(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】無線タグ通信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/59 20060101AFI20240116BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20240116BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H04B1/59
H04B5/02
G06K7/10 264
(21)【出願番号】P 2020011483
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 靖二
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-070186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0171753(US,A1)
【文献】特開2014-026518(JP,A)
【文献】特開2010-152490(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188653(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/59
H04B 5/02
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに設けられた無線タグから、無線タグのシートにおける位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記位置情報から、当該位置情報が取得された前記無線タグの位置を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記無線タグの位置に対応する情報を前記無線タグに書き込む書き込み部と、
を備え
、
前記取得部は、前記無線タグのIDを前記位置情報として取得し、
前記特定部は、前記IDを数値とみなし、前記シートに設けられた前記無線タグの個数で前記IDを除算した場合の剰余によって前記無線タグの位置を特定する無線タグ通信装置。
【請求項2】
シートに設けられた無線タグから、無線タグのシートにおける位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記位置情報から、当該位置情報が取得された前記無線タグの位置を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記無線タグの位置に対応する情報を前記無線タグに書き込む書き込み部と、
を備え
、
前記取得部は、前記無線タグのIDを前記位置情報として取得し、
前記特定部は、前記IDを数値とみなし、前記IDに応じた数値の大小関係で前記無線タグの位置を特定する無線タグ通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグが設けられたシートに画像を形成可能な画像形成装置がある。このような画像形成装置は、無線タグに情報を書く無線タグ通信装置が設けられている。無線タグ通信装置は、載置部から搬送されたシートに設けられた無線タグに情報を書き込む。
【0003】
無線タグ通信装置は、シートに設けられた無線タグの位置に応じて、無線タグに情報を書くことがある。無線タグの位置が不明な場合は、無線タグ通信装置は、情報を書くことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、シートに設けられた無線タグの位置に応じて無線タグに情報を書くことが可能な無線タグ通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の無線タグ通信装置は、取得部と、特定部と、書き込み部とを持つ。取得部は、シートに設けられた無線タグから、無線タグのシートにおける位置を示す位置情報を取得する。特定部は、前記取得部によって取得された前記位置情報から、当該位置情報が取得された前記無線タグの位置を特定する。書き込み部は、前記特定部により特定された前記無線タグの位置に対応する情報を前記無線タグに書き込む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態の画像形成装置及び無線タグ通信装置の機能ブロック図。
【
図3】画像形成装置においてシートが存在可能な位置の例を示す図。
