IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムアースEVエナジー株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7420783組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法
<>
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図1
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図2
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図3
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図4
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図5
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図6
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図7
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図8
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図9
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図10
  • 特許-組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20240116BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240116BHJP
【FI】
H01M50/262 Z
H01M50/262 S
H01M50/264
H01M50/209
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021210634
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023094998
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福田 健人
(72)【発明者】
【氏名】根本 雄太
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 健悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-002427(JP,A)
【文献】特開2021-140873(JP,A)
【文献】特開2012-204172(JP,A)
【文献】特開2011-222490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に積層される複数の単電池を含む積層体と、前記積層体を拘束する拘束部材と、を備える組電池の製造システムであって、
前記積層体を第1圧力で前記一方向に一定時間加圧する前半ユニットと、
前記前半ユニットが前記積層体を加圧した後に、前記積層体を第2圧力で前記一方向に加圧しながら前記積層体を前記拘束部材に拘束させる後半ユニットと、を備え、
前記前半ユニットは、
前記積層体に接触することによって前記積層体を加圧する前半加圧部と、
前記積層体に接触することによって前記積層体の位置を規制する前半規制部と、を有し、
前記前半加圧部は、前記前半規制部が前記積層体に接触する状態で前記積層体を加圧し、
前記後半ユニットは、
前記積層体に接触することによって前記積層体を加圧する後半加圧部と、
前記積層体に接触することによって前記積層体の位置を規制する後半規制部と、を有し、
前記後半加圧部は、前記前半規制部又は前記後半規制部が前記積層体に接触する状態で前記積層体を加圧し、
前記第2圧力は、前記第1圧力よりも小さい組電池の製造システム。
【請求項2】
前記積層体は、複数の前記単電池を前記一方向で挟む2つのエンドプレートを含み、
前記拘束部材は、前記積層体が収納されることによって前記積層体を拘束するケースであり、
2つの前記エンドプレートは、前記一方向に延びる複数の凸部をそれぞれ有し、
前記前半加圧部は、2つの前記エンドプレートにそれぞれ接触する2つの前半加圧部材を有し、
2つの前記前半加圧部材は、2つの前記エンドプレートに対して複数の前記凸部の先端にそれぞれ接触し、
前記後半加圧部は、2つの前記エンドプレートにそれぞれ接触する2つの後半加圧部材を有し、
2つの前記後半加圧部材は、2つの前記エンドプレートに対して前記凸部同士の間に挿入される挿入部分をそれぞれ有し、
前記後半加圧部は、前記挿入部分が前記エンドプレートに接触することによって前記積層体を加圧しながら、前記積層体を前記拘束部材に収納する請求項1に記載の組電池の製造システム。
【請求項3】
前記前半ユニットと前記後半ユニットとを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記前半規制部が前記積層体の位置を規制する状態で前記前半加圧部に前記積層体を前記第1圧力で一定時間加圧させた後、前記前半規制部が前記積層体の位置を規制する状態で前記前半加圧部に前記積層体を前記第2圧力で加圧させ、
前記前半規制部が前記積層体の位置を規制する状態且つ前記前半加圧部が前記積層体を前記第2圧力で加圧する状態で、前記後半規制部と前記後半加圧部とを前記積層体に接触させ、
前記後半規制部が前記積層体の位置を規制する状態且つ前記後半加圧部が前記積層体を前記第2圧力で加圧する状態で、前記前半規制部と前記前半加圧部とを前記積層体から離す請求項2に記載の組電池の製造システム。
【請求項4】
前記積層体は、
上面と、
前記上面とは反対の下面と、
前記上面と前記下面とに連なる第1側面と、
前記第1側面とは反対の第2側面と、
前記上面と前記第1側面とによる角部分に位置し、前記一方向に並ぶ複数の第1規制片と、
前記上面と前記第2側面とによる角部分に位置し、前記一方向に並ぶ複数の第2規制片と、を有し、
前記前半規制部は、
複数の前記第1規制片に接触する前半第1規制部材と、
複数の前記第2規制片に接触する前半第2規制部材と、
複数の前記第1規制片に接触する前半第3規制部材と、
複数の前記第2規制片に接触する前半第4規制部材と、
前記上面に接触する上面規制部材と、
前記下面に接触する下面規制部材と、
前記第1側面に接触する第1側面規制部材と、
前記第2側面に接触する第2側面規制部材と、を有し、
前記前半第1規制部材と前記前半第2規制部材とは、前記積層体を挟むように前記第1規制片と前記第2規制片とにそれぞれ接触し、
前記前半第3規制部材は、前記第1規制片を前記前半第1規制部材に押し付けるように前記第1規制片の上方から接触し、
前記前半第4規制部材は、前記第2規制片を前記前半第2規制部材に押し付けるように前記第2規制片の上方から接触する請求項3に記載の組電池の製造システム。
【請求項5】
前記後半規制部は、
