは、搬送ローラを備える。第1搬送路33aは、合流部44aから分岐部44bまでの搬送路である。第2搬送路33bは、両面印刷装置38内を通過する搬送路であり、分岐部44bから合流部44aまでの、第1搬送路33aとは異なる搬送路である。第3搬送路33cは、分岐部44bから排紙トレイ20までの搬送路である。
【0023】
シートは、給紙カセット16a、給紙カセット16b、及び手差しトレイ16cのいずれかのシート載置部から取り出される。シート載置部から取り出されたシートは、停止している2本のレジストローラ31が接触している部分で一時停止される。このとき、シートの先端がレジストローラ31に突き当てられ、シートの傾きが修正される。
【0024】
画像形成制御部100は、回転する中間転写ベルト21のトナー像の位置に合せてレジストローラ31の回転を開始させてシートを2次転写ローラ32の位置に移動させる。中間転写ベルト21上に形成されたトナー像は、2次転写ローラ32によってシートに2次転写される。さらに、2次転写されたトナー像は、定着装置34によってシートに定着される。このようにして、画像形成制御部100の制御によって、シートに画像が形成される。画像形成制御部100は、定着装置34によってトナー像が定着されたシートを第3搬送路33cに搬送し、当該シートを排紙する。
【0025】
無線タグ通信装置201は、通信制御回路301(
図3参照)、記憶装置およびアンテナ302(
図3参照)を備える。本実施形態における無線タグは、例えばRFID(Radio Frequency Identifier)タグである。無線タグ通信装置201は、例えば、矢印k方向に電波を送信する。無線タグ通信装置201は、アンテナを介して、シートに設けられた無線タグと交信する。具体的には、無線タグ通信装置201は、無線タグから情報を読み、また、無線タグに情報を書く。
【0026】
無線タグに書く情報は、例えば、シートが物流等に用いられる場合は、内容物を示す情報、宛先を示す情報、シートに印刷される内容などを含む。本実施形態において、無線タグ通信装置201は、例えば、900MHz帯の電波方式(UHF)が用いられる。ただし、RFIDの方式および周波数帯は、これに限らず、他の方式および周波数帯を採用することも可能である。
【0027】
次に、両面印刷の場合のシートの動作について説明する。
図2は、両面印刷の場合のシートの動作の一例を示す説明図である。
【0028】
両面印刷の場合、給紙カセット16a、給紙カセット16b、および手差しトレイ16cのうちいずれかのシート載置部から取り出されたシート250は、第1搬送路33aに搬送される。具体的には、シート載置部から取り出されたシート250は、レジストローラ31によって傾きが修正される。そして、シート250は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像の位置に合せて2次転写ローラ32の位置に搬送される。さらに、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像は、2次転写ローラ32によってシート250の表面側に2次転写される。そして、シート250の表面側に2次転写されたトナー像は、定着装置34によって定着される。
【0029】
表面側に画像が形成されたシート250は、第3搬送路33cに進入する。そして、画像形成制御部100の制御により、シート250は、スイッチバックし、第2搬送路33bに搬送される。その後、シート250は、両面印刷装置38内の第2搬送路33bを経由して、合流部44aに搬送される。さらに、シート250は、レジストローラ31を経由して第1搬送路33aに搬送される。これにより、第2搬送路33bを経由したシート250は、裏面側が中間転写ベルト21側に向くように、第1搬送路33aに搬送されることになる。
【0030】
そして、シート250の裏面側には、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像が2次転写ローラ32によって2次転写される。さらに、シート250の裏面側に2次転写されたトナー像は、定着装置34によって定着される。そして、裏面側にトナー像が形成されたシート250は、第3搬送路33cを機湯して、排紙トレイ20に送出される。
【0031】
また、
図2において、交信エリア270は、無線タグ通信装置201がシートに設けられた無線タグと交信するエリアを示す。交信エリア270は、第1搬送路33aの一部、及び第2搬送路33bの一部を含む。
【0032】
次に、
図3を用いて、画像形成装置10が備えるシート搬送装置50について説明する。
図3は、本実施形態のシート搬送装置50の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
