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特許7420761監視装置、監視方法、プログラム及び監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】監視装置、監視方法、プログラム及び監視システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/0811 20220101AFI20240116BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H04L43/0811
H04Q9/00 311H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021063500
(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公開番号】P2022158531
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 啓嗣
(72)【発明者】
【氏名】崔 帥
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0134664(US,A1)
【文献】特開2016-173622(JP,A)
【文献】特開2009-296493(JP,A)
【文献】特開2011-188322(JP,A)
【文献】特開2006-279402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L41/00-43/55
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置の2つのインタフェースの状態を示すデータを所定周期で取得する、取得部と、
前記データに基づいて、前記2つのインタフェースの現在の状態を所定周期で判定する判定部と、
前記2つのインタフェースの状態に関する状態情報を、前記判定部の判定結果に基づいて更新する、更新部と、
前記データの取得ができなかった回数に基づいて前記通信装置の監視の異常を検出する検出部と、を有し、
前記判定部は、前記取得部において前記データが取得できなかった場合、前記2つのインタフェースの現在の状態は、前記2つのインタフェースの前回の状態と同一状態であると判定し
前記検出部は、
前記取得部で、所定回数連続して前記データを取得することができなかった場合に、前記通信装置の監視に異常が生じたと判定し、
前記取得部で、前記通信装置のインタフェースに含まれる前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常であることを示す前記データを取得し、かつ、他のインタフェースから前記データを取得できなかった場合における前記所定回数を、前記取得部で前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常ではないことを示す前記データを取得し、かつ、他のインタフェースから前記データを取得できなかった場合、若しくは、前記取得部で前記2つのインタフェースの各々から前記データを取得できなかった場合の前記所定回数よりも多くなるように制御する、
監視装置。
【請求項2】
前記更新部は、前記判定部で取得された前記2つのインタフェースの現在の状態に基づいて前記状態情報を更新する、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記通信装置の前記2つのインタフェースのうちいずれか1つが正常である場合、前記インタフェースの現在の状態は正常であると判定する、
請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記取得部で、前記2つのインタフェースのうち少なくともいずれか1つの第1インタフェースから前記データが取得できなかった場合、前記インタフェースの現在の状態は、前記インタフェースの前回の状態と同一状態であると判定する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
監視装置が行う監視方法であって、
通信装置の2つのインタフェースの状態を示すデータを所定周期で取得するステップと、
前記データに基づいて、前記2つのインタフェースの現在の状態を所定周期で判定するステップと、
前記2つのインタフェースの状態に関する状態情報を、前記判定するステップの判定結果に基づいて更新するステップと、
前記データの取得ができなかった回数に基づいて前記通信装置の監視の異常を検出するステップと、を含み、
前記判定するステップは、前記取得するステップにおいて前記データが取得できなかった場合、前記2つのインタフェースの現在の状態は、前記2つのインタフェースの前回の状態と同一状態であると判定し、
前記検出するステップは、
所定回数連続して前記データを取得することができなかった場合に、前記通信装置の監視に異常が生じたと判定し、
