(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】巻回された金属ストリップからなる、目印を有しているコイルならびに当該目印の使用
(51)【国際特許分類】
B21C 51/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B21C51/00 B
(21)【出願番号】P 2021500353
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2019057339
(87)【国際公開番号】W WO2019180258
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-24
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520365089
【氏名又は名称】オーストリア メタル ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Austria Metall GmbH
【住所又は居所原語表記】Lamprechtshausener Strasse 61, 5282 Braunau am Inn - Ranshofen, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー アウマイア
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-192230(JP,A)
【文献】特表2003-507797(JP,A)
【文献】特開2012-079294(JP,A)
【文献】特開平07-024528(JP,A)
【文献】特開2004-106005(JP,A)
【文献】特開2006-127081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166752(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104384240(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された金属ストリップ(2)からなる、前記金属ストリップ(2)の平坦側(2.1)に目印(3,103)を有しているコイルにおいて、
前記目印(3,103)は、前記コイル(1)から分離されたストリップ部分(7)を、前記コイル(1)にも、前記コイル(1)におけるそれらの元の位置にも割り当てるために、ドゥブリュエイン列(5)の相前後して配置された単語(5.1,5.2,5.3,5.4,5.5もしくは5.6~5.25)からなるかまたは当該ドゥブリュエイン列(5)の単語(5.1,5.2,5.3,5.4,5.5もしくは5.6~5.25)の部分集合からなるドゥブリュエイン列(5)を有する、前記金属ストリップ(2)のストリップ長にわたって設けられた情報トラック(4)を有していることを特徴とする、コイル。
【請求項2】
前記金属ストリップ(2)は、アルミニウムストリップである、請求項1記載のコイル。
【請求項3】
前記情報トラック(4)は、前記金属ストリップ(2)のストリップ全長(L)にわたって設けられている、請求項1または2記載のコイル。
【請求項4】
前記情報トラック(4)は、一次元または二次元のドゥブリュエイン列(5)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のコイル。
【請求項5】
前記ドゥブリュエイン列(5)は、次数がkで、長さがnの前記単語(5.1,5.2,5.3,5.4,5.5もしくは5.6~5.25)を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のコイル。
【請求項6】
前記次数kが10である、請求項5記載のコイル。
【請求項7】
前記長さnが6以上である、請求項5または6記載のコイル。
【請求項8】
前記ドゥブリュエイン列(5)の前記単語は、英数字のまたは数値的なアルファベットから形成される、請求項1から7までのいずれか1項記載のコイル。
【請求項9】
前記情報トラック(4)は、前記ドゥブリュエイン列(5)の
各単語
の前および/または後、あるいは、複数の単語の前および/または後に
、同一の指標(6)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載のコイル。
【請求項10】
前記指標(6)が、1つ以上のアルファベットの文字からなる指標(6)である、請求項9記載のコイル。
【請求項11】
前記指標(6)が、1つ以上のアルファベット順のアルファベットの文字からなる指標(6)である、請求項9記載のコイル。
【請求項12】
