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特許7420635自律移動ロボット、作業エリア内移動システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】自律移動ロボット、作業エリア内移動システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240116BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020073882
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021170287
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】北野 斉
(72)【発明者】
【氏名】望月 恒星
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-191004(JP,A)
【文献】特開平5-233058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識によって囲まれた作業エリアにおいて自律して移動する自律移動ロボットであって、
前記自律移動ロボットの進行方向の前方に配置された2つの標識を検出する検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記自律移動ロボットの現在位置を原点とする前記2つの標識の座標を算出し、当該座標から前記自律移動ロボットの目標経路を設定する目標経路設定装置と、を備える、ことを特徴とする自律移動ロボット。
【請求項2】
前記目標経路設定装置は、前記2つの標識の座標を通る基準直線に前記原点から下した垂線を、前記目標経路に設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の自律移動ロボット。
【請求項3】
前記目標経路に沿って前記自律移動ロボットが移動するように、前記自律移動ロボットの走行機能にフィードバック制御をかける制御装置を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の自律移動ロボット。
【請求項4】
前記制御装置は、前記目標経路の終点に前記自律移動ロボットが到達した後、前記自律移動ロボットの進行方向を90°回転させて所定距離移動させた後、さらに前記自律移動ロボットの進行方向を90°回転させて、前記自律移動ロボットを反転させる、ことを特徴とする請求項3に記載の自律移動ロボット。
【請求項5】
前記検出装置は、標識を検出するレーザーレンジファインダを備える、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の自律移動ロボット。
【請求項6】
作業エリアの四隅に配置された標識と、
前記作業エリア内に配置された請求項1~5のいずれか一項に記載の自律移動ロボットと、を備える、作業エリア内移動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動ロボット、作業エリア内移動システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、作業エリアをくまなく往復走行できる自律移動ロボットが開示されている。この自律移動ロボットは、自律移動ロボットが現在あるべき位置と参照物体がある位置を結んだ直線と、自律移動ロボットの進行方向との間の目標角度を算出する進行方向演算部と、参照物体がある方向と自律移動ロボットの現在の進行方向との間の現在角度を検出する参照物体角度検出部と、を備え、目標角度と現在角度が一致するように駆動輪を操舵する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-325812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、自律移動ロボットが1つの参照物体に対する角度を参照しながら所定の目標経路に沿って移動する。しかしながら、1つの参照物体からでは、自律移動ロボットの現在位置は、当該参照物体を中心に360°無数に取り得る。そうすると、自律移動ロボットの実際の移動経路が、作業エリアから外れてしまう可能性があった。このため、自律移動ロボットの自己位置を、何らかの方法で検出する必要があった。
【0005】
そのための方法としては、自律移動ロボットに自己位置を検出できるセンサ(GPS(Global Positioning System)など)を搭載する方法や、周囲に設置された設置物から自己位置を検出する方法(SLAM(Simultaneously Localization and Mapping)方式など)を例示できる。しなしながら、GPSは、屋内では機能しない場合がある。また、SLAM方式は、近くに壁がない広域エリアや、レーザーを反射しないガラスが多い環境下では機能しない場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、標識を置くだけで、複数の標識によって囲まれた作業エリアにおいて自律して移動できる自律移動ロボット、作業エリア内移動システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の自律移動ロボットは、標識によって囲まれた作業エリアにおいて自律して移動する自律移動ロボットであって、前記自律移動ロボットの進行方向の前方に配置された2つの標識を検出する検出装置と、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記自律移動ロボットの現在位置を原点とする前記2つの標識の座標を算出し、当該座標から前記自律移動ロボットの目標経路を設定する目標経路設定装置と、を備える。
