(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/00 20060101AFI20240116BHJP
F25C 5/187 20180101ALI20240116BHJP
【FI】
F25C1/00 301Z
F25C5/187 C
(21)【出願番号】P 2020151982
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】河戸 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 光
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-15344(JP,A)
【文献】特開平10-227547(JP,A)
【文献】特開2020-85406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00 ~ 5/20
F25D 11/00 ~ 16/00
F25D 27/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷用水を氷結させて氷を製造する製氷機構(1)と、
製氷機構(1)で製造された氷を貯蔵する貯氷庫(2)と、
貯氷庫(2)の貯氷量が所定量以上であることを検知すると所定信号を出力する貯氷センサ(10)と、
時刻を計時する計時部(21)と、
ユーザが氷を使用しない不使用時間帯を記憶する記憶部(22)と、
貯氷センサ(10)と計時部(21)と記憶部(22)が出力する情報に基づいて製氷機構(1)を制御する製氷制御部(20)と、
ユーザの接触または近接を検知する人感センサ(16)と、
人感センサ(16)の出力に対応して不使用時間帯を自動的に設定し記憶部(22)に記憶させる周期設定部(25)と、
を備えており、
周期設定部(25)が動作を開始する条件に、貯氷センサ(10)による前記所定信号の出力が含まれることを特徴とする製氷機。
【請求項2】
貯氷センサ(10)が、貯氷庫(2)が満氷状態であることを検知して前記所定信号を出力するセンサである請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
周期設定部(25)が動作を開始する条件に、人感センサ(16)がユーザの接触または近接を検知することが含まれる請求項1または2に記載の製氷機。
【請求項4】
貯氷庫(2)の氷取出口(4)を開閉するドア(3)と、ドア(3)の開放時に庫内を照明する庫内灯(15)とを備えており、
人感センサ(16)がドア(3)の開閉状態を検知するセンサであり、人感センサ(16)の出力に対応して庫内灯(15)がオン/オフ制御されている請求項1から3のいずれかひとつに記載の製氷機。
【請求項5】
周期設定部(25)が、
その動作の開始時点からの24時間を複数個のピリオドに分割する手順と、
人感センサ(16)によるユーザの検知の有無をピリオド毎に記録する手順と、
ユーザを無検知のピリオドが所定数以上連続するピリオド群を検索する手順と、
を順に実行し、当該ピリオド群に対応する時間帯を不使用時間帯に設定する請求項1から4のいずれかひとつに記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが氷を使用しない不使用時間帯を記憶し、その記憶に基づいて製氷運転を制御する製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連して、氷の消費時間帯を記憶する記憶手段を備える製氷機の運転制御装置が特許文献1に開示されている。この運転制御装置は、貯氷センサが貯氷庫の氷不足を検知し、かつ、現在時刻が氷の消費時間帯およびその前の所定時間(例えば2時間)内にあるときのみ、製氷運転を指令するように構成されている。この運転制御装置によれば、真夜中などの氷が使われない時間帯すなわち不使用時間帯における無駄な製氷を避けて、製氷機の消費電力と使用水量を削減することができる。また、消費時間帯の少し前に製氷が開始されることから、消費時間帯の開始時点までに十分な量の氷を製造して貯氷庫に貯えておくことができ、従って店舗の従業員などのユーザは、消費時間帯に入ってすぐに氷を使い始めることができる。
