(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】無担体組成物の低温噴霧乾燥
(51)【国際特許分類】
F26B 3/12 20060101AFI20240116BHJP
A23L 2/08 20060101ALI20240116BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20240116BHJP
A23F 3/30 20060101ALI20240116BHJP
A23F 5/34 20060101ALI20240116BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20240116BHJP
C13B 40/00 20110101ALI20240116BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20240116BHJP
A23L 23/10 20160101ALI20240116BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20240116BHJP
A23C 1/04 20060101ALI20240116BHJP
F26B 21/10 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F26B3/12
A23L2/08
A23L2/00 Q
A23F3/30
A23F5/34
A23L35/00
C13B40/00
A23L27/10 B
A23L27/10 C
A23L23/10
A23L27/20 D
A23C1/04
F26B21/10 A
(21)【出願番号】P 2020560401
(86)(22)【出願日】2019-04-28
(86)【国際出願番号】 US2019029547
(87)【国際公開番号】W WO2019210289
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2018-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520017591
【氏名又は名称】ズーメッセンス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ビーツ,チャールズ パーシング
(72)【発明者】
【氏名】ビーツ,ジェイソン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シュリプフ,ダニエル マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェイソン ツーシン
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0223255(US,A1)
【文献】特表2016-516431(JP,A)
【文献】米国特許第06562383(US,B1)
【文献】特表2004-528050(JP,A)
【文献】米国特許第03620776(US,A)
【文献】特開昭58-094387(JP,A)
【文献】米国特許第09861945(US,B1)
【文献】特開2006-055167(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0027915(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0230840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 3/12
A23L 2/08
A23L 2/39
A23F 3/30
A23F 5/34
A23L 35/00
C13B 40/00
A23L 27/10
A23L 23/10
A23L 27/20
A23C 1/04
F26B 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧乾燥可能液体組成物を乾燥させて噴霧乾燥粉末にする噴霧乾燥プロセスであって、
前記噴霧乾燥可能液体組成物が担体を含まず、
前記噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づいて、80重量%を超えない少なくとも45重量%の固体濃度の前記噴霧乾燥可能液体組成物であって、50mPa-sから28,000mPa-sの範囲の粘度を有する前記噴霧乾燥可能液体組成物を提供することと、
前記噴霧乾燥可能液体組成物を霧化して、噴霧乾燥チャンバ内への前記噴霧乾燥可能液体組成物の液体粒子の霧状噴霧を発生させることと、
前記噴霧乾燥チャンバを通って流れるように、100℃を超えない温度、及び35%を超えない相対湿度での乾燥流体のストリームを前記噴霧乾燥チャンバ内に流し込んで、前記液体粒子の乾燥のために、前記噴霧乾燥チャンバ内の液体粒子の前記噴霧と接触させて、前記噴霧乾燥粉末を形成することであって、前記乾燥流体が、空気、酸素、酸素富化空気、窒素、ヘリウム、希ガス、二酸化炭素、一酸化炭素、及びこれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択されたガスを含み、前記噴霧乾燥粉末が、80μmから120μmの範囲の平均粒径を有し、前記粉末における粒子の少なくとも75%が、少なくとも80μmの粒径を有する粒径分布を有し、前記噴霧乾燥粉末の前記粒子の粒子空隙体積が、総粒子体積の10%未満であり、前記噴霧乾燥粉末における液体の量が、前記噴霧乾燥粉末の総重量に基づいて、10wt.%の液体より少ないことと、
前記噴霧乾燥チャンバから、流出乾燥流体と、前記噴霧乾燥チャンバ内の前記乾燥流体との接触によって乾燥させた前記噴霧乾燥粉末と、を放出することと、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、食品材料、飲料材料、香料材料、顔料材料、香味料材料、医薬品材料、治療材料、薬物材料、ホメオパシー材料、生物学的材料、プロバイオティクス材料、建築材料、製剤材料、並びに上述したもののうちの2種以上の異なる材料の混合物、ブレンド、複合物及び組合せからなる群から選択された、少なくとも1種の製品材料を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、リンゴ果汁、茶、コーヒー、洋ナシ果汁、アミノ酸、果物のピューレ、ペクチン、ビーフブロス、ゼラチン、医薬品、ビートジュース、グレープ果汁、パイナップル果汁、β-シクロデキストラン、ライム果汁、スキムミルク、カラギーナン、液卵、砂糖、チーズホエー、ビール、低アルコールビール、野菜汁、鶏ガラスープ、マンゴー果汁、乳清タンパク質、柑橘系果汁、オレンジ果汁及び全乳からなる群から選択された少なくとも1種の製品材料を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記噴霧乾燥可能液体組成物がジュースを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、アルコールスピリッツ、マッシュ混合物又はポットリカーを含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