(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】作動機構を有する医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61J 3/07 20060101AFI20240116BHJP
A61M 31/00 20060101ALI20240116BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61J3/07 E
A61M31/00
A61M37/00
(21)【出願番号】P 2021544184
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2020052521
(87)【国際公開番号】W WO2020157324
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-27
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イェンスン, ブリーアン
(72)【発明者】
【氏名】フレデリクセン, モーデン レヴェスガード
(72)【発明者】
【氏名】モウリトスン, ブリーアン
(72)【発明者】
【氏名】イエプセン, ヤコブ ビョン フヮ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0174758(US,A1)
【文献】特表2016-529066(JP,A)
【文献】特表2016-511124(JP,A)
【文献】国際公開第2006/126653(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/07
A61M 37/00
A61M 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の内腔内への挿入に好適な医療デバイスであって、前記内腔が、内腔壁を有し、前記医療デバイス(100、200、300)が、
-前記内腔内に挿入されるようにサイズ決めされたカプセルであって、前記カプセルが、ベース部材(110、210、310)を備える、カプセルと、
-作動機構であって、
-軸に沿った前記ベース部材に対する移動のために構成された作動部材(150、250、350)、および
-前記軸に沿って前記ベース部材に対して移動するように前記作動部材に動力供給するための、前記作動部材と関連付けられたエネルギー源(140、240、340)を備える、作動機構と、を備え、
前記ベース部材(110、210、310)および前記作動部材(150、250、350)が、前記作動部材を発射前構成に維持するよう構造化された、ラッチ(152、252、352)および保持部分(113、152、213、252、352、357)の少なくとも1つの対を備える、ラッチアセンブリを画定し、ラッチおよび保持部分の各対に対して、前記医療デバイスが、
-溶解可能な発射部材(160、260、360)であって、生体液に供されたときに、少なくとも部分的に溶解可能である、溶解可能な発射部材と、
-前記ベース部材および前記作動部材(150、250、350)のうちの1つによって構成された保持部分(113、213、313、357)と、
-前記軸に対する横方向移動のために構成された移動可能なラッチ(152、252、352)であって、閉塞部分(153、253、353a)を有する第1の表面、および前記溶解可能な発射部材(160、260、360)と相互作用するために構成された第2の表面(152a、252a、352a)を画定する、移動可能なラッチと、を画定し、
前記発射前構成では、前記移動可能なラッチ(152、252、352)の前記閉塞部分(153、253、353a)が、ラッチ係合において前記保持部分(113、213、357)に係合し、前記移動可能なラッチ(152、252、352)の前記第2の表面(152a、252a、352a)が、前記溶解可能な発射部材(160、260、360)と相互作用して、前記移動可能なラッチ(152、252、352)の横方向移動を制限し、それによって、前記ラッチ係合の解放を防止し、
前記溶解可能な発射部材(160、260、360)が少なくとも部分的に溶解されている発射構成では、前記移動可能なラッチ(152、252、352)が、横方向に移動することを可能にし、それによって、前記移動可能なラッチの前記閉塞部分と前記保持部分との間の前記ラッチ係合を解放して、前記エネルギー源(140、240、340)が前記作動部材(150、250、350)を発射することを可能にする、医療デバイス。
【請求項2】
前記ラッチアセンブリは、前記移動可能なラッチ(152、252、352)が、前記発射前構成では、前記溶解可能な発射部材(160、260、360)上に、横方向に向けられた力などの圧縮力を排他的にまたは主に及ぼすように構造化されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第2の表面が、前記溶解可能な発射部材(160、260)と相互作用するために構成された支持表面を画定し、前記第2の表面が、前記第1の表面に対向して配設されている、請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記保持部分(113)が、前記ベース部材(110)および前記作動部材(150)のうちの一方によって構成され、前記移動可能なラッチ(152)が、前記ベース部材および前記作動部材のうちの他方によって構成された偏向可能なラッチであり、前記偏向可能なラッチが、前記軸に対する横方向移動のために構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記移動可能なラッチ(352)が、前記作動部材(350)と前記ベース部材(310)との間に配置された個々の構成要素として形成され、前記移動可能なラッチが、閉塞部分(353a)を有する前記第1の表面と、前記溶解可能な発射部材(360)と相互作用するために構成された前記第2の表面(352a)と、閉塞部分(353b)を有する第3の表面と、を含み、前記閉塞部分(353a)を有する前記第1の表面が、前記ベース部材(310)および前記作動部材(350)のうちの一方の保持部分(313、357)に係合するように構成されており、前記閉塞部分(353b)を有する前記第3の表面が、前記ベース部材(310)および前記作動部材(350)のうちの他方の保持部分(313、357)に係合するように構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記発射前構成では、前記エネルギー源(140、240、340)が、前記作動部材(150、250、350)上に荷重を及ぼし、ラッチおよび保持部分の前記少なくとも1つの対が、前記エネルギー源(140、240、340)によって及ぼされる前記荷重に対抗して、前記ベース部材(110、210、310)に対して前記作動部材を保持する、請求項1~5のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記ラッチアセンブリが、前記移動可能なラッチと前記保持部分との間の接合部分を伴って構成され、前記接合部分が、前記エネルギー源(140、240、340)によって提供された軸方向荷重を、少なくとも部分的に、横方向に前記移動可能なラッチを付勢する横方向の力に伝達するように作用する傾斜表面部分を備える、請求項1~6のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項8】
ラッチおよび保持部分の2つ、3つ、4つ、5つ以上の対などの、ラッチおよび保持部分の複数の対が提供され、ラッチおよび保持部分の前記対が、前記軸の周囲に等しく配設されている、請求項1~7のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記溶解可能な発射部材(160)が、ラッチおよび保持部分の全ての対に共通である、請求項1~8のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記溶解可能な発射部材(160)が、前記軸に沿って配置され、ラッチおよび保持部分の前記少なくとも1つの対が、前記溶解可能な発射部材(160)の半径方向外側に配設されている、請求項1~9のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記カプセルは、胃液などの生体液が前記溶解可能な発射部材を溶解するために前記カプセルに入ることを可能にする、1つ以上の開口部を備える、請求項1~10のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記医療デバイスが、固体薬物、封入された固体、液体、ゲル、もしくは粉末、またはそれらの任意の組み合わせの送達のための薬物送達デバイスとして構成されている、請求項1~11のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記エネルギー源(140、240、340)が、圧縮ばねなどのばねであり、前記ばねが、前記作動部材(150、250、350)に動力供給するために、緊張されるか、または緊張されるように構成されている、請求項1~12のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記医療デバイスは、患者による嚥下、および患者の消化管の内腔内への移動のために好適な摂取可能なデバイスを画定する、請求項1~13のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記医療デバイスが、自己復元カプセルとして構成され、前記自己復元カプセルが前記内腔壁の組織によって少なくとも部分的に支持されるときに、前記自己復元カプセルは、前記医療デバイスが前記発射構成に入る前に、事前定義された配向において配向することを可能にする、請求項1~14のいずれかに記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の内腔に挿入され、生体液などの流体によって活性化されることを可能にするように適合された、薬物送達のためのシステムを含む、医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主にインスリンの送達による糖尿病治療が参照されるが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
