(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】エレベーター呼び登録システムおよびエレベーター呼び登録方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20240116BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B3/00 Q
(21)【出願番号】P 2020187696
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】土本 秀男
(72)【発明者】
【氏名】呂 嘉
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/065762(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/009863(WO,A1)
【文献】特開2015-168520(JP,A)
【文献】特開2012-224423(JP,A)
【文献】特開2015-013732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0185292(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107128757(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の携帯端末から行先階および呼び要求階を含む情報を受信すると、エレベーターの行先階および呼び要求階を登録するエレベーター呼び登録システムにおいて、
前記エレベーターの点検または工事の作業予定がある場合、
前記エレベーターを過去に利用した前記利用者の情報が格納された記憶部を検索し、前記作業予定の曜日または時間帯に
前記エレベーターを過去に利用したことがある前記利用者の携帯端末に対して、前記作業予定の通知を行うことを特徴とするエレベーター呼び登録システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーター呼び登録システムにおいて、
建物に設けられたエレベーターと、前記エレベーターを制御する制御装置と、前記制御装置の動作を監視する監視装置と、前記建物とは別の場所にあって前記監視装置と通信可能に接続された監視サーバと、を備え、
前記監視サーバは、前記エレベーターの利用者の携帯端末から行先階および呼び要求階を含む呼び情報を受信すると、前記監視装置に対して行先階および呼び要求階を登録する指令を送信し、
前記監視装置は、前記指令を受信すると、前記制御装置を介して、前記エレベーターの行先階および呼び要求階を登録することを特徴とするエレベーター呼び登録システム。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベーター呼び登録システムにおいて、
前記監視サーバは、前記利用者の携帯端末からの呼び受信時に前記エレベーターの前記作業予定がある場合には、前記記憶部を検索し、前記作業予定の曜日および時間帯での前記利用者の呼び登録回数が、予め定められた以上の回数あるとき、前記利用者の携帯端末に対して、前記作業予定の通知を行うことを特徴とするエレベーター呼び登録システム。
【請求項4】
請求項2に記載のエレベーター呼び登録システムにおいて、
前記監視サーバは
、作業予定情報登録時に前記作業予定の曜日および時間帯での呼び登録回数が、予め定められた以上の回数ある前記利用者の携帯端末に対して、前記作業予定の通知を行うことを特徴とするエレベーター呼び登録システム。
【請求項5】
請求項
2に記載のエレベーター呼び登録システムにおいて、
前記監視サーバは、休業予定の曜日および時間帯に前記エレベーターの呼び登録を利用したことのある前記利用者の携帯端末に対して
、テナントの休業予定の通知を行うことを特徴とするエレベーター呼び登録システム。
【請求項6】
請求項1に記載のエレベーター呼び登録システムにおいて、
前記作業予定の通知とともに、代わりに利用できる他のエレベーターの号機の通知も行うことを特徴とするエレベーター呼び登録システム。
【請求項7】
利用者の携帯端末から行先階および呼び要求階を含む呼び情報を受信すると、エレベーターの行先階および呼び要求階を登録するエレベーター呼び登録方法において、
前記エレベーターの点検または工事の作業予定がある場合、
前記エレベーターを過去に利用した前記利用者の情報が格納された記憶部を検索し、前記作業予定の曜日または時間帯に
