(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】湿気硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/00 20060101AFI20240116BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20240116BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240116BHJP
C08K 5/5445 20060101ALI20240116BHJP
C08K 5/57 20060101ALI20240116BHJP
C08G 77/442 20060101ALI20240116BHJP
C08G 77/46 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C08L83/00
C08K3/26
C08K3/36
C08K5/5445
C08K5/57
C08G77/442
C08G77/46
(21)【出願番号】P 2020504141
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2018000275
(87)【国際公開番号】W WO2019024429
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/095155
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ヤンサ
(72)【発明者】
【氏名】グオ、イ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、スー
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-145900(JP,A)
【文献】国際公開第2014/077100(WO,A1)
【文献】特表2013-508493(JP,A)
【文献】特開2001-106915(JP,A)
【文献】特開2014-218558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/
C08K 5/544-5/5445
C08G 77/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基剤成分及び触媒パッケージ成分を有する、2成分型湿気硬化シリコーン組成物であって、前記触媒パッケージ
成分が、
(i)(R
4O)
m(Y
1)
3-m-Si末端有機ポリマー[式中、R
4はC
1~10アルキル基であり、Y
1は1~8個の炭素を含有するアルキル基であり、mは1,2又は3であり、前記有機ポリマーは、ポリエーテ
ル及びアクリレートポリマーから選択される]と、
(ii)式:
(R
4O)
m(Y
1)
3-m-Si(CH
2)
x-(NHCH
2CH
2)
t-Q(CH
2)
x-Si(OR
4)
m(Y
1)
3-m
[式中、R
4はC
1~10アルキル基であり、Y
1は1~8個の炭素を含有するアルキル基であり、Qは孤立電子対を有する
窒素原子を含有する
アミン基又は尿素基であり、各xは1~6の整数であり、tは0又は1であり、各mは独立して、1、2又は3である]
に従う1つ以上の二脚状シランと、
(iii)非二脚状接着促進剤と、
(iv)スズ系触媒と、任意選択的に
(v)架橋剤と、
を含む、2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項2】
前記基剤成分が、
(a)25℃で粘度が1000~200,000mPa.sである、少なくとも2つの末端ヒドロキシル基又は加水分解性基を有するシロキサンポリマーと、
(b)ヒュームドシリカ、沈降シリカ、及び沈降炭酸カルシウムから選択される1つ以上の補強性充填剤と、任意選択的に
(c)1つ以上の非補強性充填剤と、
を含む、請求項1に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項3】
二脚状シラン(ii)が、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)アミン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)N-アルキルアミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)N-アルキルアミン及びビス(トリアルコキシシリルアルキル)尿素及びビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)尿素から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項4】
二脚状シラン(ii)が、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)アミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)尿素、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)尿素、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)尿素、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)アミン、ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)アミン、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)尿素、ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)尿素、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)アミン、ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)アミン、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)尿素、ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)尿素、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)尿素及びビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)尿素から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項5】
二脚状シラン(ii)が、一般構造
(R
4O)
3-Si(CH
2)
x-(NHCH
2CH
2)
t-NH(CH
2)
x-Si(OR
4)
3
を有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項6】
二脚状シラン(ii)が、ビス(3-トリプロピルオキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、及びN,N’-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンから選択されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項7】