図3において、シート搬送装置50は、画像形成制御部100と、無線タグ通信装置201と、搬送路33とを備える。画像形成制御部100は、不図示の記憶装置に記憶されたシート搬送プログラムに従い、無線タグ通信装置201を制御する。画像形成制御部100が無線タグ通信装置201を制御する際の通信手段は、有線通信でもよいし、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)などの無線通信でもよい。
【0034】
画像形成制御部100は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現される。また、不図示の記憶装置は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等によって実現される。
【0035】
無線タグ通信装置201は、シート250が搬送される第1搬送路33aにシート250が位置する場合に、当該シート250に設けられた無線タグ251に情報を書くことが可能である。無線タグ通信装置201について、具体的に説明する。無線タグ通信装置201は、通信制御回路301を制御により、一定間隔(例えば、10msec間隔)で、交信エリア270(
図2参照)内のシート250に設けられた無線タグ251のIDを読む動作を行う。より具体的には、無線タグ通信装置201は、アンテナ302を用いて、一定間隔で信号(搬送波)を送信する。交信エリア270内に存在する無線タグ251は、無線タグ通信装置201からの信号を受信すると、電力を得て起動する。そして、無線タグ251は、予め書き込まれているIDデータを含む応答波を無線タグ通信装置201に送信する。これにより、無線タグ通信装置201は、無線タグ251からの応答波を受信して、IDデータを得る。
【0036】
また、無線タグ通信装置201は、画像形成制御部100と通信可能である。無線タグ通信装置201は、一定間隔で、シート250に設けられた無線タグ251から応答波を受信し、受信した応答波を画像形成制御部100に送信する。
【0037】
また、
図2に示すように、搬送路33は、第1搬送路33aと、第2搬送路33bとを備える。第1搬送路33aは、シート250上に画像を形成するための搬送路33であり、例えば、表面印刷を行うための搬送路33である。また、第2搬送路33bは、裏面印刷を行う際に使用される搬送路33である。
【0038】
ただし、本実施形態において、第2搬送路33bは、第1搬送路33aとは異なる経路であればよい。例えば、第2搬送路33bは、裏面印刷を行うための搬送路33に限らず、第2搬送路33bを通過した後のシート250を再び第1搬送路33aに戻す搬送路33であってもよい。具体的には、例えば、第2搬送路33bは、第1搬送路33aから一旦退避し、再度、第1搬送路33aに戻すような搬送路であってもよい。
【0039】
ここで、交信エリア270内にシート250が存在していたとしても、当該シート250に設けられた無線タグ251に対して情報の読み書きができない場合がある。これは、画像形成制御部100内部には、金属性の部品や誘電体が配置されていることから、電波状況が不安定になることがあるためである。また、シート250の種類や、無線タグ251の種類や、無線タグ251の配置される位置などによっても、交信が困難になることがあるためである。
【0040】
そこで、本実施形態に係る画像形成制御部100は、無線タグ251への書き込みに失敗したとしても、再度の書き込みを可能にしている。これについて、以下に、具体的に説明する。
【0041】
画像形成制御部100は、判定部101と、切替え制御部102と、通信制御部103とを備える。なお、各部101~103は、画像形成制御部100に具備されることに限らず、画像形成制御部100とは別の制御部(別のCPUやASIC等)に具備されていてもよい。
【0042】
判定部101は、無線タグ251に情報が書かれたか否かを判定する。例えば、判定部101は、無線タグ251に情報が第1搬送路33a上で書かれたか否かを判定する。具体的には、判定部101は、無線タグ通信装置201が無線タグ251への情報の書き込み処理を行った後に、無線タグ251から情報の書き込みに成功した旨を示す応答を受信したか否かを判定する。判定部101は、無線タグ通信装置201が書き込みに失敗した旨を示す応答を受信した場合や、無線タグ通信装置201が所定時間、無線タグ251から応答を受信しない場合に、無線タグ251に情報が書かれていないと(書き込みに失敗したと)判定する。
【0043】
なお、判定部101は、シート250が第1搬送路33a上にあるか否かについても判定する。例えば、判定部101は、給紙カセット16a、給紙カセット16b、及び手差しトレイ16cのいずれかのシート載置部からシート250が取り出されたタイミングに基づいて、シート250が第1搬送路33a上にあることを判定すればよい。
