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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】抗IL-36R抗体製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240116BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240116BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240116BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K39/395 M ZNA
A61K39/395 U
A61P37/02
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/10
A61K9/19
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021552832
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 US2020021059
(87)【国際公開番号】W WO2020185479
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】62/815,405
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】デンキンガー,サンドラ・ニコル
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,アンナ・マリア
(72)【発明者】
【氏名】カタヤマ,デリック・スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】メーラ,ラジニ・プラサード
(72)【発明者】
【氏名】プレッサー,インゴ・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シン,ラヴィジャ
(72)【発明者】
【氏名】ライト,サラ・ケイ
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512157(JP,A)
【文献】特表2015-500633(JP,A)
【文献】特表2002-504907(JP,A)
【文献】特表2007-524602(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0121580(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P、C07K、C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤であって、
a.20mg/mL、60mg/mL、又は150mg/mLの濃度で存在する抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、と、
b.45mMの濃度で存在するアセタートバッファーと、
c.150mMの濃度で存在するスクロース及び/又はトレハロースと、
d.25mMの濃度で存在するL-アルギニン又はその薬学的に許容し得る塩と、
e.0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート20とを含み、
ここで、該製剤は、水性形態にある時に、5~6の範囲内のpHを特徴とする、
医薬製剤。
【請求項2】
該製剤が、210mOsmol/kg~390mOsm/kgの範囲内の浸透圧を特徴とする、請求項記載の医薬製剤。
【請求項3】
抗体の5%未満が、該製剤中に凝集形態で存在する、請求項1~のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項4】
該製剤が、無菌である、請求項1~のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項5】
該製剤が、凍結及び融解時に安定である、請求項1~のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項6】
該製剤が、水を含むか又は水により再構成される、請求項1~のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項7】
該製剤が、液体状にある又は水により再構成された時に、5~6のpHを有する、請求項1~のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項8】
該製剤が、液体状にある又は水により再構成された時に、6のpHを有する、請求項1~のいずれか一項記載の医薬製剤。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項記載の医薬製剤を含む、
バイアル又はシリンジを含む医薬品。
【請求項10】
予め組み立てられた注射装置をさらに含む、請求項記載の医薬品。
【請求項11】
予め組み立てられた注射装置が、自動注射器又は針安全装置である、請求項10記載の医薬品。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項記載の医薬製剤を含む、
予め組み立てられた注射装置。
【請求項13】
前記装置が、自動注射器、針安全装置又はシリンジである、請求項12記載の予め組み立てられた注射装置。
【請求項14】
前記製剤が、皮下投与又は筋肉内投与に適している、請求項13記載の予め組み立てられた注射装置。
【請求項15】
請求項1~のいずれか一項記載の医薬製剤を含む少なくとも1つの容器と、
注射装置とを備える、
パーツキット。
【請求項16】
対象への該製剤の皮下もしくは筋肉内投与のための説明書又は皮下もしくは筋肉内自己投与のための説明書を含む、請求項15記載のキット。
【請求項17】
医薬製剤を製造する方法であって、
a.細胞が抗体を細胞培養培地中に分泌するように、抗IL-36R抗体の軽鎖及び重鎖をコードする1種以上の核酸をゲノム内に安定に組み込まれたほ乳類細胞を培養し、細胞培養培地から抗体を精製することと、
b.請求項1~のいずれか一項記載の製剤を調製することとを含み、
抗IL-36R抗体の軽鎖をコードする核酸が、配列番号118をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、抗IL-36R抗体の重鎖をコードする核酸が、配列番号127をコードするヌクレオチド配列を含む、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。前記ASCIIコピーは、2020年3月2日に作成され、09-0694-WO-1-SL.txtと命名され、サイズが146,026バイトである。
【0002】
発明の分野
本発明は、治療抗体のための医薬製剤に関する。具体的には、本発明は、本明細書に開示された抗IL-36R抗体のための医薬製剤に関する。
【0003】
発明の背景
本明細書に記載された抗IL-36R抗体は、IL36リガンド媒介シグナル伝達を低減し又は遮断し、このようなシグナル伝達に関連する疾患又は状態を処置するのに有用である。ヒトに対する静脈内、筋肉内又は皮下注射を含む非経口投与に適した、抗IL-36R抗体のための安定な液体又は凍結乾燥抗体製剤が必要とされている。
【0004】
治療用抗体は、大きく複雑な分子であり、それ自体、特に、液体状態で劣化プロセスを受ける。抗体の産生及び精製は、十分に制御されたプロセスであるが、安定で、患者への送達に適した製剤を開発することは困難である。抗体の不安定性は、抗体薬剤の商業的開発の主な障害である。例えば、抗体調製物は、貯蔵寿命が短い場合があり、抗体は、保存の間の化学的及び物理的劣化により生じる生物学的活性を失ってしまう場合がある。化学的劣化プロセスは、脱アミド化、ラセミ化、加水分解、酸化、ベータ脱離及びジスルフィド交換を含む。物理的劣化プロセスは、変性、凝集、沈殿及び吸着を含む(Cleland et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1993, 10(4): 307-377)。抗体は、特定の構造的類似性を共有するが、商業的に実行可能な抗体医薬の開発は単純ではなかった。それらの固有で、いくらか予測不可能な溶液挙動のためである。種々の抗体間の一次配列における顕著な差異のために、比較的重度の劣化経路(例えば、変性、凝集、表面吸着、脱アミド化、酸化、異性化、断片化等)は、大きく異なる場合がある(Wang et al., J Pharm Sci., Antibody Structure, Instability, and Formulation, 2007, 96(1):1-26)。
【0005】
多数の製剤参考文献を以下に列記する。
【0006】
US第10,166,993号には、約4.2~約4.9又は約7.1~約12.0のpHを有し、25℃で約50cs以下の動粘度を有するように、少なくとも約80mg/mLの量のタンパク質、少なくとも約50mMの量のバッファーを含む、低粘度濃縮タンパク質製剤が記載されており、これにより、この製剤は、皮下投与に適している。
【0007】
WO第2011/109365号には、100mg/mL超又は約200mg/mL未満の量の濃縮タンパク質と、約110mM~約120mMの合計量で存在する塩及びバッファーの等張剤と、界面活性剤とを含む製剤が記載されており、ここで、この製剤は、低張性である(290ミリオスモル(mOsm)未満の浸透圧を有する)。
【0008】
US第9,517,226号には、抗c-Met抗体のための製剤が記載されている。同公報には、界面活性剤、バッファー及び液体媒体を含有し、バッファーがコハク酸、クエン酸又はそれらの組み合わせを含む、抗c-Met抗体の液体製剤が開示されている。
【0009】
WO第2016/128564号には、抗体、アセタート及びヒスチジンからなる群より選択される少なくとも1種の緩衝剤、グリシン、アスパラギン及びグルタミンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸並びに/又はトレハロース及びマンニトールからなる群より選択される少なくとも1種の賦形剤並びに界面活性剤を含み、ここで、組成物のpHが5.0~6.5である、医薬組成物が記載されている。
【0010】
これら又は類似の参考文献が提供する情報にもかかわらず、異なる配列を有する抗体は、振とう、長期保存、光への暴露、凍結融解プロセス、凍結乾燥プロセス等を含む各種の条件下で予測不能に挙動することが従来から理解されている。ある抗体が、別の抗体又はタンパク質により又はこれらのために具体的に調製された製剤において、どのように挙動するであろうかは予測不可能である。例えば、製剤におけるわずかな変動により、タンパク質が不安定になり、凝集する場合がある。タンパク質凝集体は、一般的には、活性を低下させ、より重要なことには、より大きな免疫原性の可能性を有する。エピトープの多様性及び/又はコンホメーション変化のためである。免疫グロブリン凝集体は、重篤な腎不全並びにアナフィラキシー様反応、例えば、頭痛、発熱及び悪寒を引き起こすことが示されている(上記Wang et al.,)。
【0011】
したがって、例えば、長期間の保存の間であっても、安定性の向上、低レベル~検出不可能なレベルの物理的又は化学的劣化及び抗体の生物学的活性の損失がほとんどないか又は全くないことを示す、本明細書に記載された抗IL-36R抗体の安定な製剤に対する必要性が存在する。
【0012】
発明の概要
本発明は、以下にさらに記載されるように、抗IL-36R抗体の安定な液体又は凍結乾燥医薬製剤を提供することにより、上記の必要性に対処する。特に、本発明は、本明細書に開示された抗IL-36R抗体の安定な液体又は粉末医薬製剤を提供する。本発明の抗IL-36R抗体製剤は、ほ乳類、特に、ヒト又は自己免疫疾患又は他の悪性疾患を患っている患者への投与に有用である。本発明の製剤は、以下に記載されるであろうように、当技術分野に存在する他の製剤と比較して、改善された特性を有する。
【0013】
第1の態様では、本発明は、抗IL-36R抗体の医薬製剤であって、該製剤が、治療量の(本明細書に開示された)抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメント並びにi)薬学的に許容し得るバッファー又はii)薬学的に許容し得る等張化剤又はiii)薬学的に許容し得る安定化剤又はiv)薬学的に許容し得る塩又はv)薬学的に許容し得る界面活性剤又はvi)薬学的に許容し得るバッファー及び薬学的に許容し得る等張化剤又はvii)薬学的に許容し得るバッファー、薬学的に許容し得る等張化剤及び薬学的に許容し得る安定化剤又はviii)薬学的に許容し得るバッファー、薬学的に許容し得る等張化剤、薬学的に許容し得る安定化剤及び薬学的に許容し得る塩又はix)薬学的に許容し得るバッファー、薬学的に許容し得る等張化剤、薬学的に許容し得る安定化剤、薬学的に許容し得る塩及び薬学的に許容し得る界面活性剤を、それぞれ薬学的に許容し得る量及び薬学的に許容し得るpHで含む、医薬製剤を提供する。
【0014】
第2の態様では、本発明は、(本明細書に開示された)治療用抗IL-36R抗体又は抗体フラグメントの医薬製剤に関する。ここで、前記製剤は、(a)約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲内の濃度で存在する抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、(b)薬学的に許容し得るバッファーとを含み、ここで、該製剤は、約5~約8の範囲内のpHを特徴とする。第1の態様に関連する実施態様では、バッファーは、約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する。この態様に関連する別の実施態様では、該製剤は、薬学的に許容し得る等張化剤をさらに含む。関連する実施態様では、等張化剤は、約100mM~約250mMの範囲内の濃度で存在する。
【0015】
第3の態様では、本発明は、バイアル又はシリンジ及び投与のための装置(例えば、自動注射器、針安全装置)を含む、医薬製品を提供し、該医薬製品は、本発明の第1又は第2の態様のいずれかの医薬製剤を含む。
【0016】
第4の態様では、本発明は、a)細胞が抗体を細胞培養培地中に分泌するように、(本明細書に開示された)抗IL-36R抗体の軽鎖及び重鎖をコードする1種以上の核酸をゲノム内に安定に組み込まれたほ乳類細胞を培養し、細胞培養培地から抗体を精製することと、b)第1及び第2の態様に記載の製剤を調製することとを含む、本発明の医薬製剤を製造する方法に関する。
【0017】
第5の態様では、本発明は、バッファー系中の抗体と界面活性剤とを配合することと、抗体が配合された前後でのデータ(例えば、任意の抗体凝集)を評価することとを含む、本明細書に開示された抗IL-36R抗体の凝集及び/又は断片化を低減する方法に関する。第5の態様に関連する実施態様では、該抗体は、第1又は第2の態様の実施態様のいずれかに従って配合される。
【0018】
第6の態様では、本発明は、第1又は第2の態様のいずれかに記載の医薬製剤を含む少なくとも1つの容器と、第3の態様に記載の注射装置とを含む、パーツキットに関する。第6の態様に関連する実施態様では、注射装置は、自動注射器又は針安全装置を含む予め組み立てられた注射装置である。関連する実施態様では、自動注射器又は針安全装置はそれぞれ、(a)約2mLの総量中の約300mg 該抗体、(b)約1.5mLの総量中の約225mg 該抗体、(c)約1mLの総量中の約150mg 該抗体、(d)約0.5mLの総量中の約75mg 該抗体又は(e)約0.4mLの総量中の約60mg 該抗体を含む。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、注入、静脈内及び/又は皮下投与のための、本発明の製剤、本発明の予め組み立てられた注射装置又は本発明のキットパーツの使用が提供される。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、自己免疫障害及び/又は悪性疾患からなる群より選択される少なくとも1種の疾患の処置のための、本発明の製剤、本発明の予め組み立てられた注射装置又は本発明のキットパーツの使用が提供される。前記定義に包含される自己免疫障害についての非限定的な例は、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患又は乾癬性関節炎、慢性閉塞性肺障害(COPD)、喘息、強皮症、掌底膿疱症、全身性膿疱性乾癬、アトピー性皮膚炎、糖尿病性腎症、ループス腎炎、強皮症、強直性脊椎炎、IL-36レセプターアンタゴニスト自己免疫疾患の欠損(DITRA)、IL-1レセプターアンタゴニスト自己免疫疾患の欠損(DIRA)又はクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、肺炎症、喘息、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、上皮炎症性障害、線維症及び強直性脊椎炎を含む。さらに好ましい実施態様では、該キットは、対象への製剤の皮下投与又は筋肉内投与のための説明書を含む。
【0021】
主題技術の更なる特徴及び利点を以下の説明において記載するものとし、部分的には、説明から明らかになるであろうか又は主題技術の実施により学ことができる。主題技術の利点は、記載された説明及びその特許請求の範囲並びに添付の図面において特に指摘される構造により実現され、達成されるであろう。
【0022】
前述の一般的な説明及び下記詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものであり、特許請求される主題技術の更なる説明を提供することが意図されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、DLSにより測定された拡散係数によるコロイド安定性を示す。各バッファー中のタンパク質濃度をX軸に示されたように、5~20mg/mLで変化させた。拡散係数を試験されたバッファーのY軸に示す。
図2図2は、HP-SECにより測定された高分子量(HMW)の結果(Y軸)を示す。0、0.02、0.04及び0.06%(w/v)の量でポリソルベート20(PS20)を提供した、1回(黒色カラム)及び3回(斜線カラム)の凍結-融解サイクル(FT)後の結果を示す。
図3図3は、HP-SECにより測定された高分子量(HMW)の結果(Y軸)を示す。0、0.02、0.04及び0.06%(w/v)の濃度のポリソルベート20(PS20)を含む溶液を振とうした。室温(RT)で3、6、24及び48時間振とうした後の結果を示す。
図4図4は、HP-SECにより測定された高分子量(HMW)の結果(Y軸)を示す。ターゲットタンパク質濃度150mg/mLの抗IL-36R抗体を含む6つの製剤(F1~F6)を40℃で保存した。0、2、4、6及び8週間(8w)の保存後のデータをX軸に示す。
図5図5は、20℃で145~189mg/mLのタンパク質濃度での、種々のタンパク質(抗IL-36R抗体、タンパク質C、タンパク質D)及び種々の製剤(製剤I、製剤V、製剤VIII、製剤IX、製剤VI、製剤VII)の粘度データを示す。さらに、60mg/mLのタンパク質濃度での抗IL-36R抗体の粘度データを示す。粘度値をY軸に示す。タンパク質製剤をタンパク質濃度を増加させてX軸に示す。
図6図6は、HP-SECにより測定された高分子量(HMW)の結果(Y軸)を示す。2つの製剤(F1及びF2)を2~8℃で保存した。F1については36か月間及びF2については30か月間保存した後のデータを示す。
図7図7は、400~600nmでの90°光散乱により分析された濁度の結果(Y軸)を示す。F1及びF2(参照製剤)について、40℃のストレス条件で3か月間保存した後のデータをX軸に示す。
図8図8は、HP-SECにより測定された高分子量(HMW)の結果を示す。F1及びF2(参照製剤)について、40℃でのストレス条件で3か月間保存した後のデータを示す。
図9図9は、400~600nmでの90°光散乱により分析された濁度の結果(Y軸)を示す。凍結乾燥前、凍結乾燥後及び40℃でのストレス条件で6か月間凍結乾燥粉末製剤を保存した後のデータをX軸に示す。
図10図10は、HP-SECにより測定された高分子量(HMW)の結果(Y軸)を示す。凍結乾燥前、凍結乾燥後及び40℃でのストレス条件で6か月間凍結乾燥粉末製剤を保存した後のデータを示す。
【0024】
発明の詳細な説明
何等の理論又はメカニズムにも拘束されることを望むものではないが、本発明は、最も低い融解温度値(Tm)を有する本発明の抗IL-36R製剤が最も有望な特性、すなわち、最小限のタンパク質-タンパク質相互作用、最も高い程度の拡散性及び長期安定性の向上と相関したことを示した予想外の発見に部分的に基づいている。実施例を参照のこと。これは、Tmの上昇が研究されたタンパク質の長期安定性の上昇と相関するという従来の概念とは対照的である(例えば、He et al., J Pharm Sci 2011; 100:1330-40を参照のこと)。
【0025】
先で検討されたように、抗体の物理的及び化学的不安定性は、溶液条件、温度及びそれらの一次構造の複雑な関数である。抗体は、例えば、脱アミド化、異性化、酸化、タンパク質分解、凝集及び他の修飾に感受性である。これらの現象は、有効性の低下又は潜在的な臨床的副作用もしくは毒性さえももたらすと疑われる。凝集体が、タンパク質薬剤の有効性を低下させ、免疫原性を上昇させる場合があるためである。また、抗体の凝集は、抗体産生チェーンにおけるバッチ間の変動性の原因でもあり、その制御は、極めてコスト高な結果を有するレギュラトリー及び品質管理の負担をもたらす。さらに、抗体の凝集は、一旦最適な保存条件から取り出されると、貯蔵寿命及びそれらの使用可能な投与期間を含む、保存におけるそれらの安定性に影響を及ぼす。
【0026】
水性抗体製剤には、通常、所定のpH範囲を維持するための少なくともバッファー及び製剤が生理学的液体と同様の浸透圧を有することを確実にするための等張化剤が必要である。
【0027】
慢性疾患の処置のための治療用抗体を、患者自身により投与することができる形態(「家庭での使用」又は「自己投与」又は「自己注射」)で提供することが望ましい。多くの場合、その薬剤を頻繁に長期間投与する必要があるであろうためである。このため、患者が注射剤を必要とするたびに医療従事者に会う必要がないため、自己投与のための製剤の適合性により、患者のコンプライアンスが高まり、コストが低減されるであろう。
【0028】
2~8℃の推奨範囲を超える温度上昇等の最適条件で保存されない溶液中では、不溶性及び/又は可溶性凝集体の形成を含む望ましくない劣化が生じる。これらの不溶性及び可溶性凝集体は、抗体分子の会合により液体状態で形成される可能性が高い。液体製剤が長期間保存される場合、抗体分子の生物活性は、例えば、凝集又は酸化により低下する場合がある。また、凍結及び融解のサイクルも、劣化した及び凝集した抗体分子の形成をもたらす場合がある。
【0029】
結果として、溶液は、低下した活性、増加した毒性及び/又は増加した免疫原性を示す場合がある。実際、ポリペプチドの沈殿により、血栓症、剤形の不均一性及び免疫反応がもたらされる場合がある。このため、ポリペプチドの任意の医薬製剤の安全性及び効力は、その安定性に直接関連する。
【0030】
しかしながら、自己投与のための適合性は、貯蔵寿命に関して新たな課題を生じさせる。患者は、家庭でかなりの量の薬剤を保存しなければならないであろう。この場合、保存条件は、多くの場合、医療実務におけるより適切ではない。このため、自己投与に適した治療用抗体を含む製剤は、最適以下の条件、例えば、製剤又は医薬品が置かれるべき冷却チェーン又は条件の中断下であっても、保存安定性の点で既存の製剤を超えなければならないであろう。
【0031】
家庭での使用及び/又は自己投与のためには、患者は、薬剤を皮下又は筋肉内に投与する必要がある。必要な量を送達するために、家庭での使用のための薬剤用量は、多くの場合、注射容量の制限のために、静脈内使用に必要とされるより高いタンパク質濃度を必要とする。しかしながら、より高いタンパク質濃度のために、溶液の粘度が上昇してしまう。粘度が上昇するのにつれて、シリンジ針による薬剤送達は困難になる。さらに、一部のバッファー溶液については、皮下又は筋肉内に投与される製品中に存在する場合、疼痛を引き起こすことが公知である。
【0032】
このため、特に、貯蔵寿命及びそれらの使用可能な投与を含む、保存中での安定性の改善に関して、用量の利点及び投与の利点を提供する安定な抗体製剤が必要とされている。
【0033】
上記言及された課題は、特許請求の範囲において特徴付けられ、以下にさらに記載される実施態様により解決される。
【0034】
定義
「態様」等の表現は、このような態様が本発明に必須であること又はこのような態様が主題技術の全ての構成に適用されることを意味するものではない。態様に関連する開示は、全ての構成又は1つ以上の構成に適用することができる。態様は、本開示の1つ以上の例を提供することができる。「態様」等の表現は、1つ以上の態様を参照することができ、その逆もまた同様である。「実施態様」等の表現は、このような実施態様が主題技術に必須であること又はこのような実施態様が主題技術の全ての構成に適用されることを意味するものではない。実施態様に関連する開示は、全ての実施態様又は1つ以上の実施態様に適用することができる。実施態様は、本開示の1つ以上の例を提供することができる。
【0035】
「約」という用語は、一般的には、測定の性質又は精度が与えられた場合に測定された量についての許容可能な程度の誤差又は偏差を意味するであろう。典型的で、例示的な程度の誤差又は偏差は、所定の値又は値の範囲の5%以内又は3%以内又は1%以内である。例えば、「約100」の表現は、105及び95又は103及び97又は101及び99並びにその間の全ての値(例えば、95~105の範囲について、95.1、95.2等又は97~103の範囲について、97.1、97.2等、99~101の範囲について、99.1、99.2等)を含む。本明細書で与えられる数量は、特に断りない限り、近似値であり、「約」という用語は、明示的に記載されていない場合にも推論することができることを意味する。
【0036】
本明細書で使用する場合、一般的な実施態様「含む(comprising)」又は「含む(comprise)」は、より具体的な実施態様「からなる」を包含する。さらに、単数形及び複数形は、限定的な方法では使用されない。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「The」は、単数形のみを指定することが明示的に記載されていない限り、単数形及び複数形の両方を指定する。
【0037】
「医薬製剤」又は「製剤」は、方法を指すが、活性薬剤又は薬剤が化学物質と組み合わされて、最終的な医薬又は医薬品を製造する方法の生成物も指し、したがって、最終製剤は、液体、粉末又は組成物等の医薬品を指す。したがって、一実施態様では、医薬製剤は、医薬組成物である。
【0038】
