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特許7420863非付着性構造を接続するためのシステム、方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】非付着性構造を接続するためのシステム、方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20240116BHJP
   A61B 17/03 20060101ALI20240116BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20240116BHJP
   A61F 2/94 20130101ALI20240116BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20240116BHJP
【FI】
A61B17/11
A61B17/03
A61B17/34
A61F2/94
A61F2/95
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022073098
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2020528253の分割
【原出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2022093464
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】62/616,217
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バロン、トッド
(72)【発明者】
【氏名】デイトン、ピーター エル.
(72)【発明者】
【氏名】バノン、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ワイツナー、バリー
(72)【発明者】
【氏名】デシミオ、トーマス
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0296257(US,A1)
【文献】特表2016-507333(JP,A)
【文献】特表2017-521223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
A61F 2/94
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化器官の第1区域と第2区域との間に吻合を形成するためのシステムにおいて、
内部を通って延びるワーキングチャネルを有するとともに前記第1区域の標的部位である第1標的部位に延びるように構成されている第1長尺状部材と、
内部を通って延びるワーキングチャネルを有するとともに前記第2区域の標的部位である第2標的部位に配置されるように構成されている第2長尺状部材と、
前記第1長尺状部材のワーキングチャネルを通って延びるとともにループを備えた遠位端部と前記第1区域内での位置決めをするための近位端部とを有する第1可撓性長尺状部材と、
前記第2長尺状部材のワーキングチャネルを通って延びるとともに遠位端部に前記第2区域から前記第1区域に延びるように構成された結合要素を含む第1可撓性要素と、を備え、
前記第1可撓性要素の遠位端部に位置する前記結合要素は前記第1可撓性長尺状部材の遠位端部に位置する前記ループを通過して前記第1可撓性要素を前記第1可撓性長尺状部材に結合し、前記第1区域と前記第2区域とを接続するように構成されており、
前記第1可撓性要素の遠位端部に位置する前記結合要素は、該結合要素が前記第1区域内に位置する前記ループを通過するような大きさにされる第1構成と、前記結合要素がループを通過するのを防止して、前記第1区域において前記第1可撓性要素の結合要素を前記第1可撓性長尺状部材の遠位端部のループに対して取り外し可能にロックして、前記消化器官の第1区域と第2区域との間に接続レールを形成するように構成された第2構成との間を移行可能である、システム。
【請求項2】
