(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】T細胞を製造する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20240116BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240116BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240116BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240116BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240116BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K35/17
C12N5/0783
A61K39/00 H
A61K48/00
A61P35/00
A61P37/04
(21)【出願番号】P 2022060497
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2020544357の分割
【原出願日】2018-11-08
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518344612
【氏名又は名称】ビオンテック ユーエス インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】520159721
【氏名又は名称】スティヒティング・ヘット・ネーデルランド・カンケル・インスティテュート-アントニ・ファン・リーベンホーク・ツィエケンフイス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】バン・ブーレン,マリット・エム
(72)【発明者】
【氏名】レンカラ,ディブヤ・レディ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デン・ベルク,ヨースト・フイベルト
(72)【発明者】
【氏名】コーラー,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスタイン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】フリッシュ,エド
(72)【発明者】
【氏名】デボール,レナータ
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ,トン
(72)【発明者】
【氏名】バッケル,ノール
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/180852(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/015497(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/045308(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第103923880(CN,A)
【文献】SUGIYAMA, D. et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,2013年,Vol. 110, No. 44,pp. 17945-50
【文献】BAO, L. et al.,Blood,2006年,Vol. 108, No. 11,p. 3655
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00
C12N 5/00
A61K 39/00
A61K 48/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象におけるT細胞療法に好適ながん抗原特異的T細胞をex vivoで調製する方法であって、該方法は:
(a) CD25
+細胞を、抗原提示細胞(APC)及びT細胞を含む免疫細胞の集団から枯渇させ、それによりAPC及びT細胞の第1の集団を含む枯渇させた免疫細胞の集団を形成し、免疫細胞の集団は、ヒト対象からの生物学的試料に由来し;
(b) 枯渇させた免疫細胞の集団を、第1の期間、以下の(i)及び(ii):
(i) FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)、及び
(ii) (A)がんを有するヒト対象のがん細胞によって発現される1以上のがん抗原のエピトープ配列を含むポリペプチド、又は(B)がんを有するヒト対象のがん細胞によって発現される1以上のがん抗原のエピトープ配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
の存在下でインキュベートし、それにより刺激されたT細胞の集団を形成し、
;そして
(c) 刺激されたT細胞の集団を拡大させ、それにより拡大されたT細胞の集団を形成し、ここで、拡大させることは、ナイーブCD8
+T細胞又はナイーブCD4
+T細胞に由来するT細胞を拡大させることを含み;拡大されたT細胞の集団は、(i)1以上のがん抗原のエピトープ配列のうちの第1のがん抗原のエピトープ配列及び(ii)がんを有するヒト対象のがん細胞又はAPCによって発現されるMHCタンパク質を含む複合体に特異的なT細胞を含み;ここで:
(i) 拡大されたT細胞の集団の中で、複合体に特異的なCD8
+T細胞の少なくとも0.1%は、ヒトの生物学的試料からのナイーブCD8
+T細胞に由来するか、又は
(ii) 拡大されたT細胞の集団の中で、複合体に特異的なCD4
+T細胞の少なくとも0.1%は、ヒトの生物学的試料からのナイーブCD4
+T細胞に由来する、
ことを含む、前記方法。
【請求項2】
(b)及び(c)の工程を28日未満実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複合体に特異的な拡大されたT細胞の集団におけるCD8
+T細胞の全量のうちのCD8
+T細胞の画分が、複合体に特異的な生物学的試料におけるCD8
+T細胞の全量のうちのCD8
+T細胞の画分よりも少なくとも2倍多い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複合体に特異的な拡大されたT細胞の集団におけるCD4
+T細胞の全量のうちのCD4
+T細胞の画分が、複合体に特異的な生物学的試料におけるCD4
+T細胞の全量のうちのCD4
+T細胞の画分よりも少なくとも2倍多い、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
生物学的試料が、がんを有するヒト対象に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
拡大させることが、刺激されたT細胞の集団を、FLT3Lとインキュベートされている第2の成熟APCの集団に接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第2の成熟APCの集団が、刺激されたT細胞の集団を第2の成熟APCの集団に接触させる前に、FLT3Lと少なくとも1日インキュベートされている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
拡大させることが、刺激されたT細胞の集団を、第3の成熟APCの集団に接触させることをさらに含み、第3の成熟APCの集団は、刺激されたT細胞の集団を第3の成熟APCの集団に接触させる前に、FLT3Lとインキュベートされている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
生物学的試料が、末梢血試料、白血球除去試料、又はアフェレーシス試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
インキュベートすることが、枯渇させた免疫細胞の集団を、FLT3Lと、前記ポリペプチドをコードするRNAの存在下で、インキュベートすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドの長さが8~50アミノ酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
1以上のがん特異的エピトープの配列の各々が、突然変異を含有し、かつ対応する野生型のエピトープ配列よりも大きな親和性で、がんを有するヒト対象のがん細胞によって発現されるMHCタンパク質に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1以上のがん抗原のエピトープ配列が、がんを有するヒト対象のがん細胞によって発現される2以上のがん抗原のエピトープ配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
拡大されたT細胞の集団が、以下の(A)及び(B):
(A) (i)2以上のがん抗原のエピトープ配列のうちの第1のがん抗原のエピトープ配列、及び(ii)がんを有するヒト対象のがん細胞又はAPCによって発現されるMHCタンパク質、を含む第1の複合体;及び
(B) (i)2以上のがん抗原のエピトープ配列のうちの第2のがん抗原のエピトープ配列、及び(ii)がんを有するヒト対象のがん細胞又はAPCによって発現されるMHCタンパク質、を含む第2の複合体、
に特異的なT細胞を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
枯渇させることが、免疫細胞の集団をCD25結合剤と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
枯渇させることが、免疫細胞の集団からCD14
+細胞を枯渇させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
枯渇させることが、免疫細胞の集団からCD19
+細胞を枯渇させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
拡大されたT細胞の集団が、少なくとも1×10
6個の全CD8
+T細胞又は少なくとも1×10
6個の全CD4
+T細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
該方法が、拡大されたT細胞の集団を回収し、拡大されたT細胞の集団を凍結保存し、拡大されたT細胞の集団を含有する医薬組成物を調製するか、又は拡大されたT細胞の集団を含む医薬組成物を、がんを有するヒト対象へ投与する、ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
該方法が、1以上のAPCの集団を、1以上のサイトカイン又は増殖因子で刺激し、それにより成熟したAPCを含む1以上のAPC調製物を得ることをさらに含み、拡大させることが、刺激されたT細胞の集団を、成熟したAPCを含む1以上のAPC調製物と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
1以上のサイトカイン又は増殖因子が、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1以上のがん抗原のエピトープ配列の少なくとも1つに特異的なCD8
+T細胞の数が、少なくとも約1×10
6、2×10
6、5×10
6、1×10
7、2×10
7、5×10
7、1×10
8、2×10
8、又は5×10
8個である、請求項
1に記載の
方法。
【請求項23】
1以上のがん抗原のエピトープ配列の少なくとも1つ
が、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に500nM未満のIC
50で結合する、請求項
1に記載の
方法。
【請求項24】
1以上のがん抗原のエピトープ配列の少なくとも1つ
が、対象のがん細胞の発現遺伝子によりコードされ、対象の非がん細胞内には存在しない突然変異を含む、請求項
1に記載の
方法。
【請求項25】
得られるがん抗原に特異的なT細胞が、治療に使用する医薬の製造のため
に使用される、請求項22~
24のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項26】
治療が、がんに対するものである、請求項
25に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本願は、2017年11月8日に出願された、米国仮出願第62/583,229号;2017年11月20日に出願された、米国仮出願第62/588,590号;2018年1月17日に出願された、米国仮出願第62/618,445号;及び2018年9月27日に出願された、米国仮出願第62/737,625号の利益を主張するものであり、これら出願はその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]腫瘍ワクチンは、典型的には、腫瘍細胞を認識して溶解させる抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導するように一緒に作用する、腫瘍抗原と免疫刺激性分子(例えば、アジュバント、サイトカイン、又はTLRリガンド)とから構成される。このようなワクチンは、共通の組織特異的腫瘍抗原、又は全腫瘍細胞調製物の形態である共通抗原と患者特異的抗原との混合物を含有する。共通の組織特異的腫瘍抗原は、理想的には、多くの個体にわたって腫瘍内に選択的に発現する免疫原性タンパク質であり、一般に、合成ペプチド又は組換えタンパク質として患者へ送達される。これに対し、全腫瘍細胞調製物は、自家照射細胞、細胞溶解物、細胞融合物、熱ショックによるタンパク質調製物、又は全mRNAとして患者へ送達される。全腫瘍細胞は自家患者から単離されるため、細胞は、患者特異的腫瘍抗原及び共通腫瘍抗原を含みうる。最後に、ワクチン中で使用されることは稀な第3のクラスの腫瘍抗原であるネオ抗原が存在し、これらは変化したアミノ酸配列をもたらす腫瘍特異的突然変異(患者特異的又は共通でありうる)を有するタンパク質から成る。このような突然変異タンパク質は、(a)突然変異として腫瘍細胞特有であり、その対応するタンパク質は腫瘍内にのみ存在し;(b)中枢性寛容を回避し、したがって、免疫原性となる可能性が高く;(c)液性免疫によるもの及び細胞性免疫によるものを含めた免疫認識の優れた標的となる。
【0003】
[0003]養子免疫療法又は養子細胞療法(ACT)とは、疾患を治療するための、遺伝子修飾Tリンパ球の対象への移植である。養子免疫療法は、がん、感染性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、及び免疫不全症を含めた多種多様な疾患を処置するためのその潜在的可能性を未だ実現していない。しかし、全てではないが大半の養子免疫療法戦略は、臨床的に有効な治療用量のT細胞を作出するために、T細胞の活性化ステップ及び拡大ステップを必要とする。生細胞培養の固有の複雑さ及び患者間のばらつきに起因して、遺伝子操作されたT細胞を含めた治療用量のT細胞を作出するための現行の技術は、依然としてT細胞製造工程の煩雑さにより制約されている。既存のT細胞製造工程は、容易に拡大可能、反復可能、信頼可能、又は効率的なものではなく、枯渇しやすくエフェクター免疫細胞機能の喪失を起こしやすいことがある低品質のT細胞生成物をもたらすことが多い。現在のところ、遺伝子操作されたT細胞による養子免疫療法は、限定的な成功を収めているに過ぎず、臨床活性の変動を日常的に示している。したがって、このような治療は広範な臨床使用に適さない。したがって、好適な表現型及び機能を有する抗原特異的T細胞を拡大及び誘導するための組成物及び方法の開発が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一部の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量と相対的に異なる医薬組成物が提示される。一部の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量と異なる医薬組成物が提示される。一部の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の百分率が、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の百分率と異なる医薬組成物が提示される。一部の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の濃度が、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の濃度と異なる医薬組成物が提示される。
【0005】
[0005]一部の態様では、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含み、集団内のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に少ない組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含み、集団内のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の量より少ない組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含み、集団内のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の百分率が、生物学的試料中のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の百分率より小さい組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含み、集団内のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の濃度が、生物学的試料中のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の濃度より小さい組成物が提示される。
【0006】
[0006]一部の態様では、生物学的試料に由来するT細胞を含む免疫細胞の集団であって、T細胞が、抗原提示細胞(APC)-刺激T細胞であり、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含み、APCはFLT3L-刺激APCである、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提示される。
【0007】
[0007]一部の態様では、生物学的試料に由来するT細胞を含む免疫細胞の集団であって、T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、全T細胞、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%であり;生物学的試料は1以上の抗原特異的T細胞を含み;生物学的試料中の1以上の抗原特異的T細胞は、生物学的試料中の全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、又は0.05%である医薬組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料から拡大又は誘導されたT細胞を含む免疫細胞の集団であって、生物学的試料から拡大又は誘導されたT細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的T細胞の、量、濃度、又は百分率は、生物学的試料中の抗原特異的T細胞又は全T細胞の、量、濃度、又は百分率の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、又は1000倍である医薬組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来するT細胞を含む免疫細胞の集団であって、T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、生物学的試料から、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、又は1000倍に拡大又は誘導された抗原特異的T細胞を含む医薬組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来するCD4+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、CD4+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞は、全T細胞、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%であり;生物学的試料は1以上の抗原特異的CD4+T細胞を含み;生物学的試料中の1以上の抗原特異的CD4+T細胞は、生物学的試料中の全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、又は0.05%である医薬組成物が提示される。一部の実施形態では、医薬組成物は、生物学的試料に由来するCD4+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、CD4+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み、ここで、少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞は、全CD4+T細胞のうちの少なくとも約、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%であり;生物学的試料は1以上の抗原特異的CD4+T細胞を含み;生物学的試料中の1以上の抗原特異的CD4+T細胞は、生物学的試料中の全CD4+T細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、又は0.05%である。一部の態様では、生物学的試料から拡大又は誘導されたCD4+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、生物学的試料から拡大又は誘導されたCD4+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞を含む、免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的T細胞の、量、濃度、又は百分率は、生物学的試料中の抗原特異的CD4+T細胞、全CD4+T細胞、又は全T細胞の、量、濃度、又は百分率の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、又は1000倍である医薬組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来するCD4+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、CD4+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞は、生物学的試料から、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、又は1000倍に拡大又は誘導された抗原特異的CD4+T細胞を含む医薬組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来する、CD25を発現する細胞又はCD25及びCD14を発現する細胞を枯渇させた、CD4+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、CD4+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞を含む、免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞は、生物学的試料と比較して、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500倍に拡大又は誘導された抗原特異的CD4+T細胞を含む医薬組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来する、CD8+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、CD8+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞は、全T細胞、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%であり;生物学的試料は1以上の抗原特異的CD8+T細胞を含み;生物学的試料中の1以上の抗原特異的CD8+T細胞は、生物学的試料中の全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、又は0.05%である医薬組成物が提示される。一部の実施形態では、医薬組成物は、生物学的試料に由来するCD8+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、CD8+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み、ここで、少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞は、全CD8+T細胞のうちの少なくとも約、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80
%、85%、90%、又は95%であり;生物学的試料は1以上の抗原特異的CD4+T細胞を含み;生物学的試料中の1以上の抗原特異的CD8+T細胞は、生物学的試料中の全CD8+T細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0
.005%、0.01%、又は0.05%である。一部の態様では、生物学的試料から拡大又は誘導されたCD8+T細胞を含む、免疫細胞の集団であって、生物学的試料から拡大又は誘導されたCD8+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞を含む、免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的T細胞の量、濃度、又は百分率は、生物学的試料中の抗原特異的CD8+T細胞、全CD8+T細胞、又は全T細胞の量、濃度、又は百分率の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、又は1000倍である医薬組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来するCD8+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、CD8+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞は、生物学的試料から、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、又は1000倍に拡大又は誘導された抗原特異的CD4+T細胞を含む医薬組成物が提示される。一部の態様では、生物学的試料に由来するCD8+T細胞を含む免疫細胞の集団であって、CD8+T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞は、生物学的試料から、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、又は1000倍に拡大又は誘導された抗原特異的CD8+T細胞を含む医薬組成物が提示される。
【0008】
[0008]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのAPC-刺激T細胞を含む。一部の実施形態では、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に少ない。一部の実施形態では、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に多い。一部の実施形態では、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の百分率は、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の百分率より小さい。一部の実施形態では、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の百分率は、生物学的試料中のCD14及び/又はCD2
5を発現する免疫細胞の百分率より大きい。一部の実施形態では、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の濃度は、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の濃度より小さい。一部の実施形態では、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の濃度は、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の濃度より大きい。
【0009】
[0009]一部の実施形態では、生物学的試料は対象に由来する。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は疾患又は障害を有する。一部の実施形態では、疾患又は障害はがんである。一部の実施形態では、がんは、卵巣がん、肺がん、及び黒色腫から成る群より選択される。
【0010】
[0010]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD4エンリッチT細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD8エンリッチT細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、メモリーT細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、ナイーブT細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、メモリーCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、拡大されたメモリーCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、ナイーブCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、誘導されたナイーブCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、メモリーCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、拡大されたメモリーCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、ナイーブCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、誘導されたナイーブCD8+T細胞を含む。
【0011】
[0011]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、IL-7、IL-15、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せを含む培地中で刺激される。一部の実施形態では、IDO阻害剤は、エパカドスタット、ナボキシモド、1-メチルトリプトファン、又はこれらの組合せである。
【0012】
[0012]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、(A)点突然変異、(B)スプライス部位突然変異、(C)フレームシフト突然変異、(D)リードスルー突然変異、(E)遺伝子融合突然変異、及びこれらの組合せから選択される突然変異を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、対象のHLAタンパク質に、対応する野生型ペプチドより大きな親和性で結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、対象のHLAタンパク質に、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKD又はIC50で結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する。一部の実施形態では、TCRは、ペプチド-HLA複合体に、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKD又はIC50で結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象の非がん細胞内に存在しない突然変異を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象のがん細胞の遺伝子又は発現遺伝子によりコードされる。
【0013】
[0013]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上は、少なくとも8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;40;50;60;70;80;90;100;150;200;250;300;350;400;450;500;600;700;800;900;1,000;1,500;2,000;2,500;3,000;4,000;5,000;7,500;又は10,000天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上は、クラスIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、8~12天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上は、クラスIIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、16~25天然アミノ酸の長さを有する。
【0014】
[0014]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、複数の抗原ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、複数の抗原ペプチド配列は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500の抗原ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、抗原は、ネオ抗原、腫瘍関連抗原、過剰発現抗原、ウイルス抗原、マイナー組織適合性抗原、又はこれらの組合せである。
【0015】
[0015]一部の実施形態では、APCは、1つ以上のAPC調製物である。一部の実施形態では、APCは、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上を含む1以上の抗原ペプチドをロードされたAPCを含む。一部の実施形態では、APCは、自家APC、同種APC、又は人工APCである。一部の実施形態では、APCは樹状細胞(DC)を含む。一部の実施形態では、APCはCD14+単球に由来する。一部の実施形態では、APCは、CD14エンリッチAPCである。一部の実施形態では、APCは、CD141エンリッチAPCである。一部の実施形態では、CD14+単球は、PBMCを含む、対象に由来する生物学的試料からエンリッチされる。一部の実施形態では、CD14+単球は、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む。
【0016】
[0016]一部の実施形態では、CD14+単球は、PBMCを含む、第2の生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、第2の生物学的試料は、同じ対象に由来する。
[0017]一部の実施形態では、生物学的試料は、末梢血単核細胞(PBMC)を含む。
【0017】
[0018]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、複数の抗原特異的T細胞を含む。一部の実施形態では、組成物中の少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率は、全T細胞又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、
1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。
【0018】
[0019]一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み;ここで、集団内のCD19及び/又はCD16を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中のCD19及び/又はCD16を発現する免疫細胞の量と異なる。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み;ここで、集団内のCD19及び/又はCD16を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中のCD19及び/又はCD16を発現する免疫細胞の量より小さい。
【0019】
[0020]一部の態様では、本明細書に記載の組成物を、疾患又は障害を有する対象へ投与することを含む処置方法が提示される。
[0021]一部の態様では、治療に使用する医薬の製造のために、本明細書に記載の組成物を使用する方法が提示される。
【0020】
[0022]1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法を提示するものであり、該方法は、CD25又はCD14及びCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にAPCをインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、CD14を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にAPCをインキュベートすることを含む方法を使用して拡大又は誘導された抗原特異的T細胞の量の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500倍に拡大又は誘導された抗原特異的T細胞の量を含む。1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞を調製する方法を提示するものであり、該方法は、CD25又はCD14及びCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にAPCをインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞は、CD14を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にAPCをインキュベートすることを含む方法を使用して拡大又は誘導された抗原特異的CD4+T細胞の量の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500倍に拡大又は誘導された抗原特異的CD4+T細胞の量を含む。1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞を調製する方法を提示するものであり、該方法は、CD25又はCD14及びCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にAPCをインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞は、CD14を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にAPCをインキュベートすることを含む方法を使用して拡大又は誘導された抗原特異的CD8+T細胞の量の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500倍に拡大又は誘導された抗原特異的CD8+T細胞の量を含む。
【0021】
[0023]一部の実施形態では、生物学的試料は、CD19を発現する細胞をさらに枯渇させられる。一部の実施形態では、生物学的試料は、CD19を発現する細胞をさらに枯渇させられる。一部の実施形態では、APCは、FLT3L-刺激APCである。一部の実施形態では、免疫細胞の集団をインキュベートすることは、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せを含有する培地中で実施される。一部の実施形態では、培地は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せをさらに含む。一部の実施形態では、IDO阻害剤は、エパカドスタット、ナボキシモド、1-メチルトリプトファン、又はこれらの組合せである。
【0022】
[0024]1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む医薬組成物を調製する方法を提示するものであり、該方法は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートし;その後、生物学的試料の少なくとも1つのT細胞をAPCと共にインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートすることを含まず;その後、生物学的試料の少なくとも1つのT細胞をAPCと共にインキュベートすることを含む方法を使用して拡大又は誘導された抗原特異的T細胞の量の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500倍に拡大又は誘導された抗原特異的T細胞の量を含む。1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞を含む医薬組成物を調製する方法を提示するものであり、該方法は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートし;その後、生物学的試料の少なくとも1つのCD4+T細胞をAPCと共にインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートすることを含まず;その後、生物学的試料の少なくとも1つのCD4+T細胞をAPCと共にインキュベートすることを含む方法を使用して拡大又は誘導された抗原特異的CD4+T細胞の量の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500倍に拡大又は誘導された抗原特異的CD4+T細胞の量を含む。1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞を含む医薬組成物を調製する方法を提示するものであり、該方法は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートし;その後、生物学的試料の少なくとも1つのCD8+T細胞をAPCと共にインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートすることを含まず;その後、生物学的試料の少なくとも1つのCD8+T細胞をAPCと共にインキュベートすることを含む方法を使用して拡大又は誘導された抗原特異的CD8+T細胞の量の少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.6、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500倍に拡大又は誘導された抗原特異的CD8+T細胞の量を含む。
【0023】
[0025]1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法を提示するものであり、該方法は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にAPCをインキュベートすることを含む。
【0024】
[0026]1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法を提示するものであり、該方法は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含む。
【0025】
[0027]1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む医薬組成物を調製する方法を提示するものであり、該方法は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートし;その後、生物学的試料の少なくとも1つのT細胞をAPCと共にインキュベートすることを含む。
【0026】
[0028]1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法を提示するものであり、該方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1つ以上のAPC調製物のうちの第1のAPC調製物とインキュベートしてから、28日間未満の1以上の別個の期間、免疫細胞の集団を1つ以上のAPC調製物と共にインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される。
【0027】
[0029]1つの態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法を提示するものであり、該方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、3つ以下のAPC調製物と共に3以下の別個の期間インキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される。
【0028】
[0030]一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する。
[0031]一部の実施形態では、APCは、FLT3L-刺激APCである。一部の実施形態では、APC調製物のうちの少なくとも1つは、FLT3L-刺激APCを含む。一部の実施形態では、APC調製物のうちの少なくとも2つは、FLT3L-刺激APCを含む。一部の実施形態では、APC調製物のうちの少なくとも3つは、FLT3L-刺激APCを含む。一部の実施形態では、APC調製物の各々は、FLT3L-刺激APCを含む。
【0029】
[0032]一部の実施形態では、APCは、1つ以上のAPC調製物を含む。一部の実施形態では、APC調製物は、3つ以下のAPC調製物を含む。一部の実施形態では、APC調製物は、1以上の別個の期間内に、逐次的に免疫細胞と共にインキュベートされる。一部の実施形態では、生物学的試料は対象に由来する。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は疾患又は障害を有する。一部の実施形態では、疾患又は障害はがんである。一部の実施形態では、がんは、卵巣がん、肺がん、及び黒色腫から成る群より選択される。
【0030】
[0033]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD4エンリッチT細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD8エンリッチT細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのメモリーT細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのナイーブT細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのメモリーCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのナイーブCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのメモリーCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのナイーブCD8+T細胞を含む。
【0031】
[0034]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、(A)点突然変異、(B)スプライス部位突然変異、(C)フレームシフト突然変異、(D)リードスルー突然変異、(E)遺伝子融合突然変異、及びこれらの組合せから選択される突然変異を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、点突然変異を含み、対象のHLAタンパク質に、対応する野生型ペプチドより大きな親和性で結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、対象のHLAタンパク質に、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKD又はIC50で結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する。一部の実施形態では、TCRは、ペプチド-HLA複合体に、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKD又はIC50で結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象の非がん細胞内に存在しない突然変異を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象のがん細胞の遺伝子又は発現遺伝子によりコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上は、少なくとも8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;40;50;60;70;80;90;100;150;200;250;300;350;400;450;500;600;700;800;900;1,000;1,500;2,000;2,500;3,000;4,000;5,000;7,500;又は10,000天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上は、クラスIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、8~12天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上は、クラスIIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、16~25天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、複数の抗原ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、複数の抗原ペプチド配列は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500の抗原ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、抗原は、ネオ抗原、腫瘍関連抗原、ウイルス抗原、マイナー組織適合性抗原、又はこれらの組合せである。
【0032】
[0035]一部の実施形態では、方法は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を、生物学的試料から枯渇させることを含む。一部の実施形態では、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させることは、CD14及び/又はCD25に結合する薬剤を、APC又はAPC調製物のAPCへ結合させることを含む。一部の実施形態では、CD14及び/又はCD25に結合する薬剤はビオチン化される。一部の実施形態では、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させることは、固体支持体上の抗ビオチン試薬を、CD14及び/又はCD25に結合する薬剤へ結合させることをさらに含む。一部の実施形態では、CD14及び/又はCD25に結合する薬剤は、固体支持体へ接合される。
【0033】
[0036]一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上を含む1以上の抗原ペプチドをロードされたAPCを含む。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、自家APC又は同種APCである。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、樹状細胞(DC)を含む。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、CD14+単球に由来する。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、生物学的試料からエ
ンリッチされる。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む。
【0034】
[0037]一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、第2の生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、第2の生物学的試料は同じ対象に由来する。一部の実施形態では、生物学的試料は末梢血単核細胞(PBMC)を含む。
【0035】
[0038]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、複数の抗原特異的T細胞を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。
【0036】
[0039]一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つの抗原特異的T細胞のうちの1つ以上を対象へ投与することをさらに含む。
[0040]一部の実施形態では、別個の期間の合計期間は28日間未満である。一部の実施形態では、インキュベートすることは、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T
細胞と共に7日を超える期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、APC又はAPC調製物のうちの1つ以上を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第1の培地と共に第1の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの1つ以上を、少なくとも1つのペプチドと共に第2の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、APC又はAPC調製物のうちの1つ以上を、1以上のサイトカイン又は増殖因子を含む第2の培地と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APCを得ることを含む。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、方法は、第3の期間の後で、かつ、第4の期間の開始の前に、第2の培地の1以上のサイトカイン又は増殖因子を除去することをさらに含む。
【0037】
[0041]一部の実施形態では、方法はex vivoにおいて実施される。
[0042]一部の実施形態では、生物学的試料は、対象から新たに得られるか、又は凍結試料である。
【0038】
[0043]一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのAPCと少なくとも1つのPBMCとを含む、対象に由来する生物学的試料を得ることを含む。
[0044]一部の実施形態では、方法は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25細胞を枯渇させた試料を得ることを含む。
【0039】
[0045]一部の実施形態では、方法は、CD14及び/又はCD25細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートすることを含む。
[0046]一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのペプチドを、CD14及び/又はCD25細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を得ることを含む。
【0040】
[0047]一部の実施形態では、方法は、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を、少なくとも1つのPBMCと共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたPBMC試料を得ることを含む。
【0041】
[0048]一部の実施形態では、方法は、第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得ることを含む。
【0042】
[0049]一部の実施形態では、方法は、第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第2のペプチドロードされたAPC試料と共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得ることを含む。
【0043】
[0050]一部の実施形態では、方法は、第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得ることを含む。
【0044】
[0051]一部の実施形態では、方法は、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成
熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得ることを含む。
【0045】
[0052]一部の実施形態では、方法は、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第3のペプチドロードされたAPC試料と共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得ることを含む。
【0046】
[0053]一部の実施形態では、方法は、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得ることを含む。
【0047】
[0054]一部の実施形態では、方法は、第1の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、第2の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、第3の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む。
【0048】
[0055]一部の実施形態では、第1の刺激されたPBMC試料のPBMCをインキュベートすることは、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せの存在下で実施される。一部の実施形態では、第1の刺激されたPBMC試料のPBMCをインキュベートすることは、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せの存在下で実施される。一部の実施形態では、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCをインキュベートすることは、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せの存在下で実施される。一部の実施形態では、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCをインキュベートすることは、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せの存在下で実施される。
【0049】
[0057]本明細書の1つの態様では、少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)を含む、対象に由来する生物学的試料を得;CD14を発現する細胞を生物学的試料からエンリッチし、これにより、CD14+細胞エンリッチ試料を得;CD14+細胞エンリッチ試料を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子と共に第1の期間インキュベートし;少なくとも1つのペプチドを、CD14+細胞エンリッチ試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;ペプチドロードされたAPC試料を、1以上のサイトカイン又は増殖因子と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APC試料を得;成熟APC試料のAPCを、PBMCを含むCD14及び/又はCD25を枯渇させた試料と共に第4の期間インキュベートし;PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし;PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第6の期間インキュベートし;そして、PBMCのうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む方法が提示される。
【0050】
[0058]本明細書の1つの態様では、少なくとも1つのAPCと少なくとも1つのPBMCとを含む、対象に由来する生物学的試料を得;CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;少なくとも1つのペプチドを、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;ペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのPBMCと共
に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたPBMC試料を得;第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得;任意選択で、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得;第1、第2、又は第3の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む方法が提示される。
【0051】