【0008】
また、本発明の作業エリア内移動システムは、作業エリアの四隅に配置された標識と、前記作業エリア内に配置された先に記載の自律移動ロボットと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、標識を置くだけで、標識によって囲まれた作業エリアにおいて自律して移動できる自律移動ロボット、作業エリア内移動システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における作業エリア内移動システムの平面図である。
図2】本発明の一実施形態における自律移動ロボットのブロック図である。
図3】本発明の一実施形態におけるLRFが検出する標識の外観図である。
図4】本発明の一実施形態におけるLRFによる検出結果を示すイメージ図である。
図5】本発明の一実施形態における自律移動ロボットの動作フローである。
図6】本発明の一実施形態における自律移動ロボットの動作フローである。
図7図5に示す動作フローのステップS103~S104の補足図である。
図8図5に示す動作フローのステップS108、図6に示す動作フローのステップS109~S110の補足図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態における作業エリア内移動システム1の平面図である。
図1に示す作業エリア内移動システム1は、作業エリア100の四隅に配置された標識10と、作業エリア100内に配置された自律移動ロボット20と、を備える。自律移動ロボット20は、作業エリア100内をくまなく往復走行する。この動作を、自律移動ロボット20の塗りつぶし動作とも言う。
【0013】
作業エリア100は、平面視で四角形である。作業エリア100の四隅には、標識10A,10B,10C,10Dが配置されている。この四角形の作業エリア100は、例えば自律移動ロボット20による自動清掃、農業における収穫、種まき、芝刈り作業などに適している。なお、作業エリア100は、四角形に限られるものではない。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態における自律移動ロボット20のブロック図である。
自律移動ロボット20は、図2に示すように、走行機能21と、作業機能22と、制御装置23と、目標経路設定装置24と、GUI(Graphical User Interface)25と、LRF(Laser rangefinder)26(検出装置)と、各種センサ27と、を備えている。
【0015】
走行機能21は、例えば、自律移動ロボット20に設けられた左右の駆動輪と、当該左右の駆動輪を正逆回転させる駆動源(モータ)と、を有する。なお、走行機能21は、自律移動ロボット20の姿勢を安定させるために、駆動輪以外に左右に従動輪を有する。また、走行機能21は、2足歩行機能や、4足歩行機能、その他の走行機能を有していても構わない。
【0016】
作業機能22は、自律移動ロボット20の使用目的に応じて適宜変更し得る。例えば、自動清掃を目的とする場合、作業機能22は、掃除機やモップなどである。本実施形態では、後述する動作フローの説明の都合上、作業機能22は、自律移動ロボット20の車幅と同じ幅で設けられている。なお、作業機能22は、後述する動作フローを調整すれば、自律移動ロボット20の車幅に対し、短くても長くても構わない。
【0017】
制御装置23は、走行機能21や作業機能22の動作を制御する。制御装置23は、後述する目標経路設定装置24との間で、スタート、ストップ、オドメトリ、モードの情報を提供し、目標経路、自己位置、ステータス、エラー情報、センサ情報などの情報の提供を受ける。なお、制御装置23と目標経路設定装置24は、機能(ソフト)上分かれているが、装置(ハード)としては一体であっても構わない。
【0018】
GUI25は、制御装置23、目標経路設定装置24に作業パラメータや走行パラメータなどを入力する際に使用する。GUI25は、タッチパネルによるGUIであってもよいし、ディスプレイとキーボードやその他の物理キーなどの組み合わせによるGUIであっても構わない。
レーザーレンジファインダ26(以下、LRF)は、自律移動ロボット20の進行方向の前方に配置された2つの標識10を検出する検出装置である。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態におけるLRF26が検出する標識10の外観図である。図4は、本発明の一実施形態におけるLRF26による検出結果を示すイメージ図である。
図3に示すように、標識10は、リフレクタ部として、距離測定部11と、方位測定部12と、を備えている。図4に示すように、LRF26は、例えば、前方180°に検出光26Lを照射または走査し、標識10の距離と方位(すなわち角度)を測定する。
【0020】