【
図4】シートに設けられた無線タグの位置の一例を示す図。
【
図5】シートに設けられた無線タグの位置の一例を示す図。
【
図6】上部タグID、中部タグID、及び下部タグIDの一例を示す図。
【
図8】上部タグID、中部タグID、及び下部タグIDの一例を示す図。
【
図10】上部タグID、中部タグID、及び下部タグIDの一例を示す図。
【
図12】右上部ID、右中部ID、右下部ID、左上部ID、左中部ID、及び左下部IDの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の無線タグ通信装置、及び無線タグ付きシートを、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。また、重複した構成の説明は省略する場合がある。
【0009】
図1を用いて、実施形態の画像形成装置の側面図を説明する。
【0010】
図1において、画像形成装置10は、コントロールパネル13、無線タグ通信装置201、及びプリンタ部18を有する。プリンタ部18は、制御部100、給紙カセット16a、16b等を備える。制御部100は、コントロールパネル13、無線タグ通信装置201、及びプリンタ部18を制御する。制御部100は、プリンタ部18におけるシートの搬送を制御する。シートの搬送の制御とは、シートの搬送タイミング、シートの停止位置、シートの搬送速度等を制御することである。
【0011】
コントロールパネル13は、入力キーと、表示部とを備える。例えば、入力キーは、ユーザによる入力を受け付ける。例えば、表示部は、タッチパネル式である。表示部は、ユーザによる入力を受け付け、ユーザへの表示を行う。例えば、コントロールパネル13は、画像形成装置10の動作に関する項目を設定可能に表示部に表示する。コントロールパネル13は、ユーザによって設定された項目を制御部100に通知する。
【0012】
給紙カセット16a、16bは、無線タグが設けられた無線タグ付きシートを収納する。なお、給紙カセット16a、16bは、無線タグが設けられていないシートももちろん収納できる。以下の説明において、特に断らない限り、シートは無線タグ付きシートとする。シートには、例えば紙、プラスチックフィルム等の素材が用いられる。
【0013】
プリンタ部18は、画像形成動作を行う。例えば、プリンタ部18は、画像データが示す画像をシートに形成する。以下の説明では、シートに画像を形成することを印刷とも表現する。プリンタ部18は、中間転写ベルト21を備える。プリンタ部18は、従動ローラ41、及びバックアップローラ40等で中間転写ベルト21を支持する。プリンタ部18は、中間転写ベルト21を矢印m方向に回転する。
【0014】
プリンタ部18は、4組の画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kを備える。各画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kは、各々Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)の画像形成用とされる。画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kは、中間転写ベルト21の下側で、中間転写ベルト21の回転方向に沿って配置される。
【0015】
以下、各画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kのうち、Y(イエロー)の画像形成ステーション22Yを例に挙げて説明する。なお、画像形成ステーション22M、22C及び22Kについては、画像形成ステーション22Yと同様の構成を備えるため、詳細な説明を省略する。
【0016】
画像形成ステーション22Yは、帯電チャージャ26、露光走査ヘッド27、現像装置28及び感光体クリーナ29を備える。帯電チャージャ26、露光走査ヘッド27、現像装置28及び感光体クリーナ29は、矢印n方向に回転する感光体ドラム24の周囲に配置される。
【0017】
画像形成ステーション22Yは、1次転写ローラ30を備える。1次転写ローラ30は、中間転写ベルト21を介して感光体ドラム24と対向する。
【0018】
画像形成ステーション22Yは、感光体ドラム24を帯電チャージャ26で帯電後、露光走査ヘッド27によって露光する。画像形成ステーション22Yは、感光体ドラム24上に静電潜像を形成する。現像装置28は、トナーとキャリアとにより形成される二成分の現像剤を用い、感光体ドラム24上の静電潜像を現像する。
