(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】フォトマスク、フォトマスクの製造方法、および表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/76 20120101AFI20240116BHJP
G03F 1/80 20120101ALI20240116BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G03F1/76
G03F1/80
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2020027837
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2019064772
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 昇
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-076146(JP,A)
【文献】特開2010-169750(JP,A)
【文献】特開2010-169749(JP,A)
【文献】特開2015-191088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0038136(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
G03F 7/20-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に転写用パターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
前記透明基板上に、光学膜とレジスト膜とがこの順に形成された、フォトマスク基板を用意する工程と、
前記レジスト膜に対し、描画装置を用いて描画を行い、現像することによって、レジストパターンを形成する、初期現像工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記光学膜に所定時間のウェットエッチングを施し、前記光学膜による予備パターンを形成する、予備エッチング工程と、
前記予備エッチング工程により形成された、前記予備パターンのエッジの少なくとも一部が、前記レジストパターンの領域内にある状態で、前記レジストパターンに対して追加の現像を施し、前記レジストパターンのエッジを後退させて、前記予備パターンのエッジを露出させる、追加現像工程と、
前記予備パターンのエッジ位置を把握することにより、前記予備パターンの所定部位の寸法を測定する測定工程と、
測定した前記寸法をもとに追加エッチング量を決定し、該追加エッチング量に基づいて、更に前記光学膜のエッチングを行い、前記光学膜からなる確定パターンを形成する、追加エッチング工程と、
を含む、フォトマスクの製造方法。
【請求項2】
前記追加現像工程においては、前記初期現像工程に適用する現像液に対し、組成および濃度の少なくとも一方が異なる現像液を用いる、請求項1に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項3】
前記追加エッチング工程において、前記確定パターンのエッジ近傍において、所定幅で膜厚が減少した膜厚減少部が形成される、請求項1または2に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項4】
前記所定幅が、0μmより大きく0.8μm以下である、請求項3に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項5】
前記光学膜は、遮光膜を含み、かつ、該遮光膜は表面に反射防止層を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
前記光学膜は、遮光膜を含み、
前記予備エッチング工程後に、前記透明基板の裏面側から光を照射し、前記レジストパターンのうち前記遮光膜によって遮光されない部分を露光する、追加露光工程を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
前記光学膜は、遮光膜であり、
前記フォトマスク基板は、前記透明基板と前記遮光膜との間に、フォトマスクの露光に用いる露光光を一部透過する半透光膜を備え、
前記半透光膜と前記光学膜は、互いにエッチング選択性をもつ材料からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記フォトマスク基板は、前記透明基板上に形成された前記光学膜が少なくとも一部パターニングされた、フォトマスク中間体である、請求項1~7のいずれか一項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたフォトマスクを用意する工程と、
露光装置を用いて、被転写体上に前記転写用パターンを転写する工程と、
を有する、表示装置の製造方法。
【請求項10】
透明基板上に転写用パターンを備えるフォトマスクであって、
前記転写用パターンは、前記透明基板が露出してなる透光部と、前記透明基板上に光学膜が形成されてなる非透光部と、を含み、
前記光学膜は、全体が同一のエッチング液によってエッチングが可能な材料で形成され、
前記非透光部は、前記透光部と隣接するエッジ部分に、前記光学膜の膜厚が一部減少した所定幅の膜厚減少部を有し、
前記所定幅は、0μmより大きく0.8μm以下である、
フォトマスク。
【請求項11】
前記光学膜は、遮光層と、前記遮光層の表面に形成された反射防止層とからなる遮光膜であり、
前記遮光層および前記反射防止層は、ともにクロムを含有する材料で形成されている、請求項10に記載のフォトマスク。
【請求項12】
前記膜厚減少部の露光光に対する光学濃度は、2以上である、請求項10または11に記載のフォトマスク。
【請求項13】
請求項10
~12のいずれか一項に記載のフォトマスクを用意する工程と、
露光装置を用いて、被転写体上に前記転写用パターンを転写する工程と、
を有する、表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク、フォトマスクの製造方法、および表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置等の電子デバイス製品の高精細化等に伴い、それらの製造に用いるフォトマスクが備える転写用パターンに対して、より厳密な寸法制御に対する要求が高まっている。
【0003】
これに関連し、例えば、特許文献1には、遮光膜のパターンにつき、寸法制御をより正確に行う方法が記載されている。すなわち、レジストパターンをマスクとして遮光膜のエッチングを行い、レジストパターンに覆われていない遮光膜が除去されてエッチングを停止したのち、基板の裏面側から光を照射し、遮光膜によって遮光されないレジストを感光させ、現像することによって、遮光膜のエッジ位置を把握し、追加エッチング時間を決定する方法が記載されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、エッチングを停止するタイミングの検出(終点検出)を正確に行うための方法について記載されている。特許文献2に記載の方法によれば、得ようとする転写用パターンを形成するための転写用パターンデータと、寸法測定用のモニターパターンを形成するためのモニターパターンデータとを含むパターンデータを用いて、レジスト膜に描画を行い、レジストパターンを形成している。このレジストパターンをマスクとして、光学膜に対して所定時間のエッチングを施した後、モニターパターンの寸法を測定し、この寸法に基づき、光学膜に追加のエッチングを施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-169750号公報
