(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】皮膚に対して治療動作を実行するハンドヘルドデバイス
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240116BHJP
A61B 18/20 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61B18/20
(21)【出願番号】P 2021509146
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2019072318
(87)【国際公開番号】W WO2020038970
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-18
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ブールキン,ヤニク パルリアン ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】パレロ,ジョナサン アランブラ
(72)【発明者】
【氏名】ムスコプス,バスティアーン ウィルヘルミュス マリア
(72)【発明者】
【氏名】トゥンマ,キラン クマール
(72)【発明者】
【氏名】ファン アベーレン,フランク アントン
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506502(JP,A)
【文献】特表2004-519303(JP,A)
【文献】特表2016-539777(JP,A)
【文献】特開2015-093109(JP,A)
【文献】特開2009-153606(JP,A)
【文献】特開2013-223717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06- 5/067
A61B 18/20-18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルドデバイスが被験者の皮膚に亘って移動させられるときに治療動作を実行するよう被験者の皮膚にエネルギパルスを適用するための、ハンドヘルドデバイスであって、当該ハンドヘルドデバイスは、
前記皮膚に隣接して配置される孔と、
エネルギパルスを生成するための、並びに、前記孔に隣接する皮膚上で前記治療動作を実行するために前記孔を通じて前記エネルギパルスを提供するための、少なくとも1つのエネルギ源であって、後続のエネルギパルスを生成し得る前に、エネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間を有する、少なくとも1つのエネルギ源と、
皮膚特性を測定するための、並びに、第1の感知位置での前記皮膚特性の測定値を表す第1の測定信号を出力するための、第1の皮膚特性センサであって、前記皮膚特性は、皮膚へのエネルギパルスの適用に応答して変化する特性であり、前記第1の感知位置は、皮膚上の当該ハンドヘルドデバイスの意図される運動方向に対して前記孔の前方にある、第1の皮膚特性センサと、
前記皮膚特性を測定するための、並びに、第2の感知位置での前記皮膚特性の測定値を表す第2の測定信号を出力するための、第2の皮膚特性センサであって、前記第2の感知位置は、前記意図される運動方向に対して前記孔の背後にある、第2の皮膚特性センサと、
メモリユニットと、
前記少なくとも1つのエネルギ源によるエネルギパルスの生成を制御するために前記少なくとも1つのエネルギ源に連結され、前記第1の測定信号及び前記第2の測定信号を取得するために前記第1の皮膚特性センサ及び前記第2の皮膚特性センサに連結される、制御ユニットと、を含み、
該制御ユニットは、前記メモリユニット内に少なくとも前記第1の測定信号のプロファイルを格納するように構成され、
前記制御ユニットは、当該ハンドヘルドデバイスが皮膚上で前記意図される運動方向において移動しているときに、
- 前記第1の測定信号の前記プロファイルを分析して、
前記第1の測定信号の前記プロファイル内の前記測定値を閾値又は皮膚の以前に治療されたエリアに対応する測定信号のピークと比較することによって、前記第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過しているかどうかを決定し、
- 前記第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過していないことを検出した後に、前記少なくとも1つのエネルギ源を制御して、以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間が終了したならば或いは以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間がひとたび終了すると、エネルギパルスを生成し、
- 前記第1の皮膚特性
センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過していることを検出した後に、
- 以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間が終了したとしても、エネルギパルスの生成を防止すること
の連続的な動作を実行する、
ように更に構成され、
前記制御ユニットは、当該ハンドヘルドデバイスが皮膚上で前記意図される運動方向において移動しているときに、
- 所定のルールに従って前記メモリユニットに格納される前記第1の測定信号の前記プロファイルにおいてポイントをマーキングすることであって、該マーキングされたポイントは、皮膚の以前に治療されたエリア上の位置に関連する、マーキングすること、
- 前記マーキングされたポイントに関する情報を使用して、前記第2の測定信号を分析して、前記第2の測定信号の前記プロファイルにおける類似のマーキングされたポイントを識別すること、
- 前記第2の測定信号の前記プロファイルにおける前記類似のマーキングされたポイントを識別した後に、前記少なくとも1つのエネルギ源を制御して、以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間が終了したならば或いは以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間がひとたび終了すると、エネルギパルスを生成すること
のために更に構成されることを特徴とする、
ハンドヘルドデバイス。
【請求項2】
前記孔は、前記孔の平面において測定される並びに前記意図される運動方向に平行に測定される前記孔の寸法である幅を有し、前記第1の皮膚特性センサ及び前記第2の皮膚特性センサの一方又は両方は、前記幅以下であるそれぞれの距離だけ前記幅のそれぞれの縁から離間する、請求項1に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項3】
前記メモリユニットに格納される前記第1の測定信号の前記プロファイルは、前記第1の皮膚特性センサから最近に取得された前記第1の感知位置での前記皮膚特性の測定値を含み、前記メモリユニットに格納される前記第2の測定信号の前記プロファイルは、前記第2の皮膚特性センサから最近に取得された前記第2の
感知位置での前記皮膚特性の測定値を含む、請求項1又は2に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記第1の測定信号の前記プロファイルを分析して
、
1つ以上の連続的な測定値が前記閾値を超えるならば、前記第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアの上を通過していると決定することによって
前記第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアの上を通過しているかどうかを決定する、ように構成される、
請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項5】
前記所定のルールは、前記マーキングされたポイントが、
前記第1の測定信号の前記プロファイルにおけるピークに対応するポイント、
前記第1の測定信号の前記プロファイルにおけるピークの始まりに対応するポイント、
前記第1の測定信号の前記プロファイルにおけるピークの終わりに対応するポイント、及び
前記第1の測定信号の前記プロファイルにおけるピークと該ピークの始まり又は終わりとの間のポイント
のうちの1つであることを示す、
請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項6】
前記制御ユニットは、
エネルギパルスが前記第2の測定信号の前記プロファイルにおける類似のマーキングされたポイントの識別に続いて生成されるべきときに、前記所定のルールを調整して、皮膚の以前に治療されたエリアと前記孔に隣接する皮膚との間のオーバーラップの量を変更する
ように更に構成される、
請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項7】
前記マーキングされたポイントについての前記情報は、
前記マーキングされたポイントでの前記第1の測定信号の値、
皮膚の以前に治療されたエリアに対する前記マーキングされたポイントの位置、及び/又は
前記第1の測定信号における前記マーキングされたポイント及び/又はその周囲での前記測定値の部分的なプロファイル
のうちの1つ以上を示す、
請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記第2の測定信号の前記プロファイルを分析して、
前記第2の測定信号の前記プロファイルを分析して、前記第2の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアの上を通過しているかどうかを決定することによって、並びに、
前記第2の測定信号が皮膚の以前に治療されたエリアの上を通過しているという決定の後に、前記マーキングされたポイントに関する情報を使用して、前記第2の測定信号の前記プロファイルにおける類似のマーキングされたポイントを識別することによって、
皮膚の以前に治療されたエリアにおける類似のマーキングされたポイントを識別する、
ように更に構成される、
請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項9】
前記制御ユニットは、
当該ハンドヘルドデバイスが前記皮膚の上を移動している方向を決定する
ように更に構成される、
請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項10】
前記制御ユニットは、
前記第1の測定信号の前記プロファイル及び前記第2の測定信号の前記プロファイルを分析して、前記第1の測定信号の前記プロファイル及び前記第2の測定信号の前記プロファイルにおける対応する信号特徴を識別することによって、並びに
前記第1の測定信号の前記プロファイル及び前記第2の測定信号の前記プロファイルにおける対応する信号特徴の相対的なタイミングから、当該ハンドヘルドデバイスが移動している前記方向を決定することによって、
当該ハンドヘルドデバイスが皮膚の上を移動している前記方向を決定するように構成される、
請求項9に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項11】
当該ハンドヘルドデバイスは、当該ハンドヘルドデバイスの移動を測定して、移動測定信号を前記制御ユニットに出力するための、移動センサを更に含み、前記制御ユニットは、前記移動測定信号を分析することによって、当該ハンドヘルドデバイスが皮膚の上を移動している前記方向を決定するように構成される、請求項9に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記第1及び第2の測定信号をフィルタリングして、ドリフト及び/又はノイズを除去するように更に構成される、請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのエネルギ源は、前記制御ユニットによって別個に制御可能な第1のエネルギ源及び第2のエネルギ源を含み、前記第1のエネルギ源及び前記第2のエネルギ源は、前記意図される運動方向に対して直列に当該ハンドヘルドデバイス内に配置される、請求項1乃至12のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのエネルギ源は、前記制御ユニットによって別個に制御可能な第1のエネルギ源及び第2のエネルギ源を含み、前記第1のエネルギ源及び前記第2のエネルギ源は、前記意図される運動方向に対して平行に当該ハンドヘルドデバイス内に配置され、
前記第1の感知位置は、前記意図される運動方向に対して前記第1のエネルギ源の前方にあり、前記第2の感知位置は、前記意図される運動方向に対して前記第1のエネルギ源の背後にあり、
当該ハンドヘルドデバイスは、
当該ハンドヘルドデバイスが皮膚に亘って移動させられるときに、前記皮膚特性を測定するための、並びに、第3の感知位置での前記皮膚特性の測定値を表す第3の測定信号を出力するための、第3の皮膚特性センサであって、前記第3の感知位置は、前記意図される運動方向に対して前記第2のエネルギ源の前方にある、第3の皮膚特性センサと、
当該ハンドヘルドデバイスが皮膚に亘って移動させられるときに、前記皮膚特性を測定するための、並びに、第4の感知位置での前記皮膚特性の測定値を表す第4の測定信号を出力するための、第4の皮膚特性センサであって、前記第4の感知位置は、前記意図される運動方向に対して前記第2のエネルギ源の背後にある、第4の皮膚特性センサと、を更に含み、
