(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】インク組成物、その使用方法及び調製方法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/30 20140101AFI20240116BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20240116BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C09D11/30
B41M5/00 120
B41M5/00 116
B41J2/01 501
(21)【出願番号】P 2021517592
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019058335
(87)【国際公開番号】W WO2020092231
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-09-13
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514191140
【氏名又は名称】ライカ バイオシステムズ リッチモンド インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEICA BIOSYSTEMS RICHMOND, INC.
【住所又は居所原語表記】5205 Route 12, Richmond, Illinois 60071, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】シン、ラジーブ ランジャン
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0114573(US,A1)
【文献】特開2013-018124(JP,A)
【文献】特表平11-512124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00
B41M 5/00
B41J 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースエポキシインク;
顔料;
触媒;
約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第1のワックス処理シリカ粉末、ここで、ワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;及び
第1のワックス処理シリカ粉末とは異なる気孔率を有し、約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第2のワックス処理シリカ粉末、ここで、ワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;
を含むインク組成物。
【請求項2】
ベースエポキシインクの量が、組成物の重量に対して約6.8%~78%であり;
顔料の量が、組成物の重量に対して約1%~約5%であり;
触媒の量が、組成物の重量に対して約15%~25%であり;
第1のワックス処理シリカ粉末の量が、組成物の重量に対して約3%~8%であり;及び/又は
第2のワックス処理シリカ粉末の量が、組成物の重量に対して約1%~5%である;
請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
促進剤;
第1のシラン;
第1のシランとは異なる第2のシラン;及び
シンナー;
の1つ以上を更に含む請求項1又は2に記載のインク組成物。
【請求項4】
促進剤の量が、組成物の重量に対して約0.01%~0.2%であり;
第1のシランの量が、組成物の重量に対して約3%~6%であり;
第2のシランの量が、組成物の重量に対して約0.5%~約4%であり;及び/又は
シンナーの量が、組成物の重量に対して約25%~40%である;
請求項3に記載のインク組成物。
【請求項5】
ベースエポキシインク;
顔料;
触媒;
第1のワックス処理シリカ粉末;
第2のワックス処理シリカ粉末;
促進剤;
第1のシラン;
第2のシラン;及び
シンナー;
を含む請求項3又は4に記載のインク組成物。
【請求項6】
ベースエポキシインクの量が、組成物の重量に対して約6.8%~78%であり;
顔料の量が、組成物の重量に対して約1%~約5%であり;
触媒の量が、組成物の重量に対して約15%~25%であり;
第1のワックス処理シリカ粉末の量が、組成物の重量に対して約3%~8%であり;
第2のワックス処理シリカ粉末の量が、組成物の重量に対して約1%~5%であり;
促進剤の量が、組成物の重量に対して約0.01%~0.2%であり;
第1のシランの量が、組成物の重量に対して約3%~6%であり;
第2のシランの量が、組成物の重量に対して約0.5%~約4%であり;かつ
シンナーの量が、組成物の重量に対して約25%~40%である;
請求項5に記載のインク組成物。
【請求項7】
ベースエポキシインクの量が、組成物の重量に対して約51.5%以下である、
請求項1~6のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項8】
第1のワックス処理シリカ粉末が、約1.4ml/gm~1.6ml/gmの気孔率を有し、任意的に第1のワックス処理シリカ粉末が約1.6ml/gmの気孔率を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項9】
第2のワックス処理シリカ粉末が、約1.15ml/gm~1.35ml/gmの気孔率を有し、任意的に第2のワックス処理シリカ粉末が約1.25ml/gmの気孔率を有する、
請求項1~8のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項10】
第1のワックス処理シリカ粉末が約1.4ml/gm~1.6ml/gmの気孔率を有し、かつ、第2のワックス処理シリカ粉末が約1.15ml/gm~1.35ml/gmの気孔率を有し、任意的に第1のワックス処理シリカ粉末が約1.6ml/gmの気孔率を有しかつ第2のワックス処理シリカ粉末が約1.25ml/gmの気孔率を有する、
請求項1~9のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項11】
顔料が、白色の顔料である、
請求項1~10のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項12】
第1のシランが、サーマルインクの基板上への付着性をもたらす、
請求項3~6のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項13】
第2のシランが、基板上の硬化したインクのマットな仕上がりをもたらす、
請求項3~6又は12のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項14】
インクの基板に対する付着が、キシレンに対して抵抗性である、
請求項11~13のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項15】
基板がガラスである、
請求項12~14のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項16】
基板上にコートされて硬化されたときに、インク組成物自身がインクジェット又はサーマルプリントの何れかによってプリントされ得るプリント下地を成す、
請求項1~15のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項17】
ベースエポキシインク;
顔料;
触媒;
約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第1のワックス処理シリカ粉末、ここでワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;