複数の前記第1規制片に接触する後半第1規制部材と、
複数の前記第2規制片に接触する後半第2規制部材と、
複数の前記第1規制片に接触する後半第3規制部材と、
複数の前記第2規制片に接触する後半第4規制部材と、を有し、
前記後半第1規制部材と前記後半第2規制部材とは、前記積層体を挟むように前記第1規制片と前記第2規制片とにそれぞれ接触し、
前記後半第3規制部材は、前記第1規制片を前記後半第1規制部材に押し付けるように前記第1規制片の上方から接触し、
前記後半第4規制部材は、前記第2規制片を前記後半第2規制部材に押し付けるように前記第2規制片の上方から接触する請求項4に記載の組電池の製造システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記後半規制部を前記積層体に接触させる場合、前記前半第1規制部材と、前記前半第2規制部材と、前記前半第3規制部材と、前記前半第4規制部材とを前記積層体から離した後に、前記後半第1規制部材と、前記後半第2規制部材と、前記後半第3規制部材と、前記後半第4規制部材とを前記積層体に接触させる請求項5に記載の組電池の製造システム。
【請求項7】
一方向に積層される複数の単電池を含む積層体と、前記積層体を拘束する拘束部材とを備える組電池の製造方法であって、
前記積層体の位置を規制しながら前記積層体を第1圧力で前記一方向に一定時間加圧することと、
前記積層体を前記第1圧力で一定時間加圧した後に、前記積層体の位置を規制しながら前記積層体を前記第1圧力よりも小さい第2圧力で前記一方向に加圧することと、
前記第2圧力で加圧される前記積層体を前記拘束部材に拘束させることと、を含む組電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池の製造システム、及び、組電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、組電池の製造システムが記載されている。組電池は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される。組電池は、車両の電源として使用される。組電池は、一方向に積層される複数の単電池を含む積層体を備える。
【0003】
特許文献1に記載される組電池の製造システムは、積層体の位置を規制しながら積層体を一方向に加圧する。これにより、積層体のうねりが抑制されつつ、積層体が一方向に圧縮される。加圧されている積層体を拘束部材が拘束することによって、組電池が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-204172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした製造システムでは、積層体が拘束部材に拘束された後、積層体の加圧が解除される。積層体の加圧が解除されると、加圧されていた積層体の反力によって、積層体にうねりが生じることがある。積層体にうねりが生じると、組電池の品質に影響する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する組電池の製造システムは、一方向に積層される複数の単電池を含む積層体と、前記積層体を拘束する拘束部材と、を備える組電池の製造システムであって、前記積層体を第1圧力で前記一方向に一定時間加圧する前半ユニットと、前記前半ユニットが前記積層体を加圧した後に、前記積層体を第2圧力で前記一方向に加圧しながら前記積層体を前記拘束部材に拘束させる後半ユニットと、を備え、前記前半ユニットは、前記積層体に接触することによって前記積層体を加圧する前半加圧部と、前記積層体に接触することによって前記積層体の位置を規制する前半規制部と、を有し、前記前半加圧部は、前記前半規制部が前記積層体に接触する状態で前記積層体を加圧し、前記後半ユニットは、前記積層体に接触することによって前記積層体を加圧する後半加圧部と、前記積層体に接触することによって前記積層体の位置を規制する後半規制部と、を有し、前記後半加圧部は、前記前半規制部又は前記後半規制部が前記積層体に接触する状態で前記積層体を加圧し、前記第2圧力は、前記第1圧力よりも小さい。
【0007】
上記構成によれば、第2圧力よりも大きい第1圧力で前半ユニットが積層体を一定時間加圧することによって、積層体は、クリープ変形する。積層体がクリープ変形することによって、積層体の反力が小さくなる。これにより、積層体が拘束部材に拘束された後において、積層体にうねりが生じにくい。
【0008】
上記組電池の製造システムにおいて、前記積層体は、複数の前記単電池を前記一方向で挟む2つのエンドプレートを含み、前記拘束部材は、前記積層体が収納されることによって前記積層体を拘束するケースであり、2つの前記エンドプレートは、前記一方向に延びる複数の凸部をそれぞれ有し、前記前半加圧部は、2つの前記エンドプレートにそれぞれ接触する2つの前半加圧部材を有し、2つの前記前半加圧部材は、2つの前記エンドプレートに対して複数の前記凸部の先端にそれぞれ接触し、前記後半加圧部は、2つの前記エンドプレートにそれぞれ接触する2つの後半加圧部材を有し、2つの前記後半加圧部材は、2つの前記エンドプレートに対して前記凸部同士の間に挿入される挿入部分をそれぞれ有し、前記後半加圧部は、前記挿入部分が前記エンドプレートに接触することによって前記積層体を加圧しながら、前記積層体を前記拘束部材に収納してもよい。
【0009】
前半加圧部のように凸部の先端に接触することによって積層体を加圧する場合、前半加圧部で積層体を加圧しながら拘束部材に収納することが難しい。これは、前半加圧部材が拘束部材に干渉しやすいためである。この点、上記構成によれば、凸部同士の間に挿入される挿入部分によって後半加圧部が積層体を加圧するため、後半加圧部材が拘束部材に干渉しにくい。これにより、後半加圧部で積層体を加圧しながら拘束部材に収納しやすい。
【0010】
上記組電池の製造システムは、前記前半ユニットと前記後半ユニットとを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記前半規制部が前記積層体の位置を規制する状態で前記前半加圧部に前記積層体を前記第1圧力で一定時間加圧させた後、前記前半規制部が前記積層体の位置を規制する状態で前記前半加圧部に前記積層体を前記第2圧力で加圧させ、前記前半規制部が前記積層体の位置を規制する状態且つ前記前半加圧部が前記積層体を前記第2圧力で加圧する状態で、前記後半規制部と前記後半加圧部とを前記積層体に接触させ、前記後半規制部が前記積層体の位置を規制する状態且つ前記後半加圧部が前記積層体を前記第2圧力で加圧する状態で、前記前半規制部と前記前半加圧部とを前記積層体から離してもよい。上記構成によれば、前半規制部又は後半規制部の少なくとも一方が積層体に接触する状態で、積層体が加圧される。これにより、積層体にうねりが生じにくい。
【0011】
