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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】注射用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4196 20060101AFI20240116BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240116BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K31/4196
A61K9/00
A61K9/10
A61K47/20
A61K47/34
A61P35/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020557943
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2019065318
(87)【国際公開番号】W WO2019238740
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】18382413.5
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519346804
【氏名又は名称】ラボラトリオス ファーマシューティコス ロヴィ エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】フランコ ロドリゲス,ギレルモ
(72)【発明者】
【氏名】グティエロ アドゥリズ,イボン
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-523405(JP,A)
【文献】国際公開第2009/060473(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10~500mgのレトロゾールと、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーとを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適した筋肉内投与用の安定な徐放性レトロゾール組成物であって、前記PLAが粉砕され、ならびに、前記PLAが、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超える粒度質量分布を有し、および、前記PLAが、レーザー回折分析によって測定したときに、D90が330ミクロン以下、好ましくは280ミクロン以下である粒度体積分布を有し、および、前記PLAが、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、80%以下の前記粒子が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有し、および、前記PLAが、レーザー回折分析によって測定したときに、D80が135ミクロン以上である粒度体積分布を有し、前記組成物は溶媒としてDMSOを含み、前記インプラントからの前記活性剤の前記放出が、28日毎に前記活性剤の2~30%、好ましくは28日毎に前記活性剤の5~25%であり、ならびに/または、前記組成物が、1日0.1~2ミリグラムのレトロゾールを放出し、好ましくは1日0.13~0.80ミリグラムのレトロゾールを放出する、安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項2】
前記組成物が、50rpmの水平軌道運動、媒体がpHが7.4のPBS、温度が37±0.5°C、分析手法がHPLC/UV、波長が230nmで行ったインビトロ溶解試験において、30日で前記レトロゾールの最大30%、好ましくは30日で前記レトロゾールの最大25%を放出し、または、100日、好ましくは120日、より好ましくは130日で前記レトロゾールの最大50%を放出し、または、前記組成物が、140日、好ましくは180日、より好ましくは200日で前記レトロゾールの最大80%を放出し、または、組成物が、240日で前記レトロゾールの最大80%を放出することを特徴とする、請求項1に記載の安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項3】
前記組成物が、作用の即時発現を伴う前記薬剤を、少なくとも1ヶ月間、好ましくは少なくとも3ヶ月間、より好ましくは少なくとも6ヶ月間、さらに好ましくは少なくとも12ヶ月間連続的に放出する、請求項1または2に記載の安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項4】
前記組成物が、作用の即時発現を伴う前記薬剤を、3~6ヶ月の間に連続的に放出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項5】
前記組成物が、生体内におけるin situ固体、半固体またはゲルインプラントの形成に適した、注射用筋肉内デポおよび無菌組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項6】
前記組成物の前記成分を投与前の最大15分間、好ましくは投与前の最大10分間、より好ましくは投与前の最大5分間で混合することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の安定な徐放性レトロゾール組成物の調製工程。
【請求項7】
前記組成物が、レトロゾールとPLAの前記固体混合物に溶媒を混合することによって調製される、請求項6に記載の工程。
【請求項8】
それを必要とする患者に毎日0.1~2ミリグラムのレトロゾールを投与するのに使用するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項9】
それを必要とする患者に毎日0.13~0.8ミリグラムのレトロゾールを投与するための、請求項8に記載の使用のための安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記インプラント投与から2日後に1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する、請求項8または9に記載の使用のための安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記インプラント投与から2日後に1.5~30ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する、請求項8~10のいずれか一項に記載の使用のための安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項12】
前記インプラント投与から4日後のエストラジオール血漿レベルを1pg/ml未満に抑制するための、請求項8~11のいずれか一項に記載の使用のための安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項13】
アロマターゼ阻害、好ましくはヒトにおけるアロマターゼ阻害のための、請求項8~12のいずれか一項に記載の使用のための安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項14】
乳癌の治療のための、請求項8~13のいずれか一項に記載の使用のための安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項15】
ホルモン受容体陽性の早期乳癌を有する閉経後女性の補助治療のための、または以前に標準的なアジュバントタモキシフェン療法を受けた早期乳癌を有する閉経後女性の延長補助治療のための、またはホルモン受容体陽性もしくは不明の進行乳癌を有する閉経後女性の第一選択的および第二選択的治療のための、請求項8~14のいずれか一項に記載の使用のための安定な徐放性レトロゾール組成物。
【請求項16】