[0059]本明細書の1つの態様では、少なくとも1つのAPCと少なくとも1つのPBMCとを含む、対象に由来する生物学的試料を得;CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;少なくとも1つのペプチドを、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;ペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのPBMCと共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたPBMC試料を得;任意選択で、第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得;任意選択で、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得;そして、第1、第2、又は第3の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む方法が提供される。
【0052】
[0060]本明細書の1つの態様では、少なくとも1つのAPCと少なくとも1つのPBMCとを含む、対象に由来する生物学的試料を得;CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;少なくとも1つのペプチドを、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされたAPC試料を得;第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのPBMCと共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたPBMC試料を得;任意選択で、第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第2のペプチドロードされたAPC試料と共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得;任意選択で、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第3のペプチドロードされたAPC試料と共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得;そして、第1、第2、又は第3の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む方法が提供される。
【0053】
[0061]本明細書の1つの態様では、少なくとも1つのAPCと少なくとも1つのPBMCとを含む、対象に由来する生物学的試料を得;CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;少なくとも1つのペプチドを、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされたAPC試料を得;第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つの
PBMCと共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたPBMC試料を得;任意選択で、第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得;任意選択で、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得;第1、第2、又は第3の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む方法が提供される。
【0054】
[0062]本明細書の1つの態様では、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の1以上の細胞マーカーの発現を決定し;そして、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞のペプチド-MHC複合体への結合を決定することを含み、発現を決定することと結合を決定することは同時に実施される方法が提示される。一部の実施形態では、刺激された免疫細胞試料は、ペプチド-MHC複合体を含むAPCにより刺激された免疫細胞の集団である。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、生物学的試料に由来する。
【0055】
[0063]本明細書の1つの態様では、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、ペプチド-MHC複合体を含むAPCと共にインキュベートし、これにより、刺激された免疫細胞試料を得;刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の1以上の細胞マーカーの発現を決定し;そして、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞のペプチド-MHC複合体への結合を決定することを含み、発現を決定することと結合を決定することは同時に実施される方法が提示される。
【0056】
[0064]一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーは、TNF-α、IFN-γ、LAMP-1、4-1BB、IL-2、IL-17A、グランザイムB、PD-1、CD25、CD69、TIM3、LAG3、CTLA-4、CD62L、CD45RA、CD45RO、FoxP3、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーはサイトカインを含む。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーは脱顆粒マーカーを含む。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーは細胞表面マーカーを含む。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーはタンパク質を含む。一部の実施形態では、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞のペプチド-MHC複合体への結合を決定することは、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体のペプチド及びMHCを含むMHC4量体への結合を決定することを含む。一部の実施形態では、MHCは、クラスI MHC又はクラスII MHCである。一部の実施形態では、ペプチド-MHC複合体は1以上の標識を含む。一部の実施形態では、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団は、各々が1以上の生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含む、2以上の試料を含む。一部の実施形態では、2以上の試料は、2以上の試料標識により標識される。一部の実施形態では、発現を決定すること及び結合を決定することは、蛍光活性化細胞分取(FACS)を含む。一部の実施形態では、発現を決定すること及び結合を決定することは、単一細胞解析を含む。一部の実施形態では、発現を決定すること及び結合を決定することは、1以上の細胞マーカーのいずれも発現し、ペプチド-MHC複合体に結合する免疫細胞の百分率を決定することを含む。一部の実施形態では、標識はフルオロフォアを含む。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、本明細書に記載の組成物の免疫細胞の集団を代表する免疫細胞の集団を含む。
【0057】
[0065]本発明の態様又は実施形態が、マーカッシュ群又は他の代替法による群分けとの関係で記載される場合、本発明全体として列挙された全群だけを包含するのではなく、また、群の各メンバーも個別に包含し、主要な群の全ての可能な亜群も包含し、また、群のメンバーのうちの1以上が存在しない主要な群も包含する。本発明はまた、特許請求され
る発明における群のメンバーのいずれかのうちの1以上の、明示的な除外も想定する。
援用
[0066]本明細書で言及される、全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、又は特許出願が援用されることが具体的かつ個別に指し示された場合と同程度に、全ての目的で、それらの全体が本明細書に援用される。例えば、本明細書で言及される全ての刊行物及び特許は、刊行物中で記載されている、キット、組成物、及び方法であって、本明細書で記載される方法、キット、及び組成物との関連で使用されうるキット、組成物、及び方法について記載及び開示することを目的として、それらの全体が本明細書に援用される。本明細書で論じられる文献は、それらの開示が本願の出願日以前であったことだけのために提示される。本明細書のいかなる内容も、本明細書で記載された発明者らが、先行発明のために、又は他の任意の理由で、このような開示に先行する資格があることの容認とはみなさないものとする。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] (a)少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)-刺激T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団であって、
(i)集団内のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に少ないか、又は
(ii)APCが、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCである、
免疫細胞の集団;及び
(b)薬学的に許容される賦形剤、
を含む医薬組成物。
[項目2] 生物学的試料が、がんを有するヒト対象に由来する、項目1に記載の医薬組成物。
[項目3] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に500nM未満のK
D
又はIC
50
で結合する、項目1又は2に記載の医薬組成物。
[項目4] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々が、対象のがん細胞の発現遺伝子によりコードされ、対象の非がん細胞内には存在しない突然変異を含む、項目1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目5] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上が、8~50天然アミノ酸の長さを有する、項目1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目6] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、少なくとも2つの抗原ペプチド配列を含む、項目1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目7] 組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD8
+
T細胞の百分率が、組成物中の全CD8
+
T細胞のうちの少なくとも約1%である、項目1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目8] 組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD8
+
T細胞の百分率が、組成物中の全CD8
+
T細胞のうちの少なくとも約5%である、項目7に記載の医薬組成物。
[項目9] 組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD8
+
T細胞の数が、少なくとも約1×10
6
、2×10
6
、5×10
6
、1×10
7
、2×10
7
、5×10
7
、1×10
8
、2×10
8
、又は5×10
8
個である、項目1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目10] 項目1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物を、疾患又は障害を有する対象へ投与することを含む、処置方法。
[項目11] 治療に使用する医薬の製造のための、項目1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
[項目12] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、該方法は、
(a)1以上の抗原提示細胞(APC)調製物を、CD14及びCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に1以上の別個の期間インキ
ュベートし;
(b)1以上のAPC調製物を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に1以上の別個の期間インキュベートし、ここで、1つ以上のAPCは、1つ以上のFMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCを含み;又は
(c)FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートされ、そして、少なくとも1つのペプチドは、免疫細胞の集団と共に第1のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得、ここで、免疫細胞の集団は、少なくとも1つのT細胞及び少なくとも1つのAPCを含む、
ことを含む方法であって、
少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される、前記方法。
[項目13] 生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物のうちの第1のAPC調製物とインキュベートしてから、28日間未満の1以上の別個の期間、該免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共にインキュベートすることを含む、項目12に記載の方法。
[項目14] 生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、3以下のAPC調製物と共に3以下の別個の期間インキュベートすることを含む、項目12又は13に記載の方法。
[項目15] 1以上のAPC調製物のうちの少なくとも2つが、FLT3L-刺激APCを含む、項目12~14のいずれか1項に記載の方法。
[項目16] 1以上のAPC調製物のうちの少なくとも3つが、FLT3L-刺激APCを含む、項目15に記載の方法。
[項目17] インキュベートすることが、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に7日を超える期間インキュベートすることを含む、項目12~16のいずれか1項に記載の方法。
[項目18] APC調製物のAPCが、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上を含む1以上の抗原ペプチドをロードされたAPCを含む、項目12~17のいずれか1項に記載の方法。
[項目19] APC調製物のAPCが、自家APC又は同種APCである、項目12~18のいずれか1項に記載の方法。
[項目20] APC調製物のAPCが、樹状細胞(DC)を含む、項目12~19のいずれか1項に記載の方法。
[項目21] DCがCD141
+
DCである、項目20に記載の方法。
[項目22] CD14及びCD25を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及びCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を得ることを含む、項目12~21のいずれか1項に記載の方法。
[項目23] CD19を発現する細胞を枯渇させることをさらに含む、項目12~22のいずれか1項に記載の方法。
[項目24] CD14及びCD25を発現する細胞を枯渇させることが、CD14又はCD25に結合する薬剤を、1以上のAPC調製物のAPCへ結合させることを含む、項目12~23のいずれか1項に記載の方法。
[項目25] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞のうちの1つ以上を対象へ投与することをさらに含む、項目12~24のいずれか1項に記載の方法。
[項目26] インキュベートすることが、1以上のAPC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日を超える期間インキュベートすることを含む、項目12~25のいずれか1項に記載の方法。
[項目27] 1以上のAPC調製物のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第1の培地と共に第1の期間インキュベートすることを含む、項目12~26のいずれか1項に記載の方法。
[項目28] 1以上のAPC調製物のうちの少なくとも1つを、1以上のサイトカイン又は増殖因子を含む第2の培地と共に、第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APCを得ることを含む、項目27に記載の方法。
[項目29] 第3の期間の後で、第2の培地の1以上のサイトカイン又は増殖因子を除去することをさらに含む、項目28に記載の方法。
[項目30] APC調製物のAPCが、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される、項目12~29のいずれか1項に記載の方法。
[項目31] 1以上のサイトカイン又は増殖因子が、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む、項目30に記載の方法。
[項目32] 抗原が、ネオ抗原、腫瘍関連抗原、ウイルス抗原、マイナー組織適合性抗原、又はこれらの組合せである、項目12~31のいずれか1項に記載の方法。
[項目33] ex vivoにおいて実施される、項目12~32のいずれか1項に記載の方法。
[項目34] CD14及びCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートすることを含む、項目12~33のいずれか1項に記載の方法。
[項目35] 少なくとも1つのペプチドを、CD14及びCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を得ることを含む、項目12~34のいずれか1項に記載の方法。
[項目36] 第1のペプチドロードされた成熟APC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目12~35のいずれか1項に記載の方法。
[項目37] 第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、(i)成熟APC試料のうちのFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートするか、(ii)FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第2のペプチドロードされたAPC試料と共に第4の期間インキュベートするか、又は(iii)FLT3L、及び成熟APC試料のうちのFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目12~36のいずれか1項に記載の方法。
[項目38] 第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、(i)成熟APC試料のうちのFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートするか、(ii)FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第3のペプチドロードされたAPC試料と共に第5の期間インキュベートするか、又は(iii)FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第3のペプチドロードされたAPC試料と共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目12~37のいずれか1項に記載の方法。
[項目39] 1以上の別個の期間、3以下の別個の期間、第1の期間、第2の期間、第3の期間、第4の期間、又は第5の期間が、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも13時間、少なくとも14時間、少なくとも15時間、少なくとも16時間、少なくとも17時間、少なくとも18時間、少なくとも19時間、少なくとも20時間、少なくとも21時間、少なくとも22時間、少なくとも23時間、少なくとも24時間、少なくとも25時間、少なくとも26時間、少なくとも27時間、少なくとも28時間、少なくとも29時間、少なくとも30時間、少なくとも31時間、少なくとも32時間、少なくとも33時間、少なくとも34時間、少なくとも35時間、少なくとも36時間、少なくとも37時間、少なくとも38時間、少なくとも39時間、又は少なくとも40時間である、項目12~38のいずれか1項に記載の方法。
[項目40] 1以上の別個の期間、3以下の別個の期間、第1の期間、第2の期間、第3の期間、第4の期間、又は第5の期間が、1~4時間、1~3時間、1~2時間、4~40時間、7~40時間、4~35時間、4~32時間、7~35時間、又は7~32時間である、項目12~39のいずれか1項に記載の方法。
[項目41] 免疫細胞の集団が、APC、又は1つ以上のAPC調製物のうちの少なくとも1つを含む、項目12~40のいずれか1項に記載の方法。
[項目42] 免疫細胞の集団がAPCを含まず、免疫細胞の集団が1以上のAPC調製物のうちの1つを含まない、項目12~41のいずれか1項に記載の方法。
[項目43] FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含み、ここで、FLT3Lは、免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートされ、少なくとも1つのペプチドは、免疫細胞の集団と共に第1のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得、ここで、免疫細胞の集団は、少なくとも1つのT細胞及び少なくとも1つのAPCを含む、項目12~42のいずれか1項に記載の方法。
[項目44] FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、少なくとも1つのAPCと共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、少なくとも1つのAPCと共に第2の期間インキュベートされ、そして、少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つのAPCと共に第2のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を得;そして、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を、第1の刺激され
たT細胞試料と共にインキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得る、ことを含む、項目43に記載の方法。
[項目45] FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、少なくとも1つのAPCと共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、少なくとも1つのAPCと共に第3の期間インキュベートされ、そして、少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つのAPCと共に第3のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第2のペプチドロードされた成熟APC試料を得;そして、第2のペプチドロードされた成熟APC試料を、第2の刺激されたT細胞試料と共にインキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得る、ことを含む、項目44に記載の方法。
[項目46] 第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む、項目12~40のいずれか1項に記載の方法。
[項目47](a)少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)を含む、対象に由来する生物学的試料を得;
(b)CD14を発現する細胞を生物学的試料からエンリッチし、これにより、CD14
+
細胞エンリッチ試料を得;
(c)CD14
+
細胞エンリッチ試料を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子と共に第1の期間インキュベートし;
(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14
+
細胞エンリッチ試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;
(e)ペプチドロードされたAPC試料を、1以上のサイトカイン又は増殖因子と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APC試料を得;
(f)成熟APC試料のAPCを、T細胞を含む、CD14及びCD25を枯渇させた試料と共に第4の期間インキュベートし;
(g)T細胞を、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし;
(h)T細胞を、成熟APC試料のAPCと共に第6の期間インキュベートし;そして
(i)T細胞のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へと投与する、ことを含む方法。
[項目48](a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのT細胞を含む、対象に由来する生物学的試料を得;
(b)CD14及びCD25を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及びCD25細胞を枯渇させた試料を得;
(c)CD14及びCD25細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;
(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及びCD25細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;
(e)ペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得;
(f)第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のAPCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;
(g)任意選択で、第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;
(h)第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、
ことを含む方法。
[項目49](a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのT細胞を含む、対象に由来する生物学的試料を得;
(b)CD14及びCD25を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及びCD25細胞を枯渇させた試料を得;
(c)CD14及びCD25細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;
(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及びCD25細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;
(e)ペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得;
(f)任意選択で、第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;
(g)任意選択で、第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;
(h)第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、
ことを含む方法。
[項目50](a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのT細胞を含む、対象に由来する生物学的試料を得;
(b)CD14及びCD25を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及びCD25細胞を枯渇させた試料を得;
(c)CD14及びCD25細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;
(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及びCD25細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされたAPC試料を得;
(e)第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得;
(f)任意選択で、第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第2のペプチドロードされたAPC試料と共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;
(g)任意選択で、第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第3のペプチドロードされたAPC試料と共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;
(h)第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、
ことを含む方法。
[項目51](a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのT細胞を含む、対象に由来する生物学的試料を得;
(b)CD14及びCD25を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及びCD25細胞を枯渇させた試料を得;
(c)CD14及びCD25細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;
(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及びCD25細胞を枯渇させた試
料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされたAPC試料を得;
(e)第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得;
(f)任意選択で、第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;
(g)任意選択で、第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;
(h)第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、
ことを含む方法。
[項目52](a)FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートされ、そして、少なくとも1つのペプチドは、免疫細胞の集団と共に第1のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得、ここで、免疫細胞の集団は、少なくとも1つのT細胞及び少なくとも1つのAPCを含み;
(b)任意選択で、FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、少なくとも1つのAPCと共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、少なくとも1つのAPCと共に第2の期間インキュベートされ、そして、少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つのAPCと共に第2のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を得;そして、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を、第1の刺激されたT細胞試料と共にインキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;
(c)任意選択で、FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、少なくとも1つのAPCと共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、少なくとも1つのAPCと共に第3の期間インキュベートされ、そして、少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つのAPCと共に第3のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第2のペプチドロードされた成熟APC試料を得;そして、第2のペプチドロードされた成熟APC試料を、第2の刺激されたT細胞試料と共にインキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;そして
(d)第1の刺激されたT細胞試料、第2の刺激されたT細胞試料、又は第3の刺激されたT細胞試料のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、
ことを含む方法。
[項目53](a)刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の1以上の細胞マーカーの発現を決定し、そして
(b)刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体への結合を決定する、
ことを含む方法であって、
発現の決定と結合の決定が同時に実施される、前記方法。
[項目54](a)生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、ペプチド-MHC複合体を含むAPCと共にインキュベートし、これにより、刺激された免疫細胞試料を得;
(b)刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の1以上の細胞マーカーの発現を決定し;そして
(c)刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体
への結合を決定する、
ことを含む方法であって、
発現の決定と結合の決定が同時に実施される、前記方法。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1A】[0067]
図1Aは、抗原特異的T細胞の製造プロトコールについての例示的な概略を描示する。
【
図1B】[0068]
図1Bは、抗原特異的T細胞の製造プロトコールについての例示的な概略を描示する。
【
図2】[0069]
図2は、長鎖ペプチド又は短鎖ペプチドにより誘導された抗原特異的CD8
+メモリーT細胞の画分を示す、例示的な結果を描示する。「バルク」とは、誘導のために使用されるT細胞を含有する試料が、全末梢血単核細胞(PBMC)であることを指し示す。「Treg
-」とは、誘導のために使用されるT細胞を含有する試料が、CD25を発現する細胞を枯渇させたPBMCであることを指し示す。
【
図3】[0070]
図3は、GAS7ペプチドにより誘導された抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞の画分を示す、例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。
【
図4】[0071]
図4は、抗原特異的CD8
+T細胞の、HIV短鎖ペプチド、短鎖PIN(previously identified neoantigen)、又は長鎖PINのペプチドプールに対する応答を示す、例示的な結果を描示する。「全PBMC」とは、誘導のために使用されるT細胞を含有する試料が、全PBMCであることを指し示す。「CD25
-PBMC」とは、誘導のために使用されるT細胞を含有する試料が、CD25
+細胞を枯渇させたPBMCであることを指し示す。
【
図5A】[0072]
図5Aは、表示の条件下における、単一のPIN(previously identified neoantigen)に対する、抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答についての例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。
【
図5B】[0073]
図5Bは、表示の条件下における、単一のPIN(previously identified neoantigen)に対する、抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答についての例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。
【
図6】[0074]
図6は、2例のヒトドナーに由来するPBMC試料を使用する、表示のペプチドに対する抗原特異的CD8
+T細胞応答を示す、例示的な結果を描示する。
【
図7】[0075]
図7は、刺激の前、及び最大で3ラウンドの刺激の後の、健常ドナーにおける表示の突然変異エピトープに対する、抗原特異的CD8
+T細胞応答についての例示的なフローサイトメトリープロットを描示する。
【
図8A】[0076]
図8Aは、ウイルス抗原に対する抗原特異的メモリーCD8
+T細胞応答の結果を示す、例示的な棒グラフを描示する。最大で3ラウンドにわたる刺激の後、全CD8
+T細胞のうちのおよそ50%は、表示のウイルスエピトープ(CMV pp65、EBV YVL、EBV BMLF1、及びMart-1)に特異的であった。
【
図8B】[0077]
図8Bは、ペプチドをロードされた抗原提示細胞に対する抗原特異的メモリーCD8
+T細胞応答と、次いで、ウイルス抗原をロードされたAPC及びウイルス抗原をロードされなかったAPCと共にインキュベートされた場合の応答とについてのリコールアッセイの例示的な結果を描示する。図では、表示のサイトカインを放出する2つの時点によるCD8
+T細胞の画分について描示する。
【
図9】[0078]
図9は、誘導されたT細胞培養物が、抗原を発現する腫瘍株を死滅させうるかどうかについて評価するために使用される、細胞傷害作用アッセイの例示的な結果を描示する。カスパーゼ3陽性の腫瘍生細胞及び死細胞の、総腫瘍細胞に対する画分を示す。カスパーゼ3陽性の生存腫瘍細胞は、早期の細胞死を被る細胞を指し示す。
【
図10】[0079]
図10は、ペプチドをロードされた抗原提示細胞に対する抗原特異的CD4
+T細胞応答を、PINをロードされた及びロードされないAPCと共にインキュベートした場合の例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。IFNγを放出するCD4
+T細胞の百分率を示す。
【
図11】[0080]
図11は、突然変異体ペプチド又は野生型ペプチドで再刺激した後にIFNγを放出する抗原特異的CD4
+T細胞の百分率についての例示的な結果を描示する。
【
図12】[0081]
図12は、短鎖HIV5ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図13】[0082]
図13は、ヒトドナーに由来する全PBMC試料を使用する、短鎖ME1ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答の画分を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図14】[0083]
図14は、ヒトドナーに由来する全PBMC試料を使用する、短鎖HIV3ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図15】[0084]
図15は、ヒトドナーに由来する全PBMC試料を使用する、長鎖CSNK1A1ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図16】[0085]
図16は、CD25
+細胞を枯渇させたヒトドナーに由来するPBMC試料を使用する、長鎖CSNK1A1ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図17】[0086]
図17は、CD25
+細胞を枯渇させたヒトドナーに由来するPBMC試料を使用する、短鎖GAS7ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図18】[0087]
図18は、CD25
+細胞を枯渇させたヒトドナーに由来するPBMC試料を使用する、短鎖ACTN4ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図19A】[0088]
図19Aは、CD25
+細胞を枯渇させたヒトドナーに由来するPBMC試料を使用する、短鎖ACTN4ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導が示される。
【
図19B】[0089]
図19Bは、CD25
+細胞を枯渇させたヒトドナーに由来するPBMC試料を使用する、短鎖HIV3ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。長期的誘導が示される。
【
図20】[0090]
図20は、ヒトドナーに由来する全PBMC試料を使用する、短鎖HIV5ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答についての例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図21】[0091]
図21は、ヒトドナーに由来する全PBMC試料を使用する、短鎖HIV3ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導が示される。
【
図22】[0092]
図22は、CD25
+細胞を枯渇させたヒトドナーに由来するPBMC試料を使用する、短鎖PRDX5ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。極めて短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図23】[0093]
図23は、CD25
+細胞を枯渇させたヒトドナーに由来するPBMC試料を使用する、短鎖HIV5ペプチドに対する抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞応答を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。短期的誘導及び長期的誘導の両方を示す。
【
図24】[0094]
図24は、治療用T細胞組成物を作出するための方法であって、メモリーT細胞の拡大とナイーブT細胞の誘導とを含む方法の例についての概略を描示する。
【
図25】[0095]
図25は、T細胞の機能性、表現型、及び/若しくは機能、並びに/又はT細胞応答について調べる方法の例を描示する。
【
図26】[0096]
図26は、T細胞の機能性、表現型、及び/若しくは機能、並びに/又はT細胞応答について調べるリコールアッセイの例を描示する。
【
図27A】[0097]
図27Aは、リコールアッセイにおいて、個別に又は混合物として取得した標識試料により、多重化試料の絡まりを解く能力を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。固有に標識された試料を、他のバーコードとの交差汚染が最小~全くなく分解した。
【
図27B】[0098]
図27Bは、リコールアッセイにおける、9例の固有に標識された試料の混合物の多量体染色による、抗原特異的CD8
+T細胞の検出を示す例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。
【
図28A】[0099]
図28Aは、ネオ抗原をロードされていないDC及びネオ抗原をロードされたDCによりリコールされる6例の固有にバーコード化された試料を使用する、リコールアッセイについての例示的なフローサイトメトリー解析を描示する。
【
図28B】[0100]
図28Bは、リコール応答アッセイにおいて、表示の濃度のペプチドをロードされたDCと共にインキュベートされたCD4
+T細胞のパーセントについて機能数とともに示す例示的な棒グラフを描示する。デノボCD4
+T細胞応答を含有する2つの誘導された培養物の試料を、バーコード化を伴わずに単独で又は無関係の試料と混合して解析した。バーコード化は、検出可能な機能性を変化させなかった。細胞から誘発される応答の機能数及び大きさは、試料のバーコード化による著しい変化はなかった。
【
図29A】[0101]
図29Aは、ウイルス抗原に対する抗原特異的メモリーCD8
+T細胞応答の結果を示す例示的な棒グラフを描示する。CMV pp65、MART-1、並びにEBVBRLF1及びBMLF1のエピトープに対するCD8
+メモリー応答を、出発健常ドナー材料におけるCD8
+T細胞の0.23%から>60%へと引き上げることができた。
【
図29B】[0102]
図29Bは、ウイルス抗原に対する抗原特異的メモリーCD8
+T細胞応答が、ウイルス抗原をロードされたDC及びウイルス抗原をロードされなかったDCによりリコールされた場合のリコールアッセイの例示的な結果を描示する。図では、表示のサイトカインを放出する2つの時点におけるCD8
+T細胞の画分について描示する。
【
図30A】[0103]
図30Aは、同じ培養物において複数の特異性で誘導したデノボCD4
+応答を検出及び機能的特徴付けすることによりヒット識別した例示的な結果を描示する。示される例では、誘導は、HIV陰性健常ドナーではナイーブ標的である10のHIV由来エピトープを標的として、4回の反復培養において実施された。抗原特異的応答は、応答の大きさは変動するが、4回中4回の生物学的反復において検出された。
【
図30B】[0104]
図30Bは、同じ培養物において複数の特異性で誘導したデノボCD4
+応答を検出及び機能的特徴付けすることによりプールデコンボリューションした例示的な結果を描示する。各反復試験で複数の応答が検出され、いずれの場合にも同じ2つのエピトープ(HIV#5及びHIV#7)が最大の大きさの応答を生じた。
【
図30C】[0105]
図30Cは、同じ培養物において複数の特異性で誘導したデノボでCD4
+応答を検出及び機能的特徴付けすることにより感受性決定した例示的な結果を描示する。プールデコンボリューションアッセイにおける各応答でも同様の大きさが観察された。HIV#5、HIV#6、及びHIV#4に対する応答は、それぞれ、0.45μM、0.43μM、及び9.1μMのEC
50を示した。
【
図31】[0106]
図31は、抗原特異的T細胞の製造プロトコールについての例示的な概略を描示する。
【
図32】[0107]
図32は、T細胞の誘導プロトコールについての例示的な概略を描示する。
【
図33】[0108]
図33は、樹状細胞の作出プロトコールについての例示的な概略を描示する。
【
図34】[0109]
図34は、患者特異的エピトープ:SRSF1
E>K、ARAP1
Y>H、及びPKDREJ
G>Rを標的とする黒色腫患者由来、患者特異的エピトープ:AASDHneoORF及び7つのモデルとなるネオ抗原:ACTN4
K>N、CSNK1A1
S>L、DHX40neoORF、GLI3
P>L、QARS
R>W、FAM178B
P>L、及びRPS26
P>Lを標的とする黒色腫患者由来の白血球除去処理材料中で誘導されたCD8
+T細胞応答を示す例示的なpMHC多量体プロットを描示する。1行目及び2行目の最初のパネルプロットはメモリー応答を指し示し、残りのプロットはデノボ応答を指し示す。
【
図35-1】[0110]
図35は、SRSF1
E>K及びARAP1
Y>Hペプチド刺激前後のpMHC多量体プロットについての例示的データであって、pMHC多量体
+CD8
+T細胞に対してゲートをかけたデータを描示する。黒色腫患者において誘導されるCD8
+メモリー応答、CD8
+デノボ応答についての多機能プロファイルを、1つ、2つ、又は3つの機能の組合せ(例えば、1以上の機能は、IFNγ、TNFα、CD107a、及び4-1BBから選択される1以上の因子の産生である)により示す。
【
図35-2】
図35は、ネオ抗原をロードされたDCでリチャレンジした場合のネオ抗原特異的T細胞の機能性について描示する円グラフについての例示的データであって、pMHC多量体
+CD4
+T細胞に対してゲートをかけたデータを描示する。黒色腫患者において誘導される、CD4
+デノボ応答についての多機能プロファイルを、1つ、2つ、又は3つの機能の組合せ(例えば、1以上の機能は、IFNγ、TNFα、CD107a、及び4-1BBから選択される1以上の因子の産生である)により示す。
【
図36】[0111]
図36は、黒色腫患者において、突然変異ペプチド及び野生型ペプチドに対して誘導されるメモリー応答及びデノボ応答の特異性を描示する。SRSF1
E>K及びARAP1
Y>Hに特異的なT細胞応答は、異なる濃度(X軸:0μM、0.05μM、0.2μM、0.8μM、及び3.2μM)の突然変異体又は野生型のネオ抗原ペプチドをロードされたDCによりチャレンジし、試料中の全CD8
+T細胞のうちのIFN-γ
+及び/又はTNFα
+及び/又はCD107a
+(Y軸)を測定することにより評価した;いずれの応答も、0μMの濃度に照らした有意差を示し、野生型のネオ抗原ペプチドに対する応答性を示さない。統計学的解析:補正p値についてのFDR、P値:
*≦0.05、
***≦0.001、
****≦0.0001。
【
図37A】[0112]
図37Aは、CD8
+CD107a
+T細胞の頻度により定量される、黒色腫患者において誘導されるメモリー応答についての細胞傷害プロファイルを描示する。
図37Aは、aCAS3
+腫瘍細胞の頻度により定量されるこれらのT細胞応答による標的細胞の殺滅も描示する。誘導されたCD8
+T細胞応答の細胞傷害性能は、突然変異体又は野生型のネオ抗原を形質導入された腫瘍細胞でリチャレンジすることにより評価した。非形質導入腫瘍細胞(親A375株)、又は200アミノ酸の構築物を形質導入された腫瘍細胞を使用した。構築物は突然変異体配列又は野生型配列を含有しており、突然変異は中央に含有した。共培養すると、CD8
+T細胞上のCD107a、及び腫瘍細胞上の活性カスパーゼ3の上方制御が測定された。標的比:3.3:1(SRSF1
E>K)である。
【
図37B】[0113]
図37Bは、CD8
+CD107a
+T細胞の頻度により定量される、黒色腫患者において誘導されるメモリー応答についての細胞傷害プロファイルの別の例を描示する。
図37Bは、aCAS3
+腫瘍細胞の頻度により定量されるこれらのT細胞応答による標的細胞の殺滅も描示する。誘導されたCD8
+T細胞応答の細胞傷害性能は、突然変異体又は野生型のネオ抗原を形質導入された腫瘍細胞でリチャレンジすることにより評価した。非形質導入腫瘍細胞(親A375株)、又は200アミノ酸の構築物を形質導入された腫瘍細胞を使用した。構築物は突然変異体配列又は野生型配列を含有しており、突然変異は中央に含有した。共培養すると、CD8
+T細胞上のCD107a、及び腫瘍細胞上の活性カスパーゼ3の上方制御が測定された。赤丸は、pMHC
+画分を強調する。エフェクター:標的比:5:1(SRSF1
E>K)である。統計学的解析:対応のないT検定:P値
**≦0.01、
****≦0.0001である。
【
図37C】[0114]
図37Cは、CD8
+CD107a
+T細胞の頻度により定量される、黒色腫患者において誘導されるデノボ応答についての細胞傷害プロファイルを描示する。
図37Cは、aCAS3
+腫瘍細胞の頻度により定量されるこれらのT細胞応答による標的細胞の殺滅も描示する。誘導されたCD8
+T細胞応答の細胞傷害性能は、突然変異体又は野生型のネオ抗原を形質導入された腫瘍細胞でリチャレンジすることにより評価した。非形質導入腫瘍細胞(親A375株)、又は200アミノ酸の構築物を形質導入された腫瘍細胞を使用した。構築物は突然変異体配列又は野生型配列を含有しており、突然変異は中央に含有した。共培養すると、CD8
+T細胞上のCD107a、及び腫瘍細胞上の活性カスパーゼ3の上方制御が測定された。赤丸は、pMHC
+画分を強調する。エフェクター:標的比:0.66:1(ARAP1
Y>H)である。統計学的解析:対応のないT検定:P値
**≦0.01、
****≦0.0001である。
【
図38A】[0115]
図38Aは、黒色腫患者におけるネオ抗原特異的CD4
+T細胞応答の同定を描示する。応答は、突然変異体ネオ抗原ペプチド(0.8μM)をロードされたDCによりリチャレンジした場合の、IFN-γ及びTNFαの産生(Y軸)に基づき同定する。MKRN1
S>L、CREBBP
S>L、及びTPCN1
K>Eを陽性応答として同定した。
【
図38B】[0116]
図38Bは、表示の突然変異ペプチド及び野生型ペプチドに対する、
図38Aで描示したCD4
+T細胞応答の特異性を描示する。確認研究では、
図38Aで示したCD4
+T細胞応答は、異なる濃度(X軸:0μM、0.05μM、0.2μM、0.8μM、及び3.2μM)の突然変異体又は野生型のネオ抗原ペプチドによりチャレンジし、試料中の全CD4
+のうちのIFN-γ
+及び/又はTNFα
+(Y軸)を測定することにより評価した。CD4
+T細胞応答のうちの2つ(MKRN1
S>L及びCREEBP
S>L)は0μMの濃度に照らした有意差を示し、野生型のネオ抗原ペプチドに対して応答性を示さないが、TPCN1
K>E応答は、突然変異体及び野生型のネオ抗原ペプチドのいずれに対しても反応性であった。統計学的解析:補正p値についてのFDR、P値<0.05。
【
図38C】[0117]
図38Cは、1つ、2つ、3つ、又は4つの機能の組合せ(例えば、1以上の機能は、IFNγ、TNFα、CD107a、及び4-1BBから選択される1以上の因子の産生である)により示されるこれらのCD4
+T細胞応答の多機能プロファイルを描示する。同定されたCD4
+T細胞応答の多機能性は、突然変異体ネオ抗原ペプチド(0.8μM)をロードされたDCのリチャレンジにより評価した。円グラフ内の百分率は、機能的なCD4
+T細胞の百分率(1つ、2つ、及び/又は3つの機能)を表す。描示される代表的データは、患者において誘導された刺激後CD4
+T細胞応答から生成した。
【
図39】[0118]
図39は、1つ、2つ、又は3つの機能(例えば、1以上の機能は、IFNγ、TNFα、及びCD107aから選択される1以上の因子の産生である)の組合せにより示される、エパカドスタットの添加を伴うか又は伴わずに2例の健常ドナー(例えば、HD66及びHD63)において誘導されたメモリー応答の機能性を描示する。
【
図40】[0119]
図40は、エパカドスタットの添加を伴うか又は伴わずに、6回の反復誘導において誘導されたデノボCD8
+T細胞応答(4例の健常ドナーで平均した「ヒット率」)のパーセントを描示する。
【
図41A】[0120]
図41Aは、PD-1遮断抗体の添加を伴うか又は伴わずに、本明細書に提示したT細胞製造プロトコールによる誘導後のドナーHD55からの抗原特異的細胞の絶対数を描示する。
【
図41B】[0121]
図41Bは、PD-1遮断抗体の添加を伴うか又は伴わずに、本明細書に提示したT細胞製造プロトコールによる誘導後のドナーHD67からの抗原特異的細胞の絶対数を描示する。
【
図42A】[0122]
図42Aは、IL-12の添加を伴うか又は伴わない、デノボCD8
+T細胞応答のうちのpMHC
+CD8
+T細胞の画分を描示する。
【
図42B】[0123]
図42Bは、IL-12の添加を伴うか又は伴わない、デノボCD8
+T細胞応答のうちのCD8
+T細胞の百分率を描示する。
【
図43】[0124]
図43は、本明細書に記載の方法の例を描示する。バイオインフォマティクスエンジンを使用して、患者特異的ネオ抗原を予測する。予測したネオ抗原をカバーする合成長鎖ペプチドを刺激プロトコールにおける免疫原として使用して、免疫原性能について評価する。刺激プロトコールには、これらのネオ抗原をコードするペプチドを患者由来APCへと供給し、次いで、これらを患者由来T細胞と共培養して、ネオ抗原特異的T細胞をプライミングすることが含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
[0125]本明細書では、個体の腫瘍に固有の突然変異イベントから生じるネオ抗原の発見に基づいた、新規の免疫治療剤及びその使用が記載される。したがって、本明細書に記載される本開示は、疾患の処置に使用するための抗原特異的免疫細胞、例えば、T細胞を創出する方法及びプロトコールを提示する。
定義
[0126]本明細書で使用される用語は、特定の場合について記載することだけを目的とするものであり、限定的であることが意図されるものではない。本明細書で使用される単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その」とは、文脈によりそうでないことが
明らかに指し示されない限りにおいて、複数形もまた含むことが意図される。さらに、「~を含むこと」、「~を含む」、「~を有すること」、「~を有する」、「~を伴う」という用語、又はこれらの変化形が、詳細な説明及び/又は特許請求の範囲において使用される限りにおいて、このような用語は、「~を含むこと」という用語と同様に包含的であることが意図される。
【0060】
[0127]「~を含む(comprises)」、「含まれた(comprised)」、「~を含むこと(comprising)」などの用語は、米国特許法において、それに帰せられた意味を有することが可能であり、例えば、これらの用語は、「~を含む(includes)」、「含まれた(included)」、「~を含むこと(including)」などを意味することが可能であるが;「~から本質的に成ること」及び「~から本質的に成る」などの用語は、米国特許法において、それらに帰せられた意味を有し、例えば、それらは、明示的に列挙されていない要素を許容するが、先行技術において見出されるか、又は本発明の基礎的特徴又は新規の特徴に影響を及ぼす要素を除外する。本明細書におけるいかなる事柄も、保証としては意図されない。
【0061】
[0128]本明細書の「A及び/又はB」などの語句において使用される、「及び/又は」という用語は、A及びB;A又はBの両方;A(単独);並びにB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句において使用される、「及び/又は」という用語は、以下の具体化:A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)の各々を包含することが意図される。
【0062】
[0129]「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、当業者により決定される特定の値について、許容可能な誤差の範囲内にあることを意味する場合があり、これは、値がどのようにして測定又は決定されるのか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」とは、当該技術分野における慣行に従い、1以上の標準偏差内を意味しうる。あるいは、「約」とは、所与の値の最大で20%、最大で10%、最大で5%、又は最大で1%の範囲を意味しうる。あるいは、特に、生体系又は生物学的過程に関して述べると、用語は、値の桁数の範囲内、5倍以内を意味する場合があり、より好ましくは2倍以内を意味しうる。特定の値が、本願及び特許請求の範囲において記載される場合、そうでないことが条件づけられない限りにおいて、「約」という用語は、特定の値について、許容可能な誤差の範囲内にあることを意味すると仮定されるものとする。
【0063】
[0130]本開示の理解を容易とするために、多数の用語及び語句を以下に規定する。
[0131]「ネオ抗原」とは、タンパク質内の腫瘍特異的変化から生じる腫瘍抗原のクラスを表す。ネオ抗原は、例えば、タンパク質配列の置換、フレームシフト突然変異、融合ポリペプチド、インフレームの欠失、挿入、及び内因性レトロウイルスポリペプチドの発現から生じる腫瘍抗原を包含するがこれらに限定されない。
【0064】
[0132]「ネオエピトープ」とは、非罹患細胞、例えば、非がん性細胞又は生殖系列細胞などの参照物においては存在しないが、罹患細胞内、例えば、がん細胞内には見出されるエピトープを表す。これは、対応するエピトープが正常非罹患細胞内又は生殖系列細胞内に見出されるが、罹患細胞、例えば、がん細胞内の1以上の突然変異に起因して、エピトープの配列が、ネオエピトープを結果としてもたらすように変化した状況を含む。
【0065】
[0133]「参照物」は、本開示の方法により、罹患検体から得られる結果を相関及び/又は比較するのに使用されうる。典型的には、「参照物」は、1つの個体から得られた1つ以上の正常検体、特に、非罹患検体、又は同じ種の個体などの1つ以上の異なる個体(例えば健常個体)に基づいて得られうる。「参照物」は、十分に多数の正常検体を検査することにより経験的に決定されうる。
【0066】
[0134]「突然変異」とは、核酸配列内の参照核酸と比較した変化又は差違(例えば、ヌクレオチドの置換、付加、又は欠失)を表す。「体細胞突然変異」は、生殖細胞(精子及び卵子)を除く体細胞内で生じる可能性があり、子孫へは受け継がれない。これらの変更は、がん又は他の疾患を引き起こしうる(しかし、常に引き起こすわけではない)。一部の実施形態では、突然変異は非同義突然変異である。「非同義突然変異」とは、翻訳産物内のアミノ酸置換などのアミノ酸変化を結果としてもたらす突然変異(例えば、ヌクレオチド置換)を表す。「フレームシフト」は、突然変異が、遺伝子のコドン周期性の正常相(「リーディングフレーム」としても知られる)を破壊する結果として、非天然タンパク質配列の翻訳をもたらす場合に生じる。遺伝子内の異なる突然変異が、同じリーディングフレームの変更を達成することが可能である。
【0067】
[0135]「親和性」という用語は、結合対(例えば、ヒト白血球抗原(HLA)結合性ペプチドとクラスI HLA若しくはクラスII HLA、又はペプチド-HLA複合体とT細胞受容体(TCR))の2つのメンバー間の結合強度についての尺度を表す。KDとは、結合対の2つのメンバー間の解離定数を表し、モル濃度の単位を有する。KAとは、結合対の2つのメンバー間の親和性定数を表し、解離定数の逆数である。親和性は、実験により、例えば、市販のBiacore SPRユニットを使用する表面プラズモン共鳴(SPR)により決定されうる。Koffとは、結合対の2つのメンバーについてのオフ速度定数(例えば、HLA結合性ペプチドとクラスI HLA若しくはクラスII HL