【文献】特開2015-191088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
表示装置(液晶表示装置、有機EL表示装置など)に要求される画質や明るさ、動作速度、さらには省電力性能のレベルは、従来になく高まっている。こうした状況をふまえ、表示装置の製造に用いられるフォトマスクの転写用パターンの、微細化、高密度化が望まれている。
【0007】
表示装置の製造にあたっては、所望の転写用パターンを備えるフォトマスクを、フォトリソグラフィ工程を利用して製造することが行われる。すなわち、透明基板上に成膜した光学膜上にレジスト膜を形成し、このレジスト膜に、エネルギー線(レーザ光など)で描画し、現像することによって得たレジストパターンをマスクとして、光学膜にエッチングを施す。必要に応じて、さらに他の光学膜を成膜して、フォトリソグラフィ工程を繰り返し、最終的な転写用パターンを形成する。ここでの光学膜とは、例えば、フォトマスクへの露光光を遮光する遮光膜、一部透過する半透光膜、或いは、位相シフト膜やエッチングストッパ膜などの機能膜などが含まれる。
【0008】
表示装置製造用フォトマスクは、半導体製造用フォトマスク(一般に主表面の一辺5~6インチ)に比べてサイズが大きい(例えば主表面の一辺300mm以上の四角形など)うえに、多種のサイズが存在する。このため、光学膜のエッチングにおいては、真空チャンバーを必須とするドライエッチングよりも、ウェットエッチングを適用した場合に、装置や工程の負担が小さく、また、制御がしやすいという利点がある。
【0009】
その反面、ウェットエッチングに由来する困難もある。一般に、ドライエッチングが異方性エッチングの性質をもつのに対して、ウェットエッチングはエッチングが等方的に進行する、等方性エッチングの性格が強く、そのため、エッチング対象の光学膜の側面からもエッチング(サイドエッチング)が進む。
図1は、光学膜である遮光膜の側面が、ウェットエッチングによってエッチングされた状態を示すSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。エッチングされてなる光学膜パターンの寸法は、エッチングマスクとなっているレジストパターンの寸法とは必ずしも一致しない。所定時間のエッチングを施した時点で、光学膜パターンのエッジは、レジストパターンのエッジ位置の内側まで進み、レジストパターンの表面側から見た場合、光学膜パターンは、レジストパターンで覆われた状態となるため、その寸法を直接計測することができない。従って、エッチングの終点を決定することが難しい。
【0010】
所望のパターン寸法に到達するために、エッチングレート(単位時間あたりのエッチング量)が把握できたとしても、これのみに依存して、エッチングの必要時間を決めることは、必ずしも有効でない。例えば、ウェットエッチング時にエッチングマスクとなるレジストパターンは、レジストの現像温度や現像剤濃度の変動や不均一に影響されるものであり、これらを常に一定とすることは困難である。
【0011】
更に、レジストパターンのエッジ形状は、描画によって形成されるものであるが、レジストパターンの膜厚や光学膜の表面反射率が、描画条件に影響を与えることがわかっている。ところが、レジストパターンの膜厚や光学膜の表面性もまた、常に一定値とすることは容易でない。
【0012】
つまり、光学膜をウェットエッチングする際の、現実のエッチングの進行には、光学膜とエッチング剤に由来する純粋なエッチングレート以外の要因、特に、レジスト起因の変動要因が避けられない。
【0013】
上記の現状を考慮すると、寸法精度の高いパターニングを行うためには、上記変動要因の影響にかかわらず、エッチング終点までの、正確なエッチング時間(すなわち、必要な残余エッチング量に必要なエッチング時間)を把握することが、有用である。
【0014】
特許文献1に記載の方法では、遮光膜のエッチング後、基板の裏面から光を照射して遮光膜によって遮光されない部分のレジストパターンを感光し、現像している。これにより、レジストパターンのエッジ位置を遮光膜のエッジ位置に一致させ、このエッジ位置を把握することにより、追加エッチング時間を決定している。この方法によれば、レジストパターンに覆われた遮光膜のエッジの位置が把握できるため、必要な追加エッチング量、すなわち追加エッチング時間が得られるとされている。
【0015】
しかしながら、この方法は、昨今の表示装置に要求される、極めて厳しい寸法精度を満足させることに、必ずしも有効ではない。なぜなら、特許文献1に記載の方法により、基板の裏面からの光照射後、現像したとき、フォトマスク基板面内の現像速度ばらつきにより、レジストパターンのエッジを遮光膜のエッジに完全に一致させることは難しいためである。このため、光学膜パターンの寸法測定では、直接、光学膜の寸法を測定しているか否か保証されず、十分な測定精度が得られない場合が生じる。
【0016】
特許文献2に記載の方法では、モニターパターンが形成された部分のレジスト膜を、部分的に除去することにより、表面側から直接、モニターパターンの寸法を測定している。このモニターパターンの寸法に基づいて追加エッチング時間を算出し、光学膜にエッチングを施している。この方法によれば、光学膜をパターニングして得られるモニターパターンの寸法を測定しているため、レジスト起因の変動要因を受けにくい。
【0017】
しかしながら、特許文献2に記載の方法は、高い寸法精度を得るには必ずしも十分とは言えない。なぜなら、特許文献2に記載の方法による寸法測定では、寸法制御が必要な転写用パターンの寸法を直接測定しているのではなく、モニターパターンから間接的に、寸法制御が必要な転写用パターンの寸法を得ているため、算出した追加エッチング時間は、必ずしも正確とは言えないためである。
【0018】
上記の現状を考慮すると、寸法精度の高いパターニングを行うためには、レジスト起因の変動要因の影響を受けにくく、エッチング終点までの、正確なエッチング時間(すなわち、光学膜に対して必要なエッチング量に適合したエッチング時間)を精緻に把握できる方法を得ることが有用である。
【0019】
上記で触れたとおり、液晶や有機ELに代表される表示装置には、従来以上に微細な構造をもつものが増加する傾向にある。この傾向は、該表示装置の駆動を担う薄膜トランジスタ(TFT)基板や、カラーフィルタ(フォトスペーサ、色版)など、フォトマスクによって得ようとする構成物の各々に共通する傾向であるが、これら表示装置における、画像の精細さ、動作の速さ、明るさ、省電力等のニーズと関係している。
【0020】
上記に伴い、表示装置製造用フォトマスクのもつ転写用パターンのCD(Critical Dimension:以下、パターン幅の意味で使う)の精度要求が厳しくなっている。これは、ラインアンドスペースパターン、ホールパターン等、パターンデザインに限らず同様である。例えば、転写用パターンのCD精度を目標値±50nm以下、更には目標値±20nm以下などの厳しい仕様を満足する手段が期待される。
【0021】
本発明者は、上記課題に着目し、形成された転写用パターンのCDの中心値が精度よく目標値に一致するよう、鋭意検討した。本発明は、寸法精度の高い転写用パターンを形成できるフォトマスクの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(第1の態様)
透明基板上に転写用パターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