前記第1の容器またはシリンジが前記レトロゾールおよび前記PLAを含み、前記第2の容器またはシリンジが前記溶媒、好ましくはDMSOを含む、2つの容器またはシリンジを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物のin situ調製に使用するキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、癌治療において有用な組成物に関する。
【0002】
具体的には、本発明は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適したレトロゾール組成物を、それを必要とする患者に毎日0.1~2ミリグラム投入するための使用に関する。
【背景技術】
【0003】
疑いなく、癌治療の発展は必要なものであり、新規な分子的実体だけでなく、患者の生活の質を向上させるための医薬品も必要である。延長放出製剤の開発により総投与用量を減少することが可能となり、各用量の持続時間および投与回数が増加し、これにより患者の感情状態に好ましい影響を与えるので、この点において、延長放出製剤の開発は進展を意味する。
【0004】
この意味で、活性成分レトロゾールおよびアナストロゾールは、錠剤の連日投与以外の代替治療がない場合のホルモン受容体陽性の進行性乳癌を有する閉経後女性の補助治療における第一候補の活性成分であることから、本発明においてそれらがこのタイプの延長放出製剤のための候補医薬製剤として選択されている。
【0005】
レトロゾール(4,4’-(1h,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)ジベンゾニトリル)およびアナストロゾール(2,2’-[5-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)-1,3-フェニレン]ビス(2-メチルプロパネンイトリル))は、非ステロイド系アロマターゼ阻害薬と呼ばれる薬剤に属し、それらの作用機構は身体中のエストロゲン量を低減させることで構成される。この効果は、成長にエストロゲンを必要とする乳房中の多様なタイプの癌産生細胞の成長を減速または停止させることができる。
【0006】
現在、薬剤の放出を長期間制御できるレトロゾール製剤は市販されていない。医薬製剤としてのレトロゾールは、連日経口投与用の錠剤(Femara(登録商標))の形態でしか入手できない。
【0007】
乳癌の治療においては、一般的な癌の治療と同様に、患者の心理状態が極めて重要であるため、レトロゾールおよび/またはアナストロゾールの3ヶ月型製剤の開発は、実質的な生活の質の向上を意味し、連日投与によって引き起こされるであろう影響が低減する。この場合、疾病のモニタリング中に行われる検診は、通常、最初の数年間において3および6ヶ月毎に行われるため、製剤の投与が医師による診療と同時期となる可能性がある。
【0008】
同様の推論により、Zoladex(登録商標)などの前立腺癌の治療のための3ヶ月間皮下投与用ゴセレリン事前形成インプラント製剤、および避妊薬として用いられるエトノゲストレルの事前形成インプラントImplanon(登録商標)が市場に登場している。しかしながら、これらの事前形成インプラントは以下の一連の欠点を示す。
- 押し出しによりインプラントを調製するためには、高温が必要となるため、活性成分の劣化および潜在的に有毒な不純物の発生の原因となり得る。
- 活性成分の投与量が低い場合、製品の均質性が低くなる。
- 大径針を用いたインプラントの埋入または注入のための外科的処置が必要にある。
以下に示すように、いくつかの文献においてレトロゾールおよび/またはアナストロゾールのインプラント組成物についての公開文献を見出すことも可能である。
【0009】
例えば、国際公開第2008/041245号には、水性媒体中に懸濁された事前形成微小粒子から、in situゼリー化製剤に至る多様な投与形態において、アナストロゾールを含むアロマターゼ阻害薬などの多様な活性成分を含むインプラント組成物が記載されている。発生し得る活性成分と投与形態の全ての組み合わせをこの文献が十分に裏付けることができるかは疑わしいものの、実施例は常に事前形成微小粒子に言及しており、すなわち直接インプラントを「in situ」で形成するシステムを全く記載していない。最後に、実施例のいずれも60日を超える期間を示していないことも指摘すべきである。
【0010】
国際公開第2010/065358(A1)号には、テストステロンの連続的投与とそのエストラジオールへの変換の防止を目的とした、テストステロンおよびアロマターゼ阻害薬を含む薬剤の投与のための組成物が記載されている。当該記載は、投与形態がインプラントであり得る可能性を考慮するものの、唯一の投与形態の例はペレットのみである。
【0011】
また、国際公開第2012/074883(A1)号には、医薬製剤の投与のための生分解性組成物についての記載がある。これらの組成物はインプラントを液状または半固形状態で維持するために、安息香酸ベンジルまたはベンジルアルコールなどの非水溶性溶媒の使用を必要とする。これらの溶媒は突発的放出を提供することがすでに判明しているので、本発明の延長放出組成物には不適切である。
【0012】
最後に、米国特許出願公開第2008/0206303(A1)号には、多様な溶媒を伴い得るPLAまたはPLGAポリマーを含むアナストロゾールの延長放出製剤が記載されている。しかしながら、当該発明の実施形態において、用いられる溶媒は、ベンジルアルコールおよびn-メチル-2-ピロリドン(NMP)であり、これらの溶媒は、非常に大きなバーストを生じ、その後の放出はほとんどゼロに近い。実際には、この文献の発明者らにとって許容可能なバーストは、1日あたり25~30%と極めて高い値であり、そのため、それらの実施例のいずれも60日以上持続せず、特にヒトに類似する動物であるイヌの場合、放出は35日を超えて持続しなかった。最後に、この文献ではレトロゾールの粒度についても、製剤の挙動におけるこの要素の重要性についても言及されていない。
【0013】
したがって、ホルモン受容体陽性の閉経後女性における乳癌の第一選択的補助治療のための、レトロゾールおよび/またはアナストロゾールの3ヶ月型製剤を得ることが望ましい。この理由により、本発明のin-situ形成インプラントの技術は、現行の事前形成インプラントに基づく製剤によって示される欠陥の大部分を克服する。この技術は、患者のための実用的かつ有効な代替的治療を提供し、少なくとも60日間持続する治療プロファイルを達成する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ホルモン抑制のために必要なレトロゾール血漿レベルを少なくとも6ヶ月間維持することができるin situ筋肉内インプラントを形成するのに適したレトロゾール組成物に関する。
この長期的なホルモン抑制療法は、ヒトにおいて、毎日の経口投与による治療と比較して、優れた臨床転帰を提供することが示されている。本明細書に記載されたレトロゾール製剤は、血漿中の薬剤の治療レベルを開始時から、少なくとも6ヶ月間にわたって継続的に得ることを可能にし、毎日の服用を避けることで、患者の生活の質を向上させることができる。
【0015】
また、(経口治療と比較して)より低い有効量のレトロゾール血漿レベルを持続的に投与することにより、薬剤への曝露量が少ないため、有害な副作用(骨量減少、骨・関節・筋肉痛、脂質異常症)が軽減される。さらに、本発明は、治療期間のアドヒアランスにポジティブな影響を与える、より良好かつ安全なプロファイルを提供する。本発明者らは、レトロゾールの臨床効果に必要な投与量が、考えられていたよりもはるかに少ないことを見出した。したがって、本発明の組成物は、投与後、少なくとも経口療法の初期段階で、従来の組成物よりもはるかに少ない用量で、アロマターゼ阻害のための有効なレトロゾール療法を提供し、長期間(少なくとも6ヶ月)にわたってそのような低用量の持続的かつ安定した放出を提供し、有害な副作用を低減することができる。
【0016】
