(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】外装部材供給装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240116BHJP
B65G 11/08 20060101ALI20240116BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H02G3/04 062
B65G11/08
B65G47/52 E
(21)【出願番号】P 2020104574
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】川越 澄雄
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-85533(JP,U)
【文献】特開2020-66489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B65G 11/08
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の外装部材を短尺に切断し、短尺の外装部材を受取位置で落下させる送り込み機構部と、
受取位置に収容箱を配置させて前記送り込み機構部から落下される前記外装部材を前記収容箱へ収容させる受取機構部と、
前記送り込み機構部及び前記受取機構部の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記受取機構部は、
前記受取位置へ向かって下方へ傾斜され、傾斜の上方側から投入された複数の前記収容箱を傾斜に沿って滑り落とす摺動路と、
前記摺動路の傾斜の下端に設けられて前記収容箱の前端を係止する第1ストッパと、
前記摺動路における前記第1ストッパよりも傾斜の上方側に設けられて前記収容箱の前端を係止する第2ストッパと、
を有し、
前記制御部は、前記第2ストッパによる前記収容箱の係止を可能とする状態で前記第1ストッパによる前記収容箱の係止を解除することにより前記収容箱を前記摺動路の下端から送り出させた後に、前記第1ストッパによる前記収容箱の係止を可能とし、さらに、前記第2ストッパによる前記収容箱の係止を解除する、
ことを特徴とする外装部材供給装置。
【請求項2】
前記受取機構部の下方に設けられて前記摺動路の傾斜と反対側へ傾斜した搬送ステージと、
前記受取機構部の前記摺動路に繋がる搬入位置と前記搬送ステージに繋がる搬出位置との間で回動される可動ステージを有する移送機構部と、
を備え、
前記移送機構部は、前記可動ステージが前記搬入位置に配置されることにより、前記受取機構部の前記摺動路から前記収容箱が送り込まれ、前記可動ステージが前記搬出位置に配置されることにより、前記収容箱を前記搬送ステージへ送り出す、
ことを特徴とする請求項1に記載の外装部材供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記送り込み機構部によって、長尺の前記外装部材を切断させて指定本数の短尺の前記外装部材を、前記受取機構部における前記受取位置に配置された前記収容箱へ収容させ、
前記移送機構部の前記可動ステージを前記搬入位置に配置させ、
前記受取機構部の前記第1ストッパによる前記収容箱の係止を解除させることにより前記収容箱を前記可動ステージへ送り込み、
前記移送機構部の前記可動ステージを回動させて前記搬出位置に配置させることにより、前記収容箱を前記搬送ステージへ送り出す、
ことを特徴とする請求項2に記載の外装部材供給装置。
【請求項4】
前記収容箱は縦長であり、
前記移送機構部は、前記可動ステージに縦向きに送り込まれた前記収容箱の姿勢を横向きに変換させる方向変換機構を備え、
前記制御部は、前記可動ステージに前記収容箱が送り込まれた際に、前記方向変換機構による前記収容箱の姿勢の変換を行わせる、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の外装部材供給装置。
【請求項5】
前記収容箱には、収容する前記外装部材の本数の情報が指定本数として記憶された記憶媒体が設けられ、
前記摺動路には、前記受取位置に配置された前記収容箱の前記記憶媒体の情報を読み取る受信器が設けられ、