第1のワックス処理シリカ粉末とは異なる気孔率を有し、約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第2のワックス処理シリカ粉末、ここで、ワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;
を組み合わせることを含む、
インク組成物を調製する方法。
【請求項18】
(a)ベースエポキシインク、顔料及び触媒を一緒にして混合してインク混合物を調製すること;
(b)別途、第1のワックス処理シリカ粉末及び第2のワックス処理シリカ粉末を一緒にして混合して粉末混合物を調製すること;及び
(c)(b)の粉末混合物を(a)のインク混合物に混ぜ合わせること;
のステップを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
それぞれ、促進剤と組み合わせることを含むか;又はステップ(a)がベースエポキシインク、顔料、促進剤及び触媒を一緒にして混合してインク混合物を調製することを含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
シンナー、第1のシラン及び第2のシランを組み合わせてシラン混合物を調製すること、及び、ステップ(c)における粉末混合物のインク混合物への混ぜ合わせの前に、該シラン混合物を(b)の粉末混合物に混ぜ合わせること、
を更に含む請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
(i)シンナー及び第1のシランを一緒にして混合すること;
(ii)第2のシランをシンナー及び第1のシラン混合物に混ぜ合わせてシラン混合物を調製すること;そして
次に、ステップ(c)における粉末混合物のインク混合物への混ぜ合わせの前に(ii)のシラン混合物を(b)の粉末混合物に混ぜ合わせること、
のステップを含む請求項18又は19に記載の方法。
【請求項22】
ベースエポキシインク;
顔料;
促進剤;
触媒;
第1のワックス処理シリカ粉末;
第2のワックス処理シリカ粉末;
シンナー;
第1のシラン;及び
第2のシラン
を一緒にして混合することを含む、
請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
(a)ベースエポキシインク、顔料、促進剤、及び触媒を一緒にして混合してインク混合物を調製すること;
(b)別途、第1のワックス処理シリカ粉末及び第2のワックス処理シリカ粉末を一緒にして混合して粉末混合物を調製すること;及び
(c)(b)の粉末混合物を(a)のインク混合物に混ぜ合わせてプリントに適したインクを調製すること;及び
別途、
(i)シンナー及び第1のシランを一緒にして混合すること;
(ii)第2のシランをシンナー及び第1のシランの混合物に混ぜ合わせてシラン混合物を調製すること、そして
次にステップ(c)における粉末混合物のインク混合物への混ぜ合わせの前に、(ii)のシラン混合物を(b)粉末混合物に混ぜ合わせること、
のステップを含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
請求項17~23のいずれか1項に記載の方法によって調製されたインク組成物。
【請求項25】
基板のコーティングに使用するための、任意的に基板がガラスである、請求項1~16又は24のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項26】
基板上で硬化される際に、インク組成物のコーティングがインクジェット又はサーマルプリントによってプリントされる、基板のコーティングに使用するための、
請求項25に記載のインク組成物。
【請求項27】
サーマルプリントに使用するための、及び/又はインクジェットプリントに使用するための、
請求項1~16又は24~26のいずれか1項に記載のインク組成物。
【請求項28】
請求項1~16又は24~27のいずれか1項に記載のインク組成物の層を、基板の表面の1部分に適用することを含み、任意的に基板がガラスである、
基板をコーティングする方法。
【請求項29】
硬化される際に、基板上のインク組成物のコーティングが、インクジェット又はサーマルプリントによってプリントされるプリント下地として使用され得る、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1~16又は24~27のいずれか1項に記載のインク組成物の層をスライドガラスの表面の1部分にコーティングすること、インク組成物を硬化すること、及びスライドガラスのコーティングされた箇所にプリントを行うことを含む、
スライドガラス上にプリントする方法。
【請求項31】
請求項1~16又は24~27のいずれか1項に記載のインク組成物の層で、表面の1部分がコーティングされた、スライドガラス。
【請求項32】
スライドガラスのコーティングされた部分が、前記インク組成物の上へのインクジェットプリント又はサーマルプリントを含む、請求項31に記載のスライドガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク組成物、その使用方法及び調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の顕微鏡ガラス又は標本スライドガラスは、マーキング表面として、しばしば「つや消し(frosted)」部分を含む。このつや消し部分は、継続的なマーキング表面を作り、ペン、鉛筆、プリンタ、又は他のマーキング器具によるマーキングを受け入れるように、サンドブラスト、酸エッチング、メカニカルな摩耗、又はガラスの表面を荒くする他の方法によって作ることができる。これらの技術は、ガラス表面から材料を除去することによってつや消し表面を作り出すため、マーキング表面がスライドガラスの表面から陥没しているか又はスライドガラスの表面よりも確実に高くないという結果を必然的に生じる。更に、そのようなつや消しガラスは、ガラス上にマットな表面をもたらす一方で、マーキング表面は、そこに書き込まれる情報とは対照的な、明白な背景(pronounced background)を有するという結果を典型的には生じない。
顕微鏡スライドガラスは、直接的にプリントされた又は顕微鏡スライドガラス上の情報が識別可能なようにスクリーンプリントすることができる。いくつかのケースにおいて、スクリーンプリントされたインクが適用(塗布)され、そしてスクリーンプリントされたインクに対してインクジェットプリントされたインクが適用(塗布)される。スクリーンプリントされたインクは熱的に硬化され、そしてインクジェットプリントされたインクは紫外線光を使用して硬化される。インクジェットプリントされたインクは、スライドガラス又はスライドガラス上に含まれるサンプルに関する識別情報を有するパターンを含むことができる。しかしながら、この態様(arrangement)は欠点を有する。インクジェットプリントされたインクはスプレッド(ないし、にじみ:spread)を生じ得るため、不完全な又は読みにくい識別情報をもたらす。インクジェットプリントされたインクは盛り上がりもするため、磨耗、引っ掻き又は除去され易さをもたらす。そのようなスライドガラスは、顕微鏡スライドガラス処理の間に使用される染料を保持しがちでもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2003/0114573号明細書
【発明の概要】
【0004】
これらの欠点に基づいて、顕微鏡スライドガラスのための改善されたインクに対する現状のかつ未充足(unmet)のニーズが存在する。
【0005】
本開示において、ベースエポキシインク;顔料;触媒;第1のワックス処理シリカ粉末;及び第1のワックス処理シリカ粉末とは異なる気孔率を有する第2のワックス処理シリカ粉末;を含むインク組成物が提供される。ある視点において、インク組成物は、促進剤;第1のシラン;第1のシランとは異なる第2のシラン;及びシンナーの1つ以上を更に含む。つまり、ある視点において、インク組成物は、ベースエポキシインク;顔料;触媒;第1のワックス処理シリカ粉末;第2のワックス処理シリカ粉末;促進剤;第1のシラン;第2のシラン;及びシンナーを含む。ある視点において、第1のワックス処理シリカ粉末は約1.4ml/gm~1.6ml/gmの気孔率を有し、及び/又は、第2のワックス処理シリカ粉末は約1.15ml/gm~1.35ml/gmの気孔率を有する。ある視点において、第1のワックス処理シリカ粉末は約1.6ml/gm気孔率を有し、及び/又は、第2のワックス処理シリカ粉末は約1.25ml/gmの気孔率を有する。ある視点において、第1のシランはサーマルインクの基板上への付着性をもたらし、及び/又は、第2のシランは基板上の硬化したインクのマットな仕上がりをもたらす。