本発明の発明者らは、ポリマーの特定の粒度が使用される場合に、好ましい臨床的に適した優れた組成物が達成されることを見出した。投与前に組成物を調製すると、ポリマーが溶媒に溶解するため、当初は粒度は関係ないと考えられた。しかしながら、本発明者らは、ポリマーの粒度が実際に、インプラントからの活性成分の放出に影響を与え、また、これらのタイプの組成物を、再構成後すぐに筋肉内注射によって投与する必要があるため、インプラント投与の臨床適性にも影響を与えることを見出した。図に示すように、ポリ乳酸(PLA)の粒度が制御された本発明の組成物は、ホルモン抑制にまだ有効であるため、より長い期間にわたって使用しかつ有害な副作用を低減することができるより低い薬剤血漿レベルを持ち得るインプラントからの薬剤放出を提供する。
【0017】
本発明は、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250以下のミクロンを有する粒度質量分布のような粒度分布を有するPLAを含む注射用デポ組成物に関し、および/または、PLAは、レーザー回折分析によって測定したときに、D90が330ミクロン以下、好ましくは280ミクロン以下である粒度体積分布を有し、および/または、PLAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、80%以下の該粒子が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有し、および/または、PLAは、レーザー回折分析によって測定したときに、D80が135ミクロン以上である粒度体積分布を有する。
【0018】
本発明は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むレトロゾール組成物に関し、PLAは、粉砕され、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250ミクロン以下である粒度質量分布を有する。
【0019】
また、本発明は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むレトロゾール組成物に関し、PLAは、粉砕され、レーザー回折分析によって測定したときに、D90が330ミクロン以下、好ましくは280ミクロン以下である粒度体積分布を有する。
【0020】
また、本発明は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むレトロゾール組成物に関し、PLAは、粉砕され、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250ミクロン以下である粒度質量分布を有し、ここで、80%以下の粒子が125ミクロン未満の粒度を有する。
【0021】
また、本発明は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むレトロゾール組成物に関し、PLAは、粉砕され、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、80%以下の粒子が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有する。
【0022】
また、本発明は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むレトロゾール組成物に関し、PLAは、粉砕され、レーザー回折分析によって測定したときに、D90が330ミクロン以下、好ましくは280ミクロン以下であり、かつD80が135ミクロン以上である粒度体積分布を有する。
【0023】
また、本発明は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むレトロゾール組成物に関し、PLAは、粉砕され、粒度を有し、および/または、前記PLAは、レーザー回折分析によって測定したときに、D80が135ミクロン以上である粒度体積分布を有する。
【0024】
10~500mgのレトロゾールと、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーとを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適した筋肉内投与用の安定な徐放性レトロゾール組成物に関し、PLAは粉砕され、ならびに/または、PLAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250ミクロン以下である粒度質量分布を有し、および/もしくは、PLAは、レーザー回折分析によって測定したときに、D90が330ミクロン以下、好ましくは280ミクロン以下である粒度体積分布を有し、および/もしくは、PLAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、80%以下の粒子が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有し、および/もしくは、PLAは、レーザー回折分析によって測定したときに、D80が135ミクロン以上である粒度体積分布を有し、インプラントからの活性剤の放出が、28日毎に活性剤の2~30%、好ましくは28日毎に活性剤の5~25%であり、ならびに/または、組成物が、1日0.1~2ミリグラムのレトロゾールを放出し、好ましくは1日0.13~0.80ミリグラムのレトロゾールを放出する。
【0025】
好ましい実施形態では、組成物は、水混和性溶媒を含み、好ましくは、溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0026】
本明細書で使用される用語「安定な」は、レトロゾールを含む医薬組成物を意味し、ここで、そのような組成物を40℃および75%の相対湿度(RH)で2ヶ月間保存した場合、レトロゾールの分解に由来する不純物の総含有量が、230nmでの液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定された5%の面積、好ましくは3%の面積、より好ましくは2%の面積、最も好ましくは1%の面積を超えない。
【0027】
USP<786>に準拠した分析的ふるいでPLAの粒度を測定した場合、振幅が0.65mm、振とう時間が5分である。レーザー回折分析によってPLAの粒度を測定した場合、湿式分散法により粒度を決定する。サンプルの前処理を行わなかった。サンプルを直接分散媒体(水)に添加した。分散機構を3000rpmで撹拌した。好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性レトロゾール組成物は、50rpmの水平軌道運動、媒体がpHが7.4のPBS、温度が37±0.5°C、分析手法がHPLC/UV、波長が230nmで行ったインビトロ溶解試験において、30日でレトロゾールの最大30%、好ましくは30日でレトロゾールの最大25%を放出し、または、100日、好ましくは120日、より好ましくは130日でレトロゾールの最大50%を放出し、または、組成物は、140日、好ましくは180日、より好ましくは200日でレトロゾールの最大80%を放出し、または、組成物は、240日でレトロゾールの最大80%を放出することを特徴とする。
【0028】
好ましい実施形態では、組成物は10~450mgのレトロゾールを含む。好ましい実施形態では、組成物は30~90mgのレトロゾールを含む。好ましい実施形態では、組成物は80~150mgのレトロゾールを含む。好ましい実施形態では、組成物は150~250mgのレトロゾールを含む。好ましい実施形態では、組成物は350~450mgのレトロゾールを含む。
【0029】
用語「活性成分」または「活性剤」は、治療に有効な化合物、およびその任意のプロドラッグ、ならびに化合物およびプロドラッグの薬学的に許容され得る塩、水和物および溶媒和物を指す。本発明では、活性剤はレトロゾールである。
【0030】
好ましい実施形態では、PLAの末端基はエステル基である。
【0031】
好ましい実施形態では、レトロゾールの粒度は、レーザー回折分析(体積分布)によって測定した場合、粒子の10%未満が20ミクロン未満の粒度を有し、粒子の10%未満が350ミクロンより大きい粒度を有し、かつD50が70~200ミクロンである。