前記指標(6)のアルファベットは、前記ドゥブリュエイン列(5)のアルファベットとは異なる、請求項9記載のコイル。
【請求項13】
コイル(1)に巻回された金属ストリップ(2)の平坦側(2.1)への目印(3,103)の使用であって、
前記目印(3,103)は、前記コイル(1)から分離されたストリップ部分(7)を、前記コイル(1)にも、前記コイル(1)におけるそれらの元の位置にも割り当てるために、ドゥブリュエイン列(5)の相前後して配置された単語(5.1,5.2,5.3,5.4,5.5もしくは5.6~5.25)からなるかまたは当該ドゥブリュエイン列(5)の単語(5.1,5.2,5.3,5.4,5.5もしくは5.6~5.25)の部分集合からなるドゥブリュエイン列(5)を有する、前記金属ストリップ(2)のストリップ長にわたって設けられた情報トラック(4)を有している、使用。
【請求項14】
前記情報トラック(4)は、前記金属ストリップ(2)のストリップ全長(L)にわたって設けられている、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記情報トラック(4)は、一次元または二次元のドゥブリュエイン列(5)を有する、請求項13または14記載の使用。
【請求項16】
前記ドゥブリュエイン列(5)は、次数がkで、長さがnの前記単語(5.1,5.2,5.3,5.4,5.5もしくは5.6~5.25)を有する、請求項13から15までのいずれか1項記載の使用。
【請求項17】
前記次数kが10である、請求項16記載の使用。
【請求項18】
前記長さnが6以上である、請求項16または17記載の使用。
【請求項19】
前記ドゥブリュエイン列(5)の前記単語は、英数字のまたは数値的なアルファベットから形成される、請求項13から18までのいずれか1項記載の使用。
【請求項20】
前記情報トラック(4)は、前記ドゥブリュエイン列(5)の前記各単語の前および/または後に、各々同一の指標(6)を有する、請求項13から19までのいずれか1項記載の使用。
【請求項21】
前記指標(6)が、1つ以上のアルファベットの文字からなる指標(6)である、請求項20記載の使用。
【請求項22】
前記指標(6)が、1つ以上の、アルファベット順のアルファベットの文字からなる指標(6)である、請求項20記載の使用。
【請求項23】
前記指標(6)のアルファベットは、前記ドゥブリュエイン列(5)のアルファベットとは異なる、請求項20記載の使用。
【請求項24】
前記コイル(1)に関連するかまたは前記コイルから分離された前記ストリップ部分(7)に関連しているデータおよび/またはドキュメントの信頼性および/または整合性を検査するために、ハッシュ値が、前記コイル(1)の前記情報トラック(4)にわたって形成され、使用される、請求項13から23までのいずれか1項記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回された金属ストリップ、特にアルミニウムストリップからなる、金属ストリップの平坦側に目印を有しているコイルに関する。
【0002】
背景技術
コイルに一義的な識別を与えるために、巻回されたもしくは巻き付けられた金属ストリップからなるコイルの端部側に目印を付与することは、従来技術から公知である。そのような金属ストリップの平坦側の識別子は、コイルの分離ステップの後に、例えばストリップ端部の一部が切断されたときに失われる欠点がある。また、コイルから分離されたすべてのストリップ部分、例えば、金属薄板、分割ストリップ、基板なども、端部側の金属薄板部分は別として、あらゆる目印が消失する。したがって、少なくともストリップ部分を遡ることは難しくなるかもはやまったく不可能になる。また、元の金属ストリップのストリップ部分の位置を逆推論することももはやできなくなる。
【0003】
発明の開示
それゆえ、本発明の課題は、ストリップ部分が、それらが分離されたコイルにも、このコイルにおけるそれらの元の位置にも割り当てできるように、コイルの目印を変更することである。その他に、目印は視覚的に読みやすく、処理可能なものでなければならない。
【0004】
本発明は、請求項1の特徴により、コイルに関して設定された課題を解決する。
【0005】
目印が金属ストリップの好適にはストリップ全長にわたって設けられた情報トラックを有する場合、金属ストリップからの情報は、最初に金属ストリップから分離された各ストリップ部分に与えられ、該ストリップ部分を介して、少なくともストリップ部分が分離されたコイルを逆推論することができる。それゆえ、コイルから分離されたストリップ部分をコイルに割り当てることが可能になる。
【0006】