【0006】
ある視点において、インク組成物は、基板(substrate)の上へのコーティング及び/又はプリントのために使用される。ある視点において、基板は顕微鏡ガラス又は組織/標本スライドガラスなどのガラスである。更に、ある視点において、スライドガラスの上の層として適用(塗布)及び付着された場合など、インク組成物は、それ自体が、インクジェット又はサーマルプリントのいずれかによってプリントすることができる下地(substrate)である。[インク組成物はスライドガラスとしての基板(substrate)の上に適用(塗布)されるプリント下地(substrate)であるとも言える。]
本願において、前記インク組成物を調製する方法も提供される。本願において、前記インク組成物を用いて基板をコーティングする方法も提供される。本願において、プリントされたコーティングとしてのインク組成物を使用して、インクジェット又はサーマルプリントによってスライドガラス上にプリントする方法も提供される。本願において、スライドガラスの表面の1部分がインク組成物の層でコーティングされたスライドガラスも提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
「a」又は「an」が付与されたエンティティ(物)は、かかるエンティティ(物)の1つ以上を意味する。例えば、「an ink [単にインクと記載する]」は、1つ以上のインクを意味すると理解される。同様に、用語 「a」(又は「an」)、「1以上」及び「少なくとも1つ」は、本願において互換可能なように使用され得る。
【0008】
更に、本願において使用される「and/or(及び/又は)」は、2つの特定された特徴又は構成要素の各々に関して、他方を有するか又は有さない一方についての特別な記載として扱われる。つまり、本願において「A and/or B(A及び/又はB)」などの語句において使用される場合に、用語「and/or(及び/又は)」は、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)、「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B及び/又はC」などの語句において使用される場合に、用語「and/or(及び/又は)」は、以下のものを包含することが意図される:A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)。
【0009】
他に定義されない限り、本願において使用した全ての技術的な及び科学的な用語は、本開示が関連する分野における通常の知識を有する者によって共通して理解されるものと同一の意味を有する。
【0010】
単位、接頭辞及びシンボルは、それらの国際単位系(SI:Systaeme International de Unites)において受け入れられる形式で記載される。
【0011】
数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。「又はその間のいずれかの値又は範囲」又は同様の記載として明白に記載されていなかった場合でも、1~10などの範囲は、他に記載されない限り、範囲内の全てのサブレンジ(小範囲)、例えば、1~6、3~8、2.5~5.5など、及び値、例えば、3、7、9.4、などを明白に含むと理解される。
【0012】
本願における見出しは本開示の種々の視点又は実施形態の限定ではなく、明細書及び請求の範囲全体を参照することによって解釈される。
【0013】
視点又は実施形態が「comprising:含む」なる言い回しで記載される場合であっても、「consisting of:~からなる」及び/又は「consisting essentially of:~を本質的に含む」という意味合いで記載される類似の視点又は実施形態も提供される。
【0014】
あらまし
顕微鏡スライドガラスは、顕微鏡スライドガラスに直接的に又はその上に適用された情報が識別(identifying)できるように、印字(プリント)され得る。この顕微鏡スライドガラス識別情報は、例えば、患者の名前又は識別子、サンプルのタイプ、実行されるテスト(単数又は複数)、実行されたテスト(単数又は複数)、又は当業者に知られている他のデータ、を含む。この情報又はデータは、アルファベット・数字、バーコード(例えば、直線状、マトリックス状、又は他の2次元バーコード状)、ロゴ、シンボル、又は他のテキスト又はグラフィックの形式であり得る。識別情報は、例えば、サンプルのアーカイブ(記録)、サンプルのトラック(追跡)、サンプルに実行したテスト又は処理の判定(判断)、又はサンプルのチェックイン/チェックアウトに使用され得る。ある視点において、識別情報は、着色剤(stains)、キシレン、アルコール、又は組織学的なアプリケーションなどの顕微鏡スライドガラスを処理する際に頻繁に使用される他の化学物質に対して耐性であり得る。
【0015】
インク組成物
本願によれば、基板に適用され得るインク組成物が提供される。基板(substrate)は、ガラス、金属、プラスチック、木材、セラミック、炭素繊維、複合材料(コンポジット)、石、紙/ボール紙及びゴムを含む多数の基板材料のいずれかであり得る。ある視点において、基板は、顕微鏡スライドガラス又は組織/標本スライドガラスなどのガラスである。ある視点において、基板は、例えば、インク組成物の層によって基板の1部分が実質的に又は完全にカバーされるように、インク組成物でコーティングされ得る。コーティングは、本願に記載のように、プリント(印字、印刷)又はスクリーン印刷によるものを含む、当業者に知られたいくつかの方法によって達成され得る。ある視点において、テキスト又はグラフィック(例えば、バーコード又は他の識別シンボル)は、基板上にインク組成物を用いてプリントされ得る。ある視点において、プリントが少なくともインクジェット又はサーマルプリント技術を用いて行われることができるように、インク組成物はプリント方法に関して多目的である。更に、ある視点において、基板に適用(ないし塗布:applied)された場合に、インク組成物は、その上にプリントされる下地[substrate、すなわちプリント下地]としての役割を更に果たすことができる。例えば、ある視点において、基板がインク組成物でコーティングされ、そして次にインク組成物でコーティングされた基板の箇所がその上から更にプリントされる。ある視点において、インク組成物は熱的に硬化可能であり、例えばエポキシベースの熱的に硬化可能なインクを含む。ある視点において、基板に適用されるインク組成物は、その上に更にプリントされる前に、乾燥及び/又は硬化される(例えば、熱的に硬化される)(例えば、米国特許6,766,593号(その記載内容は引用によって本願に組み込まれる))。ある視点において、インク組成物は、インクジェットプリント技術又はサーマルプリント技術を用いて更なるプリントが行われるように、その上に如何にしてプリントされるか、そしてインク(の種類)に関して多目的である。ある視点において、インク組成物は、現在の方法と比較して、より低いプリントヘッドの熱設定でのプリントを可能にする。つまり、プリントヘッドの寿命を、より高い温度を利用する方法と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%改善する。
【0016】
ある視点において、インク組成物は
ベースエポキシインク;
顔料(pigment);
触媒;
約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第1のワックス処理シリカ粉末、ここで、ワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;及び
第1のワックス処理シリカ粉末とは異なる気孔率を有し、約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第2のワックス処理シリカ粉末、ここで、ワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;