【0032】
好ましい実施形態では、組成物は、投与前の組成物の全重量に対して、5~40wt%のレトロゾール、20~40wt%のPLA、20~80wt%のDMSOを含む。好ましくは、組成物は、投与前の組成物の全重量に対して、15~35wt%のレトロゾール、25~35wt%のPLA、および30~60wt%のDMSOを含む。好ましくは、組成物は、投与前の組成物の全重量に対して、18~28wt%のレトロゾール、30~35wt%のPLA、および37~52wt%のDMSOを含む。
【0033】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態は、好ましくは本質的に、好ましくは30mg~90mgのレトロゾールと、DMSOと、無菌生分解性PLAとを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適した筋肉内投与用の安定な徐放性レトロゾール組成物に関し、PLAの末端基はエステル基であり、PLAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250ミクロン以下である粒度質量分布を有し、かつ、80%以下の粒子が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有し、インプラントからの活性剤の放出は、28日毎に活性剤の2~30%、好ましくは28日毎に活性剤の5~25%であり、レトロゾールの粒度は、レーザー回折分析(体積分布)によって測定したときに、10%未満の粒子が20ミクロン未満の粒度を有し、10%未満の粒子が350ミクロンより大きい粒度を有し、D50が70~200ミクロンであり、組成物は、投与前の組成物の全重量に対して、15~35wt%のレトロゾール、25~35wt%のPLAおよび30~60wt%のDMSOを含み、組成物は、毎日0.1~2ミリグラムのレトロゾールを放出し、安定な徐放性組成物は、インプラントの投与から2日後に1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。
【0034】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態は、好ましくは本質的に、好ましくは80mg~150mgのレトロゾールと、DMSOと、無菌生分解性PLAとを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適した筋肉内投与用の安定な徐放性レトロゾール組成物に関し、PLAの末端基はエステル基であり、PLAの末端基はエステル基であり、PLAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250ミクロン以下である粒度質量分布を有し、LAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、粒子の80%以下が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有し、インプラントからの活性剤の放出は、28日毎に活性剤の2~30%、好ましくは28日毎に活性剤の5~25%であり、レトロゾールの粒子径は、レーザー回折分析(体積分布)によって測定したときに、10%未満の粒子が20ミクロン未満の粒度を有し、10%未満の粒子が350ミクロンより大きい粒度を有し、D50が70~200ミクロンであり、組成物は、投与前の組成物の全重量に対して、15~35wt%のレトロゾール、25~35wt%のPLAおよび30~60wt%のDMSOを含み、組成物は、毎日0.1~2ミリグラムのレトロゾールを放出し、安定な徐放性組成物は、インプラントの投与から2日後に1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。
【0035】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態は、好ましくは本質的に、好ましくは150mg~250mgのレトロゾールと、DMSOと、無菌生分解性PLAとを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適した筋肉内投与用の安定な徐放性レトロゾール組成物に関し、PLAの末端基はエステル基であり、PLAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250ミクロン以下である粒度質量分布を有し、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、80%以下の粒子が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有し、インプラントからの活性剤の放出は、28日毎に活性剤の2~30%、好ましくは28日毎に活性剤の5~25%であり、レトロゾールの粒度は、レーザー回折分析(体積分布)によって測定したときに、10%未満の粒子が20ミクロン未満の粒度を有し、10%未満の粒子が350ミクロンより大きい粒度を有し、D50が70~200ミクロンであり、組成物は、投与前の組成物の全重量に対して、15~35wt%のレトロゾール、25~35wt%のPLAおよび30~60wt%のDMSOを含み、組成物は、毎日0.1~2ミリグラムのレトロゾールを放出し、安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。
【0036】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態は、好ましくは本質的に、より好ましくは350mg~450mgのレトロゾールと、DMSOと、無菌生分解性PLAとを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適した筋肉内投与用の安定な徐放性レトロゾール組成物に関し、PLAの末端基はエステル基であり、PLAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250ミクロン以下である粒度質量分布を有し、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、80%以下の粒子が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有し、インプラントからの活性剤の放出は、28日毎に活性剤の2~30%、好ましくは28日毎に活性剤の5~25%であり、レトロゾールの粒度は、レーザー回折分析(体積分布)によって測定したときに、10%未満の粒子が20ミクロン未満の粒度を有し、10%未満の粒子が350ミクロンより大きい粒度を有し、D50が70~200ミクロンであり、組成物は、投与前の組成物の全重量に対して、15~35wt%のレトロゾール、25~35wt%のPLAおよび30~60wt%のDMSOを含み、組成物は、毎日0.1~2ミリグラムのレトロゾールを放出し、安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。
【0037】
好ましい実施形態では、レトロゾールおよびPLAは組成物の第1の成分(第1のシリンジ)内にあり、溶媒は組成物の別個の成分(第2のシリンジ)内にある。
【0038】
別の態様では、本発明は、第1の態様の組成物のin situ調製に適したキットに関し、2つの容器またはシリンジを含み、第1の容器またはシリンジはレトロゾールおよびPLAを含み、第2の容器またはシリンジは溶媒、好ましくはDMSOを含む。
【0039】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の安定な徐放性レトロゾール組成物の調製工程に関し、組成物の成分を、投与前の最大15分間で、好ましくは投与前の10分間で、より好ましくは投与前の5分間で混合することを含む。好ましい実施形態では、活性成分およびPLAは混合された状態で送達される。
