IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車東日本株式会社の特許一覧 ▶ 櫻庭 弘の特許一覧

特許7420671同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム
<>
  • 特許-同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム 図1
  • 特許-同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム 図2
  • 特許-同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム 図3
  • 特許-同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム 図4
  • 特許-同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム 図5
  • 特許-同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム 図6
  • 特許-同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム 図7
  • 特許-同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20240116BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J7/00 301D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020117364
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022014808
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520172328
【氏名又は名称】櫻庭 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100218280
【弁理士】
【氏名又は名称】安保 亜衣子
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100173864
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 弘
(72)【発明者】
【氏名】間形 哲也
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175718(JP,A)
【文献】特開2002-369401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 -50/90
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電側コンデンサ、前記送電側コンデンサに並列接続された送電側コイル、及び前記送電側コイルに流れる電流の変化を検知する送電側検知器を有する1次側LC回路と、
直流電源、前記直流電源から供給される直流電圧を前記送電側コンデンサの一方の端子と他方の端子の間にステップ入力する入力素子を有する励起回路と、
前記送電側コイルに対向した受電側コイル、前記受電側コイルに並列接続された受電側コンデンサ、及び前記受電側コンデンサの端子間電圧の変化を検知する受電側検知器を有する2次側LC回路と、
前記受電側コンデンサの端子間を接続し、前記受電側コンデンサから前記受電側コンデンサに蓄積された静電エネルギを受け取る負荷を有する負荷回路と、
前記入力素子の制御端子に前記ステップ入力用の制御信号を送る1次側スイッチング素子駆動回路と、
前記受電側コンデンサの端子間電圧が所定値を上回ったことを前記受電側検知器が検知した後、前記送電側コイルに流れる電流がピークとなるタイミングを前記送電側検知器が検知したときに、前記直流電源から前記直流電圧を供給するように、前記1次側スイッチング素子駆動回路を制御する算術論理回路と、
を備えることを特徴とする同期共振型伝送システム。
【請求項2】
送電側コンデンサ、前記送電側コンデンサに並列接続された送電側コイル及び前記送電側コイルに流れる電流の変化を検知する送電側検知器を有する1次側LC回路と、直流電源、前記直流電源から供給される直流電圧を前記送電側コンデンサの一方の端子と他方の端子の間にステップ入力する入力素子を有する励起回路と、前記送電側コイルに対向した受電側コイル、前記受電側コイルに並列接続された受電側コンデンサ及び前記受電側コンデンサの端子間電圧の変化を検知する受電側検知器を有する2次側LC回路と、前記受電側コンデンサの端子間を接続する回路において前記受電側コンデンサから前記受電側コンデンサに蓄積された静電エネルギを受け取る負荷を備える同期共振型伝送システムの動作を制御する同期共振型伝送制御方法であって、
前記受電側コンデンサの端子間電圧が所定値を上回ったことを前記受電側検知器が検知するステップと、
前記送電側コイルに流れる電流がピークとなるタイミングを前記送電側検知器が検知したときに、前記直流電源から前記直流電圧を供給するステップと
を含むことを特徴とする同期共振型伝送制御方法。
【請求項3】
送電側コンデンサ、前記送電側コンデンサに並列接続された送電側コイル及び前記送電側コイルに流れる電流の変化を検知する送電側検知器を有する1次側LC回路と、直流電源、前記直流電源から供給される直流電圧を前記送電側コンデンサの一方の端子と他方の端子の間にステップ入力する入力素子を有する励起回路と、前記送電側コイルに対向した受電側コイル、前記受電側コイルに並列接続された受電側コンデンサ及び前記受電側コンデンサの端子間電圧の変化を検知する受電側検知器を有する2次側LC回路と、前記受電側コンデンサの端子間を接続する回路において前記受電側コンデンサから前記受電側コンデンサに蓄積された静電エネルギを受け取る負荷を備える同期共振型伝送システムの動作を制御する同期共振型伝送制御用プログラムであって、
前記受電側コンデンサの端子間電圧が所定値を上回ったことを前記受電側検知器に検知させる命令と、
前記送電側コイルに流れる電流がピークとなるタイミングを前記送電側検知器が検知したときに、前記直流電源から前記直流電圧を供給させる命令と
を含む一連の命令をコンピュータシステムに実行させることを特徴とする同期共振型伝送制御用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無接触電力伝送システム(ワイヤレス電力伝送システム)に関し、特に伝送距離が大きな場合でも、効率良く無接触電力送電が可能な同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2005年にマサチューセッツ工科大学(MIT)が提案して以来、正弦波の電磁波によるワイヤレス電力伝送の研究が盛んになってきた(特許文献1及び2参照)。例えば、特許文献2に記載のように、従来のワイヤレス電力伝送方式では、給電側共振回路(LC回路)の共振周波数2π√LCと受電側共振回路(LC回路)の共振周波数2π√LCを一致させる交流理論が基礎になっている。従来のワイヤレス電力伝送方式では、給電側共振回路と受電側共振回路が相互に作用して生じる新たな共振に関しては、給電側共振回路と受電側共振回路の共振(重共振)はしない方がよいという技術的常識があった。
