(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】両軸受リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/015 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A01K89/015 B
(21)【出願番号】P 2020206884
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 雄一
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-050291(JP,A)
【文献】特開2000-093053(JP,A)
【文献】米国特許第05988548(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの側部に取着される左右側板を具備するリール本体と、前記左右側板間に回転自在に支持されたスプールと、前記側板の一方に設けられ前記スプールを回転駆動するハンドルと、前記側板をフレームに対して開閉可能とする開閉機構と、を有する両軸受リールにおいて、
前記開閉機構は、前記フレームに複数設けられた係止部と、前記側板の内面に設けられて前記係止部と着脱可能に係合する複数の係合部とを有し、
前記フレームに装着され
、前記フレームの少なくとも上部の一部を覆い、握持保持した手の指で保持されるカバー部材、又は、レベルワインド機構を覆うフロントカバーに、前記係止部の少なくとも一部を設け
ており、
前記複数設けられた係止部の少なくとも一部は、前記カバー部材、又は、前記フロントカバーをフレームに対してネジ止め固定する機能を備えていることを特徴とする両軸受リール。
【請求項2】
前記複数設けられた係止部は、前記フレームに形成されたスプールを挿脱可能にする開口部の周囲に配置されることを特徴とする請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】
前記フレームは金属材で形成され、前記カバー部材、又は、前記フロントカバーは合成樹脂で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を巻回するスプールをリール本体の側板間に回転自在に支持した両軸受リールに関し、詳細には、側板をフレームに対して着脱可能にする開閉機構を備えた両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に両軸受リールは、フレームの左右にそれぞれ側板(サイドプレート)を装着しており、左右側板間にスプールを回転可能に支持した構成となっている。また、両軸受リールには、スプールを着脱したり、各種機能部品のメンテナンス等が必要であるため、フレームから側板を取り外すことを可能にする開閉機構が設けられている。
【0003】
前記フレームに側板を着脱する開閉機構として、バヨネット構造が知られており、このようなバヨネット構造を設ける場合、フレームに形成されたスプール開口部の周囲に、周方向に隙間を開けて複数の係止部を設けると共に、被着する側板に、前記係止部に係止されるように、径方向に突出する係合部を設けており、前記係合部及び係止部の相対回転により、フレームに対して側板を開放状態と閉鎖状態にすることを可能としている。
前記バヨネット構造の開閉機構を備えた両軸受リールとして、例えば、特許文献1,2に開示されたものが知られている。
【0004】
特許文献1に開示された開閉機構は、つまみ部41を有し周方向の複数個所に係止用の凹部(軸方向凹部30と周方向凹部31)を形成した回動リング29をリング状の拘束部材26でフレームに回転可能かつ軸方向移動不能に取着すると共に、外周の周方向に係合用の凸部23を形成した筒状部材22を側板に取着しており、つまみ部41を操作して回動リング29を回動することで、凸部23を係止用の凹部30,31に係脱させて、側板をフレームに対して着脱できるよう構成されている。また、特許文献2に開示された開閉機構は、フレームのスプール開口部1fの周囲に複数の略L字型の係合凹部1gを一体形成すると共に、側板の内側に、外周の周方向に径方向外方に突出する係合部2eを複数形成した筒状部材を取り付けた構成となっている。前記側板は、フレームの側部に嵌着して前記係合部2eを係合凹部1gに係脱するように回動操作することで、着脱可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-246776号