前記透明基板上に、光学膜とレジスト膜とがこの順に形成された、フォトマスク基板を用意する工程と、
前記レジスト膜に対し、描画装置を用いて描画を行い、現像することによって、レジストパターンを形成する、初期現像工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記光学膜に所定時間のウェットエッチングを施し、前記光学膜による予備パターンを形成する、予備エッチング工程と、
前記予備エッチング工程により形成された、前記予備パターンのエッジの少なくとも一部が、前記レジストパターンの領域内にある状態で、前記レジストパターンに対して追加の現像を施し、前記レジストパターンのエッジを後退させて、前記予備パターンのエッジを露出させる、追加現像工程と、
前記予備パターンのエッジ位置を把握することにより、前記予備パターンの所定部位の寸法を測定する測定工程と、
測定した前記寸法をもとに追加エッチング量を決定し、該追加エッチング量に基づいて、更に前記光学膜のエッチングを行い、前記光学膜からなる確定パターンを形成する、追加エッチング工程と、
を含む、フォトマスクの製造方法である。
【0023】
(第2の態様)
前記追加現像工程においては、前記初期現像工程に適用する現像液に対し、組成および濃度の少なくとも一方が異なる現像液を用いる、上記第1の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0024】
(第3の態様)
前記追加エッチング工程において、前記確定パターンのエッジ近傍において、所定幅で膜厚が減少した膜厚減少部が形成される、上記第1または第2の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0025】
(第4の態様)
前記所定幅が、0μmより大きく0.8μm以下である、上記第3の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0026】
(第5の態様)
前記光学膜は、遮光膜を含み、かつ、該遮光膜は表面に反射防止層を備える、上記第1~第4のいずれか一態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0027】
(第6の態様)
前記光学膜は、遮光膜を含み、
前記予備エッチング工程後に、前記透明基板の裏面側から光を照射し、前記レジストパターンのうち前記遮光膜によって遮光されない部分を露光する、追加露光工程を有する、
上記第1~第4のいずれか一態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0028】
(第7の態様)
前記光学膜は、遮光膜であり、
前記フォトマスク基板は、前記透明基板と前記遮光膜との間に、フォトマスクの露光に用いる露光光を一部透過する半透光膜を備え、
前記半透光膜と前記光学膜は、互いにエッチング選択性をもつ材料からなる、上記第1~第5のいずれか一態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0029】
(第8の態様)
前記フォトマスク基板は、前記透明基板上に形成された前記光学膜が少なくとも一部パターニングされた、フォトマスク中間体である、上記第1~第7のいずれか一態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0030】
(第9の態様)
上記第1~第8のいずれか一態様に記載の製造方法によって製造されたフォトマスクを用意する工程と、
露光装置を用いて、被転写体上に前記転写用パターンを転写する工程と、
を有する、表示装置の製造方法である。
【0031】
(第10の態様)
透明基板上に転写用パターンを備えるフォトマスクであって、
前記転写用パターンは、前記透明基板が露出してなる透光部と、前記透明基板上に光学膜が形成されてなる非透光部と、を含み、
前記非透光部は、前記透光部と隣接するエッジ部分に、前記光学膜の膜厚が一部減少した所定幅の膜厚減少部を有し、
前記所定幅は、0μmより大きく0.8μm以下である、フォトマスクである。
【0032】
(第11の態様)
前記光学膜は、表面に反射防止層を備える遮光膜であり、
前記膜厚減少部は、前記反射防止層の少なくとも一部が消失することにより形成される、上記第10の態様に記載のフォトマスクである。
【0033】
(第12の態様)
上記第10または第11の態様に記載のフォトマスクを用意する工程と、
露光装置を用いて、被転写体上に前記転写用パターンを転写する工程と、
を有する、表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、寸法精度の高い転写用パターンが形成できるフォトマスクの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】レジストパターンをエッチングマスクとしたウェットエッチング後の光学膜パターン(遮光膜パターン)の断面形状のSEM写真の一例である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るフォトマスクの製造方法を工程順に例示する概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るレジストパターンのエッジ付近における追加現像時の様子を例示する概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るフォトマスクの膜厚減少部を例示する概略断面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係るフォトマスクの製造方法(a~j)を工程順に例示する概略断面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係るフォトマスクの製造方法(k~s)を工程順に例示する概略断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るフォトマスクの製造方法を工程順に例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1実施形態]
本発明にかかるフォトマスクの製造方法の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るフォトマスクの製造方法を工程順に例示する概略断面図である。
【0037】
本発明にかかるフォトマスクは、後述のフォトマスク基板にフォトリソグラフィを適用することにより得られ、透明基板上に形成された光学膜をパターニングしてなる転写用パターンを有するものである。転写用パターンは、透明基板が露出した部分である透光部と、光学膜が形成された部分である非透光部と、を含むことができる。非透光部は、遮光部と、後述の半透光部と、を含むことができる。
【0038】
なお、本明細書においては、フォトマスク基板は、透明基板の主表面に光学膜が形成されたものをいい、いわゆるフォトマスクブランクを含む。フォトマスク基板は、光学膜上にレジスト膜を形成したレジスト付フォトマスクブランクも含む。また、フォトマスク基板は、積層構造の膜パターンをもつフォトマスクを製造する目的で、既に一部の光学膜がパターニングされたフォトマスク中間体であってもよい。
【0039】
本実施形態にかかるフォトマスクの製造方法について、具体的に説明する。
<フォトマスク基板を用意する工程>
図2(a)に示すように、フォトマスク基板20を用意する。
【0040】
(フォトマスク基板)
フォトマスク基板20は、透明基板21上に光学膜の一例としての遮光膜22と、遮光膜22上にレジスト膜23とが形成されたものとすることができる。遮光膜22は、遮光層22aを備え、さらに遮光層22aの表面に、後述の反射防止層22bを備えることができる。