【0019】
1次転写ローラ30は、感光体ドラム24に形成されるトナー像を中間転写ベルト21に1次転写する。画像形成ステーション22Y、22M、22C及び22Kは、1次転写ローラ30によって、中間転写ベルト21上にカラートナー像を形成する。カラートナー像は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)のトナー像を順次重ねて形成される。感光体クリーナ29は、感光体ドラム24に残留するトナーを1次転写後に除去する。
【0020】
プリンタ部18は、2次転写ローラ32を備える。2次転写ローラ32は、中間転写ベルト21を介してバックアップローラ40と対向する。2次転写ローラ32は、シートに、中間転写ベルト21上のカラートナー像を一括して2次転写する。なお、以下の説明において「トナー像」という場合、カラートナー像と1色のみのトナー像のいずれであってもよいものとする。トナー像は、消色トナーを用いたトナー像であってもよい。
【0021】
搬送路33aは、合流部44aから分岐部44bまでの搬送路である。搬送路33aは、搬送部の一例である。搬送路33bは、両面印刷装置38内を通過する搬送路であり、分岐部44bから合流部44aまでの搬送路である。搬送路33cは、分岐部44bから排紙トレイ20までの搬送路である。
【0022】
給紙カセット16a、給紙カセット16b、または手差しトレイ16cから取り出されたシートの先端は、停止している2本のレジストローラ31が接触している部分に突き当てられる。レジストローラ31に突き当てられたシートはシートの傾きが修正される。制御部100は、回転する中間転写ベルト21のトナー像の位置に合わせてレジストローラ31の回転を開始してシートを2次転写ローラ32の位置に移動させる。制御部100は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を2次転写ローラ32によってシートに2次転写する。制御部100は、シートを搬送路33aに搬送し、定着装置34によってトナー像をシートに定着することで画像を形成する。制御部100は、画像が形成されたシートを搬送路33cに搬送することで、シートを排紙する。
【0023】
両面印刷の場合、制御部100は、表面に画像が形成されたシートを、搬送路33cに搬送する。制御部100は、シート全体が分岐部44bを通過したのち、スイッチバックして搬送路33bにシートを搬送する。その後、制御部100は、シートを両面印刷装置38内の搬送路を経由して合流部44aに搬送し、レジストローラ31を経由して搬送路33aに搬送する。そして制御部100は、定着装置34によってトナー像を定着することでシートの裏面に画像を形成する。制御部100は、裏面に画像が形成されたシートを搬送路33cに搬送することで、シートを排紙する。
【0024】
無線タグ通信装置201は、制御部100と通信可能である。無線タグ通信装置201は、シートの無線タグと通信することで、無線タグから情報を取得したり、無線タグに情報を書く。本実施形態における無線タグは、例えばRFID(Radio Frequency Identifier)タグである。無線タグ通信装置201は、矢印k方向に電波を送信する。電波を受信した無線タグは、無線タグ通信装置201に対して電波を返信する。無線タグ通信装置201は、各シートに設けられた無線タグから電波を受信する。
【0025】
プリンタ部18において形成される画像は、2次転写ローラ32において2次転写される前に、露光走査ヘッド27から感光体ドラム24上に静電潜像が形成される。感光体ドラム24上に形成された静電潜像は、トナー像として中間転写ベルト21に1次転写される。さらに、中間転写ベルト21に1次転写されたトナー像は、レジストローラ31の位置に搬送された無線タグシートに2次転写される。
【0026】
次に、
図2を用いて、実施形態の画像形成装置の機能ブロック図を説明する。
【0027】
図2において、画像形成装置10は、制御部100、コントロールパネル13、プリンタ部18、及び無線タグ通信装置201を有する。
【0028】
制御部100は、演算装置51及び記憶装置52を備える。演算装置51は、記憶装置52に記憶された画像処理プログラムに従い、コントロールパネル13、プリンタ部18、及び無線タグ通信装置201を制御する。
【0029】
