(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】治療送達のための時間的熱アブレーション表現
(51)【国際特許分類】
A61B 18/04 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A61B18/04
(21)【出願番号】P 2020567871
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2019061884
(87)【国際公開番号】W WO2019233697
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】クストラ ヤチェック ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】オットヴァスト ギローム レオポルド テオドラス フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】エレヴェルト アールダート ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダイク エドモンド
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0033419(US,A1)
【文献】特表2012-529977(JP,A)
【文献】国際公開第2017/040538(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0378919(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱アブレーション治療のためのシステムであって、
時系列
の診断図を受信する入力ユニットであって、前記診断図は、前記熱アブレーション治療の過程を示し、線量の関数として、少なくとも1つの治療パラメータを表現し、前記時系列の診断図の各診断図は治療時間における特定の時点に関連する、入力ユニットと、
前記治療時間の関数として前記時系列の診断図を処理して時間分解治療要約書を生成する処理ユニットであって、前記生成は、前記治療時間の関数として前記診断図をマージすることによって
、前記治療時間の関数として前記線量と前記少なくとも1つの治療パラメータとを表現するデータセットを
、前記時間分解治療要約書として生成することを有する、処理ユニットと、
前記時間分解治療要約書のグラフィック表現を生成し、表示するディスプレイユニットであって、前記グラフィック表現は、
第1の次元に前記治療時間
を表現し、第2の次元に前記少なくとも1つの治療パラメータ
を表現
し、第3の次元に前記線量を色分けによって表現する、ディスプレイユニットと、
を有する、システム。
【請求項2】
前記時間分解治療要約書を分析するための分析ユニットをさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記線量は、熱線量又
は標的領域に送達されるエネルギーの一つ又は複数を有し得る、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの治療パラメータは、アブレーションの可能性、細胞内のアブレーション分布、吸収細胞体積、前記細胞による吸収力の一つ又は複数を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
標的領域に送達される前記線量の複数の線量値は、色分けされる値として前記グラフィック表現で表される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
ユーザが前記グラフィック表現と対話することを可能にするユーザインターフェースをさらに有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記グラフィック表現を生成することは、
-リアルタイムデータを表す診断図の第1の時系列の第1の時間分解要約書を生成することと、
-計画されるデータを表す診断図の第2の時系列の第2の時間分解要約書を生成することと、
-前記第1の時間分解要約書と前記第2の時間分解要約書とを前記グラフィック表現において互いに並べて表すことと
を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記グラフィック表現を生成することは、前記診断図を時間の関数として分析することを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記色分けされる値は、瞬時値又は累積値のうちの一つ又は複数であり得る、請求項5、又は請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項6乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記治療時間は、治療の開始に対する時間、治療中の時間、計画される治療の時間、サンプルの固定数、治療の開始及び停止に関連する非線形マッピング
を使用して表される時間表現、のうちの一つ又は複数であり得る、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
熱アブレーション治療のための方法であって、
入力ユニットが、時系列
の診断図を受信するステップであって、前記診断図は、前記熱アブレーション治療の過程を示し、線量の関数として、少なくとも1つの治療パラメータを表現し、前記時系列の診断図の各診断図は、治療時間における特定の時点に関連する、ステップと、
処理ユニットが、前記治療時間の関数として前記
時系列の診断図を処理して、時間分解治療要約書を生成するステップであって、前記生成するステップは、前記治療時間の関数として前記診断図をマージすることによって
、前記治療時間の関数として前記線量と前記少なくとも1つの治療パラメータとを表現するデータセットを
、前記時間分解治療要約書として生成するステップを有する、ステップと、
ディスプレイユニットが、前記時間分解治療要約書のグラフィック表現を生成し、表示するステップであって、前記グラフィック表現は、
第1の次元に前記治療時間
を表現し、第2の次元に前記少なくとも1つの治療パラメータ
を表現
し、第3の次元に前記線量を色分けによって表現する、ステップと、
を有する、方法。
【請求項12】
ユーザインタフェースを介して、前記グラフィック表現に関するユーザインタラクションを受信するステップを更に有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
