(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】光走査装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20240116BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240116BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
B81B3/00
(21)【出願番号】P 2020090522
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-106343(JP,A)
【文献】特開2012-154989(JP,A)
【文献】特開2008-178173(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108761773(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
G02B 26/08
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部、支持部、及び、直列に結合された複数の圧電区画部分を有し、前記支持部と前記ミラー部との間に介在し、前記ミラー部を回転軸の回りに往復回動させる圧電アクチュエータを含む光偏向器と、
前記複数の圧電区画部分を前記光偏向器の基端側から作用端側に並び順に交互に第1組と第2組とに組分けしたとき、前記第1組及び前記第2組の圧電区画部分に対し相互に逆位相の関係になる位相で第1駆動電圧及び第2駆動電圧をそれぞれ供給する駆動部と、
前記回転軸の回りの前記ミラー部の振れ角を検出する検出部と、
を備える光走査装置であって、
前記駆動部は、
第1駆動期間では、前記第1組及び前記第2組の両方の組の圧電区画部分に対し駆動電圧を供給し、
第2駆動期間では、前記第1組及び前記第2組の一方の組の圧電区画部分に対してのみ駆動電圧を供給し、
前記検出部は、前記第2駆動期間には、他方の組の圧電区画部分の出力電圧に基づいて前記振れ角を検出することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1記載の光走査装置において、
前記支持部は、前記ミラー部を環状に包囲し、
前記光偏向器は、前記ミラー部の両側から延び出して前記支持部に結合する1対のトーションバーを有し、
前記圧電アクチュエータは、前記支持部の内周側において前記ミラー部を環状に包囲し、前記回転軸としての第1軸の軸上で前記1対のトーションバーの中間部に結合し、前記ミラー部の中心で前記第1軸に対して直交する第2軸上で前記支持部に結合している環状圧電アクチュエータであることを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項2記載の光走査装置において、
さらに、前記1対のトーションバーに結合する前記環状圧電アクチュエータの結合部分の少なくとも一方の結合部分において前記第1軸を両側から挟んで配置された1対の圧電センサを備え、
前記検出部は、前記第1駆動期間には前記1対の圧電センサの出力電圧に基づいて前記振れ角を検出することを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項3記載の光走査装置において、
前記検出部は、前記第2駆動期間には、前記他方の組の前記圧電区画部分の出力電圧と、前記1対の圧電センサの出力電圧との加算に基づいて前記振れ角を検出することを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の光走査装置において、
さらに、前記第2駆動期間に、前記1対の圧電センサの少なくとも一方の出力端子を、アースに接続する接続切替部を備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項5記載の光走査装置において、
前記接続切替部は、前記第2駆動期間において、前記他方の組を前記第1組及び第2組間で交互に切り替えることを特徴とする光走査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光偏向器を備える光走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の光偏向器を装備する光走査装置では、光源からの光ビームを、軸の回りに往復回動するミラー部に照射させて、走査光ビームをミラー部から出射させている。ミラー部からの走査光ビームの出射方向が正確に制御されるためには、軸の回りのミラー部の振れ角を正確に検出する必要がある。
【0003】