前記エレベーターを過去に利用したことがある前記利用者の携帯端末に対して、前記作業予定の通知を行うことを特徴とするエレベーター呼び登録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター呼び登録システムおよびエレベーター呼び登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの呼び登録を、エレベーター利用者が携行するスマートフォンなどの携帯端末により非接触で行えるようにしたシステムが開発されている。このような技術として、特許文献1が知られている。この特許文献1には、携帯端末に点検や工事の予定も表示させることで、エレベーター利用者は事前にエレベーターを利用できるか否かを確実に把握できる、旨が記載されている(特許文献1の段落0033)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、点検や工事の情報の表示対象に制限がなく、携帯端末でエレベーターの呼び登録を行った利用者全員に送信される。このため、点検や工事の予定日時にエレベーターを使う可能性の低い利用者にも表示されてしまい、不必要な携帯端末の操作が発生し、利用者が煩雑に感じる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、点検や工事の作業予定日時にエレベーターを利用する可能性の高い利用者に対して、作業予定の通知を効率的に行い、利用者の利便性を向上させたエレベーター呼び登録システムおよびエレベーター呼び登録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
利用者の携帯端末から行先階および呼び要求階を含む情報を受信すると、エレベーターの行先階および呼び要求階を登録するエレベーター呼び登録システムにおいて、前記エレベーターの点検または工事の作業予定がある場合、前記エレベーターを過去に利用した前記利用者の情報が格納された記憶部を検索し、前記作業予定の曜日または時間帯に前記エレベーターを過去に利用したことがある前記利用者の携帯端末に対して、前記作業予定の通知を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、点検や工事の作業予定日時にエレベーターを利用する可能性の高い利用者に対して、作業予定の通知を効率的に行い、利用者の利便性を向上させたエレベーター呼び登録システムおよびエレベーター呼び登録方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るエレベーター呼び登録システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るエレベーター呼び登録システムを示すブロック図である。
【
図3】エレベーター情報のデータテーブルを示す図である。
【
図4】利用者情報のデータテーブルを示す図である。
【
図5】呼び登録情報のデータテーブルを示す図である。
【
図6】実施例1に係るエレベーター呼び登録システムの処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】実施例2に係るエレベーター呼び登録システムの処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】実施例3に係るエレベーター呼び登録システムの処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】携帯端末の表示操作部に表示される、作業予定を通知するメッセージの例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るエレベーター呼び登録システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のエレベーター呼び登録システムは、建物に設けられたエレベーター1と、エレベーター1を制御する制御装置2と、制御装置の動作を監視する監視装置3と、前記建物とは別の場所にあって監視装置3と一般通信回線網4を介して通信可能に接続された監視サーバ5と、エレベーター1の利用者7が携行する携帯端末8と、利用者7がエレベーター1の呼び登録をする際に利用するSNS(Social Networking Service)を提供するSNSサーバ9と、を備える。
【0010】
まず、エレベーター1は、図示していないが、建物の昇降路内に設けられた乗りかごと、一端が乗りかごに取付けられた主ロープと、この主ロープの他端が取付けられ昇降路内に吊り下げられた釣合い錘と、昇降路の上部の機械室などに回転可能に設置され主ロープが巻き掛けられた巻上機と、を備えている。このような構成のエレベーター1では、巻上機が、制御装置2から受信した制御信号に従って回転することにより、乗りかごを釣合い錘に対して相対的に昇降させるようにしている。