を含む。
ある視点において、インク組成物は、
促進剤;
第1のシラン;
第1のシランとは異なる第2のシラン;及び
シンナー;
の1以上を更に含む。
【0017】
ベースエポキシインク
インク組成物の基本組成はベースエポキシインクである。ベースエポキシインクの代表的な例は50-110RXを含む。ベースエポキシインクの量は、種々の他の組成の量に依存して変化するだろう。当業者は、組成物における全ての組成(内容物)の重量%[組成物の重量に対して~%とも記載さえ得る]の合計が組成物の総重量(100%)になることを理解するだろう。ある視点において、ベースエポキシインクの量は、組成物の重量に対して約6.8%程度に低い値であり得る。ある視点において、ベースエポキシインクの量は、組成物の重量に対して約78%程度に高い値であり得る。つまり、ある視点において、ベースエポキシインクの量は、組成物の重量に対して約6.8%~78%である。例えば、ある視点において、ベースエポキシインクの量は、組成物の重量に対して約6.8%、6.9%、7.0%、7.5%、8.0%、9%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、51.5%、60%、70%、又は75%のいずれかから、組成物の重量に対して約6.9%、7.0%、7.5%、8.0%、9%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、51.5%、60%、70%、75%、又は78%のいずれかまでである。ある視点において、ベースエポキシインクの量は、組成物の重量に対して約51.5%以下である。つまり、ある視点において、ベースエポキシインクの量は、組成物の重量に対して約6.8%~51.5%である。
【0018】
顔料
顔料は、所望の色をもたらし、かつ表面の特徴をもたらし得る。顔料は、任意の色であり得る。例えば、ある視点において、顔料は、白色、黒色、黄色、シアン又はマゼンタである。種々の適切なインク顔料の例は、当業者に良く知られている。ある視点において、顔料の量は、組成物の重量に対して約1%程度に低い値であり得る。ある視点において、顔料の量は、組成物の重量に対して約5%程度に高い値であり得る。つまり、ある視点において、顔料の量は、組成物の重量に対して約1%~5%である。例えば、ある視点において、顔料の量は、組成物の重量に対して約1%、2%、3%、又は4%のいずれかから、組成物の重量に対して約2%、3%、4%、又は5%のいずれかまでである。顔料の濃度が高いほど、色合い(shade)は暗い。顔料の濃度が低いほど、色合いは明るいだろう。しかしながら、高すぎる濃度を有すること、例えば、組成物全体の重量に対して5%を上回る値は、マットにインクの表面の滑らかさを変化させ得るものであり、サーマルプリントに不利な影響を与え得る。サーマルプリントに関して、材料(メディア)の表面(プリント下地)は、スムーズ及び均一であるべきである。さもなくば、スライドガラスに印刷される情報が可変のプリントむら(print shading)を有するなど、プリント品質が損なわれるだろう。
【0019】
触媒
触媒は、基板に対する適切な付着(性)をもたらし、かつ、エンドユーザによる組織染色化学物質を使用した処理の間の染料の浸透に対する抵抗性をもたらす。有用な触媒の代表的な例は、一般的にクロレンド酸無水物と称される、1,4,5,6,7,6-ヘキサクロロ-5-ノルボルネン-2、3-ジカルボン酸無水物(1,4,5,6,7,6-Hexachloro-5-norborbornene-2,3-dicarboxylic anhydride)を含む。ある視点において、触媒の量は、組成物の重量に対して約15%程度に低い値であり得る。ある視点において、触媒の量は、組成物の重量に対して約25%程度に高い値であり得る。つまり、ある視点において、触媒の量は、組成物の重量に対して約15%~25%である。例えば、ある視点において 触媒の量は、組成物の重量に対して約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、又は24%のいずれかから、組成物の重量に対して約16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%のいずれかまでである。より低い濃度の触媒は、基板上へのインクの付着に対する不利な影響を有し得る。いくつかのケースにおいて、付着の損傷は、キシレン又はクロム酸のような強力な化学溶媒に対する長時間にわたる暴露にプリント物がさらされるまで観察できない。触媒の濃度が高すぎる場合には、硬化したインクの表面張力が増加するだろうし、サーマルプリントがキシレンに対する暴露の際にその付着性を損ない得る。このことは、スライドガラスなどの基板上へのインクジェットプリントの付着性も損ない得る。
【0020】
促進剤
促進剤は、所望の硬化スケジュール温度、及び表面の特徴に寄与する。有用な促進剤の代表的な例は、第3級アミンのクラス、例えば2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノールを含む。ある視点において、促進剤の量は、組成物の重量に対して約0.01%程度に低い値であり得る。ある視点において、促進剤の量は、組成物の重量に対して約0.2%程度に高い値であり得る。つまり、ある視点において、促進剤の量は、組成物の重量に対して約0.01%~0.2%である。例えば、ある視点において、促進剤の量は、組成物の重量に対して約0.01%、0.05%、0.1%、又は0.15%のいずれかから、組成物の重量に対して約0.05%、0.1%、0.15%、又は0.2%のいずれかまでである。促進剤の濃度が低い組成を有するものほど、基板上でインクを硬化させるために、相対的により高い温度及びより長い時間スケジュールを必要とするだろう。一方で、濃度が組成物の総重量に対して0.2%を上回る場合には、標準のスケジュール及び温度で、硬化したインクの色の濃淡(shade)を変化させることができる。例えば、白色の硬化したインクは、硬化オーブン内で焦げた(「硬化させ過ぎた:over cured」)場合に、淡黄色に変化し得る。このことは、高い濃度の促進剤が必要とされる硬化時間及び温度を大幅に減少させるという事実に起因し得る。より高い濃度の促進剤は、硬化したインクの表面張力も減少させ得るものであり、エンドユーザによるインクジェットプリントを損なわしめ得る。例えば、バーコードドット及びテキスト文字を用いたプリントは、スプレッド(ないし、にじみ:spread)又は「流れ:run」を生じ得るし、ほとんど/必ず(almost/will)互いに接触し合い得る。このことは、次いで(in turn)、インクジェットでプリントされたスライドガラスの読み取り性及びスキャン性(scanability)に対して影響を与え得る。
【0021】
ワックス処理シリカ粉末(Wax Treated Silica Powders)
異なる気孔率を有する少なくとも2つの別個のワックス処理シリカ粉末を使用することは、基板上への同一のインク製剤のサーマルプリント及びインクジェットプリントの多目的機能をもたらし得る。そのようなワックス処理シリカ粉末は、当業者にとって商業的に利用可能であることが知られている。ある視点において、ワックス処理シリカ粉末は、気孔率は異なるが、約4~6ミクロンの平均粒子サイズ;ワックスの約65~85℃の融解点;及び約7のpHを含む他の特性を一般的に共有する。
【0022】
