(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】送受電システム、受電装置、および送電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20240116BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240116BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240116BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240116BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/12
H02J7/00 301D
H02J50/80
H02J7/00 U
(21)【出願番号】P 2020170609
(22)【出願日】2020-10-08
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 浩三
(72)【発明者】
【氏名】泉 克彦
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-110034(JP,A)
【文献】特開2013-201863(JP,A)
【文献】特開2008-141940(JP,A)
【文献】特開2014-225989(JP,A)
【文献】特開2014-007136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に第1画像が表されている第1装置と、
外面に第2画像
として前記第1画像と対応する形状を有する静止画を表示可能な表示部と前記表示部に表示する画像を制御する表示制御部とを備え、前記第1装置に載置させられる第2装置と、を有し、
前記第1装
置は、
送電コイルである送電部を有する送電装置であり、
前
記第2装
置は、
二次電池、受電コイルである受電部
、及び、前記受電コイルに生じた誘起電流を、整流化及び平滑化して直流電流を生成する整流平滑部を有し、前記整流平滑部が出力する出力電圧により前記二次電池を充電する充電動作を行う受電装置であり、
前記第1画像と前記第2画像とを合わせるように前記送電装置と前記受電装置とが位置合わせされた場合、
前記送電コイルの中心と前記受電コイルの中心とが位置合わせされ、前記送電部から前記受電部への送電時に受電電圧が所定値以上となるように給電可能な状態とな
り、
前記表示制御部は、
前記第2装置が有する機能を選択して使用するために表示される通常表示画像と、
前記第2画像と、充電を開始するか否かを問うメッセージと、前記受電装置が前記充電動作を開始するために操作される第1ボタンと、前記充電動作の開始をキャンセルするために操作される第2ボタンと、を含む第1表示画像と、
充電中であることを示すメッセージを含む第2表示画像と、
前記第2画像と、充電を中止するか否かを問うメッセージと、前記充電動作を中止するために操作される第3ボタンと、前記充電動作の中止をキャンセルするために操作される第4ボタンと、を含む第3表示画像と、
の何れかを前記表示部に表示するように構成され、
前記表示制御部は、
前記第1表示画像が前記表示部に表示されている状態で、前記第1表示画像の前記第1ボタンが操作され、前記受電装置が前記充電動作を開始すると、前記第1表示画像を前記第2表示画像に切り替えて前記第2表示画像を前記表示部に表示し、
前記第2表示画像が前記表示部に表示されている状態で、前記整流平滑部の出力電圧が閾値以上であるか否かを判定し、
前記整流平滑部の出力電圧が閾値以上であると判定した場合、前記送電コイルと前記受電コイルとの位置ずれは発生していないと判定し、前記第2表示画像を前記表示部に表示することを続行し、
前記整流平滑部の出力電圧が閾値に達していないと判定した場合、前記第2表示画像を前記第3表示画像に切り替えて前記第3表示画像を前記表示部に表示し、
前記第3表示画像が前記表示部に表示されている状態で、前記充電動作を中止するか否かを判定し、
前記第3表示画像の前記第3ボタンが操作された場合、前記充電動作を中止すると判定し、前記第3表示画像を前記通常表示画像に切り替えて前記通常表示画像を前記表示部に表示し、
前記第3表示画像の前記第4ボタンが操作された場合、前記充電動作を中止せず前記充電動作を続行すると判定する、
送受電システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の送受電システムにおいて、
前記第1画像および前記第2画像は、各々、
前記送電コイルおよび
前記受電コイルの中心に対向する位置に進む線を含み、
前記送電装置および前記受電装置のうち小型の装置の前記線は、該小型の装置の側端側まで伸び、前記送電装置および前記受電装置のうち大型の装置の前記線は、位置合わせの際に前記小型の装置の側端からはみ出すように伸びている、
送受電システム。
【請求項3】
請求項
2に記載の送受電システムにおいて、
前記第1画像および前記第2画像は、各々、
前記送電コイルおよび
前記受電コイルの中心に対向する位置で交わる2本以上の線を含む、
送受電システム。
【請求項4】
請求項
3に記載の送受電システムにおいて、
前記第1画像および前記第2画像は、各々、
前記送電コイルおよび
前記受電コイルの中心に対向する位置から放射状に並ぶリング状の線を含む、
送受電システム。
【請求項5】
送電装置の
送電コイルである送電部に近接させられる
受電コイルである受電部と、
前記送電装置に表されている第1画像に対応する第2画像
として前記第1画像と対応する形状を有する静止画を表示
可能な表示部と、
前記表示部に表示する画像を制御する表示制御部と、
二次電池と、
前記受電コイルに生じた誘起電流を、整流化及び平滑化して直流電流を生成する整流平滑部と、
を備え、
前記整流平滑部が出力する出力電圧により前記二次電池を充電する充電動作を行う受電装置であって、
前記第1画像と前記第2画像との位置が合わせられた場合、
前記送電コイルの中心と前記受電コイルの中心とが位置合わせされ、前記送電部から前記受電部への送電時に受電電圧が所定値以上となるように受電可能な状態とな
り、
前記表示制御部は、
前記受電装置が有する機能を選択して使用するために表示される通常表示画像と、
前記第2画像と、充電を開始するか否かを問うメッセージと、前記受電装置が前記充電動作を開始するために操作される第1ボタンと、前記充電動作の開始をキャンセルするために操作される第2ボタンと、を含む第1表示画像と、
充電中であることを示すメッセージを含む第2表示画像と、
前記第2画像と、充電を中止するか否かを問うメッセージと、前記充電動作を中止するために操作される第3ボタンと、前記充電動作の中止をキャンセルするために操作される第4ボタンと、を含む第3表示画像と、
の何れかを前記表示部に表示するように構成され、
前記表示制御部は、
前記第1表示画像が前記表示部に表示されている状態で、前記第1表示画像の前記第1ボタンが操作され、前記受電装置が前記充電動作を開始すると、前記第1表示画像を前記第2表示画像に切り替えて前記第2表示画像を前記表示部に表示し、
前記第2表示画像が前記表示部に表示されている状態で、前記整流平滑部の出力電圧が閾値以上であるか否かを判定し、
前記整流平滑部の出力電圧が閾値以上であると判定した場合、前記送電コイルと前記受電コイルとの位置ずれは発生していないと判定し、前記第2表示画像を前記表示部に表示することを続行し、
前記整流平滑部の出力電圧が閾値に達していないと判定した場合、前記第2表示画像を前記第3表示画像に切り替えて前記第3表示画像を前記表示部に表示し、
前記第3表示画像が前記表示部に表示されている状態で、前記充電動作を中止するか否かを判定し、
前記第3表示画像の前記第3ボタンが操作された場合、前記充電動作を中止すると判定し、前記第3表示画像を前記通常表示画像に切り替えて前記通常表示画像を前記表示部に表示し、
前記第3表示画像の前記第4ボタンが操作された場合、前記充電動作を中止せず前記充電動作を続行すると判定する、
受電装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の受電装置において、
前記第2画像は、前記受電コイルの中心に対向する位置を通過する形状または囲う形状の線を含み、
前記表示部は、前記第2画像の前記線を、表示領域の端側まで伸ばすように表示する、
受電装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の受電装置において、
前記送電装置に送電開始命令および送電中止命令を出力して、前記送電装置による送電のオンオフを切り替える送電動作切り替え部を備える、