演算装置51は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。記憶装置52は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。データ受信部53は、PC(Personal Computer)などのホストから、印刷する画像を示す印刷データ(例えば、ページ記述言語で記述されたデータ等)を受信し、受信した印刷データを記憶装置52に記憶する。画像データ展開部54は、データ受信部53によって記憶装置52に記憶された印刷データから印刷条件を決定したりすることで、プリンタ部18が印刷可能なデータ(例えば、ラスタデータ等)に展開して、記憶装置52に記憶する。
【0030】
プリンタ部18は、定着装置34、2次転写ローラ32、及び現像装置28を含む。プリンタ部18は、画像データ展開部54によって記憶装置52に記憶されたデータに基づきシートに画像を形成する。
【0031】
無線タグ通信装置201は、演算装置210、記憶装置211、及び通信装置212を備える。演算装置210は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。記憶装置211は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等である。記憶装置211は、無線タグを識別するIDを記憶する。通信装置212は、無線タグから情報を取得したり、無線タグに情報を書く。
【0032】
次に、シートに設けられた無線タグの位置に対応する情報(データ)を無線タグに書く制御について説明する。
図3は、画像形成装置10におけるシートの位置の例を示す図である。
図3において、シートS1は、給紙カセット16aに載置されたシートを示す。シートS2は、排紙トレイ20に載置されたシートを示す。シートS3は、手差しトレイ16cに載置されたシートを示す。
【0033】
シートS0は、搬送路33aを搬送中のシートを示す。本実施形態において、無線タグに情報を書く対象となっているシート(以下、「対象シート」とも表現する)は、搬送路33aを搬送中のシートである。
【0034】
図3に示される状態で、無線タグ通信装置201が矢印k方向に電波を送信する。電波を受信した無線タグは、無線タグ通信装置201に対して電波を返信する。無線タグ通信装置201は、対象シートに設けられた無線タグから電波を受信する。
【0035】
図4、
図5は、シートに設けられた無線タグの位置の一例を示す図である。
図4、
図5のいずれもシートSの上方向が搬送方向である。
図4に示されるシートは、シートの上部、中部、下部の3カ所に無線タグが設けられている。上部に設けられた無線タグを上部タグと表現し、そのIDを上部タグIDと表現する。中部に設けられた無線タグを中部タグと表現し、そのIDを中部タグIDと表現する。下部に設けられた無線タグを下部タグと表現し、そのIDを下部タグIDと表現する。
【0036】
図5に示されるシートは、シートの右上部、右中部、右下部、左上部、左中部、左下部の6カ所に無線タグが設けられている。右上部に設けられた無線タグを右上部タグと表現し、そのIDを右上部タグIDと表現する。右中部に設けられた無線タグを右中部タグと表現し、そのIDを右中部タグIDと表現する。右下部に設けられた無線タグを右下部タグと表現し、そのIDを右下部タグIDと表現する。左上部に設けられた無線タグを左上部タグと表現し、そのIDを左上部タグIDと表現する。左中部に設けられた無線タグを左中部タグと表現し、そのIDを左中部タグIDと表現する。左下部に設けられた無線タグを左下部タグと表現し、そのIDを左下部タグIDと表現する。
【0037】
以下、上部タグ、中部タグ、下部タグ、右上部、右中部、右下部、左上部、左中部、左下部のそれぞれを特に区別しない場合には、単に無線タグと表現する。上部タグID、中部タグID、下部タグID、右上部ID、右中部ID、右下部ID、左上部ID、左中部ID、左下部IDのそれぞれを特に区別しない場合には、単にIDと表現する。
【0038】
無線タグは、IDを記憶する記憶部を備えている。無線タグは、記憶部に記憶されたIDを無線タグ通信装置201などの他装置に提供可能である。無線タグ通信装置201が矢印k方向(
図3参照)に電波を送信した場合、
図4、
図5に示されるいずれのシートSにおいても、シートSに設けられた複数の無線タグが応答する可能性がある。すなわち、複数の無線タグがIDを提供し、無線タグ通信装置201は複数の無線タグのIDを取得する可能性がある。
【0039】
本実施形態のシートSに設けられた無線タグに記憶されたIDは、シートSにおける位置を示す位置情報を含む。位置情報は、所定の規則に沿っている。無線タグ通信装置201が無線タグのIDを位置情報として取得する。位置情報は所定の規則に沿っているため、無線タグ通信装置201は、無線タグの位置情報を取得でき、無線タグの位置を特定できる。