【0044】
切替え制御部102は、判定部101によって無線タグ251に情報が書かれなかったと判定された場合、シート250の搬送先を第2搬送路33bに切り替えることを決定する。具体的には、切替え制御部102は、判定部101によって無線タグ251に情報が第1搬送路33a上で書かれなかったと判定された場合、すなわち、無線タグ251への情報の書き込みに失敗した場合、シート250の搬送路33を第2搬送路33bに切り替える。より具体的には、切替え制御部102は、無線タグ251への情報の書き込みに失敗した場合、第2搬送路33bおよび第3搬送路33cの搬送ローラや分岐部44bを制御して、両面印刷装置38(第2搬送路33b)に搬送経路を切り替える。
【0045】
一方で、切替え制御部102は、判定部101によって無線タグ251に情報が書かれたと判定された場合、シート250の搬送先を第3搬送路33cに切り替えることを決定する。具体的には、切替え制御部102は、判定部101によって無線タグ251に情報が第1搬送路33a上で書かれたと判定された場合、すなわち、第1搬送路33a上での無線タグ251への書き込みに成功した場合、シート250の搬送路33を第3搬送路33cに切り替え。この場合、シート250は、第3搬送路33cを経由して、排紙トレイ20に排出される。
【0046】
通信制御部103は、シートが第2搬送路33bに位置する場合に、無線タグ251に情報を書くように、無線タグ通信装置201を制御する。すなわち、通信制御部103は、無線タグ通信装置201を制御して、2度目の書き込みを行わせる。無線タグ通信装置201は、通信制御部103の制御に応じて、第2搬送路33b上のシートに設けられた無線タグ251への情報の書き込みを行う。
【0047】
なお、通信制御部103は、無線タグ251が設けられたシート250が第2搬送路33b上に移動したか否かを判別する。具体的には、通信制御部103は、例えば、スイッチバックさせるための搬送路33を切り替えるタイミングに基づいて、無線タグ251が設けられたシート250が第2搬送路33b上に移動したことを判別すればよい。
【0048】
ここで、第2搬送路33bは、第1搬送路33aよりも無線タグ通信装置201に近い位置に配置された搬送路33である。すなわち、第2搬送路33bは、第1搬送路33aよりも、無線タグ通信装置201との交信状態が良好な搬送路33である。このため、第1搬送路33a上での書き込み(1度目の書き込み)よりも、第2搬送路33b上での書き込み(2度目の書き込み)の精度を向上させることができる。
【0049】
(3度目の書き込みについて)
判定部101は、第1搬送路33a上での情報の書き込みに失敗した場合、無線タグ251に情報が第2搬送路33b上で書かれたか否かを判定する。通信制御部103は、判定部101によって無線タグ251に情報が第2搬送路33b上で書かれなかったと判定された場合、すなわち、2度目の書き込みに失敗した場合、当該シート250の無線タグ251に、第1搬送路33a上で情報を書くように、無線タグ通信装置201を制御する。すなわち、通信制御部103は、無線タグ通信装置201を制御して、3度目の書き込みを行わせる。
【0050】
(3度目の書き込みに失敗した場合について)
3度目の書き込みにも失敗した場合、画像形成制御部100は、無線タグ251に異常がある旨の報知を行う。この報知は、例えば、当該無線タグ251が設けられたシート250への印刷による報知である。ただし、この報知は、画像形成装置10が備える表示部への表示による報知としてもよいし、パソコン等の他の装置の表示部への表示による報知としてもよい。また、3度目の書き込みにも失敗した場合、画像形成制御部100は、当該シート250を、書き込みに成功した他のシート250が排出される排紙トレイ20とは異なる排紙トレイ20に排出するようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態において、画像形成装置10は、3度目の書き込みにも失敗した場合に、当該シート250を排紙トレイ20に排出するが、これに限らない。例えば、3度目の書き込みにも失敗した場合に、4度目および5度目の書き込みを行うようにしてもよい。具体的には、無線タグ251への3度目の書き込みに失敗した場合、切替え制御部102は、当該シート250の搬送路33を第2搬送路33bに切り替えるようにすればよい。
【0052】
また、この場合、通信制御部103は、第2搬送路33b上で、無線タグ251に4度目の書き込みを行うように、無線タグ通信装置201を制御すればよい。さらに、通信制御部103は、4度目の書き込みに失敗した場合、第1搬送路33a上で、無線タグ251に5度目の書き込みを行うように制御すればよい。
【0053】