前記制御ユニットは、前記第1の測定信号及び前記第2の測定信号を分析して、前記第1のエネルギ源によってエネルギパルスを生成し得るかどうかを決定し、前記第3の測定信号及び前記第4の測定信号を分析して、前記第2のエネルギ源によってエネルギパルスを生成し得るかどうかを決定する、ように構成される、
請求項1乃至12のうちのいずれか1項に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項15】
コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータ可読媒体は、その内に組み込まれるコンピュータ可読コードを有し、該コンピュータ可読コードは、ハンドヘルドデバイス内の制御ユニットよる実行のために構成され、前記ハンドヘルドデバイスは、
皮膚に隣接して配置される孔と、
エネルギパルスを生成するための、並びに、前記孔に隣接する皮膚上
で治療動作を実行するよう前記孔を通じて前記エネルギパルスを提供するための、少なくとも1つのエネルギ源であって、後続のエネルギパルスを生成し得る前に、エネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間を有する、少なくとも1つのエネルギ源と、
皮膚特性を測定するための、並びに、第1の感知位置での前記皮膚特性の測定値を表す第1の測定信号を出力するための、第1の皮膚特性センサであって、前記皮膚特性は、皮膚へのエネルギパルスの適用に応答して変化する特性であり、前記第1の感知位置は、皮膚上の前記ハンドヘルドデバイスの意図される運動方向に対して前記孔の前方にある、第1の皮膚特性センサと、
前記皮膚特性を測定するための、並びに、第2の感知位置での前記皮膚特性の測定値を表す第2の測定信号を出力するための、第2の皮膚特性センサであって、前記第2の感知位置は、前記意図される運動方向に対して前記孔の背後にある、第2の皮膚特性センサと、
メモリユニットと、を含み、
前記制御ユニットは、前記少なくとも1つのエネルギ源によるエネルギパルスの生成を制御するために前記少なくとも1つのエネルギ源に連結され、前記第1の測定信号及び前記第2の測定信号を取得するために前記第1の皮膚特性センサ及び前記第2の皮膚特性センサに連結され、前記制御ユニットは、前記メモリユニット内に少なくとも前記第1の測定信号のプロファイルを格納するように構成され、
前記制御ユニットによる前記コンピュータ可読コードの実行後に、前記制御ユニットは、前記ハンドヘルドデバイスが皮膚上で前記意図される運動方向において移動しているときに、
- 前記第1の測定信号の前記プロファイルを分析して、
前記第1の測定信号の前記プロファイル内の前記測定値を閾値又は皮膚の以前に治療されたエリアに対応する測定信号のピークと比較することによって、前記第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過しているかどうかを決定させ、
- 前記第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過していないことを検出した後に、前記少なくとも1つのエネルギ源を制御して、以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間が終了したならば或いは以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間がひとたび終了すると、エネルギパルスを生成させ、
- 前記第1の皮膚特性
センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過していることを検出した後に、
- 以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間が終了したとしても、エネルギパルスの生成を防止すること
の連続的な動作を実行させ、
前記制御ユニットは、前記ハンドヘルドデバイスが皮膚上で前記意図される運動方向において移動しているときに、更に、
- 所定のルールに従って前記メモリユニットに格納される前記第1の測定信号の前記プロファイルにおいてポイントをマーキングさせ、該マーキングされたポイントは、皮膚の以前に治療されたエリア上の位置に関係し、
- 前記マーキングされたポイントに関する情報を使用して、前記第2の測定信号の前記プロファイルを分析して、前記第2の測定信号の前記プロファイルにおける類似のマーキングされたポイントを識別させ、
- 前記第2の測定信号の前記プロファイルにおける前記類似のマーキングされたポイントを識別した後に、前記少なくとも1つのエネルギ源を制御して、以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間が終了したならば或いは以前のエネルギパルスの生成に続く前記最小パルス繰り返し期間がひとたび終了すると、エネルギパルスを生成させることを特徴とする、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被験者の皮膚上で治療動作(treatment operation)を実行するハンドヘルドデバイスに関し、特に、エネルギパルスが皮膚に適用される治療動作に関する。
【背景技術】
【0002】
望ましくない毛を除去する技術は、剃毛、電解、摘毛、(光脱毛として知られる)レーザ及び光線療法、並びに治療抗アンドロゲンの注入を含む。光ベースの技術は、発毛抑制やニキビ治療を含む、他のタイプの皮膚科治療にも使用される。
【0003】
光エネルギの適切な構成の使用を通じて、すなわち、波長、強度及び/又はパルス持続時間の観点から、毛根の選択的加熱及びその後の毛包への一時的又は永久的損傷を達成することができる。しかしながら、毛包内で十分な温度上昇を達成するために必要とされる高いフルエンスの故に、これらのエネルギパルスを提供するデバイスのエネルギ消費は非常に高くあり得る。これは、(特に光エネルギが発光ダイオード(LED)を使用して生成される)光脱毛ベースのデバイスのフォームファクタ(形状因子)、コスト、治療速度、及び全体的な魅力に負の影響を及ぼす。
【0004】
現在利用可能なデバイスは、ユーザが身体の部分が十分に治療されたと考えるまで、ユーザがデバイスを皮膚のエリアの上に位置付け、エネルギパルスをトリガし、デバイスを手動で皮膚の別のエリア(例えば、隣接するエリア)に移動させ、エネルギパルスをトリガすることなどを必要とする。この結果、光脱毛デバイスのユーザは、皮膚の大きなエリア、例えば、脚に亘ってこれらのデバイスを効率的かつ効果的に使用することにおいて困難に直面する。この問題は、治療される皮膚の比較的広いエリア、小さなデバイス治療窓(ウインドウ)エリア、既に治療されたエリアに関する情報の欠如、以前に治療されたエリアとの十分なオーバーラップ(重なり合い)を伴う又は伴わない未治療エリア上でデバイスを再配置する際の不正確さ(例えば、僅かなオーバーラップは何らかのタイプの光脱毛デバイスを使用する効果的な治療のために望ましいことがある)、及び完全な治療範囲を保証することにおけるユーザの忍耐の固有の限界の組み合わせから生じる。
【0005】
これらのユーザ依存の問題は、コンプライアンス、治療時間、そして、最終的には、治療の効能に高いばらつきをもたらす。実際には、内部研究に基づくと、104人の被験者の下肢の測定された治療時間は、最小の2:50(分:秒)から最大の34:46まで変化し、平均値は13:49であり、下肢の推奨治療時間は8分である。
特許文献1は、ユーザによって手持ちされるように構成されるデバイス本体と、エネルギビームを生成するように構成されるビーム源を含む放射線源と、皮膚の表面に亘って手動で移動させられるように構成される適用端と、皮膚との相互作用に基づいて信号を生成するように構成されるセンサと、センサ信号に基づいて一連の固有の皮膚特徴を自動的に識別して、少なくともそのような皮膚特徴の識別に基づいて放射線源の少なくとも1つの動作パラメータを制御するように構成される、電子機器とを含む、皮膚科治療を提供するための、内蔵式のハンドヘルドデバイスを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザがより効率的かつ効果的な方法で治療動作を完了することを可能にすることができるエネルギパルスを用いて皮膚上で治療動作を実行するためのデバイスを提供することが目的である。例えば、デバイスを再配置し、次に、エネルギパルスを手動でトリガしなければならないではなく、例えば、電気又はカミソリベースの剃毛デバイスを使用するときにユーザが行うことがある動作と同様に、デバイスが皮膚上を移動している間に、エネルギパルスが皮膚に送達又は適用されることを可能にすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このタイプの使用を可能にするために、エネルギパルスの送達は、慎重に管理されるべきである。何故ならば、皮膚の特定の領域への複数のエネルギパルスの送達は、疼痛又は長期間の損傷(例えば、バム)を引き起こすことがあるからである。これらのタイプのデバイスにおいて使用し得る現在の光素子(例えば、フラッシュランプ及びLEDアレイ)の電気光学的効率により、高いストローク速度(例えば、皮膚を剃毛されるときと類似の速度)でデバイスを移動させながら、皮膚の広い範囲(例えば、脚)を単一の通過(パス)において完全な治療適用範囲で治療することが可能である可能性は低い。従って、ユーザが治療を行うことの困難さを軽減し、皮膚の特定エリアを過剰に治療するリスクを軽減しながら、デバイスが複数の通過において皮膚の上を移動させられるときの(すなわち、デバイスを脚の上下に移動させるときの)治療適用範囲を向上させることが目的である。
【0008】
第1の具体的な態様によれば、ハンドヘルドデバイスが被験者の皮膚に亘って移動させられるときに治療動作を実行するよう被験者の皮膚にエネルギパルスを適用するための、ハンドヘルドデバイスが提供され、ハンドヘルドデバイスは、皮膚に隣接して配置される孔と、エネルギパルスを生成するための、並びに、孔に隣接する皮膚上で治療動作を実行するために孔を通じてエネルギパルスを提供するための、少なくとも1つのエネルギ源であって、後続のエネルギパルスを生成し得る前に、エネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間を有する、少なくとも1つのエネルギ源と、皮膚特性を測定するための、並びに、第1の感知位置での皮膚特性の測定値を表す第1の測定信号を出力するための、第1の皮膚特性センサであって、皮膚特性は、皮膚へのエネルギパルスの適用に応答して変化する特性であり、第1の感知位置は、皮膚上のハンドヘルドデバイスの意図される運動方向に対して孔の前方にある、第1の皮膚特性センサと、皮膚特性を測定するための、並びに、第2の感知位置での皮膚特性の測定値を表す第2の測定信号を出力するための、第2の皮膚特性センサであって、第2の感知位置は、意図される運動方向に対して孔の背後にある、第2の皮膚特性センサと、メモリユニットと、少なくとも1つのエネルギ源によるエネルギパルスの生成を制御するために少なくとも1つのエネルギ源に連結され、第1の測定信号及び第2の測定信号を取得するために第1の皮膚特性センサ及び第2の皮膚特性センサに連結される、制御ユニットとを含む。制御ユニットは、メモリユニット内に少なくとも第1の測定信号のプロファイルを格納するように構成される。制御ユニットは、ハンドヘルドデバイスが皮膚上で意図される運動方向において移動しているときに、第1の測定信号のプロファイルを分析して、第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過しているかどうかを決定し、第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過していないことを検出した後に、少なくとも1つのエネルギ源を制御して、以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間が終了したならば或いは以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間がひとたび終了すると、エネルギパルスを生成し、第1の皮膚特性が皮膚の以前に治療されたエリアを通過していることを検出した後に、以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間が終了したとしても、エネルギパルスの生成を防止すること、所定のルールに従ってメモリユニットに格納される第1の測定信号のプロファイルにおいてポイントをマーキングすることであって、マーキングされたポイントは、皮膚の以前に治療されたエリア上の位置に関連する、マーキングすること、マーキングされたポイントに関する情報を使用して、第2の測定信号を分析して、第2の測定信号のプロファイルにおける類似のマーキングされたポイントを識別すること、第2の測定信号のプロファイルにおける類似のマーキングされたポイントを識別した後に、少なくとも1つのエネルギ源を制御して、以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間が終了したならば或いは以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間がひとたび終了すると、エネルギパルスを生成することの、連続的な動作を実行する、ように更に構成される。
【0009】