上記組電池の製造システムにおいて、前記積層体は、上面と、前記上面とは反対の下面と、前記上面と前記下面とに連なる第1側面と、前記第1側面とは反対の第2側面と、前記上面と前記第1側面とによる角部分に位置し、前記一方向に並ぶ複数の第1規制片と、前記上面と前記第2側面とによる角部分に位置し、前記一方向に並ぶ複数の第2規制片と、を有し、前記前半規制部は、複数の前記第1規制片に接触する前半第1規制部材と、複数の前記第2規制片に接触する前半第2規制部材と、複数の前記第1規制片に接触する前半第3規制部材と、複数の前記第2規制片に接触する前半第4規制部材と、前記上面に接触する上面規制部材と、前記下面に接触する下面規制部材と、前記第1側面に接触する第1側面規制部材と、前記第2側面に接触する第2側面規制部材と、を有し、前記前半第1規制部材と前記前半第2規制部材とは、前記積層体を挟むように前記第1規制片と前記第2規制片とにそれぞれ接触し、前記前半第3規制部材は、前記第1規制片を前記前半第1規制部材に押し付けるように前記第1規制片の上方から接触し、前記前半第4規制部材は、前記第2規制片を前記前半第2規制部材に押し付けるように前記第2規制片の上方から接触してもよい。上記構成によれば、上面と、下面と、第1側面と、第2側面と、第1規制片と、第2規制片とのそれぞれに前半規制部が接触する。これにより、積層体にうねりが生じにくい。
【0012】
上記組電池の製造システムにおいて、前記後半規制部は、複数の前記第1規制片に接触する後半第1規制部材と、複数の前記第2規制片に接触する後半第2規制部材と、複数の前記第1規制片に接触する後半第3規制部材と、複数の前記第2規制片に接触する後半第4規制部材と、を有し、前記後半第1規制部材と前記後半第2規制部材とは、前記積層体を挟むように前記第1規制片と前記第2規制片とにそれぞれ接触し、前記後半第3規制部材は、前記第1規制片を前記後半第1規制部材に押し付けるように前記第1規制片の上方から接触し、前記後半第4規制部材は、前記第2規制片を前記後半第2規制部材に押し付けるように前記第2規制片の上方から接触してもよい。
【0013】
前半規制部のように上面、下面、第1側面、第2側面、第1規制片、第2規制片に接触することによって積層体の位置を規制する場合、積層体の位置を規制しながら拘束部材に収納することが難しい。これは、前半規制部が拘束部材に干渉しやすいためである。この点、上記構成によれば、後半ユニットは、後半規制部が第1規制片と第2規制片とに接触することによって積層体の位置を規制するため、後半規制部が拘束部材に干渉しにくい。これにより、積層体の位置を規制しながら拘束部材に収納しやすい。
【0014】
上記組電池の製造システムにおいて、前記制御部は、前記後半規制部を前記積層体に接触させる場合、前記前半第1規制部材と、前記前半第2規制部材と、前記前半第3規制部材と、前記前半第4規制部材とを前記積層体から離した後に、前記後半第1規制部材と、前記後半第2規制部材と、前記後半第3規制部材と、前記後半第4規制部材とを前記積層体に接触させてもよい。
【0015】
上記構成によれば、前半第1規制部材と、前半第2規制部材と、前半第3規制部材と、前半第4規制部材とが積層体から離れてから、後半第1規制部材と、後半第2規制部材と、後半第3規制部材と、後半第4規制部材とが積層体に接触するまでの間、前半規制部のうち、前半第1規制部材、前半第2規制部材、前半第3規制部材、及び、前半第4規制部材を除く他の規制部材によって積層体の位置が規制される。そのため、積層体にうねりが生じにくい。
【0016】
上記課題を解決する組電池の製造方法は、一方向に積層される複数の単電池を含む積層体と、前記積層体を拘束する拘束部材とを備える組電池の製造方法であって、前記積層体の位置を規制しながら前記積層体を第1圧力で前記一方向に一定時間加圧することと、前記積層体を前記第1圧力で一定時間加圧した後に、前記積層体の位置を規制しながら前記積層体を前記第1圧力よりも小さい第2圧力で前記一方向に加圧することと、前記第2圧力で加圧される前記積層体を前記拘束部材に拘束させることと、を含む。
【0017】
上記方法によれば、上述した組電池の製造システムと同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、積層体にうねりを生じにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】組電池の斜視図である。
図2】保持部材の正面図である。
図3】エンドプレートの正面図である。
図4】積層体の側面図である。
図5】組電池の製造システムを示すブロック図である。
図6】前半ユニットに保持される積層体の正面図である。
図7】後半ユニットに保持される積層体の正面図である。
図8】製造ルーチンのフローチャートである。
図9図6に示す状態から前半規制部による規制を一部終了した図である。
図10図9に示す状態から後半ユニットが積層体に接触した図である。
図11】積層体に加わる圧力の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
組電池の製造システムについて図を参照しながら説明する。まず、組電池について説明する。
図1に示すように、組電池11は、積層体12と、拘束部材13とを有する。積層体12は、一方向に積層された複数の単電池14を含む。組電池11は、積層体12を一方向に加圧しながら拘束部材13に拘束させることによって、製造される。
【0021】
本例では、積層体12は、複数の単電池14と、複数の保持部材15とを含む。複数の単電池14と複数の保持部材15とは、一方向において交互に並ぶ。積層体12は、複数の単電池14と複数の保持部材15とを一方向に挟む2つのエンドプレート16を含む。
【0022】
積層体12は、例えば、直方体形状である。積層体12は、上面21と、下面22と、第1側面23と、第2側面24と、前面25と、後面26とを含む。上面21と下面22とは、互いに反対の面である。上面21と下面22とは、第1側面23、第2側面24、前面25、及び、後面26と連なる。第1側面23と第2側面24とは、互いに反対の面である。第1側面23と第2側面24とは、上面21、下面22、前面25、及び、後面26と連なる。前面25と後面26とは、互いに反対の面である。前面25と後面26とは、上面21、下面22、第1側面23、及び、第2側面24と連なる。
【0023】
上面21、下面22、第1側面23、及び、第2側面24は、例えば、単電池14と保持部材15とエンドプレート16とによって構成される。前面25及び後面26は、一方向を向く面である。前面25及び後面26は、2つのエンドプレート16によってそれぞれ構成される。
【0024】
上面21は、拘束部材13から露出する。下面22、第1側面23、第2側面24、前面25、及び、後面26は、拘束部材13と対向する。積層体12は、下面22、第1側面23、第2側面24、前面25、及び、後面26を覆うように囲われることによって、拘束部材13に拘束される。
【0025】
積層体12は、複数の第1規制片31と、複数の第2規制片32とを有する。第1規制片31と第2規制片32とは、積層体12の位置を規制するための部材である。第1規制片31と第2規制片32とは、積層体12の角部分に位置する。具体的には、第1規制片31は、上面21と第1側面23とによる角部分に位置する。第2規制片32は、上面21と第2側面24とによる角部分に位置する。複数の第1規制片31は、積層体12の角部分において一方向に並ぶ。複数の第2規制片32は、積層体12の角部分において一方向に並ぶ。第1規制片31と第2規制片32とは、拘束部材13から露出するように延びる。