「医薬組成物」は、この文脈において、有効成分の生物学的活性が明確に有効であることを可能にするような形態であり、組成物が投与されるであろう対象に対して著しく毒性である追加の成分を含有しない液体又は粉末調製物を指す。このような組成物は無菌である。「粉末」は、非経口使用のための凍結乾燥され(freeze-dried)もしくは凍結乾燥され(lyophilized)又は噴霧乾燥された医薬組成物を指す。粉末は、典型的には、水で再構成され又は水に溶解される。凍結乾燥は、生成物を凍結させ、減圧し、ついで、昇華により氷を除去することを含む低温脱水プロセスである。凍結乾燥により、加工に使用される低温のために、高品質の製品がもたらされる。十分に開発された凍結乾燥製剤では、製品の形状及び外観が、経時的に維持され、再水和生成物の品質は優れている。噴霧乾燥は、一貫した粒径分布を達成する目的で、高温ガスを使用して急速に乾燥させることにより、液体又はスラリーから乾燥粉末を生成する方法である。
【0039】
本明細書で使用する場合、「水」という用語は、注射用水を指す。
【0040】
「薬学的に許容し得る」賦形剤(媒体、添加剤)は、対象への非経口投与に適したものである。
【0041】
一実施態様では、本発明の医薬製剤は安定である。
【0042】
「安定性」は、化学的安定性及び物理的安定性を指し、当技術分野において記載され、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery, 247-301, Vincent Lee Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., Pubs. (1991)及びJones, A. Adv. Drug Delivery Rev. 10: 29-90 (1993)に概説される種々の分析技術を使用して、定性的及び/又は定量的に評価することができる。これらの方法は、凝集体及び粒子形成の評価(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、濁度を測定することにより、マイクロフローイメージングの光遮蔽による及び/又は目視検査による評価不能な粒子)、カチオン交換クロマトグラフィー又はキャピラリー等電点電気泳動を使用する電荷不均一性の評価、質量分光分析、還元された抗体とインタクトな抗体とを比較するためのキャピラリーゲル電気泳動(CGE)分析、ペプチドマップ(例えば、トリプシン又はLys-C消化物)分析、抗体の生物学的活性又は抗原結合機能の評価等を含む。不安定性は、凝集、脱アミド化(例えば、Asn脱アミド化)、酸化(例えば、Met酸化)、異性化(例えば、Asp異性化)、クリッピング/加水分解/断片化(例えば、ヒンジ領域断片化)、スクシンイミド形成、不対システイン等のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。本明細書における「脱アミド化」モノクローナル抗体は、その1つ以上のアスパラギン残基が例えば、翻訳後修飾によりアスパラギン酸又はイソアスパラギン酸に修飾されているものである。安定性を測定するために、本発明の製剤のサンプルは、安定性研究において試験することができ、ここで、サンプルは、選択された期間、ストレス条件に曝され、続けて、適切な分析技術を使用して、化学的及び物理的安定性の定量的及び定性的分析を行う。
【0043】
したがって、安定性は、選択された温度で選択された期間、例えば、種々の温度、例えば、-40℃、5℃、25℃及び40℃で2か月間サンプルを保存することによりかつ例えば、定性的及び定量的分析のためにHP-SEC、CEX、光遮蔽、CGE又は結合活性を使用することにより測定することができる。
【0044】
上記によれば、「安定な製剤」は、抗体が物理的及び化学的に安定でありかつ/又は保存時にその生物学的活性を保持する製剤である。
【0045】
「化学的安定性」は、抗体の化学的に変化した形態を検出し、定量することにより評価することができる。化学的改変は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、CGE及び/又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型質量分析(MALDI/TOF MS)を使用することにより評価することができるサイズ改変(例えば、クリッピング)を含むことができる。他のタイプの化学的改変は、例えば、イオン交換クロマトグラフィーにより評価することができる電荷改変(例えば、脱アミド化の結果として生じる)を含む。本発明の文脈において、化学的安定性は、例えば、カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)により測定され、ここで、例えば、5%の変化は、有意であるとみなすことができる。
【0046】
「物理的安定性」は、実質的に、本発明の文脈において、凝集、沈殿及び/又は変性の徴候をほとんど有さない又は全く有さない抗体を指す。物理的安定性にアクセスする方法は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、光遮蔽(LO)並びに色及び透明度である。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の場合、例えば、≧0.1%の含量の差は、使用されるカラム、操作圧力、バッファーの流速により決まる試験条件下で、本発明の文脈において有意に異なるとみなすことができる。
【0047】
医薬製剤中の抗体がその意図される目的で生物学的に活性である場合、抗体は、医薬製剤中で「その生物学的活性を保持する」。例えば、医薬組成物中の抗体の(例えば、抗原結合アッセイにおいて決定されるような)生物学的活性が、参照標準の約30%、約20%又は約10%内(アッセイの誤差内)である場合、生物学的活性は保持される。当業者に公知であるように、溶液中で維持されるモノマー抗体の割合は、適切な薬学的に活性な組成物に最も重要である。凝集体は、幾らか及び重篤な副作用を引き起こす原因となる場合があるため、モノマー含量は、実際の薬学的に活性な量の薬剤又は抗体もしくはその抗体フラグメントを表わす。
【0048】
本発明の文脈において、「ストレス」又は「ストレス条件」という用語は、例えば、機械的ストレス、熱ストレス、光ストレス又は凍結及び融解により生じるストレスを指す。機械的ストレス、熱ストレス、光ストレス又は凍結及び融解により生じるストレスをシミュレーションする方法及び条件は多様であり、当業者には公知である。機械的ストレスは、例えば、室温で最大48時間、300rpmで振盪させることがあることができる。熱ストレスは、例えば、一定量の期間、低温又は高温での保存を指す。一例では、サンプルを5℃、25℃及び40℃で保存することができる。ここで、例えば、25℃及び40℃は、ストレス条件を指す。光ストレスは、例えば、約1100ルクスの光強度で、室温において5日間、サンプルを保存することであることができる。サンプルを、サンプルを数サイクルの凍結、例えば、-40℃で24時間、室温で2時間融解に曝すことにより、凍結及び融解からのストレスに曝すことができる。ここで、サイクルは、3回繰り返される。
【0049】
本明細書で使用する場合、「バッファー」は、その酸-塩基共役成分の作用により、pHの変化に抵抗する緩衝溶液を指す。本明細書において、「pH」は、室温における組成物の酸性度又は塩基性度を指す。組成物のpHを測定するための標準的な方法は、当業者に公知である。典型的には、pHを測定することは、機器を較正すること、電極を十分に混合されたサンプル中に配置すること、ついで、pHメーターから直接pHを読み取ることからなる。本発明の例示的なバッファーは、アセタート、シトラート、ヒスチジン、スクシナート、ホスファート及びTrisを含む。
【0050】
本明細書で使用する場合、「等張化剤」又は「等張剤(tonicity agent)」又は「等張剤(tonicifyer)」という用語は、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム(MgSO))又は糖/ポリオール(例えば、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グリセロール、マンニトール又はデキストロース)を含む身体中の血清と同等の浸透圧を提供する物質を指す。加えて、溶液中に存在する糖/ポリオールは、薬剤物質を損なうことなく凍結させるのを可能にするタンパク質のための凍結保護剤として機能する。これにより、凍結形態での輸送及び医薬品の充填前の薬剤物質の長期保存が可能となる。
【0051】
本発明の例示的な等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム(MgSO)(塩)及び/又はスクロース、トレハロース、ソルビトール、グリセロール、マンニトールもしくはデキストロース(糖/ポリオール)を含む。特定の実施態様では、等張化剤は、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グリセロール、マンニトール及びデキストロースからなる群より選択される糖又はポリオールである。
【0052】
本明細書で使用する場合、「安定剤」又は「安定化剤」という用語は、医薬製剤中の有効成分の安定性に寄与する物質を指す。本発明の例示的な安定化剤は、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リシン又はそれらの薬学的に許容し得る塩を含む。
【0053】
本明細書で使用する場合、「界面活性剤」という用語は、それらが溶解される液体の表面張力を低下させる傾向がある物質を指す。本発明の例示的な界面活性剤は、ポロキサマー188、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60又はポリソルベート80を含む。
【0054】
本発明は、ほ乳類、特に、ヒトへの投与のための抗IL-36R抗体製剤に関する。本発明の製剤は、IL-36レセプター(IL-36R)に結合する本明細書に開示されたヒト化抗体を含む。本明細書における特定の実施態様では、これらのヒト化抗体の配列が特定されている。
【0055】
本発明の製剤は、抗体凝集体の形成及び濁りを最小限に抑え、抗体がその生物活性を経時的に維持するのを保証する。特に、本発明の発明者らは、実施例において、配合された抗体のモノマー含量がより安定であり、凝集体の形成が試験された他の製剤と比較して、40℃で3か月間保存された場合、本発明の製剤の一部においてはるかに明らかでないことが実証されるという驚くべき知見をもたらした。実施例7を参照のこと。
【0056】
結果として、第1の態様では、本発明は、抗IL-36R抗体の医薬製剤であって、該製剤が、治療量の(本明細書に開示された)抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメント並びにi)薬学的に許容し得るバッファー又はii)薬学的に許容し得る等張化剤又はiii)薬学的に許容し得る安定化剤又はiv)薬学的に許容し得る塩又はv)薬学的に許容し得る界面活性剤又はvi)薬学的に許容し得るバッファー及び薬学的に許容し得る等張化剤又はvii)薬学的に許容し得るバッファー、薬学的に許容し得る等張化剤及び薬学的に許容し得る安定化剤又はviii)薬学的に許容し得るバッファー、薬学的に許容し得る等張化剤、薬学的に許容し得る安定化剤及び薬学的に許容し得る塩又はix)薬学的に許容し得るバッファー、薬学的に許容し得る等張化剤、薬学的に許容し得る安定化剤、薬学的に許容し得る塩及び薬学的に許容し得る界面活性剤を、それぞれ薬学的に許容し得る量及び薬学的に許容し得るpHで含む、医薬製剤を提供する。本発明の医薬製剤は、以下に記載されるであろうように、改善された特性を有する。
【0057】
下記表に、本発明の製剤の成分の典型的な濃度範囲を提供する。
【0058】
【表1】
【0059】
下記表に、本発明の例示的な製剤並びに参照製剤XI及びXIbを提供する。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
上記によれば、一実施態様では、本発明の医薬組成物は、参照製剤と比較した場合、下記:
(a)高速サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)により測定された場合での凝集体の割合の顕著な低下、
(b)HP-SECにより測定された場合での、約40℃で保存された後の顕著なより高いモノマー割合、
(c)CEXにより測定された主ピークの割合が高い(より少ない化学的劣化に関連する)、
(d)目視評価による濁度がより低いかつ/又はホルマジン比濁測定単位(FNU)における濁度値がより低い
(e)評価不能な(subvisible)粒子(10μm以上及び25μm以上)の値がより低い
からなる群より選択される少なくとも1つの特徴を有する。
【0063】
本発明によれば、「低減された」、「より高い」、「より少ない」、「より小さい」、「向上した」、「より低い」又は「より少ない」等は、例えば、2つの状態間の量的差異を示し、この差異は、2つの状態間の顕著な差異を含む。
【0064】
本発明によれば、「参照製剤」という用語は、表Iaにおける製剤XI及び/又は表Ibにおける製剤XIbを指す。実施態様において、参照製剤は、例えば、比較される製剤と同じ濃度であるが、表Iaにおける製剤XI及び/又は表Ibにおける製剤XIbにおけるような、種々の量及び/もしくはタイプのバッファー系並びに/又は種々の量及び/もしくはタイプの等張化剤(並びに/又は種々の量及び/もしくはタイプの界面活性剤)と共に存在する、本明細書に開示された抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、該製剤は、水性形態にある時に、約5~約7の範囲内のpHを特徴とする。
【0065】
実施態様において、本発明の製剤は、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)により測定された場合に、参照製剤の凝集体の量と比較して、約40℃で保存された後の凝集体の量が少なくとも約10%、25%又は50%減少した。例えば、実験値が、1.0%~0.9%に低下した場合、相対的な減少は、前文に従って10%である。
【0066】
実施態様において、本発明の製剤は、HP-SECにより測定された場合、約40℃で保存された後の参照製剤と比較して、約40℃で保存された後に、少なくとも約10%、25%又は50%高い量のモノマーを有する。
【0067】
実施態様において、本発明の製剤は、CEXにより測定された場合、参照製剤と比較して、約40℃で保存された後に、主ピーク量が少なくとも約10%、25%又は50%増加する(化学的劣化がより少ない)。
【0068】
実施態様において、本発明の製剤は、ホルマジン比濁測定単位(FNU)において、参照製剤と比較して、少なくとも約10%、25%又は50%低い濁度値を有する。
【0069】
実施態様において、本発明の製剤は、参照製剤と比較して、少なくとも約10%、25%、50%、75%、又は100%少ない評価不能な粒子(例えば、10μm以上及び25μm以上)の増加を有する。
【0070】
第1の態様に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、該製剤中に、約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲もしくは約10~約175mg/mLの範囲もしくは約10~約30mg/mLの範囲もしくは約45~約75mg/mLの範囲もしくは約125~約175mg/mLの範囲内の濃度又は約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約60mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約100mg/mLもしくは約150mg/mLの濃度で存在する。一実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、該製剤中に、約20mg/mLの濃度で存在する。別の実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、該製剤中に、約60mg/mLの濃度で存在する。さらに別の実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、該製剤中に、約150mg/mLの濃度で存在する。
【0071】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得るバッファーは、該製剤中に、約20mM~約80mMの範囲もしくは約20~約70mMの範囲もしくは約20~約60mMの範囲もしくは約20mM~約50mMの範囲内の濃度又は約20mM、約25mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約60mMの濃度で存在する。バッファーは、ヒスチジン、ホスファート、スクシナート、シトラート、アセタート又はTRISを含むことができる。特定の実施態様では、バッファーは、ヒスチジン、ホスファート、スクシナート、シトラート、アセタート及びTRIS、特に、アセタート及びシトラートからなる群より選択される。一実施態様では、バッファーは、シトラートである。別の実施態様では、バッファーは、ヒスチジンである。さらに別の実施態様では、バッファーは、アセタートである。
【0072】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得る等張化剤は、該製剤中に、約100mM~約250mMの範囲もしくは約120~約220mMの範囲もしくは約130~約190mMの範囲もしくは約140~約190mMの範囲内の濃度又は約100mM、約120mM、約150mM、約180mM、約200mM、約220mMの濃度で存在する。等張化剤は、塩、糖又はポリオールであることができる。一実施態様では、等張化剤は、1種以上の糖及び/又はポリオールである。等張化剤は、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グリセロール、マンニトール又はデキストロース、特に、スクロース又はトレハロースを含む1種以上の糖及び/又はポリオールであることができる。一実施態様では、等張化剤は、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グリセロール、マンニトール又はデキストロース、特に、スクロース及びトレハロースからなる群より選択される1種以上の糖及び/又はポリオールである。特に、等張化剤は、スクロースであるか又は等張化剤は、トレハロースである。
【0073】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得る安定化剤は、該製剤中に、約0mM~約80mMの範囲又は約0~約70mMの範囲又は約0~約60mMの範囲又は約0~約50mMの範囲内の濃度で存在する。安定化剤が存在する場合、安定化剤は、約5mM~約80mMもしくは約10mM~70mMもしくは約20mM~50mMの範囲内の濃度又は約25mMもしくは約50mMの濃度で存在することができる。実施態様において、安定化剤は、該製剤中に、約20mM又は約25mM又は約30mM又は約35mM又は約40mM又は約45mMの濃度で存在する。安定化剤は、アミノ酸、例えば、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はその薬学的に許容し得る塩、とりわけ、アルギニンを含むことができる。一実施態様では、安定化剤は、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びその薬学的に許容し得る塩からなる群より選択される。さらに別の実施態様では、安定化剤は、L-アルギニン又はその薬学的に許容し得る塩である。
【0074】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得る塩は、該製剤中に、約0~約150mMの範囲もしくは約0~約120mMの範囲もしくは約0~約90mMの範囲もしくは約0~約10mMの範囲内の濃度又は約3mM、5mM、10mM、25mMもしくは50mMの濃度で存在する。別の関連する実施態様では、該医薬製剤は、等張化剤として1種以上の糖及び/又はポリオールを含み、さらに、薬学的に許容し得る塩を約3~約150mMの範囲もしくは約3~約120mMの範囲もしくは約3~約90mMの範囲もしくは約3~約10mMの範囲内の濃度又は約3mM、5mM、10mM、25mMもしくは50mMの濃度で含む。該塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸マグネシウム(MgSO)、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl)、ホウ酸塩又は塩化亜鉛(ZnCl)を含むことができる。一実施態様では、該塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸マグネシウム(MgSO)、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl)、ホウ酸塩及び塩化亜鉛(ZnCl)からなる群より選択される。具体的な実施態様では、該塩は、塩化ナトリウムである。
【0075】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得る界面活性剤は、該製剤中に、約0g/L~約1.5g/Lの範囲もしくは約0.1g/L~約1.5g/Lの範囲もしくは約0.1~約1.0g/Lの範囲もしくは約0.1~約0.6g/Lの範囲もしくは約0.15~約0.5g/Lの範囲内の濃度又は約0.1g/L、0.2g/L、0.4g/L、0.5g/Lもしくは1g/Lの濃度で存在する。界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60又はポリソルベート80を含むことができる。一実施態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60及びポリソルベート80からなる群より選択され、特に、ポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群より選択される。
【0076】
第1の態様に関連する実施態様では、該製剤は、約5~約8の範囲又は約5~約7の範囲又は約5~約6.5の範囲内のpHを特徴とする。別の関連する実施態様では、pHは、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5又は約8である。当業者であれば、該製剤のpHは、水性形態にある時の該製剤のpHを指すことを理解するであろう。
【0077】
第1の態様に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。別の特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0078】
第1の態様に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。
【0079】
第2の態様では、本発明は、(本明細書に開示された)治療用抗IL-36R抗体又は抗体フラグメントの医薬製剤に関する。ここで、前記製剤は、(a)約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲内の濃度で存在する抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、(b)薬学的に許容し得るバッファーとを含み、ここで、該製剤は、約5~約8の範囲内のpHを特徴とする。この態様に関連する実施態様では、バッファーは、約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する。この態様に関連する実施態様では、該製剤は、薬学的に許容し得る等張化剤をさらに含む。関連する実施態様では、等張化剤は、約100mM~約250mMの濃度で存在する。このため、一実施態様では、該医薬製剤は、(a)約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲内の濃度で存在する抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、(b)約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在するバッファーと、(c)約100mM~約250mMの範囲内の濃度で存在する等張化剤とを含み、ここで、該製剤は、水性形態にある時に、約5~約8の範囲内のpHを特徴とする。
【0080】
第2の態様に関連する実施態様では、本発明の医薬製剤は、a)本明細書に開示された抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメント(ここで、該抗体又はその抗原結合フラグメントは、約20mg/mL、60mg/mL又は150mg/mLの濃度で存在する)、b)約25~50mMの濃度で存在するアセタートバッファー、c)約150mM~200mMの濃度で存在するスクロースもしくはトレハロース並びに場合により、d)約25mMの濃度で存在するL-アルギニンもしくはその薬学的に許容し得る塩並びに/又はe)約0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート20もしくはポリソルベート80を含み、ここで、該製剤は、水性形態にある時に、約5~約7の範囲内のpHを特徴とする。
【0081】
第2の態様に関連する別の実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、該製剤中に、約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲もしくは約10~約175mg/mLの範囲もしくは約10~約30mg/mLの範囲もしくは約45~約75mg/mLの範囲もしくは約125~約175mg/mLの範囲内の濃度又は約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約60mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約100mg/mLもしくは約150mg/mLの濃度で存在する。一実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、該製剤中に、約20mg/mLの濃度で、別の実施態様では、約60mg/mLの濃度で、さらに別の実施態様では、約150mg/mLの濃度で存在する。
【0082】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得るバッファーは、該製剤中に、約20mM~約80mMの範囲もしくは約20~約70mMの範囲もしくは約20~約60mMの範囲もしくは約20mM~約50mMの範囲内の濃度又は約20mM、約25mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約60mMの濃度で存在する。バッファーは、ヒスチジン、ホスファート、スクシナート、シトラート、アセタート又はTRISを含むことができる。特定の実施態様では、バッファーは、ヒスチジン、ホスファート、スクシナート、シトラート、アセタート及びTRIS、特に、アセタート及びシトラートからなる群より選択される。一実施態様では、バッファーは、シトラートである。別の実施態様では、バッファーは、ヒスチジンである。さらに別の実施態様では、バッファーは、アセタートである。