第2の具体的な態様によれば、コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータ可読媒体は、その内に組み込まれるコンピュータ可読コードを有し、コンピュータ可読コードは、ハンドヘルドデバイス内の制御ユニットよる実行のために構成される。ハンドヘルドデバイスは、皮膚に隣接して配置される孔と、エネルギパルスを生成するための、並びに、孔に隣接する皮膚上で治療動作を実行するよう孔を通じてエネルギパルスを提供するための、少なくとも1つのエネルギ源であって、後続のエネルギパルスを生成し得る前に、エネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間を有する、少なくとも1つのエネルギ源と、皮膚特性を測定するための、並びに、第1の感知位置での皮膚特性の測定値を表す第1の測定信号を出力するための、第1の皮膚特性センサであって、皮膚特性は、皮膚へのエネルギパルスの適用に応答して変化する特性であり、第1の感知位置は、皮膚上のハンドヘルドデバイスの意図される運動方向に対して孔の前方にある、第1の皮膚特性センサと、皮膚特性を測定するための、並びに、第2の感知位置での皮膚特性の測定値を表す第2の測定信号を出力するための、第2の皮膚特性センサであって、第2の感知位置は、意図される運動方向に対して孔の背後にある、第2の皮膚特性センサと、メモリユニットとを含み、制御ユニットは、少なくとも1つのエネルギ源によるエネルギパルスの生成を制御するために少なくとも1つのエネルギ源に連結され、第1の測定信号及び第2の測定信号を取得するために第1の皮膚特性センサ及び第2の皮膚特性センサに連結され、制御ユニットは、メモリユニット内に少なくとも第1の測定信号のプロファイルを格納するように構成される。制御ユニットによるコンピュータ可読コードの実行後に、制御ユニットは、ハンドヘルドデバイスが皮膚上で意図される運動方向において移動しているときに、第1の測定信号のプロファイルを分析して、第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過しているかどうかを決定させ、第1の皮膚特性センサが皮膚の以前に治療されたエリアを通過していないことを検出した後に、少なくとも1つのエネルギ源を制御して、以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間が終了したならば或いは以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間がひとたび終了すると、エネルギパルスを生成させ、第1の皮膚特性が皮膚の以前に治療されたエリアを通過していることを検出した後に、以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間が終了したとしても、エネルギパルスの生成を防止すること、所定のルールに従ってメモリユニットに格納される第1の測定信号のプロファイルにおいてポイントをマーキングさせ、マーキングされたポイントは、皮膚の以前に治療されたエリア上の位置に関係し、マーキングされたポイントに関する情報を使用して、第2の測定信号の前記プロファイルを分析して、第2の測定信号の前記プロファイルにおける類似のマーキングされたポイントを識別させ、第2の測定信号の前記プロファイルにおける類似のマーキングされたポイントを識別した後に、少なくとも1つのエネルギ源を制御して、以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間が終了したならば或いは以前のエネルギパルスの生成に続く最小パルス繰り返し期間がひとたび終了すると、エネルギパルスを生成させること、の連続的な動作を実行させる。
【0010】
これらの態様及び他の態様は、以下に記載する(複数の)実施形態から明らであり、それらを参照して解明されるであろう。
【0011】
次に、以下の図面を参照して、単なる例として、例示的な実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ある実施形態に従ったハンドヘルドデバイスの図示である。
【
図2】ある実施形態に従ったハンドヘルドデバイスの例示的な構成要素を図示するブロック図である。
【
図3】皮膚に隣接する
図1に従ったハンドヘルドデバイスの図示である。
【
図4】皮膚特性センサの感知位置と現在の皮膚治療領域との間の例示的な空間的関係の図示である。
【
図5】別の例示的な実施形態に従ったハンドヘルドデバイスの治療端の図示である。
【
図6】様々な実施形態に従った制御ユニットのブロック図である
【
図7】例示的なセンサ測定信号及びそれらの処理を示す一対のプロットである。
【
図8】治療動作を実行するために被験者の皮膚にエネルギパルスを適用するハンドヘルドデバイスの動作を図示するフローチャートである。
【
図9】前面皮膚温度センサ及び背面皮膚温度センサからの温度測定値の例示的なセットを示している。
【
図10】背面皮膚特性センサの位置が治療エリア間のオーバーラップの量にどのように影響を与えるかを図示している。
【
図11】前面皮膚温度センサ及び背面皮膚温度センサからの温度測定値の他の例示的なセットを示している。
【
図12】直交アドレス指定可能性を使用することができる皮膚特性センサ及びエネルギ源の例示的な構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、様々な実施形態に従ったハンドヘルドデバイス2の図示であり、
図2は、
図1のハンドヘルドデバイス2のブロック図である。ハンドヘルドデバイス2は、エネルギパルスを用いて被験者の皮膚上で治療動作を行うためのものである。本明細書に記載するとき、ハンドヘルドデバイス2は、「ユーザ(user)」によって操作又は使用され、治療動作は、「被験者(subject)」に対して行われる。ある場合に、ユーザ及び被験者は、同じ人物である。すなわち、ハンドヘルドデバイス2は、(例えば、脚の皮膚を治療するために)ユーザの手に保持され、ユーザによってユーザ自体に対して使用される。他の場合に、ユーザ及び被験者は、異なる人々である。例えば、ハンドヘルドデバイス2は、ユーザの手に保持され、ユーザによって他の誰かに対して使用される。治療動作は、典型的には、光パルスのようなエネルギパルスを使用して行われる、任意のタイプの治療動作であることができる。例えば、治療動作は、脱毛、毛減少、光脱毛、光線治療、光線療法治療、皮膚若返り、皮膚引き締め、ポートワイン染色治療、又は疼痛緩和であることができる。
【0014】
ハンドヘルドデバイス2は、(本明細書では「治療端(treatment end)」7と称する)本体4の一端7に孔6(aperture)を含む本体又はハウジング4を含む。孔6は、孔6が被験者の皮膚に隣接して或いは被験者の皮膚上に(すなわち、被験者の皮膚と接触して)位置し得るように、本体4内に或いは本体4上に配置される。ハンドヘルドデバイス2は、孔6を介して被験者の皮膚に適用されて治療動作をもたらすエネルギパルスを生成する1つ以上のエネルギ源8を含む。1つ以上のエネルギ源8は、エネルギパルスが孔6を通じて1つ以上のエネルギ源8から提供されるように、本体4内に配置される。孔6は、本体4の一端の開口の形態にあってよく、或いはエネルギパルスに対して透明又は半透明な(導波管を含む)窓(ウインドウ)の形態にあってよい(すなわち、エネルギパルスは、窓を通過し得る)。
【0015】
本明細書では、孔6が被験者の皮膚に隣接して或いは皮膚上に配置されるときに孔6を通じて1つ以上のエネルギ源8に「見える(visible)」被験者の皮膚の部分を「現在の皮膚治療領域(current skin treatment region」と称する。従って、「現在の皮膚治療領域」に対応する被験者の皮膚の部分は、ハンドヘルドデバイス2が被験者の皮膚に亘って移動させられるに応じて変化する。
【0016】
図1に示す例示的な実施形態において、孔6は、概ね長方形の形状を有し、それは皮膚上に概ね長方形の皮膚治療領域をもたらす。孔6は、任意の他の所望の形状を有し得ることが理解されるであろう。例えば、孔6は、正方形、楕円形、円形、又は任意の他の多角形の形状であり得る。
【0017】
1つ以上のエネルギ源8は、治療動作を実行するための任意の適切なタイプのエネルギ、例えば、光、音、無線周波数(RF)信号、マイクロ波放射線及びプラズマを生成することができる。光を生成するエネルギ源8の場合、エネルギ源8は、任意の適切な又は所望の波長(若しくは波長の範囲)及び/又は強度で光パルスを生成するように構成されることができる。例えば、エネルギ源8は、可視光、赤外線(IR)光及び/又は紫外線(UV)光を生成することができる。各エネルギ源8は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、(キセノン)フラッシュランプ、レーザ又は複数のレーザなどのような、任意の適切なタイプの光源を含むことができる。好ましい実施形態において、ハンドヘルドデバイス2は、光脱毛を行うためのものであり、(複数の)エネルギ源8は、強い光パルスを提供するためのものである。音を生成するエネルギ源8の場合、エネルギ源8は、任意の適切な又は所望の波長(若しくは波長の範囲)及び/又は強度で音パルスを生成するように構成されることができる。例えば、エネルギ源8は、超音波トランスデューサであることができる。
【0018】
1つ以上のエネルギ源8は、エネルギのパルスを提供するように構成される。すなわち、(複数の)エネルギ源8は、短い持続時間(例えば、1秒未満)に亘って高強度でエネルギを生成するように構成される。エネルギパルスの強度は、現在の皮膚治療領域の皮膚に対して治療動作をもたらすのに十分な程に高くなければならない。
【0019】
図1に示さないが、(複数の)エネルギ源8は、トリガ信号に応答して(複数の)エネルギ源8にエネルギパルスを生成させるための適切な駆動回路又は構成要素を含むことができる。
【0020】
1つ以上のエネルギ源8が複数のエネルギ源8を含む場合、複数のエネルギ源8は、例えば、異なるタイプの治療動作を実行するために、2つ以上のタイプのエネルギ源8を含んでよい。代替的に、複数のエネルギ源8は、同じタイプのエネルギ源8を含んでよいが、エネルギ源8は、現在の皮膚治療領域の皮膚の各部分にエネルギパルスを適用するよう、空間的に分離されてよい。
【0021】
加えて、1つ以上のエネルギ源8が複数のエネルギ源8を含む場合、エネルギ源8は、例えば、(複数の)エネルギ源8のうちの任意の1以上のエネルギ源8が任意の特定のときに起動(アクティブ化)されることができるよう、別個に制御可能であってよい。エネルギ源8の起動のこの個々の制御を以下により詳細に記載する。
【0022】
1つ以上のエネルギ源8は、後続のエネルギパルスを生成し得る前のエネルギパルスの生成に続いて、いわゆる「最小パルス繰り返し期間(minimum pulse repetition period」を有する。この最小パルス繰り返し期間は、エネルギパルスを生成し得る前に1つ以上のエネルギ源8のための駆動回路を「充電する(charge up)」(例えば、コンデンサを充電する(charging))ために必要とされる時間、及び/又はエネルギパルスの生成に続いて1つ以上のエネルギ源8が冷却するために必要とされる時間(例えば、エネルギパルスを生成すること又はエネルギパルス自体を生成することが(複数の)エネルギ源8及び/又はハンドヘルドデバイス2の他の構成要素を加熱する効果を有する場合)に起因し得る。上記の要因の一部又は全部に起因するエネルギパルスについての典型的な繰り返し率(repetition rate)は、(1秒~3秒の間の最小パルス繰り返し期間に対応する)0.33Hz~1Hzの間である。典型的には、(複数の)エネルギ源8の最小パルス繰り返し期間は、ハンドヘルドデバイス2がユーザによって典型的な使用速度で皮膚の上を移動させられているときに、孔6が皮膚上のある点の上を完全に移動するのに要する時間である、いわゆる「ドエルタイム(滞留時間)」よりも長い。
【0023】
図2において、ハンドヘルドデバイス2は、1つ以上のエネルギ源8と、本明細書に記載する技術に従って治療動作を行うためにエネルギパルスを生成する(複数の)エネルギ源8の動作を制御することを含む、ハンドヘルドデバイス2の動作を制御することのためにある、制御ユニット10とを含む。制御ユニット10は、制御ユニット10が(複数の)エネルギ源8をトリガしてエネルギパルスを生成し得るよう、1つ以上のエネルギ源8に電気的に連結される。
【0024】
図1及び
図2に示すハンドヘルドデバイス2は、制御ユニット10の制御の下で、ユーザが操作してハンドヘルドデバイス2を起動させ、(最後のエネルギパルスが通過した後の再充電期間に従う)1つ以上のエネルギ源8によるエネルギパルスの生成をもたらすことができる、ユーザ制御装置12を含む。ユーザ制御装置12は、ハンドヘルドデバイス2が皮膚と接触し、ユーザによって皮膚に亘って移動させられる間に、ユーザがユーザ制御装置12を作動させることができるようなものであってよく、制御ユニット10は、(複数の)エネルギ源8をトリガして、以下に記載する技術に従ってエネルギパルスを生成することができる。ユーザ制御ユニット12は、スイッチ、ボタン、タッチパッドなどの形態であってよい。
【0025】
ハンドヘルドデバイス2は、ハンドヘルドデバイス2の動作中に皮膚特性を測定するための少なくとも2つの皮膚特性センサ14、16も含む。各皮膚特性センサ14、16は、被験者の皮膚上のそれぞれの感知位置で皮膚特性を測定できるように、ハンドヘルドデバイス2内に位置付けられる。各々のそれぞれの感知位置は、孔6に対して所定の空間的関係を有し、よって、(孔6によって画定される)現在の皮膚治療領域を形成する皮膚に対して所定の空間的関係を有する。典型的には、それぞれの感知位置で各皮膚特性センサ14、16によって感知される皮膚のエリアのサイズは、現在の皮膚治療領域のサイズよりも遙かに小さい。少なくとも2つの皮膚特性センサ14、16は、制御ユニット10に接続され、分析及び/又は処理のために皮膚特性の測定値を制御ユニット10に提供する。具体的には、制御ユニット10は、皮膚特性の測定値を分析して、現在の皮膚治療領域の皮膚にエネルギパルスを適用できるかどうかを決定する。
【0026】
