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特許7420673フレッシュコンクリートの空気量測定装置、及びフレッシュコンクリートの空気量測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】フレッシュコンクリートの空気量測定装置、及びフレッシュコンクリートの空気量測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/38 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G01N33/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020125662
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021829
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岩城 圭介
(72)【発明者】
【氏名】唐沢 智之
(72)【発明者】
【氏名】西脇 敬一
(72)【発明者】
【氏名】川又 篤
(72)【発明者】
【氏名】福岡 瑛莉奈
(72)【発明者】
【氏名】竹田 茂嗣
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 隆
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-355811(JP,A)
【文献】特開2018-202716(JP,A)
【文献】特開平07-052143(JP,A)
【文献】特表2015-501423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0297204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00 - 33/46
B28C 1/00 - 9/04
B01D 11/00 - 12/00
G01N 5/00 - 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレッシュコンクリートの空気量を測定するフレッシュコンクリートの空気量測定装置であって、
前記フレッシュコンクリートが圧送される圧送路の管内圧力を計測する圧力計測手段と、
管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量を計測する単位質量計測手段と、
前記管内圧力、前記管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量、及び予め算出された空気を含まないフレッシュコンクリートの単位容積質量に基づいて、前記フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を算出する空気量算出手段とを備えた
フレッシュコンクリートの空気量測定装置。
【請求項2】
前記空気量算出手段は、
前記フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を、下式に基づいて算出する構成である
【数1】
請求項1に記載のフレッシュコンクリートの空気量測定装置。
【請求項3】
空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量を算出する単位質量推定手段を備え、
前記空気量算出手段は、
大気圧に近い管内圧力と、該大気圧に近い管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量と、前記空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量とに基づいて、前記フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を算出する構成である
請求項1または請求項2に記載のフレッシュコンクリートの空気量測定装置。
【請求項4】
最も高い管内圧力下でのフレッシュコンクリートの空気量を、下式に基づいて算出する加圧空気量推定手段を備え、
【数2】
前記単位質量推定手段は、
前記空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量を、下式に基づいて算出する構成である
【数3】
請求項3に記載のフレッシュコンクリートの空気量測定装置。
【請求項5】
フレッシュコンクリートの空気量を測定するフレッシュコンクリートの空気量測定方法であって、
前記フレッシュコンクリートが圧送される圧送路の管内圧力を計測する圧力計測工程と、
管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量を計測する単位質量計測工程と、
前記管内圧力、前記管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量、及び予め算出された空気を含まないフレッシュコンクリートの単位容積質量に基づいて、前記フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を算出する空気量算出工程とを行う
フレッシュコンクリートの空気量測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばフレッシュコンクリート(生コンクリート)が圧送されている圧送路から得られた情報に基づいて、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を算出するようなフレッシュコンクリートの空気量測定装置、及びフレッシュコンクリートの空気量測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場から出荷されたフレッシュコンクリートは、アジテータトラックから荷卸しされる現場において、品質管理のための検査が試料を採取して行われている。昨今では、このような品質管理のための検査を容易にする様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1は、フレッシュコンクリートの水分量を、試料を採取することなく測定できる装置を提案している。
【0003】
具体的には、特許文献1の装置は、フレッシュコンクリートが圧送される配管外周面から中性子線、及びガンマ線を照射し、中性子線の減衰率、及びガンマ線の減衰率に基づいて単位水量を算出することで、フレッシュコンクリートの水分量を測定するものである。
これにより、特許文献1の装置は、試料を採取することなく、水分量の測定を連続して行うことができるため、例えば、打設されるフレッシュコンクリートの全量検査を容易にできるとされている。
