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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240116BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
E02F9/26 A
E02F9/20 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020180252
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071349
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 喜久
(72)【発明者】
【氏名】村岡 宏之
(72)【発明者】
【氏名】長田 拡
(72)【発明者】
【氏名】松石 紘太朗
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-148074(JP,A)
【文献】特開2020-101442(JP,A)
【文献】特開2012-001995(JP,A)
【文献】特開2019-105105(JP,A)
【文献】特開2006-257724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/42-3/43
3/84-3/85
9/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の位置を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段により検出された前記物体の位置に基づき設定された監視領域内に前記物体が存在するか否かを判定するコントローラと、を備える作業車両において、
前記コントローラが、前記検出物が前記監視領域の内と外の境界を越えて前記監視領域外から前記監視領域内に侵入する際に設定した前記境界と作業車両の間の第1距離と、
前記検出物が前記境界を越えて前記監視領域内から前記監視領域外に退出する際に設定した前記境界と前記作業車両の間の第2距離を異なる距離に設定し、前記第1距離が前記第2距離より短いことを特徴とする作業車両
【請求項2】
前記第1の検出手段が測定光を前記物体に照射して反射する光を受光するまでの時間を計測することにより前記物体の位置を計測する手段であることを特徴とする請求項1記載の作業車両
【請求項3】
前記作業車両が前記反射する光の強度を検出する第2検出手段を有しており、 前記コントローラは、前記反射する光の強度と比較する、閾値を有し、前記反射する光の強度が前記閾値を超えると前記物体の存在を検知する指令を出力し、前記指令を出力した後、前記反射する光の強度が他の閾値より低い場合、前記指令を停止し、前記他の閾値が前記閾値より小さいことを特徴とする請求項2記載の作業車両
【請求項4】
前記コントローラが前記第1検出手段の任意に定めたフレーム区間における前反射する光の強度の平均値と前記閾値又は前記他の閾値の少なくとも何れか1つを比較することを特徴とする請求項記載の作業車両
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置を備える作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
TOF(Time-of-Flight)方式の距離画像センサが検出する測距データと測定光の反射光の受光量により、周囲に設定した監視領域の中に障害物が侵入したことを検出し、警報を出力する油圧ショベルなどの作業車両が知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-101442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような作業車両において、監視領域に侵入した人等の障害物が、監視領域の内外の境界付近に留まることがある。
【0005】