【0040】
好ましい実施形態では、調製後の組成物は懸濁液である。好ましくは、薬剤は懸濁液内にあり、PLAは溶媒に溶解している。
【0041】
好ましい実施形態では、組成物は、溶媒、好ましくはDMSOを、レトロゾールおよびPLAの前の固体混合物と混合することによって調製される。第3の態様の好ましい実施形態では、組成物は、まず、活性剤をPLAと混合し、次いで溶媒を添加することによって調製(再構成)される。
【0042】
第3の態様では、本発明は、第1の態様の安定な徐放性組成物を必要とする患者に毎日0.1~2ミリグラムのレトロゾールを投与するための使用に関する。
【0043】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、それを必要とする患者に毎日0.1~1.25ミリグラム(mg)のレトロゾールを投与するために使用される。好ましくは、第1の態様の安定な徐放性組成物は、それを必要とする患者に0.1~1.20mg、好ましくは0.13~1.15mg、より好ましくは0.13~1.10mg、さらに好ましくは0.13~0.8mgのレトロゾールを毎日投与するために使用される。
【0044】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。好ましくは、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に、1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを、少なくとも6ヶ月間、または6~12ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間連続的に提供する。
【0045】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に1.5~30ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。好ましくは、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に、1.5~30ng/mlのレトロゾール血漿レベルを、少なくとも6ヶ月間、または6~12ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間連続的に提供する。
【0046】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に1.5~25ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。好ましくは、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に、1.5~25ng/mlのレトロゾール血漿レベルを、少なくとも6ヶ月間、または6~12ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間連続的に提供する。
【0047】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に1.5~20ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。好ましくは、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に、1.5~20ng/mlのレトロゾール血漿レベルを、少なくとも6ヶ月間、または6~12ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間連続的に提供する。
【0048】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に1.5~15ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。好ましくは、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に、1.5~15ng/mlのレトロゾール血漿レベルを、少なくとも6ヶ月間、または6~12ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間連続的に提供する。
【0049】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に1.5~10ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。好ましくは、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から2日後に、1.5~10ng/mlのレトロゾール血漿レベルを、少なくとも6ヶ月間、または6~12ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間連続的に提供する。
【0050】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、インプラント投与から4日後のエストラジオール血漿レベルを1pg/ml未満に抑制するために使用される。
【0051】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、作用の即時発現を伴う薬剤を、少なくとも1ヶ月間、好ましくは少なくとも3ヶ月間、より好ましくは少なくとも6ヶ月間、さらに好ましくは少なくとも12ヶ月間連続的に放出する。好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、作用の即時発現を伴う薬剤を、1~12ヶ月間、または9~12ヶ月間、より好ましくは1~10ヶ月間、さらに好ましくは1~6ヶ月間連続的に放出する。
【0052】
本明細書で使用される表現「作用の即時発現」は、本発明の組成物によって達成されるエストロゲン血漿レベルの抑制が、Femara(登録商標)による経口治療によって達成される抑制と少なくとも同じくらい早いこと、すなわち、4日目にはエストラジオール(E2)が検出され得ないことを意味する(図1、6および7を参照)。
【0053】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、作用の即時発現を伴う薬剤を、3~6ヶ月間連続的に放出する。
【0054】
好ましい実施形態では、第1の態様の安定な徐放性組成物は、生体内におけるin situ固体、半固体またはゲルインプラントの形成に適した、注射用筋肉内デポおよび無菌組成物である。
【0055】
本発明の組成物は、好ましくはヒトに使用される。
【0056】
別の態様において、本発明は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適したレトロゾール組成物を、それを必要とする患者に毎日0.1~2ミリグラム投入するための使用に関する。好ましくは、その使用は、それを必要とする患者に毎日0.13~1.25ミリグラムを投与するためのものである。
【0057】
好ましい実施形態では、組成物は、インプラント投与から2日後に1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。より好ましくは、組成物は、インプラント投与から2日後に1.5~30ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する。
【0058】
本態様の好ましい実施形態では、組成物は、インプラント投与から4日後のエストラジオール血漿レベルを1pg/ml未満に抑制するために使用される。
【0059】
本態様の好ましい実施形態では、組成物は、好ましくはヒトにおけるアロマターゼ阻害のために使用される。本態様の好ましい実施形態では、組成物は、乳癌を治療するために使用される。本態様の好ましい実施形態では、組成物は、ホルモン受容体陽性の早期乳癌を有する閉経後女性の補助治療のために、または以前に標準的なアジュバントタモキシフェン療法を受けた早期乳癌を有する閉経後女性の延長補助治療のために、またはホルモン受容体陽性もしくは不明の進行乳癌を有する閉経後女性の第一選択的および第二選択的治療のために、またはそれらの任意の組み合わせのために使用される。