【0083】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得る等張化剤は、該製剤中に、約100mM~約250mMの範囲もしくは約120~約220mMの範囲もしくは約130~約190mMの範囲もしくは約140~約190mMの範囲内の濃度又は約100mM、約120mM、約150mM、約180mM、約200mM、約220mMの濃度で存在する。等張化剤は、塩、糖又はポリオールであることができる。一実施態様では、等張化剤は、1種以上の糖及び/又はポリオールである。等張化剤は、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グリセロール、マンニトール又はデキストロース、特に、スクロース又はトレハロースを含む1種以上の糖及び/又はポリオールであることができる。一実施態様では、等張化剤は、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グリセロール、マンニトール又はデキストロース、特に、スクロース及びトレハロースからなる群より選択される1種以上の糖及び/又はポリオールである。特に、等張化剤は、スクロースであるか又は等張化剤は、トレハロースである。
【0084】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得る安定化剤は、該製剤中に、約0mM~約80mMの範囲又は約0~約70mMの範囲又は約0~約60mMの範囲又は約0~約50mMの範囲内の濃度で存在する。安定化剤が存在する場合、安定化剤は、約5mM~約80mMもしくは約10mM~70mMもしくは約20mM~50mMの範囲内の濃度又は約25mMもしくは約50mMの濃度で存在することができる。安定化剤は、アミノ酸、例えば、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はその薬学的に許容し得る塩、とりわけ、アルギニンを含むことができる。一実施態様では、安定化剤は、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びその薬学的に許容し得る塩からなる群より選択される。特定の実施態様では、安定化剤は、L-アルギニン又はその薬学的に許容し得る塩である。
【0085】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得る塩は、該製剤中に、約0~約150mMの範囲もしくは約0~約120mMの範囲もしくは約0~約90mMの範囲もしくは約0~約10mMの範囲内の濃度又は約3mM、5mM、10mM、25mMもしくは50mMの濃度で存在する。別の関連する実施態様では、該薬学的に許容し得る製剤は、等張化剤として1種以上の糖及び/又はポリオールを含み、さらに、薬学的に許容し得る塩を約3~約150mMの範囲もしくは約3~約120mMの範囲もしくは約3~約90mMの範囲もしくは約3~約10mMの範囲内の濃度又は約3mM、5mM、10mM、25mMもしくは50mMの濃度で含む。該塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸マグネシウム(MgSO)、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl)、ホウ酸塩又は塩化亜鉛(ZnCl)を含むことができる。一実施態様では、該塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸マグネシウム(MgSO)、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl)、ホウ酸塩及び塩化亜鉛(ZnCl)からなる群より選択される。具体的な実施態様では、該塩は、塩化ナトリウムである。
【0086】
別の関連する実施態様では、薬学的に許容し得る界面活性剤は、該製剤中に、約0g/L~約1.5g/Lの範囲、約0.1g/L~約1.5g/Lの範囲もしくは約0.1~約1.0g/Lの範囲もしくは約0.1~約0.6g/Lの範囲もしくは約0.15~約0.5g/Lの範囲内の濃度又は約0.1g/L、0.2g/L、0.4g/L、0.5g/Lもしくは1g/Lの濃度で存在する。界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60又はポリソルベート80を含むことができる。一実施態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60及びポリソルベート80からなる群より選択され、特に、ポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群より選択される。
【0087】
第1の態様に関連する実施態様では、該製剤は、約5~約8の範囲又は約5~約7の範囲又は約5~約6.5の範囲内のpHを特徴とする。別の関連する実施態様では、pHは、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5又は約8である。
【0088】
第2の態様に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。別の特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0089】
第2の態様に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。
【0090】
本発明の第1及び第2の態様に関連する種々の他の例又は実施態様は、便宜上、以下の番号付けされた項(1、2、3等)として記載される。これらは、例として提供されるものであり、主題技術を限定するものではない。従属項はいずれも、任意の組み合わせで組み合わせることができ、各独立項、例えば、項1に入れることができることに留意されたい。他の項も、同様に表わすことができる。
【0091】
1.医薬製剤であって、
a.約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲内の濃度で存在する本明細書に開示された抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、
b.約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容し得るバッファーとを含み、
ここで、該製剤は、水性形態にある時に、約5~約8の範囲内のpHを特徴とする、
医薬製剤。
【0092】
2.該製剤が、液体又は粉末の形態にある、項1記載の医薬製剤。
【0093】
3.抗IL-36R抗体が、約10mg/mL~約200mg/mLの範囲内の濃度で存在する、項1又は2記載の製剤。
【0094】
4.抗IL-36R抗体が、約20mg/mLの濃度で存在する、項1記載の製剤。
【0095】
5.抗IL-36R抗体が、約60mg/mLの濃度で存在する、項1記載の製剤。
【0096】
6.抗IL-36R抗体が、約150mg/mLの濃度で存在する、項1記載の製剤。
【0097】
7.バッファーが、ヒスチジン、ホスファート、スクシナート、シトラート、アセタート又はTRISを含む、項1~6のいずれか一項記載の製剤。
【0098】
8.バッファーが、シトラート又はアセタートを含む、項7記載の製剤。
【0099】
9.バッファーが、ヒスチジンを含む、項7記載の製剤。
【0100】
10.バッファーが、アセタートを含む、項8記載の製剤。
【0101】
11.該製剤が、約100mM~約250mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容し得る等張化剤をさらに含む、項1~10のいずれか一項記載の製剤。
【0102】
12.等張化剤が、1種以上の糖及び/又はポリオールである、項11記載の医薬製剤。
【0103】
13.等張化剤が、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グリセロール、マンニトール又はデキストロースからなる群より選択される1種以上の糖及び/又はポリオールである、項12記載の製剤。
【0104】
14.等張化剤が、スクロース又はトレハロースである、項13記載の製剤。
【0105】
15.等張化剤が、スクロースである、項14記載の製剤。
【0106】
16.等張化剤が、トレハロースである、項14記載の製剤。
【0107】
17.該製剤が、約0mM~約80mM又は約5mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容し得る安定剤をさらに含む、項1~16のいずれか一項記載の製剤。
【0108】
18.安定剤が、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸又はそれらの薬学的に許容し得る塩を含む、項17記載の製剤。
【0109】
19.安定剤が、L-アルギニン又はその薬学的に許容し得る塩である、項17記載の製剤。
【0110】
20.該製剤が、約0~約150mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容し得る塩をさらに含む、項11~16のいずれか一項記載の製剤。
【0111】
21.該塩が、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸マグネシウム(MgSO)、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl)、ホウ酸塩又は塩化亜鉛(ZnCl)を含む、項20記載の製剤。
【0112】
22.該塩が、塩化ナトリウム(NaCl)である、項20記載の製剤。
【0113】
23.該製剤が、約0.1g/L~約1.5g/Lの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容し得る界面活性剤をさらに含む、項1~22のいずれか一項記載の製剤。
【0114】
24.界面活性剤が、ポロキサマー188、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60又はポリソルベート80を含む、項23記載の製剤。
【0115】
25.界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60又はポリソルベート80からなる群より選択される、項23記載の製剤。
【0116】
26.界面活性剤が、ポリソルベート20である、項23記載の製剤。
【0117】
27.界面活性剤が、ポリソルベート80である、項23記載の製剤。
【0118】
28.医薬製剤であって、
a.約10mg/mL~約200mg/mLの範囲内の濃度で存在する本明細書に開示された抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、
b.約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在するアセタート及び/又はヒスチジンバッファーと、
c.約100mM~約250mMの範囲内の濃度で存在するスクロース及び/又はトレハロースと、
d.約0mM~約80mMの範囲内の濃度で存在するL-アルギニン及び/又はそれらの薬学的に許容し得る塩と、
e.約0~約150mMの範囲内の濃度で存在する塩化ナトリウム(NaCl)と、
f.約0g/L~約1.5g/L又は約0.1g/L~約1.5g/Lの範囲内の濃度で存在するポリソルベート20及び/又はポリソルベート80とを含み、
ここで、該製剤は、水性形態にある時に、約5~約7の範囲内のpHを特徴とする、
医薬製剤。
【0119】
29.医薬製剤であって、
a.約20mg/mLの濃度で存在する本明細書に開示された抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、
b.約25mMの濃度で存在するシトラートバッファーと、
c.約200mMの濃度で存在するスクロース及び/又はトレハロースと、
d.約0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート80とを含み、
ここで、該製剤は、水性形態にある時に、約6~約7の範囲内のpHを特徴とする、
医薬製剤。
【0120】
30.医薬製剤であって、
a.約60mg/mLの濃度で存在する本明細書に開示された抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、
b.約45mMの濃度で存在するアセタートバッファーと、
c.約150mMの濃度で存在するスクロース及び/又はトレハロースと、
d.約25mMの濃度で存在するL-アルギニン又はその薬学的に許容し得る塩と、
e.約0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート20とを含み、
ここで、該製剤は、水性形態にある時に、約5~約6の範囲内のpHを特徴とする、
医薬製剤。
【0121】
31.医薬製剤であって、
a.約150mg/mLの濃度で存在する本明細書に開示された抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、
b.約45mMの濃度で存在するアセタートバッファーと、
c.約150mMの濃度で存在するスクロース又はトレハロースと、
d.約25mMの濃度で存在するL-アルギニン又はその薬学的に許容し得る塩と、
e.約0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート20とを含み、
ここで、該製剤は、水性形態にある時に、約5~約6の範囲内のpHを特徴とする、
医薬製剤。
【0122】
32.該製剤が、約210mOsmol/kg~約390mOsm/kgの範囲内の浸透圧を特徴とする、項1~31のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0123】
33.抗体の約5%未満が、該製剤中に凝集形態で存在する、項1~32のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0124】
34.該製剤が、無菌である、項1~33のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0125】
35.該製剤が、凍結及び融解時に安定である、項1~34のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0126】
36.該製剤が、水を含むか又は水により再構成される、項1~35のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0127】
37.該製剤が、液体状にある又は水により再構成された時に、約5~約6のpHを有する、項1~36のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0128】
38.該製剤が、液体状にある又は水により再構成された時に、約6のpHを有する、項1~37のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0129】
39.該製剤が、参照製剤と比較した場合、下記:
(i)有効期間の延長
(ii)より良好な温度安定性、
(iii)凝集体形成の減少、
(iv)より良好な化学的安定性、
(v)粘度の低下
からなる群より選択される少なくとも1つの特徴を有する、項1~37のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0130】
40.該製剤が、参照製剤と比較した場合、下記:
(a)高速サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)により測定された場合での凝集体の割合の低下、
(b)HP-SECにより測定された場合でのより高いモノマー割合、
(c)CEXにより測定された主ピークの割合が高い(チャージバリアントの劣化が少ない)、
(d)評価不能な(subvisible)粒子、10μm以上及び25μm以上の粒子の割合がより低い
(e)約40℃で保存された後のホルマジン比濁測定単位(FNU)における濁度値がより低い
からなる群より選択される少なくとも1つの特徴を有する、項1~37のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0131】
41.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、
I.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約15mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約80mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約100mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される、
医薬製剤。
【0132】
42.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0133】
43.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0134】
44.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0135】
45.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0136】
46.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0137】
47.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHは、約6.5である、
医薬製剤。
【0138】
48.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0139】
49.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約15mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0140】
50.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約80mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0141】
51.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約100mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0142】
52.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0143】
53.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0144】
54.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0145】
55.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0146】
56.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0147】
57.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0148】
58.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHは、約6.5である、
医薬製剤。
【0149】
59.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0150】
60.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約15mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0151】
61.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約80mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0152】
62.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約100mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHは、約6.0である、
医薬製剤。
【0153】
63.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHは、約5.5である、
医薬製剤。
【0154】
64.医薬製剤であって、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、
I.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される、
医薬製剤。
【0155】
65.医薬製剤であって、
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は
配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、
I.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される、
医薬製剤。
【0156】
第1又は第2の態様のいずれかに関連する実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。関連する実施態様では、該製剤は、20mg/mL 該抗体を含む。関連する実施態様では、該製剤は、150mg/mL 該抗体を含む。別の実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。関連する実施態様では、該製剤は、20mg/mL 該抗体を含む。関連する実施態様では、該製剤は、150mg/mL 該抗体を含む。
【0157】
第1又は第2の態様のいずれかに関連する実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。関連する実施態様では、該製剤は、20mg/mL 該抗体を含む。関連する実施態様では、該製剤は、150mg/mL 該抗体を含む。別の実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。関連する実施態様では、該製剤は、20mg/mL 該抗体を含む。関連する実施態様では、該製剤は、150mg/mL 該抗体を含む。
【0158】
第1又は第2の態様のいずれかに関連する実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。関連する実施態様では、該製剤は、20mg/mL 該抗体を含む。関連する実施態様では、該製剤は、150mg/mL 該抗体を含む。別の実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。関連する実施態様では、該製剤は、20mg/mL 該抗体を含む。関連する実施態様では、該製剤は、150mg/mL 該抗体を含む。
【0159】
第1又は第2の態様のいずれかに関連する実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。関連する実施態様では、該製剤は、20mg/mL 該抗体を含む。関連する実施態様では、該製剤は、150mg/mL 該抗体を含む。別の実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。関連する実施態様では、該製剤は、20mg/mL 該抗体を含む。関連する実施態様では、該製剤は、150mg/mL 該抗体を含む。
【0160】
第1又は第2の態様のいずれかに関連する実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート及び約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.5であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。別の実施態様では、該製剤は、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート及び約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.5であり、ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からなる。
【0161】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1又は第2の態様の医薬製剤を含むバイアル又はシリンジ又は装置(例えば、自動注射器又は針安全装置)を含む、医薬品を提供する。この態様に関連する実施態様では、該医薬品は、本発明の第1又は第2の態様のシリンジ(該医薬製剤を含むシリンジ)を備える、予め組み立てられた注射装置を含む。関連する実施態様では、予め組み立てられた注射装置は、自動注射器又は針安全装置である。
【0162】
第3の態様に関連する実施態様では、前記「予め組み立てられた注射装置」は、プランジャロッド及びフィンガフランジを有するシリンジ、針安全装置又は自動注射器のいずれかである。針安全装置は、起動時又は注射時に、注射部位から針を後退させる針保護機構を提供する。例えば、針安全装置は、ばねにより駆動される場合がある。自動注射器は、ある用量の薬剤、特に、注射可能な薬剤を送達するように設計された医療装置である。シリンジ、針安全装置及び自動注射器は、薬剤をバイアルから注射装置内に移す必要性(これは、面倒であり、多くの場合困難であり、特定のリスク(例えば、汚染又は誤用量)にさらされる工程である)を回避する。自動注射器及び針安全装置は、使用が容易であり、患者による自己投与又は訓練を受けていない職員による投与を意図している。自動注射器は、引き込み可能な針又は特定のシールドにより保護された針を有する。シリンジと比較して、それらは、取り扱いを容易にし、このため、傷害又は汚染のリスクを低減し、家庭での使用に適している。
【0163】
自動注射器は、針ベースの薬剤送達装置の自己投与に多くの場合関連する困難を克服するのにさらに役立ち、このため、患者のコンプライアンスを向上させ、これにより、次に、規定の用量計画に従って薬剤が定期的に投与されるのを確実にし、このため、治療の成功の可能性を向上させる。これは、多くの慢性疾患、例えば、自己免疫疾患又はターゲット化療法により慢性もしくはほぼ慢性に転換する多くのガン種における場合のように、反復処置を必要とする治療計画において特に重要である。
【0164】