より高い気孔率を有する第1のワックス処理シリカ粉末(例えば、第1の商業的に利用可能なワックス処理シリカ粉末)は、硬化したインク上へのサーマルプリントの付着性をもたらす。核となる機能は、有効なサーマルプリント処理を確実にする(保証する)、適切な表面の特徴をもたらすことである。ある視点において、第1のワックス処理シリカ粉末は、約1.4ml/gm~1.6ml/gmの気孔率を有する。ある視点において、第1のワックス処理シリカ粉末は、約1.6ml/gmの気孔率を有する。第1のワックス処理シリカ粉末の代表的な例は、SY-356(アモルファス二酸化ケイ素、炭化水素タイプワックスで表面処置された)を含む。ある視点において、この第1のシリカ粉末の量は、組成物の重量に対して約3%程度に低い値であり得る。ある視点において、この第1のシリカ粉末の量は、組成物の重量に対して約8%程度に高い値であり得る。つまり、ある視点において、この第1のシリカ粉末の量は、組成物の重量に対して約3%~8%である。例えば、ある視点において、第1のシリカ粉末の量は、組成物の重量に対して約3%、4%、5%、6%、又は7%のいずれかから、組成物の重量に対して約4%、5%、6%、7%、又は8%のいずれかまでである。この第1のシリカ粉末の濃度が低いと、スライドガラス上のサーマルプリントの結合効果(結合力)を減少させ得るものであり、プリントがキシレンなどの強力な化学溶媒の中で剥がれ得る。高い濃度の粉末は、表面に対してより高い気孔率を作り出すので、染色処理の間のダイピック(dye pick)という結果をもたらし得る。
【0023】
より低い気孔率を有する第2のワックス処理シリカ粉末(例えば、第2の商業的に利用可能なワックス処理シリカ粉末)は、硬化した表面上でのインクジェットインクの所望の吸収をもたらし、下地の上へのクリア及び鮮明なインクジェットプリントをもたらす。第1のワックス処理シリカ粉末のより高い気孔率に起因して、下地上のインクジェットプリントのスプレッド(ないし、にじみ:spread)が生じるだろうし、読み取り性及びスキャン性が損なわれ得る。より低い気孔率を有する第2のワックス処理シリカ粉末を組み込むことによって、下地に対するインクジェットインクの流れ(flow)が制御され、クリアなインクジェット品質がもたらされる。ある視点において、第2のワックス処理シリカ粉末は、約1.15ml/gm~1.35ml/gmの気孔率を有する。ある視点において、第2のワックス処理シリカ粉末は、約1.25ml/gmの気孔率を有する。第2のワックス処理シリカ粉末の代表的な例は、SY-436(アモルファス二酸化ケイ素、炭化水素タイプワックスで表面処置された)を含む。ある視点において、この第2のシリカ粉末の量は、組成物の重量に対して約1%程度に低い値であり得る。ある視点において、この第2のシリカ粉末の量は、組成物の重量に対して約5%程度に高い値であり得る。つまり、ある視点において、この第2のシリカ粉末の量は、組成物の重量に対して約1%~5%である。例えば、ある視点において、第2のシリカ粉末の量は、組成物の重量に対して約1%、2%、3%、又は4%のいずれかから、組成物の重量に対して約2%、3%、4%、又は5%のいずれかまでである。低い濃度は、インクジェットプリントの読み取り性及びスキャン性に対して影響を与え得る。高い濃度は、キシレンなどのアグレッシブな化学物質への暴露の間に剥がれ得る過剰の材料(excess material)を作ることができる。更に、高い濃度の粉末は、より高い濃度が表面に対してより高い気孔率を作り出すことに起因して、染色処理の間のダイピックという結果をもたらし得る。
【0024】
ある視点において、第1及び第2のワックス処理シリカ粉末の間の気孔率の差は、およそ又は少なくとも約0.05ml/gm、0.1ml/gm、0.15ml/gm、0.2ml/gm、0.25ml/gm、0.3ml/gm、0.35ml/gm、0.4ml/gm、又は0.45ml/gmである。ある視点において、第1及び第2のワックス処理シリカ粉末の間の気孔率の差は、約0.5ml/gm、0.45ml/gm、0.4ml/gm、0.35ml/gm0.3ml/gm、又は0.25ml/gm以下である。ある視点において、第1及び第2のワックス処理シリカ粉末の間の気孔率の差は、約0.05ml/gm、0.1ml/gm、0.15ml/gm、0.2ml/gm、0.25ml/gm、0.3ml/gm、0.35ml/gm、0.4ml/gm、又は0.45ml/gmのいずれかから、約0.1ml/gm、0.15ml/gm、0.2ml/gm、0.25ml/gm、0.3ml/gm、0.35ml/gm、又は0.4ml/gm、0.45ml/gm、又は0.5ml/gmのいずれかまでである。
【0025】
シラン
シランは、「カップリング剤」として知られている化合物のクラスである。シランの例は、商業的に利用可能であり、異なるシランの選択は有機及び無機の材料の二重結合を形成することに有用であり得る。ある視点において、少なくとも2種のシランが使用される。インク組成物におけるシランは、硬化したインクの付着性及び表面の特徴を改善することに使用される。ある視点において、1種以上のシランが下地(substrate)の上へのインクの付着を改善する。同時に、サーマルインクの結合有効性が達成されるという表面の特徴を1種のシランがもたらし、かつ、インクジェットインクがシリカ粉末によって吸収されるという表面に対する明るい(light)マットな仕上がりを、他種のシランがもたらす。
【0026】
ある視点において、第1のシランは、硬化した下地(substrate)の表面の上へのサーマルプリントされた情報の付着性をもたらし得る。第1のシランの代表的な例は、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミンを含む。ある視点において、第1のシランの量は、組成物の重量に対して約3%程度に低い値であり得る。ある視点において、第1のシランの量は、組成物の重量に対して約6%程度に高い値であり得る。つまり、ある視点において、第1のシランの量は、組成物の重量に対して約3%~6%である。例えば、ある視点において、第1のシランの量は、組成物の重量に対して約3%、4%又は5%のいずれかから、組成物の重量に対して約4%、5%、又は6%のいずれかまでである。低い濃度のこの第1のシランは、基板へのサーマルプリントの結合有効性(結合力)を減少させ得る。この第1のシランは、シリカ粉末と混合した際のサーマルインクの付着性をもたらすために使用される。シランは、硬化する際にシリカ粉末と一緒になって結合を助け、次に、キシレンのようなアグレッシブな化学溶媒に対して暴露された場合であっても、基板(ないし下地)上へのサーマルインクの付着性をもたらす。高い濃度は、いくつかの視点におけるように、例えば、IPSプリンタのUVランプを用いてフラッシュされる(flashed)前にインクジェットインクがシリカ粉末の気孔(pores)を介して移動できないように、下地上へのインクジェットプリントの付着性に対してネガティブに影響し得る硬化したインクの表面張力を増加させ得る。このことは、プリントがにじみ(smear)得るような下地の表面に対するインクジェットインクの硬化を結果的にもたらし得る。
【0027】
ある視点において、第2のシランは、インクジェット技術を使用する際のプリントされた情報の際立ち(boldness)をもたらす。第2のシランの代表的な例は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランを含む。ある視点において、第2のシランの量は、組成物の重量に対して約0.5%程度の低い値であり得る。ある視点において、第2のシランの量は、組成物の重量に対して約4%程度の高い値であり得る。つまり、ある視点において、第2のシランの量は、組成物の重量に対して約0.5%~4%である。例えば、ある視点において、第2のシランの量は、組成物の重量に対して約0.5%、1%、2%、又は3%のいずれかから組成物の重量に対して約1%、2%、3%、又は4%のいずれかまでである。低い濃度のこの第2のシランは、基板上のインクジェットプリントのコントラスト(際立ち)を減少させ得る。このことは、バーコードスキャナー及び他のそのような装置を作動させるためには最低限のコントラスト要件があるため、読み取り性及びスキャン性の減少を結果的にもたらし得る。高い濃度はコントラストを増加させ得るが、高すぎる場合にはインクジェットの適用においてプリントされた情報のスプレッド(ないし、にじみ:spreading)が生ずる傾向が生じ得る。このことは、文字又はバーコードドットが互いに接触するので、読み取り性及びスキャン性に対しても影響し得る。高い濃度は、いくつかの視点におけるように、例えば、IPSプリンタのUVランプを用いてフラッシュされる前にインクジェットインクがシリカ粉末の気孔を介して移動できないように、下地上へのインクジェットプリントに関する付着性の問題を生じ得る硬化したインクの表面張力を増加させ得る。このことは、プリントのぼけ(smear)が生じ得る下地の表面に対するインクジェットインクの硬化を結果的にもたらし得る。