受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受電システム、受電装置、および送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、携帯端末やゲーム機、時計、電動歯ブラシ、電気カミソリなどの携帯型の小型の電子機器では、当該機器に内蔵された二次電池またはキャパシタへの充電を、充電端子を介さずに非接触で行うワイヤレス電力伝送方式を用いる機種が増えている。
【0003】
さらには、ハイブリッドカーや電気式車両などの大型の装置に対しても、ワイヤレスで充電を行う装置が開発されつつある。
【0004】
ワイヤレス式の送電システムに関し、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
【0005】
近年では、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の普及に伴って、これら機器の充電の需要が高まっている。このため、各種の乗り物(例えば電車、バス、航空機など)の座席付近や各種車両のテーブル、店舗内の家具(机など)などの公共的な場所に給電ないし充電器が設置ないし内蔵され、様々な場所で電子機器を充電できるようになっている。このような公共的な充電の設備は、現在はACコンセントやUSB電源などの有線方式のものが主であるが、将来的には、ワイヤレス方式の送電システムの進展に伴ってワイヤレス式の充電設備も増えて来ることが予想ないし期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、ワイヤレス方式(特に、一般に普及している電磁誘導式)の送電システムでは、送電の際に、送電装置の送電部(送電コイル)と受電装置の受電部(受電コイル)とを正確に位置合わせすることが重要な課題になる。かかる位置合わせが正確でない場合、送電効率を十分に確保することができず、例えば受電側の二次電池の充電が十分に行われない等の問題が発生し得るからである。
【0008】
この点、特許文献1では、受電装置に備えられた受電コイルの位置を送電装置側で検知し、検知結果に基づいて受電コイルのずれの大きさ及び方向を判定し、判定結果に応じたずれ量及び方向を表示部に矢印で表示する構成が記載されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、受電コイルの現在位置を検知するための複数のコイル等を設ける必要があるため、送電装置やシステム全体のコスト高を招く問題がある。
【0010】
本発明の目的は、低コストな構成としながら給電効率を確保することが可能な送受電システム、受電装置、および送電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の側面は、
外面に第1画像が表されている第1装置と、
外面に第2画像が表され、前記第1装置に載置させられる第2装置と、を有し、
前記第1装置及び第2装置の一方は、送電部を有する送電装置であり、
前記第1装置及び第2装置の他方は、受電部を有する受電装置であり、
前記第1画像と前記第2画像とを合わせるように前記送電装置と前記受電装置とが位置合わせされた場合、前記送電部から前記受電部への送電時に受電電圧が所定値以上となるように給電可能な状態となる
送受電システムである。
【0012】
本発明の他の一の側面は、
送電装置の送電部に近接させられる受電部と、
前記送電装置に表されている第1画像に対応する第2画像を表示する表示部と、
を備え、
前記第1画像と前記第2画像との位置が合わせられた場合、前記送電部から前記受電部への送電時に受電電圧が所定値以上となるように受電可能な状態となる、
受電装置である。
【0013】
さらに、本発明の他の一の側面は、
受電装置に表示される第2画像に対応する第1画像が表されている筐体と、
前記筐体に収容され前記受電装置の受電部に近接させられる送電部と、を備え、
前記第1画像は、前記第2画像との位置が合わせられた場合、前記受電部での受電電圧が所定値以上となるような前記筐体の位置に表されている、
送電装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1画像と第2画像との位置合わせを通じて送電装置と受電装置とが位置合わせされ、送電部から受電部への送電時に受電電圧が所定値以上となるように給電可能な状態となることから、受電コイルの位置を検知する構成を用いる必要がない。したがって、本発明によれば、低コストな構成としながら給電効率を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を適用したワイヤレス送電システムの概要を説明する平面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る送電装置の構成および動作を説明する図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る受電装置側の携帯端末(スマートフォン)の構成例を示すブロック図である。
【
図4A】受電装置側の携帯端末の受電コイル等の配置例を模式的に示す平面図である。
【
図4B】受電装置側の携帯端末の受電コイル等の配置例を模式的に示す側面図である。
【
図5A】送電コイルおよび受電コイルの位置のずれが発生している場合を例示する側面図である。
【
図5B】送電コイルおよび受電コイル間の位置ずれ量と受電電力(給電効率の低下)との関係を表したグラフである。
【
図6A】送電開始前における送電装置の状態を説明する平面図である。
【
図6B】充電モードにおいて携帯端末に表示される画面を説明する平面図である。
【
図6C】第1画像と第2画像との位置合わせが完了した状態を説明する平面図である。
【
図7A】携帯端末のメインメニュー画面を示す平面図である。
【
図7B】
図7Aの画面中の「充電」のボタン(充電アイコン)がタップされた後に切り替えられる表示画面を示す平面図である。
【
図7C】
図7Bの画面中の「受電コイル中心を表示」のボタンがタップされた後に切り替えられる第2画像の表示画面を示す平面図である。
【
図8】携帯端末の主制御部が行う処理を説明するフロー図である。
【
図9】ワイヤレス送電システムの第2の実施の形態の構成を説明するブロック図である。
【
図10A】第2の実施の形態における携帯端末のトップメニュー画面を示す平面図である。
【
図10B】
図10Aの画面中の「充電」アイコンがタップされた場合の充電モード開始直後における第2画像の表示画面を示す平面図である。
【
図10C】
図10Bの画面中の「OK」ボタンがタップされた後の充電処理中におけるメインメニュー画面を示す平面図である。
【
図10D】充電処理開始後に位置ずれが発生した場合における第2画像の表示画面を示す平面図である。
【
図11】第2の実施の形態の携帯端末の主制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図12】第1画像および第2画像の他の例を説明するための表である。
【
図13A】受電コイルの中心位置の他の表示態様を示す平面図である。
【
図13B】受電コイルの中心位置の他の表示態様を示す平面図である。
【
図13C】受電コイルの中心位置の他の表示態様を示す平面図である。
【
図13D】受電コイルの中心位置の他の表示態様を示す平面図である。
【
図14】第1画像および第2画像の更に他の例を説明するための表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を適用した実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
以下に説明する実施の形態の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明を実施の形態のワイヤレス送電システム(以下、単に送電システムという)の概要を説明するための平面図である。
【0019】
この送電システム1は、ワイヤレスないし無接点方式で電力(高周波電流)を送る送電コイル(送電部)を備えた送電装置10と、送電装置10から送られる電力を受信する受電コイル(受電部)を備えた受電装置20(
図3を参照)を内蔵した携帯端末200と、を有する。この例では、送電装置10は本発明の「送電装置」および「第1装置」に対応し、受電装置20および携帯端末200は本発明の「受電装置」および「第2装置」に対応する。
【0020】
送電装置10は、この例では、汎用的なAC100~120Vの電源を使用する据え置き型の装置である。送電装置10は、机やテーブルの上に載置される、あるいはこれら家具の上面の凹部に埋め込まれて固定的に使用されるなど、様々な場所で使用することができる。