図1では、第1の皮膚特性センサ14が、概ね長方形の孔6の長い脚の中央点に近接して(しかしながら、そこから離間して)位置付けられ、第2の皮膚特性センサ16が、長方形の孔6の反対側の長い脚の中央点に近接して(しかしながら、そこから離間して)位置付けられる。皮膚特性センサ14、16は、(例えば、孔6の平面にあり且つ孔6の長い脚に対して垂直である方向における)皮膚上のハンドヘルドデバイス2の典型的な動きの間に、皮膚特性センサ14、16のうちの1つが孔6の「前方(in front)」にあるので、それが孔6によって覆われようとしている(よって、現在の皮膚治療領域の一部になろうとしている皮膚である)皮膚の皮膚特性を測定し、皮膚特性センサ14、16のうちの他の1つが開口6の「背後(behind)」にあるので、それが孔6によって覆われたばかりの皮膚の皮膚特性を測定するよう、位置付けられる。
【0027】
少なくとも2つの皮膚特性センサ14、16は、それらのそれぞれの感知位置で同じ皮膚特性を測定する。
【0028】
図3は、治療動作を行うことができるよう、被験者の皮膚に隣接して配置された、
図1及び
図2の例示的なハンドヘルドデバイス2を示している。よって、ハンドヘルドデバイス2は、(ここでは窓の形態の)孔6が皮膚17と接触するように配置される。皮膚17の下の身体組織18の一部が、幾つかの毛/毛包20と共に示されている。(複数の)エネルギ源8及び孔6は、皮膚17上の現在の皮膚治療領域22を画定する。
【0029】
第1の皮膚特性センサ14の感知位置24が示されており、感知位置24が現在の皮膚治療領域22に隣接していることが分かる。同様に、第2の皮膚特性センサ16の感知位置26が示されており、感知位置26も現在の皮膚治療領域22に隣接していることが分かる。本明細書に記載する技術の以下の説明では、ハンドヘルドデバイス2が、矢印28によって示される方向(すなわち、孔6の長い脚に対して垂直であり且つ孔6の平面内にある方向)において皮膚上を移動させられると仮定され、それは第1の皮膚特性センサ14が孔6の前方(ahead of)にあり、第2の皮膚特性センサ16が孔6の背後(behind)にあることを意味する。ハンドヘルドデバイス2が反対方向に移動させられるならば、第1の皮膚特性センサ14及び第2の皮膚特性センサ16の役割が逆転される(すなわち、第2の皮膚特性センサ16は孔6の前方にあり、第1の皮膚特性センサ14は孔6の背後にある)ことが理解されるであろう。以下の説明では、第1の皮膚特性センサ14及び第2の皮膚特性センサ16のうちのどちらか1つが孔6の前方にあるものを指す「前方(front)」皮膚特性センサと、第1の皮膚特性センサ14及び第2の皮膚特性センサ16のうちのどちらか1つが孔6の背後にあるものを指す「後方(back)」皮膚特性センサとを参照する。
【0030】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された技術は、被験者の皮膚の上で任意の方向に(例えば、脚の上下に)移動させることができるハンドヘルドデバイス2を提供することを目的とするので、ハンドヘルドデバイス2は、ハンドヘルドデバイス2の移動方向の表示を提供するセンサを更に含むことができる。例えば、ハンドヘルドデバイス2は、加速度計のような移動センサを含むことができ、移動センサからの測定信号を制御ユニット10によって分析して、ハンドヘルドデバイス2が移動させられている方向を決定することができる。
【0031】
ハンドヘルドデバイス2が移動させられている方向に関する情報を制御ユニット10によって利用して、第1の皮膚特性センサ14及び第2の皮膚特性センサ16のうちのどちらが前方皮膚特性センサ及び第2の皮膚特性センサであるかを決定することができる。別の実施形態において、制御ユニット10は、皮膚特性センサ14、16からの測定信号を分析することによってハンドヘルドデバイス2の移動方向を決定することができるので、別個の移動センサは必要とされない。例えば、制御ユニット10は、測定信号を分析して、測定信号中の対応する信号特徴(例えば、両方の測定信号内で発生する特定のピーク)を識別し、対応する信号特徴の相対的なタイミングに基づいて、どのセンサが他方のセンサの前方にあるかを決定することができる。他方のセンサに遅れている測定信号(すなわち、後に発生する信号特徴を有する測定信号)は、後方皮膚特性センサ16からの測定信号である。
【0032】
ハンドヘルドデバイスが移動方向を決定するように構成されることは必須でない。代替的に、デバイスのユーザは、一方向のみでデバイスを使用するようにユーザのマニュアルにおいて指示されてよい。別の代替は、デバイスが皮膚上で一方向にのみ移動させられ得るように、例えば、デバイスが一方向にのみ回転し得る皮膚上を回転するホイールを有するように、デバイスを構成することであり得る。これらの状況において、第1の皮膚特性センサ及び第2の皮膚特性センサは固定される。何故ならば、ハンドヘルドデバイスに対する運動方向は変化しないからである。
【0033】
以下により詳細に記載するように、皮膚特性センサ14、16によって得られる測定値は、(複数の)エネルギ源8からのエネルギによって最近(及び/又は十分に)既に処理された皮膚の領域を識別するために、制御ユニット10によって分析され、制御ユニット10は、エネルギパルスが最近(及び/又は十分に)処理されなかった被験者の皮膚の部分に適用されるように、(複数の)エネルギ源8を制御する。これは、治療範囲領域を最大にしながら、被験者の身体の一部分をエネルギパルスで過剰治療するリスクを回避し或いはさもなければ低減する。
【0034】
よって、(複数の)エネルギ源8のこの制御を可能にするために、皮膚特性センサ14、16は、エネルギパルスの皮膚への適用に応答して変化する皮膚特性を測定する。幾つかの実施形態において、皮膚特性は、皮膚へのエネルギパルスの適用に対する短期の(すなわち、一時的な)応答を有する皮膚の特性である。すなわち、皮膚特性は、エネルギパルスの適用に応答するので、特性の値は、エネルギパルスが適用されるときに或いはその直後に(例えば、1又は2秒内に)初期値から変化し、特性の値は、短い時間期間に亘って(例えば、数1お秒又は数分内に)初期値に戻る。代替的に、皮膚の特性は、より長い時間期間に亘ってエネルギパルスの適用に応答し得るので、特性の値は、エネルギパルスが適用された後に(例えば、数分又は数時間後に)初期値から変化することができ、特性の値は、ある時間に亘って(例えば、数日後に)初期値に戻らない。短期間で変化する皮膚の特性は、体温と血液灌流を含むのに対し、長期間で変化する皮膚の特性は、色素沈着過度(hyperpigmentation)を含む。
【0035】
好ましい実施形態において、皮膚の特性は、皮膚温度、特に皮膚の表面温度である。何故ならば、皮膚へのエネルギパルス又は複数のエネルギパルスの適用は、皮膚のその部分を一時的に加熱することがあるからである。従って、皮膚特性センサ14、16は、皮膚温度センサであることができる。皮膚温度センサ14、16の各々は、熱電対、サーミスタ又は抵抗温度検出器(RTD)のような接触温度センサ(すなわち、皮膚の温度を測定するために皮膚との接触を必要とするセンサ)であることができる。代替的に、各皮膚温度センサ14、16は、赤外線(IR)熱センサのような、非接触温度センサ(すなわち、皮膚の温度を測定するために皮膚との接触を必要としないセンサ)であることができる。このタイプの皮膚温度センサは、光熱センサとも称される。例示的な実施形態において、各皮膚特性センサ14、16は、サーモパイル赤外線センサ(例えば、TE接続性によって製造されるサーモパイル赤外線センサTS318-1B084)であることができる。このタイプのセンサ又は類似の非接触皮膚温度センサは、120度の開口角度を有するセンサ14、16と共に、(例えば、
図1及び
図2に示すような)孔6の近くに位置付けられることができる。
【0036】
他の実施形態において、皮膚特性は、皮膚の光学特性、例えば、入射エネルギパルスに応答して変化する皮膚の光学特性である。光学特性は、例えば、散乱、反射などであることができ、各皮膚特性センサ14、16は、皮膚17から反射又は散乱された光を測定する光学センサであることができる。幾つかの実施形態において、皮膚特性センサ14、16は、皮膚の中又は上に光を放射する光源を含むことができ、皮膚特性センサ14、16は、その光の反射又は散乱を測定する。当業者は、例えば、ハイパースペクトル撮像、偏光撮像及びスペックル撮像を含む、皮膚の光学特性を測定するために使用されることができる様々な技術を認識するであろう。
【0037】
他の実施形態において、皮膚特性は、皮膚の音響特性、例えば、入射エネルギパルスに応答して変化する皮膚の音響特性である。音響特性は、例えば、音響インピーダンス、音の速さなどであることができ、各皮膚特性センサ14、16は、音響センサ、例えば、超音波センサであることができる。幾つかの実施形態において、皮膚特性センサ14、16は、音を皮膚に放射するための音源を含むことができ、皮膚特性センサ14、16は、音を測定して、音響皮膚特性を決定する。
【0038】
他の実施形態において、皮膚特性は、皮膚の電気的特性、例えば、入射エネルギパルスに応答して変化する皮膚の電気特性である。電気特性は、例えば、無線周波数(RF)インピーダンス、キャパシタンスなどであることができ、各皮膚特性センサ14、16は、RFセンサ、インピーダンスセンサ又はキャパシタンスセンサであることができる。
【0039】
幾つかの実施形態において、ハンドヘルドデバイス2は、ハンドヘルドデバイス2、特に、治療端7又は孔6が、被験者の皮膚17に接触しているかどうかを検出するための1つ以上のセンサも含む。(複数の)エネルギ源8によって生成されるエネルギパルスは、高強度を有することができ、よって、それらは、エネルギパルスが、例えば、被験者の眼にではなく、皮膚に向けられる場合にのみ、トリガされるべきである。従って、制御ユニット10に連結され、治療端7又は孔6が皮膚と接触しているかどうかを制御ユニット10が決定することを可能にする、1つ以上の皮膚接触センサが設けられることができる。孔6の周囲に配置された複数の皮膚接触センサの場合、幾つかの実施形態では、エネルギパルスがトリガされるために、全てのセンサが同時に皮膚接触を検出することを必要とすることができる。各皮膚接触センサは、孔6に近接して配置された圧力センサの形態であってよい。代替的に、各皮膚接触センサは、孔6に近接して配置され、測定される導電率の変化を介して皮膚が治療端7又は孔6と接触しているときを検出する、導電率センサの形態であってよい。他のタイプの皮膚接触センサは、容量接触センサ、近接センサ及び(例えば、測定される光レベルに基づいて接触を検出することができる)光学ベースの接触センサを含む。皮膚接触センサは、
図1、
図2又は
図3に示されていない。幾つかの実施形態において、皮膚特性センサ14、16は、皮膚接触センサとして使用されることもできる(或いは、別の言い方をすれば、皮膚特性センサ14、16の一方又は両方からの測定信号を分析又は処理して、治療端7又は孔6が皮膚と接触しているかどうかを決定することができる)。例えば、皮膚温度センサからの測定値は、センサが皮膚と接触しているかどうかを決定するために処理されることができる。何故ならば、皮膚は、典型的には、環境(すなわち、空気)よりも高い温度を有するからである。
【0040】
上述のように、皮膚特性センサ14、16は、制御ユニット10が、最近及び/又は十分にエネルギパルスで処理された皮膚のエリアを識別して、ハンドヘルドデバイス2が被験者の皮膚17上の適切な位置にあるときにエネルギパルスを生成するよう(複数の)エネルギ源8を制御することを可能にするために設けられる。この制御の一部として、制御ユニット10は、被験者の身体の関連部分(例えば、脚)の全てが、エネルギパルスで処理された皮膚の各領域の間に間隙又は空間を伴わずに或いは非常に小さな間隙又は空間のみを伴って、エネルギパルスで十分に処理されるように、エネルギパルスをトリガすることが望ましい。加えて、エネルギパルスは、皮膚治療領域の皮膚を均一に治療しないことがあるので、例えば、(複数の)エネルギ源からのエネルギの強度は、周辺(例えば、隅及び縁)よりも、孔6の中心においてより高いことがあるので、後続のエネルギパルスが、以前の皮膚治療領域と部分的にオーバーラップする(重なり合う)皮膚治療領域内に適用されることが望ましいことがある。従って、皮膚特性センサ14、16の感知位置24、26は、(例えば、皮膚特性センサ14、16がエネルギパルスによって損傷を受けないよう)現在の皮膚治療領域22の外側にあるので、孔6と孔6の背後にある皮膚特性センサ14、16との間の距離は、現在の皮膚治療領域24の皮膚をエネルギパルスで治療できるかどうかを制御ユニット10が皮膚特性の測定値から決定できるように、制御ユニット10によって知られているべきである。
【0041】
図4は、皮膚特性センサ14、16と孔6によって画定される現在の皮膚治療領域22との間の例示的な空間的関係を図示している。
図4は、孔6及び対応する現在の皮膚治療領域22を示す、ハンドヘルドデバイス2の治療端7に向かう皮膚からの図である。この例において、孔6、よって、現在の皮膚治療領域22は、概ね長方形の形状であり、(長い側に沿って測定された)長さA及び(短い側に沿って測定された)幅Bを有する、(孔6が皮膚と接触しているか或いは皮膚に隣接しているときに)同じサイズを有する。
図4は、孔6に対する第1の皮膚特性センサ14及び第2の皮膚特性センサ16の両方の位置決めを図示している。以下に更に述べるように、このような位置決めは、ハンドヘルドデバイス2が往復運動において(例えば、脚の上下に)移動させられるときにエネルギパルスを適用することができるハンドヘルドデバイス2にとって望ましい。ハンドヘルドデバイス2が一方向に移動させられるときにのみエネルギパルスを適用するハンドヘルドデバイス2の場合、皮膚特性センサ14、16の望ましい位置は、意図される運動方向に対して孔6の背後に位置付けられるべき皮膚特性センサ14、16のみに当て嵌まる。