特許文献1は、MEMSの1軸走査方式の光偏向器を開示する。この光偏向器では、ミラー部から回転軸に沿って突出するトーションバーに両側からカンチレバーを結合している。各カンチレバーは、長手方向に圧電アクチュエータとして作用する駆動電圧と、振れ角検出用の圧電センサとして作用する駆動電圧との2つの駆動電圧に区分される。
【0004】
特許文献2は、MEMSの2軸走査方式の光偏向器を開示する。この光偏向器では、1対の半環状の圧電アクチュエータの各々が、回転軸の各側にそれぞれ配設され、トーションバーの長手方向の同一位置で各側から結合し、ミラー部を環状に包囲している。各半環状の圧電アクチュエータは、1つの駆動電圧から成り、各側の半環状の圧電アクチュエータは、相互に逆位相の駆動電圧により駆動され、トーションバーを介してミラー部を回転軸の回りに往復回動させる。
【0005】
特許文献3は、MEMSの1軸走査方式の光偏向器を開示する。この光偏向器では、環状の圧電体が、ミラー部を包囲しているとともに、ミラー部の回転軸上で、回転軸に沿ってミラー部から突出している各トーションバーの中間部に結合している。環状の圧電体は、回転軸に対して各側の半部において中央の駆動電圧と両端の駆動電圧との3個の駆動電圧を有している。各中央駆動電圧は、逆位相の駆動電圧により駆動され、トーションバーを介してミラー部を回転軸の回りに往復回動させる。一方、回転軸に対して同じ側の両端の駆動電圧は、圧電センサとしてその出力が加算され、加算出力に基づいて回転軸の回りのミラー部の振れ角が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5493735号公報
【文献】特許第4984117号公報
【文献】特許第6092713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,3の光偏向器では、回転軸の回りのミラー部の振れ角が大きいときは、駆動電圧の圧電センサの出力電圧は十分に確保される。しかしながら、回転軸の回りのミラー部の振れ角が小さくなると、駆動電圧の圧電センサの出力電圧は、低下する。このため、低振れ角時の検出精度が不十分になる。
【0008】
本発明の目的は、特別の圧電センサを追加することなく、回転軸の回りのミラー部の振れ角が小さいときも十分な出力電圧が得られ、高精度に振れ角を検出できるようにした光走査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光走査装置は、
ミラー部、支持部、及び、直列に結合された複数の圧電区画部分を有し、前記支持部と前記ミラー部との間に介在し、前記ミラー部を回転軸の回りに往復回動させる圧電アクチュエータを含む光偏向器と、
前記複数の圧電区画部分を前記光偏向器の基端側から作用端側に並び順に交互に第1組と第2組とに組分けしたとき、前記第1組及び前記第2組の圧電区画部分に対し相互に逆位相の関係になる位相で第1駆動電圧及び第2駆動電圧をそれぞれ供給する駆動部と、
前記回転軸の回りの前記ミラー部の振れ角を検出する検出部と、
を備える光走査装置であって、
前記駆動部は、
第1駆動期間では、前記第1組及び前記第2組の両方の組の圧電区画部分に対し駆動電圧を供給し、
第2駆動期間では、前記第1組及び前記第2組の一方の組の圧電区画部分に対してのみ駆動電圧を供給し、
前記検出部は、前記第2駆動期間には、他方の組の圧電区画部分の出力電圧に基づいて前記振れ角を検出する。
【0010】
本発明によれば、回転軸の回りの振れ角を小さくする第2駆動期間では、第1組の圧電区画部分のみに駆動電圧を供給して作動させる一方、第2組の圧電区画部分は、圧電センサとして使用する。これにより、特別の圧電センサを追加することなく、回転軸の回りのミラー部の振れ角が小さいときも十分な出力電圧が得られ、高精度に振れ角を検出することができる。
【0011】
好ましくは、本発明の光走査装置において、
前記支持部は、前記ミラー部を環状に包囲し、
前記光偏向器は、前記ミラー部の両側から延び出して前記支持部に結合する1対のトーションバーを有し、
前記圧電アクチュエータは、前記支持部の内周側において前記ミラー部を環状に包囲し、前記回転軸としての第1軸の軸上で前記1対のトーションバーの中間部に結合し、前記ミラー部の中心で前記第1軸に対して直交する第2軸上で前記支持部に結合している環状圧電アクチュエータである。
【0012】
この構成によれば、第2駆動期間において各トーションバーは、第1軸に対して両側から回動力を付与される。これにより、低振れ角期間の往復回動を安定化することができる。
【0013】
好ましくは、本発明の光走査装置は、
さらに、前記1対のトーションバーに結合する前記環状圧電アクチュエータの結合部分の少なくとも一方の結合部分において前記第1軸を両側から挟んで配置された1対の圧電センサを備え、
前記検出部は、前記第1駆動期間には前記1対の圧電センサの出力電圧に基づいて前記振れ角を検出する。
【0014】