シロキサンポリマー(a)が、前記基剤成分の総重量に基づいて、10~90重量%の量で、前記組成物中に存在することを特徴とする、請求項
2に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項8】
混合する場合、前記基剤成
分:前記触媒パッケージ
成分の重量比が、15:1~1:1であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項9】
前記基剤成分が、前記基剤成分の総重量%を100重量%として、
10~90重量%のシロキサンポリマー(a)と、
10~80重量%の補強性充填剤(b)と、
0~20重量%の非補強性充填剤(c)と、
を含むことを特徴とする、請求項
2に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項10】
前記触媒パッケージ
成分が、前記触媒パッケージ
成分の総重量%を100重量%として、
30~80重量%のアルコキシシリル末端有機ポリマー(i)と、
5~50重量%の二脚状シラン(ii)と、
5~25重量%の非二脚状接着促進剤(iii)と、
0.01~3重量%のスズ系触媒(iv)と、
0~25重量%の架橋剤(v)と、
を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物。
【請求項11】
コーティング、コーキング、金型作製材料、又は封入材料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物の使用。
【請求項12】
構造物、構造ガラス取付け及び/又は絶縁ガラス取付け用途、建物の外装要素、ガス充填遮断構造物パネル、太陽電池用途、自動車用途、電子機器用途、LED照明及び他の電子機器用途並びに工業用アセンブリ及びメンテナンス用途のいずれかにおける、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貯蔵安定性を維持しながら硬化速度を改善するように設計されている、2部型湿気硬化型オルガノシロキサン組成物に関する。
【0002】
縮合硬化性オルガノシロキサン組成物は、硬化するとエラストマー固形分になり、公知のものである。典型的には、このような組成物は、反応性末端基、例えばヒドロキシ基又は加水分解性基を有するポリジオルガノシロキサンを、例えば、ポリジオルガノシロキサンと反応するシラン架橋剤、例えば、アセトキシシラン、オキシモシラン、アミノシラン、又はアルコキシシランと、好適な触媒の存在下で混合することにより得られる。得られた組成物は、室温で大気に曝されると硬化可能であり、構造シーラント/接着剤として使用することができる。
【0003】
シーラント及び接着剤として使用される場合には、組成物が、エラストマー体を提供するために比較的厚い層を硬化できることが重要である。多くの場合で望ましいことは、オルガノポリシロキサン組成物が、塗布後数時間以内に強固なシールを提供するほど十分素早く硬化するが、塗布直後に望ましい形状にツールで成形できないほど素早く硬化しないことである。硬化の手段(例えば、架橋剤及び触媒)によって、そのような組成物は、直接基材に塗布することができる1部型硬化性製品で使用者に提供されてもよく、あるいは使用直前に複数部を一緒に混合する必要がある多部、典型的には2部で基材に塗布されてもよい。
【0004】
当該多部組成物の個々の部の特性は、一般に、大気の湿気の影響を受けないが、一緒に混合されると、得られる混合物は、優れた深部硬化性を有し、封止材の本体全体にわたって、すなわち表面から内側部分への実質的に均一な硬化を可能とする。典型的には、このような2部型組成物は、シラノール末端ジオルガノポリシロキサン及び炭酸カルシウム充填剤を含有する第1の成分(基剤)と、アルキル末端ジオルガノポリシロキサン、スズ系触媒、架橋剤及び接着促進剤、例えば、一級アミノシランを含有する第2の成分(触媒又は硬化パッケージ)とを含む。
【0005】
LED照明用の接着剤は、多くの場合、接着されている基材に対する高い処理量、速い硬化、及び良好な接着性を必要とするため、ヒドロシリル化硬化に依存するシリコーン接着剤を利用する。このような接着剤は、一部の形態の硫黄、窒素、リンを含む他の化学物質と接触した場合に、毒化され得る白金触媒を使用する。したがって、いくつかのLED/電子機器用途では、ヒドロシリル化硬化系の代わりに縮合硬化接着剤を使用して、十分な速度で硬化をもたらす触媒被毒を回避することが有利であろう。
【0006】
一般に、上記のような2成分型シリコーン接着剤/シーラント組成物の硬化速度は、優れた深部硬化性をもたらすことができ、ほとんどの1部型シーラント組成物と比較して、封止材の本体全体にわたって実質的に均一な硬化を可能にすることが確認される。スズ触媒濃度及び接着促進剤濃度のいずれか又は両方を増加させることによって、硬化を促進することができることも理解される。しかし、接着促進剤の増加に伴い、特に一級アミノシランの場合、触媒パッケージ中の担体として使用されるトリアルキル末端ジオルガノポリシロキサンは、ランダムに鎖切断されることにより、粘度を低下させ、混合物を不安定にする。また、触媒パッケージ中の成分は、常に混和性というわけではない。この不混和性により、アルキル末端ジオルガノポリシロキサンが容器の頂部に上昇することによって相分離することがあり、その結果、触媒パッケージ中のシラン及び充填剤は、混合物の底部に沈降する。上記の相分離の結果として、触媒パッケージの貯蔵安定性が劇的に影響を受け得る。相分離は、エンドユーザにとって重大な問題である。使用する一部の触媒は引火性であるため、潜在的な安全上の危険を引き起こす可能性があるため、貯蔵期間後に、使用前に、特に大規模にこのような2部型組成物の触媒パッケージを再混合することは非常に厄介であり、時間がかかる。更に、担体の流体、例えば非反応性シリコーンが材料の頂部で上部相に蓄積する傾向がある一方で、充填剤は、シランが豊富な下相に沈殿しやすく、かなりの相分離が明らかであるときに、大規模では少なくとも問題があるが、特に工業規模では非常に問題があり、再混合を行う場合、触媒パッケージを交換する必要がある。
【0007】
したがって、貯蔵安定性を維持しながら、触媒パッケージが硬化速度を改善するように設計されている、2部型縮合硬化接着剤/シーラントを提供する必要がある。
【0008】
本明細書では、基剤成分及び触媒パッケージ成分を有する2成分型湿気硬化シリコーン組成物が提供され、この触媒パッケージは、
(i)(R4O)m(Y1)3-m-Si末端有機ポリマー[式中、R4はC1~10アルキル基であり、Y1は、1~8個の炭素を含有するアルキル基であり、mは1、2又は3であり、有機ポリマーは、ポリエーテル、炭化水素ポリマー、アクリレートポリマー、ポリウレタン及びポリ尿素から選択される]と、
(ii)式
(R4O)m(Y1)3-m-Si(CH2)x-((NHCH2CH2)t-Q(CH2)x)n-Si(OR4)m(Y1)3-m
[式中、R4は、C1~10アルキル基であり、Y1は、1~8個の炭素を含有するアルキル基であり、
Qは、孤立電子対を有するヘテロ原子を含有する化学基であり、各xは、1~6の整数であり、tは0又は1であり、各mは、独立して1、2又は3であり、nは0又は1である]に従う1つ以上の二脚状シランと、
(iii)非二脚状接着促進剤と、
(iv)スズ系触媒と、任意選択的に