【0003】
多くの人々が、糖尿病などの疾患に罹り、日常的に、および多くの場合、毎日のように薬物の注射を受けることを必要としている。それらの人々の疾患を治療するために、これらの人々は、複雑であると考えられ得、不快感を感じ得る、異なるタスクを実施することを必要とされる。さらに、その人々は、外出時に注射デバイス、針、薬物を持参することが必要となる。したがって、治療が錠剤またはカプセルの経口摂取に基づき得る場合、そのような疾患の治療の有意な改善とみなされることになる。
【0004】
しかしながら、タンパク質ベースの薬物は、摂取時に吸収されるのではなく、分解および消化されることになるため、そのような溶液は、実現が非常に困難である。
【0005】
経口摂取を通してインスリンを血流中に送達するための作用溶液を提供するために、薬物は、まず消化管の内腔に送達され、さらに消化管の壁(内腔壁)内に送達されなければならない。これは、以下の数個の課題を提示する:(1)薬物は、胃内の酸による分解または消化から保護されなければならない。(2)薬物は、胃内、または下部消化管、すなわち、胃の後に放出されなければならず、これは、薬物放出の絶好の機会を制限する。(3)薬物は、胃および下部消化管内の流体の分解環境に曝露される時間を制限するために、内腔壁に送達されなければならない。壁で放出されない場合、薬物は、放出点から壁への移動中に分解され得るか、または分解流体から保護されない限り、吸収されずに下部消化管を通過し得る。
【0006】
活性薬剤の経口投与および上記の課題のうちの1つ以上への対処に関する先行技術文献としては、特許文献1および特許文献12が挙げられる。
【0007】
作動機構は、作動機構を発射するために、溶解可能な保持部材が十分に溶解されるように、生体液への所定の時間に対する曝露に依存する、摂取可能なカプセルが提案されている。そのような解決策は、概して、精密な幾何学的形状、成形されたプラスチック部品と同等の公差、高強度および短い溶解時間を有する溶解可能な保持部材に依存してきた。
【0008】
この種の作動機構について、良好に機能する機構を得るための典型的な制約および要件は、以下を含む:
-駆動ばねの負荷に対して作動部材を長期間維持する能力、
-発射されるときの所望の加速度を維持するために、作動部材が、溶解可能な保持部材の溶解中に、定位置を保つべきであること、および
-作動機構を閉塞し得る未溶解片を回避するために、溶解可能な保持部材が完全に溶解される必要があること。
【0009】
上記に関して、患者の内腔への挿入のための医療デバイスを提供することが本発明の目的であり、医療デバイスは、高度に効果的および信頼性で、生体液の影響によって、制御された、かつ予測可能な様式で作動機構の発射を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際特許公開公報第2018/213600(A1)号
【文献】国際特許公開公報第2017/156347(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または例示的な実施形態の説明と同様に下記の開示から明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。
【0012】
したがって、本発明の第1の態様では、患者の内腔への挿入に好適な医療デバイスが提供され、内腔は内腔壁を有する。医療デバイスは、内腔内に挿入されるようにサイズ決めされたカプセルを備え、カプセルは、ベース部材を備え、作動機構は、軸に沿ったベース部材に対する移動のために構成された作動部材と、軸に沿ってベース部材に対して移動するように作動部材に動力供給するための、作動部材と関連付けられたエネルギー源と、を備える。ベース部材および作動部材は、作動部材を発射前構成に維持するよう構造化された、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対を備える、ラッチアセンブリを画定する。ラッチおよび保持部分の各対に対して、医療デバイスは、a)溶解可能な発射部材であって、溶解可能な発射部材が、生体液に供されたときに少なくとも部分的に溶解可能である、溶解可能な発射部材と、b)ベース部材および作動部材のうちの1つによって構成された保持部分と、c)軸に対する横方向移動のために構成された移動可能なラッチであって、移動可能なラッチが、閉塞部分を有する第1の表面、および溶解可能な発射部材と相互作用するために構成された第2の表面を画定する、移動可能なラッチと、を画定する。発射前構成では、移動可能なラッチの閉塞部分は、ラッチ係合において保持部分に係合し、移動可能なラッチの第2の表面は、溶解可能な発射部材と相互作用して、移動可能なラッチの横方向移動を制限し、それによって、ラッチ係合の解放を防止する。溶解可能な発射部材が少なくとも部分的に溶解されている発射構成では、移動可能なラッチが横方向に移動することを可能にし、それによって、移動可能なラッチの閉塞部分と保持部分との間のラッチ係合を解放して、エネルギー源が作動部材を発射することを可能にする。
【0013】
この配置によって、剪断力に主に供される、エネルギー源の全動力または荷重を担持する溶解可能な部材を有する代わりに、溶解可能な部品は、溶解可能な部品が圧縮力に主に供される様式で、単に機械的作動システムを閉塞するように設計される。機械的作動システムは、プラスチックまたは金属などの好適な高強度材料から作製された部品に依存するように設計され得、機械的作動システムを潜在的に妨害し得る未溶解片を残さない。この解決策は、その発射前構成でのデバイスの安定した長期保管に特に好適である。
【0014】
いくつかの実施形態では、発射前構成にあるとき、溶解可能な発射部材は、溶解可能な発射部材に向かって横方向に付勢される移動可能なラッチ(複数可)によって溶解可能な発射部材上に及ぼされる圧縮力によって主に作用される。
【0015】
いくつかの実施形態では、ベース部材は、カプセルハウジングによるなど、カプセルによって画定される。他の実施形態では、ベース部材は、カプセルに対する移動のために構成される部材である。
【0016】
いくつかの形態では、移動可能なラッチ、または移動可能なラッチの少なくとも一部は、移動可能なラッチの閉塞部分と保持部部分との間のラッチ係合を解放するときに横方向に移動するように、軸に対して直交する移動のために構成される。他の形態では、移動可能なラッチ、または移動可能なラッチの少なくとも一部は、法線から+/-60度以内など、+/-45度以内など、+/-30度以内など、または+/-15度以内など、軸の法線に対して傾斜した方向に移動される。いくつかの形態では、移動可能なラッチは、移動可能なラッチの閉塞部分と保持部分との間のラッチ係合を解放するときに、移動可能なラッチが横方向に移動する際に、旋回移動、または組み合わせられた直線および旋回移動によって、直線状に移動する。
【0017】
いくつかの実施形態では、ラッチアセンブリは、移動可能なラッチが、発射前構成では、溶解可能な発射部材上に、横方向に向けられた力などの圧縮力を排他的にまたは主に及ぼすように構造化される。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の表面が、溶解可能な発射部材と相互作用するために構成された支持表面を画定するように形成され得、第2の表面が、第1の表面と対向して配設される。
【0019】
いくつかのさらなる実施形態では、保持部分が、ベース部材および作動部材のうちの1つによって構成される。移動可能なラッチが、ベース部材および作動部材の他方によって構成された偏向可能なラッチとして形成され得、偏向可能なラッチが、軸に対する横方向移動のために構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、溶解可能な発射部材と相互作用する第2の表面は、表面法線が軸に対して概ね横方向に配向された状態で配向される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2の表面が、半径方向内向きの表面であるのに対し、第1の表面は、半径方向外向きの表面である。他の実施形態では、第2の表面が、半径方向外向きの表面であるのに対し、第1の表面は、半径方向内向きの表面である。