なお、LRF26は、標識10の距離と方位を同時に測定できれば一台で構わないが、標識10の距離と方位を同時に測定できない場合は、距離計測用と方位計測用に2台設置しても構わない。また、当該検出装置は、LRF26に代えて、例えば、画角が広い撮像装置(カメラ)または、通常の画角の撮像装置に画角を広げるレンズを装着したものであっても構わない。
【0021】
図2に戻り、各種センサ27は、自律移動ロボット20の動作に必要な各種情報を取得し、制御装置23に提供する。例えば、各種センサ27には、オドメトリ情報に必要な、左右の駆動輪の回転角度や回転数などの情報を取得するためのロータリーエンコーダなどが含まれる。
【0022】
目標経路設定装置24は、LRF26の検出結果に基づいて、自律移動ロボット20の現在位置を原点とする2つの標識10の座標を算出し、当該座標から自律移動ロボット20の目標経路を設定する。そして、制御装置23は、当該目標経路に沿って自律移動ロボット20が移動するように、自律移動ロボット20の走行機能21にフィードバック制御をかける。
【0023】
次に、自律移動ロボット20の具体的な動作フローについて説明する。
図5及び図6は、本発明の一実施形態における自律移動ロボット20の動作フローである。図7は、図5に示す動作フローのステップS103~S104の補足図である。図8は、図5に示す動作フローのステップS108、図6に示す動作フローのステップS109~S110の補足図である。
【0024】
作業エリア100内に配置された自律移動ロボット20は、図5に示すように、先ず、LRF26によって標識10を検出する(ステップS101)。LRF26の検出結果は、目標経路設定装置24に提供される。
目標経路設定装置24は、LRF26の検出結果に基づいて、標識10が2点以上検出されたか否かを判定する(ステップS102)。
【0025】
標識10が2点以上検出された場合(ステップS102が「Yes」の場合)、目標経路設定装置24は、LRF26の検出結果(標識10の距離及び方位)に基づいて、標識10の検出点を自律移動ロボット20の現在位置を原点Oとする直交座標に変換する(ステップS103)。
【0026】
この直交座標は、図7に示すように、自律移動ロボット20の進行方向と直交する方向をX方向、自律移動ロボット20の進行方向をZ方向とした直交座標となる。LRF26が、標識10Aと標識10Bを検出した場合、標識10Aの検出点Aの座標(X,Z)と、標識10Bの検出点Bの座標(X,Z)は、下式(1)で表すことができる。
【0027】
【数1】
【0028】
なお、lは、自律移動ロボット20(LRF26)から標識10Aまでの距離であり、θは、X方向を0°とした場合の標識10Aの方位である。また、lは、自律移動ロボット20から標識10Bまでの距離であり、θは、X方向を0°とした場合の標識10Bの方位である。
【0029】
次に、目標経路設定装置24は、直交座標に変換した検出点A,Bを通る直線lABの傾きθを導出する(ステップS104)。傾きθは、X方向に対する直線lABの傾き角度であり、下式(2)で表すことができる。
【0030】
【数2】
【0031】
次に、目標経路設定装置24は、ステップS105で導出した直線が2本以上存在するか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105で導出した直線が2本以上存在する場合(ステップS105が「Yes」の場合)、最も傾きθが小さい直線を基準に設定する(ステップS106)。これにより、例えば、図1に示す自律移動ロボット20が、標識10A~10Cの3点を検出した場合であっても、標識10Cに引かれた直線(例えば直線lAC(仮に標識10Aから標識10Cに引かれた直線)や直線lBC(仮に標識10Bから標識10Cに引かれた直線))を基準にしないようにすることができる。
【0032】
一方、ステップS105で導出した直線が2本以上存在しない場合(ステップS105が「Yes」の場合)、つまり、図7に示すように、直線lABが1本だけ存在する場合、目標経路設定装置24は、直線lABを基準直線30に設定する(ステップS107)。
【0033】
次に、目標経路設定装置24は、基準直線30に関する情報に基づいて、図8に示すように、原点Oを中心に検出点A,BのZ方向の座標が等しくなるように直交座標を上式(2)のθだけ回転させる。回転後の検出点A´の座標(X´,Z´)と、検出点B´の座標(X´,Z´)は、下式(3)で表すことができる。
【0034】
【数3】
【0035】
次に、目標経路設定装置24は、自律移動ロボット20の現在位置(原点O)から基準直線30に下した垂線Pを目標経路M1に設定する(ステップS109)。
さらに、目標経路設定装置24は、基準直線30上の検出点(検出点A´,B´)のうち、目標経路M1との交点(垂線Pとの交点)から遠い検出点(検出点B´)の方向を塗りつぶし方向に設定する(ステップS110)。例えば、基準直線30と目標経路M1との交点(垂線Pとの交点)から検出点A´までの距離Lは、下式(4)で表すことができる。
【0036】
【数4】
【0037】
目標経路設定装置24は、設定した目標経路M1、塗りつぶし方向に関する情報を制御装置23に提供する。制御装置23は、目標経路M1に沿って自律移動ロボット20が移動するように、目標経路M1との距離および角度を走行機能21にフィードバックする(ステップS111)。例えば、目標値との差分であるフィードバック値として、ΔL(目標経路M1との距離)、Δθ(目標経路M1との角度)、及びΔv(左右の駆動輪の速度差)は、下式(5)で表すことができる。なお、K、Kθは所定の定数、v、vは左右の駆動輪の速度、R、Lは左右方向を示す。