【0042】
第1の皮膚特性センサ14の感知位置24と現在の皮膚治療領域22との間の空間的関係及び第2の皮膚特性センサ16の感知位置26と現在の皮膚治療領域22との間の空間的関係は、感知位置24及び感知位置26が、現在の皮膚治療領域22の幅B以下だけ、現在の皮膚治療領域22のそれぞれの長い縁(すなわち、長さAを有する縁)から変位させられる(displaced)ようになっている(この場合、その幅は、矢印28によって示されるハンドヘルドデバイス2の移動方向において測定された現在の皮膚治療領域22の寸法であり、現在の皮膚治療領域22の長い縁はこの方向に対して垂直である)。より一般的には、感知位置24、26は、現在の皮膚治療領域22と実質的に等しいサイズのエリア内のどこかであることができ、エリアの中心は、(矢印28によって示すような)ハンドヘルドデバイス2の(本明細書では「意図された運動方向」とも称する)意図された移動方向に沿う幅Bに等しい距離だけ、現在の皮膚治療領域22の中心からオフセットされる。これらのエリアは、
図4において点線ボックス30及び32によって示されており、点線ボックス30は、ハンドヘルドデバイス2が矢印28によって示す方向に移動させられるときに、現在の皮膚治療領域22の前方にあり(よって、第1の皮膚特性センサ14は、現在の皮膚治療領域22を通過しようとしている皮膚についての皮膚特性を測定し)、点線ボックス32は、ハンドヘルドデバイス2が矢印28によって示す方向に移動させられるときに、現在の皮膚治療領域22の背後にある(よって、第2の皮膚特性センサ16は、現在の皮膚治療領域22を通過したばかりの皮膚についての皮膚特性を測定する)。別の言い方をすると、点線ボックス30及び32は、現在の皮膚治療領域22のいずれかの縁から幅Bの半分である距離で中心化される長方形エリアを画定し、エリア30、32は、長さA(すなわち、現在の皮膚治療領域22と同じ)及び幅Bを有する。
【0043】
幾つかの実施形態において、皮膚特性センサ14、16は、孔6から同じ距離で離間させられるが、他の実施形態において、それらは孔6から異なる距離で離間させられることができる。
【0044】
より好ましい実施形態において、感知位置24、26と現在の皮膚治療領域22との間の空間的関係は、感知位置24、26が現在の皮膚治療領域22の長い縁(すなわち、長さAを有する縁)から現在の皮膚治療領域22の幅Bの半分以下だけ変位させられるような空間的関係であることができる。より一般的には、感知位置24、26は、現在の皮膚治療領域22の半分の大きさに実質的に等しいエリア内のどこかであることができ、そのエリアは、現在の皮膚治療領域22に隣接し、現在の皮膚治療領域22の幅Bの半分である(矢印26によって示す移動方向で測定された)幅を有する。このエリアは、
図4の破線ボックス34及び36によって示されており、破線ボックス34は、ハンドヘルドデバイス2が矢印28によって示す方向に移動させられるときに、現在の皮膚治療領域22の前方にあり(よって、第1の皮膚特性センサ14は、現在の皮膚治療領域22を通過しようとしている皮膚の皮膚特性を測定し)、破線ボックス36は、ハンドヘルドデバイス2が矢印28によって示す方向に移動させられるときに、現在の皮膚治療領域22の背後ある(よって、第2の皮膚特性センサ16は、現在の皮膚治療領域22を通過したばかりの皮膚の皮膚特性を測定する)。
【0045】
図4は、破線ボックス30の中央及び破線ボックス34の縁における感知位置24(よって、第1の皮膚特性センサ14)の例示的な位置決めと、破線ボックス32の中央及び破線ボックス36の縁における感知位置26(よって、第2の皮膚特性センサ16)の例示的な位置決めを示している。
【0046】
単一の皮膚特性センサが現在の皮膚治療領域22の各側に(すなわち、各側の複数の皮膚特性センサとは対照的に)設けられる場合、第1の皮膚特性センサ14及び第2の皮膚特性センサ16は、典型的には、現在の皮膚治療領域22の長さの中間点に沿って位置付けられる(この場合、その長さは、ハンドヘルドデバイス2の意図された運動方向に対して垂直な方向において測定される)ことが理解されるであろう。例えば、
図4に示すように、感知位置24、26は、矢印28によって示す運動方向において現在の皮膚治療領域22の中央を通過する破線38上に配置される。
【0047】
幾つかの実施形態では、ハンドヘルドデバイス2のユーザが任意の方向にハンドヘルドデバイス2を移動させることを可能にするために、並びにエネルギパルスのトリガリング(triggering)が適切に制御されるために、ハンドヘルドデバイス2は、概ね長方形の孔6のそれぞれの辺(側)に配置された少なくとも4つの皮膚特性センサを含む。これを
図5に図示する。
図5は、4つの皮膚特性センサ14、16、40、42を含む、別の例示的なハンドヘルドデバイス2の治療端7を示している。第1の皮膚特性センサ14及び第2の皮膚特性センサ16は、
図1、
図3及び
図4におけるように、概ね長方形の孔6の長い辺に隣接して位置付けられる。第3の皮膚特性センサ40が、概ね長方形の孔6の短い辺の一方に隣接して位置付けられ、第4の皮膚特性センサ42が、概ね長方形の孔6の反対側の短い辺に隣接して位置付けられる。
【0048】
図5の実施形態において、ハンドヘルドデバイス2が矢印44によって示す方向(すなわち、孔6の長い縁に対して垂直であり且つ孔6の平面内にある方向)において皮膚上を移動させられるならば、第1の皮膚特性センサ14は、現在の皮膚治療領域に入ったばかりの皮膚の皮膚特性を測定し、第2の皮膚特性センサ16は、現在の皮膚治療領域に入ろうとしている皮膚の皮膚特性を測定する。ハンドヘルドデバイス2が反対方向、すなわち、(
図3及び
図4の矢印28と同じ方向である)矢印46によって示すような方向において皮膚上を移動させられるならば、第2の皮膚特性センサ16は、現在の皮膚治療領域に入ったばかりの皮膚の皮膚特性を測定し、第1の皮膚特性センサ14は、現在の皮膚治療領域に入ろうとしている皮膚の皮膚特性を測定する。ハンドヘルドデバイス2が、矢印48によって示す方向(すなわち、孔6の短い縁に対して垂直であり且つ孔6の平面内にある方向)において皮膚上を移動させられるならば、第3の皮膚特性センサ40は、現在の皮膚治療領域に入ったばかりの皮膚の皮膚特性を測定し、第4の皮膚特性センサ42は、現在の皮膚治療領域に入ろうとしている皮膚の皮膚特性を測定する。ハンドヘルドデバイス2が反対方向、すなわち、矢印49によって示すような方向において皮膚上を移動させられるならば、第4の皮膚特性センサ42は、現在の皮膚治療領域に入ったばかりの皮膚の皮膚特性を測定し、第3の皮膚特性センサ40は、現在の皮膚治療領域に入ろうとしている皮膚の皮膚特性を測定する。よって、
図5の実施形態は、ユーザが矢印44、46、48、及び49によって示す4つの異なる方向のいずれかにおいてハンドヘルドデバイス2を皮膚上で移動させて、現在の皮膚治療領域22を通過する前後の皮膚について皮膚特性の所要の測定値を得ることを可能にする。
【0049】
図5の第3及び第4の皮膚特性センサ40、42は、それぞれの感知位置が、
図4に関連して示した原理に従って現在の皮膚治療領域22に対する空間的関係を有するように配置されることができる。第3及び第4の皮膚特性センサ40、42は、それぞれの感知位置が、現在の皮膚治療領域22のそれぞれの短い縁(すなわち、長さBを有する縁)から現在の皮膚治療領域22の長さA以下だけ変位させられるように配置されることができる(この場合、その幅は、矢印28によって示すハンドヘルドデバイス2の移動方向において測定される現在の皮膚治療領域22の短い縁の寸法であり、現在の皮膚治療領域22の長い縁は、この方向に対して垂直である)。より一般的には、第3及び第4の皮膚特性センサ40、42の感知位置24は、現在の皮膚治療領域22と実質的に等しいサイズのエリア内のどこかにあることができ、エリアの中心は、現在の皮膚治療領域22の中心から(矢印28によって示す)ハンドヘルドデバイス2の意図された移動方向に対して垂直な長さAに等しい距離だけオフセットされる。
【0050】
図4と同様に、より好ましい実施において、第3及び第4の皮膚特性センサ40、42についてのそれぞれの感知位置と現在の皮膚治療領域22との間の空間的関係は、それぞれの感知位置が、現在の皮膚治療領域22の短い縁(すなわち、長さBを有する縁)から現在の皮膚治療領域22の幅Aの半分以下だけ変位させられるような空間的関係であってよい。より一般的には、感知位置は、現在の皮膚治療領域22の半分のサイズに実質的に等しいエリア内のどこかにあることができ、そのエリアは、現在の皮膚治療領域22に隣接し、現在の皮膚治療領域22の長さAの半分である(矢印28によって示す運動方向に対して垂直に測定される)長さを有する。
【0051】
現在の皮膚治療領域22に対する皮膚特性センサ14の感知位置の特定の空間的位置は、皮膚の治療エリアにおける任意のオーバーラップ(重なり合い)が望まれるか或いは許容されるかに基づいて選択され得ることが理解されるであろう。例えば、制御ユニット10による皮膚特性測定の処理に依存して、感知位置が現在の皮膚治療領域22により近くなるように皮膚特性センサを配置することは、現在の皮膚治療領域22が、エネルギパルスが以前に適用された皮膚の領域の一部分を含み得る可能性を増大させる。
【0052】
上述のように、制御ユニット10は、本明細書に記載する技術に従った皮膚特性測定に基づいて、ハンドヘルドデバイス2の動作、特に被験者の皮膚17へのエネルギパルスの適用を制御する。制御ユニット10は、本明細書に記載する様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、様々な方法で実装されることができる。制御ユニット10は、所要の機能を実行するために及び/又は所要の機能をもたらすよう制御ユニット10の構成要素を制御するためにソフトウェア又はコンピュータプログラムコードを使用してプログラムされることがある1つ以上のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでよい。制御ユニット10は、幾つかの機能を実行するための専用ハードウェア(例えば、増幅器、前置増幅器、アナログデジタル変換器(ADC)及び/又はデジタルアナログ変換器(DAC))と、他の機能を実行するプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、DPS、及び関連する回路構成)との組み合わせとして実装されてよい。本開示の様々な実施形態において利用されてよい構成要素の例は、従来的なマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む、これらに限定されない。
【0053】
制御ユニット10は、ハンドヘルドデバイス2の動作の制御及び/又は本明細書に記載する動作の実行又は実施において制御ユニット10による使のためのデータ、情報及び/又は信号を格納することができる(
図2又は
図3には示していない)メモリユニットに接続されることができ、或いはそのようなメモリユニットを含むことができる。幾つかの実装において、メモリユニットは、制御ユニット10が本明細書に記載する動作を含む1つ以上の機能を実行するように制御ユニット10によって実行されることができるコンピュータ可読コードを格納する。メモリユニットは、メモリチップ、(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、又はブルーレイディスクのような)光ディスク、ハードディスク、テープ記憶装置、又はメモリスティック、ソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカードなどを含むソリッドステートデバイスの形態において実装される、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、読出し専用記憶装置(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)及び電気的に消去可能なPROM(EEPROM)のような、揮発性及び不揮発性コンピュータメモリを含む、キャッシュメモリ又はシステムメモリのような、任意のタイプの非一時的な機械可読媒体を含むことができる。
【0054】
ハンドヘルドデバイス2の実用的な実装は、
図1~
図5に示すものに対する追加的な構成要素を含んでよいことが理解されるであろう。例えば、ハンドヘルドデバイス2は、バッテリのような電源、又はハンドヘルドデバイス2が本線電源に接続されることを可能にする構成要素を含んでもよい。別の例として、ハンドヘルドデバイス2は、(ユーザが皮膚特性測定値に基づいて制御ユニット10によるエネルギパルスの自動トリガリングに代わるものとして選択できる)手動トリガモードを含むか或いは使用してよく、制御ユニット10は、皮膚特性測定に基づいてエネルギパルスをトリガすることができるときを決定し、エネルギパルスをトリガすることができるときの表示をユーザに提供する。表示は、視覚表示(例えば、光源を使用する光又はハンドヘルドデバイス2の本体4内に配置されて使用中にユーザに見えるディスプレイスクリーン上の視覚メッセージ)、可聴表示(例えば、音源、例えば、ラウドスピーカを使用する、ビープ音のような音)、又は触覚表示(例えば、身体4の内側に配置された振動要素を使用して生成される振動)の形態で提供されることができる。
【0055】
様々な実施形態に従ったハンドヘルドデバイス2における制御ユニット10の例示的な実装を