さらに、この情報トラックが、ドゥブリュエイン(de-Brruijn)列の相前後して配置された単語からなるドゥブリュエイン列を有する場合、分離されたストリップ部分の各目印を介して、金属ストリップ内のその位置を逆推論することもできる。分離された各ストリップ部分には、即ち少なくとも1つの単語が、ドゥブリュエイン列の部分列として、例えばk種類の文字と長さ(文字数)がnの単語を用いた好適には文字数字併用方式の、アルファベット(つまり文字数字)についてのドゥブリュエイン列B(k,n)の部分列として一度は存在する。それゆえ、分離されたストリップ部分における情報トラックの一部に基づいて、コイルの金属ストリップにおける位置もしくは関連する元のコイルに対する一義的な情報が使用できる。それゆえ、コイルから分離されたストリップ部分をコイルにおけるその元の位置に割り当てることが可能になる。
【0007】
代替的に、この情報トラックは、当該ドゥブリュエイン列の単語の部分集合からなるドゥブリュエイン列(つまり文字数字列の単語を部分集合として有するドゥブリュエイン列)を有することもでき、これによって、ストリップ部分の以前の位置をストリップにおいて特定できるだけでなく、関連するストリップ部分がどのコイルから由来しているかを識別することもできる。各コイルは、即ち部分列に基づいてドゥブリュエイン列の一義的な区分を有し、このことは、当該区分を介して、ストリップ部分の派生元のコイルの識別も可能にさせる。
【0008】
ストリップにおける情報トラックについての既知のデータを用いれば、ストリップ部分における1つの単語または場合によっては複数の単語に基づいて、例えばストリップにおけるこのストリップ部分の位置を逆推論することが可能になる。
【0009】
それゆえ、本発明に基づけば、コイルから分離されたすべてのストリップ部分を遡って調べることが可能になり、したがって、そのストリップ部分から製造された部品、コンポーネントなどについても遡ることが可能になる。さらに、情報トラックは視覚的に比較的読みやすく、特に機械でも簡単に処理可能である。
【0010】
ドゥブリュエイン列の単語は、相互に区別できる記号を含むアルファベット若しくは識別記号から形成することができる。そのようなアルファベット若しくは識別記号は、記号、色、文字、字句、数字、モールス記号など、またはそれらの組み合わせから形成することができる。
【0011】
例えば、情報トラックは、一次元または二次元のドゥブリュエイン列を有することができる。一次元のドゥブリュエイン列に基づけば、さらに、情報トラックの情報処理、例えばデータの読み取り、ひいてはさらにデータの処理も簡単にすることができる。
【0012】
好適には、ドゥブリュエイン列は、次数(例えば文字の種類)kと長さ(例えば文字の個数)がnの単語(例えば文字列)とを有することができる。長さが6以上の単語を有する10次のドゥブリュエイン列は、コイルをマーキングするのに特に確実性が高いことがわかった。
【0013】
ドゥブリュエイン列の単語が英数字併用方式のまたは数値的なアルファベット(つまり数字列)から形成されている場合、これにより、情報トラックの情報処理(例えばデータの読み取り、ひいてはデータの処理など)をさらに簡単にすることができる。
【0014】
情報トラックが、ドゥブリュエイン列の各単語の前および/または後で、各々同一の指標を有する場合、ストリップにおけるストリップ部分の以前の位置に関する情報の他に、ストリップ部分における固有情報を、例えばストリップ、生産者、顧客に関する情報、製造日などに関する情報をも提供することができる。この指標には、例えば好適には1つ以上のアルファベットの文字、例えばラテン文字が使用に適し得る。
【0015】
指標とドゥブリュエイン列とを相互により簡単に分離できるようにするために、好適には、指標のアルファベットは、ドゥブリュエイン列のアルファベットとは異なっている。これにより、情報トラックの処理をさらに簡単にすることができる。
【0016】
さらに、本発明の課題は、ストリップ部分を、それらが分離されたコイルにも、このコイルにおけるそれらの元の位置にも割り当てできることを可能にすること、つまり、ストリップ部分が、どのコイルのどの位置にあったのかを明らかにすることである。
【0017】
本発明は、請求項7の特徴により、使用に関して設定された課題を解決する。
【0018】
コイルに巻回された金属ストリップの平坦側に目印が使用される場合、ここでは、目印は、当該ドゥブリュエイン列の相前後して配置された単語からなるかまたは当該ドゥブリュエイン列の単語の部分集合からなるドゥブリュエイン列を有する、金属ストリップの好適にはストリップ全長にわたって設けられた情報トラックを有し、コイルから分離されたストリップ部分を、当該コイルにも、当該コイルにおけるそれらの元の位置にも割り当てることが可能になる。
【0019】