【0004】
ところで、フレッシュコンクリートの荷卸し時検査の一つとして、大気圧下におけるフレッシュコンクリートの空気量測定がある。この空気量測定は、日本産業規格のJISA1128の「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法-空気室圧力方法」、並びにJISA1116の「フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法、及び空気量の質量による試験方法(質量方法)」に準じて行われている。
【0005】
しかしながら、日本産業規格による空気量の測定方法では、試料を採取して行う必要があるため、その測定に手間がかかるだけでなく、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を連続して測定することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-52143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を、試料を採取することなく連続して測定できるフレッシュコンクリートの空気量測定装置、及びフレッシュコンクリートの空気量測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、フレッシュコンクリートの空気量を測定するフレッシュコンクリートの空気量測定装置であって、前記フレッシュコンクリートが圧送される圧送路の管内圧力を計測する圧力計測手段と、管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量を計測する単位質量計測手段と、前記管内圧力、前記管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量、及び予め算出された空気を含まないフレッシュコンクリートの単位容積質量に基づいて、前記フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を算出する空気量算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記圧送路は、ポンプなどによってフレッシュコンクリートが圧送開始される部分から外部に放出される開口までの経路となる配管やホースなどのことをいう。
上記圧力計測手段は、例えば圧送路の管内圧力を計測する圧力計、またはフレッシュコンクリートを圧送するためのポンプの油圧に基づいて管内圧力を算出する手段などのことをいう。
単位質量計測手段は、フレッシュコンクリートへ向けてガンマ線などの放射線を照射し、フレッシュコンクリートを透過した放射線の減衰率に基づいて単位容積質量を計測する手段、あるいはフレッシュコンクリートへ向けて音波を照射し、フレッシュコンクリートを透過した音波速度に基づいて単位容積質量を計測する手段などのことをいう。
【0010】
この発明によれば、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、例えば、フレッシュコンクリートが圧送されている圧送路から得られた情報に基づいて、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を、試料を採取することなく算出することができる。
【0011】
さらに、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を測定するために必要な情報を、試料を採取する場合に比べて遥かに短い時間間隔で取得することができる。
これにより、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、打設されるフレッシュコンクリートにおける大気圧下での空気量の全量検査を容易に行うことができる。
【0012】
この発明の態様として、前記空気量算出手段は、前記フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を、下式に基づいて算出する構成であってもよい。
【0013】
【数1】
この構成によれば、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、複雑な演算を用いることなく、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を算出することができる。このため、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を、より短い時間間隔で連続して算出することができる。
【0014】
また、この発明の態様として、空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量を算出する単位質量推定手段を備え、前記空気量算出手段は、大気圧に近い管内圧力と、該大気圧に近い管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量と、前記空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量とに基づいて、前記フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を算出する構成であってもよい。
【0015】
この構成によれば、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、新たな計測手段を追加することなく、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量をより精度よく算出することができる。
具体的には、空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量を算出することで、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、例えば、机上計算値よりも精度のよい値として、空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量を計測タイミングごとに取得することができる。
【0016】
そして、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量を用いることで、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を精度よく算出することができる。
【0017】