【0003】
さらに、特許文献1の運転制御装置は、貯氷庫のドアの開閉頻度に基づいて、氷の消費時間帯を自動的に設定するように構成されている。具体的には、ドアスイッチの出力を時間帯別にカウントし、ドアの開閉頻度が高い時間帯を消費時間帯と判別して記憶する。これによれば、店舗の営業時間に対応した消費時間帯が自動的に設定されるので、ユーザが消費時間帯を手動で入力する手間を省くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように特許文献1では、貯氷庫のドアスイッチの出力を時間帯別にカウントし、ドアの開閉頻度が高い時間帯を氷の消費時間帯と判別して記憶するが、このカウントを開始する条件については特に言及されていない。消費時間帯を正確に設定するためには、製氷機が通常通りに使用されていることを確認したうえで当該カウントを開始することが望ましい。特に、貯氷量が通常よりも少ない状態で当該カウントを開始すると、ユーザが貯氷庫の氷を使い切り、氷を使いたくても使えない(従ってドアを開かない)状況に陥り、その時間帯が実際は消費時間帯であるにもかかわらず、消費時間帯ではないと誤って判別されるというリスクが発生しやすくなる。
【0006】
本発明は、ユーザが氷を使用しない不使用時間帯を自動的に設定して記憶し、その記憶に基づいて製氷運転を制御する製氷機において、不使用時間帯の設定の正確性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る製氷機は、製氷用水を氷結させて氷を製造する製氷機構1と、製氷機構1で製造された氷を貯蔵する貯氷庫2と、貯氷庫2の貯氷量が所定量以上であることを検知すると所定信号を出力する貯氷センサ10と、時刻を計時する計時部21と、ユーザが氷を使用しない不使用時間帯を記憶する記憶部22と、貯氷センサ10と計時部21と記憶部22が出力する情報に基づいて製氷機構1を制御する製氷制御部20と、ユーザの接触または近接を検知する人感センサ16と、人感センサ16の出力に対応して不使用時間帯を自動的に設定し記憶部22に記憶させる周期設定部25とを備える。そして、周期設定部25が動作を開始する条件に、貯氷センサ10による前記所定信号の出力が含まれることを特徴とする。
【0008】
貯氷センサ10は、貯氷庫2が満氷状態であることを検知して前記所定信号を出力するセンサである。
【0009】
周期設定部25が動作を開始する条件に、人感センサ16がユーザの接触または近接を検知することが含まれる。
【0010】
貯氷庫2の氷取出口4を開閉するドア3と、ドア3の開放時に庫内を照明する庫内灯15とを備える。人感センサ16がドア3の開閉状態を検知するセンサであり、人感センサ16の出力に対応して庫内灯15がオン/オフ制御されている。
【0011】
周期設定部25は、その動作の開始時点からの24時間を複数個のピリオドに分割する手順と、人感センサ16によるユーザの検知の有無をピリオド毎に記録する手順と、ユーザを無検知のピリオドが所定数以上連続するピリオド群を検索する手順とを順に実行し、当該ピリオド群に対応する時間帯を不使用時間帯に設定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製氷機は、ユーザが氷を使用しない不使用時間帯を設定して記憶部22に記憶させる周期設定部25を備えており、該周期設定部25が動作を開始する条件に特徴を有する。すなわち、当該開始条件に、貯氷庫2の貯氷量が所定量以上であることが含まれるようにした。これによれば、周期設定部25による不使用時間帯の設定中に、ユーザが貯氷庫2の氷を使い切る可能性を低くすることができる。貯氷庫2の氷が無くなってしまうと、ユーザが氷を使いたくても使えない時間帯が、周期設定部25により氷が不要な時間帯と誤って認識されて、不使用時間帯に設定されるリスクがあるが、本発明によればこのリスクを抑制することができ、結果として不使用時間帯の設定の正確性を高めることができる。