【0038】
【数5】
【0039】
自律移動ロボット20の走行中、目標経路設定装置24は、基準直線30と自律移動ロボット20との距離(例えばDとする(図8参照))を計算し(上式(5)参照)、基準直線30との距離Dが一定以下か否かを判定する(ステップS112)。なお、オドメトリで走行機能21の駆動輪の回転角度から自律移動ロボット20の移動量を求め、その累積計算から、基準直線30との距離が一定以下か否かを判定しても構わない。基準直線30との距離が一定以下でない場合(ステップS112が「No」の場合)、ステップS111に戻り、制御装置23は、目標経路M1に沿って自律移動ロボット20を前進させる。
【0040】
一方、基準直線30との距離が一定以下である場合(ステップS112が「Yes」の場合)、制御装置23は、目標経路M1の終点に自律移動ロボット20が到達したと判定し、目標経路M1に沿った自律移動ロボット20の移動を終了させる(ステップS113)。
【0041】
次に、制御装置23は、自律移動ロボット20の進行方向を、塗りつぶし方向に90°回転させて車幅分移動させる(ステップS114)。その後、さらに自律移動ロボット20の進行方向を同じ方向に90°回転させて、自律移動ロボット20を反転させる(ステップS115)。
【0042】
なお、ステップS114において、自律移動ロボット20を塗りつぶし方向に車幅分移動させる定距離経路Mk(図1参照)においては、移動距離が短いので自律移動ロボット20のズレが殆ど生じない。このため、制御装置23は、定距離経路Mkをデットレコニングで移動させる。なお、上述したステップS101~S113までの動作フローで、定距離経路Mkを移動させても構わない。
【0043】
自律移動ロボット20が反転した後(ステップS115の後)、動作フローは、図5に示すステップS101に戻る。そして、目標経路設定装置24は、同様の動作フローによって、目標経路(図1に示す目標経路M2)を再度設定する。制御装置23は、当該目標経路M2に沿って自律移動ロボット20を移動させる。このような自律移動ロボット20の往復走行は、作業エリア100をくまなく塗りつぶすまで繰り返される。
【0044】
このように、上述した本実施形態によれば、標識10によって囲まれた作業エリア100において自律して移動する自律移動ロボット20であって、自律移動ロボット20の進行方向の前方に配置された2つの標識10を検出するLRF26と、LRF26の検出結果に基づいて、自律移動ロボット20の現在位置を原点とする2つの標識10の座標を算出し、当該座標から自律移動ロボット20の目標経路M1(や目標経路M2)を設定する目標経路設定装置24と、を備える。この構成によれば、標識10を置くだけで、標識10によって囲まれた作業エリア100において、自律移動ロボット20を自律移動させることができる。
【0045】
また、上述した自律移動ロボット20を備える作業エリア内移動システム1によれば、作業エリア100の四隅に標識10を置くだけでシステムを構築できるため、現場での作業が簡単であり、特別な知識がなくても自律移動ロボット20に所定の作業をさせることができる。
【0046】
また、本実施形態では、目標経路設定装置24は、図8に示すように、2つの標識10(標識10A,10B)の座標を通る基準直線30に原点Oから下した垂線Pを、目標経路M1に設定する。この構成によれば、自律移動ロボット20の現在(スタート)位置から上記2つの標識10を通る基準直線30に対しての垂線Pが目標経路M1となるため、図1に示す作業エリア100の塗りつぶし動作を効率よく行える。
【0047】
また、本実施形態では、目標経路M1に沿って自律移動ロボット20が移動するように、自律移動ロボット20の走行機能21にフィードバック制御(ステップS111)をかける制御装置23を備える。この構成によれば、自律移動ロボット20が目標経路M1から外れることなく、作業エリア100の塗りつぶし動作をさらに効率よく行える。
【0048】
また、本実施形態では、制御装置23は、目標経路M1の終点に自律移動ロボット20が到達した後、自律移動ロボット20の進行方向を90°回転させて所定距離(車幅分)移動させた(ステップS114)後、さらに自律移動ロボット20の進行方向を90°回転させて(ステップS115)、自律移動ロボット20を反転させる。この構成によれば、移動距離が短く、殆どズレが生じない定距離経路Mkを、デットレコニングで移動させて、効率よく自律移動ロボット20を反転させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、目標経路設定装置24は、自律移動ロボット20が反転した後、目標経路M2を再度設定する。この構成によれば、自律移動ロボット20の反転の繰り返しによる累積誤差を無くし、自律移動ロボット20の精度の良い往復走行が可能となる。
【0050】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…作業エリア内移動システム、10…標識、20…自律移動ロボット、21…走行機能、23…制御装置、24…目標経路設定装置、26…レーザーレンジファインダ(検出装置)、30…基準直線、100…作業エリア、M1…目標経路、M2…目標経路、P…垂線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8