さらに、管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量は、管内圧力が大気圧に近いほど、空気量の差が出やすい。このため、大気圧に近い管内圧力と、大気圧に近い管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量とを用いることで、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量をより精度よく算出することができる。
【0018】
また、この発明の態様として、最も高い管内圧力下でのフレッシュコンクリートの空気量を、下式に基づいて算出する加圧空気量推定手段を備え、
【0019】
【数2】
前記単位質量推定手段は、前記空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量を、下式に基づいて算出する構成であってもよい。
【0020】
【数3】
この構成によれば、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、複雑な演算を用いることなく、最も高い管内圧力下でのフレッシュコンクリートの空気量と、空気を含まないフレッシュコンクリートの推定単位容積質量とを算出することができる。このため、フレッシュコンクリートの空気量測定装置は、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を、より短い時間間隔で連続して算出することができる。
【0021】
また、この発明は、フレッシュコンクリートの空気量を測定するフレッシュコンクリートの空気量測定方法であって、前記フレッシュコンクリートが圧送される圧送路の管内圧力を計測する圧力計測工程と、管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量を計測する単位質量計測工程と、前記管内圧力、前記管内圧力下でのフレッシュコンクリートの単位容積質量、及び予め算出された空気を含まないフレッシュコンクリートの単位容積質量に基づいて、前記フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を算出する空気量算出工程とを行うことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、フレッシュコンクリートの空気量測定方法は、例えば、フレッシュコンクリートが圧送されている圧送路から得られた情報に基づいて、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を、試料を採取することなく算出することができる。
【0023】
さらに、フレッシュコンクリートの空気量測定方法は、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を測定するために必要な情報を、試料を採取する場合に比べて遥かに短い時間間隔で取得することができる。
これにより、フレッシュコンクリートの空気量測定方法は、打設されるフレッシュコンクリートにおける大気圧下での空気量の全量検査を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、フレッシュコンクリートの大気圧下での空気量を、試料を採取することなく連続して測定できるフレッシュコンクリートの空気量測定装置、及びフレッシュコンクリートの空気量測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】フレッシュコンクリートの空気量測定装置における構成を示す構成図。
図2】フレッシュコンクリートの空気量測定装置における内部構成を示すブロック図。
図3】フレッシュコンクリートの空気量測定装置における処理動作を示すフローチャート。
図4】管内圧力と生コンクリートの単位容積質量との関係を示す関係図。
図5】実施例2のフレッシュコンクリートの空気量測定装置における処理動作を示すフローチャート。
図6】最大管内圧力、及び最小管内圧力の概略を説明する説明図。
図7】別の実施形態におけるフレッシュコンクリートの空気量測定装置の構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0027】
本実施形態におけるフレッシュコンクリートの空気量計測装置は、生コンクリートが圧送されているコンクリートポンプ車の配管から得られた情報に基づいて、生コンクリートの大気圧下での空気量を算出する装置である。このようなフレッシュコンクリートの空気量測定装置1について、図1から図3を用いて説明する。
なお、図1はフレッシュコンクリートの空気量測定装置1における構成図を示し、図2はフレッシュコンクリートの空気量測定装置1におけるブロック図を示し、図3はフレッシュコンクリートの空気量測定装置1における処理動作のフローチャートを示している。
【0028】
まず、生コンクリートCは、図1に示すように、コンクリートポンプ車のホッパに接続された配管Hの内部を流動している。なお、生コンクリートCは、コンクリートポンプ車のポンプ(ピストン式またはスクイズ式)によって圧送されている。
【0029】
フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、作業者の操作を受け付けると、各種処理動作を開始するように構成されている。
具体的には、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、図1に示すように、配管Hに装着された圧力計2、及びガンマ線密度計3と、生コンクリートCの品質異常を報知する報知部4と、これらの動作を制御する装置本体10とで構成されている。
なお、圧力計2、及びガンマ線密度計3は、ポンプに近い配管H上に配置されているのが好ましい。
【0030】
圧力計2は、図1及び図2に示すように、その先端が配管Hの内部に露出するように、配管Hに設けた装着孔(符号省略)に装着されるとともに、装置本体10に電気的に接続されている。この圧力計2は、配管Hの内部圧力(以下、管内圧力と呼ぶ)を検出する機能と、検出した管内圧力を示す情報を装置本体10に出力する機能とを有している。
【0031】
また、ガンマ線密度計3は、図1及び図2に示すように、配管Hの軸中心を挟んで対向配置された線源部3aと検出部3bとで構成されるとともに、装置本体10に電気的に接続されている。
線源部3aは、配管H内の生コンクリートCへ向けて、ガンマ線を照射する機能を有している。
【0032】
一方、検出部3bは、配管H、及び生コンクリートCを透過したガンマ線を検出する機構部分と、検出したガンマ線の減衰率に基づいて生コンクリートの密度(単位容積質量)を算出するとともに、生コンクリートの密度(単位容積質量)を示す情報を装置本体10に出力する機構部分とで構成されている。この検出部3bは、装置本体10の指示により、ガンマ線の検出と、生コンクリートの単位容積質量の算出とを行う。
【0033】