前記第1標的部位及び第2標的部位の壁を貫通して延在するように構成されているステントをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ステントは、本体部分、近位フランジ及び遠位フランジを備え、前記本体部分は、内部を通って延びる管腔を備え、該管腔が前記第1区域と前記第2区域との間に流体連通を提供するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ハンドルに結合された近位端部から前記第2区域の標的部位に配置可能な遠位端部まで延びるカテーテルを含むステント送達システムをさらに備え、前記カテーテルは内部に前記ステントを受容するように構成されたワーキングチャネルを含んでおり、前記ステント送達システムは、前記ステントを標的吻合部位内に配置するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1可撓性長尺状部材の遠位端部は前記第1区域の標的部位に延びるように構成されており、
前記第1可撓性要素は前記第2区域の標的部位に延びるとともに前記第2区域を通過して前記第1区域に延びて前記第1可撓性長尺状部材のループに結合されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1区域は小腸内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2区域は胃内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2長尺状部材のワーキングチャネル内に配置されたニードルをさらに備え、該ニードルは、内部を通って延びる管腔を含み、かつ前記第1標的部位及び第2標的部位の壁を貫通して、前記消化器官の前記第2区域内に配置された前記ニードルの遠位端部が前記ループ内に配置されるまで進められるように構成されており、前記管腔は前記第1可撓性要素を受容するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1可撓性要素はガイドワイヤであり、前記結合要素は、前記第1構成において、前記結合要素が前記ループを通過することを避けるべく前記ループの直径より大きな直径を有する拡張可能要素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1長尺状部材は光学スコープ装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
内部を通って延びるワーキングチャネルを有するとともに前記第1区域の標的部位に延びるように構成されている内視鏡をさらに備え、前記光学スコープ装置は前記内視鏡のワーキングチャネルを通って前記第1区域内の標的部位に延びる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2長尺状部材は内視鏡である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1可撓性要素の遠位端部の前記結合要素はバルーンである、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の器官を縫合するためのシステム、方法、及び装置に関し、より具体的には胃腸吻合を実施するためのシステム、方法及び装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
胃腸吻合は胃流出路閉塞及び他の問題に関連した栄養障害を治療するために実施されてきた。胃腸吻合は、腹腔鏡又は開腹外科手技のいずれかによって外科的に形成され得る。しかしながら、この手技を内視鏡によって実施することは、胃管腔を経由して小腸内の所望位置を内視鏡によって特定する必要があることを含めて多くの課題を伴う。胃壁及び腸壁を介した画像を提供するためには超音波内視鏡が用いられてきたが、小腸は一般的には萎んでおり、このような方法でアクセスすることは困難である。
【0003】
この標的とする難題を多少とも解決する技術は、幽門を通って十二指腸又はトライツ靱帯(ligament of Trietz)の近くの空腸の近位部へ深く通される追跡バルーン(tracking balloon)を用いることを含んでいる。標的バルーン(targeting balloon)は、次に、超音波内視鏡及び/又は蛍光透視法による可視化をより明瞭にする造影剤又は水もしくは空気によって膨らまされる。第2の方法は、互いから軸線方向に(すなわち装置の長手軸線に沿って)約200mm離れた2つの同様な大きさのバルーンを用いる。これらのバルーン間に延びる装置内の空間は、次に薄い造影剤で充填され、胃管腔からの穿刺の標的を形成する。2バルーン法の利点は、医師はバルーンの間を穿刺するのであり、それらのバルーンのいずれかを直接穿刺するのではないため、単一の標的バルーンの場合のようにバルーン自体は穿刺されないという点である。別の方法としては、小腸を希釈した造影剤で満たして、小腸を膨張させ可視化することが挙げられる。小腸が薬学的に固定されると、一時的な標的が形成される。