前記通信装置のインタフェースに含まれる2つのインタフェースのうち一方のインタフェースから正常であることを示す前記データを取得し、かつ、他のインタフェースから前記データを取得できなかった場合における前記所定回数を、前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常ではないことを示す前記データを取得し、かつ、他のインタフェースから前記データを取得できなかった場合、若しくは、前記2つのインタフェースの各々から前記データを取得できなかった場合の前記所定回数よりも多くなるようにする、
監視方法。
【請求項6】
通信装置の2つのインタフェースの状態を示すデータを所定周期で取得するステップと、
前記データに基づいて、前記2つのインタフェースの現在の状態を所定周期で判定するステップと、
前記2つのインタフェースの状態に関する状態情報を、前記判定するステップの判定結果に基づいて更新するステップと、
前記データの取得ができなかった回数に基づいて前記通信装置の監視の異常を検出するステップと、をコンピュータに実行させ
前記判定するステップは、前記取得するステップにおいて前記データが取得できなかった場合、前記2つのインタフェースの現在の状態は、前記2つのインタフェースの前回の状態と同一状態であると判定し、
前記検出するステップは、
所定回数連続して前記データを取得することができなかった場合に、前記通信装置の監視に異常が生じたと判定し、
前記通信装置のインタフェースに含まれる前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常であることを示す前記データを取得し、かつ、他のインタフェースから前記データを取得できなかった場合における前記所定回数は、前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常ではないことを示す前記データを取得し、かつ、他のインタフェースから前記データを取得できなかった場合、若しくは、前記2つのインタフェースの各々から前記データを取得できなかった場合の前記所定回数よりも多くなるようにする、
プログラム。
【請求項7】
通信装置及び監視装置を有する監視システムであって、
前記通信装置は、
2つのインタフェースの状態を管理する管理部と、
前記2つのインタフェースの状態を示すデータを前記監視装置に送信する送信部と、を備え、
前記監視装置は、
前記通信装置から前記データを所定周期で取得する、取得部と、
前記データに基づいて、前記2つのインタフェースの現在の状態を所定周期で判定する判定部と、
前記2つのインタフェースの状態に関する状態情報を、前記判定部の判定結果に基づいて更新する、更新部と、
前記データの取得ができなかった回数に基づいて前記通信装置の監視の異常を検出する検出部と、を有し、
前記判定部は、前記取得部において前記データが取得できなかった場合、前記2つのインタフェースの現在の状態は、前記2つのインタフェースの前回の状態と同一状態であると判定し、
前記検出部は、
前記取得部で、所定回数連続して前記データを取得することができなかった場合に、前記通信装置の監視に異常が生じたと判定し、
前記取得部で、前記通信装置のインタフェースに含まれる前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常であることを示す前記データを取得し、かつ、他のインタフェースから前記データを取得できなかった場合における前記所定回数は、前記取得部で前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常ではないことを示す前記データを取得し、かつ、他のインタフェースから前記データを取得できなかった場合、若しくは、前記取得部で前記2つのインタフェースの各々から前記データを取得できなかった場合の前記所定回数よりも多くなるように制御する、
監視システム。
【請求項8】
通信装置の2つのインタフェースの状態を示すデータを所定周期で取得する、取得部と、
所定回数連続して前記データが取得されなかった場合に前記通信装置の監視の異常を検出する検出部と、を有し、
前記検出部は、
前記通信装置のインタフェースに含まれる前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常ではないことを示す前記データが取得され、かつ、他のインタフェースから前記データが取得されなかった場合、若しくは、前記2つのインタフェースの各々から前記データが取得されなかった場合に、前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常であることを示す前記データが取得され、かつ、他のインタフェースから前記データが取得されなかった場合よりも少ない回数で連続して前記データが取得されなかった場合に前記通信装置の監視の異常を検出する、
監視装置。
【請求項9】
監視装置が行う監視方法であって、
通信装置の2つのインタフェースの状態を示すデータを所定周期で取得するステップと、
所定回数連続して前記データが取得されなかった場合に前記通信装置の監視の異常を検出するステップと、を含み、
前記検出するステップは、前記通信装置のインタフェースに含まれる前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常ではないことを示す前記データが取得され、かつ、他のインタフェースから前記データが取得されなかった場合、若しくは、前記2つのインタフェースの各々から前記データが取得されなかった場合に、前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常であることを示す前記データが取得され、かつ、他のインタフェースから前記データが取得されなかった場合よりも少ない回数で連続して前記データが取得されなかった場合に前記通信装置の監視の異常を検出する、