前記制御部は、前記受信器で読み取った前記記憶媒体の情報に基づいて前記送り込み機構部を制御し、長尺の前記外装部材を切断させて指定本数の短尺の前記外装部材を前記収容箱へ収容させる、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の外装部材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装部材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に配索されるワイヤハーネスは、電線束が外装部材であるコルゲートチューブに覆われて保護される。ワイヤハーネスを製造する製造装置として、チューブ切断装置で所定長さに切断されたコルゲートチューブを、チューブ供給装置によって、治具板で組付け作業を行う作業者へ供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の製造装置では、所定長さに切断したコルゲートチューブをチューブ供給装置によって治具板へ直接供給するため、各種のワイヤハーネスを組付ける治具板毎にチューブ供給装置を備えることとなる。このため、製造装置の設備が大掛かりとなり、設備費が嵩んでしまう。また、製造するワイヤハーネスの種類の変更に応じてチューブ供給装置も変更しなければならず、多品種少量生産に対応することが困難であった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、設備費が抑えられ、しかも、多品種少量生産に適した外装部材供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る外装部材供給装置は、下記(1)~(5)を特徴としている。
(1) 長尺の外装部材を短尺に切断し、短尺の外装部材を受取位置で落下させる送り込み機構部と、
受取位置に収容箱を配置させて前記送り込み機構部から落下される前記外装部材を前記収容箱へ収容させる受取機構部と、
前記送り込み機構部及び前記受取機構部の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記受取機構部は、
前記受取位置へ向かって下方へ傾斜され、傾斜の上方側から投入された複数の前記収容箱を傾斜に沿って滑り落とす摺動路と、
前記摺動路の傾斜の下端に設けられて前記収容箱の前端を係止する第1ストッパと、
前記摺動路における前記第1ストッパよりも傾斜の上方側に設けられて前記収容箱の前端を係止する第2ストッパと、
を有し、
前記制御部は、前記第2ストッパによる前記収容箱の係止を可能とする状態で前記第1ストッパによる前記収容箱の係止を解除することにより前記収容箱を前記摺動路の下端から送り出させた後に、前記第1ストッパによる前記収容箱の係止を可能とし、さらに、前記第2ストッパによる前記収容箱の係止を解除する、
ことを特徴とする外装部材供給装置。
【0007】
(2) 前記受取機構部の下方に設けられて前記摺動路の傾斜と反対側へ傾斜した搬送ステージと、
前記受取機構部の前記摺動路に繋がる搬入位置と前記搬送ステージに繋がる搬出位置との間で回動される可動ステージを有する移送機構部と、
を備え、
前記移送機構部は、前記可動ステージが前記搬入位置に配置されることにより、前記受取機構部の前記摺動路から前記収容箱が送り込まれ、前記可動ステージが前記搬出位置に配置されることにより、前記収容箱を前記搬送ステージへ送り出す、
ことを特徴とする上記(1)に記載の外装部材供給装置。
【0008】
(3) 前記制御部は、
前記送り込み機構部によって、長尺の前記外装部材を切断させて指定本数の短尺の前記外装部材を、前記受取機構部における前記受取位置に配置された前記収容箱へ収容させ、
前記移送機構部の前記可動ステージを前記搬入位置に配置させ、
前記受取機構部の前記第1ストッパによる前記収容箱の係止を解除させることにより前記収容箱を前記可動ステージへ送り込み、
前記移送機構部の前記可動ステージを回動させて前記搬出位置に配置させることにより、前記収容箱を前記搬送ステージへ送り出す、
ことを特徴とする上記(2)に記載の外装部材供給装置。
【0009】
(4) 前記収容箱は縦長であり、
前記移送機構部は、前記可動ステージに縦向きに送り込まれた前記収容箱の姿勢を横向きに変換させる方向変換機構を備え、
前記制御部は、前記可動ステージに前記収容箱が送り込まれた際に、前記方向変換機構による前記収容箱の姿勢の変換を行わせる、
ことを特徴とする上記(2)または(3)に記載の外装部材供給装置。