【0028】
シンナー
シンナーは、プロセスによって規定された様式で適用し得る粘性流動体の必要な特徴をもたらすことに必要とされる。このシンナーの選択は、組成においてオプションであることが証明された。それは、所望の粘度をもたらし、そしてある視点においてベースインクと混合する前に粉末成分の拡散・分散を助ける。これは、バッチ全体に渡るインクの一貫性及びスクリーンプリント処理の品質を維持する。シンナー代表的な例は、ENTHONE(登録商標)AD-2003、2-(2-ehtoxyethoxy) ethyl acetateの特製ブレンドを含む。ある視点において、シンナーの量は、組成物の重量に対して約25%程度に低い値であり得る。ある視点において、シンナーの量は、組成物の重量に対して約40%程度に高い値であり得る。つまり、ある視点において、シンナーの量は、組成物の重量に対して約25%~40%である。例えば、ある視点において、シンナーの量は、組成物の重量に対して約25%、30%、又は35%のいずれかから、組成物の重量に対して約30%、35%、又は40%のいずれかまでである。低い濃度のシンナーは、いくつかの粉末の拡散・分散が不可能であろうという製造上の困難性を創出し得る。同時に、最終製品としてのインクの粘度が高いであろうし、スクリーンプリントは実行が容易でないだろう。このことは、インクのより低いポットなど(lower pot like of the ink)を結果的にもたらし得るし、インクの流れはスクリーン上でスムーズではないだろうから、スクリーンプリントの間のスクリーンの破損を結果的にもたらし得る。高いシンナー濃度は、粉末の拡散・分散に関する問題を緩和するだろうが、プリント上のピンホール、ドットなどのような製造上の欠陥の発生がより高くなり得るより低い粘度を結果的にもたらし得る。このことは、硬化したインクの表面はスムーズではないだろうから、サーマルプリントを使用する際のより高いスクラップやプリント欠陥を結果的にもたらし得る。
表1.代表的なインク組成物
【0029】
インク混合
ある視点において、シランは、シンナーに対して混ぜ合わせられる(例えば、下記の実施例を参照)。シランのシンナーとの混合は、まず、シランがシンナーの中に完全に溶解されたことを確認する。さもなくば、硬化した表面上のシランの不均一な影響を有し、エンドユーザがプリント品質におけるばらつきを見出し得る。
【0030】
ある視点において、シランの混合物は、ベースインクに対して混ぜ合わせる前に、シリカ粉末の混合物に加えられ、分散される(例えば、下記の実施例を参照)。ベースエポキシインクへの添加の前に粉末に対してシランの混合物を添加して拡散・分散することは、粉末がシラン溶液を使用して湿った状態になっていることを確認する。さもなくば、インク製剤の中で完全に混合した状態になり得ないし、製造におけるスクリーンプリントの問題に結果的になり得る。同時に、このことは、最終製品としてのインクが均一でないことに対して影響を与え得るし、エンドユーザはプリント品質のばらつき及びその後のパフォーマンス問題を有するだろう。
【0031】
ラベリング
本願によれば、基板が本開示のインク組成物でコーティングされ、かつ基板のコーティングされた箇所がその上に更にプリントされる、プリントの方法が提供される(WO2016/123602A1(引用によって本願に組み込まれる))。例えば、標本のトラッキング(追跡)などのために、組織カセット又はスライドガラスなどの基板上にキャラクター、ロゴ及びバーコードがプリントされ、それをラベルし得る。つまり、ある視点において、インク組成物は、スライドガラスなどの基板に対するコーティングの適切な付着をもたらし、そして、プリントされたインクが所望のように広がるように、インクジェット又はサーマルプリントによってその上にプリントされ得るコーティングされた表面をもたらす(すなわち、プリントは読みやすいアルファベットや数字をもたらす)。ある視点において、インク組成物でコーティングされた表面上へのプリントは、少なくとも300dpi解像度(例えば、テキスト及び直接的なバーコードプリント)をもたらす。ある視点において、多くの年数の保存にわたって、及び/又はプリントが異なる(様々の)化学薬品に曝され得る組織染色などの処理を経て、ラベリングが容易に識別可能(identifiable)な状態で残るように、プリントは、時間の経過に伴う汚れ又は色褪せ(smudging or fading)に対して抵抗性である。インク組成物でコーティングされた領域上への直接的なプリントは、置き換え間違いの回数、読み間違えた手書き、及び剥がれ又は誤って並べられたラベルなどのヒューマンエラーや標本の識別誤りの機会を大幅に減少させることができる。機械読み出し可能なバーコードをプリントすることの能力は、自動化された追跡能力に関するポテンシャルに加えられる。例えば、ある視点において、基板(例えば、スライドガラス又はカセット)は、プリント装置内の複数のマガジンの中(つまり、多種多様な異なる基板を収容する)に保持され得る(例えば、米国特許6,715,870号(引用によって本願に組み込まれる))。更に、基板は、プリントの後に取り外された(unloaded)場合に、それらの正しい配列(順序)及び組織(organization)が維持されつつ、グループ化され得る。
【0032】
コーティング
ある視点において、本開示は、本願に開示されたインク組成物をコーティングする際に使用する方法を提供する。例えば、インク組成物は、スライドガラス(例えば、顕微鏡ガラス又は組織/標本スライドガラス)などの基板上に層を形成することに使用される。ある視点において、基板上に層を形成する方法は、a)基板の少なくとも1つの表面の少なくとも1部分の上にインク組成物の層を定着させること(deposition)を含む。ある視点において、該方法は、b)インクコーティング組成物の熱的に硬化した層が基板の少なくとも1つの表面上に形成されるように、基板を熱コーティングすることを更に含む。ある視点において、該方法は、コーティング組成物の熱的に硬化した層の上に、情報を定着させること(例えば、UVで又は熱的に硬化可能なインクを使用してプリントすること)を更に含む。更に、ある視点において、基板はコーティング組成物の層の定着の後に界面活性剤と接触させられる。
【0033】
上記のように、インクコーティング組成物の層は、基板の少なくとも1つの表面の少なくとも1部分の上に適用(塗布)/定着され得る。適切な方法は、本発明の技術分野において知られている。例えば、インクコーティング組成物の層は、スクリーンプリント方法、スプレーコーティング方法、浸漬コーティング方法、ブラッシング又は類似の方法によって定着され得る。ある視点において、スクリーンプリント組成物の定着された層としての厚さは、例えば、約0.0001インチ~0.001インチ(約0.0001インチまでの全ての値及びそれらの間の全ての範囲を含む)であり得る。ある視点において、スクリーンプリント組成物の定着された層としての厚さは、約0.0005インチ±0.0002インチである。ある視点において、層は、例えば、スクリーンプリントなどの方法によって定着される。[なお、1インチ=25.4mm]
【0034】
ある視点において、基板上に定着されたインクコーティング組成物の層は、乾燥され及び/又は熱によって硬化され得る。例えば、硬化は、オーブンの中で120℃~215℃の温度(全ての整数の℃の値及びそれらの範囲を含む)で、5分間~120分間(全ての整数の分の値及びそれらの間範囲を含む)にわたって実行され得る。ある視点において、コーティング組成物の熱的に硬化した層の寸法は、コーティング組成物の定着された層としての寸法と実質的に類似である。
【0035】
本願に記載のように、ある視点において、情報(パターン)が、コーティング組成物の熱的に硬化した層の上に定着され得る。この情報は、アルファベット及び数字、バーコード(例えば、直線状マトリックス、又は他の2次元バーコード)、グラフィック(例えば、ロゴ又はシンボル)、又は他のテキストの形状であり得る。ある視点において、いくつかの又は全ての情報は、患者及び/又はサンプル情報を含み得る。いくつかの又は全ての情報は、特定のスライドガラス及び/又はサンプルを特異的に識別し得る。識別情報は、例えば、サンプルのアーカイブ(記録)、サンプルのトラック(追跡)、サンプルに実行したテスト又は処理の判定(判断)、又はサンプルのチェックイン/チェックアウトに使用され得る。例えば、情報は、インクジェット又はサーマルプリント(例えば、水ベース又は溶媒ベースのインクを使用して)によってインクコーティング組成物の熱的に硬化した層の上に定着され得る。他の例において、情報は、組織学研究室において使用される溶媒抵抗性のペン(例えば、Histopen)を使用して、コーティング組成物の熱的に硬化した層の上に定着され得る。