また、報知部4は、図1及び図2に示すように、例えば、ランプやスピーカーなどで構成され、装置本体10に電気的に接続されている。この報知部4は、生コンクリートCの大気圧下での空気量が許容範囲を超えた場合、装置本体10からの報知信号に基づいて、生コンクリートCの品質異常を報知する機能を有している。
【0034】
例えば、ランプで構成された報知部4の場合、報知部4は、報知信号に基づいて、点灯することで、生コンクリートCの品質異常を報知する。あるいは、スピーカーで構成された報知部4の場合、報知部4は、音声案内を出力することで、生コンクリートCの品質異常を報知する。
【0035】
また、装置本体10は、図2に示すように、表示部11、操作部12、記憶部13、密度計接続部14、圧力計接続部15、報知出力部16、及びこれらの動作を制御する制御部17とで構成されている。
【0036】
表示部11は、液晶ディスプレイなどで構成され、各種情報を表示する機能を有している。なお、この表示部11には、例えば、各種情報の入力を促す入力画面、空気量の時間的変化を示す画面、及び品質異常の報知を示す画面などが表示される。
操作部12は、キーボードなどで構成され、作業者による入力操作を受け付ける機能と、受け付けた入力内容を示す情報を制御部17に出力する機能とを有している。
【0037】
記憶部13は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この記憶部13は、空気が全く含まれていないものとして予め算定された生コンクリートCの単位容積質量、空気量の閾値となる空気量の許容範囲、各種処理の実行プログラム、及び作業者が入力した各種パラメータなどを記憶している。
【0038】
なお、空気が全く含まれていないものとして予め算定された生コンクリートCの単位容積質量は、日本産業規格に規定された方法に基づいて、生コンクリートCの各種配合ごとに算定されている。また、空気量の閾値となる空気量の許容範囲は、日本産業規格の規格に準じた許容範囲が、生コンクリートの各種配合ごとに設定されている。
【0039】
密度計接続部14は、ガンマ線密度計3が電気的に接続される部分である。この密度計接続部14は、ガンマ線密度計3に各種信号を出力する機能と、ガンマ線密度計3が出力した生コンクリートの密度(単位容積質量)を示す情報の入力を受け付ける機能と、取得した生コンクリートの密度(単位容積質量)を示す情報を制御部17に出力する機能とを有している。
【0040】
圧力計接続部15は、圧力計2が電気的に接続される部分である。この圧力計接続部15は、圧力計2が出力した管内圧力を示す情報の入力を受け付ける機能と、取得した管内圧力を示す情報を制御部17に出力する機能とを有している。
報知出力部16は、報知部4が電気的に接続される部分である。この報知出力部16は、制御部17の指示によって、報知部4に報知信号を出力する機能を有している。
【0041】
制御部17は、例えば、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。この制御部17は、圧力計2、ガンマ線密度計3、及び報知部4との各種信号の授受に係る処理機能と、生コンクリートの空気量の算出に係る各種処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0042】
次に、上述した構成のフレッシュコンクリートの空気量測定装置1において、作業者による操作によって、生コンクリートCの圧送が開始された際の処理動作について、図3を用いて説明する。
なお、圧力計2は、生コンクリートCの圧送が開始されると、配管Hの管内圧力を常時監視して、管内圧力を示す情報を装置本体10に連続して出力している。
【0043】
生コンクリートCの圧送開始を確認した作業者による入力操作によって、空気量測定を開始すると、装置本体10の制御部17は、図3に示すように、ガンマ線の減衰率を測定開始させる測定開始信号を、ガンマ線密度計3に出力する(ステップS101)。
この際、ガンマ線密度計3は、測定開始信号に基づいて、ガンマ線の減衰率の測定と、生コンクリートCの単位容積質量の算出とを開始する。
【0044】
測定開始信号を出力すると、制御部17は、図3に示すように、管内圧力を示す情報、及び生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を取得したか否かを判定する(ステップS102)。
管内圧力を示す情報、及び生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を取得した場合(ステップS102:Yes)、制御部17は、管内圧力を示す情報を管内圧力P1として、生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を、管内圧力P1下における生コンクリートの単位容積質量M1として一時記憶する(ステップS103)。
【0045】
その後、制御部17は、管内圧力P1、及び管内圧力P1下における生コンクリートの単位容積質量M1に基づいて、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出する(ステップS104)。
【0046】
具体的には、制御部17は、空気が全く含まれていないものとして予め算定された生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を記憶部13から読み出して、空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tとして一時記憶する。
その後、制御部17は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を、次の式1に基づいて算出する。
【0047】
【数4】
生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出すると、制御部17は、空気量の閾値となる空気量の許容範囲を記憶部13から読み出して、生コンクリートの大気圧下での空気量A0が、空気量の許容範囲内か否かを判定する(ステップS105)。
【0048】
生コンクリートの大気圧下での空気量A0が空気量の許容範囲内であれば(ステップS105:Yes)、制御部17は、処理をステップS101に戻し、作業者の操作によって生コンクリートCの圧送が停止するまで、ステップS101から後述するステップS106の処理を繰り返す。
【0049】
一方、ステップS105において、生コンクリートの大気圧下での空気量A0が空気量の許容範囲内でない場合(ステップS105:No)、制御部17は、エラー処理を開始する(ステップS106)。
【0050】
例えば、制御部17は、ポンプの動作を制御する装置に対して停止信号を出力し、生コンクリートCの圧送を停止させるとともに、報知部4に報知信号を出力して、生コンクリートCの品質異常を報知させる。