(v)架橋剤と、を含む。
【0009】
基剤成分
任意の好適な基剤成分を利用してもよい。例えば、基剤成分は、
(a)25℃で粘度が1000~200,000mPa.sである、少なくとも2つの末端ヒドロキシル基又は加水分解性基を有するシロキサンポリマーと、
(b)1つ以上の補強性充填剤と、任意選択的に
(c)1つ以上の非補強性充填剤と、
を含み得る。
【0010】
あるいは、本明細書において、基剤成分及び触媒パッケージを有する2部型湿気硬化組成物が提供され、
この基材成分は、
(a)25℃で粘度が1000~200,000mPa.s、あるいは2000~150000mPa.sである、少なくとも2つの末端ヒドロキシル基又は加水分解性基を有するシロキサンポリマーと、
(b)1つ以上の補強性充填剤と、任意選択的に
(c)1つ以上の非補強性充填剤と、
を含み、
及び
触媒パッケージは、
(i)(R4O)m(Y1)3-m-Si末端有機ポリマー[式中、R4はC1~10アルキル基であり、Y1は、1~8個の炭素を含有するアルキル基であり、mは1、2又は3であり、有機ポリマーは、ポリエーテル、炭化水素ポリマー、アクリレートポリマー、ポリウレタン及びポリ尿素から選択される]と、
(ii)式
(R4O)m(Y1)3-m-Si(CH2)x-(NHCH2CH2)t-Q(CH2)x-Si(OR4)m(Y1)3-m
[式中、R4は、C1~10アルキル基であり、Y1は、1~8個の炭素を含有するアルキル基であり、
Qは、孤立電子対を有するヘテロ原子を含有する化学基であり、各xは1~6の整数であり、tは0又は1であり、各mは独立して、1、2又は3である]に従う1つ以上の二脚状シランと、
(iii)非二脚状接着促進剤と、
(iv)スズ系触媒と、任意選択的に
(v)架橋剤と、を含む。
【0011】
別途記載のない限り、全ての粘度測定値は、Brookfield(登録商標)コーンプレート粘度計(RV DIII)を用い、40,000mPa.秒以下についてはコーンプレートCP-52を用い、40,000mPa.秒より高粘度の材料についてはコーンプレートCP-41を用い、ポリマーの粘度に従って速度を調節して求めたものであり、全ての粘度測定値は、別途記載のない限り、25℃で得られた。
【0012】
基剤成分は、(a)25℃で粘度が1000~200,000mPa.s、あるいは25℃で2000~150000mPa.sである、少なくとも2つ、すなわち2つ以上の末端ヒドロキシル基又は加水分解性基を有するシロキサンポリマーを含み得る。シロキサンポリマー(a)は下記分子式(1)で与えられる:
X3-aRaSi-Zb-O-(R1
ySiO(4-y)/2)z-Zb-Si-RaX3-a(1)
[式中、
aは、0、1又は3であり、
bは0又は1であり、
zは、300~5000の整数であり、
yは、0、1又は2、好ましくは2である。
R1
ySiO(4-y)/2の少なくとも97%(すなわち、97%~100%)は、y=2で特徴付けられる。
xは、ヒドロキシル基又は任意の縮合性基若しくは任意の加水分解性基である]。
【0013】
各Rは、アルキル、アミノアルキル、ポリアミノアルキル、エポキシアルキル、又はアルケニル、あるいはアルキル、アミノアルキル、ポリアミノアルキル、各場合に1基当たり1~10個の炭素原子を有するエポキシアルキル基又は各場合に1個当たり2~10個の炭素原子を有するアルケニル基から選択される脂肪族有機基から個々に選択されるか、又は芳香族アリール基、あるいは6~20個の炭素原子を有する芳香族アリール基であり、最も好ましくはメチル、エチル、オクチル、ビニル、アリル、及びフェニル基である。
【0014】
各R1は、X、アルキル基、あるいは1~10個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、あるいは2~10個の炭素原子を有するアルケニル基、及び芳香族基、あるいは6~20個の炭素原子を有する芳香族基からなる群から個々に選択される。最も好適には、メチル基、エチル基、オクチル基、トリフルオロプロピル基、ビニル基、及びフェニル基である。いくつかのR1基は、ポリマー主鎖から分枝する、上述のように末端基を有し得るシロキサンであってもよい。
【0015】
最も好ましいR1は、メチルである。
【0016】
シロキサンポリマー(a)の各X基は、同じでも異なってもよく、ヒドロキシル基又は縮合性基若しくは加水分解性基であることができる。用語「加水分解性基」は、室温で水によって加水分解されるケイ素に結合した任意の基を意味する。加水分解性基Xは、式-OTの基を含み、式中、Tは、メチル、エチル、イソプロピル、オクタデシルなどのアルキル基、アリル、ヘキセニルなどのアルケニル基、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、β-フェニルエチルなどの環状基、2-メトキシエチル、2-エトキシイソプロピル、2-ブトキシイソブチル、p-メトキシフェニル又は-(CH2CH2O)2CH3などの炭化水素エーテル基、又は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノ、若しくはジシクロヘキシルアミノなどの任意のN,N-アミノ基である。
【0017】
最も好適なX基はヒドロキシル基又はアルコキシ基である。例示的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシオクタデシルオキシ、及び2-エチルヘキソキシ、メトキシメトキシ又はエトキシメトキシなどのジアルコキシ基、及びエトキシフェノキシなどのアルコキシアリールオキシ基である。最も好適なアルコキシ基は、メトキシ基あるいはエトキシ基である。
【0018】
各Zは、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。1つの代替例では、各Zは、独立して、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基から選択され、更なる代替例では、各Zは、独立して、2~4個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。
【0019】
基剤成分のシロキサンポリマー(a)は、式(1)で表わされる単一のシロキサンであってもよく、又は上記式によって表されるシロキサンの混合物であってもよい。基剤成分の成分(a)に関する用語「シロキサンポリマー混合物」は、任意の個々のシロキサンポリマー(a)又はシロキサンポリマー(a)の混合物を含むことを意味する。本明細書で使用するとき、用語「シリコーン含有量」は、シロキサンポリマー(a)、ポリマー混合物、及び/又は樹脂を含むがこれらに限定されない、供給源に関係なく、基剤成分及び触媒パッケージに使用されるシリコーンの総量を意味する。
【0020】
重合度(DP)(すなわち、実質的に上記式におけるz)は、通常、シリコーンの巨大分子若しくはポリマー又はオリゴマー分子中のモノマー単位の数として定義される。合成ポリマーは、異なる重合度、したがって異なる分子量を有する巨大分子種の混合物から本質的になる。異なる実験で測定することができる、異なる種類の平均ポリマー分子量が存在する。2つの最重要のものは、数平均分子量(mn)及び重量平均分子量(Mw)である。シリコーンポリマーのMn及びMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、約10~15%の精度で測定することができる。この技術は標準的であり、Mw、Mn、及び多分散指数(PI)が得られる。重合度(DP)=Mn/Muであり、式中、MnはGPC測定からの数平均分子量であり、Muはモノマー単位の分子量である。PI=Mw/Mnである。DPは、Mwによりポリマーの粘度に関連し、DPが高くなるほど粘度が高くなる。シロキサンポリマー(a)は、基剤組成物の20~90重量%、あるいは20~80重量%の量、あるいは基剤組成物の35~65重量%の量で存在することになる。