処理ユニットによって実行されるとき、請求項11に記載の方法を実行するように適合される、請求項1乃至10の何れか一項に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置、特に熱アブレーション処置の分野における医療処置のためのシステム、対応する方法、及びそれぞれのコンピュータプログラムに関する。より具体的には、本発明は、治療時間の関数としてヒストグラムを含む治療データを処理するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温熱療法はがんの増殖物を取り除くために、がん治療でますます用いられるようになっている治療法である。この点において、熱アブレーション技術は一般に、それらが最小限の侵襲性であり、したがって、周囲の生物学的組織を可能な限り多く保存することを可能にするので、一般的な手術技術の良好な代替法であると考えられる。
【0003】
関連する放射線治療技術と同様に、熱アブレーション治療の目標は、腫瘍などの標的領域に熱エネルギーを効率的に送達すると同時に、リスクのある器官内のエネルギー蓄積を最小限に抑えることである。この目標を達成するために、適切な治療計画及び治療モニタリングを提供すること、すなわち、エネルギーの時間及び送達を可能な限り正確に計画及びモニタリングすることが必要である。
【0004】
放射線療法では、このような計画(及びその後のモニタリング)がいわゆる線量体積ヒストグラム(DVH)によって達成される。これらのDVHは標的領域及び周囲の生物学的組織において吸収され得る線量を可視化することができ、したがって、腫瘍などの標的領域に送達される線量、ならびにリスクのある器官に送達される線量を近似することを可能にする。したがって、照射中に蓄積するエネルギーは、時間にわたって比較的一定であると仮定される。放射線療法の場合、これは有効な仮定であり、すなわち、初期静的タームでエネルギー蓄積を十分に特徴付ける。このようにDVHは、放射線療法における比較的正確な治療計画及び治療モニタリングを可能にする。
【0005】
しかしながら、放射線療法とは対照的に、温熱療法では、エネルギー送達中のエネルギー源の動的挙動は、標的領域のアブレーションをもたらす生体組織応答に、恐らくリスクのある器官にも、より強い影響を及ぼす。すなわち、供給源の一定の出力エネルギーにおいて、熱アブレーションを受ける組織のアブレーションは例えば、エネルギーがどのくらい迅速に蓄積されるかに依存して、及び/又はエネルギー蓄積のパターンに依存して変化し得る。つまり、熱アブレーションでは、細胞破壊の主な原因は、全蓄積線量だけでなく、線量がどのように蓄積するかということにある。エネルギー蓄積のこの動的挙動は熱治療の効率と効果に強い影響を及ぼす。
【0006】
したがって、DVHの使用は、熱アブレーション治療における治療計画及び/又は治療モニタリングのための十分なツールを提供しないことが判明している。
【0007】
米国特許出願公開第2008/0033419号明細書は、患者の関心体積全体の温度変化を測定するためにx線システムを使用して熱アブレーションを実行するように動作可能な熱アブレーションシステムを開示している。熱アブレーションプロシージャ中にx線システムによって取得される画像データセットは、熱アブレーションに付されているボリュームについての温度変化情報を提供する。熱アブレーション処置中に取得される中間画像データセットは、ボリューム凝固壊死標的を達成するために熱アブレーション計画を修正又は更新することができるシステムコントローラに供給することができる。国際公開第2016/135584号公報は、制御パラメータに従って組織を切除するように構成され、切除処理中に測定を行うように構成される切除デバイスを含む、アブレーションを実行するためのシステムを開示している。撮像システムはアブレーションの進行を監視するために、エラストグラフィック関連パラメータを測定するように構成される。パラメータ推定及びモニタリングモジュールは、アブレーション装置及び/又はエラストグラフィック関連パラメータから測定値を受信して、アブレーションプロセス中の異なる時間に撮像デバイスの撮像パラメータを適応的に調整するためのフィードバックを提供するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
熱治療計画や熱治療監視を高精度に行えるツールを提供するためには、この種の処理の動的挙動を考慮する必要がある。したがって、熱アブレーション治療における計画及び/又は監視のためのDVHの不十分さは、これらのDVHが準静的挙動を有する放射線を視覚化するように最初に設計されるという事実に起因する。具体的にはそれらの累積的性質のために、DVHは標的領域内に蓄積される累積エネルギー又は瞬時温度に関する情報のみを提供し得る。したがって、DVHは、治療中のエネルギー蓄積の進展を追跡することを可能にしない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、熱アブレーション治療において改善される治療計画及び/又は治療監視プロセスを可能にするシステム及び対応する方法を提供することである。より詳細には本発明の目的は、前記計画及び監視プロセスの精度を改善するシステム及び方法を提供することである。さらにより具体的には、本発明の目的は、熱アブレーション治療に使用されるエネルギー源の動的挙動を考慮することを可能にするシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、医学療法のためのシステムであって、2次元診断図の時系列を受信するための入力ユニットであって、前記2次元診断図の前記時系列の各々の一つは治療時間における特定の時点で取得される、入力ユニットと、前記治療時間の関数として前記診断図の前記時系列を処理して時間分解治療要約書を生成するための処理ユニットであって、前記生成は、前記治療時間の関数として前記診断図をマージすることによって3次元データセットを生成することを有する、処理ユニットとを有する、システムによって達成される。
【0011】