【0011】
制御装置2は、エレベーター1に接続され、エレベーター1の乗りかごの昇降速度やドアの開閉動作を制御する機能を備えている。また、制御装置2は、監視装置3に接続されており、エレベーター1に異常が発生した場合、監視装置3へ通知する機能を備える。
【0012】
監視装置3は、制御装置2に接続され、制御装置2を介してエレベーター1の故障や不具合等の異常を検出すると監視サーバ5へ送信する機能を備える。
【0013】
監視サーバ5は、エレベーターが設けられた建物とは別の場所にある監視センターに置かれ、一般通信回線網4を介して監視装置3と接続されている。監視センターには、監視員6が駐在しており、監視員6は、監視装置3から監視サーバ5に送信された異常発報の内容を後述する表示操作部503で確認し、この表示操作部503を操作して図示しない保守員に指示を出すことができる。また、監視員6は、エレベーター1の点検情報や工事情報を、表示操作部503を用いて監視サーバ5に登録できる。
【0014】
携帯端末8は、利用者7が携行しており、一般通信回線網4を介して監視サーバ5と接続され、エレベーター1の呼びを設定する機能と、監視サーバ5に登録された点検情報や工事情報を表示する機能と、を備える。
【0015】
SNSサーバ9は、携帯端末8を携行する利用者7が会員登録しているSNSを管理するサーバである。このSNSサーバ9も一般通信回線網4を介して監視サーバ5と接続されており、利用者7は、当該SNSの画面上で行先階や呼び要求階を含む情報を入力しても、エレベーター1の呼び登録が可能となっている。
【0016】
図2は、本実施形態に係るエレベーター呼び登録システムを示すブロック図である。
【0017】
制御装置2は、乗りかごの昇降速度やドアの開閉動作を含むエレベーター1全体の動作を制御するための各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)等の制御部201と、制御部201による演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、制御部201がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)等の記憶部202と、を含むハードウェア、および、この記憶部202に記憶され制御部201により実行されるソフトウェア、を含んで構成されている。また、記憶部202は、エレベーター1の動作履歴、操作履歴および故障履歴等を記憶する。このような構成の制御装置2では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、エレベーター1の動作制御に必要な機能が実現される。
【0018】
監視装置3は、エレベーター1の異常の有無を監視するための各種の演算を行うCPU等の制御部301と、制御部301による演算を実行するためのプログラムを格納するROM、HDD、制御部301がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等の記憶部302と、を含むハードウェア、および、この記憶部302に記憶され制御部301により実行されるソフトウェア、を含んで構成されている。このような構成の監視装置3では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、監視装置3が実行する処理に必要な機能が実現される。また、監視装置3は、呼び作成部303をさらに備えており、この呼び作成部303は、監視サーバ5から行先階および呼び要求階を登録する指令を受信すると、制御部301を介して、制御装置2に呼びを作成し、エレベーター1の行先階および呼び要求階が登録される。
【0019】
監視サーバ5は、監視装置3と通信するための各種の演算を行うCPU等の制御部501と、制御部501による演算を実行するためのプログラムを格納するROM、HDD、制御部501がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等の記憶部502と、を含むハードウェア、および、この記憶部502に記憶され制御部501により実行されるソフトウェア、を含んで構成されている。
【0020】
ここで、監視サーバ5の記憶部502に格納される各種情報について、説明する。
図3は、エレベーター情報502Aのデータテーブル、
図4は、利用者情報502Dのデータテーブル、
図5は、呼び登録情報502Eのデータテーブル、をそれぞれ示している。エレベーター情報502Aは、エレベーター1が設けられた建物名や住所、エレベーター1の識別番号やサービス階などを記憶する(
図3参照)。
【0021】