【0010】
(5) 前記収容箱には、収容する前記外装部材の本数の情報が指定本数として記憶された記憶媒体が設けられ、
前記摺動路には、前記受取位置に配置された前記収容箱の前記記憶媒体の情報を読み取る受信器が設けられ、
前記制御部は、前記受信器で読み取った前記記憶媒体の情報に基づいて前記送り込み機構部を制御し、長尺の前記外装部材を切断させて指定本数の短尺の前記外装部材を前記収容箱へ収容させる、
ことを特徴とする上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の外装部材供給装置。
【0011】
上記(1)の構成の外装部材供給装置によれば、第1ストッパによる収容箱の係止が解除されることにより、外装部材を収容した収容箱が摺動路から送り出される。その後、第1ストッパによる収容箱の係止が可能とされ、さらに、第2ストッパによる収容箱の係止が解除され、次に外装部材を収容する収容箱が滑り落ちて第1ストッパに係止されて受取位置へ配置される。また、同一の摺動路に複数の収容箱が投入されている場合でも、第1ストッパによる係止が解除された際に、複数の収容箱が連続して送り出されることを防止できる。したがって、収容箱への外装部材の収容及び外装部材を収容した収容箱の送り出しを円滑に行うことができ、設備費を抑えつつ、多品種少量生産に対応して外装部材を効率的に供給することができる。
【0012】
上記(2)の構成の外装部材供給装置によれば、移送機構部の可動ステージが搬入位置と搬出位置との間で回動されることにより、受取機構部から送り込まれる収容箱が、受取機構部の下方に設けられた搬送ステージへ送り出される。このように、受取機構部の下方に搬送ステージを設けることによる設備の小型化を図りつつ、移送機構部を設けることにより、収容箱を円滑に搬送ステージへ送り出すことができる。
【0013】
上記(3)の構成の外装部材供給装置によれば、長尺の外装部材を切断して指定本数の短尺の外装部材として収容箱へ収容させ、この収容箱を移送機構部によって搬送ステージへ送り出すことができる。これにより、次工程のワイヤハーネスの組立工程へ外装部材を円滑に供給することができ、ワイヤハーネスの製造効率を向上させることができる。
【0014】
上記(4)の構成の外装部材供給装置によれば、摺動路から送り込まれた収容箱が横向きの姿勢で搬送ステージへ送り出されるので、搬送ステージにおいて複数の収容箱を並列に並べることができ、複数の収容箱を搬送ステージの限られたスペースに効率的に配置させることができる。
【0015】
上記(5)の構成の外装部材供給装置によれば、受信器で読み取った記憶媒体の情報に基づいて制御部が送り込み機構部を制御し、長尺の外装部材を切断させて指定本数の短尺の外装部材を前記収容箱へ収容させる。したがって、収容すべき指定本数の外装部材を収容箱へ正確に収容させることができ、その後のワイヤハーネスの製造作業を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、設備費が抑えられ、しかも、多品種少量生産に適した外装部材供給装置を提供できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る外装部材供給装置の概略側面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る外装部材供給装置の概略平面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る外装部材供給装置の概略正面図である。
【
図4】
図4は、送り込み機構部のシャッタを示す図であって、
図4(a)はシャッタが待機位置に配置された状態の収容部の概略平面図、
図4(b)はシャッタが連通位置に配置された状態の収容部の概略平面図である。
【
図8】
図8は、制御部による動作を説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、収容箱へ送り込まれる外装部材の状態を示す収容箱の概略側面図である。
【
図10】
図10は、制御部による各機構の駆動のタイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る外装部材供給装置の概略側面図である。
図2は、本実施形態に係る外装部材供給装置の概略平面図である。
図3は、本実施形態に係る外装部材供給装置の概略正面図である。