【0013】
貯氷センサ10が、貯氷庫2が満氷状態であることを検知するセンサであると、満氷状態であることが不使用時間帯の設定の開始条件となることから、当該設定中にユーザが貯氷庫2の氷を使い切る可能性がより低くなり、結果として不使用時間帯の設定の正確性がさらに向上する。加えて、貯氷庫2が満氷状態であることを不使用時間帯の設定の開始条件とすることは、24時間営業などの常に氷を使用する店舗で氷不足を防止することにも寄与する。この種の店舗では常に十分な貯氷量を確保しておくことが望ましく、この種の店舗で不使用時間帯を設定して製氷運転を抑制することは、十分な貯氷量を確保するという目的を阻害するおそれがある。常に氷を使用する店舗では貯氷庫2が満氷状態になることが少ないため、これを開始条件としておくことにより、不使用時間帯が設定される機会を減らすことができ、結果として氷不足を防止することができる。
【0014】
貯氷センサ10による所定信号の出力に加えて、人感センサ16がユーザの接触または近接を検知することを、周期設定部25が動作を開始する条件に含めると、その開始時点の状況の更なる一律化を図ることができる。貯氷庫2の貯氷量が所定量以上になるのを待つだけであれば、製氷機を使用する店舗の営業中に不使用時間帯の設定が開始されることもあれば、その休業中に当該設定が開始されることもあるが、ユーザの存在の検知を開始条件とする本発明によれば、店舗でユーザが勤務中の時間帯に限って不使用時間帯の設定が開始されることになる。このように、不使用時間帯の設定の開始時点の状況を一律化させると、不使用時間帯の設定の正確性をさらに高めることができる。
【0015】
人感センサ16がドア3の開閉状態を検知するセンサであり、人感センサ16の出力に対応して庫内灯15がオン/オフ制御される形態を採ることができる。これによれば、1つの人感センサ16で、不使用時間帯の設定のためのセンサと、庫内灯15のオン/オフ制御のためのセンサとを兼ねることができるので、両センサを個別に設ける場合に比べて製氷機の製造コストを削減することができる。
【0016】
周期設定部25が、その動作の開始時点からの24時間を複数個のピリオドに分割する手順と、人感センサ16によるユーザの検知の有無をピリオド毎に記録する手順と、ユーザを無検知のピリオドが所定数以上連続するピリオド群を検索する手順とを順に実行し、当該ピリオド群に対応する時間帯を不使用時間帯に設定することができる。この方法によれば、極端に短い不使用時間帯が設定されるのを避けることができ、例えば店舗の昼休みなどの短い休憩時間が不使用時間帯に設定されて、その休憩時間後に氷が不足する事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係る製氷機の制御系を示すブロック図である。
【
図3】製氷サイクルを実行する条件を示すフローチャートである。
【
図4】不使用時間帯の設定に係るピリオドの一例を示す図である。
【
図5】貯氷庫のドアの開放(庫内灯の点灯)の有無をピリオド毎に記録する手順を示すフローチャートである。
【
図7】不使用時間帯の設定を開始する条件を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例) 本発明に係る製氷機の実施例を
図1ないし
図7に示す。
図2において製氷機は、製氷用水を氷結させて氷を製造する製氷機構1と、製氷機構1で製造された氷を貯蔵する貯氷庫2とを備える。貯氷庫2を構成する断熱壁の一面には、ドア3で開閉される氷取出口4が設けられている。製氷機構1は、貯氷庫2の上部に収容される製氷ユニット6と、貯氷庫2の外側の機械室7に設置される冷凍装置8とで構成されており、冷凍装置8から製氷ユニット6の製氷型へ低温の冷媒液を供給し、氷点下に冷却した製氷型で製氷用水を氷結させることにより、氷を製造することができる。なお、