【文献】特開2005-218401号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に開示されている開閉機構は、フレームのスプール開口部の周囲に係止部を構成する回動リング及びリング状の拘束部材を取着する構成のため、その分の取着スペースがスプール開口部の周囲に必要となり、リール全体が大型化、重量化すると共に設計の自由度も制約されてしまう。また、部品点数及び組み込み工数が多くなり、製造コストがアップする。
【0007】
上記した特許文献2に開示されている開閉機構は、フレームのスプールの開口部の周囲に一体形成される複数個の係止部(係合凹部)が略L字型形状のため、成形時に離型できないアンダーカットとなり、成形後に全ての係止部に対して機械加工が追加で必要となって製造コストがアップする。また、フレームは、強度面から金属材(アルミニウム合金又はマグネシウム合金)で成形されて表面処理(陽極酸化処理等)が施されるが、開閉操作の繰り返しに係止部表面の保護被膜が剥離して腐食(電池腐食)し易くなり、開閉性能が低下する可能性がある。さらに、フレームのスプール開口部周囲の係止部の構成(位置、大きさ)によっては、設計の自由度が制約されてしまう等の問題がある。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、フレームのスプール開口部周囲を省スペース化して小型・軽量化及び設計の自由度の向上が図れると共に、製造コストを抑えることが可能な開閉機構を備えた両軸受リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明に係る両軸受リールは、フレームの側部に取着される左右側板を具備するリール本体と、前記左右側板間に回転自在に支持されたスプールと、前記側板の一方に設けられ前記スプールを回転駆動するハンドルと、前記側板をフレームに対して開閉可能とする開閉機構と、を有しており、前記開閉機構は、前記フレームに複数設けられた係止部と、前記側板の内面に設けられて前記係止部と着脱可能に係合する複数の係合部とを有し、前記フレームに装着される機能部材に、前記係止部の少なくとも一部を設けたことを特徴とする。
【0010】
上記した構成の両軸受リールでは、開閉機構によって側板をフレームに対して着脱できるように構成されている。開閉機構は、フレームに複数設けられた係止部と、側板の内面に設けられて前記係止部と着脱可能に係合する複数の係合部とを有しており、複数設けられている係止部の少なくとも一部を、フレームに装着される機能部材に設けている。機能部材は、リールの構成要素としてフレームに設けられるものであり、この機能部材に係止部を設けることで、従来のように、型で成形されるフレームのスプール挿脱用の開口部の周囲に全ての係止部を形成する必要が無くなる。このため、成形後にアンダーカットする等の手間が軽減されると共に、前記開口部の周囲の省スペース化が図れる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フレームのスプール開口部の周囲を省スペース化して小型・軽量化及び設計の自由度の向上が図れると共に、製造コストを抑えることが可能な開閉機構を備えた両軸受リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る両軸受リールの一実施形態を示す平面図。
【
図2】
図1に示す両軸受リールを反ハンドル側から見た側面図(開閉機構のロック状態)。
【
図3】側板をフレームから取り外した状態(開閉機構はロックされた状態)を示す側面図。
【
図4】側板をフレームから取り外した状態(開閉機構はロック解除された状態)を示す側面図。
【
図7】フレームから取り外した側板の内面側を見た図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る両軸受リールの一実施形態を
図1から
図7を参照して説明する。