、食料品若しくは飲料又はその前駆体を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記噴霧乾燥可能液体組成物がコーヒーを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が茶を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる前記乾燥流体のストリームの前記温度が、100℃、99℃、98℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、30℃、25℃、22℃、20℃、18℃、16℃、15℃、14℃、13℃、12℃、11℃及び10℃のうちの少なくとも1つ未満であり、前記温度が、前記噴霧乾燥可能液体組成物における前記液体の凍結点より高い、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる前記乾燥流体のストリームの前記温度が、範囲の下限端点が、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、18℃、20℃、22℃及び25℃のうちの任意の1つであり、範囲の上限端点が、前記範囲の下限端点より高く、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、18℃、20℃、22℃、25℃、30℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、98℃、99℃又は100℃のうちの任意の1つである範囲内にある、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる前記乾燥流体のストリームの前記温度が、1℃から95℃、5℃から90℃、10℃から80℃又は15℃から65℃の範囲である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる前記乾燥流体のストリームが、30%、25%、20%、15%、12%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%又は0.01%を超えない相対湿度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる前記乾燥流体のストリームが、範囲の下限端点が10
-4%、10
-3%、10
-2%、10
-1%、1%、1.5%又は2%のうちの任意の1つであり、範囲の上限端点が、前記範囲の下限端点より高く、35%、30%、20%、15%、12%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%、0.01%又は0.05%のうちの任意の1つである範囲内の相対湿度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる前記乾燥流体のストリームが、10
-4%から35%、10
-3%から18%、0.005から17%、0.01%から15%、0.01から5%、0.1から5%又は0.001%から2%の範囲の相対湿度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、水、無機溶媒、有機溶媒、及びそれらの組合せからなるからなる群から選択された液体を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、範囲の下限が、325、340、350、375、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950及び1000mPa-sのうちの任意の1つであり、範囲の上限が、前記下限より高く、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000及び20,000mPa-sのうちの任意の1つである範囲内の粘度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、50から5000mPa-sの範囲の粘度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、前記噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づき、45重量%から75重量%の範囲の固体濃度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記噴霧乾燥可能液体組成物が、前記噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づき、50重量%から70重量%の範囲の固体濃度を有する請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
前記噴霧乾燥チャンバ内の前記噴霧乾燥可能液体組成物の乾燥を促進するように、前記噴霧乾燥チャンバ内の複数の場所において局所乱流を発生させることをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項21】
前記局所乱流が、二次乾燥流体を前記噴霧乾燥チャンバ内に注入することによって生成される、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記噴霧乾燥可能液体組成物の電気流体力学的噴霧乾燥のために、前記噴霧乾燥可能液体組成物と液体粒子の前記霧状噴霧とのうちの少なくとも一方に電気流体力学的電荷を印加することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項23】
前記電気流体力学的電荷が0.25から80kVの範囲である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記噴霧乾燥チャンバから放出される前記流出乾燥流体が、そこから固体を除去して固体低減乾燥流体を生成するように処理され、前記固体低減乾燥流体が、前記噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる前記乾燥流体のストリームにおける乾燥流体として再循環する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項25】
前記固体低減乾燥流体が、その温度を調整するようにさらに処理される、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記固体低減乾燥流体が、その相対湿度を調整するようにさらに処理される、請求項24に記載のプロセス。
【請求項27】
前記噴霧乾燥チャンバから放出される前記噴霧乾燥粉末における液体の量が、前記噴霧乾燥粉末の総重量に基づいて、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5及び0.1wt.%の液体のうちの少なくとも1つより少ない、請求項1に記載のプロセス。
【請求項28】
前記霧化が、回転噴霧器、遠心噴霧器、ネブライザ、超音波分散器、ノズル、又は上述したもののうちの2つ以上の組合せを用いて実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項29】