図2に示す製氷機は、キューブアイスを製造するセル型製氷機であるが、本発明はフレークアイスを製造するオーガ式製氷機などにも適用することができる。
【0019】
貯氷庫2の内壁面には、庫内が満氷状態であることを検知する貯氷センサ10が設けられている。本実施例では、貯氷空間を挟んで対向する発光素子11と受光素子12で貯氷センサ10を構成し、貯氷庫2が満氷状態になると発光素子11から受光素子12へ向かう光が氷で遮られるようにした。受光素子12が発光素子11の光を受ける非満氷状態では、貯氷センサ10はオフ信号を出力し、受光素子12が発光素子11の光を受けない満氷状態では、貯氷センサ10はオン信号を出力する。もちろん貯氷センサ10のオフ信号とオン信号の出力は逆であってもよい。また貯氷センサ10は、氷の接触の有無を検知するスイッチであってもよく、当該スイッチは、氷がスイッチに触れない状態を非満氷状態とみなしてオフ信号(またはオン信号)を出力し、氷がスイッチに触れると満氷状態とみなしてオン信号(またはオフ信号)を出力する。
【0020】
また貯氷庫2には、ドア3の開放時に庫内を照明する庫内灯15が設けられている。庫内灯15には発熱量が比較的少ないLEDが用いられる。ドア3の開閉状態は人感センサ16(
図1参照)によって検知されている。ドア3の開放中は人感センサ16がオン信号を出力し、それを受けて庫内灯15が点灯する。ドア3の閉鎖中は人感センサ16がオフ信号を出力し、それを受けて庫内灯15は消灯状態を維持する。ここでも人感センサ16のオン信号とオフ信号の出力は逆であってもよい。
【0021】
本実施例に係る人感センサ16は、ドア3が動いたことを検知する動体検知センサであるが、これ以外に例えばドア3の開閉状態を機械的に検知する所謂ドアスイッチであってもよい。他にも、ユーザがドア3の取っ手に触れたことを検知する静電容量式タッチセンサや圧力センサ、製氷機の近くに立つユーザの体温を検知する赤外線センサ、製氷機が設置される店舗等の照明の点灯状態を検知する光量センサなどの例を挙げることができる。要は、人感センサ16は、製氷機に対するユーザの接触または近接を検知できるものであればよい。
【0022】
図1において製氷機の制御系は、製氷機構1(製氷ユニット6・冷凍装置8)を制御して一連の製氷サイクルを実行する製氷制御部20と、現在時刻を計時する計時部21と、ユーザが氷を使用しない不使用時間帯を記憶する記憶部22とを含む。製氷制御部20は、記憶部22に記憶されている不使用時間帯を参照し、計時部21から出力される現在時刻が不使用時間帯に含まれていれば(
図3のフローチャートのステップS1でYES)、製氷サイクルを実行せずに待機する。一方、現在時刻が不使用時間帯から外れていれば(ステップS1でNO)、製氷制御部20は貯氷センサ10の検知信号に基づいた制御を行う。具体的には、貯氷センサ10がオフすなわち非満氷状態(ステップS2でNO)であれば製氷サイクルを実行し(ステップS3)、貯氷センサ10がオンすなわち満氷状態(ステップS2でYES)であれば製氷サイクルを実行せずに待機する。なお、製氷制御部20の変更例として、現在時刻が不使用時間帯に含まれていても、同時間帯の終了時点の間近(例えば1時間前)であれば、貯氷センサ10の検知信号に基づいて製氷を行うようにしてもよい。
【0023】
製氷機の不使用時間帯は、ユーザによる製氷機の使用状況に基づいて自動的に設定される。大まかには、制御系に含まれる周期設定部25(
図1参照)が、庫内灯15のオン/オフ状態を24時間にわたって監視し、庫内灯15が消灯し続ける時間帯、すなわちドア3の閉鎖状態が続く時間帯を不使用時間帯に設定し、記憶部22に記憶する。この手順の詳細について、以下に具体例を挙げて説明する。
【0024】
この具体例では、不使用時間帯の設定の開始条件(詳しくは後述する)を午前9時30分に満たして、当該設定が開始されたものとする。まず周期設定部25は、午前9時30分から翌日の同時刻までの24時間を、複数個の所定時間のピリオドに分割する。ここでは所定時間すなわち1ピリオドの長さを1時間とし、24時間を24個のピリオド(第1ピリオドP(1)~第24ピリオドP(24))に分割した(