【0021】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る外装部材供給装置100は、送り込み機構部10と、受取機構部20と、移送機構部40と、搬送ステージ50と、制御部60とを備えている。
【0022】
この外装部材供給装置100は、管状に形成された樹脂製のコルゲートチューブからなる外装部材1を指定された長さに切断して分配供給する装置である。外装部材1は、ワイヤハーネスを構成する電線束の外周を覆うように装着されて電線束を保護する外装部材である。この外装部材1は、電線束の径に応じて異なる複数径のものがあり、これらの異なる複数径の外装部材1は、電線束における装着箇所に必要な長さに切断されて用いられる。
【0023】
送り込み機構部10は、底部が開口された複数のレーン11を有した収容部12を備えている。この収容部12は、前方側(
図1における左側)へ向かって下方へ傾斜されている。この収容部12には、その後部に切断機構13が設けられている。この切断機構13には、チューブ供給部(図示略)から長尺の外装部材1が送り込まれる。
【0024】
この送り込み機構部10では、切断機構13が送り込まれる長尺の外装部材1を指定された長さに切断する。すると、切断された短尺のコルゲートチューブからなる外装部材2は、収容部12の各レーン11へ滑り落ちて送り込まれる。
【0025】
図4は、送り込み機構部のシャッタを示す図であって、
図4(a)はシャッタが待機位置に配置された状態の収容部の概略平面図、
図4(b)はシャッタが連通位置に配置された状態の収容部の概略平面図である。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、収容部12の底部には、シャッタ14が設けられている。シャッタ14は、板状に形成されており、収容部12の各レーン11に対応したスリット15を有している。スリット15は、傾斜の下縁側に形成されている。シャッタ14は、駆動部(図示略)によって、収容部12の各レーン11の長さ方向に対して直交する方向へ往復移動される。これにより、シャッタ14は、スリット15がレーン11から外れた待機位置(
図4(a)の位置)と、スリット15がレーン11の下方に配置された連通位置(
図4(b)の位置)とに配置される。シャッタ14の各スリット15は、傾斜の下方側が幅広部15aとされ、傾斜の上方側が幅狭部15bとされている。そして、スリット15は、シャッタ14が待機位置から連通位置へ移動される際に、幅広部15aが先にレーン11と連通される。
【0026】
この送り込み機構部10において、収容部12のレーン11に送り込まれた短尺の外装部材2は、待機位置に配置されたシャッタ14が連通位置へ移動されてレーン11にスリット15が連通されることにより、スリット15を通して下方へ落下される。
【0027】
受取機構部20は、送り込み機構部10の下方に設けられている。受取機構部20は、収容部12の各レーン11に対応する複数の摺動路21を有しており、摺動路21は、収容部12と同様に、前方側(
図1における左側)へ向かって下方へ傾斜されている。各摺動路21は、後方側(
図1における右側)が投入口21aとされ、前方側(
図1における左側)が送出口21bとされている。摺動路21には、投入口21aから収容箱30が投入され、送出口21bから収容箱30が送り出される。それぞれの摺動路21には、投入口21aから複数の収容箱30が投入可能とされており、これらの収容箱30が摺動路21の長手方向に連なった状態で摺動路21内に配置される。
【0028】
受取機構部20は、第1ストッパ22と、第2ストッパ23とを有している。第1ストッパ22及び第2ストッパ23は、摺動路21における傾斜の下端側の送出口21bに設けられている。第1ストッパ22は、摺動路21の下方側に配置されている。第1ストッパ22は、各摺動路21にそれぞれ設けられており、摺動路21に対してそれぞれ出没可能とされている。第2ストッパ23は、摺動路21の上方側に配置されており、摺動路21の配列方向に沿って設けられている。第2ストッパ23は、全ての摺動路21に対して一括して出没可能とされている。第2ストッパ23は、第1ストッパ22に対して傾斜の上方側に配置されている。
【0029】
図5は、受取機構部の概略側面図である。
図6は、受取機構部の概略後面図である。
図7は、受取機構部の概略平面図である。
図5~