しかしながら、時間とともに、流体は消散し再導入される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内視鏡胃腸吻合術によってもたらされる第2の課題は、最初の穿通が行われた後に組織の遠位部分の制御を失う可能性があることである。これは、最初の穿刺部位がバルーン又は電気焼灼のいずれかによって広げられた場合には、より深刻になることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、消化器官の第1区域と第2区域との間に吻合を形成するためのシステムに関連する。このシステムは、内部を通って延びる管腔を備え、第1区域内の第1標的部位に配置されるように構成された光学スコープ装置であって、光学スコープ装置の遠位端部に第1標的部位を観察するための撮像構成要素を備えた光学スコープ装置と、内部を通って延びるワーキングチャネルを備え、第2区域内の第2標的部位に配置されるように構成された第1内視鏡とを、近位端部からループを含む遠位端部まで延びる捕捉装置であって、光学スコープ装置の管腔を通って延びるように構成された捕捉装置、及び第1内視鏡を通って延びるように構成された第1可撓性要素と組み合わせて含んでいる。第1可撓性要素は第1可撓性要素の遠位端部に結合要素を備え、結合要素はループを通過して第1可撓性要素を捕捉装置に結合し、第1区域と第2区域とを接続するように構成されており、結合要素は、結合要素が捕捉装置のループを通過するような大きさにされる挿入形態と、結合要素が、ループを拡張可能要素が通過するのを防止して、第1可撓性要素ワイヤを捕捉装置に対して着脱自在にロックするように構成されたロック形態との間を移行可能である。システムはまた、本体部分、近位フランジ及び遠位フランジを備えたステントも含んでおり、本体部分は、内部を通って延びる管腔を備え、かつ管腔が第1区域と第2区域との間に流体連通を提供するように、第1標的部位及び第2標的部位の壁を貫通して延在するように構成されている。
【0006】
一実施形態において、システムは、遠位端部からハンドルに結合された近位端部まで延びるカテーテルを備えたステント送達システムをさらに含み、カテーテルは内部にステントを受容するように構成されたワーキングチャネルを備え、ステント送達システムは、ステントを標的吻合部位内に配置するように構成されている。
【0007】
一実施形態において、第1区域は小腸内にある。
一実施形態において、第2区域は胃内にある。
一実施形態において、システムは、第1内視鏡のワーキングチャネル内に配置されたニードルをさらに含み、ニードルは、内部を通って延びる管腔を備え、かつ第1標的部位及び第2標的部位の壁を貫通して、消化器官の第2区域内に配置されたニードルの遠位端部がループ内に配置されるまで進められるように構成されており、管腔は第1ガイドワイヤを受容するように構成されている。
【0008】
本開示はまた、消化器官の第1区域と消化器官の第2区域との間の吻合を形成する方法に関連する。この方法は、内部を通って延びる管腔を備えた光学スコープ装置を消化器官の第1区域内の第1標的部位に進めるステップと、光学スコープ装置は、光学スコープ装置の遠位端部に第1標的部位を観察するための撮像構成要素を備えることと、内部を通って延びるワーキングチャネルを備えた第1内視鏡を消化器官の第2区域内の第2標的部位に進めるステップと、第1内視鏡を通って延びる第1ガイドワイヤを、光学スコープ装置を通って延びる捕捉装置に結合して、消化器官の第1区域と第2区域とを接続するステップと、第1ガイドワイヤは、第1区域から第1標的部位及び第2標的部位の壁を貫通して第2区域に通され、撮像構成要素は、第1ガイドワイヤと捕捉装置との結合を容易にするために第1標的部位の視覚的供給物(visual feed)を提供することと、ステントの遠位フランジが第1区域内に配置され、近位フランジは第2区域内に配置され、かつ本体部分は第1標的部位の壁と第2標的部位の壁とを架橋して、本体部分の管腔が第1区域と第2区域との間の流体が流れるような連通(以下「流体連通」と記載)を可能にするように、ステントを標的吻合部位に配置するステップとを含む。
【0009】
一実施形態において、捕捉装置はスネア装置である。
一実施形態において、上記の方法は、スネア装置を光学スコープ装置の管腔を通じて、スネア装置の遠位端部が管腔の遠位端部を過ぎて遠位に延びるまで挿入するステップをさらに含み、スネア装置は拡張形態と引き締め形態との間を移行可能に構成された遠位ループを含む。
【0010】
一実施形態において、上記の方法は、ニードルを第1内視鏡ワーキングチャネルから、第1標的部位の壁及び第2標的部位の壁を貫通して、消化器官の第2区域内に配置されたニードルの遠位端部がループ内に配置されるまで進めるステップをさらに含む。