【0026】
第1規制片31は、第1突出部分33と、第1延伸部分34とを有する。第1突出部分33は、上方に向かって延びる部分である。第1延伸部分34は、第1突出部分33の先端から延びる部分である。第1延伸部分34は、例えば、上面21と平行に延びる。第1規制片31は、第1突出部分33と第1延伸部分34とによって、屈曲するように延びる。本例では、第1規制片31は、L字状に延びる。
【0027】
第2規制片32は、第2突出部分35と、第2延伸部分36とを有する。第2突出部分35は、上方に向かって延びる部分である。第2延伸部分36は、第2突出部分35の先端から延びる部分である。第2延伸部分36は、例えば、上面21と平行に延びる。第2規制片32は、第2突出部分35と第2延伸部分36とによって、屈曲するように延びる。本例では、第2規制片32は、L字状に延びる。このように、第1規制片31と第2規制片32とは、同様の構成を有する。第1延伸部分34と第2延伸部分36とは、互いに離れるように延びる。
【0028】
単電池14は、二次電池である。単電池14は、例えば、リチウムイオン二次電池である。単電池14は、例えば、正極、負極、セパレータが一体化された電極体と、電極体を収容するケースを備える。ケースは、電解液を内蔵する。単電池14は、例えば、正極端子と、負極端子とを有する。
【0029】
単電池14は、一方向から見た場合に、矩形状である。本例では、単電池14は、一方向から見た場合に、保持部材15、エンドプレート16と比べて、一回り小さい。単電池14は、一方向から見た場合に、保持部材15とエンドプレート16と同程度の大きさでもよい。
【0030】
保持部材15は、単電池14を保持する部材である。保持部材15は、例えば、スペーサである。保持部材15は、単電池14同士の間に位置することによって、単電池14の放熱を促進させる。保持部材15は、例えば、単電池14の一部を収容するように構成される。保持部材15は、例えば、正極端子と負極端子とが露出するように単電池14を収容する。
【0031】
図2に示すように、保持部材15は、一方向から見た場合に、矩形状である。保持部材15は、保持上面41と、保持下面42と、保持第1側面43と、保持第2側面44とを有する。保持上面41は、上面21を構成する。保持下面42は、下面22を構成する。保持第1側面43は、第1側面23を構成する。保持第2側面44は、第2側面24を構成する。
【0032】
保持部材15は、第1規制片31と、第2規制片32とを有する。第1規制片31と第2規制片32とは、例えば、保持上面41から延びる。第1規制片31は、保持上面41と保持第1側面43とによる角部分に位置する。第2規制片32は、保持上面41と保持第2側面44とによる角部分に位置する。
【0033】
保持部材15において、第1突出部分33と第2突出部分35とは、保持上面41から上方に延びる。保持部材15において、第1延伸部分34と第2延伸部分36とは、例えば、保持上面41と平行に延びる。保持部材15において、第1延伸部分34と第2延伸部分36とは、互いに離れるように延びる。
【0034】
図3に示すように、エンドプレート16は、一方向から見た場合に、矩形状である。エンドプレート16は、プレート上面51と、プレート下面52と、プレート第1側面53と、プレート第2側面54とを有する。プレート上面51は、上面21を構成する。プレート下面52は、下面22を構成する。プレート第1側面53は、第1側面23を構成する。プレート第2側面54は、第2側面24を構成する。
【0035】
エンドプレート16は、第1規制片31と、第2規制片32を有する。第1規制片31と第2規制片32とは、例えば、プレート上面51から延びる。第1規制片31は、プレート上面51とプレート第1側面53とによる角部分に位置する。第2規制片32は、プレート上面51とプレート第2側面54とによる角部分に位置する。
【0036】
エンドプレート16において、第1突出部分33と第2突出部分35とは、プレート上面51から上方に延びる。エンドプレート16において、第1延伸部分34と第2延伸部分36とは、例えば、プレート上面51と平行に延びる。エンドプレート16において、第1延伸部分34と第2延伸部分36とは、互いに離れるように延びる。
【0037】
図1及び図3に示すように、2つのエンドプレート16は、積層体12において両端に位置する。2つのエンドプレート16は、複数の凸部55をそれぞれ有する。複数の凸部55は、一方向に突出する。複数の凸部55は、第1側面23から第2側面24に向かう方向に、所定の間隔をあけて並ぶ。そのため、凸部55同士の間に、溝が形成されている。エンドプレート16は、複数の凸部55によって櫛歯状に構成される。
【0038】
図4に示すように、2つのエンドプレート16は、基端面56と、先端面57とをそれぞれ有する。基端面56は、凸部55が延びる面である。そのため、基端面56に、凸部55の基端が位置する。先端面57は、凸部55の先端で構成される。
【0039】
2つのエンドプレート16は、前面25と後面26とをそれぞれ構成する。2つのエンドプレート16のうち、一方のエンドプレート16における基端面56と先端面57とが、前面25を構成する。2つのエンドプレート16のうち、他方のエンドプレート16における基端面56と先端面57とが、後面26を構成する。
【0040】
図1に示すように、拘束部材13は、積層体12を拘束する部材である。拘束部材13は、複数の単電池14と複数の保持部材15と2つのエンドプレート16とが積層された状態で積層体12を拘束する。拘束部材13は、積層体12が一方向に圧縮された状態で拘束する。
【0041】
拘束部材13は、例えば、積層方向である一方向の両端を規制する部材を設けたケースである。拘束部材13は、例えば、ダイカストなどの方法によって形成される。拘束部材13は、積層体12を収納可能に構成される。拘束部材13は、積層体12を囲うことによって拘束する。拘束部材13は、例えば、積層体12に対して、下面22、第1側面23、第2側面24、前面25、後面26と接触する。積層体12は、上方から拘束部材13に差し込まれることによって、拘束部材13に収納される。
【0042】
次に、組電池11の製造システムについて説明する。製造システムは、積層体12を圧縮しながら拘束部材13に拘束させることによって組電池11を製造する。
図5に示すように、製造システム61は、前半ユニット62と、後半ユニット63と、制御部64とを備える。
【0043】
前半ユニット62は、積層体12を一方向に加圧するユニットである。前半ユニット62は、前半加圧部65を有する。前半加圧部65は、積層体12に接触することによって一方向に積層体12を加圧する。これにより、積層体12は、一方向に圧縮される。
【0044】
前半加圧部65は、2つの前半加圧部材66を有する。2つの前半加圧部材66は、2つのエンドプレート16にそれぞれ接触する。具体的には、2つの前半加圧部材66は、2つのエンドプレート16に対して、先端面57にそれぞれ接触する。前半加圧部材66は、先端面57に接触することによって、積層体12を加圧する。前半加圧部材66は、例えば、平板状に構成される。