【0040】
これにより、無線タグ通信装置201は、仮に複数の無線タグのIDを取得したとしても、シートに設けられた無線タグの位置に応じて無線タグに情報を書くことが可能となる。例えば、
図4のシートSの場合には、無線タグ通信装置201は、上部タグに上部タグに書くデータ(「上部用データ」とも表現する)を書く。無線タグ通信装置201は、中部タグに中部タグに書くデータ(「中部用データ」とも表現する)を書く。無線タグ通信装置201は、下部タグに下部タグに書くデータ(「下部用データ」とも表現する)を書く。
【0041】
次に、位置情報等について具体的に説明する。本実施形態には、位置情報として取得したIDを、数値とみなす制御と、ビット列とみなす制御とがある。まず、IDを数値とみなす1つめの制御(以下、「第1制御」とする)について説明する。第1制御は、シートSに設けられた無線タグの個数でIDを除算した場合の剰余によって無線タグの位置を特定する制御である。
【0042】
第1制御の説明では、一例として
図4に示したシートSを用いる。
図4に示したシートSには、3つの無線タグが設けられている。そのため、第1制御では、3でIDを除算した場合の剰余によって無線タグの位置を特定する。
【0043】
図6は、上部タグID、中部タグID、及び下部タグIDの一例を示す図である。この
図6のタグIDに限らず、これから説明されるいずれのタグIDも、1桁は4ビットを示す。したがって、1桁は0~F(16進数)のいずれかの値をとり得る。また、いずれのタグIDも24桁で構成される。したがって、タグIDは12バイトのデータである。
【0044】
図6に示されるIDを数値とみなした場合、上部タグIDは数値として0である。中部タグIDは1である。下部タグIDは2である。このように、上部に設けられた無線タグのIDを3でIDを除算した場合の剰余は0となっている。中部に設けられた無線タグのIDを3でIDを除算した場合の剰余は1となっている。下部に設けられた無線タグのIDを3でIDを除算した場合の剰余は2となっている。
【0045】
無線タグ通信装置201は、IDの剰余が0の無線タグは、上部タグと判定し、上部用データを書く。無線タグ通信装置201は、IDの剰余が1の無線タグは、中部タグと判定し、中部用データを書く。無線タグ通信装置201は、IDの剰余が2の無線タグは、下部タグと判定し、下部用データを書く。
【0046】
複数のシートにデータを書く場合には、次に情報を書くシートに設けられた無線タグの上部タグIDを3とし、中部タグIDを4とし、下部タグIDを5とすることで、それぞれの剰余は0、1、2となる。さらに次の次に情報を書くシートに設けられた無線タグの上部タグIDを6とし、中部タグIDを7とし、下部タグIDを8とすることで、それぞれの剰余は0、1、2となる。以下同様にIDが割り当てられることで、複数のシートにおいて、全てのIDを異ならせたままで、無線タグ通信装置201が位置情報を特定可能となる。
【0047】
このように、IDを1枚のシートに設けられた個数で除算した場合の剰余を、設けられた位置に応じて定めておくことで、無線タグ通信装置201は、無線タグを特定することが可能となる。これにより、無線タグ通信装置201は、シートに設けられた無線タグの位置に応じて無線タグにデータを書くことが可能となる。
【0048】
図7は、無線タグ通信装置201による第1制御の流れを示すフローチャートである。
図7に示される処理は、制御部100からの指示により開始される。また、このフローチャートでは、3回にわたりIDを取得する場合の流れを示している。無線タグ通信装置201は、IDを取得する(ACT101)。無線タグ通信装置201は、取得したIDを3で除算した場合の剰余が0か否かを判定する(ACT102)。なお、「%」は剰余演算子である。剰余が0の場合には(ACT102:YES)、上部タグに上部用データを書き(ACT103)、処理を終了する。
【0049】
ACT102において、剰余が0ではない場合には(ACT102:NO)、無線タグ通信装置201は、取得したIDを3で除算した場合の剰余が1か否かを判定する(ACT104)。剰余が1の場合には(ACT104:YES)、中部タグに中部用データを書き(ACT105)、処理を終了する。
【0050】
ACT104において、剰余が1ではない場合には(ACT104:NO)、無線タグ通信装置201は、取得したIDを3で除算した場合の剰余が2か否かを判定する(ACT106)。剰余が2の場合には(ACT106:YES)、下部タグに下部用データを書き(ACT107)、処理を終了する。