Aとのオフ速度定数、又はペプチド-HLA複合体とTCRとのオフ速度定数)を表す。Konとは、結合対の2つのメンバーについてのオン速度定数(例えば、HLA結合性ペプチドとクラスI HLA若しくはクラスII HLAとのオン速度定数、又はペプチド-HLA複合体とTCRとのオン速度定数)を表す。
【0068】
[0136]本開示を通して、「結合データ」結果は、「IC50」との関係で表されうる。親和性は、50%阻害濃度(IC50)又は結合対の第1のメンバー(例えばペプチド)の50%が置換される場合の濃度としても表されうる。同様に、ln(IC50)とは、IC50の自然対数を表す。例えば、IC50は、結合アッセイにおける被験ペプチドの濃度であって、標識された参照ペプチドの結合の50%の阻害が観察される場合の濃度でありうる。アッセイが試行される場合の条件(例えば、限界HLAタンパク質濃度及び/又は標識された参照ペプチド濃度)を踏まえると、これらの値は、KD値を近似しうる。結合を決定するためのアッセイは当該技術分野において周知であり、例えば、PCT公開公報第WO94/20127号及び同第WO94/03205号、並びにSidneyら、「Current Protocols in Immunology」、18.3.1(1998);Sidneyら、J.Immunol.、154:247(1995);及びSetteら、Mol.Immunol.、31:813(1994)などの他の刊行物において詳細に記載されている。あるいは、結合は、参照基準ペプチドによる結合と比べて表されうる。結合は、生細胞(例えば、Ceppelliniら、Nature、339:392(1989);Christnickら、Nature、352:67(1991);Buschら、Int.Immunol.、2:443(1990);Hillら、J.Immunol.、147:189(1991);del Guercioら、J.Immunol.、154:685(1995))、デタージェント溶解物を使用する無細胞系(例えば、Cerundoloら、J.Immunol.、21:2069(1991))、固定化精製MHC(例えば、Hillら、J.Immunol.、152、2890(1994);Marshallら、J.Immunol.、152:4946(1994))、ELISA系(例えば、Reayら、EMBOJ.、11:2829(1992))、表面プラズモン共鳴(例えば、Khilkoら、J.Biol.Chem.、268:15425(1993));高フラックス可溶相アッセイ(Hammerら、J.Exp.Med.、180:2353(1994))、及びクラスI MHCの安定化又はアセンブリーの測定(例えば、Ljunggrenら、Nature、346:476(1990);Schumacherら、Cell、62:563(1990);Townsendら、Cell、62:285(1990);Parkerら、J.Immunol.、149:1896(1992))を使用するアッセイ系を含めた他のアッセイ系を使用しても決定されうる。
【0069】
[0137]エピトープについて論じるのに使用される場合の「導出された」という用語は、「調製された」の同義語である。導出されたエピトープは、天然供給源から単離される場合もあり、当該技術分野における標準的なプロトコールに従い合成される場合もある。合成エピトープは、天然に存在するLアミノ酸残基のD異性体又はシクロヘキシルアラニンのような非天然アミノ酸残基などの人工アミノ酸残基である「アミノ酸模倣体」を含みうる。導出又は調製されたエピトープは、天然エピトープの類似体でありうる。「~から導出された」という用語は、由来又は供給源を表し、天然に存在するか、組換えであるか、非精製であるか、精製されているか、又は分化させた分子又は細胞を含みうる。例えば、拡大又は誘導された抗原特異的T細胞は、T細胞から導出されうる。例えば、拡大又は誘導された抗原特異的T細胞は、生物学的試料中の抗原特異的T細胞から導出されうる。例えば、成熟APC(例えば、プロフェッショナルのAPC)は、非成熟APC(例えば未成熟APC)から導出されうる。例えば、APCは単球(例えばCD14+単球)から導出されうる。例えば、樹状細胞は単球(例えばCD14+単球)から導出されうる。例えば、APCは骨髄細胞から導出されうる。
【0070】
[0138]「エピトープ」とは、別の分子(例えば、免疫グロブリン、T細胞受容体、HLA分子、又はキメラ抗原受容体)により認識される部位を、併せて形成する、分子の総体的特徴(例えば、ペプチドの電荷、並びに1次構造、2次構造、及び3次構造)である。例えば、エピトープは、特定の免疫グロブリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセット;主要組織適合性複合体(MHC)受容体;又はT細胞の文脈では、T細胞受容体のタンパク質及び/若しくはキメラ抗原受容体により認識される残基でありうる。エピトープは、天然供給源からの単離により調製される場合もあり、当該技術分野における標準的なプロトコールに従い合成される場合もある。合成エピトープは、人工アミノ酸残基、アミノ酸模倣体(天然に存在するLアミノ酸残基のD異性体、又は非天然アミノ酸残基など)を含みうる。本開示を通して、エピトープは、場合によって、ペプチドと称される場合もあり、ペプチドエピトープと称される場合もある。ある特定の実施形態では、本開示のペプチドの長さに制限がある。長さが制限された実施形態は、本明細書で記載されるエピトープを含むタンパク質又はペプチドが、天然配列との、100%同一性を有する領域(すなわち、一連のアミノ酸残基)を含む場合に生じる。エピトープの定義が、例えば、全天然分子に対する読取りを回避するために、天然ペプチド配列との100%の同一性を有する、任意の領域の長さに制限がある。したがって、本明細書で記載されるエピトープと、天然ペプチド配列との100%の同一性を伴う領域とを含むペプチドについて、天然配列に対する、100%の同一性を伴う領域は、一般に、600アミノ酸残基以下、500アミノ酸残基以下、400アミノ酸残基以下、250アミノ酸残基以下、100アミノ酸残基以下、85アミノ酸残基以下、75アミノ酸残基以下、65アミノ酸残基以下、及び50アミノ酸残基以下の長さを有する。ある特定の実施形態では、本明細書で記載される「エピトープ」は、天然ペプチド配列に対する、100%の同一性を有する、任意の増分で、5アミノ酸残基までの、51アミノ酸残基未満の長さ;例えば、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、又は1つのアミノ酸残基を伴う領域を有するペプチドにより構成される。
【0071】
[0139]「T細胞エピトープ」とは、ペプチド-MHC(pMHC)複合体の形態で、MHC分子が結合するペプチド配列を指す。ペプチド-MHC複合体は、T細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球又はヘルパーT細胞)のTCRが認識及び結合しうる。
【0072】
[0140]「T細胞」は、CD4+T細胞及びCD8+T細胞を含む。T細胞という用語はまた、Tヘルパー1型T細胞及びTヘルパー2型T細胞の両方も含む。
[0141]「免疫細胞」とは、免疫応答において役割を果たす細胞を指す。免疫細胞は、造血細胞由来であり、B細胞及びT細胞などのリンパ球;ナチュラルキラー細胞;単球、マクロファージ、好中球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球などの骨髄細胞を含む。
【0073】
[0142]「免疫原性」ペプチド又は「免疫原性」エピトープ又は「免疫原性」ペプチドエピトープとは、HLA分子に結合し、細胞媒介性応答又は体液性応答、例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答、ヘルパーTリンパ球(HTL)応答、及び/又はBリンパ球応答を誘導するペプチドである。本明細書で記載される免疫原性ペプチドは、HLA分子に結合し、その後、ペプチドに対する細胞媒介性応答又は体液性応答(例えば、CTL(細胞傷害性)応答又はHTL応答)を誘導することが可能である。
【0074】
[0143]「防御的免疫応答」又は「治療的免疫応答」とは、疾患の症状、副作用、若しくは進行を、ある形で防止するか、又はこれらを、少なくとも部分的に停止させる、病原性抗原(例えば、腫瘍抗原)に由来する抗原に対する、CTL及び/又はHTLの応答を指
す。免疫応答はまた、ヘルパーT細胞の刺激により容易とされた抗体応答も含みうる。
【0075】
[0144]「T細胞受容体」(「TCR」)とは、天然分子であれ、部分的に、又は完全に合成により作製された分子であれ、主要組織適合性複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識する、Tリンパ球(T細胞)の表面上に見出される分子を指す。T細胞が、多様な疾患(例えば、がん)又は感染性生物と関連する抗原を認識する能力は、α鎖及びβ鎖又はγ鎖及びδ鎖の両方から構成される、そのTCRにより付与される。これらの鎖を構成するタンパク質は、TCRの多大な多様性を発生させるための、固有の機構を用いるDNAによりコードされる。このマルチサブユニットの免疫認識受容体は、CD3複合体と会合し、抗原提示細胞(APC)の表面上で、MHCクラスI及びIIのタンパク質により提示されたペプチドに結合する。TCRの、APC上のペプチドへの結合は、T細胞の活性化において、中心的なイベントである。
【0076】
[0145]本明細書で使用される「キメラ抗原受容体」又は「CAR」とは、免疫グロブリンの抗原結合性ドメイン(例えば、免疫グロブリン可変ドメイン)と、T細胞受容体(TCR)の定常ドメインとを含む抗原結合性タンパク質を指す。本明細書で使用されるTCRポリペプチドの「定常ドメイン」とは、TCR膜近位定常ドメイン、TCR膜貫通ドメイン、及び/若しくはTCR細胞質ドメイン、又はこれらの断片を含む。例えば、一部の実施形態では、CARは、TCRβ定常ドメインへと連結された、免疫グロブリン重鎖可変ドメインを含むポリペプチドを含む単量体である。一部の実施形態では、CARは、TCRα又はTCRβの定常ドメインへと連結された、免疫グロブリンの重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインを含む、第1のポリペプチドと、TCRβ又はTCRαの定常ドメインへと連結された、免疫グロブリンの重鎖又は軽鎖の可変ドメイン(例えば、κ又はλ可変ドメイン)を含む、第2のポリペプチドとを含む2量体である。
【0077】
[0146]「主要組織適合性複合体」又は「MHC」とは、生理学的免疫応答の一因となる、細胞の相互作用の制御において役割を果たす、遺伝子のクラスターである。「主要組織適合性複合体」という用語及び「MHC」という略号は、MHCクラスI分子及びMHCクラスII分子など、任意のクラスMHC分子を含むことが可能であり、全ての脊椎動物において生じる、遺伝子の複合体に関する。ヒトでは、MHC複合体はまた、ヒト白血球抗原(HLA)複合体としても公知である。したがって、「ヒト白血球抗原」又は「HLA」とは、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質(例えば、Stitesら、「Immunology」、8版、Lange Publishing、Los Altos、Calif.(1994)を参照されたい)を指す。MHC複合体及びHLA複合体の詳細な記載については、Paul、「Fundamental Immunology」、3版、Raven Press、New York(1993)を参照されたい。
【0078】
[0147]ゲノム内の主要組織適合性複合体は、細胞表面上に発現される、それらの遺伝子産物が、内因性抗原及び/又は外来抗原に結合し、これらを提示し、これにより、免疫学的過程を調節するために重要な遺伝子領域を含む。MHCタンパク質又はMHC分子は、免疫反応において、リンパ球と、抗原提示細胞又は罹患細胞との間のシグナル伝達に重要である。MHCタンパク質又はMHC分子は、ペプチドに結合し、T細胞受容体による認識のために、それらを提示する。MHCによりコードされるタンパク質は、細胞の表面上に発現され、自己抗原(細胞自体に由来するペプチド断片)及び非自己抗原(例えば、侵入微生物の断片)の両方を、T細胞へと提示する。MHC結合性ペプチドは、タンパク質抗原のタンパク質分解性切断から生じる場合があり、潜在的なリンパ球エピトープを表しうる(例えば、T細胞エピトープ及びB細胞エピトープ)。MHCは、ペプチドを、細胞表面へと輸送し、ここにおいて、それらを、細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、又はB細胞などの特異的細胞へと提示しうる。MHC領域は、3つの亜群である、クラスI、クラスII、及びクラスIIIへと分けられうる。MHCクラスIタンパク質は、α鎖マイクログロブリン及びβ2-マイクログロブリン(第15染色体によりコードされる、MHCの一部ではない)を含有しうる。MHCクラスIタンパク質は、抗原断片を、細胞傷害性T細胞へと提示しうる。MHCクラスIIタンパク質は、α鎖及びβ鎖を含有することが可能であり、抗原断片を、ヘルパーT細胞へと提示しうる。MHCクラスIII領域は、補体成分及びサイトカインなど、他の免疫成分をコードしうる。MHCは、多遺伝子性(いくつかのMHCクラスI遺伝子及びMHCクラスII遺伝子が存在する)及び多形性(各遺伝子の、複数の対立遺伝子が存在する)の両方でありうる。
【0079】
[0148]「抗原プロセシング」又は「プロセシング」とは、ポリペプチド又は抗原の、前記ポリペプチド又は抗原の断片である、プロセシング生成物への分解(例えば、ポリペプチドの、ペプチドへの分解)と、これらの断片のうちの1以上の、細胞、例えば、抗原提示細胞による、特異的T細胞への提示のための、MHC分子との会合(例えば、結合を介する)とを指す。
【0080】
[0149]「抗原提示細胞」(APC)とは、MHC分子と会合したタンパク質抗原のペプチド断片を、その細胞表面上に提示する細胞を指す。用語は、プロフェッショナルの抗原提示細胞(例えば、Bリンパ球、単球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞)のほか、他の抗原提示細胞(例えば、角化細胞、内皮細胞、星状細胞、線維芽細胞、希突起膠細胞)を含む。
【0081】
[0150]「受容体」とは、リガンドに結合することが可能な生物学的分子又は分子の群分けを指す。受容体は、細胞、細胞形成、又は生物における情報を伝達するのに用いられる。受容体は、例えば、各受容体単位がタンパク質分子から成りうる、少なくとも1つの受容体単位を含む。受容体は、リガンドの構造を補完する構造を有し、リガンドを、結合パートナーとして、複合体化させうる。情報は、特に、細胞の表面上の、リガンドの複合体化の後における、受容体のコンフォメーション変化により伝達される。一部の実施形態では、受容体とは、特に、リガンド、特に、適切な長さのペプチド又はペプチド断片と共に、受容体/リガンド複合体を形成することが可能な、MHCクラスI及びIIのタンパク質を意味すると理解されるものとする。「リガンド」とは、受容体の構造と相補的な構造を有し、この受容体と共に複合体を形成することが可能な分子を指す。一部の実施形態では、リガンドとは、ペプチド又はペプチド断片が、MHCクラスI及びMHCクラスIIのタンパク質などのMHCタンパク質と共に、複合体を形成することが可能であるように、そのアミノ酸配列内に、適切な長さ及び適切な結合モチーフを有する、ペプチド又はペプチド断片を意味すると理解されるものとする。一部の実施形態では、「受容体/リガンド複合体」とは、また、MHCクラスI分子又はMHCクラスII分子など、ペプチド提示MHC分子又はペプチド断片提示MHC分子を含む、「受容体/ペプチド複合体」又は「受容体/ペプチド断片複合体」も意味すると理解されるものとする。
【0082】
[0151]「天然」配列又は「野生型」配列とは、天然で見出される配列を指す。本明細書で使用される「天然存在」という用語は、対象が、天然で見出されうるという事実を指す。例えば、生物(ウイルスを含む)において存在し、天然における供給源から単離される場合があり、実験室において、人為により、意図的に修飾されていないペプチド又は核酸は、天然に存在する。
【0083】
[0152]本明細書では、「ペプチド」及び「ペプチドエピトープ」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸残基の、α-アミノ基と、カルボキシル基とのペプチド結合により互いと接続された、一連の残基を指示するように、「オリゴペプチド」と互換的に使用される。「合成ペプチド」とは、非天然供給源から得られたペプチド、例えば、人工ペプチドを指す。このようなペプチドは、化学合成又は組換えDNA技術などの方法を使用して作製されうる。「合成ペプチド」は、「融合タンパク質」を含む。
【0084】
[0153]「モチーフ」という用語は、規定された長さのアミノ酸配列、例えば、約15アミノ酸残基未満の長さ、又は約13アミノ酸残基未満の長さ、例えば、クラスI HLAモチーフについては、約8~約13アミノ酸残基(例えば、8、9、10、11、12、又は13)であり、クラスII HLAモチーフについては、約6~約25アミノ酸残基(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)のペプチドであって、特定のHLA分子により認識されるペプチド内の残基のパターンを指す。モチーフは、典型的に、所与のヒトHLA対立遺伝子によりコードされる、各HLAタンパク質について異なる。これらのモチーフは、1次アンカー残基と、2次アンカー残基とで、それらのパターンが異なる。一部の実施形態では、MHCクラスIのモチーフは、7、8、9、10、11、12、又は13アミノ酸残基の長さのペプチドを同定する。一部の実施形態では、MHCクラスIIのモチーフは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又は26アミノ酸残基の長さのペプチドを同定する。「交差反応性の結合性」ペプチドとは、結合対メンバーのクラスの、1つを超えるメンバーに結合するペプチド(例えば、クラスIHLA分子及びクラスIIHLA分子の両方が結合するペプチド)を指す。
【0085】
[0154]「残基」という用語は、アミド結合若しくはアミド結合模倣体により、ペプチド若しくはタンパク質へと組み込まれるか、又は核酸(DNA又はRNA)コードされるアミノ酸残基又はアミノ酸模倣体残基を指す。ペプチド又はタンパク質について記載するのに使用される命名法は、従来の慣行に従う。アミノ基は、各アミノ酸残基の左側(アミノ末端又はN末端)に提示され、カルボキシル基は、右側(カルボキシ末端又はC末端)に提示される。ペプチドエピトープ内のアミノ酸残基の位置に言及される場合、アミノ酸残基は、第1の位置を、エピトープ又はそれが一部でありうるペプチド若しくはタンパク質のアミノ末端に位置する残基として、アミノ~カルボキシルの方向に番号付けされる。本発明の、選択された具体的実施形態を表す式では、アミノ末端基及びカルボキシル末端基は、具体的には示されないが、そうでないことが指定されない限りにおいて、生理学的pH値においてそれらが呈する形態にある。アミノ酸構造式では、各残基は、一般に、標準的な3文字表記又は1文字表記により表される。アミノ酸残基のL形態は、大文字の1文字、又は3文字記号の大文字の第1の文字により表され、D形態を有するアミノ酸残基のD形態は、小文字の1文字又は小文字の3文字記号により表される。しかし、3文字記号又は全称は、大文字を伴わずに使用され、Lアミノ酸残基を指すことができる。グリシンは、非対称の炭素原子を有さず、単に「Gly」又は「G」と称する。本明細書で明示されるペプチドのアミノ酸配列は、一般に、標準的な1文字記号を使用して表記される(A、アラニン;C、システイン;D、アスパラギン酸;E、グルタミン酸;F、フェニルアラニン;G、グリシン;H、ヒスチジン;I、イソロイシン;K、リシン;L、ロイシン;M、メチオニン;N、アスパラギン;P、プロリン;Q、Glutアミン;R、アルギニン;S、セリン;T、トレオニン;V、バリン;W、トリプトファン;及びY、チロシン)。
【0086】
[0155]「保存的アミノ酸置換」とは、1つのアミノ酸残基が、類似する側鎖を有する、別のアミノ酸残基で置きかえられるアミノ酸置換である。当該技術分野では、類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーであって、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非帯電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝状側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含むファミリーが規定されている。例えば、フェニルアラニンによる、チロシンの置換は、保存的置換である。ペプチド機能を消失させない
、ヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当該技術分野で周知である。
【0087】
[0156]「薬学的に許容される」とは、一般に非毒性、不活性、及び/又は生理学的に適合性である、組成物又は組成物の成分を指す。「薬学的賦形剤」又は「賦形剤」は、アジュバント、担体、pH調整/緩衝剤、等張性調整剤、保湿薬剤、保存剤などの材料を含む。「薬学的賦形剤」とは、薬学的に許容される賦形剤である。
【0088】
[0157]本開示に従い、「ワクチン」という用語は、投与時に、免疫応答、例えば、病原体又はがん細胞などの罹患細胞を認識及び攻撃する、細胞性免疫応答又は液性免疫応答を誘導する、医薬調製物(医薬組成物)又は医薬生成物に関する。ワクチンは、疾患の防止又は処置のために使用されうる。「個体化がんワクチン」又は「個別化がんワクチン」、「個別がんワクチン」という用語は、特定のがん患者に関し、がんワクチンが、個別のがん患者の必要又は特殊な状況に適合させられることを意味する。
【0089】
[0158]本明細書では、「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語が互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNA、例えば、mRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは修飾塩基、及び/又はそれらの類似体、あるいはDNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼによりポリマーへと組み込まれうる、任意の基質でありうる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド及び核酸は、in vitroにおいて転写されるmRNAでありうる。一部の実施形態では、本発明の方法を使用して投与されるポリヌクレオチドは、mRNAである。
【0090】
[0159]「単離された」又は「生物学的に純粋な」という用語は、その天然の状態で見出される通り、通常それに随伴する成分が、実質的に、又は本質的に非含有である材料を指す。したがって、本明細書で記載される単離ペプチドは、それらのin situの環境において、通常、ペプチドと関連する材料の一部又は全部を含有しない。例えば、「単離」エピトープは、エピトープが由来するタンパク質の全配列を含まないエピトープでありうる。例えば、生存する動物において存在する、天然に存在するポリヌクレオチド又はペプチドは、単離されていないが、天然の系内共存する材料の一部又は全部から分離された、同じポリヌクレオチド又はペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部である場合があり、かつ/又はこのようなポリヌクレオチド若しくはペプチドは、組成物の一部である場合があるが、このようなベクター又は組成物が、その天然環境の一部ではないという点において、やはり「単離」されている。単離RNA分子は、本明細書で記載されるDNA分子の、in vivo又はin vitroにおけるRNA転写物を含み、合成により作製されたこのような分子をさらに含む。一部の実施形態では、単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、又は組成物は、実質的に純粋である。本明細書で使用される「実質的に純粋」という用語は、少なくとも50%純粋である(すなわち、夾雑物が非含有である)か、少なくとも90%純粋であるか、少なくとも95%純粋であるか、少なくとも98%純粋であるか、又は少なくとも99%純粋な材料を指す。
【0091】
[0160]2つ以上の核酸又はポリペプチドの文脈における、「同一な」又は「同一性」パーセントとは、配列同一性の一部としての、任意の保存的アミノ酸置換を考慮せずに、最大の対応について比較され、アライメントされる(必要な場合は、ギャップを導入する)場合に、同じであるか、又は指定された百分率の、同じであるヌクレオチド若しくはアミノ酸残基を有する、2つ以上の配列又は部分配列を指す。同一性パーセントは、配列比較ソフトウェア若しくは配列比較アルゴリズムを使用して、又は目視により測定されうる。当該技術分野では、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列のアライメントを得るのに使用されうる、多様なアルゴリズム及びソフトウェアが周知である。これらは、BLAST、ALIGN、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Package、及びこれらの変化形を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書で記載される、2つの核酸又はポリペプチドは、実質的に同一であり、配列比較アルゴリズムを使用して、又は目視により測定される通りに、最大対応について比較され、アライメントされる場合に、それらが、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%の、ヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有し、一部の実施形態では、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の、ヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有することを意味する。一部の実施形態では、同一性は、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約40~60残基、少なくとも約60~80残基の長さ、又はこれらの間の任意の整数値の長さである配列の領域にわたり存在する。一部の実施形態では、同一性は、少なくとも約80~100残基など、60~80残基より長い領域にわたり存在する。一部の実施形態では、配列は、ペプチドのアミノ酸配列、又はヌクレオチド配列のコード領域など、比較される配列の全長にわたり、実質的に同一である。
【0092】
[0161]「対象」という用語は、特定の処置のレシピエントである、ヒト、非ヒト霊長動物、イヌ、ネコ、齧歯動物などを含むがこれらに限定されない、任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。典型的に、本明細書では、ヒト対象に言及する、「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用される。
【0093】
[0162]「有効量」又は「治療有効量」又は「治療効果」という用語は、対象又は哺乳動物における疾患又は障害「を処置する」のに有効な、治療剤の量を指す。治療有効量の薬物は、治療効果を有し、このように、疾患又は障害の発生を防止することもでき;疾患又は障害の発生を遅らせることもでき;疾患又は障害の進行を遅らせることもでき;疾患又は障害と関連する症状のうちの1つ以上を、ある程度緩和することもでき;罹患率及び死亡率を低減することもでき;生活の質を改善することもでき;このような効果の組合せを及ぼすこともできる。
【0094】
[0163]「~を処置すること」又は「処置」又は「~を処置する」又は「~を緩和すること」又は「~を緩和する」という用語は、(1)診断された病理学的状態又は障害を治癒させ、遅らせる、これらの症状を軽減し、かつ/又はこれらの進行を停止させる治療的措置、及び(2)標的とされた病理学的状態又は障害の発生を防止するか、又は緩徐化させる、予防的措置又は防止的措置の両方を指す。したがって、処置を必要とする人は、既に障害を伴う人;障害を有する傾向がある人;及び障害が防止される人を含む。
【0095】
[0164]細胞試料(例えば、末梢血単核細胞(PBMC)試料)について記載するのに使用される場合における、「枯渇させられた」という用語は、細胞の亜集団が、除去されるか、又は枯渇させられた細胞試料を指す。例えば、CD25を発現する細胞を枯渇させた免疫細胞試料とは、CD25を発現する細胞が、除去されるか、又は枯渇させられた免疫細胞試料を指す。例えば、1以上の結合剤は、1以上の細胞又は細胞型を、試料から除去するか、又は枯渇させるのに使用されうる。例えば、CD14+細胞は、CD14に結合する抗体を使用することなどにより、PBMC試料から枯渇させられるか、又は除去されうる。
【0096】
[0165]「刺激」とは、刺激性分子の、そのコグネイトリガンドとの結合により誘導され、これにより、シグナル伝達イベントを媒介する応答を指す。例えば、T細胞の刺激とは、T細胞のTCRの、ペプチド-MHC複合体への結合を指す場合がある。例えば、T細胞の刺激とは、PBMCが、ペプチドをロードされたAPCと併せて培養された場合における、プロトコール1内又はプロトコール2内のステップを指す場合がある。
【0097】
[0166]「エンリッチ」という用語は、対象種の濃度が、エンリッチメントを伴わない最終生成物中の、種の天然存在レベルより実質的に高濃度となるように、対象種が、部分的に精製された組成物又は画分を指す。「誘導細胞」という用語は、細胞のタンパク質発現、遺伝子発現、分化状態、形状、形態、生存などに影響を及ぼす、誘導性化合物、細胞、又は細胞の集団で処置された細胞を指す。
T細胞療法の概観及びこの製造
[0167]ex vivoにおける、T細胞(例えば、自家T細胞)の、制御された誘導又は拡大による、抗原特異的T細胞の作出は、高度に特異的かつ有益なT細胞療法(例えば、養子T細胞療法)をもたらしうる。本開示は、T細胞製造法、並びにがん及び他の状態、疾患、及び障害を伴う対象を処置するために使用されうる治療用T細胞組成物を提示する。目的は、好適な表現型及び機能を伴う、抗原特異的T細胞を拡大及び誘導することである。本開示は、抗原特異的T細胞療法(例えば、個別T細胞療法又は個別化T細胞療法)のために使用されうるT細胞を製造するための組成物及び方法を提示する。本明細書で提示されるT細胞組成物は、個別化抗原特異的T細胞療法でありうる。
【0098】
[0168]本明細書では、T細胞を刺激する方法が提示される。例えば、本明細書で提示される方法は、抗原特異的T細胞を刺激するのに使用されうる。本明細書で提示される方法は、抗原特異的T細胞を拡大又は誘導するのに使用されうる。例えば、本明細書で提示される方法は、抗原特異的メモリーT細胞を拡大するのに使用されうる。例えば、本明細書で提示される方法は、抗原特異的ナイーブT細胞を誘導するのに使用されうる。例えば、本明細書で提示される方法は、抗原特異的CD8+メモリーT細胞を拡大するのに使用されうる。例えば、本明細書で提示される方法は、抗原特異的CD8+ナイーブT細胞を誘導するのに使用されうる。例えば、本明細書で提示される方法は、抗原特異的CD4+メモリーT細胞を拡大するのに使用されうる。例えば、本明細書で提示される方法は、抗原特異的CD4+ナイーブT細胞を誘導するのに使用されうる。本明細書ではまた、抗原特異的T細胞を含む治療用組成物も提示される。例えば、治療用組成物は、抗原特異的メモリーT細胞を含みうる。例えば、治療用組成物は、抗原特異的ナイーブT細胞を含みうる。本明細書ではまた、本明細書で記載される治療用組成物を使用する、使用方法又は処置方法も提示される。
T細胞組成物
[0169]本明細書では、免疫細胞の集団を含む組成物(例えば、医薬組成物)が提示される。組成物は、T細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含みうる。組成物は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含みうる。
【0099】
[0170]一部の実施形態では、本明細書で提示される組成物は、抗原ペプチドをあらかじめロードされたAPCなどのAPCにより刺激されるT細胞を含む。組成物は、試料(例えば、生物学的試料)に由来するT細胞を含む、免疫細胞の集団を含むことが可能であり、T細胞は、APC-刺激T細胞を含む。一部の実施形態では、組成物は、1以上のサイトカイン、増殖因子、又はAPC若しくはT細胞の細胞表面受容体に結合するリガンドなどのリガンドと共にインキュベートされた免疫細胞の集団を含む。このようなサイトカイン、増殖因子、及びリガンドの非限定的な例は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、及びpolyI:Cを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、組成物は、1以上のAPC又はAPC調製物と共にインキュベートされた、免疫細胞の集団を含む。例えば、組成物は、1つ以上のサイトカイン、増殖因子、及び/若しくはリガンドにより刺激されたAPC、又はサイトカイン、増殖因子、及び/若しくはリガンドにより刺激されたAPC調製物と共にインキュベートされた、免疫細胞の集団を含みうる。例えば、組成物は、1以上のサイトカインにより刺激されたAPC又はサイトカインによ
り刺激されたAPC調製物と共にインキュベートされた、免疫細胞の集団を含みうる。例えば、組成物は、1以上の増殖因子により刺激されたAPC又は増殖因子により刺激されたAPC調製物と共にインキュベートされた、免疫細胞の集団を含みうる。例えば、組成物は、1以上のリガンドにより刺激されたAPC又はリガンドにより刺激されたAPC調製物と共にインキュベートされた、免疫細胞の集団を含みうる。
【0100】
[0171]一部の実施形態では、APCは、自家APC、同種APC、又は人工APCである。一部の実施形態では、APCは、樹状細胞(DC)を含む。一部の実施形態では、APCは、CD14+単球に由来する。一部の実施形態では、APCは、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、末梢血、又は臍帯血から得られうる。一部の実施形態では、CD14+単球は、対象に由来する、PBMCを含む生物学的試料に由来する。例えば、CD14+単球は、対象に由来する、PBMCを含む生物学的試料から単離、エンリッチ、又は精製されうる。一部の実施形態では、CD14+単球は、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、CD14+単球は、PBMCを含む、第2の生物学的試料に由来する。
【0101】
[0172]一部の実施形態では、CD14+APCの単離集団は、エンリッチされるか、又は実質的にエンリッチされうる。一部の実施形態では、CD14+APCの単離集団は、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも90%同種である。一部の実施形態では、CD14+APCの単離集団は、少なくとも60%、少なくとも75%、又は少なくとも90%同種である。CD14+APCなどのAPCは、例えば、培養物中で、単球性樹状細胞前駆体から導出されたAPCのほか、例えば、末梢血、臍帯血、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、及びリンパ節などの組織内に存在する、内部由来のAPCを含みうる。
【0102】
[0173]CD14+APC、及びCD14+APCについて、実質的にエンリッチされた細胞集団は、本発明によってもまた提供される方法により単離されうる。方法は、一般に、APC前駆体を含む細胞の集団を得ること、APC前駆体の、未成熟APC又は成熟APCへの分化を含み、また、分化させた未成熟APC又は成熟APCの集団からの、CD14+APCの単離も含みうる。
【0103】
[0174]APC前駆細胞は、当該技術分野で公知の方法により得られうる。APC前駆体は、例えば、密度勾配分離、蛍光活性化細胞分取(FACS)、パニングなどの免疫学的細胞分離法、補体溶解、ロゼッティング、磁気細胞分離法、ナイロンウール分離、及びこのような方法の組合せにより単離されうる。免疫選択性APCのための方法は、例えば、基質へとカップリングさせた、抗CD34及び/又は抗CD14抗体など、APC前駆体と関連する細胞表面マーカーに対する抗体を使用することを含む。
【0104】
[0175]APC前駆体のエンリッチ集団もまた得られうる。当該技術分野では、このようなエンリッチ前駆体集団を得るための方法は公知である。例えば、APC前駆体のエンリッチ集団は、基質に接着させられた細胞の選択的除去により、組織供給源から単離されうる。例えば、骨髄又は末梢血などの組織供給源を使用して、接着性単球は、非接着性APC前駆体についてエンリッチされた集団を得るのに、市販のプラスチック基質(例えば、ビーズ又は磁気ビーズ)を使用して、細胞調製物から除去されうる。
【0105】
[0176]単球のAPC前駆体はまた、APC前駆体接着性基質を使用することにより、組織供給源からも得られうる。例えば、白血球除去法(leukopheresis)により単離された
、末梢血白血球が、表面積対体積比が大きい、単球性APC前駆体接着性基質と接触され、接着性単球性APC前駆体が分離される。さらなる実施形態では、カップリングされる基質は、表面積対体積比が大きい、粒子状基質又は繊維状基質、例えば、マイクロビーズ、マイクロキャリアビーズ、ペレット、顆粒、粉末、毛細管、微絨毛膜などでありうる。さらに、粒子状基質又は繊維状基質は、ガラス、ポリスチレン、プラスチック、ガラスでコーティングしたポリスチレンマイクロビーズなどでありうる。
【0106】
[0177]APC前駆体はまた、分化及び/又は拡大のために、in vitroにおいても培養されうる。当該技術分野では、APC前駆体を分化/拡大するための方法が公知である。一般に、拡大は、APC(例えば、樹状細胞)の分化/増殖を誘導する、少なくとも1つのサイトカインの存在下で、前駆体を培養することにより達成されうる。典型的に、これらのサイトカインは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)又は顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である。加えて、他の薬剤は、培養物中の非APC細胞型の、増殖及び/又は成熟を阻害し、これにより、APC前駆体の集団をさらにエンリッチするのに使用されうる。典型的に、このような薬剤は、例えば、IL-13、IL-4、又はIL-15などのサイトカインを含む。
【0107】
[0178]APC前駆体の単離集団は、未成熟APC又は成熟APCを得るように培養され、分化させられる。適切な組織培養培地は、例えば、AIM-V(登録商標)、RPMI 1640、DMEM、X-VIVO 15(登録商標)などを含むがこれらに限定されない。組織培養培地は、典型的に、アミノ酸、ビタミン、2価カチオン、及び前駆体の分化を、APC表現型に対して促進するサイトカインを補充された。典型的に、分化促進サイトカインは、GM-CSF及び/又はIL-4である。
【0108】
[0179]さらに、APC表現型への拡大、分化、及び成熟時における、APC前駆体の培養物は、CD14+APCの発生を促進する血漿を含みうる。典型的な血漿濃度は、約5%である。加えて、例えば、APC前駆体が、基質への接着により単離される場合、血漿は、培養早期の接着ステップにおいて、CD14+表現型を促進するように、培養培地中に含まれうる。接着時における、典型的な血漿濃度は、約1%以上である。
【0109】
[0180]単球性APC前駆体は、任意の適切な時間培養されうる。ある特定の実施形態では、前駆体の、未成熟APCへの分化に適する培養時間は、約1~約10日間、例えば、約4~約7日間でありうる。未成熟APCの、前駆体からの分化は、細胞表面マーカー(例えば、CD11c+、CD83low、CD86-/low、HLA-DR+)の存在又は非存在によるなど、当業者に公知の方法によりモニタリングされうる。未成熟APCはまた、未成熟APCを、さらなる分化、又は抗原の取込み、プロセシング、及び提示のための状態に維持するのに適切な組織培養培地中でも培養されうる。例えば、未成熟APCは、GM-CSF及びIL-4の存在下で維持されうる。
【0110】
[0181]APC前駆体からの分化の後、CD14+細胞は、CD14+APCの単離集団を得るように単離されうる。典型的に、CD14+APCが、成熟の前に、エンリッチされるか、又は実質的にエンリッチされたAPCから単離される場合、単離集団は、未成熟CD14+APCについて、エンリッチされるか、又は実質的にエンリッチされる。一般に、CD14+APCの単離は、CD14+細胞が単離される細胞集団を、CD14特異的プローブと接触させることを含む。例示的な1つの実施形態では、CD14を発現する細胞は、蛍光分子(例えば、FITC又はPE)へと直接コンジュゲートさせるか、又はCD14に特異的な非標識抗体と、第1の抗体に特異的な、標識された第2の抗体とを伴う、CD14特異的プローブを使用するFACSにより検出される。CD14+細胞はまた、FACS分取により、CD14low及びCD14-細胞からも分離されうる。CD14highの陽性性についてのゲーティングは、例えば、PBMC由来単球上のCD1
4染色を参照して決定されうる。典型的に、CD14特異的結合剤は、例えば、抗CD14抗体(例えば、モノクローナル又はこの抗原結合性断片)である。当業者には、本発明における使用に適する多数の抗CD14抗体が周知であり、多くの抗CD14抗体は、市販品を購入されうる。
【0111】
[0182]別の実施形態では、CD14特異的プローブは、基質へとカップリングされ、CD14+細胞は、親和性選択により単離されうる。CD14+細胞を含む細胞集団は、カップリングされた基質へと曝露され、CD14+細胞は、特異的に接着させられる。次いで、非接着性CD14-細胞は、基質から洗浄され、次いで、接着性細胞は、CD14+APCが実質的にエンリッチされた単離細胞集団を得るように溶出される。CD14特異的プローブは、例えば、抗CD14抗体でありうる。基質は、例えば、市販の組織培養プレート又はビーズ(例えば、ガラスビーズ又は磁気ビーズ)でありうる。表面マーカーに特異的な、基質カップリング抗体を使用する、細胞集団の親和性単離法は、一般に公知である。
【0112】
[0183]培養時に、未成熟APC(CD14-未成熟APCの単離集団、又は単離前における全未成熟APC)は、任意選択で、所定の抗原へと曝露されうる。適切な所定の抗原は、T細胞によるモジュレーションが所望される、任意の抗原を含みうる。1つの実施形態では、未成熟APCは、がん免疫療法及び/又は腫瘍増殖の阻害のための、前立腺特異的膜抗原(PSMA)の存在下で培養される。他の抗原は、例えば、細菌細胞、ウイルス、部分的に精製されるか、又は精製された、細菌抗原又はウイルス抗原、腫瘍細胞、腫瘍特異的抗原又は腫瘍関連抗原(例えば、腫瘍細胞溶解物、腫瘍細胞膜調製物、腫瘍から単離された抗原、融合タンパク質、リポソームなど)、抗原をその表面に発現する組換え細胞、自己抗原、及び他の任意の抗原を含みうる。抗原のうちのいずれかはまた、ペプチド若しくは組換えにより作製されたタンパク質又はこれらの部分としても提示されうる。抗原との接触後、細胞は、抗原特異的APCの集団などを拡大するように、抗原の取込み及びプロセシングを可能とする、任意の適切な時間培養されうる。
【0113】
[0184]例えば、1つの実施形態では、未成熟APCは、MHC分子の文脈では、抗原を提示する成熟APCへの、未成熟APCの成熟を促進するように、抗原取込みの後で培養されうる。APC成熟のための方法は公知である。このような成熟は、例えば、サイトカイン(例えば、TNF-α、IL-1β、又はCD40リガンド)、細菌生成物(例えば、LPS又はBCG)など、公知の成熟因子の存在下における培養により実施されうる。未成熟APCの、成熟APCへの成熟は、例えば、細胞表面マーカーの存在若しくは非存在(例えば、CD83、CD86、及びMHC分子の上方制御)を測定すること、又は、例えば、オリゴヌクレオチドアレイを使用する、成熟APCに特異的なmRNA又はタンパク質の発現についての試験など、当該技術分野で公知の方法によりモニタリングされうる。
【0114】
[0185]任意選択で、未成熟APCは、細胞集団を拡大し、かつ/又は未成熟APCを、さらなる分化若しくは抗原の取込みのための状態に維持するのに適切な組織培養培地中で培養されうる。例えば、未成熟APCは、GM-CSF及びIL-4の存在下で、維持及び/又は拡大されうる。未成熟APCはまた、未成熟APCの成熟を阻害するように、例えば、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-10及びTGF-β)などの抗炎症性分子の存在下でも培養されうる。
【0115】
[0186]別の態様では、CD14+APCの単離集団は、成熟APCについてエンリッチされる。CD14+成熟APCの単離集団は、CD14+未成熟APCの単離集団を、上記で記載された成熟因子(例えば、細菌生成物及び/又は炎症促進性サイトカイン)の存在下で培養し、これにより、成熟を誘導することにより得られうる。任意選択で、CD1
4+及びCD14-未成熟APC(APC前駆体から分化させられた)の混合集団は、成熟段階が、上記で記載された通りにモニタリングされる、成熟を誘導するように培養される場合があり、成熟APCエンリッチメントの適切な段階において、CD14+細胞は、CD14+成熟APCについてエンリッチされるか、又は実質的にエンリッチされた単離集団を得るように、上記で記載された通りに分離されうる。
【0116】
[0187]本発明のさらに別の態様に従い、APCは、前立腺がん抗原への曝露の前に、又は曝露の後で、例えば、低温保存により保存されうる。使用されうる低温保存剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i-エリトリトール、D-リビトール、D-マンニトール、D-ソルビトール、i-イノシトール、D-ラクトース、塩化コリン、アミノ酸、メタノール、アセトアミド、グリセロール一酢酸、及び無機塩を含むがこれらに限定されない。制御された、緩徐な冷却速度が、極めて重要でありうる。異なる低温保護剤及び異なる細胞型は、典型的に、異なる最適の冷却速度を有する。水が氷へと変化する、融合相の熱は、典型的に、最小であるものとする。冷却手順は、例えば、プログラム式凍結デバイス又はメタノール浴手順の使用により実行することができる。プログラム式凍結装置は、最適の冷却速度の決定を可能とし、標準的な、再現可能冷却を容易とする。Cryomed又はPlanarなどのプログラム式制御速度フリーザーは、凍結レジメンを、所望の冷却速度曲線に照らした微調整を可能とする。
【0117】
[0188]完全な凍結の後、APCは、速やかに、長期極低温保管容器へと移されうる。典型的な実施形態では、試料は、液体窒素(-196℃)中又はその蒸気(-165℃)中で、極低温保管されうる。特に、骨髄又は末梢血に由来する造血幹細胞の、操作、低温保存、及び長期保管のための検討事項及び手順は、大部分が、本発明のAPCに適用可能である。
【0118】
[0189]凍結細胞は、好ましくは、速やかに融解させ(例えば、37~41℃で維持された水浴中で)、融解させたら、即座に冷却する。融解させたときの、細胞の凝集を防止するように、個数20桁の細胞を処理することが所望されうる。凝集を防止するために、DNアーゼ、低分子量デキストラン、及びクエン酸、ヒドロキシエチルデンプンなどの、凍結の前及び/又は後における添加を含むがこれらに限定されない、多様な手順が使用されうる。低温保護剤は、ヒトにおいて毒性である場合、融解させたAPCの治療的使用の前に、除去されるべきである。低温保護剤を除去するための1つの方式は、低濃度への希釈による。凍結させたAPCを融解し、回収したら、非凍結のAPCに関して、本明細書で記載される通り、T細胞を活性化させるのに使用されうる。
【0119】
[0190]一部の実施形態では、組成物は、1種類又は複数種類の免疫細胞を枯渇させた、免疫細胞の集団を含む。例えば、組成物は、1種類又は複数種類の免疫細胞を枯渇させた、免疫細胞の集団であって、1以上の細胞表面受容体など、1以上のタンパク質を発現する免疫細胞の集団を含みうる。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含み、この場合、集団内の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量と相対的に異なる。例えば、組成物は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含むことが可能であり、この場合、集団内の、CD14を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14を発現する免疫細胞の量と相対的に異なる。例えば、組成物は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含むことが可能であり、この場合、集団内の、CD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD25を発現する免疫細胞の量と相対的に異なる。例えば、組成物は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含むことが可能であり、この場合、集団内の、CD14及びCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14及びCD25を発現する免疫細胞の量と相対的に異なる。例えば、組成物は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含むことが可能であり、この場合、集団内の、CD14及びCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14及びCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に少ない。
【0120】
[0191]一部の実施形態では、組成物は、試料(例えば、生物学的試料)に由来するT細胞を含む、免疫細胞の集団を含み、この場合、T細胞は、APC-刺激T細胞を含み、APCが、FLT3L-刺激APCである。例えば、組成物は、試料(例えば、生物学的試料)に由来するT細胞を含む、免疫細胞の集団を含むことが可能であり、この場合、T細胞は、APC-刺激T細胞と、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、抗原特異的T細胞とを含み、APCが、FLT3L-刺激APCである。一部の実施形態では、組成物は、生物学的試料に由来する、T細胞を含む免疫細胞の集団を含み、この場合、T細胞は、APC-刺激T細胞であり、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含み、APCは、FLT3L-刺激APCであり、集団内の、抗原特異的T細胞の量は、生物学的試料中の、抗原特異的T細胞の量より相対的に多い。一部の実施形態では、T細胞は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、複数の抗原特異的T細胞を含む。一部の実施形態では、T細胞は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的な、複数のT細胞受容体(TCR)を含む、複数の抗原特異的T細胞を含む。一部の実施形態では、T細胞は、複数の抗原ペプチド配列に特異的な、複数のT細胞受容体(TCR)を含む、複数の抗原特異的T細胞を含む。例えば、組成物中の、複数の抗原特異的T細胞は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、1000、1500、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、9×107、1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、又は9×1012個の抗原特異的T細胞を含みうる。例えば、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的な、複数のT細胞受容体(TCR)は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的な、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、又は1000の、異なるTCRを含みうる。例えば、複数の抗原ペプチド配列に特異的な、複数のT細胞受容体(TCR)は、複数の抗原ペプチド配列に特異的な、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、又は1000の、異なるTCRを含みうる。例えば、複数の抗原ペプチド配列は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、又は1000の、異なる抗原ペプチド配列を含みうる。
【0121】
[0192]一部の実施形態では、組成物又は医薬組成物は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含む。一部の実施形態では、免疫細胞は、複数の抗原特異的T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞の各々は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む。一部の実施形態では、組成物又は医薬組成物は、免疫細胞の集団を含み、この場合、集団内の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量よりも少ない。一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0122】
[0193]一部の実施形態では、本明細書で提示される組成物は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、この場合、集団内の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量と相対的に異なる。
【0123】
[0194]一部の実施形態では、本明細書で提示される組成物は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含み、この場合、集団内の、CD14及びCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14及びCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に少ない。
【0124】
[0195]一部の実施形態では、本明細書で提示される組成物は、生物学的試料に由来する、T細胞を含む免疫細胞の集団であって、T細胞が、APC-刺激T細胞であり、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含み、APCが、FLT3L-刺激APCである、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのAPC-刺激T細胞を含む。一部の実施形態では、集団内の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に少ない。一部の実施形態では、集団内の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量は、生物学的試料中の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に多い。
【0125】
[0196]一部の実施形態では、医薬組成物は、CD4+T細胞を含み、この場合、CD4+T細胞のうちの、抗原特異的T細胞の百分率は、少なくとも約2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。一部の実施形態では、医薬組成物は、ナイーブCD8+T細胞を含み、この場合、ナイーブCD8+T細胞のうちの、抗原特異的T細胞の百分率は、少なくとも約0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。一部の実施形態では、医薬組成物は、メモリーCD8+T細胞を含み、この場合、メモリーCD8+T細胞のうちの、抗原特異的T細胞の百分率は、少なくとも約0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0126】
[0197]一部の実施形態では、医薬組成物は、生物学的試料に由来する、T細胞を含む免疫細胞の集団であって、T細胞が、APC-刺激T細胞と、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、抗原特異的T細胞とを含み、APCが、FLT3L-刺激APCである、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0127】
[0198]一部の実施形態では、医薬組成物は、生物学的試料に由来する、T細胞を含む免疫細胞の集団であって、T細胞が、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、複数のネオ抗原T細胞を含む、免疫細胞の集団と;薬学的に許容される賦形剤とを含み;この場合、T細胞のうちの、抗原特異的T細胞の百分率は、少なくとも約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%である。
【0128】
[0199]一部の実施形態では、ネオ抗原特異的T細胞は、APC-刺激T細胞を含む。一部の実施形態では、集団内の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の百分率は、生物学的試料中の、CD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の百分率より小さい。一部の実施形態では、生物学的試料は、対象に由来する。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、疾患又は障害を有する。一部の実施形態では、疾患又は障害は、がんである。一部の実施形態では、ネオ抗原特異的T細胞は、CD4+及び/又はCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、ネオ抗原特異的T細胞は、CD4エンリッチT細胞及び/又はCD8エンリッチT細胞を含む。例えば、CD4+T細胞又はCD8+T細胞は、対象に由来する、PBMCを含む生物学的試料から単離、エンリッチ、又は精製されうる。一部の実施形態では、ネオ抗原特異的T細胞は、ナイーブCD4+及び/又はナイーブCD8+T細胞である。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、L-セレクチン(CD62L)の表面発現により特徴づけられる。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、活性化マーカーである、CD25、CD44、又はCD69のうちの1又は複数の非存在により特徴づけられる。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、メモリーCD45ROアイソフォームの非存在により特徴づけられる。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、CD127であるIL-7受容体α、及びCD132である共通γ鎖のサブユニットから成る、機能的IL-7受容体の発現により特徴づけられる。一部の実施形態では、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド配列は、(A)点突然変異、(B)スプライス部位突然変異、(C)フレームシフト突然変異、(D)リードスルー突然変異、(E)遺伝子融合突然変異、及びこれらの組合せから選択される突然変異を含み、がんネオ抗原ペプチドは、対象のHLAタンパク質に、500nM未満のIC50、及び対応する野生型ペプチドより大きな親和性で結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド配列の各々は、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド配列の各々は、対象の非がん細胞内に存在しない突然変異を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド配列の各々は、対象のがん細胞の発現遺伝子によりコードされる。
【0129】
[0200]一部の実施形態では、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド配列のうちの1つ以上は、8~50天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド配列は、複数のネオ抗原ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、複数のネオ抗原ペプチド配列は、2~50、3~50、4~50、5~5、6~50、7~50、8~50、9~50、又は10~50のネオ抗原ペプチド配列を含む。
【0130】
[0201]一部の実施形態では、APCは、1以上のAPC調製物である。一部の実施形態では、APCは、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド配列のうちの1つ以上を含む1以上のネオ抗原ペプチドをロードされたAPCを含む。一部の実施形態では、APCは、自家APC又は同種APCである。
【0131】
[0202]一部の実施形態では、APCは、樹状細胞(DC)を含む。一部の実施形態では、APCは、CD14+単球に由来する。一部の実施形態では、CD14+単球は、対象に由来する、PBMCを含む生物学的試料からエンリッチされる。例えば、CD14+は、対象に由来する、PBMCを含む生物学的試料から単離、エンリッチ、又は精製されうる。
【0132】
[0203]一部の実施形態では、CD14+単球は、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、CD14+単球は、PBMCを含む、第2の生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、第2の生物学的試料は、同じ対象に由来する。
【0133】
[0204]一部の実施形態では、生物学的試料は、末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、組成物中の、少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率は、全T細胞又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、組成物中の、少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、組成物中の、少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の、少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の、少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の、少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、最大で約0.00001%、0.0