この場合、制御部17は、作業者による停止操作を受け付けるまで、報知信号を報知部4に出力し、停止操作を受け付けた場合、処理を終了する。
【0051】
また、図3のステップS102において、管内圧力を示す情報、及び生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を取得していない場合(ステップS102:No)、制御部17は、処理をステップS101に戻して、管内圧力を示す情報、及び生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を取得するまで待機する。
【0052】
次に、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出するための式1について詳述する。この式1は、以下のようにして求めている。
まず、JISA1116の「フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法、及び空気量の質量による試験方法(質量方法)」によれば、空気を含まないコンクリートの単位容積質量をT、試料であるコンクリートの単位容積質量をMとして、コンクリートの空気量A={(T-M)/T}×100で算出している。
【0053】
そうすると、管内圧力P1下での生コンクリートの単位容積質量をM1とした場合、管内圧力P1下での生コンクリートの空気量A1は、A1={(T-M1)/T}×100で算出することができる。さらに、管内圧力P1下での生コンクリートの空気量A1は、空気の含有率として算出されるため、次の式2の関係が成立する。
【0054】
【数5】
この式2を変形して整えると、次の式3が得られる。
【0055】
【数6】
ここで、大気圧をP0とし、大気圧P0下での空気の容積をV2とすると、ボイルの法則により、次の式4が得られる。
【0056】
【数7】
さらに、生コンクリートの大気圧下での空気量A0は、上述の式2と同様の理由により、次の式5で算出できる。
【0057】
【数8】
この式5に、式3のVc、及び式4のV2を代入することで、実施例1は、上述した式1を得ることができる。
このようにして得た上述の式1を用いることで、実施例1は、生コンクリートCが圧送されている配管Hから得られた情報から、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出している。
【0058】
以上のように、生コンクリートCの空気量を測定するフレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、生コンクリートCが圧送される配管Hの管内圧力P1を計測する圧力計2を備えている。
さらに、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、管内圧力P1下での生コンクリートの単位容積質量M1を計測するガンマ線密度計3を備えている。
【0059】
そして、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、管内圧力P1、管内圧力P1下での生コンクリートの単位容積質量M1、及び予め算出された空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tに基づいて、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出する装置本体10の制御部17を備えたものである。
【0060】
そのため、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、生コンクリートCが圧送されている配管Hから得られた情報に基づいて、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を、試料を採取することなく算出することができる。
【0061】
さらに、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を測定するために必要な情報を、試料を採取する場合に比べて遥かに短い時間間隔で取得することができる。
これにより、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、打設される生コンクリートCにおける大気圧下での空気量の全量検査を容易に行うことができる。
【0062】
また、制御部17は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を、上述の式1に基づいて算出する構成である。
この構成によれば、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、複雑な演算を用いることなく、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出することができる。このため、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を、より短い時間間隔で連続して算出することができる。
【0063】
また、生コンクリートCの空気量を測定するフレッシュコンクリートの空気量測定方法は、まず、生コンクリートCが圧送される配管Hの管内圧力P1を計測する圧力計測工程を行う。
その後、フレッシュコンクリートの空気量測定方法は、管内圧力P1下での生コンクリートの単位容積質量M1を計測する単位質量計測工程を行う。
【0064】
そして、フレッシュコンクリートの空気量測定方法は、管内圧力P1、管内圧力P1下での生コンクリートの単位容積質量M1、及び予め算出された空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tに基づいて、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出する空気量算出工程を行うものである。
【0065】
そのため、フレッシュコンクリートの空気量測定方法は、生コンクリートCが圧送されている配管Hから得られた情報に基づいて、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を、試料を採取することなく算出することができる。
【0066】
さらに、フレッシュコンクリートの空気量測定方法は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を測定するために必要な情報を、試料を採取する場合に比べて遥かに短い時間間隔で取得することができる。
これにより、フレッシュコンクリートの空気量測定方法は、打設される生コンクリートCにおける大気圧下での空気量の全量検査を容易に行うことができる。
【実施例2】