【0036】
ある視点において、多種多様なスライドガラスが使用され得る。スライドガラスは、組織学研究室において使用されるスライドガラス(例えば、顕微鏡スライドガラス)であり得る。スライドガラスの例は、Leica社から入手可能なスノーコート(登録商標)スライドガラス、Leica社から入手可能なXtra(登録商標)スライドガラス、及びFisherbrandから入手可能なSuperfrost(商標)を含む。スライドガラスは、多種多様なサイズ、例えば、長さ75mm±0.5mm、幅25mm±0.5mm、及び厚さ0.04インチ+0.0037-0.005インチを有することができる。ある視点において、ガラスの厚さ及びスクリーンプリント組成物の熱的に硬化した層の厚さを組み合わせた合計は、1.2mm以下である。スライドガラスは、細胞の(例えば、細胞学の)又は分子のサンプルに適するものであり得る。スライドガラスは、組織学的サンプル(例えば、生命体全体又はその一部分、組織サンプル(血液及び器官組織を含む)、ヒト又はヒト以外の動物由来のサンプル、及び細胞(単数又は複数)(単離された細胞(単数又は複数)及び培養された細胞(単数又は複数)を含む))に適するものであり得る。ある視点において、スライドガラスは、ISO8037-1及び/又は-2に適合する顕微鏡スライドガラスである。ある視点において、スライドガラスは、緑色ガラス又は白色ガラスから製造された顕微鏡スライドガラスである。スライドガラスは、それ自体が疎水性、親水性又は湿潤性(wettable)であり得る。スライドガラスは、所望の湿潤性及び/又は電荷特性をもたらすようにコーティングを有し得る。適切なスライドガラスは、本発明の技術分野において知られ及び商業的に利用可能である。
【0037】
本出願は、1以上のインク組成物を含む物品も提供する。例えば、該物品は、インク組成物でコーティングされた組織学カセット又はスライドガラスである。ある視点において、該物品は、物品の少なくとも1つの表面の少なくとも1部分の上に定着させたインクコーティング組成物の熱的に硬化した層を含む。ある視点において、該物品は、インクコーティング組成物の熱硬化層の層上の外側表面上に定着された情報を有する。ある視点において、該物品は細胞のサンプル(例えば、細胞学的サンプル)又は分子のサンプルを更に含む。ある視点において、該物品は、組織学的サンプルを更に含む。例えば、スライドガラスは、付着、表面の特徴(例えば、インクの広がり)及び/又はコーティング組成物の熱的に硬化した層の最小限の染料保持などの望ましい特徴を示し得る。また、スライドガラスは、コーティング組成物の熱硬化層の層上の外側の表面の上に定着された情報の望ましい永続性(permanence)(例えば、プリント画像/視覚的外観、ふき取り抵抗性、及び/又はバーコード読み取り性)を示し得る。
【実施例】
【0038】
多目的インク製造プロセスの例
1.ベースエポキシインクを含む容器に対して顔料を加える。
【0039】
2.ベースエポキシインク及び顔料を含む容器に対して促進剤を加える。2~3分間混ぜ合わせる(例えば、ハンドドリルツール又は粒子分散機を使用して)。
【0040】
3.同一の容器に対して触媒を加える。2~3分間混ぜ合わせる(例えば、ハンドドリルツール又は粒子分散機を使用して)。混合したインクを横に取り置く。
【0041】
4.同一の容器に対して第1及び第2のワックス処理シリカ粉末を加える。
【0042】
5.他の別個の容器に対してシンナーを加える。
【0043】
6.シンナーを容れた容器に対して第1のシランを加え、混ぜ合わせる。
【0044】
7.シンナー及び第1のシランを容れた容器に対して他方のシランを加え、混ぜ合わせる。
【0045】
8.ワックス処理シリカ粉末を入れた容器に対してシラン(複数)及びシンナーの混合物を加える。2分間混ぜ合わせる(例えば、フル速度でボルテックスに供する)。この分散させるプロセスを、最低2分間のギャップを挟みつつ更に2回繰り返す。
【0046】
9.ステップ8の混合物を、ステップ3において横に取り置いたインクに対して加える。2~3分間混ぜ合わせる(例えば、ドリルツールを用いる)。
【0047】
10.インクを10分間粒子分散機を用いて混ぜ合わせる。
【0048】
現在インクは、プリント準備状態である。ある視点において、インクは、24時間以内に使用されるか、又は調製物(preparation)とする。
【0049】
硬化スケジュール及び温度の例
A.パラメータ:
1.オーブン内のガラス滞留時間(Glass travel time):6分間
【0050】
2.オーブン内のガラスの平均温度:160-177℃
【0051】
3.平均温度でのオーブン内の時間:最低2分間(範囲は、2~3分間であり得よう)
【0052】
4.>148℃でのオーブン内の時間:最低3.5分間(範囲は、3.5~4.5分間であり得よう)
【0053】
B.効果:
1.プロファイルがより低いエンドである場合に、キシレンなどのアグレッシブな化学溶媒に対して暴露した際のガラス基板上へのインク付着性の問題をもたらし得るインク硬化上の問題が生じ得る。このことは、H&E(ヘマトキシリン及びエオシン)及び/又は特別な染色処理の間におけるダイピックという結果にもなり得る。
【0054】
2.プロファイルが上側のエンドである場合に、ガラス基板上の硬化したインクの色が変化する潜在的可能性がある。このことは硬化したインクが焦げたように見えるかもしれない。このことは、また、表面のインクジェットプリントのスプレッド(ないし、にじみ:spreading)も結果的にもたらし得るし、次いでプリントの読み取り性及びバーコードのスキャン性に関連する問題になる。
【0055】
本出願の広さ(breadth)及び視野(scope)は、上記の視点又は実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0056】
なお、本願は以下の好ましい形態のようにも記載され得る。
(形態1)
ベースエポキシインク;
顔料;
触媒;
約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第1のワックス処理シリカ粉末、ここで、ワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;及び
第1のワックス処理シリカ粉末とは異なる気孔率を有し、約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第2のワックス処理シリカ粉末、ここで、ワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;
を含むインク組成物。
(形態2)
ベースエポキシインクの量が、組成物の重量に対して約6.8%~78%であり;
顔料の量が、組成物の重量に対して約1%~約5%であり;
触媒の量が、組成物の重量に対して約15%~25%であり;
第1のワックス処理シリカ粉末の量が、組成物の重量に対して約3%~8%であり;及び/又は
第2のワックス処理シリカ粉末の量が、組成物の重量に対して約1%~5%である;
形態1に記載のインク組成物。
(形態3)
促進剤;
第1のシラン;
第1のシランとは異なる第2のシラン;及び
シンナー;
の1つ以上を更に含む形態1又は2に記載のインク組成物。
(形態4)
促進剤の量が、組成物の重量に対して約0.01%~0.2%であり;
第1のシランの量が、組成物の重量に対して約3%~6%であり;
第2のシランの量が、組成物の重量に対して約0.5%~約4%であり;及び/又は
シンナーの量が、組成物の重量に対して約25%~40%である;
形態3に記載のインク組成物。
(形態5)
ベースエポキシインク;
顔料;
触媒;
第1のワックス処理シリカ粉末;
第2のワックス処理シリカ粉末;