監視方法。
【請求項10】
通信装置の2つのインタフェースの状態を示すデータを所定周期で取得するステップと、
所定回数連続して前記データが取得されなかった場合に前記通信装置の監視の異常を検出するステップと、をコンピュータに実行させ、
前記検出するステップは、前記通信装置のインタフェースに含まれる前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常ではないことを示す前記データが取得され、かつ、他のインタフェースから前記データが取得されなかった場合、若しくは、前記2つのインタフェースの各々から前記データが取得されなかった場合に、前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常であることを示す前記データが取得され、かつ、他のインタフェースから前記データが取得されなかった場合よりも少ない回数で連続して前記データが取得されなかった場合に前記通信装置の監視の異常を検出する、
プログラム。
【請求項11】
通信装置及び監視装置を有する監視システムであって、
前記通信装置は、
2つのインタフェースの状態を管理する管理部と、
前記2つのインタフェースの状態を示すデータを前記監視装置に送信する送信部と、を備え、
前記監視装置は、
通信装置の2つのインタフェースの状態を示すデータを所定周期で取得する、取得部と、
所定回数連続して前記データが取得されなかった場合に前記通信装置の監視の異常を検出する検出部と、を有し、
前記検出部は、
前記通信装置のインタフェースに含まれる前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常ではないことを示す前記データが取得され、かつ、他のインタフェースから前記データが取得されなかった場合、若しくは、前記2つのインタフェースの各々から前記データが取得されなかった場合に、前記2つのインタフェースのうち一のインタフェースから正常であることを示す前記データが取得され、かつ、他のインタフェースから前記データが取得されなかった場合よりも少ない回数で連続して前記データが取得されなかった場合に前記通信装置の監視の異常を検出する、
監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、監視方法、プログラム及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、通信事業者(キャリア)が管理するIP中継網で利用するネットワーク装置及びその通信経路の監視技術が開示されている。また、特許文献1には、各監視対象機器にアクセスして負荷情報を収集することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-184638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信事業者が管理するIP中継網などの大規模ネットワークを監視する場合、ネットワーク機器から収集するデータは膨大であることが多い。そのため、通信装置自体は正常に動作しているにも関わらず、何らかの理由で収集したデータに欠損が生じたことで、通信装置に異常が生じているといった誤判定がなされる可能性がある。しかしながら、特許文献1には、収集したデータに欠損が生じることを考慮した監視の技術は開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る監視装置は、通信装置のインタフェースの状態を示すデータを所定周期で取得する、取得部と、データに基づいて、インタフェースの現在の状態を所定周期で判定する判定部と、インタフェースの状態に関する状態情報を、判定部の判定結果に基づいて更新する、更新部と、を有し、判定部は、取得部においてデータが取得できなかった場合、インタフェースの現在の状態は、インタフェースの前回の状態と同一状態であると判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る監視システムのシステム構成例を示す図である。
図2】監視装置及び通信装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】監視装置の機能ブロック構成例を示す図である。
図4】通信装置の機能ブロック構成例を示す図である。
図5】IF状態DB及びIFデータ履歴DBの一例を示す図である。
図6】監視装置が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】監視装置が行う処理手順の具体例その1を説明するための図である。
図8】監視装置が行う処理手順の具体例その2を説明するための図である。
図9】監視装置が行う処理手順の具体例その3を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0008】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る監視システム1のシステム構成例を示す図である。監視システム1は、監視装置10と、端末20と、ネットワーク30と、ユーザネットワーク50と、インターネット60とを含む。