【0021】
基剤成分の補強性充填剤(b)は、例えば籾殻灰を含む、炭酸カルシウム、高表面積ヒュームドシリカ、及び/又は沈降シリカなどの1つ以上の微細補強性充填剤を含有してもよい。典型的には、補強性充填剤(b)の表面積は、少なくとも50m2/gである。高表面積ヒュームドシリカ及び/又は高表面積沈降シリカの場合、これらは、BET法に従って測定される100~400m2/g、あるいはBET法に従って100~300m2/gの表面積を有し得る。典型的には、補強性充填剤は、基剤組成物の10~80重量%、あるいは20~70重量%、あるいは35~65%重量%の量で基剤組成物中に存在する。
【0022】
基剤成分の任意選択的な非補強性充填剤(c)は、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、珪灰石などの非補強性充填剤を含んでもよい。単独で又は上記に加えて使用することができる他の充填剤としては、アルミナイト、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)などの粘土、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば毒重石、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチウム石が挙げられる。
【0023】
酸化アルミニウム、かんらん石族;ざくろ石族;アルミノケイ酸塩;環状ケイ酸塩;鎖状ケイ酸塩;及び層状ケイ酸塩からなる群からのケイ酸塩が挙げられる。かんらん石族は、ケイ酸塩鉱物、例えばフォルステライト及びMg2SiO4を含むが、これらに限定されない。ざくろ石族は、赤色ざくろ石;Mg3Al2Si3O12;緑ざくろ石;及びCa2Al2Si3O12などの粉砕ケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩(Aluninosilicate)は、珪線石;Al2SiO5;ムライト;3Al2O3.2SiO2;カイヤナイト;及びAl2SiO5などの粉砕ケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。
【0024】
環状ケイ酸塩族は、コージェライト及びAl3(Mg、Fe)2[Si4AlO18]などのケイ酸塩鉱石を含むが、これらに限定されない。鎖状ケイ酸塩族は、粉砕ケイ酸塩鉱物、例えば、珪灰石及びCa[SiO3]を含むが、これらに限定されない。
【0025】
層状ケイ酸塩は、雲母;K2AI14[Si6Al2O20](OH)4;葉蝋石;Al4[Si8O20](OH)4;タルク;Mg6[Si8O20](OH)4;蛇絞石、例えばアスベスト;カオリナイト;Al4[Si4O10](OH)8;及びバーミキュライトなどのケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。任意選択的な非補強性充填剤は、存在する場合、基剤の最大20重量%の量で存在する。
【0026】
加えて、例えば、脂肪酸若しくはステアレートなどの脂肪酸エステルにより、又はオルガノシラン、オルガノシロキサン、若しくはオルガノシラザンヘキサアルキルジシラザン若しくは短鎖シロキサンジオールにより、基剤成分の補強性充填剤(b)及び基剤成分の任意選択的な非補強性充填剤(c)の表面処理を実施して充填剤を疎水性にし、これにより、他のシーラント成分との均質混合物を容易に取り扱うことができ、及び入手することができる。充填剤の表面処理により、これらが基剤成分のシロキサンポリマー(a)により容易に濡れるようにする。これらの表面改質充填剤は凝集せず、基剤成分のシリコーンポリマー(i)中に均一に組み込むことができる。これにより未硬化組成物の室温での機械的特性が改善される。
【0027】
使用される場合のこのような充填剤の割合は、エラストマー形成性組成物及び硬化エラストマーにおいて望まれる特性に依存する。充填剤(d)は、基剤成分の10~80重量%の量で存在することとなる。
【0028】
触媒パッケージ
追加の一級アミン系接着促進剤、及び又はスズ触媒を導入することによって硬化速度を上げると、触媒パッケージ中の非反応性シロキサン担体が実に不安定になり、劣化して触媒パッケージの粘度が低下し、貯蔵不安定性が生じることが判明した。しかし、本明細書に記載の触媒パッケージが開発され、分解せずに必要とされる硬化速度の改善がもたらされた。
【0029】
上述のように、2成分型組成物の触媒パッケージは、アルコキシシリル末端有機ポリマー(i)を含み、この有機ポリマーは、ポリエーテル、炭化水素ポリマー、アクリレートポリマー、ポリウレタン、及びポリ尿素から選択される。アルコキシシリル末端有機ポリマーは、末端硬化性シリル基を有する有機主鎖を有する。シリル基は、上述のアルコキシジアルキルシリル、ジアルコキシアルキルシリル、又はトリアルコキシシリル末端基から選択され得る。1つの代替例では、アルコキシ基は、メトキシ基又はエトキシ基であり、アルキル基は、C1~C6アルキル基、あるいはメチル基又はエチル基である。
【0030】
ポリマー主鎖の1つの好ましい種類は、アクリレートポリマー主鎖である。アクリレートポリマーは、アクリレート及び/又はメタクリレートエステルモノマーの付加重合ポリマーであり、アクリレートポリマー中に少なくとも50重量%(すなわち、50重量%~100重量%)のモノマー単位を含む。アクリレートエステルモノマーの例は、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、及び2-エチルヘキシルアクリレートである。メタクリレートエステルモノマーの例は、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、及びラウリルメタクリレートである。アクリレートポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは周囲温度未満であり、アクリレートポリマーは、より低Tgのポリマーを形成することから、メタクリレートよりも一般的に好ましい。ポリブチルアクリレートが特に好ましい。アクリレートポリマーは、少量のみ、スチレン、アクリロニトリル、又はアクリルアミドなどの、他のモノマーを含んでもよい。アクリレートを、従来のラジカル重合又はリビングラジカル重合(原子移動ラジカル重合など)、可逆的付加開裂連鎖移動重合、又はアニオン重合(例えば、リビングアニオン重合)といった様々な方法により重合させることができる。
【0031】
加水分解性シリル基を有する他の好適な種類の有機ポリマーとしては、シリル変性ポリイソブチレンが挙げられる。
【0032】
