(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】断熱箱体およびこれを備える冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/06 20060101AFI20240116BHJP
F25D 23/08 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F25D23/06 A
F25D23/06 F
F25D23/08 C
(21)【出願番号】P 2021021723
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丹野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】塩野 謙治
(72)【発明者】
【氏名】小沼 智史
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-247534(JP,A)
【文献】特開2016-003780(JP,A)
【文献】特開2015-001344(JP,A)
【文献】特開平08-061834(JP,A)
【文献】特開2002-310384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06-23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内箱及び前記内箱の外方に配置された外箱を備える箱体と、前記箱体の背面側下方に形成された機械室空間と、前記内箱の外方側の少なくとも両側面に接合された側面部断熱部材を備え、
前記外箱と前記側面部断熱部材の間には空間を有し、
前記機械室空間の前方には前記内箱を支える支持部材を備え、
前記支持部材の一方の端部は前記内箱に接続し、他方の端部は前記外箱に接続したことを特徴とする断熱箱体。
【請求項2】
請求項
1において、
前記内箱の底面側に配置された底面部断熱部材を備え、
前記底面部断熱部材は前記内箱と前記外箱に接続したことを特徴とする断熱箱体。
【請求項3】
請求項
1において、
前記機械室空間の後方に補強部材を備え、
前記補強部材は前記外箱に接続したことを特徴とする断熱箱体。
【請求項4】
請求項
1において、
前記内箱と前記外箱は、前記箱体の前方側に位置する前縁部において接続されていることを特徴とする断熱箱体。
【請求項5】
請求項
1において、
前記箱体は、高さ方向から見て矩形状に形成され、
前記箱体の四隅には、前記外箱に接続され高さ方向に延びた補強柱を備えたことを特徴とする断熱箱体。
【請求項6】
請求項
1において、
前記側面部断熱部材の内部には補強部材が内挿されていることを特徴とする断熱箱体。
【請求項7】
請求項
1において、
前記内箱の背面に背面部断熱部材を配置し、前記背面部断熱部材は前記内箱と接合されていないことを特徴とする断熱箱体。
【請求項8】
請求項
1において、
前記外箱を構成している外箱側面部と外箱背面部はねじで接合され、前記ねじの先端は前記空間に位置させたことを特徴とする断熱箱体。
【請求項9】
内箱及び前記内箱の外方に配置された外箱を備える箱体と、前記箱体の背面側下方に形成された機械室空間と、前記内箱の外方側の少なくとも両側面に接合された側面部断熱部材を備え、
前記外箱と前記側面部断熱部材の間には空間を有し、
前記機械室空間の前方には前記内箱を支える支持部材を備え、
前記内箱の背面には前記内箱と接合されていない背面部断熱部材を配置したことを特徴とする断熱箱体。
【請求項10】
内箱及び前記内箱の外方に配置された外箱を備える箱体と、前記箱体の背面側下方に形成された機械室空間と、前記外箱の背面部下方が前記内箱に向かって曲げられ、前記機械室空間の上部を形成する外箱底部と、前記内箱の外方側の少なくとも両側面に接合された側面部断熱部材と、前記外箱底部の上部に配置され、前記内箱に接合された機械室上部断熱部材とを備え、
前記外箱と前記内箱の外方側に接合された断熱部材の間には空間を有し、
前記機械室空間の前方には前記内箱を支える支持部材を備え、
前記支持部材の一方の端部は前記外箱底部に接続し、他方の端部は前記外箱に接続し、
前記内箱の背面には前記内箱と接合されていない背面部断熱部材を配置したことを特徴とする断熱箱体。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載された断熱箱体を備えた冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱箱体およびこれを備える冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用冷蔵庫では、従来からある価格や省エネ性に対するニーズに加え、近年は設置寸法や収納力に対するニーズも高まってきており、コンパクトかつ大容量な冷蔵庫箱体が求められている。省エネ性の高い冷蔵庫においては、箱体は一般的に内側から、内箱、発泡ウレタン、真空断熱材、外箱の4部材が積層された板で構成されており、大容量化にはこの積層板の薄肉化が必要となる。
【0003】