【0009】
ネットワーク30は、複数の通信装置40により構成され、ユーザネットワーク50とインターネット60との間を接続するサービスをユーザに提供する。通信装置40は、例えばルータ又はスイッチ等であり、ユーザネットワーク50とインターネット60との間を流れるデータのルーティングを行う。ユーザネットワーク50は、ユーザが管理するネットワークであり、例えば、無線LANルータが設置されたユーザ宅のホームネットワークや、ユーザ企業の社内ネットワーク等である。通信装置40は、冗長構成を有しており、片系が故障してもサービスを継続可能なように構成されている。
【0010】
監視装置10は、複数の通信装置40の動作状態を監視する装置である。より具体的には、監視装置10は、通信装置40が有する各インタフェースの状態を監視する。通信装置40が備えるインタフェースとは、ケーブルを接続する物理的なインタフェース、及び/又は、物理的なインタフェース内に作成される論理的なインタフェースを意味する。論理的なインタフェースは、仮想的なインタフェースと呼ばれることもある。インタフェースの状態には、例えば、インタフェースが正常に動作している状態(データの送受信が可能な状態であり、「UP」とも言う。)、及び、インタフェースが正常に動作していない状態(データの送受信が不可能な状態であり、「DOWN」とも言う。)が含まれる。端末20は、監視装置10に接続され、各通信装置40の動作状態を表示する。
【0011】
本実施形態では、監視装置10は、各通信装置40にアクセスして、通信装置40のインタフェースの状態を示すデータ(以下、「IF(Interface)データ」と言う。)を所定周期で取得することで、ネットワーク30内に存在する膨大な数のインタフェースを監視することを想定している。そのため、一部の通信装置40については、例えば監視装置10内におけるデータ収集処理に遅延が生じたなど、何らかの理由でIFデータを時間内に取得することができず、IFデータが欠損する場合があり得る。しかしながら、単にIFデータが欠損したという理由でインタフェースに異常があると判定してしまうと、実際にはインタフェースは正常に動作しているにも関わらず、異常があると誤判定してしまうことになる。そこで、本実施形態では、監視装置10は、IFデータが欠損した場合、インタフェースの過去の状態に基づいて現在の状態を補完する。これによれば、本実施形態に係る監視装置10は、誤判定を防止することができる。
【0012】
<ハードウェア構成>
図2は、監視装置10及び通信装置40のハードウェア構成例を示す図である。監視装置10及び通信装置40は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)等のプロセッサ11、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。監視装置10の入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、操作パネル、入力端子、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ、出力端子、タッチパネル及び/又はスピーカ等である。
【0013】
<機能ブロック構成>
(監視装置)
図3は、監視装置10の機能ブロック構成例を示す図である。監視装置10は、記憶部100と、取得部101と、判定部102と、更新部103と、検出部104とを含む。記憶部100は、監視装置10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、取得部101と、判定部102と、更新部103と、検出部104とは、監視装置10のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0014】
記憶部100は、各通信装置40におけるインタフェースの現在の状態と前回の状態とを格納するIF(Interface)状態DB100aと、各通信装置40から取得したIFデータの履歴を格納するIFデータ履歴DB100bとを記憶する。IF状態DB100a及びIFデータ履歴DB100bは、それぞれ、「状態情報」及び「履歴情報」と呼ばれてもよい。
【0015】
取得部101は、通信装置40のIFデータを所定周期で取得する。取得部101は、取得したIFデータを、IFデータ履歴DB100bに格納する。所定周期は、例えば、30秒周期、1分周期等であってよいが、本実施形態がこれに限定されるものではない。また、通信装置40のインタフェースは、2つのインタフェース(例えば0系インタフェースと1系インタフェースであり、「第1インタフェース」と称してもよい)により冗長化されていてもよい。この場合、取得部101は、2つのインタフェース(2つの第1インタフェース)の各々について、IFデータを所定周期で取得する。
【0016】
なお、系とは、一般的に、ある処理を実現するための装置/部品等(物理的な装置/部品のみならず、ソフトウェア上で論理的に実現される装置/部品も含む)を意味する用語である。また、0系及び1系とは、ある処理を実現するための装置/部品等が2重に用意されている場合に、それぞれの装置/部品を識別するために用いられる用語である。1系及び2系、実行系及び待機系などと呼ばれることもある。