1つの代替例では、アルコキシシリル末端有機ポリマーは、ポリエーテルである。このようなポリエーテルは、平均式(-CnH2n-O-)y[式中、nは2~4の整数であり、yは≧4、すなわち少なくとも4の整数である]により表される、繰り返しオキシアルキレン単位を含む。各ポリエーテルの数平均分子量は、約300~約10,000の範囲であり得る。更に、オキシアルキレン単位は、ポリオキシアルキレン全体にわたって必ずしも同一でなく、単位ごとに異なっていてもよい。ポリオキシアルキレンは、例えば、オキシエチレン単位(-C2H4-O-)、オキシプロピレン単位(-C3H6-O-)、若しくはオキシブチレン単位(-C4H8-O-)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリマー主鎖は、本質的に、オキシエチレン単位又はオキシプロピレン単位からなる。他のポリオキシアルキレンとしては、例えば、構造、
-[Re-O-(-Rf-O-)h-Pn-CRg
2-Pn-O-(-Rf-O-)q1-Re]-
[式中、Pnは、1,4-フェニレン基、Reは、各々、同一又は異なり、2~8個の炭素原子を有する、二価の炭化水素基であり、Rfは、各々、同一又は異なり、エチレン基又はプロピレン基であり、Rgは、各々、同一又は異なり、水素原子又はメチル基であり、下付文字h及びq1の各々は、3~30の範囲の正の整数である。]の単位を含んでもよい。
【0033】
1つの好ましい種類のポリエーテルには、式(-CnH2n-O-)[式中、nは2~4の整数である。]のオキシアルキレン繰り返し単位を含むポリオキシアルキレンポリマーがあり、上記のようにシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーに連結したものである。ポリオキシアルキレンポリマーは、通常、末端ヒドロキシル基を有し、例えば、過剰のアルキルトリアルコキシシランと反応させて末端アルキルジアルコキシシリル基を導入することにより、容易に湿気硬化性シリル基を末端とすることができる。あるいは、重合を、ヒドロシリル化型プロセスによって起こしてもよい。全体的に又は主にオキシプロピレン単位からなるポリオキシアルキレンの特性は、多くのシーラント用途に好適である。
【0034】
シリル変性炭化水素ポリマーの例としては、シリル変性ポリイソブチレンが挙げられる。シリル変性ポリイソブチレンは、例えば、シリル置換アルキルアクリレート又はメタクリレートモノマー(アルコキシジアルキルシリルプロピルメタクリレート、ジアルコキシアルキルシリルプロピルメタクリレート又はトリアルコキシシリルプロピルメタクリレートなど)から誘導した硬化性シリル基を含んでもよく、これは、ポリイソブチレンと反応することができる。
【0035】
基本的に、この種類の2成分型のシリコーンシーラントの硬化速度は、触媒パッケージ組成物中のスズ触媒濃度及びアミノシラン濃度の増加と共に加速され得る。しかし、触媒パッケージ中のアミノシラン濃度が増加すると、触媒パッケージマトリックス中のPDMSは、時間の経過と共に劣化し、次いで顕著な粘度低下を引き起こす傾向がある。また、触媒パッケージ配合物中のアミノシランが高濃度であると、シランとPDMSとの相溶性が悪いため、マトリックスが容易に分離される。上記現象の結果として、触媒パッケージ材料の貯蔵安定性が劇的に影響される。本研究の解決策により、貯蔵安定性の問題を解決することができたが、速い硬化性能を更に達成することができる。本発明者らの知見において、本発明者らは、異なる種類のアミノシランを高濃度で使用して、硬化速度を上げ、アルコキシル化シラン末端ポリエーテルを使用して、製品の貯蔵寿命を安定化させた。典型的には、アルコキシシリル末端有機ポリマー(i)は、担体として触媒パッケージ中に存在し、触媒パッケージの総重量の30~80重量%、あるいは40~65重量%の量で触媒パッケージ中に存在する。
【0036】
2成分型組成物の触媒パッケージはまた、1つ以上の二脚状シラン(ii)を含有する。触媒パッケージの二脚状シランは、以下の式によって定義することができる:
(R4O)m(Y1)3-m-Si(CH2)x-(NHCH2CH2)t-Q(CH2)x-Si(OR4)m(Y1)3-m
[式中、R4はC1~10アルキル基であり、Y1は炭素数1~8のアルキル基であり、Qは孤立電子対を有するヘテロ原子を含有する化学基、あるいはアミン又は尿素であり、各xは、1~6の整数であり、tは0又は1であり、各mは、独立して、1、2又は3、あるいは2又は3であり、更なる代替例では、m=3である]。
【0037】
1つの代替例では、Qは、二級アミンであり、各xは2~4である。
【0038】
二脚状シラン(ii)の例としては、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)アミン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)N-アルキルアミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)N-アルキルアミン及びビス(トリアルコキシシリルアルキル)尿素及びビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)尿素が挙げられる。
【0039】
特定の好適な例としては、例えば、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)アミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)尿素、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)尿素、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)尿素、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)アミン、ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)アミン、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)尿素、ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)尿素、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)アミン、ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)アミン、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)尿素、ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)尿素、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)尿素及び/又はビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)尿素が挙げられる。
【0040】
なおも更なる代替例では、二脚状シランは、次式のものである。
(R4O)3-Si(CH2)x-(NHCH2CH2)t-NH(CH2)x-Si(OR4)3
【0041】
この式の場合、二脚状シランは、ビス(3-トリプロピルオキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、並びにビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン
【化1】
又はビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン
【化2】
などのビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンから選択され得る。