【0041】
フォトマスク基板20の製造に用いられる透明基板21としては、合成石英などの透明材料からなるものを、平坦、平滑に研磨したものを用いる。例えば、主表面は、一辺が300mm~1800mm程度の四角形であり、厚みは5~13mm程度である。
【0042】
フォトマスク基板20の光学膜は、スパッタ法など、公知の成膜法により、透明基板21の主表面上に形成される。なお、本明細書において、フォトマスク基板20が有する2つの主面のうち、転写用パターンが形成される側の主面を「主表面」とし、他方の主面を「裏面」とする。透明基板21には、単一の光学膜が形成されていてもよく、あるいは、複数の光学膜が積層されていてもよい。
【0043】
光学膜は、遮光膜22(フォトマスクを使用する際の露光光に対する光学濃度OD(Optical Density)が2以上、好ましくは3以上)とすることができる。あるいは、光学膜は、露光光を一部透過する、半透光膜としてもよい。このとき、半透光膜の露光光透過率は、透明基板21の露光光透過率を基準(100%)として、5~80%とすることができる。
【0044】
このような半透光膜は、いわゆる多階調フォトマスク(階調フォトマスク、或いは、ハーフトーンマスクなどともいう)や、ハーフトーン型位相シフトマスクなどに有用に適用することができる。この場合、露光光透過率は、20~70%が好ましく、更に好ましくは30~60%である。また、半透光膜の上記露光光に対する位相シフト量は、好ましくは90度以下、より好ましくは60度以下とすることができる。
【0045】
或いは、半透光膜をハーフトーン型位相シフトマスクに適用する場合には、露光光透過率は、5~40%が好ましく、更に好ましくは5~30%である。また、半透光膜の上記露光光に対する位相シフト量は、好ましくは180±20度の範囲内とすることができる。
【0046】
光学膜の膜厚は、その機能によって決定されるが、5~250nmであることが好ましい。例えば、光学膜が遮光膜22であれば、その膜厚を50~200nmとすることができる。
【0047】
光学膜は、ウェットエッチングが可能なものが好ましい。光学膜の材料は、例えば、クロム(Cr)を含むことができる。光学膜が遮光膜22である場合、クロムまたはその化合物を用いることができ、光学膜が半透光膜である場合は、クロム化合物からなるものが好適に使用できる。クロム化合物としては、例えば、クロムの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、及び酸化窒化炭化物のいずれかを含む膜であることができる。
【0048】
更に、光学膜が遮光膜22、又は半透光膜である場合、クロム以外の金属、例えば、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、又はそれらの化合物からなる材料を適用してもよい。例えば、金属シリサイドやその酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物を含む材料とすることもできる。上記光学膜の材料として用いることのできる金属シリサイドの例としては、モリブデンシリサイド、及びタンタルシリサイドなどがある。また、これらの材料は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
光学膜が遮光膜22であるとき、その表面に、光反射率を抑制するための、反射防止層22bを備えるものであることが好ましい。その場合、例えば、クロムを主成分とする遮光膜22の表面に配置する反射防止層22bは、クロム化合物(酸化物、窒化物、炭化物など)とすることができる。反射防止層22bは、これを含む遮光膜22の膜厚方向の組成変化により形成することができる。尚、組成変化は、段階的な変化でも、緩慢な変化でもよい。反射防止層22bは、フォトマスク製造の過程で描画光に対する反射を抑える機能を奏し、また、フォトマスクを露光する際の露光光に対して、反射を抑える機能をもつが、後述の寸法測定においても、表面反射を抑える作用をもつ。反射防止層22bの厚みは、例えば、20~40nmとすることができる。
【0050】
尚、
図2(a)に示すとおり、以下の本実施形態の説明においては、光学膜として、遮光膜22(表面に反射防止層22bをもつ)を用いた場合を例とする。
【0051】
(レジスト膜)
本実施形態にかかるフォトマスクの製造方法に用いるフォトマスク基板20としては、遮光膜22上にレジスト膜23を形成したものを用いることができる。スリットコータやスピンコータなどの公知の塗布装置によって、レジスト膜23の原料となるレジストを、遮光膜22上に塗布することができる。レジスト膜23の膜厚は、300~1000nmであることが好ましい。
【0052】
なお、レジスト膜23は、ここでは、レーザ描画用のポジ型フォトレジストとして説明する。但し、ネガ型を用いてもよく、更に、描画を電子線で行う場合には、電子線用レジストを用いることも可能である。
【0053】
さらに、本実施形態にかかるフォトマスクの製造方法では、レジスト膜23に対する描画用のパターンデータを用意する。描画用パターンデータは、例えば、得ようとする転写用パターンに基づいて設計される。
【0054】
<初期現像工程>
図2(b)に示すように、用意したフォトマスク基板20のレジスト膜23に対し、描画用パターンデータを用いて描画を行なう。用いる描画装置としては、例えば、レーザ描画機を使用することができる。レーザ光としては、例えば波長413nm程度の光を用いることができる。
【0055】
次に、
図2(c)に示すように、レジスト膜23を現像する(初期現像)ことによって、レジストパターンを形成する。このレジストパターンが、遮光膜22をエッチングするときのエッチングマスクとして機能する。現像液は、レジスト膜23の組成にあわせて適切なものを選択することができる。現像液としては、例えば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)や、KOH(水酸化カリウム)水溶液など、公知のものを使用することができる。
【0056】
<予備エッチング工程>
図2(d)に示すように、レジストパターンをマスクとした遮光膜22に対する予備エッチングを所定時間行う。これにより、遮光膜22からなる予備パターンを形成する。ここでは、ウェットエッチングを適用する。
【0057】
エッチング剤(エッチング液)は、光学膜(ここでは遮光膜22)の組成にあわせて適切なものを選択することができる。例えば、クロム系の遮光膜である場合、硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液を含むエッチング液を使用できる。
【0058】
エッチング液は、まずレジストパターンに覆われていない部分の遮光膜22表面に作用することにより、その部分の遮光膜22の溶出が開始する。そして、レジストパターンに覆われていない部分の遮光膜22の溶出にともない、等方性エッチングにより、遮光膜22の側面からのエッチング(サイドエッチング)も進行し、
図2(d)に示すとおり、予備パターンのエッジが、レジストパターンのエッジよりも内側(すなわちレジストパターンの領域内)に入り、表面側からはその位置が認識できなくなることが少なくない。
【0059】
ところで、エッチングを停止するまでのエッチング所要時間は、得ようとする転写用パターンの設計により、あらかじめ求めておくことができる。これは、遮光膜22の材料とエッチング液の組合せによるエッチングレート、及び遮光膜22の膜厚等により、算出が可能である。しかしながら、上述の理由により、エッチングレートをもとに算出したエッチング時間を適用しても、得られる転写用パターンのCD精度は、従来十分に満足できるものではなかった。