【0011】
一実施形態において、上記の方法は、第1ガイドワイヤを、ガイドワイヤの遠位端部がループを通って延在するまで、ニードルの管腔内に挿入するステップと、ループを第1ガイドワイヤのまわりに引き締めて第1区域と第2区域との間に接続を形成するステップとをさらに含む。
【0012】
一実施形態において、上記の方法は、使用者が第1標的部位を可視化するのを支援するために、第1標的部位に一定体積の液体を注入して、第1区域の直径を増大させ、超音波によって標的管腔の画像を提供するステップをさらに含む。
【0013】
一実施形態において、ステントはステント送達システムによって標的吻合部位内に配置され、ステント送達システムは、遠位端部からハンドルに結合された近位端部まで延びるカテーテルを備え、カテーテルは内部にステントを受容するように構成されたワーキングチャネルを備える。
【0014】
一実施形態において、上記の方法は、カテーテルの遠位端部を第1標的部位及び第2標的部位の壁に通過させるステップと、ステントの遠位フランジを遠位フランジが第1区域内の第1標的部位の壁に当接するように留置するステップと、カテーテルを、第1標的部位及び第2標的部位の壁を通って、第2区域内の位置に後退させるステップと、ステントの近位フランジを近位フランジが第2区域内の第2標的部位の壁に当接するように留置するステップとをさらに含む。
【0015】
一実施形態において、ガイドワイヤの遠位端部はアンカー部を含み、アンカー部は、第1ガイドワイヤの長手軸線に直交して延びてT字形を形成する。
一実施形態において、上記の方法は、内部を通って延びるワーキングチャネルを備えた第2内視鏡を第1区域に進めるステップと、第2ガイドワイヤを第2ガイドワイヤの遠位端部が第1標的部位に配置されるまで第2内視鏡のワーキングチャネル内に通すステップと、第2内視鏡を患者から抜去するステップと、光学スコープ装置を第2ガイドワイヤ上において第1標的部位まで進めるステップと、第2ガイドワイヤを患者から抜去するステップとをさらに含む。
【0016】
本開示はまた、消化器官の第1区域と消化器官の第2区域との間の吻合を形成する方法に関連する。この方法は、光学スコープ装置の撮像構成要素を通じて、消化器官の第1区域内において第1標的部位を決定するステップと、撮像構成要素は、使用者に第1標的部位の視覚的供給物を提供し、光学スコープ装置は内部通って延びる管腔を含み、かつ第1標的部位に配置された遠位端部を有することと、超音波内視鏡を通じて、消化器官の第2区域内において第2標的部位を決定するステップと、超音波内視鏡はワーキングチャネルを備え、かつ第2標的部位に配置された遠位端部を有することと、ガイドワイヤの遠位端部を、超音波内視鏡から、第2標的部位を通って、第1標的部位及び第2標的部位の壁を介して、第1標的部位へ、遠位端部が光学スコープ装置から延びる捕捉機構内に配置されるまで通過させることによって、消化器官の第1区域と第2区域との間に接続を形成するステップと、捕捉機構は第1標的部位に配置されていることと、ステントの遠位フランジが第1区域内に配置され、近位フランジは第2区域内に配置され、かつ本体部分は第1標的部位の壁と第2標的部位の壁とを架橋して、本体部分の管腔が第1区域と第2区域との間の流体連通を可能にするように、ガイドワイヤを通じてステントを留置するステップとを含む。
【0017】
一実施形態において、上記の方法は、使用者が吻合の所望の位置を可視化するのを支援するために、光学スコープ装置の遠位端部の光源によって、第1標的部位及び第2標的部位の壁を介して第1標的部位及び第2標的部位を透照するステップをさらに含む。
【0018】
一実施形態において、上記の方法は、超音波内視鏡によって、透照された第1標的部位及び第2標的部位の超音波画像を使用者に提供するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の例示的実施形態によるシステム及び方法の内視鏡の斜視図。
図2図1のシステム及び方法の光学スコープ装置の概略部分断面図。
図3図1のシステム及び方法の超音波内視鏡の概略部分断面図。
図4図1のシステム及び方法の例示的実施形態によるスネア装置の斜視図。
図5図1のシステム及び方法のステント送達システムの部分断面図。
図6図1のシステム及び方法のステントの側面斜視図。