【0045】
前半ユニット62は、前半規制部67を有する。前半規制部67は、積層体12に接触することによって積層体12の位置を規制する。前半規制部67は、積層体12に対して、一方向にわたって接触する。
【0046】
積層体12が圧縮される場合、積層体12にうねりが生じることがある。その理由は、積層体12が圧縮されることによって、単電池14、保持部材15、エンドプレート16が変形するためである。うねりとは、積層体12が撓んだり、湾曲したりすることである。例えば、積層体12が局所的に圧縮されると、積層体12にうねりが生じやすい。
【0047】
前半ユニット62は、前半規制部67によって積層体12の位置を規制しながら、前半加圧部65で積層体12を加圧する。これにより、積層体12は、均一に圧縮される。このように、前半ユニット62は、積層体12にうねりが生じることを抑制しながら、積層体12を圧縮する。
【0048】
前半規制部67は、前半第1規制部材71と、前半第2規制部材72と、前半第3規制部材73と、前半第4規制部材74と、上面規制部材75と、下面規制部材76と、第1側面規制部材77と、第2側面規制部材78とを有する。前半第1規制部材71、前半第2規制部材72、前半第3規制部材73、前半第4規制部材74、上面規制部材75、下面規制部材76、第1側面規制部材77、及び、第2側面規制部材78は、例えば、一方向に延びる板で構成される。
【0049】
図6に示すように、前半第1規制部材71は、第1規制片31に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。詳しくは、前半第1規制部材71は、第1突出部分33と第1延伸部分34とに接触する。
【0050】
前半第2規制部材72は、第2規制片32に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。詳しくは、前半第2規制部材72は、第2突出部分35と第2延伸部分36とに接触する。前半第1規制部材71と前半第2規制部材72とは、積層体12を挟むように積層体12に接触する。
【0051】
前半第3規制部材73は、第1規制片31に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。詳しくは、前半第3規制部材73は、第1延伸部分34に接触する。前半第3規制部材73は、第1延伸部分34に対して上方から接触する。前半第3規制部材73は、第1延伸部分34を前半第1規制部材71に押し付けるように第1延伸部分34に接触する。
【0052】
前半第4規制部材74は、第2規制片32に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。詳しくは、前半第4規制部材74は、第2延伸部分36に接触する。前半第4規制部材74は、第2延伸部分36に対して上方から接触する。前半第4規制部材74は、第2延伸部分36を前半第2規制部材72に押し付けるように第2延伸部分36に接触する。
【0053】
前半第1規制部材71、前半第2規制部材72、前半第3規制部材73、前半第4規制部材74が積層体12に接触することによって、積層体12は、拘束部材13に対して位置合わせされる。
【0054】
上面規制部材75は、上面21に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。上面規制部材75は、例えば、保持上面41とプレート上面51とに接触する。
【0055】
下面規制部材76は、下面22に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。下面規制部材76は、例えば、保持下面42とプレート下面52とに接触する。上面規制部材75と下面規制部材76とは、積層体12を挟むように積層体12に接触する。
【0056】
第1側面規制部材77は、第1側面23に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。第1側面規制部材77は、例えば、保持第1側面43とプレート第1側面53とに接触する。
【0057】
第2側面規制部材78は、第2側面24に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。第2側面規制部材78は、例えば、保持第2側面44とプレート第2側面54とに接触する。第1側面規制部材77と第2側面規制部材78とは、積層体12を挟むように積層体12に接触する。
【0058】
図5に示すように、後半ユニット63は、積層体12を一方向に加圧する且つ積層体12を拘束部材13に拘束させるユニットである。後半ユニット63は、後半加圧部81を有する。後半加圧部81は、積層体12に接触することによって一方向に積層体12を加圧する。これにより、積層体12は、一方向に圧縮される。
【0059】
後半加圧部81は、2つの後半加圧部材82を有する。2つの後半加圧部材82は、2つのエンドプレート16にそれぞれ接触する。具体的には、2つの後半加圧部材82は、2つのエンドプレート16に対して、基端面56にそれぞれ接触する。
【0060】
図7に示すように、後半加圧部材82は、1以上の挿入部分83を有する。挿入部分83は、凸部55同士の間に挿入される部分である。すなわち、挿入部分83は、凸部55同士の間に形成される溝に収まる。後半加圧部材82は、1以上の挿入部分83によって、櫛歯状に構成される。
【0061】
後半加圧部材82は、エンドプレート16の上方から挿入部分83を凸部55同士の間に差し込むように変位する。後半加圧部材82は、挿入部分83が凸部55同士の間に差し込まれることによって、基端面56に接触する。後半加圧部材82は、基端面56に接触することによって、積層体12を加圧する。
【0062】
図5に示すように、後半ユニット63は、後半規制部84を有する。後半規制部84は、積層体12に接触することによって積層体12の位置を規制する。後半規制部84は、積層体12に対して、一方向にわたって接触する。
【0063】
後半ユニット63は、後半規制部84によって積層体12の位置を規制しながら、後半加圧部81で積層体12を加圧する。後半ユニット63は、前半ユニット62と同様に、積層体12にうねりが生じることを抑制しながら、積層体12を圧縮する。
【0064】
後半規制部84は、後半第1規制部材91と、後半第2規制部材92と、後半第3規制部材93と、後半第4規制部材94とを有する。後半第1規制部材91、後半第2規制部材92、後半第3規制部材93、及び、後半第4規制部材94は、例えば、一方向に延びる板で構成される。
【0065】
図7に示すように、後半第1規制部材91は、第1規制片31に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。詳しくは、前半第1規制部材71は、第1突出部分33と第1延伸部分34とに接触する。後半第1規制部材91は、前半第1規制部材71と同様の構成である。
【0066】
後半第2規制部材92は、第2規制片32に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。詳しくは、後半第2規制部材92は、第2突出部分35と第2延伸部分36とに接触する。後半第2規制部材92は、前半第2規制部材72と同様の構成である。後半第1規制部材91と後半第2規制部材92とは、積層体12を挟むように積層体12に接触する。
