(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】部品実装機用のテンプレート及びそれを用いた確認方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2020142945
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 立恵
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6709852(JP,B2)
【文献】特表昭60-500034(JP,A)
【文献】実開昭58-068063(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板クランプ位置で基板をクランプする基板クランパと、
電子部品を把持するためのツメと、前記電子部品を把持するための第1位置と前記電子部品を解放するための第2位置とに前記ツメを移動させる移動機構と、を備える電子部品把持装置と、を備える部品実装機において用いられるテンプレートであって、
前記基板クランパにクランプされた前記基板の実装位置に前記ツメで把持した前記電子部品を実装する際に、前記ツメが前記基板クランパに干渉するか否かを確認するために用いられるテンプレートであり、
前記電子部品を前記実装位置に実装する際に前記ツメの先端が占有又は通過する占有通過空間に対応する干渉可能性領域を備えるシート状の把持装置側テンプレートと、
前記基板クランパが占有する占有空間に対応する占有領域を備えるシート状の基板クランパ側テンプレートと、を備えている、テンプレート。
【請求項2】
前記把持装置側テンプレートと前記基板クランパ側テンプレートとは、前記把持装置側テンプレートが前記実装位置に配置され、かつ、前記基板クランパ側テンプレートが前記基板クランプ位置に配置されるときの位置関係で重ね合わせて配置可能であり、
前記把持装置側テンプレートと前記基板クランパ側テンプレートとを重ね合わせて配置したときに、前記干渉可能性領域と前記占有領域とが視認可能となっている、請求項1に記載のテンプレート。
【請求項3】
前記干渉可能性領域は、前記占有通過空間を前記把持装置側テンプレートに正投影した領域であり、
前記占有領域は、前記占有空間を前記基板クランパ側テンプレートに正投影した領域である、請求項1又は2に記載のテンプレート。
【請求項4】
前記把持装置側テンプレートは、
前記ツメが前記第1位置にあるときに前記ツメの先端が占有する空間を正投影した第1干渉可能性領域を備える第1の把持装置側テンプレートと、
前記ツメが前記第1位置から前記第2位置に移動するときに前記ツメの先端が通過する空間を正投影した第2干渉可能性領域を備える第2の把持装置側テンプレートと、
を備えている、請求項3に記載のテンプレート。
【請求項5】
前記ツメが前記第1位置にあるとき、前記ツメの先端は前記基板の上面に対して第1ツメ高さの位置にあり、
前記ツメが前記第2位置にあるとき、前記ツメの先端は前記基板の上面に対して前記第1ツメ高さとは異なる第2ツメ高さの位置にあり、
前記第1の把持装置側テンプレートには、前記第1ツメ高さが表示されており、
前記第2の把持装置側テンプレートには、前記第2ツメ高さが表示されている、請求項4に記載のテンプレート。
【請求項6】
前記ツメが前記第1位置から前記第2位置まで移動する際に、第3位置を通過するように設定されており、
前記把持装置側テンプレートは、前記ツメが前記第1位置から前記第3位置に移動するときに前記ツメの先端が通過する空間が正投影された第3干渉可能性領域を備える第3の把持装置側テンプレートをさらに備える、請求項4又は5に記載のテンプレート。
【請求項7】
前記基板クランパの上面は、前記基板の上面に対して第1クランパ高さとなる第1面と、前記基板の上面に対して前記第1クランパ高さとは異なる第2クランパ高さとなる第2面とを少なくとも備えており、
前記基板クランパ側テンプレートの前記占有領域は、前記第1面を前記基板クランパ側テンプレートに正投影した第1占有領域と、前記第2面を前記基板クランパ側テンプレートに正投影した第2占有領域と、を少なくとも備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のテンプレート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のテンプレートを用いて、前記基板クランパにクランプされた前記基板の実装位置に前記ツメで把持した前記電子部品を実装する際に、前記ツメが前記基板クランパに干渉するか否かを確認するための方法であり、
前記把持装置側テンプレートを前記基板の前記実装位置に配置する第1配置工程と、
前記基板クランパ側テンプレートを前記基板の前記基板クランプ位置に配置する第2配置工程と、
前記第1配置工程と前記第2配置工程を実行することで重ね合わされた前記把持装置側テンプレートと前記基板クランパ側テンプレートに対して、前記干渉可能性領域と前記占有領域とが重なるか否かを判定する判定工程と、
を備える確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装機用のテンプレート及びそれを用いた確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品を基板に実装する部品実装機では、電子部品を把持する電子部品把持装置を備えたものがある。一般的に電子部品把持装置は、対向して配置される一対のツメと、一対のツメを開閉する開閉機構を備えている。一対のツメは、電子部品の一対の側面に接触し、電子部品を把持する。開閉機構は、電子部品を把持するための第1位置と、電子部品を解放するための第2位置とに、一対のツメを移動させる。電子部品を基板に実装する際は、一対のツメを第2位置に位置決めした状態で、電子部品に対して電子部品把持装置を移動させる。その後、一対のツメを第1位置に移動させ、電子部品を一対のツメで把持する。電子部品を把持した状態で電子部品把持装置を移動させ、電子部品を基板の実装位置に移動させる。電子部品を実装位置まで移動させると、一対のツメを第2位置まで移動させ、電子部品を解放する。これによって、電子部品が基板に実装される。
【0003】
この種の電子部品把持装置では、複数種類の電子部品が把持される。電子部品の種類が異なると、電子部品のサイズが異なることがある。異なるサイズの電子部品を同一の電子部品把持装置で把持するために、一対のツメの間の距離を変更することがある。そして、距離が変更された一対のツメの間に電子部品が把持される。これによって、1つの電子部品把持装置で複数種類の電子部品を把持することを可能としている。
【0004】