0005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の、抗原特異的T細胞の百分率は、最大で約0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の、ネオ抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、最大で約0.5%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の、抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、最大で約0.5%である。
【0134】
[0205]一部の実施形態では、医薬組成物中の、抗原特異的T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、医薬組成物中の、抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、医薬組成物中の、抗原特異的ナイーブCD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、医薬組成物中の、抗原特異的メモリーCD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、医薬組成物中の、抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。
製造法
[0206]本明細書では、抗原特異的T細胞を製造するための方法が提示される。本明細書では、治療用T細胞組成物など、T細胞組成物を調製する方法が提示される。例えば、方法は、抗原特異的T細胞を拡大又は誘導することを含みうる。T細胞を調製すること(例えば、誘導又は拡大すること)は、T細胞を製造することを表す場合もあり、任意の種類のT細胞(例えば、CD4+T細胞及びCD8+T細胞)を単離、刺激、培養、誘導、及び/又は拡大する手順を広く包含する。本明細書の第1の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、APCを、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を
枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含む方法が提示される。
【0135】
[0207]本明細書の第2の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含む方法が提示される。
【0136】
[0208]本明細書の第3の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む医薬組成物を調製する方法であって、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートし;そして、その後、生物学的試料の少なくとも1つのT細胞を、APCと共にインキュベートすることを含む方法が提示される。
【0137】
[0209]本明細書の第4の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物のうちの、第1のAPC調製物インキュベートしてから、28日間未満の1以上の別個の期間、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共にインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が、拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される方法が提示される。
【0138】
[0210]本明細書の第5の態様では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、3つ以下のAPC調製物と共に3以下の別個の期間インキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される方法が提示される。
【0139】
[0211]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、抗原特異的T細胞を調製する方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共に1以上の別個の期間インキュベートし、これにより、抗原特異的T細胞となるように、T細胞を刺激することを含み、この場合、抗原特異的T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの、少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、抗原特異的T細胞を調製する方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、3つ以下のAPC調製物と共に3以下の別個の期間インキュベートし、これにより、抗原特異的T細胞となるように、T細胞を刺激することを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、抗原特異的T細胞を調製する方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、2つ以下のAPC調製物と共に2以下の別個の期間インキュベートし、これにより、抗原特異的T細胞となるように、T細胞を刺激することを含む。
【0140】
[0212]一部の実施形態では、方法は、(a)少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)を含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14を発現する細胞を生物学的試料からエンリッチし、これにより、CD14+細胞エンリッチ試料を得;(c)CD14+細胞エンリッチ試料を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子と共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14+エンリッチ試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;(e)ペプチドロードされたAPC試料を、1以上のサイトカイン又は増殖因子と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APC試料を得;(f)成熟APC試料のAPCを、PBMCを含む、CD14及び/又はCD25を枯渇させた試料と共に第4の期間インキュベートし;(g)PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし;(h)PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第6の期間インキュベートし;そして(i)PBMCのうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む。
【0141】
[0213]一部の実施形態では、方法は、(a)少なくとも1つのAPCと、少なくとも1つのPBMCとを含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14及び/又はCD25を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25細胞を枯渇させた試料を得;(c)CD14及び/又はCD25細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及び/又はCD25細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;(e)ペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのPBMCと共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたPBMC試料を得;(f)第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得;(g)第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得;(h)第3の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む。
【0142】
[0214]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法は、APCを、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含む。
【0143】
[0215]本明細書の、一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物のうちの第1のAPC調製物とインキュベートしてから、28日間未満の1以上の別個の期間、免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共にインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される方法が提示される。本明細書の一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、3つ以下のAPC調製物と共に3以下の別個の期間インキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される方法が提示される。
【0144】
[0216]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、抗原特異的T細胞を調製する方法は、免疫細胞の集団(例えば、PBMC)を、APCと接触させることを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗
原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む抗原特異的T細胞を調製する方法は、免疫細胞の集団(例えば、PBMC)を、APCと共にある期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、CD14を発現する細胞を枯渇させた試料(例えば、生物学的試料)に由来する。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、CD25を発現する細胞を枯渇させた試料(例えば、生物学的試料)に由来する。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、CD14を発現する細胞と、CD25を発現する細胞とを枯渇させた試料(例えば、生物学的試料)に由来する。
【0145】
[0217]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含む。本明細書の、一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む医薬組成物を調製する方法であって、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートし;そして、その後、生物学的試料の、少なくとも1つのT細胞を、APCと共にインキュベートする、ことを含む方法が提示される。
【0146】
[0218]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む、少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法は、試料(例えば、生物学的試料)に由来する免疫細胞の集団を、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)と接触させることを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法は、試料(例えば、生物学的試料)に由来する免疫細胞の集団を、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCと接触させることを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法は、試料(例えば生物学的試料)に由来する免疫細胞の集団を、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCと共にインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む医薬組成物を調製する方法は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートし(例えばある期間);次いで、生物学的試料のT細胞を、APCと接触させる、ことを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法は、試料(例えば生物学的試料)に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と接触させることを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法は、試料(例えば生物学的試料)に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共に1以上の別個の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法は、試料(例えば生物学的試料)に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10の別個の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、1以上の別個の期間は、免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物のうちの第1のAPC調製物と共にインキュベートすることから計算して、28日間未満である。
【0147】
[0219]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む抗原特異的T細胞を調製する方法は、免疫細胞の集団を、APCと共
にある期間インキュベートすることを含み、ここで、免疫細胞の集団は、PBMCを含む生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む抗原特異的T細胞を調製する方法は、免疫細胞の集団を、APCと共にある期間インキュベートすることを含み、ここで、免疫細胞の集団は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する。
【0148】
[0220]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む抗原特異的T細胞を調製する方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCと共にある期間インキュベートすることを含む。
【0149】
[0221]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む抗原特異的T細胞を含む医薬組成物を調製する方法は、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートし;次いで、生物学的試料のT細胞を、APCと接触させる、ことを含む。
【0150】
[0222]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む抗原特異的T細胞を調製する方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共に1以上の別個の期間インキュベートし、これにより、抗原特異的T細胞を誘導又は拡大することを含み、ここで、1以上の別個の期間は、免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物のうちの第1のAPC調製物と共にインキュベートすることから計算して、28日間未満である。一部の実施形態では、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共に1以上の別個の期間インキュベートすることは、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せを含有する培地中で実施される。一部の実施形態では、培地は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せをさらに含む。IDO阻害剤は、エパカドスタット、ナボキシモド、1-メチルトリプトファン、又はこれらの組合せでありうる。一部の実施形態では、IDO阻害剤は、抗原特異的CD8+細胞の数を増大させうる。一部の実施形態では、IDO阻害剤は、メモリーCD8細胞応答の機能的プロファイルを維持しうる。PD-1抗体は、抗原特異的メモリーCD8+T細胞応答の絶対数を増大させうる。PD-1抗体は、このような抗体により処置された細胞の増殖速度を増大させうる。IL-12のさらなる存在は、抗原特異的細胞の増大、及び/又はCD8+T細胞の頻度の増大を結果としてもたらしうる。
【0151】
[0223]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む抗原特異的T細胞を調製する方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共に1以上の別個の期間インキュベートし、これにより、抗原特異的T細胞を誘導又は拡大することを含み、ここで、抗原特異的T細胞、抗原特異的CD4+T細胞、又は抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全T細胞、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、総免疫細胞、又は全細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。
【0152】
[0224]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む抗原特異的T細胞を調製する方法は、生物学的試料に由来する免疫細
胞の集団を、3つ以下のAPC調製物と共に3以下の別個の期間インキュベートし、これにより、抗原特異的T細胞となるようにT細胞を刺激することを含む。
【0153】
[0225]一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、APCは、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCである。一部の実施形態では、APCは1以上のAPC調製物を含む。一部の実施形態では、APC調製物は、3つ以下のAPC調製物を含む。一部の実施形態では、APC調製物は、1以上の別個の期間内に、逐次的に、免疫細胞と共にインキュベートされる。
【0154】
[0226]一部の実施形態では、生物学的試料は対象に由来する。一部の実施形態では、対象はヒトである。例えば、対象は患者又はドナーでありうる。一部の実施形態では、対象は疾患又は障害を有する。一部の実施形態では、疾患又は障害はがんである。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、CD4+及び/又はCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、CD4エンリッチ及び/又はCD8エンリッチT細胞を含む。例えば、CD4+及び/又はCD8+T細胞は、PBMCを含む対象に由来する生物学的試料から単離、エンリッチ、又は精製されうる。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、ナイーブCD4+及び/又はナイーブCD8+T細胞である。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、メモリーCD4+及び/又はメモリーCD8+T細胞である。
【0155】
[0227]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、(A)点突然変異、(B)スプライス部位突然変異、(C)フレームシフト突然変異、(D)リードスルー突然変異、(E)遺伝子融合突然変異、及びこれらの組合せから選択される突然変異を含み、がん抗原ペプチドは、対象のHLAタンパク質に、500nM未満のIC50で、及び対応する野生型ペプチドより大きな親和性で結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象の非がん細胞内に存在しない突然変異を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象のがん細胞の発現遺伝子によりコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上は、8~50天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列は、複数の抗原ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、複数の抗原ペプチド配列は、2~50、3~50、4~50、5~50、6~50、7~50、8~50、9~50、又は10~50の抗原ペプチド配列を含む。
【0156】
[0228]一部の実施形態では、APCは、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上を含む、1以上の抗原ペプチドをロードされたAPCを含む。一部の実施形態では、APCは、自家APC又は同種APCである。一部の実施形態では、APCは、樹状細胞(DC)を含む。
【0157】
[0229]一部の実施形態では、方法は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を、生物学的試料から枯渇させることを含む。一部の実施形態では、CD14+細胞を枯渇させることは、CD14に結合する薬剤をAPCと接触させることを含む。一部の実施形態では、APCはCD14+単球に由来する。一部の実施形態では、APCは生物学的試料からエンリッチされる。例えば、APCは、PBMCを含む対象に由来する生物学的試料から単離、エンリッチ、又は精製されうる。
【0158】
[0230]一部の実施形態では、APCは、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、I
L-4、FLT3L、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、IL-4、GM-CSF、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、又はこれらの組合せを含む。
【0159】
[0231]一部の実施形態では、APCは、第2の生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、第2の生物学的試料は、同じ対象に由来する。
[0232]一部の実施形態では、生物学的試料は、末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、方法における抗原特異的T細胞の百分率は、全T細胞又は全免疫細胞のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、方法における抗原特異的T細胞の百分率は、T細胞又は全免疫細胞のうちの約0.1%~約5%、約5%~10%、約10%~15%、約15%~20%、約20%~25%、約25%~30%、約30%~35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~65%、又は約65%~約70%である。一部の実施形態では、方法における抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全T細胞又は全免疫細胞のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、方法における抗原特異的ナイーブCD8+T細胞の百分率は、全T細胞又は全免疫細胞のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、方法における抗原特異的メモリーCD8+T細胞の百分率は、全T細胞又は全免疫細胞のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、方法における抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全T細胞又は全免疫細胞のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、方法における抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全T細胞又は全免疫細胞のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の抗原特異的T細胞の百分率は、最大で約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、最大で約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の抗原特異的ナイーブCD8+T細胞の百分率は、最大で約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の抗原特異的メモリーCD8+T細胞の百分率は、最大で約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、最大で約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%である。
【0160】
[0233]一部の実施形態では、方法は、T細胞を、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せにより刺激することを含む。一部の実施形態では、方法は、IDO阻害剤、PD-
1抗体、又はIL-12の存在下で、T細胞を、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せにより刺激することを含む。一部の実施形態では、方法は、抗原特異的T細胞を、対象へ投与することをさらに含む。
【0161】
[0234]一部の実施形態では、1以上の期間のうちの第1の期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、又は9日間である。
[0235]一部の実施形態では、別個の期間の合計期間は、28日間未満である。一部の実施形態では、別個の期間の合計期間は、20~27日間である。一部の実施形態では、別個の期間の合計期間は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、又は39日間である。
【0162】
[0236]一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に7日を超える期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日を超える期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に7~20、8~20、9~20、10~20、11~20、又は12~20日間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に約10~15日間インキュベートすることを含む。
【0163】
[0237]一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第2のAPC調製物を、T細胞と共に5~9日間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第2のAPC調製物を、T細胞と共に5、6、7、8、又は9日間インキュベートすることを含む。
【0164】
[0238]一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第3のAPC調製物を、T細胞と共に5~9日間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第3のAPC調製物を、T細胞と共に5、6、7、8、又は9日間インキュベートすることを含む。
【0165】
[0239]一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22日間インキュベートし、APC調製物のうちの第2のAPC調製物を、T細胞と共に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22日間インキュベートし、そしてAPC調製物のうちの第3のAPC調製物を、T細胞と共に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22日間インキュベートすることを含む。
【0166】
[0240]一部の実施形態では、生物学的試料は、対象から新たに得られるか、又は凍結させた試料から得られる。
[0241]一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの1つ以上を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第1の培地と共に第1の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、第1の期間は、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17、又は18日間である。一部の実施形態では、第1の期間は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18日間以下である。一部の実施形態では、第1の期間は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、又は9日間である。一部の実施形態では、第1の期間は、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間以下である。一部の実施形態では、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0167】
[0242]一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの1つ以上を、少なくとも1つのペプチドと共に第2の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、第2の期間は1時間以下である。
【0168】
[0243]一部の実施形態では、方法は、APC調製物のうちの1つ以上を、1以上のサイトカイン又は増殖因子を含む第2の培地と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APCを得ることを含む。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848(レシキモド)、LPS、ss-rna40、poly I:C、CpG、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、第3の期間は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18日間以下である。一部の実施形態では、第3の期間は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17日間である。一部の実施形態では、第3の期間は、2、3、4、又は5日間以下である。一部の実施形態では、第3の期間は、少なくとも1、2、3、又は4日間である。
【0169】
[0244]一部の実施形態では、方法は、第3の期間の後で、かつ、第4の期間の開始の前に、第2の培地の1以上のサイトカイン又は増殖因子を除去することをさらに含む。
[0245]一部の実施形態では、方法はex vivoにおいて実施される。
【0170】
[0246]一部の実施形態では、T細胞を調製する方法は、APCを含む生物学的試料を対象から得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、CD14+細胞を生物学的試料からエンリッチし、これにより、CD14+エンリッチ試料を得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、CD14+エンリッチ試料を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第1の培地と共に第1の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのペプチドを、CD14+エンリッチ試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、ペプチドロードされたAPC試料を、1以上のサイトカイン又は増殖因子を含む第2の培地と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APC試料を得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、成熟APC試料のAPCを、末梢血単核細胞(PBMC)、及び少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第3の培地と第4の期間接触させることを含む。一部の実施形態では、方法は、PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第6の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、PBMCのうちのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む。
【0171】
[0247]他の一部の実施形態では、T細胞を調製する方法は、APCを含む生物学的試料を対象から得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、CD14+細胞を生物学的試料からエンリッチし、これにより、CD14+エンリッチ試料を得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、CD14+エンリッチ試料を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第1の培地と共に、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、
15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間インキュベートすることを含む。
【0172】
[0248]一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのペプチドを、CD14+エンリッチ試料と共に、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、ペプチドロードされたAPC試料を、1以上のサイトカイン又は増殖因子を含む培地と共に、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間インキュベートし、これにより、成熟APC試料を得ることを含む。一部の実施形態では、方法は、成熟APC試料のAPCを、PBMC、及び少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む培地と、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間接触させることを含む。一部の実施形態では、方法は、PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、PBMCのうちのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む。
【0173】
[0249]一部の実施形態では、方法は、(a)少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)を含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14を発現する細胞を生物学的試料からエンリッチし、これにより、CD14+細胞エンリッチ試料を得;(c)CD14+細胞エンリッチ試料を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子と共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14+細胞エンリッチ試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;(e)ペプチドロードされたAPC試料を、1以上のサイトカイン又は増殖因子と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APC試料を得;(f)成熟APC試料のAPCを、PBMCを含む、CD14及び/又はCD25を枯渇させた試料と共に第4の期間インキュベートし;(g)PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし;(h)PBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第6の期間インキュベートし;そして(i)PBMCのうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む。一部の実施形態では、第1の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第2の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第3の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第4の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第5の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。
【0174】
[0250]一部の実施形態では、方法は、(a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのPBMCを含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;(c)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;(e)ペプチドロードされたAP試料を、少なくとも1つのPBMCと共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたPBMC試料を得;(f)第1の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたPBMC試料を得;(g)任意選択で、第2の刺激されたPBMC試料のPBMCを、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたPBMC試料を得;(h)第1、第2、又は第3の刺激されたPBMC試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む。一部の実施形態では、第1の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第2の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第3の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第4の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第5の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。
【0175】
[0251]他の一部の実施形態では、T細胞を調製する方法は、(a)対象から、APC及びT細胞を含む生物学的試料を得;(b)生物学的試料を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第1の培地と共に第1の期間インキュベートし;(c)少なくとも1つのペプチドを、(b)の生物学的試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;(d)ペプチドロードされたAPC試料を、1以上のサイトカイン又は増殖因子を含む第2の培地と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APC試料を得;(e)第3の期間の後で、成熟APC試料を、ヒト血清と共に第4の期間インキュベートし;(f)生物学的試料を、1以上のサイトカインと共に第5の期間インキュベートし;そして(g)生物学的試料のT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子は、FLT3Lを含む。一部の実施形態では、第1の期間は、少なくとも5時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも22時間、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、又は少なくとも5日間である。一部の実施形態では、第2の期間は、少なくとも30分間、40分間、50分間、1時間、2時間、又は3時間である。一部の実施形態では、第3の期間は、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも22時間、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、又は少なくとも5日間である。一部の実施形態では、第4の期間は、約2、3、又は4日間である。一部の実施形態では、第5の期間は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、又は12日間である。一部の実施形態では、第1の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第2の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第3の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第4の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、第5の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。
【0176】
[0252]誘導又は拡大されたT細胞は、多様な種類のT細胞を含みうる。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD4エンリッチT細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD8エンリッチT細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのメモリーT細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのナイーブT細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのメモリーCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのナイーブCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのメモリーCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのナイーブCD8+T細胞を含む。
【0177】
[0253]多様な抗原ペプチドは、T細胞を誘導又は拡大するのに使用されうる。一部の実施形態では、ペプチドは、(A)点突然変異、(B)スプライス部位突然変異、(C)フレームシフト突然変異、(D)リードスルー突然変異、(E)遺伝子融合突然変異、及びこれらの組合せから選択される突然変異を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、点突然変異を含み、対応する野生型ペプチドより大きな親和性で対象のHLAタンパク質に結合する。一部の実施形態では、ペプチドは、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のIC50で対象のHLAタンパク質に結合する。一部の実施形態では、ペプチドは、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のIC50又はKDで対象のHLAタンパク質に結合する。一部の実施形態では、各ペプチドは、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する。一部の実施形態では、誘導又は拡大された抗原特異的T細胞のTCRは、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のIC50又はKDでペプチド-HLA複合体に結合する。一部の実施形態では、TCRは、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のIC50又はKDでペプチド-HLA複合体に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象の非がん細胞内に存在しない突然変異を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々は、対象のがん細胞の遺伝子又は発現遺伝子によりコードされる。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;40;50;60;70;80;90;100;150;200;250;300;350;400;450;500;600;700;800;900;1,000;1,500;2,000;2,500;3,000;4,000;5,000;7,500;若しくは10,000、又はこれを超える天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ペプチドは、クラスIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、8~12天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ペプチドは、クラスIIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、16~25天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ペプチドは、複数のペプチドを含む。一部の実施形態では、複数のペプチドは、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、若しくは500、又はこれを超える抗原ペプチドを含む。
【0178】
[0254]多様な実施形態では、APCは、T細胞を刺激/誘導するのに使用される。一部
の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、1以上の抗原ペプチドをロードされる。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、自家APC又は同種APCである。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、樹状細胞(DC)を含む。一部の実施形態では、方法は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を、生物学的試料から枯渇させることを含む。一部の実施形態では、方法は、CD19を発現する細胞を、生物学的試料から枯渇させることを含む。一部の実施形態では、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させることは、CD14及び/又はCD25に結合する薬剤を、APC又はAPC調製物のAPCへと結合させることを含む。一部の実施形態では、CD14及び/又はCD25に結合する薬剤は、ビオチン化される。一部の実施形態では、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させることは、固体支持体上の抗ビオチン試薬を、CD14及び/又はCD25に結合する薬剤へと結合させることを含む。一部の実施形態では、CD14及び/又はCD25に結合する薬剤は、固体支持体へと接合される。一部の実施形態では、CD19を発現する細胞を枯渇させることは、CD19に結合する薬剤を、APC又はAPC調製物のAPCへ結合させることを含む。一部の実施形態では、CD19に結合する薬剤は、ビオチン化される。一部の実施形態では、CD19を発現する細胞を枯渇させることは、固体支持体上の抗ビオチン試薬を、CD19に結合する薬剤へと結合させることを含む。一部の実施形態では、CD19に結合する薬剤は、固体支持体へと接合される。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、CD14+単球に由来する。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、CD141エンリッチAPC又はCD141エンリッチ樹状細胞である。
【0179】
[0255]一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、生物学的試料からエンリッチされる。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、APC又はAPC調製物のAPCは、第2の生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、第2の生物学的試料は、同じ対象に由来する。一部の実施形態では、生物学的試料は、末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、対象から新たに得られるか、又は凍結させた試料から得られる。
【0180】
[0256]一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.00001%、0.00002%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。
【0181】
[0257]一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、又は1%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、又は1%である。一部の実施形態では、生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率は、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、又は1%である。
【0182】
[0258]一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つの抗原特異的T細胞のうちの1つ以上を対象へ投与することをさらに含む。一部の実施形態では、別個の期間の合計期間は、28日間未満である。一部の実施形態では、インキュベートすることは、複数のAPC調製物のうちの1つのAPC調製物を、T細胞と共に7日を超える期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、インキュベートすることは、複数のAPC調製物のうちの第1、第2、第3、又は第4のAPC調製物を、T細胞と共に7日を超える期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、方法は、APC又はAPC調製物のうちの1つ以上を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第1の培地と共に第1の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、第1の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、方法は、1以上のAPC調製物を、少なくとも1つのペプチドと共に第2の期間インキュベートすることを含む。一部の実施形態では、第2の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、方法は、APC又は1以上のAPCを、1以上のサイトカイン又は増殖因子を含む第2の培地と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APCを得ることを含む。一部の実施形態では、第3の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、1以上のサイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、方法は、第3の期間の後で、かつ、第4の期間の開始の前に、第2の培地の1以上のサイトカイン又は増殖因子を除去することをさらに含む。一部の実施形態では、第4の期間は、少なくとも又は最大で又は約30、40、若しくは50分間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、若しくは23時間;又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20日間である。一部の実施形態では、抗原は、ネオ抗原、腫瘍関連抗原、ウイルス抗原、マイナー組織適合性抗原、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、方法はex vivoにおいて実施される。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗原特異的T細胞は、複数の抗原特異的T細胞を含む。抗原提示細胞(APC)及び調製法
[0259]一部の実施形態では、方法は、T細胞を、抗原提示細胞(APC)により誘導又は刺激又は拡大することを含む。APCは、T細胞に接触させる前に、抗原ペプチドを、あらかじめロードされうる。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞を拡大又は誘導する方法は、T細胞を含む免疫細胞の集団を、APCにより刺激することを含む。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、APCは、FLT3L-刺激APCである。一部の実施形態では、APCは、1以上のAPC調製物を含む。一部の実施形態では、1以上のAPC調製物のうちの少なくとも1つは、FLT3L-刺激APCを含む。一部の実施形態では、1以上のAPC調製物は、3つ以下のAPC調製物を含む。一部の実施形態では、1以上のAPC調製物は、1以上の別個の期間内に、逐次的に、免疫細胞と共にインキュベートされる。
【0183】
[0260]抗原提示細胞(APC)は、それらの細胞表面上で、MHC分子と会合されたタンパク質抗原のペプチド断片を提示する。提示されたペプチドは、APCの細胞表面上の、ペプチド-MHC複合体(pMHC)として、MHC分子と会合される。ペプチド-MHC複合体のプロセシング及び提示は、タンパク質プロテアーゼ媒介性消化;抗原プロセシングと関連するトランスポーター(TAP)に媒介される、ペプチドの、小胞体(ER)への輸送;新たに合成されたMHC分子を使用する、ペプチド-MHC I分子の形成;及びペプチド-MHC分子の、細胞表面への輸送を含む、一連の逐次的段階を伴いうる。
【0184】
[0261]一部のAPCは、抗原特異的T細胞を活性化させうる。例えば、pMHCと相互作用するT細胞受容体(TCR)を含むT細胞は、TCR-pMHCの形成時に、活性化されるか、刺激されるか、誘導されるか、又は拡大されうる。一部の実施形態では、抗原提示細胞のMHC(例えば、クラスI MHC又はクラスII MHC)は、ペプチドをロードされ、提示されるペプチド配列を含む、抗原ペプチド又は抗原ポリペプチドをコードするAPC核酸(例えば、RNA)へと導入することにより、APCにより提示される。
【0185】
[0262]生物学的観点から、体細胞突然変異が、免疫応答を発生させるには、いくつかの基準が満たされる必要がある:突然変異を含有する対立遺伝子が、細胞により発現されるべきであり、突然変異が、タンパク質のコード領域内にあり、非同義であるべきであり、翻訳されるタンパク質が、プロテアソーム又は他の細胞内のタンパク質分解経路により切断されるべきであり、突然変異を含有するエピトープが、MHC複合体により提示されるべきであり、提示されたエピトープが、TCRにより認識されるべきであり、最後に、TCR-pMHC複合体が、T細胞を活性化させるシグナル伝達カスケードを立ち上げるべ
きである。
【0186】
[0263]単球は、血流内を循環し、次いで、組織へと移動し、そこで、マクロファージ及び樹状細胞へと分化しうる。古典的単球は、典型的に、CD14細胞表面受容体の、高レベルの発現により特徴付けられる。単球及びB細胞は、コンピテントAPCでありうるが、それらの抗原提示能は、既に感作されたT細胞の再活性化に限定されると考えられる。これらの細胞型は、機能的にナイーブであるか、又はプライミングされていないT細胞集団を、直接活性化させることが可能でない場合もある。プロフェッショナルの抗原提示細胞は、食作用又は受容体媒介性エンドサイトーシスにより、抗原を内部化し、次いで、それらの膜上において、MHC分子に結合した抗原の断片を提示することにおいて、極めて効率的である。T細胞は、抗原提示細胞の膜上において、抗原-MHC分子複合体を認識し、これと相互作用する。次いで、さらなる共刺激性シグナルが、抗原提示細胞によりもたらされ、T細胞の活性化をもたらす。共刺激性分子の発現は、プロフェッショナルの抗原提示細胞の、典型的な特徴である。
【0187】
[0264]プロフェッショナルの抗原提示細胞は、食作用又は受容体媒介性エンドサイトーシスにより、抗原を内部化し、次いで、それらの膜上において、MHC分子に結合した抗原の断片を提示することにおいて、極めて効率的でありうる。T細胞は、APCの膜上において、抗原-MHC分子複合体を認識し、これと相互作用しうる。次いで、さらなる共刺激性シグナルが、APCによりもたらされ、T細胞の活性化をもたらしうる。共刺激性分子の発現は、プロフェッショナルの抗原提示細胞の特徴を規定しうる。プロフェッショナルのAPCの例は、樹状細胞(DC)、マクロファージ、及びB細胞を含みうるがこれらに限定されない。プロフェッショナルのAPCは、高レベルのMHCクラスII、ICAM-1、及びB7-2を発現しうる。
【0188】
[0265]プロフェッショナルの抗原提示細胞の、主要な種類のうちの1つは、抗原提示の範囲が最も広範にわたる樹状細胞である。プロフェッショナルの抗原提示細胞の、他の主要な種類は、マクロファージ、B細胞、及びある特定の活性化上皮細胞を含む。樹状細胞とは、MHCクラスII及びIの抗原提示経路を介して、抗原(例えば、末梢組織内で捕捉される抗原)を、T細胞へと提示する白血球集団である。樹状細胞は、ナイーブT細胞及び既にプライミングされたT細胞(例えば、メモリーT細胞)の両方を活性化させることが可能である。樹状細胞(DC)は、MHCクラスI及びIIの抗原提示経路を介して、末梢組織内で捕捉された抗原を、T細胞へと提示する白血球集団でありうる。樹状細胞は、免疫応答の、強力な誘導因子であることがあり、これらの細胞の活性化は、抗腫瘍免疫を誘導するために、極めて重要なステップでありうる。樹状細胞は、免疫応答の、強力な誘導因子であり、これらの細胞の活性化は、抗腫瘍免疫を誘導するために、極めて重要なステップである。
【0189】
[0266]樹状細胞は、「未成熟」細胞及び「成熟」細胞として類別されうるが、これは、2つの十分に特徴づけられた表現型を区別するための簡便な方式として使用されうる。しかし、この命名法は、分化の、全ての可能な中間段階を除外するようにみなされるべきではない。未成熟樹状細胞は、Fcγ受容体及びマンノース受容体の高発現と相関する、抗原の取込み及びプロセシングの能力が高度な抗原提示細胞として特徴づけられうる。成熟表現型は、典型的に、これらのマーカーの低発現により特徴づけられるが、クラスI MHC及びクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54及びCD11)、並びに共刺激分子(例えば、CD40、CD80、CD86、及び4-1BB)など、T細胞の活性化の一因となる細胞表面分子の高発現によっても特徴付けられる。成熟樹状細胞は、CD11b+、CD11c+、HLA-DR+、CD80+、CD86+、CD54+、CD3-、CD19-、CD14-、CD141+(BDCA-3)、及び/又はCD1a+でありうる。樹状細胞の成熟は、このような抗原提示樹状細胞が、T細胞のプライミング
をもたらすときの、樹状細胞の活性化状態と称されうるのに対し、未成熟樹状細胞による提示は、寛容を結果としてもたらす。樹状細胞の成熟は、生得的受容体(例えば、細菌DNA、ウイルスRNA、内毒素など)により検出される、微生物的特徴を伴う、生体分子、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNF、インターロイキン、及びインターフェロン)、樹状細胞表面上のCD40への、CD40Lのリガンド結合、及び細胞死を被る細胞から放出される物質により引き起こされうる。樹状細胞の成熟を誘導しうる、さらなる非限定例サイトカインは、IL-4、GM-CSF、TNF-α、IL-1β、PGE1、及びIL-6を含む。例えば、樹状細胞は、in vitroにおいて、骨髄細胞を、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、及び腫瘍壊死因子α(TNF-α)などのサイトカインと共に培養することにより導出されうる。例えば、樹状細胞は、PBMCから単離されたCD14+単球から導出されうる。単球を、樹状細胞へと導出するために使用されうる、サイトカイン又は増殖因子は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、及びpolyI:Cを含むがこれらに限定されない。
【0190】
[0267]典型的に、非プロフェッショナルの抗原提示細胞は、MHCクラスIIタンパク質を、構成的には発現しない。MHCクラスIIタンパク質は、典型的に、IFN-γなど、ある特定のサイトカインによる、非プロフェッショナルの抗原提示細胞の刺激時に限り発現される。
【0191】
[0268]抗原提示細胞(APC)の供給源は、典型的に、in vitroにおいて、抗原ペプチドを発現し、提示することが可能な、APC又はAPC前駆体を含む組織供給源でありうる。一部の実施形態では、APCは、標的RNAをロードされ、かつ/又は必要なサイトカイン若しくは因子で処置される場合に、プロフェッショナルのAPCを増殖させ、プロフェッショナルのAPCとなることが可能である。
【0192】
[0269]1つの態様では、APC前駆細胞は、in vitroにおいて、樹状細胞(DC)へと増殖及び成熟することが可能である。多くの組織供給源が使用されうるが、典型的な組織供給源は、脾臓、胸腺、組織生検、腫瘍、輸入リンパ管(afferent lyph)、リ