積層板内の4部材の中では、発泡ウレタン部分が最も厚い傾向があり、積層板を薄肉化する手段としては、発泡ウレタン部分を薄くする、もしくは、除去することが効果的である。また、発泡ウレタンを積層板内に隙間なく充填するためには、積層板内に適切な厚みが必要となるため、発泡ウレタンを用いた積層板では、薄肉化に限界がある。すなわち、積層板内から発泡ウレタンを除去することにより、任意の厚さに薄肉化することが可能となる。
【0004】
発泡ウレタンを部分的に除去した冷蔵庫箱体に関する技術として、例えば特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、「背部断熱壁において真空断熱パネルの内箱に対応する表面および外箱に対応する裏面における発泡断熱部材がない面積が、側部断熱壁のそれよりも広くなるように設定されている」と記載されている。
【0005】
また、発泡ウレタンを全面的に除去した冷蔵庫箱体に関する技術として、例えば特許文献2がある。特許文献2には、「外箱と、外箱内に配置される内箱と、外箱と内箱の間に設けられる真空断熱材とを有し、外箱と内箱の角部の空間には、流動性を有している状態で熱を与えると、隣接した配置されている真空断熱材に接触するように固まるシール部材が配置されている」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-217704号公報
【文献】特開2014-126224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
冷蔵庫箱体の内容積拡大や製造コスト低減に寄与するためには、発泡ウレタンを全面的に除去することで、箱体壁の薄肉化と、ウレタン発泡工程費の排除を両立した上で、箱体の剛性や断熱性を確保することが求められる。上記の特許文献1は発泡ウレタンを部分的に除去した構造であり、箱体の背部には発泡ウレタンが存在しない領域があるが、側部には発泡ウレタンを有しており、ウレタンを発泡、硬化させる治具や工程費がかかる可能性がある。
【0008】
また、特許文献2は発泡ウレタンを全面的に除去した構造であるが、内箱と外箱の間が真空断熱材で充填されており、内箱と外箱の間に必要な冷媒配管等の配置が困難になる可能性がある。また、箱体の剛性と断熱性を確保するために、真空断熱材を厚くする必要があり、真空断熱材と内箱もしくは外箱を接合した場合、箱体変形により真空断熱材の表面フィルムが損傷する可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、箱体壁内から発泡ウレタンを除去し、箱体の剛性や断熱性を確保した上で箱体の内容積拡大、製造コスト低減を図ることができる断熱箱体およびこれを備える冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、その一例を挙げるならば、内箱及び前記内箱の外方に配置された外箱を備える箱体と、前記箱体の背面側下方に形成された機械室空間と、前記内箱の外方側の少なくとも両側面に接合された側面部断熱部材を備え、前記外箱と前記側面部断熱部材の間には空間を有し、前記機械室空間の前方には前記内箱を支える支持部材を備え、前記支持部材の一方の端部は前記内箱に接続し、他方の端部は前記外箱に接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、箱体壁内から発泡ウレタンを除去し、箱体の剛性や断熱性を確保した上で箱体の内容積拡大、製造コスト低減を図ることができる断熱箱体およびこれを備える冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1に係る冷蔵庫箱体の前面側の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る冷蔵庫箱体の背面側の外観斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図(
図2のIII-III線断面図)である。
【
図4】本発明の実施例1に係る冷蔵庫箱体のY-Z面上の断面図(
図2のIV-IV線断面図)である。
【
図5】本発明の実施例2に係る冷蔵庫箱体のY-Z面上の断面図である。
【
図6】本発明の実施例3に係る冷蔵庫箱体のY-Z面上の断面図である。
【
図7】本発明の実施例4に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図である。
【
図8】本発明の実施例5に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図である。
【
図9】本発明の実施例6に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図である。
【
図10】本発明の実施例7に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0014】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【実施例1】
【0015】
以下の説明では、断熱箱体として冷蔵庫の例として説明する。
図1は本発明の実施例1に係る冷蔵庫箱体の前面側の外観斜視図、
図2は本発明の実施例1に係る冷蔵庫箱体の背面側の外観斜視図、
図3は本発明の実施例1に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図(