【0003】
又、特許文献1及び2に記載された10kHz~50GHzの周波数帯の電源回路(0次回路)は、商用電源をスイッチング電源で直流にした後、PWM等の多数の電力用半導体素子でスイッチングして等価的に交流にする無駄な構成がされていた。無駄な構成により、電力用半導体素子に生じる抵抗損失や、周波数の増加によって急激に増えるスイッチング損失等の電力損失が発生する。また、コイルに生じる誘導逆起電力によるスイッチング素子の破壊や、共振による過度な電圧上昇によるスイッチング素子の破壊が生じやすく、周波数が高いほど、電力が大きいほど回路設計に困難を極める。
【0004】
特許文献1及び2に記載されたような従来技術の問題点を鑑み、本発明者らは、重共振を考慮し、過渡応答に着目した非交流理論による無接触伝送装置を提案した(特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3に記載された発明では送電側コイルと受電側コイルとの間隔(伝送距離)が40mm以上離れると伝送効率が極度に低下する問題があった。特に実用上は、伝送距離が300mm以上離れた無接触電力伝送が待望されている。しかしながら、伝送距離が300mm以上離れると、送電側コイルと受電側コイルとの間の等価結合係数k<0.08となる疎結合状態となる。発明者らの予備的な検討実験によれば、k<0.08となる疎結合状態では、共振開始から最大伝送タイミングまでの時間が長くなり、回路の寄生抵抗により共振電圧が減衰するため、最大伝送タイミングで共振を一時的に切る時点において伝送電圧が減少してしまい、一度の相互誘導による伝送で十分な電力を伝送できないという問題が発見された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2008/0278264号明細書
【文献】特許第5549745号公報
【文献】世界知的所有権機関国際事務局国際公開2020/039594号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点を鑑み本発明は、伝送距離が40mm以上、更には300mm以上の場合であっても有効に無接触給電が可能な同期共振型伝送システム、この同期共振型伝送システムを動作させる同期共振型伝送制御方法及びこの同期共振型伝送制御方法をコンピュータシステムに実行させる同期共振型伝送制御用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、(a)送電側コンデンサ、送電側コンデンサに並列接続された送電側コイル、及び送電側コイルに流れる電流の変化を検知する送電側検知器を有する1次側LC回路と、(b)直流電源、直流電源から供給される直流電圧を、送電側コンデンサの一方の端子と他方の端子の間にステップ入力する入力素子を有する励起回路と、(c)送電側コイルに対向した受電側コイル、受電側コイルに並列接続された受電側コンデンサ、及び受電側コンデンサの端子間電圧の変化を検知する受電側検知器を有する2次側LC回路と、(d)受電側コンデンサの端子間を接続し、受電側コンデンサから受電側コンデンサに蓄積された静電エネルギを受け取る負荷を有する負荷回路と、(e)入力素子の制御端子にスイッチング用の制御信号を送る1次側スイッチング素子駆動回路と、(f)受電側コンデンサの端子間電圧が所定値を上回ったことを受電側検知器が検知した後、送電側コイルに流れる電流がピークとなるタイミングを送電側検知器が検知したときに、直流電源から直流電圧を供給するように、1次側スイッチング素子駆動回路を制御する算術論理回路を備える同期共振型伝送システムであることを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様で述べた同期共振型伝送システムの動作を制御する同期共振型伝送制御方法に関する。即ち、本発明の第2の態様に係る同期共振型伝送制御方法は、受電側コンデンサの端子間電圧が所定値を上回ったことを受電側検知器が検知するステップと、送電側コイルに流れる電流がピークとなるタイミングを送電側検知器が検知したときに、直流電源から直流電圧を供給するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様で述べた同期共振型伝送制御方法を実現するための同期共振型伝送制御用プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に保存し、この記録媒体をコンピュータシステムによって読み込ませ、本発明の同期共振型伝送制御方法をコンピュータシステムによって実行させることができる。すなわち、本発明の第3の態様に係る同期共振型伝送制御用プログラムは、受電側コンデンサの端子間電圧が所定値を上回ったことを受電側検知器に検知させる命令と、送電側コイルに流れる電流がピークとなるタイミングを送電側検知器が検知したときに、直流電源から直流電圧を供給させる命令とを含む一連の命令をコンピュータシステムに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、伝送距離が40mm以上、更には300mm以上の場合であっても有効に無接触給電が可能な同期共振型伝送システム、この同期共振型伝送システムを動作させる同期共振型伝送制御方法及びこの同期共振型伝送制御方法をコンピュータシステムに実行させる同期共振型伝送制御用プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の代表的な一実施形態に係る同期共振型伝送システムの概略構造を示す模式図である。
図2図1に示した駆動制御回路を中心に説明するブロック図である。
図3】一実施形態に係る同期共振型伝送システムの一例を構成する駆動制御回路と受電回路の概略を示す回路図である。
図4】一実施形態に係る同期共振型伝送システムの動作フローの概略を示すフローチャートである。
図5】受電側電圧振幅が最大になるまで、電源からの電力供給動作を定期的に繰り返す動作を示す波形図である。
図6】比較例として、共振開始から最大伝送タイミングまでに給電を行わない場合に、回路の寄生抵抗により共振電圧が減衰する様子を示す波形図である。
図7】経過時間に対して伝送電力量がどのように変化するかを、本発明と参考技術について比較して示す図である。
図8】電気自動車(EV)の電池の充電に一実施形態に係る同期共振型伝送システム適用した場合において、コイル間の面間隔(伝送間隔)を調整する間隔制御機構の例を模式的に説明する鳥瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の代表的な実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