【0021】
送電装置10は、その筐体11の内部に、送電部の主要部をなす送電コイル12が配置されている(
図2を参照)。この例では、送電コイル12は、
図1に示す横向きを基準とした平面視における筐体11の左上隅側に配置されている。この例では、送電コイル12の径方向が筐体11の上面と略平行になるように配置されている。また、筐体11の上面は、携帯端末200が載置される面であって、床面に対して水平である。
【0022】
なお、必要に応じて、他の送電コイル12を筐体11内の他の端部側(この例では
図1中における右上隅側または左下隅側)に追加的に配置することもできる。但し、説明が複雑化することを避けるため、ここでは筐体11内に一つの送電コイル12(送電部)が配置されている場合を前提として説明する。
【0023】
送電装置10の筐体11の上面には、送電(充電)のオンオフ(ON/OFF)を切り替える送電スイッチ13が配置されている。送電スイッチ13は、スライド式の手動スイッチであり(
図1中の両矢印を参照)、
図1に示す状態ではONになっている。送電スイッチ13は、例えばプッシュ式など、他の任意の形式のスイッチが使用され得る。
【0024】
本実施の形態において、筐体11の上面における送電コイル12の中心に対向する位置を基準点(交差位置)とした略「十」字状の印刷画像PIが形成されている。この印刷画像PIは、本発明の「第1画像」に対応するものであり、その意義については後述する。
【0025】
送電装置10は、筐体11の表面(この例では上面)に受電装置20の底面が載置(位置合わせ)され、載置された受電装置20内の後述する受電コイル22に電力を供給(送電)し、二次電池25(
図3、
図4Aおよび4Bを参照)を充電する充電器として機能する。
【0026】
一方、受電装置20は、この例では一般にスマートフォンと呼ばれる携帯型の端末装置(以下、携帯端末という)200内に組み込まれており、かかる携帯端末200の筐体21内に、受電部をなす受電コイル22が配置されている(
図3等を参照)。一方、筐体21の上面には、操作入力機能と画像表示機能とを兼ね備えたタッチパネル式の表示部231が備えられている。
【0027】
図2は、送電システム1の第1の実施の形態における送電装置10の内部構成および信号の流れ等を説明するための概略ブロック図である。
送電装置10の筐体11内には、上述した送電コイル12および送電スイッチ(
図2中は「送電SW」)13の他に、電源部14、整流平滑回路15、DC/DC変換器16、送電制御部17、コイル励振回路18が備えられる。
【0028】
電源部14は、例えば電源コンセントから交流電流(この例では50Hz、100V)を入力する電源ケーブルや電源供給のオン/オフを切り替えるためのスイッチICなどを有し、電源ケーブルを通じて送電される交流電流を整流平滑回路15に供給する。
【0029】
整流平滑回路15は、例えば半導体ダイオードおよびコンデンサーを用いた回路であって、交流波形の整流(直流)化および平滑化の処理を行うことにより、入力した交流電流を一定電圧の直流電流に変換し、変換後の電力をDC/DC変換器16に供給する。
【0030】
DC/DC変換器16は、入力した直流電流の電圧を、送電コイル12の励起に必要となる電圧に変換(降圧)し、降圧後の電力を送電制御部17に供給する。
【0031】
送電制御部17は、送電スイッチ13の状態(ON又はOFF)に応じて、DC/DC変換器16から入力される直流電流を、コイル励振回路18に供給し又は供給停止する。
【0032】
コイル励振回路18は、送電コイル12を励振させるために、直流電流を交流電流に変換するインバーター回路を備える。コイル励振回路18は、送電制御部17から供給される直流電流を所定の電圧および周波数の交流電流に変換し、かかる交流電流を送電コイル12に出力する。送電コイル12は、例えばエナメル線などの電線が平面略リング状となるように巻かれたスパイラル型のサーキュラーコイルである。
【0033】
図3は、受電装置20が組み込まれた携帯端末200の制御系の構成を示すブロック図である。
【0034】
図3に示すように、携帯端末200は、筐体21内に、受電装置20、主制御部201、RAM203、ストレージ部210、操作入力部220、画像処理部230、音声処理部240、センサ部260、LAN通信部270、拡張インタフェース280、などが収容されている。これら各部(以下、「動作ブロック」ともいう)は、システムバス202を通じて電気的に接続されている。
【0035】
なお、スマートフォンでは、他にも、GPSを利用した位置情報取得部、加速度センサなどのセンサ部を備えているものが多いが、これらは公知かつ本実施の形態の特徴との関連性が薄いため、図示及び説明を省略する。
【0036】
上記のうち、主制御部201は、CPUやMPUなどのプロセッサー、ROMおよびROMに格納された基本プログラム等を有し、プロセッサーが基本プログラム等を実行して各動作ブロックを制御することで、携帯端末200の全体を統括的に制御する。
【0037】
また、主制御部201は、後述する第2画像の表示および非表示を制御する表示制御部として機能する。
【0038】
システムバス202は、主制御部201と携帯端末200内の各動作ブロックとの間のデータ通信路である。RAM203は、動作プログラム実行時のワークエリアとなる。
【0039】
ストレージ部210は、携帯端末200における個別の動作プログラムや動作設定値等を記憶する。本実施の形態では、ストレージ部210には、後述する第2画像に関する動作プログラムや動作設定値等のデータが格納される。かかるデータは、例えばアプリケーションとして所定のサーバーから取得することができる。
【0040】
受電装置20は、受電コイル22と、整流平滑部24と、二次電池25とを備える。受電コイル22は、上述した送電コイル12と同等の構成によるスパイラル型のサーキュラーコイルである。また、受電コイル22は、当該コイルの径方向が筐体21の下面と略平行になるように配置されている。
【0041】
なお、送電コイル12及び受電コイル22は、平面略多角形状のスパイラル型、複数の角形スパイラルコイルを組み合わせたもの、あるいはソレノイド型など、他にも様々な構造ないし方式のコイルを使用することができる。また、コイルを構成する電線の巻き数、単線または複線(リッツ線など)の別、なども任意である。
【0042】
整流平滑部24は、例えばダイオードやコンデンサーを備えた回路であり、受電コイル22に生じた誘起電流(交流)を、整流(脈流)化及び平滑化して、安定した電圧の直流電流を生成する。二次電池25は、繰り返し充放電が可能な電池であり、例えばリチウムイオン電池である。
【0043】
操作入力部220は、受信端末200に対するユーザーの操作入力を受け付けるユーザー操作インタフェースである。具体的には、操作入力部220は、電源キー、音量キー、ホームキー等の操作キー221と、タッチセンサ(タッチパッド)222と、タッチパネル223とを有する。このうち、タッチパネル223は、表示部231に重ねて一体的に配置され、タッチスクリーンとも呼ばれる。
【0044】
画像処理部230は、上述した表示部231と、画像信号処理部232と、第1撮像部233と、第2撮像部234とを備える。
【0045】
第1撮像部233は、アウトカメラ(背面カメラ)であり、筐体21の背面側の景色等を撮像する場合に用いられる。第2撮像部234は、インカメラ(前面カメラ)であり、筐体21の正面側の景色等の撮像やユーザーの顔認証を行う場合に用いられる。これら撮像部233,234は、例えばCCD撮像素子を備えたカメラであり、撮像時に受光された光を撮像素子で電気信号に変換して、変換された電気信号(アナログ信号)を画像信号処理部232に供給する。
【0046】
画像信号処理部232は、撮像部233,234から供給された電気信号をA/D変換することにより、デジタルの画像データを生成し、生成された画像データを表示させるように表示部231を駆動する。また、画像信号処理部232は、主制御部201によりメモリ(RAM203やストレージ部210など)から読み出された画像データ(オブジェクト)を表示させるように表示部231を駆動する。表示部231は、画像信号処理部232から入力された画像データを表示画面内に表示する。
【0047】
音声処理部240は、音声出力部241と、音声信号処理部242と、音声入力部243とを備える。音声出力部241はスピーカであり、音声信号処理部242で処理した音声を出力する。音声入力部243はマイクであり、ユーザーの声などを入力する。
【0048】
LAN通信部270は、ワイヤレス通信方式によりネットワークと接続して、ネットワーク上の管理サーバーとデータの送受信を行う。