【0017】
判定部102は、通信装置40から取得された、IFデータに基づいて、通信装置40のインタフェースの現在の状態(例えば、インタフェースが正常に動作しているのか否か)を所定周期で判定する。また、判定部102は、取得部101において当該IFデータが取得できなかった場合(つまりIFデータが欠損している場合)、インタフェースの過去の状態に基づいて、現在の状態を判定する。具体的には、例えば、判定部102は、取得部101でIFデータが取得できなかった場合、通信装置40のインタフェースの現在の状態を、通信装置40のインタフェースの前回の状態と同一状態であると判定してよい。例えば、所定周期は1分周期であり、取得部101が通信装置40にアクセスしてIFデータの取得を試みたが、何らかの理由により当該IFデータが取得できなかったとする。この場合、判定部102は、前回判定したインタフェースの状態(つまり1分前の周期で判定したインタフェースの状態)を、インタフェースの現在の状態であると判定してよい。
【0018】
また、判定部102は、通信装置40の冗長化された2つのインタフェース(2つの第1インタフェース)のIFデータに基づいて、通信装置40のインタフェースの現在の状態を判定する。例えば、判定部102は、通信装置40の冗長化された2つのインタフェース(2つの第1インタフェース)のうちいずれか1つが正常である場合、通信装置40のインタフェースの現在の状態は、正常であると判定するようにしてもよい。また、判定部102は、取得部101にて、冗長化された2つのインタフェース(2つの第1インタフェース)のうち少なくともいずれか1つのインタフェース(第1インタフェース)から、IFデータが取得できなかった場合、通信装置40のインタフェースの現在の状態は、当該インタフェースの前回の状態と同一状態であると判定するようにしてもよい。
【0019】
更新部103は、通信装置40のインタフェースの状態に関する状態情報を、判定部102の判定結果に基づいて更新する。当該状態情報は、例えばIF状態DB100aであり、更新部103は、IF状態DB100aを、判定部102で判定されたインタフェースの現在の状態に基づいて更新する。例えば、更新部103は、IF状態DB100aの前回の状態を、現在の状態として格納されていたインタフェースの状態に置き換えると共に、IF状態DB100aの前回の状態に、判定部102で判定されたインタフェースの現在の状態を格納してよい。
【0020】
検出部104は、IFデータの取得ができなかった回数に基づいて通信装置40の監視の異常を検出する。例えば、検出部104は、取得部101で、所定回数連続してIFデータを取得することができなかった場合、通信装置40の監視に異常が生じたと判定してよい。
【0021】
(通信装置)
図4は、通信装置40の機能ブロック構成例を示す図である。通信装置40は、記憶部400と、通信処理部401と、管理部402と、入力部403と、出力部404とを含む。記憶部400は、通信装置40が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、通信処理部401は、通信装置40が備える通信IF13を用いて実現することができる。また、管理部402と、入力部403と、出力部404とは、監視装置10のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0022】
記憶部400は、ルーティングテーブルや各種の設定情報等、通信装置40の動作に必要な各種の情報を記憶する。通信処理部401は、ルーティングテーブル等に基づいて、受信したデータのルーティングを行う。管理部402は、通信装置40が備える各インタフェースの状態を管理する。入力部403は、通信装置40が備える各種操作コマンド等の入力を受け付ける。出力部404は、通信装置40が備える各インタフェースの状態を示すデータを監視装置10に送信する。
【0023】
<処理手順>
続いて、監視装置10が行う処理手順を具体的に説明する。以下、通信装置40は、物理インタフェース内に、論理的なインタフェースである複数のサブインタフェースを有しており、監視装置10は、通信装置40が有する各サブインタフェースの状態を監視する前提で説明する。各サブインタフェースは、各ユーザネットワーク50とインターネット60の間を流れるデータをネットワーク30内で分離するために用いられるVLAN(Virtual LAN)に対応づけられている。また、以下の説明では、ネットワーク30全体で数万~十数万といった数のサブインタフェースが存在することを想定しているが、本実施形態がこれに限定されるものではない。
【0024】
通信装置40は、0系の通信装置40及び1系の通信装置40がペアとなって動作するACT(Active)/SBY(Standby)構成であるものとする。サブインタフェースが正常に動作している場合、ACT状態である通信装置40のサブインタフェースの状態は「UP」(正常に動作)であり、SBY状態である通信装置40のサブインタフェースの状態は「DOWN」(正常に動作していない)になる。また、前述した「IFデータ」の用語は、通信装置40のサブインタフェースの状態を示すデータであるものとする。