また、書き込みに失敗した場合に、再度の書き込みを行う回数(リトライ回数)は、ユーザの設定に応じた回数としてもよい。また、本実施形態では、1回目の書き込みに失敗すると、書き込みのリトライを行ったシート250を、第2搬送路33b(裏面印刷用の経路)を経由させる。そして、第2搬送路33bを経由させたシート250は、そのまま排紙トレイ20に排出されると、他のシート250とは表裏が逆になって排出されることになる。
【0054】
このため、書き込みのリトライを行ったシート250については、再び第2搬送路33bを経由させてもよい。これにより、書き込みのリトライを行ったシート250を、他のシート250と表裏を合わせて排紙トレイ20に排出することが可能になる。
【0055】
(画像形成装置10が行う無線タグ251への情報の書き込みに関する処理)
次に、
図4を用いて、画像形成装置10(シート搬送装置50)が行う無線タグ251への書き込みに関する処理の一例について説明する。
図4は、画像形成装置10が行う無線タグ251への情報の書き込みに関する処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図4において、画像形成装置10は、印刷開始になったか否かを判定する(ACT401)。ここで言う印刷は、例えば、シート250一枚の印刷である。画像形成装置10は、印刷開始になるまで待機する(ACT401:NO)。画像形成装置10は、印刷開始になると(ACT401:YES)、無線タグ251を検出したか否かを判定する(ACT402)。なお、画像形成制御部100は、印刷の開始とともに、無線タグ通信装置201を制御して、一定間隔で信号(搬送波)の送信を開始させるとともに、無線タグ251からの応答波の受信を開始させる。
【0057】
また、ACT402における、無線タグ251の検出は、第1搬送路33a上のシート250に設けられた無線タグ251から無線タグ通信装置201が応答波を受信することである。画像形成装置10は、無線タグ通信装置201が無線タグ251を検出しない場合、待機する(ACT402:NO)。一方、画像形成装置10は、無線タグ通信装置201が無線タグ251を検出した場合(ACT402:YES)、無線タグ通信装置201を制御して、第1搬送路33aに位置するシート250に設けられた無線タグ251へ情報の書き込みを行う(ACT403)。
【0058】
そして、画像形成装置10は、無線タグ251からの応答があるか否かを判定する(ACT404)。無線タグ251からの応答がない場合(ACT404:NO)、画像形成装置10は、所定時間が経過したか否かを判定する(ACT405)。なお、ACT405における所定時間は、数秒程度である。また、ACT405における所定時間の計測開始タイミングは、ACT403における無線タグ251への書き込み処理を行ったタイミングとしてもよいし、ACT401における印刷開始のタイミングとしてもよい。
【0059】
所定時間が経過していない場合(ACT405:NO)、画像形成装置10は、ACT404に戻る。所定時間が経過した場合(ACT405:YES)、画像形成装置10は、ACT407に進む。また、ACT404において、無線タグ251からの応答がある場合(ACT404:YES)、画像形成装置10は、当該応答が書き込み成功を示す応答であるか否かを判定する(ACT406)。当該応答が書き込み成功を示す応答である場合(ACT406:YES)、画像形成装置10は、ACT415に進む。
【0060】
当該応答が書き込み成功を示す応答ではない場合(ACT406:NO)、すなわち、応答が書き込み失敗を示す応答である場合、画像形成装置10は、搬送路33の切り替え済みであるか否かを判定する(ACT407)。搬送路33の切り替え済みではない場合(ACT407:NO)、すなわち、1度目の書き込みに失敗した場合、搬送路33の切り替えを行う(ACT408)。より具体的には、画像形成装置10は、シート250をスイッチバックさせて、第2搬送路33bを経由するように搬送路33の切り替えを行う。
【0061】
そして、画像形成装置10は、無線タグ251を検出したか否かを判定する(ACT408)。ACT408における、無線タグ251の検出は、第2搬送路33b上のシート250に設けられた無線タグ251から無線タグ通信装置201が応答波を受信することである。
【0062】
画像形成装置10は、無線タグ通信装置201が無線タグ251を検出しない場合、待機する(ACT409:NO)。一方、画像形成装置10は、無線タグ通信装置201が無線タグ251を検出した場合(ACT409:YES)、無線タグ通信装置201を制御して、第2搬送路33bに位置するシート250に設けられた無線タグ251へ情報の書き込み(2度目の書き込み)を行う(ACT410)。
【0063】