障害物が人である場合は、監視領域に対して侵入退出を繰り返してしまう。その際、障害物を検出するセンサの検出した値が判定の境界付近の内外に不規則に存在することになり、この結果警報は出力と停止を繰り返し、作業車両のオペレーターは煩わしさを感じるという問題が発生する。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、障害物検出装置を備える作業車両において障害物検知による警報の出力と停止を繰り返すような煩わしさをオペレーターに感じさせることなく、快適に安全な作業を実施できる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため本発明は、物体の位置を検出する第1検出手段と前記第1検出手段により検出された前記物体の位置に基づき設定された監視領域内に前記物体が存在するか否かを判定するコントローラと、を備える作業車両において、前記コントローラが、前記検出物が前記監視領域の内と外の境界を越えて前記監視領域外から前記監視領域内に侵入する際に設定した前記境界と作業車両の間の第1距離と、前記検出物が前記境界を越えて前記監視領域内から前記監視領域外に退出する際に設定した前記境界と前記作業車両の間の第2距離を異なる距離に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、センサが検出した値が検出した対象物の状態を判定する判定の境界付近に在ることによる警報の発令や停止の繰り返しを少なくし、オペレーターが快適に安全な作業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明が適用される障害物検出装置を有する作業車両の代表例である油圧ショベルの側面図である。
図2】障害物検出装置の制御ブロック図である。
図3】フレームごとの障害物検出装置の測距イメージセンサが受光する反射光の強度を表したグラフである。
図4】障害物検出装置の監視領域を示す図である。
図5】TOFカメラが第2監視領域の中で障害物及び反射材付きのベストを着用した人を検知した時のモニタに表示される画像である。
図6】TOFカメラが第1監視領域の中で障害物及び反射材付きのベストを着用した人を検知した時のモニタに表示される画像である。
図7】障害物検出装置の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る障害物検出装置を有する作業車両の実施形態について本発明が適用される油圧ショベル100を例に挙げ図1を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
油圧ショベル100は、自走可能な下部走行体200と、下部走行体200上に旋回可能に支持された上部旋回体300と、上部旋回体300の前方に回動可能に支持された作業装置400と、障害物検出装置500と、を備えている。
【0012】
下部走行体200は、センターフレーム(図示せず)とセンターフレームに左右対称に対をなし前後方向に延びるサイドフレーム210(左側のみ図示)を有しており、サイドフレーム210は、後方一端側には走行モータ(図示せず)により駆動する駆動輪211(左側のみ図示)が設置され、前方一端に向け複数の遊動輪212(左側のみ図示)が設置されている。そして駆動輪211と遊動輪212は、履帯213(左側のみ図示)が巻装されている。
【0013】
上部旋回体300は、旋回ベアリング(図示せず)を介し、旋回モータ(図示せず)により旋回し、上部旋回体の上方には、キャビン600が配置され、キャビン600の内部には運転座席(図示せず)が配置されている。上部旋回体300の後方には、運転座席を支持するシートマウント(図示せず)と、ボンネット310によって構成される機関室311が配置されている。機関室311内には、エンジン(図示せず)が配置されており、エンジンの出力軸に装着された油圧ポンプ(図示せず)によって、作業装置400、下部走行体200及び旋回モータを駆動させる。またキャビン600の後方には、監視画像を撮像するためのカメラ530及びTOFカメラ520が装着されている。
【0014】
作業装置400は、上部旋回体300の先端に設けられたスウイングポスト320に、支持されるスウイングブラケット410と、スウイングブラケット410に上下に回動可能に支持されたブーム420と、ブーム420の先端に上下に回動可能に装着されたアーム430と、アーム430の先端に回動可能に装着されたバケット440とからなり、作業装置400は、上部旋回体300の下方に設置されたスウイングシリンダ(図示せず)により水平方向に回動し、ブーム420の下方に設置された、ブーム420を動かすブームシリンダ421と、ブーム420の上方に設置され、アーム430を動かすアームシリンダー431と、アーム430の上方に設置され、バケットリンク441,442(左側のみ図示)を介してバケット440を動かすバケットシリンダ443と、を備えている。
【0015】
図2は、障害物検出装置500の制御ブロック図である。