図4参照)。
【0025】
次に周期設定部25は、庫内灯15のオン/オフ状態の監視を開始し、ドア3の開放の有無をピリオド毎に記録する。
図5のフローチャートに示すように、周期設定部25はピリオドの開始と同時に、タイマー26(
図1参照)による計時を開始する(ステップS11)。そして、上記所定時間(1時間)が経過するまでに庫内灯15の点灯があった場合は(ステップS12でYES)、当該ピリオドはON(点灯あり)と記録する(ステップS13)。一方、庫内灯15が点灯することなく所定時間が経過した場合は(ステップS14でYES)、当該ピリオドはOFF(点灯なし)と記録する(ステップS15)。
【0026】
計時を開始してから所定時間(1時間)が経過(ステップS16またはステップS14でYES)すると当該ピリオドは終了となり、当該ピリオドが最終ピリオド(本実施例では第24ピリオド)でなければ(ステップS17でNO)、ピリオドの番号を示す変数i(初期値は「1」)を1つ加算し(ステップS18)、ステップS11へ戻り次のピリオドを開始する。これを最終の第24ピリオドが終了(ステップS17でYES)するまで繰り返す。
【0027】
第24ピリオドが終了すると、周期設定部25は第1ピリオドから第24ピリオドまでの記録(ONまたはOFF)を参照し、その中からOFF(点灯なし)が所定数以上連続するピリオド群を検索し、当該ピリオド群に対応する時間帯を不使用時間帯に設定し、記憶部22に記憶する。本実施例では上記所定数を「6」に設定し、庫内灯15が6時間以上点灯しなかった時間帯、換言すればドア3が6時間以上開放されなかった時間帯を不使用時間帯に設定した。
図6に示す例では、OFFが6つ並ぶピリオド群P(5)~P(10)すなわち13時30分~19時30分と、OFFが8つ並ぶピリオド群P(16)~P(23)すなわち0時30分~8時30分とが、不使用時間帯に設定される。
【0028】
ここで、不使用時間帯の設定の開始条件について説明する。
図7のフローチャートに示すように、製氷機が初めて起動されると、周期設定部25は貯氷センサ10がオンすなわち満氷状態(ステップS21でYES)となり、さらにドア3が開放されて庫内灯15が点灯(ステップS22でYES)するのを待ってから、不使用時間帯の初期設定を開始する(ステップS23)。なお本実施例では、製氷機の電源の切断と再投入があった場合にも、初期起動時と同様の制御(ステップS21~S23の制御)を行うようにした。
【0029】
不使用時間帯の初期設定後は、庫内灯15のオン/オフ状態に基づいて、設定した不使用時間帯の正確性を診断する。不使用時間帯にドア3が開放されて庫内灯15が点灯すると(ステップS24およびステップS25でYES)、周期設定部25は不使用時間帯の再設定が必要であるとみなして、記憶部22に記憶されている不使用時間帯を消去して(ステップS26)、ステップS21へ戻る。そして、貯氷センサ10がオンすなわち満氷状態(ステップS21でYES)となり、さらにドア3が開放されて庫内灯15が点灯(ステップS22でYES)するのを待ってから、不使用時間帯の再設定を開始する(ステップS23)。なお、ステップS26で不使用時間帯が消去されてから、ステップS23で不使用時間帯が再設定されるまでの間は、製氷制御部20は貯氷センサ10の検知信号のみに基づいて製氷運転を制御する(この間、
図3のフローチャートのステップS1は必ずNOとなる)。不使用時間帯の再設定が必要になる原因としては、例えば製氷機を使用する店舗の営業時間の変更を挙げることができる。
【0030】
上記のように本実施例では、製氷機が起動してすぐに不使用時間帯の初期設定を開始するのではなく、貯氷庫2が満氷状態となりドア3が開放されるのを待ってから、当該初期設定を開始するようにした。また、記憶部22に記憶されている不使用時間帯を消去してすぐにその再設定を開始するのではなく、貯氷庫2が満氷状態となりドア3が開放されるのを待ってから、当該再設定を開始するようにした。