又、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する代表的な実施形態であって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。更に、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。図8に示したような、渦巻きの螺旋の向きも同様に説明の便宜上における単なる選択に過ぎず、実際の設計事情に応じて右巻きを左巻きに、左巻きを右巻きに選択することも可能である。
【0014】
本発明の一実施形態に係る同期共振型伝送システムは、図1に示すように、受電回路27bを有する車輌31cに無接触でウェイブレット状の電磁エネルギを、同期共振を利用して給電回路29bから効率良く給電する伝送システムである。「ウェイブレット状」とは、時間的に局在した減衰振動を意味する。受電回路27bは、負荷(蓄電池)6を含む。一実施形態に係る同期共振型伝送システムは、受電回路27bにウェイブレット状の電磁エネルギを無接触で給電する給電回路29bと、給電回路29bに接続され、給電回路29bに命令を送る1次側操作部33と、給電回路29bに対抗し、車輌31c内に搭載される受電盤12、受電回路27b、2次側通信部22、及び2次側操作部23とから主に構成されている。
【0015】
1次側操作部33には種々の構造や機構が採用可能で、例えば1次側操作部33が撮像装置を備えるようにしてもよい。撮像装置を備える態様においては、撮像装置が撮像した車輌31cの画像から、人工頭脳(AI)機能により車輌31cの車高が自動的に紐付けられるような機構を設けることができる。図1では、給電回路29b側の送電側コイルLと車輌31c側の受電側コイルLとが対向し、送電側コイルLから受電側コイルLへ無接触でウェイブレット状の電磁エネルギが受電側コイルLに無接触で伝送されることを示す模式図を示しているが、単なる例示に過ぎない。後述の図8のような態様で車輌31cの後部において、送電側コイルLから受電側コイルLへ無接触給電する方式でも構わない。更に、種々の変形が可能であり、例えば車両の前面、側面或いは天井部で送電側コイルLから受電側コイルLへ無接触給電する方式でも構わない。
【0016】
給電回路29bは、図1に示すように送電側コイルLを円盤状の誘電体に収納した給電盤11と、送電側コイルLに流れる給電電流を制御する駆動制御回路34aと、2次側通信部22から受電側コンデンサCの端子間電圧等の受電回路27b側の情報を受信し、駆動制御回路34aに伝達する1次側通信部21を備えている。1次側通信部21は、2次側通信部22との間で無接触給電に必要な様々な情報をやりとりすることができる。給電回路29bと受電回路27bとは、送電側コイルLと受電側コイルLを介して、ウェイブレット状の電磁エネルギを、互いに送受し2つのLC共振回路共振振動位相を同期共振させる。「同期共振」とは、重共振の一つの態様であり、一実施形態に係る同期共振型伝送システム受電側共振回路の電圧の最大値と給電側共振回路の電流が最大になるタイミングを同期させた、2つのLC共振回路の間の振動位相の重共振(二重共振)である。
【0017】
同期共振を実現する1次側LC回路2bと2次側LC回路3bの一例は図3に示されている。図3に示すように、給電側共振回路を構成する1次側LC回路2bは、静電エネルギを蓄積する送電側コンデンサC、送電側コンデンサCに並列接続され送電側コンデンサCから送られた静電エネルギを磁気エネルギとして蓄積する送電側コイルL1及び送電側コイルL1に流れる電流の変化を検知する検知器(送電側検知器)28を有するLC共振回路である。1次側LC回路2bには、更にスイッチング素子として送電制御素子Qが送電側コイルL1と直列に接続されるようにしてもよい。図3に例示した回路の送電制御素子Qは、送電側コンデンサCが効率良く静電エネルギを蓄積する回路動作の補助をする回路素子であるが、一実施形態に係る同期共振型伝送システムに必須な回路素子ではない。
【0018】
受電側共振回路を構成する2次側LC回路3bは、磁気エネルギを蓄積する受電側コイルL、受電側コイルLに並列接続され受電側コイルLから送られた磁気エネルギを静電エネルギとして蓄積する受電側コンデンサC及び受電側コンデンサCの端子間電圧の変化を検知する検知器(受電側検知器)29を有するLC共振回路である。2次側LC回路3bには、更にスイッチング素子として受電制御素子Qを、受電側コイルLと直列に接続する構成にしてもよい。2次側LC回路3bの受電側コイルL2は、送電側コイルL1に対向して離間し、送電側コイルL1から磁気エネルギを受け取る。2次側LC回路3bに設けられた受電制御素子Qは、1次側LC回路2bと2次側LC回路3bの間の振動位相の同期共振を効率良く制御するための回路素子であるが、一実施形態に係る同期共振型伝送システムに必須な回路素子ではない。1次側LC回路2bの送電側コイルL1は、送電側コンデンサCから送られた静電エネルギを磁気エネルギとして蓄積し、この磁気エネルギを送電側コンデンサCに還流すると同時に、2次側LC回路3bの受電側コイルL2 に磁気的に結合し、磁気エネルギを受電側コイルL2 との間で送受する。
【0019】
1次側LC回路2bには、図3に示すように、1次側LC回路2bの中に減衰振動を励起する励起回路(5,Q)が接続されている。励起回路(5,Q)は、直流電源5と、直流電源5から供給される直流電圧の伝達を切り替えるスイッチングを行う入力素子Qを有している。励起回路(5,Q)は、送電側コンデンサCの両端に並列接続され、直流電源5は送電側コンデンサCに直流電圧をステップ入力して減衰振動を励起する。励起回路(5,Q)の入力素子Qの制御端子には、入力素子Qの制御端子にスイッチング用の制御信号を送る1次側スイッチング素子駆動回路340aが接続されている。2次側LC回路3bには、受電側コンデンサCの端子間を接続する回路において受電側コンデンサCから受電側コンデンサCに蓄積された静電エネルギを受け取る負荷6が接続されている。受電側コンデンサCの端子間を接続する負荷6を有する回路で負荷回路を構成している。更に、この負荷回路は、受電側コンデンサCと負荷6との間に、負荷転送制御素子Qをスイッチング素子として直列に接続する構成にしてもよい。負荷転送制御素子Qは、1次側LC回路2bと2次側LC回路3bの間の振動位相の同期共振を効率良く制御する際の補助となる回路素子であるが、一実施形態に係る同期共振型伝送システムに必須な回路素子ではない。
【0020】
図1に示す態様では、送電側コイルLと受電側コイルLとの間隔は、例えば、油圧の上下機構、電磁石による上下機構、ボール螺旋をステップモータで回転させるような移動機構等、周知の種々の機構により調整することができる。図1は例示であり、送電側コイルLを収納する給電盤11を省略して、送電側コイルLを裸の状態で使用することも可能である。受電側コイルLは円盤状の誘電体からなる受電盤12に収納されている。但し、受電側コイルLを収納する受電盤12を省略して、受電側コイルLを裸の状態で使用することも可能である。送電側コイルLからのウェイブレット状の電磁エネルギが、給電側共振回路と受電側共振回路のそれぞれの振動位相が重共振(同期共振)するようにして受電側コイルLに電磁誘導で給電される。
【0021】