図6に示す。この例示的な実装において、制御ユニット10は、入力信号処理ユニット50と、マイクロコントローラユニット(MCU)52と、出力信号処理ユニット54と、メモリユニット56とを含む。マイクロコントローラユニット52は、入力信号処理ユニット50、出力信号処理ユニット54及びメモリユニット56の各々に接続又は連結される。入力信号処理ユニット50は、電圧信号の形態で入力信号を受信し、電圧信号のアナログデジタル変換を行い、デジタル化された信号をMCU52に送信する。具体的には、入力信号処理ユニット50は、皮膚特性センサ14、16(及びハンドヘルドデバイス2内に存在する任意の他の皮膚特性センサ)からそれぞれの皮膚特性測定信号58を受信することができ、(複数の)エネルギ源8がエネルギパルスを生成する準備ができているかどうかを示す信号60(すなわち、最小パルス繰り返し期間が以前のエネルギパルスに続いて或いはハンドヘルドデバイス2の起動(アクティブ化)から終了したかどうかを示す信号)を(複数の)エネルギ源8から受信してよい。本明細書では、信号60を「パルス対応信号60(pulse ready signal)」とも称する。パルス対応信号60は、(複数の)エネルギ源8が現在のところエネルギパルスを生成することができるかどうかを示す高/低電圧信号であることができる。パルス対応信号60を受信する代わりに、最後のパルスから経過した時間に基づいてMCU52によって「パルス対応」状態を決定することができる。治療端7又は孔6が皮膚に接触しているかどうかに関する情報が必要とされるならば、入力信号処理ユニット50は、ハンドヘルドデバイス2の治療端7又は孔6が皮膚に接触しているかどうかを示す皮膚接触信号62を皮膚接触センサ64から受信することもできる。代替的に、この情報は、MCU52による(複数の)皮膚特性測定信号58から導出されることができ、その場合、皮膚接触センサ64は必要とされない。信号58、60及び62の各々は、入力信号処理ユニット50によってデジタル化され、MCU52に提供されることができる。
【0056】
各皮膚特性測定信号58は、その電圧が皮膚特性センサのそれぞれの感知位置における皮膚特性の測定値に比例する信号であることができる。例えば、皮膚特性は、皮膚温度であることができ、各皮膚特性測定信号58は、皮膚温度センサの感知位置内の皮膚温度に比例するか或いは(例えば、ルックアップテーブルを介して)その他の方法で関連付けられる電圧信号であることができる。
【0057】
皮膚接触センサ64がハンドヘルドデバイス2内に設けられるならば、皮膚接触信号62は、(治療端7又は孔6と皮膚との間の接触及び非接触を表す)高電圧と低電圧との間で変化する電圧信号であってよい。
【0058】
MCU52は、以下に記載するような論理演算を行い、データをメモリユニット56に送信し、メモリユニット56との間でデータを送受信し、出力信号処理ユニット54に出力信号を送信する。出力信号処理ユニット54に送信される出力信号は、(複数の)エネルギ源8を制御してエネルギパルスの生成をトリガする信号を含むことができる。メモリユニット56は、例えば、受信したデジタル化された信号、エネルギパルスをトリガするかどうか決定するために受信したデジタル化された信号を処理する際のMCU52による使用のための情報、治療動作中に生成されるエネルギパルスの数などのようなデータを格納する。メモリユニット56は、上述の形態のいずれかであることができる。
【0059】
出力信号処理ユニット54は、MCU52から信号を受信し、出力信号66を(複数の)エネルギ源8に送信して、エネルギパルスの生成をトリガする。本明細書では、出力信号66を「パルストリガ信号66」とも称する。何故ならば、それは(複数の)エネルギ源8をトリガしてエネルギパルスを生成するからである。任意的に、MCU52及び出力信号処理ユニット54は、例えば、治療動作が完了したかどうかかを示す治療動作の状態をユーザ(又は被験者)に示すユーザインジケータ信号68を出力することができる。ユーザインジケータ信号68は、ライト、ディスプレイスクリーン、ラウドスピーカ、又は触覚(例えば、振動)要素のような、ユーザインタフェース構成要素を制御又は駆動するために使用されてよい。
【0060】
上述のように、本明細書に記載する実施形態に従ったハンドヘルドデバイス2は、既に十分に治療されている皮膚エリアの治療を回避するために、エネルギパルスの選択的な適用を提供する。エネルギパルスのこの選択的な適用は、皮膚特性の測定値に基づく。何故ならば、それらの測定値は、皮膚のどの部分がこの治療動作中に既に治療されているかを示すことができるからである。制御ユニット10は、皮膚特性測定値を用いて治療された/治療されていない皮膚の部分を自動的に識別し、適切なときにエネルギパルスをトリガすることができるので、ハンドヘルドデバイス2のユーザは、シェーバ又はカミソリのような他のタイプのデバイスを使用するときと同様に、連続的な動作を用いて治療されるべき皮膚エリア上でハンドヘルドデバイス2を移動させることができ、治療のための良好な適用範囲(coverage)を達成することができる。エネルギパルスのトリガリングは、十分に治療されていない皮膚エリアを検出することに基づくので、運動は、連続的な速度及び/又は単一の方向である必要はなく、よって、ユーザが、可変速度で複数の通過又はストローク(例えば、ハンドヘルドデバイス2を皮膚の同じエリアに亘って脚で上下に動かすこと)を伴って、治療されるべき身体の部分(例えば、脚)の上でハンドヘルドデバイス2を移動させることが可能であることが理解されるであろう。
【0061】
簡潔には、この自動動作モードを達成するために、制御ユニット10は、エネルギパルスが以前に又は最近に皮膚に適用されたかどうか(例えば、皮膚特性センサが皮膚温度を測定する場合において皮膚が以前のエネルギパルスに続いてより高い温度を依然として有するかどうか)を識別するために、ハンドヘルドデバイス2が皮膚に亘って移動させられるときに、前方感知位置24についての皮膚特性測定値を分析するように構成される。この情報に基づいて、制御ユニット10は、エネルギパルスを現在の皮膚治療領域22の皮膚に適用できるかどうかを決定する。以前に治療された皮膚を検出した後に、パルス化することが中断され、前方皮膚特性センサ14及び後方皮膚特性センサ16からの測定値の分析及び後方皮膚特性センサ16の位置と治療領域との間の既知の空間的関係に基づいて、制御ユニット10は、次のパルスをトリガするための最適な瞬間を決定し、よって、適用範囲を最適化する。治療領域間のオーバーラップの量は、現在の皮膚治療領域22の背後にある少なくとも感知位置26と孔6との間の既知の空間的関係に基づいて制御されることができる。
【0062】
具体的には、制御ユニット10は、前方皮膚特性センサ(例えば、ハンドヘルドデバイス2が方向28において移動させられるときの第1の皮膚特性センサ14)からの皮膚特性測定信号を分析して、エネルギパルスが以前に又は最近に適用された皮膚17のエリアを識別することができる。皮膚17のそのようなエリアを識別した後に、制御ユニット10は、以前に治療された皮膚のエリアに関する皮膚特性測定値のプロファイルを格納、記録、又はログするか、或いは以前に治療された皮膚のエリアに関する皮膚特性測定値(例えば、最大値、最小値など)のプロファイルの態様を格納、記録、又はログする。次に、制御ユニット10は、後方皮膚特性センサ(例えば、ハンドヘルドデバイス2が方向28に移動させられるときの第2の皮膚特性センサ16)からの皮膚特性測定信号を分析して、(例えば、後方皮膚特性センサからの皮膚特性測定信号中の同じ又は類似の測定プロファイルを識別することによって)同じ以前に治療された皮膚のエリアを識別する。ひとたび制御ユニット10がその識別を行うと、制御ユニット10は、以前のエネルギパルスの生成に続く(複数の)エネルギ源8についての最小パルス繰り返し期間が満了したならば、(孔6がその以前に治療された皮膚のエリアを通過したときに)エネルギパルスがトリガされ得ることを決定することができる。
【0063】
自動動作モードを達成するための制御ユニット10による皮膚特性測定値の分析及び処理の幾つかの実施形態を以下に記載する。実施形態のうちの幾つかは、皮膚温度である皮膚特性と、治療動作を実行する光パルスであって、光パルスが適用される皮膚を一時的に加熱する光パルスであるエネルギパルスとを参照して記載されるが、以下に記載する実施形態は、皮膚特性が皮膚温度以外の特性である場合及び/又は異なるタイプのエネルギパルスが使用される場合に適用され得ることが理解されるであろう。
【0064】
図7のプロットは、
図5に示す皮膚特性センサ構成を使用して、すなわち、(運動の方向に対して)孔6の前方にある第1の皮膚温度センサ14及び(運動の方向に対して)孔6の背後にある第2の皮膚温度センサ16を用いて得られた例示的な皮膚温度測定信号を示している。
【0065】
よって、
図7(a)は、ハンドヘルドデバイス2が、エネルギパルスで以前に治療された皮膚のエリア上を繰り返し移動させられるときの、2つのセンサ14及び16からの温度測定信号を示している。具体的には、ハンドヘルドデバイス2は、第1の方向(例えば、脚を下るストローク)において皮膚の治療されたエリアの上で移動させられ、次に、開始位置に戻され、同じ方向(例えば、脚を下る別のストローク)において再び皮膚の治療されたエリアの上で移動させられるか、或いは、ストロークを完了した後に、ハンドヘルドデバイス2は、第1の皮膚特性センサ14が孔6の前方に留まりように方向転換され、ハンドヘルドデバイス2は、反対方向(例えば、脚を上るストローク)において皮膚の治療されたエリアの上で移動させられる。
【0066】
信号80は、第1の皮膚温度センサ14からの温度測定信号であり、信号82は、第2の皮膚温度センサ16からの温度測定信号である。信号80及び82には幾つかのピークがあり、それらはエネルギパルスで最近に治療されたそれぞれの皮膚温度センサの感知位置における皮膚に対応することが分かる。信号80のピークは、信号82のピークよりも時間的に早く生じる。何故ならば、第1の皮膚温度センサ14(信号80)は、ハンドヘルドデバイス2が皮膚の上で移動させられるときに、第2の皮膚温度センサ16の前に皮膚の治療されたエリアに遭遇するからである。信号の強調表示(ハイライト)された部分84は、ハンドヘルドデバイス2が治療された皮膚のエリアを通過した(具体的にはハンドヘルドデバイス2が部分84内の2つのピークの間の治療された皮膚のエリアを通過した)時間期間に対応する。同様に、信号の協調表示(ハイライト)された部分86は、ハンドヘルドデバイス2が治療された皮膚のエリアを通過する(具体的にはハンドヘルドデバイス2が部分86内の2つのピークの間の治療された皮膚のエリアを通過した)後続の時間期間に対応する。周囲温度に対する温度ピークの大きさは、時間の経過と共に減少し(すなわち、温度ピークは、治療されたエリア上のハンドヘルドデバイス2の各通過と共に減少し、よって、ピークの大きさは、エネルギパルスがどれぐらい最近に皮膚に適用されたかを示し(より高い大きさは、より低い大きさよりも最近に適用されたエネルギパルスに対応し))、それは以前に治療されたエリアが時間の経過と共に冷えることに起因し得ることに留意のこと。両方の信号80及び信号82は、同時に生じるトラフ(troughs)を含み、これは、(例えば、ハンドヘルドデバイス2がストロークの終わりに位置変更されるときに)皮膚との接触を失うハンドヘルドデバイス2、及び(この場合には皮膚温度よりも低い)周囲空気温度を測定する温度センサに対応する。
【0067】
図7(a)から、皮膚温度測定信号80、82が、バックグラウンドノイズ、皮膚接触の質、信号ドリフト、及び皮膚温度変動(例えば、被験者内の変動又は被験者から被験者への変動)に悩まされることに留意のこと。これらの問題が存在する場合、未加工の信号80、82上で動作する単純なピーク検出方法又は閾値化方法は、治療に関係しない追加的なピークの存在、及び/又は時間の経過に亘る測定におけるドリフトの故に、以前に又は最近に治療された皮膚のエリアを検出するのに効果的でないことがある。
【0068】
図7(b)は、ドリフト及び低周波ノイズを除去するためのフィルタリング信号80及び82の結果を示している。信号80のフィルタリングは、フィルタリングされた信号88をもたらし、信号82のフィルタリングは、フィルタリングされた信号90をもたらす。以前に又は最近に治療された皮膚のエリアに対応するピークは、フィルタリングされた信号88、90において見えるままであることに留意のこと。
【0069】
本明細書に記載する技術によれば、制御ユニット10は、信号80を分析して、以前に治療されたエリアに対応するピークを識別し、その後に、制御ユニット10は、信号82を分析して、同じ又は類似のピークを識別する。制御ユニット10が、信号82における類似のピーク(又は複数のピーク)に基づいて以前に治療されたエリアの端をひとたび識別すると、制御ユニット10は、エネルギパルスをトリガすることができる。
【0070】
より詳細には、前方皮膚特性センサ14からの測定信号に対して閾値方法又はピーク検出方法を使用することは、孔6が通過しようとしている皮膚のエリアがエネルギパルスで以前に又は最近に治療されたかどうかを制御ユニット10が識別することを可能にする。この情報によれば、制御ユニット10が、以前に又は最近にエネルギパルスで治療された皮膚のエリアがあることを前方皮膚特性センサ14によって得られる測定信号から識別するならば、制御ユニット10は、以前に又は最近に治療された皮膚のエリアが、直後に後方皮膚特性センサ16によって得られる測定信号において検出可能であることを「期待(expect)」すべきである(正確なタイミングは、ハンドヘルドデバイス2の移動速度に依存する)。加えて、制御ユニット10が、以前に又は最近にエネルギパルスで治療された皮膚のエリアがあることを前方皮膚特性センサ14によって得られる測定信号から識別するならば、制御ユニット10は、(最後のエネルギパルスからの最小パルス繰り返し期間が満了し、(複数の)エネルギ源8がエネルギパルスを生成する準備ができていることを条件として)、以前に又は最近に治療された皮膚のそのエリアについてマーキングされた点が、エネルギパルスをトリガする前に、後方皮膚特性センサ16によって得られる測定信号において検出されるまで、待たなければならない。