そして、画像形成装置10は、無線タグ251からの応答があるか否かを判定する(ACT411)。ACT411において、無線タグ251からの応答がない場合(ACT411:NO)、画像形成装置10は、所定時間が経過したか否かを判定する(ACT412)。なお、ACT412における所定時間は、数秒程度である。また、ACT412における所定時間の計測開始タイミングは、ACT410における無線タグ251への書き込み処理を行ったタイミングとしてもよいし、ACT401における印刷開始のタイミングとしてもよい。
【0064】
所定時間が経過していない場合(ACT412:NO)、画像形成装置10は、ACT411に戻る。所定時間が経過した場合(ACT412:YES)、画像形成装置10は、ACT402に戻る。なお、ACT402に戻った後、再びACT403における書き込みが行われるが、この場合の書き込みは、3度目の書き込みとなる。
【0065】
ACT411において、無線タグ251からの応答がある場合(ACT411:YES)、画像形成装置10は、応答が書き込み成功を示す応答であるか否かを判定する(ACT413)。応答が書き込み成功を示す応答である場合(ACT413:YES)、画像形成装置10は、ACT415に進む。
【0066】
応答が書き込み成功を示す応答ではない場合(ACT413:NO)、すなわち、応答が書き込み失敗を示す応答である場合、画像形成装置10は、ACT402に戻る。なお、ACT402に戻った後、再びACT403における書き込みが行われるが、この場合の書き込みは、3度目の書き込みとなる。
【0067】
ACT407において、搬送路33の切り替え済みである場合(ACT407:NO)、すなわち、3度の書き込みに失敗した場合、書き込み不能な旨を報知する(ACT414)。この報知は、例えば、当該無線タグ251が設けられたシート250への印刷による報知である。そして、画像形成装置10は、シート250を、シート250の搬送先を第3搬送路33cに切り替え、第3搬送路33cを経由させて排紙トレイ20から排出し(ACT415)、一連の処理を終了する。
【0068】
以上述べた実施形態によれば、第1搬送路33a上で無線タグ251に情報が書かれなかった場合、シート250の搬送路33を第2搬送路33bに切り替え、第2搬送路33b上で、無線タグ251に情報を書くようにした。すなわち、無線タグ251への情報の書き込みに失敗したとしても、再度情報の書き込みを行うようにした。これにより、無線タグ251への書き込みの失敗によって使用できなくなるシート250の発生を抑えることができる。したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、印刷物を効率よく生成することができる。
【0069】
また、本実施形態において、画像形成装置10は、第2搬送路33b上で無線タグ251に情報が書かれなかった場合、当該シート250を第1搬送路33aに戻し、第1搬送路33a上で無線タグ251に情報を書くようにした。すなわち、2度目の書き込みに失敗した場合、3度目の書き込みを行うようにした。これにより、無線タグ251への書き込みの失敗により使用できなくなるシート250の発生をより抑えることができる。したがって、印刷物をより効率よく生成することができる。
【0070】
また、本実施形態において、第1搬送路33aを、表面印刷を行うための搬送路33とし、第2搬送路33bを、裏面印刷を行うための搬送路33とした。これにより、無線タグ251に対して情報を読み書きするための搬送路を別途設けることなく、既存の搬送路33を用いて無線タグ251に対して情報を読み書きすることができる。また、搬送ローラを逆回転させて用紙の位置に戻す機能(いわゆるバックフィードの機能)を備えていなくても、裏面印刷を行うための第2搬送路33bを用いて、無線タグ251に対して情報を読み書きすることができる。
【0071】
また、本実施形態において、第2搬送路33bを、第1搬送路33aよりも無線タグ通信装置201に近い位置に配置された搬送路33とした。これにより、第2搬送路33bにおける無線タグ251との交信距離を短くすることができる。したがって、第1搬送路33a上での書き込み(1度目の書き込み)よりも、第2搬送路33b上での書き込み(2度目の書き込み)の精度を向上させることができる。このため、無線タグ251への書き込みの失敗により使用できなくなるシートの発生をより抑えることができる。
【0072】
上述した実施形態におけるシート搬送装置50の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
10…画像形成装置、33…搬送路、33a…第1搬送路、33b…第2搬送路、100…画像形成制御部、101…判定部、102…切替え制御部、103…通信制御部、201…無線タグ通信装置、250…シート、251…無線タグ