【0067】
後半第3規制部材93は、第1規制片31に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。詳しくは、後半第3規制部材93は、第1延伸部分34に接触する。後半第3規制部材93は、第1延伸部分34に対して上方から接触する。後半第3規制部材93は、第1延伸部分34を後半第1規制部材91に押し付けるように第1延伸部分34に接触する。後半第3規制部材93は、前半第3規制部材73と同様の構成である。
【0068】
後半第4規制部材94は、第2規制片32に接触することによって積層体12の位置を規制する部材である。詳しくは、後半第4規制部材94は、第2延伸部分36に接触する。後半第4規制部材94は、第2延伸部分36に対して上方から接触する。後半第4規制部材94は、第2延伸部分36を前半第2規制部材72に押し付けるように第2延伸部分36に接触する。後半第4規制部材94は、前半第4規制部材74と同様の構成である。
【0069】
後半第1規制部材91、後半第2規制部材92、後半第3規制部材93、後半第4規制部材94が積層体12に接触することによって、積層体12は、拘束部材13に対して位置合わせされる。
【0070】
図5に示すように、制御部64は、製造システム61を制御する。制御部64は、例えば、前半ユニット62と後半ユニット63とを制御する。制御部64は、有線又は無線によって、前半ユニット62と後半ユニット63とに対して通信可能に接続される。
【0071】
制御部64は、(A)コンピュータプログラムにしたがって各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、(B)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路などの1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは(C)それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0072】
次に、製造システム61の動作について説明する。製造システム61は、図8に示す製造ルーチンを実行することによって組電池11を製造する。製造ルーチンは、制御部64によって実行される。
【0073】
図8に示すように、制御部64は、ステップS11において、前半ユニット62による規制を開始する。制御部64は、前半規制部67を積層体12に接触させる。このとき、前半第1規制部材71、前半第2規制部材72、前半第3規制部材73、前半第4規制部材74、上面規制部材75、下面規制部材76、第1側面規制部材77、及び、第2側面規制部材78が、積層体12に接触する。これにより、前半ユニット62は、積層体12を保持する。
【0074】
制御部64は、ステップS12において、前半ユニット62による加圧を開始する。制御部64は、前半加圧部65を積層体12に接触させる。これにより、前半加圧部材66がエンドプレート16に接触する。前半加圧部材66がエンドプレート16に接触することによって、前半加圧部65は、積層体12を挟む。すなわち、前半加圧部65は、前半規制部67が積層体12に接触する状態で積層体12を加圧する。
【0075】
制御部64は、ステップS13において、前半ユニット62による加圧力を第1圧力に変更する。すなわち、制御部64は、前半加圧部65に積層体12を第1圧力で加圧させる。制御部64は、前半ユニット62による加圧力を第1圧力になるまで上げる。制御部64は、前半ユニット62による加圧力が第1圧力になった後に、ステップS14に処理を移行する。
【0076】
制御部64は、ステップS14において、一定時間待機する。これにより、積層体12は、前半ユニット62に第1圧力で一定時間加圧される。その結果、積層体12は、クリープ変形する。積層体12をクリープ変形させることによって、積層体12が元の形状に戻りにくくなる。
【0077】
制御部64は、ステップS15において、前半ユニット62による加圧力を第2圧力に変更する。すなわち、制御部64は、前半加圧部65に積層体12を第2圧力で加圧させる。第2圧力は、第1圧力よりも低い圧力である。第2圧力は、積層体12を拘束部材13に収納するために必要な最小限の圧力である。制御部64は、前半ユニット62による加圧力を第1圧力から第2圧力に下げる。このように、制御部64は、前半規制部67が積層体12の位置を規制する状態で前半加圧部65に積層体12を第1圧力で一定時間加圧させた後、前半規制部67が積層体12の位置を規制する状態で前半加圧部65に積層体12を第2圧力で加圧させる。制御部64は、前半ユニット62による加圧力が第2圧力になった後に、ステップS16に処理を移行する。
【0078】
制御部64は、ステップS16において、前半ユニット62による規制を一部終了する。具体的には、制御部64は、前半第1規制部材71、前半第2規制部材72、前半第3規制部材73、前半第4規制部材74、及び、上面規制部材75による規制を終了する。制御部64は、前半第1規制部材71、前半第2規制部材72、前半第3規制部材73、前半第4規制部材74、及び、上面規制部材75を積層体12から離す。このとき、下面規制部材76、第1側面規制部材77、及び、第2側面規制部材78は、積層体12に接触したままである。
【0079】
図9に示すように、制御部64がステップS16を実行した場合、積層体12の位置は、下面規制部材76、第1側面規制部材77、及び、第2側面規制部材78によって規制されている。
【0080】
図8に示すように、制御部64は、ステップS17において、後半ユニット63による加圧を準備する。制御部64は、後半ユニット63によって積層体12を加圧できるように、後半加圧部81を積層体12に接近させる。具体的には、制御部64は、挿入部分83を凸部55同士の間に挿入するように、後半加圧部材82をエンドプレート16に対して上方から接近させる。このとき、後半加圧部材82がエンドプレート16に接触する。後半加圧部材82がエンドプレート16に接触することによって、後半加圧部81は、積層体12を挟む。ステップS17において、前半第1規制部材71、前半第2規制部材72、前半第3規制部材73、前半第4規制部材74、及び、上面規制部材75が存在しないことにより、後半加圧部材82を上方から接近させることができる。制御部64は、挿入部分83が凸部55同士の間に挿入された後に、ステップS18に処理を移行する。
【0081】
制御部64は、ステップS18において、後半ユニット63による規制を開始する。制御部64は、後半規制部84を積層体12に接触させる。このとき、後半第1規制部材91、後半第2規制部材92、後半第3規制部材93、及び、後半第4規制部材94が、積層体12に接触する。これにより、後半ユニット63は、積層体12を保持する。このように、制御部64は、後半規制部84を積層体12に接触させる場合、前半第1規制部材71と、前半第2規制部材72と、前半第3規制部材73と、前半第4規制部材74とを積層体12から離した後に、後半第1規制部材91と、後半第2規制部材92と、後半第3規制部材93と、後半第4規制部材94とを積層体12に接触させる。