この構成によれば、第1駆動期間には、第1組及び第2組の両方の駆動電圧を用いて、ミラー部の大きな振れ角幅を確保しつつ、1対の圧電センサからの十分な出力電圧により振れ角を検出することができる。
【0015】
好ましくは、本発明の光走査装置において、
前記検出部は、前記第2駆動期間には、前記他方の組の前記圧電区画部分の出力電圧と、前記1対の圧電センサの対の出力電圧との加算に基づいて前記振れ角を検出する。
【0016】
この構成によれば、第2駆動期間には、他方の組の圧電区画部分の出力電圧と圧電センサの対の出力電圧との加算に基づいて振れ角を検出するので、第2駆動期間に振れ角検出の基にする出力電圧を一層増大することができる。
【0017】
好ましくは、本発明の光走査装置は、
さらに、前記第2駆動期間に、前記1対の圧電センサの少なくとも一方の出力端子を、アースに接続する接続切替部を備える。
【0018】
この構成によれば、第2駆動期間に、圧電センサの出力端子をアースに接続する。これにより、第2駆動期間において不使用の圧電センサに電荷が蓄積するのを防止することができる。
【0019】
好ましくは、本発明の光走査装置において、
前記接続切替部は、前記第2駆動期間において、前記他方の組を前記第1組及び第2組間で交互に切り替える。
【0020】
この構成によれば、第2駆動期間に他方の組の圧電区画部分を第1組及び第2組間で交互に切り替えることにより、全部の圧電区画部分を均一に休止させ、圧電アクチュエータの寿命の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】第1軸の回りのミラー部の振れ角γと各出力電圧との関係についてのグラフである。
【
図5】光走査装置における振れ角γの検出方法のフローチャートである。
【
図6A】低振れ角モードを低振れ角モード1とする外付け回路において第1駆動期間の接続状態を示す図である。
【
図6B】低振れ角モードを低振れ角モード1とする外付け回路において第2駆動期間の接続状態を示す図である。
【
図7】低振れ角モードを低振れ角モード1とする外付け回路における第1駆動期間及び第2駆動期間の波形図である。
【
図8A】低振れ角モードを低振れ角モード2とする外付け回路において第2駆動期間の接続状態を示す図である。
【
図8B】
図8Aの外付け回路における第2駆動期間の波形図である。
【
図9A】低振れ角モードを低振れ角モード3とする外付け回路において第2駆動期間の接続状態を示す図である。
【
図10】第2駆動期間に駆動組及び非駆動組を交互に切り替える駆動方式の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施態様について説明する。本発明は、以下の実施態様に限定されないことは言うまでもない。本発明は、明細書に開示した技術的思想の範囲内で種々の態様で実施される。なお、実施形態間で共通の構成要素は、同一の符号を付けている。
【0023】
(光走査装置)
図1は、光走査装置10の全体の模式図である。光走査装置10は、レーザ光源20、光偏向器30及び制御部45を備える。
【0024】
図1には、スクリーン90が図示されているが、スクリーン90は、光走査装置10を構成する要素から除外される。スクリーン90は、光走査装置10から出射する走査光ビームLsによる走査軌跡Crを説明する便宜上、図示しているだけである。スクリーン90は、光走査装置10が組み込まれる映像装置や車両用前照灯等の商品に応じて、映像スクリーンであったり、車両前方の照射領域であったりする。
【0025】
スクリーン90の縦及び横は、それぞれ垂直(V)方向及び水平(H)方向に対応している。以下の実施形態において、要素名及び因子名にV又はHがついている要素等は、各方向のうちそれぞれ垂直方向及び水平方向に関連していることを意味する。
【0026】
レーザ光源20は、光偏向器30のミラー部31に向けて、レーザ光ビームLoを出射する。ミラー部31は、レーザ光ビームLoを反射して生成した走査光ビームLsを出射する。
【0027】
ミラー部31は、直交関係の第1軸及び第2軸の2軸の回りにそれぞれ共振及び非共振で往復回動している。なお、この実施形態では、第1軸及び第2軸は、それぞれH軸及びV軸に相当する。走査光ビームLsは、スクリーン90上にラスタースキャンで走査軌跡Crを生成する。
【0028】
制御部45は、駆動部49、検出部50、接続切替部51及び光源制御部52を備えている。光源制御部52は、レーザ光源20の点灯及び消灯の切替や、レーザ光源20の点灯時の通電量(レーザ光ビームLoの光度)を制御する。駆動部49、検出部50及び接続切替部51の詳細は、後述する。
【0029】
(光偏向器)
図2は、光偏向器30の正面図である。ここで、光偏向器30の構成の説明の便宜上、3軸座標系を定義する。X軸及びY軸は、光偏向器30の正面視で横方向及び縦方向に平行な軸とする。Z軸は、MEMSの光偏向器30の厚さ方向に平行な軸とする。
【0030】