給電盤11の上面は受電盤12の下面に平行に配置されるように、給電盤11は地面上に設置もしくは埋設される。給電作業前の状態においては、給電盤11の上面が地上の平坦面30に平行に配置され、車輌31cが一様な平坦面上を走行して侵入可能に設定される。給電回路29bは、例えば駐車スペースに設けられ、車輌31cの駐車中に、受電盤12に対向することにより車輌31cに搭載された受電盤12に対してウェイブレット状の電磁エネルギを給電する。一実施形態に係る同期共振型伝送システムの伝送距離dのデータが取得されている場合において、特殊な事情により伝送可能な限界距離が存在するケースが発生する場合は、車輌31cの車高の関係で伝送距離dが限界距離内に入らない場合もある。このような場合は、給電盤11の上面を地面上から突出するように設置してもよく、給電盤11の上面が地面上から突出している場合は、給電場に侵入する車輌31cの両輪が、給電盤11の上面を跨ぐように車輌31cの侵入を誘導すればよい。
【0022】
負荷6は蓄電池であり、給電回路29bから受電盤12を介して供給されるウェイブレット状の電磁エネルギを蓄える。車輌31cは、例えば、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグイン電気自動車(PEV)または電気自動車(EV)等であり、負荷6としての蓄電池に蓄えられた電磁エネルギで走行する。1次側操作部33は、例えば、図示を省略した操作盤に対して、外部からの人間(操作者)が操作することにより、給電の開始を示す給電開始信号または給電の停止を示す給電停止信号を給電回路29bに出力する。或いはセンサ等のIoTシステムからの信号を受信して、AI機能により自動的に1次側操作部33から給電開始信号や給電停止信号を給電回路29bに出力するようにしてもよい。1次側操作部33がAI機能により車輌31cの車高を決定した場合は、車輌31cの車高のデータも給電回路29bの駆動制御回路34aに送信する。
【0023】
駆動制御回路34aは、図2に示すように、伝送データ記憶装置342aと、プログラム記憶装置342bと、出力装置343とにそれぞれ接続されており、給電盤11を制御して、給電側共振回路と受電側共振回路のそれぞれの振動位相を同期共振させる駆動制御を行う算術論理回路341を備えている。駆動制御回路34aの算術論理回路341は、受電側コンデンサCの端子間電圧が所定値を上回ったことを受電側検知器29が検知した後、送電側コイルLに流れる電流がピークとなるタイミングを送電側検知器28が検知して振動位相を同期共振に必要なタイミングを計算する。
【0024】
即ち、算術論理回路341は、同期共振が可能なタイミングで直流電源5から直流電圧を供給するように1次側スイッチング素子駆動回路340aを制御して、1次側LC回路2bと2次側LC回路3bの2つのLC共振回路の振動位相を同期共振させる。1次側操作部33から給電開始信号が入力されると、駆動制御回路34aの算術論理回路341は、設定された同期共振のタイミングでウェイブレット状の電磁エネルギを1次側LC回路2bから2次側LC回路3bへ無接触給電するように給電盤11の電流を制御する。算術論理回路341は、2次側LC回路3bから送信された受電側コンデンサCの端子間電圧が所定値を上回ったことを示す情報と、1次側LC回路2bから送信された1次側LC回路2bに流れる電流がピークとなるタイミングの情報を取得して、給電盤11と受電盤12との間の振動位相の同期共振による伝送効率が最大となる最適駆動タイミングを算出する処理を行う。
【0025】
駆動制御回路34aの算術論理回路341は、2次側通信部22を経由して1次側通信部21が受信した受電回路27bの電磁エネルギの振動特性の信号を入力し図3に示した入力素子Q及び送電制御素子Qの駆動タイミングを決定し、1次側スイッチング素子駆動回路340aを制御する。算術論理回路341は更に受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qの駆動タイミングを決定し、1次側通信部21から2次側通信部22に情報を送信し、2次側スイッチング素子駆動回路340bを制御する。1次側スイッチング素子駆動回路340aは、図3に示した入力素子Q及び送電制御素子Qのそれぞれの制御端子に制御信号を送ることで、それぞれ入力素子Q及び送電制御素子Qのオン/オフを制御すると同時に、送電側検知器28からの信号を受信し、算術論理回路341に送信する。2次側スイッチング素子駆動回路340bは、図3に示した受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qのそれぞれの制御端子に制御信号を送ることで、それぞれ受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qのオン/オフを制御すると同時に、受電側検知器29からの信号を受信して、2次側通信部22に伝達する。
【0026】
以上のように、算術論理回路341は、同期共振による伝送効率が最大となり、且つ図3に示した入力素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qが破損しないように、1次側スイッチング素子駆動回路340a及び2次側スイッチング素子駆動回路340bを制御する。入力素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qとしては、FET、静電誘導トランジスタ(SIT)、BJTの他、GTOサイリスタ、静電誘導(SI)サイリスタ等のサイリスタを含む電力用半導体素子を用いることが可能である。又、低い内部抵抗の要求を考慮すると、現状での市場での入手可能性により、MOSFETが入力素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qとして、それぞれ採用することが好ましい。
【0027】
一実施形態に係る同期共振型伝送システムでは、特定の駆動タイミングにおいて、駆動電圧が給電側共振回路にステップ入力されて、ウェイブレット状の減衰振動が励起される。ここで「駆動電圧」は、図3に示す直流電源5の端子間電圧である。そしてこのウェイブレット状の減衰振動は、駆動タイミングによって定まる駆動周期で周期的に励起され、振動位相の同期が実現する。即ち、算術論理回路341は、1次側LC回路2bと2次側LC回路3bとが、送電側コイルLと受電側コイルLを介してLC回路の振動の位相が同期共振をすることができるように、駆動制御回路34aを制御する。
【0028】
伝送データ記憶装置342aには入力素子Qの駆動タイミングや駆動周期のデータを車種、車両の製品番号等のデータと関連付けで格納し、学習機能を持たせることができる。特に、後述する図4のフローチャートに示す手順で得られた入力素子Qの駆動タイミングのデータを、駆動タイミングのデータが得られた温度等のデータと共に格納することにより、温度変化等の測定環境の変化に伴う、1次側LC回路2b及び2次側LC回路3b等に含まれる回路素子のインピーダンス変化にも迅速に対応する学習機能を持たせることができる。更に伝送データ記憶装置342aには、コイル間の距離(伝送距離)dと同期共振の駆動タイミングの関係を示すデータや、等価結合係数kと駆動タイミングの関係を示すデータが格納されている。伝送条件設定回路348は、伝送データ記憶装置342aから伝送距離dと駆動タイミングの関係を示すデータ及び等価結合係数kと駆動タイミングの関係を示すデータを読み出し、結合係数算出回路347が算出した等価結合係数kから最適な伝送距離dを決定する論理回路である。ここで「伝送距離d」は、図3に例示したような送電側コイルL1と受電側コイルL2の物理的な間隔を意味し、伝送距離dの具体例は図8に模式的に示されている。