図2のIII-III線断面図)、
図4は本発明の実施例1に係る冷蔵庫箱体のY-Z面上の断面図(
図2のIV-IV線断面図)を示している。なお、箱体の幅方向をX方向、高さ方向をY方向、奥行き方向をZ方向と定義している。
【0016】
実施例1の箱体100は、
図3に示すように、高さ方向(Y方向)から見て矩形状に形成されている。また、実施例1の箱体100は、
図1に示すように冷蔵庫の庫内を形成する内箱101と、内箱101の左右外方に配置された外箱102と、内箱101の上部に配置された天板103と、外箱の下部に配置された脚部104とを備えている。
【0017】
箱体100の背面下方には、
図2に示すように圧縮機(図示せず)を収納する機械室空間105が形成されている。この機械室空間105の前方には、内箱101を支持する内箱支持部材106(支持部材)が備えられている。
【0018】
さらに箱体100は、
図3に示すように内箱101の外方側に配置された側面部成形ウレタン110(110a,110b)と、内箱101の背面側に配置された背面部成形ウレタン111と、
図4に示すように内箱101の上方に配置された天面部成形ウレタン112と、内箱101の底面側に配置された底面部成形ウレタン113(底面部断熱部材)と、機械室空間105の上方に配置された機械室上部成形ウレタン114(機械室上部断熱部材)と、機械室空間105の前部に配置された機械室前方成形ウレタン115(機械室前方断熱部材)を備えている。各成形ウレタンは、内箱101と外箱102、内箱101と天板103で形成される箱体壁内空間107(空間)内に配置される。各成形ウレタンは断熱部材として機能する。
【0019】
外箱102は、内箱101の両側面外側に配置された外箱側面部102a,102bと、内箱101の背面外側に配置された外箱背面部102cと、外箱背面部102cの下方が内箱101に向かって曲げられた外箱底部102dから構成されている。外箱底部102dは機械室空間105の上部を形成している。
【0020】
なお、
図1乃至
図4には図示していないが、箱体100には、扉、庫内棚、冷却機器類などが設置され、冷蔵庫が構成される。
【0021】
図3に示すように、側面部成形ウレタン110(側面部断熱部材)や背面部成形ウレタン111(背面部断熱部材)などの各部成形ウレタンは、一体型の内箱101の各外周面上に接合されており、その接合方法は接着剤、ねじ止めなど任意である。また、成形ウレタンと内箱の接触している面全体を接合してもよいし、端部などを部分的に接合してもよい。また、各部の成形ウレタン同士は接合してもよいし、接合しなくてもよい。箱体100の壁内には、放熱配管などの冷却用部品類が設置される箱体壁内空間107があるが、その空間内で外箱102と成形ウレタンが部分的に接触していてもよい。また、内箱101と外箱102は、箱体100の前方側に位置する箱体前縁部116において接触しており、箱体前縁部116において両者が嵌め合い、もしくは、接合されていてもよい。接合されることにより、箱体全体の剛性を向上させることができる。
【0022】
図4に示すように、内箱支持部材106の一方の端部(上端)は内箱101に接続され、他方の端部(下端)は外箱に接続されている。内箱101は、機械室空間105に設置された内箱支持部材106の上端に直接接合されているので、内箱101が下方に沈み込む変形が抑制される。内箱支持部材106は、例えばY方向(高さ方向)に延びた部位のX-Z方向に切断した断面、及びZ方向(奥行方向)に延びた部位のX-Y方向に切断した断面がL字状を成している。この内箱支持部材106は、箱体100のX方向(左右方向)の両側に2本設けるようにするのが好ましい。
【0023】
内箱支持部材106の上端以外は部分的に、外箱102か、冷蔵庫の脚部、或いは、冷蔵庫の設置床に接続され、内箱101からの荷重は内箱支持部材106を介して、直接もしくは間接的に設置床に伝達される。内箱支持部材106は、圧縮機などの冷却用機器類が設置される機械室空間105内の前方側(
図4上では左側)に設置することで、内箱の奥行き方向中央付近に近接させることができ、庫内重量に対するモーメントを軽減することができる。
【0024】
実施例1では、内箱101の各外周面上に成形ウレタンが配置されているので、箱体の断熱性を確保することができる。また、この成形ウレタンを内箱101に接合し、成形ウレタンも補強部材として活用することで、箱体100の剛性を向上させることができる。特に、箱体剛性への寄与度が高い内箱101の両側面に側面部成形ウレタン110を接合することにより、効果的に箱体100の剛性を向上させることができる。すなわち、それ以外の背面部、天面部、底面部、機械室上部、機械室前方などへの成形ウレタンの設置は任意である。外箱102と成形ウレタンの間には箱体壁内空間107が形成されており、放熱配管などの冷却用部品類を配置することができる。この空間が存在することにより、内箱101が冷蔵庫の庫内重量に対して下方に沈み込む可能性があるが、機械室空間105内に備えた内箱支持部材106により、この下方変形を抑制することができる。なお、
図4に示した底面部成形ウレタン113を内箱と外箱に接触させるように配置することで、底面部成形ウレタン113においても、内箱101の下方変形を抑制することが可能である。