図7に示すように、収容箱30は、上方が開放された箱からなるもので、平面視矩形状に形成されている。この収容箱30は、その前部に、上方へ張り出す係止板31を有している。この係止板31には、識別突起32が形成されている。識別突起32は、それぞれの摺動路21に投入される収容箱30毎に、異なる位置に形成されている。また、収容箱30には、その底部にICタグ(記憶媒体)33が設けられている。
【0030】
受取機構部20の各摺動路21には、傾斜の上端側の投入口21aに、識別板25が設けられている。これらの識別板25には、識別溝26が形成されている。各識別板25の識別溝26は、それぞれの摺動路21に投入される収容箱30の係止板31に形成された識別突起32の位置に対応する位置に形成されている。これにより、各摺動路21には、その摺動路21に対応する収容箱30が投入される際に、係止板31の識別突起32が識別板25の識別溝26を通過可能とされている。つまり、収容箱30は、所定の摺動路21以外へ投入しようとした際に、識別板25に識別突起32が係止されて識別突起32を識別溝26へ通すことができないこととなる。これにより、摺動路21には、それぞれ対応する種類の収容箱30だけが投入可能とされている。
【0031】
各摺動路21には、傾斜の下端側に、センサ27及び受信器28が設けられている。摺動路21は、傾斜の下端側が受取位置とされており、センサ27は、この摺動路21における受取位置に配置された収容箱30を検知する。受信器28は、摺動路21における受取位置に配置された収容箱30のICタグ33から情報を読み取る。
【0032】
この受取機構部20において、摺動路21へ投入口21aから投入した収容箱30は、摺動路21を傾斜の下端側へ向かって自重で滑り落ち、傾斜の下端側の受取位置へ配置される。このとき、作業者は、摺動路21に投入した収容箱30の後方側に、車輪29aを備えた重り29を投入する。すると、この重り29は、摺動路21を傾斜の下端側へ自重で走行して収容箱30の後部に当接する。これにより、収容箱30は、重り29によって後方から傾斜の下端側の受取位置へ押し込まれる。受取位置に配置された収容箱30には、送り込み機構部10のシャッタ14が連通位置に移動することにより、レーン11内の外装部材2が落下して収容される。
【0033】
移送機構部40は、可動ステージ41を有している。この可動ステージ41は、板状に形成されており、一端側が回動軸42を中心に回動可能に支持されている。この可動ステージ41は、図示しない駆動部によって、回動軸42を中心に、摺動路21に繋がる搬入位置と、搬送ステージ50に繋がる搬出位置との間で回動される。可動ステージ41は、摺動路21に繋がる搬入位置に配置された状態で、受取機構部20の摺動路21から収容箱30を受け取る。また、可動ステージ41は、搬出位置に配置されることにより、受取機構部20から受け取った収容箱30を搬送ステージ50へ送り出す。
【0034】
この可動ステージ41には、その上面側に押圧棒43が設けられている。この押圧棒43は、可動ステージ41が搬出位置に配置されることにより、搬送ステージ50へ向かって転動し、可動ステージ41上の収容箱30を搬送ステージ50へ押し出す。
【0035】
また、可動ステージ41には、方向変換機構44が設けられている。方向変換機構44は、回動軸42に沿って設けられたレール46と、レール46に往復移動可能に設けられた移動ブロック45と、移動ブロック45に設けられた押圧片47とを有している。可動ステージ41上に送り込まれた収容箱30は、レール46に沿って移動ブロック45が移動することにより、この移動ブロック45の押圧片47によって前端側が側方へ押圧される。これにより、収容箱30は、その姿勢が略90度回動されて横向きにされる。したがって、可動ステージ41が搬出位置に配置されることにより、収容箱30は、横向きの姿勢で搬送ステージ50へ送り出される。
【0036】
搬送ステージ50は、回動可能に支持された複数のローラ51を有しており、これらのローラ51は、互いに並列に配置されている。搬送ステージ50は、移送機構部40から離れるにしたがって下方へ傾斜されている。これにより、移送機構部40から搬送ステージ50上に送り込まれた収容箱30は、自重によって搬送ステージ50の傾斜の下方側へ搬送される。そして、この搬送ステージ50上を搬送された収容箱30が次工程に送られる。
【0037】