前記噴霧乾燥チャンバから放出される前記噴霧乾燥粉末が、80μmから120μmの範囲のメジアン粒径を有する、請
求項1に記載のプロセス。
【請求項30】
前記噴霧乾燥チャンバから放出される前記噴霧乾燥粉末が、22から40lb/ft
3(0.35から0.64g/cm
3)の範囲のバルク密度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2018年4月28日に出願された米国特許出願第15/965,910号の米国特許法第119条の下での優先権をここに主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
開示の分野
本開示は、無担体組成物を噴霧乾燥させて噴霧乾燥粉末にする、低温噴霧乾燥に関し、感熱材料の処理に特に有用性がある。
【0003】
関連技術の説明
噴霧乾燥は、1800年代後期以来、基本的な材料処理操作として存在し、そのとき以来、継続的に改良されてきた。噴霧乾燥操作は、さまざまな特徴があり得るが、通常は、材料の液体組成物をチャンバ内に、チャンバを通って同時に流される乾燥流体と接触するように注入することを含む。液滴の形態の注入される湿潤材料は、乾燥流体のストリームと接触して、液体が液滴から乾燥流体ストリームに移るようにし、乾燥チャンバから放出される噴霧乾燥製品と、同様に乾燥チャンバから放出される乾燥流体流出物とをもたらす。
【0004】
先行する噴霧乾燥操作では、乾燥粉末製品を製造するために、高温、例えば、180~200℃ほどの温度での気体として乾燥流体を提供することが、従来の慣例であった。乾燥流体は、従来、空気であり、噴霧乾燥させるべき材料は、乾燥可能液体形態で、例えば、原液材料として提供することができ、又は、材料は、噴霧乾燥プロセスの最後に噴霧乾燥製品が関連付けられる担体材料をさらに含むことができる、スラリー、懸濁液、乳濁液又は溶液形態の噴霧乾燥液体組成物における固体であり得る。さまざまな応用において、噴霧乾燥させるべき材料は、溶媒、例えば、水、アルコール又は他の適切な液体を含有するスラリーに、炭水化物、セルロース誘発体、蝋、ガム、タンパク質又は他の好適な材料等の担体材料とともに存在する。噴霧乾燥操作を行うために、ノズル、噴霧器等を使用して噴霧乾燥組成物が乾燥チャンバ内に注入され、乾燥チャンバ内に且つ乾燥チャンバを通って流される乾燥流体と接触するために微細な液滴の噴霧を形成する。
【0005】
噴霧乾燥させた材料の液滴を迅速に加熱し、噴霧乾燥粉末を製造するために液滴から液体を揮発させるために、乾燥流体に対する180~200℃ほどの上述した高温レベルは、本技術分野において従来の慣例であった。しかしながら、こうした高温レベルにより、噴霧乾燥操作の適用範囲は、熱的に安定しているか、又は、噴霧乾燥操作の高温で激しく悪影響を受けない噴霧乾燥可能材料に限定される。広範囲の材料が、噴霧乾燥操作の高温領域に適応することができるが、(高温での製品材料の揮発を通して)材料が喪失し、及び/又は、噴霧乾燥操作中に高温にさらされる結果として物理的特性及び/又は性能特性が別の方法で劣化する。こうしたことに関して、従来の噴霧乾燥の慣例には、限界及び欠陥が認められた。
【0006】
上述した状況に対して、ZoomEssence,Inc.の米国特許第8,939,388号、同第9,332,776号及び同第9,551,527号に開示されている低温噴霧乾燥装置及びプロセスは、澱粉担体に関する本技術分野における実質的な進歩を採用している。こうした特許に開示されているように、噴霧乾燥は、100℃未満、及びいくつかの応用では周囲温度までさらに低下した乾燥流体の入口温度と、約300mPa-secを上回る粘度を有する、澱粉担体、活性成分及び溶媒を含む噴霧乾燥スラリーの利用と、スラリーの50重量%を超えないスラリー含水量と、乾燥システムに導入される乾燥流体の低湿度とを含む、噴霧乾燥条件で実施される。本技術の従来の慣例とは際立って異なる低温噴霧乾燥条件で行われる、こうした澱粉系スラリー噴霧乾燥操作により、従来の高温噴霧乾燥の慣例の高温条件によって本来は禁止であった無数の製品に対して、噴霧乾燥を利用することができる。
【0007】
しかしながら、澱粉系スラリー噴霧乾燥に適していない多くの材料が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
本開示は、低温での無担体組成物の噴霧乾燥に関する。
【0009】
本明細書の背景技術セクションにおいて考察したように、米国特許第8,939,388号、同第9,332,776号及び同第9,551,527号は、澱粉担体によって封入された噴霧乾燥活性成分を製造する、澱粉担体、活性成分及び溶媒を含むスラリーの噴霧乾燥を含む、当技術分野における実質的な進歩を具現化している。噴霧乾燥によって処理される澱粉担体スラリーは、噴霧乾燥可能な供給原料に実質的な量の澱粉を含む。
【0010】
先験的に、担体が存在しない場合に実現可能であることが分かっている優れた特徴を有する噴霧乾燥粉末製品を実現するために、噴霧乾燥チャンバ内における流体力学的改善、又は噴霧乾燥チャンバ内における過度に長い滞留時間の提供なしには、対応する低温プロセスを有効に利用することができるということは明らかではなく、それは、活性成分が、粒子の形成において担体の存在によって支持されず、したがって、さらに高い溶媒最小化基準まで活性成分を乾燥させなければならないためである。
【0011】
しかしながら、意外なことに且つ予期せずに、噴霧乾燥プロセスが、活性成分及び溶媒の無担体供給原料で実施され、例えば、空気、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、又は他の好適なガス若しくはガス混合物であり得る乾燥流体が、100℃を超えない乾燥流体温度T(℃)で噴霧乾燥チャンバに導入されて、上述した優れた特徴の噴霧乾燥粉末製品を実現する場合、低温噴霧乾燥を著しく有効な方法で実施することができることが分かった。
【0012】
一態様では、本開示は、噴霧乾燥可能液体組成物を乾燥させて噴霧乾燥粉末にする噴霧乾燥プロセスであって、噴霧乾燥可能液体組成物は担体を含まず、
噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づいて、80重量%を超えない固体濃度の噴霧乾燥可能液体組成物を提供することと、
噴霧乾燥可能液体組成物を霧化して、噴霧乾燥チャンバ内への噴霧乾燥可能液体組成物の液体粒子の霧状噴霧を発生させることと、
噴霧乾燥チャンバを通って流れるように、100℃を超えない温度での乾燥流体のストリームを噴霧乾燥チャンバ内に流し込んで、液体粒子の乾燥のために、噴霧乾燥チャンバ内の液体粒子の噴霧と接触させて、乾燥粉末を形成することと、
噴霧乾燥チャンバから、流出乾燥流体と噴霧乾燥チャンバ内の乾燥流体との接触によって乾燥させた乾燥粉末とを放出することと、
を含む、プロセスに関する。
【0013】
別の態様では、本開示は、上述した無単体噴霧乾燥プロセスを実施するように構成及び配置された噴霧乾燥システムに関する。
【0014】
本開示の他の態様、特徴及び実施形態は、後続する説明及び添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面の簡単な説明