【0031】
不使用時間帯の設定中に避けたい状況の一つは、ユーザが貯氷庫2の氷を使い切ることである。氷が無くなってしまうと、ユーザが氷を使いたくても使えない(従ってドア3を開かない)時間帯が、周期設定部25により氷が不要な時間帯と誤って認識されて、不使用時間帯に設定されるリスクがある。そこで本実施例では、必ず貯氷庫2が満氷状態になるのを待ってから、不使用時間帯の設定を開始するようにした。これによれば、不使用時間帯の設定中にユーザが貯氷庫2の氷を使い切る可能性を低くして、上記のリスクを抑制することができ、結果として不使用時間帯の設定の正確性を高めることができる。
【0032】
貯氷庫2が満氷状態であることを不使用時間帯の設定の開始条件とすることは、24時間営業などの常に氷を使用する店舗で氷不足を防止することにも寄与する。この種の店舗では常に十分な貯氷量を確保しておくことが望ましく、この種の店舗で不使用時間帯を設定して製氷運転を抑制することは、十分な貯氷量を確保するという目的を阻害するおそれがある。常に氷を使用する店舗では貯氷庫2が満氷状態になることが少ないため、これを開始条件としておくことにより、不使用時間帯が設定される機会を減らすことができ、結果として氷不足を防止することができる。
【0033】
貯氷庫2が満氷状態になるのに加えて、ドア3が開放すなわちユーザが氷を使い始めるのを待ってから、不使用時間帯の設定を開始するようにしていると、当該設定の開始時点の状況の更なる一律化を図ることができる。貯氷庫2が満氷状態になるのを待つだけであれば、製氷機を使用する店舗の営業中に不使用時間帯の設定が開始されることもあれば、その休業中に当該設定が開始されることもあるが、ドア3の開放を開始条件とする本実施例によれば、店舗でユーザが勤務中の時間帯に限って不使用時間帯の設定が開始されることになる。このように、不使用時間帯の設定の開始時点の状況を一律化させると、不使用時間帯の設定の正確性をさらに高めることができる。
【0034】
上記の実施例では、人感センサ16の出力に対応して庫内灯15をオン/オフ制御し、庫内灯15のオン/オフ状態に対応して周期設定部25が不使用時間帯を設定する、つまり人感センサ16の出力が庫内灯15を介して間接的に周期設定部25に伝わるようにしていたが、これに代えて人感センサ16の出力を周期設定部25に直接伝えるようにしてもよい。本発明は、庫内灯15を備えず人感センサ16のみを備える製氷機にも適用することができる。
【0035】
また上記の実施例では、ユーザが日常的に用いる実際の現在時刻(いわゆる標準時)を計時部21で計時していたが、これに代えて実際の現在時刻とは異なる製氷機の内部時刻を計時することもできる。例えば、周期設定部25による不使用時間帯の設定の開始条件を満たした時点(第1ピリオドの開始時点)を、製氷機の内部時刻の基準時(0時)にセットすることができる。この基準時を起点に計時部21は内部時刻を24時間周期で計時し、周期設定部25は不使用時間帯を設定して記憶部22に記憶させる。この基準時は不変ではなく、不使用時間帯における氷の使用が検知されたときに、不使用時間帯と同時に基準時も消去される。そして、不使用時間帯の再設定の開始条件を満たしたときに、その時点が新たに基準時にセットされる。
【0036】
また上記の実施例では、貯氷庫2が満氷状態になることを不使用時間帯の設定の開始条件としていたが、これに代えて満氷状態より少ない所定量、例えば8割以上であることを開始条件とすることもできる。不使用時間帯に製氷運転を停止するのに代えて、製氷量や製氷頻度を通常時の例えば半分程度に抑制するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 製氷機構
2 貯氷庫
3 ドア
4 氷取出口
10 貯氷センサ
15 庫内灯
16 人感センサ
20 製氷制御部
21 計時部
22 記憶部
25 周期設定部