上述した電子部品把持装置を用いて電子部品を基板に実装する際に、電子部品の実装位置の周囲に他の部品が既に実装されていることがある。このような基板に対して電子部品を実装しようとすると、電子部品を把持している一対のツメが既に実装されている他の部品と干渉することがある。すなわち、一対のツメが他の部品に当たってしまうことがある。特に、一対のツメが電子部品を解放するための第2位置に移動すると、電子部品を把持するための第1位置にあるときよりも一対のツメの間の距離が広くなるので、一対のツメが他の部品と干渉し易くなる。そこで、一対のツメが電子部品の実装位置の周辺の他の部品と干渉するか否かを容易に確認することができる手法として、テンプレートを用いて確認する手法が従来提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では電子部品を基板の縁部ぎりぎりのところまで実装したいというニーズがある。その一方で、上述した電子部品把持装置を用いて電子部品を基板に実装する際には、通常、基板は基板クランパによってクランプされ、基板クランプ位置で保持されている。しかしながら、テンプレートを用いる上記従来の手法では、基板クランパにクランプされた基板の実装位置に一対のツメで把持した電子部品を実装する際に、一対のツメが基板クランパに干渉するか否かを容易に確認することができなかった。すなわち、従来では、電子部品把持装置を用いて実際に電子部品を実装する際に一対のツメと基板クランパが干渉するか否かを確認するか、CADの図面を用いて一対のツメが基板クランパと干渉するか否かを確認する必要があった。そこで本明細書は、基板クランパにクランプされた基板の実装位置にツメで把持した電子部品を実装する際に、ツメが基板クランパに干渉するか否かを容易に確認することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、部品実装機において用いられるテンプレートを開示する。部品実装機は、基板クランプ位置で基板をクランプする基板クランパと、電子部品を把持するためのツメと、電子部品を把持するための第1位置と電子部品を解放するための第2位置とにツメを移動させる移動機構と、を備える。このテンプレートは、基板クランパにクランプされた基板の実装位置にツメで把持した電子部品を実装する際に、ツメが基板クランパに干渉するか否かを確認するために用いられる。テンプレートは、シート状の把持装置側テンプレートと、シート状の基板クランパ側テンプレートと、を備えている。シート状の把持装置側テンプレートは、電子部品を実装位置に実装する際にツメの先端が占有又は通過する占有通過空間に対応する干渉可能性領域を備える。シート状の基板クランパ側テンプレートは、基板クランパが占有する占有空間に対応する占有領域を備える。
【0008】
本明細書の開示によれば、基板をクランプする基板クランパに電子部品を把持するツメが干渉するか否かを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施例の部品実装機における電子部品把持装置の正面図である。
【
図3】電子部品把持装置の一部の断面図(
図1のIII-III断面図)である。
【
図4】電子部品把持装置が基板クランパにクランプされた基板上に電子部品を実装する際の様子を示す断面図である。
【
図5】複数の把持装置側テンプレートの平面図である。
【
図6】基板クランパ側テンプレートの平面図である。
【
図7】基板上に複数のテンプレートを重ね合わせた状況を示す断面図である。
【
図8】基板上に複数のテンプレートを重ね合わせた状況を示す平面図である。
【
図9】第2実施例の電子部品把持装置が基板クランパにクランプされた基板上に電子部品を実装する際の様子を示す断面図である。
【
図10】複数の把持装置側テンプレートの平面図である。
【
図11】基板上に複数のテンプレートを重ね合わせた状況を示す断面図である。
【
図12】基板上に複数のテンプレートを重ね合わせた状況を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0011】
(特徴1)把持装置側テンプレートと基板クランパ側テンプレートとは、把持装置側テンプレートが実装位置に配置され、かつ、基板クランパ側テンプレートが基板クランプ位置に配置されるときの位置関係で重ね合わせて配置可能であってもよい。把持装置側テンプレートと基板クランパ側テンプレートとを重ね合わせて配置したときに、干渉可能性領域と占有領域とが視認可能となっていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、把持装置側テンプレートと基板クランパ側テンプレートとをそれぞれ所定の位置に配置して重ね合わせた場合、干渉可能性領域及び占有領域の両方を同時に視認することができる。そのため、把持装置側テンプレートの干渉可能性領域による干渉確認と、基板クランパ側テンプレートの占有領域による干渉確認とを同時に行うことができる。
【0013】
(特徴2)干渉可能性領域は、占有通過空間を把持装置側テンプレートに正投影した領域であってもよい。占有領域は、占有空間を基板クランパ側テンプレートに正投影した領域であってもよい。
【0014】
このような構成によれば、干渉可能性領域がツメの先端が占有通過する空間の面積を示したものとなり、占有領域がクランパの占有する空間の面積を示したものとなるため、干渉可能性領域及び占有領域の平面視での状態を把握しやすくなる。したがって、ツメがクランパに干渉するか否かを容易にかつ正確に確認することができる。
【0015】
(特徴3)把持装置側テンプレートは、ツメが第1位置にあるときにツメの先端が占有する空間を正投影した第1干渉可能性領域を備える第1の把持装置側テンプレートと、ツメが第1位置から第2位置に移動するときにツメの先端が通過する空間を正投影した第2干渉可能性領域を備える第2の把持装置側テンプレートと、を備えていてもよい。
【0016】
このような構成によれば、第1干渉可能性領域が、ツメが第1位置にあるときにツメの先端が占有する空間の面積を示したものとなる。また、第2干渉可能性領域が、ツメが第1位置から第2位置に移動するときにツメの先端が通過する空間の面積を示したものとなる。したがって、第1干渉可能性領域及び第2干渉可能性領域の平面視での状態を把握しやすくなる。その結果、例えば、把持した電子部品を第1位置にて実装するときにはツメが干渉しなくても、ツメを第2位置まで移動させたときには干渉すること等が容易に判断できる。
【0017】
(特徴4)ツメが第1位置にあるとき、ツメの先端は基板の上面に対して第1ツメ高さの位置にあってもよい。ツメが第2位置にあるとき、ツメの先端は基板の上面に対して第1ツメ高さとは異なる第2ツメ高さの位置にあってもよい。第1の把持装置側テンプレートには、第1ツメ高さが表示されていてもよい。第2の把持装置側テンプレートには、第2ツメ高さが表示されていてもよい。
【0018】
このような構成によれば、例えばツメが第1位置から第2位置に移動するときにツメの先端の高さが変化するような場合に、把持装置側テンプレートのツメ高さに関する表示を見ることで、ツメの先端の高さに応じて適切な把持装置側テンプレートを選択することができる。したがって、ツメ高さを考慮して、より正確に干渉確認を行うことができる。
【0019】
(特徴5)ツメが第1位置から第2位置まで移動する際に、第3位置を通過するように設定されていてもよい。把持装置側テンプレートは、ツメが第1位置から第3位置に移動するときにツメの先端が通過する空間が正投影された第3干渉可能性領域を備える第3の把持装置側テンプレートをさらに備えていてもよい。
【0020】
このような構成によれば、第1位置から第2位置まで移動する過程でツメが干渉するか否かについても、容易にかつ正確に判断することができる。すなわち、ツメが干渉するか否かについて多段階の確認を行うことが可能となる。
【0021】
(特徴6)基板クランパの上面は、基板の上面に対して第1クランパ高さとなる第1面と、基板の上面に対して第1クランパ高さとは異なる第2クランパ高さとなる第2面とを少なくとも備えていてもよい。基板クランパ側テンプレートの占有領域は、第1面を基板クランパ側テンプレートに正投影した第1占有領域と、第2面を基板クランパ側テンプレートに正投影した第2占有領域と、を少なくとも備えていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、例えば基板クランパの上面が平坦ではなく段差があるような場合に、基板クランパ側テンプレートのクランパ高さに関する表示を見ることで、上面における異なる高さの部位ごとに干渉確認を行うことができる。すなわち、上面の部位ごとのクランパ高さを考慮して、より正確に干渉確認を行うことができる。