【0060】
そこで、本実施形態の予備エッチングは、遮光膜22の溶出が開始し、厚さ方向に遮光膜22が除去された後、予め算出したエッチング所要時間より短いエッチング時間で、エッチングを停止する。すなわち、エッチングによって形成される遮光膜22の開口寸法が目標寸法に対してアンダーの状態で、予備エッチングを終了する。例えば予備エッチングの時間は、30~120秒程度とすることができる。
【0061】
予備エッチングの終了時、遮光膜22からなる予備パターンのエッジは、少なくともその一部が、上記のとおりレジストパターンのエッジより内側に位置し、フォトマスク基板20の主表面側からは視認できない。
【0062】
上記の予備エッチング工程において、エッチング液と接触したレジストパターンは、その表面が変質し、難溶化層24を形成する場合がある。そこで、後述の追加現像に先立ち、オゾン水処理や、プラズマアッシングによって、難溶化層24を除去する処理を施してもよい(
図2(e))。
【0063】
<追加現像工程>
図2(f)に示すように、レジストパターンに対して、追加現像を行う。
【0064】
初期現像の段階では、描画の光エネルギーによって反応が進んだ(感光した)レジスト膜23が現像により溶出し、レジストパターンが形成されたが、そのレジストパターンのエッジ付近は、現像の閾値に達しない不十分な光量の露光を受けている。この不十分な露光は、レジストパターンのエッジに沿ってほぼ一定の幅で生じていると考えられる。そこで、このレジストパターンに対し、更に、初期現像と同じ条件で、又は異なる条件で追加的に現像を行い、上記寸法分、レジストパターンのエッジを後退させる(つまり、レジストパターンのうち、表面側から見たときに透明基板21の露出部分に隣接する部分を幅方向に一部消失させる)ことができる。これにより、レジストパターンの後退したエッジから、予備パターンのエッジを露出させることができる。なお、図面では必ずしも示していないが、追加現像工程においては、レジストパターンのエッジ後退と同時に、レジスト膜23の膜厚もその表面側から減少する。この点も考慮すると、レジストパターンエッジの後退量(μm)は、0μmより大きく0.8μm以下、好ましくは0.05μm以上0.4μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.3μm以下である場合に、レジスト膜23が遮光膜22を保護する機能を十分に保つことができ、本実施形態の効果が顕著である。レジストパターンエッジの後退により、レジストパターンの下に位置していた上記予備パターンエッジ部分を、0μmより大きく0.8μm以下、好ましくは0.05μm以上0.4μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.3μm以下の幅で露出させることができる。なお、本明細書においては、フォトマスクの主表面側を上とし、裏面側を下とする。
【0065】
追加現像で用いられる現像液は、初期現像と同様、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)や、KOH(水酸化カリウム)水溶液など、公知のものを使用することができる。好ましくは、追加現像で用いられる現像液は、初期現像で用いられる現像液とは異なる組成および/または濃度を有する。例えば、追加現像に際しては、初期現像に用いる現像液に対して、同一のレジスト剤に対する現像の速度がより大きいものを適用することができる。これにより、描画時に不十分な反応を生じたレジストパターンのエッジ付近を、効率よく除去することができる。
【0066】
また、予備エッチング後のレジストパターンのエッジ付近においては、
図3(a)に図示するとおり、予備パターンを形成する遮光膜22のサイドエッチングにより、レジストパターンと透明基板21との間に間隙が生じている。追加現像時には、現像液がこの間隙に入り込むため、レジストパターンのエッジ付近(
図3(a)に示す破線の円内参照)においては、
図3(a)中の矢印で例示するように、レジスト膜23の現像は、その側面からだけでなく、透明基板21に対向する面(下側の面)からも進行する。すなわち、レジスト膜23は、その側面だけでなく、透明基板21に対向する面からも溶出する。このため、効率的に、レジストパターンのエッジを後退させ、予備パターンのエッジ27を露出させることができる(
図3(b))。
【0067】
上述のとおり、追加現像により、レジスト膜23の膜厚がその表面側から減少する。このことを考慮し、遮光膜22を保護する機能に支障のないレジスト膜厚を適用しておくことができる。後述の第2実施形態および第3実施形態においても、同様である。
【0068】
<予備パターンの寸法の測定工程>
次に、
図2(g)に示すように、予備パターンのエッジの位置を検出する。これにより、予備パターンの所定部位の寸法を測定することができる。例えば、予備パターンがラインアンドスペースパターンであれば、所定部位として、ライン部の寸法、あるいは、スペース部の寸法(例えば、
図2(g)におけるCD1)を測定することができる。ここでは予備パターンの寸法の一例として、スペース部、すなわち、透明基板21が露出している部分の寸法CD1を測定する。
【0069】
予備パターンのエッジの位置は、例えばフォトマスク基板20の裏面側あるいは主表面側から、検査光(例えば、波長400~600nmの範囲内にある光)を照射して透過光または反射光を検出することにより、把握することができる。
【0070】
<追加エッチング時間の算出>
上記したように、予備パターンのエッジの位置から、予備パターンの寸法CD1を測定する。そして、測定した予備パターンの寸法CD1と当該部分の目標とするスペース幅の寸法との差分を求め、サイドエッチング量(追加エッチング量)を算出する。そして、算出したサイドエッチング量に基づいて、予め求めたエッチングレートにより、追加エッチング時間を算出する。
【0071】
このように、本実施形態では、追加エッチング時間を、レジストパターンの寸法を用いずに、検出した予備パターンのエッジ位置と、得ようとする転写用パターンの目標寸法、およびエッチングレートを用いて算出している。その結果、必要な追加エッチング時間を正確に算出することが可能となる。
【0072】
<追加エッチング工程>
図2(h)に示すように、上述のようにして得られた追加エッチング時間だけ、追加エッチングを行う。これにより、遮光膜22からなる確定パターンを形成する。追加エッチングは、ウェットエッチングであることが好ましい。エッチング液は、予備エッチング工程で用いられるエッチング液と同様のものでもよい。あるいは、予備エッチング工程で用いられるエッチング液と組成および濃度の少なくとも一方が異なるものを用いることもできる。例えば、追加エッチングに際しては、予備エッチングに用いるエッチング液に対して、より大きい濃度、又はより小さい濃度のものを適用することができる。追加エッチング工程においては、好ましくは、予備エッチング工程で用いられるエッチング液に対して、同一の遮光膜に対するエッチングの速度がより小さいものを適用することができる。例えば、追加エッチングに用いるエッチング液のエッチング速度は、予備エッチングに用いるエッチング液の、同一の遮光膜に対するエッチング速度の1/6~1/4程度とすることができる。
【0073】
追加エッチング工程においては、