【0082】
制御部64は、ステップS19において、後半ユニット63による加圧を開始する。制御部64は、ステップS19において、後半ユニット63に第2圧力で加圧させる。制御部64は、後半ユニット63による加圧力を第2圧力になるまで上げる。制御部64は、後半ユニット63による加圧力が第2圧力になった後に、ステップS20に処理を移行する。このとき、積層体12は、前半加圧部65と後半加圧部81との双方から第2圧力で加圧される。第2圧力は、拘束部材13の積層方向、すなわち一方向における寸法に合わせて最低限の加圧力に抑えられるため、積層体12にうねりが生じにくい。
【0083】
図10に示すように、制御部64がステップS18を実行した場合、積層体12の位置は、下面規制部材76、第1側面規制部材77、第2側面規制部材78、後半第1規制部材91、後半第2規制部材92、後半第3規制部材93、及び、後半第4規制部材94によって規制される。
【0084】
制御部64がステップS19を実行した場合、積層体12は、前半加圧部65によって挟まれるとともに、後半加圧部81によって挟まれる。このように、制御部64は、前半規制部67が積層体12の位置を規制する状態且つ前半加圧部65が積層体12を第2圧力で加圧する状態で、後半規制部84と後半加圧部81とを積層体12に接触させる。
【0085】
図8に示すように、制御部64は、ステップS20において、前半ユニット62による加圧を終了する。制御部64は、前半加圧部65を積層体12から離す。このとき、後半加圧部81は、積層体12に接触したままである。このように、後半加圧部81は、前半規制部67又は後半規制部84が積層体12に接触する状態で積層体12を加圧する。
【0086】
制御部64は、ステップS21において、前半ユニット62による規制を終了する。具体的には、制御部64は、下面規制部材76、第1側面規制部材77、及び、第2側面規制部材78による規制を終了する。制御部64は、下面規制部材76、第1側面規制部材77、及び、第2側面規制部材78を積層体12から離す。このとき、後半第1規制部材91、後半第2規制部材92、後半第3規制部材93、及び、後半第4規制部材94は、積層体12に接触したままである。このように、制御部64は、後半規制部84が積層体12の位置を規制する状態且つ後半加圧部81が積層体12を第2圧力で加圧する状態で、前半規制部67と前半加圧部65とを積層体12から離す。
【0087】
制御部64は、ステップS22において、積層体12を拘束部材13に収納する。制御部64は、後半ユニット63に積層体12を加圧させながら、積層体12を拘束部材13に収納する。制御部64は、例えば、後半加圧部81及び後半規制部84が積層体12に接触する状態で、積層体12を拘束部材13に上方から挿入させる。これにより、積層体12が拘束部材13に拘束される。
【0088】
後半規制部84は、前半規制部67と異なり、上面21、下面22、第1側面23、第2側面24に接触しない。そのため、後半規制部84は、積層体12が拘束部材13に挿入される場合に、拘束部材13に干渉しにくい。これにより、積層体12は、後半規制部84と接触する状態で拘束部材13に収納される。
【0089】
後半加圧部81は、前半加圧部65と異なり、基端面56に接触する。そのため、後半加圧部81は、積層体12が拘束部材13に挿入される場合に、拘束部材13に干渉しにくい。これにより、積層体12は、後半加圧部81と接触する状態で拘束部材13に収納される。
【0090】
制御部64は、ステップS23において、後半ユニット63による加圧を終了する。このとき、制御部64は、後半加圧部81を積層体12から離す。
制御部64は、ステップS24において、後半ユニット63による規制を終了する。このとき、制御部64は、後半規制部84を積層体12から離す。制御部64は、ステップS24の処理を終えると、製造ルーチンを終了する。
【0091】
以上説明したように、組電池11の製造方法は、積層体12の位置を規制しながら積層体12を第1圧力で一方向に一定時間加圧することを含む。組電池11の製造方法は、積層体12を第1圧力で一定時間加圧した後に、積層体12の位置を規制しながら積層体12を第1圧力よりも小さい第2圧力で一方向に加圧することを含む。組電池11の製造方法は、第2圧力で加圧される積層体12を拘束部材13に拘束させることを含む。
【0092】
図11は、製造ルーチン実行時における、積層体12に加わる圧力の変化を示したグラフである。
図11に示すように、製造ルーチンにおいては、持替タイミングが存在する。持替タイミングは、積層体12を保持するユニットが、前半ユニット62から後半ユニット63に移行するタイミングである。持替タイミングは、製造ルーチンにおいてステップS16からステップS21の処理を実行するタイミングに相当する。持替タイミング以前においては、前半ユニット62が積層体12を保持する。持替タイミングでは、前半ユニット62と後半ユニット63とが積層体12を保持する。持替タイミング以降においては、後半ユニット63が積層体12を保持する。
【0093】
製造システム61においては、積層体12に加わる圧力が変動する場合に、積層体12にうねりが生じやすい。本例では、積層体12が加圧されている間、前半規制部67及び後半規制部84の少なくとも一方が積層体12に接触している。すなわち、持替タイミング以前では、前半規制部67が積層体12に接触する。持替タイミングでは、前半規制部67と後半規制部84とが積層体12に接触する。持替タイミング以降では、後半規制部84が積層体12に接触する。これにより、積層体12にうねりが生じにくい。
【0094】
製造システム61においては、前半ユニット62による加圧が開始されてから、積層体12が拘束部材13に収納されるまでの間、前半加圧部65及び後半加圧部81の少なくとも一方が積層体12を加圧している。仮に、積層体12に対する加圧が中断されると、積層体12の反力によって積層体12にうねりが生じるおそれがある。この点、本例では、積層体12が常に加圧されているため、積層体12にうねりが生じにくい。
【0095】
製造システム61においては、積層体12が拘束部材13に拘束された後、積層体12に対する加圧が終了する。この場合、加圧されていた積層体12の反力によって、積層体12にうねりが生じることがある。この点、本例では、第2圧力よりも大きい第1圧力で積層体12を一定時間加圧している。これにより、積層体12がクリープ変形する。クリープ変形によって、積層体12が元の形状に戻りにくくなる。その結果、積層体12の反力が小さくなる。したがって、積層体12にうねりが生じにくい。
【0096】
前半加圧部材66は、平板状に構成されるため、積層体12に対して均等に圧力を加えやすい。後半加圧部材82は、櫛歯状に構成されるため、前半加圧部材66と比較して、積層体12に対して均等に圧力を加えにくい。そのため、後半加圧部81が第1圧力で積層体12を加圧するよりも、前半加圧部65が第1圧力で積層体12を加圧する方が好ましい。前半加圧部65によって、積層体12を適切にクリープ変形させることができる。