【0060】
本発明の別の態様は、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含む筋肉内投与用レトロゾール組成物であって、組成物は毎日0.1~2ミリグラムを放出する。
【0061】
本態様の好ましい実施形態では、組成物は、作用の即時発現を伴う薬剤を、少なくとも1ヶ月間、好ましくは少なくとも3ヶ月間、より好ましくは少なくとも6ヶ月間、さらに好ましくは少なくとも12ヶ月間連続的に放出する。本態様の好ましい実施形態では、組成物は、作用の即時発現を伴う薬剤を、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、または少なくとも12ヶ月の間に連続的に放出する。好ましい実施形態では、組成物は、作用の即時発現を伴う薬剤を、少なくとも12ヶ月間連続的に放出する。別の好ましい実施形態では、組成物は、即時発現の発現を伴う薬剤、3~6ヶ月間に連続的に放出する。
【0062】
本態様の好ましい実施形態では、組成物は、生体内におけるin situ固体、半固体またはゲルインプラントの形成に適した、注射用筋肉内デポおよび無菌組成物である。
【0063】
本発明は、ホルモン抑制のために必要なレトロゾール血漿レベルを少なくとも6ヶ月間維持できるin situ筋肉内インプラントを形成するのに適したレトロゾール組成物に関する。
【0064】
この長期持続型ホルモン抑制療法は、ヒトにおいて、毎日の経口投与による治療と比較して、優れた臨床転帰が得られることが示されている。
【0065】
また、(経口治療と比較して)より低い有効量のレトロゾール血漿レベルを持続的に投与することにより、薬剤への曝露量が少ないため、有害な副作用(骨量減少、骨・関節・筋肉痛、脂質異常症)が軽減される。さらに、本発明は、治療期間のアドヒアランスにポジティブな影響を与える、より良好かつ安全なプロファイルを提供する。
【条項】
【0066】
1.- ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含むin situ筋肉内インプラントの形成に適したレトロゾール組成物の、それを必要とする患者に毎日0.1-2ミリグラム投入するための使用。
2.- それを必要とする患者に毎日0.1~1.25ミリグラム投与するための、第1項に記載の使用。
3.- 組成物が、インプラント投与から2日後に1~40ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する、第1項または第2項に記載の使用。
4.- 組成物は、インプラント投与から2日後に1.5~30ng/mlのレトロゾール血漿レベルを提供する、第1項~3項のいずれか一項に記載の使用。
5.- インプラント投与から4日後のエストラジオール血漿レベルを1pg/ml未満に抑制するための、第1項~4項のいずれか一項に記載の使用。
6.- 組成物は毎日0.1~2ミリグラムを放出する、ポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含む筋肉内投与用レトロゾール組成物。
7.- 組成物は、作用の即時発現を伴う薬剤を、少なくとも1ヶ月間、好ましくは少なくとも3ヶ月間、より好ましくは少なくとも6ヶ月間、さらに好ましくは少なくとも12ヶ月間連続的に放出する、第6項に記載のポリ乳酸(PLA)の無菌生分解性熱可塑性ポリマーを含む筋肉内投与用レトロゾール組成物。
8.- 前記組成物は、作用の即時発現を伴う薬剤を、3~6ヶ月の間に連続的に放出する、第6項または第7項に記載のレトロゾール組成物。
9.- 組成物は、生体内におけるin situ固体、半固体またはゲルインプラントの形成に適した、注射用筋肉内デポおよび無菌組成物である、第6項~第8項のいずれか一項に記載のレトロゾール組成物。
10.- PLAは、粉砕され、ならびに/または、PLAは、USP<786>にに準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超え、好ましくは250ミクロン以下である粒度質量分布を有し、および/もしくは、レーザー回折分析によって測定したときに、D90の体積が330ミクロン以下、好ましくは280ミクロン以下である粒度質量分布を有し、および/もしくは、PLAは、USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、80%以下の粒子質量が125ミクロン以下の粒度を有する粒度分布を有し、および/もしくは、レーザー回折分析によって測定したときに、D80の体積が135ミクロン以上である粒度分布を有する、第6項~第9項のいずれか一項に記載のレトロゾール組成物。
11.- 組成物は、50rpmの水平軌道運動、媒体がpHが7.4のPBS、温度が37±0.5°C、分析手法がHPLC/UV、波長が230nmで行ったインビトロ溶解試験において、30日でレトロゾールの最大30%、好ましくは30日でレトロゾールの最大25%を放出し、または、100日、好ましくは120日、より好ましくは130日でレトロゾールの最大50%を放出し、または、組成物は、140日、好ましくは180日、より好ましくは200日でレトロゾールの最大80%を放出し、または、組成物は、240日でレトロゾールの最大80%を放出することを特徴とする、第6項~第10項のいずれか一項に記載のレトロゾール組成物。
【図面の簡単な説明】
【0067】
以下の図は、本発明の目的を容易に理解するために提供されているが、何らの限定を意味するものではない。
図1】低用量での急速かつ持続的なエストラジオール抑制を示す。Femara(登録商標)または本発明の組成物の投与後に観察されたエストラジオール血漿レベル(pg/ml)を示す。
図2】急速かつ持続的なレトロゾール血漿レベルを示す。Femara(登録商標)または本発明の組成物の投与後に観察されたレトロゾール血漿レベル(ng/ml)を示す。
図3】USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、10%以上の粒子が300ミクロン以上の粒度を有する粒度質量分布を有するPLAを含む組成物からのインビトロ溶解試験における、放出されたレトロゾールの累積百分率を示す。
図4】インビトロ溶解試験における本発明の組成物からの放出されたレトロゾールの累積百分率を示す。
図5】USP<786>に準拠した分析的ふるい分けによって測定したときに、少なくとも80%の粒子が125ミクロン以下の粒度を有する粒度質量分布を有するPLAを組成物からのインビトロ溶解試験における放出されたレトロゾールの累積百分率を示す。
図6】Femara(登録商標)またはレトロゾール50mgの本発明の組成物の投与後に観察されたエストラジオール血漿レベル(pg/ml)を示す。
図7】Femara(登録商標)またはレトロゾール100mgの本発明の組成物の投与後に観察されたエストラジオール血漿レベル(pg/ml)を示す。
図8】急速かつ持続的なレトロゾールの平均血漿レベルを示す。Femara(登録商標)または本発明の組成物の投与後に観察されたレトロゾール血漿レベル(ng/ml)を示す。
図9】レーザー回折分析によって測定した本発明の組成物のPLAの粒度分布を示す。横軸は、マイクロメートル単位での粒度を示す。縦軸は、体積(%)、対応する粒度を有する粒子の百分率を示し、水中での湿式分散法によるレーザー回折と3000rpmでの撹拌による分散によって測定された。
【実施例
【0068】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、限定するものと見なされるべきではない。
(実施例1:組成物)
【0069】
以下の製剤を調製する。
【0070】