【0049】
なお、LAN通信部270は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信アンテナ271(
図8を参照)を用いた近距離無線を行うことが可能であり、これについては後述する。
【0050】
拡張インタフェース(I/F)280は、受信端末200の機能を拡張するためのインタフェース群である。
【0051】
図4Aおよび
図4Bは、携帯端末200(スマートフォン)の筐体21内に格納される受電コイル22、二次電池25、音声処理部240の配置例を模式的に示す平面図および側面図である。なお、実際には、符号240内のブロックには、
図3で説明したLAN通信部270のアンテナ271(
図8参照)も配置される。
【0052】
図4Aおよび
図4Bに示すように、受電コイル22と二次電池25を重ならないように配置することにより、筐体21の薄型化を図ることができる。また、上述した音声処理部240やアンテナ271を受電コイル22から遠ざけて配置することにより、二次電池25の充電時に受電コイル22に発生する磁界が通信品質に影響することを最小化することができる。
【0053】
ユーザーは、携帯端末200の二次電池25を充電する場合、その筐体21の背面(下面)を送電装置10の筐体11の上面に対向させて送電装置10上に載置するとともに、送電装置10の送電スイッチ13をONにする。このとき、送電コイル12に流れた高周波(例えば60~600kHz程度)の電流により交流磁束が発生し、トランスの原理と同様の電磁誘電作用により、対向する受電コイル22に交流電圧が誘起される。誘起された交流電圧は、整流平滑部24で直流に変換された後に、二次電池25に給電される。
【0054】
かかるワイヤレスの給電方式によれば、端子による接点部分の露出がないために防水性の確保が容易であること、ケーブルを使用せずに充電できるため異なる機種にも充電できる等、従来のコネクタ接続による有線の給電方式と比較して様々な利点が得られる。
【0055】
ところで、このようなワイヤレスの給電方式、特に電磁誘導式の送電システム1では、送電時の給電効率を確保するために、コイル12,22間の位置合わせを出来るだけ正確に行うことが必要となる。かかる位置合わせが正確でない場合、送電ないし給電(充電)の効率を十分に確保することができず、例えば二次電池25の充電が十分に行われない等の問題が発生するおそれがある。
【0056】
ここで、
図5Aの側面図および
図5Bの特性グラフを参照すると、送電コイル12の中心点と受電コイル22の中心点とのずれ量Lが大きくなるほど、受電装置20で受電できる電力量が減少することが分かる。すなわち、
図5Bを参照すると、両コイル12,22間の位置ずれ量Lが数mm程度でも給電効率が大きく下がり、位置ずれ量Lが10mm前後になると、受電される電力(W)が、位置ずれ無しの場合と比べて半分以下に減少することが分かる。
【0057】
かくして、両コイル12,22間での正確な位置合わせが行われない場合、携帯端末200内の二次電池25の充電が十分に行われなくなり、満充電になるまでに大幅に時間がかかる、あるいは一向に満充電にならないことから二次電池25の故障や寿命が疑われる等の種々の問題が発生し得る。
【0058】
なお、上述した構成例では、2つの装置の対向面すなわち受電装置20の上面と携帯端末200の背面(下面)の面積が異なる場合(前者が広く後者が狭い)を前提としたが、これら対向面の面積の大小にかかわらず、上述したコイルの位置ずれ問題は発生し得る。
【0059】
このようなコイルの位置ずれに伴う給電効率の低下を防止ないし抑制する観点から、従来は、2つのコイルの平面上における相対的な位置を判定し、かかる判定結果に応じて、ユーザーが移動させるべき方向及び距離を動的な矢印により表示する構成が提案されていた。
【0060】
かかる構成は、携帯端末200に備えられた受電コイル22の位置を送電装置10側で検知し、検知結果に基づいて、受電コイル22の現在位置(所定位置への方向等)を表示するものである。この構成によれば、携帯端末200内の受電コイル22の現在位置(送電装置10との位置関係)に応じて、受電コイル22のずれ量または携帯端末200の移動されるべき方向が矢印の画像で表示部231に表示され、かかる矢印の方向や長さが動的に変化する表示が行われる。
【0061】
しかしながら、かかる従来構成では、受電コイル22の現在位置を検知するための構成、例えば送電コイル12とは別の複数のコイル等を送電装置10側に設ける必要があるため、送電装置10ひいてはシステム全体の高コスト化を招く問題がある。
【0062】
本発明者らは、上記のような課題、および現在のワイヤレス送電システムで使用される送電コイルおよび受電コイルは平面円形のものが多く用いられていること等に鑑みて、以下のような構成を案出した。
【0063】
本実施の形態では、送電部および受電部(送電コイル12および受電コイル22)間の位置を正確に合わせるために、送電装置10の筐体11の外面および携帯端末200の筐体21の外面に、各々、第1画像および第2画像をいわば基準指標として設ける。ここで、第1画像と第2画像とを合わせるように送電装置10と(受電装置20が内蔵された)携帯端末200とが位置合わせされた場合、送電コイル12(送電部)から受電コイル22(受電部)への送電時に受電電圧が所定値以上となるように給電可能な状態となるように、第1画像および第2画像を配置する。
【0064】
一具体例では、送電部および受電部(送電コイル12および受電コイル22)の中心位置を、位置合わせ時の基準位置とする。この場合、第1画像と第2画像とを合わせるように送電装置10と(受電装置20が内蔵された)携帯端末200とが位置合わせされた場合、送電コイル12(送電部)および受電コイル22(受電部)の中心部同士が合わせられることにより、給電効率の確保が図られる。
【0065】
上記の構成によれば、各々の装置の外面に固定して(静的に)配置された各々の指標(第1画像および第2画像)の位置を一致させれば足りることから、コイルの現在位置を検出する構成を必要とせず、低コストで実現できる。
【0066】
ここで、指標すなわち第1画像および第2画像は、送電時における各々の装置(10,200)の当接面同士に配置することが考えられる。一方で、指標を装置(10,200)の当接面同士に配置した場合、ユーザーが各装置の側面側から指標を注意深く見る必要が生じるなど、作業性の点で難点がある。
【0067】
そこで、本実施の形態では、作業性の容易化を図るべく、各々の装置の上面、具体的には、送電装置10の筐体11における当接面(上面)、および携帯端末200における筐体21の対向面(背面または下面)とは反対側の面(正面または上面)に指標を設ける。
【0068】
ここで、送電装置10の筐体11の上面には、指標(第1画像)を印刷やシール、あるいは溝形成などにより、送電コイル12の中心位置を示す指標を設ける。以下は、送電装置10の筐体11の上面に、第1画像を印刷した場合を前提として説明する。
【0069】
一方、受電装置20が内蔵された携帯端末200の上面(筐体21の正面)には、操作表示部としての表示部231(タッチパネル)が備えられている。したがって、本実施の形態では、表示部231に受電コイル22の中心位置を示す指標(第2画像)を静止画として固定的に表示する。
【0070】
但し、第2画像は、充電の際にのみ必要となる画像であり、それ以外の携帯端末200の使用時には却って邪魔(目ざわり)になる画像であるため、後述のように、ユーザーの指示および主制御部201の制御により、必要に応じて表示部231に表示する構成とする。
【0071】
なお、他の実施の形態として、受電装置側の構成で、受電コイル22の中心位置が表示されるべき筐体の外面に表示部が配置されていない場合や、表示部はあるが受電コイル22の中心位置とは対応しない位置に配置されている場合なども考えられる。この場合の第1画像および第2画像の表示例については後述する。
【0072】
以下、本実施の形態の一具体例およびユーザーが行うコイル(12,22)の位置合わせの作業について、
図6A~
図6Cの概略平面図を参照して説明する。なお、理解を容易にするため、
図6A~
図6C中では、筐体11内の送電コイル12および筐体21内の受電コイル22の外形(平面位置)を、各々、点線を用いて示しているが、実際にはこれらの線(コイル12,22の形状)は印刷または表示されない。但し、これらコイル12,22の形状を印刷または表示する(言い換えると、コイルの外形も第1画像、第2画像の要素とする)構成としても構わない。
【0073】
図6Aは、送電開始前における送電装置10の状態を説明する図であり、送電スイッチ13はOFFになっている(適宜、