【0097】
次に、上記実施形態の効果について説明する。
(1)製造システム61は、積層体12を第1圧力で一方向に一定時間加圧する前半ユニット62を備える。製造システム61は、前半ユニット62が積層体12を加圧した後に、積層体12を第2圧力で一方向に加圧しながら積層体12を拘束部材13に拘束させる後半ユニット63を備える。第2圧力は、第1圧力よりも小さい。
【0098】
上記構成によれば、第2圧力よりも大きい第1圧力で前半ユニット62が積層体12を一定時間加圧することによって、積層体12は、クリープ変形する。積層体12がクリープ変形することによって、積層体12の反力が小さくなる。これにより、積層体12が拘束部材13に拘束された後において、積層体12にうねりが生じにくい。
【0099】
(2)前半加圧部65は、2つのエンドプレート16にそれぞれ接触する2つの前半加圧部材66を有する。2つの前半加圧部材66は、2つのエンドプレート16に対して複数の凸部55の先端にそれぞれ接触する。後半加圧部81は、2つのエンドプレート16にそれぞれ接触する2つの後半加圧部材82を有する。2つの後半加圧部材82は、2つのエンドプレート16に対して凸部55同士の間に挿入される挿入部分83をそれぞれ有する。後半加圧部81は、挿入部分83がエンドプレート16に接触することによって積層体12を加圧しながら、積層体12を拘束部材13に収納する。
【0100】
前半加圧部65のように凸部55の先端に接触することによって積層体12を加圧する場合、前半加圧部65で積層体12を加圧しながら拘束部材13に収納することが難しい。これは、前半加圧部材66が拘束部材13に干渉しやすいためである。この点、上記構成によれば、凸部55同士の間に挿入される挿入部分83によって後半加圧部81が積層体12を加圧するため、後半加圧部材82が拘束部材13に干渉しにくい。これにより、後半加圧部81で積層体12を加圧しながら拘束部材13に収納しやすい。
【0101】
(3)制御部64は、前半規制部67が積層体12の位置を規制する状態で前半加圧部65に積層体12を第1圧力で一定時間加圧させた後、前半規制部67が積層体12の位置を規制する状態で前半加圧部65に積層体12を第2圧力で加圧させる。制御部64は、前半規制部67が積層体12の位置を規制する状態且つ前半加圧部65が積層体12を第2圧力で加圧する状態で、後半規制部84と後半加圧部81とを積層体12に接触させる。制御部64は、後半規制部84が積層体12の位置を規制する状態且つ後半加圧部81が積層体12を第2圧力で加圧する状態で、前半規制部67と前半加圧部65とを積層体12から離す。
【0102】
上記構成によれば、前半規制部67又は後半規制部84の少なくとも一方が積層体12に接触する状態で、積層体12が加圧される。これにより、積層体12にうねりが生じにくい。
【0103】
(4)前半規制部67は、複数の第1規制片31に接触する前半第1規制部材71と、複数の第2規制片32に接触する前半第2規制部材72と、複数の第1規制片31に接触する前半第3規制部材73と、複数の第2規制片32に接触する前半第4規制部材74とを有する。前半規制部67は、上面21に接触する上面規制部材75と、下面22に接触する下面規制部材76と、第1側面23に接触する第1側面規制部材77と、第2側面24に接触する第2側面規制部材78と、を有する。前半第1規制部材71と前半第2規制部材72とは、積層体12を挟むように第1規制片31と第2規制片32とにそれぞれ接触する。前半第3規制部材73は、第1規制片31を前半第1規制部材71に押し付けるように第1規制片31の上方から接触する。前半第4規制部材74は、第2規制片32を前半第2規制部材72に押し付けるように第2規制片32の上方から接触する。
【0104】
上記構成によれば、上面21と、下面22と、第1側面23と、第2側面24と、第1規制片31と、第2規制片32とのそれぞれに前半規制部67が接触する。これにより、積層体12にうねりが生じにくい。
【0105】
(5)後半規制部84は、複数の第1規制片31に接触する後半第1規制部材91と、複数の第2規制片32に接触する後半第2規制部材92と、複数の第1規制片31に接触する後半第3規制部材93と、複数の第2規制片32に接触する後半第4規制部材94と、を有する。後半第1規制部材91と後半第2規制部材92とは、積層体12を挟むように第1規制片31と第2規制片32とにそれぞれ接触する。後半第3規制部材93は、第1規制片31を後半第1規制部材91に押し付けるように第1規制片31の上方から接触する。後半第4規制部材94は、第2規制片32を後半第2規制部材92に押し付けるように第2規制片32の上方から接触する。
【0106】
前半規制部67のように上面21、下面22、第1側面23、第2側面24、第1規制片31、第2規制片32に接触することによって積層体12の位置を規制する場合、積層体12の位置を規制しながら拘束部材13に収納することが難しい。これは、前半規制部67が拘束部材13に干渉しやすいためである。この点、上記構成によれば、後半ユニット63は、後半規制部84が第1規制片31と第2規制片32とに接触することによって積層体12の位置を規制するため、積層体12の位置を規制しながら拘束部材13に収納しやすい。
【0107】
(6)制御部64は、後半規制部84を積層体12に接触させる場合、前半第1規制部材71と、前半第2規制部材72と、前半第3規制部材73と、前半第4規制部材74とを積層体12から離した後に、後半第1規制部材91と、後半第2規制部材92と、後半第3規制部材93と、後半第4規制部材94とを積層体12に接触させる。
【0108】
上記構成によれば、前半第1規制部材71と、前半第2規制部材72と、前半第3規制部材73と、前半第4規制部材74とが積層体12から離れてから、後半第1規制部材91と、後半第2規制部材92と、後半第3規制部材93と、後半第4規制部材94とが積層体12に接触するまでの間、前半規制部67のうち、前半第1規制部材71、前半第2規制部材72、前半第3規制部材73、及び、前半第4規制部材74を除く他の規制部材によって積層体12の位置が規制される。本例では、下面規制部材76と、第1側面規制部材77と、第2側面規制部材78とが積層体12に接触し続ける。そのため、積層体12にうねりが生じにくい。
【0109】
本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・拘束部材13は、後半ユニット63以外によって積層体12に取り付けられてもよい。例えば、後半ユニット63によって加圧された積層体12に、人の手によって拘束部材13が取り付けられてもよい。例えば、後半ユニット63によって加圧された積層体12に、別のユニットによって拘束部材13が取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0110】
11…組電池
12…積層体
13…拘束部材
14…単電池
61…製造システム
62…前半ユニット
63…後半ユニット
65…前半加圧部
67…前半規制部
81…後半加圧部
84…後半規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11