【0029】
一般には、一実施形態に係る同期共振型伝送システムの伝送距離dは、当初未知である場合がありうる。同期共振型伝送システムの伝送距離dの限界のデータが取得されている場合は、伝送条件設定回路348は、給電目的となる車輌31cの車高を考慮して、伝送距離dが限界のデータ以内の範囲に入るように伝送間隔制御回路340cに命令を送信する。1次側操作部33がAI機能により車輌31cの車高を決定している場合は、車輌31cの車高のデータも考慮して、伝送距離dを制御する間隔制御機構に必要な移動距離を命令する。
【0030】
算術論理回路341は、図2に示すように、演算シークエンス制御回路344と、1次側電流測定制御回路345と、2次側電圧測定制御回路346と、結合係数算出回路347と、伝送条件設定回路348と、Aバス349aと、Bバス349bとから主に構成されている。演算シークエンス制御回路344は演算処理のシークエンスを制御する。Aバス349a及びBバス349bは、演算シークエンス制御回路344、1次側電流測定制御回路345、2次側電圧測定制御回路346、結合係数算出回路347、及び伝送条件設定回路348のそれぞれに情報及び命令を伝達するためのものである。
【0031】
駆動制御回路34aは、1次側操作部33より給電停止信号が入力された場合、給電を開始させないか、又は給電を停止するように、1次側スイッチング素子駆動回路340aを制御する。駆動制御回路34aは、算術論理回路341が算出した同期共振の駆動タイミングで決まる駆動タイミングにおいて駆動電圧が給電側共振回路にステップ入力させるように、1次側スイッチング素子駆動回路340aを動作させる。1次側スイッチング素子駆動回路340aの駆動により、ウェイブレット状の電磁エネルギが給電回路29bから受電回路27bに給電される。1次側電流測定制御回路345は、送電側コイルLに流れる電流の変化を測定するように送電側検知器28を制御し、送電側検知器28からの情報を受信する。送電側コイルLに流れる電流がピークとなるタイミングは、図3に示すように、送電側検知器28により検知することが可能である。送電側検知器28は電流計に限定されない。電圧と電流は一定の位相差があるので、電圧を測定しても送電側コイルLに流れる電流がピークとなるタイミングを検知できる。
【0032】
駆動制御回路34aは、受電側コンデンサCの端子間電圧の変化を、図3に示す受電側検知器29が検知するように、1次側通信部21、2次側通信部22、2次側スイッチング素子駆動回路340bを介して受電側検知器29の動作を制御する。更に、駆動制御回路34aは、受電側検知器29からの受電側コンデンサCの端子間電圧の変化の情報を、2次側スイッチング素子駆動回路340b、2次側通信部22,1次側通信部21を介して受信する。駆動制御回路34aは、更に受電側コンデンサCの端子間電圧に基づき、受電側コンデンサCの端子間電圧が所定値を上回ったことを2次側電圧測定制御回路346から1次側スイッチング素子駆動回路340aに伝達すると共に、2次側スイッチング素子駆動回路340bを制御する。
【0033】
算術論理回路341には、マイクロチップとして実装されたマイクロプロセッサ(MPU)等を使用してコンピュータシステムを構成することが可能である。又、コンピュータシステムを構成する算術論理回路341として、算術演算機能を強化し信号処理に特化したデジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、メモリや周辺回路を搭載し組込み機器制御を目的としたマイクロコントローラ(マイコン)等を用いてもよい。或いは、現在の汎用コンピュータのメインCPUを算術論理回路341に用いてもよい。更に、算術論理回路341の一部の構成又はすべての構成をフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のようなプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)で構成してもよい。
【0034】
図2に示す算術論理回路341を含む駆動制御回路34aのコンピュータシステムにおいて、伝送データ記憶装置342aは、複数のレジスタ、複数のキャッシュメモリ、主記憶装置、補助記憶装置を含む一群の内から適宜選択された任意の組み合わせとすることも可能である。又、キャッシュメモリは1次キャッシュメモリと2次キャッシュメモリの組み合わせとしてもよく、更に3次キャッシュメモリを備えるヒエラルキーを有しても構わない。PLDによって、算術論理回路341の一部又はすべてを構成した場合は、伝送データ記憶装置342aは、PLDを構成する論理ブロックの一部に含まれるメモリブロック等のメモリ要素として構成することができる。更に、算術論理回路341は、CPUコア風のアレイとPLD風のプログラム可能なコアを同じチップに搭載した構造でもよい。このCPUコア風のアレイは、あらかじめPLD内部に搭載されたハードマクロCPUと、PLDの論理ブロックを用いて構成したソフトマクロCPUを含む。つまりPLDの内部においてソフトウェア処理とハードウェア処理を混在させた構成でもよい。
【0035】
演算シークエンス制御回路344は、1次側電流測定制御回路345、2次側電圧測定制御回路346、結合係数算出回路347、及び伝送条件設定回路348のそれぞれの処理手順をコンピュータ・ソフトウェア・プログラムである同期共振型伝送制御用プログラムに従って、制御する。図2では、Aバス349aに、1次側スイッチング素子駆動回路340a、2次側スイッチング素子駆動回路340b、及び伝送間隔制御回路340cが接続されている構成が例示されている。一方、Bバス349bには、伝送データ記憶装置342a、プログラム記憶装置342b、及び出力装置343が接続されている構成が例示されているが、図2に示す構成に限定されるものではない。プログラム記憶装置342bには、図4に示した一連の同期共振型伝送制御方法の処理の流れに等価なアルゴリズムを実行する同期共振型伝送制御用プログラムが格納される。
【0036】
図2に示す算術論理回路341を構成するハードウェア資源としての1次側電流測定制御回路345、2次側電圧測定制御回路346、結合係数算出回路347、及び伝送条件設定回路348は、論理的な機能に着目したハードウェア資源を形式的に表現しているのであって、必ずしも、半導体チップ上に物理的な領域としてそれぞれ独立して存在する機能ブロックを意味するものではないが、PLDの「論理ブロック」のような半導体チップ上に実装されたプログラム可能な論理コンポーネント等の現実に存在する構成を否定するものでもない。算術論理回路341の一部の構成又はすべての構成をFPGAのようなPLDで構成した場合は、図2に示した演算シークエンス制御回路344のプログラムカウンタやAバス349a及びBバス349b等のデータバスは省略可能である。
【0037】