【0067】
実施例2は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0をより精度よく算出できる処理動作について図4から図6を用いて説明する。
なお、図4は管内圧力P1と生コンクリートの単位容積質量M1との関係図を示し、図5は実施例2のフレッシュコンクリートの空気量測定装置1における処理動作のフローチャートを示し、図6は最大管内圧力Pmax、及び最小管内圧力Pminの説明図を示している。
また、上述の実施例1と同じ構成は、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0068】
まず、管内圧力P1と、管内圧力P1下における生コンクリートの単位容積質量M1との関係について、図4を用いて説明する。
なお、図4は、横軸を管内圧力P1、縦軸を生コンクリートの単位容積質量M1として、管内圧力P1に対する生コンクリートの単位容積質量M1の変化を、JISA1116に基づいて測定した空気量A=3.0%、4.5%、及び6.0%ごとに示している。
【0069】
管内圧力P1と生コンクリートの単位容積質量M1との関係は、図4に示すように、管内圧力P1が大気圧P0に等しい場合、管内圧力P1での生コンクリートの単位容積質量M1は、空気量Aの違いが出やすいことがわかる。
【0070】
一方で、管内圧力P1が高くなるほど、管内圧力P1での生コンクリートの単位容積質量M1は、空気量A=3.0%、4.5%、及び6.0%のいずれの場合も、空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tに漸近し、かつ略一定値に近づいていることがわかる。
【0071】
ところで、空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tは、セメント、及び骨材の密度によって大きく影響を受けやすいことが知られている。このため、管内圧力P1が高い場合、空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tと実際の値との差が、管内圧力P1が低い場合に比べて大きくなるおそれがある。そうすると、算出された生コンクリートの大気圧下での空気量A0に、大きな誤差が生じるおそれがあった。
【0072】
そこで、実施例2では、制御部17が取得した管内圧力P1と、管内圧力P1での生コンクリートの単位容積質量M1とに基づいて、空気を含まない生コンクリートの単位容積質量を推定して、これを式1のTに置き換えて、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出している。
【0073】
詳述すると、作業者の入力操作によって、空気量測定を開始すると、装置本体10の制御部17は、図5に示すように、ガンマ線の減衰率を測定開始させる測定開始信号を、ガンマ線密度計3に出力する(ステップS201)。この際、ガンマ線密度計3は、測定開始信号に基づいて、ガンマ線の減衰率の測定と、生コンクリートCの単位容積質量の算出とを開始する。
なお、圧力計2は、実施例1と同様に、配管Hの管内圧力を常時監視して、管内圧力を示す情報を装置本体10に連続して出力しているものとする。
【0074】
測定開始信号を出力すると、制御部17は、図5に示すように、管内圧力を示す情報、及び生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を取得したか否かを判定する(ステップS202)。
管内圧力を示す情報、及び生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を取得した場合(ステップS202:Yes)、制御部17は、図5に示すように、ステップS203に移行して、管内圧力、及び管内圧力下での生コンクリートの単位容積質量を一時記憶する(ステップS203)。
【0075】
具体的には、制御部17は、図6に示すように、ポンプの動作によって脈動する管内圧力P1のうち、比較的高い管内圧力を示す情報を最大管内圧力Pmaxとして取得し、比較的大気圧に近い管内圧力を示す情報を最小管内圧力Pminとして記憶する。
この際、制御部17は、最も高い管内圧力P1を最大管内圧力Pmaxとして記憶し、大気圧にできるだけ近い管内圧力P1を最小管内圧力Pminとして記憶することが望ましい。
【0076】
さらに、制御部17は、最大管内圧力Pmax時の生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を、最大管内圧力Pmaxでの生コンクリートの単位容積質量Mpmaxとして記憶する。
加えて、制御部17は、最小管内圧力Pmin時の生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を、最小管内圧力Pminでの生コンクリートの単位容積質量Mpminとして記憶する。
【0077】
その後、制御部17は、一時記憶した管内圧力(Pmax、Pmin)、及び管内圧力下での生コンクリートの単位容積質量(Mpmax、Mpmin)に基づいて、最大管内圧力Pmax下での生コンクリートの空気量Apmaxの推定値を算出する(ステップS204)。
具体的には、制御部17は、最大管内圧力Pmax下での生コンクリートの空気量Apmaxを、次の式6に基づいて算出する。
【0078】
【数9】
なお、この式6は、実施例1における式1のTを最大管内圧力Pmaxでの生コンクリートの単位容積質量Mpmaxに、式1のP1を最小管内圧力Pminに置き換えるとともに、式1のM1を最小管内圧力Pminでの生コンクリートの単位容積質量Mpminに、式1のP0を最大管内圧力Pmaxに置き換えたものである。
【0079】
最大管内圧力Pmaxにおける生コンクリートの空気量Apmaxを算出すると、制御部17は、空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teを算出する(ステップS205)。
具体的には、制御部17は、空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teを、次の式7に基づいて算出する。
【0080】
【数10】
その後、制御部17は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を、次の式8に基づいて算出する(ステップS206)。
【0081】
【数11】
なお、この式8は、実施例1における式1のTを、空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teに、式1のP1を最小管内圧力Pminに置き換えるとともに、式1のM1を最小管内圧力Pminでの生コンクリートの単位容積質量Mpminに置き換えたものである。
【0082】