すぐに使用できる製剤は、例えば、調製し、筋肉内注射のために使用する準備ができたシリンジに含めることができる。同一の製剤は、例えば、一方がオスシリンジであり一方がメスシリンジであるか、またはDMSO中のPLA溶液が一方のシリンジ内にありかつレトロゾールが第2のシリンジ内で固形形態にあるコネクタで連結された2つのオスシリンジである、2つのシリンジのキットの一部を形成することができる。同様に、最終組成物は、例えば、固体状態のPLAおよびレトロゾールの入った第1のシリンジおよび第2のシリンジ内の溶媒(DMSO)を維持することによって得ることができる。

製剤1:
製剤2:懸濁液状レトロゾール製剤

製剤2中のレトロゾールの粒度をレーザー光線回折技術(Malvern Mastersizer2000、オブスキュレーションが9.41%になるまで水中で懸濁)により特性解析したところ、以下の分布(%体積で)を有していた:d(0.1)=38.21μm、d(0.5)=141.35μmおよびd(0.9)=312.13μm。
製剤3:
製剤4:

製剤5:

製剤6:
製剤7~12:
好ましい組成物では、活性剤組成物中の%w/wは20.0~27.0%であった。PLA組成物中の%w/wは、20.0~50.0%であった。溶媒組成物中の%w/wは23.0~60.0%であった。組成物をシリンジ内で混合して、適切なインプラントを形成した。
【0071】
これらの組成物には、異なるタイプのPLAが使用された:
1.USP<786>に準拠した分析ふるい分けによって測定したときに、10%以上の粒子が300ミクロン以上の粒度を有する粒度質量分布を有するPLA。
2.レーザー回折分析によって測定したときに、D90が330ミクロンを超える粒度体積分布を有するPLA。
3.USP<786>に準拠した分析ふるい分けによって測定したときに、10%以下の粒子が300ミクロンを超える粒度を有し、80%以下の粒子が125ミクロン未満の粒度を有する粒度質量分布を有するPLA。
4.レーザー回折分析によって測定したときに、D90が330ミクロン以下であり、D80が135ミクロン以上である粒度体積分布を有するPLA。
5.USP <786>に準拠した分析ふるいによって測定したときに、80%を超える粒子の粒度が125ミクロン未満である粒度質量分布を有するPLA。
6.レーザー回折分析によって測定したときに、D80が135ミクロン未満である粒度体積分布を有するPLA。
【0072】
本発明の組成物は、まず、活性剤をPLAと乾燥混合し、次いで溶媒、好ましくはDMSOを添加してPLAを溶解し、活性剤の懸濁液を有するように調製された。注射の直前に再構成工程
を実施し、調製時間は、IM組成物を投与する前に、15分、好ましくは10分、より好ましくは5分を超えない。
【0073】
このようにして調製したインプラントを、以下の溶解試験に使用した:50rpmの水平軌道運動、媒体がpH7.4のPBS、温度が 37±0.5°Cで分析手法がHPLC/UV、波長が230nm。
【0074】
PLA1および2については、好ましい調製時間を適用した場合には、所望するほど十分な徐放性が得られないことが観察された(図3)。図3の組成物で使用したPLAは、USP<786>に準拠した分析ふるい分けによって測定したときに、18.1%の粒子が300ミクロンより大きく、28.3%の粒子が125ミクロンより小さい粒子である粒度質量分布を有していた。前記PLAは、レーザー回折分析によって測定したときに、D90が421ミクロン、D80が324ミクロンである粒度体積分布を有していた。
【0075】
しかし、PLA3および4については、十分な徐放性が得られた(図4)。図4の組成物で使用したPLAは、USP<786>に準拠した分析ふるい分けによって測定したときに、0.8%の粒子が300ミクロンより大きく、58.5%の粒子が125ミクロンより小さい粒子である粒度質量分布を有していた。前記PLAは、レーザー回折分析によって測定したときに、D90が214ミクロン、D80が170ミクロンである粒度体積分布を有していた。
【0076】
PLA5および6を使用した場合、大きくて硬い凝集体が形成され、15分以下の好ましい時間内に組成物を調製することができなかった。したがって、この組成物は臨床的に適していないと考えられた。いずれの場合でも、インプラントを分析したところ、所望した徐放結果が得られた(図5)。図5の組成物で使用したPLAは、USP<786>に準拠した分析ふるい分けによって測定したときに、1.6 %の粒子が300ミクロンより大きく、88.8 %の粒子が125ミクロンより小さい粒子である粒度質量分布を有していた。前記PLAは、レーザー回折分析によって測定したときに、D90が155ミクロン、D80が124ミクロンである粒度体積分布を有していた。
【0077】
(粒度の決定)
(USP<786>に準拠した分析ふるい分け)
以下の粒度を用いて、ふるい積み上げ法によりPLA粒子の粒度質量分布を求めた。425>355>300>250>212>180>150>125>106>75。振幅は0.65mm、振とう時間は5分であった。
【0078】
(レーザー光の回折)
PLAの粒度分布は、体積分布として表され、湿式分散法によるレーザー回折技術によって決定された。サンプルの前処理を行わなかった。サンプルを直接分散媒体(水)に添加した。分散機構を3000rpmで撹拌し、サンプルを30秒間安定化させてから測定した。
【0079】
(第一段階の予備結果)
予備結果は、この持続的かつ長期的なホルモン抑制療法が、毎日の経口投与による治療と比較して、優れた臨床転帰が得られることを示している。
HTの早期中止と非遵守は一般的であり、死亡率の増加と関連し、レトロゾールISM(登録商標)による治療コンプライアンスの改善は、治療を強化する可能性がある。
(経口治療と比較して)より低い有効量を持続的に投与することにより、薬剤への曝露量が減少し、副作用(骨量減少、骨・関節・筋肉痛、脂質異常症)が軽減され得る。
より安全なプロファイルは、治療期間のアドヒアランスにポジティブな影響を与える可能性がある。
【0080】
(第一段階の結果)
これは、第一段階の非盲検、用量漸増試験であり、約120名の任意健康な閉経後女性を対象に、レトロゾールISMを異なる強さで単回筋肉内注射した場合の薬剤動態、安全性、忍容性を評価することを目的とする。本試験には4つの場面がある:
実験:コホート1:レトロゾール ISM 50mg:2.5mgのFemara(登録商標)を(1日1回)14回経口投与+50mgのレトロゾールISMを単回IM注射。
実験:コホート2:レトロゾール ISM 100mg:2.5mgのFemara(登録商標)を(1日1回)14回経口投与+100mgのレトロゾールISMを単回IM注射。
実験:コホート3:レトロゾール ISM 200mg:2.5mgのFemara(登録商標)を(1日1回)14回経口投与+200mgのレトロゾールISMを単回IM注射。
実験:コホート4:レトロゾール ISM 400mg:2.5mgのFemara(登録商標)を(1日1回)14回経口投与+400mgのレトロゾールISMを単回IM注射。
【0081】
本試験の目的は、レトロゾールISMの単回上昇用量の薬剤動態プロファイルを評価し、第二に、レトロゾールISMの単回上昇用量の安全性と忍容性を評価し、エストロゲンレベルを測定し、レトロゾールISMとのその後の比較に使用する経口レトロゾール薬剤の動態プロファイルを特徴付けることである。
【0082】
本試験は、除外基準および包含基準を満たす健康な閉経後女性を対象に実施されている。本試験では、スクリーニング期間と2つの治療期間を設計している。2.5mgのFemara(登録商標)を14回経口投与することで、第1治療期間を構成している。50、100、200および400mgのレトロゾールISMを単回IM注射することで、第2治療期間を構成している。計画された総試験期間は約71週間である。
120名の被験者の包含/除外基準は以下の通りである:
【0083】
包含基準:
18歳以上75歳以下の健康な閉経後の女性で、自然閉経または手術による完全閉経を達成し、無月経で、過去3ヶ月間にホルモン補充療法を受けていない人。
閉経後の被験者は1年間、卵巣摘出された被験者は6週間以上月経がないことが望ましい。卵巣摘出された被験者や子宮摘出された被験者には、悪性疾患がないことを証明する手術病理報告書が必要である。さらに、卵巣摘出された被験者には、両側卵巣摘出術を記録した手術報告書が必要である。