この文脈において、医学療法という用語は特に、標的において動的挙動を示すエネルギー源からのエネルギーの蓄積を含む治療を意味することができる。これにより、医学療法のためのシステムは特に、実行される医学療法の計画及び/又は監視及び/又は制御及び/又は評価を可能にするように構成される任意の種類のシステムであってもよい。いくつかの実施形態では、システムが計画システム、介入システム、制御システム、品質保証システム、及び/又はこれらの何れかの組み合わせとして構成されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、医学療法という用語が特に、熱アブレーション治療を含む熱アブレーション療法を指すことができる。この文脈において、用語熱アブレーション治療は特に、標的領域における腫瘍のような標的組織を除去又は破壊するために、周期的な熱が使用される治療を指し得る。これは、特に、特定の標的組織体積に断続的に熱を供給することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、標的組織体積に熱を供給するために、熱針及び/又は放射線が使用される。しかしながら、他の一般的に周知の方法も同様に使用することができる。
【0013】
用語診断図は特に、医療処置の経過を示す図を指すことができる。より具体的には、診断図という用語は特に、標的領域におけるエネルギー蓄積の2次元表示を指す。さらにより具体的には、複数の診断図が特に、標的領域に蓄積される線量の関数として少なくとも1つの治療パラメータを表示することができる。いくつかの実施形態では、これらの治療パラメータは特に、
-温度、
-等価温度における時間、
-アブレーションの可能性、
-アブレーションゾーン、
-組織体積、
-入力動力、及び
-熱エネルギー
を含んでもよい。
【0014】
この場合、温度は特に、ケルビン、摂氏又は華氏の単位で測定され得る絶対温度になり得る。いくつかの実施形態では、温度は、体温、治療開始時の温度に対して、又は絶対値として決定されてもよい。温度は、標的領域における温度に関連し得る。さらに、温度はまた、生物学的組織と密接に接触させられる加熱要素(針のよう)における温度に関連近い。
【0015】
等価温度での時間は特に、例えば治療計画のために、標的領域におけるその対応する温度で時間を示すためのパラメータとして使用されてもよい。アブレーションの可能性は特に、標的領域内の生物学的組織がアブレーションされる全可能性を示し得る。この文脈において、用語アブレーションは、細胞破壊、又は主要組織本体からの、特に標的領域における生物学的組織の除去として理解され得る。
【0016】
さらに、アブレーションゾーンという用語は、具体的には基準体積に対するアブレーションされる組織の体積、又はアブレーション体積を指すことができる。さらに、アブレーションゾーンという用語はまた、治療中の組織、すなわち標的領域の組織を指すために使用されてもよい。基準体積は、細胞体積又は任意の所定の体積であってもよい。細胞体積は、処置される器官及び組織によって変化することが理解され得る。
【0017】
用語入力電力は、加熱要素に印加される電源によって送達されるエネルギー(例えば、ワット、ジュール、カロリー)の単位での電力を指してもよく、加熱要素は例えば、組織又は放射線源に熱を送達するための針であってもよい。
【0018】
診断図は、上述のパラメータのうちの一つ又はそれより多くのパラメータの一つ又はそれより多くの値を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらのパラメータは、1つ又は複数の診断図によって組織化及び/又は視覚化することができる。そのような診断図による組織化及び/又は視覚化は特に、標的領域に送達される線量の関数として、上記パラメータの値を相関させることを含み得る。
【0019】
この文脈において、用語線量は広く解釈されるべきであり、すなわち、標的領域に送達されるエネルギー、それに送達される線量、領域内の細胞死確率などの、治療計画及び/又は治療モニタリングのためにエンコードされるべき物理的実体を指す。
【0020】
いくつかの実施形態では、診断図は特に、線量-体積ヒストグラム(DVH)を含んでもよい。通常、DVHは、前記線量の関数として所与の線量を受ける体積を表す一次元曲線を含む二次元ヒストグラムである。この文脈において、DVHの文脈において使用されるべき線量という用語は再び、広く解釈され得、特に、本明細書中上記に示されるような値を言及し得ることが理解されるべきである。
【0021】
診断図の時系列は特に、治療時間の異なる時点で得られた複数の診断図を指すことができる。ここで、治療時間という用語は特に、治療プロセスの時間を指すことができる。したがって、治療時間は、治療中の時間を意味することがある。治療中は、患者の実際の治療の時間、すなわち、治療が行われる時間を指すことがあることを理解しなければならない。この場合、診断図の時系列を用いて、治療モニタリングのための時間分解治療要約書を提供することができる。用語治療中は、代替的に又は追加的に、治療のシミュレートされる時間、すなわち、治療が計画されている場合を指してもよい。その場合、治療時間という用語は、治療が計画通りに実施される場合、虚偽の時点を意味する。治療時間は(計画される)治療の開始に対して測定されてもよく、治療中の実際の時間であってもよい。いくつかの実施形態では、治療時間という用語はまた、システムの入力に関連付けられる固定数のサンプル、又は治療装置の開始及び停止に関連付けられるフレキシブル非線形マッピングを指してもよい。
【0022】
診断図の時系列の各々は、診断図が得られた治療時間の特定の時点における、温度、アブレーションの可能性、熱エネルギー等(従って、治療状況)のような、本明細書中上記に示されるような治療パラメータによって、エネルギー蓄積を表す。その文脈において、取得という用語は、治療モニタリングのための治療中の診断図の取得を指し得ることが理解され得る。代替的又は追加的に、この用語はまた、治療計画のための治療中の治療時間の想定される時点での診断図の計算を指してもよい。診断図を得ることができる治療時点の間の時間間隔、したがって時間分解能は、任意の特定の値に限定されないが、時間分解治療要約書の用途及び目的に応じて変化することができることは理解される。そのために、時間間隔は、温度を変化させ、対応する熱エネルギーを周囲の組織及び/又は熱アブレーション及び/又は熱アブレーション時間などの基礎をなす生物学的プロセスに提供するための、加熱素子の能力などの特定の要因によって特に制限されてもよい。したがって、典型的な時間間隔は、10分の1秒から数分の間の大きさのオーダーであり得る。したがって、治療計画のための時間間隔は、治療モニタリングのための時間間隔よりも長い可能性がある。すなわち、分の範囲の間隔は特に、治療計画のために使用されてもよく、使用される(サブ)秒の範囲の間隔は、治療モニタリングのために使用されてもよい。他のコンステレーションも考えられる。
【0023】
診断図の時系列は、時間分解治療要約書を生成するために処理ユニットによって処理されてもよい。