【0071】
図8のフローチャートは、例示的な実施形態に従った制御ユニット10の動作をより詳細に図示している。フローチャートの1つ以上のステップは、適宜、制御ユニット10又は皮膚特性センサ14、16によって実行されることができる。制御ユニット10は、例えば、メモリユニット56のような、コンピュータ可読媒体に格納することができるコンピュータプログラムコードを実行することに応答して、1つ以上のステップを実行してよい。
【0072】
ステップ101では、皮膚特性測定信号が(このフローチャートの目的では第1の皮膚特性センサ14とみなされる)前方皮膚特性センサから獲得又は取得される。この信号は、一般的には連続的に又は周期的に(例えば、第1の皮膚特性センサ14のサンプリング期間に従って)獲得又は取得されることができる。この信号を前方センサ測定信号と称する。前方センサ測定信号のプロファイルは、それが獲得されるときに、バッファのようなメモリユニットに格納されることができる。メモリユニットは、所定の長さの前方センサ測定信号のプロファイルを格納してよく(例えば、プロファイルは、メモリユニットが一杯になるか或いはメモリユニットが十分に長い前方センサ測定信号プロファイルを他の方法で格納するまで格納されることができ)、メモリユニットに格納される前方センサ測定信号プロファイルの最も古い(複数の)部分を破棄して、前方センサ測定値のプロファイルの新たに獲得された部分のための空間を確保することができる。
【0073】
ステップ103では、皮膚特性測定信号が(このフローチャートの目的では第2の皮膚特性センサ16とみなされる)後方皮膚特性センサから獲得又は取得される。この信号は、一般的には連続的又は周期的に(例えば、第2の皮膚特性センサ16のサンプリング期間に従って)獲得又は取得されることができる。この信号を後方センサ測定信号と称する。後方センサ測定信号、及び/又は後方センサ測定信号のプロファイルは、それが獲得されるときに、バッファのような、(前方測定信号のプロファイルを格納するメモリユニットと同じであるか或いは異なることができる)メモリユニットに格納することができる。メモリユニットが所定の長さの後方測定信号のプロファイルをひとたび格納すると(例えば、プロファイルは、メモリユニットが一杯になるか或いはさもなければメモリユニットが十分に長い後方センサ測定信号プロファイルを格納するまで格納されることができる)、メモリユニットに格納された後方センサ測定信号プロファイルの(複数の)最も古い部分を廃棄して、後方センサ測定値のプロファイルの新たに獲得された部分のための空間を確保することができる。
【0074】
ステップ101及び103は、概ね同時に起こる。
【0075】
次に、ステップ105において、制御ユニット10は、前方センサ測定信号プロファイルを解析する。具体的には、ステップ105は、メモリユニットに格納された前方センサ測定信号を分析することができる。このステップは、ドリフト及び/又はノイズを除去するために、前方センサ測定信号プロファイルをフィルタリングすることを含むことができる。追加的に又は代替的に、このステップは、(例えば、環境の温度変化に起因する)皮膚特性の全体的な変動を除去するために、前方センサ測定信号プロファイルをフィルタリングすることを含み得る。
【0076】
ステップ105では、前方センサ測定信号を分析して、前方皮膚特性センサ14が皮膚17の以前に治療されたエリアを通過しているかどうかを決定する。具体的には、ステップ105は、皮膚17の以前に治療されたエリアに対応する測定信号にピークがあるかどうかを決定することを含み得る。幾つかの実施形態では、単純な閾値化方法を使用して、閾値(例えば、バックグラウンドに関して導出された閾値)を超える(1つ以上の連続した測定値を含む)プロファイル内のピークを見出すことによって皮膚の以前に又は最近に治療されたエリアを識別することができる。閾値化方法は、未加工の測定信号(例えば、
図7に示す信号80、82)又はドリフト及び/又はノイズを補正するために処理もしくはフィルタリングされた信号(例えば、
図7の信号88、90)に使用することができる。閾値の典型的な値は、平均バックグラウンドレベルを超える皮膚特性測定値の標準偏差の倍数(例えば、3)であり得るが、他の閾値を使用することができる(そして、それらは異なる方法で導出されることができる)。
【0077】
上記の例において、着想は、ピークの「高さ」を表すスコアを有することであるが、第1の皮膚特性センサが以前に治療された皮膚のエリアを通過しているかどうかを決定するために第1の測定信号のプロファイルを分析する多くの代替的な方法がある。例えば、
- (フィルタリングによって平滑化された)信号の微分を表すことを目的として格納された測定信号中のデータポイントの選択から計算されたスコア。
- 測定された皮膚特性における典型的なピークに対応する範囲内の周波数成分を表すことを目的として格納された測定信号の短時間フーリエ変換(STFT)から計算されたスコア(これらは低速グローバル変動(slow global variations)と高周波ノイズ(high-frequency noise)との間の周波数である)。
- 上記と同様であるが、STFTの代替として連続ウェーブレット変換(Continuous Wavelet Transform)を使用すること。
【0078】
ステップ107において、ピークが前方センサ測定信号において検出されるかどうかを決定する。もし検出されないならば、制御ユニット10は、エネルギパルスのトリガリングを可能にすることができる(ステップ109)。エネルギパルスが実際にトリガされるかどうかは、最後のエネルギパルスが終了してからの最短パルス繰り返し期間に依存する。最小パルス繰り返し期間が終了したならば、制御ユニット10は、この時点でエネルギパルスをトリガすることができる。最小パルス繰り返し期間が満了していないならば、プロセスは、ステップ101/105に戻ることができ、メモリユニットに格納された前方センサ測定信号の現在のプロファイルが分析されて、(ステップ105が以前に実行された後にハンドヘルドデバイス2が移動したので)前方皮膚特性センサ14が皮膚17の以前に治療されたエリアを今や通過しているかどうかが決定される。最小パルス繰り返し期間が終了し、皮膚17の以前に治療されたエリアが依然として検出されないならば、エネルギパルスが制御ユニット10によってトリガされることができる。
【0079】
ステップ107において、ピーク(又は皮膚17の以前に治療されたエリアの他のエビデンス)が前方センサ測定信号プロファイル内に検出されるならば、制御ユニット10は、パルスがトリガされることを防止する(ステップ111)。何故ならば、孔6は、皮膚17の以前に治療されたエリア上を通過しようとしている(或いは既に通過している)からである。制御ユニット10は、エネルギパルスの生成をトリガするために(複数の)エネルギ源8に制御信号を送信しないことによって、又はエネルギパルスがこの時点でトリガされてならないことを示す制御信号を(複数の)エネルギ源8に送信することによって、パルスがトリガされることを防止し得る。よって、たとえ最小パルス繰り返し期間が満了したとしても、制御ユニット10は、エネルギパルスがトリガされることを防止する。
【0080】
次に、制御ユニット10は、所定のルールに従って前方センサ測定信号プロファイル内のポイント(点)をマーキング(印)し(ステップ113)、このポイントに関する情報(例えば、信号の大きさ、又は、このポイントまでの、このポイントの後の、及び/又はこのポイントの周辺の、測定信号のプロファイルの一部)を格納する。マーキングされるポイントは、一般的に、以前に治療された皮膚のエリア上の位置に関する。この情報は前方センサ測定信号プロファイル自体とは別個に格納されることがあるので、前方皮膚特性センサ14から獲得される新たな測定値によってメモリユニットから廃棄されない。所定のルールは、マーキングされたポイントが何であるか特定することができる。例えば、マーキングされたポイントは、ピーク測定値(すなわち、最大)に対応するポイント、ピークの開始に対応するポイント(例えば、皮膚特性測定値がピークに向かって増加し始める前の最後の皮膚特性測定値)、ピークの終了に対応するポイント(例えば、ピークの後の未処理レベルでの最初の皮膚特性測定値)、何らかの中間ポイント(例えば、ピークとピークの開始又は終了との間)、又は(例えば、幾つかの密接に離間する以前に治療されたエリアを表す)一連のピークの終了ピークに対応するポイントであることができる。中間ポイントは、例えば、ピークとピークの終了の点との間の中間であることができるが、他の位置が使用されることができる。
【0081】
以下でより詳細に記載するように、所定のルールは、孔6からの後方皮膚特性センサ14、16の特定の間隔と共に、以前に治療された皮膚のエリアとのオーバーラップの程度(又はオーバーラップしない程度)を決定する。所定のルールは、オーバーラップの量を変更し得ないよう、ハンドヘルドデバイス2に対して事前設定され或いは固定されることができる(例えば、それは製造中に決定されることができる)。代替的に、所定のルールは、例えば、所望の治療レベルに基づいて、ハンドヘルドデバイス2のユーザによって設定されることができる(例えば、より多くのオーバーラップは、治療動作の過程に亘って皮膚に適用されるより多くのエネルギをもたらし、逆も同様である)。代替的に、所定のルールは、治療される皮膚の特性に基づいてハンドヘルドデバイス2による治療動作中に設定及び/又は調整されることができる。例えば、ハンドヘルドデバイス2は、(例えば、(複数の)センサ測定信号の分析によって)エネルギパルスに対する皮膚の応答を決定し、その応答に基づいて許容されるオーバーラップの量を調整することができる。例えば、皮膚がエネルギパルスに強く応答するならば、所定のルールは、オーバーラップの程度を減らすよう調整されることができる(逆もまた同様である)。
【0082】
次に、ステップ115において、前方センサ測定信号プロファイル内のマーキングされたポイントに関する格納された情報は、後方センサ測定信号プロファイルと比較される。このステップは、後方センサ測定信号プロファイル内の同じ又は類似のポイント(例えば、同じピーク値、ピーク上の同じ位置、同じ信号/測定プロファイルなど)を識別することを目的とし、それはその位置(よって、所要量の以前に治療された皮膚17のエリア)が孔6を通過したことを示す。ステップ115は、ステップ105における第1のセンサ測定信号プロファイルを分析するのと同じ方法において以前に治療された皮膚のエリアを識別するために後方センサ測定信号プロファイルを分析することを含むことができ、後方センサ測定信号プロファイル内で以前に治療された皮膚のエリアを検出して、ステップ115は、マーキングされたポイントに対応するポイントを識別することができるかどうかを決定することを含むことができる。
【0083】
そのポイントが後方センサ測定信号ポイント内でひとたび識別されると、制御ユニット10は、(ステップ109について上述したように)(複数の)エネルギ源14のための最小パルス繰り返し期間の満了を条件として、エネルギパルスのトリガリングを可能にすることができる(ステップ117)。次に、プロセスは、ステップ101/105に戻り、メモリユニットに格納された現在の前方センサ測定プロファイルについて繰り返すことができる。
【0084】
次に、
図9のグラフを参照して、
図8に示す制御ユニットの動作を記載する。
図9のグラフは、孔6のそれぞれの最も近い縁からそれぞれ5mm離間する前方皮膚特性センサ14及び後方皮膚特性センサ16を用いて得られた皮膚温度測定値を示しており、孔6は、10mmの幅を有する。後方皮膚特性センサ16からの測定値は、前方皮膚特性センサ14からの対応する測定値よりも一貫して約1°高いことに留意のこと。これはこれらの測定値を得るために使用されるセンサ間の較正差にちょうど至る。前方皮膚特性センサ14及び後方皮膚特性センサ16は、
図4に示すように位置付けられる。
図9は、単一のフラッシュで以前に照射された皮膚ファントムから得られた各センサ14、16についての測定信号プロファイルを示す3つのグラフ(
図9(a)、9(b)及び9(c))を含む。各グラフに示す測定プロファイルは、ハンドヘルドデバイス2が皮膚ファントム上で移動させられるときに3つの異なる時点で各皮膚特性センサ14、16についてメモリユニットに格納される測定プロファイルである。この例において、メモリユニットは、各センサ14、16から2秒分の測定プロファイルを格納する。
図9において、前方皮膚特性センサ14からの測定プロファイルは、信号/プロファイル91で示されており、後方皮膚特性センサ16からの測定プロファイルは、信号/プロファイル92で示されている。
【0085】
図9(a)において、前方皮膚特性センサ14は、照射領域に接近しており、以前のフラッシュに起因するピークの開始は、信号/プロファイル91の右側に見える。後方皮膚特性センサ16で測定された温度は、この測定値/プロフィール92のセットにおいて概ね一定である。
【0086】
図9(b)において、前方皮膚特性センサ14は以前に治療された皮膚のエリア上を通過しているので、温度ピークが前方センサ測定プロファイル91に示されているが、後方皮膚特性センサ16で測定された温度は概ね一定である。
図8のステップ105/107によれば、皮膚の治療されたエリアは
図9(b)の測定プロファイルにおいて識別され、パルスは防止される。
図9(b)における前方測定プロファイル91の更なる分析は、前方皮膚特性センサ14がピークを通過したことも示している(何故ならば、前方皮膚特性センサ14による最新の温度測定値は、温度がバックグラウンドレベルに戻ったことを示すからである)。この例において、ピーク自体はマーキングされる(
図8のポイント93、ステップ113で示されている)。ピークに関する情報、例えば、ピーク温度の値、ピークの持続時間、ピーク又はその周辺の温度変化のプロファイルなどが格納される。