図4に示すように、確定パターンのエッジ部分(エッジ近傍ともいう)における遮光膜22の一部の膜厚が表面側から減少し、膜厚減少部28が形成されることがあるが、フォトマスクとしての機能に問題は生じない。例えば、遮光膜22が反射防止層22bを備える場合には、遮光膜22からなる確定パターンのエッジ部分における反射防止層22bの一部が表面側から消失し、これにより、所定幅の膜厚減少部28が形成される。しかし、該幅は非常に小さく、反射防止層22bのごくわずかな一部のみであるため、この部分における露光光の反射が転写用パターンの転写性を妨げることはない。上記所定幅は、例えば、0μmより大きく0.8μm以下、好ましくは0.05μm以上0.4μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.3μm以下であることができる。後述の第2実施形態および第3実施形態においても、同様である。
【0074】
また、わずかに損傷を受けたとしても、その光学性能が維持できるため、不都合はない。光学性能とは、露光光に対する光学密度(OD)は、2以上であり、好ましくは3以上である。後述の第2実施形態および第3実施形態においても、同様である。
また、上記膜厚減少部28の幅が、フォトマスク面内において若干のばらつきを持つことが生じ得るが、この点も、フォトマスクの転写性になんら影響はない。
【0075】
<レジストパターンの剥離工程>
図2(i)に示すように、追加エッチング時間分の追加エッチングが終了後、再びエッチングを停止し、レジストパターンを剥離する。
【0076】
以上により、透光部30、遮光部35を含む転写用パターンを備えるフォトマスクが完成する(
図2(i)参照)。本実施形態によれば、例えば、透光部30の寸法CD2が目標とするスペース幅の寸法に一致するように、精緻に寸法を制御することができる。
なお、上記の態様では、予備パターンの寸法(CD1)の測定は1回のみ行っている。但し、必要に応じて、予備パターンの寸法測定および追加エッチングを、繰り返して行ってもよく、そのような態様も本発明に含まれる。
【0077】
以上のように、本実施形態にかかるフォトマスクの製造方法によれば、レジストパターンの寸法ではなく、遮光膜22からなる予備パターンの寸法からエッチング時間を求めることができる。このため、エッチングマスクとなるレジストパターンの形成に、様々な変動があったとしても、最終的に形成される転写用パターンの寸法を、正確に目標値に一致させることが可能になる。本実施形態によれば、特に、透光部30に隣接する遮光部35の寸法精度を極めて高くすることができる。
【0078】
さらに、本発明によれば、追加現像という簡易な方法によって、予備パターンの寸法を精緻に把握することができる。このため、工数およびコストの増加を抑えつつ、形成された転写用パターンのCDの中心値を精度よく目標値に一致させることができる。
【0079】
上記実施形態では、光学膜としての単一の膜が透明基板上に形成されてなるフォトマスク基板を用いてフォトマスクを製造する構成を一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。
次に、透明基板上に、複数種類の膜が形成されてなるフォトマスク基板を用いてフォトマスクを製造する場合について、説明する。
【0080】
[第2実施形態]
図5Aは、第2実施形態に係るフォトマスクの製造方法(a~j)を工程順に例示する概略断面図である。
図5Bは、第2実施形態に係るフォトマスクの製造方法(k~s)を工程順に例示する概略断面図である。以降、
図5Aと
図5Bとをまとめて
図5と称する。
本実施形態では、透光部、半透光部、および遮光部を含む転写用パターンを備える多階調フォトマスクを製造することができる。この転写用パターンは、さらに、透光部と遮光部とが隣接する部分および遮光部と半透光部とが隣接する部分を含む。なお、半透光部とは、透明基板上に形成された後述の半透光膜が露出している部分を指す。
【0081】
図5(a)に示すように、フォトマスク基板20を用意する。本実施形態にかかるフォトマスクの製造方法では、透明基板21上に、半透光膜25と、遮光層22aおよび反射防止層22bを含む遮光膜22と、レジスト膜23とが、この順に積層されたフォトマスク基板20を、一例として用いる。本実施形態のフォトマスク基板20は、半透光膜25を有すること以外は、第1実施形態のフォトマスク基板20と同様の構成を有する。
【0082】
(半透光膜)
本実施形態における半透光膜25は、透明基板21が露出してなる透光部に対して、例えば、20~80%の光を透過する半透光の性質を有するとともに、クロム用エッチング液に対するエッチング耐性を有する材料により構成されることができる。この半透光膜25は、例えば、モリブデン(Mo)及びシリコン(Si)を含むモリブデンシリサイド(MoSi)から構成されていてもよい。半透光膜25は、遮光膜22に対してエッチング選択性を有することが好ましい。
【0083】
本実施形態にかかるフォトマスクの製造方法では、フォトマスクを用意する工程からレジストパターンを剥離する工程までは、特に記載のない限り、第1実施形態と同様である。図面においては、
図5(a)~(i)が、
図2(a)~(i)に相当する。
【0084】
まず、
図5(a)に示すように、フォトマスク基板20を用意する。レジスト膜23に対して描画用パターンデータにより描画を行い(
図5(b))、
図5(c)に示すように、レジスト膜23を現像することによって、レジストパターンを形成する(初期現像工程)。初期現像工程で用いられる描画用パターンデータは、得ようとする転写用パターンに基づいて設計されるデータであり、例えば透光部を形成するためのレジスト膜23に対する描画用のパターンデータであることができる。
【0085】
次に、
図5(d)に示すように、レジストパターンをマスクとして、遮光膜22に予備エッチングを所定時間行い、遮光膜22からなる予備パターンを形成する(予備エッチング工程)。なお、第1実施形態の予備エッチング工程では、透明基板21を露出させるが、本実施形態では、半透光膜25を露出させる。
【0086】
上記の予備エッチング工程において難溶化層24が形成された場合には、第1実施形態と同様に、後述の追加現像に先立って、オゾン水処理や、プラズマアッシングによって、難溶化層24を除去してもよい(
図5(e))。
【0087】
次に、
図5(f)に示すように、レジストパターンに対して追加現像を行い、レジストパターンのエッジを後退させる(レジストパターンのうち、表面側から見たときに半透光膜25の露出部分に隣接する部分を幅方向に一部消失させる)ことにより、予備パターンのエッジを露出させる(追加現像工程)。レジストパターンエッジの後退量(μm)および露出する予備パターンのエッジ部分の幅(μm)は、それぞれ第1実施形態における追加現像工程のものと同様とすることができる。
【0088】
さらに、
図5(g)に示すように、予備パターンのエッジの位置を検出することにより、予備パターンの寸法を測定する(予備パターンの寸法の測定工程)。例えば、半透光膜25が露出している部分の寸法CD3を測定する。
【0089】
半透光膜25は光を一部透過するため、例えば、フォトマスク基板20の裏面側あるいは主表面側から検査光を照射し、透過光を検出することにより、予備パターンのエッジを検出できる。これにより、予備パターン寸法CD3を測定することができる。この予備パターン寸法CD3と目標とするスペース幅の寸法との差分から、追加エッチング時間を算出することができる(追加エッチング時間の算出)。
【0090】
図5(h)に示すように、得られた追加エッチング時間だけ追加エッチングを行い、遮光膜22からなる確定パターンを形成する(追加エッチング工程)。確定パターンのエッジ部分においては、第1実施形態と同様に、所定幅の膜厚減少部28が形成される。
【0091】
図5(i)に示すように、レジストパターンを剥離する(レジストパターンの剥離工程)。
【0092】
<半透光膜のエッチング>
次に、