光偏向器30は、ミラー部31、1対のトーションバー32a,32b、Hアクチュエータ、可動枠34、1対のVアクチュエータ35a,35b及び固定枠36を備えている。
【0031】
ミラー部31は、円形であり、レーザ光ビームLo(
図1)は、ミラー部31の中心Oに入射する。2軸式光偏向器である光偏向器30のミラー部31の2つの回転軸としての第1軸及び第2軸は、ミラー部31の静止時は、それぞれY軸及びX軸に平行であり、かつ中心Oで直交する関係になっている。
【0032】
環状のHアクチュエータ33及び環状の可動枠34は、ミラー部31を内側から順番に包囲している。トーションバー32a,32bは、ミラー部31の両側において第1軸に沿って延在し、両端においてそれぞれミラー部31の周縁及びHアクチュエータ33の内周に結合している。環状のHアクチュエータ33は、トーションバー32(トーションバー32a及びトーションバー32bの総称)の中間部に結合している。
【0033】
Hアクチュエータ33は、H駆動電圧(第1駆動電圧)の供給を受けて、トーションバー32を介してミラー部31を第1軸の回りに共振周波数(例:1.5kHz)で共振させる。Hアクチュエータ33は、圧電区画部分の組としての第1組39及び第2組40を有している。第1組39及び第2組40の詳細については、
図3で後述する。
【0034】
Vアクチュエータ35a,35bは、X軸方向に可動枠34に対して両側に位置する。各Vアクチュエータ35(Vアクチュエータ35a,35bの総称)は、可動枠34の外周と固定枠36の内周との間に介在する。各Vアクチュエータ35は、Y軸方向に平行にかつミアンダ配列で直列に結合する複数のカンチレバー37を有している。
【0035】
各Vアクチュエータ35における複数のカンチレバー37に対して、X軸方向に固定枠36の側)から可動枠34の側に順番に番号をつけると、奇数番号のカンチレバー37と偶数番号のカンチレバー37とは、振幅及び周波数が同一であり、かつ位相が180°ずれている(相互に逆相の関係にある)V駆動電圧が供給される。
【0036】
V駆動電圧の周波数は、非共振周波数(例:60Hz)に設定されており、第1軸の回りのミラー部31の往復回動の共振周波数より大幅に低い値に設定されている。これにより、ミラー部31は、第2軸(非共振軸)の回りに非共振で往復回動する。なお、この実施形態では、Hアクチュエータ33及びVアクチュエータ35は、共にユニポーラ型の圧電アクチュエータである。
【0037】
(Hアクチュエータ)
図3は、Hアクチュエータ33の詳細図である。Hアクチュエータ33は、Y軸方向に長い長円形(例:陸上競技場のトラック形状)に形成され、Y軸に平行な第1軸を対称軸にした左右対称の形状になっている。
【0038】
Hアクチュエータ33は、第1軸と交差する2箇所においてトーションバー32の中間部分に結合している。該結合部分は、Hアクチュエータ33の作用端として機能する。Hアクチュエータ33は、また、第2軸と交差する2箇所において外周側を可動枠34の内周に結合している。該結合部分は、Hアクチュエータ33の基端として機能する。
【0039】
Hアクチュエータ33の積層構造について説明する前に、その前提となるMEMSの光偏向器30の積層構造について説明する。光偏向器30は、SOI基板の表面に下から順番に下側電極層、圧電膜層及び上側電極層に3層を成膜により積層する。その後、圧電アクチュエータ以外の領域については、これら3層をエッチングで削除して、光偏向器30が完成する。なお、1つのSOI基板をダイシングすることにより複数の光偏向器30が切り出される。
【0040】
SOIは、下から順番に裏面の酸化膜層、ハンドリングのSi層、酸化膜層、上部のSi層及び表面の酸化膜層の5層から構成されている。Hアクチュエータ33及びVアクチュエータ35以外は、下側電極層、圧電膜層及び上側電極層の3層は、エッチングにより除去されている。また、Hアクチュエータ33及びVアクチュエータ35の領域では、SOI基板の裏面側の2層は、裏面側からのエッチングにより除去され、上側の3層が基板部を構成している。
【0041】
Hアクチュエータ33は、対称軸の第1軸に対して各側に1個ずつ基端を有する。Hアクチュエータ33は、Vアクチュエータ35a側の基端から時計回り方向に順番に42a-圧電区画部分42fの計6個の圧電区画部分を有する。
【0042】
計6個の圧電区画部分42a-圧電区画部分42fの配置は、第1軸に対して左右対称であり、この結果、第1軸に対して各側の圧電区画部分の個数は、同数となる。複数の圧電区画部分は、周方向の順番で交互に第1組と第2組とに組み分けされる。圧電区画部分42a,42c,42eは、これら3区画で第1組39を構成し、圧電区画部分42b,42d,42fは、これら3区画で第2組40を構成する。