図1を参照)。そして、
図6Aに示すように、送電装置10における筐体11の上面には、上述した第1画像として、送電コイル12の基準位置(中心点)を示す基準指標PIが印刷により表されている。
【0074】
この基準指標PIは、筐体11内の送電コイル12の中心位置で交わる線(この例では直交する2本の直線)と、当該中心位置を明確化ないし強調するための目印の図形(この例では黒丸)と、により構成されている。
【0075】
以下は区別のため、送電装置10に付された基準指標PIを「印刷画像」PIと称して説明する。
【0076】
図6Bは、送電開始前(後述する充電モード開始時)における携帯端末200の表示部231に表示される画面を説明する図である。
図6Bに示すように、携帯端末200の筐体21の上面側にある表示部231には、受電コイル22の基準位置(中心点)を示す基準指標Mが、第2の画像(静止画)として固定的に表示される。以下、区別のため、基準指標Mを「マーカー」Mと称する。
【0077】
本実施の形態では、第2画像としてのマーカーMは、上述した印刷画像PI(第1画像)と同様の形状を有する。すなわち、マーカーMは、携帯端末200の筐体21内の受電コイル22の中心位置で交わる線(この例では直交する2本の直線)と、当該中心位置を明確化ないし強調するための目印の図形(この例では黒丸)と、により構成されている。
【0078】
ここで、携帯端末200の筐体21は送電装置10の筐体11よりも小さいことから、マーカーMを構成する2本の直線(縦線および横線)は、印刷画像PIのそれよりも幾分短い。一方、位置合わせの容易性の観点からは、マーカーMを構成する2本の直線(縦線および横線)は、出来るだけ長くすることが望ましいと考えられることから、この例では、筐体21の側端側まで伸びる構成、言い換えると表示部231の表示領域の端側まで伸ばすように表示する。
【0079】
これに対し、送電装置10の上面に表された印刷画像PI(第1画像)を構成する2本の直線(縦線および横線)は、携帯端末200の筐体21の縦幅および横幅よりも幾分長い。かかる構成とすることにより、第1画像と第2画像との位置合わせが容易に行われる(
図6Cを参照)。
【0080】
さらに、この例では、印刷画像PI(第1画像)を構成する2本の直線のうち、縦線の両端は筐体11の側縁まで伸びているのに対し、横線は、一方(左端側)だけ筐体11の側縁まで伸び、他の一方(右端側)は必要十分な程度(位置合わせ時に見える程度)に伸びている。
【0081】
上記のような構成とすることにより、送電装置10の上面に対する携帯端末200の載置方向を限定ないし規制することができる。具体的には、マーカーM(第2画像)の縦線および横線の4つの端部を各々位置合わせするには、
図6Cに示す向きで載置すべきであり、他の向きで位置合わせしようとすると、いずれかの端部が位置合わせできなくなり、あるいは送電装置10の上面からはみ出す(落下しやすくなる)ことが容易かつ直ちに把握できる。
【0082】
かくして、ユーザーは、マーカーMが表示された状態の携帯端末200を送電装置10に近付けてゆくことにより、位置合わせすべき向きや距離等を直観的に理解することができる。そして、
図6Cに示すように、印刷画像PI(第1画像)とマーカーM(第2画像)との位置が合致した状態になった場合、コイル12,22の中心同士の位置合わせが完了し、送電コイル12から受電コイル22への送電時の受電電圧(例えば整流平滑部24の出力電圧)を所定値以上に確保することができる。
【0083】
図6Cは、両装置10,20の位置合わせが完了して充電処理が開始された状態を示すものであり、送電装置10のスイッチ13がONの状態になっている。
【0084】
このように、本実施の形態の送電システム1は、低コストな構成でありながら両コイル12,22の正確な位置合わせひいては給電効率の確保を容易に実現することができ、位置ずれ等に起因する充電不足等の諸問題を有効に防止することができる。
【0085】
次に、
図7A~
図7Cに示す表示部231の表示画面の遷移例および
図8のフローチャートを参照して、携帯端末200においてマーカーM(第2画像)を表示させる手順等について説明する。
【0086】
本実施の形態では、上述した第2画像としてのマーカーMは、通常時には表示せず、ユーザーの指示および主制御部201の制御により、携帯端末200の充電モード中に表示する構成とする。
【0087】
一具体例では、
図7Aに示す通常時のトップメニュー画面中に表示される4つのアイコンのうち、「充電」アイコンがタップされると、充電モードが開始され、
図7Bに示す画面に遷移する。この
図7Bに示す画面中、ユーザーにより「受電コイル中心を表示」のアイコンがタップされると、主制御部201の制御により、
図7Cに示す画面に遷移し、上述したマーカーMが表示される。
【0088】
図8は、第1の実施の形態におけるマーカーM(第2画像)を表示する処理の手順を示すフローチャートである。
【0089】
図7Aに示す表示画面において、ユーザーにより「充電」アイコンのタップ操作がなされると、携帯端末200の主制御部201は、充電モードへの移行指示であると判断(検知)し、表示画面を
図7Bに示す画面に切り替えるように表示部231を制御する(ステップS11)。
【0090】
続いて、主制御部201は、表示画面中の「受信コイル中心を表示」アイコンが選択(タップ)されるまで待機する。なお、このとき主制御部201は、表示画面中に「このアイコンをタップしてください」等、ユーザーにタップ操作を促すメッセージを付加的に表示する処理を行ってもよい。
【0091】
そして、主制御部201は、
図7Bに示す表示画面の表示中に「受電コイル中心を表示」アイコンの選択(タップ操作)を検出した場合(ステップS12)、さらに、表示画面を
図7Cに示す画面(マーカーMの表示画面)に切り替えるように表示部231を制御する(ステップS13)。
【0092】
ステップS13における処理の一例では、主制御部201は、受電コイル22の中心位置に対応する表示部231のxy座標点をメモリから読み出すとともに、かかる中心位置(xy座標点)にマーカーMの中心点(この例では2つの直線の交差点および黒丸)が配置されるように、表示部231を制御する。
【0093】
この結果、
図7Cに示すように、第2画像としてのマーカーMが表示部231の表示領域の全面に表示される。かくして、本実施の形態の表示部231は、2本の線(縦線、横線)の交差点が受電コイル22の中心点の対向位置に来るようにマーカーM(第2画像)を表示する。言い換えると、表示部231は、印刷画像PI(第1画像)との位置合わせが完了した場合、受電コイル22(受電部)での受電電圧が所定値以上となる表示部231の表示画面上の位置に、マーカーM(第2画像)を表示する。
【0094】
なお、
図6Bで上述したように、マーカーMとして、受電コイル22の輪郭等の形状を付加的に加える(例えばユーザーの操作により、受電コイル22の形状をも表示するか選択可能とする)構成としてもよい。受電コイル22の輪郭等の形状は、充電時における位置合わせの目安として役立ち得ること及び心理的にも安心感が得られることが期待できるため、受電コイル22の形状をユーザーの選択によりオプションとして表示できるようにするとよい。
【0095】
上述した印刷画像PIおよびマーカーMは一例であって、他の具体例については後述する。
【0096】
(第2の実施の形態)
次に、
図9および
図10以下を参照して、ワイヤレス送電システムの第2の実施の形態について説明する。
図9は、第2の実施の形態における送電装置10A及び携帯端末200内の一部(主として受電装置20)の概略ブロック図である。なお、携帯端末200の他の構成については、
図3で上述したものと同一であるため、詳細な図示および説明を省略する。
【0097】
図9に示す送電装置10Aは、上述した送電スイッチ13(
図2を参照)を備えておらず、代替的に、LAN通信部19が備えられる。このLAN通信部19は、上述した携帯端末200のLAN通信部270と同様の構成であり、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信アンテナ191を用いて携帯端末200のLAN通信部270と近距離無線を行う。
【0098】
第2の実施の形態のワイヤレス送電システムでは、上記のLAN通信部270及びLAN通信部19による近距離無線通信を介して給電動作のオン/オフを切り替える動作を行う。このため、携帯端末200の主制御部201は、送電装置10の送電制御部17に送電開始命令および送電中止命令を出力して、送電装置10による送電のオンオフを切り替える「送電動作切り替え部」としての役割を担う。
【0099】