【0042】
あるいは、二脚状シランは、N,N’-ビス((3-トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン
【化3】
などのビス(トリアルコキシシリルアルキル)アルキレンジアミンであり得る。
【0043】
二脚状シラン(ii)は、触媒パッケージ中のポリジアルキルシロキサン(i)と相溶性である。
【0044】
本明細書の種類の2部型組成物は、速い深部硬化をもたらし、そのため、かかる接着促進剤は、硬化速度、及び当然、組成物が塗布される基材表面への接着性を確保するために、かかる組成物中の必須成分である。二脚状シラン(ii)は、5~50重量%、あるいは10~30重量%の量で触媒パッケージ中に存在し得る。二脚状シラン(ii)は、架橋剤及び接着促進剤として機能し得、したがって追加の架橋剤は必須成分として提供されない。しかし、適切であると見なされる場合、追加の架橋剤が提供されてもよい。
【0045】
非二脚状接着促進剤(iii)
本明細書に記載の2成分型湿気硬化シリコーン組成物のために触媒パッケージに任意選択的に組み込まれ得る非二脚状接着促進剤(v)の例としては、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン(例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン又はγ-アミノプロピルトリメトキシシラン)などのアルコシキシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン(例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びグリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、メルカプト-アルキルアルコキシシラン、及びエチレンジアミンとシリルアクリレートとの反応生成物が挙げられる。ケイ素基を含むイソシアヌレート(1,3,5-トリス(トリアルコキシシリアルキル)イソシヌレートなど)を、更に用いてもよい。更に好適な接着促進剤(v)には、エポキシアルキルアルコキシシラン(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど)の、アミノ置換アルコキシシラン(3-アミノプロピルトリメトキシシランなど)との、及び任意選択的にアルキルアルコキシシラン(メチルトリメトキシシランなど)との反応生成物がある。典型的には、これらは、二脚状シラン(ii)と組み合わせて接着性を向上させるために、非二脚状接着促進剤(iii)の1~25重量%の、あるいは触媒パッケージの2~20重量%の範囲で存在する。
【0046】
触媒(iv)
触媒パッケージ中の第4の必須成分は、基剤成分と触媒パッケージ成分とを一緒に混合した後の硬化反応の触媒として使用するのに好適なスズ系縮合触媒(iv)である。例としては、スズトリフレート、有機スズ金属触媒、例えば、トリエチルスズタートレート、スズオクトエート、スズオレエート、スズナフテート、ブチルスズトリ-2-エチルヘキソエート、スズブチレート、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、イソブチルスズトリセロエート、及びジオルガノスズ塩、特に、ジオルガノスズジカルボキシレート化合物、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジブチレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズビスネオデカノエート、ジブチルスズジベンゾエート、第一スズオクトエート、ジメチルスズジネオデカノエート(DMTDN)及びジブチルスズジオクトエートが挙げられる。スズ触媒は、触媒パッケージの0.01~3重量%、あるいは、0.1~0.5重量%の量で存在してもよい。
【0047】
触媒パッケージはまた、架橋剤(v)、顔料(vi)、及び充填剤(vii)のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0048】
架橋剤(v)
必要に応じて、任意の好適な架橋剤を架橋剤(v)として使用してもよい。前述の硬化性組成物中に架橋剤(v)が存在する場合、ケイ素結合加水分解性基、例えばアシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基);ケトキシミノ基(例えば、ジメチルケトキシモ(ketoximo)基及びイソブチルケトキシミノ(isobutylketoximino)基);アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソブトキシ基及びプロポキシ基)、並びにアルケニルオキシ基(例えば、イソプロペニルオキシ基及び1-エチル-2-メチルビニルオキシ基)を含む、1つ以上のシラン又はシロキサンであり得る。
【0049】
シロキサン系架橋剤(v)の場合、存在する場合、触媒パッケージ中の分子構造は、直鎖、分枝状、又は環状であってよい。
【0050】
存在する場合、触媒パッケージの架橋剤(v)は、基剤成分中のシロキサンポリマー(a)の縮合性基に対して反応性である、1分子当たり好ましくは少なくとも3個又は4個のケイ素結合縮合性基(好ましくはヒドロキシル基及び/又は加水分解性基)を有する。触媒パッケージの架橋剤(v)がシランであり、かつ、当該シランが1分子当たり3個のケイ素結合加水分解性基を有する場合、第4の基は、好適には非加水分解性ケイ素結合有機基である。これらのケイ素結合有機基は、好適には、任意選択的にフッ素及び塩素などのハロゲンによって置換されたヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基);アルケニル基(例えば、ビニル基及びアリル基);アリール基(例えば、フェニル基及びトリル基);アラルキル基(例えば、2-フェニルエチル基)並びに前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基が挙げられる。ただし、好ましくは、第4のケイ素結合有機基は、メチル基である。
【0051】
架橋剤として使用されるシラン及びシロキサンとしては、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、アルキルトリアルコキシシラン、例えば、メチルトリメトキシシラン(MTM)及びメチルトリエトキシシラン、アルケニルトリアルコキシシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン(iBTM)が挙げられる。他の好適なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン(alkoxytrioximosilane)、アルケニルトリオキシモシラン(alkenyltrioximosilane)、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ-ブトキシジアセトキシシラン、フェニル-トリプロピオンオキシシラン(phenyl-tripropionoxysilane)、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ(methylethylketoximo))シラン、ビニル-トリス-メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペンオキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペンオキシ)シラン、エチルポリシリケート、n-プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、ジメチルテトラアセトキシジシロキサンが挙げられる。使用される架橋剤は、上記の2種以上の任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、触媒パッケージは、1~30重量%、あるいは5~25重量%の架橋剤(iii)を含んでもよい。