図2に示すように、監視サーバ5の記憶部502には、エレベーター情報502Aと、監視装置情報502Bと、点検/工事情報502Cと、利用者情報502Dと、呼び登録情報502Eと、テナント情報502Fと、が記憶されている。監視装置情報502Bは、監視装置3がどの制御装置2と接続しているかを記憶する。点検/工事情報502Cは、エレベーター1の点検日時や工事日時を記憶する。利用者情報502Dは、エレベーター1に呼びを登録する利用者のIDやメールアドレス等を記憶する(
図4参照)。呼び登録情報502Eは、利用者IDごとエレベーター1の識別番号ごとの曜日および時間帯別の呼び登録回数などを記憶する(
図5)。テナント情報502Fは、エレベーター1が設けられた建物内のテナントの休業予定日時などを記憶する。
【0022】
監視サーバ5の表示操作部503は、エレベーター1の点検情報や工事情報などを表示する機能とともに、監視員6がその表示内容を確認しながら点検情報や工事情報を更新するための操作部としての機能も備える。
【0023】
監視サーバ5の呼び管理部504は、携帯端末8より送信された、行先階および呼び要求階を含む呼び情報を受信すると、記憶部502に格納されているエレベーター情報502Aおよび監視装置情報502Bを検索する。呼びの対象であるエレベーター1およびその監視装置3が特定されると、呼び管理部504は、制御部501を介して、監視装置3に対し、行先階および呼び要求階を登録する指令を送信する。
【0024】
監視サーバ5の通知判定部505は、記憶部502を検索し、エレベーター1について点検/工事情報502Cとして点検または工事の作業予定が格納されている場合、エレベーター1の呼び情報の送信を行った利用者7の利用者IDを記憶部502の利用者情報502Dから読み出す。さらに、通知判定部505は、記憶部502を検索し、当該利用者IDに対応する利用者の呼び登録情報502Eを読み出す。次に、通知判定部505は、読み出した呼び登録情報502Eの中に、エレベーター1の作業予定の曜日または時間帯と合致するものが含まれているか否かを判定する。作業予定の曜日または時間帯に過去、当該利用者IDの利用者7がエレベーター1を利用したことがある場合には、通知判定部505は、制御部501を介して、当該利用者の携帯端末8に作業予定の通知を行う。
【0025】
携帯端末8は、監視サーバ5と通信するための各種の演算を行うCPU等の制御部801と、制御部801による演算を実行するためのプログラムを格納するROM、HDD、制御部801がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等の記憶部802と、を含むハードウェア、および、この記憶部802に記憶され制御部801により実行されるソフトウェア、を含んで構成されている。
【0026】
さらに、携帯端末8の記憶部802は、エレベーター1の識別番号などを記憶するエレベーター情報802Aと、利用者IDを記憶する利用者情報802Bと、を備えている。なお、エレベーター情報802Aに含まれる情報は、監視サーバ5の記憶部502にあるエレベーター情報502Aに含まれる情報と、少なくとも一部が共通である。また、利用者情報802Bに含まれる情報は、監視サーバ5の記憶部502にある利用者情報502Dに含まれる情報と、少なくとも一部が共通である。
【0027】
携帯端末8の表示操作部803は、行先階および呼び要求階を含む呼び情報などを入力するための操作部としての機能と、呼び登録の結果や監視サーバ5から通知される作業予定などを出力するための表示部としての機能と、を備える。呼び設定部804は、利用者7が携帯端末8でエレベーター1の呼びを行う際に、表示操作部803を用いて入力された行先階および呼び要求階を含む呼び情報の他、エレベーター1を特定するためのエレベーター情報802Aや、利用者を特定するための利用者情報802Bを、制御部801を介して監視サーバ5に送信する機能を備える。
【0028】
SNSサーバ9は、監視サーバ5と通信するための各種の演算を行うCPU等の制御部901と、制御部901による演算を実行するためのプログラムを格納するROM、HDD、制御部901がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等の記憶部902と、を含むハードウェア、および、この記憶部902に記憶され制御部901により実行されるソフトウェア、を含んで構成されている。
【0029】