さらに、このような適応症において、自動注射器及び針安全装置の場合のように、患者が自宅で自分自身を処置することができる場合に特に有益である。在宅処置は、用量計画が薬剤を送達するのを必要とする度に、患者が医療従事者を診る必要がないため、治療コストをさらに低下させ、患者のコンプライアンスを向上させる。本発明の実施態様では、前記自動注射器は、ばね付勢シリンジタイプのものである。このようなタイプは、シリンジに結合されたばね付勢針を収容する。別の実施態様では、前記自動注射器は、ガス噴射自動注射器タイプのものである。後者は、加圧ガスのシリンダーを含み、針を使用せずに皮膚を通して液体の微細ジェットを推進する。これは、自動注射器を再装填することができ、各種の異なる用量又は異なる薬剤を使用することができるという利点を有する。本発明の別の実施態様では、前記予め組み立てられた注射装置は、従来の自動注射器及び/又は湿式/乾式自動注射器からなる群より選択される。
【0165】
従来の自動注射器は、上記概説されたシリンジ(該医薬製剤が充填されたシリンジ)を備え、直接投与に使用することができる。湿式/乾式自動注射器(「液体乾式自動注射器」又は「二区画自動注射器」とも呼ばれる)は、医薬製剤又はその有効成分を、使用されるまで、(例えば、凍結乾燥された)乾燥した安定な形態で乾燥区画内に配置された状態に保つ二区画自動注射器である。投与前に、医薬製剤又はその有効成分は、溶媒を収容する第2の区画(「湿式区画」)への移送により再構成されるか又は第2の区画からの溶媒は、第1の区画に移送される。前記目的で、固体薬剤粉末を収容する乾式区画は、例えば、医薬製剤又はその有効成分が再構成される際に、溶媒により置き換えられるある体積の空気又は他のガスを収容することもできる。
【0166】
好ましくは、自動注射器は、使い捨ての自動注射器であり、単回使用のためのものである。本発明の文脈において、使用することができる適切な自動注射器は、Ypsomedにより製造された自動注射器を含む。これらは、単回投与装置、例えば、商標「LyoTwist」、「YpsoMate」、「YpsoJect」及び「VarioJect」で販売されている製品を含む。実施態様において、自動注射器の外側シェルは、ユーザの使いやすさ及び安全性を高めるようにカスタマイズされる。
【0167】
本発明の文脈において使用することができる他の適切な自動注射器は、SHLにより製造された自動注射器を含む。これらは、商標「Molly(商標)」、「DAI(商標)」、「DAI(商標)-RNS」、「DAI(商標)-R」、「SDI MIX+NIT(商標)」、「VSDI(商標)」、「PSDI(商標)」、「Naisa(商標)」及び「DCP(商標)(OEM)」で販売されている製品を含む。
【0168】
さらに好ましいタイプの自動注射器は、Becton Dickinsonにより製造されたPhysioject(商標)使い捨て自動注射器である。この従来のタイプの自動注射器は、皮下針を有する1~2mLの予備充填シリンジを保持し、組み立てが容易であり(2つの組立部品)、堅牢であり、目視検査のための大きな窓を有し、不正開封が明らかである。
【0169】
別の好ましいタイプの自動注射器は、Becton Dickinson(商標)により製造されたBDTM(商標)Liquid Dry Injector(商標)である。この湿式/乾式タイプの自動注射器により、患者が本発明の凍結乾燥医薬製剤を再構成し、注射することが可能となり、バイアル及びシリンジを取り扱う必要がない。
【0170】
さらに他の適切な自動注射器は、BespakInjectables(商標)により提供されるASITMauto(商標)注射器及びOTSTM(商標)自動注射器、Aqueo Future Injection technologies(商標)により提供されるSafeClick(商標)autoinjector(商標)並びにFuture Injection technologies(商標)により提供されるSafeClick(商標)-Lyo及びSafeClick(商標)-Viscoである。ただし、このリストは、限定するものではない。
【0171】
好ましくは、針安全装置は、使い捨ての針安全装置であり、単回使用のためのものである。本発明の文脈において、使用することができる適切な針安全装置は、Nemeraにより製造された針安全装置を含む。これらは、受動安全装置であるSafe’n’Sound(登録商標)として単回投与装置を含む。
【0172】
NemeraのSafe’n’Sound(登録商標)に関連する本発明の実施態様では、プランジャロッド及びフィンガフランジのカスタマイズにより、ユーザの取扱いが容易になる。
【0173】
本発明の文脈において使用される場合がある他の適切な受動針安全装置は、BDにより製造されたBD Previentis(商標)又はBD Ultrasafe(商標)を含む。
【0174】
更なる受動針安全装置は、例えば、Biocorp Newguard(商標)又はOwen Mumford Unisafe(商標)である。
【0175】
好ましくは、針安全装置は、使い捨ての針安全装置であり、単回使用のためのものである。本発明の文脈において、使用することができる適切な針安全装置は、Nemeraにより製造された針安全装置を含む。これらは、受動安全装置であるSafe’n’Sound(登録商標)として単回投与装置を含む。実施態様において、NemeraのSafe’n’Sound(登録商標)針安全装置は、ユーザのための使用及び取り扱いの容易性を高めるために、改造されたプランジャロッド及び/又はフィンガフランジを有する。
【0176】
本発明の文脈において使用される場合がある他の適切な受動針安全装置は、BDにより製造されたBD Previentis(商標)又はBD Ultrasafe(商標)を含む。
【0177】
更なる受動針安全装置は、例えば、Biocorp Newguard(商標)又はOwen Mumford Unisafe(商標)である。
【0178】
第3の態様に関連する本発明の別の実施態様では、注射装置は、予め充填されたシリンジであるか又はsyretteとしてのものである。syretteは、針を通して液体を注入するための装置である。syretteは、剛性のチューブ及びピストンの代わりに閉鎖された可撓性チューブを有することを除いて、シリンジと同様である。「予め充填されたシリンジ」という用語は、読んで字のごとくである。予め充填されたシリンジは、自動注射器と多くの利点を共有する。自動注射器と同様に、予め充填されたシリンジは、従来のシリンジ及び湿式/乾式シリンジ(二重区画シリンジとも呼ばれる)として入手可能である。シリンジは、例えば、Becton Dickinson(商標)、Nuova Ompi(商標)、Schott AG等により提供される。プランジャストッパーは、例えば、Becton Dickinson(商標)、West Pharmaceuticals(商標)等により提供される。予め充填されたシリンジの製造は、例えば、Boehringer Ingelheim(商標)、Vetter Pharma International等により提供される場合がある。
【0179】
第3の態様に関連する実施態様では、本発明は、下記:
(i)自動注射器(AI)-例えば、YpsoMate(登録商標)によるカスタムメイドモデル-下記を含む
a.単回投与AIにおける製剤容量 約2mL中の約300mg 該抗体、
b.単回投与AIにおける製剤容量 約1.5mL中の約225mg 該抗体、
c.単回投与AIにおける製剤容量 約1mL中の約150mg 該抗体、
d.単回投与AIにおける製剤容量 約0.5mL中の約75mg 該抗体もしくは
e.単回投与AIにおける製剤容量 約0.4mL中の約60mg 該抗体
(ii)針安全装置及び例えば、カスタマイズされたEFF及びPRを備えた予め充填されたシリンジ、下記を含む
a.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約2mL中の約300mg 該抗体、
b.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約1.5mL中の約225mg 該抗体、
c.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約1mL中の約150mg 該抗体、
d.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約0.5mL中の約75mg 該抗体もしくは
e.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約0.4mL中の約60mg 該抗体
又は
(iii)針安全装置を備えていない予め充填されたシリンジ、下記を含む
a.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約2mL中の約300mg 該抗体、
b.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約1.5mL中の約225mg 該抗体、
c.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約1mL中の約150mg 該抗体、
d.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約0.5mL中の約75mg 該抗体もしくは
e.単回投与の予め充填されたガラスシリンジにおける製剤容量 約0.4mL中の約60mg 該抗体
又は
(iv)バイアル、下記を含む
a.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約20mL中の約1200mg 該抗体、
b.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約15mL中の約900mg 該抗体、
c.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約10mL中の約600mg 該抗体、
d.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約7.5mL中の約450mg 該抗体、
e.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約5mL中の約300mg 該抗体、
f.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約2.5mL中の約150mg 該抗体もしくは
g.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約1.25mL中の約75mg 該抗体もしくは
h.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約1mL中の約60mg 該抗体もしくは
i.単回投与ガラスバイアルにおける製剤容量 約0.5mL中の約30mg 該抗体
又は
(v)注入バッグ、下記を含む
a.0.9% NaCl溶液 約100mL~500mL中の30mg~1200mg 該抗体
を含む各種の剤形及び強度で提供される、本明細書に開示された抗IL-36R抗体の製剤に関する。
【0180】
本発明の第3の態様に関連する種々の他の例又は実施態様は、便宜上、以下の番号付けされた項(66~77)として記載される。これらは、例として提供されるものであり、主題技術を限定するものではない。従属項はいずれも、任意の組み合わせで組み合わせることができ、各独立項、例えば、項64に入れることができることに留意されたい。他の項も、同様に表わすことができる。
【0181】
66.第1又は第2の態様の項のいずれか一項記載の医薬製剤を含む、
バイアル又はシリンジを含む医薬品。
【0182】
67.予め組み立てられた注射装置をさらに含む、項66記載の医薬品。
【0183】
68.予め組み立てられた注射装置が、自動注射器又は針安全装置を備えるかもしくは備えないシリンジである、項67記載の医薬品。
【0184】
69.第1又は第2の態様の項のいずれか一項記載の医薬製剤を含む、
予め組み立てられた注射装置。
【0185】
70.前記装置が、自動注射器又は針安全装置を備えるかもしくは備えないシリンジである、項69記載の予め組み立てられた注射装置。
【0186】
71.前記製剤が、静脈内投与、皮下投与又は筋肉内投与に適している、項69記載の予め組み立てられた注射装置。
【0187】
72.自動注射器又は針安全装置を備えるかもしくは備えないシリンジが、下記:
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬製剤を含み、
ここで、該製剤が、
I.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約15mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約80mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約100mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される、項70記載の予め組み立てられた注射装置。
【0188】
73.自動注射器又は針安全装置を備えるシリンジが、
a.製剤容量 約2mL中の約300mg 該抗体又は
b.製剤容量 約1.5mL中の約225mg 該抗体又は
c.製剤容量 約1mL中の約150mg 該抗体又は
d.製剤容量 約0.5mL中の約75mg 該抗体又は
e.製剤容量 約0.4mL中の約60mg 該抗体
を含む、項70記載の予め組み立てられた注射装置。
【0189】
74.バイアルが、
a.製剤容量 約20mL中の約1200mg 該抗体又は
b.製剤容量 約15mL中の約900mg 該抗体又は
c.製剤容量 約10mL中の約600mg 該抗体又は
d.製剤容量 約150mL中の約300mg 該抗体又は
e.製剤容量 約2.5mL中の約1500mg 該抗体
を含む、項66記載のバイアル。
【0190】
75.約100mg~1500mg 粉末状の抗IL-36R抗体を含むバイアルと、
抗IL-36R抗体の再構成のための説明書と、
注入のための再構成された抗体を調製するための説明書とを含み、
ここで、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125、126又は127のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み、
再構成説明書は、注射用水により1~50mLの抜取り容量に再構成することを要求する、
医薬品。
【0191】
76.該医薬製剤が、
a.約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲内の濃度で存在する抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、
b.約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在するバッファーと、
c.約100mM~約400mMの範囲内の濃度で存在する等張化剤とを含み、
ここで、該製剤が、水性形態にある時に、約5~約8の範囲内のpHを特徴とする、項66~68のいずれか一項記載の医薬品又は項69~73のいずれか一項記載の予め組み立てられた注射装置。
【0192】
77.該医薬製剤が、
d.約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲内の濃度で存在する抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントと、
e.約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在するバッファーと、
f.約100mM~約400mMの範囲内の濃度で存在する等張化剤とを含み、
ここで、該製剤が、水性形態にある時に、約5~約8の範囲内のpHを特徴とする、項1~10のいずれか一項記載の医薬製剤。
【0193】
第3の態様及び/又は項66~77に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。別の特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。
【0194】
第4の態様では、本発明は、a)細胞が抗体を細胞培養培地中に分泌するように、本明細書に開示された抗IL-36R抗体の軽鎖及び重鎖をコードする1種以上の核酸をゲノム内に安定に組み込まれたほ乳類細胞を培養し、細胞培養培地から抗体を精製することと、b)第1及び第2の態様に記載の製剤を調製することとを含む、本発明の医薬製剤を製造する方法に関する。関連する実施態様では、抗IL-36R抗体の軽鎖をコードする核酸は、配列番号:118をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、抗IL-36R抗体の重鎖をコードする核酸は、配列番号:125をコードするヌクレオチド配列を含む。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体の軽鎖をコードする核酸は、配列番号:118をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、抗IL-36R抗体の重鎖をコードする核酸は、配列番号:126をコードするヌクレオチド配列を含む。別の関連する実施態様では、抗IL-36R抗体の軽鎖をコードする核酸は、配列番号:118をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、抗IL-36R抗体の重鎖をコードする核酸は、配列番号:127をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0195】
第4の態様に関連する別の実施態様では、該製剤は、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、
I.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約15mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約80mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約100mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される。
【0196】
第4の態様に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。別の特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。
【0197】
第5の態様では、本発明は、バッファー系中の抗体と界面活性剤とを配合することと、抗体が配合された前後でのデータ(例えば、任意の抗体凝集)を評価することとを含む、本明細書に開示された抗IL-36R抗体の凝集及び/又は断片化を低減する方法に関する。第5の態様に関連する実施態様では、第1又は第2の態様の実施態様のいずれかの抗体が配合される。
【0198】
第5の態様に関連する実施態様では、該製剤は、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、
I.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約15mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約80mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約100mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される。
【0199】
第5の態様に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。別の特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。
【0200】
第6の態様では、本発明は、第1又は第2の態様のいずれかに記載の医薬製剤を含む少なくとも1つの容器と、第3の態様に記載の注射装置とを備える、パーツキットに関する。実施態様において、該パーツキットは、第1又は第2の態様に記載の医薬製剤を含む少なくとも1つの容器を含む。関連する実施態様では、該パーツキットは、第1又は第2の態様に記載の製剤を含有する1つ以上のバイアルと、対象への該製剤の皮下又は筋肉内投与のための説明書とを含む。本発明のパーツキット又は注射装置は、例えば、皮下投与に適合される。このような場合には、注射針は、好ましくは、≧10mm~≦100mmの長さ及び0.2mm~1mmのゲージ(ゲージ33~19)を有する。
【0201】
第6の態様に関連する実施態様では、該製剤は、
i.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
ii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は
iii.配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで、該製剤は、
I.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約15mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約80mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約100mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される。
【0202】
第6の態様に関連する実施態様では、注射装置は、自動注射器又は針安全装置を備える予め組み立てられた注射装置である。関連する実施態様では、自動注射器又は針安全装置はそれぞれ、(a)約2mLの総量中の約300mg 該抗体、(b)約1.5mLの総量中の約225mg 該抗体、(c)約1mLの総量中の約150mg 該抗体、(d)約0.5mLの総量中の約75mg 該抗体又は(e)約0.4mLの総量中の約60mg 該抗体を含む。
【0203】
本発明のさらに別の態様によれば、静脈内及び/又は皮下投与のための、本発明の製剤、本発明の予め組み立てられた注射装置又は本発明のキットパーツの使用が提供される。
【0204】
第6の態様に関連する実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。別の特定の実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖からなる。
【0205】
本発明のさらに別の態様によれば、自己免疫障害及び/又は悪性疾患からなる群より選択される少なくとも1種の疾患の処置のための、本発明の製剤、本発明の予め組み立てられた注射装置又は本発明のキットパーツの使用が提供される。前記定義に包含される自己免疫障害についての非限定的な例は、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患又は乾癬性関節炎、慢性閉塞性肺障害(COPD)、喘息、強皮症、掌底膿疱症、全身性膿疱性乾癬、アトピー性皮膚炎、糖尿病性腎症、ループス腎炎、強皮症、強直性脊椎炎、IL-36レセプターアンタゴニスト自己免疫疾患の欠損(DITRA)、IL-1レセプターアンタゴニスト自己免疫疾患の欠損(DIRA)又はクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、肺炎症、喘息、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、上皮炎症性障害、線維症及び強直性脊椎炎を含む。さらに好ましい実施態様では、該キットは、対象への製剤の皮下投与又は筋肉内投与のための説明書を含む。
【0206】
抗体
本発明の抗IL-36R抗体は、US第9,023,995号又はWO第2013/074569号に開示されている。各文献の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0207】
IL-36α、IL-36β及びIL-36γについてのメッセンジャーRNAは、複数の組織、特に、病原体に曝される内部上皮組織(internal epithelial tissue)又は皮膚において高発現される。興味深いことに、IL-36Ra及びIL-36αの発現は、IL-1β/TNF-α刺激ヒト角化細胞において顕著にアップレギュレーションされ、IL-36Ra及びIL-36γのmRNAは、病変乾癬皮膚において高度に増加する。さらに、IL-36γタンパク質産生は、TNF-α及びIFN-γ刺激後のヒト角化細胞において増強される。IL-36α mRNAとタンパク質発現の上昇は、慢性腎疾患でも報告された。まとめると、これらのデータから、IL-36α、IL-36β及びIL-36γを含むIL-36Rリガンドは、in vitro及びin vivoで炎症誘発作用を発揮し、IL-36Raは、天然アンタゴニストとして作用し、このため、IL-1/IL-1Ra系を模倣することが示されている。証拠から、IL-36Rリガンドは、炎症性疾患を含む多くの疾患状態に関与することが示唆される。本明細書に記載された抗IL-36R抗体は、IL36リガンド媒介シグナル伝達を低減し又は遮断し、このような状態又は疾患を処置するのに有用である。本発明の代表的な抗体の可変領域及びCDRを以下に開示する。
【0208】
抗IL-36Rマウス抗体配列
本発明の代表的なマウスリード抗体(マウスリード)の可変領域及びCDRを以下に示す。
【0209】
【表4】

【0210】
【表5】

【0211】
【表6】
【0212】
【表7】
【0213】
【表8】
【0214】
【表9】
【0215】
【表10】
【0216】
【表11】
【0217】
抗IL-36RマウスCDR配列
リードマウス抗体のCDR配列の概要を以下に示す。
【0218】
【表12】

【0219】
抗IL-36Rヒト化抗体配列
ヒトフレームワーク配列をフレームワーク相同性、CDR構造、保存されたカノニカル残基、保存された界面パッキング残基及びヒト化可変領域を生成するための他のパラメーターに基づいて、マウスリードについて選択した。
【0220】
抗体81B4及び73C5から得られる代表的なヒト化可変領域を以下に示す。
【0221】
【表13】

【0222】
【表14】

【0223】
上記示された抗体81B4及び73C5から得られたヒト化可変領域のCDR配列を以下に示す。
【0224】
【表15】
【0225】
【表16】
【0226】
【表17】
【0227】
【表18】
【0228】
【表19】
【0229】
【表20】
【0230】
一態様では、本発明の可変領域は、定常領域に連結されている。例えば、本発明の可変領域は、以下に示される定常領域に連結されて、抗体の重鎖又は軽鎖を形成する。
【0231】
【表21】
【0232】
本発明の代表的な軽鎖配列及び重鎖配列を以下に示す(定常領域に連結された抗体81B4及び73C5から得られたヒト化可変領域)。
【0233】
【表22】

【0234】
【表23】



【0235】
上記列記されたCDRは、Chothiaナンバリングシステム(Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273, 927-948)を使用して定義される。
【0236】
一態様では、本発明の抗体は、例えば、上記説明された3つの軽鎖CDR及び3つの重鎖CDRを含む。
【0237】