【0022】
いくつかの構成では、溶解可能な発射部材が、2つの対向する表面のうちの一方の移動可能なラッチ、および2つの対向する表面のうちの他方の荷重支持表面によって、2つの対向する表面上に隣接している。構成に依存して、荷重支持表面は、ベース部材の表面によって、および/または作動部材の表面によって提供され得る。
【0023】
他の実施形態では、移動可能なラッチが、作動部材とベース部材との間に配置される個々の構成要素として形成され、移動可能なラッチが、閉塞部分を有する第1の表面、溶解可能な発射部材と相互作用するために構成された第2の表面、および閉塞部分を有する第3の表面を含む。閉塞部分を有する第1の表面が、ベース部材および作動部材のうちの一方の保持部分に係合するように構成され、閉塞部分を有する第3の表面が、ベース部材および作動部材のうちの他方の保持部分に係合するように構成される。
【0024】
さらに他の実施形態では、移動可能なラッチの閉塞部分が、作動部材の硬質部として形成され、作動機構は、作動部材の傾斜移動が、軸に対して可能であるように構成されるが、発射前構成における溶解可能な発射部材は、傾斜移動を防止する。溶解可能な発射部材が少なくとも部分的に溶解されている発射構成では、移動可能なラッチが、横方向に移動することを可能にし、そのため、作動部材が、傾斜移動を実施し、それによって、移動可能なラッチの閉塞部分とベース部材の保持部分との間のラッチ係合を解放して、エネルギー源が、作動部材を発射することを可能にする。
【0025】
移動可能なラッチが個々の構成要素として提供される、すなわち、ベース部材または作動部材と一体的に形成されない、実施形態では、医療デバイスは、デバイスが発射構成をとった後でさえ、移動可能なラッチが、ベース部材または作動部材に対して保持されるように、構成され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、発射前構成では、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対が、作動部材を維持するように、すなわち、解除可能に保持するように、構造化される。
【0027】
医療デバイスのいくつかの形態では、発射前構成を想定するとき、エネルギー源は、作動部材上に荷重を及ぼし、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対は、エネルギー源によって及ぼされる荷重に対抗して、ベース部材に対して作動部材を保持する。
【0028】
他の形態では、医療デバイスが使用されるとき、エネルギー源は、作動部材に対して最初から荷重を及ぼさないが、ユーザが開始した工程などによって、荷重を提供するために動作され得る。
【0029】
いくつかのさらなる実施形態では、ラッチアセンブリは、移動可能なラッチと保持部分との間の接合部分を伴って構成され、接合部分は、エネルギー源によって提供される軸方向荷重を、少なくとも部分的に、横方向に移動可能なラッチを付勢する横方向の力に伝達するように作用する傾斜表面部分を含む。
【0030】
ベース部材が保持部分を含む実施形態では、ベース部材の移動可能なラッチおよび/または保持部分が、面取りされた表面などの傾斜表面を含むように形成され得る。作動部材が保持部分を含む実施形態では、作動部材の移動可能なラッチおよび/または保持部分が、傾斜した/面取りされた表面を含むように形成され得る。
【0031】
いくつかの形態では、医療デバイスは、作動機構のエネルギー源に加えて、さらなるエネルギー源、すなわち、作動機構のエネルギー源よりも強力な力を提供し得る、二次エネルギー源を備える。そのような形態では、作動部材は、解放トリガアセンブリの入力部材を形成するよう構造化され得る。発射構成に供されると、作動部材は、トリガを引き起こすように、すなわち、二次エネルギー源からのエネルギーまたは動力の解放を引き起こすように移動する。二次エネルギー源は、緊張したばねまたは加圧されたガスキャニスタなどの予め付勢されたエネルギー源、および作動部材の移動によってトリガされたときに拡大または膨張する圧力または力発生源のうちの1つ以上を含み得る。力発生源の非限定的な例としては、原動機、およびガスの発生のための一対の反応物を含み得るガス発生器が挙げられる。二次エネルギー源の非限定的な使用例としては、ペイロードまたはセンサデバイスなどの構成要素をカプセルから、カプセルから遠隔の送達部位などのカプセルの外部の部位に押し出すか、または別様に送達するための供給源を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対の移動可能なラッチが、軸に対する半径方向移動のために構成される。
【0033】
例示的な医療デバイスは、ラッチおよび保持部分の単一の対のみが提供されているデバイスを含む。他の例では、ラッチおよび保持部分の2つ、3つ、4つ、5つ以上の対などの、ラッチおよび保持部分の複数の対が提供され、ラッチおよび保持部分の対が、軸の周囲に等しく配設される。
【0034】
いくつかの実施形態では、溶解可能な発射部材は、ラッチおよび保持部分の全ての対に共通である。他の実施形態では、ラッチおよび保持部分の各対に対して、専用の溶解可能な発射部材が提供されるなど、複数の個々の溶解可能な発射部材が提供される。
【0035】
いくつかの例示的な実施形態では、溶解可能な発射部材が、軸に沿って配置され、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対が、溶解可能な発射部材の半径方向外側に配設される。
【0036】
他の実施形態では、1つ以上の溶解可能な発射部材が、軸の周囲のリング状構成に配設され、1つ以上の溶解可能な発射部材が、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対を取り囲んでいる。
【0037】
医療デバイスのいくつかの例では、カプセルは、胃液などの生体液が溶解可能な発射部材を溶解するためにカプセルに入ることを可能にする、1つ以上の開口部を備える。
【0038】
いくつかの形態では、作動部材は、医療デバイスの個々の構成要素に圧力を適用するように軸に沿って移動するために発射されるように構成されたラムを形成し、個々の構成要素が、発射されるラムに応答して、カプセル内の第1の位置から第2の位置まで移動され、第2の位置が、カプセル内またはカプセルの部分的もしくは完全に外側のいずれかである。
【0039】
他の形態では、作動部材は、カプセル内の第1の位置から第2の位置まで軸に沿って移動するために発射されるように構成されたラムを形成し、第2の位置が、カプセル内またはカプセルの部分的もしくは完全に外側のいずれかである。
【0040】
ラムは、ペイロード、送達部材、およびセンサのうちの1つ以上を、カプセルに対する第1の位置からカプセルに対する第2の位置まで担持または押すように構成され得る。特定の形態では、ラム自体は、カプセルに対する第1の位置からカプセルに対する第2の位置まで、ペイロード、送達部材、およびセンサのうちの1つ以上を形成する。
【0041】
いくつかの実施形態では、医療デバイスが、固体薬物、封入された固体、液体、ゲル、もしくは粉末、またはそれらの任意の組み合わせの送達のための薬物送達デバイスとして構成される。
【0042】
医療デバイスが薬物送達デバイスとして構成される、いくつかの実施形態では、デバイスは、カプセル内に使い捨てのまたは配設される治療ペイロードを備え、治療ペイロードは、カプセルから内腔または内腔壁内に排出されるために構成される。作動部材は、治療ペイロードをカプセルから排出するために治療ペイロードに対して圧力を適用するように軸に沿って移動するために発射されるように構成されたラムの形態で提供され得る。
【0043】
薬物送達デバイスは、いくつかの形態では、治療ペイロードと関連付けられている送達部材を備えることができ、送達部材は、治療ペイロードの少なくとも一部分を送達するために内腔壁の粘膜内壁内への挿入のために構成されている。
【0044】
原薬が液体または粉末などの流動性形態にあるとき、薬物は、ジェット作用によって出口を通ってカプセルから排出され得、すなわち、薬物を貫通速度で排出して、原薬が、腸または胃の粘膜内壁などの内腔壁を貫通することを可能にする。ジェット作用によって、組織を貫通するために送達部材は不要である。そのような場合、いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、任意の送達部材を備えていない。
【0045】
送達部材は、いくつかの実施形態では、治療ペイロードを含む調製物から部分的または完全に形成される固体送達部材として提供され得、調製物は、内腔壁の組織内に挿入されるときに溶解する溶解可能な材料から作製される。
【0046】
いくつかの形態では、ラムが、接合部分を備え、送達部材が、ラムの接合部分に対して取り付く。
【0047】
そのような実施形態では、ラムが、ラムを第1の位置から第2の位置まで移動させるために発射され得、送達部材は、ラムが第2の位置をとるときに、ラムの接合部分に対する取り外しのために構成される。
【0048】