さらに、SNSサーバ9の記憶部902にも、エレベーター1を特定するための情報が記憶されている。このため、SNSサーバ9が提供するSNSのアプリ上で携帯端末8の表示操作部803によって、エレベーター1に対する行先階および呼び要求階を含む呼び情報が入力された場合、当該呼び情報とともに、エレベーター1を特定するための情報が、SNSサーバ9から監視サーバ5へ送信される。このように、SNSのアプリを利用することにより、携帯端末8の呼び設定部804を用いなくても、エレベーター1の呼び登録が可能となっている。また、監視サーバ5から通知される作業予定についても、SNSサーバ9が受信して、SNSサーバ9から携帯端末8へ送信することができる。なお、携帯端末8にインストールされるSNSのアプリは、SNSサーバ9などから一般通信回線網4を介してダウンロードされる。
【実施例1】
【0030】
図6は、実施例1に係るエレベーター呼び登録システムの処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
まず、利用者7が携帯端末8でSNSのアプリを起動し、表示操作部803を用いて、エレベーター1に対する、行先階および呼び要求階(例えば1階)を含む呼び情報を入力する(ステップS101)。携帯端末8で入力された呼び情報は、SNSサーバ9へ送信され、SNSサーバ9が、エレベーター1の識別番号および利用者7の利用者IDとともに、呼び情報を、監視サーバ5に送信する(ステップS102)。これらの情報を監視サーバ5の制御部501が受信すると、通知判定部505は、エレベーター1の識別番号に基づいて、記憶部502に格納されている点検/工事情報502Cを検索し(ステップS103)、当該エレベーター1に作業予定があるか判定する(ステップS104)。
【0032】
点検または工事の作業予定がない場合は、監視サーバ5の呼び管理部504が、エレベーター1の識別番号に基づき、記憶部502に格納されている監視装置情報502Bを検索する。そして、呼び管理部504は、特定した監視装置3に対して、行先階および呼び要求階を登録する指令を送信し(ステップS109)、監視装置3が制御装置2を介して、呼びを登録させる。一方、作業予定がある場合、通知判定部505は、利用者IDに基づいて、呼び登録情報502Eを検索し(ステップS105)、作業予定の曜日および時間帯での利用者7の呼び回数が、過去全体で第1閾値(例えば10回)以上か否かを判定する(ステップS106)。作業予定の曜日および時間帯での呼び回数が第1閾値に満たない場合は、作業予定の通知がされずに、ステップS109にて呼びが登録される。このため、作業予定に該当する曜日および時間帯にエレベーター1を利用する頻度が少ない利用者7に対して、過度に通知がされるのを抑制できる。
【0033】
一方、作業予定の曜日および時間帯での呼び回数が第1閾値以上の場合、通知判定部505は、作業予定の通知をSNSサーバ9へ送信する(ステップS107)。SNSサーバ9は、受信した通知に基づき、制御部901を介して携帯端末8へ作業予定に関するメッセージを送信する。携帯端末8は、SNSサーバ9から受信した作業予定に関するメッセージを表示操作部803に表示する(ステップS108)。その後、ステップS109にて呼びが登録される。
【実施例2】
【0034】
図7は、実施例2に係るエレベーター呼び登録システムの処理手順を示すフローチャートである。本実施例では、実施例1と異なり、SNSサーバ9を使わずに携帯端末8から直接監視サーバ5へ呼び情報を送信するものである。また、本実施例では、作業予定の通知の要否を判断する閾値や、呼び登録を完了させるタイミングが、実施例1と異なっている。以下、実施例1と同様の処理の説明は省略し、実施例1と異なる処理を中心に説明する。
【0035】
まず、利用者7が、監視サーバ5が提供するWebに携帯端末8でアクセスし、表示操作部803を用いて、エレベーター1に対する、行先階および呼び要求階(例えば1階)を含む呼び情報を入力する(ステップS201)。携帯端末8の呼び設定部804は、入力された呼び情報の他、記憶部802に格納されたエレベーター情報802Aや利用者情報802Bを、制御部801を介して監視サーバ5に送信する(ステップS202)。このとき、監視サーバ5の呼び管理部504は、監視装置情報502Bを検索し、特定した監視装置3に対して、行先階および呼び要求階を登録する指令を送信することで(ステップS203)、監視装置3が制御装置2を介して呼びを登録させる。本実施例では、実施例1と比べて、エレベーターの呼び登録が早期に行われるため、利用者7の利便性が向上する。
【0036】
次に、通知判定部505は、エレベーター情報802Aに基づいて、点検/工事情報502Cを検索し(ステップS204)、当該エレベーター1に作業予定があるか判定する(ステップS205)。点検または工事の作業予定がない場合は、処理を終了する。一方、作業予定がある場合、通知判定部505は、利用者情報802Bに基づいて、呼び登録情報502Eを検索し(ステップS206)、作業予定の曜日および時間帯での利用者7の呼び回数が、直近所定期間で第2閾値(例えば直近1週間で3回)以上か否かを判定する(ステップS207)。