図3に示されるように、第1組、第2組は総面積が同じであり、いずれの組も全体に占める各圧電区画部分の配置バランスは均等である。そのため、いずれか一方の組の圧電区画部分(3区画)を駆動させるだけで、ミラーを水平方向に均等に回動させることができる。また、第1、第2どちらの組を駆動させた場合でも、同様の回動をさせることができる。
【0043】
駆動部49は、第1組39の圧電区画部分には、第1駆動電圧を供給し、第2組40の圧電区画部分には、第2駆動電圧を供給する。第1駆動電圧と第2駆動電圧とは、位相だけが逆位相の関係にあり、その他の周波数、波形及びバイアス電圧は、同一になっている。
【0044】
圧電区画部分42a-圧電区画部分42fは、前述のSOIの上側3層を基板層としてその表面側に下側電極層、圧電膜層及び上側電極層の3層の上部構造を備えた積層構造になっている。圧電区画部分42a-圧電区画部分42fにおいて、周方向に隣接関係の圧電区画部分の間には、上側電極層及び圧電膜層を分断する分断溝が形成されている。これにより、周方向に隣接関係の圧電区画部分同士の短絡が阻止される。
【0045】
圧電センサ43a,43bは、Hアクチュエータ33においてトーションバー32bとの交差部を両側から挟む領域に形成されている。圧電センサ43(圧電センサ43a,43bの総称)は、周方向に圧電区画部分42eと圧電区画部分42fとの間に位置し、圧電区画部分42a-圧電区画部分42fとは別の出力電圧を発生させる。また、圧電センサ43a,43bはいずれも圧電区画部分42a-圧電区画部分42fより面積が小さい。
【0046】
第1組39及び第2組40は、前述したように、相互に逆位相の第1駆動電圧及び第2駆動電圧をそれぞれ受ける。これにより、第1組39及び第2組40は、相互に逆位相で湾曲変形し、Hアクチュエータ33は、トーションバー32を介してミラー部31を第1軸の回りに往復回動させる。Hアクチュエータ33は、第1軸に対して各側に第1組39及び第2組40の両方をもつので、第1軸の回りの振れ角幅の増大を図ることができる。
【0047】
圧電センサ43a,43bは、Hアクチュエータ33上で周方向に隣接しない方の組の圧電区画部分と同位相で湾曲変形し、変形量に応じた出力電圧を生成する。圧電センサ43の出力電圧は、検出部50に送られる。
【0048】
(圧電センサへのHアクチュエータの転用)
図4は、第1軸の回りのミラー部31の振れ角γと各出力電圧との関係についてのグラフである。なお、
図4において、振れ角γ=0°とは、ミラー部31が光偏向器30の真正面を向いた時の振れ角として定義される。
図4の横軸は、ミラー部31が光偏向器30の真正面の向きに対して一側の振れ角γを示している。光偏向器30は、第1軸に対して左右対称の構成になっているので、ミラー部31が光偏向器30の真正面の向きに対して他側の振れ角γについても同一の関係がある。
【0049】
図4以降の図において、各略称の定義は、次のとおりである。
hact1:第1組39
hact2:第2組40
hact1センサ:圧電センサに転用した第1組39
hact2センサ:圧電センサに転用した第2組40
hsen1:圧電センサ43a
hsen2:圧電センサ43b
SW(
図6A等):スイッチ
【0050】
図4において”+”は、出力電圧の加算を意味する。ただし、加算項同士の出力電圧が逆位相であるときは、加算後の値が増大するように、一方の出力電圧を反転させてから、加算の処理を行っている。例えば、「◆:hsen1+hsen2」では、圧電センサ43a,43bの出力電圧は、互いに逆位相であるので、検出部50は、圧電センサ43bの出力電圧を反転させてから(-出力電圧)、圧電センサ43aの出力電圧に加算している(圧電センサ43aの出力電圧+(-圧電センサ43bの出力電圧))。
【0051】
図4から次のことが理解できる。
(a1)圧電センサ43a,43bの出力電圧の加算値は、振れ角γの低い領域(目安として、5°を閾値として、振れ角γ≦5°の領域)では、低い。このため、振れ角γの検出精度が低下する。
(a2)振れ角γの低い領域では、圧電センサ43a,43bの出力電圧の加算値より第2組40の出力電圧の方(■:Hact2センサ)が大きい。なお、第2組40を圧電センサとして使用しているときは、第1軸の回りのミラー部31の往復回動は、第1組39のみにより行われる。
(a3)振れ角γの低い領域では、第2組40の出力電圧と圧電センサ43a,43bのうちの一方の出力電圧との加算値(▲:Hact2センサ+Hsen2)が、対比した三者(“◆”、“■”及び“▲”)の中では、一番大きい。
【0052】
光走査装置10は、
図4からの知見に基づいた制御を実施する。具体的には、ミラー部31の振れ角幅が閾値γa(例:γa=5°)以下で作動させる制御期間では、第1組39及び第2組40のうちの一方のみを圧電アクチュエータとして残し、他方は圧電アクチュエータではなく圧電センサとして使用する。そして、検出部50による振れ角γの検出は、(b1)該他方の出力電圧(例:
図4の“■”)、(b2)該他方の出力電圧と圧電センサ43a,43bのうちの一方の出力電圧との加算(例:
図4の“▲”)、及び、(b3)該他方の出力電圧と圧電センサ43a,43bの出力電圧の加算値との加算のうちのいずれか1つに基づいて行う。
【0053】
(振れ角の検出方法)
図5は、光走査装置10における振れ角γの検出方法のフローチャートである。該フローチャートを説明する前に該フローチャートの検出方法が適用される具体的な回路について説明する。
【0054】
なお、この実施形態では、通常振れ角モード(高振れ角モード)は1つであるのに対し、低振れ角モードは1-3の3つがある。通常振れ角モード(高振れ角モード)とは、第1駆動期間で使用する振れ角モードであり、ミラー部31の振れ角幅が閾値γaを超える大きな振れ角幅で振れ角制御するときの振れ角モードである。これに対し、低振れ角モードとは、第2駆動期間で使用する振れ角モードであり、ミラー部31の振れ角幅が閾値γa以下である小さな振れ角幅で振れ角制御するときの振れ角モードである。
【0055】
各振れ角モードで(振れ角)センサとして使用する素子(圧電体)と、各センサ間の位相差(基準素子の出力電圧の位相に対する対象素子の出力電圧の位相差)との関係は、次の通りである。
【0056】
【0057】
各振れ角モードで(振れ角)センサとして使用する素子(圧電体)と、後述の
図6A等の回路図におけるSW(スイッチ)1-3の接続位置との関係は次の通りである。
【0058】
【0059】
図6A及び
図6Bは、低振れ角モードを低振れ角モード1とする外付け回路においてそれぞれ第1駆動期間及び第2駆動期間の状態図である。
図7は、外付け回路における第1駆動期間及び第2駆動期間の波形図である。なお、低振れ角モード1は、(b1)の検出方式に対応する。
【0060】
図6A及び
図6Bにおいて、制御部45は、SW(スイッチ)1ーSW3の接続位置を制御する。66,67は、駆動アンプである。68-71は、センサアンプである。75,76は、抵抗である。
【0061】
制御部45は、第1駆動電圧及び第2駆動電圧をそれぞれ駆動アンプ66,67を介して第1組39及び第2組40に供給する。第2組40及び圧電センサ43aの出力電圧は、センサアンプ68,69を介して制御部45に送られる。圧電センサ43bの出力電圧は、センサアンプ70,71を介して制御部45に送られる。
【0062】
SW1は、第1駆動期間(
図6A)、すなわち第2組40を圧電アクチュエータで使用するときには、第2組40を接点Aに接続し、第2駆動期間(
図6B)、すなわち第2組40を圧電センサで使用するときは、第2組40を接点Bに接続する。SW2,SW3は、第1駆動期間及び第2駆動期間にはそれぞれ共に接点A及び接点Bの接続位置になる。
【0063】
図7において、時間t=t1を境にHアクチュエータ33の駆動期間は、第1駆動期間から第2駆動期間に切り替えられる。SW1-SW3の2値レベルにおいて、”0”は接続位置が接点Aにあることを示し、”1“は接続位置が接点Bにあることを示している。
【0064】
第1駆動期間において、第1駆動電圧及び第2駆動電圧は、相互に逆位相の駆動電圧になっている。これにより、ミラー部31は、第1軸の回りを大きな振れ角幅で往復回動する。すなわち、走査光ビームLsは、H方向に大きな走査幅で走査する。
【0065】
圧電センサ43a,43bは、相互に逆位相で湾曲変形し、第1駆動期間では、相互に逆位相の出力電圧を生成している。制御部45(詳しくは、制御部45の検出部50)は、第1駆動期間では、圧電センサ43bの出力電圧を反転してから、圧電センサ43aの出力電圧に加算し、加算後の値(
図4の“◆”参照)に基づき第1駆動期間の振れ角γを検出する。第1駆動期間における振れ角幅は十分大きいので、振れ角γの検出精度は十分に保証される。
【0066】
第2駆動期間において、SW1,SW2は、共に接点Bの接続位置になる。これにより、Hアクチュエータ33は、第1組39の圧電区画部分のみにより、ミラー部31を第1軸の回りに往復回動させる。このため、Hアクチュエータ33によるアクチュエータ力は、半減するが、第2駆動期間は、第1軸の回りにミラー部31を小さい振れ角幅で往復動させる期間であり、ミラー部31は、第1軸の回りに指示された振れ角幅で支障なく往復回動する。
【0067】
一方、第2駆動期間では、SW1ーSW3の全部が接点Bの接続位置になる。これにより、第2組40の圧電区画部分の出力電圧が制御部45に送られる。制御部45の検出部50は、第2組40の圧電区画部分の出力電圧に基づき振れ角γを検出する。第2組40の圧電区画部分の出力電圧は、圧電センサ43a,43bの加算値の出力電圧より大きいので(
図4の“■”と“◆”との対比参照)、検出部50は、十分な精度で振れ角γを検出することができる。また、第2組40の圧電区画部分42b、42d、42fは、いずれも圧電センサ43a,43bと比べてトーションバー32bから離間している場所に位置するため、トーションバーから応力がかかりすぎて剥離することが防がれる。