第1の態様による医療デバイスのいくつかの構成では、エネルギー源が、圧縮ばねなどのばねとして提供され、ばねが、作動部材に動力供給するために、緊張されるか、または緊張されるように構成される。しかしながら、ガスばねまたは膨潤部材などの他のエネルギー源が、代替的な実施形態に使用され得る。
【0049】
いくつかの形態では、医療デバイスは、患者による嚥下、および患者の消化管の内腔内への移動のために好適な摂取可能なデバイスを画定する。
【0050】
また、医療デバイスが、自己復元カプセルとして構成され得、自己復元カプセルが内腔壁の組織によって少なくとも部分的に支持されるときに、自己復元カプセルは、医療デバイスが発射構成に入る前に、事前定義された配向において配向することを可能にする。
【0051】
第1の態様によるさらなる実施形態では、医療デバイスは、丸みを帯びた物体として形成され、外面を画定する外形を有するカプセルハウジングを備えるカプセルデバイスを画定する。カプセルデバイスは、針またはダーツ状形態を有し、治療ペイロードを含む調製物から部分的または完全に形成される、固体送達部材をさらに備え、調製物は、内腔壁の組織内に挿入されるときに溶解する溶解可能な材料から作製される。作動部材は、接合部分を備えるラムとして形成され、送達部材は、ラムの接合部分に対して保持されるか、または取り付けられる。カプセルデバイスは、幾何学的中心および軸に沿った幾何学的中心からオフセットされる質量中心を有する、自己復元カプセルとして構成され、質量中心は幾何学的中心から横方向にオフセットされるように配向されながらカプセルデバイスが内腔壁の組織によって支持されるとき、カプセルデバイスは、固体送達部材が標的場所で内腔壁と相互作用することを可能にするために、重力の方向に沿って配向された軸を有するカプセルデバイスを配向するように、重力作用に起因する、外部から適用されるトルクを受ける。発射構成に入ると、ラムは、軸に沿って移動し、それによって、固体送達部材を組織内に挿入する。挿入に続いて、固体送達部材は、1つ以上のAPIおよび/または他の治療薬を少なくとも部分的に溶解して組織内に放出し得る。
【0052】
自己配向デバイスの非限定的な例としては、デバイスが患者の胃内腔に位置するときに発射するように構成されたデバイスが挙げられ得る。他の例は、デバイスを含み得、デバイスは、小腸または大腸に位置するときに発射するように構成される。
【0053】
本発明の第2の態様では、患者の内腔内への挿入に好適な薬物送達デバイスが提供され、内腔が内腔壁を有する。薬物送達デバイスは、内腔内に挿入されるようにサイズ決めされたカプセルと、カプセル内の使い捨ての治療ペイロードと、カプセルから内腔または内腔壁内に排出されるように構成された治療ペイロードと、カプセルから治療ペイロードを排出するために治療ペイロードに対して圧力を適用するように軸に沿って移動するために発射されるように構成されたラムと、治療ペイロードを排出するためにラムに動力供給するためにラムと関連付けられたエネルギー源と、を備える。カプセルおよびラムは、発射前構成にラムを維持するためにラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対を備える。ラッチおよび保持部分の各対について、薬物送達デバイスは、溶解可能な発射部材を画定し、溶解可能な発射部材は、生体液などの流体内で少なくとも部分的に溶解され、保持部分が、カプセルおよびラムのうちの一方によって構成され、偏向可能なラッチが、カプセルおよびラムのうちの他方によって構成される。偏向可能なラッチは、軸に対する横方向移動のために構成され、偏向可能なラッチは、閉塞部分を有する第1の表面と、第1の表面に対向して配設され、溶解可能な発射部材と相互作用するように構成された、支持表面と、を画定する。発射前構成では、偏向可能なラッチの閉塞部分が、ラッチ係合において保持部分に係合し、偏向可能なラッチの支持表面が、溶解可能な発射部材と相互作用して、偏向可能なラッチの移動を制限し、それによって、ラッチ係合の解放を防止する。溶解可能な発射部材が少なくとも部分的に溶解されている発射構成では、偏向可能なラッチが移動することを可能にし、それによって、偏向可能なラッチの閉塞部分と保持部分との間のラッチ係合を解放して、エネルギー源がラムを発射することを可能にする。
【0054】
この配置によって、エネルギー源の全動力または荷重を担持する溶解可能な部材を有する代わりに、溶解可能な部品は、単に機械的作動システムを閉塞するように設計される。機械的作動システムは、プラスチックなどの好適な高強度材料から作製された部品に依存するように設計され得、機械的作動システムを潜在的に妨害し得る未溶解片を残さない。
【0055】
以下の特性のいずれも、第1および第2の態様によるデバイス実施形態のいずれかによって含まれ得、したがって、さらなる有益な実施形態を提供する。
【0056】
例示的な実施形態では、偏向可能なラッチは、軸に対する半径方向移動のために構成される。いくつかの例では、発射軸およびラム移動は、直線状である。他の例示的な実施形態では、発射軸は、直線状ではなく、例えば、ラムの発射軌道は、弓状もしくは湾曲していてもよく、または弓状もしくは湾曲した軌道を含んでもよい。本明細書では、ラッチは、ラムを解放するためのラムの軌道に対する横方向移動のために構成され得る。
【0057】
例示的な実施形態では、ラッチおよび保持部分の2つ、3つ、4つ、5つ以上の対などの、ラッチおよび保持部分の複数の対が提供され、ラッチおよび保持部分の対は、軸の周囲に等しく配設される。
【0058】
いくつかの実施形態では、溶解可能な発射部材は、ラッチおよび保持部分の全ての対に共通である。
【0059】
さらなる実施形態では、溶解可能な発射部材が、軸に沿って配置され、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対が、溶解可能な発射部材の半径方向外側に配設される。
【0060】
他の変形例では、1つ以上の溶解可能な発射部材が、軸の周囲のリング状構成などに配設され、1つ以上の溶解可能な発射部材が、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つ対を取り囲んでいる。
【0061】
カプセルは、胃液が溶解可能な発射部材(複数可)を溶解するためにカプセルに入ることを可能にする、1つ以上の開口部を備え得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、治療ペイロードと関連付けられている送達部材を備え、送達部材は、治療ペイロードの少なくとも一部分を送達するために内腔壁内への挿入のために構成されている。送達部材は、針としての外形を有してもよく、または注射針として提供されてもよい。
【0063】
送達部材は、内腔壁の組織を貫通するように形状決めされ得、組織貫通端および組織貫通端の反対側の端を有する。
【0064】
例示的な実施形態では、ラムは、接合部分を備え、送達部材は、ラムの接合部分に対して取り付く。
【0065】
いくつかの実施形態では、ラムが、ラムを第1の位置から第2の位置まで移動させるために発射され、送達部材は、ラムが第2の位置をとるときに、ラムの接合部分に対する取り外しのために構成される。
【0066】
いくつかのさらなる実施形態では、送達部材は、治療ペイロードを含む調製物から部分的または完全に形成される固体送達部材であり、調製物は、内腔壁の組織内に挿入されるときに溶解する溶解可能な材料から作製される。
【0067】
送達部材を有する他の実施形態では、送達部材は、注射針を備え、治療ペイロードは、注射針を通して排出可能である液体または粉末を形成する。
【0068】
いくつかの実施形態では、エネルギー源は、駆動ばねとして構成された少なくとも1つのばねであるか、またはそれを備える。例示的なばねは、圧縮ばね、ねじりばね、板ばね、または定力ばねを含む。ばねは、ラムに動力供給するために、緊張されるか、または緊張されるように構成され得る。他の非限定的な例示的なタイプのエネルギー源としては、圧縮ガスアクチュエータまたはガス発生器が挙げられる。いくつかの実施形態では、発射前構成では、エネルギー源は、ラム上に荷重を及ぼし、それによって、軸に沿ってラムを付勢する。
【0069】
例示的な実施形態では、薬物送達デバイスは、患者による嚥下、胃または小腸などの、患者の消化管の内腔内への移動のために好適な摂取可能なデバイスとして構成される。デバイスのカプセルは、ヒトなどの被験体によって嚥下されることを可能にするように形状決めおよびサイズ決めされ得る。
【0070】
またさらなる例示的な実施形態では、薬物送達デバイスは、自己復元カプセルとして構成され、自己復元カプセルが内腔壁の組織によって少なくとも部分的に支持されるとき、自己復元カプセルは、送達部材が、内腔壁内に挿入されて、治療ペイロードの少なくとも一部分を組織内に送達することを可能にする方向に配向する。
【0071】
上記の配置によって、経口投与された薬物は、生存哺乳類被験体の胃または腸壁内に安全に、かつ確実に送達され得る。原薬は、例えば、固体、封入された固体、液体、ゲル、もしくは粉末、またはそれらの任意の組み合わせの形態であってもよい。
【0072】