【0016】
続いて図2に基づき障害物検出装置500について説明する。障害物検出装置500は、物体の位置を検出し、物体の反射する光の強度を測定するTOFカメラ520と、TOFカメラ520の測定結果から物体が障害物もしくは、人であるか否か判定し、油圧ショベル100の周辺に設定された監視領域内に障害物もしくは、人が存在するか否かを判定し警報信号を出力する障害物検出ECU510と、油圧ショベルの周辺の監視画像を撮像するカメラ530と、警報信号に基づき警報音を鳴らすブザー550と、監視画像を表示し、監視画像に重ねて警告を表示するモニタ540と、から構成されている。
【0017】
TOFカメラ520は、測距イメージセンサと、赤外線光源がユニット化されており、測距イメージセンサとしては、CMOSセンサやCCDセンサを用いることができ、赤外線光源としては、LEDを用いることができる。赤外線光源から赤外線が照射されると、油圧ショベル100の周囲に物体が存在した場合、照射された赤外線は物体で反射され、その反射光を測距イメージセンサが受光し、対象物を検出することができる。その際照射した赤外線が検出した対象物に反射して戻ってくるまでの時間を計測することで、対象物までの距離を測定することができ、同時に受光した反射光の強度も測定することができる。そして受光した反射光の強度によって物体の種類を判別することができる。
【0018】
TOFカメラ520は、油圧ショベル100の周囲で作業する作業員に反射材付きのベストを着用させ、反射光の強度を恣意的に上昇させることにより、障害物検出ECU510により対象物が作業員であると識別させることができる。
【0019】
TOFカメラ520は、オペレーターの最も視界の悪い車体後方を監視するためにキャビン600の後方に一台配置されているが、それに限定されるものでなく、キャビン左右後方、もしくは側方に複数台配置することにより監視領域を広げることができる。また油圧ショベル100の大きさによってキャビン600に配置するだけでなく、上部体旋回体300後方側方のボンネット310に配置することができ、オペレーターの死角になる部分の監視を行うことができる。
【0020】
障害物検出ECU510は、演算部511と、判定部512と、記憶部513を有しており、本機に設置された12ボルト電池と接続し、障害物検ECU510内の各ブロックに安定した電圧を供給する電源と、デジタル入力信号をマイコンに入力できる信号レベルに変換する入力バッファーと、アナログ信号をマイコンに入力できるデジタル値に変換するADコンバータと、演算部511及び判定部512に該当し、各種入力信号から制御量を演算し出力するマイコンと、記憶部513に該当し、電源から電力が供給されなくなっても、データを記憶するメモリーであるEEPROM(ELectronically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、マイコンの出力信号に従い、アクチュエータが駆動できる信号の形態に変換したり電圧を増幅したりする出力ドライバと、マイコンの出力データを通信規格にてきした通信信号に変換する通信ドライバと、他のECUが送信する信号をマイコンに入力できるレベルに変換する通信レシーバから構成される。
【0021】
演算部511は、TOFカメラ520から送られてくる赤外線光源の発光及び測距イメージセンサの受光タイミングの位相差情報(発光/受光タイミングの位相差情報)に基づき、赤外線が検知した対象物の位置情報を演算する。又測距イメージセンサへの蓄電時間と測距イメージセンサの読み出し時間の和を1フレームの時間として、任意のフレームの間の反射光の強度の平均値を演算することができる。後述する判定部512で判定する値として反射光の強度の平均値を使用することにより、油圧ショベル100の周辺に砂埃が不規則に巻き上がり、測定光の反射光の受光量が障害物で在るか否かを判定する受光量の境界を瞬間的に下回ったとしても、値の振れを吸収することができるため警報の発令や停止の繰り返しを少なくし、オペレーターが快適に安全に作業を実施することができる。
【0022】
記憶部513には、判定部512で演算部511により算出された反射光の強度の平均値と比較するための閾値が記憶されている。
【0023】
図3は、フレームごとの障害物検出装置500の測距イメージセンサが受光する反射光の強度を表したグラフであり、図3に基づいて記憶された閾値について説明する。
【0024】