【0051】
ACT106において、剰余が2ではない場合には(ACT106:NO)、無線タグ通信装置201は、何もせずに処理を終了する。なお、3で除算したときの剰余は、一般的には0~2となるが、割られる数(ID)が負数の場合、剰余を負数とするシステムもある。例えば、-13=3×(-4)-1=3×(-5)+2を例にすると、後者の「+2」が一般的な剰余であるが、「-1」を剰余とするシステムもある。この場合、取得したIDに異常がある可能性も否定できないため、何もせずに処理を終了させている。
【0052】
以上説明した第1制御では、ID全体を数値とみなしていたが、これに限るものではない。例えば、IDの下位5桁目から下位8桁目までの4桁のみ取り出して、その4桁を数値とみなしてもよい。
【0053】
図7に示したフローチャートでは、ACT101において、同じIDを複数回取得することがあり得る。既にデータが書き終わった無線タグのIDが取得された場合には、無線タグ通信装置201は再度書き込みを行わずに処理を終了する。複数の無線タグからIDが取得された場合には、無線タグ通信装置201は、書き込みをしていない無線タグにデータを書く。
【0054】
次に、IDを数値とみなす2つめの制御(以下、「第2制御」とする)について説明する。第2制御は、IDの大小関係で無線タグの位置を特定する制御である。
【0055】
第2制御の説明では、一例として
図4に示したシートSを用いる。
図4に示したシートSには、3つの無線タグが設けられている。そこで、第2制御では、3つの無線タグの全てからIDを取得することによって無線タグの位置を特定する。
【0056】
図8は、上部タグID、中部タグID、及び下部タグIDの一例を示す図である。
図8に示されるIDを数値とみなした場合、上部タグIDはFF0である。中部タグIDはFFF0000である。下部タグIDは100000000000である。よって、大小関係は、上部タグID<中部タグID<下部タグIDである。
【0057】
無線タグ通信装置201は、IDが最小の無線タグは、上部タグと判定する。無線タグ通信装置201は、IDが2番目に小さい無線タグは、中部タグと判定する。無線タグ通信装置201は、IDが最大の無線タグは、下部タグと判定する。複数のシートにデータを書く場合には、次にデータを書くシートに設けられた無線タグを、上部タグID<中部タグID<下部タグIDを満たすようにする。これにより、複数のシートにおいて、全てのIDを異ならせたままで、無線タグ通信装置201が位置情報を特定可能となる。
【0058】
このように、IDを1枚のシートに設けられた無線タグのIDの大小関係を、無線タグが設けられた位置に応じて定めておくことで、無線タグ通信装置201は、無線タグを特定することが可能となる。これにより、無線タグ通信装置201は、シートに設けられた無線タグの位置に応じて無線タグにデータを書くことが可能となる。
【0059】
図9は、無線タグ通信装置201による第2制御の流れを示すフローチャートである。
図9に示される処理は、制御部100からの指示により開始される。無線タグ通信装置201は、全ての無線タグのIDを取得する(ACT201)。無線タグ通信装置201は、取得したIDをソートする(ACT202)。これにより、IDの大小関係が確定する。無線タグ通信装置201は、無線タグにデータを書き(ACT203)、処理を終了する。具体的に、無線タグ通信装置201は、IDが最小の無線タグには、上部用データを書く。無線タグ通信装置201は、IDが2番目に小さい無線タグには、中部用データを書く。無線タグ通信装置201は、IDが最大の無線タグには、下部用データを書く。
【0060】
以上説明した第2制御では、ID全体を数値とみなしていたが、これに限るものではない。例えば、IDの下位5桁目から下位8桁目までの4桁のみ取り出して、その4桁を数値とみなしてもよい。また、IDが最小のタグを上部タグとしたが、大小関係によって位置が特定できるならば、大小関係と位置の対応はどのようなものであってもよい。例えば、上述した例とは逆に、IDが最小の無線タグを下部タグとしたり、IDが最大の無線タグを上部タグとしてもよい。
【0061】
次に、IDをビット列とみなす1つめの制御(以下、「第3制御」とする)について説明する。第3制御は、特定のフィールドによって無線タグの位置を特定する制御である。
【0062】
第3制御の説明では、一例として
図4に示したシートSを用いる。
図4に示したシートSには、3つの無線タグが設けられている。
【0063】