ンパ節、骨髄、アフェレーシス若しくは白血球除去法による生成物、及び/又は末梢血を含みうる。ある特定の実施形態では、アフェレーシス生成物、骨髄、及び末梢血が、供給源でありうる。増殖因子にもまた富む、胎児組織、胎児血、又は臍帯血もまた、APC及び/又は前駆体APCを得るための血液の供給源として使用されうる。前駆体細胞の例は、胚性幹細胞、CD34+細胞、単球始原細胞、単球、及びプレB細胞を含むがこれらに限定されない。例えば、APCは、単球又はCD34+細胞を含む前駆体細胞から導出されうる。
【0193】
[0270]1つの態様では、APC及び/又は前駆体APCの供給源は、アフェレーシス又は白血球除去法の生成物でありうる。細胞は、当該技術分野で公知のアフェレーシス手順(例えば、Bishopら、Blood、83巻、2号、610~616頁(1994))を使用して回収されうる。アフェレーシス生成物は、典型的に、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球、及び血小板を含有しうる。1つの実施形態では、アフェレーシスにより回収された細胞は、その後の加工ステップのために、血漿画分を除去し、細胞を、適切な緩衝液中又は培地中に入れるように洗浄されうる。本発明の別の実施形態では、細胞は、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄されうる。代替的実施形態では、洗浄液は、カルシウムを欠き、マグネシウムを欠く場合もあり、全てではないにせよ、多くの2価カチオンを欠く場合もある。洗浄ステップは、半自動式「フロースルー型」遠心分離機を使用することによるなど、当業者に公知の方法により達せられうる。洗浄の後、細胞は、例えば、Ca非含有PBS、Mg非含有PBSなど、様々な生体適合性緩衝液中に再懸濁されうる。代替的に、アフェレーシス試料のうちの、所望されない成分は、除去される場合があり、細胞は、培養培地中に、直接再懸濁されうる。
【0194】
[0271]APCは、ヒト及び非ヒト霊長動物、他の哺乳動物、並びに脊椎動物を含む、様々な供給源から調製されうる。ある特定の実施形態では、APCは、ヒト又は非ヒト脊椎動物の血液から調製されうる。APCはまた、白血球のエンリッチ集団からも単離されうる。白血球の集団は、当業者に公知の方法により調製されうる。このような方法は、典型的に、ヘパリン処理血液の回収、アフェレーシス又は白血球除去法、バフィーコートの調製、ロゼッティング、遠心分離、密度勾配遠心分離(例えば、フィコール、コロイド状シリカ粒子、及びスクロースを使用する)、非白血球細胞の示差的溶解、及び濾過を含む。白血球集団はまた、対象から血液を回収し、血小板を除去するように脱フィブリン化させ、赤血球を溶解させることによっても調製されうる。白血球集団は、任意選択で、単球性樹状細胞前駆体についてエンリッチされうる。
【0195】
[0272]血液細胞集団は、エンリッチされた白血球の集団の、所望される使用に従い、様々な対象から得られうる。対象は、健常対象でありうる。代替的に、血液細胞は、例えば、がん患者又は免疫刺激が有益となる、他の患者など、免疫刺激を必要とする対象からも得られうる。同様に、血液細胞は、例えば、自己免疫障害(例えば、関節リウマチ、糖尿病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症など)を有する患者など、免疫抑制を必要とする対象からも得られうる。白血球の集団はまた、HLAをマッチさせた健常個体からも得られうる。
【0196】
[0273]血液が、APCの供給源として使用される場合、血中白血球は、それらの生存を維持する、従来の方法を使用して得られうる。本発明の1つの態様に従い、血液は、ヘパリン又は他の適切な抗凝固剤を含有する場合もあり、含有しない場合もある培地へと希釈されうる。培地の体積に対する血液の体積は、約1対1でありうる。細胞は、約1,000rpm(150g)、4℃における、培地中の血液の遠心分離により濃縮されうる。血小板及び赤血球は、細胞を、赤血球を溶解させる、当該技術分野で公知の、任意の数の溶液、例えば、塩化アンモニウム中に再懸濁させることにより枯渇させられうる。例えば、混合物は、体積で約1:1の、培地及び塩化アンモニウムでありうる。細胞は、遠心分離により濃縮され、血小板及び赤血球を実質的に含有しない、白血球の集団が得られるまで、所望の溶液中で洗浄されうる。組織培養物中で一般に使用される、任意の等張性溶液は、血中白血球を、血小板及び赤血球から分離するための培地として使用されうる。このような等張性溶液の例は、リン酸緩衝生理食塩液、ハンクス平衡塩溶液、及び完全増殖培地でありうる。APC及び/又はAPC前駆細胞はまた、エルトリエーションによっても精製されうる。
【0197】
[0274]1つの実施形態では、APC及び/又は前駆体APCの単離は、フィコール処理された全血液又はアフェレーシス処理された末梢血を、細胞1バッチ(典型的に、細胞約5×108~約2×1010個)に対する、1以上の種類の無関係の抗体又は非抗体とカップリングさせた常磁性粒子(ビーズ約1バイアル又はビーズ4×109個)と共に、22~37℃で、約30分間~2時間プレインキュベートした後で、常磁性粒子へと接合されるか、又はこれを貪食した細胞の磁気除去を行うことにより実施されうる。このような分離は、当該技術分野で利用可能な標準的方法を使用して実施されうる。例えば、市販される、様々な磁気分離法(例えば、DYNAL(登録商標)磁気粒子濃縮器(DYNAL MPC(登録商標)))を含む、任意の磁気分離法が使用されうる。単離の確認は、当業者に公知の、様々な方法であって、前記単離の前後における、細胞のフローサイトメトリー解析を含む方法によりモニタリングされうる。
【0198】
[0275]APCは、適切な培養物容器(container又はvessel)内の、適切な培養培地中
で、初代培養物を形成するように培養されうる。ある特定の実施形態では、培養培地は、
1以上のサイトカインを補充されうる。適切な培養容器(container又はvessel)は、組
織培養物適合性表面を伴う、任意の容器でありうる。例は、組織培養における使用のために作られた、多様なバッグ、フラスコ、ローラーボトル、ペトリディッシュ、及びマルチウェル含有プレートを含む。それらが、下記で記載される細胞の示差的接合を可能とする条件で、細胞接着を促進するように、物質、例えば、コラーゲン若しくはポリL-リシン、又は特定の細胞型に特異的な抗体で処理された表面もまた使用されうる。表面は、例えば、イオン化によってもまた、化学的に処理されうる。細胞は、1cm2当たりの細胞約105~107個の初期細胞密度で播種されうる。1つの態様では、細胞は、1cm2当たりの細胞106個で播種されうる。
【0199】
[0276]1つの実施形態では、選択された組織供給源に由来する初代培養物は、細胞の集団が、非接着性細胞の分離を可能とするのに十分に、基質へと接着させられるまで、湿度、CO2、及びpHについての標準的な組織培養条件下、約37℃でインキュベートされる。一晩にわたる培養の後で、前駆体が、分離されうるように、血液中の、一部の未成熟APC、特に、未成熟DCは、単球と対照的に、当初、プラスチックに対して非接着性である。単球及び線維芽細胞は、接着性細胞の大部分を含む場合があり、通例、約30分間~約24時間以内に、基質に接着させられうる。ある特定の態様では、非接着性細胞は、接着性細胞から、約1~16時間の間に分離されうる。非接着性細胞は、約1~2時間後に分離されうる。著明な数量の接着性細胞を取り除くことのない、任意の方法は、接着性細胞を、非接着性細胞から分離するのに使用されうる。ある特定の態様では、細胞は、単純な振盪又はピペッティングにより取り除かれうる。ある特定の態様では、ピペッティングが、最も好ましい場合がある。
【0200】
[0277]本発明の方法に従い単離された前駆体APC(例えば、単球)を含む接着性細胞は、細胞の集団が、未成熟APCの段階に達するまで、湿度、CO2、及びpHについての標準的な組織培養条件下、約37℃でインキュベートされうる。ある特定の態様では、本開示に従い、接着性細胞は、4時間~7日間の間インキュベートされうる。しかし、当業者は、インキュベーション時間及びインキュベーション条件が変動しうることを、たやすく理解するであろう。未成熟APCは、前駆体細胞の由来に応じて、CD14-の場合もあり、CD14+の場合もある。未成熟APCはまた、CD1a、CD40、CD86、CD54、及び中間レベルのMHCクラスIIも発現しうる(試料細胞上の、マーカー発現のレベルは、フローサイトメトリー解析により、MHCクラスII陰性細胞上、及び高レベルのMHCクラスIIを発現することが公知の細胞上の発現レベルと比較されうる)。未成熟APCは、典型的に、CCR7を発現しない。
【0201】
[0278]本開示のある特定の態様では、T細胞をAPCから分離することは必要でない。例えば、1つの実施形態では、APC及びT細胞を含むPBMCは、本明細書で記載される抗原へと曝露される場合があり、結果として得られる抗原特異的T細胞は、本明細書で記載される通りに、さらに拡大されうる。
【0202】
[0279]本発明のある特定の態様では、本明細書で記載されるAPC又はT細胞が、自家供給源から導出されることは要求されない。したがって、APC及びT細胞は、マッチさせたドナー若しくはマッチさせていないドナー、又は細胞系、T細胞系、若しくはin vitroにおいて増殖させた他の細胞から得られうる。当該技術分野では、ハプロタイプをマッチさせるための方法が公知である。さらに、APC及びT細胞、又はこれらに由来する上清は、異種供給源、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長動物から得られる場合があり、ブタ細胞も使用されうる。
【0203】
[0280]適切なAPC調製物は、例えば、樹状細胞及び単球を含む。他の実施形態では、APCは、例えば、B細胞、細胞、又は上皮細胞若しくは内皮細胞などの活性化非公称A
PCでありうる。APCは、未成熟APCの場合もあり、成熟APCの場合もある。APC及びT細胞は、典型的に、約6~約48時間共培養されるが、これを超える時間及びこれ未満の時間も、本発明の範囲内にある。共培養は、典型的に、T細胞の活性化を可能とするのに十分な時間実施されうるが、著明な数の未成熟APC又はAPC前駆体の分化及び/又は成熟に要求される時間未満実施される場合もある。
【0204】
[0281]ある特定の実施形態では、単球性樹状細胞前駆体は、例えば、エンリッチされた白血球又は単球を、単球性樹状細胞前駆体接着性基質と接触させることにより単離されうる。略述すると、エンリッチされた白血球又は単球の集団が、基質と接触される場合、細胞集団内の単球性樹状細胞前駆体又は単球は、基質に接着しうる。他の白血球は、基質に対する結合親和性の低減を呈し、これにより、単球性樹状細胞前駆体を、基質の表面上で、優先的にエンリッチすることが可能となる。適切な基質は、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、ガラスでコーティングしたプラスチック粒子、ガラスでコーティングしたポリスチレン粒子などの粒子状基質、微小毛細管、及び微絨毛膜を含む。基質の表面は、任意選択で、単球性樹状細胞前駆体の、基質への接着を増強するように処置されうる。基質の表面は、例えば、タンパク質、サイトカイン、血漿、及び/又は単球結合性タンパク質でコーティングされうる。白血球エンリッチ細胞集団又は単球エンリッチ細胞集団を、単球性樹状細胞前駆体接着性基質と接触させた後、単球性樹状細胞前駆体は、基質に接着して、基質上で、単球性樹状細胞前駆体を含む複合体を形成する。単球性樹状細胞前駆体の結合は、例えば、FACS前方側方散乱解析などにより、例えば、抗CD14抗体など、抗細胞表面マーカー抗体を使用する抗体検出によりモニタリングされうる。一部の実施形態では、白血球集団は、基質と、約5~約300分間、より典型的に、約30~約120分間接触されうる。単球性樹状細胞前駆体複合体は、任意選択で、非特異的に結合した白血球を除去するのに適する洗浄緩衝液で洗浄されうる。適切な洗浄緩衝液は、組織培養培地、リン酸緩衝生理食塩液、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩液などを含む。培地は、単球性樹状細胞前駆体の生存及び/又は増殖を促進するように、アミノ酸、ビタミン、及び/又はホルモンを補充されうる。洗浄の有効性は、洗浄緩衝液のFACS前方側方散乱解析によりモニタリングされる場合もあり、溶出された細胞を、細胞表面マーカーについて染色することなどによりモニタリングされる場合もある。典型的に、複合体は、非特異的に結合した白血球を除去するように、何回か洗浄されうる。接着させられた単球性樹状細胞前駆体は、基質から溶出されうる。例えば、前駆体は、0.4%のEDTA又は他の非毒性キレート剤を含有するリン酸緩衝生理食塩液を伴う処理により、基質から溶出されうる。単球性樹状細胞前駆体は、典型的に、トリプシン又は他のプロテアーゼを使用せずに、基質から溶出されうる。
【0205】
[0282]他の実施形態では、樹状細胞は、当業者に公知の他の方法(例えば、O’Dohertyら、J.Exp.Med.、178:1067~76(1993);Young及びSteinman、J.Exp.Med.;、171:1315~32(1990);Freudenthal及びSteinman、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:7698~702(1990);Macatoniaら、Immunol.、67:285~89(1989);Markowicz及びEngleman、J.Clin.Invest.、85:955~61(1990);米国特許第5,994,126号及び同第5,851,756号)に従い単離されうる。免疫分泌性樹状細胞のための方法は、例えば、基質へとカップリングされた抗CD34及び/若しくは抗CD14抗体(例えば、Bernhardら、Cancer Res.、55:1099~104(1995);Cauxら、Nature360:258~61(1992))など、樹状細胞前駆体と関連する細胞表面マーカーに対する抗体、又はCD11c、CD54、CD83、CD80、及びCD86などの完全分化樹状細胞と関連する細胞表面マーカーに対する抗体を使用することを含む。
【0206】
[0283]他の実施形態では、APCは、炎症状態又は他の形の活性化状態下における、非公称APCでありうる。例えば、非公称APCは、インターフェロン-γにより刺激された上皮細胞、APC活性を誘導する因子又は条件により活性化された、T細胞、B細胞、及び/又は単球を含みうる。このような非公称APCは、当該技術分野で公知の方法に従い調製されうる。
【0207】
[0284]APCは、APCの種類に従い、所望の通りに、培養され、拡大され、分化させられ、かつ/又は成熟させられうる。APCは、例えば、培養プレート、フラスコ、培養バッグ、及びバイオリアクターなど、任意の適切な培養器内で培養されうる。
【0208】
[0285]ある特定の実施形態では、APCは、調製物中のAPCの数を維持及び/又は拡大するのに適する、培養物中又は増殖培地中で培養されうる。培養培地は、単離されるAPCの種類に従い選択されうる。例えば、成熟樹状細胞などの成熟APCは、それらの維持及び拡大に適する増殖培地中で培養されうる。培養培地は、アミノ酸、ビタミン、抗生剤、2価カチオンなどを補充されうる。加えて、サイトカイン、増殖因子、及び/又はホルモンも、増殖培地中に含まれうる。例えば、成熟樹状細胞を維持及び/又は拡大するために、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)及び/又はインターロイキン4(IL-4)などのサイトカインを添加することができる。他の実施形態では、未成熟APCは、培養及び/又は拡大されうる。未成熟樹状細胞は、標的mRNAを取込み、新たな抗原をプロセシングする能力を保持しうる。一部の実施形態では、未成熟樹状細胞は、それらの維持及び培養に適する培地中で培養されうる。培養培地は、アミノ酸、ビタミン、抗生剤、2価カチオンなどを補充されうる。加えて、サイトカイン、増殖因子、及び/又はホルモンも、増殖培地中に含まれうる。
【0209】
[0286]他の未成熟APCも同様に、培養又は拡大されうる。未成熟APCの調製物は、成熟APCを形成するように成熟させられうる。APCの成熟は、抗原ペプチドへの曝露時に生じる場合もあり、抗原ペプチドへの曝露後に生じる場合もある。ある特定の実施形態では、未成熟樹状細胞の調製物は、成熟させられうる。適切な成熟因子は、例えば、サイトカインTNF-α、細菌生成物(例えば、BCG)などを含む。別の態様では、単離APC前駆体は、未成熟APCの調製物を調製するのに使用されうる。APC前駆体は、培養され、分化させられ、かつ/又は成熟させられうる。ある特定の実施形態では、単球性樹状細胞前駆体は、単球性樹状細胞前駆体の、未成熟樹状細胞への分化を促進するように、アミノ酸、ビタミン、サイトカイン、及び/又は2価カチオンを補充した、適切な培養培地の存在下で培養されうる。一部の実施形態では、APC前駆体は、PBMCから単離される。PBMCは、ドナー、例えば、ヒトドナーから得られる場合があり、新たに使用される場合もあり、将来の使用のために凍結される場合もある。一部の実施形態では、APCは、1以上のAPC調製物から調製される。一部の実施形態では、APCは、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上を含む1以上の抗原ペプチドをロードされたAPCを含む。一部の実施形態では、APCは、自家APC、同種APC、又は人工APCである。
【0210】
[0287]一部の実施形態では、APC前駆体は、単球である。一部の実施形態では、単球は、CD14+単球である。一部の実施形態では、単球は、抗CD14抗体により単離される。一部の実施形態では、単離された単球は、ウェル1つ当たり、2mLの培地中の細胞105~107個で播種される。一部の実施形態では、単離された単球は、ウェル1つ当たり、2mLの培地中の細胞約3×106個で播種される。一部の実施形態では、単離された単球は、サイトカイン又は増殖因子を含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、単離された単球は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、単離された単球は、成熟にかける前に、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、又は少なくとも6日間培養される。一部の実施形態では、単球は、ex vivoの培養培地中で、樹状細胞へと誘導される。一部の実施形態では、導出された樹状細胞は、ex vivoにおいて、さらに成熟させられ、抗原ペプチドをロードされる。一部の実施形態では、導出された樹状細胞は、1以上の抗原ペプチドを含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、抗原ペプチドは、ネオ抗原ペプチドである。ネオ抗原ペプチドの例は、HIV短鎖ペプチド、HIV長鎖ペプチド、PIN(previously identified neoantigen)短鎖ペプチド、及びPIN長鎖ペプチドを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、導出された樹状細胞は、1以上のネオ抗原ペプチドを含有する培地中で、少なくとも30分間、少なくとも50分間、少なくとも1時間、又は少なくとも2時間培養される。一部の実施形態では、導出された樹状細胞は、抗原ペプチドと共にインキュベートした後で、1以上のサイトカインと共に、さらにインキュベートされる。一部の実施形態では、1以上のサイトカインは、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む。
【0211】
[0288]一部の実施形態では、全PBMCは、APCを調製するのに使用され、これは、T細胞を刺激するのに、さらに使用されうる。一部の実施形態では、PBMCは、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、PBMCは、調節性T細胞(Treg細胞)を枯渇させられ、次いで、FLT3Lを含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、PBMCは、CD14+細胞を枯渇させられ、次いで、FLT3Lを含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、PBMCは、CD25+細胞を枯渇させられ、次いで、FLT3Lを含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、PBMCは、CD25+及びCD14+細胞を枯渇させられ、次いで、FLT3Lを含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、PBMCは、CD25+細胞、CD14+細胞、及びCD19+細胞を枯渇させられ、次いで、FLT3Lを含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、PBMCは、FLT3Lを含有する培地中で培養され、次いで、CD14+細胞を枯渇させられる。一部の実施形態では、PBMCは、FLT3Lを含有する培地中で培養され、次いで、CD25+細胞を枯渇させられる。一部の実施形態では、PBMCは、FLT3Lを含有する培地中で培養され、次いで、CD14+細胞及びCD25+細胞を枯渇させられる。一部の実施形態では、単離CD14+単球は、FLT3Lを含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、FLT3Lを含有する培地中で培養した後で、PBMC(全PBMC、CD14+枯渇PBMC、CD25+枯渇PBMC、CD25+/CD14+枯渇PBMC、又はCD25+/CD14+/CD19+枯渇PBMC)又は単離CD14+単球は、1以上の抗原を含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、PBMC又は単離CD14+単球は、1以上の成熟サイトカインを含有する培地中で培養される。成熟サイトカインの例は、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。成熟サイトカインは、細胞培養物中又は培地中に、多様な濃度で添加されうる。一部の実施形態では、成熟サイトカインは、細胞培養物中又は培地中に、少なくとも0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.2ng/mL、0.3ng/mL、0.4ng/mL、0.5ng/mL、0.8ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、12ng/mL、15ng/mL、18ng/mL、又は20ng/mLの最終濃度で添加される。一部の実施形態では、成熟サイトカインは、細胞培養物中又は培地中に、少なくとも0.05μg/mL、0.1μg/mL、0.2μg/mL、0.3μg/mL、0.4μg/mL、0.5μg/mL、0.8μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、3μg/mL、4μg/mL、5μg/mL、6μg/mL、7μg/mL、8μg/mL、9μg/mL、又は10μg/mLの最終濃度で添加される。一部の実施形態では、成熟サイトカインは、細胞培養物中又は培地中に、少なくとも10U/mL、20U/mL、30U/mL、40U/mL、50U/mL、80U/mL、100U/mL、200U/mL、500U/mL、800U/mL、1000U/mL、1500U/mL、2000U/mL、又は2500U/mL(本明細書で使用される酵素単位は、製造元のプロトコールに従い計算される)の最終濃度で添加される。一部の実施形態では、APC調製物のために使用されるPBMC培養物(ある特定の細胞を枯渇させた、全PBMC又はPBMC)は、T細胞の誘導又は刺激のために、さらなるインキュベーション又はサイトカイン処理にかけられる。この場合、APCの調製(例えば、成熟及びペプチドローディング)及びT細胞の誘導又は刺激は、同じ細胞培養物を使用して実施される。他の一部の場合に、APC調製物は、T細胞刺激のために使用された、PBMC集団に由来する、個別の細胞集団である。
【0212】
[0289]一部の実施形態では、方法は、1つ以上のAPC又は1つ以上のAPC調製物を、ペプチドと共にインキュベートし、これにより、ペプチドをロードされたAPC試料を作出することを含む。例えば、方法は、1つ以上のAPC又は1つ以上のAPC調製物を、1つ以上のペプチドと共に0.001~100μMの濃度でインキュベートし、これにより、ペプチドをロードされたAPC試料を作出することを含みうる。例えば、方法は、1つ以上のAPC又は1つ以上のAPC調製物を、1つ以上のペプチドと共に少なくとも約0.001μM、0.005μM、0.01μM、0.02μM、0.03μM、0.04μM、0.05μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、又は100μMの濃度でインキュベートすることを含みうる。例えば、方法は、1つ以上のAPC又は1つ以上のAPC調製物を、1つ以上のペプチドと共に最大で約0.001μM、0.005μM、0.01μM、0.02μM、0.03μM、0.04μM、0.05μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、又は100μMの濃度でインキュベートすることを含みうる。例えば、方法は、1つ以上のAPC又は1つ以上のAPC調製物を、1つ以上のペプチドと共に約0.001μM、0.005μM、0.01μM、0.02μM、0.03μM、0.04μM、0.05μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、又は100μMの濃度でインキュベートすることを含みうる。例えば、方法は、1つ以上のAPC又は1つ以上のAPC調製物を、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20、又はこれを超えるペプチドと共に少なくとも約0.001μM、0.005μM、0.01μM、0.02μM、0.03μM、0.04μM、0.05μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、又は100μMの濃度でインキュベートすることを含みうる。例えば、方法は、1つ以上のAPC又は1つ以上のAPC調製物を、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20、又はこれを超えるペプチドと共に最大で約0.001μM、0.005μM、0.01μM、0.02μM、0.03μM、0.04μM、0.05μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、又は100μMの濃度でインキュベートすることを含みうる。例えば、方法は、1つ以上のAPC又は1つ以上のAPC調製物を、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20、又はこれを超えるペプチドと共に、約0.001μM、0.005μM、0.01μM、0.02μM、0.03μM、0.04μM、0.05μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、又は100μMの濃度でインキュベートすることを含みうる。
T細胞
[0290]T細胞は、リンパ球として公知の白血球の群に属し、細胞媒介性免疫において、中心的な役割を果たす。T細胞は、CD4+T細胞(ヘルパーT細胞)と、CD8+T細胞(細胞傷害性T細胞)とを含む。CD4+T細胞は、B細胞の成熟、並びに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む免疫過程において、他の白血球の一助となりうる。CD4+T細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面上で発現されるMHCクラスII分子により、ペプチド抗原と共に提示されると活性化される。活性化されると、T細胞は、急速に分裂し、活性免疫応答を調節するサイトカインを分泌しうる。CD8+T細胞は、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞を破壊することが可能であり、また、移植片拒絶にも関与している。CD8+T細胞は、ほぼあらゆる体細胞の表面上に存在するMHCクラスIと会合する抗原への結合により、それらの標的を認識しうる。大半のT細胞は、T細胞受容体(TCR)を有する。T細胞が、多様な疾患(例えば、がん)又は感染性生物と関連する抗原を認識する能力は、α鎖及びβ鎖又はγ鎖及びδ鎖の両方から構成される、そのTCRにより付与される。これらの鎖を構成するタンパク質は、TCRの多様性を発生させるための、固有の機構を用いるDNAによりコードされる。このマルチサブユニットの免疫認識受容体は、CD3複合体と会合することが可能であり、抗原提示細胞(APC)の表面上で、MHCクラスI及びIIのタンパク質により提示されたペプチドに結合する。T細胞の活性化における第1のシグナルは、T細胞受容体の、別の細胞上のMHCにより提示される短鎖ペプチドへの結合によりもたらされうる。これは、このペプチドに特異的なTCRを伴うT細胞だけが活性化されることを確実にする。B細胞及びマクロファージも、重要なAPCでありうるが、パートナー細胞は、通例、ナイーブ応答の場合、プロフェッショナルの抗原提示細胞、通例、樹状細胞などの抗原提示細胞である。APC上の抗原性ペプチドへの、TCRの結合は、T細胞の活性化において、中心的なイベントであって、T細胞と、APCとの間の接点である、免疫学的シナプスにおいて生じるイベントでありうる。
【0213】
[0291]各TCRは、可変的な相補性決定領域(CDR)、並びにフレームワーク領域(FR)及び定常領域を含有する。α鎖可変ドメイン及びβ鎖可変ドメインの、第3の相補性決定領域(CDR3)のループのアミノ酸配列は、それぞれ、β鎖遺伝子座内の、Vβ(variable)遺伝子セグメント、Dβ(diversity)遺伝子セグメント、及びJβ(joining)遺伝子セグメントの間の組換え、並びにα鎖遺伝子座内の、類似するVα遺伝子セグメント及びJα遺伝子セグメントの間の組換えから生じる、αβT細胞の配列多様性の大部分を決定する。TCRのα鎖遺伝子座内及びβ鎖遺伝子座内の、複数のこのような遺伝子セグメントの存在は、多数の顕著に異なるCDR3配列がコードされることを可能とする。TCR遺伝子再配列過程中の、Vβ-Dβ接合部、Dβ-Jβ接合部、及びVα-Jα接合部における、ヌクレオチドの、独立の付加及び欠失は、CDR3配列の多様性をさらに増大させる。この点で、免疫コンピテンスは、TCRの多様性において反映される。γδTCRは、それが、生得免疫系と、緊密に相互作用する受容体をコードする点において、αβTCRと、顕著に異なる。TCRγδは、発生の早期において発現され、特化した解剖学的分布を有し、固有の病原体特異性及び低分子特異性を有し、生得性細胞と、獲得性細胞との、広範なスペクトルにわたる相互作用を有する。TCRγδ細胞の、限局的なサブセットが、出生前の多様な組織に定着する、個体発生の早期に、TCRγのVセグメント及びJセグメントの発現の、バイアスのかかったパターンが確立される。
【0214】
[0292]T細胞は、当該技術分野で公知の方法に従い調製されうる。T細胞は、エンリッチT細胞調製物、APC枯渇細胞調製物、又は実質的に精製されたT細胞調製物でありうる。T細胞は、混合T細胞集団又は精製T細胞サブセットでありうる。T細胞は、T細胞の単離集団に照らして、増大させたT細胞の数又は百分率を含有する、エンリッチT細胞調製物でありうる。
【0215】
[0293]T細胞又はT細胞のサブセットは、多様なリンパ系組織から得られうる。T細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、リンパ節組織、消化管に随伴するリンパ系組織、粘膜に随伴するリンパ系組織、脾臓組織、リンパ系組織、及び腫瘍を含む、多数の供給源から得られうる。本明細書で使用される「末梢血リンパ球」という用語(PBL)及びその文法的同等物は、血液(例えば、末梢血)中を循環するリンパ球を指す場合がある。末梢血リンパ球とは、臓器に局在化していないリンパ球を指す場合がある。末梢血リンパ球は、T細胞、NK細胞、B細胞、又はこれらの任意の組合せを含みうる。
【0216】
[0294]方法は、T細胞を、対象から単離することを含みうる。方法は、対象から単離されたT細胞を得ることを含みうる。T細胞は、T細胞系から得られうる。T細胞は、自家供給源から得られうる。T細胞は、同種供給源から得られうる。T細胞はまた、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長動物、及びブタからも得られうる。
【0217】
[0295]T細胞は、APC枯渇細胞調製物でありうる。T細胞は、APCを実質的に含有しない場合がある。例えば、T細胞は、75%を超えるAPCから分離されたT細胞を含みうる。一部の実施形態では、末梢血単核細胞(PBMC)は、例えば、ヘパリン処理バイアル内の血液から得られうる。PBMCは、遠心分離により、赤血球から分離される場合があり、PBMCは、界面から回収されうる。回収されたPBMCは、任意選択で、洗浄されうる(例えば、PBSにより)。
【0218】
[0296]T細胞の精製は、例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD14、CD16、CD19、及び/又はCD25へと方向付けられた抗体の使用を含むがこれらに限定されない、陽性選択又は陰性選択により達成されうる。CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、及び/又はCD45RO+T細胞などの特異的T細胞サブセットは、陽性選択法又は陰性選択法により単離されうる。例えば、CD45RO+、CD14-、及び/又はCD25-T細胞は、陽性選択法又は陰性選択法により単離されうる。例えば、CD45RA+、CD14-、及び/又はCD25-T細胞は、陽性選択法又は陰性選択法により単離されうる。例えば、CD3+、CD14-、及び/又はCD25-T細胞は、陽性選択法又は陰性選択法により単離されうる。例えば、CD28+、CD14-、及び/又はCD25-T細胞は、陽性選択法又は陰性選択法により単離されうる。例えば、CD4+、CD14-、及び/又はCD25-T細胞は、陽性選択法又は陰性選択法により単離されうる。例えば、CD8+、CD14-、及び/又はCD25-T細胞は、陽性選択法又は陰性選択法により単離されうる。例えば、CD14-及び/又はCD25-T細胞は、陰性選択法により単離されうる。例えば、CD19-T細胞は、陰性選択法により単離されうる。例えば、CD16-T細胞は、陰性選択法により単離されうる。例えば、CD3+及びCD28+T細胞は、CD3/CD28コンジュゲート磁気ビーズを使用して陽性選択されうる。本発明の1つの態様では、陰性選択によるT細胞集団のエンリッチメントは、陰性選択される細胞に固有の表面マーカーへと方向付けられた抗体の組合せにより達せられうる。例えば、T細胞集団のエンリッチメントは、CD19、CD16、CD14、CD25、又はこれらの任意の組合せへと方向付けられた抗体を使用する陰性選択により達せられうる。例えば、T細胞集団のエンリッチメントは、CD19、CD16、CD25、及び/又はCD14へと方向付けられた抗体の組合せを使用する陰性選択により達せられうる。
【0219】
[0297]例えば、T細胞試料は、対象の循環血液に由来する細胞を含むことが可能であり、アフェレーシス又は白血球除去法により得られうる。T細胞試料は、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球、及び/又は血小板を含有しうる。T細胞試料のうちの、所望されない成分は、除去される場合があり、残りのT細胞は、培養培地中に再懸濁されうる。例えば、細胞は、血漿画分を除去するように洗浄されうる。例えば、T細胞は、赤血球の溶解、及びPERCOLL(商標)勾配を介する遠心分離により、末梢血リンパ球から単離されうる。
【0220】
[0298]本明細書の多様な実施形態では、T細胞を含む、組成物及び方法が提示される。一部の実施形態では、T細胞は、TCRα鎖及びTCRβ鎖を有するTCRを含む。一部の実施形態では、T細胞は、TCRγ鎖及びTCRδ鎖を有するTCRを含む。一部の実施形態では、T細胞は、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD4エンリッチT細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、少なくとも1つのCD8エンリッチT細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、メモリーT細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、ナイーブT細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、メモリーCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、ナイーブCD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、メモリーCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原特異的T細胞は、ナイーブCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、抗原ペプチド配列は、(A)点突然変異、(B)スプライス部位突然変異、(C)フレームシフト突然変異、(D)リードスルー突然変異、(E)遺伝子融合突然変異、及びこれらの組合せから選択される突然変異を含む。一部の実施形態では、抗原ペプチド配列は、対象のHLAタンパク質に、対応する野生型ペプチドより大きな親和性で結合する。一部の実施形態では、抗原ペプチド配列は、対象のHLAタンパク質に、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKD又はIC50で結合する。一部の実施形態では、各ペプチド配列は、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する。一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物の、T細胞のTCRは、ペプチド-HLA複合体に、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKD又はIC50で結合する。
【0221】
[0299]一部の実施形態では、T細胞は、サイトカインを含有する培地中で培養される。サイトカインの例は、IL-7及びIL-15を含む。一部の実施形態では、T細胞培養物中又は培地中のサイトカインは、少なくとも0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.2ng/mL、0.3ng/mL、0.4ng/mL、0.5ng/mL、0.8ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、12ng
/mL、15ng/mL、18ng/mL、又は20ng/mL最終濃度を有する。一部の実施形態では、T細胞培養物中又は培地中のIL-7は、少なくとも0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.2ng/mL、0.3ng/mL、0.4ng/mL、0.5ng/mL、0.8ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、12ng/mL、15ng/mL、18ng/mL、又は20ng/mL最終濃度を有する。一部の実施形態では、T細胞培養物中又は培地中のIL-15は、少なくとも0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.2ng/mL、0.3ng/mL、0.4ng/mL、0.5ng/mL、0.8ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、12ng/mL、15ng/mL、18ng/mL、又は20ng/mL最終濃度を有する。一部の実施形態では、T細胞は、FLT3Lをさらに含有する培地中で培養される。一部の実施形態では、T細胞培養物中又は培地中のFLT3Lは、少なくとも1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、12ng/mL、15ng/mL、18ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、又は200ng/mLの最終濃度を有する。一部の実施形態では、T細胞は、FLT3Lを含有する培地中、第1の期間、インキュベート、誘導、又は刺激される。一部の実施形態では、T細胞は、加えて添加されたFLT3Lを含有する培地中、第2の期間、インキュベート、誘導、又は刺激される。一部の実施形態では、T細胞は、さらに添加されたFLT3Lを含有する培地中、第3の期間、インキュベート、誘導、又は刺激される。一部の実施形態では、T細胞は、さらに添加されたFLT3Lを含有する培地中、各期間内に、FLT3Lを、新たに添加される、第4、第5、又は第6の期間、インキュベート、誘導、又は刺激される。
抗原
[0300]本開示は、免疫原性抗原に特異的なT細胞を製造するための方法に関する。本開示はまた、APCにより刺激された抗原特異的T細胞を含む組成物にも関する。一部の実施形態では、1以上の抗原ペプチドはAPCへロードされ、次いで、ペプチドをロードされたAPCは、T細胞を刺激して、抗原特異的T細胞を作製するのに使用される。一部の実施形態では、抗原は、ネオ抗原である。一部の実施形態では、ペプチドローディングのために使用されるAPCは、樹状細胞である。
【0222】
[0301]一部の実施形態では、ペプチド配列は、対象の非がん細胞内に存在しない突然変異を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、対象のがん細胞の遺伝子又は発現遺伝子によりコードされる。一部の実施形態では、ペプチド配列は、少なくとも8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;40;50;60;70;80;90;100;150;200;250;300;350;400;450;500;600;700;800;900;1,000;1,500;2,000;2,500;3,000;4,000;5,000;7,500;若しくは10,000、又はこれを超える天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ペプチド配列は、クラスIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、8~12天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ペプチド配列は、クラスIIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、16~25天然アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ペプチド配列は、複数の抗原ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、複数の抗原ペプチド配列は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500の抗原ペプチド配列を含む。
【0223】
[0302]一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原は、ネオ抗原である。候補の免疫原性ネオ抗原配列は、当該技術分野で公知の、任意の適切な方法により同定されうる。本開示の方法は、例えば、対象の疾患に特異的な治療をもたらすか、又は疾患に対するワクチンを作製するのに有用でありうる。候補の免疫原性ネオ抗原は、既に同定されたネオ抗原でありうる。一部の実施形態では、候補の免疫原性ネオ抗原は、未だ同定されていない場合がある。本明細書で記載される方法及び組成物における使用のための、候補の免疫原性ネオ抗原は、対象に特異的でありうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法及び組成物における使用のための、候補のネオ抗原は、複数の対象に特異的でありうる。
【0224】
[0303]動物及びヒトのいずれにおいても、突然変異エピトープは、潜在的に、免疫応答の誘導又はT細胞の活性化において有効でありうる。1つの実施形態では、ウイルスなど、対象における感染作用物質の、潜在的に免疫原性のエピトープが決定されうる。1つの実施形態では、がんなどの疾患を伴う対象の、潜在的に免疫原性の突然変異エピトープが決定されうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の抗原又はネオ抗原は、腫瘍内、及びそれらの発生元である組織型の細胞内で発現される分化抗原でありうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の抗原又はネオ抗原は、別の分化組織内では発現されない、がん抗原/生殖細胞系列抗原でありうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の抗原又はネオ抗原は、突然変異抗原でありうる。例えば、本明細書で記載される方法における使用のための、候補の、免疫原性の抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、ミスセンスの点突然変異、又は遺伝子セグメントの、腫瘍特異的転座を介して作出される、融合タンパク質の抗原若しくはネオ抗原を含みうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の抗原又はネオ抗原は、過剰発現抗原でありうる。一部の実施形態では、潜在的に免疫原性の抗原又はネオ抗原は、腫瘍内で見出されうる。例えば、本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の抗原又はネオ抗原は、分化した正常組織の細胞内では、その発現が、厳密に調節されるタンパク質を含みうる。
【0225】
[0304]潜在的に免疫原性の突然変異エピトープは、次世代シーケンシング技術を使用する、がん患者に由来する、腫瘍組織及び健常組織に対する、ゲノムシーケンシング又はエクソームシーケンシングにより決定されうる。例えば、それらの突然変異の頻度、及び抗原又はネオ抗原として作用する能力に基づき選択される遺伝子は、次世代シーケンシング技術を使用してシーケンシングされうる。1つの実施形態では、シーケンシングデータは、対象のHLA分子に結合しうる、潜在的に免疫原性の突然変異ペプチドを同定するように解析されうる。1つの実施形態では、データは、コンピュータを使用して解析されうる。別の実施形態では、配列データは、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドの存在について解析されうる。1つの実施形態では、潜在的に免疫原性の抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、MHC分子に対する、それらの親和性により決定されうる。
【0226】
[0305]潜在的に免疫原性の抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、直接的なタンパク質シーケンシングにより決定されうる。例えば、多次元質量分析法(例えば、タンデム質量分析(MS/MS))を使用する、酵素タンパク質消化物に対する、タンパク質シーケンシングは、本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドを同定するのに使用されうる。
【0227】
[0306]未知のタンパク質に対する、デノボシーケンシングのためのハイスループット法は、潜在的に免疫原性の抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドを同定するのに使用されうる
。例えば、メタショットガンタンパク質シーケンシングなど、未知のタンパク質に対する、デノボシーケンシングのためのハイスループット法は、対象の腫瘍を解析して、潜在的に免疫原性の、発現されたネオ抗原を同定するのに使用されうる。
【0228】
[0307]潜在的に免疫原性の抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドはまた、抗原特異的T細胞応答を同定するのに、MHC多量体を使用しても同定されうる。例えば、患者試料中の、抗原特異的T細胞応答についてのハイスループット解析は、MHC4量体ベースのスクリーニング法を使用して実施されうる。4量体ベースのスクリーニング法は、潜在的に免疫原性の腫瘍特異的抗原の初期同定のために使用される場合もあり、代替的に、患者が、潜在的に免疫原性の、どの抗原へと、既に曝露されたのかについて評価し、これにより、本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の抗原の選択を容易にするための、2次的スクリーニングプロトコールとして使用される場合もある。
【0229】
[0308]一部の実施形態では、免疫細胞が、解析されるか、又は特徴づけられうる。例えば、本明細書で記載される組成物の免疫細胞が、解析されるか、又は特徴づけられうる。一部の実施形態では、方法は、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の1以上の細胞マーカーの発現を決定し;そして刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体への結合を決定する、ことを含むことが可能であり;ここで、発現の決定及び結合の決定は同時に実施される。一部の実施形態では、刺激された免疫細胞試料は、ペプチド-MHC複合体を含むAPCにより刺激された免疫細胞の集団である。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、生物学的試料に由来する。一部の実施形態では、方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、ペプチド-MHC複合体を含むAPCと共にインキュベートし、これにより、刺激された免疫細胞試料を得;刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の1以上の細胞マーカーの発現を決定し;そして刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体への結合を決定する、ことを含むことが可能であり;ここで、発現の決定及び結合の決定は同時に実施される。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーは、TNF-α、IFN-γ、LAMP-1、4-1BB、IL-2、IL-17A、グランザイムB、PD-1、CD25、CD69、TIM3、LAG3、CTLA-4、CD62L、CD45RA、CD45RO、FoxP3、又はこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーは、サイトカインを含む。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーは、脱顆粒マーカーを含む。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーは、細胞表面マーカーを含む。一部の実施形態では、1以上の細胞マーカーは、タンパク質を含む。一部の実施形態では、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体への結合を決定することは、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体のペプチド及びMHCを含むMHC4量体への結合の決定を含む。一部の実施形態では、MHCは、クラスI MHC又はクラスII MHCである。一部の実施形態では、ペプチド-MHC複合体は、1以上の標識を含む。一部の実施形態では、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団は、各々が、1以上の生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含む、2つ以上の試料を含む。一部の実施形態では、2つ以上の試料は、2つ以上の試料標識により標識される。一部の実施形態では、発現の決定、及び結合の決定は、蛍光活性化細胞分取(FACS)を含む。一部の実施形態では、発現の決定、及び結合の決定は、単一細胞解析を含む。一部の実施形態では、発現の決定及び結合の決定は、1以上の細胞マーカーを発現し、かつ、ペプチド-MHC複合体に結合する免疫細胞の百分率を決定することを含む。一部の実施形態では、標識は、フルオロフォアを含む。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、本明細書に記載の組成物の免疫細胞の集団を代表する免疫細胞の集団を含む。一部の実施形態では、TNF-α、IFN-γ、LAMP-1、4-1BB、IL-2、IL-17A、グランザイムB、PD-1、CD25、CD69、TIM3、LAG3、CTLA-4、CD62L、CD45RA、CD45RO、FoxP3、CD3、CD28、CD4、CD8、若しくは任意の組合せを発現し、かつ/又はCD14、CD19、CD16、CD25、若しくはこれらの任意の組合せを発現しない免疫細胞集団が、解析されるか、又は特徴づけられうる。例えば、方法は、TNF-α、IFN-γ、LAMP-1、4-1BB、IL-2、IL-17A、グランザイムB、PD-1、CD25、CD69、TIM3、LAG3、CTLA-4、CD62L、CD45RA、CD45RO、FoxP3、CD3、CD28、CD4、CD8、若しくは任意の組合せを発現し、かつ/又はCD14、CD19、CD16、CD25、若しくはこれらの任意の組合せを発現しないT細胞亜集団などの、特異的なT細胞亜集団を解析するか、又は特徴付けることを含みうる。例えば、方法は、CD14、CD25、CD19、CD16、又はこれらの任意の組合せを発現しない免疫細胞集団を解析するか、又は特徴付けることを含みうる。
【0230】
[0309]一部の実施形態では、免疫細胞集団内の、1以上の細胞マーカーの発現が決定されうる。例えば、方法は、TNF-α、IFN-γ、LAMP-1、4-1BB、IL-2、IL-17A、グランザイムB、PD-1、CD25、CD69、TIM3、LAG3、CTLA-4、CD62L、CD45RA、CD45RO、FoxP3、CD14、CD25、CD19、CD16、又はこれらの任意の組合せの発現を決定することを含みうる。例えば、方法は、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、ペプチド-MHC複合体を含むAPCと共にインキュベートし、これにより、刺激された免疫細胞試料を得;刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、TNF-α、IFN-γ、LAMP-1、4-1BB、IL-2、IL-17A、グランザイムB、PD-1、CD25、CD69、TIM3、LAG3、CTLA-4、CD62L、CD45RA、CD45RO、FoxP3、CD14、CD25、CD19、CD16、又はこれらの任意の組合せの発現を決定し;そして刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体への結合を決定する、ことを含むことが可能であり、発現の決定及び結合の決定は同時に実施される。
【0231】
[0310]本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、公知の抗原配列又はネオ抗原配列でありうる。例えば、本明細書で記載される方法における使用のための、潜在的に免疫原性の、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、抗原配列又はネオ抗原配列のデータベースに由来しうる。
【0232】
[0311]一部の態様では、本開示は、本明細書で記載される方法を使用して同定されるペプチド、又はペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、腫瘍特異的突然変異を伴うペプチド、ウイルスペプチド、又は非がん性疾患と関連するペプチド)を提示する。
【0233】
[0312]一部の実施形態では、光学法は、免疫原性抗原を選択又は同定するのに使用される。一部の実施形態では、バーコード化プローブは、免疫原性抗原を選択又は同定するのに使用される。一部の実施形態では、標的特異的領域を含むバーコード化プローブ、及びバーコード化領域は、免疫原性抗原を選択又は同定するのに使用される。一部の実施形態では、標的特異的領域は、標的ポリヌクレオチドの核酸配列とハイブリダイズするか、又はこれに対する、少なくとも約90%、95%、若しくは100%配列相補性を有する核酸配列を含む。
【0234】
[0313]一部の実施形態では、シーケンシング法は、免疫原性抗原を同定するのに使用される。任意の適切なシーケンシング法、例えば、次世代シーケンシング(NGS)技術が、本発明に従い使用されうる。将来的には、第3世代シーケンシング法が、NGS技術に取って代わって、方法のシーケンシングステップを加速しうるであろう。明確さを目的として、本発明の文脈における、「次世代シーケンシング」又は「NGS」という用語は、サンガー化学反応として公知の、「従来型」シーケンシング法と異なり、全ゲノムを、小片へと分割することにより、核酸鋳型を、全ゲノムに沿って、ランダムに、並列的に読み取る、全てのハイスループットシーケンシング技術を意味する。このようなNGS技術(超並列シーケンシング技術としてもまた公知である)は、全ゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム(ゲノムの、全ての転写された配列)、又はメチローム(ゲノムの、全てのメチル化配列)についての核酸配列情報を、極めて短期間、例えば、1~2週間以内、例えば、1~7日間以内、又は24時間未満以内に配信することが可能であり、原則として、単一細胞シーケンシング法を可能とする。本発明の文脈では、市販されているか、又は文献において言及されている、複数のNGSプラットフォーム、例えば、WO2012/159643において、詳細に記載されているNGSプラットフォームが使用されうる。
【0235】
[0314]ある特定の実施形態では、抗原ペプチド若しくはネオ抗原ペプチド、又はこれらのエピトープは、約5つ、約6つ、約7つ、約8つ、約9つ、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、又はこれを超えるアミノ酸残基、及びこの中で導出可能な任意の範囲を含みうるがこれらに限定されない。具体的な実施形態では、免疫原性抗原又はこのエピトープは、100アミノ酸以下である。
【0236】
[0315]一部の実施形態では、MHCクラスIについて、抗原ペプチド若しくはネオ抗原ペプチド又はこれらのエピトープは、13残基以下の長さであり、通常、約8~約11残基、特に、9又は10残基から成る。一部の実施形態では、MHCクラスIIについて、免疫原性抗原ペプチド若しくはネオ抗原ペプチド、又はこれらのエピトープは、9~24残基の長さである。
【0237】
[0316]長鎖の免疫原性ペプチドは、いくつかの形でデザインされうる。一部の実施形態では、HLA結合性ペプチドが予測されるか、又は既知である場合、長鎖の免疫原性ペプチドは、(1)各対応する遺伝子産物のN末端及びC末端に対して、2~5アミノ酸の伸長部を伴う、個別の結合性ペプチド;又は(2)各々について、伸長配列を伴う結合性ペプチドの一部若しくは全部のコンカテネーションから成りうるであろう。他の実施形態では、シーケンシングが、長鎖(>10残基)のエピトープ配列、例えば、腫瘍内に存在するネオエピトープ(例えば、新規のペプチド配列をもたらす、フレームシフト、リードスルー、又はイントロンインクルージョンに起因する)を明らかにする場合、長鎖ネオ抗原ペプチドは、単一の長鎖ペプチド、又はいくつかの重複する長鎖ペプチドとしての、新規の腫瘍特異的アミノ酸の連なりの全体から成りうるであろう。一部の実施形態では、長鎖ペプチドの使用は、患者細胞による内因性プロセシングを可能とし、より有効な抗原提示及びT細胞応答の誘導をもたらすことが仮定される。一部の実施形態では、重複し、長鎖ネオ抗原ペプチドにわたり並べられる2つ以上のペプチドが使用されうる。
【0238】
[0317]一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、HLAタンパク質(例えば、HLAクラスI又はHLAクラスII)に結合する。具体的な実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、HLAタンパク質に、対応する野生型ペプチドより大きな親和性で結合する。具体的な実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、少なくとも5000nM未満、少なくとも500nM未満、少なくとも100nM未満、少なくとも50nM未満のIC50又はKDを有する。
【0239】
[0318]一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、約8~約50アミノ酸残基の長さ、又は約8~約30、約8~約20、約8~約18、約8~約15、若しくは約8~約12アミノ酸残基の長さでありうる。一部の実施形態では、抗原ペプチド又
はネオ抗原ペプチドは、約8~約500アミノ酸残基の長さ、又は約8~約450、約8~約400、約8~約350、約8~約300、約8~約250、約8~約200、約8~約150、約8~約100、約8~約50、若しくは約8~約30アミノ酸残基の長さでありうる。
【0240】
[0319]一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、又はこれを超えるアミノ酸残基の長さでありうる。一部の実施形態では、ネオ抗原ペプチドは、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、又はこれを超えるアミノ酸残基の長さでありうる。一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、最大で8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、又はこれ未満のアミノ酸残基の長さでありうる。一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、最大で8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、又はこれ未満のアミノ酸残基の長さでありうる。
【0241】
[0320]一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、又は少なくとも500アミノ酸の全長を有する。
【0242】
[0321]一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、最大で8、最大で9、最大で10、最大で11、最大で12、最大で13、最大で14、最大で15、最大で16、最大で17、最大で18、最大で19、最大で20、最大で21、最大で22、最大で23、最大で24、最大で25、最大で26、最大で27、最大で28、最大で29、最大で30、最大で40、最大で50、最大で60、最大で70、最大で80、最大で90、最大で100、最大で150、最大で200、最大で250、最大で300、最大で350、最大で400、最大で450、又は最大で500アミノ酸の全長を有する。
【0243】