【0052】
顔料(vi)
顔料を、必要に応じて組成物を着色するため用いる。組成物と相溶性である限り、任意の好適な顔料を用いてもよい。2部型組成物では、顔料及び/又は着色された(非白色)充填剤、例えばカーボンブラックを触媒パッケージに利用して、最終のシーラント製品を着色してもよい。存在する場合、カーボンブラックは、充填剤及び着色剤の両方として機能する。
【0053】
充填剤(vii)
基剤成分に使用される充填剤のうちの1つは、適切であると判断された時/場合、触媒パッケージに使用されてもよい。シリカ、例えば、ヒュームドシリカ及び/又は炭酸カルシウムが好ましい。充填剤(vii)は、組成物の2つの部の混合比に応じて、0~50重量%の量で触媒パッケージ中に存在してもよい。
【0054】
必要に応じて他の添加剤を使用してもよい。これらとしては、熱安定剤、難燃剤、UV安定剤、硬化調整剤、電気伝導性充填剤、熱伝導性充填剤、並びに、殺真菌剤及び/又は殺生物剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
殺生物剤
必要な場合、殺生物剤を組成物中で更に用いてもよい。用語「殺生物剤」は、殺菌剤、殺真菌剤、及び殺藻剤などを包含するものである。本明細書に記載の組成物中で用いてもよい有用な殺生物剤の好適な例としては、例えば、
【0056】
カルバメート(メチル-N-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(カルベンダジム)及び他の好適なカルバメートなど)、10,10’-オキシビスフェノキシアルシン、2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、N-(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、ジヨードメチルp-トリルスルホン、紫外線安定剤との組み合わせに適切な場合、2,6-ジ(tert-ブチル)-p-クレゾール、3-ヨード-2-プロピニル(propinyl)ブチルカルバメート(IPBC)、亜鉛2-ピリジンチオール-1-オキサイド、トリアゾリル化合物及びイソチアゾリノン(4,5-ジクロロ-2-(n-オクチル)-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2-(n-オクチル)4-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、及びn-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BBIT)などが挙げられる。他の殺生物剤としては、例えば、亜鉛ピリジンチオン、1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-3-(1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)ペンタン-3-オール及び/又は1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾールを挙げることができる。
【0057】
好適には、殺真菌剤及び/又は殺生物剤は、組成物の0~0.3重量%の量で存在していてもよく、欧州特許第2106418号に記載されているとおり、要求される場合、カプセル化した形態で存在していてもよい。
【0058】
2部型組成物の場合、基剤成分は、基剤成分の総重量%を100重量%として、
10~90重量%のシロキサンポリマー(a)と、
10~80重量%の補強性充填剤(b)と、
0~20重量%の非補強性充填剤(c)と、
を含み、
触媒パッケージにおいて、触媒パッケージの総重量%を100重量%として、
30~80重量%のアルコキシシリル末端有機ポリマー(i)が、担体として触媒パッケージ中に存在し、触媒パッケージの総重量の30~80重量%あるいは40~65重量%の量で触媒パッケージ中に存在し、5~50重量%の二脚状シラン(ii)、あるいは10~30重量%の二脚状シラン(ii)と、
5~25重量%、あるいは2~20重量%の非二脚状接着促進剤(iii)と、
3重量%までのスズ系触媒と、あるいは、0.1~0.5重量%のスズ系触媒(iv)と、
0~25重量%、あるいは2~20重量%の架橋剤(v)と、
を含む。
【0059】
2部型シーラント組成物の場合には、各部の成分を、上記で与えられた範囲内の量で一緒に混合した後、基剤成分組成物及び触媒パッケージ組成物を、所定の比、例えば、15:1~1:1、あるいは14:1~5:1、あるいは14:1~7:1で、相互混合する。基剤成分:触媒パッケージの目標混合比が15:1以上である場合、一般的には、充填剤を触媒パッケージに用いない。しかし、基剤成分:触媒パッケージの目標混合比が15:1未満である場合、充填剤を触媒パッケージ中に、目標比が1:1の場合に、最大触媒パッケージの50%まで量を多くして用いてもよい。湿気硬化性組成物は、任意の好適な混合装置を用いて、成分を混合することにより調製することができる。
【0060】
結果として得られる組成物は、様々な用途、例えば、LEDランプなどの電子機器用途の接着剤、一般的な接着、及びポッタントなどに使用されてもよい。他の用途としては、コーティング、コーキング、金型作製、及び封入材料を伴う、使用が挙げられる。例えば、構造ガラス取付け、絶縁ガラス取付け、太陽電池用途のためのシーラントとして、工業用アセンブリにおいて及び/又は絶縁ガラスシーラントとしてのものである。また、耐候加工に使用されてもよい。
【0061】
本明細書において、前述のようなシリコーンシーラント組成物から硬化したシーラントで各ケースをシールした、遮断ガラスユニット及び/又は建物の外装要素、例えば、陳列ケース及び/又は構造体のガラス取付けユニット及び/又はガス充填遮断構造物パネルもまた、提供される。
【0062】
絶縁ガラスシーラント(例えば構造体のガラス取付けのため)としての、LED照明及び他の電子機器用途のシーラントとしての、及び/又はオーブン内のシーラントとしての、及び/又は基材上の構造体のコーティングとしての、上記のとおりのシーラント組成物の、使用。
【実施例】
【0063】
試験例1
本明細書の意図は、基材間の接着強度を改善するために、ヒドロシリル化硬化材料の代替として、LEDランプ基材用の縮合硬化接着剤/シーラントを提供することであった。2部型縮合硬化接着剤/シーラントは、速い深部硬化(24時間で90%超の強度)を提供し、20~120分間の典型的なスナップ時間を有する)、ほとんどの基材に対して良好な接着性を有する。これらは、このような組成物を硬化させるために使用されるスズ触媒が、例えば硫黄及びリンを含む他の化学物質によって不活性化されないという付加的な利点を有する。LED照明用途に好適であるために、スナップ時間を3~6分間に著しく低減する必要があり、接着性及び強度の増加は、30分以内に十分迅速である必要があった。