【0023】
(第1実施例)
図面を参照して実施例のテンプレート10,20を説明する。まず、テンプレート10,20が用いられる電子部品把持装置50について詳細に説明する。電子部品把持装置50は、基板に電子部品80を実装する部品実装機に装備される。電子部品把持装置50は、部品実装機の部品供給部から供給される電子部品80を把持し、電子部品80を把持した状態で基板の所定の位置(実装位置)まで移動し、把持した電子部品を基板の所定の位置(実装位置)で開放する。これによって、部品供給部から供給される電子部品80が基板に実装される。電子部品把持装置50は、
図1、2に示すように、メカチャック本体70と、電子部品80を把持するときに電子部品80の上面に当接するアテガネ52と、その把持面54aが電子部品80の一対の側面に接触して電子部品80を把持する一対のツメ54と、一対のツメ54を開閉する開閉機構60(移動機構の一例)と、を備える。
【0024】
メカチャック本体70の上端には取付部51が設けられている。取付部51の上面51aは、部品実装機のヘッド(図示していない)に取付けられるようになっている。ヘッドがXYZ方向に移動することで、メカチャック本体70もXYZ方向に移動することができる。メカチャック本体70の下端には、開閉機構60が取付けられる。メカチャック本体70には、ヘッドからの指令に応じて、開閉機構60の開閉を制御する制御回路等が収容されている。
【0025】
開閉機構60は、メカチャック本体70に取付けられる本体61と、本体61に対してx方向に移動可能に取付けられている一対のアーム63を備えている。本体61の下面には取付面64が形成されている。取付面64は、本体61のx方向の略中央に設けられている。取付面64には、複数種類のアテガネ52が着脱可能に取付けられる。このため、電子部品80の形状に応じて、複数種類のアテガネ52から適切な種類のアテガネ52が選択される。アーム63は、本体61の側面(図のyz面)にそれぞれ設けられている。アーム63,63は、図示しないアクチュエータによって、本体61に近接する位置(閉位置(第1位置の一例))と、本体61から離間した位置(開位置(第2位置の一例))に移動可能となっている。アクチュエータは、メカチャック本体70の制御回路によって制御される。各アーム63,63は連動しており、一方が閉位置に移動すると他方も閉位置に移動し、一方が開位置に移動すると他方も開位置に移動する。各アーム63の下面62には、y方向(紙面直交方向)に伸びる複数の溝が形成されている。アーム63の下面62には、複数種類のツメ54が着脱可能に取付けられる。後述するように、ツメ54の上面には、アーム63の下面62に形成された溝と係合する溝が形成されている。本実施例では、アーム63の下面62に複数の溝を形成することで、アーム63に対するツメ54の取付位置をx方向に調整可能となっている。
【0026】
アテガネ52は、ブロック状の部材であり、その上面が開閉機構60の取付面64に取付けられ、その下面52aが電子部品80の上面に当接するようになっている。電子部品80の上面がアテガネ52の下面52aに当接することで、電子部品80は電子部品把持装置50に対して正しい姿勢でクランプされる。すなわち、
図2に示すように、電子部品把持装置50により電子部品80を把持する際は、電子部品80の上面にアテガネ52の下面52aが当接された状態にすることで、電子部品80の姿勢が安定する。そのため、電子部品80をずれることなく把持することができる。
【0027】
図3に示すように、メカチャック本体70と、メカチャック本体70に取り付けられている開閉機構60の本体61との間には段差が形成されている。開閉機構60の本体61の下面に隣接部57が形成されている。Y方向において一対のツメ54よりも張り出している本体61の下面によって隣接部57が形成されている。隣接部57は、一対のツメ54に隣接する範囲に形成されている。隣接部57は、一対のツメ54より上側に位置している。また、メカチャック本体70の下面に周辺部59が形成されている。周辺部59は、一対のツメ54と隣接部57の周辺に形成されている。Y方向において開閉機構60の本体61よりも張り出しているメカチャック本体70の下面によって周辺部59が形成されている。周辺部59は、隣接部57より上側に位置している。
【0028】
図1~
図3に示すように、各ツメ54は、板状の上端部54bと、上端部54bから下方に伸びる中間部54cと、中間部54cから側方に伸びる把持部54dを有している。上端部54bには複数の溝が形成されている。上端部54bの複数の溝は、x方向に並んで配置され、それぞれがy方向(紙面直交方向)に伸びている。上端部54bの溝には、アーム63の下面62に形成された溝が係合する。上端部54bの一端辺(アテガネ52が配置される側の端辺)には、下方に伸びる中間部54cが設けられている。中間部54cの下端部には、Y方向に伸びる把持部54dが設けられている。各ツメ54の把持部54dは、前端面54eと、後端面54fと、外側の側端面54gを備えている。また、把持部54dの一方の面(アテガネ52が配置される側の面)は、電子部品80を把持する把持面54aとなっている。一対のツメ54が一対のアーム63に取付けられると、各ツメ54の把持面54aは、それぞれ対向しており、その中間地点にアテガネ52が配置される。本実施例では、アーム63の下面62とツメ54の上端部54bの両者に複数の溝を形成することで、ツメ54は、種々の大きさの電子部品80に対応可能となっている。例えば、電子部品80が大きい場合(x方向のサイズが大きい場合)、中間地点から大きく離間したツメ取付け位置(電子部品80が大きいほど、アテガネ52から離間した位置)に、一対のツメ54を取り付けることができる。その結果、アーム63の移動可能量(ツメ54の移動可能量)を同一としながら、比較的に大きな電子部品80から比較的に小さな電子部品80までを、同一種類のツメ54で把持することが可能となる。なお、上記したツメ54の取付け位置の変更だけでは対応できないときのために、アーム63の下面62には、複数種類のツメ54が着脱可能となっている。
【0029】
開閉機構60が一対のツメ54を開閉することによって、一対のツメ54は、電子部品80を把持するための閉位置と、電子部品80を解放するための開位置を取り得る。一対のアーム63に対する一対のツメ54の取付け位置によって、一対のツメ54が開位置にあるときの一対のツメ54の側端面54gの間の距離W54が異なる。電子部品把持装置50では、電子部品80のサイズに応じて、一対のツメ54が開位置にあるときの一対のツメ54の側端面54gの間の距離W54を複数の距離の中から選択可能である。一対のツメ54の間の複数の距離の中から電子部品80のサイズに応じて適切な距離が選択される。
【0030】