分離された各ストリップ部分には、詳細には少なくとも1つの単語(文字列)が、ドゥブリュエイン列、例えばk文字(k種類の文字)の集合で長さ(文字数)がnの単語を用いた好適には文字数字併用方式のアルファベットについてのドゥブリュエイン列B(k,n)の部分列として一度は存在している。それゆえ、分離されたストリップ部分における情報トラックの一部に基づいて、コイルの金属ストリップにおける位置もしくは関連する元のコイルに対する一義的な情報が使用できる。それゆえ、コイルから分離されたストリップ部分をそのコイルにおけるその元の位置に割り当てることが可能になる。
【0020】
それゆえ、本発明に基づけば、コイルから分離されたすべてのストリップ部分、したがって、そこから製造された部品、コンポーネントなどについても遡って確認することが可能になる。さらに、情報トラックは視覚的に比較的読みやすく、特に機械でも簡単に処理可能である。
【0021】
例えば、情報トラックは、一次元または二次元のドゥブリュエイン列を有することができる。一次元のドゥブリュエイン列に基づけば、さらに、情報トラックの、例えば読み取り、ひいてはさらにデータの処理などの情報処理も簡単にすることができる。それゆえ、使用される情報トラックの取り扱いが簡単になる。
【0022】
好適には、ドゥブリュエイン列は、その使用において、文字または数字の種類を示す次数がkで、文字または数字の数を示す長さがnの単語を有することができる。長さが6以上の単語を有する10次のドゥブリュエイン列は、コイルをマーキングするのに特に確実性が高いことがわかった。
【0023】
ドゥブリュエイン列の単語が英数字併用方式のまたは数値的なアルファベットから形成される場合、十分に長いドゥブリュエイン列を確保できる。その他に、これによって、情報トラックの使用を(例えば読み取り、ひいてはデータの処理なども)さらに簡単にすることができる。
【0024】
情報トラックが、ドゥブリュエイン列の各単語の前および/または後に各々同一の指標を、例えば1つ以上の好適にはアルファベットの文字からなる指標を有する場合、ストリップ、生産者、顧客、製造日などに関する情報を確実な方法で目印に追加することができる。
【0025】
好適には、指標のアルファベットは、指標とドゥブリュエイン列とを相互により簡単に区別できるようにするために、ドゥブリュエイン列のアルファベット(文字または数字)とは異なっている。これにより、情報トラックの処理性をさらに簡単にすることができる。
【0026】
ハッシュ値が、コイルの情報トラックにわたって形成される場合、このハッシュ値は、コイルに関連するかまたはコイルから分離されたストリップ部分に関連しているデータおよび/またはドキュメントの信頼性および/または整合性を検査するために使用することができる。したがって、このハッシュ値が設けられたデータもしくはこのハッシュ値が設けられたドキュメント、例えば、納品書、電子ドキュメントなどは、コイルに一義的に割り当て可能になる。それゆえ、偽造、改ざんなどは、容易に識別できる。
【0027】
図面には、例えば、本発明の対象が複数の変形実施形態に基づいてより詳細に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施例に従ってコイルに巻回される金属ストリップの平面図
【
図2】第2実施例に従ってコイルに巻回される金属ストリップの平面図
【0029】
発明を実施するための方法
図1によれば、例えば、コイル1もしくはコイル体に巻回された金属ストリップ2、詳細にはアルミニウムストリップが、第1の実施例に従って示され、これは、平坦側2.1にコイル1の好適には一義的な識別のための目印3を有する。この目印3は金属ストリップ2に印刷されている。ただし、この目印3は、金属ストリップ2に接着された詳細には示されていないラベル上に設けられていてもよい。
【0030】
本発明によれば、この印刷された目印3は、情報トラック4を示す。この情報トラック4は、金属ストリップ2のストリップ全長Lにわたって設けられており、つまり、好適には金属ストリップ2の長手方向縁部の領域に設けられている。さらに、この情報トラック4は、ドゥブリュエイン(de-Bruijn)列5の相前後して配置された文字列(この場合には数字列)の単語5.1,5.2,5.3,5.4,5.5を有する。これらの単語5.1,5.2,5.3,5.4,5.5は、
図1では、より良好な可視化のために、スペースによって相互に離間されて示されているが、
図2の目印103において明らかなように、目印3はスペースなしで形成されていることも十分に考えられる。
【0031】
ここでは、例えば、特に自然数からなる好適には数値的なアルファベット(即ち数字){0,1,2,3,4}についてのドゥブリュエイン列B(5,3)が採用されている。つまり、数字列としての単語5.1,5.2,5.3,5.4,5.5は、長さn(数列における数字の個数)、詳細には3を有し、ドゥブリュエイン列B(k,n)は、数字の種類を示す次数k、詳細には5を有する。このドゥブリュエイン列B(5,3)から、