【
図1】本開示の一実施形態による噴霧乾燥プロセスシステムの概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本開示は、噴霧乾燥粉末を形成する、無担体噴霧乾燥可能液体組成物の低温(≦100℃)噴霧乾燥に関する。
【0017】
本明細書で用いる「担体」と言う用語は、液体及び噴霧乾燥させるべき製品を含む、噴霧乾燥可能液体組成物において、噴霧乾燥操作からもたらされる噴霧乾燥粉末において製品を担持し、少なくとも部分的に支持し又は少なくとも部分的に封入するために利用される、固体材料を指す。したがって担体は、噴霧乾燥粉末において、例えば、製品材料のための基材、支持体又は結合基質(associative matrix)として、製品材料に関連付けることができる。噴霧乾燥操作で使用される担体は、広くさまざまなタイプとすることができ、そうした担体として、例えば、上述した米国特許第8,939,388号、同第9,332,776号及び同第9,551,527号に開示されている澱粉担体を挙げることができる。より全体的には、以下の表1に列挙するもの等の担体が、所定の担体材料を例示する。
【0018】
【0019】
本明細書で用いる、噴霧乾燥可能液体組成物に関する「無担体」という用語は、内部に担体のない噴霧乾燥可能液体組成物を意味し、噴霧乾燥プロセスに関する「無担体」は、噴霧乾燥操作において担体なしに実施される噴霧乾燥プロセスを意味する。
【0020】
一態様では、本開示は、噴霧乾燥可能液体組成物を乾燥させて噴霧乾燥粉末にする噴霧乾燥プロセスであって、噴霧乾燥可能液体組成物は担体を含まず、
噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づいて、80重量%を超えない固体濃度の噴霧乾燥可能液体組成物を提供することと、
噴霧乾燥可能液体組成物を霧化して、噴霧乾燥チャンバ内への噴霧乾燥可能液体組成物の液体粒子の霧状噴霧を発生させることと、
噴霧乾燥チャンバを通って流れるように、100℃を超えない温度での乾燥流体のストリームを噴霧乾燥チャンバ内に流し込んで、液体粒子の乾燥のために、噴霧乾燥チャンバ内の液体粒子の噴霧と接触させて、乾燥粉末を形成することと、
噴霧乾燥チャンバから、流出乾燥流体と噴霧乾燥チャンバ内の乾燥流体との接触によって乾燥させた乾燥粉末とを放出することと、
を含む、プロセスに関する。
【0021】
本開示の噴霧乾燥プロセスは、種々の製品材料のうちの任意のもの、例えば、食品材料、飲料材料、香料材料、顔料材料、香味料材料、医薬品材料、治療材料、薬物材料、ホメオパシー材料、生物学的材料、プロバイオティクス材料、建築材料、製剤材料とともに、上述したものうちの2種以上の異なる材料の混合物、ブレンド、複合物及び組合せからなる群から選択された少なくとも1つの製品材料を含有する無担体噴霧乾燥可能液体組成物で実施することができる。
【0022】
噴霧乾燥液体組成物における所定の製品材料は、例えば、リンゴ果汁、茶、コーヒー、洋ナシ果汁、アミノ酸、果物のピューレ、ペクチン、ビーフブロス、ゼラチン、医薬品、ビートジュース、グレープ果汁、パイナップル果汁、β-シクロデキストラン、ライム果汁、スキムミルク、カラギーナン、液卵、砂糖、チーズホエー、ビール、低アルコールビール、野菜汁、鶏ガラスープ、マンゴー果汁、乳清タンパク質、柑橘系果汁、オレンジ果汁及び全乳からなる群から選択された少なくとも1種の製品材料を含むことができる。
【0023】
具体的な実施形態では、噴霧乾燥可能液体組成物は、ジュースを含むことができる。他の実施形態では、噴霧乾燥可能液体組成物は、アルコールスピリッツ、マッシュ混合物又はポットリカーを含むことができる。さらに他の実施形態では、噴霧乾燥可能液体組成物は、食料品若しくは飲料又はその前駆体を含むことができる。さまざまな他の実施形態では、噴霧乾燥可能液体組成物はコーヒーを含むことができる。さらに他の実施形態では、噴霧乾燥可能液体組成物は茶を含むことができる。
【0024】
本開示の広範な実施における無担体噴霧乾燥可能液体組成物は、製品材料及び液体に加えて、任意の追加の無担体成分を含むことができる。こうした追加の無担体成分としては、補助剤、賦形剤、界面活性剤、凝集阻害剤、固化防止剤、同時活性成分、湿潤剤、分散剤、乳化剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、増孔剤(poor-forming agent)、硬化剤並びにこうしたタイプの2種以上の成分の混合物、ブレンド、複合物及び組合せを挙げることができる。
【0025】
本開示の噴霧乾燥プロセス及び装置によって製造される噴霧乾燥粉末は、球形、回転楕円体、多角形、立方体、棒、繊維、らせん、樹状及び他の任意の空間形態を含む、任意の好適な形態学的且つ物理的形態とすることができ、噴霧乾燥粉末に適切である任意の好適な粒径分布とすることができる。
【0026】
上で広範に指定したような本開示のプロセスは、100℃を超えない温度での乾燥流体のストリームを、噴霧乾燥チャンバを通って流れるように噴霧乾燥チャンバ内に流し込んで、その中の液体粒子を乾燥させるためにその液体粒子の噴霧と接触して噴霧乾燥粉末を形成することを含む。こうしたプロセスの具体的な実施態様では、噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームの温度は、こうした最大温度制約内で広く変更することができることが理解されよう。例えば、噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームの温度は、さまざまな実施形態において、100℃、99℃、98℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、30℃、25℃、22℃、20℃、18℃、16℃、15℃、14℃、13℃、12℃、11℃及び10℃のうちの少なくとも1つ未満とすることができ、こうした温度は、噴霧乾燥可能液体組成物における液体の凍結点より高い。
【0027】
さまざまな実施形態において、噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームの温度は、下限端点が、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、18℃、20℃、22℃及び25℃のうちの任意の1つであり、範囲の上限端点が、範囲の下限端点より高く、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、18℃、20℃、22℃、25℃、30℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、98℃、99℃又は100℃のうちの任意の1つである、範囲であり得る。例えば、噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームの温度は、特定の応用では、1℃から95℃、5℃から90℃、10℃から80℃又は15℃から65℃の範囲であり得る。
【0028】