上述した電子部品把持装置50により電子部品80を把持する際には、まず、開閉機構60のアーム63,63を駆動して、アーム63,63を本体61から最も離間した位置(開位置)に移動させる。これによって、一対のツメ54がアテガネ52から最も離れた位置に位置決めされる。次に、電子部品80の上面にアテガネ52が当接するまで、図示しないヘッドが電子部品80に対してXYZ方向に移動して、電子部品把持装置50が移動する。電子部品80の上面にアテガネ52が当接すると、アーム63,63を本体61に接近する方向に移動させる。これによって、一対のツメ54の把持面54aが電子部品80の側面に当接し、電子部品80が一対のツメ54で把持される。すなわち、アーム63,63を最もアテガネ52に近接する位置(閉位置)に向かって移動させると、その途中で電子部品80の側面にツメ54の把持面54aが当接し、アーム63,63及びツメ54,54の移動が停止する。この状態では、アーム63,63は閉位置に移動しようとするため、ツメ54,54が電子部品80の側面を押圧し、これによって電子部品80が把持される。したがって、請求項でいう第1位置の一例は、アーム63,63が閉位置に移動したときのツメ54,54の位置である。上記の説明から明らかなように、ツメ54,54が第1位置に位置決めされたときのツメ54,54の間隔より、電子部品80の幅(x方向の幅)が大きい場合に、ツメ54,54によって電子部品80を把持することができることとなる。なお、電子部品把持装置50で電子部品80を把持すると、電子部品80を把持した状態でヘッドがXYZ方向に移動する。これによって、電子部品80が基板の実装位置まで移動する。電子部品80が実装位置まで移動すると、開閉機構60のアーム63,63を駆動して一対のツメ54をアテガネ52から最も離れた位置まで移動させ、電子部品80を解放する。これによって、電子部品80が基板に実装される。
【0031】
図4に示すように、電子部品80が実装される基板100には、電子部品80が実装される前に既に他の部品81が実装されていることがある。電子部品80の実装位置の周辺に他の部品81が実装されていることがある。そうすると、一対のツメ54によって電子部品80を把持して基板100に実装する際に、一対のツメ54が、既に実装されている他の部品81と干渉することがある。すなわち、一対のツメ54が他の部品81に当たることがある。特に、一対のツメ54が電子部品80を解放するための開位置にあるときは、閉位置にあるときよりも一対のツメ54の間の距離が広くなるので、一対のツメ54が基板100に既に実装されている他の部品81と干渉する可能性が高くなる。そこで、把持装置側テンプレート10を用いて、一対のツメ54が他の部品81と干渉するか否かを事前に確認する。
【0032】
また、
図4に示すように、電子部品80が実装される基板100は、電子部品80が実装される前に基板保持装置110によって基板クランプ位置210でクランプされる。基板保持装置110は部品実装機に装備される。基板保持装置110は、基板100の縁部102を2つの部材(基板クランパ111及び基板支持体112)で上下方向から挟んで保持する装置である。基板支持体112はX方向に離間して一対配置されており、基板100の縁部102を先端で支持する。基板クランパ111は各々の基板支持体112の上面側にそれぞれ位置している。図示しない昇降装置は基板クランパ111を昇降動作させる。この動作によって、基板クランパ111と基板支持体112とが基板100の縁部102をクランプして保持する。すなわち、基板クランパ111が下方に動作したときには、基板クランパ111の先端部119の下面が基板100の縁部102の上面101に当接し、基板100が保持される。基板クランパ111が上方に動作したときには、基板クランパ111の先端部119の下面が基板100の縁部102の上面101から離間し、基板100が釈放される。なお、基板クランパ111と基板支持体112とがクランプする基板100の縁部102の幅は、数mm程度である。
【0033】
基板クランパ111の上面115は段差を有した形状となっている。この上面115は、第1面116と第2面117と第3面118とを備えている。第1面116は、基板100の上面101に対して第1クランパ高さHC1となる。第2面117は、基板100の上面101に対して、第1クランパ高さHC1とは異なる第2クランパ高さHC2となる。第3面118は、基板100の上面101に対して、第1クランパ高さHC1及び第2クランパ高さHC2とは異なる第3クランパ高さHC3となる。本実施例では第1クランパ高さHC1よりも第2クランパ高さHC2のほうが大きく、かつ第2クランパ高さHC2よりも第3クランパ高さHC3のほうが大きくなっている。具体的には第1クランパ高さHC1が5mm、第2クランパ高さHC2が7mm、第3クランパ高さHC3が9mmとなっている。つまり、この基板クランパ111は先端部119から遠ざかるに従って厚さが増し、段差が高くなっている。
【0034】
図4に示すように、基板100を基板クランパ111によってクランプした状態で、縁部102の近くの実装位置200に電子部品80を実装しようとした場合、一対のツメ54が基板クランパ111と干渉することがある。すなわち、一対のツメ54が基板クランパ111に当たることがある。特に、一対のツメ54が電子部品80を解放するための開位置にあるときは、閉位置にあるときよりも一対のツメ54の間の距離が広くなるので、一対のツメ54が基板クランパ111と干渉する可能性が高くなる。そこで、基板クランパ側テンプレート20を用いて、一対のツメ54が基板クランパ111と干渉するか否かを事前に確認する。
【0035】
以下、テンプレート10,20について説明する。本実施例のテンプレート10,20は、シート状の把持装置側テンプレート10と、シート状の基板クランパ側テンプレート20とを備えている。まず、把持装置側テンプレート10の構成について説明する。上述した電子部品把持装置50に対して、本実施例では
図5に示すように複数の把持装置側テンプレート10(10a,10b)が用意されている。把持装置側テンプレート10は、電子部品80を実装位置200に実装する際に一対のツメ54の先端が占有又は通過する占有通過空間に対応する干渉可能性領域12を備える。干渉可能性領域12は、占有通過空間を把持装置側テンプレート10に正投影した領域である。第1の把持装置側テンプレート10aは、第1干渉可能性領域14を備える。第1干渉可能性領域14は、一対のツメ54が電子部品80を把持するための第1位置にあるときに、一対のツメ54の先端が占有する空間を正投影した領域である。第2の把持装置側テンプレート10bは、第2干渉可能性領域16を備える。第2干渉可能性領域16は、一対のツメ54が第1位置から第2位置に移動するときに、一対のツメ54の先端が通過する空間を正投影した領域である。すなわち、第1干渉可能性領域14は、第1位置にあるときの一対のツメ54の先端が占有する空間の平面視での面積に対応している。第2干渉可能性領域16は、第1位置から第2位置に移動するときに一対のツメ54の先端が通過する空間の平面視での面積に対応している。第2干渉可能性領域16の面積は第1干渉可能性領域14の面積よりも大きくなっている。
【0036】
シート状の把持装置側テンプレート10(10a,10b)は、透明な材料によって形成された2次元平面状のプレート部材である。把持装置側テンプレート10a,10bには、例えば、透明なプラスチックシート(OHPフィルム等)を用いることができる。
図5に示すように、第1の把持装置側テンプレート10aは、矩形状の第1干渉可能性領域14を2箇所に備えている。同じく第2の把持装置側テンプレート10bは、矩形状の第2干渉可能性領域16を2箇所に備えている。第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16は、それぞれ透明な2次元平面状のプレート部材の表面に表示されている。
【0037】