本発明の第3の態様では、患者の内腔内への挿入に好適な医療デバイスが提供され、内腔は内腔壁を有する。医療デバイスは、内腔内に挿入されるようにサイズ決めされたハウジングと、作動動作を実施するために軸に沿って移動するために発射されるように構成されたラムと、ラムを動力供給するためにラムと関連付けられたエネルギー源と、を備える。ハウジングおよびラムは、発射前構成にラムを維持するためにラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対を備える。ラッチおよび保持部分の各対について、医療デバイスは、溶解可能な発射部材を画定し、溶解可能な発射部材は、生体液などの流体内で少なくとも部分的に溶解され、保持部分が、ハウジングおよびラムのうちの一方によって構成され、偏向可能なラッチが、ハウジングおよびラムのうちの他方によって構成される。偏向可能なラッチは、軸に対する横方向移動のために構成され、偏向可能なラッチは、閉塞部分を有する第1の表面と、第1の表面に対向して配設され、溶解可能な発射部材と相互作用するように構成された、支持表面と、を画定する。発射前構成では、偏向可能なラッチの閉塞部分が、ラッチ係合において保持部分に係合し、偏向可能なラッチの支持表面が、溶解可能な発射部材と相互作用して、偏向可能なラッチの移動を制限し、それによって、ラッチ係合の解放を防止する。溶解可能な発射部材が少なくとも部分的に溶解されている発射構成では、偏向可能なラッチが移動することを可能にし、それによって、偏向可能なラッチの閉塞部分と保持部分との間のラッチ係合を解放して、エネルギー源がラムを発射することを可能にする。
【0073】
第3の態様によるいくつかの実施形態では、ハウジングは、患者によって摂取されるように形状決めおよびサイズ決めされたカプセルなどのカプセルを画定する。第1の態様および第2の態様に従って記載された実施形態の特徴の任意の組み合わせが、さらなる実施形態では、第3の態様による特徴と組み合わせて提供され得る。
【0074】
本開示は、主に、カプセルデバイスから内腔または内腔壁までの薬物送達を指すが、その最も広い態様における本発明は、薬物または物質の送達に限定されないが、特定の作動アセンブリに関する。本発明による作動機構を備えるカプセルデバイスは、他の使用のために構成されてもよい。非限定的な使用としては、例えば、体腔または内腔壁からカプセルデバイスに試料を導入するための試料採取デバイスを含むことによる、体腔から1つ以上の試料を得ること、および、例えば、カプセルデバイスから内腔または内腔壁内にセンサデバイスを配設または位置付けることによる、監視または分析デバイスを送達することが挙げられる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「薬物」または「ペイロード」という用語は、指定された標的部位内またはその上に送達されることができる任意の薬物製剤を包含することを意味する。薬物は、単一の薬物化合物、または予混合もしくは予配合された複数の薬物化合物であってもよい。代表的な薬物としては、固体、粉末または液体の両方の形態における、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬剤、GLP-1含有薬剤ならびにその誘導体)、タンパク質、およびホルモンなどの医薬品、生物由来または活性物質、ホルモンおよび遺伝子に基づく物質、栄養製剤、ならびに他の物質が挙げられる。具体的には、薬物は、インスリンまたはGLP-1含有薬物であってもよく、これは、その類似体、および1つ以上の他の薬物との組合せを含む。
【図面の簡単な説明】
【0076】
以下では、本発明の実施形態が、図面を参照して説明される。
【0077】
【
図1a-1b】
図1aおよび
図1bは、固体用量送達のために構成された本発明によるカプセルデバイスの第1の実施形態の断面正面図を各々示し、デバイスは、それぞれ、発射前構成および発射構成を想定する。
【
図2】
図2は、本発明の態様によるカプセルデバイスで使用するためのラムおよび固形用量送達部材のアセンブリの3つの異なる構成を概略的に示す。
【
図3】
図3は、本発明によるカプセルデバイス内のラムを発射する際に使用するための変形可能なラッチおよび保持部分アセンブリの対の4つの異なる構成を概略的に示す。
【
図4】
図4は、固体送達部材とラムとの間の固体用量送達の取り外しを可能にするための、カプセルおよびラムアセンブリの3つの異なる構成を概略的に示す。
【
図5a】
図5aは、第2の実施形態のカプセルデバイスのサブアセンブリの断面側面図を概略的に示し、デバイスは、作動部材を解放可能に保持するために構成されており、図は、発射前構成を図示する。
【
図5b】
図5bは、
図5aに示される第2の実施形態のサブアセンブリの断面斜視図を概略的に示す。
【
図6a】
図6aは、第3の実施形態のカプセルデバイスのサブアセンブリの断面側面図を概略的に示し、デバイスは、作動部材を解放可能に保持するために構成されており、図は、発射前構成を図示する。
【
図6b】
図6bは、
図6aに示される第3の実施形態のサブアセンブリの断面斜視図を概略的に示す。
【0078】
図において、同様の構造は、主として同様の参照番号で識別される。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」などの用語、または同様の相対表現が使用されるとき、これらは、添付の図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況ではない。示された図は、概略表現であり、そのため、異なる構造の構成、およびそれらの相対寸法は、例示的な目的のみを果たすことが意図される。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用されるとき、これは一般的に、説明される実施形態においてこの構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、説明される構成要素のうちの2つ以上が単一の構成要素として、例えば、単一の射出成形部品として製造される可能性があるように、同一の部材または要素がいくつかの下位構成要素を備えてもよい。「アセンブリ」および「サブアセンブリ」という用語は、説明された構成要素が所与の組立手順の間に単一の、または機能アセンブリまたはサブアセンブリを提供するために組み立てられる必要があることを暗示しておらず、機能的により密接に関連するものとして共にグループ化される構成要素を説明するために使用されるにすぎない。
【0080】
図1aおよび
図1bを参照すると、本発明の態様による薬物送達デバイスの第1の実施形態が説明され、実施形態は、固形用量カプセルデバイスからの固形用量の展開のための所望の発射原理を有するカプセルデバイス100を提供するように設計される。開示される実施形態は、カプセルデバイス100であって、患者によって摂取されて、カプセルデバイスが、胃内腔に入り、その後、胃壁に対して配向し、最終的に胃壁の組織内の標的位置における挿入のための固形用量ペイロードを展開することを可能にするために好適な、カプセルデバイス100に関する。カプセルデバイス100について、胃壁に対してカプセルを配向するための一般原理は、特許文献1に開示されている原理のいずれかを利用してもよい。
【0081】
摂取可能な自動復元カプセルデバイス100は、ある平均密度を有する第1の部分100Aと、第1の部分100Aの平均密度とは異なる平均密度を有する第2の部分100Bと、を備える。カプセルデバイス100は、物品を摂取する被験体ユーザの内部放出のために薬剤を担持するためのペイロード部分130を収容する。示される実施形態では、展開前のカプセルデバイスの平均密度は、消化液の密度よりも大きく、カプセルデバイスが胃内腔の底部まで沈むことを可能にする。自己復元物品の外形は、ゴンボック形状、すなわち、形状の単一の安定した配向以外の任意の配向で表面上に配置されたとき、形状がその単一の安定した配向に再配向する傾向がある、ゴンボックタイプの形状である。
【0082】
示されるカプセルデバイスは、上部(近位)カプセル部品110を含み、これは、下部(遠位)カプセル部品120に嵌合して取り付く。上部カプセル部品110および下部カプセル部品120は、デバイスのカプセルを共に形成する。カプセルは、ペイロード部分130を収容する内部中空と、ペイロード部分130を保持して前方に駆動するラム150と、薬物送達のためにペイロードと共にラムを前方に発射および駆動するように構成された発射および推進機構と、を画定する。ペイロード部分130は、発射軸に沿って配向され、発射軸に沿った移動のために構成される。示される実施形態では、上部カプセル部品110および下部カプセル部品120は、発射軸の周囲に対称である回転対称部品を形成する。図面では、デバイスは、発射軸が垂直に向き、ペイロード部分130が下部カプセル部分120の中央に配置された出口孔124に向かって垂直に下向きに向いた状態で配向され、出口孔は、ペイロード部分130が、出口孔を通って輸送され、カプセルデバイス100の外側に移動されることを可能にする。下部部品120は、出口孔124を取り囲む、実質的に平坦な下部外面として形成される、組織係合表面123を含む。
【0083】
図1aおよび
図1bに示される実施形態のカプセル部品に好適な材料について、上部部品は、ポリカプロラクトン(PCL)などの低密度材料から好適に作製され得るが、一方、下部部品120は、316Lステンレス鋼などの高密度材料から好適に作製され得る。
【0084】