本明細書においてさまざまに記載するような本開示のプロセスにおいて、噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームは、所定の応用に対して所定レベル以下である相対湿度を有することができる。さまざまな実施形態において、噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームは、35%、30%、25%、20%、15%、12%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%又は0.01%を超えない相対湿度を有することができる。
【0029】
さまざまな実施形態において、噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームの相対湿度は、下限端点が10-4%、10-3%、10-2%、10-1%、1%、1.5%又は2%のうちの任意の1つであり、上限端点が、下限端点より高く、35%、30%、20%、15%、12%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%、0.01%又は0.05%のうちの任意の1つである、範囲であり得る。例えば、霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームは、10-4%から35%、10-3%から18%、0.005から17%、0.01%から15%、0.01から5%、0.1から5%又は0.001%から2%の範囲の相対湿度を有する。
【0030】
本開示のプロセスの実施における乾燥流体は、任意の好適なタイプとすることができ、例えば、空気、酸素、酸素富化空気、窒素、ヘリウム、希ガス、二酸化炭素、一酸化炭素及び上述したもののうちの2種以上の組合せからなる群から選択されたガスを含み得る。例えば、乾燥流体は、酸素、酸素富化空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素、一酸化炭素、又は単成分流体を含む他の流体種とともに、流体混合物を含むことができる。乾燥流体は、さまざまな応用では、気体又は蒸気の形態で存在することができ、流体は、噴霧された霧状液滴から乾燥流体に溶媒又は他の望ましくは揮発性の材料が移動するために適切な物質移動駆動力を提供するように構成されるべきである。
【0031】
噴霧乾燥可能液体組成物における液体も同様に任意の好適なタイプとすることができ、例えば、水、無機溶媒、有機溶媒、及びそれらの組合せからなるからなる群から選択された液体を含むことができる。さまざまな実施形態において、例えば、アセトン、クロロフォルム、メタノール、塩化メチレン、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMS)、グリセリン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、及び上述したもののうちの1種又は複数種の水との混合物等、有機溶媒を採用することができる。こうした有機溶媒は、例えば、タンパク質系物質を含む噴霧乾燥可能組成物の噴霧乾燥で使用することができる。具体的な実施形態では、水、アルコール及び水-アルコール溶液からなる群から選択された溶媒を有利に採用することができる。
【0032】
本明細書においてさまざまに記載する噴霧乾燥プロセスの実施における噴霧乾燥可能液体組成物は、噴霧乾燥させている特定の材料を含む噴霧乾燥操作に対して適切な任意の好適な物理化学的特性を有することができる。例として、噴霧乾燥可能液体組成物は、50mPa-sから28,000mPa-sの範囲の粘度を有することができる。
【0033】
さまざまな実施形態において、噴霧乾燥可能液体組成物は、下限が、325、340、350、375、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950及び1000mPa-sのうちの任意の1つであり、上限が、下限より高く、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000及び20,000mPa-sのうちの任意の1つである範囲である、粘度を有することができる。さらなる具体的な例として、噴霧乾燥可能液体組成物は、50から5000mPa-sの範囲の粘度を有することができる。具体的な応用及び実施態様において、適切なタイプの粘度計及びレオメータ等、任意の好適な粘度決定方法及び粘度測定機器を用いて、粘度値を決定することができる。
【0034】
したがって、本開示の噴霧乾燥プロセスにおける噴霧乾燥可能液体組成物の粘度は、採用する具体的な製品材料、液体及び噴霧乾燥装置とともに、噴霧乾燥可能液体組成物における固体濃度に応じて広く変更することを理解されたい。任意の好適な固体濃度の特徴を有する噴霧乾燥可能液体組成物を採用することができる。さまざまな実施形態において、噴霧乾燥可能液体組成物は、噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づき、45重量%から75重量%の範囲の固体濃度を有することができる。他の実施形態では、噴霧乾燥可能液体組成物は、噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づき、50重量%から70重量%の範囲の固体濃度を有することができる。
【0035】
無担体噴霧乾燥可能液体組成物を含む噴霧乾燥操作を促進するために、さまざまな実施態様において、噴霧乾燥チャンバ内の噴霧乾燥可能液体組成物の非常に効率的な乾燥を達成するように、噴霧乾燥チャンバ内の複数の場所において局所乱流を発生させることが有利であり得る。こうした局所乱流は、噴霧乾燥チャンバ内に二次乾燥流体を、例えば、噴霧乾燥チャンバの壁の対応する開口部に位置決めされた注入ジェットから注入することにより、及び/又は噴霧乾燥チャンバ内の内部で発生させて、噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧された霧状液滴からの液体の気化に関連して物質移動を促進し拡散率を向上させることができる。
【0036】
噴霧乾燥操作を促進するために有用であり得る別のオプションとして、本明細書に記載するさまざまな実施形態における噴霧乾燥プロセスは、噴霧乾燥可能液体組成物の電気流体力学的噴霧乾燥のために、噴霧乾燥可能液体組成物と液体粒子の霧状噴霧とのうちの少なくとも一方に電気流体力学的電荷(通常、静電荷と誤った名称で称され、対応する噴霧乾燥は一般に静電噴霧乾燥と称される)を印加することをさらに含むことができる。こうした電気流体力学的噴霧操作は、電気流体力学的噴霧が採用される所定の応用に対して適切な任意の好適な電圧条件で実施することができる。さまざまな実施形態において、電気流体力学的電荷は、0.25から80kVの範囲であり得るが、所定の応用において、噴霧乾燥させるべき材料により高い又はより低い電気流体力学的電荷を与えることができることが理解されよう。さまざまな実施形態において、噴霧乾燥させている粒子に与えられる電気流体力学的電荷は、0.5から75kV若しくは5から60kV若しくは10から50kVの範囲、又は他の好適な範囲若しくは他の所定値であり得る。
【0037】
本開示に従って行われる電気流体力学的噴霧乾燥の他の実施形態では、電圧源に作動的に結合された電気流体力学的ノズルを通して供給原料の液体組成物を噴霧することができ、電圧源は、例えば上述した又は他の電圧範囲のうちの任意のものの範囲にある高電圧と低電圧との間で、周期的に切り替えられる電圧を、ノズルに印加するように配置される。