図1では、数字列としての単語{402}、{301}、{201}、{101}、および{401}が認識可能である。この手段により、ドゥブリュエイン列の各々の単語5.1,5.2,5.3,5.4,5.5は、1回だけ金属ストリップ2における情報トラック4において発生する。
【0032】
その他に、ドゥブリュエイン列B(5,3)の各単語5.1,5.2,5.3,5.4,5.5の前に情報トラック4は、製造元を表す同一の指標6、詳細には「amag」を有する。また、指標6を利用して情報トラック4にコイル番号、製造元コードなどを加えることも考えられる。この同一の指標6には、アルファベット順のアルファベット、例えばラテン文字からなる複数の文字が使用される。
【0033】
ドゥブリュエイン列の単語の数値的なアルファベット(即ち数字)、ならびに指標6のアルファベット順のアルファベットにより、目印3は、視覚的に読みやすく、したがって安定した方法で処理可能である。
【0034】
それゆえ、本発明によれば、ストリップ部分7が金属ストリップ2から分離された後でも、ストリップ部分7上に残留する情報トラック4を介して、指標「amag」を有する元のコイルを逆推論するだけでなく、単語5.1、即ち{401}、および/または単語5.2、即ち{101}を介して、コイル1の金属ストリップ2におけるストリップ部分7の元の位置を逆推論することも可能である。さらに、この情報トラック4は、視覚的に比較的簡単に認識可能であり、したがって、その情報を容易に処理することができる。
【0035】
このことは、コイル1における情報トラックの既知の位置の扱いやすい簡単な比較によって行われる。本発明によれば、
図1中の単語5.3、つまり{201}において認識され得るように切断された目印3が、ストリップ部分7を遡って追跡することを困難にすることはない。
【0036】
さらに、
図1から読み取れるように、情報トラック4は、ドゥブリュエイン列B(5,3)のすべての単語を部分列として有する。したがって、ドゥブリュエイン列B(5,3)は、複数のコイルを、それらから分離されるストリップ部分7の一義的な識別子でマーキングするために使用することができる。
【0037】
図1とは対照的に、
図2による第2の実施例において、コイル1における目印103は、平坦側2.1において向かい合った長手側縁2.2,2.3に沿って設けられている。したがって、目印103は、2つの分割ストリップ7.1,7.2に分割されたストリップ部分7上に存在し続けることができる。さらに、目印103は、分割ストリップ7.1,7.2が、分割されたストリップ部分のどちら側であるかを認識できるようにするために、サイド側ナンバリング8(詳細には1または2)を有する。
【0038】
指標6、詳細には「amag」は、情報トラック4に存在する。この指標6は、
図1中のドゥブリュエイン列B(5,3)の場合と同様にドゥブリュエイン列B(5,3)の2つの単語の間5.6-5.24で発生する。ただし、図示のように、指標6は、それぞれ、ドゥブリュエイン列B(5,3)の各5つの単語5.6-5.10、5.11-5.15、5.16-5.20、および5.21-5.25の後に設けられている。単語5.6-5.10、即ち{000},{001},{010},{100},{002}、単語5.11-5.15、即ち{003},{030},{301},{011},{110}、単語5.16-5.20、即ち{130},{302},{021},{210},{102}、および単語5.21-5.25、即ち{202},{023},{230},{303},{031}は、同様に相前後して配置されている。単語5.10と5.11との間には、さらにドゥブリュエイン列B(5,3)の単語{020},{200}が存在し、単語5.15と5.16との間には、さらにドゥブリュエイン列B(5,3)の単語{101},{013}が存在し、単語5.20と5.21との間には、さらにドゥブリュエイン列B(5,3)の単語{022},{220}が存在している。ここでは、ストリップ2の自由端部に、ドゥブリュエイン列B(5,3)の単語{120}を見付けることができる。
【0039】
情報トラック4からは、コイル1の好適には情報トラック4全体にわたってハッシュ値が形成される。例えば、情報トラック4の「0001002amag0030110amag120」からは、ハッシュ関数CRC32を使用してハッシュ値5ce0c22aが形成される。このハッシュ値5ce0c22aは、情報トラック4への一義的な参照を形成する。したがって、データまたはドキュメントが、ハッシュ値と結合されるかもしくはハッシュ値を備えている場合、これらのデータまたはこれらのドキュメントの信頼性および/または整合性を検査することができる。