図7】本開示の例示的実施形態による吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図8】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図9】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図10】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図11】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図12】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図13】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図14】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図15】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図16】吻合を形成するための方法ステップの部分断面図。
図17図1のシステム及び方法のガイドワイヤ用Tワイヤ延長部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、以下の説明及び添付図面に関連してさらに理解され得る。添付図面では、同一の要素は同一の参照数字で参照される。本開示は非付着性構造を内視鏡的に接続するためのシステム及び方法に関連する。具体的には、本開示は胃腸吻合を形成するためのシステム及び方法に関連する。本開示の例示的実施形態は、小腸内の標的部位において直接的な視覚的アクセスを提供する光学スコープ装置を含むシステムについて説明する。例示的システムはまた、標的部位(例えば胃内)を可視化するための超音波内視鏡、並びに介在する器官(例えば胃及び小腸)の壁を介して光学スコープ装置及び超音波内視鏡を接続するためのガイドワイヤシステムも含んでいる。本願に用いられる「近位」及び「遠位」という用語は、装置の使用者に近づく方向(基端)及び遠ざかる方向(先端)を指すものとすることに留意されたい。
【0021】
図1に示すように、システム100は、近位端部115から遠位端部113まで延び、かつ内部を通って延びるワーキングチャネル108を備えた長尺状部材111を含む内視鏡110を備える。長尺状部材111は、当業者によって理解されるように、長尺状部材を例えば自然体内管腔内の蛇行した経路に沿って操作できるようにするために、可撓性であるか、又は可撓性の部分を含むことができる。以下にさらに詳細に記載するように、システム100はまた、光学スコープ装置114、超音波内視鏡116、スネア装置118、及びステントシステム122も含んでいる。
【0022】
図2に示す例示的実施形態において、光学スコープ装置114は、例えば、光学スコープ装置114の遠位端部を小腸内に挿入した場合に使用者が小腸を観察することを可能にするスパイスコープ(Spy Scope)(商標)のような直接可視化スコープ(direct visualization scope)である。光学スコープ装置114は、体内管腔に挿入され得る長尺状部材126、遠位スコープ先端部128、及びスコープが使用中であるときに体内管腔の外部に残されるハンドルを備える。当業者には理解されるように、ハンドルは、体内管腔内において光学スコープ装置114の長尺状部材126を制御及び操作するために用いることができる1つ以上の制御機構又はアクチュエータを備える。光学スコープ装置114はまた、内視鏡20の他の機能を作動させるため、例えば、レンズ、画像検出器、及び/又は体内管腔内の像の照明及び/又は捕捉に関連する他の構成要素を制御又は操作するために用いられ得るアクチュエータを備えてもよい。当業者には理解されるように、遠位先端部128は、長尺状部材126の遠位端部分に結合されていてもよいし、又はその遠位端部分と一体的に形成されていてもよい。遠位スコープ先端部128は、撮像及び/又は光学構成要素133を包囲するハウジング130を備える。例えば、ハウジング130内には、1つ以上のレンズ、画像検出器、及び/又は光源のような光学構成要素が少なくとも部分的に包囲されているか、又は埋め込まれていてもよい。光学スコープ装置114はまた、長尺状部材126及び/又はハンドルを通って延びる1つ以上の管腔132も備え得る。いくつかの実施形態において、光学スコープ装置114の長尺状部材126は、様々な構成要素が標的領域へ挿入され得る単一の管腔132を備える。例えば、光学スコープ装置114は、例えばガイドワイヤ112、潅流及び/又は吸引装置、鉗子、ドリル、スネア、ニードルなどのような様々な医療装置又は器具を摺動可能に受容するような大きさ及び形状に形成された1つ以上のワーキングチャネル又は管腔132を備えてもよい。
【0023】