[0322]一部の実施形態では、ネオ抗原ペプチドは、約0.5~約12、約2~約10、又は約4~約8のpI値を有しうる。一部の実施形態では、ネオ抗原ペプチドは、少なくとも4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又はこれを超えるpI値を有しうる。一部の実施形態では、ネオ抗原ペプチドは、最大で4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又はこれ未満のpI値を有しうる。
【0244】
[0323]一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、約1pM~約1mM、約100pM~約500μM、約500pM~約10μM、約1nM~約1μM、又は約10nM~約1μMの、HLAへの結合親和性を有しうる。一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、700、800、900μM、又はこれを超える、HLAへの結合親和性を有しうる。一部の実施形態では、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、700、800、900μMの、HLAへの結合親和性を有しうる。
【0245】
[0324]一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、例えば、サイログロブリン、アルブミンなど、ヒト血清アルブミン、破傷風毒素、ポリL-リシン、ポリL-グルタミン酸などのポリアミノ酸残基、インフルエンザウイルスタンパク質、B型肝炎ウイルスコアタンパク質など、当該技術分野で周知のキャリアなどのキャリアを含みうる。
【0246】
[0325]一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、末端NH2のアシル化、例えば、アルカノイル(C1~C20)又はチオグリコリルのアセチル化、末端カルボキシルのアミド化、例えば、アンモニア、メチルアミンなどにより修飾されうる。一部の実施形態では、これらの修飾は、支持体又は他の分子への連結のための部位をもたらしうる。
【0247】
[0326]一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、グリコシル化、側鎖の酸化、ビオチン化、リン酸化、表面活性材料、例えば、脂質の付加などであるがこれらに限定されない修飾を含有する場合もあり、化学修飾される、例えば、アセチル化などがなされる場合もある。さらに、ペプチド内の結合は、ペプチド結合以外、例えば、共有結合、エステル結合又はエーテル結合、ジスルフィド結合、水素結合、イオン結合などでありうる。
【0248】
[0327]一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、結果として得られるペプチドの物理的特性(例えば、安定性又は可溶性)を修飾する置換を含有しうる。例えば、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、システイン(C)の、α-アミノ酪酸(「B」)による置換を介して修飾されうる。その化学的性質のために、システインは、ジスルフィド架橋を形成し、ペプチドを、結合能を低減するように、十分に構造的に変更する傾向を有する。α-アミノ酪酸によるCの置換は、この問題を緩和するだけでなく、ある特定の場合には、結合能及び交差結合能を、実際に改善する。α-アミノ酪酸によるシステインの置換は、抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドの、任意の残基において、例えば、ペプチド内のエピトープ若しくは類似体のアンカー位置若しくは非アンカー位置において、又はペプチドの他の位置において生じうる。
【0249】
[0328]一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、アミノ酸模倣体又は非天然アミノ酸残基、例えば、D-ナフチルアラニン又はL-ナフチルアラニン;D-フェニルグリシン又はL-フェニルグリシン;D-2-チエネイルアラニン又はL-2-チエネイルアラニン;D-1、2、3、若しくは4-ピレネイルアラニン又はL-1、2、3、若しくは4-ピレネイルアラニン;D-3-チエネイルアラニン又はL-3-チエネイルアラニン;D-(2-ピリジニル)-アラニン又はL-(2
-ピリジニル)-アラニン;D-(3-ピリジニル)-アラニン又はL-(3-ピリジニル)-アラニン;D-(2-ピラジニル)-アラニン又はL-(2-ピラジニル)-アラニン;D-(4-イソプロピル)-フェニルグリシン又はL-(4-イソプロピル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロ-メチル)-フェニルアラニン;D-ρ-フルオロフェニルアラニン;D-ρ-ビフェニル-フェニルアラニン又はL-ρ-ビフェニル-フェニルアラニン;D-ρ-メトキシビフェニルフェニルアラニン又はL-ρ-メトキシビフェニルフェニルアラニン;D-2-インドール(アリル)アラニン又はL-2-インドール(アリル)アラニン;及びD-アルキルアラニン又はL-アルキルアラニンを含むことが可能であり、この場合、アルキル基は、置換又は非置換の、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-イソチル、イソペンチル、又は非酸性アミノ酸残基でありうる。非天然アミノ酸の芳香環は、例えば、チアゾイル、チオフェニル、ピラゾイル、ベンズイミダゾイル、ナフチル、フラニル、ピロリル、及びピリジルの芳香環を含む。多様なアミノ酸模倣体又は非天然アミノ酸残基を有する修飾ペプチドは、in vivoにおいて、安定性の増大を顕示する傾向があるので、特に有用である。このようなペプチドはまた、保管寿命又は製造特性の改善も有しうる。
【0250】
[0329]ペプチドの安定性は、多数の方式でアッセイされうる。例えば、ペプチダーゼ、並びにヒト血漿及びヒト血清など、多様な生物学的培地が、安定性を調べるのに使用されている。例えば、Verhoefら、Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinetics、11:291(1986)を参照されたい。本明細書で記載されるペプチドの半減期は、25%ヒト血清(v/v)アッセイを使用して、簡便に決定される。プロトコールは、以下の通りである:プールされたヒト血清(AB型、非加熱不活化させた)を、使用の前に、遠心分離により脱脂する。次いで、血清を、RPMI-1640又は別の適切な組織培養培地で、25%へと希釈する。所定の時間間隔で、小量の反応溶液を除去し、6%の水性トリクロロ酢酸(TCA)又はエタノールへと添加する。混濁した反応試料を、15分間冷却(4℃)し、次いで、スピニングして、沈殿した血清タンパク質をペレット化させる。次いで、安定性特異的クロマトグラフィー条件を使用して、逆相HPLCにより、ペプチドの存在を決定する。
【0251】
[0330]一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、溶液形態の場合もあり、凍結乾燥形態の場合もあり、結晶形態の場合もある。
[0331]一部の実施形態では、本明細書で記載される抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、合成により、組換えDNA技術により、又は化学合成により調製される場合もあり、天然腫瘍又は病原性生物など、天然供給源から単離される場合もある。エピトープは、個別に合成される場合もあり、ペプチド内で、直接的に、又は間接的に接続される場合もある。本明細書で記載される抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、他の天然に存在する宿主細胞タンパク質、及びこれらの断片を実質的に含有しないが、一部の実施形態では、ペプチドは、天然の断片又は粒子へと接続されるように、合成によりコンジュゲートされうる。
【0252】
[0332]一部の実施形態では、ペプチドは、従来の技法に従い、溶液中又は固体支持体上で合成されうる。多様な自動式合成器が市販されており、公知のプロトコールに従い使用されうる(例えば、Stewart及びYoung、「Solid Phase Peptide Synthesis」、2版、Pierce Chemical Co.、1984を参照されたい)。さらに、個別のペプチドは、やはり本発明の範囲内にある、大型のペプチドをもたらすように、化学的ライゲーションを使用して接続されうる。
【0253】
[0333]代替的に、ペプチドをコードするヌクレオチド配列が、発現ベクターへと挿入され、適切な宿主細胞へと、形質転換又はトランスフェクトされ、発現に適する条件下で培
養される、組換えDNA技術も用いられうる。当該技術分野では、これらの手順は、Sambrookら、「Molecular Cloning」、Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)において一般に記載されている通り、一般に公知である。したがって、本明細書で記載される、1以上のエピトープを含むか、又はこれらから成る組換えペプチドは、適切なT細胞エピトープを提示するのに使用されうる。
【0254】
[0334]1つの態様では、本明細書で記載される本開示はまた、1つであるか、少なくとも2つであるか、又は2つを超える抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドを含む組成物も提示する。一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物は、少なくとも2つの、顕著に異なるペプチドを含有する。一部の実施形態では、少なくとも2つの、顕著に異なるペプチドは、同じポリペプチドに由来する。顕著に異なるポリペプチドとは、ペプチドが、長さ、アミノ酸配列、又はこれらの両方により変動することを意味する。ペプチドは、腫瘍特異的突然変異を含有することが公知であるか、又は見出されている、任意のポリペプチドに由来する。一部の実施形態では、単離された抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドは、天然ペプチドのアミノ酸置換を結果としてもたらす、点突然変異を伴う遺伝子によりコードされる。
医薬組成物
[0335]医薬組成物は、活性薬剤の、薬学的に使用されうる調製物への加工を容易とする、賦形剤及び補助剤を含む、1以上の生理学的に許容される担体を使用して製剤化されうる。適正な製剤は、選び出された投与経路に依存しうる。周知の技法、キャリア、及び賦形剤のうちのいずれかは、適宜、かつ、当該技術分野で理解される通りに使用されうる。
【0255】
[0336]場合によって、医薬組成物は、細胞ベースの治療剤、例えば、T細胞療法剤として製剤化される。一部の実施形態では、医薬組成物は、ペプチドベースの治療、核酸ベースの治療、抗体ベースの治療、及び/又は細胞ベースの治療を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、ペプチドベースの治療剤、又は核酸がポリペプチドをコードする、核酸ベースの治療剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、抗体ベースの治療剤を含む。組成物は、2つ以上の免疫原性の抗原ペプチド又はネオ抗原ペプチドに特異的なT細胞を含みうる。
【0256】
[0337]医薬組成物は、有効成分に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定化剤、又は当業者に周知の他の材料を含みうる。このような材料は、非毒性であるべきであり、有効成分の有効性に干渉するべきではない。担体又は他の材料の正確な性質は、投与経路に依存するであろう。
【0257】
[0338]許容可能な担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる投与量及び濃度で、レシピエントに非毒性の担体、賦形剤、又は安定化剤であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール又はベンジルアルコール;メチルパラベン又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルチノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含む、他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの、非イオン性界面活性剤を含む。
【0258】
[0339]許容可能な担体は、投与される患者に、生理学的に許容され、許容可能な担体が投与される化合物の治療的特性を保持する。許容可能な担体及びそれらの製剤については、一般に、例えば、「Remington’ Pharmaceutical Sciences」(18版、A.Gennaro、Mack Publishing Co.、Easton、PA 1990)において記載されている。担体の1つの例は、生理食塩液である。薬学的に許容される担体とは、対象化合物を、投与部位体内の1つの臓器若しくは部分から、体内の別の臓器若しくは部分へと運ぶか、若しくは輸送することに関与するか、又はin vitroのアッセイ系における、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、又は封入材料など、薬学的に許容される材料、組成物、又は媒体である。許容可能な担体は、製剤の他の成分と適合性であり、投与される対象に対して傷害性ではない。また、許容可能な担体は、ネオ抗原の特異的活性を変更すべきでもない。
【0259】
[0340]本明細書の1つの態様では、医薬の投与と適合性の、溶媒(水性又は非水性)、溶液、エマルジョン、分散培、コーティング、等張剤、吸収促進剤、又は吸収遅延剤を含む、薬学的に許容されるか、又は生理学的に許容される組成物が提示される。したがって、医薬組成物又は医薬製剤とは、対象における医薬の使用に適する組成物を指す。組成物は、特定の投与経路(すなわち、全身経路又は局所経路)と適合性であるように製剤化されうる。したがって、組成物は、多様な経路による投与に適する、担体、希釈剤、又は賦形剤を含む。
【0260】
[0341]一部の実施形態では、組成物は、組成物中の免疫細胞の安定性を改善するための、許容可能な添加剤をさらに含みうる。許容可能な添加剤は、免疫細胞の特異的活性を変更しえない。許容可能な添加剤の例は、マンニトール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、トレハロース、ソルボース、スクロース、ガラクトース、デキストラン、デキストロース、果糖、ラクトース、及びこれらの混合物などの糖を含むがこれらに限定されない。許容可能な添加剤は、デキストロースなど、許容可能な担体及び/又は賦形剤と組み合わされうる。代替的に、許容可能な添加剤の例は、ペプチドの安定性を増大させ、溶液のゲル化を減少させる、ポリソルベート20又はポリソルベート80などの界面活性剤を含むがこれらに限定されない。界面活性剤は、溶液のうちの0.01%~5%の量で、組成物へと添加されうる。このような許容可能な添加剤の添加は、保管における、組成物の安定性及び半減期を増大させる。
【0261】
[0342]医薬組成物は、例えば、注射により投与されうる。注射用の組成物は、水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び滅菌注射用溶液又は滅菌注射用分散液を即席で調製するための滅菌粉末を含む。静脈内投与のために、適切な担体は、生理食塩液、静菌水、又はリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を含む。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの適切な混合物を含有する、溶媒又は分散培でありうる。流体性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合には、要求される粒子サイズを維持することにより、かつ、界面活性剤を使用することにより維持されうる。抗菌剤及び抗真菌剤は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、及びチメロサールを含む。等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、及び塩化ナトリウムは、組成物中に含まれうる。結果として得られる溶液は、そのままの使用のためにパッケージングされる場合もあり、凍結乾燥される場合もあり;凍結乾燥された調製物は、その後、投与の前に、滅菌溶液と組み合わされうる。静脈内注射、又は罹患部位における注射のために、有効成分は、発熱物質非含有であり、適切なpH、等張性、及び安定性を有する、非経口的に許容可能な水性溶液の形態となろう。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液などの等張性媒体を使用して、適切な溶液を調製することが十分に可能である。保存剤、安定化剤、緩衝液、抗酸化剤、及び/又は他の添加剤は、必要に応じて含まれうる。滅菌注射用溶液は、有効成分を、適切な溶媒中に、要求に応じて、上記で列挙された成分の1つ又は組合せと共に、要求された量で組み込むことに続き、濾過滅菌を行うことにより調製されうる。一般に、分散液は、有効成分を、基礎分散培、及び上記で列挙された成分に由来する、要求される他の成分を含有する滅菌媒体へと組み込むことにより調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、既に滅菌濾過されたこの溶液に由来する、有効成分に、任意のさらなる所望の成分を加えた粉末をもたらす、真空乾燥及び凍結乾燥でありうる。
【0262】
[0343]組成物は、例えば、単位用量の注射によるなど、従来式に静脈内投与されうる。注射のために、有効成分は、実質的に発熱物質非含有であり、適切なpH、等張性、及び安定性を有する、非経口的に許容可能な水性溶液の形態でありうる。例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液などの等張性媒体を使用して、適切な溶液を調製することができる。保存剤、安定化剤、緩衝液、抗酸化剤、及び/又は他の添加剤は、要求に応じて含まれうる。加えて、組成物は、エアゾール化を介して投与されうる。
【0263】
[0344]組成物が、医薬又は本明細書で提示される方法のうちのいずれかにおける使用のために検討される場合、組成物は、組成物が、ヒト患者へと投与される場合に、炎症性反応又は安全でないアレルギー反応を引き起こさないように、発熱物質を、実質的に含有しない場合があることが想定される。当業者には、組成物を、発熱物質について検査し、発熱物質を実質的に含有しない組成物を調製することが十分に理解されており、市販のキットを使用して達せられうる。
【0264】
[0345]許容可能な担体は、吸収を安定化、増大、若しくは遅延させるか、又はクリアランスを増大若しくは遅延させる化合物を含有しうる。このような化合物は、例えば、グルコース、スクロース、若しくはデキストランなどの炭水化物;低分子的重量タンパク質;ペプチドのクリアランス若しくは加水分解を低減する組成物;又は賦形剤若しくは他の安定化剤及び/若しくは緩衝液を含む。吸収を遅延させる薬剤は、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含む。デタージェントもまた、リポソーム性担体を含む医薬組成物の吸収を、安定化又は増大又は減少させるのに使用されうる。消化から保護するために、化合物を、酸及び酵素による加水分解に対してそれを耐性とする組成物と複合体化させる場合もあり、リポソームなど、適切に耐性の担体内に複合体化させる場合もある。当該技術分野では、化合物を、消化から保護する手段が公知である(例えば、Fix(1996)、Pharm Res.、13:17601764;Samanen(1996)、J.Pharm.Pharmacol.、48:119135;及び米国特許第5,391,377号)。
【0265】
[0346]組成物は、剤形(dosage formulation)と適合性の方式の、治療有効量で投与されうる。投与される数量は、処置される対象、対象の免疫系が有効成分を利用する能力、及び所望される結合能の程度に依存する。投与されることが要求される有効成分の正確な量は、医療従事者の判断に依存し、各個体に特有である。初期投与及び追加投与に適するレジメもまた、可変的であるが、初期投与に続く、その後の注射又は他の投与による、1時間又は複数時間間隔の反復投与を典型とする。代替的に、血中濃度を維持するのに十分な、連続的静脈内注入も想定される。
【0266】
[0347]一部の実施形態では、本発明は、免疫原性組成物、例えば、ネオ抗原特異的応答(例えば、体液性又は細胞媒介性免疫応答)を惹起することが可能な医薬組成物を対象とする。一部の実施形態では、免疫原性組成物は、腫瘍特異的抗原又は腫瘍特異的ネオ抗原
に対応する、本明細書で記載されるネオ抗原治療剤(例えば、ペプチド、ポリヌクレオチド、TCR、CAR、TCR又はCARを含有する細胞、ポリペプチドを含有する樹状細胞、ポリヌクレオチドを含有する樹状細胞、抗体など)を含む。
【0267】
[0348]一部の実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答、特異的ヘルパーT細胞応答、又はB細胞応答を惹起することが可能である。
[0349]一部の実施形態では、抗原のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、このようなポリペプチド又はポリヌクレオチドを含有する抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)として提示されうる。他の実施形態では、このような抗原提示細胞は、患者における使用のためのT細胞を刺激するのに使用される。一部の実施形態では、抗原提示細胞は、樹状細胞である。関連する実施形態では、樹状細胞は、ネオ抗原のペプチド又は核酸によりパルスされた、自家樹状細胞である。ネオ抗原ペプチドは、適切なT細胞応答をもたらす、任意の適切なペプチドでありうる。一部の実施形態では、T細胞は、CTLである。一部の実施形態では、T細胞は、HTLである。したがって、本開示の1つの実施形態は、本明細書で記載される、1以上のネオ抗原のポリペプチド又はポリヌクレオチドでパルスされるか、又はこれらをロードされた、少なくとも1つの抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)を含有する免疫原性組成物である。一部の実施形態では、このようなAPCは、自家(例えば、自家樹状細胞)である。代替的に、患者から単離された末梢血単核細胞(PBMC)は、ex vivoにおいて、ネオ抗原のペプチド又はポリヌクレオチドをロードされうる。関連する実施形態では、このようなAPC又はPBMCは、患者へと、注入し戻される。ポリヌクレオチドは、樹状細胞への形質導入を生じることが可能であり、これにより、ネオ抗原ペプチドの提示、及び免疫の誘導を結果としてもたらす、任意の適切なポリヌクレオチドでありうる。一部の実施形態では、このような抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞)又は末梢血単核細胞(PBMC)は、T細胞(例えば、自家T細胞)を刺激するのに使用される。関連する実施形態では、T細胞は、CTLである。他の関連する実施形態では、T細胞は、HTLである。一部の実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞である。次いで、このようなT細胞は、患者へと注入される。一部の実施形態では、CTLは、患者へと注入される。一部の実施形態では、HTLは、患者へと注入される。一部の実施形態では、CTL及びHTLのいずれも、患者へと注入される。いずれかの治療剤の投与は、同時に実施される場合もあり、任意の順序で、逐次的に実施される場合もある。
【0268】
[0350]一部の実施形態では、治療的処置のための、本明細書で記載される医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、非経口投与、外用投与、経鼻投与、経口投与、又は局所投与のために製剤化されうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮下投与、皮内投与、又は筋内投与される。一部の実施形態では、組成物は、腫瘍内投与されうる。組成物は、腫瘍に対する局所免疫応答を誘導するように、手術による切開部位に投与されうる。本明細書の一部の実施形態では、ネオ抗原ペプチドの溶液を含む、非経口投与の組成物について記載されるが、免疫原性組成物は、許容可能な担体中、例えば、水性担体中に、溶解又は懸濁される。例えば、水、緩衝水、0.9%の生理食塩液、0.3%のグリシン、ヒアルロン酸など、様々な水性担体が使用されうる。これらの組成物は、従来型の、周知の滅菌法により滅菌される場合もあり、滅菌濾過される場合もある。結果として得られる水溶液は、そのままの使用のためにパッケージングされる場合もあり、凍結乾燥される場合もあり;凍結乾燥された調製物は、その後、投与の前に、滅菌溶液と組み合わされうる。組成物は、要求に応じて、pHを調整/緩衝剤、等張性調整剤、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンなどの保湿剤などなど、生理学的状態を近似する、薬学的に許容される補助物質を含有しうる。
【0269】
[0351]アジュバントが、抗原に対する免疫応答を増大させる能力は、免疫媒介性反応の著明な増大、又は疾患症状の軽減により、典型的に顕示される。例えば、液性免疫の増大は、抗原に対して惹起される抗体の力価の著明な増大により顕示される場合があり、T細胞活性の増大は、細胞増殖、又は細胞性細胞傷害作用、又はサイトカイン分泌の増大により顕示されうる。アジュバントはまた、例えば、主に、体液性応答又はTヘルパー2応答を、主に、細胞性応答又はTヘルパー1応答へと変化させることによっても免疫応答を変更しうる。
【0270】
[0352]当該技術分野では、適切なアジュバントが公知であり(WO2015/095811を参照されたい)、poly(I:C)、poly-ICLC、STINGアゴニスト、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFactIMP321、ISPatch、ISS、ISCOMATRIX、JuvImmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS1312、Montanide ISA206、Montanide ISA50V、Montanide ISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTel(登録商標)ベクターシステム、PLGマイクロ粒子、レシキモド、SRL172、ウィロソーム及び他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGF trap、R848、β-グルカン、Pam3Cys、Pam3CSK4、サポニン、マイコバクテリア抽出物、及び合成の細菌細胞壁模倣体に由来する、Aquila製のQS21スチムロン(Aquila Biotech、米国マサチューセッツ州ウースター)、並びにRibi製のDetox.Quil又はSuperfosなど、他の特許権のあるアジュバントを含むがこれらに限定されない。樹状細胞に特異的な、いくつかの免疫学的アジュバント(例えば、MF59)、及びそれらの調製について記載されている(Dupuis Mら、Cell Immunol.、1998;186(1):18~27;Allison A C、Dev Biol Stand.、1998;92:3~11)(Moscaら、Frontiers in Bioscience、2007;12:4050~4060)(Gamvrellisら、Immunol & Cell Biol.、2004;82:506~516)。サイトカインもまた、使用することができる。いくつかのサイトカインは、樹状細胞の、リンパ系組織への遊走に影響を及ぼすこと(例えば、TNF-α)、樹状細胞の、Tリンパ球に対する効率的な抗原提示細胞への成熟を加速化させること(例えば、GM-CSF、PGE1、PGE2、IL-1、IL-1β、IL-4、IL-6、及びCD40L)(参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第5,849,589号)、及び免疫アジュバントとして作用すること(例えば、IL-12)(Gabrilovich DIら、J Immunother Emphasis Tumor Immunol.、1996(6):414~418)と直接連関している。
【0271】
[0353]CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドもまた、治療状況において、アジュバントの効果を増強することが報告されている。理論により束縛されることを望まずに述べると、CpGオリゴヌクレオチドは、Toll様受容体(TLR)、主に、TLR9を介して、生得(非獲得)免疫系を活性化させることにより作用する。CpGにより誘発されたTLR9の活性化は、ペプチド又はタンパク質抗原、生存ウイルス又は死滅ウイルス、樹状細胞性免疫原性医薬組成物、自家細胞性免疫原性医薬組成物、並びに予防的免疫原性医薬組成物及び治療的免疫原性医薬組成物の両方における多糖コンジュゲートを含む、多種多様な抗原に対する、抗原特異的な体液性応答及び細胞性応答を増強する。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、樹状細胞の成熟及び分化を増強する結果として、CD4+T細胞による支援の非存在下であってもなお、TH1細胞の活性化、及び強力な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の発生の増強をもたらすことが重要である。TLR9刺激により誘導されるTH1バイアスは、通常、TH2バイアスを促進する、アラム又は不完全フロイントアジュバント(IFA)などのアジュバントの存在下であってもなお維持される。CpGオリゴヌクレオチドは、他のアジュバントと共に、又はマイクロ粒子、ナノ粒子、脂質エマルジョンなどの製剤中、若しくはとりわけ、抗原が、比較的弱い場合に、強力な応答を誘導するために有用な、同様の製剤中で、製剤化又は共投与される場合に、なおより大きなアジュバント活性を示す。CpGオリゴヌクレオチドはまた、免疫応答を加速化させることも可能であり、一部の実験では、CpGを伴わない、全用量の免疫原性医薬組成物と同等な抗体応答をもたらしながら、抗原用量が低減されることを可能とした(Arthur M.Krieg、Nature Reviews、Drug Discovery、2006年6月5日、471~484)。米国特許第6,406,705号は、抗原特異的免疫応答を誘導する、CpGオリゴヌクレオチド、非核酸アジュバント、及び抗原の組合せ使用について記載する。市販のCpG TLR9アンタゴニストは、本明細書で記載される医薬組成物の成分である、Mologen(ドイツ、ベルリン)製のdSLIM(double Stem Loop Immunomodulator)である。RNA結合性のTLR7、TLR8、及び/又はTLR9など、他のTLR結合分子もまた、使用されうる。
【0272】
[0354]有用なアジュバントの他の例は、治療的に作用する場合もあり、かつ/又はアジュバントとして作用する場合もある、シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、セレブレクス、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフェニブ、XL-999、CP-547632、パゾパニブ、ZD2171、AZD2171、イピリムマブ、トレメリムマブ、及びSC58175など、化学修飾されたCpG(例えば、CpR、Idera)、poly(I:C)(例えば、polyI:CI2U)、非CpG細菌性DNA又は非CpG細菌性RNA、TLR8に対するssRNA40のほか、免疫作用性小分子、及び抗体を含むがこれらに限定されない。本発明の文脈で有用な、アジュバント及び添加剤の、量及び濃度は、不要な実験を伴わずに、当業者により、たやすく決定されうる。さらなるアジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー因子(GM-CSF、サルグラモスチム)などのコロニー刺激因子を含む。
【0273】
[0355]一部の実施形態では、本開示に従う免疫原性組成物は、1つを超える、異なるアジュバントを含みうる。さらに、本発明は、上記のうちのいずれか又はこれらの組合せを含む、任意のアジュバント物質を含む医薬組成物を包含する。一部の実施形態では、免疫原性組成物は、ネオ抗原治療剤(例えば、ペプチド、ポリヌクレオチド、TCR、CAR、TCR又はCARを含有する細胞、ポリペプチドを含有する樹状細胞、ポリヌクレオチドを含有する樹状細胞、抗体など)を含み、アジュバントは、個別に、任意の適切な順序で投与されうる。
【0274】
[0356]脂質化は、N-ミリストイル化、パルミトイル化、GPIアンカー付加、プレニル化、及びいくつかのさらなる種類の改変など、いくつかの異なる種類へと分類されうる。N-ミリストイル化とは、C14飽和酸であるミリスチン酸の、グリシン残基への共有結合的接合である。パルミトイル化とは、長鎖脂肪酸(C16)の、システイン残基へのチオエステル連結である。GPIアンカー付加とは、アミド結合を介する、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)連結である。プレニル化とは、イソプレノイド脂質(例えば、ファルネシル(C15)、ゲラニルゲラニル(C20))の、システイン残基へのチオエーテル連結である。さらなる種類の改変は、システインの硫黄原子による、S-ジアシルグリセロールの接合、セリン残基又はトレオニン残基を介するO-オクタノイルコンジュゲーション、システイン残基へのS-アルケオールコンジュゲーション、及びコレステロール接合を含みうる。
【0275】
[0357]脂質化ペプチドを作出するための脂肪酸は、C2~C30飽和脂肪酸アシル基、モノ不飽和脂肪酸アシル基、又はポリ不飽和脂肪酸アシル基を含みうる。例示的な脂肪酸は、パルミトイル基、ミリストイル基、ステアロイル基、及びデカノイル基を含みうる。
一部の場合に、アジュバント特性を有する脂質部分は、外因性アジュバントの非存在下で、免疫原性を誘発又は増強するように、目的のポリペプチドへと接合される。脂質化ペプチド又はリポペプチドは、自己アジュバントリポペプチドと称されうる。上記及び本明細書の別の箇所に記載された脂肪酸のうちのいずれかは、目的のポリペプチドの免疫原性を誘発又は増強しうる。免疫原性を誘発又は増強しうる脂肪酸は、パルミトイル基、ミリストイル基、ステアロイル基、ラウロイル基、オクタノイル基、及びデカノイル基を含みうる。
【0276】
[0358]ネイキッドペプチド又は脂質化ペプチドなどのポリペプチドは、リポソームへと組み込まれうる。場合によって、脂質化ペプチドは、リポソームへと組み込まれうる。例えば、脂質化ペプチドの脂質部分は、リポソームの脂質2重層へと自発的に組み込まれうる。したがって、リポペプチドは、リポソームの「表面」上に提示されうる。製剤中の組込みに適する、例示的なリポソームは、マルチラメラベシクル(MLV)、オリゴラメラベシクル(OLV)、ユニラメラベシクル(UV)、小型ユニラメラベシクル(SUV)、中型サイズユニラメラベシクル(MUV)、大型ユニラメラベシクル(LUV)、超大型ユニラメラベシクル(GUV)、多胞ベシクル(MVV)、逆相蒸発法(REV)により作られる、単一ベシクル又はオリゴラメラベシクル、逆相蒸発法により作られる、マルチラメラベシクル(MLV-REV)、安定型プルリラメラベシクル(SPLV)、凍結融解MLV(FATMLV)、押出し法により調製されるベシクル(VET)、フレンチプレスにより調製されるベシクル(FPV)、融合により調製されるベシクル(FUV)、脱水-再水和ベシクル(DRV)、及び気泡性ベシクル(BSV)を含むがこれらに限定されない。
【0277】
[0359]調製法に応じて、リポソームは、ユニラメラの場合もあり、マルチラメラの場合もあり、約0.02μm~約10μmを超える範囲の直径で、サイズが変動しうる。リポソームは、多くの種類の細胞に吸着し、次いで、組み込まれた薬剤(例えば、本明細書で記載されるペプチド)を放出しうる。場合によって、リポソームは、標的細胞と融合し、次いで、これにより、リポソームの内容物を、標的細胞へと空ける。リポソームは、食作用性である細胞によりエンドサイトーシスされうる。エンドサイトーシスに続き、リポソーム性脂質の、リポソーム内分解、及び封入された薬剤の放出がなされうる。
【0278】
[0360]本明細書で提示されるリポソームはまた、担体脂質も含みうる。一部の実施形態では、担体脂質は、リン脂質である。リポソームを形成することが可能な担体脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ホスファチジルコリン(PC;レシチン)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)を含むがこれらに限定されない。他の適切なリン脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA);ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)など、又はこれらの組合せをさらに含む。一部の実施形態では、リポソームは、リポソームの形成をモジュレートするステロール(例えば、コレステロール)をさらに含む。担体脂質は、任意の公知の非リン酸極性脂質でありうる。
【0279】
[0361]医薬組成物は、周知の技術を使用して、リポソーム内に封入されうる。生体分解
性マイクロスフェアもまた、本発明の医薬組成物のための担体として用いられうる。
[0362]医薬組成物は、リポソーム又はマイクロスフェア(又はマイクロ粒子)により投与されうる。患者への投与のためのリポソーム及びマイクロスフェアを調製するための方法は、当業者に周知である。本質的に、材料は、水溶液中に溶解させ、要求される場合、界面活性剤と共に、適切なリン脂質及び脂質を添加され、必要に応じて、材料は、透析又は超音波処理する。
【0280】
[0363]当業者には、ポリマー又はタンパク質から形成されたマイクロスフェアが周知であり、消化管を介する、血流への、直接の通過のために調整されうる。代替的に、数日間~数カ月間の範囲の期間にわたる徐放のために、化合物が組み込まれ、マイクロスフェア、又はマイクロスフェアの複合材料が植え込まれる場合がある。
【0281】
[0364]細胞ベースの免疫原性医薬組成物もまた、対象へと投与されうる。例えば、抗原提示細胞(APC)ベースの免疫原性医薬組成物は、当該技術分野で適する、周知の技法、担体、及び賦形剤のうちのいずれかを使用して、当該技術分野で理解される通りに製剤化されうる。APCは、単球、単球由来細胞、マクロファージ、及び樹状細胞を含む。場合によって、APCベースの免疫原性医薬組成物は、樹状細胞ベースの免疫原性医薬組成物でありうる。
【0282】
[0365]樹状細胞ベースの免疫原性医薬組成物は、当該技術分野で周知の任意の方法により調製されうる。場合によって、樹状細胞ベースの免疫原性医薬組成物は、ex vivo法又はin vivo法を介して調製されうる。ex vivo法は、ex vivoにおいて、本明細書で記載されるポリペプチドによりパルスされた、自家DCの使用であって、患者への投与の前に、DCを活性化させるか、又はDCにロードするための使用を含みうる。in vivo法は、本明細書で記載されるポリペプチドとカップリングさせた抗体を使用して、特異的DC受容体を標的とすることを含みうる。DCベースの免疫原性医薬組成物は、TLR3アゴニスト、TLR-7~8アゴニスト、及びCD40アゴニストなどのDC活性化因子をさらに含みうる。DCベースの免疫原性医薬組成物は、アジュバントと、薬学的に許容される担体とをさらに含みうる。
【0283】
[0366]アジュバントは、免疫原性医薬組成物を施される患者において誘発される、免疫応答(液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答)を増強するのに使用されうる。ある場合に、アジュバントは、Th1型応答を誘発しうる。他の場合に、アジュバントは、Th2型応答を誘発しうる。Th1型応答は、IL-4、IL-5、及びIL-10など、サイトカインの産生により特徴づけられうる、Th2型応答と対照的に、IFN-γなど、サイトカインの産生により特徴づけられうる。
【0284】
[0367]一部の態様では、MPLA及びMDPなど、脂質ベースのアジュバントは、本明細書で開示される免疫原性医薬組成物と共に使用されうる。モノホスホリルリピドA(MPLA)は、例えば、リポソーム性抗原の、特異的Tリンパ球への提示の増大を引き起こすアジュバントである。加えて、ムラミルジペプチド(MDP)もまた、本明細書で記載される免疫原性医薬製剤と共に、適切なアジュバントとして使用されうる。
【0285】
[0368]アジュバントはまた、サイトカインなどの刺激性分子も含みうる。サイトカインの非限定例は、CCL20、α-インターフェロン(IFNα)、β-インターフェロン(IFNβ)、γ-インターフェロン(IFNγ)、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、GM-CSF、表皮増殖因子(EGF)、CTACK(cutaneous T cell-attracting chemokine)、TECK(epithelial thymus-expressed chemokine)、MEC(mucosae-associated epithelial chemokine)、IL-12、IL-15、IL-28、MHC、CD80、CD86、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、MCP-1、MIP-1a、MIP-1p、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の突然変異体形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Fit、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DRS、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、不活性NIK、SAPK、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFκB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAPI、及びTAP2を含む。
【0286】
[0369]さらなるアジュバントは、MCP-1、MIP-1a、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の突然変異体形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、IL-22、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Fit、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFκB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びこれらの機能的断片を含む。
【0287】
[0370]一部の態様では、アジュバントは、toll様受容体のモジュレーターでありうる。toll様受容体のモジュレーターの例は、TLR9アゴニストを含み、イミキモドなど、toll様受容体の小分子モジュレーターに限定されない。場合によって、アジュバントは、細菌毒素、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー、アルミニウム塩、リポソーム、CpGポリマー、水中油エマルジョン、又はこれらの組合せから選択される。場合によって、アジュバントは、水中油エマルジョンである。水中油エマルジョンは、少なくとも1つの油と、少なくとも1つの界面活性剤とを含むことが可能であり、油及び界面活性剤は、生体分解性(代謝可能)かつ生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、直径5μm未満であることがあり、さらに、ミクロン未満の直径を有することもあり、これらの小サイズは、安定的なエマルジョンをもたらす、マイクロフルイダイザーにより達成される。サイズが220nm未満の液滴は、濾過滅菌にかけられうる。
【0288】
[0371]一部の場合に、免疫原性医薬組成物は、担体及び賦形剤(緩衝液、炭水化物、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド、又はグリシンなどのアミノ酸、抗酸化剤、静菌剤、キレート化剤、懸濁剤、増粘剤、及び/又は保存剤を含むがこれらに限定されない)、水、石油、動物油、植物油、又はラッカセイ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油など、合成由来の油を含む油、生理食塩液、水性デキストロース溶液及び水性グリセロール溶液、芳香剤、着色剤、粘着防止剤、及び他の許容可能な添加剤、アジュバント、又は結合剤、pH緩衝剤、等張性調整剤、乳化剤、保湿剤など、要求に応じて、生理学的状態を近似する、薬学的に許容される、他の補助物質を含みうる。賦形剤の例は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、コムギ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、滑石、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。別の場合に、医薬調製物は、保存剤を実質的に含有しない。他の場合に、医薬調製物は、少なくとも1つの保存剤を含有しうる。当業者に公知の、任意の適切な担体が、本明細書で記載される医薬組成物を投与するのに用いられうるが、担体の種類は、投与方式に応じて、変動することが認識されるであろう。
【0289】
[0372]免疫原性医薬組成物は、チオメルサール又は2-フェノキシエタノールなどの保存剤を含みうる。一部の場合に、免疫原性医薬組成物は、水銀性材料が実質的に非含有(例えば、<10μg/mL)である、例えば、チオメルサール非含有である。α-コハク酸トコフェロールは、水銀性化合物に対する代替物として使用されうる。
【0290】
[0373]等張性を制御するために、免疫原性医薬組成物中には、ナトリウム塩などの生理学的塩が含まれうる。他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム、及び/又は塩化マグネシウムなどを含みうる。
【0291】
[0374]免疫原性医薬組成物は、200mOsm/kg~400mOsm/kgの間、240~360mOsm/kgの間、又は290~310mOsm/kgの範囲内の浸透圧を有しうる。
【0292】
[0375]免疫原性医薬組成物は、トリス緩衝液;ホウ酸緩衝液;コハク酸緩衝液;ヒスチジン緩衝液(特に、水酸化アルミニウムアジュバント);又はクエン酸緩衝液など、1以上の緩衝液を含みうる。場合によって、緩衝液は、5~20又は10~50mMの範囲で含まれる。
【0293】
[0376]免疫原性医薬組成物のpHは、約5.0~約8.5の間、約6.0~約8.0の間、約6.5~約7.5の間、又は約7.0~約7.8の間でありうる。
[0377]免疫原性医薬組成物は、滅菌でありうる。免疫原性医薬組成物は、例えば、投与1回当たり<1EU(標準的な尺度である、内毒素単位)を含有する、非発熱物質性であってもよく、投与1回当たり<0.1EUでありうる。組成物は、グルテン非含有でありうる。
【0294】
[0378]免疫原性医薬組成物は、デタージェント、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(「Tween」として公知である)、又はオクトキシノール(オクトキシノール9(Triton X-100)又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノールなど)を含みうる。デタージェントは、微量でだけ存在しうる。免疫原性医薬組成物は、オクトキシノール10及びポリソルベート80の各々1mg/mL未満ずつを含みうる。他の微量残存成分は、抗生剤(例えば、ネオマイシン、カナマイシン、ポリミクシンB)でありうる。
【0295】
[0379]免疫原性医薬組成物は、当該技術分野で周知の、適切な媒体中の、滅菌溶液又は滅菌懸濁液として製剤化されうる。医薬組成物は、従来型の、周知の滅菌法により滅菌される場合もあり、滅菌濾過される場合もある。結果として得られる水溶液は、そのままの使用のためにパッケージングされる場合もあり、凍結乾燥される場合もあり;凍結乾燥された調製物は、その後、投与の前に、滅菌溶液と組み合わされうる。
【0296】
[0380]例えば、1以上のアジュバントと組み合わせた、本明細書で開示される免疫細胞などの活性薬剤を含む医薬組成物は、ある特定のモル比を含むように製剤化されうる。例えば、1以上のアジュバントと組み合わせた、本明細書で記載される免疫細胞などの活性薬剤の、約99:1~約1:99のモル比が使用されうる。一部の場合に、1以上のアジュバントと組み合わせた、本明細書で記載される免疫細胞などの活性薬剤のモル比の範囲は、約80:20~約20:80;約75:25~約25:75、約70:30~約30:70、約66:33~約33:66、約60:40~約40:60;約50:50;及び約90:10~約10:90から選択されうる。1以上のアジュバントと組み合わせた、本明細書で記載される免疫細胞などの活性薬剤のモル比は、約1:9でありえ、場合によって、約1:1でありうる。1以上のアジュバントと組み合わせた、本明細書で記載される免疫細胞などの活性薬剤は、同じ投与量単位、例えば、1つのバイアル、坐剤、錠剤、カプセル、エアゾールスプレーに併せて製剤化される場合もあり、各薬剤、形態、及び/又は化合物は、個別の単位、例えば、2つのバイアル、坐剤、錠剤、2つのカプセル、錠剤、バイアル、エアゾールスプレーなどに製剤化されうる。
【0297】
[0381]一部の場合に、免疫原性医薬組成物は、さらなる薬剤と共に投与されうる。さらなる薬剤の選択は、少なくとも部分的に、処置される状態に依存しうる。さらなる薬剤は、例えば、抗PD1、抗CTLA4、抗PD-L1、抗CD40、又は抗TIM3薬剤(例えば、抗PD1、抗CTLA4、抗PD-L1、抗CD40、又は抗TIM3抗体)などのチェックポイント阻害剤;又は病原体感染(例えば、ウイルス感染)に対する治療効果を有する、任意の薬剤であって、例えば、NSAID、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、ケトプロフェン、又はアスピリンなど、炎症性状態を処置するのに使用される薬物を含む薬剤を含みうる。例えば、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、OPDIVO)、ペンブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA)、ピジリズマブ(CT-011)、及びMPDL328OA(ROCHE)から成る群より選択されるPD-1/PD-L1アンタゴニストでありうる。別の例として、製剤は、加えて、ビタミンC、E、又は他の抗酸化剤など、1以上のサプリメントを含有しうる。
【0298】
[0382]1以上のアジュバントと組み合わせた、本明細書で記載される免疫細胞などの活性薬剤を含む医薬組成物は、例えば、活性薬剤の、投与されうる調製物への加工を容易とする、賦形剤、希釈剤、及び/又は補助剤を含む、1以上の生理学的に許容される担体を使用して、従来の方式で製剤化されうる。適正な製剤は、少なくとも部分的に、選び出された投与経路に依存しうる。本明細書で記載される薬剤は、経口適用、口腔内適用、外用適用、直腸内適用、経皮適用、経粘膜適用、皮下適用、静脈内適用、及び筋内適用を含む、多数の投与経路又は投与方式を使用するほか、吸入により、患者へと送達されうる。
【0299】
[0383]活性薬剤は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は連続的注入により)のために製剤化され、アンプル内の単位剤形、あらかじめ充填されたシリンジ、小体積注入、又は保存剤を添加した、複数回投与用容器により提供されうる。組成物は、懸濁液、溶液、又は油性媒体中若しくは水性媒体中のエマルジョン、例えば、水性ポリエチレングリコール中の溶液などの形態を取りうる。
【0300】
[0384]注射用製剤のために、媒体は、当該技術分野で、適切であることが公知の媒体であって、水性溶液若しくは油懸濁液、又はゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、若しくはラッカセイ油を伴うエマルジョンのほか、エリキシル、マンニトール、デキストロース、又は滅菌水性溶液、及び同様の医薬媒体を含む媒体から選択されうる。製剤はまた、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)など、生体適合性、生体分解性である、ポリマー組成物も含みうる。これらの材料は、薬物をロードされ、さらに優れた持続放出性能をもたらすように、コーティング又は誘導体化された、マイクロスフェア又はナノスフェアへと作られうる。眼周囲注射又は眼内注射に適する媒体は、例えば、治療剤の、注射グレード水中、リポソーム内、及び親油性物質に適する媒体中の懸濁液を含む。当該技術分野では、眼周囲注射又は眼内注射のための、他の媒体も周知である。
【0301】
[0385]一部の場合に、医薬組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合させた医薬組成物として、規定の手順に従い製剤化される。典型的に、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張性の水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、組成物はまた、可溶化剤及び注射部位における疼痛を和らげる、リドカインなどの局所麻酔剤も含みうる。一般に、成分は、例えば、活性薬剤の数量を表示するアンプル又は小袋など、密封容器内の、凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、個別に、又は単位剤形内に併せて混合されて供給される。組成物が、注入により投与される場合、滅菌医薬グレード水又は生理食塩液を含有する注入ボトルにより分注されうる。組成物が、注射により投与される場合、成分が、投与の前に混合されうるように、注射用の滅菌水又は生理食塩液のアンプルが提供されうる。
【0302】
[0386]投与が、注射による場合、活性薬剤は、水溶液中、具体的には、ハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩液緩衝液など、生理学的に適合性の緩衝液中で製剤化されうる。溶液は、懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有しうる。別の実施形態では、医薬組成物は、ペプチドにより刺激される免疫応答を増強するように添加される、アジュバント又は他の任意の物質を含まない。
【0303】
[0387]既に記載された製剤に加えて、活性薬剤はまた、デポ調製物としても製剤化されうる。このような長時間作用型製剤は、植込み若しくは経皮送達(例えば、皮下送達又は筋内送達)、筋内注射、又は経皮パッチの使用により投与されうる。したがって、例えば、薬剤は、適切なポリマー性材料若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)若しくはイオン交換樹脂、又は難溶性の誘導体、例えば、難溶性の塩により製剤化されうる。
【0304】
[0388]場合によって、1以上の薬剤を含む医薬組成物は、特定の感染部位に、又はこの近傍に、外用投与又は注入されると、局所的効果及び領域的効果を及ぼす。例えば、粘性液体、溶液、懸濁液、ジメチルスルホキシド(DMSO)ベースの溶液、リポソーム性製剤、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、軟膏、坐剤、フォーム、又はエアゾールスプレーの、直接的な外用適用は、例えば、局所的効果及び/又は領域的効果をもたらすように、局所投与のために使用されうる。このような製剤のための、薬学的に適切な媒体は、例えば、低級脂肪族アルコール、ポリグリコール(例えば、グリセロール又はポリエチレングリコール)、脂肪酸のエステル、油、脂肪、シリコーンなどを含む。このような調製物はまた、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル)及び/又は抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸及びトコフェロール)も含みうる。また、「Dermatological Formulations:Percutaneous Absorption」、Barry(編)、Marcel Dekker Incl、1983も参照されたい。別の実施形態では、トランスポーター、担体、又はイオンチャネル阻害剤を含む局所製剤/外用製剤は、表皮又は粘膜のウイルス感染を処置するのに使用される。
【0305】
[0389]医薬組成物は、親水性ゲル化剤又は親油性ゲル化剤、親水性活性薬剤又は親油性活性薬剤、保存剤、抗酸化剤、溶媒、芳香剤、充填剤、日焼け止め、消臭剤、及び色素などのアジュバントを含有しうる。これらの多様なアジュバントの量は、検討される分野において、従来使用された量であり、例えば、組成物の総重量のうちの、約0.01%~約20%である。それらの性質に応じて、これらのアジュバントは、脂質相、水性相、及び/又は脂質ベシクルへと導入されうる。
処置方法
[0390]本明細書ではまた、疾患、障害、又は状態を伴う対象を処置する方法も提示され
る。処置方法は、本明細書で開示される組成物又は医薬組成物を、疾患、障害、又は状態を伴う対象へと投与することを含みうる。
【0306】
[0391]本開示は、免疫原性療法を含む処置方法を提示する。疾患(がん又はウイルス感染など)のための処置方法が提示される。方法は、本明細書で提示される方法に従い、対象へと、有効量の、抗原特異的免疫原性T細胞を含む組成物を投与することを含みうる。一部の実施形態では、抗原は、ウイルス抗原を含む。一部の実施形態では、抗原は、腫瘍抗原を含む。
【0307】
[0392]調製されうる治療剤の非限定例は、ペプチドベースの治療、核酸ベースの治療、抗体ベースの治療、T細胞ベースの治療、及び抗原提示細胞ベースの治療を含む。
[0393]本明細書の他の一部の態様では、治療に使用する医薬の製造のための、組成物又は医薬組成物の使用が提示される。一部の実施形態では、処置方法は、対象へ、免疫原性ネオ抗原ペプチドを特異的に認識する有効量のT細胞を投与することを含む。一部の実施形態では、処置方法は、対象へ、T細胞内で発現されるTCRなど、免疫原性ネオ抗原ペプチドを特異的に認識する有効量のTCRを投与することを含む。
【0308】
[0394]一部の実施形態では、がんは、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、白血病、扁平上皮細胞がん、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌を含む)、腹腔がん、肝細胞がん、胃(gastric又はstomach)がん(消化器がんを含む)、膵臓がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん(hepatoma)、膀胱がん、肝臓がん、乳がん、結腸がん、黒色腫、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney又はrenal)がん、肝臓がん(liver cancer)、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝臓癌、頭頸部がん、結腸直腸がん、直腸がん、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、B細胞リンパ腫(低グレード/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHLを含む)、小リンパ球性(SL)NHL、中等グレード/濾胞性NHL、中等グレードびまん性NHL、高グレード免疫芽球性NHL、高グレードリンパ芽球性NHL、高グレード小非開裂細胞NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンシュトロームマクログロブリン血症)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、骨髄腫、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、母斑症と関連する血管増殖異常、浮腫、メイグス症候群、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0309】
[0395]本明細書で記載される方法は、本明細書で記載される方法に従い同定される免疫原性ネオ抗原ペプチドが、同じ個体のための治療剤(ワクチン又は治療用抗体など)を開発するのに使用される、個別化薬の文脈で、特に有用である。したがって、対象における疾患を処置する方法は、本明細書で記載される方法に従い、対象において免疫原性ネオ抗原ペプチドを同定し;ペプチド(又はこの前駆体)を合成し;同定されたネオ抗原に特異的なT細胞を製造し;そして、ネオ抗原特異的T細胞を対象へ投与する、ことを含みうる。
【0310】
[0396]本明細書で提示される薬剤及び組成物は、単独で使用される場合もあり、手術、照射、化学療法、及び/又は骨髄移植(自家、同系、同種、又は非類縁)など、従来の治療的レジメンと組み合わせて使用される場合もある。腫瘍抗原のセットは、本明細書で記載される方法を使用して同定される場合があり、例えば、がん患者の大部分において、有用である。
【0311】
[0397]一部の実施形態では、少なくとも1つ以上の化学療法剤は、免疫原性療法を含む組成物に加えて投与されうる。一部の実施形態では、1以上の化学療法剤は、化学療法剤の異なるクラスに属しうる。
【0312】
[0398]本明細書で提示される処置方法又は使用の実施において、治療有効量の治療剤は、疾患又は状態を有する対象へと投与されうる。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康、使用される化合物の効力、及び他の因子に応じて、広範に変動しうる。
【0313】
[0399]対象は、例えば、哺乳動物、ヒト、妊婦、老齢者、成人、若齢者、思春期前若齢者、小児、幼児、乳児、新生児(newborn又はneonate)でありうる。対象は、患者でありうる。場合によって、対象は、ヒトでありうる。場合によって、対象は、小児(すなわち、思春期年齢未満である、若齢のヒト)でありうる。場合によって、対象は、乳児でありうる。場合によって、対象は、ミルク哺育乳児でありうる。場合によって、対象は、臨床研究に登録された個体でありうる。場合によって、対象は、実験室動物、例えば、哺乳動物、又は齧歯動物でありうる。場合によって、対象は、マウスでありうる。場合によって、対象は、肥満対象又は超過体重対象でありうる。
【0314】
[0400]一部の実施形態では、対象は、1以上の、異なるがん処置モダリティーで、既に処置されている。一部の実施形態では、対象は、放射線治療、化学療法、又は免疫療法のうちの1つ以上で、既に処置されている。一部の実施形態では、対象は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの、以前の選択治療で処置されている。一部の実施形態では、以前の治療は、細胞傷害療法である。
【0315】