図5(j)に示すように、遮光膜22からなる確定パターンをマスクとして、半透光膜25をエッチングする。これにより、透光部40が形成される。半透光膜25が、モリブデンシリサイド(MoSi)からなる場合には、例えば、フッ素(F)系のウェットエッチング液(又はエッチングガス)を半透光膜25に供給することで、エッチングすることが可能である。このようにして、透光部40の寸法CD4が目標とするスペース幅の寸法に一致するように、精緻に寸法を制御することができる。
【0093】
半透光膜25のエッチング後に、さらに、初期現像工程、予備エッチング工程、追加現像工程、予備パターンの寸法の測定工程、追加エッチング時間の算出、追加エッチング工程、レジストパターンの剥離工程を繰り返すことにより、半透光部を形成することができる。それぞれの工程について、以下に詳述する。
【0094】
<初期現像工程>
図5(k)に示すように、新たなレジスト膜26を塗布する。さらに、予め用意していた描画用パターンデータを用いて、レジスト膜26に描画を行い(
図5(l))、現像することによって、レジストパターンを形成する(
図5(m))。描画装置および現像液は、第1実施形態における初期現像工程で用いるものと同様のものを用いることができる。
【0095】
上記描画用パターンデータは、得ようとする転写用パターンに基づいて設計されるデータであり、例えば半透光部を形成するためのレジスト膜26に対する描画用のパターンデータであることができる。
【0096】
<予備エッチング工程>
次に、
図5(n)に示すように、レジストパターンをマスクとした遮光膜22に対する予備エッチングを所定時間行う。これにより、遮光膜22からなる予備パターンを形成する。ここでは、ウェットエッチングを適用する。エッチング剤(エッチング液)には、第1実施形態における予備エッチング工程において用いたエッチング剤と同様のものを用いることができる。また、本実施形態における予備エッチングの終点は、第1実施形態における予備エッチング工程と同様に決定することができる。
【0097】
予備エッチング工程において、エッチング液と接触したレジストパターンの表面に難溶化層29が形成された場合には、次の追加現像に先立ち、オゾン水処理や、プラズマアッシングによって、難溶化層29を除去する処理を施してもよい(
図5(o))。
【0098】
<追加現像工程>
図5(p)に示すように、レジストパターンに対して、追加現像を行う。これにより、一定の寸法分、レジストパターンのエッジを後退させ、半透光膜25の露出部分に隣接する予備パターンのエッジを露出させることができる。レジストパターンエッジの後退量(μm)および露出する予備パターンのエッジ部分の幅(μm)は、それぞれ第1実施形態における追加現像工程のものと同様とすることができる。
【0099】
追加現像で用いられる現像液としては、第1実施形態の追加現像で用いられるものと同様のものを用いることができる。なお、本実施形態の追加現像で用いられる現像液は、本実施形態の初期現像で用いられる現像液とは異なる組成および/または濃度を有するものを用いることが、好ましい。例えば、追加現像に際しては、初期現像に用いる現像液に対して、同一のレジスト剤に対する現像の速度がより大きいものを適用することができる。これにより、描画時に不十分な反応を生じたレジストパターンのエッジ付近を、効率よく除去することができる。
【0100】
<予備パターン寸法の測定工程>
次に、
図5(q)に示すように、半透光膜25の露出部分に隣接する予備パターンのエッジの位置を検出する。半透光膜25は光を一部透過するため、例えば、フォトマスク基板20の裏面側あるいは主表面側から検査光を照射し、透過光を検出することにより、予備パターンのエッジの位置を検出することができる。これにより、予備パターンの寸法を測定することができる。ここでは予備パターンの寸法の一例として、半透光膜25の露出部分の寸法(
図5(q)におけるCD5)を測定する。
【0101】
<追加エッチング時間の算出>
上記したように、予備パターンのエッジ位置から、予備パターンの寸法CD5を測定する。測定した予備パターンの寸法CD5と目標とする半透光部の寸法との差分を求め、サイドエッチング量(追加エッチング量)を算出する。そして、算出したサイドエッチング量に基づいて、予め求めたエッチングレートにより、追加エッチング時間を算出する。
【0102】
<追加エッチング工程>
図5(r)に示すように、上述のようにして得られた追加エッチング時間だけ、追加エッチングを行う。これにより、遮光膜22からなる確定パターンを形成する。確定パターンのエッジ部分においては、第1実施形態と同様に、所定幅の膜厚減少部28が形成される。追加エッチングは、ウェットエッチングであることが好ましい。エッチング剤(エッチング液)は、第1実施形態の追加エッチングと同様のものを用いることができる。
【0103】
<レジストパターンの剥離工程>
図5(s)に示すように、追加エッチング時間分の追加エッチングが終了後、再びエッチングを停止し、レジストパターンを剥離する。このようにして、半透光部45の寸法CD6が目標とする半透光部の寸法に一致するように、精緻に寸法を制御することができる。
【0104】
以上により、透光部40、半透光部45、および遮光部50を含む転写用パターンを備える多階調フォトマスクが完成する(
図5(s)参照)。
本実施形態においても、必要に応じて、予備パターンの寸法測定および追加エッチングを繰り返して行ってもよく、そのような態様も本発明に含まれる。
なお、本実施形態では、一例として、透光部40の形成(
図5(j))の後に、新たなレジスト膜26を塗布して、フォトリソグラフィを繰り返し、半透光部45を形成する構成について説明したが、これに限定されない。例えば、半透光部45を形成した後に透光部40を形成する構成も、本実施形態に含まれる。
【0105】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態にかかる多階調フォトマスクは、特に透光部40あるいは半透光部45に隣接する遮光部50、および遮光部50に隣接する半透光部45の寸法精度が極めて高くなる。
【0106】
[第3実施形態]
次に、
図6を参照しながら、第3実施形態について、説明する。
図6は、第3実施形態に係るフォトマスクの製造方法を工程順に例示する概略図である。本実施形態にかかるフォトマスクの製造方法は、第1実施形態における追加現像の前に、フォトマスク基板20の裏面側から光を照射し、遮光膜22によって遮光されない部分のレジストパターンを感光させる工程(追加露光工程)を有する。
【0107】
図6(a)に示すように、フォトマスク基板20を用意する。本実施形態にかかるフォトマスク基板20は、第1実施形態のフォトマスク基板20と同様の構成を有することができる。
本実施形態にかかるフォトマスクの製造方法は、第1実施形態の追加現像工程(
図2(f))の前に追加露光工程を有する点以外は、第1実施形態と同様である。図面においては、
図6(a)~(e)が、
図2(a)~(e)に相当する。したがって、追加露光工程以降のフロー(
図6(f)以降)について、説明する。
【0108】
<追加露光工程>
予備パターンを形成し、必要に応じてレジスト膜23の難溶化層24を除去したのち(
図6(e))、
図6(f)に示すように、フォトマスク基板20の裏面側から光を照射し、遮光膜22によって遮光されない部分のレジストパターンを露光する。遮光膜22によって遮光されない部分とは、レジストパターンのうちフォトマスク基板20の裏面側から視認できる部分、あるいは、レジストパターンのうち、透明基板21の露出部分に隣接する予備パターンのエッジよりも透明基板21の露出部分側に突出している部分を指す。追加露光工程における露光光としては、例えば波長413nm程度の光を用いることができる。