一態様では、本発明の抗体は、上記説明された軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む。一態様では、本発明の軽鎖可変領域は、軽鎖定常領域、例えば、カッパ又はラムダ定常領域に融合される。一態様では、本発明の重鎖可変領域は、重鎖定常領域、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG又はIgM、特に、IgG、IgG、IgG又はIgGに融合される。
【0238】
本発明は、配列番号:115のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体B1)を提供する。
【0239】
本発明は、配列番号:115のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体B2)を提供する。
【0240】
本発明は、配列番号:115のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体B3)を提供する。
【0241】
本発明は、配列番号:118のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体B4)を提供する。
【0242】
本発明は、配列番号:118のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体B5)を提供する。
【0243】
本発明は、配列番号:118のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体B6)を提供する。
【0244】
本発明は、配列番号:123のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体C3)を提供する。
【0245】
本発明は、配列番号:123のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:139のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体C2)を提供する。
【0246】
本発明は、配列番号:124のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL-36R抗体(抗体C1)を提供する。
【0247】
本発明の代表的な抗体を以下に示す。
【0248】
【表24】


【0249】
【表25】

【0250】
本発明の抗体は、ヒトにおける種々の疾患又は障害、例えば、免疫性、炎症性、自己免疫性疾患及び呼吸器疾患の処置のための方法に有用である。例えば、本発明の抗体は、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患又は乾癬性関節炎の処置のための方法に有用である。例えば、本発明の抗体は、慢性閉塞性肺障害(COPD)又は喘息の処置のための方法に有用である。例えば、本発明の抗体は、強皮症、掌底膿疱症、全身性膿疱性乾癬、糖尿病性腎症、ループス腎炎、強皮症、強直性脊椎炎、IL-36レセプターアンタゴニスト自己免疫疾患の欠損(DITRA)、IL-1レセプターアンタゴニスト自己免疫疾患の欠損(DIRA)又はクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)の処置のための方法に有用である。
【0251】
一部の態様では、ヒト化抗体は、遮断活性を示し、それによって、IL-36リガンドのIL-36レセプターへの結合を、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%減少させる。IL-36リガンドのIL-36レセプターへの結合を遮断する抗体の能力を、当技術分野において公知の競合的結合アッセイを使用して測定することができる。代替的には、抗体の遮断活性を、IL-36レセプターにより媒介されるシグナル伝達が阻害されたかどうかを決定するために、IL-36の生物学的効果、例えば、IL-8、IL-6及びGM-CSFの産生を評価することにより測定することができる。
【0252】
更なる態様では、本発明は、好ましい生物物理学的特性を有するヒト化抗IL-36R抗体を提供する。一態様では、本発明のヒト化抗IL-36R抗体は、バッファー中に、少なくとも90%モノマー形態又は少なくとも92% モノマー形態又は少なくとも95% モノマー形態で存在する。更なる態様では、本発明のヒト化抗IL-36R抗体は、バッファー中に、1か月間又は4か月間、少なくとも90% モノマー形態又は少なくとも92% モノマー形態又は少なくとも95% モノマー形態の状態にある。
【0253】
一態様では、本発明のヒト化抗体は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2又は抗体C3である。したがって、一実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:115の軽鎖配列及び配列番号:125の重鎖配列を含む(抗体B1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:115の軽鎖配列及び配列番号:126の重鎖配列を含む(抗体B2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:115の軽鎖配列及び配列番号:127の重鎖配列を含む(抗体B3)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:118の軽鎖配列及び配列番号:125の重鎖配列を含む(抗体B4)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:118の軽鎖配列及び配列番号:126の重鎖配列を含む(抗体B5)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:118の軽鎖配列及び配列番号:127の重鎖配列を含む(抗体B6)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:124の軽鎖配列及び配列番号:138の重鎖配列を含む(抗体C1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:123の軽鎖配列及び配列番号:139の重鎖配列を含む(抗体C2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:123の軽鎖配列及び配列番号:138の重鎖配列を含む(抗体C3)。
【0254】
更なる実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:115の軽鎖配列及び配列番号:125の重鎖配列からなる(抗体B1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:115の軽鎖配列及び配列番号:126の重鎖配列からなる(抗体B2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:115の軽鎖配列及び配列番号:127の重鎖配列からなる(抗体B3)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:118の軽鎖配列及び配列番号:125の重鎖配列からなる(抗体B4)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:118の軽鎖配列及び配列番号:126の重鎖配列からなる(抗体B5)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:118の軽鎖配列及び配列番号:127の重鎖配列からなる(抗体B6)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:124の軽鎖配列及び配列番号:138の重鎖配列からなる(抗体C1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:123の軽鎖配列及び配列番号:139の重鎖配列からなる(抗体C2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号:123の軽鎖配列及び配列番号:138の重鎖配列からなる(抗体C3)。
【0255】
一部の実施態様では、ヒト化抗IL-36R抗体(その抗原結合フラグメント、例えば、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む)は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2又は抗体C3から得られる残基のアミノ酸配列を含む。
【0256】
更なる実施態様では、本発明は、本発明の抗体、例えば、本明細書に記載された抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2又は抗体C3と、ヒトIL-36Rに競合的に結合する抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。IL-36Rに競合的に結合する抗体又は抗原結合フラグメントの能力を、当技術分野において公知の競合的結合アッセイを使用して測定することができる。
【0257】
ヒト化抗IL-36R抗体は、場合により、コンセンサス又は生殖系列フレームワーク領域に特定のアミノ酸置換を含む。これらのフレームワーク位置におけるアミノ酸残基の特定の置換により、ヒト生殖系列フレームワーク領域へのCDR又はHVLの「直接スワップ」により形成されるヒト化抗体において実証されるものより、結合親和性及び/又は安定性を含む抗体性能の種々の態様を改善することができる。
【0258】
一部の実施態様では、本発明は、配列番号:1~10のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する他のモノクローナル抗体を記載する。一部の実施態様では、本発明は、配列番号:11~20のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有する他のモノクローナル抗体を記載する。このようなCDRをヒトコンセンサス重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのFRに配置することにより、本発明の有用なヒト化抗体が得られるであろう。
【0259】
特に、本発明は、配列番号:1/11、2/12、3/13、4/14、5/15、6/16、7/17、8/18、9/19、10/20の軽鎖可変領域と重鎖可変領域との組み合わせを有するモノクローナル抗体を提供する。このような可変領域をヒト定常領域と組み合わせることができる。
【0260】
一部の実施態様では、本発明は、配列番号:76~86のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列を有する他のヒト化抗体を記載する。一部の実施態様では、本発明は、配列番号:87~101のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列を有する他のヒト化抗体を記載する。特に、本発明は、配列番号:77/89、80/88、80/89、77/87、77/88、80/87、86/100、85/101、85/100の軽鎖可変領域と重鎖可変領域との組み合わせを有するモノクローナル抗体を提供する。このような可変領域をヒト定常領域と組み合わせることができる。
【0261】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:77のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:77の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:89のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:89の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0262】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:80のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:80の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:88のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:88の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0263】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:80のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:80の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:89のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:89の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0264】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:77のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:77の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:87のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:87の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0265】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:77のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:77の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:88のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:88の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0266】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:80のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:80の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:87のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:87の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0267】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:86のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:86の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:100のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:100の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0268】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:85のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:85の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:101のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:101の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0269】
更なる実施態様では、本発明は、配列番号:85のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号:85の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域及び配列番号:100のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号:100の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも93%同一又は少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0270】
一部の特定の実施態様では、本明細書に開示されたヒト化抗IL-36R抗体は、本明細書に開示されたマウスモノクローナル抗体又はヒト化抗体のCDR又はHVL並びにヒト生殖系列重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのFRを含む、少なくとも重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインを含む。
【0271】
1つの更なる態様では、本発明は、配列番号:21~29のいずれか1つの軽鎖CDR1(L-CDR1)配列、配列番号:30~38のいずれか1つの軽鎖CDR2(L-CDR2)配列、配列番号:39~47のいずれか1つの軽鎖CDR3(L-CDR3)配列、配列番号:48~56のいずれか1つの重鎖CDR1(H-CDR1)配列、配列番号:57~66のいずれか1つの重鎖CDR2(H-CDR2)配列及び配列番号:67~75のいずれか1つの重鎖CDR3(H-CDR3)配列を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、上記列記されたL-CDR1、上記列記されたL-CDR2及び上記列記されたL-CDR3を含む軽鎖可変領域並びに上記列記されたH-CDR1、上記列記されたH-CDR2及び上記列記されたH-CDR3を含む重鎖可変領域を含む。
【0272】
更なる態様では、本発明は、下記:
a)それぞれ配列番号:21、30、39、48、57及び67のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
b)それぞれ配列番号:22、31、40、49、58及び68のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
c)それぞれ配列番号:23、32、41、50、59及び69のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
d)それぞれ配列番号:24、33、42、51、60及び70のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
e)それぞれ配列番号:25、34、43、52、61及び71のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
f)それぞれ配列番号:26、35、44、53、62及び72のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
g)それぞれ配列番号:27、36、45、54、63及び73のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
h)それぞれ配列番号:27、36、45、54、64及び74のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
i)それぞれ配列番号:27、36、45、54、64及び73のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
j)それぞれ配列番号:28、37、46、55、65及び74のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
k)それぞれ配列番号:29、38、47、56、66及び75のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0273】
更なる態様では、本発明は、下記:
a)それぞれ配列番号:26、103、44、53、62及び72のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
b)それぞれ配列番号:26、104、44、53、62及び72のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
c)それぞれ配列番号:27、36、45、107、63及び73のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列又は
d)それぞれ配列番号:27、36、45、107、64及び73のL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3配列
を含む抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0274】
一態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、上記列記されたL-CDR1、L-CDR2及びL-CDR3の組み合わせを含む軽鎖可変領域並びに上記列記されたH-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3の組み合わせを含む重鎖可変領域を含む。
【0275】
特定の実施態様では、これらの例示的な免疫グロブリンの間で、交換されたCDR領域(すなわち、例えば、1つのマウス抗体又はそれから得られたヒト化抗体の1つ又は2つのCDRを、別のマウス抗体又はそれから得られたヒト化抗体の類似のCDRにより交換)を有するキメラ抗体により、有用な抗体を産生することができることが企図される。
【0276】
特定の実施態様では、ヒト化抗IL-36R抗体は、抗体フラグメントである。種々の抗体フラグメントは、一般的には、上記検討されており、抗体フラグメントの産生のために開発された技術が存在する。フラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解消化により得ることができる(例えば、Morimoto et al., 1992, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117及びBrennan et al., 1985, Science 229:81を参照のこと)。代替的には、該フラグメントをリコンビナントホスト細胞中で直接産生することができる。例えば、Fab’-SHフラグメントをE. coliから直接的に回収することができ、化学的にカップリングさせて、F(ab’)フラグメントを形成することができる(例えば、Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167を参照のこと)。別のアプローチにより、F(ab’)フラグメントをリコンビナントホスト細胞培養物から直接分離することができる。抗体フラグメントの産生のための他の技術は、当業者に明らかであろう。したがって、一態様では、本発明は、本明細書に記載されたCDR、特に、本明細書に記載されたL-CDR1、L-CDR2、L-CDR3、H-CDR1、H-CDR2及びH-CDR3の組み合わせのうちの1つを含む抗体フラグメントを提供する。更なる態様では、本発明は、本明細書に記載された可変領域、例えば、本明細書に記載された軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の組み合わせのうちの1つを含む抗体フラグメントを提供する。
【0277】
特定の実施態様は、ヒト化抗IL-36R抗体のF(ab’)フラグメントを含み、これは、配列番号:125、126又は127の重鎖配列と組み合わせて、配列番号:115又は118のいずれかの軽鎖配列を含む。このような実施態様は、このようなF(ab’)を含むインタクトな抗体を含むことができる。
【0278】
特定の実施態様は、ヒト化抗IL-36R抗体のF(ab’)フラグメントを含み、これは、配列番号:138又は139の重鎖配列と組み合わせて、配列番号:123又は124のいずれかの軽鎖配列を含む。このような実施態様は、このようなF(ab’)を含むインタクトな抗体を含むことができる。
【0279】
一部の実施態様では、該抗体又は抗体フラグメントは、エフェクター機能を媒介する定常領域を含む。定常領域は、IL-36R発現ターゲット細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)応答を提供することができる。エフェクタードメインは、例えば、Ig分子のFc領域であることができる。
【0280】
抗体のエフェクタードメインは、任意の適切な脊椎動物種及びアイソタイプから得ることができる。異なる動物種のアイソタイプは、エフェクター機能を媒介する能力が異なる。例えば、CDC及びADCC/ADCPを仲介するヒト免疫グロブリンの能力は、一般的には、それぞれIgM≒IgG≒IgG>IgG>IgG及びIgG≒IgG>IgG/IgM/IgGの順序である。マウス免疫グロブリンは、CDC及びADCC/ADCPを一般的には、それぞれマウスIgM≒IgG>>IgG2b>IgG2a>>IgG及びIgG2b>IgG2a>IgG>>IgGの順で仲介する。別の例では、マウスIgG2aは、ADCCを媒介し、一方で、マウスIgG2a及びIgMの両方は、CDCを媒介する。
【0281】
ヒト化及びアミノ酸配列変異体
抗IL-36R抗体のアミノ酸配列変異体を、抗IL-36R抗体DNAに適切なヌクレオチド変化を導入することにより又はペプチド合成により調製することができる。このような変異体は、例えば、本明細書における例示の抗IL-36R抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失及び/又は同配列への挿入及び/又は同配列の置換を含む。欠失、挿入及び置換の任意の組み合わせは、最終構築物が所望の特徴を有することを条件として、最終構築物に到達するように行われる。また、アミノ酸変化は、ヒト化又は変異体抗IL-36R抗体の翻訳後プロセス、例えば、グリコシル化部位の数又は位置の変化を変化させることもできる。
【0282】
突然変異誘発のための好ましい位置である抗IL-36R抗体の特定の残基又は領域を特定に有用な方法は、Cunningham and Wells(Science, 244:1081-1085 (1989))に記載されている「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。同方法において、ターゲット残基の残基又は基が特定され(例えば、荷電残基、例えば、arg、asp、his、lys及びglu)、アミノ酸とIL-36R抗原との相互作用に影響を及ぼすように、中性又は負に荷電したアミノ酸(典型的には、アラニン)により置き換えられる。ついで、置換に対する機能的感受性を示すようなアミノ酸位置は、更なる又は他の変異を置換の部位において又は同部位について導入することにより精錬される。このようにして、アミノ酸配列変動を導入するための部位が予め決定されるが、突然変異自体の性質は予め決定する必要がない。例えば、所定の部位における突然変異の性能を分析するために、アラニンスキャニング又はランダム突然変異誘発をターゲットコドン又は領域において行い、発現された抗IL-36R抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