制御部60は、外装部材供給装置100の駆動を制御する。具体的には、制御部60は、送り込み機構部10の切断機構13及びシャッタ14の駆動部を制御する。また、制御部60は、受取機構部20の第1ストッパ22及び第2ストッパ23を制御する。さらに、制御部60は、移送機構部40の可動ステージ41の駆動部及び方向変換機構44の駆動部を制御する。また、制御部60は、受取機構部20のセンサ27及び受信器28に接続されており、これらのセンサ27及び受信器28からの信号を受信する。
【0038】
次に、制御部60によって駆動が制御される外装部材供給装置100の動作を説明する。
図8は、制御部による動作を説明するフローチャートである。
図9は、収容箱へ送り込まれる外装部材の状態を示す収容箱の概略側面図である。
図10は、制御部による各機構の駆動のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0039】
制御部60は、開始スイッチ(図示略)がONとなると、外装部材供給装置100の初期設定を行う(ステップS1)。具体的には、第1ストッパ22及び第2ストッパ23がON状態となり、方向変換機構44の移動ブロック45が初期位置であるレール46の一端側に配置される。
【0040】
制御部60は、センサ27による収容箱30の検知を待機する(ステップS2)。この状態において、作業者が投入口21aから摺動路21へ収容箱30を投入して重り29を摺動路21へ入れると、収容箱30が摺動路21を滑り落ちて第2ストッパ23に係止される。すると、センサ27がON状態となる(ステップS2:Yes)。
【0041】
センサ27がON状態となると、第2ストッパ23がOFF状態となり、第2ストッパ23による収容箱30の係止が解除される(ステップS3)。すると、収容箱30は、僅かに摺動路21を滑り落ち、第1ストッパ22に係止されて受取位置に配置される。
【0042】
収容箱30が受取位置に配置されると、受信器28によって収容箱30のICタグ33の情報が読み取られ、制御部60へ送信される(ステップS4)。
【0043】
制御部60は、受信器28から送信されたICタグ33の情報に基づいた指定本数の外装部材2を収容箱30へ供給するチューブ供給動作を行う(ステップS5)。
【0044】
具体的には、送り込み機構部10の切断機構13が長尺の外装部材1を指定された長さに切断する。この切断された短尺の外装部材2は、収容部12の各レーン11へ滑り落ちて送り込まれる。次いで、シャッタ14が待機位置から連通位置へ移動されてレーン11にスリット15が連通されることにより、外装部材2がスリット15を通して落下されて収容箱30内に収容される。
【0045】
このとき、シャッタ14は、レーン11に対して、傾斜の下方側の幅広部15aが先に連通し、その後、傾斜の上方側の幅狭部15bが連通する。これにより、
図9に示すように、外装部材2は、先に幅広部15aがレーン11に連通することで、傾斜の下方側の端部が幅広部15aに入り込んで傾けられた状態で落下する。したがって、外装部材2は、傾斜の下方側の端部が収容箱30内に入り込んで内面に当接する。その後、幅狭部15bもレーン11と連通してレーン11に対してスリット15の全体が連通すると、外装部材2は、先に収容箱30内に入り込んだ端部に案内されて収容箱30内に導かれる。これにより、外装部材2は、収容箱30の上縁部分に引っ掛かることなく収容箱30内に円滑に送り込まれる。
【0046】
収容箱30へ指定本数の外装部材2が収容されるまで外装部材2の供給動作が繰り返される(ステップS6)。
【0047】
収容箱30へ指定本数の外装部材2を収容させたら(ステップS6:Yes)、移送機構部40の可動ステージ41が作動する(
図10におけるタイミングT1)。これにより、可動ステージ41が回動軸42を中心に回動されて搬入位置に配置される。その後、第1ストッパ22がOFF状態となり(
図10におけるタイミングT2)、第1ストッパ22による収容箱30の係止が解除される(ステップS7)。すると、指定本数の外装部材2が収容された収容箱30が摺動路21を滑り落ち、可動ステージ41へ送り出される。
【0048】
なお、収容箱30が摺動路21へ送り出されると、後方側の空の収容箱30が滑り落ちて第2ストッパ23に係止される。この状態で、第1ストッパ22がON状態となり(
図10におけるタイミングT3)、次いで、第2ストッパ23がOFF状態となる(