促進剤;
第1のシラン;
第2のシラン;及び
シンナー;
を含む形態3又は4に記載のインク組成物。
(形態6)
ベースエポキシインクの量が、組成物の重量に対して約6.8%~78%であり;
顔料の量が、組成物の重量に対して約1%~約5%であり;
触媒の量が、組成物の重量に対して約15%~25%であり;
第1のワックス処理シリカ粉末の量が、組成物の重量に対して約3%~8%であり;
第2のワックス処理シリカ粉末の量が、組成物の重量に対して約1%~5%であり;
促進剤の量が、組成物の重量に対して約0.01%~0.2%であり;
第1のシランの量が、組成物の重量に対して約3%~6%であり;
第2のシランの量が、組成物の重量に対して約0.5%~約4%であり;かつ
シンナーの量が、組成物の重量に対して約25%~40%である;
形態5に記載のインク組成物
(形態7)
ベースエポキシインクの量が、組成物の重量に対して約51.5%以下である、
形態1~6のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態8)
第1のワックス処理シリカ粉末が、約1.4ml/gm~1.6ml/gmの気孔率を有し、任意的に第1のワックス処理シリカ粉末が約1.6ml/gmの気孔率を有する、
形態1~7のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態9)
第2のワックス処理シリカ粉末が、約1.15ml/gm~1.35ml/gmの気孔率を有し、任意的に第2のワックス処理シリカ粉末が約1.25ml/gmの気孔率を有する、
形態1~8のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態10)
第1のワックス処理シリカ粉末が約1.4ml/gm~1.6ml/gmの気孔率を有し、かつ、第2のワックス処理シリカ粉末が約1.15ml/gm~1.35ml/gmの気孔率を有し、任意的に第1のワックス処理シリカ粉末が約1.6ml/gmの気孔率を有しかつ第2のワックス処理シリカ粉末が約1.25ml/gmの気孔率を有する、
形態1~9のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態11)
顔料が、白色の顔料である、
形態1~10のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態12)
第1のシランが、サーマルインクの基板上への付着性をもたらす、
形態1~11のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態13)
第2のシランが、基板上の硬化したインクのマットな仕上がりをもたらす、
形態11又は12に記載のインク組成物。
(形態14)
インクの基板に対する付着が、キシレンに対して抵抗性である、
形態11~13のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態15)
基板がガラスである、
形態12~14のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態16)
基板上にコートされて硬化されたときに、インク組成物自身がインクジェット又はサーマルプリントの何れかによってプリントされ得るプリント下地を成す、
形態1~15のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態17)
ベースエポキシインク;
顔料;
触媒;
約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第1のワックス処理シリカ粉末、ここでワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;
第1のワックス処理シリカ粉末とは異なる気孔率を有し、約4~6ミクロンの平均粒子サイズを有する第2のワックス処理シリカ粉末、ここで、ワックスの融解点が約65~85℃であり、pHが約7である;
を組み合わせることを含む、
インク組成物を調製する方法。
(形態18)
(a)ベースエポキシインク、顔料及び触媒を一緒にして混合してインク混合物を調製すること;
(b)別途、第1のワックス処理シリカ粉末及び第2のワックス処理シリカ粉末を一緒にして混合して粉末混合物を調製すること;及び
(c)(b)の粉末混合物を(a)のインク混合物に混ぜ合わせること;
のステップを含む形態17に記載の方法。
(形態19)
それぞれ、促進剤と組み合わせることを含むか;又はステップ(a)がベースエポキシインク、顔料、促進剤及び触媒を一緒にして混合してインク混合物を調製することを含む、形態17又は18に記載の方法。
(形態20)
シンナー、第1のシラン及び第2のシランを組み合わせてシラン混合物を調製すること、及び、ステップ(c)における粉末混合物のインク混合物への混ぜ合わせの前に、該シラン混合物を(b)の粉末混合物に混ぜ合わせること、
を更に含む形態18又は19に記載の方法。
(形態21)
(i)シンナー及び第1のシランを一緒にして混合すること;
(ii)第2のシランをシンナー及び第1のシラン混合物に混ぜ合わせてシラン混合物を調製すること;そして
次に、ステップ(c)における粉末混合物のインク混合物への混ぜ合わせの前に(ii)のシラン混合物を(b)の粉末混合物に混ぜ合わせること、
のステップを含む形態18又は19に記載の方法。
(形態22)
ベースエポキシインク;
顔料;
促進剤;
触媒;
第1のワックス処理シリカ粉末;
第2のワックス処理シリカ粉末;
シンナー;
第1のシラン;及び
第2のシラン
を一緒にして混合することを含む、
形態15~21のいずれか1つに記載の方法。
(形態23)
(a)ベースエポキシインク、顔料、促進剤、及び触媒を一緒にして混合してインク混合物を調製すること;
(b)別途、第1のワックス処理シリカ粉末及び第2のワックス処理シリカ粉末を一緒にして混合して粉末混合物を調製すること;及び
(c)(b)の粉末混合物を(a)のインク混合物に混ぜ合わせてプリントに適したインクを調製すること;及び
別途、
(i)シンナー及び第1のシランを一緒にして混合すること;
(ii)第2のシランをシンナー及び第1のシランの混合物に混ぜ合わせてシラン混合物を調製すること、そして
次にステップ(c)における粉末混合物のインク混合物への混ぜ合わせの前に、(ii)のシラン混合物を(b)粉末混合物に混ぜ合わせること、
のステップを含む形態20に記載の方法。
(形態24)
形態17~23のいずれか1つに記載の方法によって調製されたインク組成物。
(形態25)
基板のコーティングに使用するための、任意的に基板がガラスである、形態1~16又は24のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態26)
基板上で硬化される際に、インク組成物のコーティングがインクジェット又はサーマルプリントによってプリントされる、基板のコーティングに使用するための、
形態25に記載のインク組成物。
(形態27)
サーマルプリントに使用するための、及び/又はインクジェットプリントに使用するための、
形態1~16又は24~26のいずれか1つに記載のインク組成物。
(形態28)
形態1~16又は24~27のいずれか1つに記載のインク組成物の層を、基板の表面の1部分に適用することを含み、任意的に基板がガラスである、
基板をコーティングする方法。
(形態29)
硬化される際に、基板上のインク組成物のコーティングが、インクジェット又はサーマルプリントによってプリントされるプリント下地として使用され得る、
形態28に記載の方法。
(形態30)
形態1~16又は24~27のいずれか1つに記載のインク組成物の層をスライドガラスの表面の1部分にコーティングすること、インク組成物を硬化すること、及びスライドガラスのコーティングされた箇所にプリントを行うことを含む、
スライドガラス上にプリントする方法。
(形態31)
形態1~16又は24~27のいずれか1つに記載のインク組成物の層で、表面の1部分がコーティングされた、スライドガラス。
(形態32)
スライドガラスのコーティングされた部分が、前記インク組成物の上へのインクジェットプリント又はサーマルプリントを含む、形態31に記載のスライドガラス。