システム制御装置134は、以下でより詳細に記載するように、光学スコープ装置114に結合され、かつ光学スコープ装置114の諸要素を制御するように構成され得る。当業者によって理解されるように、システム制御装置134は、例えば、プロセッサ136、画像制御装置138及び光制御装置140を含み得る。光制御装置140は、例えば、光学スコープ装置114によって撮像されるべき標的組織を照明するために、光学スコープ装置114の遠位端部に光を提供する外部光源を備えてもよい。画像制御装置138、プロセッサ136、及び/又は光制御装置140は、システム制御装置134を通じて、又は独立した接続によって、画像又は映像表示装置142(例えばコンピュータ、監視装置、又は他の既知の画像表示装置)に結合され得る。別の実施形態では、これらの装置のうちのいくつか、又はすべては、システム制御装置134とは分離した別々の構成要素として提供されてもよい。
【0024】
図3に見られるように、超音波内視鏡116は、この実施形態では、近位端部から遠位端部まで延び、かつ内部を通って延びるワーキングチャネル148を備えた軟性鏡である。当業者には理解されるであろう実施形態において、超音波内視鏡116は、ワーキングチャネル148の開放した遠位端部に隣接する領域を観察するために、ワーキングチャネルの遠位端部151に隣接した直視及び/又は斜視光学系(forward and/or oblique viewing optics)149を備え得る。超音波内視鏡116はまた、胃壁及び周辺領域の超音波画像を提供するために、その遠位端部において超音波トランスデューサ150も備えている。ニードル120は超音波内視鏡116のワーキングチャネル148内に収容されている。ニードル120は、一実施形態において、ほぼ円筒状であり(とはいえ任意の他の適当な形状が用いられてもよい)、近位端部から鋭利な組織穿通遠位尖頭154まで延びている。管腔153はニードル120を通って遠位尖頭154における遠位開口152まで延びている。ニードル120は、図13に示すようにニードル120の遠位端部がワーキングチャネル148内に完全に収容される後退又は挿入位置と、図5に示すようにニードル120がワーキングチャネル148の遠位端部を遠位に通過して延びる延出位置との間で超音波内視鏡116に対して長手方向に移動可能である。超音波内視鏡116は、当業者には理解されるように、システム制御装置134、プロセッサ136及び表示装置142に接続され得る。
【0025】
スネア装置118は、図4に示した例示的実施形態によれば、可撓性長尺状部材158及び遠位ループ156を備える。スネア装置118は、スネア装置118の遠位ループ156に近接したニードル又はガイドワイヤを捕らえ、かつ使用者が長尺状部材158を操作することよって制御されるように設計されている。長尺状部材158は、遠位ループ156から、装置の使用者にとってアクセス可能な体外に残る近位端部まで延びており、かつループ156を制御するためのアクチュエータ又は他の手段を備える。例えば、一実施形態において、長尺状部材158はハンドルを備えてもよい。スネア装置118は光学スコープ装置114の管腔132を通って小腸内の所望位置まで通されるように適合されている。ループ156が比較的容易に光学スコープ装置114の長さを通過して、その遠位端部から退出することができるように、長尺状部材158は、好ましくは、長尺状部材158が導かれる光学スコープ装置管腔132の直径よりも小さな直径を有する。ループ156は、ループの側方部分同士が光学スコープ装置114の管腔132の内壁によって押し付けられる挿入形態から、(例えばループ156の材料に与えられた付勢を受けて)側方部分が互いから離れて、例えば、ほぼ円形、楕円形などの開ループを形成する図5に示した開放形態に拡張可能である。いくつかの実施形態では、スネア装置118を形状記憶合金、例えばニチノールとしても知られているニッケルチタン、又は形状記憶ポリマーのような形状記憶材料から製造して、ループ156が挿入形態と開放形態との間を容易に移行できるようにしてもよい。ループ156はまた、以下でさらに詳細に記載するように、例えばニードル120の先端部を捕捉するために、使用者によって引き締められることができる。スネア装置118及びループ156は、ループ156内に捕捉されるべき標的装置に対するループ156の位置及び向きを修正するために、スネア装置118の近位端部(この実施形態において図示せず)を操作することによって、内視鏡の器械挿入チャネル内において回転されてもよい。
【0026】