また、主制御部201は、送電コイル12および受電コイル22間での送電効率をモニタリング(監視)するとともに、当該監視結果に基づいて充電が適切に行われているか否かを判断し、否の場合、ユーザーに位置合わせ等の作業を促す表示制御を行う。
【0100】
以下、
図10A~
図10Dおよび
図11のフローチャートを参照して、第2の実施の形態における携帯端末200および送電装置10の動作等を説明する。
【0101】
図10Aは、上述した
図7Aと同等の表示画面を示す図である。すなわち、上述したメニュー画面(例えばトップメニュー)からユーザーのタップ操作により「充電」アイコンが選択された場合、主制御部201は、充電モードに移行し、
図10Bに示すように、受電コイル22の位置の基準となるマーカーM(第2画像)を表示部231に表示する処理を行う。
【0102】
なお、
図10Bは、上述した
図7Cに対応する表示画面を示しているが、以下の点で異なる。すなわち、
図7Cの例では表示画面中にマーカーM(第2画像)だけ表示していたのに対し、
図10Bに示す表示画面では、タッチパネルの画面中に「OK」ボタン、「Cancel」ボタン、さらには「充電しますか?」というメッセージも付加的に表示している。
【0103】
これは、第1の実施の形態では充電のオンオフを送電装置10側(送電スイッチ13)で行うのに対し、この第2の実施の形態では、携帯端末200の主制御部201が主体となって送電装置10による送電のオンオフを切り替えることによる。
【0104】
この後、携帯端末200のマーカーM(第2画像)を送電装置10の印刷画像PI(第1画像)に合わせるようにユーザーによる位置合わせが行われた後、表示画面中の「OK」ボタンが選択(タップ)された場合、以下の動作が実行される。
【0105】
携帯端末200の主制御部201は、LAN通信部270による近距離無線通信を通じて、送電開始を要求する信号(本発明の「送電開始命令」に対応し、以下は「送電要求」という)を送電装置10に送信する。送電装置10の送電制御部17は、この送電要求を受信すると、DC/DC変換器16から入力される直流電流をコイル励振回路18に供給するように送電装置10の各部を制御する。かくして、
図1等で説明したスイッチ13がOFFからONに切り替えられた場合と同様に、送電装置10から携帯端末200への送電動作が行われ、携帯端末200内の二次電池25の充電が実行される。
【0106】
かかる充電処理の開始後は、主制御部201は、例えば
図10Cに示すように、表示部231にマーカーM(基準画像)を表示せずに、代わりに「充電中」である旨をユーザーに報知する表示画面に切り替える処理を行う。あるいは、主制御部201は、
図10Dに示すように、表示部231にマーカーM(基準画像)を表示したまま、付加的に「充電を中止しますか?」とのメッセージおよび「OK」ボタンと「Cancel」ボタンを表示してもよい。なお、
図10Dに示す表示画面は、充電処理中に送電装置10と携帯端末200との位置ずれが発生したような場合に有用であり、かかる画面を表示するタイミング等については
図11のフローチャートの説明で後述する。
【0107】
一方、
図10Bに示す表示画面中の「Cancel」ボタンが選択(タップ)された場合、あるいは
図10Dに示す表示画面中の「OK」ボタンが選択(タップ)された場合、携帯端末200の主制御部201は、LAN通信部270による近距離無線通信を通じて、送電の終了を要求する信号(本発明の「送電中止命令」に対応し、以下は「送電終了要求」という)を送電装置10に送信する。
【0108】
送電装置10の送電制御部17は、この送電終了要求を受信すると、コイル励振回路18への直流電流の供給を停止するように各部を制御する。この場合、
図1等で説明したスイッチ13がONからOFFに切り替えられた場合と同様に、送電装置10から携帯端末200への送電動作ひいでは二次電池25の充電処理が停止ないし終了する。
【0109】
次に、二次電池25の充電動作中における処理及び
図10A~
図10Dで上述した各表示画面の遷移等について、
図11のフローチャートを参照して説明する。
ステップS101において、携帯端末200の主制御部201は、通常画面(
図10Aを参照)中の「充電」アイコンが選択(タップ)されたか否かを判定し、選択していないと判定した場合(ステップS101、NO)、当該判定の処理を繰り返す。一方、主制御部201は、「充電」アイコンが選択(タップ)されたと判定した場合(ステップS101、YES)、ステップS102に移行する。
【0110】
ステップS102において、主制御部201は、二次電池25の出力電圧を監視して、二次電池25が満充電状態であるか否かを判定する。ここで、主制御部201は、満充電状態であると判定した場合(ステップS102、YES)、充電処理は必要ないものと判断し、満充電状態である旨の表示を行って通常画面(
図10Aを参照)に戻る。
【0111】
一方、主制御部201は、二次電池25は満充電状態でないと判定した場合(ステップS102、NO)、充電処理が必要であると判断してステップS103に移行する。
【0112】
ステップS103において、主制御部201は、操作表示部23の表示画像を、通常表示状態(
図10A)から
図10Bに示すマーカーM(第2画像)および「OK」ボタン、「Cancel」ボタンを表示する画面に切り替える。この後、上述のように、ユーザーにより送電装置10に対する携帯端末200の位置合わせの作業が行われることによって、送電装置10Aの送電コイル12の中心と、携帯端末200内の受電コイル22の中心の位置が正しく合わせられる。
【0113】
続くステップS104において、主制御部201は、表示部231に表示されている各ボタンの選択(タップ)結果に基づいて、充電動作を開始するか否かを判定する。
【0114】
ここで、主制御部201は、「OK」ボタンが選択(タップ)された場合、充電動作を開始する(ステップS104、YES)と判定して、ステップS105に移行する。一方、主制御部201は、「Cancel」ボタンが選択(タップ)された場合、充電動作を開始しない(ステップS104、NO)と判定して、表示部231の表示画像を通常表示(
図10A)に切り替えて、処理をステップS101に戻す。
【0115】
ステップS105において、主制御部201は、LAN通信部270による近距離無線通信を通じて、送電要求を送電装置10に送信するとともに、整流平滑部24の出力電圧を監視して、送電装置10からの給電を待機する。
【0116】
送電装置10の送電制御部17は、LAN通信部19を通じて送電要求を受信した場合、コイル励振回路18を駆動して送電コイル12を励振させることにより、携帯端末200(受電装置20)内の受電コイル22への送電を開始する。
【0117】
かかる送電開始後、携帯端末200の主制御部201は、受電装置20における整流平滑部24の出力電圧が所定の閾値(二次電池25を充電するのに十分な電圧値、以下同じ)以上になった場合、二次電池25を充電する充電動作(充電処理)を開始する(ステップS106)。
【0118】
続くステップS107において、携帯端末200の主制御部201は、表示部231の表示画像を、
図10Bに示す画面から
図10Cに示す画面(すなわち「充電中」の表示が加えられた通常画面)に切り替えて、現在充電中の状態であることをユーザーに報知する。
【0119】
その後も、主制御部201は、整流平滑部24の出力を監視して、整流平滑部24の出力電圧が上述した閾値以上であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0120】
ここで、主制御部201は、整流平滑部24の出力電圧が閾値以上であると判定した場合(ステップS108、YES)、送電コイル12と受電コイル22の位置ずれは発生していないと判断して、ステップS111に移行する。
【0121】
一方、主制御部201は、整流平滑部24の出力電圧が閾値に達していないと判定した場合(ステップS108、NO)、両コイル(12,22)の位置関係が悪い(携帯端末200が充電エリアから外れている)と判断して、ステップS109に移行する。
【0122】
なお、ステップS108でNOの判定がされる具体的な事例としては、種々の場合があり得るが、典型的には以下の2種(「ケース1」および「ケース2」)に大別することができる。
【0123】
ケース1は、例えば地震などユーザーが意図しない外力により両コイル12,22の位置ずれが発生した場合である。一方、ケース2は、携帯端末200に電話が掛かって来たため応答して会話を開始する場合など、ユーザーが意図的に両コイル12,22の位置ずれを発生させた場合である。
【0124】