生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出すると、制御部17は、空気量の閾値となる空気量の許容範囲を記憶部13から読み出して、生コンクリートの大気圧下での空気量A0が、空気量の許容範囲内か否かを判定する(ステップS207)。
【0083】
生コンクリートの大気圧下での空気量A0が空気量の許容範囲内であれば(ステップS207:Yes)、制御部17は、処理をステップS201に戻し、作業者の操作によって生コンクリートCの圧送が停止するまで、ステップS201から後述するステップS208の処理を繰り返す。
【0084】
一方、ステップS207において、生コンクリートの大気圧下での空気量A0が空気量の許容範囲内でない場合(ステップS207:No)、制御部17は、エラー処理を開始する(ステップS208)。
なお、エラー処理は、上述の実施例1と同様の動作のため、その詳細な説明を省略する。
【0085】
また、図5のステップS202において、管内圧力を示す情報、及び生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を取得していない場合(ステップS202:No)、制御部17は、処理をステップS201に戻して、管内圧力を示す情報、及び生コンクリートCの単位容積質量を示す情報を取得するまで待機する。
【0086】
引き続き、実施例2における測定例を、次の表1を用いて説明する。
【0087】
【表1】
なお、表1は、管内圧力欄が図5のステップS203で取得した最小管内圧力Pmin、及び最大管内圧力Pmaxを示し、生コンクリートの単位容積質量欄が図5のステップS203で取得した生コンクリートの単位容積質量Mpmin、及び生コンクリートの単位容積質量Mpmaxを示している。
【0088】
さらに、表1は、推定空気量欄が図5のステップS204で取得した生コンクリートの空気量Apmaxを示し、推定単位容積質量欄が図5のステップS205で取得した空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teを示している。
加えて、表1は、大気圧下空気量欄が図5のステップS206で算出した生コンクリートの大気圧下での空気量A0を示している。
【0089】
そして、表1は、JIS測定空気量欄がJISA1116の「フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法、及び空気量の質量による試験方法(質量方法)」に準じて測定された空気量Aを示し、誤差欄がJIS測定空気量欄の空気量Aと大気圧下空気量欄の空気量A0との差分を示している。
【0090】
表1の測定例1によれば、図5のステップS206で算出した大気圧下における生コンクリートの空気量A0が4.48%である。このため、測定例1は、JISA1116に準じて測定した空気量A=4.5%に対する誤差が0.02%となっている。このように、測定例1は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を精度よく算出できていることがわかる。
【0091】
また、表1の測定例2によれば、図5のステップS206で算出した生コンクリートの大気圧下での空気量A0が5.98%である。このため、測定例2は、JISA1116に準じて測定した空気量A=6.0%に対する誤差が0.02%となっている。このように、測定例2は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を精度よく算出できていることがわかる。
【0092】
また、表1の測定例3によれば、図5のステップS206で算出した大気圧下における生コンクリートの空気量A0が2.99%である。このため、測定例3は、JISA1116に準じて測定した空気量A=3.0%に対する誤差が0.01%となっている。このように、測定例3は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を精度よく算出できていることがわかる。
【0093】
以上のような動作を実現するフレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、上述した実施例1と同様の効果を奏することができる。
また、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teを算出する制御部17を備えている。
【0094】
そして、制御部17は、最小管内圧力Pminと、最小管内圧力Pmin下での生コンクリートの単位容積質量Mpminと、空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teとに基づいて、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出する構成である。
【0095】
この構成によれば、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、新たな計測手段を追加することなく、生コンクリートの大気圧下での空気量A0をより精度よく算出することができる。
具体的には、空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teを算出することで、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、例えば、机上計算値よりも精度のよい値として、空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teを計測タイミングごとに取得することができる。
【0096】
そして、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、最大管内圧力Pmax下における空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teを用いることで、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を精度よく算出することができる。
【0097】
さらに、管内圧力P1下での生コンクリートの単位容積質量M1は、管内圧力P1が大気圧P0に近いほど、空気量Aの差が出やすい。このため、最小管内圧力Pminと、最小管内圧力Pmin下での生コンクリートの単位容積質量Mpminとを用いることで、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0をより精度よく算出することができる。
【0098】
また、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、最大管内圧力Pmax下での生コンクリートの空気量Apmaxを、上述の式6に基づいて算出する制御部17を備えている。