第1干渉可能性領域14は色によって表示されており、例えば青色で表示されている。第1干渉可能性領域14は、光透過性を有している。第2干渉可能性領域16も色によって表示されており、例えば第1干渉可能性領域14と同系色で表示されている。第2干渉可能性領域16も、光透過性を有している。第2干渉可能性領域16の明度は、第1干渉可能性領域14の色の明度より高い。例えば、第1干渉可能性領域14が濃い青色で表示されており、第2干渉可能性領域16が薄い青色で表示されている。第2干渉可能性領域16は、第1干渉可能性領域14の色と異なる色で表示されていてもよい。これら把持装置側テンプレート10a,10bは、それぞれ単独で使用してもよいが、互いに重ね合わせて配置した状態で使用してもよい。把持装置側テンプレート10a,10bを互いに重ね合わせて配置したときに、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16は視認することが可能となっている。把持装置側テンプレート10a,10bは、いずれも平面視で矩形状かつ同じ大きさに形成されている。
【0038】
次に、基板クランパ側テンプレート20の構成について説明する。上述した基板クランパ111に対して、本実施例では
図6に示すように1種類の基板クランパ側テンプレート20が用意されている。基板クランパ側テンプレート20は、基板クランパ111が占有する占有空間に対応する占有領域22(24,26,28)を3つ備えている。第1占有領域24は、基板クランパ111の上面115における第1面116を基板クランパ側テンプレート20に正投影した領域である。第1占有領域24は、第1面116の平面視での面積に対応している。つまり、第1占有領域24は、基板100の上面101に対して第1クランパ高さHC1(=5mm)となる領域の面積を示している。第2占有領域26は、基板クランパ111の上面115における第2面117を基板クランパ側テンプレート20に正投影した領域である。第2占有領域26は、第2面117の平面視での面積に対応している。つまり、第2占有領域26は、基板100の上面101に対して第2クランパ高さHC2(=7mm)となる領域の面積を示している。第3占有領域28は、基板クランパ111の上面115における第3面118を基板クランパ側テンプレート20に正投影した領域である。第3占有領域28は、第3面118の平面視での面積に対応している。つまり、第3占有領域28は、基板100の上面101に対して第3クランパ高さHC3(=9mm)となる領域の面積を示している。
【0039】
シート状の基板クランパ側テンプレート20は、透明な材料によって形成された2次元平面状のプレート部材である。基板クランパ側テンプレート20には、例えば、透明なプラスチックシート(OHPフィルム等)を用いることができる。
図6に示すように、基板クランパ側テンプレート20は、矩形状の第1占有領域24と、矩形状の第2占有領域26と、矩形状の第3占有領域28とを備えている。第1占有領域24、第2占有領域26及び第3占有領域28は、透明な2次元平面状のプレート部材の表面に表示されている。基板クランパ側テンプレート20において第1占有領域24の近傍には、第1占有領域24の高さ、つまり第1クランパ高さHC1を示す「5mm」という文字が表示されている。基板クランパ側テンプレート20において第2占有領域26の近傍には、第2占有領域26の高さ、つまり第2クランパ高さHC2を示す「7mm」という文字が表示されている。基板クランパ側テンプレート20において第3占有領域28の近傍には、第3占有領域28の高さ、つまり第3クランパ高さHC3を示す「9mm」という文字が表示されている。
【0040】
第1占有領域24は色によって表示されている。第1占有領域24は、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とは異なる色で表示されていてもよく、例えば赤色で表示されている。第1占有領域24は、光透過性を有している。第2占有領域26も色によって表示されており、例えば第1占有領域24と同じ赤系統の色で表示されている。第2占有領域26は、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とは異なる色で表示されており、例えば赤色で表示されている。第2占有領域26も、光透過性を有している。第2占有領域26の明度は、第1占有領域24の色の明度より高い。例えば、第1占有領域24が濃い赤色で表示されており、第2占有領域26が薄い赤色で表示されている。第2占有領域26は、第1占有領域24の色と異なる色で表示されていてもよい。第3占有領域28も色によって表示されており、例えば第1占有領域24及び第2占有領域26と同じ赤系統の色で表示されている。第3占有領域28は、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とは異なる色で表示されており、例えば赤色で表示されている。第3占有領域28も、光透過性を有している。第3占有領域28の明度は、第1占有領域24の色の明度及び第2占有領域26の色の明度より高い。例えば、第1占有領域24が濃い赤色で表示されており、第2占有領域26が薄い赤色で表示されており、第3占有領域28がさらに薄い赤色で表示されている。第3占有領域28は、第1占有領域24の色及び第2占有領域26の色と異なる色で表示されていてもよい。
【0041】
基板クランパ側テンプレート20は、基板100を基板クランパ111にクランプさせたときの基板100の外形線の位置を示す外形基準線29を備えている。外形基準線29は、第1占有領域24内を貫くとともに第1占有領域24の長さ方向に沿って延びるように表示されている。外形基準線29は、色によって表示されている。外形基準線29は、第1干渉可能性領域14、第2干渉可能性領域16、第1占有領域24、第2占有領域26及び第3占有領域28とは異なる色で表示されていてもよく、例えば黒色で表示されている。基板クランパ側テンプレート20は、単独で使用してもよいが、上記の把持装置側テンプレート10a,10bと重ね合わせて配置した状態で使用してもよい。基板クランパ側テンプレート20と、把持装置側テンプレート10a,10bとを互いに重ね合わせて配置したときに、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16は、視認することが可能となっている。同様にこのとき第1占有領域24、第2占有領域26、第3占有領域28及び外形基準線29も、視認することが可能となっている。基板クランパ側テンプレート20は、平面視で矩形状に形成されている。本実施例の基板クランパ側テンプレート20は、把持装置側テンプレート10a,10bよりも平面視での面積が大きい。
【0042】
次に、上述したテンプレート10,20を用いて干渉確認を行う方法について説明する。干渉確認を行うに先立って、まず部品実装機のユーザーが、電子部品把持装置50によって把持する予定の電子部品80のサイズに応じて、一対のツメ54の間の距離W54を適宜選択する。このときユーザーは、一対のツメ54の間の距離W54に対応する把持装置側テンプレート10a,10bを準備しておくとともに、基板クランパ側テンプレート20を準備しておく。
【0043】
続いて、
図7、8に示すように、基板クランパ側テンプレート20を、電子部品80を実装する予定の基板100の基板クランプ位置210に配置する。このとき、基板クランパ側テンプレート20に表示された外形基準線29を、基板100の縁部102における外形線と一致させる。この外形基準線29があることで、基板100に対して基板クランパ側テンプレート20を正確に配置することができる。基板100には、他の複数の部品81が既に実装されている。他の複数の部品81は、電子部品80を実装する予定の実装位置200の周辺に実装されている。さらに、把持装置側テンプレート10a,10bを、基板クランパ側テンプレート20を介して基板100の実装位置200にそれぞれ配置する。すなわち、把持装置側テンプレート10a,10bと基板クランパ側テンプレート20とは、把持装置側テンプレート10a,10bを実装位置200に配置し、かつ、基板クランパ側テンプレート20を基板クランプ位置210に配置したときの位置関係で、重ね合わせて配置される。このとき、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16は視認可能であり、第1占有領域24、第2占有領域26、第3占有領域28及び外形基準線29も視認可能である。