【0283】
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端融合及び/又はカルボキシル末端融合並びに1つ又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、エピトープタグに融合した抗IL-36R抗体を含む。抗IL-36R抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を伸ばす酵素又はポリペプチドの抗IL-36R抗体のN末端又はC末端への融合を含む。
【0284】
別のタイプの変異体は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体では、抗IL-36R抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、異なる残基がその位置に挿入されている。置換突然変異誘発に最も興味深い部位は、超可変領域を含むが、FR改変も企図される。保存的置換を「好ましい置換」の見出しで表Cに示す。このような置換により、生物学的活性における変化が生じる場合には、「例示的置換」と命名されるか又はアミノ酸クラスに関して以下にさらに記載されるより実質的な変化を導入し、生成物をスクリーニングすることができる。
【0285】
【表26】
【0286】
タンパク質化学において、抗体の生物学的特性を(a)置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えば、シート又は螺旋コンホメーション、(b)ターゲット部位における分子の電荷もしくは疎水性又は(c)側鎖の嵩を維持することに対するそれらの影響が明らかに異なる置換を選択することにより達成することができると一般的に受け入れられている。天然の残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループ分けされる。
【0287】
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gin、his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:gly、pro及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe
【0288】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスに交換することを含むであろう。
【0289】
また、ヒト化又は変異体抗IL-36R抗体の適切なコンホメーションを維持することに関与しない任意のシステイン残基を、分子の酸化安定性を改善するために、異常な架橋を防ぐために又は細胞傷害性もしくは細胞増殖抑制性化合物へのコンジュゲーションの確立された点を提供するために、一般的には、セリンにより置換することができる。逆に、システイン結合をその抗体に付加して、その安定性(特に、その抗体が、抗体フラグメント、例えば、Fvフラグメントである場合)を改善することができる。
【0290】
あるタイプの置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般的には、更なる開発のために選択された得られた変異体は、それらが生成された親抗体に対して改善された生物学的特性を有するであろう。このような置換変異体を生成するための便利な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟である。簡潔に、数個の超可変領域部位(例えば、6~7部位)を突然変異させて、各部位における全ての可能性のあるアミノ酸置換を生じさせる。このようにして生成された抗体変異体は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物に対する融合としてのフィラメント状ファージ粒子からの一価様式でディスプレイされる。ついで、ファージディスプレイされた変異体をそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。修飾用の候補超可変領域部位を特定するために、アラニンスキャニング突然変異誘発を行って、抗原結合に顕著に関与する超可変領域残基を特定することができる。代替的に又は付加的に、抗体とヒトIL-36Rとの間の接触点を特定するために、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析することが有益である場合がある。このような接触残基及び隣接残基は、本明細書に詳述された技術に従った置換のための候補である。このような変異体が生成されると、変異体のパネルを本明細書に記載されたスクリーニングに供し、1つ以上の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体を更なる開発のために選択することができる。
【0291】
抗体の別のタイプのアミノ酸変異体は、抗体の元のグリコシル化パターンを変化させる。「変化させる」は、抗体中に見出される1つ以上の炭水化物部分を欠失させること及び/又は抗体に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することを意味する。
【0292】
一部の実施態様では、グリコシル化部位を付加するように、本発明の抗体を修飾するのが望ましい場合がある。抗体のグリコシル化は、典型的には、N-結合又はO-結合いずれかである。N-結合は、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖への付着を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(ここで、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付着のための認識配列である。このため、これらのトリペプチド配列のいずれかがポリペプチド中に存在すると、可能性あるグリコシル化部位が形成される。O-結合グリコシル化は、糖であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース又はキシロースのうちの1つのヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリン又はスレオニンへの付着を指す。ただし、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリシンを使用することもできる。このため、所定のタンパク質、例えば、抗体をグリコシル化するために、このタンパク質のアミノ酸配列は、上記されたトリペプチド配列(N-結合グリコシル化部位用)のうちの1つ以上を含有するように操作される。この変化を、1つ以上のセリン又はスレオニン残基の元の抗体の配列(O-結合グリコシル化部位用)への付加又は同残基による置換により行うこともできる。
【0293】
抗IL-36R抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野において公知の各種の方法により調製される。これらの方法は、天然ソース(天然のアミノ酸配列変異体の場合)からの単離又はオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発による調製、PCR突然変異誘発及び予め調製された変異体又は非変異体版の抗IL-36R抗体のカセット突然変異誘発を含むが、これらに限定されない。
【0294】
ポリヌクレオチド、ベクター、ホスト細胞及びリコンビナント法
他の実施態様は、ヒト化抗IL-36R抗体をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含むベクター及びホスト細胞並びにヒト化抗体の製造のためのリコンビナント技術を包含する。単離されたポリヌクレオチドは、例えば、全長モノクローナル抗体、Fab、Fab’、F(ab’)及びFvフラグメント、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子並びに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含む、任意の所望の形態の抗IL-36R抗体をコードすることができる。
【0295】
一部の実施態様は、配列番号:1~10のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの軽鎖可変領域をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む。一部の実施態様は、配列番号:11~20のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの重鎖可変領域をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0296】
一部の実施態様は、配列番号:76~86のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの軽鎖可変領域をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む。一部の実施態様は、配列番号:87~101のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの重鎖可変領域をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0297】
一部の実施態様は、配列番号:114~124のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体の軽鎖をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む。一部の実施態様は、配列番号:125~139のアミノ酸配列を有する抗体の重鎖をコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0298】
一態様では、単離されたポリヌクレオチド配列は、配列番号:115及び配列番号:127それぞれ、配列番号:118及び配列番号:126それぞれ、配列番号:118及び配列番号:127それぞれ、配列番号:115及び配列番号:125それぞれ、配列番号:115及び配列番号:126それぞれ、配列番号:118及び配列番号:125それぞれ、配列番号:124及び配列番号:138それぞれ、配列番号:123及び配列番号:139それぞれ、配列番号:123及び配列番号:138それぞれのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする。
【0299】
ヒト化抗IL-36R抗体又はそのフラグメントもしくは鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドを当技術分野において公知であるように、1つ以上のレギュラトリー配列又は制御配列に融合させることができ、当技術分野において公知であるように、適切な発現ベクター又はホスト細胞に含ませることができる。重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド分子をそれぞれ、定常ドメイン、例えば、ヒト定常ドメインをコードするポリヌクレオチド配列に独立して融合させることができ、これにより、インタクトな抗体の産生が可能となる。代替的には、ポリヌクレオチド又はその一部同士を融合させることができ、これにより、一本鎖抗体の産生のためのテンプレートを提供することができる。
【0300】
リコンビナント産生のために、抗体をコードするポリヌクレオチドは、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製可能なベクターに挿入される。リコンビナント抗体を発現するための多くの適切なベクターが利用可能である。ベクターコンポーネントは、一般的には、下記:シグナル配列、複製起点、1種以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター及び転写終結配列のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0301】
また、ヒト化抗IL-36R抗体を融合ポリペプチドとして産生することができる。この融合ポリペプチドにおいて、抗体は、異種ポリペプチド、例えば、シグナル配列又は成熟タンパク質もしくはポリペプチドのアミノ末端に特異的開裂部位を有する他のポリペプチドと融合している。選択される異種シグナル配列は、典型的には、ホスト細胞により認識され、プロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼにより開裂される)ものである。ヒト化抗IL-36R抗体のシグナル配列を認識し、プロセシングしない原核生物ホスト細胞については、シグナル配列を原核生物シグナル配列により置換することができる。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、リポタンパク質、熱安定性エンテロトキシンIIリーダー等であることができる。酵母分泌のために、天然シグナル配列を例えば、酵母インベルターゼアルファ因子から得られるリーダー配列(Saccharomyces及びKluyveromycesのα因子リーダーを含む)、酸性ホスファターゼ、C.albicansのグルコアミラーゼ又はWO第90/13646号に記載されているシグナルにより置換することができる。ほ乳類細胞において、ほ乳類シグナル配列及びウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルを使用することができる。このような前駆体領域についてのDNAは、ヒト化抗IL-36R抗体をコードするDNAにリーディングフレームにおいてライゲーションされる。
【0302】
発現ベクター及びクローニングベクターは、ベクターが1つ以上の選択されたホスト細胞において複製するのを可能にする核酸配列を含有する。一般的には、クローニングベクターにおいて、この配列は、ベクターがホストの染色体DNAとは無関係に複製するのを可能にするものであり、複製起点又は自律複製配列を含む。このような配列は、各種の細菌、酵母及びウイルスについて周知である。プラスミドpBR322からの複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に適しており、2-νプラスミド起点は、酵母に適しており、種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV及びBPV)は、ほ乳類細胞におけるベクターのクローニングに有用である。一般的には、複製起点のコンポーネントは、ほ乳類発現ベクターには必要でない(SV40起点のみを、典型的に使用することができる。SV40起点は、初期プロモーターを含有するためである)。
【0303】
発現ベクター及びクローニングベクターは、発現の特定を容易にするための選択マーカーをコードする遺伝子を含有することができる。典型的な選択マーカーの遺伝子は、抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートもしくはテトラサイクリンに対する抵抗性を付与するタンパク質又は代替的には、補完的な栄養要求性欠損であるタンパク質又は他の代替物において、複雑な培地に存在しない特定の栄養素を供給するタンパク質、例えば、BacillusのためのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子をコードする。
【0304】
選択スキームの一例は、ホスト細胞の増殖を停止させる薬剤を利用する。異種遺伝子で成功裏にトランスフォーメーションされたそれらの細胞は、薬剤抵抗性を付与するタンパク質を産生し、このため、選択計画を生き延びる。このような優性選択の例は、薬剤であるネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンを使用する。ほ乳類細胞のための一般的な選択マーカーは、ヒト化抗IL-36R抗体をコードする核酸を取り込む細胞コンピテントの特定を可能にするもの、例えば、DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン-I及びII(例えば、霊長類のメタロチオネイン遺伝子)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等である。まず、DHFR選択遺伝子によりトランスフォーメーションされた細胞を、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地中でトランスフォーマントの全てを培養することにより特定する。野生型DHFRを利用する場合の適切なホスト細胞は、DHFR活性を欠損するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系統(例えば、DG44)である。
【0305】
代替的には、抗IL-36R抗体、野生型DHFRタンパク質及び別の選択マーカー、例えば、アミノグリコシド 3’-ホスホトランスフェラーゼ(APH)をコードするDNA配列によりトランスフォーメーションされ又は同時トランスフォーメーションされたホスト細胞(特に、内因性DHFRを含有する野生型ホスト)を、選択マーカーのための選択剤、例えば、アミノグリコシド系抗生物質、例えば、カナマイシン、ネオマイシン又はG418を含有する培地中での細胞増殖により選択することができる。例えば、US第4,965,199号を参照のこと。
【0306】
リコンビナント産生をホスト細胞として酵母細胞において行う場合、酵母プラスミドYRp7に存在するTRP1遺伝子(Stinchcomb et al., 1979, Nature 282: 39)を選択マーカーとして使用することができる。TRP1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠く酵母の突然変異株、例えば、ATCC No.44076又はPEP4-1(Jones, 1977, Genetics 85:12)のための選択マーカーを提供する。ついで、酵母ホスト細胞ゲノムにおけるtrp1損傷の存在により、トリプトファンの不存在下での増殖によりトランスフォーメーションを検出するのに効果的な環境が提供される。同様に、Leu2p欠損酵母株、例えば、ATCC 20,622及び38,626は、LEU2遺伝子を有する公知のプラスミドにより補完される。
【0307】
加えて、1.6μmの環状プラスミドpKD1由来のベクターを、Kluyveromyces酵母のトランスフォーメーションに使用することができる。代替的には、リコンビナント子牛キモシンの大規模生産のための発現系が、K. lactisについて報告された(Van den Berg, 1990, Bio/Technology 8:135)。Kluyveromycesの工業用株による成熟リコンビナントヒト血清アルブミンの分泌のための安定なマルチコピー発現ベクターも開示されている(Fleer et al., 1991, Bio/Technology 9:968-975)。
【0308】
発現ベクター及びクローニングベクターは、通常、ホスト生物により認識され、抗IL-36R抗体又はそのポリペプチド鎖をコードする核酸分子に操作可能に連結されたプロモーターを含有する。原核生物ホストと共に使用するのに適したプロモーターは、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系及びハイブリッドプロモーター、例えば、tacプロモーターを含む。他の公知の細菌プロモーターも適切である。また、細菌系に使用するためのプロモーターも、ヒト化抗IL-36R抗体をコードするDNAに操作可能に連結されたShine-Dalgarno(S.D.)配列を含有するであろう。
【0309】
多くの真核生物のプロモーター配列が公知である。実質的に全ての真核遺伝子は、転写が開始される部位から約25~30塩基上流に位置する高AT含有領域を有する。多くの遺伝子の転写開始点から70~80塩基上流に見出される別の配列は、CNCAAT領域(ここで、Nは、任意のヌクレオチドであることができる)である。ほとんどの真核生物遺伝子の3’末端には、コーディング配列の3’末端にポリAテイルを付加するためのシグナルとなることができるAATAAA配列がある。これらの配列は全て、真核生物発現ベクターに適切に挿入される。
【0310】
酵母ホストと共に使用するのに適したプロモーター配列の例は、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の解糖系酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ及びグルコキナーゼのためのプロモーターを含む。
【0311】
誘引性プロモーターは、増殖条件により制御される転写という更なる利点を有する。これらは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する誘導体酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ並びにマルトース及びガラクトース利用を担う酵素のための酵母プロモーター領域を含む。酵母での発現に使用するのに適したベクター及びプロモーターは、EP第73,657号にさらに記載されている。また、酵母エンハンサーも、酵母プロモーターと共に有利に使用される。
【0312】
ほ乳類ホスト細胞におけるベクターからのヒト化抗IL-36R抗体転写は、例えば、ウイルス、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びシミアンウイルス40(SV40)のゲノムから、異種ほ乳類プロモーター、例えば、アクチンプロモーターもしくは免疫グロブリンプロモーターから又はヒートショックプロモーターから得られるプロモーターにより制御される。ただし、このようなプロモーターは、ホスト細胞系と適合性であることが条件である。
【0313】
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点も含有するSV40制限断片として都合良く得られる。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として都合良く得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを使用してほ乳類ホスト中でDNAを発現させるための系が、US第4,419,446号に開示されている。この系の改変は、US第4,601,978号に記載されている。単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトp-インターフェロンcDNAの発現が開示されている、Reyes et al., 1982, Nature 297:598-601も参照のこと。代替的には、ラウス肉腫ウイルス長末端反復配列をプロモーターとして使用することができる。
【0314】
リコンビナント発現ベクターに使用することができる別の有用なエレメントは、エンハンサー配列であり、これは、高等真核生物によるヒト化抗IL-36R抗体をコードするDNAの転写を向上させるのに使用される。現在、多くのエンハンサー配列が、ほ乳類の遺伝子(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインシュリン)から公知である。ただし、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用される。例は、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100~270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーを含む。真核生物プロモーターの活性化のための増強エレメントの説明については、Yaniv, 1982, Nature 297:17-18も参照のこと。エンハンサーを、ヒト化抗IL-36R抗体をコードする配列に対して5’又は3’位でベクター内にスプライシングさせることができるが、好ましくは、プロモーターから5’位に位置する。
【0315】
また、真核生物のホスト細胞(酵母、菌類、昆虫、植物、動物、ヒト又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に使用される発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含有することもできる。このような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5’及び場合によりは3’非翻訳領域から一般的に入手できる。これらの領域は、抗IL-36R抗体をコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結コンポーネントは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO第94/11026号及びそこに開示された発現ベクターを参照のこと。一部の実施態様では、ヒト化抗IL-36R抗体を、CHEF系を使用して発現させることができる(例えば、US第5,888,809号を参照のこと。その開示は、本明細書に参照により組み入れられる)。
【0316】
本明細書におけるベクター中のDNAをクローニングし又は発現するのに適したホスト細胞は、上記された原核生物、酵母又は高等真核生物細胞である。この目的に適した原核生物は、真正細菌、例えば、グラム陰性又はグラム陽性生物、例えば、腸内細菌科、例えば、Escherichia、例えば、E. Coli、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella、例えば、Salmonella typhimurium、Serratia、例えば、Serratia marcescans及びShigella並びにBacilli、例えば、B. Subtilis及びB. Licheniformis(例えば、DD 266,710 published Apr. 12, 1989に開示されているB. licheniformis 41 P)、Pseudomonas、例えば、P. Aeruginosa及びStreptomycesを含む。1つの好ましいE. coliクローニングホストは、E. coli 294(ATCC 31,446)であるが、他の株、例えば、E. coli B, E. coli X1776(ATCC 31,537)及びE. coli W3110(ATCC 27,325)が適切である。これらの例は、限定ではなく例示である。
【0317】