図10におけるタイミングT4)。これにより、第2ストッパ23に係止されていた空の収容箱30は、僅かに摺動路21を滑り落ち、第1ストッパ22に係止されて受取位置に配置される。第2ストッパ23は、その後、ON状態となる(
図10におけるタイミングT6)。
【0049】
また、可動ステージ41に収容箱30が送り出されると、方向変換機構44の移動ブロック45がレール46に沿って一方向である変換方向へ移動する(
図10におけるタイミングT5)。これにより、収容箱30の前端側が押圧片47によって側方へ押圧され、収容箱30が横向きに配置される(ステップS8)。
【0050】
可動ステージ41が回動軸42を中心に逆方向へ回動される(ステップS9)。これにより、可動ステージ41が搬出位置に配置される(
図10におけるタイミングT7)。すると、収容箱30は、自重によって搬送ステージ50へ移動されるとともに、搬送ステージ50へ向かって転動する押圧棒43によって搬送ステージ50へ押し出される。そして、搬送ステージ50に押し出された収容箱30は、搬送ステージ50上の取出位置へ搬送される。なお、方向変換機構44の移動ブロック45は、一方向の変換位置への移動後に他方向へ移動して初期位置に戻される(
図10におけるタイミングT8)。
【0051】
終了スイッチが押下されて作業が終了されるまで、収容箱30への外装部材2の収容動作及び収容箱30の送り出し動作(ステップS2~S9)が繰り返し実行される(ステップS10)。
【0052】
以上、説明したように、本実施形態に係る外装部材供給装置100によれば、第1ストッパ22による収容箱30の係止が解除されることにより、外装部材2を収容した収容箱30が摺動路21から送り出される。その後、第1ストッパ22による収容箱30の係止が可能とされ、さらに、第2ストッパ23による収容箱30の係止が解除され、次に外装部材2を収容する収容箱30が滑り落ちて第1ストッパ22に係止されて受取位置へ配置される。また、同一の摺動路21に複数の収容箱30が投入されている場合でも、第1ストッパ22による係止が解除された際に、複数の収容箱30が連続して送り出されることを防止できる。したがって、収容箱30への外装部材2の収容及び外装部材2を収容した収容箱30の送り出しを円滑に行うことができ、設備費を抑えつつ、多品種少量生産に対応して外装部材2を効率的に供給することができる。
【0053】
また、移送機構部40の可動ステージ41が搬入位置と搬出位置との間で回動されることにより、受取機構部20から送り込まれる収容箱30が、受取機構部20の下方に設けられた搬送ステージ50へ送り出される。このように、受取機構部20の下方に搬送ステージ50を設けることによる設備の小型化を図りつつ、移送機構部40を設けることにより、収容箱30を円滑に搬送ステージ50へ送り出すことができる。
【0054】
このように、本実施形態に係る外装部材供給装置100では、長尺の外装部材1を切断して指定本数の短尺の外装部材2として収容箱30へ収容させ、この収容箱30を移送機構部40によって搬送ステージ50へ送り出すことができる。これにより、次工程のワイヤハーネスの組立工程へ外装部材2を円滑に供給することができ、ワイヤハーネスの製造効率を向上させることができる。
【0055】
また、移送機構部40は、可動ステージ41上の縦長の収容箱30の姿勢を横向きに変換させる方向変換機構44を備えている。したがって、摺動路21から送り込まれた収容箱30を横向きの姿勢で搬送ステージ50へ送り出すことができるので、搬送ステージ50において複数の収容箱30を並列に並べることができ、複数の収容箱30を搬送ステージ50の限られたスペースに効率的に配置させることができる。
【0056】
また、受信器28で読み取ったICタグ33の情報に基づいて制御部60が送り込み機構部10を制御し、長尺の外装部材1を切断させて指定本数の短尺の外装部材2を収容箱30へ収容させる。したがって、収容すべき指定本数の外装部材2を収容箱30へ正確に収容させることができ、その後のワイヤハーネスの製造作業を円滑に行うことができる。
【0057】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0058】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る外装部材供給装置の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 長尺の外装部材(1)を短尺に切断し、短尺の外装部材(2)を受取位置で落下させる送り込み機構部(10)と、