【0044】
続いて、基板クランパ側テンプレート20の第1占有領域24と、把持装置側テンプレート10a,10bの第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とに基づいて、一対のツメ54が、基板クランパ111の第1面116に干渉するか否かを確認する。具体的には、重ね合わされた把持装置側テンプレート10a,10bと基板クランパ側テンプレート20に対して、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24とが重なるか否かを判定する。第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24とが重ならない場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第1面116に干渉しないと判断することができる。一方、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24とが重なる場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第1面116に干渉すると判断することができる。このとき併せて、把持装置側テンプレート10a,10bの第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16に基づいて、一対のツメ54が、電子部品80の実装位置200の周辺の他の部品81と干渉するか否かを確認してもよい。具体的には、電子部品80の実装位置200に重ね合わせた把持装置側テンプレート10a,10bの第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16が実装位置200の周辺の他の部品81と干渉する場合には、一対のツメ54が他の部品81と干渉すると判断することができる。一方、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16が他の部品81と干渉しない場合には、一対のツメ54が他の部品81と干渉しないと判断することができる。
【0045】
さらに、基板クランパ側テンプレート20の第2占有領域26と、把持装置側テンプレート10a,10bの第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とに基づいて、一対のツメ54が、基板クランパ111の第2面117に干渉するか否かを確認する。具体的には、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第2占有領域26とが重なるか否かを判定する。第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第2占有領域26とが重ならない場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第2面117に干渉しないと判断することができる。一方、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第2占有領域26とが重なる場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第2面117に干渉すると判断することができる。
【0046】
次に、基板クランパ側テンプレート20の第3占有領域28と、把持装置側テンプレート10a,10bの第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とに基づいて、一対のツメ54が、基板クランパ111の第3面118に干渉するか否かを確認する。具体的には、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第3占有領域28とが重なるか否かを判定する。第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第3占有領域28とが重ならない場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第3面118に干渉しないと判断することができる。一方、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第3占有領域28とが重なる場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第3面118に干渉すると判断することができる。
【0047】
以上、実施例1の部品実装機用のテンプレート10,20及びそれを用いた確認方法について説明した。上述した説明から明らかなように、本実施例のテンプレート10,20は、シート状の把持装置側テンプレート10(10a,10b)と、シート状の基板クランパ側テンプレート20と、を備えている。このため、把持装置側テンプレート10(10a,10b)を基板100の実装位置200に配置し、基板クランパ側テンプレート20を基板100の基板クランプ位置210に配置することで、両テンプレート10,20を重ね合わせることができる。そしてこの状態で、干渉可能性領域12と占有領域22とが重なるか否かを判定することができる。すなわち、重ね合わされた把持装置側テンプレート10a,10bと基板クランパ側テンプレート20に対して、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24、第2占有領域26及び第3占有領域28とが重なるか否かを判定する。第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24、第2占有領域26及び第3占有領域28とが重ならない場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第1面116、第2面117及び第3面118に干渉しないと判断することができる。一方、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24、第2占有領域26及び第3占有領域28とが重なる場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第1面116、第2面117及び第3面118に干渉すると判断することができる。したがって、テンプレート10,20を基板100に重ね合わせるだけで、基板クランパ111にクランプされた基板100の実装位置200に一対のツメ54で把持した電子部品80を実装する際に、一対のツメ54が基板クランパ111に干渉するか否かを容易に確認することができる。
【0048】
また、上述した把持装置側テンプレート10(10a,10b)と基板クランパ側テンプレート20とは、互いに重ね合わせて配置したときに、干渉可能性領域12と占有領域22とが視認可能となっている。すなわち、把持装置側テンプレート10(10a,10b)と基板クランパ側テンプレート20とをそれぞれ所定の位置に配置して重ね合わせたときに、干渉可能性領域12及び占有領域22の両方を同時に視認することができる。そのため、把持装置側テンプレート10(10a,10b)の干渉可能性領域12による干渉確認と、基板クランパ側テンプレート20の占有領域22による干渉確認とを同時に行うことができる。
【0049】