【0037】
作業予定の曜日および時間帯での呼び回数がステップS207の条件を満たさない場合は、作業予定の通知はされずに処理が終了する。本実施例では、直近の利用状況を考慮して通知の要否が判定されるため、必要な利用者7に対して実施例1と比べてより的確に作業予定の通知が行える。一方、作業予定の曜日および時間帯での呼び回数がステップS207の条件を満たす場合、通知判定部505は、作業予定の通知を携帯端末8へ送信する(ステップS208)。携帯端末8は、監視サーバ5から受信した作業予定に関するメッセージを表示操作部803に表示する(ステップS209)。
【実施例3】
【0038】
図8は、実施例3に係るエレベーター呼び登録システムの処理手順を示すフローチャートである。前述の実施例1および実施例2では、利用者7からエレベーター1の呼びがあった際に、作業予定の通知がされる例を示したが、本実施例では、点検や工事の予定が登録された際に、所定のタイミングで利用者7に通知がされる例を示す。
【0039】
まず、監視サーバ5の通知判定部505は、既定時刻(例えば朝7時)になったかを判定し(ステップS301)、既定時刻になったら、作業予定が新たに登録されているか否かを判定する(ステップS302)。点検または工事の作業予定が新たに登録されていない場合は、処理を終了する。一方、作業予定が新たに登録されている場合、通知判定部505は、作業対象のエレベーター1の識別番号に基づいて、記憶部502の呼び登録情報502Eを検索し(ステップS303)、作業予定の曜日および時間帯での呼び回数が、過去全体で第1閾値以上となる利用者IDはあるか判定する(ステップS304)。ここでは、実施例1と同じ閾値を用いて判定を行っているが、実施例2と同じ閾値を用いて判定したり、他の条件で判定したりしても良い。
【0040】
ステップS304で条件を満たす利用者IDが存在しなかった場合は、作業予定の通知はされずに処理が終了する。一方、ステップS304の条件を満たす利用者IDが存在した場合、通知判定部505は、対象の利用者IDに基づいて、記憶部502の利用者情報502Dを検索し、当該利用者のメールアドレスを取得する(S305)。その後、通知判定部505は、作業予定を通知するメッセージを当該メールアドレスに送信する(ステップS306)。なお、通知判定部505は、作業予定日まで所定期間(例えば2週間)以上ある場合には通知を送信せず、作業予定まで所定期間を切った時点で通知を送信するようにしても良い。
【0041】
図9は、携帯端末8の表示操作部803に表示される、作業予定を通知するメッセージの例である。ここでは、エレベーター1を利用できない期間のみが表示されているが、代わりに利用できる他のエレベーターの号機を併せて通知しても良い。また、監視サーバ5の通知判定部505は、エレベーター1が設けられた建物内のテナントの休業予定の曜日および時間帯に過去、テナントのある階を行先階として利用したことのある利用者7の携帯端末8に対して、休業予定の通知を送信することも可能である。例えば、通知判定部505が、呼び登録情報502Eを検索して、休業予定の曜日および時間帯での呼び回数が所定の条件を満たす利用者7を特定して、利用者7の携帯端末8にメッセージを送信する。なお、テナントの休業予定の通知は、そのテナントがある建物のエレベーター1の呼びが利用者7からあった際に、送信されるようにしても良い。
【0042】
以上、本発明の実施形態について、実施例1から実施例3に分けて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、荷物専用のエレベーター等、代わりに利用できるエレベーターがない場合には、荷物等を搬入する業者などにとって、当該エレベーターが利用できないことの影響は大きい。このため、エレベーター1や利用者7の属性に応じて、異なるタイミングや方法で、作業予定の通知を行っても良い。
【0043】
また、ある実施例の構成を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、さらに、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 エレベーター
2 制御装置
3 監視装置
4 一般通信回線網
5 監視サーバ
6 監視員
7 利用者
8 携帯端末
9 SNSサーバ
201,301,501,801,901 制御部
202,302,502,802,902 記憶部
303 呼び作成部
502A,802A エレベーター情報
502B 監視装置情報
502C 点検/工事情報
502D,802B 利用者情報
502E 呼び登録情報
502F テナント情報
503,803 表示操作部
504 呼び管理部
505 通知判定部
804 呼び設定部