【0064】
触媒パッケージの組成を表1aに示す。2つの基剤組成物を本
試験例で利用し、表1bにおいて基剤(1)及び基剤(2)として識別した。この
試験例に関して、基剤(1)を利用した。
【表1】
【表2】
【0065】
触媒パッケージの経時的な粘度は、コーンプレートCP-41を1rpm及び5rpmで使用し、Brookfield(登録商標)コーンプレート粘度計(RV DIII)を使用して測定した。測定は、特に指示がない限り、25℃で行った。室温でエージングした試料について経時的に記録した結果を表1cに示し、50℃の温度でエージング後の経時的に記録した結果を表1dに示す。
【表3】
【表4】
【0066】
スナップ時間
表1dで規定された各期間後、分析した触媒パッケージを、上記の表1bの基剤(1)と混合し、スナップ時間を測定した。以下の表1eに値を示す。
【0067】
スナップ時間は、硬化組成物の表面上でスパチュラに、規則的な時間間隔(典型的には2~3分)で穏やかに触れることによって測定される。硬化が進行するにつれて、コーティングは粘度及び弾性を得る。これら2つが十分に高い場合、コーティングはスパチュラを「はじく(snaps off)」。コーティングのキャスティングとはじく効果の最初の観察との間の経過時間は、スナップ時間として記録される。この値は、コーティングの作業時間に関する指標を提供するので、実用的な重要性を有する。作業時間は、塗布器が適切に取り扱われ、加工されることを妨げる十分に高い粘度の状態に到達する前に、塗布器が材料と協働することができる時間として定義される。スナップ時間は、作業時間の大まかな見積りとして使用される。この場合、基剤2を、スナップ時間の測定のために触媒パッケージと混合した。
【表5】
【0068】
試験例1では、より高濃度の一級アミノシラン及びビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン接着促進剤の添加が確実にスナップ時間を向上させた一方で、これらは、使用される高濃度の接着促進剤が、触媒パッケージ中のシロキサンポリマー担体の不安定化をもたらし、触媒パッケージの粘度の顕著な低下、すなわち貯蔵安定性の悪さをもたらすという点で、他の問題に遭遇した。
【0069】
試験例2
この
試験例では
、2つの触媒パッケージ例1及び例2の
前述と同様の試験による安定性を、本発明に
対応する先行技術の非反応性シリコーン担体材料の安定性と比較する。使用した触媒パッケージの組成を表2aに示す。ポリエーテル(1)は、25℃で32000~45000mPa.sの粘度を有するトリメトキシシリル末端ポリエーテルであり、ポリエーテル(2)は、25℃で約120,000mPa.sの粘度を有するトリメトキシシリル末端ポリエーテルであった。
【表6】
【0070】
触媒パッケージの経時的な粘度は、特に指示がない限り、コーンプレートCP-41を5rpmで使用し、Brookfield(登録商標)コーンプレート粘度計(RV DIII)を使用して測定した。測定は、特に指示がない限り、25℃で行った。室温でエージングした試料について経時的に記録し、50℃の温度でエージングした後の経時的に記録した結果を表2bに示す。
【表7】
【0071】
触媒パッケージ中にポリエーテル(1)及び(2)担体材料を使用した組成物は、室温及び高温経時劣化の両方の後の経時的な粘度に関して適度に一定の測定値を保持したことが理解されるであろう。これらの結果を考慮して、異なるポリマー担体として、組成物中のポリエーテル及びシロキサンについて、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量値を決定した。結果を表2cに示す。
【表8】
【0072】
これらの結果は、表2bの結果を支持し、すなわち、ポリエーテル系ポリマーは、エージング中にそれらの重量平均分子量を保持している一方で、シロキサンは劣化して、粘度の顕著な減少をもたらし、触媒パッケージの安定性の欠如を示した。
【0073】
試験例3
この研究では、二脚状シラン(ii)の非存在下での高濃度の触媒の効果を測定することを意図しており、及びまた二脚状シラン(ii)の存在は、スナップ時間に影響を及ぼした。評価に使用した組成を表3aに示し、得られた結果を表3bに示す。
【表9】
【0074】
以下の表において、基材表面への接着性を、以下に説明するように、重ね剪断引張強度及び破壊の型(接着破壊/凝集破壊)を決定することによって評価した。
【0075】
重ね剪断引張強度基剤成分及び触媒パッケージを混合し、所定量の組成物の試料を、積層装置中の予め洗浄された第1の基材表面上に塗布した。第2の基材を、第1の基材に塗布された組成物の上に配置して、予めサイズ決めされた重なりを得た。2つの基材を圧縮し、過剰な組成物を除去した。試料を80℃の温度で30分間硬化させた後、5.1cm/分の速度で剥離(180°引張)ではなく剪断力によって引き離すことによって、重ね剪断引張強度を測定した。
【0076】
接着破壊/凝集破壊
接着破壊(AF)は、試料が基材表面からきれいに分離している(剥がれている)状態を指す。凝集破壊(CF)は、コーティング自体が基材表面から分離せずに破断するときに観察される。ほとんどの場合、凝集破壊は、それの以前に引き離された積層体上で観察された。いくつかの場合では、混合された破壊型が観察された。すなわち、一部の領域は、はがれている(すなわちAF)が、一部はコーティングで覆われたまま(すなわちCF)である。このような場合、CF(CF%)を示す割合を記録する(CF%+AF%=100%を念頭に置く)。この
試験例では、触媒パッケージを基剤1と混合した。
【表10】
【0077】
誤解を避けるために、PBTはポリブチレンテレフタレートである。PBTによる接着性試験は明らかに低い結果をもたらしたが、これらは未処理のPBTに対して標準的であり、実験は、活性化されたPBTで繰り返さなかった。
【0078】
二脚状シラン(ii)の非存在下ではスナップ時間は、必要とされるよりも顕著に遅いことが分かる。また、高濃度の触媒を含有する組成物は、ポリマー粘度、すなわち触媒パッケージ安定性を顕著に低減させることにも留意されたい。
【0079】
試験例4
この
試験例では、スズ系触媒(iii)なしで組成物が硬化するかどうかを判定することが求められた。使用した組成物を表4aに示す。
【表11】
スナップ時間結果などを求めるために、触媒パッケージを基剤1と混合した。
【表12】
【0080】
スズ触媒(iii)は、明確に組成物の必須成分であったことが確認された。
【0081】
試験例5
触媒パッケージを、以下の表5aに示されている触媒パッケージの組成を有する代替のアルコキシシリル末端有機ポリマー(i)の選択を用いて調製した。ここで、アルコキシシリル末端有機ポリマー(i)は以下のとおりであった。
【0082】
アクリレートポリマーは、25℃で約70Pa.sの粘度(E型粘度計)及び約-50℃のガラス温度を有するトリメトキシシリル末端ポリアクリレートであり、
【0083】
脂肪族ポリマー(1)は、23℃で約20,000mPa.sの粘度を有するアルコキシシリル末端脂肪族プレポリマーであった(M014-ISO 3219/A.3法)。
【0084】
脂肪族ポリマー(2)は、23℃で約30,000~50,000mPa.sの粘度を有するアルコキシシリル末端脂肪族プレポリマーであった(M014-ISO 3219/A.3法)。
【0085】
この場合、基剤1を触媒パッケージと混合した。
【表13】
【表14】
【表15】