記憶された閾値は、閾値の大きさにより、赤外線が検出した対象物を障害物と判定するための第1閾値と、反射材付きのベストを着用した人なのかを判定するための第2閾値のほか、障害物もしくは、反射材付きのベストを着用した人であると判定した後に、赤外線が検出した対象物を障害物でないと判定するための第3閾値と、反射材付きのベストを着用した人でないと判定するための第4閾値が設定されている。第1閾値は第2閾値より小さく設定されており、第3閾値より大きく設定されている。第2閾値は第4閾値より大きく設定されている。
【0025】
さらに記憶部513には、監視領域の位置情報が
記憶されている。
【0026】
図4は、障害物検出装置の監視領域を示す図であり、図4に基づいて記憶された監視領域について説明する。
【0027】
記憶された監視領域は、油圧ショベル100の旋回中心から同心円状に複数設けられており旋回中心からの距離で定義されている。
【0028】
旋回中心から距離A10離れた地点と、距離B離れた地点の間の領域を第1監視領域として記憶しており、距離Bは、旋回中心から履帯213の端部までの距離である。旋回中心からTOFカメラまでの間は赤外線の非検知領域であり、履帯213を障害物として検知することを防止するために旋回中心から距離B離れた地点の間の領域は、監視領域から除外される。
【0029】
旋回中心から距離A20+A10離れた地点と、距離A10離れた地点の間の領域を第2監視領域として記憶しており、第1監視領域と第2監視領域の境界C10を記憶している。
【0030】
旋回中心から距離A11離れた地点と、距離B離れた地点の間の領域を第1監視領域として記憶している。
【0031】
旋回中心から距離A21+A10離れた地点と、距離A11離れた地点の間の領域を第2監視領域として記憶しており、第1監視領域と第2監視領域の境界C11を記憶している。
【0032】
旋回中心から距離A30+A20+A10離れた地点と、距離A20+A10離れた地点の間の領域を第3監視領域として記憶しており、第2監視領域と第3監視領域の境界C20を記憶している。
【0033】
旋回中心から距離A30+A20+A10離れた地点と、距離A21+A10離れた地点の間の領域を第3監視領域として記憶しており、第2監視領域と第3監視領域の境界C21を記憶している。
【0034】
判定部512は、演算部511の情報と、記憶部513に記憶された情報を比較して判定結果に基づく指令をモニタECU541及びブザー550に発信する。
【0035】
判定部512は、演算部511により算出された反射光の強度の平均値を記憶部513に記憶された第1閾値と比較して第1閾値より大きい場合は、対象物を障害物と判定する。そして対象物を障害物と判定した後反射光の強度の平均値が第3閾値より下回ると対象物は障害物でないと判定する。
【0036】
ここで対象物の周辺に砂埃が不規則に巻き上がり、反射光の強度の平均値が障害物で在るか否かを判定する受光量の境界付近に留まったとしても、対象物を障害物と判定した場合、第1閾値より第3閾値を小さく設定しているため、砂埃による値の振れを安全側に吸収することができ警報の発令や停止の繰り返しを少なくするこができる。その結果オペレーターが快適にかつ安全に作業をすることができる。
【0037】
判定部512は、反射光の強度の平均値が第2閾値より大きい場合は、障害物を反射材付きのベストを着用した人として判定する。そして障害物を反射材付きのベストを着用した人として判定した後反射光の強度の平均値が第4閾値より下回ると反射材付きのベストを着用した人でないと判定する。
【0038】
ここで対象物の周辺に砂埃が不規則に巻き上がり、反射光の強度の平均値が反射材付きのベストを着用した人で在るか否かを判定する受光量の境界付近に留まったとしても、障害物を反射材付きのベストを着用した人と判定した場合、第2閾値より第4閾値を小さく設定しているため、砂埃による値の振れを安全側に吸収することができ警報の発令や停止の繰り返しを少なくすることができる。その結果オペレーターが快適に作業をすることができる。
【0039】
続いて判定部512は、演算部511により算出された対象物の位置情報から対象物が第3監視領域から境界C20を超えた場合、対象物が第2監視領域に存在すると判定する。
【0040】
判定部512は、演算部511により算出された対象物の位置情報から対象物が第2監視領域から境界C21を超えた場合、対象物が第3監視領域に存在すると判定する。
【0041】
ここで境界C21は、境界C20よりショベル100から離れた距離に設定されるため、監視領域に侵入した対象物が、監視領域の内外の境界付近に留まり監視領域に対して侵入退出を繰り返しても、警報の発令や停止の繰り返しを少なくし、オペレーターが快適にかつ安全に作業をすることができる。