[0401]一部の実施形態では、本明細書で開示される方法により処置されうる疾患又は状態は、がんである。がんとは、制御不能な形で増殖し、場合によって、転移する(拡大する)傾向がある、細胞の異常な増殖である。腫瘍は、がん性の場合もあり、良性の場合もある。良性腫瘍とは、腫瘍が、増殖しうるが、拡大しないことを意味する。がん性腫瘍が悪性であるとは、それが、体内の他の部分へと、増殖及び拡大しうることを意味する。がんが、拡大する(転移する)場合、新たな腫瘍は、元の(初代)腫瘍と同じ名称を保有する。
【0316】
[0402]本開示の方法は、当該技術分野で公知の、任意の種類のがんを処置する。本開示の方法により処置されるがんの非限定例は、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎臓がん(例えば、明細胞癌)、前立腺がん(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、膵臓腺癌、乳がん、結腸がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、食道がん、頭頸部扁平上皮細胞癌、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、甲状腺がん、神経膠芽腫、神経膠腫、白血病、リンパ腫、及び他の新生物性悪性腫瘍を含みうる。
【0317】
[0403]加えて、本明細書で提示される疾患又は状態は、不応性又は再発性の悪性腫瘍であって、その増殖が、本開示の処置方法を使用して阻害されうる悪性腫瘍を含む。一部の実施形態では、本開示の処置方法により処置されるがんは、癌腫、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、子宮内膜がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、卵管がん、原発性腹腔がん、結腸がん、結腸直腸がん、肛門性器領域の扁平上皮細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺がん、非小細胞肺がん、肺扁平上皮細胞癌、胃がん、膀胱がん、胆嚢がん、肝臓がん、甲状腺がん、喉頭がん、唾液腺がん、食道がん、頭頸部がん、神経膠芽腫、神経膠腫、頭頸部扁平上皮細胞癌、前立腺がん、膵臓がん、中皮腫、肉腫、血液がん、白血病、リンパ腫、神経腫、及びこれらの組合せから成る群より選択される。一部の実施形態では、本開示の方法により処置されるがんは、例えば、癌腫、扁平上皮癌(例えば、子宮頸管、眼瞼、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、舌、喉頭、及び食道)、及び腺癌(例えば、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頸管、大腸、肺、膵臓、食道、直腸、子宮、胃、乳腺、及び卵巣)を含む。一部の実施形態では、本開示の方法により処置されるがんは、肉腫(例えば、筋原性肉腫)、白血病、神経腫、黒色腫、及びリンパ腫をさらに含む。一部の実施形態では、本開示の方法により処置されるがんは、乳がんである。一部の実施形態では、本開示の処置方法により処置されるがんは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である。一部の実施形態では、本開示の処置方法により処置されるがんは、卵巣がんである。一部の実施形態では、本開示の処置方法により処置されるがんは、結腸直腸がんである。
【0318】
[0404]一部の実施形態では、本開示の医薬組成物で処置される患者又は患者集団は、充実性腫瘍を有する。一部の実施形態では、充実性腫瘍は、黒色腫、腎細胞癌腫、肺がん、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、胆嚢がん、喉頭がん、肝臓がん、甲状腺がん、胃がん、唾液腺がん、前立腺がん、膵臓がん、又はメルケル細胞癌である。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物で処置される患者又は患者集団は、血液がんを有する。一部の実施形態では、患者は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、ホジキンリンパ腫(「HL」)、非ホジキンリンパ腫(「NHL」)、濾胞性リンパ腫(「FL」)、急性骨髄白血病(「AML」)、又は多発性骨髄腫(「MM」)などの血液がんを有する。一部の実施形態では、処置される患者又は患者集団は、卵巣がん、肺がん、及び黒色腫から成る群より選択されるがんを有する。
【0319】
[0405]本開示に従い防止及び/又は処置されうるがんの具体例は、以下:腎臓がん、腎臓がん、多形性神経膠芽腫、転移性乳がん;乳癌;乳腺肉腫;神経線維腫;神経線維腫症;小児腫瘍;神経芽細胞腫;悪性黒色腫;表皮癌;急性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病、並びに骨髄異形成症候群などの急性骨髄性白血病;慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、毛様細胞白血病などであるがこれらに限定されない慢性白血病などであるがこれらに限定されない白血病;真性赤血球増加症;ホジキン病、非ホジキン病などであるがこれらに限定されないリンパ腫;くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫、及び骨髄外形質細胞腫などであるがこれらに限定されない多発性骨髄腫;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症;良性単クローン性免疫グロブリン血症;重鎖病;骨肉腫(bone sarcoma)、骨髄腫性骨疾患、多発性骨髄腫、コレステリン腫誘導性骨肉腫、骨パジェット病、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(angiosarcoma(hemangiosarcoma))、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、及び滑膜肉腫などであるがこれらに限定されない、骨がん及び結合組織肉腫;神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、希突起神経膠腫、非神経膠性腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、原発性脳リンパ腫などであるがこれらに限定されない脳腫瘍;腺癌、小葉(小細胞)癌、乳管内癌、乳腺髄様がん、粘液性乳がん、乳腺管状がん、乳腺乳頭がん、パジェット病(若年性パジェット病を含む)、及び炎症性乳がんを含むがこれらに限定されない乳がん;褐色細胞腫及び副腎皮質癌などであるがこれらに限定されない副腎がん;甲状腺乳頭がん又は甲状腺濾胞がん、甲状腺髄様がん、及び甲状腺未分化がんなどであるがこれらに限定されない甲状腺がん;インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、VIPオーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、及び膵カルチノイド腫瘍又は膵島細胞腫瘍などであるがこれらに限定されない膵臓がん;クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、末端肥大症、及び尿崩症などであるがこれらに限定されない下垂体がん;虹彩黒色腫、脈絡叢黒色腫、及び毛様体黒色腫などの眼内黒色腫、並びに網膜芽細胞腫などであるがこれらに限定されない眼がん;扁平上皮細胞癌、腺癌、及び黒色腫などの膣がん;扁平上皮細胞癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、及びパジェット病などの外陰がん;扁平上皮細胞癌及び腺癌などであるがこれらに限定されない子宮頚がん;子宮内膜癌及び子宮肉腫などであるがこれらに限定されない子宮がん;卵巣上皮癌、境界型腫瘍、胚細胞腫瘍、及び間質性腫瘍などであるがこれらに限定されない卵巣がん;子宮頚癌;扁平上皮がん、腺癌、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、疣状癌、及び燕麦細胞(小細胞)癌などであるがこれらに限定されない食道がん;腺癌、決潰型(ポリープ状)胃がん、潰瘍型胃がん、表在拡大型胃がん、びまん拡大型胃がん、胃悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、及び癌肉腫などであるがこれらに限定されない胃がん;結腸がん;結腸直腸がん、KRAS突然変異型結腸直腸がん;結腸癌;直腸がん;肝細胞癌及び肝芽腫などであるがこれらに限定されない肝がん;腺癌などの胆嚢がん;乳頭型胆管がん、結節型胆管がん、及びびまん型胆管がんなどの胆管癌;KRAS変異型非小細胞肺がん、非小細胞肺がん、扁平上皮細胞癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌、及び小細胞肺がんなどの肺がん;肺癌;胚細胞腫瘍、セミノーマ、退形成性セミノーマ、古典的(定型)セミノーマ、精母細胞性セミノーマ、非セミノーマ、胎児性癌、奇形腫癌、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)などであるがこれらに限定されない精巣がん;アンドロゲン非依存性前立腺がん、アンドロゲン依存性前立腺がん、腺癌、平滑筋肉腫、及び横紋筋肉腫などであるがこれらに限定されない前立腺がん;陰茎がん;扁平上皮細胞癌などであるがこれらに限定されない口腔がん;基底細胞がん(basal cancer);腺癌、粘膜表皮癌、及び腺様嚢胞癌などであるがこれらに限定されない唾液腺がん;扁平上皮細胞がん及び疣状がんなどであるがこれらに限定されない咽頭がん;基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、及び黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫などであるがこれらに限定されない皮膚がん;腎細胞がん、腺癌、副腎腫、腎線維肉腫、移行上皮がん(腎芋及び/又は尿管)などであるがこれらに限定されない腎がん;腎癌;ウィルムス腫瘍;移行上皮癌、扁平上皮細胞がん、腺癌、癌肉腫などであるがこれらに限定されない膀胱がんを含むがこれらに限定されない。加えて、がんは、粘液肉腫、骨肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌を含む。
キット
[0406]本明細書で記載される方法及び組成物は、投与のための指示書と併せて、キット形態で提供されうる。典型的に、キットは、容器内の、単位剤形の、所望されるネオ抗原による治療用組成物と、投与のための指示書とを含みうる。さらなる治療剤、例えば、サイトカイン、リンホカイン、チェックポイント阻害剤、抗体もまた、キット内に組み入れられうる。これらもまた所望でありうる、他のキット構成要素は、例えば、滅菌シリンジ、追加投与量、及び他の所望の賦形剤を含む。
【0320】
[0407]本明細書ではまた、本明細書で記載される、1以上の方法を伴う使用のための、キット及び製品も提示される。キットは、1種類又は複数種類の免疫細胞を含有しうる。キットはまた、本明細書で記載される、抗原特異的免疫細胞(例えば、ネオ抗原特異的T細胞)の作製に有用な、試薬、ペプチド、及び/又は細胞も含有しうる。キットは、抗原特異的免疫細胞の作製及び送達に必要な、アジュバント、試薬、及び緩衝液もさらに含有しうる。
【0321】
[0408]キットはまた、容器の各々が、本明細書で記載される方法において使用される、ポリペプチド及びアジュバントなど、個別の要素のうちの1つを含む、バイアル、試験管など、1以上の容器を受容するように区画化された、搬送手段、パッケージ、又は容器も含みうる。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及びチューブを含む。容器は、ガラス又はプラスチックなど、様々な材料から形成されうる。
【0322】
[0409]本明細書で提示される製品は、パッケージング材料を含有する。医薬パッケージング材料の例は、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、及び選択された製剤及び意図される投与方式及び処置に適する、任意のパッケージング材料を含むがこれらに限定されない。キットは、典型的に、内容物を列挙するラベル及び/又は使用のための指示書、並びに使用のための指示書を伴う、パッケージ添付文書を含む。指示書のセットもまた、組み入れられうる。
実施形態の項目
[1] (a)少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を
含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む生物学的試料に由来する免疫細胞の集団、及び(b)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量と相対的に異なる、前記医薬組成物。
[2] 生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を含む組成物であって、集団内のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD14及びCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に少ない、前記組成物。
[3] (a)生物学的試料に由来するT細胞を含む免疫細胞の集団、ここで、T細胞は、APC-刺激T細胞である少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含み、かつ、少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含み、APCは、FLT3L-刺激APCである;及び(b)薬学的に許容される賦形剤、を含む医薬組成物。
[4] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのAPC-刺激T細胞を含む、項目[1]に記載の組成物。
[5] 集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に少ない、項目[1]、[3]、及び[4]のいずれか1項に記載の組成物。
[6] 集団内のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD14及び/又はCD25を発現する免疫細胞の量より相対的に多い、項目[1]、[3]、及び[4]のいずれか1項に記載の組成物。
[7] 生物学的試料が対象に由来する、項目[1]~[6]のいずれか1項に記載の組成物。
[8] 対象がヒトである、項目[7]に記載の組成物。
[9] 対象が疾患又は障害を有する、項目[7]又は[8]に記載の組成物。
[10] 疾患又は障害ががんである、項目[9]に記載の組成物。
[11] がんが、卵巣がん、肺がん、及び黒色腫から成る群より選択される、項目[10]に記載の組成物。
[12] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのCD4+T細胞を含む、項目[1]~[11]のいずれか1項に記載の組成物。
[13] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのCD8+T細胞を含む、項目[1]~[12]のいずれか1項に記載の組成物。
[14] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのCD4エンリッチT細胞を含む、項目[1]~[13]のいずれか1項に記載の組成物。
[15] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのCD8エンリッチT細胞を含む、項目[1]~[14]のいずれか1項に記載の組成物。
[16] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、メモリーT細胞を含む、項目[1]~[15]のいずれか1項に記載の組成物。
[17] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、ナイーブT細胞を含む、項目[1]~[16]のいずれか1項に記載の組成物。
[18] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、メモリーCD4+T細胞を含む、項目[1]~[17]のいずれか1項に記載の組成物。
[19] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、ナイーブCD4+T細胞を含む、項目[1]~[18]のいずれか1項に記載の組成物。
[20] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、メモリーCD8+T細胞を含む、項目[1]~[19]のいずれか1項に記載の組成物。
[21] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、ナイーブCD8+T細胞を含む、項目[1]~[20]のいずれか1項に記載の組成物。
[22] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、(A)点突然変異、(B)スプライス部位突然変異、(C)フレームシフト突然変異、(D)リードスルー突然変異、(E)遺伝子融合突然変異、及びこれらの組合せから選択される突然変異を含む、項目[1]~[21]のいずれか1項に記載の組成物。
[23] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、対応する野生型ペプチドより大きな親和性で対象のHLAタンパク質に結合する、項目[1]~[22]のいずれか1項に記載の組成物。
[24] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKD又はIC50で対象のHLAタンパク質に結合する、項目[1]~[23]のいずれか1項に記載の組成物。
[25] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々が、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する、項目[1]~[24]のいずれか1項に記載の組成物。
[26] TCRが、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKD又はIC50でペプチド-HLA複合体に結合する、項目[1]~[25]のいずれか1項に記載の組成物。
[27] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々が、対象の非がん細胞内に存在しない突然変異を含む、項目[1]~[26]のいずれか1項に記載の組成物。
[28] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々が、対象のがん細胞の遺伝子又は発現遺伝子によりコードされる、項目[1]~[27]のいずれか1項に記載の組成物。
[29] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上が、少なくとも8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;40;50;60;70;80;90;100;150;200;250;300;350;400;450;500;600;700;800;900;1,000;1,500;2,000;2,500;3,000;4,000;5,000;7,500;又は10,000天然アミノ酸の長さを有する、項目[1]~[28]のいずれか1項に記載の組成物。
[30] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上が、クラスIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、8~12天然アミノ酸の長さを有する、項目[1]~[29]のいずれか1項に記載の組成物。
[31] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上が、クラスIIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、16~25天然アミノ酸の長さを有する、項目[1]~[30]のいずれか1項に記載の組成物。
[32] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、複数の抗原ペプチド配列を含む、項目[1]~[31]のいずれか1項に記載の組成物。
[33] 複数の抗原ペプチド配列が、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500の抗原ペプチド配列を含む、項目[32]に記載の組成物。
[34] APCが、1以上のAPC調製物である、項目[1]~[33]に記載の組成物。
[35] APCが成熟APCである、項目[3]~[34]のいずれか1項に記載の組成物。
[36] APCが、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上を含む1以上の抗原ペプチドをロードされたAPCを含む、項目[3]~[35]のいずれか1項に記載の組成物。
[37] APCが、自家APC、同種APC、又は人工APCである、項目[3]~[36]のいずれか1項に記載の組成物。
[38] APCが樹状細胞(DC)を含む、項目[3]~[37]のいずれか1項に記載の組成物。
[39] APCが、CD14+単球に由来するか、又はCD14エンリッチAPCであるか、又はCD141エンリッチAPCである、項目[4]~[38]のいずれか1項に記載の組成物。
[40] CD14+単球が、末梢血単核細胞(PBMC)を含む対象に由来する生物学的試料からエンリッチされる、項目[39]に記載の組成物。
[41] CD14+単球が、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される、項目[39]又は[40]に記載の組成物。
[42] 1以上のサイトカイン又は増殖因子が、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む、項目[41]に記載の組成物。
[43] CD14+単球が、PBMCを含む第2の生物学的試料に由来する、項目[39]~[42]のいずれか1項に記載の組成物。
[44] 第2の生物学的試料が同じ対象に由来する、項目[43]に記載の組成物。
[45] 生物学的試料が末梢血単核細胞(PBMC)を含む、項目[1]~[44]のいずれか1項に記載の組成物。
[46] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、IL-7、IL-15、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せを含む培地中で刺激される、項目[1]及び[3]~[45]のいずれか1項に記載の組成物。
[47] IDO阻害剤が、エパカドスタット、ナボキシモド、1-メチルトリプトファン、又はこれらの組合せである、項目[46]に記載の組成物。
[48] 組成物中の少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率が、全T細胞又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である、項目[1]~[47]のいずれか1項に記載の組成物。
[49] 組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である、項目[1]~[48]のいずれか1項に記載の組成物。
[50] 組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である、項目[1]~[49]のいずれか1項に記載の組成物。
[51] 生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である、項目[1]~[50]のいずれか1項に記載の組成物。
[52] 生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である、項目[1]~[51]のいずれか1項に記載の組成物。
[53] 生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率が、全
CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である、項目[1]~[52]のいずれか1項に記載の組成物。
[54] 抗原が、ネオ抗原、腫瘍関連抗原、過剰発現抗原、ウイルス抗原、マイナー組織適合性抗原、又はこれらの組合せである、項目[1]~[53]のいずれか1項に記載の組成物。
[55] 組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の数が、少なくとも約1×106、2×106、5×106、1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、又は5×108個である、項目[1]~[54]のいずれか1項に記載の組成物。
[56] 組成物中の少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の数が、少なくとも約1×106、2×106、5×106、1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、又は5×108個である、項目[1]~[54]のいずれか1項に記載の組成物。
[57] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、複数の抗原特異的T細胞を含む、項目[1]~[56]のいずれか1項に記載の組成物。
[58] 集団内のCD19及び/又はCD16を発現する免疫細胞の量が、生物学的試料中のCD19及び/又はCD16を発現する免疫細胞の量より少ない、項目[1]~[57]のいずれか1項に記載の組成物。
[59] 項目[1]又は[3]~[58]のいずれか1項に記載の組成物を、疾患又は障害を有する対象へ投与することを含む、処置方法。
[60] 治療に使用する医薬の製造のための、項目[1]又は[3]~[58]のいずれか1項に記載の組成物の使用。
[61] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、APCを、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させた生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含む、前記方法。
[62] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)-刺激APCを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含む、前記方法。
[63] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を含む医薬組成物を調製する方法であって、(a)FMS様チロシンキナーゼ3受容体リガンド(FLT3L)を、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートし;そして(b)その後、生物学的試料の少なくとも1つのT細胞を、APCと共にインキュベートすることを含む、前記方法。
[64] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物のうちの第1のAPC調製物とインキュベートしてから、28日間未満の1以上の別個の期間、該免疫細胞の集団を、1以上のAPC調製物と共にインキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される、前記方法。
[65] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列に特異的なT細胞受容体(TCR)を含む少なくとも1つの抗原特異的T細胞を調製する方法であって、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、3つ以下のAPC調製物と共に3以下の別個の期間インキュベートすることを含み、少なくとも1つの抗原特異的メモリーT細胞が拡大されるか、又は少なくとも1つの抗原特異的ナイーブT細胞が誘導される、前記方法。
[66] 免疫細胞の集団が、CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させた
生物学的試料に由来する、項目[62]~[65]のいずれか1項に記載の方法。
[67] 生物学的試料が、CD19を発現する細胞をさらに枯渇させられる、項目[61]又は[66]に記載の方法。
[68] APCが、FLT3L-刺激APCである、項目[61]又は[63]に記載の方法。
[69] 免疫細胞の集団をインキュベートすることが、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せを含有する培地中で実施される、項目[64]~[67]のいずれか1項に記載の方法。
[70] 培地が、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せをさらに含む、項目[69]に記載の方法。
[71] IDO阻害剤が、エパカドスタット、ナボキシモド、1-メチルトリプトファン、又はこれらの組合せである、項目[70]に記載の方法。
[72] APC調製物のうちの少なくとも1つが、FLT3L-刺激APCを含む、項目[64]~[71]のいずれか1項に記載の方法。
[73] APC調製物のうちの少なくとも2つが、FLT3L-刺激APCを含む、項目[64]~[71]のいずれか1項に記載の方法。
[74] APC調製物のうちの少なくとも3つが、FLT3L-刺激APCを含む、項目[64]~[71]のいずれか1項に記載の方法。
[75] APC調製物の各々が、FLT3L-刺激APCを含む、項目[64]~[71]のいずれか1項に記載の方法。
[76] APCが、1以上のAPC調製物を含む、項目[61]~[63]のいずれか1項に記載の方法。
[77] 1以上のAPC調製物が、3つ以下のAPC調製物を含む、項目[61]~[76]のいずれか1項に記載の方法。
[78] 1以上のAPC調製物が、1以上の別個の期間内に、逐次的に、免疫細胞と共にインキュベートされる、項目[64]~[77]のいずれか1項に記載の方法。
[79] 1以上のAPC調製物のうちの少なくとも1つが、生物学的試料に由来するAPCである、項目[61]~[78]のいずれか1項に記載の方法。
[80] 免疫細胞の集団が、APC、又は1つ以上のAPC調製物のうちの少なくとも1つを含む、項目[61]~[79]のいずれか1項に記載の方法。
[81] 免疫細胞の集団がAPCを含まず、免疫細胞の集団が1以上のAPC調製物のうちの1つを含まない、項目[61]~[79]のいずれか1項に記載の方法。
[82] FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートすることを含み、ここで、FLT3Lは、免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートされ、少なくとも1つのペプチドは、免疫細胞の集団と共に第1のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得、ここで、免疫細胞の集団は、少なくとも1つのT細胞及び少なくとも1つのAPCを含む、項目[61]~[81]のいずれか1項に記載の方法。
[83] FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、少なくとも1つのAPCと共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、少なくとも1つのAPCと共に第2の期間インキュベートされ、少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つのAPCと共に第2のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を得;そして、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を、第1の刺激されたT細胞試料と共にインキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[82]に記載の方法。
[84] FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、少なくとも1つのAPCと共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、少なくとも1つのAPCと共に第3の期間インキュベートされ、少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つのAPCと共に第3のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第2のペプチドロードされた成熟A
PC試料を得;そして、第2のペプチドロードされた成熟APC試料を、第2の刺激されたT細胞試料と共にインキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[83]に記載の方法。
[85] 生物学的試料が対象に由来する、項目[61]~[84]のいずれか1項に記載の方法。
[86] 対象がヒトである、項目[85]に記載の方法。
[87] 対象が疾患又は障害を有する、項目[85]又は[86]に記載の方法。
[88] 疾患又は障害ががんである、項目[87]に記載の方法。
[89] がんが、卵巣がん、肺がん、及び黒色腫から成る群より選択される、項目[88]に記載の方法。
[90] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのCD4+T細胞を含む、項目[61]~[89]のいずれか1項に記載の方法。
[91] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのCD8+T細胞を含む、項目[61]~[90]のいずれか1項に記載の方法。
[92] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのCD4エンリッチT細胞を含む、項目[61]~[91]のいずれか1項に記載の方法。
[93] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのCD8エンリッチT細胞を含む、項目[61]~[92]のいずれか1項に記載の方法。
[94] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのメモリーT細胞を含む、項目[61]~[93]のいずれか1項に記載の方法。
[95] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのナイーブT細胞を含む、項目[61]~[94]のいずれか1項に記載の方法。
[96] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのメモリーCD4+T細胞を含む、項目[61]~[95]のいずれか1項に記載の方法。
[97] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのナイーブCD4+T細胞を含む、項目[61]~[96]のいずれか1項に記載の方法。
[98] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのメモリーCD8+T細胞を含む、項目[61]~[97]のいずれか1項に記載の方法。
[99] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、少なくとも1つのナイーブCD8+T細胞を含む、項目[61]~[98]のいずれか1項に記載の方法。
[100] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、(A)点突然変異、(B)スプライス部位突然変異、(C)フレームシフト突然変異、(D)リードスルー突然変異、(E)遺伝子融合突然変異、及びこれらの組合せから選択される突然変異を含む、項目[61]~[99]のいずれか1項に記載の方法。
[101] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、点突然変異を含み、対応する野生型ペプチドより大きな親和性で対象のHLAタンパク質に結合する、項目[61]~[100]のいずれか1項に記載の方法。
[102] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のIC50で対象のHLAタンパク質に結合する、項目[61]~[101]のいずれか1項に記載の方法。
[103] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々が、対象により発現されるHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する、項目[61]~[102]のいずれか1項に記載の方法。
[104] TCRが、500nM、250nM、150nM、100nM、50nM、25nM、又は10nM未満のKDでペプチド-HLA複合体に結合する、項目[61]~[103]のいずれか1項に記載の方法。
[105] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々が、対象の非がん細胞内に存在しない突然変異を含む、項目[61]~[104]のいずれか1項に記載の方法。
[106] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列の各々が、対象のがん細胞の遺伝子又は発現遺伝子によりコードされる、項目[61]~[105]のいずれか1項に記載の方法
。
[107] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上が、少なくとも8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;40;50;60;70;80;90;100;150;200;250;300;350;400;450;500;600;700;800;900;1,000;1,500;2,000;2,500;3,000;4,000;5,000;7,500;又は10,000天然アミノ酸の長さを有する、項目[61]~[106]のいずれか1項に記載の方法。
[108] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上が、クラスIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、8~12天然アミノ酸の長さを有する、項目[61]~[107]のいずれか1項に記載の方法。
[109] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上が、クラスIIのHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に結合し、16~25天然アミノ酸の長さを有する、項目[61]~[108]のいずれか1項に記載の方法。
[110] 少なくとも1つの抗原ペプチド配列が、複数の抗原ペプチド配列を含む、項目[61]~[109]のいずれか1項に記載の方法。
[111] 複数の抗原ペプチド配列が、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500の抗原ペプチド配列を含む、項目[110]に記載の方法。
[112] APC又はAPC調製物のAPCが、少なくとも1つの抗原ペプチド配列のうちの1つ以上を含む1以上の抗原ペプチドをロードされたAPCを含む、項目[61]~[111]のいずれか1項に記載の方法。
[113] APC又はAPC調製物のAPCが、自家APC又は同種APCである、項目[61]~[112]のいずれか1項に記載の方法。
[114] APC又はAPC調製物のAPCが、樹状細胞(DC)を含む、項目[61]~[113]のいずれか1項に記載の方法。
[115] DCがCD141+DCである、項目[114]に記載の方法。
[116] CD14及び/又はCD25を発現する細胞を、生物学的試料から枯渇させることを含む、項目[61]~[114]のいずれか1項に記載の方法。
[117] CD19を発現する細胞を、生物学的試料から枯渇させることをさらに含む、項目[116]に記載の方法。
[118] CD14又はCD25又はCD19を発現する細胞を枯渇させることが、CD14又はCD25又はCD19に結合する薬剤を、APC又はAPC調製物のAPCへと結合させることを含む、項目[116]又は[116]に記載の方法。
[119] CD14又はCD25又はCD19に結合する薬剤が、ビオチン化される、項目[118]に記載の方法。
[120] CD14又はCD25又はCD19を発現する細胞を枯渇させることが、固体支持体上の抗ビオチン試薬を、CD14又はCD25又はCD19に結合する薬剤へ結合させることをさらに含む、項目[118]又は[119]に記載の方法。
[121] CD14又はCD25又はCD19に結合する薬剤が、固体支持体へ接合される、項目[118]~[120]のいずれか1項に記載の方法。
[122] 項目[61]~[63]若しくは[66]~[121]のいずれか1項に記載のAPC、又は項目[64]~[121]のいずれか1項に記載のAPC調製物のAPCが、CD14+単球に由来するか、又はCD14エンリッチAPCであるか、又はCD141エンリッチAPCである、項目[61]~[121]のいずれか1項に記載の方法。
[123] 項目[61]~[63]若しくは[66]~[122]のいずれか1項に記載のAPC、又は項目[64]~[122]のいずれか1項に記載のAPC調製物のAP
Cが、生物学的試料からエンリッチされる、項目[61]~[122]のいずれか1項に記載の方法。
[124] 項目[61]~[63]若しくは[66]~[123]のいずれか1項に記載のAPC、又は項目[64]~[123]のいずれか1項に記載のAPC調製物のAPCが、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される、項目[61]~[123]のいずれか1項に記載の方法。
[125] 1以上のサイトカイン又は増殖因子が、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む、項目[124]に記載の方法。
[126] 項目[61]~[63]若しくは[66]~[125]のいずれか1項に記載のAPC、又は項目[64]~[125]のいずれか1項に記載のAPC調製物のAPCが、第2の生物学的試料に由来する、項目[61]~[125]のいずれか1項に記載の方法。
[127] 第2の生物学的試料が同じ対象に由来する、項目[126]に記載の方法。[128] 生物学的試料が末梢血単核細胞(PBMC)を含む、項目[61]~[127]のいずれか1項に記載の方法。
[129] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である、項目[61]~[128]のいずれか1項に記載の方法。[130] 少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である、項目[61]~[129]のいずれか1項に記載の方法。
[131] 少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの少なくとも約0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である、項目[61]~[130]のいずれか1項に記載の方法。
[132] 生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である、項目[61]~[131]のいずれか1項に記載の方法。
[133] 生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD8+T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である、項目[61]~[132]のいずれか1項に記載の方法。
[134] 生物学的試料中の少なくとも1つの抗原特異的CD4+T細胞の百分率が、全CD4+T細胞、全CD8+T細胞、全T細胞、又は全免疫細胞のうちの最大で約0.00001%、0.00005%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0
.005%、0.01%、0.05%、0.1%、又は0.5%である、項目[61]~[133]のいずれか1項に記載の方法。
[135] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞のうちの1つ以上を、対象へ投与することをさらに含む、項目[61]~[134]のいずれか1項に記載の方法。
[136] 別個の期間の合計期間が28日間未満である、項目[61]~[135]のいずれか1項に記載の方法。
[137] インキュベートすることが、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に7日を超える期間インキュベートすることを含む、項目[61]~[136]のいずれか1項に記載の方法。
[138] インキュベートすることが、APC調製物のうちの第1のAPC調製物を、T細胞と共に7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日を超える期間インキュベートすることを含む、項目[61]~[137]のいずれか1項に記載の方法。
[139] 生物学的試料が、対象から新たに得られるか又は凍結試料である、項目[61]~[138]のいずれか1項に記載の方法。
[140] APC又は1つ以上のAPC調製物を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子を含む第1の培地と共に第1の期間インキュベートすることを含む、項目[61]~[139]のいずれか1項に記載の方法。
[141] 少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子が、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの任意の組合せを含む、項目[140]に記載の方法。
[142] 1つ以上のAPC調製物を、少なくとも1つのペプチドと共に第2の期間インキュベートすることを含む、項目[140]又は[141]に記載の方法。
[143] 項目[61]~[63]若しくは[66]~[142]のいずれか1項に記載のAPC、又は項目[64]~[142]のいずれか1項に記載のAPC調製物のうちの1つ以上を、1以上のサイトカイン又は増殖因子を含む第2の培地と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APCを得ることを含む、項目[140]~[142]のいずれか1項に記載の方法。
[144] 1以上のサイトカイン又は増殖因子が、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、poly I:C、又はこれらの組合せを含む、項目[143]に記載の方法。
[145] 第3の期間の後で、かつ、第4の期間の開始の前に、第2の培地の1以上のサイトカイン又は増殖因子を除去することをさらに含む、項目[143]又は[144]に記載の方法。
[146] APC調製物のAPCが、1以上のサイトカイン又は増殖因子により刺激される、項目[61]~[145]のいずれか1項に記載の方法。
[147] 抗原が、ネオ抗原、腫瘍関連抗原、ウイルス抗原、マイナー組織適合性抗原、又はこれらの組合せである、項目[61]~[146]のいずれか1項に記載の方法。[148] 方法が、ex vivoにおいて実施される、項目[61]~[147]のいずれか1項に記載の方法。
[149] 少なくとも1つの抗原特異的T細胞が、複数の抗原特異的T細胞を含む、項目[61]~[148]のいずれか1項に記載の方法。
[150] 少なくとも1つのAPCと、少なくとも1つのPBMC又は少なくとも1つのT細胞とを含む対象に由来する生物学的試料を得ることを含む、項目[61]~[149]のいずれか1項に記載の方法。
[151] CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得ることを含む、項目[61]~[150]のいずれか1項に記載の方
法。
[152] CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートすることを含む、項目[61]~[151]のいずれか1項に記載の方法。
[153] 少なくとも1つのペプチドを、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を得ることを含む、項目[61]~[152]のいずれか1項に記載の方法。
[154] 第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[61]~[153]のいずれか1項に記載の方法。
[155] 第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共にインキュベートすることが、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せの存在下で実施される、項目[154]に記載の方法。
[156] 第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共にインキュベートすることが、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せの存在下で実施される、項目[155]に記載の方法。
[157] IDO阻害剤が、エパカドスタット、ナボキシモド、1-メチルトリプトファン、又はこれらの組合せである、項目[156]に記載の方法。
[158] 第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[61]~[157]のいずれか1項に記載の方法。
[159] 第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第2のペプチドロードされたAPC試料と共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[61]~[157]のいずれか1項に記載の方法。
[160] 第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[61]~[157]のいずれか1項に記載の方法。
[161] 第1の刺激されたT細胞試料のT細胞をインキュベートすることが、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せの存在下で実施される、項目[158]~[160]のいずれか1項に記載の方法。
[162] 第1の刺激されたT細胞試料のT細胞をインキュベートすることが、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せの存在下で実施される、項目[161]に記載の方法。
[163] IDO阻害剤が、エパカドスタット、ナボキシモド、1-メチルトリプトファン、又はこれらの組合せである、項目[162]に記載の方法。
[164] 第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[61]~[163]のいずれか1項に記載の方法。
[165] 第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第3のペプチドロードされたAPC試料と共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[61]~[163]のいずれか1項に記載の方法。
[166] 第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得ることを含む、項目[61]~[163]のいずれか1項に記載の方法。
[167] 第2の刺激されたT細胞試料のT細胞をインキュベートすることが、IL-7、IL-15、又はこれらの組合せの存在下で実施される、項目[164]~[166]のいずれか1項に記載の方法。
[168] 第2の刺激されたT細胞試料のT細胞をインキュベートすることが、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO)阻害剤、抗PD-1抗体、IL-12、又はこれらの組合せの存在下で実施される、項目[167]に記載の方法。
[169] IDO阻害剤が、エパカドスタット、ナボキシモド、1-メチルトリプトファン、又はこれらの組合せである、項目[168]に記載の方法。
[170] 1以上の別個の期間、3以下の別個の期間、第1の期間、第2の期間、第3の期間、第4の期間、又は第5の期間が、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも13時間、少なくとも14時間、少なくとも15時間、少なくとも16時間、少なくとも17時間、少なくとも18時間、少なくとも19時間、少なくとも20時間、少なくとも21時間、少なくとも22時間、少なくとも23時間、少なくとも24時間、少なくとも25時間、少なくとも26時間、少なくとも27時間、少なくとも28時間、少なくとも29時間、少なくとも30時間、少なくとも31時間、少なくとも32時間、少なくとも33時間、少なくとも34時間、少なくとも35時間、少なくとも36時間、少なくとも37時間、少なくとも38時間、少なくとも39時間、又は少なくとも40時間である、項目[61]~[169]のいずれか1項に記載の方法。
[171] 1以上の別個の期間、3以下の別個の期間、第1の期間、第2の期間、第3の期間、第4の期間、又は第5の期間が、1~4時間、1~3時間、1~2時間、4~40時間、7~40時間、4~35時間、4~32時間、7~35時間、又は7~32時間である、項目[61]~[170]のいずれか1項に記載の方法。
[172] 第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与することを含む、項目[61]~[171]のいずれか1項に記載の方法。
[173] (a)少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)を含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14を発現する細胞を生物学的試料からエンリッチし、これにより、CD14+細胞エンリッチ試料を得;(c)CD14+細胞エンリッチ試料を、少なくとも1つのサイトカイン又は増殖因子と共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14+細胞エンリッチ試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;(e)ペプチドロードされたAPC試料を、1以上のサイトカイン又は増殖因子と共に第3の期間インキュベートし、これにより、成熟APC試料を得;(f)成熟APC試料のAPCを、T細胞を含む、CD14及び/又はCD25、及び/又はCD19を枯渇させた試料と共に第4の期間インキュベートし;(g)T細胞を、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし;(h)T細胞を、成熟APC試料のAPCと共に第6の期間インキュベートし;そして(i)T細胞のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む方法。
[174] (a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのT細胞を含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;(c)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;(e)ペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得;(f)第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のAPCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;(g)任意選択で、第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のAPCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;(h)第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む方法。
[175] (a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのT細胞を含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;(c)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、ペプチドロードされたAPC試料を得;(e)ペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得;(f)任意選択で、第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;(g)任意選択で、第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;(h)第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む方法。
[176] (a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのT細胞を含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;(c)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされたAPC試料を得;(e)第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得;(f)任意選択で、第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第2のペプチドロードされたAPC試料と共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;(g)任意選択で、第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のうちの第3のペプチドロードされたAPC試料と共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;(h)第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む方法。
[177] (a)少なくとも1つのAPC及び少なくとも1つのT細胞を含む対象に由来する生物学的試料を得;(b)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19を発現する細胞を生物学的試料から枯渇させ、これにより、CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を得;(c)CD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料を、FLT3Lと共に第1の期間インキュベートし;(d)少なくとも1つのペプチドを、(c)のCD14及び/又はCD25及び/又はCD19細胞を枯渇させた試料と共に第2の期間インキュベートし、これにより、第1のペプチドロードされたAPC試料を得;(e)第1のペプチドロードされたAPC試料を、少なくとも1つのT細胞と共に第3の期間インキュベートし、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得;(f)任意選択で、第1の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第4の期間インキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;(g)任意選択で、第2の刺激されたT細胞試料のT細胞を、FLT3L、及び成熟APC試料のFLT3L-刺激APCと共に第5の期間インキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;(h)第1、第2、又は第3の刺激されたT細胞試料の少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む方法。
[178] (a)FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、生物学的試料に由来する免疫細胞の集団と共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、免疫細胞の集団と共に第1の期間インキュベートされ、少なくとも1つのペプチドは、免疫細胞の集団と共に第1のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1の刺激されたT細胞試料を得、ここで、免疫細胞の集団は、少なくとも1つのT細胞及び少なくとも1つのAPCとを含み;(b)任意選択で、FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、少なくとも1つのAPCと共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、少なくとも1つのAPCと共に第2の期間インキュベートされ、少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つのAPCと共に第2のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を得;そして、第1のペプチドロードされた成熟APC試料を、第1の刺激されたT細胞試料と共にインキュベートし、これにより、第2の刺激されたT細胞試料を得;(c)任意選択で、FLT3L及び少なくとも1つのペプチドを、少なくとも1つのAPCと共にインキュベートし、ここで、FLT3Lは、少なくとも1つのAPCと共に第3の期間インキュベートされ、少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つのAPCと共に第3のペプチド刺激時間インキュベートされ、これにより、第2のペプチドロードされた成熟APC試料を得;そして、第2のペプチドロードされた成熟APC試料を、第2の刺激されたT細胞試料と共にインキュベートし、これにより、第3の刺激されたT細胞試料を得;そして(d)第1の刺激されたT細胞試料、第2の刺激されたT細胞試料、又は第3の刺激されたT細胞試料のうちの少なくとも1つのT細胞を、それを必要とする対象へ投与する、ことを含む方法。
[179] (a)刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の1以上の細胞マーカーの発現を決定し、そして(b)刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体への結合を決定する、ことを含み;発現の決定及び結合の決定が同時に実施される、前記方法。