【0038】
噴霧乾燥可能組成物液滴の霧化後帯電は、ノズルを接地した状態で外部電極を使用するコロナ放電型噴霧器を用いて実施することができ、又は、噴霧乾燥可能組成物液滴の導電性の特徴が有利である場合は、こうした霧化後帯電は、霧状液滴の電子ビーム放射を用いて実施することができる。
【0039】
したがって、噴霧乾燥可能液体組成物の電気流体力学的帯電は、こうした組成物の霧化の前、間又は後に実施することができる。本開示による電気流体力学的噴霧システム及び操作において、広く異なるタイプの電気流体力学的噴霧機器、例えば、噴霧乾燥可能液体組成物の電気流体力学的に帯電した噴霧を、噴霧乾燥容器の内部容積内にその中の乾燥流体と接触するように導入するように位置決めされた電気流体力学的噴霧装置を利用することができる。
【0040】
噴霧乾燥システムへの供給原料を構成する噴霧乾燥可能液体組成物は、供給原料前駆体組成物を、適切な又は他の所望の特徴の噴霧乾燥可能液体組成物を提供するように処理することができる、上流処理操作の生成物であり得る。さまざまな実施形態において、上流処理操作は、供給原料前駆体組成物を、それが、液体において、供給原料前駆体組成物における製品材料の濃度より高い製品材料の濃度を有するように濃縮することができる。この目的で、任意の好適な濃縮方法及び装置を採用することができる。採用することができる好適な濃縮技法及び装置の例としては、正浸透、逆浸透、フレーム・プレート熱交換器、蒸発器、スピニングコーン、浸透気化、クロマトグラフィ、ろ過、ナノろ過、蒸留、結晶化、真空分離、吸収及び吸着、並びに上述したもののうちの2つ以上の好適な組合せが挙げられる。
【0041】
それに応じて、本開示の無担体噴霧乾燥プロセスによって製造される噴霧乾燥粉末は、好適なタイプの下流処理プロセスにより、例えば、意図された用途又は使用分野に対して中間又は最終用途製品を製造するための、さらなる乾燥、性能特性(例えば、香味料噴霧乾燥粉末の場合、香味、風味又は芳香特性等)の発展、最終製品粉末混合物を形成するための他の粉末成分との混合、顆粒化、微粉化、又は他のサイジング若しくは形態学的処理、凍結乾燥、分散、混合、照射、及び/又は多種多様の他の下流処理操作のために、さらに処理することができる。
【0042】
本開示の無担体噴霧乾燥プロセスにおいて噴霧乾燥チャンバから放出される流出乾燥流体は、対応して、さらに処置又は処理することができる。さまざまな実施形態では、噴霧乾燥チャンバから放出される流出乾燥流体は、そこから固体を除去して固体低減(solids-depleted)乾燥流体を生成するように処理され、この固体低減乾燥流体は、噴霧乾燥チャンバ内に流し込まれる乾燥流体のストリームにおける乾燥流体として再循環する。流出乾燥流体は、さらに又は別法として、噴霧乾燥システム及び操作の外部で他の用途に対して適切な特徴を有するものとするために、又は噴霧乾燥システムの周囲環境又は大気に流出して放出されるように、処置又は処理することができる。
【0043】
さまざまな実施形態において、噴霧乾燥チャンバから放出される流出乾燥流体は、サイクロン分離機又は他の固体-流体分離機においてそこから固体を除去するように処理され、その後、再循環及び/又は最終的な放出のために所望の特徴の固体低減乾燥流体を生成するように、バグフィルタ又は他のフィルタアセンブリ若しくはろ材を通る流出乾燥流体の流れとなる。
【0044】
固体低減乾燥流体を、噴霧乾燥チャンバを通って流れるように噴霧乾燥チャンバに再循環させる場合、その特性、例えば、温度及び/又は相対湿度特性を調整するように処理することができる。
【0045】
無担体噴霧乾燥プロセスによって製造される噴霧乾燥粉末を、任意の好適な粉末特性になるように乾燥させることができる。例えば、さまざまな実施形態において、噴霧乾燥システムにおいて、噴霧乾燥チャンバから放出される噴霧乾燥粉末における液体の量が、噴霧乾燥粉末の総重量に基づいて、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5及び0.1wt.%の液体のうちの少なくとも1つより少ない、噴霧乾燥チャンバから放出される噴霧乾燥粉末を製造するように、噴霧乾燥プロセスを行うことができる。さまざまな実施形態において、噴霧乾燥粉末の総重量に基づいて、所定範囲の、例えば、5~8wt.%、2~3wt.%、4~6wt.%、5~10wt.%の範囲の液体含量、又は他の何らかの範囲の若しくは他の何らかの所定最大液体含量値の条件での液体含量を有する、噴霧乾燥チャンバから放出される噴霧乾燥粉末を製造するように、噴霧乾燥プロセスを実施することができ、噴霧乾燥システムを操作することができる。本開示の実施において製造される噴霧乾燥粉末は、具体的な場合では、香味、風味、芳香、可溶性、耐凝集性、安定性、耐酸化性、耐劣化性、製品有効成分の完全性、処理可能性等の特性を含むことができる、その粉末特性及び性能特性に関して、著しくすぐれた特徴を有する。
【0046】
本開示の噴霧乾燥システム及び噴霧乾燥プロセスにおいて、システム及びプロセスは、粉末の属性及び使用に対して所望の特徴の噴霧乾燥粉末を製造するように実施することができる。さまざまな実施形態において、こうしたシステム及びプロセスによって製造される噴霧乾燥粉末は、粉末における粒子の少なくとも75%が、少なくとも80μmの粒径を有する、例えば、粉末における粒子の少なくとも80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%が少なくとも80μmの粒径を有する、粒径分布を有することができる。噴霧乾燥粉末における(3.3μm未満の空気動力学的直径を有する粒子等の)微粒子の割合は、望ましく最小化され、噴霧乾燥粉末の総重量の5重量%未満、例えば、同じ総重量に基づいて4%、3重量%、2重量%、1重量%又は0.5重量%未満を構成することができる。本開示のシステム及びプロセスにおいて製造される噴霧乾燥粉末のメジアン粒径は、例えば、80μmから120μmの範囲のメジアン粒径として、任意の好適なサイズであり得る。本開示のシステム及びプロセスによって製造される噴霧乾燥粉末の平均粒径もまた、80μmから120μmの範囲の範囲であり得る。所定の実施形態における粉末は、22から40lb/ft3(0.35から0.64g/cm3)の範囲からの範囲のバルク密度を有することができる。他の実施形態では、噴霧乾燥粉末のバルク密度は、25から38lb/ft3(0.40から0.61g/cm3)の範囲であり得る。特定の実施形態では、噴霧乾燥粉末の粒子における粒子空隙率は、総粒子体積の10%未満である。
【0047】
本開示の噴霧乾燥粉末における粒子のメジアン粒径は、体積分布出力を提供するBeckman Coulter LS13 320粒径分析器を利用して測定することができ、噴霧乾燥粉末の約1gがサンプルチューブ内に装填され、機器の分析チャンバを通過し、レーザ回折データがFraunhofer法を介して解釈され、体積分布として決定され、そこから、粉末のメジアン粒径を、粒径分布の中央値(d50)として決定することができる。
【0048】