【0025】
図5は、IF状態DB100a及びIFデータ履歴DB100bの一例を示す図である。IF状態DB100aは、通信装置IDと、IFID(Interface ID)と、現在のサブインタフェースの状態(現在IF状態)と、前回のサブインタフェースの状態(前回IF状態)とが対応づけられて格納される。IFIDは、通信装置40が有するサブインタフェースを一意に識別するIDである。IFIDは、ネットワーク30内でサブインタフェースを一意に識別するIDであればどのようなIDであってもよい。「現在IF状態」とは、通信装置40から取得された、最新のIFデータに基づいて判定部102で判定された、インタフェースの状態を意味する。「前回IF状態」とは、前回の周期で通信装置40から取得されたIFデータに基づいて判定部102で判定された、インタフェースの状態を意味する。
【0026】
IFデータ履歴DB100bは、通信装置IDと、IFIDと、冗長構成を示す情報(系)と、0系及び1系の通信装置40から取得されたIFデータの履歴(IFデータ1(前回)~IFデータ6(6回前))とが対応づけて格納される。なお、履歴の数は特に制限はないが、図5の例では、過去6回分のIFデータが履歴として格納されている。
【0027】
図6は、監視装置10が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。監視装置10は、図6に示す処理手順を、各サブインタフェースについて所定周期で繰り返し実行する。
【0028】
ステップS100で、取得部101は、0系の各通信装置40にアクセスし、0系の各通信装置40からIFデータを取得してIFデータ履歴DB100bに格納する。また、取得部101は、1系の各通信装置40にアクセスし、1系の各通信装置40からIFデータを取得してIFデータ履歴DB100bに格納する。
【0029】
ステップS101で、判定部102は、0系のサブインタフェースのIFデータと、1系のサブインタフェースのIFデータとの両方が取得できているか否かを判定する。取得出来ている場合はステップS102の処理手順に進み、取得できていない場合はステップS103の処理手順に進む。
【0030】
ステップS102で、判定部102は、0系及び1系のサブインタフェースのIFデータのうち一方が「UP」であり他方が「DOWN」である場合、サブインタフェースは正常に動作していると判定する。この場合、更新部103は、IF状態DB100aの「前回IF状態」の内容を「現在IF状態」の内容に更新すると共に、「現在IF状態」の内容を「UP」に更新する。もし、判定部102は、0系及び1系のサブインタフェースのIFデータの両方が「DOWN」である場合、サブインタフェースは正常に動作していないと判定する。この場合、更新部103は、IF状態DB100aの「前回IF状態」の内容を「現在IF状態」の内容に更新すると共に、「現在IF状態」の内容を「DOWN」に更新する。
【0031】
ステップS103で、判定部102は、0系及び1系のサブインタフェースのIFデータのうち一方のIFデータが取得できていない場合、サブインタフェースの状態は、前回判定したサブインタフェースの状態であると判定する。また、更新部103は、IF状態DB100aの「前回IF状態」の内容を「現在IF状態」の内容に更新すると共に、「現在IF状態」の内容を、「前回IF状態」と同一の内容に更新する。
【0032】
ステップS104で、検出部104は、IFデータ履歴DB100bを参照し、IFデータ履歴DB100bにおいて、0系及び1系のサブインタフェースのIFデータのうち、IFデータを取得できていない状態が所定回数(N回)連続しているか否かを判定する。連続している場合はステップS105の処理手順に進み、連続していない場合は処理を終了する。
【0033】
ステップS105で、検出部104は、IFデータを取得できていない状態が所定回数(N回)連続している場合、サブインタフェースの監視に何らかの異常が生じたと判定し、例えば端末20の画面にアラーム等を表示させる。
【0034】
<具体例>
図7は、監視装置10が行う処理手順の具体例その1を説明するための図である。図7は、15周期分のIFデータ(「0系IFデータ」、「1系IFデータ」)と、IFデータに基づいて判定されたインタフェースの状態の判定結果(「現在IF状態」、「前回IF状態」)を示している。タイムスタンプ0の列は最も古いデータであり、タイムスタンプ15の列は最も新しいデータである。また、「0」及び「1」は、それぞれ「UP」及び「DOWN」を表している。また、「NULL」は、IFデータを取得できなかったことを示す。例えば、タイムスタンプ3の列では、0系のサブインタフェースからIFデータを取得することができず、1系のサブインタフェースから「DOWN」のIFデータが取得できたことを示している。この場合、サブインタフェースの現在の状態は、当該サブインタフェースの前回の状態で更新されることから、「UP」で更新される。例えば、タイムスタンプ4の列では、1系のサブインタフェースからIFデータを取得することができず、0系のサブインタフェースから「UP」のIFデータが取得できたことを示している。この場合、サブインタフェースの現在の状態は、当該サブインタフェースの前回の状態「UP」で更新される。