[180] 刺激された免疫細胞試料が、ペプチド-MHC複合体を含むAPCにより刺激された免疫細胞の集団を含む、項目[179]に記載の方法。
[181] 免疫細胞の集団が、生物学的試料に由来する、項目[179]又は[180]に記載の方法。
[182] (a)生物学的試料に由来する免疫細胞の集団を、ペプチド-MHC複合体を含むAPCと共にインキュベートし、これにより、刺激された免疫細胞試料を得;(b)刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の1以上の細胞マーカーの発現を決定し;及び(c)刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体への結合を決定する、ことを含み;発現の決定及び結合の決定が同時に実施される、前記方法。
[183] 1以上の細胞マーカーが、TNF-α、IFN-γ、LAMP-1、4-1BB、IL-2、IL-17A、グランザイムB、PD-1、CD25、CD69、TIM3、LAG3、CTLA-4、CD62L、CD45RA、CD45RO、FoxP3、又はこれらの任意の組合せを含む、項目[179]~[182]のいずれか1項に記載の方法。
[184] 刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体への結合を決定することが、刺激された免疫細胞試料の少なくとも1つの免疫細胞の、ペプチド-MHC複合体のペプチド及びMHCを含むMHC4量体への結合の決定を含む、項目[179]~[183]のいずれか1項に記載の方法。
[185] MHCが、クラスI MHC又はクラスII MHCである、項目[179]~[184]のいずれか1項に記載の方法。
[186] ペプチド-MHC複合体が、1以上の標識を含む、項目[179]~[185]のいずれか1項に記載の方法。
[187] 生物学的試料に由来する免疫細胞の集団が、1以上の生物学的試料に由来する免疫細胞の集団をそれぞれ含む2つ以上の試料を含む、項目[179]~[186]のいずれか1項に記載の方法。
[188] 2つ以上の試料が、2つ以上の試料標識により標識される、項目[187]に記載の方法。
[189] 発現の決定及び結合の決定が、蛍光活性化細胞分取(FACS)を含む、項目[179]~[188]のいずれか1項に記載の方法。
[190] 発現の決定及び結合の決定が、単一細胞解析を含む、項目[179]~[189]のいずれか1項に記載の方法。
[191] 発現の決定及び結合の決定が、1以上の細胞マーカーを発現し、かつ、ペプチド-MHC複合体に結合する、免疫細胞の百分率を決定することを含む、項目[179]~[190]のいずれか1項に記載の方法。
[192] 標識がフルオロフォアを含む、項目[186]又は[187]に記載の方法。
[193] 免疫細胞の集団が、項目[1]~[58]のいずれか1項に記載の組成物の免疫細胞の集団を代表する免疫細胞の集団を含む、項目[179]~[192]のいずれか1項に記載の方法。
【実施例】
【0323】
[0410]本開示は、以下の具体例によってより詳細に記載される。以下の例は、例示を目的として提示されるものであり、いかなる形であれ、本発明を限定することは意図されない。当業者は、本発明に従う代替的な実施形態をもたらすように、変化させうるか、又は改変しうる、様々な、それほど重要ではないパラメータをたやすく認識するであろう。本明細書に列挙される全ての特許、特許出願、及び出版刊行物は、その全体が本明細書に援用される。
実施例の概要:
[0411]下記の実施例1及び2は、T細胞製造プロトコールの例(プロトコール1及びプロトコール2)である。例示的プロトコールの概略を
図1A及び
図1Bに示す。実施例21~23は、APCを調製するためのステップと、これらの2つのプロトコールとを描示する。実施例12及び14~16、並びに表2~5は、プロトコール1及び2から得られた結果をまとめる。実施例13は、プロトコールの被験パラメータについて記載する。
【0324】
[0412]実施例3~7及び20は、プロトコール1及びプロトコール2を使用する、CD4
+メモリーT細胞の拡大、及びCD8
+ナイーブT細胞の誘導についての結果の例である。フローサイトメトリー解析の結果は、
図2B、
図5A及び5B、
図7、
図10、並びに
図12~23に示される。
【0325】
[0413]実施例8~11及び16~19は、本明細書で記載される方法を使用して拡大又は誘導されたT細胞の、特異性、表現型、及び/又は機能について評価するのに使用されるアッセイの結果の例である。
図25は、T細胞の製造工程、並びにT細胞の特異性、表現型、及び/又は機能について評価する、これらのアッセイの使用についての一般的な概観を描示する。
【0326】
実施例1 T細胞製造プロトコール1
[0414]本実施例は、
図1に例示されるT細胞製造プロトコール1についての例を提示する。
【0327】
[0415]材料:
DC培地(Cellgenix)
CD14マイクロビーズ、ヒト、Miltenyi:#130-050-201
サイトカイン及び/又は増殖因子
T細胞培地(AIM V+RPMI 1640 glutamax+血清+PenStrep)
ペプチド原液:ペプチド1つ当たり1mMずつ(HIV A02:5つ~10のペプチド、HIV B07:5つ~10のペプチド、DOM:4つ~8つのペプチド、PIN:6つ~12のペプチド)
[0416]ステップ1:DC調製のための単球の単離
1. PBMCの概数を計算して、各ドナーについて予測されるDC収量に基づき、融解させる。
2. PBMCを融解させ、DC培地中に、1mL当たり約1×106~1×108個の細胞を再懸濁させる。
3. ベンゾナーゼ(1:1000希釈率)を添加し、キャップを緩めたインキュベータ内に入れる。
4. 製造元のプロトコールに従い、CD14+単球エンリッチメントを実施する。
5. エンリッチした細胞を、6ウェルプレート内の、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、及びpolyI:Cから選択される1以上のサイトカイン及び/又は増殖因子を伴うDC培地中、ウェル1つ当たり1×105~1×107個で播種する。
【0328】
[0417]ステップ2:ペプチドのローディング及び成熟
1. DCを計数し、実験条件に従い、15mLの試験管に細胞を分割し;条件1つ当たりの細胞1~100万個とする。
2. 1200rpmで5分間スピンし、50~400μLのDC培地中に再懸濁させる。ペプチドを添加し、キャップを緩めたインキュベータ内に0.5~3時間入れる。ペプチド1つ当たり1mMの濃度のペプチドプールについて、体積を計算した。A02(5つのペプチド)及びB07(5つのペプチド)の、ある体積の、各個別のプールを、ウェルごとに、ペプチド1つ当たり0.001~100μMの最終濃度で添加した。
3. 0.5~3時間後、成熟ミックスを含有する200μL~1.5mLのDC培地を添加し、細胞を24ウェルプレートへ移す。
【0329】
成熟ミックスは、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、及びpolyI:Cから選択される1以上のサイトカインを含有する。
【0330】
[0418]ステップ3:長期刺激(LTS)実験の準備
1. 全ての培地をDCプレートのウェルから注意深く除去し、各ウェルを、24ウェル深型ウェルブロックの個別のウェルへ移す。
2. 各ウェルを0.5~3mLのT細胞培地で洗浄し、深型ウェルブロック内でDC培地と組み合わせる。
3. 100μL~2mLのT細胞培地を、各ウェルへ添加する。
4. DCを、1200rpmで5分間スピンダウンする。
5. 全ての上清を除去し、DCを100μL~2mLのT細胞培地中に再懸濁させ、適正なウェルへと移し戻す。
6. PBMCをT細胞培地中で融解させ、IL-7及びIL-15を伴うT細胞培地中、1mL当たりの細胞0.5×106~4×106個で再懸濁させる。
7. 0.5~3mLの調製されたPBMCを、各ウェルへと添加する。
【0331】
[0419]ステップ4:LTSの供給
培地が黄色である場合、グルコースメーターで点検する。グルコースが高濃度を維持す
る場合、ウェルの培養物にIL-7及びIL-15を供給する。グルコースが低濃度である場合、細胞を6ウェルプレート(ウェル1つ当たり4mLずつ)へと拡大し、IL-15及びIL-7を補充する。グルコースが極めて低濃度である場合、6ウェルプレート内のウェル1つ当たり6mLへと拡大する。
【0332】
[0420]ステップ5:LTSの供給
1~4日ごとに培養物に供給し、グルコース濃度が低下する場合は新鮮なIL-15/IL-7を追加し、培養物の体積を必要に応じて拡大する。
【0333】
[0421]ステップ6:再刺激
T細胞を計数し、ペプチドをロードしたDCの新たなバッチ上でステップ3から繰り返す。残りの細胞を解析のために凍結させる。
【0334】
[0422]ステップ7:LTSの供給
1~5日ごとに培養物に供給する。
[0423]ステップ8:再刺激
T細胞を計数し、ペプチドをロードしたDCの新たなバッチ上でステップ3から繰り返す。残りの細胞を解析のために凍結させる。
【0335】
[0424]ステップ9:LTSの供給
1~5日ごとに培養物に供給する。
[0425]ステップ10
T細胞を計数し、解析のために凍結させる。
【0336】
実施例2 T細胞製造プロトコール2
[0426]このプロトコールは、実施例1で記載したプロトコールに対する代替物でありうる。
【0337】
[0427]実施例2は、
図1に例示されるT細胞製造プロトコール(プロトコール2)についての例を提示する。
[0428]材料:
AIM V培地(インビトロジェン)
培地1(RPMI 1640 glutamax+血清+PenStrep)
培地2(AIM V+RPMI 1640 glutamax+血清+PenStrep)
[0429]手順:
[0430]ステップ1:培地2に、1以上のサイトカインを伴う24ウェルプレートの各ウェル内に、PBMC400万個を播種する。1以上のサイトカインは、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、及びpolyI:Cから選択される。
【0338】
[0431]ステップ2:培地2におけるペプチドのローディング及び成熟
1. それぞれのウェル内で、短鎖については0.001~100μMの最終濃度、長鎖については0.001~100μMの最終濃度で、目的の原液ペプチドプール(ペプチドなしの条件を除く)を作り、混合する。
2. 0.5~3時間インキュベートする。
3. 原液成熟カクテルを作り、インキュベーションの後で各ウェルへと添加し、混合する。成熟カクテルは、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、及びpolyI:Cから選択される1以上のサイトカインを含有する。
【0339】
[0432]ステップ3:ヒト血清を、各ウェルへ2.5~20体積%の最終濃度で添加し、混合する。
[0433]ステップ4:培地のうちの50~90%を、IL-7及びIL-15を補充した、新鮮な培地1で、各々、0.005~500ng/mLの最終濃度へと、注意深く置きかえる。
【0340】
[0434]ステップ5:培地のうちの50~90%を、IL-7及びIL-15を補充した、新鮮な培地1で、各々、0.005~500ng/mLの最終濃度へと、1~5日ごとに、注意深く置きかえる。
【0341】
[0435]万一、供給しない日に、ウェルが、橙色~黄色(清明な培地の場合における、グルコースのリードアウト)に変わる場合、既存培地のうちの、25~75%を、新鮮な培地1及びIL-7/IL-15と交換する。
【0342】
[0436]ステップ6:計数し、凍結させる(又は以下のステップへと進んで、T細胞刺激を、プロトコール1の、ステップ8及び/又はステップ10へ導く)。
[0437]ステップ1~ステップ6の培養ステップにおいて、ペプチドをロードされたDCを、プロトコール1の「ステップ1」及び「ステップ2」における手順に従い、並列的に調製することができる。
【0343】
[0438]T細胞を計数し、T細胞を、ペプチドをロードしたDCの新たなバッチで刺激する。残りの細胞を、解析のために凍結させる。T細胞刺激手順は、プロトコール1の「ステップ3」における手順に従い実行することができる。
【0344】
[0439]ステップ7:T細胞を計数し、プロトコール1の「ステップ3」における、T細胞刺激手順を、ペプチドをロードしたDCの新たなバッチ上で繰り返す。残りの細胞を、解析のために凍結させる。
【0345】
[0440]ステップ8:T細胞を計数し、解析のために凍結させる。
実施例3 CD8
+
T細胞の誘導
[0441]ヒトドナーに由来するPBMC試料を使用して、プロトコール1又はプロトコール2に従い、抗原特異的T細胞の誘導を実施した。CD8
+メモリーT細胞及びCD8
+ナイーブT細胞の誘導を、異なるプロトコールを使用して、T細胞を製造した後で解析した。細胞試料は、解析のための異なる時点において、採取することができる。pMHC多量体を使用して、誘導培養物中の、抗原特異的CD8
+T細胞の画分をモニタリングし、コンビナトリアルコーディングを使用することにより、複数のT細胞応答を、並列的に検出するのに使用した。
図2は、プロトコール1(prot.1)及びプロトコール2(prot.2)を使用して、長鎖ペプチド又は短鎖ペプチドにより誘導された、抗原特異的CD8
+メモリーT細胞の画分を示す、例示的な結果を描示する。「バルク」とは、誘導のために使用される、T細胞を含有する試料が、全PBMCであることを指し示す。「Treg
-」とは、誘導のために使用される、T細胞を含有する試料が、CD25を発現する細胞を枯渇させたPBMCであることを指し示す。
図3は、短期の刺激又は誘導(本実施例における培養の長さは、刺激の開始から計算する)の後で、フローサイトメトリーにより解析される、GAS7ペプチドに対して応答した、抗原特異的CD8
+ナイーブT細胞の画分を示す、T細胞応答アッセイの例示的な結果を描示する。抗原特異的メモリーT細胞、及びナイーブPIN特異的T細胞の画分の増大は、短期の刺激の後で観察することができる。
【0346】
実施例4 CD8
+
T細胞の誘導
[0442]CD8
+T細胞の誘導を、異なるプロトコールを使用して、T細胞を製造した後で解析した。誘導されたT細胞を、試験ウェル内の、異なる抗原ペプチドと共にインキュベートし、ペプチドに対して応答したT細胞の画分を、フローサイトメトリーにより解析した。pMHC多量体を使用して、誘導培養物中の、抗原特異的CD8
+T細胞の画分をモニタリングし、コンビナトリアルコーディングを使用することにより、複数のT細胞応答を、並列的に検出するのに使用した。ヒット率を使用して、T細胞が、抗原ペプチドに対して、どのくらい応答性であるのかについて描示することができる。ヒット率は、試験ウェルの総数で除した、陽性応答試験ウェルの数として規定される。実験は、2連で行い、ヒット率は、2連ウェル内で確認した。
図4は、プロトコール1(prot.1)及びプロトコール2(prot.2)を使用する誘導の後で、HIV短鎖ペプチド、PIN(previously identified neoantigen)短鎖ペプチド、又はPIN長鎖ペプチドにより誘導された、CD8
+T細胞の画分を示す結果の例を描示する。「全PBMC」とは、誘導のために使用される、T細胞を含有する試料が、全PBMCであることを指し示す。「CD25
-PBMC」とは、誘導のために使用される、T細胞を含有する試料が、CD25
+細胞を枯渇させたPBMCであることを指し示す。短期的誘導及び長期的誘導の両方が示される。
図6は、2例のヒトドナーに由来するPBMC試料を使用して、長期誘導されたCD8
+T細胞の画分を示す、例示的な結果を描示する。
【0347】
実施例5 CD4
+
T細胞の応答
[0443]PIN(previously identified neoantigen)に対するCD4
+T細胞応答は、ex vivoにおける誘導プロトコールを使用して誘導することができる。本実施例では、CD4
+T細胞応答は、IFNγ産生を、抗原特異的にモニタリングすることにより同定した。
図10は、このようなフローサイトメトリー解析の代表例を示す。最後に、突然変異体ペプチド及び非野生型ペプチドに対する、CD4
+T細胞応答の特異性を、突然変異体ペプチド又は野生型ペプチドを伴う刺激で誘導されたT細胞集団により示した(
図11)。
【0348】
実施例6 ナイーブCD8
+
T細胞の誘導
[0444]ナイーブCD8
+T細胞の誘導は、プロトコール1又はプロトコール2を使用する、T細胞の製造の後で、フローサイトメトリーにより解析した。PBMC試料は、ヒトドナー1又はヒトドナー2に由来し、全PBMC又はCD25枯渇PBMCであった。細胞試料を、
図1におけるプロトコールに従い、短期又は長期にわたる誘導の後で解析した。誘導されたCD8
+T細胞のナイーブCD8
+応答を、異なるペプチドに対して解析し、
図12~23にプロットした。
【0349】
実施例7 CD8
+
ナイーブT細胞の応答
[0445]実施例1におけるT細胞製造プロトコールを使用して、ナイーブコンパートメントからのCD8
+T細胞応答を成功裏に誘導することができる。
図7は、2ラウンドの刺激の後に、健常ドナーにおける突然変異エピトープに対して発生させた、2つのCD8
+T細胞応答についての、代表的なフロープロットを示す。さらに、メモリーコンパートメントからのCD8
+T細胞応答も、高数まで拡大することができる。
図8Aに示される代表例では、最大で3ラウンドにわたる刺激の後、全CD8
+T細胞のうちの、およそ50%は、免疫優性エピトープである、CMV pp65、EBV YVL、EBV BMLF1、及びMart-1に特異的であった。誘導されたCD8
+メモリー応答は、ペプチドリコールアッセイにおいて、多機能性を裏付ける(脱顆粒及びサイトカインの放出、
図8B)。
【0350】
実施例8 T細胞についてのフローサイトメトリー解析
[0446]
図5Aは、プロトコール2を使用して、図に表示される条件下において誘導された、CD8
+ナイーブT細胞のME-1応答についての、例示的なフローサイトメトリー
解析を描示する。
図5Bは、図に表示される条件下において誘導された、CD8
+ナイーブT細胞のME-1応答についての、フローサイトメトリー解析の例を描示する。CD8
+T細胞のうちの12.6%が、長期にわたる誘導の後で、ME-1に特異的であることを観察した。
【0351】
実施例9 誘導されたT細胞についての細胞傷害作用アッセイ
[0447]細胞傷害作用アッセイを使用して、誘導されたT細胞培養物が、発現する腫瘍株を死滅させうるのかどうかについて評価した。本実施例では、生存腫瘍細胞上及び死滅腫瘍細胞上の、活性カスパーゼ3の発現を測定して、早期の細胞死及び死滅腫瘍細胞を定量した。
図9では、誘導されたCD8
+メモリー応答は、発現する腫瘍標的を死滅させることが可能であった。
【0352】
実施例10 作出されたCD8
+
T細胞についての表現型解析
実施例1で作製したCD8+T細胞系は、表現型の発現、サイトカインプロファイル、及び自家標的細胞に対する、特異的細胞傷害活性について特徴づけられうる。表現型の発現を解析するために、各培養物のT細胞1×104~1×106個を、0.1~10%FBS及び0.1%のアジドナトリウムを含有するPBS(FBS-PBS)中で洗浄し、希釈率を1:100とする、蛍光色素で標識した抗体(CD45RA及びCD62L)を含有するFBS-PBS中に再懸濁させることができる。氷上におけるインキュベーションの後、細胞を洗浄し、フローサイトメトリー解析のために固定する。選択されたCD8+T細胞培養物が、CD62Lを発現するが、CD45RAを発現しない場合、多様なペプチドに対するそれらの反応性に関わらず、これは、選択されたT細胞培養物が、CD8+メモリーT細胞サブセットに属することを指し示しうる。
【0353】
実施例11 CD8
+
T細胞によるサイトカイン産生
[0448]CD8+T細胞培養物のサイトカインプロファイルを解析することができる。T細胞培養物には、まず、抗原ペプチドでパルスされた自家APCによりチャレンジする。サイトカインプロファイルは、ELISAキット(ファーミンジェン、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、定量的に決定する。マイクロ滴定プレート(96ウェル、NUNC Maxisorp)を、4℃で、ウェル1つ当たり0.2~4μgのヒトサイトカイン(IL-4、IL-10、TNF-α、IFN-γ)に対する、精製されたマウス捕捉モノクローナル抗体(ファーミンジェン)により、一晩コーティングする。プレートを洗浄し、非特異的結合部位を、10%(w/v)ウシ胎仔血清(FBS)で0.5~3時間飽和させ、その後洗浄した。上清及びサイトカイン標準物質を、PBSで希釈し、2連のウェルに添加する。プレートを、37℃で、1~3時間インキュベートし、その後、PBS-Tにより洗浄する。マッチさせたビオチン化検出抗体を、各ウェルへと添加し、室温で、1~3時間インキュベートする。洗浄の後、アビジンコンジュゲート西洋ワサビペルオキシダーゼを添加し、0.5~3時間インキュベートする。3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB、シグマ)を、発色のための基質として使用する。光学濃度は、ELISAリーダー(バイオ・ラッド ラボラトリーズ、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して、450nmで測定し、サイトカイン濃度は、2重の8点検量線を使用して、マイクロプレート用コンピュータソフトウェア(バイオ・ラッド)により定量する。
【0354】
実施例12 プロトコール1及びプロトコール2:概要
【0355】
【0356】
実施例13 プロトコール1及び2のパラメータ検査
[0449]プロトコールのパラメータを検査するための例示的実験は、プロトコール1を、患者試料中、小スケールで検査することでありうる。プロトコールのパラメータを検査するための、別の例示的実験は、CD4+T細胞及びCD8+T細胞の機能性を検査すること、抗原特異的細胞を分取すること、及び単一細胞RNAseqにより特徴付けることを含む、以前のバッチ内で作出されたT細胞生成物を特徴付けることでありうる。プロトコールのパラメータを検査するための、別の例示的実験は、DC調製時に、poly-ICLC/抗CD40Lの添加について検査し、T細胞のエンリッチメントを定量することでありうる。プロトコールのパラメータを検査するための、別の例示的実験は、誘導されたCD8+ナイーブT細胞応答の機能性について検査することであって、殺滅アッセイにおいて、抗原特異的細胞傷害作用について評価すること、より広範なフローパネルにより、ペプチドリコールアッセイを実施して、分化及び枯渇を測定すること、ヒットのサブセットについて、感度(ペプチド滴定)及び特異度(WT対突然変異体;プールデコンボリュ
ーション)を決定すること、及びCD8+についてエンリッチして、抗原特異的CD4+T細胞に由来する、バイスタンダー効果の可能性を除去することを含む、検査することでありうる。プロトコールのパラメータを検査するための、別の例示的実験は、機能性を精査すること、ヒットのサブセットについて、感度(ペプチド滴定)及び特異度(WT対突然変異体;プールデコンボリューション)を決定すること、分化及び枯渇についてのフローパネルによるリコールアッセイを実施して、表現型を、よりよく理解することでありうる。プロトコールのパラメータを検査するための、別の例示的実験は、抗原特異的T細胞(CD8+メモリー、CD8+ナイーブ、CD4+ナイーブ)を分取し、単一細胞RNAseqによりプロファイリングすることであって、異なる誘導の表現型を比較すること、異なるコンパートメントからの誘導の表現型を比較すること、反応速度を検討することを含む、プロファイリングすることでありうる。
【0357】
実施例14 CD14及び/又はCD25を発現する細胞を枯渇させたT細胞インプットは、CD4
+
及びCD8
+
ナイーブT細胞の誘導を改善する
[0450]下記の表2は、CD14-/CD25-枯渇が、CD8+ナイーブのヒット率を増大させ、一貫したCD4+のヒット率を有しうることを裏付ける、プロトコール1によるT細胞調製法からの結果を示す。
【0358】
【0359】
実施例15 プロトコール1及びプロトコール2の使用により著明に改善される、CD8
+
ナイーブの誘導
[0451]下記の表3A及び3Bは、本明細書で記載される、プロトコール1及びプロトコール2によるT細胞調製法の両方からの結果を示す。2例の被験ヒトドナーにおいて、CD8+ナイーブの誘導は、CD25を発現する細胞の枯渇、又はCD25及びCD14を発現する細胞の枯渇を使用した場合に、CD14を発現する細胞の枯渇を使用する場合と比較して、著明に改善された。CD8+ナイーブの誘導はまた、FLT3L刺激を使用した場合にも、著明に改善された。
【0360】
【0361】
【0362】
実施例16 UV媒介性ペプチド交換アッセイ
[0452]条件つきリガンドの、UV媒介性切断は、時間依存性でありうる。下記に記載した設定で、ペプチド切断は、1分後に検出することができ、およそ15分後に、本質的に完了しうる。条件つきリガンドの、目的のペプチドとの、最適の交換を確実にするには、通常、30~60分間のインキュベーション時間を使用することができる。ニトロフェニル部分及び反応生成物のいずれも、長波長のUV光を吸収しうるので、タンパク質濃度は、UV媒介性切断の速度に影響を及ぼしうる。加えて、経路長も、反応速度に影響しうる。UV曝露時に形成される、空の、ペプチド受容性MHC分子は、目的のMHCリガンドの存在下で、UV媒介性切断を実施することにより、レスキューすることができる。大半
の実験では、MHCに対して、100倍モル過剰量のペプチドを使用する。UV誘導性ペプチド交換は、25μg/mLの、UV感受性MHCクラスI複合体を使用して、規定通りに実施する。しかし、ペプチド交換反応は、最大で100~200μg/mLのMHCクラスI濃度により実施することもできる。
【0363】
[0453]材料:
96ウェルプレート(カタログ番号:651201;V sharp 96ウェルポリプロピレンマイクロプレート、Greiner Bio-one)
2×8W、366nm、長波UV型UVランプ(カタログ番号:022.9115、CAMAG)又は2×15W、365nm、blacklight blue tubesを伴うUvitec tube light(カタログ番号:LI215BLB;寸法:L×W×H=505×140×117mm)を装着された、366nm UVランプ用CAMAG UV Cabinet 3(モデル:022.9070、CAMAG)
マイクロ滴定プレート用の回転子を伴う遠心分離機
[0454]手順:
[0455]1. 96ウェルプレート内の各ウェルへと、以下の試薬を添加する。
【0364】
【0365】
[0456]2. UVランプと、試料との間の距離をおよそ5cmとして、96ウェルプレートを、UVランプ(366nm)下に1時間置く。
[0457]3. プレートを、3,300gで、5分間スピンする。後段の適用のために、100μLの上清を(プレートを、ペレットの移入を回避する角度に保つ)、新たな96ウェルプレートへと移す。
【0366】
実施例17 蛍光色素コンジュゲートpMHC多量体をアセンブルする
[0458]MHCクラスI複合体を、フルオロフォアで標識したストレプトアビジンと共に複合体化させて、T細胞解析のための、MHCクラスI4量体を形成することができる。一般に使用されるフルオロフォアは、アロフィコシアニン及びフィコエリトリンを含み、下記では、これらのコンジュゲートを伴う、MHC多量体の形成について記載する。しかし、T細胞を検出するための、MHC多量体を調製するのに、ストレプトアビジンでコーティングした量子ドットもまた、使用することができる。
【0367】
[0459]材料:
1mg/mLのPE-ストレプトアビジン溶液(カタログ番号:S866、モレキュラープローブ)又は1mg/mLのAPCストレプトアビジン溶液(カタログ番号:S868、モレキュラープローブ)
ウェル1つ当たり100μL中に、25μg/mLのpMHCを含有する、交換されるMHCクラスI複合体を伴うマイクロ滴定プレート。これは、ウェル1つ当たり、2.5μg又は0.05ナノモルのMHCクラスIに対応する。
【0368】
[0460]手順:
[0461]1. PBS中に27μg/mLのストレプトアビジン-PE、又はPBS中に
14.6μg/mLのストレプトアビジン-APCの希釈液を作出し、MHCクラスIの各ウェルに、100μLずつを調製する。
【0369】
[0462]2. 25μLずつ、10分間隔で、4回にわたる逐次的添加により、ストレプトアビジン-PE又はストレプトアビジン-APCを、MHCクラスIへと添加する。
実施例18 MHC多量体のコンビナトリアルコーディング
[0463]UV媒介性MHCペプチド交換
[0464]1. ビオチン化p×MHC複合体の原液を、氷上で融解させる。
【0370】
[0465]2. 目的のビオチン化p×MHC複合体を、PBS中に、200μg/mLへと希釈する。交換反応1回当たり60μLの体積が必要とされる。pMHC複合体を、Qdot585へとコンジュゲートさせるには、交換反応1回当たり80μLが必要とされる。
【0371】
[0466]3. ペプチド原液を、PBS中に、400μMへと希釈する。ペプチド1つ当たり最低70μLずつを調製するが;Qdot585へとコンジュゲートさせるpMHC複合体を作成するのに使用されるペプチドには、ペプチド1つ当たり最低90μLずつを調製する。
【0372】
[0467]4. V字底の96ウェルポリプロピレンマイクロプレート内で、選び出された対立遺伝子を有する、200μg/mLのp×MHC 60μLと、ウェル1つ当たり400μMのペプチド溶液60μLとを混合する(最終濃度:100μg/mLのp×MHC及び200μMのペプチド)。pMHC複合体を、Qdot585へとコンジュゲートさせるには、200μg/mLのp×MHC 80μLと、400μMのペプチド溶液80μLとを混合する。
【0373】
[0468]5. 室温で1時間、96ウェルマイクロプレートを、UV光(約366nm)へと曝露する。UVランプまでの距離は、2~5cmとする。
[0469]6. 3,300g、室温で5分間、プレートを遠心分離する。
【0374】
[0470]7. 休止点が含まれる場合は、ステップ6を繰り返し、2×50μLの上清を、2つの未使用のV字底の96ウェルポリプロピレンマイクロプレートへと移し、それらを氷上に保つ。pMHC複合体を、Qdot585へとコンジュゲートさせるには、2×70μLを移す。凝集物の移入は、潜在的に、最終的なMHC多量体染色のバックグラウンドを増大させるので、底部のペレット(目視できないことが多い)を移さないように注意する。
【0375】
[0471]8. 蛍光色素-ストレプトアビジンコンジュゲートへのコンジュゲーションにより、pMHC単量体を多量体化する。下記に、示差的コンジュゲーションについて記載する:Qdot605-ストレプトアビジン、Qdot625-ストレプトアビジン、Qdot655-ストレプトアビジン、又はQdot705-ストレプトアビジンへのコンジュゲーションのための選択肢A;Qdot585-ストレプトアビジンへのコンジュゲーションのための選択肢B;及びPE-ストレプトアビジン、APC-ストレプトアビジン、又はPE-Cy7-ストレプトアビジンへのコンジュゲーションのための選択肢C。
【0376】
[0472](A)Qdot605-ストレプトアビジン、625-ストレプトアビジン、655-ストレプトアビジン、又は705-ストレプトアビジンへのコンジュゲーション:(i)pMHC単量体50μL当たり、3.5μLのQdot-ストレプトアビジンコンジュゲート(原液濃度1μM)を添加する(66nMの最終濃度まで)。
【0377】
[0473](B)Qdot585-ストレプトアビジンへのコンジュゲーション:(i)pMHC単量体70μL当たり、4.9μLのQdot585-ストレプトアビジンコンジュゲート(原液濃度1μM)を添加する(66nMの最終濃度まで)。
【0378】
[0474](C)PE-ストレプトアビジン、APC-ストレプトアビジン、又はPE-Cy7-ストレプトアビジンへのコンジュゲーション:(i)pMHC単量体50μL当たり、4.6μLのPE-ストレプトアビジンコンジュゲート、APC-ストレプトアビジンコンジュゲート、又はPE-Cy7-ストレプトアビジンコンジュゲート(原液濃度200μg/mL)を添加する(16.8μg/mLの最終濃度まで)。
【0379】
[0475]9. ウェルを混合し、氷上で、30分間放置して、コンジュゲートさせる。
[0476]10. D-ビオチン及びNaN3を、25μMのD-ビオチン及び0.02%(wt/vol)のNaN3の最終濃度まで添加する。20倍の原液(0.4%(wt/vol)のNaN3を伴う500μMのD-ビオチン)2.5μLを、各ウェルへと添加することにより、これを行うが;MHC多量体を、Qdot585へとコンジュゲートさせるためには、3.5μLを、各ウェルへと添加する。ウェルを混合し、氷上において、20分間インキュベートする。
【0380】
[0477]11. 25μMのD-ビオチン及び0.02%(wt/vol)のNaN3を含有する、50μLのPBSをPE、APC、又はPE-Cy7へとコンジュゲートさせたMHC多量体へと添加する(2倍の希釈率)。
【0381】
[0478]12. 異なる複合体を混合する。混合する場合に、Qdot585の、他のあらゆる色複合体に対する、2:1の比を使用する。他の全ての色複合体を、1:1の比で混合する。
MHC多量体によるT細胞染色
[0479]13. 27色全ての組合せについて、MHC多量体を混合して、使用準備のできた1例ずつの試料を得、これを、4℃、3,300gで、5分間遠心分離し、上清を移す。各T細胞染色のために、合計で、54μLの上清が要求される(すなわち、ミックス中に存在する、各個別のpMHC複合体について、2μLずつ)。
【0382】
[0480]14. PBMC試料(又は他の適切なT細胞試料)を融解させ、それらを、RPMIで、2回洗浄する。融解時に、DNアーゼで処置して、細胞の固着を低減する(例えば、細胞を、0.025mg/mLのPulmozyme及び2.5mMのMgCl2を含有する培地中で融解させることにより)ことが推奨される。
【0383】
[0481]15. 細胞を、2%(vol/vol)のFBS(FACS緩衝液)を伴うPBS中に再懸濁させ、これらを、96ウェルポリスチレンU字底マイクロプレートへと、ウェル1つ当たり200μLずつのFACS緩衝液中の細胞、最大で3×106個で分配する。
【0384】
[0482]16. プレートを、490g、室温で、5分間スピンする。
[0483]17. プレートを、上下逆にして軽く叩くことにより、緩衝液を廃棄する(細胞は、ウェルの底部に、ペレットとして残される)。
【0385】
[0484]18. ステップ13によるMHC多量体54μLを添加し、よく混合する。
[0485]19. 37℃で、15分間インキュベートする。
[0486]20. プレートを、氷上へと移動させ、5倍濃度の原液からの抗体ミックス20μLを添加する。
【0386】
[0487]21. 希釈率を40倍とする近赤外線死細胞染料4μLを添加し、よく混合する。
[0488]22. 氷上で30分間インキュベートする。
【0387】
[0489]23. プレートを、490g、4℃で、5分間スピンする。
[0490]24. プレートを、上下逆にして軽く叩くことにより、上清を廃棄する。
[0491]25. FACS緩衝液200μLで、2回洗浄する(490g、4℃で、5分間ずつ、2回遠心分離し、各スピンの後で、プレートを、上下逆にして軽く叩いて、上清を除去する)。
【0388】
[0492]26. ペレットを、50~100μLのFACS緩衝液中に再懸濁させ、これを、1.4mL又は5mLのFACS用試験管へと移す。こうして、試料は、フローサイトメーター上の取得の準備ができた。
単色補正(compensation)対照
[0493]27. 100μLのFACS緩衝液と、1滴の陰性補正ビーズとを、11本のFACS試験管へと添加する(番号:1~11)。
【0389】
[0494]28. 1滴の抗マウスIg-κ補正ビーズを、ステップ27による試験管1~10へと添加し、1滴のArCアミン反応性ビーズを、新たな試験管へと添加する(番号:12)。
【0390】
[0495]29. 1mg/mLの抗CD8-ビオチン5μLを、試験管1~8へと添加し、混合する。
[0496]30. 試験管1~8を、氷上で20分間インキュベートする。
【0391】
[0497]31. 試験管1~8を、2mLずつのFACS緩衝液で、2回洗浄する(490g、4℃で、5分間ずつ遠心分離する)。
[0498]32. 1μLの近赤外線死細胞染料を、試験管12(ステップ28による)へと添加し;暗所内、室温で30分間、混合及びインキュベートする。
【0392】
[0499]33. ストレプトアビジン-蛍光色素コンジュゲートを、10倍に希釈し(Qdot585を除く)、5μLずつを、試験管1~7へと添加し、1μLの非希釈Qdot585-ストレプトアビジンを、試験管8へと添加し、次いで、暗所内、氷上で20分間インキュベートする。
【0393】
[0500]34. 5μLのFITC抗体(ダンプチャネル抗体のうちの1つを使用する)又は5μLのAlexa Fluor 700抗CD8a抗体を、試験管9及び10(ステップ28による)へと添加し;暗所内、氷上で20分間インキュベートする。
【0394】
[0501]35. 試験管1~11を、2mLずつのFACS緩衝液で、2回洗浄し、試験管12を、2mLずつのPBSで、2回洗浄する(490g、4℃で、5分間遠心分離する)。
【0395】
[0502]36. 全ての試験管を、150μLのFACS緩衝液中に再懸濁させる。1滴のArCアミン反応性ビーズを、試験管12へと添加し、混合する。補正(compensation)対照は、フローサイトメーター上の取得の準備ができた。
ゲーティング戦略
[0503]37. まず、リンパ球にゲートをかけ、その後、単一細胞(FSC-α、FSC-W)、生細胞、ダンプチャネル陰性細胞、及びCD8+細胞にゲートをかける。
【0396】
[0504]38. 8つの異なるMHC多量体チャネル内の、陽性のイベントを規定する、個別のゲートをかける。
[0505]39. 8つのMHC多量体陽性のゲートを反転させ、各MHC多量体チャネルについて、CD8+及びMHC多量体陰性細胞を選択する、8つのゲートを得る。
【0397】
[0506]40. 2つのMHC多量体陽性集団についてのゲートを、他の6つのMHC多量体集団の各々についての反転ゲートと交差させる。このゲートの組合せは、2つであり、2つだけのMHC多量体チャネル内で陽性であるCD8+細胞を選択する(すなわち、細胞が、1つ又は3つ若しくはこれを超えるMHC多量体チャネル内で、陽性である場合、これをゲートから外す)。このようなゲートの例は、PE+及びAPC+及びPE-Cy7-及びQdot585-及びQdot605-及びQdot625-及びQdot655-及びQdot705-である。
【0398】
[0507]41. これらの交差ゲート(ステップ40に記載する)を、MHC多量体の、28全ての可能な2色の組合せについて作成する。
[0508]42. ステップ41による、28のゲート全てを接続する(例えば、ゲート1又はゲート2又は・・・又はゲート28)。
【0399】
[0509]43. ステップ39による、8つの反転ゲートを交差させる(PE-及びAPC-及びPE-Cy7-及びQdot585-及びQdot605-及びQdot625-及びQdot655-及びQdot705-)。
【0400】
[0510]44. ステップ42及び43による2つのゲートを接続する。
[0511]45. 全ての可能な2色コードを伴い、ステップ44においてゲートをかけられたイベントを示す、28のドットプロットを作成する。これらのプロットは、全てのMHC多量体について陰性であるか、又は2つのMHC多量体について陽性であるCD8+細胞だけを示し;全てのバックグラウンドイベントは、ゲートから外す。
【0401】
[0512]46. また、全ての可能な2色コードを伴い、全てのCD8+細胞を示す、28のドットプロットも作成する。これらのプロットは、試料中のバックグラウンドレベルを良好に指し示し、また、不適切な補正を明らかにするのにも使用されうる。応答を、バックグラウンドから分離するために、これらの「非ゲーティング」プロットを、ゲーティングプロットと比較することが推奨される。これは、とりわけ、低強度集団について重要でありうる。
【0402】
実施例19 蛍光細胞バーコード化ホスホフロー
[0513]細胞のバーコード化を使用して、フローサイトメトリーにより、マルチプレックスの表現型解析及び機能解析を実施することができる。ホスホフローは、FCBによる標識付けを含む、わずかな改変により実施することができる。ホルムアルデヒドによる固定の後、試料を、表示濃度のAlexa Fluor又はPacific Blueのスクシンイミジルエステルを含有する、100%、20~25℃のメタノール(典型的に、細胞106個当たり500μL)中に再懸濁させると、各試料は、異なる濃度の蛍光色素を受け取る。場合によって、試料を、メタノール中に再懸濁させ、次いで、DMSO中に溶解させた(典型的に、1:50の希釈率で)FCBフルオロフォアを添加する。これは、96ウェルプレートによる実験に必要な、DMSO中の、FCB染色マトリックスの、あらかじめの調製及び保管を可能とするように行うことができる。20~25℃で、15分間にわたる標識付けの後、細胞を、染色培地(0.5%のBSAと、0.02%のアジドナトリウムとを含有する、リン酸緩衝生理食塩液(pH7.0))で、2回洗浄する。4℃以下で標識付けすることは、極めて低度の標識付け強度をもたらし、FCB染色レベルの上昇を伴わずに、試料の、メタノール染色溶液中、-80℃における保管を可能とする。
【0403】
[0514]示差的に標識された試料は、1つのFACS試験管又はウェルへと組み合わせ、結果として得られる体積が、100μLを超える場合は、再度ペレット化させる。組み合わされたバーコード化試料(典型的に、100μL)を、リン酸化特異的抗体及び/又は表面マーカー抗体で染色し、洗浄し、フローサイトメトリーにより解析する。フローサイトメトリーは、405nm、488nm、及び633nmのレーザー、並びに製造元のストックフィルターを装備した、BD LSR2フローサイトメーター上で、Cascade Yellowのための、405nmの8角形バンドパスフィルターを、Quantum Dot 605を検出するための610/20バンドパスフィルターで置きかえて実施することができる。
【0404】
実施例20 CD4
+
ナイーブの誘導
[0515]PINペプチドを使用して、プロトコール1及び2を実行した。抗原特異的CD4+ナイーブの誘導を評価した。結果は、下記の表4に見ることができる。
【0405】
【0406】
実施例21 製造工程:DCの導出
【0407】
【0408】
実施例22 T細胞誘導プロトコール1
[0516]T細胞の誘導#1
【0409】
【0410】
[0517]T細胞の誘導#2
【0411】
【0412】
[0518]T細胞の誘導#3
【0413】
【0414】
[0519]採取及び低温保存
【0415】
【0416】
実施例23 T細胞誘導プロトコール2
[0520]T細胞の誘導#1
【0417】
【0418】
[0521]T細胞の誘導#2
【0419】
【0420】
[0522]T細胞の誘導#3
【0421】
【0422】
[0523]採取及び低温保存
【0423】
【0424】
実施例24 マルチプレックス、マルチパラメータのフローサイトメトリーを使用する、CD4
+
及びCD8
+
ネオ抗原特異的T細胞応答の同時的検出及び機能的特徴付け
[0524]タンパク質をコードする遺伝子配列を変更する体細胞突然変異に由来するがん細胞内で生じるネオ抗原は、免疫療法のための魅力的標的として出現しつつある。ネオ抗原は、健常組織と対照的に、腫瘍細胞上で、固有に発現され、免疫系により、外来抗原として認識されて、免疫原性を増大させることがある。養子細胞療法における使用のための、ネオ抗原反応性T細胞生成物を作出する、ex vivoにおける、複数のラウンドのT細胞刺激を介して、患者特異的ネオ抗原に対する、メモリーCD4+及びCD8+T細胞応答並びにデノボCD4+及びCD8+T細胞応答を惹起するための、T細胞製造工程を開発した。刺激されたT細胞生成物の詳細な特徴付けを使用して、これらの工程が利用する、多くの潜在的な変数について調べることができる。
【0425】
[0525]T細胞の機能性及び/又は特異性についてプローブするために、抗原特異的T細胞応答を、同時に検出し、それらの大きさ及び機能を特徴付けるアッセイを開発した。このアッセイは、以下のステップを用いた。まず、T細胞-APC共培養物を使用して、抗原特異的T細胞内の反応性を誘発した。任意選択で、蛍光細胞バーコード化を使用する、試料のマルチプレックス化を用いた。抗原特異的CD8
+T細胞を同定し、T細胞の機能性について検討するために、FACS解析を使用して、ペプチド-MHC多量体の染色、並びにマルチパラメータの、細胞内及び/又は細胞表面の細胞マーカーの染色について、同時にプローブした。この最新式結アッセイの結果は、健常ドナーから誘導されたT細胞応答について研究するための、その適用を裏付けた。ペプチドに対して誘導されるネオ抗原特異的T細胞応答は、健常ドナーにおいて同定した。誘導されたT細胞応答の大きさ、特異性、及び機能性もまた比較した。
図25及び
図26は、T細胞試料についての、細胞マーカープロファイル及びMHC4量体染色の同時的解析のための例示的工程について描示する。
【0426】
[0526]略述すると、異なるT細胞試料を、異なる濃度の、異なる蛍光色素でバーコード化した(例えば、実施例19を参照されたい)。各試料は、異なる濃度の蛍光色素、又は異なる濃度の、複数の色素の組合せを受け取った。試料を、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)中に再懸濁させ、次いで、DMSO中に溶解させた(典型的に、1:50の希釈率で)フルオロフォアを、5μMの最大最終濃度まで添加した。37℃で、5分間にわたる標識付けの後、タンパク質含有培地(例えば、10%のプールされたヒトAB型血清を含有するRPMI培地)を添加することにより、過剰な蛍光色素を消光させた。固有にバーコード化されたT細胞培養物に、上記で記載した、抗原ペプチドでパルスされた自家APCによりチャレンジした。
【0427】
[0527]示差的に標識された試料は、1つのFACS試験管又はウェルへと組み合わせ、結果として得られる体積が、100μLを超える場合は、再度ペレット化させる。組み合わされたバーコード化試料(典型的に、100μL)を、LAMP-1を含む表面マーカー抗体で染色し(例えば、実施例11を参照されたい)、アセンブルされた蛍光色素コンジュゲートペプチド-MHC多量体(例えば、上記の実施例17及び18を参照されたい)と共にインキュベートした。固定及び透過化の後、試料を、加えて、TNF-α及びIFN-γを標的とする抗体で、細胞内染色した。
【0428】
[0528]次いで、組み合わされた、バーコード化T細胞試料についての、細胞マーカープロファイル及びMHC4量体染色を、フローサイトメーター上で、フローサイトメトリーにより、同時に解析した。T細胞試料についての、細胞マーカープロファイルと、MHC4量体染色とを、個別に解析する、他の方法と異なり、本実施例で記載される、T細胞試料についての、細胞マーカープロファイルと、MHC4量体染色との同時的解析は、抗原特異的であり、かつ、細胞マーカーの染色を増大させたT細胞の百分率についての情報を提示する。T細胞試料についての、細胞マーカープロファイルと、MHC4量体染色とを、個別に解析する、他の方法は、抗原特異的である、試料のT細胞の百分率を決定し、細胞マーカーの染色を増大させたT細胞の百分率を、個別に決定することから、これらの頻度の相関を可能とするにとどまる。本実施例で記載される、T細胞試料についての、細胞マーカープロファイルと、MHC4量体染色との同時的解析は、抗原特異的T細胞の頻度と、細胞マーカーの染色を増大させたT細胞の頻度との相関に依拠せず、抗原特異的であり、かつ、細胞マーカーの染色を増大させたT細胞の頻度を提示する。本実施例で記載される、T細胞試料についての、細胞マーカープロファイルと、MHC4量体染色との同時的解析は、単一細胞レベルにおける、抗原特異的であり、かつ、細胞マーカーの染色を増大させた細胞の決定を可能とする。
【0429】
[0529]所与の誘導工程の成功について査定するために、リコール応答アッセイに続き、マルチプレックス、マルチパラメータのフローサイトメトリーパネル解析を使用した。誘導培養物から採取された試料を、固有の2色蛍光細胞バーコードで標識した。標識された細胞を、抗原をロードされたDC上又はロードされていないDC上で、一晩インキュベートして、抗原特異的細胞内の機能応答を刺激した。翌日、固有に標識された細胞を、下記の表に従い、抗体及び多量体による染色の前に組み合わせた。
【0430】
【0431】
[0530]個別に、又は混合物として取得された標識試料により、マルチプレックス試料を、完全にデコンボリュートする能力を決定した(
図27A)。固有に標識された試料を、他のバーコードとの、交差汚染を最小として~交差汚染を伴わずに分解することができた。多量体染色による、抗原特異的CD8
+T細胞の検出は、試料のマルチプレックス化により維持した。CMV pp65、EBV BRLF1、EBV BMLF1、及び/又はMART-1に特異的な、約20%のCD8
+T細胞を含有する誘導培養物の試料を分割し、9つの固有の2色バーコードで標識し、次いで、同じ2色の組合せ(ブリリアントバイオレット650[BV650]及びフィコエリトリン[PE])で、4つの特異性全てを標的とする、4量体による染色のために組み合わせた(
図27B)。9つのバーコード全ては、同等な4量体染色パターンをもたらし、4量体
+細胞の頻度を検出した。
【0432】
[0531]デノボCD4
+T細胞応答を含有する、2つの誘導培養物の試料はまた、リコール応答アッセイにおいて、バーコード化を伴わずに単独で、又は無関係の試料と混合しても解析した(
図28A及び
図28B)。細胞から誘発される応答の機能及び大きさの数は、試料のバーコード化により、著明には変化しなかった。
【0433】
[0532]誘導されたCD8
+メモリー応答の特異性及び機能性についての同時的解析は、CMV pp65、MART-1、並びにEBVBRLF1及びBMLF1のエピトープに対するCD8
+メモリー応答を、出発健常ドナー素材中のCD8
+T細胞のうちの、0
.23%から、>60%へと引き上げうることを裏付けた(
図29A)。
【0434】
[0533]CD8
+多量体
+細胞にあらかじめゲートをかけることにより、抗原特異的T細胞の機能を、選択的に精査した(
図29B)。細胞は、抗原をロードされたDCへの曝露時において、細胞傷害機能(表面におけるCD107aへの曝露)及びIFNγの分泌を呈した。
【0435】
[0534]同じ培養物中で、複数の特異性を伴う、デノボで誘導されたCD4
+応答の検出及び機能的特徴付けもまた裏付けられた。抗原特異的機能性は、誘導されたCD4
+T細胞応答を同定するのに利用された(
図30A)。示される例では、誘導は、HIV陰性健常ドナーにおけるナイーブ標的である、10のHIV由来エピトープを標的とする、4回の反復培養において実施された。抗原特異的応答は、4回の生物学的反復全てにおいて検出された。検出された応答のうちの3つは、誘導された応答の特異性を同定する、プールデコンボリューションによる、さらなる追跡のために選択された(
図30B)。各反復試験では、複数の応答が検出され、各場合に、同じ2つのエピトープ(HIV#5及びHIV#7)が、大きさが最大の応答を誘導した。いかなる理論にも束縛されることを望まずに述べると、これは、MHCクラスIIハプロタイプに起因する、このドナーにおける、これらのエピトープの大きな免疫原性、又はナイーブレパートリー中の、これらのエピトープを標的とするT細胞の、大きな前駆体頻度を反映しうる。抗原に対する感受性は、DCローディング時のペプチド滴定により、3つの選択された応答について決定された(
図30C)。HIV#5、HIV#6、及びHIV#4に対する応答は、それぞれ、0.45μM、0.43μM、及び9.1μMのEC
50を裏付けた。
【0436】
実施例25 T細胞製造プロトコール3
[0535]材料:
[0536] AIM V培地(インビトロジェン)
[0537]ヒトFLT3L、前臨床グレード、CellGenix製、#1415-050;50ng/μL原液
[0538]TNF-α、前臨床グレード、CellGenix製、#1406-050;10ng/μL原液
[0539]IL-1β、前臨床グレード、CellGenix製、#1411-050;10ng/μL原液
[0540]PGE1又はアルプロスタジル:チェコ共和国、Cayman製;0.5μg/μL原液
[0541]R10培地:RPMI 1640 glutamax+10%ヒト血清+1%PenStrep
[0542]20/80培地:18%AIM V+72%RPMI 1640 glutamax+10%ヒト血清+1%PenStrep
[0543]IL7;5ng/μL原液
[0544]IL15;5ng/μL原液
[0545]手順:
[0546]ステップ1:2mLのAIM V培地中にFLT3Lを伴う、24ウェルプレートの各ウェルに、500万個のPBMC(又は目的の細胞)を播種する。
【0437】
[0547]ステップ2:ペプチドのローディング及び成熟(AIM V中の)
[0548]1. それぞれのウェル内で、目的のペプチドプール(ペプチドなしの条件を除く)を、PBMC(又は目的の細胞)と混合する。
【0438】
[0549]2. 1時間インキュベートする。
[0550]3. インキュベーションの後で、成熟カクテル(TNF-α、IL-1β、P
GE1、及びIL-7を含む)を、各ウェルへと添加(mix)する。
【0439】
[0551]ステップ3:ヒト血清を、各ウェルへと、10体積%の最終濃度で添加し、混合する。
[0552]ステップ4:培地を、IL7+IL15を補充した、新鮮なRPMI+10%HS培地で置きかえる。
【0440】
[0553]ステップ5:インキュベーション期間中、1~6日ごとに、培地を、IL7+IL15を補充した、新鮮な20/80培地で置きかえる。
[0554]ステップ6:2mLのAIM V培地中にFLT3Lを伴う、未使用の6ウェルプレートの各ウェルに、500万個のPBMC(又は目的の細胞)を播種する。
【0441】
[0555]ステップ7:再刺激のためのペプチドのローディング及び成熟(未使用のプレート)
[0556]1. それぞれのウェル内で、目的のペプチドプール(ペプチドなしの条件を除く)を、PBMC(又は目的の細胞)と混合する。
【0442】
[0557]2. 1時間インキュベートする。
[0558]3. インキュベーションの後で、成熟カクテルを、各ウェルへと添加(mix)する。
【0443】
[0559]ステップ8:再刺激:
[0560]1. 第1の刺激FLT3L培養物を計数し、500万個の培養細胞を、未使用の再刺激プレートへと添加する。
【0444】
[0561]2. 培養物の体積を、5mL(AIM V)とし、500ulのヒト血清(10体積%)を添加する。
[0562]ステップ9:3mlの培地を除去し、IL7+IL15を補充した、6mlのRPMI+10%HS培地を添加する。
【0445】
[0563]ステップ10:培地のうちの75%を、IL7+IL15を補充した、新鮮な20/80培地で置きかえる。
[0564]ステップ11:必要な場合、再刺激を繰り返す。
【0446】
実施例26 T細胞製造プロトコール3を使用する実験データ
[0565]T細胞製造プロトコール3を使用して、T細胞を調製し、刺激されたT細胞を解析した。試料は、2例の、黒色腫を有する患者から得た。実施例24で記載した、同様のアッセイを使用して、T細胞を解析した。
図34は、2例の、黒色腫を有する患者から誘導された、CD8
+T細胞応答を定量化する、pMHC多量体プロットを示す。本明細書で使用されるNEO-STIMは、T細胞製造プロトコールを指す。
図35は、1つ、2つ、3つ、又は4つの機能の組合せにより示される、黒色腫を伴う患者において誘導された、メモリー応答及びデノボ応答についての、多機能プロファイルのデータを示す。1以上の機能は、IFNγ、TNFα、CD107a、及び4-1BBから選択される、1以上の因子の産生である。
図36は、黒色腫を伴う患者において、突然変異ペプチド及び野生型ペプチドに対して誘導される、メモリー応答及びデノボ応答の特異性を示す。
図37A及び37B及び37Cは、CD8
+CD107a
+T細胞(上パネル)の頻度により定量される、黒色腫を伴う患者において誘導されるメモリー応答及びデノボ応答についての、細胞傷害プロファイルを示す。
図37A及び37B及び37Cの下パネルは、aCAS3
+腫瘍細胞の頻度により定量される、これらのT細胞応答による、標的細胞の殺滅を示す。
図38Aは、黒色腫患者における、ネオ抗原特異的CD4
+T細胞応答の同定を示す。
図38Bは、
図38Aで同定された、これらのCD4
+T細胞応答の、突然変異ペプチド及び野生型ペプチドに対する特異性を示す。
図38Cは、1つ、2つ、3つ、又は4つの機能の組合せにより示される、これらのCD4
+T細胞応答についての、多機能プロファイルを示す。1以上の機能は、IFNγ、TNFα、CD107a、及び4-1BBから選択される、1以上の因子の産生である。
【0447】
実施例27 T細胞製造プロトコール1又は2を使用する実験データ
[0566]T細胞は、T細胞製造プロトコール1を使用して、又は、代替物として、プロトコール2を使用して調製した。実施例24で記載した、同様のアッセイを使用して、刺激されたT細胞を解析した。
図39は、1つ、2つ、又は3つの機能(例えば、1以上の機能は、IFNγ、TNFα、及びCD107aから選択される、1以上の因子の産生である)の組合せにより示される、エパカドスタットの添加を伴うか、又は伴わずに、2例の健常ドナー(例えば、HD66及びHD63)において誘導された、メモリー応答の機能性を示す。
図40は、エパカドスタットの添加を伴うか、又は伴わずに、6回の反復誘導において誘導されたデノボCD8
+T細胞応答(4例の健常ドナーで平均した「ヒット率」)のパーセントを示す。
図41Aは、PD-1遮断抗体の添加を伴うか、又は伴わずに、本明細書で提示されるT細胞製造プロトコールによる誘導の後における、ドナーHD55からの抗原特異的細胞の絶対数を示す。
図41Bは、PD-1遮断抗体の添加を伴うか、又は伴わずに、本明細書で提示されるT細胞製造プロトコールによる誘導の後における、ドナーHD67からの抗原特異的細胞の絶対数を示す。
図42Aは、IL-12の添加を伴うか、又は伴わない、デノボCD8
+T細胞応答のうちの、pMHC
+CD8
+T細胞の画分を示す。
図42Bは、IL-12の添加を伴うか、又は伴わない、デノボCD8
+T細胞応答のうちの、CD8
+T細胞の百分率を示す。
【0448】
実施例28 患者特異的なネオ抗原の使用に対して誘導された免疫応答についての精密な特徴付け
[0567]バイオインフォマティクスエンジンを使用して、患者特異的ネオ抗原を予測した。予測されるネオ抗原をカバーする合成長鎖ペプチドを、刺激プロトコールにおける免疫原として使用して、免疫原性能について評価した。刺激プロトコールは、これらのネオ抗原をコードするペプチドを、患者由来APCへと供給し、次いで、これを、患者由来T細胞と共に共培養して、ネオ抗原特異的T細胞をプライミングすることを伴う。
【0449】
[0568]複数ラウンドの刺激を、刺激プロトコールに組み込んで、メモリーT細胞応答及びデノボT細胞応答をプライミングし、活性化させ、拡大する。これらのネオ抗原特異的T細胞の特異性、表現型及び機能性は、以下のアッセイで、これらの応答を特徴付けることにより解析した:pMHC多量体を使用するコンビナトリアルコーディング解析を使用して、複数のネオ抗原特異的CD8+T細胞応答を検出した。マルチプレックス、マルチパラメータのフローサイトメトリーを使用するリコール応答アッセイを使用して、CD4+T細胞応答を同定及び検証した。CD8+及びCD4+T細胞応答の機能性は、IFN-γ及びTNFαを含む炎症促進性サイトカインの産生、並びに脱顆粒のマーカーとしての、CD107aの上方制御を測定することにより評価した。天然でプロセシングされ、提示された抗原に応答して、標的細胞を認識し、死滅させる、CD8+T細胞応答の能力を理解するためにネオ発現する腫瘍株を使用する細胞傷害作用アッセイを使用した。細胞傷害作用は、T細胞上の細胞表面における、CD107aの上方制御と、ネオ発現する腫瘍細胞上における、活性カスパーゼ3の上方制御とにより測定した。本研究では、黒色腫患者試料(NV6及びNV10)は、IRBによる承認下で得た。
【0450】
[0569]刺激プロトコールは、既存のCD8+T細胞応答の拡大のほか、デノボCD8+T細胞応答の誘導においても成功した(表1)。
【0451】
【0452】
[0570]黒色腫患者であるNV10に由来するPBMCを使用して、既存のCD8
+T細胞応答の、CD8
+T細胞のうちの4.5%から、CD8
+T細胞のうちの72.1%への拡大を観察した(SRSF1
E>K)。さらに、刺激プロトコールは、患者特異的ネオ抗原に対する、2つの仮定されるデノボCD8
+T細胞応答の誘導において有効であった(ARAP1
Y>H:CD8
+T細胞のうちの6.5%、及びPKDREJ
G>R:CD8
+T細胞のうちの13.4%;刺激過程の前に、細胞は検出可能でなかった)(
図34)。刺激プロトコールは、別の黒色腫患者であるNV6に由来するPBMCを使用して、既に記載されたネオ抗原及び新規のモデルとなるネオ抗原の両方に対する、最大で変動する大きさの、7つのデノボCD8
+T細胞応答の誘導に成功した(ACTN4
K>N、CSNK1A1
S>L、DHX40neoORF 7、GLI3
P>L、QARS
R>W、FAM178B
P>L、及びRPS26
P>Lの範囲:CD8
+T細胞のうちの0.2%~CD8
+T細胞のうちの52%)。加えて、患者特異的ネオ抗原に対する、CD8
+メモリーT細胞応答も拡大された(AASDHneoORF、刺激後における、最大でCD8
+T細胞のうちの13%)。
【0453】
[0571]患者NV10から誘導されたCD8
+T細胞を、より詳細に特徴づけた。突然変異体ペプチドをロードされたDCによりリチャレンジしたところ、ネオ抗原特異的CD8
+T細胞は、1つ、2つ、及び/又は3つ全ての機能を呈した(SRSF1
E>K及びARAP1
Y>Hのそれぞれについて、16.9%及び65.5%の、機能的なCD8+pMHC+T細胞)(
図35)。
【0454】
[0572]異なる濃度のネオ抗原ペプチドによりリチャレンジしたところ、誘導されたCD8
+T細胞は、突然変異体ネオ抗原ペプチドへと、著明に応答したが、野生型ペプチドには応答しなかった(
図36)。
【0455】
[0573]患者NV10では、CD4
+T細胞応答は、突然変異体ネオ抗原をロードされたDCによる、リコール応答アッセイを使用して同定した(
図38A~38C)。3つのC
D4
+T細胞応答(MKRN1
S>L、CREBBP
S>L、及びTPCN1
K>E)は、突然変異体ネオ抗原ペプチドをロードされたDCへの反応性に基づき同定した。これらのCD4
+T細胞応答はまた、突然変異体ネオ抗原ペプチドによりリチャレンジしたところ、多機能プロファイルも示した。CD4
+T細胞のうちの、31.3%、34.5%、及び41.9%が、1つ、2つ、及び/又は3つの機能;それぞれ、MKRN1
S>L応答、CREBBP
S>L応答、及びTPCN1
K>E応答を呈した。
【0456】
[0574]患者NV10から誘導されたCD8
+応答の細胞傷害能もまた評価した(
図37A~37C)。SRSF1
E>K応答及びARAP1
Y>H応答のいずれも、CD8
+T細胞上のCD107a、及び共培養の後に、突然変異体構築物を形質導入された腫瘍細胞上の活性カスパーゼ3の、有意な上方制御を示した。
【0457】
[0575]刺激プロトコールを使用して、患者素材における、複数のネオ抗原特異的CD8+及びCD4+T細胞応答の誘導により、予測される患者特異的ネオ抗原のほか、モデルとなるネオ抗原も、免疫原性であることを確認した。多機能的かつ突然変異体特異的な、CD8+及びCD4+T細胞応答を誘導する能力は、高品質のネオ抗原を予測し、強力なT細胞応答を発生させる能力を実証する。刺激工程の終了時における、複数の、エンリッチされたネオ抗原特異的T細胞集団(メモリー及びデノボ)の存在は、新たなT細胞応答を惹起し、がん患者を処置し、有効ながん免疫療法を作出する能力を裏付ける。