上述した把持装置側テンプレート10は、一対のツメ54が第1位置にあるときに対応する第1干渉可能性領域14を備える第1の把持装置側テンプレート10aと、一対のツメ54が第1位置から第2位置に移動するときに対応する第2干渉可能性領域16を備える第2の把持装置側テンプレート10bと、を備えている。このため、一対のツメ54の状態に応じて干渉の有無を適切に判断することができる。その結果、例えば、把持した電子部品80を第1位置にて実装するときには一対のツメ54が干渉しなくても、一対のツメ54を第2位置まで移動させたときには干渉すること等を容易に判断できる。
【0050】
(第2実施例)
次に図面を参照して実施例2のテンプレート10,20を説明する。まず、テンプレート10,20が用いられる電子部品把持装置130について詳細に説明する。本実施例では実施例1と相違する構成について主に説明する。実施例1と共通する構成については、共通の部材番号を付す等して詳細な説明を省略する。電子部品把持装置130は、
図9に示すように、メカチャック本体(図示省略)と、電子部品80を把持するときに電子部品80の上面を押さえるプッシャ132と、電子部品80の下面に接触してプッシャ132とともに電子部品80を把持するL字形状のツメ131と、ツメ131を開閉する図示しない開閉機構(移動機構の一例)と、を備えている。
【0051】
ツメ131は、基端側(上端側)が開閉機構に支持された主部134と、主部134の先端に位置する部品支持部135とを備えている。開閉機構がツメ131を駆動すると、ツメ131が主部134の基端を回動中心として回動し、ツメ131が開閉する。この開閉動作によって、ツメ131は、電子部品80を把持するための閉位置(第1位置)と、電子部品80を解放するための開位置(第2位置)を取ることができる。この電子部品把持装置130では、電子部品80のサイズや形状等に応じて、最も適したツメ131が選択される。
【0052】
図11に示すように、ツメ131が閉位置(第1位置)にあるとき、ツメ131の先端は基板100の上面101に対して第1ツメ高さHT1の位置にある。すなわち、ツメ131が閉位置にあるとき、ツメ131の部品支持部135の底面の最も高い位置が、基板100の上面101に対して第1ツメ高さHT1となる。本実施例では第1ツメ高さHT1が例えば1mmである。ツメ131が開位置(第2位置)にあるとき、ツメ131の先端は基板100の上面101に対して第1ツメ高さHC1とは異なる第2ツメ高さHC2の位置にある。すなわち、ツメ131が開位置にあるとき、ツメ131の部品支持部135の底面の最も高い位置が、基板100の上面101に対して第2ツメ高さHT2となる。本実施例では第2ツメ高さHT2が例えば8.8mmである。
【0053】
以下、テンプレート10,20について説明する。本実施例のテンプレート10,20は、シート状の把持装置側テンプレート10と、シート状の基板クランパ側テンプレート20とを備えている。基板クランパ側テンプレート20については、実施例1と同じものを使用するので説明を割愛する。
【0054】
本実施例では、上述した電子部品把持装置130に対して、
図10に示すように複数の把持装置側テンプレート10(10c,10d,10e)が用意されている。把持装置側テンプレート10は、電子部品80を実装位置200に実装する際にツメ131の先端が占有又は通過する占有通過空間に対応する干渉可能性領域12を備える。干渉可能性領域12は、占有通過空間を把持装置側テンプレート10に正投影した領域である。第1の把持装置側テンプレート10cは、第1干渉可能性領域14を備える。第1干渉可能性領域14は、ツメ131が電子部品80を把持するための第1位置にあるときに、ツメ131の先端が占有する空間を正投影した領域である。すなわち、第1干渉可能性領域14は、第1位置にあるときのツメ131の先端が占有する空間の平面視での面積に対応している。第2の把持装置側テンプレート10dは、第2干渉可能性領域16を備える。第2干渉可能性領域16は、ツメ131が第1位置から第2位置に移動するときに、ツメ131の先端が通過する空間を正投影した領域である。すなわち、第2干渉可能性領域16は、第1位置から第2位置に移動するときにツメ131の先端が通過する空間の平面視での面積に対応している。第2干渉可能性領域16の面積は第1干渉可能性領域14の面積よりも大きくなっている。
【0055】
ツメ131が第1位置から第2位置まで移動する際に、ツメ131は第3位置を通過するように設定されている。第3の把持装置側テンプレート10eは、第3干渉可能性領域18を備える。第3干渉可能性領域18は、ツメ131が第1位置から第3位置に移動するときにツメ131の先端が通過する空間を正投影した領域である。すなわち、第3干渉可能性領域18は、第1位置から第3位置に移動するときにツメ131の先端が通過する空間の平面視での面積に対応している。第3干渉可能性領域18の面積は、第1干渉可能性領域14の面積よりも大きく、第2干渉可能性領域16の面積よりも小さい。
【0056】
シート状の把持装置側テンプレート10(10c,10d,10e)は、透明な材料によって形成された2次元平面状のプレート部材である。把持装置側テンプレート10c,10d,10eには、例えば、透明な用紙(OHPフィルム等)を用いることができる。
図10に示すように、第1把持装置側テンプレート10cは、矩形状の第1干渉可能性領域14を1箇所に備えている。同じく第2把持装置側テンプレート10dは、矩形状の第2干渉可能性領域16を1箇所に備えている。同じく第3把持装置側テンプレート10eは、矩形状の第3干渉可能性領域18を1箇所に備えている。第1把持装置側テンプレート10cには、第1ツメ高さHT1を示す「HT=1mm」という文字が表示されている。第2把持装置側テンプレート10dには、第2ツメ高さHT2を示す「HT=8.8mm」という文字が表示されている。第3把持装置側テンプレート10eには、第3ツメ高さHT3を示す「HT=5mm」という文字が表示されている。
【0057】
次に、上述したテンプレート10,20を用いて干渉確認を行う方法について説明する。干渉確認を行うに先立って、まず部品実装機のユーザーが、電子部品把持装置130によって把持する予定の電子部品80のサイズ等に応じて、ツメ131を適宜選択する。このときユーザーは、ツメ131に対応した把持装置側テンプレート10c,10d,10eを準備しておくとともに、基板クランパ側テンプレート20を準備しておく。
【0058】
続いて、
図11、12に示すように、基板クランパ側テンプレート20を、電子部品80を実装する予定の基板100の基板クランプ位置210に配置する。さらに、把持装置側テンプレート10(ここでは10c,10dの2枚)を、基板クランパ側テンプレート20を介して基板100の実装位置200にそれぞれ配置する。すなわち、把持装置側テンプレート10c,10dと基板クランパ側テンプレート20とは、把持装置側テンプレート10c,10dを実装位置200に配置し、かつ、基板クランパ側テンプレート20を基板クランプ位置210に配置したときの位置関係で、重ね合わせて配置される。
【0059】