受取位置に収容箱(30)を配置させて前記送り込み機構部(10)から落下される前記外装部材(2)を前記収容箱(30)へ収容させる受取機構部(20)と、
前記送り込み機構部(10)及び前記受取機構部(20)の駆動を制御する制御部(60)と、
を備え、
前記受取機構部(20)は、
前記受取位置へ向かって下方へ傾斜され、傾斜の上方側から投入された複数の前記収容箱(30)を傾斜に沿って滑り落とす摺動路(21)と、
前記摺動路(21)の傾斜の下端に設けられて前記収容箱(30)の前端を係止する第1ストッパ(22)と、
前記摺動路(21)における前記第1ストッパ(22)よりも傾斜の上方側に設けられて前記収容箱(30)の前端を係止する第2ストッパ(23)と、
を有し、
前記制御部(60)は、前記第2ストッパ(23)による前記収容箱(30)の係止を可能とする状態で前記第1ストッパ(22)による前記収容箱(30)の係止を解除することにより前記収容箱(30)を前記摺動路(21)の下端から送り出させた後に、前記第1ストッパ(22)による前記収容箱(30)の係止を可能とし、さらに、前記第2ストッパ(23)による前記収容箱(30)の係止を解除する、ことを特徴とする外装部材供給装置。
【0059】
[2] 前記受取機構部(20)の下方に設けられて前記摺動路(21)の傾斜と反対側へ傾斜した搬送ステージ(50)と、
前記受取機構部(20)の前記摺動路(21)に繋がる搬入位置と前記搬送ステージ(50)に繋がる搬出位置との間で回動される可動ステージ(41)を有する移送機構部(40)と、
を備え、
前記移送機構部(40)は、前記可動ステージ(41)が前記搬入位置に配置されることにより、前記受取機構部(20)の前記摺動路(21)から前記収容箱(30)が送り込まれ、前記可動ステージ(41)が前記搬出位置に配置されることにより、前記収容箱(30)を前記搬送ステージ(50)へ送り出す、
ことを特徴とする上記[1]に記載の外装部材供給装置。
【0060】
[3] 前記制御部(60)は、
前記送り込み機構部(10)によって、長尺の前記外装部材(1)を切断させて指定本数の短尺の前記外装部材(2)を、前記受取機構部(20)における前記受取位置に配置された前記収容箱(30)へ収容させ、
前記移送機構部(40)の前記可動ステージ(41)を前記搬入位置に配置させ、
前記受取機構部(20)の前記第1ストッパ(22)による前記収容箱(30)の係止を解除させることにより前記収容箱(30)を前記可動ステージ(41)へ送り込み、
前記移送機構部(40)の前記可動ステージ(41)を回動させて前記搬出位置に配置させることにより、前記収容箱(30)を前記搬送ステージ(50)へ送り出す、
ことを特徴とする上記[2]に記載の外装部材供給装置。
【0061】
[4] 前記収容箱(30)は縦長であり、
前記移送機構部(40)は、前記可動ステージ(41)に縦向きに送り込まれた前記収容箱(30)の姿勢を横向きに変換させる方向変換機構(44)を備え、
前記制御部(60)は、前記可動ステージ(41)に前記収容箱(30)が送り込まれた際に、前記方向変換機構(44)による前記収容箱(30)の姿勢の変換を行わせる、
ことを特徴とする上記[2]または[3]に記載の外装部材供給装置。
【0062】
[5] 前記収容箱(30)には、収容する前記外装部材(2)の本数の情報が指定本数として記憶された記憶媒体(ICタグ33)が設けられ、
前記摺動路(21)には、前記受取位置に配置された前記収容箱(30)の前記記憶媒体(ICタグ33)の情報を読み取る受信器(28)が設けられ、
前記制御部(60)は、前記受信器(28)で読み取った前記記憶媒体(ICタグ33)の情報に基づいて前記送り込み機構部(10)を制御し、長尺の前記外装部材(1)を切断させて指定本数の短尺の前記外装部材(2)を前記収容箱(30)へ収容させる、
ことを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の外装部材供給装置。
【符号の説明】
【0063】
1,2 外装部材
10 送り込み機構部
20 受取機構部
21 摺動路
22 第1ストッパ
23 第2ストッパ
28 受信器
30 収容箱
33 ICタグ(記憶媒体)
40 移送機構部
41 可動ステージ
44 方向変換機構
50 搬送ステージ
60 制御部
100 外装部材供給装置