原核生物に加えて、真核微生物、例えば、糸状菌又は酵母は、ヒト化抗IL-36R抗体コードベクターに適したクローニング又は発現ホストである。Saccharomyces cerevisiae又は一般的なパン酵母は、下等真核生物のホスト微生物の中で最も一般的に使用される。ただし、多くの他の属、種及び株、例えば、Schizosaccharomyces pombe;Kluyveromycesホスト、例えば、K. Lactis、K. fragilis(ATCC 12,424)、K. bulgaricus(ATCC 16,045)、K. wickeramii(ATCC 24,178)、K. waltii(ATCC 56,500)、K. drosophilarum(ATCC 36,906)、K. thermotolerans及びK.marxianus等;yarrowia(EP第402,226号);Pichia pastors(EP第183,070号);Candida;Trichoderma reesia(EP第244,234号);Neurospora crassa;Schwanniomyces、例えば、Schwanniomyces occidentalis;及び糸状菌、例えば、Neurospora、Penicillium、Tolypocladium及びAspergillus ホスト、例えば、A. nidulans及びA. niger等が、一般的に利用可能であり、本明細書において有用である。
【0318】
グリコシル化されたヒト化抗IL-36R抗体の発現に適したホスト細胞は、多細胞生物から得られる。無脊椎動物細胞の例は、例えば、多くのバキュロウイルス株及び変異体並びにSpodoptera frugiperda(毛虫)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)及びBombyx mori(カイコ)等のホスト由来の対応する許容昆虫ホスト細胞を含む、植物及び昆虫細胞を含む。トランスフェクションのための各種のウイルス株、例えば、Autographa californica NPVのL-1変異体及びBombyx mori NPVのBm-5株が公衆に利用可能であり、このようなウイルスは、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションに使用することができる。
【0319】
綿花、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト及びタバコの植物細胞培養物も、ホストとして利用することができる。
【0320】
別の態様では、ヒト化抗IL-36Rの発現は、脊椎動物細胞において行われる。培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は、ルーチンな手法となっており、技術は、広く利用可能である。有用なほ乳類ホスト細胞系統の例は、SV40によりトランスフェクションされたサル腎臓CV1系統(COS-7、ATCC CRL1651)、懸濁培養での増殖のためにサブクローン化されたヒト胚性腎臓系統(293又は293細胞)(Graham et al., 1977, J. Gen Virol. 36: 59)、ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR1(CHO、Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216;DG44)、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, 1980, Biol. Reprod. 23:243-251)、サル腎細胞(CV1 ATCC CCL70)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸ガン細胞(HELA、ATCC CCL2)、イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL34)、バッファローラット肝細胞(BRL3A、ATCC CRL1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75)、ヒト肝細胞(Hep G2、HB8065)、マウス乳腺腫瘍(MMT060562、ATCC CCL51)、TR1細胞(Mather et al., 1982, Annals N.Y. Acad. Sci. 383: 44-68)、MRC5細胞、FS4細胞及びヒト肝ガン系統(Hep G2)である。
【0321】
ホスト細胞をヒト化抗IL-36R抗体産生のための上記された発現ベクター又はクローニングベクターでトランスフェクションし、プロモーターを誘引し、トランスフォーマントを選択し又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適切に修飾された従来の栄養培地中で培養する。
【0322】
本明細書に記載されたヒト化抗IL-36R抗体を産生するのに使用されるホスト細胞は、各種の培地中で培養することができる。市販の培地、例えば、Ham’s F10(Sigma-Aldrich Co., St. Louis, Mo.)、最小必須培地((MEM)、(Sigma-Aldrich Co.)、RPMI-1640(Sigma-Aldrich Co.)及びDulbecco修飾イーグル培地((DMEM)、Sigma-Aldrich Co.は、ホスト細胞を培養するのに適している。加えて、ホスト細胞のための培養培地として、Ham et al., 1979、Meth. Enz. 58: 44、Barnes et al., 1980、Anal. Biochem. 102: 255、US第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、同第4,560,655号、同第5,122,469号、WO第90/103430号及び同第87/00195号のうちの1つ以上に記載されている培地のいずれかを使用することができる。これらの培地はいずれも、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えば、インスリン、トランスフェリン又は上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びホスファート)、バッファー(例えば、HEPES)、ヌクレオチド(例えば、アデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン)、微量元素(マイクロモル濃度範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)並びにグルコース又は同等のエネルギー源を補充することができる。他のサプリメントも、当業者に公知であるであろう適切な濃度で含ませることができる。培養条件、例えば、温度、pH等は、発現のために選択されたホスト細胞について以前から使用されているものであり、当業者に明らかであろう。
【0323】
リコンビナント技術を使用する場合、抗体を細胞内、ペリプラズム空間内に産生することができ又は培地中に直接分泌することができる。抗体が、細胞内で産生される場合、細胞を第1の工程として、タンパク質を放出するために破壊することができる。ホスト細胞又は溶解した断片のいずれかである粒子状デブリを例えば、遠心分離又は限外濾過により除去することができる。Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167には、E. coliのペリプラズム空間に分泌される抗体を単離するための手法が記載されている。簡潔に、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA及びフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在下で約30分かけて融解する。細胞デブリを遠心分離により除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、このような発現系からの上清は、一般的にはまず、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して濃縮される。プロテアーゼインヒビター、例えば、PMSFを、タンパク質分解を阻害するために、前述の工程のいずれかに含ませることができ、抗生物質を、外来性の汚染物質の増殖を防止するために含ませることができる。各種の方法を、ホスト細胞から抗体を単離するのに使用することができる。
【0324】
細胞から調製された抗体組成物を例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析及びアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製することができる。ここで、アフィニティークロマトグラフィーは、典型的な精製技術である。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプにより決まる。プロテインAは、ヒトガンマ1、ガンマ2又はガンマ4重鎖に基づく抗体を精製するのに使用することができる(例えば、Lindmark et al., 1983 J. Immunol. Meth. 62:1-13を参照のこと)。プロテインGは、全てのマウスのアイソタイプ及びヒトガンマ3に推奨されている(例えば、Guss et al., 1986 EMBO J. 5:1567-1575を参照のこと)。親和性リガンドが付着するマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。機械的に安定なマトリックス、例えば、孔制御ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンにより、アガロースで達成することができるより速い流速及び短いプロセス時間が可能となる。抗体が、CH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker, Phillipsburg, N.J.)が、精製に有用である。タンパク質精製のための他の技術、例えば、イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)でのヘパリンSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE及び硫酸アンモニウム沈殿も、回収される抗体に応じて利用可能である。
【0325】
任意の予備精製工程に続けて、目的の抗体及び汚染物質を含む混合物は、約2.5~4.5の間のpHで溶出バッファーを使用する低pH疎水性相互作用クロマトグラフィー(典型的には、低塩濃度(例えば、約0~0.25M 塩)で行われる)に供することができる。
【0326】
本発明の抗体又は抗体フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチド配列により表わされるヌクレオチド配列の全部又は一部(例えば、可変領域をコードする部分)に、本明細書で定義された低、中及び高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸も含まれる。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、典型的には、少なくとも15(例えば、20、25、30又は50)ヌクレオチド長である。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、抗IL-36Rポリペプチド(例えば、重鎖又は軽鎖可変領域)又はその相補鎖をコードする核酸の一部又は全部の配列と、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%同一である。本明細書に記載されたタイプのハイブリダイズする核酸を例えば、クローニングプローブ、プライマー、例えば、PCRプライマー又は診断プローブとして使用することができる。
【0327】
治療的使用
別の実施態様では、本明細書に開示されたヒト化抗IL-36R抗体は、本明細書に記載されたIL-36Rの発現に関連する種々の障害の処置に有用である。IL-36R関連障害を処置するための方法は、治療上有効量のヒト化抗IL-36R抗体を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0328】
ヒト化抗IL-36R抗体又は薬剤は、非経口、皮下、肺内及び鼻腔内を含む任意の適切な手段により投与され、所望であれば、局所免疫サプレッション処置、病変内投与(移植前に移植片に抗体を潅流させるか又は何等かの方法で移植片を抗体と接触させることを含む)のために投与される。ヒト化抗IL-36R抗体又は薬剤を例えば、注入又はボーラスとして投与することができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内又は皮下投与を含む。加えて、ヒト化抗IL-36R抗体は、特に、抗体の用量を減少させるパルス注入により適切に投与される。一態様では、用量は、投与が短期間であるか又は慢性的であるかに部分的に応じて、注射、最も好ましくは、静脈内注射又は皮下注射により与えられる。
【0329】
疾患の予防又は治療のために、抗体の適切な用量は、各種の要因、例えば、上記定義された処置される疾患の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、以前の治療、患者の既往歴及び抗体に対する反応並びに主治医の裁量により決まるであろう。抗体は、一度に又は一連の処置にわたって患者に適切に投与される。
【0330】
疾患の種類及び重症度に応じて、約1μg/kg~20mg/kg(例えば、0.1~15mg/kg) 抗体は、例えば、1回以上の別々の投与によるか又は連続注入によるかにかかわらず、患者への投与のための最初の候補用量である。典型的な日量は、上記言及された要因に応じて、約1μg/kg~100mg/kg以上の範囲であることができる。数日以上にわたる反復投与については、状態に応じて、疾患症状の所望のサプレッションが生じるまで、処置が持続される。ただし、他の用量計画が有用である場合がある。この治療の進行は、従来的な技術及びアッセイにより容易にモニターされる。例示的な用量計画は、WO第94/04188号に開示されているものである。
【0331】
「サプレッション」という用語は、本明細書において、「改善」及び「緩和」と同じ文脈で使用され、疾患の1つ以上の特徴の減少を意味する。
【0332】
抗体組成物は、良好な医学的実践と一致する様式で配合され、投薬され、投与されるであろう。この文脈において考慮すべき要因は、処置される特定の障害、処置される特定のほ乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング及び医師に公知の他の要因を含む。投与される抗体の「治療上有効量」は、このような考慮事項により決定され、IL-36R発現に関連する障害を予防し、改善し又は治療するのに必要な最少量である。
【0333】
抗体は、当該障害を予防し又は治療するのに現在使用されている1つ以上の薬剤と配合される必要はないが、場合により配合される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するヒト化抗IL-36R23p19抗体の量、障害又は処置の種類及び上記検討された他の要因により決まる。これらは、一般に、これまで使用されてきたのと同じ用量及び投与経路で又はこれまで利用されてきた用量の約1~99%で使用される。
【0334】
抗体製剤による処置
一実施態様では、本発明は、本明細書に記載された製剤を、疾患又は障害を治療するのに有効な量で対象に投与することを含む、対象における疾患又は障害を処置する方法を提供する。
【0335】
本発明の抗体製剤は、ヒトにおける種々の疾患又は障害、例えば、免疫性、炎症性、自己免疫性疾患及び呼吸器疾患の処置のための方法に有用である。例えば、本発明の抗体製剤は、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患又は乾癬性関節炎の処置のための方法に有用である。例えば、本発明の抗体製剤は、慢性閉塞性肺障害(COPD)又は喘息の処置のための方法に有用である。例えば、本発明の抗体製剤は、強皮症、掌底膿疱症、全身性膿疱性乾癬、糖尿病性腎症、ループス腎炎、強皮症、強直性脊椎炎、IL-36レセプターアンタゴニスト自己免疫疾患の欠損(DITRA)、IL-1レセプターアンタゴニスト自己免疫疾患の欠損(DIRA)又はクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)の処置のための方法に有用である。
【0336】
IL-36R結合剤(例えば、抗IL-36R抗体)を含む製剤を免疫学的障害、呼吸器障害又はガンを有するか又は有するリスクがある対象に投与することができる。本発明は、ガン、呼吸器障害又は免疫学的障害の予防又は治療のための医薬の製造における、IL-36R結合剤(例えば、抗IL-36R抗体)の使用をさらに提供する。本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、IL-36R結合剤を投与することができる任意のほ乳類患者を意味し、例えば、ヒト及び非ヒトほ乳類、例えば、霊長類、げっ歯類及びイヌを含む。本明細書に記載された方法を使用する処置に特に意図される対象は、ヒトを含む。該抗体又は薬剤は、免疫障害、呼吸器障害又はガンの予防又は治療において、単独で又は他の組成と組み合わせてのいずれかで投与することができる。該抗体又は薬剤と組み合わせて投与することができるこのような組成は、メトトレキサート(MTX)及び免疫モデュレーター、例えば、抗体又は小分子を含む。
【0337】
一態様では、本発明は、対象における疾患又は状態(例えば、上記列記されたもの)を処置する方法に関する。該方法は、治療量の、約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM~約80mM 薬学的に許容し得るバッファー(例えば、アセタートバッファー)、約100mM~約250mM 薬学的に許容し得る等張化剤(例えば、スクロース)、約0mM~約80mM 薬学的に許容し得る安定化剤(例えば、アルギニン)又はその薬学的に許容し得る塩、約0~約150mM 薬学的に許容し得る塩(例えば、塩化ナトリウム)及び約0.1g/L~約1.5g/Lの量での薬学的に許容し得る界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む安定な医薬製剤を対象に投与することを含み、ここで、疾患又は状態が処置される。関連する実施態様では、安定な医薬製剤は、水性医薬製剤である。関連する実施態様では、水性医薬製剤のpHは、約5~約7である。関連する実施態様では、該医薬製剤は、対象への静脈内投与のためのものである。関連する実施態様では、該医薬製剤は、対象への皮下投与のためのものである。関連する実施態様では、静脈内投与のための該医薬製剤は、抗IL-36R抗体を約60mg/mLの量で含む。関連する実施態様では、皮下投与のための該医薬製剤は、抗IL-36R抗体を約150mg/mLの量で含む。関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、(i)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は(ii)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は(iii)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0338】
一実施態様では、先の態様のいずれか記載の処置方法は、治療量の、下記:
I.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約20mg/mL~約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される安定な医薬製剤を対象に投与することを含み、ここで、疾患又は状態が処置される。関連する実施態様では、安定な医薬製剤は、水性医薬製剤である。関連する実施態様では、該医薬製剤は、対象への静脈内投与のためのものである。関連する実施態様では、該医薬製剤は、対象への皮下投与のためのものである。関連する実施態様では、静脈内投与のための該医薬製剤は、抗IL-36R抗体を約60mg/mLの量で含む。関連する実施態様では、皮下投与のための該医薬製剤は、抗IL-36R抗体を約150mg/mLの量で含む。関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、(i)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は(ii)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は(iii)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0339】
一実施態様では、先の態様のいずれか記載の処置方法は、治療量の、下記:
I.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約40mM ヒスチジン、約120mM スクロース、約50mM L-アルギニン、約5mM NaCl及び約1.0g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
II.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
III.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約180mM スクロース、約25mM グリシン、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約5.5の製剤、
IV.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約150mM トレハロース、約25mM メチオニン、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
V.約60mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM ヒスチジン、約160mM スクロース、約20mM マンニトール、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約6.0の製剤、
VI.約20mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM シトラート、約200mM スクロース、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.5の製剤、
VII.約150mg/mL 抗IL-36R抗体、約45mM アセタート、約150mM スクロース、約25mM L-アルギニン、約0.4g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤、
VIII.約15mg/mL 抗IL-36R抗体、約35mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約25mM L-アルギニン、約3mM NaCl、約0.4g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤、
IX.約80mg/mL 抗IL-36R抗体、約25mM アセタート、約100mM マンニトール、約50mM NaCl、約0.2g/L ポリソルベート20を含み、pHが約5.5の製剤並びに
X.約100mg/mL 抗IL-36R抗体、約20mM スクシナート、約220mM スクロース、約0.1g/L ポリソルベート80を含み、pHが約6.0の製剤
からなる群より選択される安定な医薬製剤を対象に投与することを含み、ここで、疾患又は状態が処置される。関連する実施態様では、安定な医薬製剤は、水性医薬製剤である。関連する実施態様では、該医薬製剤は、対象への静脈内投与のためのものである。関連する実施態様では、該医薬製剤は、対象への皮下投与のためのものである。関連する実施態様では、静脈内投与のための該医薬製剤は、抗IL-36R抗体を約60mg/mLの量で含む。関連する実施態様では、皮下投与のための該医薬製剤は、抗IL-36R抗体を約150mg/mLの量で含む。関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、(i)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:125で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は(ii)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:126で示されるアミノ酸配列を含む重鎖又は(iii)配列番号:118で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号:127で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。関連する実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又は配列番号:80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び配列番号:89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0340】
このような医薬製剤に使用するための抗体の例は、配列番号:1~10のいずれかの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントを含むものである。また、このような医薬製剤に使用するための抗体の例は、配列番号:11~20のいずれかの重鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものでもある。
【0341】
また、このような医薬製剤に使用するための抗体の更なる例は、配列番号:76~86のいずれかの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものでもある。また、このような医薬製剤に使用するための好ましい抗体は、配列番号:87~101のいずれかの重鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものでもある。
【0342】
また、このような医薬製剤に使用するための抗体の更なる例は、配列番号:77及び89、配列番号:80及び88、配列番号:80及び89、配列番号:77及び87、配列番号:77及び88、配列番号:80及び87、配列番号:86及び100、配列番号:85及び101又は配列番号:85及び10のいずれかの軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものでもある。
【0343】
また、このような医薬製剤に使用するための抗体の更なる例は、配列番号:115、118、123又は124のいずれかの軽鎖領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものでもある。また、このような医薬製剤に使用するための好ましい抗体は、配列番号:125、126、127、138又は139のいずれかの重鎖可変領域のアミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものでもある。