続いて、基板クランパ側テンプレート20の第1占有領域24と、把持装置側テンプレート10c,10dの第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とに基づいて、ツメ131が、基板クランパ111の第1面116に干渉するか否かを確認する。具体的には、重ね合わされた把持装置側テンプレート10c,10dと基板クランパ側テンプレート20に対して、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24とが重なるか否かを判定する。第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24とが重ならない場合には、ツメ131が基板クランパ111の第1面116に干渉しないと判断することができる。一方、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第1占有領域24とが重なる場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第1面116に干渉すると判断することができる。
【0060】
この判断を行うにあたっては、さらに、基板100の上面101に対するツメ131の先端の高さ(すなわちツメ高さ)と、基板100の上面101に対する基板クランパ111の上面115の高さ(すなわちクランパ高さ)と考慮する。具体的にいうと、例えば
図12に示す平面図では、一見すると第2干渉可能性領域16と第1占有領域24とが重なっている。しかし、ツメ131の先端の高さはHT=8.8mmであり、基板クランパ111の第1面116の高さはHC=5mmである。よって、
図11に示すように、ツメ131が閉位置(第1位置)から開位置(第2位置)まで移動するときには、ツメ131の先端は第1面116に接触せずその上方を通過することとなる。したがってこの場合には、一対のツメ54が基板クランパ111の第1面116に干渉しないと判断することができる。例えば、第3把持装置側テンプレート10eを用いて、第3干渉可能性領域18と第1占有領域24とが重なるか否かを判断する。
図11に示す例では、第3干渉可能性領域18と第1占有領域24とが重なることはないため、ツメ131と第1面116とは接触しないと判断することができる。
【0061】
さらに、基板クランパ側テンプレート20の第2占有領域26と、把持装置側テンプレート10c,10dの第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とに基づいて、一対のツメ54が、基板クランパ111の第2面117に干渉するか否かを確認する。例えば
図12に示す平面図では、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第2占有領域26とが重なっていない。この場合には、ツメ131が基板クランパ111の第2面117に干渉しないと判断することができる。また、基板クランパ側テンプレート20の第3占有領域28と、把持装置側テンプレート10c,10dの第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16とに基づいて、ツメ131が、基板クランパ111の第3面118に干渉するか否かを確認する。例えば
図12に示す平面図では、第1干渉可能性領域14及び第2干渉可能性領域16と、第3占有領域28とが重なっていない。この場合には、ツメ131が基板クランパ111の第3面118に干渉しないと判断することができる。
【0062】
以上、実施例2の部品実装機用のテンプレート10,20及びそれを用いた確認方法について説明した。上述した説明から明らかなように、上記テンプレート10,20及びそれを用いた確認方法によれば、テンプレート10,20を基板100に重ね合わせるだけで、基板クランパ111にクランプされた基板100の実装位置200に一対のツメ54で把持した電子部品80を実装する際に、一対のツメ54が基板クランパ111に干渉するか否かを容易に確認することができる。
【0063】
上述したように、第1の把持装置側テンプレート10cには、第1ツメ高さを示す「HT=1mm」という文字が表示されている。第2の把持装置側テンプレート10dには、第2ツメ高さを示す「HT=8.8mm」という文字が表示されている。本実施例では、ツメ131が第1位置から第2位置に移動するときにツメ131の先端の高さが変化する。把持装置側テンプレート10c,10dのツメ高さに関する表示を見ることで、ツメ131の先端の高さに応じて適切な把持装置側テンプレート10c,10dを選択することができる。したがって、ツメ高さを考慮して、より正確に干渉確認を行うことができる。また、第3把持装置側テンプレート10eを用意することで、ツメ131が第1位置から第2位置まで移動する途中の第3位置に移動するまでの間でツメ131が干渉するか否かを判定することが可能となる。このため、ツメ131の開閉動作によってツメ131の基板からの高さが変化する場合であっても、ツメ131と基板クランパ111とが干渉するか否かを適切に判断することができる。
【0064】
以上、実施例1、2について説明したが、本明細書に開示の技術は、上記実施例1、2に限定されるものではない。例えば、上記の実施例1、2では、シート状の把持装置側テンプレート10及びシート状の基板クランパ側テンプレート20を形成する材料として、透明なプラスチックシートを使用したが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、テンプレート10,20の形成材料として、紙を使用したり、プラスチック板を使用してもよい。
【0065】
また、実施例1、2では、基板クランパ側テンプレート20を基板100の基板クランプ位置210に配置する第2配置工程を行った後、把持装置側テンプレート10を基板100の実装位置200に配置する第1配置工程を行ったが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、第1配置工程を行った後、第2配置工程を行ってもよい。
【0066】
例えば、実施例2では、第1干渉可能性領域14を備える第1の把持装置側テンプレート10cと、第2干渉可能性領域16を備える第2の把持装置側テンプレート10dとを別々に用意する構成としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、把持装置側テンプレート10を1枚だけ用意し、この1枚の把持装置側テンプレート10にツメ131の先端の高さに応じて複数の干渉可能性領域12(例えば、干渉可能性領域14,16)を表示してもよい。
【0067】
例えば、実施例1、2では、基板クランパ側テンプレート20を1枚だけ用意し、この1枚の基板クランパ側テンプレート20に複数の占有領域22(24,26,28)を備えるように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、クランパ高さが異なる面毎に基板クランパ側テンプレート20を用意してもよい。すなわち、基板クランパ側テンプレート20を複数枚用意し、それぞれにつき1つの占有領域22(24,26,28)を備えるように構成してもよい。
【0068】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0069】
10,20 :テンプレート
10a,10c :第1の把持装置側テンプレート
10b,10d :第2の把持装置側テンプレート
10e :第3の把持装置側テンプレート
12 :干渉可能性領域
14 :第1干渉可能性領域
16 :第2干渉可能性領域
18 :第3干渉可能性領域
20 :基板クランパ側テンプレート
22 :占有空間
24 :第1占有領域
26 :第2占有領域
50,130 :電子部品把持装置
54 :ツメ
60 :移動機構としての開閉機構
80 :電子部品
100 :基板
101 :基板の上面
110 :基板クランパ
115 :上面
116 :第1面
117 :第2面
200 :実装位置
210 :基板クランプ位置
HC1 :第1クランパ高さ
HC2 :第2クランパ高さ
HT1 :第1ツメ高さ
HT2 :第2ツメ高さ