そして、制御部17は、生コンクリートの推定単位容積質量Teを、上述の式7に基づいて算出する構成である。
【0099】
この構成によれば、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、複雑な演算を用いることなく、最大管内圧力Pmax下での生コンクリートの空気量Apmaxと、空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量Teとを算出することができる。このため、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1は、生コンクリートの大気圧下での空気量A0を、より短い時間間隔で連続して算出することができる。
【0100】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のフレッシュコンクリートは、実施形態の生コンクリートCに対応し、
以下同様に、
圧送路は、配管Hに対応し、
圧力計測手段は、圧力計2に対応し、
単位質量計測手段は、ガンマ線密度計3に対応し、
空気量算出手段、単位質量推定手段、及び加圧空気量推定手段は、制御部17に対応し、
最も高い管内圧力は、最大管内圧力Pmaxに対応し、
大気圧に近い管内圧力は、最小管内圧力Pminに対応し、
圧力計測工程は、ステップS101に対応し、
単位質量計測工程は、ステップS101に対応し、
空気量算出工程は、ステップS104に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0101】
例えば、上述した実施形態において、作業者の操作によって空気量測定を開始するフレッシュコンクリートの空気量測定装置1としたが、これに限定せず、コンクリートポンプ車のポンプの動作を制御する装置に接続されるとともに、ポンプの作動を示す信号を受け付けると空気量測定を開始するフレッシュコンクリートの空気量測定装置であってもよい。あるいは、フレッシュコンクリートの空気量測定装置1の制御部17がポンプの動作も制御する構成であってもよい。
【0102】
また、報知部4を備えたフレッシュコンクリートの空気量測定装置1としたが、これに限定せず、報知部4を備えていないフレッシュコンクリートの空気量測定装置であってもよい。さらに、この場合、エラー処理(実施例1のステップS106、実施例2のステップS208)をスキップしてもよい。
【0103】
また、圧力計2、及びガンマ線密度計3を配管Hに配置したが、これに限定せず、生コンクリートCが圧送される圧送路であれば、可撓性を有するホースなどに配置してもよい。
また、上述した実施例1と実施例2とは、生コンクリートCの配合や打設環境、あるいは打設対象等によって異なる要求精度に応じて、適宜使い分けるとよい。
【0104】
また、配管Hの管内圧力P1を圧力計2で計測する構成としたが、これに限定せず、例えば、生コンクリートCを圧送するためのポンプの油圧に基づいて、管内圧力P1を算出する構成であってもよい。
また、線源部3aと検出部3bとで構成され、検出部3bが生コンクリートの密度(単位容積質量)を算出するガンマ線密度計3を単位質量計測手段としたが、これに限定せず、生コンクリートの密度(単位容積質量)を計測できる単位質量計測手段であれば、適宜の構成としてもよい。
【0105】
例えば、ガンマ線を照射するガンマ線照射装置と、配管H、及び生コンクリートCを透過したガンマ線を検出するガンマ線検出装置と、検出したガンマ線の減衰率に基づいて生コンクリートの密度(単位容積質量)を算出する装置本体の制御部とを、単位質量計測手段としてもよい。
あるいは、生コンクリートCへ向けて音波を照射し、生コンクリートCを透過した音波速度に基づいて単位容積質量を計測する手段であってもよい。
【0106】
また、上述した実施例1において、空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tを、記憶部13に記憶した構成としたが、これに限定せず、空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tが、作業員の操作によって入力される構成であってもよい。
同様に、空気量の閾値となる空気量の許容範囲を、記憶部13に記憶した構成としたが、これに限定せず、空気量の閾値となる空気量の許容範囲が、作業員の操作によって入力される構成であってもよい。
【0107】
また、上述した実施例2において、圧力計2、及びガンマ線密度計3を備えたフレッシュコンクリートの空気量測定装置1としたが、これに限定せず、別の実施形態におけるフレッシュコンクリートの空気量測定装置の構成図を示す図7のように、中性子線を照射する線源部5aと照射された中性子線を検出する検出部5bとで構成された中性子水分計5をさらに備えてもよい。
【0108】
この場合、中性子線の減衰率、及びガンマ線の減衰率から生コンクリートの単位水量を算出し、この単位水量を加味して空気を含まない生コンクリートの単位容積質量Tを算出することで、生コンクリートの大気圧下での空気量A0をさらに精度よく算出することができる。
【0109】
また、圧力計2、及びガンマ線密度計3から最初に取得した管内圧力、及び管内圧力下での生コンクリートの単位容積質量をキャリブレーションして、以降の全量検査を行ってもよい。
具体的には、まず、大気圧化での空気量が既知の生コンクリートを流動させた際の管内圧力に基づいて、圧力計2から得た管内圧力に対する補正係数を最初に設定する。同様に、大気圧化での空気量が既知の生コンクリートを流動させた際の管内圧力下での生コンクリートの単位容積質量に基づいて、ガンマ線密度計3から得た管内圧力下での生コンクリートの単位容積質量に対する補正係数を設定する。
そして、補正係数設定後、それぞれ補正係数を乗じた管内圧力、及び管内圧力下での生コンクリートの単位容積質量を用いて、配管Hを流動する生コンクリートの大気圧下での空気量A0を算出してもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…フレッシュコンクリートの空気量測定装置
2…圧力計
3…ガンマ線密度計
17…制御部
A0…生コンクリートの大気圧下での空気量
Apmax…最大管内圧力下での生コンクリートの空気量
C…生コンクリート
H…配管
M1…管内圧力下での生コンクリートの単位容積質量
Mpmin…最小管内圧力下での生コンクリートの単位容積質量
P1…管内圧力
Pmax…最大管内圧力
Pmin…最小管内圧力
T…空気を含まない生コンクリートの単位容積質量
Te…空気を含まない生コンクリートの推定単位容積質量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7