ベースラインの卵胞刺激ホルモン(FSH)および17β-エストラジオール血漿レベルは、投与の少なくとも48時間前に確認し、被験者の閉経後の状態(FSH≧40mlU/mL、17β-エストラジオール≦31pg/mL)と一致している必要がある。
体重≧50kg、19kg/m2≦BMI≦39kg/m2。
【0084】
被験者は、病歴、身体検査、バイタルサイン評価(脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、体温)、臨床検査評価、12リード心電図によって決定される、健康状態を維持している。基準範囲外の軽微な逸脱は、治験責任医師が臨床的に有意でないと判断した場合には許容される。
【0085】
過去12ヶ月以内にマンモグラフィを受けたことがない被験者(書類が必要)は、マンモグラフィを受ける意思がなければならない。
子宮と子宮頸管が無傷で、過去6ヶ月以内にパパニコロウ(パップ)塗抹検査を受けたことがない被験者(書類が必要)は、検査を受ける意思がなければならない。
【0086】
被験者は、書面によるインフォームドコンセントを提供して、試験に参加し、試験上の制限事項を遵守する。
被験者は、クリニックスタッフとコミュニケーションを取ることができる。
【0087】
除外基準:
過去3ヶ月間にレトロゾールまたはいずれかの不活性成分に対してアレルギーまたは過敏症の既往歴がある被験者。
ガラクトース不耐症、重度の遺伝性ラクターゼ欠乏症、グルコース-ガラクトース不耐症の既往歴がある被験者。
エストロゲンまたはプロゲステロンホルモン補充療法、甲状腺補充療法、経口避妊薬、アンドロゲン、黄体形成ホルモン(LH)放出ホルモン類似体、プロラクチン阻害薬、または抗アンドロゲンをスクリーニング前の3ヵ月以内に使用したことのある被験者。
投与前14日間(第1治療期間)に、大豆、豆乳、大豆カーネル、ひよこ豆、アルファルファ、空豆、葛、味噌、豆腐などのイソフラビノイドを多く含む食品または食品サプリメントを定期的に摂取している被験者。
【0088】
イソフラビノイドを含む食品または食品サプリメントを摂取した被験者が試験に参加する資格があるかどうかは、治験責任医師と医療モニターがケースバイケースで判断する。
【0089】
投与前3週間(第1治療期間)に、
CYP P450 3A4の強力または中等度の誘導剤として知られている、セントジョーンズワートを含む任意の薬剤を使用したことのある被験者。
第1治療期間の投与前7日間にCYP P450 3A4(例えば、グレープフルーツジュース)の強力または中等度の阻害薬として知られている任意の薬剤または製品を使用したことのある被験者。
【0090】
任意の投与前14日以内に処方された製剤(第1治療期間)を使用したことがある被験者、治験責任医師(または被指名者)の見解で、その薬剤が試験手順を妨害したり、安全性を損なうものではないと判断された場合を除く。
【0091】
任意の投与後7日以内(第1治療期間)に非処方の全身薬または外用薬を使用したことがある被験者、治験責任医師(または被指名者)の見解で、その薬が試験手順を妨害したり、安全性を損なうものではないと判断された場合を除く。骨粗鬆症予防のためのカルシウムおよび/またはビタミンDを含むビタミン・ミネラルの摂取が認められている。
【0092】
骨粗鬆症と診断された被験者(以前に骨粗鬆症と診断された被験者、または本試験のためにDEXAをスクリーニングする結果でTスコアが-2.5未満の被験者)。骨減少症(Tスコアが-1~-2.5にある)を有する被験者は、本試験への参加を許可される。
スクリーニングの前に少なくとも3ヶ月間、長時間作用型または短時間作用型のビスホスホネート療法の安定投与を受けていない被験者。
ラロキシフェン療法を受けている被験者。
【0093】
スクリーニング時および初回投与前(第1治療期間)に心拍数、血圧、体温のいずれかに異常があり、治験責任医師の見解では試験参加のリスクを高めるとされた被験者。安静時のSBP≦150mmHg、安静時のDBP≦95mmHgでなければならない。
スクリーニング時および初回投与前(第1治療期)に12誘導心電図に異常があり、治験責任医師の見解では試験参加のリスクを高めるとされた被験者。
【0094】
臨床的に有意な身体検査異常所見を有する被験者。
治験担当医師により決定された、繰り返し検査の場合に(1回の繰り返し評価が許容される)スクリーニングまたはチェックイン時に任意の」臨床的に有意な臨床検査値の安全性異常所見を有する被験者。
ALTまたはAST>1.5×ULNを有する被験者。総ビリルビンが上昇した被験者については、直接ビリルビンと間接ビリルビンを評価する。
コレステロール値またはトリグリセリド値がULNを超えている被験者は、臨床的に有意ではないと治験責任医師が判断しなければならない。
スクリーニング時に、病歴、身体検査、検査室検査、心電図、DEXA、乳房および骨盤検査により決定される関連疾患または臨床的に有意な異常関連所見を有する被験者。
【0095】
血栓性疾患、冠動脈または脳血管疾患、肝臓、腎臓または胆嚢機能障害/疾患、糖尿病またはその他の内分泌疾患、エストロゲン依存性新生物、閉経後の子宮出血、または子宮内膜過形成などの重大な慢性疾患の既往歴がある被験者、既往歴はこれらに限定されない。胆嚢摘出術を受けた患者は、術後に医学的な後遺症がなければ許可される。
【0096】
過去5年以内に、非黒色腫皮膚癌を除く癌の既往歴がある被験者。
薬物依存症の既往歴があり、最近のアルコール依存症やアルコール乱用の既往歴がある被験者。
B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎コア抗体、C型肝炎抗体、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体が陽性である被験者。
スクリーニング時に乱用薬物スクリーニングまたはアルコール呼気検査が陽性である被験者(アンフェタミン、バルビツール酸塩、ベンゾジアゼピン、カンナビノイド、コカイン、アヘン、フェンシクリジン、およびメタドンの有無を尿でスクリーニングする)。
静脈穿刺のための静脈へのアクセスの既往歴がある、または困難な被験者。
初回投与前30日以内に献血を行った被験者(第1治療期間)。
スクリーニング前の2ヶ月以内に血液製剤の投与を受けたことがある被験者。
投与前30日以内、または投与前半減期5日以内(いずれか長い方)に、研究中の薬剤を投与された、または他の臨床試験に参加したことのある被験者(第1治療期間)。
以前に本試験に参加したことのある被験者、または本試験から撤退した被験者。(スクリーニングを受けたがコホートに含まれていない被験者や、以前のコホートで医学的理由以外の理由でスクリーニングから脱落した被験者は、その後のコホートに含まれる可能性がある)
その他の明記されていない理由で、治験責任医師(または被指名者)または治験依頼者の意見により、登録に適さないと判断された被験者。
【0097】
(PKの結果)
50mgおよび100mgのレトロゾールISM をそれぞれ1回筋肉内(IM)注射した後、393日目および225日目までのレトロゾール血漿レベルを分析した。大多数の被験者は、両群で報告されている最後のサンプリング時点まで、定量可能なレトロゾール血漿レベルを維持していた(図8)。線量正規化されたピーク曝露量(Cmax/D)は、レトロゾールISMの両用量強度間で同等である。
Femara(登録商標)の定常状態(2.5mg QD、14日間)におけるレトロゾールの平均最大暴露濃度は、レトロゾール50mgおよび100mgと比較して、それぞれ約12倍および8倍となった。
【0098】
血漿エストロゲン値はレトロゾール投与後、ベースラインから急速に低下した。Femara(登録商標)/レトロゾールISM処理後の約4日目には、ホルモンは1pg/mL未満の安定したレベルにまで減少した(図6、7)。エストロゲン値の持続的な抑制効果は、レトロゾールISM 50mgと100mgでそれぞれ最大281日、197日維持された。レトロゾールISM50mgと100mgの間では、ホルモン量の低下程度に明らかな差はなかった。
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