本実施形態に係る両軸受リールのリール本体1は、所定の形状に一体形成されたフレーム3の側部(左右両側部3A,3B)に取着される左側板5A及び右側板5Bを備えており、左右側板間にスプール6が回転可能に支持されている。また、左右側板の一方(本実施形態では右側板側)にスプールを回転駆動するハンドル7が設けられており、右側板5Bとフレーム3の右側部との間の内部空間に配設された公知の動力伝達機構8によってハンドル7の回転駆動はスプールに伝達される。さらに、左右側板間のスプールの前方には、釣糸を挿通案に案内する釣糸案内部9aを具備した公知のレベルワインド機構9が設けられており、釣糸案内部9aは、前記動力伝達機構8を介してスプールの前方で左右に往復駆動される。このため、ハンドル7を巻き取り駆動すると、左右に往復動する釣糸案内部9aを介してスプール6に釣糸が均等に巻回される。
なお、前記ハンドル7については、左側板側に設けられた構成であっても良い。
【0014】
前記フレーム3は、左右両側部3A,3Bと共に一体形成されており、左側部3Aに左側板5A(左カバー部材)が被着され、右側部3Bに右側板5B(右カバー部材)が被着される。また、フレーム3には、前記左側部3Aと右側部3Bを連結する連結部が形成されている。この連結部は、複数個所に形成されていても良く、例えば、スプールを中心として、前方側の連結部、後方側の連結部、上方側の連結部(サムレストとして機能しても良い)、下方側に形成することが可能である。さらに、フレーム3には、前記スプール6が挿脱できるように、円形の開口部(円形開口)3Cが形成されている。
【0015】
なお、連結部の内、スプールの下方に設けられる下方連結部には、釣竿のリールシートに装着されるリール脚3Dが一体的に装着されている(リール脚3Dについては、フレーム3と一体形成されていても良い)。
【0016】
前記フレーム3の左右側部3A,3B及びこれに被着される左右側板5A,5Bの形状については限定されることはないが、本実施形態では、外周形状が側面視で前後方向に延びる非円形状(略楕円形状)に構成されている(
図2参照)。また、左右側部3A,3B間には、リール本体を握持保持した際、指を載置することが可能なカバー部材(サムレスト)3Fが設けられている。
【0017】
このサムレスト3Fは、左右側板5A,5B上に横架されて前記スプール6を露出させると共に、前方側に延びており、前記レベルワインド機構9を覆うように前後方向に長い形状を備えている。具体的にサムレスト3Fは、前記フレーム3の少なくとも上部の一部を覆っており、リール本体1の外部に露出するようにフレーム3に設けられている。サムレスト3Fは、後述するように、フレーム3に設けられる機能部材であり、両サイドの前後位置でフレーム3の表面に固定する固定部12が一体形成されている。この固定部12は、サムレスト3Fの前後両側縁から下方に垂下するように形成された板状の部材(機能部材の一部を構成する)であり、サムレスト本体と共に一体形成されている。各固定部12には、それぞれネジ孔12aが形成されており(
図5参照)、ネジ孔12aにネジ13を螺入することで、サムレスト3Fはフレーム3に一体化することが可能である。なお、固定部12は、サムレストとは別部材で構成されていても良い。
【0018】
上記したように構成されるリール本体には、開閉機構20が設けられている。開閉機構20は、前記スプール6を着脱したり、各種機能部品のメンテナンス等が行えるように、側板をフレームに対して開閉可能とするものであり、本実施形態では、反ハンドル側の側板(左側板)5Aをフレーム3の左側部3Aから着脱できるよう構成されている。
以下、本実施形態の開閉機構20について説明する。
【0019】
開閉機構20は、フレーム3に複数設けられた係止部と、側板の内面に設けられて前記係止部と着脱可能に係合する複数の係合部とを有する。本実施形態の係止部は、フレーム3に形成された前記円形開口3Cの周囲に5カ所設けられており(以下、係止部21A,21B,21C,21D,21Eとする)、側板を小型化できるようにしている。また、係合部は、各係止部と係合できるように5カ所設けられており(以下、係合部23A,23B,23C,23D,23Eとする)、側板5Aに対して間接的に設けられている。
【0020】
ここで、間接的とは、各係合部が側板5Aに直接設けられるのではなく、側板に別途、配設される部材に設けられるという意味である。具体的には、側板5Aに対して各種の構成部品を組み付けるために設置されるセットプレート30に対して回動可能に抜け止め支持される板状のリング状の部材(以下、回動リングと称する)23に設けられている。各係合部23A,23B,23C,23D,23Eは、回動リングを回動させた際、前記各係止部21A~21Eと係合できるように、回動リング23の外周縁に所定間隔をおいて径方向に突出するように一体形成されている。
【0021】