図10は、上部タグID、中部タグID、及び下部タグIDの一例を示す図である。第3制御では、
図10に示されるIDの下線部に示されるように、IDの上位4ビット(上位1桁)を特定のフィールドとしている。
【0064】
図10に示されるIDのうちの特定のフィールドに着目した場合、上部タグIDでのフィールドは0である。中部タグIDのフィールドは1である。下部タグIDのフィールドは2である。
【0065】
無線タグ通信装置201は、フィールドが0の無線タグは、上部タグと判定する。無線タグ通信装置201は、フィールドが1の無線タグは、中部タグと判定する。無線タグ通信装置201は、フィールドが2の無線タグは、下部タグと判定する。複数のシートにデータを書く場合には、複数のシートのいずれも、上部タグのIDのフィールドを0とし、中部タグのIDのフィールドを1とし、下部タグのIDのフィールドを2とする。
【0066】
このように、IDを1枚のシートに設けられた無線タグのIDの特定のフィールドを、無線タグが設けられた位置に応じて定めておくことで、無線タグ通信装置201は、無線タグを特定することが可能となる。これにより、無線タグ通信装置201は、シートに設けられた無線タグの位置に応じて無線タグにデータを書くことが可能となる。
【0067】
図11は、無線タグ通信装置201による第3制御の流れを示すフローチャートである。
図11に示される処理は、制御部100からの指示により開始される。また、このフローチャートでは、3回にわたりIDを取得する場合の流れを示している。無線タグ通信装置201は、IDを取得する(ACT301)。無線タグ通信装置201は、取得したIDの特定のフィールドが0か否かを判定する(ACT302)。フィールドが0の場合には(ACT302:YES)、上部タグに上部用データを書き(ACT303)、処理を終了する。
【0068】
ACT302において、フィールドが0ではない場合には(ACT302:NO)、無線タグ通信装置201は、取得したIDの特定のフィールドが1か否かを判定する(ACT304)。フィールドが1の場合には(ACT304:YES)、中部タグに中部用データを書き(ACT305)、処理を終了する。
【0069】
ACT304において、フィールドが1ではない場合には(ACT304:NO)、無線タグ通信装置201は、取得したIDの特定のフィールドが2か否かを判定する(ACT306)。フィールドが2の場合には(ACT306:YES)、下部タグに下部用データを書き(ACT307)、処理を終了する。
【0070】
ACT306において、フィールドが2ではない場合には(ACT306:NO)、無線タグ通信装置201は、何もせずに処理を終了する。フィールドが0、1、2のいずれでもない場合、取得したIDに異常があるため、何もせずに処理を終了させている。
【0071】
図11に示したフローチャートでは、ACT301において、同じIDを複数回取得することがあり得る。既にデータが書き終わった無線タグのIDが取得された場合には、無線タグ通信装置201は再度書き込みを行わずに処理を終了する。複数の無線タグからIDが取得された場合には、無線タグ通信装置201は、書き込みをしていない無線タグにデータを書く。
【0072】
以上説明した第3制御では、上位4ビットを特定のフィールドとしていたが、これに限るものではない。例えば、IDの下位5桁目から下位8桁目までの4桁(16ビット)を特定のフィールドとしてもよい。
【0073】
次に、IDをビット列とみなす2つめの制御(以下、「第4制御」とする)について説明する。第4制御は、特定の2つのフィールドで無線タグの位置を特定する制御である。
【0074】
第4制御の説明では、一例として
図5に示したシートSを用いる。
図5に示したシートSには、6つの無線タグが設けられている。
【0075】
図12は、右上部ID、右中部ID、右下部ID、左上部ID、左中部ID、及び左下部IDの一例を示す図である。第4制御では、
図12に示されるIDの下線部に示されるように、IDの上位8ビットのうちの上位4ビット(上位1桁目)と、IDの上位8ビットのうちの下位4ビット(上位2桁目)を特定のフィールドとしている。このように、第4制御では、上位1桁目と、上位2桁目のペアで位置が特定される。以下の説明では、上位1桁目と、上位2桁目のペアを(上位1桁目、上位2桁目)という態様で記載することがある。
【0076】
左上部タグIDの2つのフィールドは、(0、0)である。左中部タグIDの2つのフィールドは、(1、0)である。左下部タグIDの2つのフィールドは、(2、0)である。右上部タグIDの2つのフィールドは、(0、1)である。右中部タグIDの2つのフィールドは、(1、1)である。右下部タグIDの2つのフィールドは、(2、1)である。