【0087】
次に、制御ユニット10は、後方測定信号プロファイル92を分析して、後方皮膚特性センサ16において同じピークを識別する(ステップ115)。
図9(c)では、後方皮膚特性センサ16が(ピーク94によって示される)温度ピークの場所に到達したことが後方センサ測定信号プロファイル92から分かる。従って、このときに、制御ユニット10は、孔6が以前に治療されたエリアを通過したと決定することができ、別のパルスがトリガされることができる。
【0088】
後方皮膚特性センサ16が以前の治療領域の最大温度にあるときに新しいフラッシュをトリガすることは、後方皮膚特性センサ16が以前の治療領域で中心化されるときに次のフラッシュがトリガされることを意味する。後方皮膚特性センサ16が10mm幅の孔6から5mm離間するならば、この動作は、以前に治療されたエリアと現在の皮膚治療領域22との間にオーバーラップ(及び最小ギャップ)がないことを意味する。
【0089】
上述のように、(エネルギパルスが適用される)新しい治療領域のオーバーラップは、孔6に対する後方皮膚特性センサ16の位置、及び以前に治療された皮膚の領域に関するプロファイルに位置をマーキングするために使用される所定のルールによって決定されることができる。オーバーラップに対する後方皮膚特性センサ16の位置の影響が
図10に図示されており、マーキングされたポイントは、ピーク値であり、制御ユニット10は、ピーク値が後方皮膚特性センサ16で検出されるや否や次のパルスをトリガする。
図10は、孔6に対する後方皮膚特性センサ16の3つの異なる位置を図示しており、破線ボックス95は、以前に治療された皮膚のエリアの輪郭である。
図10(a)において、後方皮膚特性センサ16は、孔6に隣接して位置付けられているので、オーバーラップは、約50%である。後方皮膚特性センサ16が、縁から距離B/4で配置されるならば(ここで、Bは、
図4におけるように、移動方向における孔6の幅である)、オーバーラップは、約25%である。後方皮膚特性センサ16が孔6の縁から距離B/2に配置されるならば、オーバーラップは0%である、すなわち、新しい及び以前の治療領域は隣接している。
【0090】
前方皮膚特性センサ14及び後方皮膚特性センサ16からの測定信号/プロファイルの良好な対応のために、センサ14、16は、(例えば、
図4に示すような)移動方向に平行な同じの単一線上に配置されなければならない。典型的には、これは孔6の狭い縁に平行な線である。孔6の縁に対する前方皮膚特性センサ14の位置は、オーバーラップの量に直接影響しないことに留意のこと。しかしながら、同じ治療効果(すなわち、同量のオーバーラップ)を有するいずれかの移動方向(例えば、方向28又は反対方向)においてハンドヘルドデバイス2が使用されることを可能にするために、前方皮膚特性センサ14及び後方皮膚特性センサ16は、孔6から同じ量だけ離間しなければならない。
【0091】
図9に示す例において、皮膚は、単一フラッシュでのみ治療された。
図11のグラフは、孔6のそれぞれの最も近い縁からそれぞれ5mm離間する前方皮膚特性センサ14及び後方皮膚特性センサ16を用いて得られた皮膚温度測定プロフィールを示しており、孔6は、(
図9と同じ)10mmの幅を有し、ここでは、3つの別々のフラッシュが連続的な以前の通過において(人間の志願者の)皮膚に投与されている。この例において、これらの以前のフラッシュの温度特性/プロファイルはオーバーラップしている(すなわち、治療領域間にオーバーラップがあった)ことが留意されるべきである。
図11(a)において、前方皮膚特性センサ14からの信号/プロファイル91は、温度ピークの最大がちょうど通過したばかりである場合があることを示唆している。しかしながら、ハンドヘルドデバイス2が更に少し移動させられた後に、メモリユニットに格納された信号/プロファイル91は、更に隣接したピークがあることを示す(
図11(b))。
図11(c)は、ハンドヘルドデバイス2が一層更に移動させられた後の皮膚温度プロファイルを示している。信号/プロファイル91から、制御ユニット10は、以前の(複数の)治療領域の端が通過し、温度がバックグラウンド信号に戻ったと今や決定することができる。前方皮膚特性センサ14からの信号/プロファイル91における最後のピークに対応する最大がマーキングされる(ポイント93によって示される)。この方法によれば、次に、後方皮膚特性センサ16からの信号/プロフィール92が分析されて、その同じポイントが識別される。
図11(d)では、後方皮膚特性センサ16が(ポイント94によって示される)この最大の場所に到達したことが分かる。アルゴリズムは、後方皮膚特性センサ16からの信号/プロファイル92内の以前にマーキングされたポイント94を認識し、制御ユニット10は、別のフラッシュのトリガリングを可能にする。
【0092】
上述のように、ハンドヘルドデバイス2は、1つ以上のエネルギ源8を含む。幾つかの実施形態において、ハンドヘルドデバイス2は、複数のエネルギ源8(例えば、複数のLED)を含み、複数のエネルギ源8は、各エネルギ源8が現在の皮膚治療領域22内の皮膚の特定の部分又は領域にエネルギパルスを適用するよう、空間的に分散される。更に、複数のエネルギ源8のうちの1つ以上は、他のエネルギ源8から独立してエネルギパルスを生成するよう制御ユニット10によって制御されることができ、それは、エネルギパルスが生成されるべきときに、制御ユニット10が現在の皮膚治療領域22内の皮膚の一部分のみにエネルギパルスを供給し得ることを意味する。(エネルギ源8の個々のアドレス指定可能性(individual addressability)とも称する)エネルギ源8のトリガリングのこの個々の制御は、ギャップが孔6/現在の皮膚治療領域22のサイズより小さい場合の、皮膚の以前に治療されたエリア間のギャップを埋めるのに有用なことがある。
【0093】
この個別制御を実現することができる2つの主要な方法がある。これらの制御技術は別々に又は組み合わせにおいて使用されることができる。第1の方法において、個々の制御装置は、エネルギ源8の縦方向アドレス指定可能性(longitudinal addressability)を可能にすることができる。縦方向アドレス指定可能性において、エネルギ源は、意図された移動方向に対して直列に配置され(すなわち、ハンドヘルドデバイス2が意図された移動方向に移動させられているときに、エネルギ源は、皮膚の特定のポイントを順番に通過し)、それは、エネルギパルスに直接露出される現在の皮膚治療領域22内の皮膚のエリアのサイズが、ハンドヘルドデバイス2の運動方向と同様の方向に同調され得る(換言すれば、現在の皮膚治療領域22の幅は、特定の時間にエネルギ源のうちの1つ以上をトリガすることによって低減(又は増大)され得る)ことを意味する。このようにして、制御ユニット10による皮膚特性測定信号/(複数の)プロファイルの分析が、完全な皮膚治療領域22のサイズより小さい以前に治療された2つのエリア間のギャップを識別するならば、制御ユニット10は、エネルギ源8の一部のみを制御して、ギャップ内の皮膚のみを治療するエネルギパルスを生成することができる。
【0094】
この縦方向アドレス指定可能性を用いる更なるオプションは、制御ユニット10が、エネルギパルスが適用されるべき皮膚のエリアを識別し(そのエリアが完全な皮膚治療領域22のサイズよりも小さい2つの以前に治療されたエリア間のギャップであるかどうかに拘わらない)、制御ユニット10が、(例えば、加速度計又は光学センサのような、ハンドヘルドデバイス2の運動センサからの)ハンドヘルドデバイス2の運動速度に関する情報を有するならば、制御ユニット10は、(例えば、ハンドヘルドデバイス2の「前方」に最も近いエネルギ源8で開始して)エネルギ源8を連続的にトリガして、ハンドヘルドデバイス2がその上を移動する間に、皮膚のそのエリアを光に曝されたままにしてよい。このようにして、縦方向にアドレス指定可能なエネルギ源8は、皮膚のそのエリア上の単一通過の間に、皮膚の特定の(より小さい)エリアに幾つかのエネルギパルスを適用するように制御されることができる。
【0095】
個別制御を使用することができる第2の方法は、エネルギ源8の直交アドレス指定可能性(orthogonal addressability)を可能にすることである。直交アドレス指定可能性の使用は、皮膚特性センサ14、16を孔6/現在の皮膚治療領域22(例えば、
図4の実施形態に従ったB又はB/2)からある程度離れて配置しなければならないという問題を克服するために使用されることができ、それはより大きなヘッドサイズを意味する。
【0096】
図12は、直交アドレス指定可能性を使用することができる、エネルギ源8及び皮膚特性センサ14、16の例示的な構成を示している。具体的には、
図12は、孔6と複数のエネルギ源8とを有する治療端7を示している。エネルギ源8は、エネルギパルスを生成するために制御ユニット10によって個別に制御されることができる第1の(複数の)エネルギ源8-1及び第2の(複数の)エネルギ源8-2を含む(しかしながら、エネルギ源8は、個別に制御することができる2つよりも多くのエネルギ源8又はエネルギ源8の2つよりも多くのグループを含み得ることが理解されるであろう)。エネルギ源8は、(矢印99によって示される)意図された運動方向に対して平行に配置される。すなわち、エネルギ源は、並んでいる。エネルギ源8は、LEDのアレイであってよい。4つの皮膚特性センサ14、16が、孔6の周囲に配置され、それぞれの皮膚特性センサ14、16は、(それぞれ14-1及び16-1で示された)第1の(複数の)エネルギ源8-1の「前方」及び「後方」に設けられ、それぞれの皮膚特性センサ14、16は、意図された運動方向99に対して(それぞれ14-2及び16-2で示された)第2のエネルギ源8-2の「前方」及び「後方」に設けられる。
図12の例において、各皮膚特性センサ14-1、14-2、16-1、16-2は、それぞれのエネルギ源8-1、8-2の長さの中間点又はその周囲に位置付けられる。他の実施では、例えば、エネルギ源8のグループの数に依存して、4つよりも多くの皮膚特性センサを使用し得ることが理解されるであろう。この例示的な構成において、制御ユニット10は、
図8に関して上述したように皮膚特性センサ14、16の各ペア(すなわち、14-1及び16-1又は14-2及び16-2)からの測定信号/プロファイルを処理又は分析して、それぞれのエネルギ源8-1、8-2がトリガされるべきかどうかを決定することができる。すなわち、
図8のフローチャートは、前方皮膚特性センサ14-1及び後方皮膚特性センサ16-1からの測定信号/プロファイルについて実行されて、(複数の)エネルギ源8-1がトリガされ得るかどうかが決定されることができ、フローチャートは、前方皮膚特性センサ14-2及び後方皮膚特性センサ16-2からの測定信号/プロファイルについて実行されて、(複数の)エネルギ源8-2がトリガされ得るかどうかが決定されることができる。上述した他の実施形態と同様に、後方皮膚特性センサ16-1、16-2とそれぞれのエネルギ源8-1、8-2との間の距離は、皮膚治療領域間で望まれるオーバーラップの量に基づいて設定されることができる。
【0097】
幾つかの実施形態において、制御ユニット10は、前方皮膚特性センサ14によって測定された皮膚特性におけるピークの検出及び後方皮膚特性センサ16におけるピークの後続の検出に関する情報、並びに前方皮膚特性センサ14と後方皮膚特性センサ16との間の距離に関する情報を使用して、ハンドヘルドデバイス2の変位を決定することができる。幾つかの実施形態において、制御ユニット10は、前方皮膚特性センサ14によって測定される皮膚特性におけるピークの検出のタイミング及び後方皮膚特性センサ16におけるピークの後続の検出のタイミングに関する情報、ならびに前方皮膚特性センサ14と後方皮膚特性センサ16との間の距離に関する情報を使用して、ハンドヘルドデバイス2の移動速度を決定することができる。
【0098】
幾つかの実施形態において、制御ユニット10は、ハンドヘルドデバイス2の速度及び/又は変位に関する決定された情報に基づいて、ハンドヘルドデバイス2の使用に関するユーザのためのフィードバックを決定することができる。フィードバックは、例えば、全体的な治療動作の効率を改善するために、ユーザがハンドヘルドデバイス2をよりゆっくり又はより迅速に移動させるべきであることであってよい。
【0099】
従って、ユーザが効率的かつ効果的な方法で治療動作を完了することを可能にすることができるエネルギパルスを用いて皮膚上で治療動作を行うための様々なハンドヘルドデバイスが提供される。
【0100】
当業者は、本明細書に記載する原理及び技術を実施する際に、図面、本開示及び添付の請求の範囲の研究から、開示の実施形態に対する変更を理解し、実行することができる。請求項において、「含む」という語は、他の要素又はステップを除外せず、単数は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に列挙される幾つかの項目の機能を満たすことがある。特定の手段が相互に異なる従属項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用し得ないことを示さない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体上に格納又は分散されてよいが、インターネット又は他の有線もしくは無線通信システムのような他の形態において分散されてもよい。請求項中の如何なる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されてならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【文献】米国特許出願公開第2014/0005756A1号明細書