上記のケース1を考慮した場合、主制御部201は、ステップS108でNOと判定した場合にアラーム(警告音)を鳴らすように音声出力部241を制御してもよい。また、ケース1の発生可能性が低い場合や公共的な場所での使用等を考慮して、上記のアラーム(警告音)のオン/オフや音量などをユーザーが事前に設定できるようにするとよい。
【0125】
ステップS109において、主制御部201は、表示部231の表示画面をマーカーM(第2画像)入りの画面に切り替える。さらに、ここでは二次電池25に対する充電処理の実行中であり、かかる充電処理を中止すべきかを確認するため、
図10Dに示すように、画面内に「充電を中止しますか?」のメッセージ(質問)と、「OK」ボタンおよび「Cancel」ボタンを選択可能に表示する。
【0126】
図10Dに示すようなマーカーMおよび充電中止の可否に関する表示画面を表示することにより、ケース1およびケース2の両方のユーザーにとっての便宜が図られる。
【0127】
すなわち、ケース1のユーザーは、印刷画像P1に対するマーカーMのずれひいては両コイル12,22間での予期せぬ位置ずれが発生したことを一目で理解することができ、携帯端末200の位置ずれを速やかに修正するとともに「Cancel」ボタンをタップすることで、送電状態ひいては給電効率を正常に戻すことができる。
【0128】
一方、必要により意図的に位置ずれを発生させたケース2のユーザーは、
図10Dの画面中の「OK」ボタンをタップすることで、後述のように、不必要なマーカーMの表示をキャンセルして
図10Aの画面に戻り、電話等の他の機能を速やかに使うことができる。
【0129】
ステップS110において、主制御部201は、充電を中止するか否かを判定する。ここでは、主制御部201は、表示画面中の「OK」ボタンが選択(タップ)された場合に充電を中止すると判定して(ステップS110、YES)、ステップS112に移行する。
【0130】
一方、主制御部201は、「Cancel」ボタンが選択(タップ)された場合、或いはいずれもボタンも選択(タップ)されずに所定時間が経過した場合、充電を中止せず続行すると判定して(ステップS110、NO)、ステップS111に移行する。
【0131】
なお、ユーザーの事前設定等によっては、主制御部201は、いずれもボタンも選択(タップ)されずに所定時間が経過した場合、充電を中止すると判定して(ステップS110、YES)、ステップS112に移行する。この場合、送電装置10の送電電力の無駄が抑制される。
【0132】
ステップS111において、主制御部201は、例えば二次電池25の出力電圧の推移をモニタリングすることにより、二次電池25が満充電状態になったか否かを判定する。ここで、主制御部201は、二次電池25が未だ満充電状態になっていないと判定した場合(ステップS111、NO)、ステップS108の判定処理に戻り、上述した各処理を繰り返し行う。一方、主制御部201は、二次電池25が満充電状態になったと判定した場合(ステップS111、YES)、ステップS112に移行する。
【0133】
ステップS112において、主制御部201は、LAN通信部270による近距離無線通信を通じて、上述した送電終了要求を送電装置10に送信する。送電装置10の送電制御部17は、この送電終了要求を受信すると、コイル励振回路18への電流供給を停止して送電コイル12の励振を停止させるように各部を制御する。
【0134】
かくして、
図1等で説明したスイッチ13がONからOFFに切り替えられた場合と同様に、送電装置10から携帯端末200への送電動作が停止し、かかる送電停止に伴って、主制御部201は、携帯端末200内の二次電池25の充電動作(充電処理)を終了させる(ステップS113)。
【0135】
そして、主制御部201は、表示部231の表示画面を
図10Aに示す通常画面(すなわちマーカーMが表示されない初期画面)に切り替えて(ステップS114)、一連の処理を終了する。
【0136】
上述した処理、特にステップS108~ステップS111の処理を実行することにより、二次電池25の充電中に、例えば不慮の振動や外力等によって両コイル12,22の位置ずれが発生した場合でも、ユーザーに対する報知(警告)および作業支援を行うように、速やかに表示部231にマーカーM(第2画像)が表示される。
【0137】
したがって、第2の実施の形態によれば、給電動作中に送電コイル12および受電コイル22間に発生した位置ずれを、ユーザーが速やかに修正して送電(給電)効率を確保することができる。
【0138】
また、上述した各実施の形態では、マーカーM(第2画像)を、必要な時期または場面(すなわち充電動作の際)にのみ表示する構成としている。言い換えると、各実施の形態によれば、充電動作と関係しない通常の使用時には表示部231へのマーカーM(第2画像)の表示を行わない(キャンセルする)ことから、ユーザーは、通話時、メール入力時、インターネット使用時(適宜、
図10A等を参照)において受電コイル22の位置等を意識する必要がなく、通話等に集中(注力)することができる。
(他の表示態様)
上述した各実施の形態では、操作表示部23に表示するマーカーM(基準画像ないし第2画像)として、受電コイル22の中心に対向する位置で直交する2本の直線(縦横の基準線)および黒丸を表示する形態とした。また、送電装置10の筐体11上面に印刷する印刷画像PI(第1画像)として、上述したマーカーM(第2画像)と同様に、送電コイル12の中心に対向する位置で直交する2本の直線(基準線)および黒丸を印刷する形態とした。
【0139】
一方、マーカーMおよび印刷画像PI(位置決めの基準ないし指標となる画像)の形状は、これに限定されるものではなく、
図12~
図14中に例示するように、両コイル12,22の位置合わせが実現できる種々の形状とされ得る。
【0140】
図12は、印刷画像PI(第1画像)およびマーカーM(第2画像)を直線で構成する場合の具体例(「例1」,「例2」,「例3」)を纏めた一覧表である。
【0141】
上述した実施の形態では、
図12(表)中の「例1」の形状をベースとした印刷画像PIおよびマーカーMの構成とした。他の例として、
図12(表)中の「例2」の形状をベースとした印刷画像PI(第1画像)およびマーカーM(第2画像)の構成としてもよい。
【0142】
ここで、「例2」に示す形状は、「例1」の形状と比較して分かるように、2本の直線が各々のコイル12,22の中心に対向する位置で交わっている点で共通するが、直交して交差するものではなく、また、各直線の端部が「例1」とは異なる方向に伸びている点で異なる。
【0143】
さらに他の例として、
図12(表)中の「例3」の形状をベースとした印刷画像PI(第1画像)およびマーカーM(第2画像)の構成としてもよい。
【0144】
ここで、「例3」に示す形状は、3本の直線が各々のコイル12,22の中心に対向する位置から放射状に伸びている点で、「例1」、「例2」のいずれとも異なるが、3本の直線のうちの2本は「例2」と同方向に伸びている点では「例2」に類似する。
【0145】
別の観点からは、「例1」の形態は各々のコイル12,22の平面形状(外形または輪郭、以下同じ)が円形である場合をも考慮しており、送電装置10の上面に対して携帯端末200を4通りの置き方(載置態様)で充電することができる。
【0146】
これに対し、「例2」の形態は各々のコイル12,22の平面形状が例えば楕円形の場合に好適であり、送電装置10の上面に対して携帯端末200を2通りの置き方(載置態様)で充電することができる。
【0147】
さらに、「例3」の形態は、各々のコイル12,22の平面形状が例えば歪んだ形状の場合に好適であり、送電装置10の上面に対して携帯端末200を1通りの置き方(載置態様)で充電する仕様を前提としている。
【0148】
なお、送電コイル12が送電装置10の比較的端側に配置されている本例では、設置態様によっては携帯端末200が落下またはコイル12,22間のズレが生じやすくなる。このため、実際の使用上は、携帯端末200全体が送電装置10の上面に載置される設置態様とした上で上述した送電(充電)の処理を行うことが望ましい。
【0149】
さらに、
図13A~
図13Dは、
図12(表)中の「例1」の構成において、受電コイル22の中心位置を示す図形の変形例を示すものである。上述した実施の形態では、受電コイル22の中心位置を示す図形が黒丸「●」であったが、他の例として、背景色などの他の任意の地色の円形枠「〇」(
図13A参照)、三角形枠「△」(
図13B参照)、四角形枠「□」(
図13C参照)、さらには枠の無い背景色の領域(
図13D参照)など、種々の形態とすることができる。
【0150】
この点、印刷画像PI(第1画像)の構成すなわち送電コイル12の中心位置を示す図形の変形例についても同様である。
【0151】