入力素子Qは、断続的な直流電圧を直流電源5からステップ入力して、1次側LC回路2bにウェイブレット状に減衰する電磁エネルギを発生させ、この電磁エネルギを2次側LC回路3bとの同期共振で無接触送電させる回路素子である。図3に例示したような送電制御素子Qが送電側コイルL1と直列に接続された構成において送電制御素子Qは、入力素子Qが1次側LC回路2bの自由減衰振動を制限して1次側LC回路2bにおけるウェイブレット状の減衰振動を実現させる際の補助をする。直流電源5は、擬似的な定電圧源でよく、単に整流したのみの簡単な構造の直流電源で大きなリップル成分を含む電源でもよいので制御回路や周辺回路が単純で壊れにくく回路設計が容易でしかも安価な直流電源5が採用できる。
【0038】
互いに直列に接続された負荷側ダイオードDと負荷6とが受電側コンデンサCに並列接続されている。負荷6は、例えば車輌31cの車載用のリチウム(Li)イオン電池等の充電式電池が採用可能である。リチウムイオン電池には集電体や電界液の抵抗、電池内の界面にできる電気的2重層のコンデンサや抵抗が含まれる。図3に示すように、負荷側ダイオードDは、アノードが2次側LC回路3b側、カソードが負荷6側を向くように接続され、充電電流Iの流れる方向を一方向に限定している。図3では、負荷6のオン抵抗を含む浮遊抵抗をrで示している。
【0039】
一実施形態に係る同期共振型伝送システムでは、入力素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qとして用いる電力用半導体素子は4個のみで良いので、ジュール熱の発生を防ぐ冷却構造が簡単に設計でき、しかも浮遊抵抗、浮遊容量、浮遊インダクタンスの発生も最小化できる。又、入力素子Q及び送電制御素子Qをオン/オフ制御する単純な制御だけでよいので、駆動制御回路34aの電圧を高めてジュール熱の発生を押さえる設計も簡単にできる。
【0040】
更に、第1の還流ダイオードFWD1が入力素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第2の還流ダイオードFWD2が送電制御素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第3の還流ダイオードFWD3が受電制御素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第4の還流ダイオードFWD4が負荷転送制御素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、それぞれ保護素子として並列接続されている。第3の還流ダイオードFWD3は、受電側コイルL2からの還流電流を流す方向に設けられるので、第2の還流ダイオードFWD2とは反対向きに設けられている。又、送電側コイルL1からの還流電流が直流電源5に還流するのを防ぐため、電源側ダイオードDが直流電源5と入力素子Qの間に直列接続されている。図1に示す実装回路でも、負荷6の等価インピーダンスXLeqを充電容量Csで近似して表現している。
【0041】
一実施形態に係る同期共振型伝送システムの送電側コイルL1と受電側コイルL2は、例えば図8に模式的に示したような、渦巻き状平面コイルとすることができる。図8は、図3の送電側コイルL1と受電側コイルL2の物理的な構造がイメージしやすいように拡大して誇張した模式図であり、現実の寸法や比率とは異なるものである。一実施形態に係る同期共振型伝送システムでは、例えば、導体断面積16mm2の配線用ケーブルをそれぞれ9巻して直径約30cm程度の渦巻き状平面コイルとしている。この直径約30cm程度の2つの渦巻き状平面コイルを、間隔dのギャップを設けて、無接触で互いに平行に対抗させて配置する。1次側LC回路2bから2次側LC回路3bへの1次側LC回路2bと2次側LC回路3bの間の過渡応答相互誘導による伝送効率は、交流理論で定義される結合係数KACと同様な磁気的結合度の値に依存する。磁気的結合度は、2つの渦巻き状平面コイルの間隔dによって異なり、2つの渦巻き状平面コイの間隔dを制御する必要がある。
【0042】
磁気的結合度は、2つの渦巻き状平面コイルの位置関係を機械的に調整する、2つの渦巻き状平面コイルの間に磁性体を挿入する、若しくは2つの渦巻き状平面コイルの周辺に磁性体を配置する、2つの渦巻き状平面コイルの間に働く吸引力若しくは反発力を利用してあらかじめ形作られたカップリングにアタッチする等によって調整することができる。
【0043】
(動作フロー)
一実施形態に係る同期共振型伝送システムの受電回路27bは、送電側コイルLと受電側コイルLとの間隔dが300mm以上離れた疎結合状態(等価結合係数k<0.08)においても、一度の同期共振で十分な電力を伝送可能とするために、図4に示すフローチャートの処理に従い、受電側電圧振幅が所定値を上回ってから、送電側コイルLに流れる電流がピークを示した一瞬のタイミングを選んで、直流電源5から電力を同期共振で供給する。この同期のタイミングを選択した電力供給動作を定期的に、即ち、受電側電圧振幅が最大になるまで繰り返す。ここで、「受電側電圧振幅」とは、受電側コンデンサCの端子間電圧の振幅を意味する。Lに流れる電流がピークを示した一瞬のタイミングを選んで、直流電源5から給電する動作を繰り返すことで、共振開始から最大伝送タイミングまでの時間が長くなっても、回路の寄生抵抗による共振電圧の減衰を回復することができるため、一度の同期共振で伝送できる電力を、同期共振がない場合に比べて大幅に向上させることができる。
【0044】
一実施形態に係る同期共振型伝送システムでは、送電側に設けられた送電側検知器28からの信号は、2次側スイッチング素子駆動回路340bを介して2次側通信部22が1次側通信部21に送信する。1次側通信部21は受信した送電側検知器28からの信号を算術論理回路341に伝達する。送電側コイルLに流れる電流の変化は、1次側スイッチング素子駆動回路340aを介して算術論理回路341に入力される。算術論理回路341は、送電側コイルLに流れる電流がピークとなるタイミングを検知すると共に、受電側に設けられた受電側検知器29によって受電側コンデンサCの端子間電圧を検知する。そして、算術論理回路341は、受電側コンデンサCの端子間電圧が所定値を上回った後、最大となる前に、送電側コイルLに流れる電流がピークとなるタイミングにおいて直流電源5から直流電圧(駆動電圧)を定期的に繰り返し供給するように、入力素子Qの制御端子に制御信号を出力させる。以下、図4を参照しながら、一実施形態に係る同期共振型伝送システムの動作フローの例を説明する。
【0045】
まず、ステップS1において送電制御素子Q、受電制御素子Q、及び負荷転送制御素子Qをオフ状態にし、入力素子Qのみをオン状態にする。送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は、リンギングをしながら一定電圧に充電される。受電側コンデンサC2の端子間電圧VC2は、負の値である。ここで、送電制御素子Qがオフ状態なので、送電側コイルL1側に電流が流れることがなく、より有効に送電側コンデンサCに電荷が蓄えられる。送電側コンデンサCに初期電圧を印加して電荷を蓄えた後、入力素子Qをオフ状態にする。
【0046】