【0025】
発泡ウレタンを有する構造では、ウレタン発泡の工程で、ウレタンの流動性を考慮する必要があり、箱体壁の薄肉化には一般的に限界があるが、上記の実施例1に係る構造では、箱体壁内に発泡ウレタンが無く、箱体壁を任意の厚さに薄肉化することが可能となる。また、箱体製造時にウレタン発泡工程を省略することができるため、その治具や工程費を削減でき、製造コスト低減に寄与することができる。本構造は、冷蔵庫以外にも、断熱機能を有する各種の箱体に汎用的に適用することができる。なお、実施例1においては、断熱部材を成形ウレタンとして記載したが、発泡スチロールを予めブロック状に加工したものや、その他の断熱部材を代用してもよい。
【実施例2】
【0026】
次に
図5を用いて、実施例2について説明する。
図5は本発明の実施例2に係る冷蔵庫箱体のY-Z面上の断面図である。実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0027】
実施例2では、内箱支持部材206の一方の端部(上端)は外箱底部102dに接続され、他方の端部(下端)は外箱に接続されている。
【0028】
外箱底部102dの上方には、機械室上部成形ウレタン114が配置され、外箱底部102dは、機械室上部成形ウレタン114に接触している。機械室上部成形ウレタン114は内箱101に接合されている。すなわち、庫内重量含む内箱101からの荷重は、機械室上部成形ウレタン114と外箱底部102dを介して、内箱支持部材206に伝達される。内箱支持部材206の上端以外は、実施例1と同様に、部分的に外箱102か、冷蔵庫の脚部、あるいは、冷蔵庫の設置床に接続され、内箱の荷重が設置床に伝達される。
【0029】
図4に示した実施例1においては、内箱支持部材106が内箱101に直接接合されているが、この場合、内箱101内の冷気が内箱支持部材106に直接伝達され箱体外に漏洩しやすいため、箱体の断熱性能を低下させる可能性がある。また、内箱支持部材106と内箱101を直接接合するために、機械室上部成形ウレタン114を部分的に加工する必要がある。
【0030】
一方、
図5に示した実施例2においては、内箱支持部材206は、外箱底部102dと機械室上部成形ウレタン114を介して、内箱101に接続されるため、箱体100の断熱性能低下を抑制することができる。また、機械室上部成形ウレタン114を加工することなく、内箱からの荷重を内箱支持部材206を介して設置床に伝達させることができる。
【実施例3】
【0031】
次に
図6を用いて、実施例3について説明する。
図6は本発明の実施例3に係る冷蔵庫箱体のY-Z面上の断面図である。実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
箱体300では、機械室空間105の後方側(
図6上では右側)に補強部材301が設置されている。この補強部材301は外箱側面部102a,102bや外箱背面部102cに接合されている。内箱支持部材306は内箱101側に接合され、主に内箱からの荷重を支持するが、補強部材301は外箱側に接合され、箱体全体の剛性を向上させる。補強部材301は一箇所のみに設置してもよいし、複数個所設置してもよい。
【実施例4】
【0033】
次に
図7を用いて、実施例4について説明する。
図7は本発明の実施例4に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図である。実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
箱体400は、高さ方向(Y方向)から見て矩形状に形成されている。箱体400では、箱体壁内空間107内の箱体の四隅に補強柱401、402、403、404が設置されている。この補強柱は箱体400の高さ方向(Y方向)に延伸しており、外箱背面部102cや外箱側面部102a,102bに接合され、箱体全体の剛性を向上させることができる。なお、補強柱は
図7に示すように、箱体四隅の四箇所すべてに設置してもよいし、箱体前方側の補強柱401、402のみ、あるいは、箱体後方側の補強柱403、404のみに設置してもよい。また、補強柱の断面形状はL字、円筒、角筒など任意である。
【実施例5】
【0035】
次に
図8を用いて、実施例5について説明する。
図8は本発明の実施例5に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図である。実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0036】
箱体500では、側面部断熱部材となる側面部成形ウレタン510(510a,510b)の内部には、補強部材となる内挿補強部材511(511a,511b)が内挿されている。この内挿補強部材511a、511bは成形ウレタンよりも硬い樹脂や金属であり、これにより箱体剛性をさらに向上させることができる。内挿補強部材511a、511bを設置する内箱101内の高さ位置については任意であるが、内箱内の棚受け部近傍に設置することで、棚部の重量に対する内箱剛性を効果的に向上させることができる。なお、側面部成形ウレタン510a,510bと内箱101との接合方法は接着でもよいし、内挿補強部材511a,511bを介してねじ止めしてもよい。また、内挿補強部材は側面部や背面部などすべての成形ウレタン内に内挿されていてもよいし、側面部のみなど一部の成形ウレタンのみに内挿されていてもよい。