前記係止部は、少なくともその一部が、フレーム3に装着される機能部材(前記サムレスト3F)に設けられており、本実施形態では、5つの係止部の内、その内の2つの係止部21A,21Bがサムレスト3Fに設けられている。各係止部21A,21Bは、機能部材と一体化されて機能部材を構成する前記固定部12で構成されており、側板側の係合部を係脱させる機能に加え、機能部材をフレーム3に対してネジ止め固定する機能を兼ね備えている。これにより、部品点数が削減され、軽量化及びコストの低減が図れるようになる。この場合、
図5に示すように、フレーム3の左側部3Aに対して、ネジ13を螺入して機能部材(サムレスト3F)を固定する固定部12は、フレーム3との間で隙間Gが形成されるように形成されており、この部分に回動リング23に設けられた係合部23A(後述する傾斜面25)が係脱できるように構成されている。
【0022】
なお、上記以外の係止部21C~21Eは、前記フレーム3の円形開口3Cの周囲において、断面略L字状にフレーム3に一体形成されており(
図6参照)、その隙間G1に回動リング23に設けられた係合部23E(後述する傾斜面25)が係脱できるように構成されている(係止部21C,21Dと、係合部23C,23Dも同様な係合構造となる)。
【0023】
各係止部と係合する係合部は、上記したように、側板5Aに設置されるセットプレート30に対して回動可能に保持された回動リング23に設けられている。セットプレート30と回動リング23はユニット化されており、セットプレート30は、側板5Aの内面に固定され、回動リング23は、側板5Aの内面とセットプレート30との間で所定角度回動可能に抜け止め支持されている。
【0024】
図7に示すように、前記セットプレート30は、略円形状に形成されて、複数のネジ(1つのネジ32が図示されている)によって側板5Aの内面に固定されており、その外周縁30aが前記フレーム3のスプール開口3Cの内周に嵌合される。また、セットプレート30には、径方向内方に軸受支持用のボス30bが形成されており、径方向外方に前記回動リング23の内周面が嵌合する筒状支持部30cが形成されている。
前記ボス30bの内部空間には、スプール6の駆動軸の端部を支持する軸受(図示せず)が配設されるようになっており、抜け止めリング33によって抜け止めされる。また、ボス30bの外周側には、公知のマグネットブレーキ装置(バックラッシュ防止装置)を構成するリング磁石50,51が同芯状に配設されている。内側のリング磁石50は、ボス30bに固定され、外側のリング磁石51は、セットプレート30に対して回転可能に支持されている。
【0025】
前記リング磁石51は、セットプレートに回転可能に支持された支持部53に支持されており、支持部53に形成された歯部53aがセットプレートに回転可能に支持された調整ダイヤル55の歯部55aと噛合している。調整ダイヤル55は、
図2に示すように、その一部が側板5Aの下側から露出しており、調整ダイヤル55を回転操作することで、リング磁石51は回転可能となっている。そして、リング磁石50,51の間には、スプール6の一側面に設けられた環状導電体(図示せず)が配置されており、外側のリング磁石51の位置を調整ダイヤル55によって変更すると、リング磁石50,51の間の磁束が変わり、環状導電体に作用する磁力(スプールに対するブレーキ力)が調整できるよう構成されている。
【0026】
前記回動リング23には、上記したように、フレーム側の各係止部21A~21Eに係合/離脱可能な係合部23A~23Eが形成されている。各係合部23A~23Eは、所定間隔をおいて回動リング23の外周縁から径方向に突出形成されており、回動リング23が回動駆動されると、前記各係止部の隙間G,G1(
図5,
図6参照)に係合/離脱できるようになっている。各係合部には、周方向に沿って次第に上昇する傾斜面25が形成されており、
図3に示すロック状態では、各係合部の傾斜面25が隙間G,G1に入り込んで、側板5Aをガタ付きなく固定することができる。この場合、回動リング23は、セットプレート30の端部の鍔部との間に介在される調整ワッシャ60(
図5参照)によって、ガタ付くことなく、安定して係止部との係合状態が維持される。また、回動リング23を、
図3に示す状態から反時計回りに回動させて
図4に示す位置にすると、各係合部の傾斜面25は、各係止部の隙間G,G1から外れてロック解除状態となる。
【0027】