【0024】
この文脈において、時間分解治療要約書という用語は、診断図が治療時間の関数として統合されるデータセットを特に参照することがある。すなわち、時間分解要約書は、上述のような診断図の情報と、時系列順の治療時間の情報とを含む。このようにして、複数の診断図は、それぞれの治療時間と線量の関数として診断図に示される治療パラメータの対応を示すことを可能にする時間分解される態様で要約され、配置されてもよい。これは、医学療法の動的性能を取得することを可能にし、特に、時間にわたる治療結果の進展に追従する。これにより、治療源の動的挙動は他の方法では適切に評価されない可能性がある医学療法における改善される治療計画及びモニタリングが可能となる。
【0025】
いくつかの実施形態では、システムは、時間分解治療要約書を分析するための分析ユニットをさらに有することができる。
【0026】
分析ユニットは治療時間の関数として診断図を含む時間分解治療要約書を分析し、評価するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、分析は、治療計画及び/又は治療制御システムが、治療源を自動的に位置決めし、設定して、標的領域に線量を送達する一方で、リスクのある器官に送達される線量を最小限にすることを可能にする。いくつかの実施形態では、時間分解治療要約書は特に、熱(アブレーション)治療で使用され、標的領域に関してエネルギー源をどのように配置するかを確立し、前記エネルギー源が標的領域に熱エネルギーを蓄積させるために使用される時間を評価することを可能にする。したがって、分析ユニットは、適切な治療計画及び/又は制御を自動的に実行することができる治療計画及び/又は治療制御システムを提供するために使用することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では分析ユニットは、随意に、他の治療デバイス、データ記憶デバイス、具体的にはデータベース、さらなる処理デバイス、及び/又は表示装置などの内部デバイス及び/又は外部装置と通信するように構成され得る。
【0028】
いくつかの実施形態ではシステムは、時間分解治療要約書のグラフィック表現を生成し、表示するためのディスプレイユニットをさらに有することができる。
【0029】
この文脈において、グラフィック表現という用語は特に、時間の関数として単一の診断図に表されるような少なくとも1つの治療パラメータを表示することを可能にする、時間分解治療要約書の2次元グラフィック表現に関連し得る。本発明によるグラフィック表現は特に、アブラトグラムのグラフィック表現として、すなわち、時間の関数としての診断図の時系列の表示として提供することができる。これにより、線量のような診断図の第2の次元は、色分けによって表すことができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、グラフィック表現は特に、静的図であってもよい。すなわち、診断図の時系列によって表される治療パラメータは、色分けによって表される線量値を用いて、時間の関数としてグラフィック表現で表されてもよく、それによって、(時間軸によって構成されるように)特定の時間枠に対する治療の進展に関するオーバビューが与えられる。
【0031】
いくつかの実施形態ではリアルタイムデータのみが、動的グラフィック表現で表示され、治療の過程の間、常に更新される。このようにして、治療要約書は医療を効果的に行うために、医療者に提供され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、グラフィック表現はまた、これらの値の間のより良好な比較を達成するために、リアルタイム線量及び累積線量を共に表すために使用されてもよい。これを達成するために、累積線量表現として、以下のようないくつかの方法を使用することができる。
-静的/平均組織損傷計算である。これにより、送達される線量パターンは組織損傷をシミュレートし、この情報をユーザに提示するために使用される。
-シミュレートされる組織損傷である。組織損傷のシミュレーションは特に、組織特性を推論する画像データを使用して実行され得る。すなわち、画像データから抽出され得る組織特性はシミュレートされる組織損傷を計算し、累積結果をユーザに提示するために使用される。
-送達される全(熱)エネルギーである。これにより、蓄積される(熱)線量は、放射線療法と同様の方法で直接表される。
【0033】
ディスプレイユニットは分析ユニットの一部であってもよいし、分析ユニットに通信可能に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイユニットは特に、ユーザが治療計画及び/又は治療監視プロセスの結果を視覚的に評価することができるように、グラフィック表現をユーザに提示するように構成される、TFT又はLCD画面などの任意の種類のディスプレイ画面であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、診断図の時系列のそれぞれは標的領域に送達される線量の関数として少なくとも1つの治療パラメータを表す。いくつかの実施形態では、線量は、熱線量、局所温度、等価温度での時間、アブレーションの可能性、及び/又は入力電力のうちの1つ又は複数を含むことができる。少なくとも1つの治療パラメータは、アブレーションの可能性、セル内のアブレーション分布、吸収セル体積、及び/又はセルによる吸収電力のうちの1つ又は複数を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、診断図は特に、治療される領域に送達される線量の関数として少なくとも1つの治療パラメータを表すことができる。ここで、用語線量は、本明細書中上記に示されるように広く解釈されるべきである。線量という用語は特に、標的領域に送達されるエネルギー、送達される線量、及び/又は標的領域における細胞死確率を指し得る。
【0036】
治療パラメータは特に、温度、等価温度での時間、アブレーションの可能性、アブレーションゾーン、体積、計数値、又は電力値のうちの1つ又は複数を含むことができる。アブレーションゾーンの場合、バイナリ結果のみが達成されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、標的領域に送達される線量の複数の線量値が色分けされる値としてグラフィック表現で表される。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、時間分解治療要約書のグラフィック表現は特に、標的領域に送達される線量についてユーザに知らせることができる。これは、治療時間に応じて少なくとも1つの治療パラメータをグラフィック表現で表し、第3の次元、すなわち、治療時間の特定の時点で送達される線量を色分けによって伝達することによって達成することができる。一例として、色分けは、青色から赤色に走る色勾配を使用して線量値を提示することによって実行されてもよく、青色は低線量値を示し、赤色は高線量値を示す。様々な色によって示される値は、別個のカラースケールによってさらに示されてもよい。この種の表現は、特にアブラトグラムと呼ばれることがある。