【実施例6】
【0037】
次に
図9を用いて、実施例6について説明する。
図9は本発明の実施例6に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図である。実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
箱体600では、側面部成形ウレタン110(110a,110b)のみ内箱101に接合されており、内箱101の背面に配置された背面部成形ウレタン111は内箱101に接合されていない。すなわち、内箱101と背面部成形ウレタン111との間には、内箱背面空間601が形成されている。このように構成することにより、箱体剛性への寄与度が高い内箱101の両側面を補強しつつ、背面部成形ウレタン111の接合コストを抑制することができる。その他の天面部成形ウレタンや底面部成形ウレタンなども内箱101に接合しない形態とすることで、さらに接合コストを抑制することができる。実施例6において、例えば内箱背面空間601に結露が発生する場合は、側面部成形ウレタン110a,110bと、背面部成形ウレタン111の境界部をシールすることにより、結露を抑制することができる。
【実施例7】
【0039】
次に
図10を用いて、実施例7について説明する。
図10は本発明の実施例7に係る冷蔵庫箱体のZ-X面上の断面図である。実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
箱体700では、外箱背面部102cと外箱側面部102a,102bが、ねじ701,702によりねじ止めされている。ねじ701,702の先端は箱体壁内空間107内に位置させ剥き出し状態となるが、箱体壁内空間107が存在することにより、ねじ先端が各部の成形ウレタンを損傷させることはなく、ねじ先端をカバーなどで保護しなくてもよい。すなわち、各板を接合して外箱を構成する構造において、各板を全面接着などせずに、簡易的な数か所のねじ止めのみで外箱を構成することができる。
【0041】
上記で示した各実施形態とすることにより、箱体壁内に発泡ウレタンが無い構成で、箱体の剛性や断熱性を確保した上で、箱体壁を任意の厚さに薄肉化することが可能となる。また、箱体製造時にウレタン発泡工程を省略することができるため、その治具や工程費を削減でき、製造コスト低減に寄与することができる。本構造は、冷蔵庫以外にも、断熱機能を有する各種の箱体に汎用的に適用することができる。
【0042】
[各実施例の効果]
上述した各実施例に係る構造では、内箱の外方側に断熱部材を配置させることにより、箱体の断熱性を確保することができる。この断熱部材とは、箱体製造工程時にウレタンを発泡させることで形成されたものではなく、例えば、予め成形、加工されたブロック状のウレタンやスチロールなどである。
【0043】
また、この断熱部材を内箱に接合し、断熱部材も補強部材として活用することで、箱体の剛性を向上させることができる。特に、箱体剛性への寄与度が高い内箱の両側面に断熱部材を接合することにより、効果的に箱体の剛性を向上させることができる。なお、外箱と断熱部材の間には、放熱配管などの冷却用部品類が設置されるため、その間は全域が空間となっている。
【0044】
また、内箱の背面側下方には、圧縮機などの冷却用機器類が設置される機械室空間を有している。内箱は床に設置される外箱に直接接合されていないため、冷蔵庫の庫内重量に対して内箱が下方に沈み込む可能性があるが、機械室空間に内箱を支えるための支持部材を設置することで、この変形を抑制することができる。この支持部材は、機械室空間の前方側に配置することで、庫内重量に対するモーメントも軽減することができる。
【0045】
発泡ウレタンを有する構造では、ウレタン発泡の工程で、ウレタンの流動性を考慮する必要があり、箱体壁の薄肉化には一般的に限界があるが、上記の本発明に係る構造では、箱体壁内に発泡ウレタンが無く、箱体壁を任意の厚さに薄肉化することが可能となる。また、箱体製造時にウレタン発泡工程を省略することができるため、その治具や工程費を削減でき、製造コスト低減に寄与することができる。
【0046】
本構造は、冷蔵庫以外にも、断熱機能を有する各種の箱体に汎用的に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
100…箱体、101…内箱、102…外箱、102a,102b…外箱側面部、102c…外箱背面部、102d…外箱底部、103…天板、104…脚部、105…機械室空間、106…内箱支持部材、107…箱体壁内空間、110,110a,110b…側面部成形ウレタン、111…背面部成形ウレタン、112…天面部成形ウレタン、113…底面部成形ウレタン、114…機械室上部成形ウレタン、115…機械室前方成形ウレタン、116…箱体前縁部、200…箱体、206…内箱支持部材、300…箱体、301…補強部材、306…内箱支持部材、400…箱体、401,402,403,404…補強柱、500…箱体、510,510a,510b…側面部成形ウレタン、511,511a,511b…内挿補強部材、600…箱体、601…内箱背面空間、700…箱体、701,702…ねじ