先行する段落において記載したような特性を有する噴霧乾燥粉末を、本開示の噴霧乾燥システム及び噴霧乾燥プロセスにおいて、供給原料組成物の総重量に基づき、約45重量%から75重量%の範囲の固体濃度の噴霧乾燥可能組成物を利用して、製造することができる。概して、噴霧乾燥可能組成物における固体濃度は、本明細書の別の場所においてさまざまに記載しているように、噴霧乾燥可能液体組成物の総重量に基づき、80重量%を超えない。
【0049】
本開示の広範な実施において、噴霧乾燥チャンバ内に噴霧乾燥可能液体組成物の液体粒子の霧状噴霧を発生させるように、噴霧乾燥可能液体組成物の噴霧を霧化するために利用される装置は、任意の好適なタイプとすることができ、例えば、回転噴霧器、遠心噴霧器、ネブライザ、超音波噴霧器、ノズル、又は上述したもののうちの2つ以上の組合せを含むことができる。液体組成物は、液滴を形成するように解体される液膜又はひも形態で、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。多種多様な機器及び技術が、液滴又は細分された液体粒子の形態で液体組成物の噴霧を形成するために利用することができる。典型的には、液滴サイズ及び分布は、所与の噴霧乾燥技法に対して極めて一定である可能性があり、様々な実施形態では、10~300μmの範囲、50~300μmの範囲又は他の好適な範囲であり得る。
【0050】
別の態様では、本開示は、さまざまに上述した無担体噴霧乾燥プロセスを実施するように構成及び配置された噴霧乾燥システムに関する。
【0051】
本明細書の
図1において例示的な実施態様で噴霧乾燥システムを示す。
【0052】
図示するように、噴霧乾燥システム500は、供給原料前駆体組成物源502を含み、そこから、供給原料前駆体組成物が、供給ライン504内を供給原料組成物処理ユニット506に流され、供給原料組成物処理ユニット506では、前駆体組成物が、噴霧乾燥可能液体組成物をもたらすように処理される。こうした上流処理ユニットは、本明細書にて上述された任意の好適なタイプとすることができ、例えば濃縮ユニットを備えることができ、濃縮ユニットでは、噴霧乾燥させるべき製品材料が、供給原料前駆体組成物濃度から、ライン508においてユニットから放出される噴霧乾燥可能液体組成物におけるより高い製品材料濃度まで濃縮される。
【0053】
無担体噴霧乾燥可能液体組成物は、液体組成物供給ライン508においてポンプ510によって供給原料組成物処理ユニット506から供給原料供給ライン512まで流され、供給原料供給ライン512から、噴霧乾燥可能液体組成物は、噴霧乾燥器容器518の噴霧乾燥器入口516内に流れ込み、その時点で、噴霧器514によって霧化されて、噴霧乾燥可能液体組成物の霧状噴霧520を発生させる。同時に、以下より十分に記載する調整済み乾燥流体は、調整済み乾燥流体供給ライン570内を噴霧乾燥器容器518の入口516まで流され、その結果、導入された調整済み乾燥流体は、無担体噴霧乾燥可能液体組成物の霧状噴霧と接触するように、噴霧乾燥器容器518の内部容積522を通って流れる。
【0054】
調整済み乾燥流体又はその任意の部分は、いわゆる2流体霧化において、噴霧器514を通って流すことができ、又は、調整済み乾燥流体は、無担体噴霧乾燥可能液体組成物の導入及びその噴霧器514の通過に関連して、別個のストリームとして噴霧乾燥容器518の内部容積522内に流し込むことができる。
【0055】
噴霧器514は、任意の好適なタイプとすることができ、噴霧器514としては、例えば、回転噴霧器、遠心噴霧器、ジェットノズル噴霧器、ネブライザ、超音波噴霧器等、及び上述したもののうちの2つ以上の組合せを挙げることができる。噴霧器は、濃縮供給原料組成物の電気流体力学噴霧乾燥を実施するように電気流体力学的とすることができ、又は、特徴として非電気流体力学的とすることができる。
【0056】
採用する所定の噴霧器タイプ及び霧化モードに関わらず、濃縮された供給原料組成物の霧状噴霧520は、噴霧乾燥容器518の内部容積522に導入され、無担体噴霧乾燥可能液体組成物の霧状液滴は、内部容積を通って噴霧乾燥器出口524まで進む間、調整済み乾燥流体と接触して、霧状液滴を乾燥させ、噴霧乾燥させた乾燥粉末製品をもたらす。
【0057】
噴霧乾燥容器518に対して、任意選択的に、補助乾燥流体周囲供給ライン526を設けることができ、そこでは、それぞれの概略的な供給ライン526の矢印は、噴霧乾燥容器518の内部容積522内に補助乾燥流体を導入するように配置されたインジェクタジェットを示す。したがって、供給ライン526及びそのインジェクタジェットは、インジェクタジェットが内部に配置されるように、噴霧乾燥容器518内の対応する壁開口部を貫通することができ、又は、インジェクタジェットは、噴霧乾燥容器の壁開口部と連通して、そこを通して補助乾燥流体を内部容積522内に注入するように配置することができる。補助乾燥流体は、噴霧乾燥容器の内部容積内への導入点において又はその近くで局所乱流530を発生させるように十分な圧力及び流量で、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。
【0058】
補助乾燥流体周囲供給ライン526は、補助乾燥流体マニホールド528に結合されているように示されており、補助乾燥流体マニホールド528を通して、補助乾燥流体はそれぞれの供給ライン526まで流される。補助乾燥流体は、連続的に又は間欠的に、噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。補助乾燥流体は、バーストで、例えば時系列的に導入することができ、インジェクタジェットは、
図1に示すCPU590等、中央処理装置のモニタリング及び制御の下でプログラム可能に配置することができる。
【0059】
こうした乱流の局所誘発は、濃縮供給原料組成物の霧状液滴から噴霧乾燥容器内に存在する乾燥流体への液体の拡散率及び物質移動を促進するために非常に有効である。
【0060】
容器の内部容積内の濃縮供給原料組成物の霧状液滴の乾燥のさらなる促進として、噴霧乾燥容器518に、図示するような補助乾燥流体中心供給ライン532を備えることができる。補助乾燥流体中心供給ライン532には、一連の長手方向に間隔を空けて配置された補助乾燥流体中心供給ラインインジェクタジェット534が設けられ、そこでは、補助乾燥流体が注入された乱流領域536を発生させるように、十分な圧力及び流量条件下で、補助乾燥流体を注入することができる。
【0061】
供給ライン526及び関連するインジェクタジェットを通して噴霧乾燥容器の内部容積内に導入される補助乾燥流体に関して上述したように、噴霧乾燥容器内の内部容積522の中心部分において補助乾燥流体が注入された乱流領域536を提供するように、補助乾燥流体をインジェクタジェット534から連続的に又は間欠的に噴霧乾燥容器の内部容積内に導入することができる。周囲供給ライン及び関連するインジェクタジェットに関連して考察したように、補助乾燥流体は、バーストで、例えば時系列的に、中心供給ラインインジェクタジェット534を通して導入することができ、
図1に示すCPU590等の中央処理装置のモニタリング及び制御の下で、インジェクタジェットをプログラム可能に配置することができる。
【0062】