【0077】
このように、第4制御では、上位1桁目と上位2桁目とのペアによって位置が特定される。上位1桁目と上位2桁目は、ともに4ビットであるため、いずれも0~Fの値をとり得る。したがって、第4制御では、最大で256個の無線タグの位置を特定できる。
図13は、256個の無線タグに書くための256個のデータの格納例を示す図である。
図13の例は、上位1桁目と上位2桁目のそれぞれのフィールドの値で特定される2次元配列を示している。
【0078】
このように、IDを1枚のシートに設けられた無線タグのIDの特定のフィールドを、無線タグが設けられた位置に応じて定めておくことで、無線タグ通信装置201は、無線タグを特定することが可能となる。これにより、無線タグ通信装置201は、シートに設けられた無線タグの位置に応じて無線タグにデータを書くことが可能となる。また、第4制御のように、特定のフィールドを複数用意することでより多くの無線タグの位置を特定できる。なお、特定のフィールドを複数用意することは、1つのフィールドにおいてビット数を増やすことと情報量という観点からすると同じ意味である。よって、第3制御において、特定のフィールドを例えば2桁分用いるようにしてもよい。
【0079】
図14は、無線タグ通信装置201による第4制御の流れを示すフローチャートである。
図14に示される処理は、制御部100からの指示により開始される。また、このフローチャートは、
図13で示したような2次元配列で表現されたデータを書く場合の処理を示している。なお、2次元配列は、D[i][j]で与えられているものとする。ここで添え字変数iは、上位1桁目の値を示し、添え字変数jは、上位2桁目の値を示す。また、D[i][j]が書き込まれる無線タグは、16×i+j番目の無線タグとする。
【0080】
無線タグ通信装置201は、IDを取得する(ACT401)。無線タグ通信装置201は、取得したIDの上位1桁目を添え字変数iに代入する(ACT402)。無線タグ通信装置201は、取得したIDの上位2桁目を添え字変数jに代入する(ACT403)。無線タグ通信装置201は、無線タグを特定する変数kに、16×i+jを代入する(ACT404)。無線タグ通信装置201は、k番目の無線タグに、D[i][j]を書き(ACT405)、処理を終了する。無線タグ通信装置201は、
図14に示した処理を、シートSに設けられた全ての無線タグに書き終わるまで繰り返し行う。
【0081】
制御4では、上述したように最大で256個の無線タグに理論的にはデータを書くことができる。しかし、実際にデータを書くことができる無線タグの個数には限界がある。そのため、データを書く無線タグの個数に応じて搬送速度などを適正化することが好ましい。
【0082】
図7、
図9、
図11、
図14に示したフローチャートの処理は、上述したように制御部100の指示により開始される。その具体的な開始タイミングとして、シートが搬送路33aを搬送されるタイミングや、画像形成を開始するタイミングなどが挙げられる。前者の場合、シート1枚ごとに制御部100によって指示が行われる。
【0083】
図4では3個の無線タグが設けられたシートが例示され、
図5では6個の無線タグが設けられたシートが例示された。しかしながら、シートに設ける無線タグの個数は、3個や6個に限るものではない。また、無線タグを設ける位置は等間隔でなくてもよい。
【0084】
以上説明した実施形態では、無線タグ通信装置を画像形成装置に設けた態様で説明したが、これに限るものではない。例えば机の上に載置された無線タグ付きシートに対し、無線タグ通信装置がデータを書けるように構成してもよい。または、無線タグ通信装置を持ち運びが可能なように構成する。そして、人間が無線タグ通信装置を持って、無線タグ付きシートに対して人間の操作によってデータを書けるようにしてもよい。
【0085】
本実施形態では、無線タグはシートに設けられているが、これに限るものではない。本実施形態に係る無線タグを例えば荷物に取り付けて、当該荷物の搬送路に本実施形態に係る無線タグ通信装置を設置してもよい。また、無線タグ通信装置が用いる周波数は、LF帯、HF帯、UHF帯、及びマイクロ波などのいずれの周波数であってもよい。
【0086】
上述した実施形態における無線タグ通信装置の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
10…画像形成装置、100…制御部、201…無線タグ通信装置、S…シート