【0344】
このような医薬製剤に使用するための抗体の更なる例は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2又は抗体C3を含むものでもある。
【0345】
種々の送達システムが公知であり、IL-36R結合剤を投与するのに使用することができる。導入方法は、皮内、筋肉内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外及び経口経路を含むが、これらに限定されない。IL-36R結合剤を例えば、注入、ボーラス又は注射により投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤、例えば、化学療法剤と共に投与することができる。投与は、全身又は局所であることができる。好ましい実施態様では、投与は、皮下注射による。このような注射のための製剤は、例えば、2週間に1回投与することができる予め充填された注射器中に調製することができる。
【0346】
特定の実施態様では、IL-36R結合剤製剤は、注射により、カテーテルにより、坐剤により又はインプラントにより投与される。インプラントは、シラスティック膜等の膜又は繊維を含む、多孔質、非多孔質又はゼラチン状材料のものである。典型的には、該製剤を投与する場合、抗IL-36R抗体又は薬剤が吸収しない材料が使用される。
【0347】
他の実施態様では、抗IL-36R抗体又は薬剤は、制御放出系で送達される。一実施態様では、ポンプを使用することができる(例えば、Langer, 1990, Science 249:1527-1533;Sefton, 1989, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201;Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507;Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照のこと)。別の実施態様では、ポリマー材料を使用することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise eds., CRC Press, Boca Raton, Fla., 1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance(Smolen and Ball eds., Wiley, New York, 1984);Ranger and Peppas, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照のこと。また、Levy et al., 1985, Science 228:190;During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351;Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照のこと)。他の制御放出系は、例えば、上記Langerにおいて検討されている。
【0348】
IL-36R結合剤(例えば、抗IL-36R抗体)を治療上有効量の結合剤と1種以上の薬学的に適合性の成分を含む医薬製剤として投与することができる。
【0349】
医薬品が注入により投与されるものである場合、無菌医薬品グレードの水又は生理食塩水を含有する注入ボトルに分配することができる。医薬品が注射により投与される場合、成分を投与前に混合することができるように、無菌の注射用水又は生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0350】
さらに、該医薬製剤を、(a)凍結乾燥形態のIL-36R結合剤(例えば、抗IL-36R抗体)を含有する容器及び(b)注射用の薬学的に許容し得る希釈剤(例えば、滅菌水)を含有する第2の容器を含む、医薬キットとして提供することができる。薬学的に許容し得る希釈剤を凍結乾燥された抗IL-36R抗体又は薬剤の再構成又は希釈に使用することができる。場合により、このような容器に、医薬又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府当局により指示された形式の注意書きを添付することができる。この注意書きは、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の当局による認可を反映する。
【0351】
免疫障害又はガンの治療又は予防に有効なIL-36R結合剤(例えば、抗IL-36R抗体)の量を標準的な臨床技術により決定することができる。加えて、in vitroアッセイを、最適な用量範囲を特定するのに役立てるために場合により使用することができる。該製剤に利用される正確な用量は、投与経路及び免疫障害又はガンのステージによっても決まるであろうし、実務者の判断及び各患者の状況に応じて決定されるべきである。
【0352】
一部の実施態様では、IL-36R結合剤を含む該医薬製剤は、該結合剤にコンジュゲートしているか又はコンジュゲートしていないかのいずれかの治療剤をさらに含むことができる。抗IL-36R抗体又はIL-36R結合剤を免疫障害又はガンの治療又は予防のために、1種以上の治療剤と組み合わせて同時投与することができる。
【0353】
このような併用療法投与は、疾患パラメーター(例えば、症状の重症度、症状の数又は再発の頻度)に対して相加的又は相乗的効果を有する場合がある。
【0354】
併用投与のための治療計画に関して、特定の実施態様では、抗IL-36R抗体又はIL-36R結合剤は、治療剤と同時に投与される。別の特定の実施態様では、治療剤は、該抗IL-36R抗体又はIL-36R結合剤の投与の前又は後に、該抗IL-36R抗体又はIL-36R結合剤の投与の前又は後の少なくとも1時間及び数か月まで、例えば、少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週間、1か月又は3か月までに投与される。
【0355】
製品
別の態様では、上記された障害の処置に有用な材料を含有する製品が含まれる。該製品は、容器及びラベルを含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ及び試験管を含む。容器は、各種の材料、例えば、ガラス又はプラスチックで形成することができる。容器は、状態を処置するのに有効な製剤を保持し、無菌アクセスポートを有することができる。例えば、容器は、皮下注射針により穿孔可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであることができる。該製剤中の活性剤は、ヒト化抗IL-36R抗体である。容器上の又は容器に付随するラベルは、該製剤が選択された状態を処置するのに使用されることを示す。該製品は、薬学的に許容し得るバッファー、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液を含む第2の容器をさらに含むことができる。該製品は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ及び使用説明書を伴う添付文書を含む、商業的及びユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含むことができる。
【0356】
本発明を下記実施例においてさらに説明する。同実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0357】
実施例
実施例1
立体配座安定性及びコロイド安定性(pH及びバッファースクリーニング)
5.5~6.5のpH範囲における熱安定性を、DSF(示差走査蛍光測定)を使用して、アンフォールディング温度(T(h))をモニターすることにより評価した。T(h)は、疎水性露出の温度であり、この温度は、本明細書において、Tと同様であり、Tとして報告され、このため、タンパク質アンフォールディングの温度を示す。DSFによる熱安定性スクリーニングに使用するために、サンプルを各バッファーで0.5mg/mL ターゲット濃度に希釈した。
【0358】
製剤のコロイド安定性をDLS(動的光散乱)により評価した。本発明の抗体の拡散係数を、種々のバッファー中での複数種類のタンパク質濃度で測定した。
【0359】
pH/バッファースクリーニングについてのDSF分析からの結果から、熱アンフォールディング温度TにおけるpHの明らかな影響が示された。熱安定性データから、立体配座安定性がpHの上昇と共にわずかに向上することが示された。表1に、評価されたバッファーと、各バッファー中での対応するTを示す。
【0360】
【表27】
【0361】
コロイド安定性スクリーニング研究(図1)から、pH5.5(25mM アセタート)及びpH6.0(25mM ヒスチジン)中での(本明細書に開示された)抗IL-36R抗体の製剤が、最も有望な特性(最少限のタンパク質-タンパク質相互作用及び最高の拡散度合)を示したという驚くべき結果を示された。コロイドスクリーニングアッセイから、アセタート(pH5.5)及びヒスチジン(pH6.0)が、最少量のタンパク質-タンパク質相互作用を有するべきであることが予測された。コロイド安定性スクリーニング研究を5~20mg/mLの濃度で、抗IL-36R抗体について行った。
【0362】
実施例2
化学的安定性研究(40℃で2週間)
本発明の抗IL-36R抗体の化学的安定性をpH/バッファーの関数として評価した。サンプルを5.5~6.5のpH範囲において、80mg/mLで調製した。サンプルを2mLのガラスバイアル中に1mLで充填した。サンプルを40℃で14日間インキュベーションした。サンプルをとりわけ(i.a.)、目視評価、タンパク質濃度(A280)、単量体含量及び凝集体形成の測定のためのHP-SEC(高速サイズ排除クロマトグラフィー)並びにAPG(酸性ピーク基)、BPG(塩基性ピーク基)及び主ピークとしてのチャージバリアントの測定のためのCEX(カチオン交換クロマトグラフィー)により評価した。
【0363】
サンプルの目視評価から、サンプルの大部分が、14日後に濁ったことが示された。驚くべきことに、25mM アセタート pH5.5中のサンプルのみが、40℃で14日後に透明なままであった。
【0364】
HP-SECから、14日後に残存する% 主ピークに関して最も好ましいバッファーが、25mM アセタート pH5.5(98.5%)、続けて、25mM シトラート pH6.5(97.5%)及び25mM シトラート pH6.0(97.1%)であったことが示された。ヒスチジン pH6.0、ホスファート pH6.5及びスクシナート pH6.4としての更なるバッファーの40℃で14日後の主なピークデータは、88.9~91.9%であった。
【0365】
40℃で14日後のCEXデータから、他の試験されたバッファー(33.3%~44.5%)と比較して、25mM アセタート pH5.5において最高の% 主ピークが示された(54.0%)。
【0366】
40℃で14日後のCEXデータから、他の試験バッファー(高くて58.1%)と比較して、25mM アセタート pH5.5において最低の% 酸性ピークが示された(38.1%)。また、このバッファーは、塩基性種の出現を最少限にするという点で、他のバッファーに匹敵する性能も有していた。
【0367】
目視評価並びにHP-SEC及びCEXにより得られた結果に基づいて、25mM アセタート pH5.5が、14日間の加速安定性研究後に最も好ましい製剤バッファーであると考えられた。
【0368】
は、熱スクリーニング研究において、pH5.5で最低であったが、排除された溶質安定剤(例えば、スクロース)を加えることにより、立体配座安定性が改善されるであろうと結論付けられた。したがって、本発明の抗IL-36R抗体のために選択されるバッファーとして、25mM アセタート pH5.5を選択した。
【0369】
実施例3
界面活性剤の研究
この実施例を、pH5.5で25mM アセタートを含有する4つの異なる製剤中でのポリソルベート20の濃度を最適化するために行った(表2)。サンプルを2mLのガラスバイアルに充填した(バイアル当たりに1mL)。
【0370】
【表28】
【0371】
下記実験を界面活性剤研究:凍結-融解安定性、撹拌安定性のために行った。下記アッセイを使用して、種々の実験から生成されたサンプルを分析した:とりわけ、HP-SEC及び評価不能な粒子。
【0372】
凍結-融解安定性研究
本発明の抗IL-36R抗体の溶液をガラスバイアル中において、-40℃で24時間凍結させ、続けて、室温で2時間融解させた。この手順を3回繰り返した。ついで、サンプルをとりわけ、HP-SECにより分析した。
【0373】
驚くべきことに、HP-SECの結果から、0.06% ポリソルベート20を含む製剤がより低い濃度のポリソルベート20を含む他の製剤と比較して、3回の凍結融解サイクル後に高分子量種のレベルが上昇したことが示された(図2)。0~0.04%の濃度のポリソルベート20を含むこれらの製剤は、0.06% ポリソルベート20を含む製剤と同等に良好にかつわずかに良好に機能した。
【0374】
撹拌安定性
撹拌研究を、振とう機を使用して室温で48時間行った。分析をとりわけ、HP-SEC及びフロー撮像顕微鏡法により行って、評価不能な粒子(SVP)含量を測定した。
【0375】
HP-SECの結果から、ポリソルベート20が存在しなかった場合、凝集のわずかな増加が示された(図3)。全ての他の製剤は、各サンプリング点で同様の凝集体レベルを有していた。
【0376】
驚くべきことに、SVPの結果から、0.04% PS20を含む製剤が48時間の撹拌後に最小数の評価不能な粒子を有することが示された(表3)。
【0377】
【表29】
【0378】
ポリソルベート20の濃度を、0.04%(w/v)を超えて上昇させると、凍結-融解サンプルのサンプル凝集が予想外にわずかに増加した。一方、攪拌研究から、ポリソルベート20を除去すると、わずかに凝集が増加することが示された。加えて、撹拌後、SVPは、0.04%(w/v)より上及び下の濃度のポリソルベート20でより高く、これは予想されなかった。これらの結果に基づいて、ポリソルベート20の最終濃度は、0.04%(w/v)に選択した。加えて、研究から、0.04%(w/v) ポリソルベート20は、60mg/mL タンパク質を含有する溶液についても実現可能であることが示された。
【0379】
実施例4
最終製剤スクリーニング研究
最初のスクリーニングデータに基づいて、6つの候補製剤(表4)を選択して、150mg/mL 本発明の抗IL-36R抗体を使用した最終製剤スクリーニングにおいて試験した。アルギニンHCl及びNaClを加えて、タンパク質-タンパク質相互作用を減少させるそれらの効力を評価した。タンパク質-タンパク質相互作用を減少させることにより、凝集を減少させ、粘度を低下させることができる。
【0380】
【表30】
【0381】
下記実験を6つの候補製剤の最終製剤スクリーニングのために行った:8週間加速安定性研究、凍結-融解安定性、撹拌安定性及び光安定性。
【0382】
8週間加速安定性研究
全ての製剤についてのタンパク質濃度を150mg/mLとし、濃度についての測定値は、155~166mg/mLの範囲内であった。サンプルを2mLのガラスバイアルに充填した(バイアル当たりに1mL)。アセタート濃度を45mMとした。サンプルを3つの異なる温度(5℃、25℃、40℃)で保存した。サンプルを下記アッセイ:とりわけ、評価不能な粒子、HP-SEC、IL-36R結合(効力)、非還元CGE(フラグメントを検出するためのキャピラリーゲル電気泳動)及びicIEF(チャージバリアントを測定するための画像化キャピラリー等電点電気泳動)により分析した。
【0383】
評価不能な粒子(SVP)
候補製剤中の評価不能な粒子のモニタリングをフロー撮像顕微鏡法により行った。驚くべきことに、5℃、25℃及び40℃で保存されたサンプルについて、10~25μm又は25μm以上の直径を有する粒子の数に明確な傾向は観察されなかった。両方のカテゴリーにおいて、6つ全ての製剤が、8週間の研究の終了時に、低い評価不能な粒子数で類似の結果を示した。
【0384】
icIEF
本発明の抗IL-36R抗体の全体的な電荷プロファイルは、酸性、塩基性及び主ピーク基を示す。40℃で8週間後の本発明の抗IL-36R抗体のチャージバリアントは、製剤間で非常に類似した傾向を示した。
【0385】
非還元CGE
保存時の本発明の製剤の抗IL-36R抗体の断片化及びジスルフィド結合還元を評価するために、非還元キャピラリーゲル電気泳動からの結果を評価した。同程度の断片化及びジスルフィド結合減少(% LMW)が、3つの保存温度で全ての製剤について観察された。
【0386】
HP-SEC
候補製剤における凝集(% HMW)に関する製剤の安定性をHP-SECにより評価した。F2及びF5は、25℃及び40℃で8週間後に、より低い% HMWを示した(図4)。
【0387】
効力
本発明の製剤候補の抗IL-36Rの抗体の効力を、結合アッセイを使用して評価した。注目すべきことに、6つの全ての製剤の効力は、40℃で8週間保存した後でさえ安定であるようであった。
【0388】
候補製剤の凍結-融解安定性
本発明の抗IL-36R抗体溶液(1mL)を2mLのガラスバイアルに充填し(バイアル当たりに1mL)、-40℃で凍結させ、続けて、室温で融解させた。この手順を合計3サイクル繰り返した。下記アッセイを分析に利用した:目視評価、pH、タンパク質濃度、HP-SEC、非還元CGE及び評価不能な粒子。
【0389】
特に、分析方法の全ての結果から、6つの製剤が等しく良好に機能することが明らかとなった。
【0390】
候補製剤の撹拌安定性
本発明の抗IL-36R抗体の溶液を2mLのガラスバイアルに充填した(バイアル当たりに1mL)。サンプルを室温で48時間振とうした。サンプルをとりわけ、pH、タンパク質濃度、目視評価、HP-SEC、非還元CGE及びicIEFにより分析した。
【0391】
驚くべきことに、撹拌は、評価された分析結果において、6つの製剤の性能に何ら影響を及ぼさなかった。
【0392】
候補製剤の光安定性
6つの製剤を2mLのガラスバイアルに充填し(バイアル当たりに1mL)、栓をし、蓋をした。室温において、バイアルを約1100ルクス 光強度で5日間置いた。サンプルを、下記アッセイ:目視評価、タンパク質濃度、pH、HP-SEC、icIEF及び非還元CGEを使用して分析した。
【0393】
目視評価、pH、タンパク質濃度、icIEF及び非還元CGEの結果から、試験された製剤のいずれについても光暴露の影響がなかったことが示された。
【0394】
HP-SECにおいて主ピーク含量に対するわずかな影響が観察されたが、減少は、室温及び光暴露で5日後にF5について最低であった(表5)。原則として、全ての製剤は、光暴露に対して予想外に安定であった。
【0395】
【表31】
【0396】
最終製剤スクリーニング研究のまとめ
驚くべきことに、8週間加速安定性研究からのデータの評価から、全ての製剤が種々のアッセイにより評価された場合に等しく良好に機能することが示された。これに対する唯一の例外は、製剤F2及びF5が8週間の保存後、特に、25及び40℃で、高分子量種に関して他の製剤よりわずかに安定であるようであったことであった。これは、アルギニンが、本発明の抗IL-36R抗体についてのタンパク質-タンパク質相互作用を減少させることによりポジティブな影響を与え、それにより、凝集傾向を低下させることを示す。さらに、F5は、光暴露研究において、主ピークの損失がわずかに少なかったことを示した。
【0397】
実施例5
種々のタンパク質及び製剤の粘度
タンパク質製剤のより低い粘度は、特に、家庭での使用及び患者自身による自己投与に有益である。より低い粘度を有するタンパク質溶液は、快適に注射することができる。加えて、低粘度に基づくと、細い注射針を使用することができ、それでも注射力は許容可能である。針が細いため、注射による疼痛が軽減される。
【0398】
しかしながら、高濃度タンパク質溶液は、典型的には、高い粘度を示す。
【0399】
20℃での種々のタンパク質及び製剤の粘度データを図5に示す。データを、Thermo Scientific Haakeレオメーター(Mars III)並びにプレート及びコーン測定ジオメトリーを使用して生成した。145~189mg/mLのタンパク質濃度を有する異なるタンパク質の例を追加する。データを、タンパク質濃度の上昇を伴ってX軸に示す。加えて、60mg/mLでの抗IL-36R抗体の粘度データを、粘度に対するタンパク質濃度の影響を示すために例示的に追加する(より低いタンパク質濃度が、より低い粘度をもたらす)。典型的な高濃度タンパク質溶液と比較して、抗IL-36R抗体溶液は、予想外に低い粘度値を有する。
【0400】
実施例6
最終製剤の長期安定性研究
2つの製剤(表6)を選択して、長期安定性研究において試験した。本発明の抗IL-36R抗体を含む2つの製剤を、5℃で少なくとも30か月間保持した。
【0401】
【表32】
【0402】
30か月安定性研究
各製剤の安定性を0、1、3、6、9、12、18、24及び30又は36か月モニターした。サンプルを下記アッセイ:とりわけ、評価不能な粒子、HP-SEC、IL-36R結合(効力)、非還元CGE(フラグメントを検出するためのキャピラリーゲル電気泳動)及びicIEF(チャージバリアントを測定するための画像化キャピラリー等電点電気泳動)により分析した。
【0403】
評価不能な粒子(SVP)
候補製剤中の評価不能な粒子のモニタリングをフローライトオブスキュレーションにより行った。驚くべきことに、5℃で30か月間保存されたサンプルについて、5℃で少なくとも30ヶ月保存した後に、F1及びF2の両方について、10~25μm又は25μm以上の直径を有する少数の粒子が観察された(データを示さず)。
【0404】
icIEF
本発明の抗IL-36R抗体についての全体的な電荷プロファイルは、酸性、塩基性及び主ピーク基を示す。F1及びF2の両方について、5℃で少なくとも30か月保存された後、電荷プロファイルにほとんど変化がなかった(データを示さず)。
【0405】
非還元CGE
保存時の本発明の製剤の抗IL-36R抗体の断片化及びジスルフィド結合還元を評価するために、非還元キャピラリーゲル電気泳動からの結果を評価した。F1及びF2の両方について、5℃で少なくとも30か月保存された後に、非常に低レベルの断片化及びジスルフィド結合還元(% LMW)が観察された(データを示さず)。
【0406】
HP-SEC
凝集に対する製剤の安定性(% HMW)をHP-SECにより評価した。驚くべきことに、F1及びF2は、5℃で少なくとも30か月保存された後に、非常に低い% HMWを示した(図6)。
【0407】
効力
本発明の製剤候補の抗IL-36R抗体の効力を、結合アッセイを使用して評価した。注目すべきことに、F1及びF2の効力は、5℃で少なくとも30か月保存された後でさえも、安定なようである(データを示さず)。
【0408】
長期保存試験研究のまとめ
30か月安定性研究のデータの評価から、F1及びF2の両方が、種々のアッセイにより評価された場合、等しく良好に機能することが示された。注目すべきことに、製剤は、少なくとも30か月の保存後に、非常に低い% HMW含量を示した。
【0409】
実施例7
加速安定性研究
2つの製剤(表7)を選択して、ストレス条件下での安定性研究において試験した。本発明の抗IL-36R抗体を含む2つの製剤を10mLのガラスバイアル(バイアル当たりに8mL)中において、40℃で3か月保持した。製剤F2は、非経口投与に使用することができる参照製剤を表わす。
【0410】
【表33】
【0411】
濁度
2つの製剤の安定性を0、1、及び3か月モニターした。サンプルを濁度の測定により分析した。濁度を、Hach Lange TL2350濁度計を使用して、400~600nmで90°光散乱により分析した。データを図7に示す。製剤F2は、製剤F1の少なくとも2倍高い濁度結果を示した。製剤F1は、驚くべきことに、最初のサンプリング時点から、研究期間にわたって3か月まで、非常に低い濁度を示した。
【0412】
HP-SEC
凝集に対する製剤の安定性(% HMW)をHP-SECにより評価した。データを図8に示す。予想外に、製剤F1は、参照製剤F2と比較して、最初のサンプリング時点から、研究期間にわたって3か月まで、非常に低い% HMWを示した。% HMWは、製剤F1と比較して、参照製剤F2について少なくとも45%高い。
【0413】
加速安定性研究のまとめ
40℃でストレス条件下での3か月の安定性研究からのデータの評価から、製剤F1に対して、参照製剤F2の少なくとも2倍高い濁度結果が示された。さらに、製剤F1は、参照製剤F2と比較して、最初のサンプリング時点から、研究期間にわたって3か月まで、非常に低い% HMWを示した。
【0414】
実施例8
凍結乾燥製剤の安定性
標準的な凍結乾燥プロセスを使用して、抗IL-36R抗体製剤(表8) 2.5mLを含む6mLのガラスバイアル中の凍結乾燥製剤の安定性を評価した。サンプルを40℃で6か月保存した。
【0415】
【表34】
【0416】
製剤の安定性を凍結乾燥前、凍結乾燥直後及び再構成の直後並びに40℃での1、3及び6か月の保存後にモニターした。サンプルを下記アッセイ:とりわけ、濁度、評価不能な粒子及びHP-SECによる凝集体レベルにより分析した。
【0417】
濁度
濁度を、Hach Lange TL2350濁度計を使用して、90°光散乱(λ=400~600nm)により測定した。試験された製剤は、凍結乾燥工程により影響されなかった低い濁度を示した。驚くべきことに、濁度値は、40℃での6か月の保存後に上昇しなかった(図9)。
【0418】
HP-SEC
さらに、凝集に対する粉末製剤の安定性(% HMW)をHP-SECにより行った。凍結乾燥中に生じる氷-水界面での凍結濃縮及びストレスによっては、予想外にも、タンパク質凝集体の形成がもたらさなかった。さらに、粉末製剤は、40℃で少なくとも6か月保存された後、非常に低い% HMWを示した(図10)。
【0419】
凍結乾燥製剤の安定性のまとめ
この研究からのデータの評価から、驚くべきことに、タンパク質の質に何ら影響を及ぼすことなく、抗IL36R抗体製剤を凍結乾燥することが可能であることが示された。さらに、40℃におけるストレス条件下でのその後の安定性研究により、前述の粉末製剤中の抗IL-36R抗体の並外れた安定性が確認された。
【0420】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載された種々の構成を実施することを可能にするために提供される。本主題技術は、種々の図及び構成を参照して特に記載されているが、これらは、例示のみを目的としたものであり、本主題技術の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことと理解されたい。
【0421】
本願全体を通して、種々の刊行物(特許又は非特許文献)が参照される。これらの刊行物の開示はその全体が、本願が属する技術水準をより完全に説明するために、参照により本願に組み入れられる。また、開示された参考文献は、その参考文献が依拠される文章で論じられる、それらに含まれる製品について、個々にかつ具体的に、本明細書に参照として組み入れられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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