示される実施形態では、カプセルデバイス100全体の密度分布に起因して、およびデバイスの外部形状に起因して、カプセルデバイス100は、発射軸が表面(例えば、重力に実質的に直交する表面、消化管の壁などの組織の表面)に対して実質的に垂直な状態で、それ自体を配向する傾向がある。したがって、カプセルデバイスは、組織係合表面123が垂直に下向きに面するように、重力の方向に対して配向する傾向がある。
【0085】
上部カプセル110の内部は、上部カプセル部品110の上部部品から、下部カプセル部品120に形成された内側底面によって画定されるラム停止表面128、すなわち、近位に面する停止表面に向かって、発射軸と同心状に延在するスリーブ状ラムガイド構造115を含む。さらに、示される実施形態では、第2のスリーブ状構造は、発射軸と同心状に延在し、ラムガイド構造115内で上部カプセル部品110から半径方向に延在し、発射軸に沿って下向きに延在する。第2のスリーブ状構造は、カプセル内に配置された緊張された駆動ばね140から放出する駆動力に対抗して、ラム150を保持するための保持構造としての役割を果たす。示される実施形態では、保持構造は、保持構造の下端に配置された半径方向内向きに突出する保持部分113を有する。示される実施形態では、保持部分113は、2つの対向する半径方向内向きに突出する弧状突起として提供される。
【0086】
図1aおよび1bに示される第1の実施形態では、ペイロード部分130は、治療ペイロードを含む調製物から完全にまたは部分的に形成される固体送達部材を画定する。示される実施形態では、固体送達部材は、内腔壁の組織を貫通するように形状決めされた薄い円筒形ロッドとして形成され、円筒形ロッドは、組織貫通端および組織貫通端の反対側の後端を有する。ロッドの組織貫通端は、内腔壁の組織内への容易な挿入を促進するために向けられるが、示される実施形態では、後端は、90度の切断によって切断された切頭円筒を画定する。カプセルデバイス100による送達に好適な薬物の非限定的な例は、インスリンなどの乾燥圧縮APIである。
【0087】
ラム150は、上部保持部品151と、ペイロード部分130の後端を定位置に保持するために構成された下部接合部品155と、を備える。示される実施形態では、接合部品は、ペイロード部分130が孔内に堅固に取り付けられるように、ペイロード部分130の後端を受容する下向き開口孔を含む。下部接合部品155は、ラムガイド構造115の直径よりもわずかに小さい直径を有する環状外側フランジをさらに画定する。示される実施形態では、ラム150は、
図1aに示す発射前構成から
図1bに示される発射構成まで、ラムガイド構造115によって軸方向移動のためにガイドされている間、移動可能である。
【0088】
上述の駆動ばね140に関して、カプセルデバイス100では、螺旋圧縮ばねが、発射軸と同軸に配置される。駆動ばね140の近位端は、上部カプセル部品110のばね座に対して着座し、すなわち、ラムガイド構造115と保持構造との間に半径方向に位置する。駆動ばね140の遠位端は、ラム150の下部接合部品155によって画定されたフランジの近位表面によって形成されたばね座に対して着座する。カプセルデバイス100の組み立ての一部として、駆動ばね140は、2つのばね座の間で駆動ばね140を軸方向に圧縮することによって付勢される。したがって、ラムは、最初、10~30N程度などの、駆動ばねからの荷重下にある。駆動力を生成するために圧縮ばねを使用する代替例として、ねじりばね、板ばね、定力ばね、または類似のものなどの、カプセルデバイス100を付勢するために、他のばね構成が使用されてもよい。さらなる代替例では、ガスばねまたはガス発生器が使用されてもよい。
【0089】
ラム150の上部保持部品151は、ラムの上部端から出口開口部124に向かって遠位方向に延在する、2つの偏向可能なアーム152の形態で提供される偏向可能なラッチを含み、各アームは、半径方向内向き方向に弾性的に偏向可能である。各偏向可能なアーム152の端は、弾性アームから半径方向外向きに突出する閉塞部分153を含む。
図1aに示される発射前構成では、閉塞部分153の各々の遠位表面は、保持部分113の対応する1つの近位表面に係合する。閉塞部分153は、最初、保持部分113の近位に位置するため、ラム150は、偏向可能なアーム152が半径方向内向き方向に十分に偏向されない限り、保持部分113を通過して遠位に移動することができない。
【0090】
発射前構成では、溶解可能なペレット160が、2つの偏向可能なアーム152の間に配置され、それにより、ペレット160の半径方向に対向する表面が、2つの偏向可能なアーム152の半径方向内向きに面する支持表面に係合する。示される実施形態では、ペレット160は、上部カプセル部品110内の区画内に配置され、上部カプセル部品110内の近位に配置された上部開口部は、カプセルデバイスが流体中に浸漬されたときに、溶解可能なペレットへの流体曝露を促進する。
図1aに示される発射前構成では、溶解可能なペレット160が非圧縮状態をとるため、ペレットは、2つの偏向可能なアームが内向きに曲がることを防止する。しかしながら、患者の胃の中に存在する胃液などの流体に曝露すると、溶解可能なペレットは、溶解し始める。ペレット160は、事前定義された起動時間の後、ペレットがある程度溶解されて、2つの偏向可能なアーム152が、内向きに十分に偏向されることを可能にして、ラム150の閉塞部分153が保持部分113を遠位に通過して移動することを可能にするように、徐々に溶解されるように設計される。この条件、すなわち、発射構成では、ラム150は、駆動ばね140の荷重で発射されて、ラム150を出口孔124に向かって遠位に付勢する。ラム150は、ペイロード先端がカプセルから最初に突出して、残りのペイロード部分130を徐々に押し出すことを伴って、ペイロード部分130を遠位に駆動する。ペイロード部分130の前方移動は、ラム150が下部カプセル部品120の底部から出るときに停止される。この条件が
図1bに図示される。
【0091】
示される実施形態では、保持部分113と閉塞部分153との間の接合部は、溶解可能なペレットが溶解されたときに、偏向可能なアームが内向きに摺動するように、およそ30°だけ勾配を有する/傾斜している。角度は、ペレット上の剪断力を決定し、その程度に対して、偏向可能なアームは、荷重力に供されたときに、内向きに摺動する傾向がある。発射されたときのラムの加速長と関連すると、最適な角度は、0°であるが、そのような構成を起動するためにはるかに高いばね力を必要とする。勾配を有する部分について、他の実施形態では、30°以外の角度が使用されてもよい。
【0092】
図1bは、示される実施形態では、ラム150およびペイロード部分130が、発射軸に対して多少傾いた配向に入り得ることを明らかにする。この効果は、ラムがその最終目的地に到達すると、ラム150を傾ける傾動機構によって得られる。しかしながら、この示される条件は、開口内に発射されるカプセルデバイスについて、または流体内に発射されるペイロード部分を伴う、単なる代表的なものであるため、多少仮説的である。
【0093】
意図される使用の状況では、ペイロード部分130は、内腔壁の組織内に挿入され、概して発射軸に沿った方向にアンカー固定されることになる。しかしながら、駆動ストロークの終了時に、およびラム150の傾動作用に起因して、ペイロード130とラム150との間の接続を破壊するか、または別様に解放する傾向がある屈曲トルクが、ペイロード部分130上に適用される。この効果は、ペイロード部分130がラム150から強制的に分離されることを可能にして、ペイロード部分130が組織内に適切に滞留した後に組織から引き出されることを防止するように導入される。
【0094】
この時点で、カプセルデバイス100は、意図される用量を送達しており、組織壁の内側に安着する堆積したペイロード部分130に対して放出することになる。その後、カプセルデバイスの残りの部品は、ユーザの消化器系を通って移動し、処分されることになる。
【0095】
ペイロード130が、ラム150に、したがって、カプセルデバイス100の残りの部品にも依然として固定的に接続されている場合、標的場所に対するカプセルデバイスの移動によってペイロード部分が組織から後退される可能性が高くなる。
【0096】
示される実施形態では、最終目的地到達時のラム150の傾動運動は、ラム150の接合部品155の遠位に面する表面上に偏心して配置された突起158を形成することによって得られる。下部カプセル部品120内に形成された内側底面によって画定された近位に面するラム停止表面128は、平坦であり、発射軸に直交して配向されるため、傾動効果は、ラム150がラム停止表面128と交わるときに得られる。以下でさらに考察されるように、傾動効果は、様々な代替的な幾何学的設計によって得られ得る。また、本開示には図示されていないが、ラムガイド構造115とラム150との間のガイドシステムが、代替的に、同様の傾動効果を得るために形成されてもよい。また、カプセルデバイスの他の実施形態では、傾動効果が省略されてもよいことにも留意されたい。
【0097】