別の観点からは、印刷画像PI(第1画像)およびマーカーM(第2画像)は、各々、送電コイル12および受電コイル22の中心に対向する位置に進む線を含む構成とする。この場合、相対的に小型の装置での画像(この例では携帯端末200のマーカーM)を構成する線は、該装置の側端側まで伸びるように構成し、大型の装置での画像(この例では送電装置10の印刷画像PI)を構成する線は、位置合わせの際に小型の装置の側端からはみ出す位置まで伸びる構成とするとよい。
【0152】
さらに、
図14は、各コイル12,22が平面円形であり、印刷画像PI(第1画像)およびマーカーM(第2画像)を曲線で構成する場合の一具体例(例4)を示す表である。
【0153】
この「例4」に示す形状は、前述した例1~例3とは異なり、携帯端末200に対して送電装置10の上面が十分に大きく、携帯端末200全体が送電装置10の上面に載置される設置態様に任意性がある場合をも考慮している。すなわち、
図14の「例4」に示す印刷画像PIおよびマーカーMは、各々のコイル12,22の中心点に対向する位置から同心円状に広がる多重の円形状となっており、このため、送電装置10に対する送電装置10の設置態様の自由度が大きい。
【0154】
上述した種々の例は、適宜組み合わせる或いは任意に変形することができる。
【0155】
例えば、
図12中の「例3」の変形例として、各々のコイル12、22の中心位置から互いに60°の角度をなして3方向に延びる3つの線(直線に限られない)を表示する態様としてもよい。
【0156】
加えて、上述した実施の形態および変形例では、受電コイル22の中心位置を示す図形(黒丸など)と送電コイル12の中心位置を示す図形(黒丸など)とを同じ大きさとしたが、これに限定されず、大小関係を設けてもよい。
【0157】
一例としては、両コイル12,22の位置ずれの誤差ないし許容範囲を示すように、各々の中心位置の図形(例えば黒丸)に大小関係を設けることができる。言い換えると、一方の小さい黒丸の位置が他方の大きい黒丸の中にあれば、十分な電力が供給される構成にするとよい。
【0158】
代替的または付加的な例として、送電装置10すなわち給電側の装置に表示部を設け、あるいは既存の表示部がある場合、かかる表示部に送電コイル12の中心位置を示す基準指標(上述した印刷画像PIに対応する目印)を表示する構成としてもよい。このような構成は、送電装置10が比較的小型の場合や、上述した構成例とは逆に、受電装置20の上に送電装置10を載置して給電(充電)するシステムに好適に適用され得る。また、既存の表示部がある場合、当該表示部を有効活用して低コストにて両コイル12,22の正確な位置合わせひいては給電効率の確保を実現することができる。
【0159】
総じて、本発明の実施形態は、送電コイル12を備えた送電装置10と、受電コイル22を備えた受電装置20との間で両コイル12,22の位置合わせを行う際に、少なくとも一方の装置の表示部に基準画像を表示して、他方の装置の基準画像との位置合わせがなされた状態とすることで、送電装置10から受電装置20に十分な電力供給が行われるようにしたものである。
【0160】
上記のように、2つの装置の各々に表される第1画像および第2画像の位置が合わせられた場合に両コイル12、22同士の中心点が一致する構成とすることにより、両コイル12、22の外径等が多少異なっても送電効率を確保することができる。
【0161】
上述した各実施の形態では、使用される送電コイル12および受電コイル22が主として平面円形または楕円形のもの、言い換えると、2次元座標における縦横が対称形でありコイルの中心点が明確な平面形状である場合を前提とした。
【0162】
これに対し、送電コイルおよび受電コイルは、例えば受電側装置の配置上の制限(スペースや他の素子への影響など)により、より任意な平面形状、言い換えると、上記の縦横が非対象形であって中心点を特定し難い平面形状のコイルも採用され得る。
【0163】
したがって、表示部に表示するマーカーMは、両コイルの中心位置を一致させることが可能な表示形態に限られるものではなく、両コイルの外形(輪郭)を一致ないし対応させることが可能な表示形態であってもよい。
【0164】
また、上述した各実施の形態では、送電装置10の筐体11の上面(携帯端末200の載置面)が水平面(非傾斜面)であることを前提として説明したが、かかる上面は傾斜面であってもよい。具体的には、汎用性すなわち多種多様な受電装置に対して送電(充電等)を行う観点からは、上述したような水平面に載置する構成が望ましいと考えられる。
【0165】
一方で、一般にステーションまたはクレードルと呼ばれるような充電器では、充電対象となる受電装置の種類が限定される場合が多い。また、例えばクレードルの傾斜面に載置した受電装置を水平方向にスライド移動させることで位置合わせする立て掛け式の送受電システムもあり得る。このような場合、主として水平方向の位置ずれに注意すればよいので、上述した印刷画像PI(第1画像)およびマーカーM(第2画像)をより簡素な構成とし得る。
【0166】
上述した実施の形態では、携帯端末200の筐体21の前面(正面)に配置される表示部231の面積割合が大きく、受電コイル22が表示部231の画面内に収まる構成について説明したが、これに制限されない。
【0167】
具体的には、筐体21の表面に複数のハードウェアボタンが配置されている等により、筐体21に対する表示部231の面積割合が小さい構成、ひいては受電コイル22が表示部231の画面内に収まらない構成であっても、表示部231に、両コイル(12,22)の位置合わせを実現するためのマーカーM(第2画像)を表示することができる。
【0168】
この場合の非限定的な一具体例としては、例えば送電装置10の筐体11に、受電装置側の(面積が小さい)表示部の中心を示す十字線(第1画像)を設け、受電装置側の表示部で、かかる十字線に対応するマーカーM(第2画像)を表示し、第1画像と第2画像とが位置合わせされた場合に両コイル(12,22)の中心が位置合わせされる構成とすればよい。
【0169】
また、上述した実施の形態では、ワイヤレス給電システムとして、位置合わせの基準が厳しい電磁誘導方式を用いる構成を前提としたが、本発明は他の方式、例えば位置合わせの基準が相対的に緩やかな磁界共鳴方式のシステムにも適用可能である。
【0170】
この場合の非制限的な一具体例としては、上面の面積が比較的広い筐体を有する送電装置の略中央に送電部(コイル等)を備えた構成において、当該送電部の周囲の上面に、充電エリアを区画する曲線(円)を印刷画像PI(第1画像)として設ける。一方、携帯端末200の表示部231は、主制御部201の制御の下、印刷画像PI(第1画像)の円に対応する曲線(円弧)をマーカーM(第2画像)として表示する。このような構成とすることにより、ユーザーは、充電エリアの境界付近により多くの携帯端末200を載置して送電(充電)を行うことができる。
【0171】
総じて、表示部231に表示するマーカーMは、表示画面中に固定的に表示される静止画像であり、かつ、他方側(上記例では送電装置側)の第1画像に対して位置合わせがなされた場合に十分な送電効率が得られる構成(形状ないし表示形態)であればよい。
【0172】
かくして、上述した特徴的な構成は、位置ずれにより給電効率の低下が課題となる任意の種類のワイヤレス送受電システムに適用することができる。
【0173】
また、上述した特徴的な構成は、接触端子間の位置ずれにより送電(給電)効率の低下が発生しうる任意の種類の有線式の送受電システムに適用してもよい。
【0174】
例えば、上述したステーションまたはクレードルと呼ばれる充電器(送電装置)に受電装置を立て掛けた際に、端子同士を接触させて充電等を行う構成において、当該端子の位置が見えにくい等のため接続時に位置ずれしやすいような場合にも適用できる。
【0175】
その他、
図9で上述したLAN通信部19,270の代わりに、電力伝送用コイルを用いて送電装置10および携帯端末200間で通信する構成としてもよい。
【0176】
上述した実施の形態および変形例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0177】
1 送電システム
10,10A 送電装置(第1装置)
11 筐体
12 送電コイル(送電部)
13 送電スイッチ
14 電源部
15 整流平滑回路
16 DC/DC変換器
17 送電制御部
18 コイル励振回路
20 受電装置(第2装置)
21 筐体21
22 受電コイル(受電部)
23 操作表示部
24 整流平滑部
25 二次電池
200 携帯端末(第2装置)
201 主制御部(表示制御部、送電動作切り替え部)
231 表示部
L 送電コイルおよび受電コイル間の位置ずれ量
M マーカー(第2画像)
PI 印刷画像(第1画像)