【0039】
いくつかのさらなる実施形態では、システムは、ユーザがグラフィック表現と対話することを可能にするユーザインタフェースを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、グラフィック表現はより多くの情報を得るために調整されてもよい。一例として、より小さい線量範囲はカバーされるが、分解能は増加されるように、又はより高い線量範囲がカバーされるが、分解能は低減されるように、カラースケールは変更されてもよい。この調整は、ユーザインターフェースを介してユーザによって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、色によって表される異なる値を示すカラースケール上をスクロールするユーザは、カラースケールの範囲及び解像度を変更することができる。いくつかの実施形態では、スライドボタンを使用して、カラースケールの範囲及び解像度を変更することができる。他の実施態様も同様に想定することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、グラフィック表現は、それぞれのユーザ入力に応答して、治療時間の特定の時点中に取得される単一の診断図を表すようにさらに構成されてもよい。すなわち、ユーザは特定の治療時間を選択することができ、その時間で取得される診断図は、例えばポップアップウィンドウによって、グラフィック表現の一部としてユーザに表され得る。その点で、治療時点のユーザ選択は特に、時間分解治療要約書のグラフィック表現において治療時点を示すユーザによって実行されてもよい。代替的に又は追加的に、ユーザは例えば、キーボードを介して、それぞれのウィンドウにおける治療時間の特定の時点を入力することができ、入力は、その時点における特定の診断図のグラフィック表現が現れるように促すことができる。この特徴の他の実装もまた、想定されることがある。
【0042】
このようにして、治療を示す治療パラメータを、時間分解される方法で線量の関数として表すこと、すなわち、時間分解治療要約書の3次元表現を2次元スクリーン上に伝えることが可能であり、それによって、ユーザが、実行される及び/又は計画される治療をより効率的に取得することを可能にする。
【0043】
いくつかのさらなる実施形態では、グラフィック表現を生成するステップは、リアルタイムデータを表す診断図の第1の時系列の第1の時間分解要約書を生成するステップと、計画されるデータを表す診断図の第2の時系列の第2の時間分解要約書を生成するステップと、第1の時間分解要約書及び第2の時間分解要約書をグラフィック表現内で互いに並べて表すステップとをさらに含む。いくつかの実施形態では、グラフィック表現が患者について現在リアルタイムで取得されている特定の治療パラメータを表す診断図の第1の時系列の第1の時間分解治療要約書と、治療セッションについて計画されるものと同じ治療パラメータを表す診断図の第2の時系列の第2の時間分解治療要約書との組み合わせを表すことができる。すなわち、グラフィック表現は、リアルタイム情報と、計画される治療に関する情報との両方を含む。
【0044】
そのため、第一の時間分解治療要約書と第二の時間分解治療要約書は、互いに並んでグラフ表示されることがある。いくつかの実施形態では、これはリアルタイムデータを表す第1の治療要約書が第1のグラフィックで提供され、計画データを表す第2の治療要約書が第2のグラフィックで提供されるグラフィック表現を包含し、それによって、第1及び第2のグラフィックは表示画面上で互いの上又は隣り合って表示されるなど、グラフィック表現で互いに並んで表示される。これにより、第1のグラフィックは特に、治療セッション中にリアルタイムで得られる診断図が治療時間の関数として表示され、線量が色分けによって符号化される時間分解治療要約書を示すことができる。対応する方法で、第2のグラフは、計画される治療による診断図が治療時間の関数として表示され、かつ線量が色分けの用語で符号化される時間分解治療要約書を示すことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の時間分解治療要約書はまた、単一のグラフィックで提供されてもよい。より具体的には、単一のグラフィックを使用して、少なくとも1つの治療パラメータを治療時間の関数として表し、一方で、(実際に送達及び/又は計画される)線量を色分けに関して含むこともできる。いくつかの実施形態では、第1の時間分解治療要約書が特に、治療セッション中に既に満了した治療時間を表すグラフィックの部分に表されてもよい。第二の時間分解治療要約書はまだ起こっていない治療時間を表すグラフのその部分で表現されることがあるが、治療セッションの過程の間に関係するようになる。この場合、グラフィック表現は例えばスライディングウィンドウによって、特にダイナミックであり、治療期間が経過することにつれて頻繁に更新される。このため、リアルタイムデータの第一の時間分解治療要約書を表すグラフィック表現の部分が大きくなる一方で、計画データの第二の時間分解治療要約書を表す部分が小さくなる可能性がある。これは、計画される線量と実際に送達される線量とのそれぞれの改善される比較を提供することを可能にする。
【0046】
これにより、第1の時間分解治療要約書は特に、治療中の少なくとも1つの治療パラメータ(例えば、体積、アブレーションの可能性など)のリアルタイム測定に基づいて生成され得、これらは、標的領域及び/又はリスクのある器官に送達される線量の関数として、それぞれの診断図に表される。
【0047】
第2の時間分解治療要約書は、治療プロセスのシミュレーションに基づいて生成することができる。いくつかの実施形態では、シミュレーションがX線イメージング、超音波イメージング、磁気共鳴CTなどの医用撮像モダリティによって得られる診断画像データに基づくことができる。
【0048】