【0068】
図5のフローチャートを説明する。S(ステップ)101では、駆動部49は、ミラー部31を第1軸の回りに往復回動させる振れ角モードを判定する。振れ角モードには、低振れ角モードと高振れ角モードとの2つがある。具体的には、駆動部49は、ミラー部31を、振れ角γの振れ角幅を閾値γa以下にして往復回動させるときは、低振れ角モードの制御期間と判定し、振れ角γの振れ角幅を閾値γaより大きくして往復回動させるときは、高振れ角モードの制御期間と判定する。
【0069】
駆動部49は、低振れ角モードの制御期間と判定したときは、処理をS102に進める。駆動部49は、高振れ角モードの制御期間と判定したときは、処理をS108に進める。
【0070】
先に、低振れ角モードの制御期間の処理について説明する。S102において、駆動部49は、第2駆動電圧の出力を停止して、第1駆動電圧のみを出力し、第1組39の圧電区画部分のみを駆動する。この結果、ミラー部31のアクチュエータ力は、半減するが、この期間のミラー部31に要求されている振れ角γの振れ角幅は小さいので、第1軸の回りのミラー部31の往復回動には支障がない。
【0071】
S103において、接続切替部51は、圧電センサ43a,43bをアースに接続する。具体的には、接続切替部51は、
図6Bに図示されているように、SW1-SW3の接続位置をすべて接点Bに切り替える。この結果、圧電センサ43a,43bの出力端子は、0V(アース)に維持され、湾曲変形中の電荷蓄積による脱分極が防止される。
【0072】
一方、SW1の接続位置が接点Aから接点Bに切替わることに伴い、第2組40の機能は、圧電アクチュエータから圧電センサに切り替わる。
【0073】
S104において、検出部50は、第2組40の圧電区画部分の出力電圧Voa2に基づき振れ角γを検出する。
図4の“■”で説明したように、ミラー部31は低振れ角モードであるにもかかわらず、検出部50の出力電圧は、十分な大きさを確保される。したがって、低振れ角モード時の振れ角γの検出精度が保証される。
【0074】
高振れ角モードの制御期間の処理について説明する。S108において、駆動部49は、第1出力電圧及び第2出力電圧の両方でそれぞれ第1組39及び第2組40を駆動する。なお、高振れ角モードの制御期間では、接続切替部51は、SW1-SW3の全部を接点Aに切り替えている(
図6B)。
【0075】
Hアクチュエータ33において、第1組39及び第2組40の両方の圧電区画部分が駆動されることにより、Hアクチュエータ33は、大きなアクチュエータ力を出力する。これにより、ミラー部31は、第1軸の回りの大きな振れ角幅で往復回動することができる。
【0076】
S109において、検出部50は、圧電センサ43a,43bの出力電圧Vos1,Vos2の加算値に基づき振れ角γを検出する。
図4の“◆”で説明したように、高振れ角モード時の振れ角γの振れ角幅は大きい。したがって、高振れ角モード時の振れ角γの検出精度が保証される。
【0077】
(その他の低振れ角モード)
図8Aは、低振れ角モードを低振れ角モード2とする外付け回路において第2駆動期間の接続状態を示す図である。なお、低振れ角モード2は、(b2)の検出方式に対応する。
【0078】
図8Bは、
図8Aの外付け回路における第2駆動期間の波形図である。なお、
図8Aの制御部45における第1駆動期間の接続位置は、
図6Aと同一であるので、図示は省略する。また、
図8Aの制御部45における第1駆動期間の第1組39、SW1,SW2及び圧電センサ43aの波形図は、
図7のそれらとの波形図と同一であるので、図示は省略する。
【0079】
図8A及び
図8Bにおいて、
図6B及び
図7との相違点について説明する。
図8Aの第2駆動期間では、SW3は、接点Aの接続位置になる。これにより、検出部50は、第2組40の圧電区画部分の出力電圧と圧電センサ43bの出力電圧との加算値に基づき振れ角γを検出する。
【0080】
圧電センサ43bの出力電圧は、第2組40の圧電区画部分の出力電圧とは逆位相の関係にある。したがって、検出部50は、圧電センサ43bの出力電圧を反転してから第2組40の圧電区画部分の出力電圧に加算する。
【0081】
図9Aは、低振れ角モードを低振れ角モード3とする外付け回路において第2駆動期間の接続状態を示す図である。低振れ角モード3は、(b3)の検出方式に対応する。
図9Bは、
図9Aの外付け回路の波形図である。なお、
図9Aの制御部45における第1駆動期間の接続位置は、
図6Aと同一であるので、図示は省略する。また、
図9Bの制御部45における第1駆動期間の第1組39、SW1,SW2及び圧電センサ43aの波形図は、
図7のそれらの波形図と同一であるので、図示は省略する。
【0082】
図9A及び
図9Bにおいて、
図6B及び