【0042】
判定部512は、演算部511により算出された対象物の位置情報から対象物が第2監視領域から境界C10を超えた場合、対象物が第1監視領域に存在すると判定する。
【0043】
判定部512は、演算部511により算出された対象物の位置情報から対象物が第1監視領域から境界C11を超えた場合、対象物が第2監視領域に存在すると判定する。
【0044】
ここで境界C11は、境界C10よりショベル100から離れた距離に設定されるため、監視領域に侵入した対象物が、監視領域の内外の境界付近に留まり監視領域に対して侵入退出を繰り返しても、警報の発令や停止の繰り返しを少なくし、オペレーターが快適にかつ作業をすることができる。
【0045】
モニタ540は、モニタECU541と表示部542から構成されており、モニタECU541は、障害物検出ECU510の指令を基に、カメラ530の撮像画像に対象物が障害物又は反射材付きのベストを着用した人である旨の警告を表示部542に表示させる。
【0046】
図5を使ってTOFカメラ520が第2監視領域の中で障害物及び反射材付きのベストを着用した人を検知したことによりモニタ540の表示部542に表示される画像を説明する。
【0047】
表示部542には、カメラ530の撮像画像543が表示されており、作業員543Cに対応する反射材付きのベストを着用した人の存在を警告するためのアイコン543Aが赤色に彩色され表示されている。その隣には、柱543&#8558;に対応する障害物の存在を警告するアイコン543Bが黄色く彩色され表示されている。又作業員543Cが監視領域2から監視領域3に移動した場合アイコン543Aは消失する。
【0048】
続いて図6を使ってTOFカメラ520が第1監視領域の中で障害物及び反射材付きのベストを着用した人を検知したことによりモニタ540の表示部542に表示される画像を説明する。
【0049】
表示部542には、カメラ530の撮像画像544が表示されており、作業員544Cに対応する反射材付きのベストを着用した人の存在を警告するためのアイコン544Aが赤色に彩色され点滅し表示されている。又アイコン544Aを拡大して表示してもよい。そして544Aの隣にはカラーコーン544&#8558;に対応する障害物の存在を警告するアイコン544Bが黄色く彩色され点滅し表示されている。又作業員544Cが監視領域1から監視領域2に移動した場合アイコン544Aの点滅は、停止し、アイコン543Aが表示される。なお監視領域2に存在する柱543Eに対応するアイコン543Bは、表示部542に表示されないが、表示させてもよい。
【0050】
ブザー550は、TOFカメラ520が第1監視領域の中で反射材付きのベストを着用した人を検知したことにより、ブザー音を断続的に鳴らす。又第1監視領域の中に油圧ショベル100により近い監視領域を設けて、TOFカメラ520がその領域内で反射材付きのベストを着用した人を検知した場合、ブザー音を断続的に鳴らしてもよい。なお第1監視領域で検知されたベストを着用した人が第2監視領域で検知されるとブザー音は停止する。
【0051】
続いて図7を参照して、障害物検出装置の制御フローについて説明する。
【0052】
ステップS1では、TOFカメラ520が検知した物体の位置情報に基づき判定部512は、検知した対象物が第2監視領域に侵入したか否か判定する。対象物が第2監視領域に侵入したと判定すると、ステップS1は、ステップS2に進み、対象物が第2監視領域に侵入しないと判定するとフローは終了する。
【0053】
ステップS2では、TOFカメラ520が検知した物体の反射光の強度に基づき判定部512は、検知した対象物が障害物か否か判定する。検知した対象物が障害物であると判定するとステップS2は、ステップS3に進み、検知した対象物が障害物でないと判定するとフローは終了する。
【0054】
ステップS3では、モニタ540に、カメラ530で撮像された油圧ショベル100の周辺の監視画像に重ねて、障害物の存在を警告するアイコンを表示する。そしてステップS3は、ステップS4に進む。
【0055】
ステップS4では、ステップS3で障害物と判定された対象物をTOFカメラ520が検知した物体の反射光の強度に基づき判定部512で、反射材付きのベストを着用した人であるか否かを判定する。対象物が反射材付きのベストを着用した人であると判定した場合はステップS5に進む。対象物が反射材付きのベストを着用した人でないと判定した場合はステップS6に進む。
【0056】