上で考察された溶解可能な部材、すなわち、溶解可能な発射部材を形成する溶解可能なペレット160について、異なる形態および組成物が使用されてもよい。非限定的な例としては、ソルビトールまたは微結晶セルロース(MCC)から作製されたペレットが挙げられる。他の非限定的な例としては、射出成形イソモルトペレット、圧縮造粒イソマルトペレット、クエン酸/NaHCO3の顆粒組成物から作製された圧縮ペレット、またはイソマルト/クエン酸/NaHCO3の顆粒組成物から作製された圧縮ペレットが挙げられる。溶解可能ペレットの非限定的な例示的なサイズは、製造時に直径φ1×3mmを測定するペレットである。
【0098】
ラム150の示される例では、上部保持部品151は、チャンバとして形成され、溶解可能なペレット160が、締まり嵌めを有するチャンバ内で受容される。示される実施形態では、カプセルデバイス100の中央上部部品は、カプセル内に胃液を導入するための単一の開口部を含む。他の実施形態では、カプセルは、カプセルの周囲に分布する複数の開口部などの、流体入口開口部の他の設計を含み得る。いくつかの設計では、ペイロード部分130は、溶解可能なペレットのチャンバから流体的に封止されたチャンバ内に収容される。また、出口孔124は、カプセルデバイス100の発射前に、水分がペイロード部分チャンバに入ることを防止するシールを含み得る。
【0099】
ここで、
図2を参照すると、ラムおよびペイロード部分に対する3つの代替的な好適な設計が概略的に図示されており、各設計は、ラム150とペイロード部分130との間の所望の取り付けを得て、ラム150からのペイロード部分130の所望の制御された取り外しを可能にする。
【0100】
設計番号Iは、ラム150の下部接合部品155から延在する中央ピン156.Iを有するラム150を含む。ペイロード部分130は、中央ピン156.Iを受容するために構成された中央開口部と対応して形成される。
【0101】
設計番号IIは、ラム150の下部接合部品155から延在する中央円錐形突起156.IIを有するラム150を含む。ペイロード部分130は、円錐形突起156.IIと嵌合し、それを受容するために構成された中央円錐形陥凹と対応して形成される。
【0102】
設計番号IIIは、ラム150の下部接合部品155の遠位に面する表面に中央円錐形陥凹156.IIIを有するラム150を含む。ペイロード部分130は、円錐形突起156.IIIと嵌合し、それを受容するために構成された中央円錐形突起と対応して形成される。
【0103】
上記のペイロード部分130とラム150との間の接合部の4つの異なる変形例は、単に例示的であり、他の構成が代わりに使用されてもよい。ペイロード部分とラムとの間の取り外し可能な取り付けは、摩擦嵌めまたは圧入を使用することによって得られ得る。あるいは、スクロースなどの接着剤が、接合部で使用されてもよい。さらに代替的に、取り付けは、最初にペイロード部分を湿潤させ、ラムとペイロード部分との間の固有スティクションを利用することによって得られ得る。使用の状況では、ラムがその最終目的地に到達すると、ペイロード部分とラムとの間の接合部で取り外しが生じ得る。他の実施形態では、所望の取り外しは、ペイロード部分の大部分を、ラムに依然として接着または固定されている残りのペイロード部分から取り外すことによって得られ得る。いくつかの実施形態では、ペイロード部分は、分離点を決定する脆弱点を含む。またさらなる実施形態では、以下でさらに考察されるように、ラムおよびペイロード部分は、APIを含有する組成物で全て作製された一体構成要素として形成され得、カプセルデバイスから押し出される意図されたペイロード部分は、ラム部分から分離される。また、代替的な実施形態では、ペイロードは、カプセルデバイスから完全に離れて輸送されるように、それ自体によってラムとして作用し得る。
【0104】
図3は、さらなる例示的なカプセルデバイスで使用される、偏向可能なラッチおよび保持構成の1つまたは2つの対のための4つの追加設計を概略的に示す。容易に明らかであろうように、偏向可能なラッチ要素の数、偏向可能なラッチ要素の場所および配向、溶解可能な発射部材の数および構成、ならびにラムの設計は、より優れた作用モードを有する発射機構を依然として得ながら、本発明の態様と一致して変更され得る。簡略化のために、ラム150の上部保持部品151のみが示されている。同様に、カプセル部品の保持構造のみが示されている。
【0105】
図3では、設計番号Iの2つの偏向可能なアーム152上の閉塞要素と協働するために上向きに延在する保持構造113を有する保持部分が示される。この設計では、
図1aに示されるような全体構造を有するラムおよび溶解可能な発射部材160が使用され得る。
【0106】
設計番号IIはまた、ラムの大部分が懸架されている、上向きに延在する保持構造113を含む。この実施形態では、ラムは、偏向可能なアーム152の近位端上に閉塞要素を有する近位に延在する快いアームを含み、アームの近位端は、中央に位置する溶解可能な発射部材160が十分に溶解されたときに半径方向内向きに曲がるように設計される。
【0107】
設計番号3を図示する図は、関連する構成を示すが、ラムは、単一の偏向可能なアームのみを含む。この設計では、偏向可能ではない構造が、単一の偏向可能なアームから離れて面する側部上の溶解可能な発射部材160の側部上に配置される。偏向可能ではない構造は、その一方側上で溶解可能な発射部材160を連続的に支持するが、一方、対向する側部は、単一の屈曲可能なラッチアームが半径方向内向きに移動し、保持部分113を通過する余地を作る。
【0108】
最後に、設計番号IVは、偏向可能なラッチおよび保持部分が交換された場所を有する例を概略的に示す。この設計では、ラムは、作動機構の発射中にいかなる屈曲も呈さないように設計されている保持部分153’を有する上部保持部分151’を含む。代わりに、保持構造(上部カプセル部品または下部カプセル部品のいずれかと関連付けられた)は、遠位の延在する偏向可能なラッチアーム112’の形態の2つの偏向可能なラッチを含み、各々が、その最遠位端に閉塞部分153’を有する。各偏向可能なアーム112’は、それぞれの溶解可能な発射部材160’に係合するように構成される。したがって、それぞれの溶解可能な発射部材160’は、共通のリング状部材として提供され得るか、または発射軸の周囲にリング構成に配置された複数の別個の部材として提供され得る。上述のように、いくつかの実施形態では、ペイロードは、カプセルデバイスの残りの部分から部分的または完全に接続解除されるように、それ自体によってラムとして作用し得る。そのようなAPIベースのラムは、作動機構の発射中にいかなる屈曲も呈さないように設計されている保持部分を含み得、保持部分は、カプセルのハウジング、例えば、上部または下部カプセル部品と関連付けられた、協働する偏向可能なラッチを通過することを可能にする。
【0109】
図4は、上記のように、ラム150の傾動効果を得るための3つの設計を概略的に示す。設計番号Iでは、偏心して配設された突起158は、ラム150の接合部品155の遠位に面する表面、すなわち、ラム停止表面128に面する表面上に形成される。設計番号IIでは、ラム停止表面128上に偏心して配設された突起129は、ラム150の接合部品155の下面に向かって近位方向に突出するように位置する。設計IIIとして示される変形例では、ラム停止表面128は、段付き表面129’として形成され、すなわち、ラム停止表面128に到達すると、ラム150の傾動移動を誘発する、2つ以上のレベルを含む。
図4に概略的に示されるもの以外の最終目的地に到達した際にラムを傾動させる他のやり方が、他の手段によって実施され得ることに留意されたい。
【0110】
図5aおよび5bを参照すると、次に、本発明の態様による医療デバイスの第2の実施形態のサブアセンブリ200が説明されることになり、第2の実施形態は、ラムなどの作動部材を第1の位置から第2の位置まで移動させるための所望の作動機構を有するカプセルデバイスを提供するように設計される。第1の実施形態に示される作動機構に対して、第2の実施形態の作動機構は、同じ一般動作原理を利用するが、偏向可能な構成要素に依存せず、むしろ作動部材の硬質部品を形成する、ラッチ要素を有する。
【0111】
図示される第2の実施形態は、ヒトの身体の内腔内に導入されるか、または入るために好適なカプセルデバイスに関する。簡略化のために、作動機構に関連する構成要素のみが示され、カプセルデバイスのさらなる構成要素は、広くは説明されない。
【0112】
第2の実施形態によるカプセルデバイスは、
図5aに図示されるように、ベース部材としての役割を果たすカプセルハウジング部品210と、作動部材250と、付勢された圧縮ばねの形態の駆動ばね240と、溶解可能なペレットまたは発射部材260と、を備える、サブアセンブリ200を含む。さらなるカプセルハウジング(図示せず)が、カプセルハウジング部品210の右手側に連結されて、細長い摂取可能なカプセルを形成することが意図される。細長いプランジャまたはラムの形態をとる作動部材250は、カプセルハウジング部品210の円筒形開口部215を通って長手方向に延在する軸に沿った軸方向移動のために装着される。作動部材250は、示される発射前構成(近位位置)から円筒形開口部215の内側で軸方向移動、およびプランジャが
図5aで右に移動されることになる発射構成(図示せず)(遠位位置)に軸方向に遠位方向に摺動するために構成される。発射前構成では、圧縮ばね240は、作動部材250を発射構成に向かって遠位に付勢する作動部材に対して荷重を及ぼす。作動機構の解放中、作動部材250は、軸方向移動のために作動部材を解放する発射構成に、軸に対する傾動移動によってさらに移動可能である。