図7との相違点について説明する。圧電センサ43aは、第2組40の圧電区画部分用のセンサアンプ68,69とは別に専用のセンサアンプ77,78が用意される。
【0083】
図9Aの第2駆動期間では、SW2、SW3は、共に、接続位置を接点Aに切り替えている。これにより、検出部50は、第2組40の圧電区画部分の出力電圧と圧電センサ43a,43bの出力電圧の加算値との加算値に基づき振れ角γを検出する。
【0084】
図10は、第2駆動期間に駆動組及び非駆動組を交互に切り替える駆動方式の回路図である。第2駆動期間の駆動組及び非駆動組を、以下、それぞれ第1組39及び第2組40とする第1動作期間と、第2組40及び第1組39とする第2動作期間とに分けられる。
図11は、
図10の回路において各動作期間の波形を対比して示す図である。
【0085】
図10において、SW6,SW7は、制御部45からの制御信号により接続位置が切り替えられる。
【0086】
図10の上側の図及び
図11の左半部は、第1動作期間の接続位置及び波形を示し、
図10の下側の図及び
図11の右半部は、第2動作期間の接続位置及び波形を示している。第1動作期間と第2動作期間とは、第2駆動期間において、例えば一定時間間隔で交互に切り替えられる。
【0087】
第1動作期間では、SW6,SW7の接続位置は共に接点Aになっている。これにより、第1駆動電圧が第1組39に供給される一方、第2組40への第2駆動電圧の供給は停止される。これにより、Hアクチュエータ33は、第1組39の圧電区画部分のみが圧電アクチュエータとして作動する一方、第2組40の圧電区画部分は、圧電センサとして振れ角γに係る出力電圧を出力する。さらに、検出部50には、第2組40からの出力電圧と共に、圧電センサ43a,43bからの出力電圧が入力され、検出部50は、これら3個の素子(圧電体)からの出力電圧に基づいて振れ角γを検出する。
【0088】
第2動作期間では、SW6,SW7の接続位置が共に接点Bに切り替えられる。これにより、第1組39への駆動部49からの第1駆動電圧の供給が停止される一方、駆動部49から第2組40への第2駆動電圧の供給は実施される。この結果、Hアクチュエータ33は、第2組40の圧電区画部分のみが圧電アクチュエータとして作動する一方、第1組39は、圧電センサとして振れ角γに係る出力電圧を出力する。さらに、検出部50には、第1組39からの出力電圧と共に、圧電センサ43a,43bからの出力電圧が入力され、検出部50は、これら3個の素子(圧電体)からの出力電圧に基づいて振れ角γを検出する。
【0089】
この実施形態では、第2駆動期間において駆動組及び非駆動組を第1組39及び第2組40間で交互に切り替えることにより、各圧電区画部分は圧電アクチュエータの作動と停止とを交互に繰り返すので、寿命が改善される。
【0090】
(変形例)
実施形態の光偏向器30では、Hアクチュエータ33がトーションバー32と結合する2つの結合部分の少なくとも一方の結合部分(例:トーションバー32b側の結合部分)において、第1軸の両側に圧電センサ43の対が設けられている。本発明では、他方の結合部分(例:トーションバー32a側の結合部分)にも圧電センサ43の対を設けて、2対の圧電センサ43に出力電圧から振れ角γを検出することも可能である。
【0091】
実施形態の光偏向器30は、2軸式の光偏向器となっている。本発明の光走査装置が装備する光偏向器は、1軸式の光偏向器であってもよい。
【0092】
実施形態のHアクチュエータ33は、環状に形成されている。本発明の光走査装置が装備する圧電アクチュエータは、特許文献1のような各トーションバーの両側に結合する直線状(非環状)の圧電アクチュエータであってもよい。
【0093】
実施形態の
図4では、振れ角γの検出の基にする出力電圧の組み合わせとして、Hact2センサ+Hsen2の1つのみとなっている。本発明の組み合わせは、その他として、(c1)Hact2センサ+Hsen1、(c2)Hact2センサ+Hsen1+Hsen2、(c3)Hact2センサ+Hsen2、(c4)Hact1センサ+Hsen1、及び、(c5)Hact1センサ+Hsen1+Hsen2のいずれかの組み合わせにしてよい。
【0094】
実施形態では、支持部としての可動枠34は、ミラー部31を包囲する環状になっている。本発明では、支持部は、ミラー部を外側から包囲する環状でなくてもよい。本発明の支持部は、ミラー部を片側から支持する構造であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
10・・・光走査装置、20・・・レーザ光源、30・・・光偏向器、31・・・ミラー部、32a,32b・・・トーションバー、33・・・Hアクチュエータ(環状圧電アクチュエータ)、34・・・可動枠(支持部)、39・・・第1組、40・・・第2組、42a-42f・・圧電区画部分、43a,43b・・・圧電センサ、45・・・制御部、49・・・駆動部、50・・・検出部、51・・・接続切替部。