次に、ステップS2において入力素子Qをオフ状態にした後、一定時間をおいて、送電制御素子Q及び受電制御素子Qを同時にオン状態にする。負荷転送制御素子Qはオフ状態である。送電制御素子Qがオン状態になると、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に蓄積され、更に、1次側LC回路34bと2次側LC回路27bの間の過渡応答相互誘導が生じる。送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギが送電側コイルL1に移動すると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は、負の極大値をとった後、0Vになる。1次側LC回路34bから2次側LC回路27bへの過渡応答相互誘導によって、受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電制御素子Qがオン状態なので、受電側コンデンサCを充電する。この時、負荷転送制御素子Qがオフ状態なので、負荷6側に電流が流れることがなく、より有効に受電側コンデンサCに電荷が蓄えられる。
【0047】
そして、ステップS3において送電側に設けられた送電側検知器28からの信号が、2次側スイッチング素子駆動回路340b、2次側通信部22及び1次側通信部21を介して算術論理回路341に入力される。ステップS3において、算術論理回路341は受電側電圧振幅(=受電側コンデンサCの端子間電圧の振幅)が所定値を上回っているか判定する。ステップS3で算術論理回路341が、受電側電圧振幅が所定値を上回っていると判定したら、ステップS4に進む。ステップS4において、送電側コイルLに流れる電流の変化の情報が、送電側検知器28から1次側スイッチング素子駆動回路340aを介して算術論理回路341に入力される。ステップS4で算術論理回路341は、送電側電圧が零に減少したタイミング、即ち送電側コンデンサCの端子間電圧が0Vとなるゼロクロス時刻を、送電側コイルLに流れる電流がピークを示すタイミングとして判定する。ステップS4で、算術論理回路341が送電側コイルLに流れる電流がピークを示すタイミングを確認すると、その一瞬に、ステップS5に進む。ステップS5では、算術論理回路341は1次側スイッチング素子駆動回路340aに命令を送り、送電制御素子Q及び受電制御素子Qのオン状態を保ったままで、入力素子Qを瞬間的にオン状態にする。ステップS5で、1次側スイッチング素子駆動回路340aの制御によって直流電源5から送電側コンデンサCに直流電圧が供給されると、ステップS2に戻る。算術論理回路341はステップS2→S3→S4→S5→S2のループに沿った電圧供給動作を定期的に、即ち、受電側検知器29により検知される受電側電圧振幅(=受電側コンデンサCの端子間電圧の振幅)が最大になるまで繰り返すように制御する。
【0048】
例えば、図5の実線で示したウェイブレット状の減衰波形に示すように、受電側電圧振幅が最大になる時点Pmaxまで、直流電源5から送電側コンデンサCへのウェイブレット状の給電が2回行われる。即ち、図5の破線で示した受電側電圧振幅が所定値を上回ってから、送電側電圧が零に減少して送電側検知器28の値がピークになるタイミングは、XP及びXPの2回であるから、このタイミングにおいて、直流電源5から送電側コンデンサCへの給電が行われる。この場合、破線で示した受電側電圧振幅が最大になるまでの時間(共振オフまでの1サイクルの時間)が長くなるが、1サイクルでの伝送電力量を大幅に向上することができるので、結果として、同期共振がない場合に比べて、所定時間での電力伝送量を増大し、かつ所定電力量を伝送するための時間を短くできる。
【0049】
図4の動作フローに戻ると、ステップS3において、受電側電圧振幅が最大になったタイミングPmaxを受電側検知器29により検知するとステップS6に進む。ステップS3において、受電側検知器29が検知した受電側電圧振幅が最大になったタイミングPmaxは、1次側スイッチング素子駆動回路340aを経由し、2次側通信部22から1次側通信部21へ送信される。1次側通信部21は受信した受電側電圧振幅が最大になったタイミングPmaxは、の情報を算術論理回路341に伝達する。ステップS6のタイミングで負荷転送制御素子Qをオン状態にすると、充電電流ICSが負荷6に流れ始める。ステップS6においては、負荷転送制御素子Qをオン状態にしたタイミングで、送電制御素子Q及び受電制御素子Qをオフ状態にする。送電制御素子Q及び受電制御素子Qのオフ状態は、1次側LC回路34bと2次側LC回路27bの間の過渡応答相互誘導によって、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2が最大になり、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が0Vになる時点までである。この時、受電制御素子Qがオフ状態なので、より有効に充電電流ICSが負荷6に移動する。充電電流ICSは、送電制御素子Q及び受電制御素子Qがオフ状態になった後も増大し、ピーク値に到達した後、減少し、ゼロになる。
【0050】
次に、充電電流Iが0Aとなった後に、負荷転送制御素子Qのオン状態を維持したまま、送電制御素子Q及び受電制御素子Qを同時に、再度、オン状態にすると、受電側コンデンサCの充電が開始される。1次側LC回路34bと2次側LC回路27bの電磁結合により送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が0Vから負に減少し始める。更に、ステップS7において負荷転送制御素子Qをオフ状態とし、受電側コンデンサCの放電を開始すると、1次側LC回路34bと2次側LC回路27bの間の過渡応答相互誘導による還流が生じる。一実施形態に係る同期共振型伝送システムでは、負荷転送制御素子Qがオフ状態なので、負荷6側に電流が流れることがなく、より有効に受電側コイルL2に電流が流れる。受電側コイルL2と送電側コイルL1との相互誘導による送電側コイルL1を流れる還流電流により、送電側コンデンサCが充電され、端子間電圧VC1が、負の極大値をから正の値となり、増大し始める。又、端子間電圧VC2は、減少を開始し、負の極大値をとった後、0Vになる。
【0051】
そしてステップS8において、算術論理回路341は負荷6の受電量が所定値に到達したか否かを判定する。ステップS8において、算術論理回路341が負荷6の受電量が所定値に到達したと判定した場合には、図4に示すフローの処理を終了する。ステップS8において、負荷6の受電量が所定値に到達していないと判定された場合には、ステップS1に戻り、ステップS8の判定で所定値に到達するまで、ステップS8→S1→S2→……→S8のル-プの動作を繰り返す。
【0052】
図4に示した一連の同期共振型伝送制御方法の処理の流れは、図4と等価なアルゴリズムの同期共振型伝送制御用プログラムにより、図2に示した駆動制御回路34aを制御して実行出来る。この同期共振型伝送制御用プログラムは、本発明の駆動制御回路34aを構成するコンピュータシステムのプログラム記憶装置342bに記憶させればよい。また、この同期共振型伝送制御用プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に保存し、この記録媒体を駆動制御回路34aのプログラム記憶装置342bに読み込ませることにより、本発明の一連の劣化操作を実行することができる。ここで、「コンピュータ読取り可能な記録媒体」とは、例えばコンピュータの外部メモリ装置、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのプログラムを記録することができるような媒体などを意味する。