【0035】
このように、本実施形態によれば、通信装置40のサブインタフェースは正常に動作しているが、監視装置10内の処理負荷上昇等が原因でIFデータの欠損が生じるようなケースであっても、サブインタフェースは正常に動作していると判定される。従って、通信に異常は生じていないにも関わらず、警報が発生するといった事象を抑制することができる。
【0036】
図8は、監視装置10が行う処理手順の具体例その2を説明するための図である。図8の「IF監視状態」の行について、「0」はインタフェースの監視が正常であることを意味し、「1」はインタフェースの監視に異常が生じていると判断されたことを意味する。図8の例では、タイムスタンプ4~15の列において、1系のサブインタフェースからIFデータを取得することができていない。この場合、サブインタフェースの現在の状態は、当該サブインタフェースの前回の状態で更新されることから、「UP」(つまりサブインタフェースは正常)で更新され続けることになる。しかしながら、IFデータを取得できない状態が続く場合、例えば通信装置40との間の通信回線に異常が生じている可能性が想定される。従って、検出部104は、サブインタフェースのIFデータを取得できていない状態が所定回数(ここでは6回とする)連続している場合、サブインタフェースの監視状態に何らかの異常があると判定する。
【0037】
図9は、監視装置10が行う処理手順の具体例その3を説明するための図である。図9は、図8とは異なり、タイムスタンプ4~15の列において、0系のサブインタフェースからIFデータを取得することができておらず、更に、1系のサブインタフェースのIFデータは「1(DOWN)」を示している。図8の例では、1系のサブインタフェースのIFデータは「0(UP)」を示していたことから、0系のサブインタフェースのIFデータが取得できていなくても、通信装置40のサブインタフェースとしては正常に動作している可能性が高いと考えられる。一方、図9の例では、0系のサブインタフェースも「1(DOWN)」であったとすると、通信装置40のサブインタフェースは動作しておらず(つまり両系のサブインタフェースが「DOWN」である)、サービス提供に影響が出ている可能性がある。つまり、図9の例の方が、より早期に対応が必要である可能性が高いと考えられる。
【0038】
従って、検出部104は、両系のサブインタフェースのうちいずれか一方の系のIFデータを取得できず、かつ、他方の系のIFデータがDOWNである(正常ではない)ことを示している場合に、両系のサブインタフェースのうちいずれか一方の系のIFデータを取得できず、かつ、他方の系のIFデータがUPである(正常である)ことを示している場合と比較して、より早い周期(又はタイミング)で、サブインタフェースの監視状態に何らかの異常があると判定するようにしてもよい。同様に、検出部104は、両系のサブインタフェースのうち両方の系のIFデータを取得できない場合に、両系のサブインタフェースのうちいずれか一方の系のIFデータを取得できず、かつ、他方の系のIFデータがUPである(正常である)ことを示している場合と比較して、より早い周期(又はタイミング)で、サブインタフェースの監視状態に何らかの異常があると判定するようにしてもよい。
【0039】
言い換えると、検出部104は、取得部101で、2つのインタフェース(2つの第1インタフェース)のうち一方から正常であることを示すIFデータを取得し、かつ、他方からIFデータを取得できなかった場合における「所定回数」を、取得部101で2つのインタフェースのうち一方から正常ではないことを示すIFデータを取得し、かつ、他方からIFデータを取得できなかった場合、若しくは、取得部101で2つのインタフェースの各々からIFデータを取得できなかった場合の「所定回数」よりも長くなるように制御するようにしてもよい。例えば、図8の例では「所定回数」は6回であったが、図9の例では「所定回数」は3回である。
【0040】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、監視装置10は、インタフェースから取得するIFデータが欠損した場合、インタフェースの過去の状態に基づいて、当該インタフェースの現在の状態を補完する。これにより、一実施形態に係る監視装置は、通信装置40からの情報取得に失敗した場合であっても、不要な誤判定を抑止することが可能になる。
【0041】
また、監視装置10は、IFデータが欠損する状態が所定回数連続した場合、IF監視状態に何らかの異常があると判定するようにした。これにより、通信装置40の監視が正常に行えていないことを、管理者等に通知することが可能になる。
【0042】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…監視システム、10…監視装置、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、20…端末、30…ネットワーク、40…通信装置、50…ユーザネットワーク、60…インターネット、100…記憶部、100a…IF状態DB、100b…IFデータ履歴DB、101…取得部、102…判定部、103…更新部、104…検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9