ステップS5では、ステップS3で表示されたアイコンの隣に反射材付きのベストを着用した人の存在を警告するためのアイコンをモニタ540に表示する。そしてステップS5は、ステップS7に進む。
【0057】
ステップS6では、ステップS4で反射材付きのベストを着用した人でないと判定した対象物をTOFカメラ520で検知した物体の位置情報に基づき判定部512で第3監視領域に侵入したか否か判定する。対象物が第3監視領域に侵入したと判定すると、対象物が第2監視領域を退出したとして、ステップS6はステップS14に進み、モニタ540の表示はリセットされ、カメラ530で撮像された油圧ショベル100の周辺の監視画像を表示し、フローは終了する。対象物が第3監視領域に侵入していないと判定すると、対象物が第2監視領域内にいるとしてステップS6は、ステップS4に戻る。
【0058】
ステップS7では、ステップS4で反射材付きのベストを着用した人であると判定した対象物をTOFカメラ520で検知した物体の位置情報に基づき判定部512で第3監視領域に侵入したか否か判定する。対象物が第3監視領域に侵入したと判定すると、対象物が第2監視領域を退出したとして、ステップS6はステップS14に進み、モニタ540の表示はリセットされ、カメラ530で撮像された油圧ショベル100の周辺の監視画像を表示し、フローは終了する。対象物が第3監視領域に侵入していないと判定すると、対象物が第2監視領域内にいるとしてステップS7は、ステップS8に進む。
【0059】
ステップS8では、ステップS4で反射材付きのベストを着用した人であると判定した対象物をTOFカメラ520で検知した物体の位置情報に基づき判定部512で第1監視領域に侵入したか否か判定する。対象物が第1監視領域に侵入したと判定すると、ステップS8は、ステップS9に進む。対象物が第1監視領域に侵入していないと判定すると、ステップS8は、ステップS7に戻る。
【0060】
ステップS9では、ステップS3で表示されたアイコンとステップS5で表示されたアイコンを点滅させ、オペレーターに危険を認知させる。そしてステップS9はステップS10に進む。
【0061】
ステップS10では、ブザー550は、警報音を鳴らし、さらにオペレーターに危険を認識させる。ステップS10はステップS11に進む。
【0062】
ステップS11では、ステップS4で反射材付きのベストを着用した人であると判定した対象物をTOFカメラ520で検知した物体の位置情報に基づき判定部512で第2監視領域に侵入したか否か判定する。対象物が第2監視領域に侵入していないと判定した場合、対象物は第1監視領域内に存在するとして、再びステップS11を繰り返す。また対象物が第2監視領域に侵入していると判定した場合、対象物は第1監視領域内から退出したとして、ステップS11は、ステップS12に進む。
【0063】
ステップS12では、ブザー550は、警報音を停止する。そしてステップS12は、ステップS13に進む。
【0064】
ステップS13では、ステップS9で点滅させたアイコンの点滅を停止させ、ステップS13は、ステップS7に進み上記の処理を繰り返す。
【0065】
以上のように障害物検出ECU510は、監視領域に侵入する際の監視領域の内と外の境界C10,C20から油圧シ
ョベル100の旋回中心までの距離を監視領域退出する際の監視領域の内と外の境界C11,C21から油圧ショベル100の旋回中心までの距離を異なる距離に設定することにより、センサが検出した値が検出した対象物の状態を判定する境界付近に在るような状態に相当する監視領域に侵入した対象物が、監視領域の内外の境界付近に留まり監視領域に対して侵入退出を繰り返す状態であっても、警報の発令や停止の繰り返しを少なくし、オペレーターが快適にかつ安全に作業をすることができる。
【0066】
そして本発明は、油圧ショベルに限定されるものでなく、ホイルローダ及びトラクターなどの作業車両に適用でき、本発明は、説明した上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、障害物検出装置を備える作業車両に関するものであり産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0068】
C10境界(監視領域外から監視領域内に侵入する際に設定された境界)C11境界(監視領域内から監視領域外に退出する際に設定された境界)A10距離(第1距離)A11距離(第2距離)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7