【0053】
具体的には、フレキシブルディスク、CD-ROM,MOディスク、HDDなどが「コンピュータ読取り可能な記録媒体」に含まれる。例えば、駆動制御回路34aの本体は、フレキシブルディスク装置(フレキシブルディスクドライブ)および光ディスク装置(光ディスクドライブ)を内蔵若しくは外部接続するように構成できる。フレキシブルディスクドライブに対してはフレキシブルディスクを、また光ディスクドライブに対してはCD-ROMをその挿入口から挿入し、所定の読み出し操作を行うことにより、これらの記録媒体に格納されたプログラムを、動制御回路34aを構成するプログラム記憶装置342bにインストールすることができる。更に、インターネット等の情報処理ネットワークを介して、このプログラムをプログラム記憶装置342bに格納することが可能である。
【0054】
以上、説明したように、一実施形態に係る同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラムによれば、疎結合状態でも、一度の同期共振で十分な電力、即ち、回路の寄生抵抗が無いとしたときと同等の電力伝送を可能とし、より遠くへ無接触で、かつ短時間で給電することができる。例えば、所定の電力量を伝送するに当たり、同期を考慮しない参考技術では、32msecかかっていたところ、一実施形態に係る同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラムでは、約1/3の10.6msecで行うことが可能となる。
【0055】
具体的には、本発明者らが当初検討した同期を考慮しない参考技術では、共振開始から最大伝送タイミングまでの時間が長くなると、回路の寄生抵抗により共振電圧が減衰するため、最大伝送タイミングで共振を一時的に切る時点において伝送電圧が減少してしまい、一度の無接触送電で十分な電力を伝送できず、所定の電力量を伝送するまでに長時間を要していた。即ち、図6に示すように、寄生抵抗を想定しなければ、ポイントPmaxにおいて、破線で示した受電側電圧振幅が最大電圧25Vとなるはずであるが、実際は寄生抵抗により共振をオフした時点(共振時間3msec)Xで、受電側コンデンサCに12.5Vの蓄電しかできない。これに対し、一実施形態に係る同期共振型伝送システムでは、図5に示すように、共振中に、所定のタイミングXP,XPのそれぞれで、実線で示したようなウェイブレット状の給電を行っているため、共振開始から最大伝送タイミングPmaxまでの時間が、同期非考慮の参考技術よりも長くなるものの、回路の寄生抵抗により減衰した共振電圧は給電により回復することができる。このため、一度の同期共振で伝送できる電力量を大幅に向上させることができる。即ち、5.6msecの共振時間で、受電側コンデンサCに25Vの蓄電が可能である。
【0056】
以下に、1サイクルの時間と、1サイクルで伝送可能な電力量の例を示す。
[1サイクルの時間]
共振以外の時間を5msecとした場合、本発明者らが当初検討した同期非考慮システムの1サイクルは、3.0msec+5msec=8msecであるのに対し、一実施形態に係る同期共振型伝送システム、同期共振型伝送制御方法及び同期共振型伝送制御用プログラムでは、5.6msec+5msec=10.6msecとなる。即ち、本発明では、参考技術である同期非考慮システムに比べて、1サイクルの時間が約1.3倍となる。
[1サイクルの伝送電力量」
伝送電力量Wは、W=(1/2)CVで表されるため、同期非考慮システムの伝送電圧12.5Vに対して、本発明の伝送電圧がその2倍である25Vになったということは、本発明では、参考技術である同期非考慮システムに比べて、1サイクルの伝送電力量が約4倍となったことを意味する。
【0057】
以上より、本発明者らが当初検討した参考技術ない係る同期非考慮システムに比べて、本発明では約1.3倍の時間をかけて、約4倍の電力量を伝送可能であることが分かる。即ち、本発明によれば、送電側コイルと受電側コイルとの間隔が300mm以上離れた疎結合状態(等価結合係数k<0.08)であっても、一度の同期共振で十分な電力を伝送できるため、より遠くへ無接触で、かつ短時間に給電することが可能となる。
【0058】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は上記の代表的な一実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、上記の一実施形態に係る同期共振型伝送システムの説明では便宜上、入力素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qと4つのスイッチング素子を有する回路構成で説明したが、負荷転送制御素子Qを省略した3つのスイッチング素子を有する回路構成でもよい。要は、2次側LC回路3bの側の共振振幅電圧が所定値を上回ったことを受電側検知器29が検知した後、1次側LC回路2bに流れる電流がピークとなるタイミングを送電側検知器28が検知したときに、直流電源5から直流電圧を供給するように、算術論理回路341が1次側スイッチング素子駆動回路340aを制御する構成であればよい。
【0059】
同様な趣旨から、図3に例示した回路構成から受電制御素子Qと負荷転送制御素子Qとを省略した2つのスイッチング素子を有する回路構成でもよい。更には、図3に例示した回路構成から送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qを省略し、入力素子Qのみを有する回路構成でもよいことは、上記の説明の趣旨から理解できるであろう。
【0060】
更に、例えば、送電側コイルLと受電側コイルLとの間隔が300mm以上離れた状態でも、十分な電力を伝送できるため、倉庫内で移動する車両用の給電であれば、倉庫内の移動経路に沿って、複数の送電コイルを連続的に埋め込んでおけば、車両が移動状態であっても車両に無接触で給電することができる。勿論、更にインフラを整備すれば、公道での車両に無接触で給電が可能になる。以上のとおり本発明は、本明細書及び図面に記載していない様々な実施形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0061】
2b…1次側LC回路、3b…2次側LC回路、5…直流電源、6…負荷、21…1次側通信部、22…2次側通信部、23…2次側操作部、27b…受電回路、28…検知器(送電側検知器)、29…検知器(受電側検知器)、29b…給電回路、30…平坦面、31c…車輌、33…1次側操作部、34a…駆動制御回路、340a…1次側スイッチング素子駆動回路、340b…2次側スイッチング素子駆動回路、340c…伝送間隔制御回路、341…算術論理回路、342a…伝送データ記憶装置、342b…プログラム記憶装置、343…出力装置、344…演算シークエンス制御回路、345…1次側電流測定制御回路、346…2次側電圧測定制御回路、347…結合係数算出回路、348…伝送条件設定回路、349a…Aバス、349b…Bバス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8