これにより、治療時間は特に、秒、分、又は別の適切な時間スケールで測定される、治療セッションの開始に対する相対的な治療時間であり得る。治療時間はまた、時刻、治療中に測定される絶対タイミング値、固定数のサンプル、及び/又は治療セッションの開始及び終了に関連するフレキシブル非線形マッピングに対応し得る。そのために、前記ピーク温度に到達するための実際のパターンを表すよりも、その温度で費やされる時間と共にピーク温度(又は同様の測定基準)を表すことがより重要である場合、フレキシブル非線形マッピングを特に使用することができる。これらの場合、線形時間表現をピーク温度に使用することができ、その間の非ピークパターンは非線形時間「コンプレッション」によって表される(すなわち、画像内で線形に表されない)。この非線形表現、すなわち、残りのパターンの非線形表現と共にピークパターンの線形表現により、1つの画像でより長いタイムラインを表現することができる。
【0049】
さらなる態様によれば、医学療法のための方法であって、入力ユニットにおいて、2次元診断図の時系列を受信するステップであって、前記診断図の時系列の各々は、治療時間における特定の時点で得られるステップと、処理ユニットにおいて、前記治療時間の関数として前記診断図の時系列を処理して、時間分解治療要約書を生成するステップであって、前記生成するステップは、前記治療時間の関数として前記診断図をマージすることによって3次元データセットを生成するステップを有する、方法方法が提供される。
【0050】
さらなる態様によれば、実行されるとき、上述の方法を実行するように適合される、上述のシステムを制御するためのコンピュータプログラムが提供される。更に別の態様では、上記コンピュータプログラムに記憶されるコンピュータ可読媒体が提供される。
【0051】
医学療法のためのシステムは、処理装置によって実施され得ることが理解されるべきである。これにより、入力ユニット、処理ユニット、分析ユニット、ディスプレイユニット、及び/又はユーザインターフェースは、処理ユニット内のモジュールとして実装されてもよい。これらのモジュールの機能は特に、それぞれの手段によって実現されてもよい。このアルゴリズムは特に、前記モジュールを含む前記処理ユニット上に実装される機械学習アルゴリズムを使用して実装されてもよい。
【0052】
請求項1のシステム、請求項13の方法、請求項14のコンピュータプログラム、及び請求項15のコンピュータ可読媒体は特に従属請求項に定義されるように、類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解される。
【0053】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであってもよいことを理解される。
【0054】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】一実施形態による医学療法のためのシステムを概略的に示す。
【
図2】さらなる実施形態による医学療法のためのシステムを概略的に示す。
【
図3】一実施形態による、時間分解治療要約書を生成するための方法を概略的に示す。
【
図4A】一実施形態による例示的な診断図を概略的に示す。
【
図4B】一実施形態による時間分解治療要約書の例示的なグラフィック表現を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面中の図は概略的なものである。異なる図面において、類似又は同一の素子には同一の参照番号が付されている。
【0057】
図1は、例示的な実施形態による医療処置のためのシステム1を示す。システム1は、診断時間10の時系列を受け取るように構成される入力ユニット100と、診断時間10の時系列を処理するように構成される処理ユニット200と、分析ユニット300と、ユーザインターフェース400と、ディスプレイユニット700とを有する。さらに、システム1は、外部データベース2に通信可能に結合されている。
【0058】
図1の例示的な実施形態では、実行されるべき治療が熱アブレーション治療に対応する。これにより、システム1は、治療モニタリングのために使用される。入力ユニット100は、治療時間の複数の時点でリアルタイムに測定される診断
図10の第1の時系列を受け取ることができる。この特定の例では、診断図の各々が治療時間のその特定の時点での熱線量の関数として測定される体積を表す。
【0059】
続いて、入力ユニット100は、診断
図10の第一の時系列を処理ユニット200に供給することができる。それから、処理ユニット200は、診断
図10の時系列を使用して、第1の時間分解治療要約書を生成することができる。すなわち、処理ユニット200は、診断
図10の第1の時系列からの複数の診断図の各々を時間の関数としてマージすることができる。これにより、第1の時間分解治療要約書は、時間分解される方法でマージされる個々の診断図によって表される熱線量の値も含む。
【0060】
システム1は、外部データベース2に通信可能に結合することができる。
図1のこの特定の実施形態では、システム1が処理ユニット200によって外部データベース2に結合される。外部データベース2から、処理ユニットはさらに、複数の治療時点について、診断撮像データに基づいてシミュレートされる診断図の第2の時系列から生成される第2の時間分解要約書を受け取ることができる。この特定の例では、診断図の第2の時系列の各々が治療時間のその特定の時点での熱線量の関数としてシミュレートされる体積を表す。
【0061】
それから、処理ユニット10は第一の分解治療要約書と第二の分解治療要約書を組み合わせることができ、第一及び第二の分解治療要約書を分析ユニット300に進めることができる。それから、分析ユニット300は第1及び/又は第2の時間分解治療要約書を分析し、評価することができる。
図1に従った特定の例において、分析ユニット300は、リアルタイムで収集される治療パラメータを表す第一の分解治療要約書と、計画される治療パラメータを表す第二の分解治療要約書とを比較する。
図1の例示的な実施形態では、第1の時間分解治療要約書と第2の時間分解治療要約書との間の偏差が重すぎるようになった場合、分析ユニット300がインジケーションを出力するように構成されてもよい。この表示は、治療が適切に適用されているかをチェックするようにユーザに促すことができ、したがって、患者の誤治療を防止することができる。
【0062】
分析ユニット300はさらに、ユーザインターフェース400及びディスプレイユニット500に通信可能に結合されてもよい。
図1の特定の実施形態では、このユーザインターフェースが特にキーボードなどとすることができる。ディスプレイユニット500は特に、ディスプレイスクリーンであってもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイユニット500はタッチスクリーンであってもよく、それによって、ユーザに(追加の)ユーザインターフェースを提供する。