【0109】
<追加現像>
図6(g)に示すように、レジストパターンに対して、追加現像を行い、一定の寸法分、レジストパターンのエッジを後退させる。これにより、透明基板21の露出部分に隣接する予備パターンのエッジを露出させることができる。レジストパターンエッジの後退量(μm)および露出する予備パターンエッジ部分の幅(μm)は、それぞれ第1実施形態における追加現像工程のものと同様とすることができる。
【0110】
追加現像で用いられる現像液は、第1実施形態における追加現像で用いる現像液と同様のものを用いることができる。本実施形態では、レジストパターンに対して追加露光を行っているため、表面から見たときに透明基板21の露出部分に隣接するレジストパターンのエッジ付近を、より効率よく除去することができる。
【0111】
<予備パターンの寸法の測定工程>
次に、
図6(h)に示すように、予備パターンのエッジの位置を検出する。これにより、予備パターンの所定部位の寸法を測定することができる。例えば、予備パターンがラインアンドスペースパターンであれば、所定部位として、ライン部の寸法、あるいは、スペース部の寸法(例えば、
図6(h)におけるCD7)を測定することができる。ここでは予備パターンの寸法の一例として、スペース部、すなわち、透明基板21が露出している部分の寸法CD7を測定する。この予備パターン寸法CD7と目標とするスペース幅の寸法との差分から、追加エッチング時間を算出することができる。
予備パターンのエッジの位置は、第1実施形態と同様の方法により、把握することができる。
【0112】
<追加エッチング時間の算出>
上記したように、予備パターンのエッジの位置から、予備パターンの寸法CD7を測定する。そして、測定した予備パターンの寸法CD7と当該部分の目標とするスペース幅の寸法との差分を求め、サイドエッチング量(追加エッチング量)を算出する。そして、算出したサイドエッチング量に基づいて、予め求めたエッチングレートにより、追加エッチング時間を算出する。
【0113】
このように、本実施形態では、追加エッチング時間を、レジストパターンの寸法を用いずに、検出した予備パターンのエッジ位置と、得ようとする転写用パターンの目標寸法、およびエッチングレートを用いて算出している。その結果、必要な追加エッチング時間を正確に算出することが可能となる。
【0114】
<追加エッチング>
図6(i)に示すように、上述のようにして得られた追加エッチング時間だけ、追加エッチングを行う。これにより、遮光膜22からなる確定パターンを形成する。確定パターンのエッジ部分(エッジ近傍)においては、第1実施形態と同様に、所定幅の膜厚減少部28が形成される。追加エッチングは、ウェットエッチングであることが好ましい。エッチング剤(エッチング液)は、第1実施形態と同様のものを用いることができる。
【0115】
<レジストパターンの剥離>
次に、
図6(j)に示すように、追加エッチング時間分の追加エッチングが終了後、再びエッチングを停止し、レジストパターンを剥離する。
【0116】
以上により、透光部55、遮光部60を含む転写用パターンを備えるフォトマスクが完成する(
図6(j)参照)。本実施形態によれば、例えば、透光部55の寸法CD8が目標とするスペース幅の寸法に一致するように、精緻に寸法を制御することができる。
なお、上記の態様では、予備パターンの寸法測定は1回のみ行っている。但し、必要に応じて、予備パターンの寸法測定および追加エッチングを、繰り返して行ってもよく、そのような態様も本発明に含まれる。
【0117】
本実施形態では、光学膜として単一の膜が透明基板上に形成されてなるフォトマスク基板を用いてフォトマスクを製造する構成を一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。本実施形態によれば、例えば第2実施形態のように、半透光膜25と、遮光膜22と、レジスト膜23、26とが、この順に積層されたフォトマスク基板20を用いることにより、透光部、半透光部、および遮光部を含む転写用パターンを備える多階調フォトマスクを製造することができる。この場合も、追加現像の前に、本実施形態にかかる追加露光工程を実施すればよい。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0118】
本発明の製造方法によるフォトマスクの用途には特に制約がない。本発明の製造方法によるフォトマスクは、表示装置製造用のフォトマスクとして、特に有利に用いることができる。例えば、本発明の製造方法によるフォトマスクは、表示装置に用いる各レイヤ(例えば、TFTアレイの、ソース・ドレイン・レイヤ、画素レイヤや、カラーフィルタのフォトスペーサレイヤなど、CD精度が特に肝要なレイヤ)の形成に、有利に用いられることができる。
【0119】
本発明は、上述の本発明の製造方法により製造したフォトマスクを用いた表示装置の製造方法を含む。例えば、本発明の表示装置の製造方法は、上述の本発明の第1実施形態、第2実施形態、または第3実施形態の製造方法により製造したフォトマスクを用意する工程と、露光装置を用いて、前記フォトマスクを露光し、前記転写用パターンを、被転写体に転写する工程とを有することができる。本発明の表示装置の製造方法により、精緻なパターン寸法精度の制御が可能になったフォトマスクを用いて、表示装置を製造することができるので、より微細な設計による表示装置の製造に適用することができ、また、生産効率や歩留の向上に寄与することができる。
【0120】
本発明のフォトマスクは、例えば表示装置を製造する場合、転写用パターンのもつ線幅は0.8~100μm程度であり、0.8~30μmの部分を寸法測定の対象とするようなフォトマスクの場合に、特に本発明のフォトマスクの製造方法の効果が顕著である。
従って、本発明の製造方法により製造されるフォトマスクが備える転写用パターンを、被転写体に転写する際に用いる露光機としては、いわゆるLCD(Liquid Crystal Display)用あるいはFPD(Flat Panel Display)用など表示装置用露光装置とされる、等倍のプロジェクション露光装置、又は、プロキシミティ露光装置とすることができる。
このとき、露光光とは、フォトマスク露光時に使用する露光装置の光源によるものであって、i線、h線、或いはg線など、単一波長の光、或いは特定の波長域(例えば365~436nm、又は300~365nmなど)を含むものを用いることができる。
上記露光装置の光学系としては、プロジェクション露光装置の場合、NA(開口数)が0.08~0.15、コヒレンシファクタ(σ)の値が、0.5~0.9の範囲のものを好適に使用することができる。
【0121】
本発明のフォトマスク製造方法は、例えば、光学膜を遮光膜として、バイナリマスクを製造する際に好ましく適用できる。
また、転写用パターンに、透光部、遮光部とともに、半透光膜を用いた半透光部を含む、多階調フォトマスクを形成することに適用することもできる。この場合、半透光膜として、露光光を位相反転せず(位相シフト量が90度以下)に一部透過する(透過率が例えば、20~60%)膜を使用することにより、半透光部とする。形成された転写用パターンは、被転写体上に、段差をもつ立体形状のレジストパターンを形成することができ、表示装置などの製造の効率化を図ることができる。
【0122】
以上に、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0123】
20…フォトマスク基板、21…透明基板、22…遮光膜、22a…遮光層、22b…反射防止層、23、26…レジスト膜、24、29…難溶化層、25…半透光膜、27…予備パターンのエッジ、28…膜厚減少部、30、40、55…透光部、45…半透光部、35、50、60…遮光部