【0113】
作動部材250の遠位端部分は、円筒形開口部215と緊密な嵌合関係で受容されるピストン255を形成し、そのため、ピストンは、円筒形開口部215内で摺動することができる。ピストン255から、縮径されたシャフトは、作動部材250の近位端に向かって延在する。縮径されたシャフトの近位端は、特定の横方向(図面では上向きに突出して示される)に半径方向外向きに突出する閉塞部分253を有する、半径方向外向きに面する表面を含む。閉塞部分253は、横方向に移動可能なラッチとしての役割を果たす。半径方向に対向する閉塞部分253に位置するが、同じ軸方向位置にある、シャフトの半径方向外向きに面する表面は、溶解可能な発射部材またはペレット260と協働および係合するように構成された段付き下降表面を含む。
【0114】
示される実施形態では、溶解可能な発射部材260は、長方形箱状物体として形成される。その最も近位端に近い位置で円筒形開口部215の内側に収縮部が提供される。収縮部は、溶解可能な発射部材260が受容される凹状エリアを含む。カプセルハウジング部品210および溶解可能な発射部材260のアセンブリは、キーホールを形成し、それを通して、作動部材のシャフトが突出し、一方、キーホールの内側におけるシャフトの横方向移動を全くまたはほとんど可能にしない。収縮部は、シャフトの閉塞部分253から遠位に位置する図示された状態で、カプセルハウジング210の内側に第1の保持部分213を形成する。示される実施形態では、閉塞部分253および第1の保持部分213の両方は、互いに密着する傾斜表面を嵌合することを含む。
【0115】
図5aおよび5bに示される発射前構成では、溶解可能な発射部材260は、シャフトの段付き下降表面が位置するほぼ中央位置で、すなわち、作動部材が軸と略同軸に位置合わせされる様式で、作動部材250の近位部分を半径方向に支持する。シャフトの閉塞部分253は、ラッチ係合において第1の保持部分213に係合するラッチとして機能する。溶解可能な発射部材260が胃液または腸液などの流体に曝露されると、溶解可能な発射部材は、収縮部の凹状エリアの内側で少なくとも部分的に溶解することになる。これは、第1の保持部分213から離れる半径方向にシャフトの近位端の横方向移動(すなわち、
図5aでは下向き)を可能にし、この移動は、軸に対する作動部材250の傾動を引き起こす。横方向移動は、作動部材250上に遠位に向けられた力を及ぼす駆動ばね240に起因すると共に、閉塞部分253および第1の保持部分213の嵌合傾斜表面に起因する。
【0116】
溶解可能な発射部材260の十分な溶解時に、閉塞部分253は、第1の保持部分213を通過することができることになり、その場合、デバイスは、発射構成をとる。これは、作動部材250が第2の位置に到達し、デバイスサブアセンブリ200が発射構成をとるまで、駆動ばね240を自由に拡張させる。
【0117】
ここで
図6aおよび6bを参照すると、次に、本発明の態様による医療デバイスの第3の実施形態のサブアセンブリ300が説明されることになり、第3の実施形態は、ラムなどの作動部材を第1の位置から第2の位置まで移動させるための所望の作動機構を有するカプセルデバイスを提供するように設計される。第1の実施形態および第2の実施形態に示される作動機構に対して、第3の実施形態の作動機構は、同じ一般動作原理を利用するが、ベース部材および作動部材とは別個の個々の部材を形成するラッチ要素を有する。
【0118】
図示される第3の実施形態は、ヒトの身体の内腔内に導入されるか、または入るために好適なカプセルデバイスに関する。簡略化のために、作動機構に関連する構成要素のみが示され、カプセルデバイスのさらなる構成要素は、広くは説明されない。
【0119】
第3の実施形態によるカプセルデバイスは、
図6aに図示されるように、ベース部材としての役割を果たすカプセルハウジング部品310と、作動部材350と、付勢された圧縮ばねの形態の駆動ばね340と、ラッチ部材352と、溶解可能なペレットまたは発射部材360と、を備える、サブアセンブリ300を含む。さらなるカプセルハウジング(図示せず)が、カプセルハウジング部品310の右手側に連結されて、細長い摂取可能なカプセルを形成することが意図される。細長いプランジャまたはラムの形態をとる作動部材350は、カプセルハウジング部品310の円筒形開口部315を通って長手方向に延在する軸に沿った軸方向移動のために装着される。作動部材350は、示される発射前構成(近位位置)から円筒形開口部315の内側で軸方向移動、およびプランジャが
図6aで右に移動されることになる発射構成(図示せず)(遠位位置)に軸方向に遠位方向に摺動するために構成される。発射前構成では、圧縮ばね340は、作動部材350を発射構成に向かって遠位に付勢する作動部材に対して荷重を及ぼす。作動機構の解放中、デバイスは、軸方向移動のために作動部材を解放する発射構成をとる。
【0120】
作動部材350の遠位端部分は、円筒形開口部315と緊密な嵌合関係で受容されるピストン355を形成し、そのため、ピストンは、円筒形開口部315内で摺動することができる。ピストン355から、縮径されたシャフトは、作動部材350の近位端に向かって延在する。縮径されたシャフトの近位端は、ラッチ部材352を部分的に収容するように構成される、凹状エリアを含む。凹状エリアに隣接して、その近位端で、シャフトは、第1の保持部分357を含む。
図6aに示される状態、すなわち、発射前構成では、溶解可能な発射部材またはペレット360は、シャフトの凹状エリアと同じ軸方向場所に配置される。
【0121】
示される実施形態では、
図6bに最良に見られ、ラッチ部材352は、軸に対して横断して延在する概ね細長い物体として形成され、ラッチ部材は、その一部のみがシャフトの凹状エリア内に収容されるように配置される。ラッチ部材352は、第1の閉塞部分353aおよび第2の閉塞部分353bを含む。その最も近位端に近い位置で円筒形開口部315の内側に収縮部が提供される。収縮部は、溶解可能な発射部材360が受容される凹状エリアを含む。カプセルハウジング部品310および溶解可能な発射部材360のアセンブリは、キーホールを形成し、それを通して、作動部材350のシャフトが突出し、一方、キーホールの内側におけるシャフトの横方向移動を全くまたはほとんど可能にしない。収縮部は、第2の保持部分313をカプセルハウジング310の内側に形成し、
図6a、すなわち、発射前構成に示されるように、ラッチ部材352および溶解可能な発射部材360から遠位に位置する。第2の保持部分313は、ラッチ部材352がカプセルハウジング部品310に対して遠位に移動することを防止する役割を果たす、ラッチ部材352の第2の閉塞部分353bと係合する。示される実施形態では、第1の閉塞部分353aおよび第1の保持部分357の両方は、互いに密着する傾斜表面を嵌合することを含む。
【0122】
図6aおよび6bに示される発射前構成では、溶解可能な発射部材260は、その表面352aでラッチ部材352を半径方向に支持する。この位置では、ラッチ部材352は、第2の保持部分313および第1の保持部分357の両方に係合する。したがって、ラッチ部材352は、作動部材350が遠位に移動することを防止する。溶解可能な発射部材360が胃液または腸液などの流体に曝露されると、溶解可能な発射部材は、収縮部の凹状エリアの内側で少なくとも部分的に溶解することになる。これは、作動部材350のシャフトの凹状エリアを離れて半径方向(すなわち、
図6aでは上向き)のラッチの横方向移動を可能にする。横方向移動は、作動部材350上に遠位に向けられた力を及ぼす駆動ばね340に起因すると共に、第1の閉塞部分353aおよび第1の保持部分357の嵌合傾斜表面に起因する。
【0123】
溶解可能な発射部材360の十分な溶解時に、シャフトの第1の保持部分357は、第1の閉塞部分353aを通過することができることになり、その場合、デバイスは、発射構成をとる。これは、作動部材350が第2の位置に到達し、デバイスサブアセンブリ300が発射構成をとるまで、駆動ばね340を自由に拡張させる。
【0124】
例示的な実施形態の上記の説明は、主に、胃の中の送達のための摂取可能なカプセルに関するが、本作動原理は、概して、カプセルデバイスにおいて、カプセルデバイスが本体内腔内に位置付けられ、流体が、構成要素を、第1の位置から第2の位置などの、第1の構成から第2の構成にするために溶解可能な発射部材を溶解することによって作動機構を起動する、内腔挿入全般に有用性を見出すものである。カプセルデバイスの非限定的な例としては、腸内腔内への送達または腸内腔の組織壁内への送達のいずれかによる薬物の腸送達のためのカプセルデバイスが挙げられ得る。薬物送達は、針などの送達部材を使用して、または内腔の組織壁内に挿入されるか、もしくは内腔内に直接発射するマイクロニードルを介して、実施され得る。あるいは、薬物送達は、内腔壁の粘膜内壁へのジェット注入によるなどの、送達部材を使用せず、カプセルデバイスの1つ以上の出口開口部を通して実施されてもよい。
【0125】
例示的実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかである程度まで、説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。