【0063】
ディスプレイユニット500は、分析ユニット300から、第1の時間分解治療要約書及び第2の時間分解治療要約書を受信することができ、それらのグラフィック表現を生成することができる。
図1による実施形態では、ディスプレイユニット500は特に、スライディングウィンドウに関してグラフィック表現を生成し、第1の時間分解治療要約書及び第2の時間分解治療要約書は互いに並んで表示され、それによって、第1の時間分解治療要約書は治療時間の現在の時点までグラフィック表現でグラフィック表現され、第2の時間分解治療要約書は治療時間の現在の時点に続く次の時点から開始してグラフィック表現される。グラフィック表現は、治療時間が経過することにつれて動的に更新される。
【0064】
ディスプレイユニット500上のグラフィック表現に基づいて、医療従事者などのユーザは、現在実行中の治療セッションをレビューし、すべてが計画に従って進行しているかを視覚的にチェックすることができる。さらに、ユーザインターフェース400を使用して、ユーザは、第1及び第2の時間分解治療要約書のグラフィック表現と対話することができる。これにより、例えば、ユーザは治療時間の特定の時点を選択することができ、これにより、ディスプレイユニット500は、治療時間の特定の時点で収集され、及び/又はシミュレートされる診断
図10のグラフィック表現を生成し、この表現を更なる検査のためにユーザに提示するように促される。
【0065】
ユーザはさらに、ユーザインターフェース400を介して、第1及び/又は第2の時間分解治療要約書が記憶されるべきであることを示すことができる。その場合、処理ユニット200は、現在利用可能な第1及び第2の治療要約書を外部データベース2に分配するように促される。いくつかの実施形態では、処理ユニット200は、治療セッションが終了するまで待機し、その後にのみ、第1及び第2の時間分解治療要約書を分配されることができる。
【0066】
図2は、別の実施形態による医学療法のためのシステム1を概略的に示す。
図2の例示的な実施形態では、システム1は治療計画システムである。すなわち、システム1によって受信される診断
図10の時系列は例えば、
図1に関連して上述したような方法でシミュレートされる複数の診断図を含む。
【0067】
入力ユニット100において診断画像データ10(シミュレートされる)時系列を受信すると、これらは、処理ユニット200に転送され、時間分解治療要約書を生成するために、
図1に関連して本明細書において上述したように処理される。それから、時間分解治療要約書を分析ユニット300に転送することができ、分析ユニットは、時間分解治療要約書を使用して、診断図がシミュレートされる、すなわち診断画像データが取得される患者の潜在的な治療セッションを決定する。それから、分析ユニット300は潜在的な治療に関する情報を、時間分解治療要約書と共に、ディスプレイユニット500に提供することができる。
【0068】
それから、ディスプレイユニット500は、計画される治療の時間分解治療要約書ならびに提案される治療セッションに関する情報を包含するグラフィック表現を生成し、そのグラフィック表現をユーザに出力することができる。そのために、提案される治療セッションのための情報は特に、標的領域の表示、熱エネルギー源の位置決め、提案される治療時間などを含むことができる。
【0069】
それから、ユーザは、ユーザインターフェース400を使用して、提案される情報をレビューし、特に時間分解治療要約書のグラフィック表現に基づいて、分析ユニット治療計画が十分であるかを評価することができる。ユーザは、必要に応じて治療計画を任意に編集することができる。いくつかの実施形態では、ユーザが提案される治療計画を直接受け入れることもできる。
【0070】
図3は一実施形態による、熱アブレーション治療のための時間分解治療要約書を生成し、表示するための方法を概略的に示す。
【0071】
ステップS101において、入力ユニット100は、診断
図10の時系列を受信する。診断図のこの時系列は、リアルタイムで測定される時系列であってもよいし、診断図のシミュレートされる時系列に対応してもよいし、治療モニタリング又は治療計画の何れか、あるいはその両方に使用されている時間分解治療要約書の目的に応じてもよいし、その両方であってもよい。診断図の時系列は、複数の治療時間について得られた複数の診断図を含む。この特定の例では、診断図の各々が治療時間のその特定の時点での熱線量の関数として体積を表す。
【0072】
ステップS102において、入力ユニット100は、診断
図10の時系列を処理ユニット200に提供する。ステップS201において、処理ユニット200は診断図の時系列を受信し、ステップS202において、それらを使用して、時間分解治療要約書を生成する。そうするために、処理ユニット200は、時間の関数として複数の診断
図10の各々をマージし、一方、個々の診断
図10の各々によって最初に表される熱線量値に関する情報を維持する。
【0073】
次に、ステップS203において、処理ユニット200は、このようにして生成される時間分解治療要約書を分析ユニット300に転送し、ここで、それはステップS301において受信される。
【0074】
ステップS302では、分析ユニット300は、可能な治療計画を決定するため、及び/又は進行中の治療プロセスを評価するために、時間分解治療要約書を評価する。何らかの問題がある場合、分析ユニット300はステップS303において、提案される治療計画を逆チェックするように、及び/又は進行中の治療プロセスに介入するように、ユーザに促すことができる指示を出力することができる。なお、ステップS303は、解析部300が問題を検出した場合にのみ発生する。そうでない場合、方法はステップS304に進み、分析ユニット300は時間分解治療要約書をディスプレイユニット500に送り、そこで、それは、ステップS501で受信される。
【0075】
ステップS502において、ディスプレイユニット500は時間分解治療要約書のグラフィック表現を生成し、ステップS503において、前記グラフィック表現をユーザに提示する。
【0076】
ディスプレイユニット500上のグラフィック表現に基づいて、ユーザはそれから、ステップS401において、時間分解治療要約書を視覚的にチェックし、ユーザインターフェース400を介して、時間分解治療要約書、それぞれそのグラフィック表現と対話することができる。一例として、ユーザは時間分解治療要約書を調整するためにユーザ入力を提供することができ、又はその中に示される治療時間の特定の時点を選択することができ、これは表示されているそれぞれの診断図のグラフィック表現などにつながる。