図1に示すような周囲ジェット及び中心ジェットの組合せを用いて、噴霧乾燥器容器内の内部容積の中心領域とともに外壁領域に局所乱流を提供することができ、そうした組合せは、著しく効率的な噴霧乾燥プロセスをもたらし、そこでは、内部容積内のデッドゾーン又は停滞領域等の異常な流れ挙動が最小限になる。対応して、非常に好都合な流体力学物質移動環境が提供され、こうした局所乱流発生能力の結果としての噴霧乾燥器容器は、サイズ及び関連する設置面積を実質的に低減させることができ、それにより、より小さいポンプ、圧縮器、ブロワ及び他の関連する補助機器を採用することができ、結果として、濃縮及び噴霧乾燥システムの資本設備及び運転コスト特性が改善される。
【0063】
噴霧乾燥器容器の内部容積内の乾燥流体との濃縮供給原料組成物の霧状液滴の接触によって生成される、噴霧乾燥させた粉末及び流出乾燥ガスは、噴霧乾燥器出口524の噴霧乾燥器容器から放出され、噴霧乾燥器流出ライン538においてサイクロン540まで流れる。サイクロン機器の代わりに、適切な特徴の他の任意の好適な固体/気体分離ユニットを採用することができる。サイクロン540は、乾燥流体から乾燥させた固体を分離し、乾燥させた固体は、乾燥固体放出ライン542内を乾燥固体収集容器544まで流れる。固体成分において消耗された乾燥流体は、乾燥流体放出ライン546においてサイクロンまで流れ、微粒子フィルタ548を通って凝縮器550まで流れる。凝縮器550において、乾燥流体は冷却され、その結果、その中の凝縮性気体が凝縮し、凝縮液は凝縮液放出ライン552において凝縮器から放出される。
【0064】
そして、結果としての凝縮液がなくなった乾燥流体は、内部にポンプ556を含む乾燥流体再循環ライン554において、乾燥流体補給供給ライン610に導入された任意の必要な補給乾燥流体とともに、乾燥流体調整アセンブリ568まで流れる。乾燥流体調整アセンブリは、調整済み乾燥流体供給ライン570において噴霧乾燥器容器518まで流れるように、再循環乾燥流体及び任意の追加された補給乾燥流体を調整する。乾燥流体調整アセンブリは、温度及び相対湿度の適切な所望の条件で再循環させるように乾燥流体を提供する除湿器及び/又は熱交換(加熱器/冷却器)機器を備えることができる。
【0065】
したがって、任意の必要な補給乾燥流体を含む乾燥流体は、適切な供給源から、乾燥流体調整アセンブリ568に提供することができ、又は、システムにおける他の適切な場所において噴霧乾燥システムに提供することができ、所望の温度、圧力、流量、組成及び相対湿度で噴霧乾燥操作を行うための必要に応じて、関連する機器又は装置によって任意の適切な前調整操作が実施される。したがって、例えば、補給乾燥流体は、タンク、貯蔵容器又は他の供給源(例えば、こうした乾燥流体として空気の場合、周囲雰囲気)から調整アセンブリ568に提供することができる。
【0066】
システムにおける補助乾燥流体源として、乾燥流体再循環ライン554からの再循環する乾燥流体の一部は、流量制御弁574を含む補助乾燥流体供給ライン572において補助乾燥流体調整アセンブリ576まで分流させることができる。補助乾燥流体調整アセンブリ576は、任意の好適な方法で構成し配置することができ、乾燥流体調整アセンブリ568の構成及び配置と同じか又は同様の特徴とすることができる。したがって、補助乾燥流体調整アセンブリ576は、システムにおいて補助乾燥流体を使用するために適切な条件にあるように、補助乾燥流体を調整する。
【0067】
上述したように、調整済み補助乾燥流体は、補助乾燥流体調整アセンブリ576から補助乾燥流体供給ライン578を通って流れ、補助乾燥流体供給ライン578から、ポンプ582を含む補助乾燥流体供給ライン580においてマニホールド528まで流れ、調整済み補助乾燥流体の残りは、補助乾燥流体供給ライン578においてポンプ584まで流れ、ポンプ584から、噴霧乾燥器容器の内部容積の中心領域に導入されるように、補助乾燥流体供給ライン586において補助乾燥流体中心供給ライン532まで流される。
【0068】
図1に示すシステムは、別法として、例えば、主乾燥流体及び補助乾燥流体がそれらの関連する流体特性に関して実質的に同じ特徴である場合、別個の補助乾燥流体調整アセンブリ576を設けることなく、乾燥流体調整アセンブリ568が乾燥流体の主流及び補助乾燥流体の両方を処理するように、構成し配置することができる。主乾燥流体及び補助乾燥流体が異なる気体であるか若しくは異なる気体を含み、又はそれらの関連する流体特性が他の意味で異なる場合、主乾燥流体及び補助乾燥流体の各々に対する別個の流れ循環ループを設けることができることも理解されよう。
【0069】
図1のシステムは、システムにおいてモニタリング及び/又は制御動作を行うように配置された中央処理装置(CPU)590を含むものとして示すが、制御態様で採用される場合、設定値又は他の所望の動作条件での動作を維持するように、機器及び/又は流体条件の調整のための制御信号を生成するように採用することができる。上述したように、CPUは、調整アセンブリ568及び576に、除湿器、熱コントローラ、熱交換機器等、その構成要素を制御するように、作動的に接続することができる。
【0070】
図1では、CPU590は、モニタリング及び/又は制御信号伝送ライン592、594、596、598、600、602及び604をモニタリングにより、ポンプ510、乾燥流体調整アセンブリ568、補助乾燥流体調整アセンブリ576、流量制御弁574、ポンプ582、ポンプ556及びポンプ584にそれぞれ作動的に結合されているものとして例示的に示す。
【0071】
図1に示すCPUの具体的な配置は、例示的な特徴であり、CPUは、任意の好適な動作構成要素、要素、特徴、ユニット、条件及びパラメータをモニタリングするように、及び/又は任意の好適な動作構成要素、要素、特徴、ユニット、条件、パラメータ及び変数を制御するように、濃縮ユニット506を含むシステム全体の任意の構成要素、要素、特徴及びユニットに関して、他の方法で配置することができることが理解されよう。こうした目的で、モニタリング能力に関して、システムは、適切なセンサ、検出器、構成要素、要素、特徴及びユニットを備えることができる。信号伝送ラインは、双方向信号伝送ラインとすることができ、又は、モニタリング信号伝送ライン及び別個の制御信号伝送ラインを含むケーブル配線を構成することができる。
【0072】
本開示の噴霧乾燥システムは、接触気体、補助接触気体、乾燥流体及び補助乾燥流体、又はそれらのうちの任意の2つ以上が、実質的に同じ組成、温度及び/又は相対湿度を有することができ、それにより、対応してシステム要件が簡略化した資本設備及び運転コスト効率を達成することができる配置を提供することが理解されよう。したがって、例えば、接触気体、補助接触気体、乾燥流体及び補助乾燥流体のすべてが、共通気体源からの空気、窒素、アルゴン又は他の気体とすることができ、こうした共通の気体は、共通の熱調整及び除湿機器を採用することができるように、実質的に同じ温度及び相対湿度で提供することができる。
【0073】
本開示について、本明細書では、具体的な態様、特徴及び例示的な実施形態に関して示したが、本開示の有用性はそのように限定されず、本明細書の記載に基づき、本開示の分野における当業者に示唆されるように、多数の他の変形、変更及び代替実施形態まで広がり且つそれらを包含することが理解されよう。対応して、以下の請求項に係る本発明は、その趣旨及び範囲内に、こうした変形、変更及び代替実施形態のすべてを含むものとして、広く解釈されるように意図されている。