前記回動リング23の外周縁には、操作部23Gが径方向に突出するように形成されている。この操作部23Gは、リール本体の外部から操作できる位置に形成されており、本実施形態では、側板5Aの下面に前後方向に沿って所定の長さ形成された開口孔5Gから突出するように形成されている。この操作部23Gを前後方向にずらすことで、前記回動リング23は、所定の角度、回動駆動され、各係合部23A~23Eは、フレーム側の各係止部21A~21Eに係合/離脱させることが可能となる。
【0028】
図2及び
図3は、側板5Aをフレーム3に装着した状態(ロック状態)を示しており、この状態では、回動リング23の各係合部23A~23Eの各傾斜面25は、フレーム側の各係止部21A~21Eに係合して側板5Aはロックされている。この状態で、リール本体から突出している操作部23Gを後方にずらすことで、
図4に示すように、回動リング23は反時計回りに回動駆動され、各係合部23A~23Eの各傾斜面25は、各係止部21A~21Eから離脱し(係合が解除される)、左側板5Aを摘まんで軸方向に移動させてフレームから取り外すことができ、スプール6をフレーム3の円形開口3Cから取り外すことが可能となる。なお、回動リング23には、回動位置を規制する位置決め手段を設けておくことが好ましく、上記した係合が解除される位置で回動リング23の回動が停止するように構成することが好ましい。
【0029】
また、側板5Aをフレーム3に装着する場合は、側板5Aを軸方向からフレーム3に装着し、操作部23Gを前方にずらすことで、
図2及び
図3に示すようにロック状態にすることができる。
【0030】
上記した構成によれば、フレームに複数設けられた係止部の一部(係止部21A,21B)を、フレーム3に装着される機能部材(サムレスト3F)に設けたことで、従来のように、全ての係止部をフレームに略L字形に形成する必要が無くなる。このため、フレームの成形後にアンダーカットする等の加工工数を削減して製造コストを低く抑えることができると共に、開口部3Cの周囲の省スペース化を図ることが可能となる。また、係止部21A~21Eを、スプール挿脱用の開口部3Cの周囲に配置したことで、設計の自由度の向上が図れ、リール本体を効果的に小型・軽量化することが可能となる。さらに、機能部材をリール本体1の外部に露出し、左右側板の上面を覆うカバー部材(サムレスト)としたことで、係止部の位置を前後方向に離間させることができ、側板のロック状態を安定化させることも可能となる。
【0031】
上記した構成では、フレーム3や側板5A,5Bの素材については限定されることはないが、フレームを金属材(例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等)で形成し、機能部材(サムレスト3F)は合成樹脂で形成することが好ましい。
このような構成によれば、係止部の電食を効果的に防止することができ、開閉機構の開閉機能の低下を防止することが可能となる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記した開閉機構20は、側板5Aに対して、セットプレート30及び回動リング23を介して係合部を設けたが、セットプレートを設けることなく、側板に回動リングを回動可能に支持して係合部を係止部に係脱させる構成であっても良いし、側板そのものに係合部を設けて、フレームに対して回動させて側板を着脱させる構成であっても良い。
【0033】
また、上記した実施形態では、係合部と係止部を5カ所に設けたが、その設置個数については限定されることはなく、例えば、上下2か所ずつ設けたり、上方に2か所、下方に1カ所設ける等、リール本体の形状、大きさ等に応じて適宜変形することが可能である。この場合、複数設けられる係止部の内、少なくとも1つ以上が上記したように機能部材に設けられていれば良い。
また、係止部が設けられる機能部材については、フレーム3に対して装着されるものであれば良く、例えば、レベルワインド機構を覆うフロントカバー等、各種の部材に係止部を設けておくことができ、係止部の全てが機能部材に設けられた構成であっても良い。
さらに、係合部と係止部の係合関係は、回動リングの回動時に傾斜面を圧接させて係合状態としたが、係合関係については適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 リール本体
3 フレーム
3F サムレスト(機能部材)
5A,5B 左右側板
6 スプール
12 固定部
20 開閉機構
21A~21E 係止部
23 回動リング
23A~23E 係合部
23G 操作部
30 セットプレート