【0077】
図4A及び4Bは、一実施形態による、例示的な診断図及び時間分解治療要約書の例示的なグラフィック表現を概略的に示す。
【0078】
より具体的には、
図4Aは、放射線療法治療に一般的に適用される線量体積ヒストグラム(DVH)として具体化される診断図を表す。この種の診断図では横軸は線量を表し、これは熱アブレーション治療の場合、特に熱線量に対応し得るが、蓄積されるエネルギー又は細胞死確率にも対応し得、縦軸は熱エネルギー源によって照射される標的領域内の体積を表す。それは、[%]の単位での細胞体積のパーセンテージとして、又は体積の単位での全吸収体積として与えられ得る。
【0079】
図4Aの例示的な実施形態では、曲線a、b、及びcは送達される熱線量Dの関数としての吸収ボリュームVを概略的に表す。これによって、異なる曲線は特に、標的領域の異なる部分を表し得る。代替的に又は追加的に、異なる曲線はそれぞれ、標的領域内の組織及び危険にさらされている器官を表すこともでき、それによって、標的領域内のどの線量/エネルギー蓄積が、リスクのある器官内のどの線量/エネルギー蓄積をもたらすかを分析することを可能にする。これは、改善される治療計画及び治療モニタリングプロシージャを可能にする。
【0080】
図4Bは、二次元の色分けされるダイアグラムの形態の時間分解治療要約書の例示的なグラフィック表現を表す。
【0081】
図4Bによるこの特定の例示的な実施形態では、時間分解治療要約書は,
図4Aによる診断図の時系列を要約し、すなわち、療法(又は治療)時間tの関数として、線量Dの関数として吸収ボリュームVを表す。したがって、標的領域内のボリュームVは、横軸に表される治療時間tの関数として、二次元図の縦軸に表される。熱線量Dの値は、グラフィック表現の色分けによって符号化される。この文脈において、色分けは、真の積分によって決定される累積線量、専用の数学によって決定される累積線量、瞬時線量などを表すことができることが理解される。
図4Bによる特定の実施形態では、瞬時線量が色分けによって表される。ここで、色分けは、温度、等価温度での時間、アブレーションの可能性、体積、カウント、電力、アブレーションゾーン等のような、本明細書で上述したような送達される線量を示す任意の種類のパラメータを表すために使用されてもよい。
【0082】
図4Bの例示的な実施形態では、熱線量を適用するための2つの可能なアプローチが示されている。
【0083】
時間分解治療要約書の上側のグラフィック表現では、標的領域内の体積のごく一部のみが加熱される。すなわち、熱治療はホットスポットを示す。これは、例えば、針状の熱源を使用して、特定の位置に時間をかけて熱線量を加えることによって達成することができる。治療セッションの開始時、すなわち、治療時間がゼロである時点で、温度は、全体積に対して実質的に等しい。したがって、全体積に熱線量は存在せず、したがって、色分けは低い熱線量1000を表す。進行中の治療時間では、熱源が熱線量を適用する標的領域内の位置が低熱線量1000から高熱線量2000への熱線量の増加を示す。色分けの観点から、これは、ボリューム内のその特定のホットスポットについて、青色(低)から緑色、黄色、オレンジ色、赤色(高)への時間変化を示すことによってエンコードされることができる。
【0084】
時間分解治療要約書の下側のグラフィック表現では、熱線量が周期的に送達され、すなわち、標的領域内の特定の位置の周りの凍結治療で使用されるような、温かい温度と冷たい温度との間で循環される。その結果、高線量2000と低線量1000(又はこの場合は高温及び低温)との間の変化が周期的に生じる。これは、治療時間の経過中に色分けされるアブラトグラムに表される、高値、低値のいくつかのスポットによって反映される。
【0085】
上述の実施形態は熱アブレーション治療のための方法に関するが、これらの方法は放射線療法にも適用され得ることに留意される。
【0086】
さらに、上記の実施形態ではシステムが治療計画及び/又は治療監視のためのシステムの一部として実装されるが、システムは治療制御システム(TCS)及び/又は治療検証システム(TVS)などの他のシステムでも同様に実装され得ることを理解される。
【0087】
開示される実施形態に対する他の変形は図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。
【0088】
特許請求の範囲において、単語「有する」は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除するものではない。
【0089】
単一のユニット又は装置は、特許請求の範囲に列挙されるいくつかの項目の機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0090】
一連の診断図の受信、治療時間の関数としての診断図の時系列の処理、時間分解治療要約書の生成、グラフィック表現の生成及び表示などのプロシージャは、ユーザが1つ又は複数のユニット又はデバイスによって実行される時間分解要約書及び/又は診断図などと対話することを可能にし、任意の他の数のユニット又はデバイスによって実行することができる。これにより、これらのプロシージャは、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は専用ハードウェアとして実施することができる。
【0091】
コンピュータプログラムは他のハードウェアと一緒に、又はその一部として供給される、光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は配布することができるが、インターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で配布することもできる。
【0092】
特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0093】
医学療法のためのシステムであって、診断図の時系列を受信するための入力ユニットであって、前記診断図の前記時系列の各々の一つは治療時間における特定の時点で取得される、入力ユニットと、前記治療時間の関数として前記診断図の前記時系列を処理して時間分解治療要約書を生成するための処理ユニットとを有する、システムが開示される。このようなシステムにより、医学療法の動態を効率的にマッピングすることができ、医学療法の実施を当業者にとって著しく簡略化することができる。