システムは、例えばボストン サイエンティフィック コーポレイションから入手可能なアクシオス ステント システム(AXIOS Stent System(商標))のようなステント送達システム122をさらに含む。ステント送達システム122は、図5に示すように、内部に配置されたステント164、及びハンドル168を有したカテーテル166を含む。図6に見られるように、ステント164は、近位フランジ174及び遠位フランジ176と中央管腔178とを有した管状本体172として構成されている。例示的実施形態において、カテーテル166はまた、カテーテル166及び続いてステント164を挿入するための穴を胃壁及び小腸壁に形成することを支援する焼灼遠位先端部170も備え得る。
【0027】
図7は、消化器官の第1部分102と消化器官の第2部分104との間に吻合を形成する方法の一部を示している。示した実施形態では、第1部分102は概して胃103として示され、一方、第2部分104は、例えば、十二指腸又は小腸の他の部分を迂回するために胃空腸吻合術を実施するための小腸105の一部として示されている。本実施形態は、第1部分102を胃103として示し、第2部分104を小腸105として示しているが、吻合は消化器官のいかなる他の適当な部分の間に形成されてもよいことが理解されるであろう。例えば、吻合はまた、胃と大腸との間、又は小腸の一部と大腸の一部との間に形成されてもよい。
【0028】
図8に示すように、内視鏡110を患者の口から食道に沿って患者の胃103に通し、幽門を介して小腸105内に挿入する。次に、ガイドワイヤ112を、ガイドワイヤ112の遠位端部124が内視鏡110を退出し、トライツ靭帯を越えて十二指腸内に遠位に延在するまで、内視鏡110のワーキングチャネル108に挿入する。ガイドワイヤ112が標的位置に位置したら、内視鏡110を患者から抜去して、遠位端部124が小腸内の所望位置に位置した状態でガイドワイヤを小腸内に残す。図8に見られるように、次に、長尺状光学スコープ装置114をガイドワイヤ112上において小腸内に進める。
【0029】
光学スコープ装置114をトライツ(Trietz)靭帯を越えてガイドワイヤ112の遠位端部まで進めたら、光学スコープ装置114及びガイドワイヤ112をいくつかの方法によって標的吻合部位104まで進め得ることが当業者には理解されるであろう。例えば、一実施形態では、光学スコープ装置114及びガイドワイヤ112を一体として小腸105を通って標的吻合部位104まで同時に進める。別の実施形態では、ガイドワイヤ112を光学スコープ装置114に先行して進め、次いでガイドワイヤ112上で光学スコープ装置114を後続させ、これを双方が小腸内の所望の位置に到達するまで繰り返す。
【0030】
光学スコープ装置114及びガイドワイヤ112が標的吻合位置に位置したら、超音波内視鏡116を患者に口から光学スコープ装置114に沿って胃へ導入する。超音波内視鏡116の遠位端部144は、幽門を経由して胃から退出させられるのではなく、吻合の標的部位に隣接した胃102の側面に向けられる。具体的には、超音波内視鏡116は、図9図10に示すように、胃壁を通して小腸の方を見るように、胃103の大彎の下部にもたせ掛けられる。
【0031】
小腸105内におけるガイドワイヤ112及び光学スコープ装置114の位置、及び、これにより吻合接続部104の所望の位置の可視化を支援するために、使用者は光学スコープ装置114の管腔132を通じて一定体積の流体を小腸105に注入し得る。流体は、使用者が吻合位置104を容易に可視化することができるように、光学スコープ装置114の先端部128が位置する領域において小腸の直径を増大させる。一実施形態において、放射線不透過性流体を使用して、使用者が蛍光透視法を用いて小腸105の所望領域104を可視化できるようにしてもよい。使用者はまた、光学スコープ装置114の光源133を用いて、小腸105及び胃103を透照して、超音波内視鏡116が形成されるべき所望の接続の方向を見られるようにしてもよい。これに代わって、使用者は、超音波内視鏡116上に提供される光を用いて胃103及び小腸105を透照して、胃103及び小腸105が光学スコープ装置114上のカメラによって可視化されるようにしてもよい。
【0032】
超音波内視鏡116が胃内の適所に位置したら、次にガイドワイヤ112を図10に示すように光学スコープ装置114の管腔132から患者の外に抜去し得る。次に、スネア装置118を、光学スコープ装置114の管腔132を通じて、スネア装置118の遠位端部のループ156が光学スコープ装置114の遠位先端部128を遠位に通過して開放位で流体中に延在するまで挿入する。当業者には分かるように、管腔132内に十分な空間がある場合には、これに代わって、スネア装置118が管腔を通って挿入される際にガイドワイヤ112を適所に残しておいてもよい。
【0033】
図11に移ると、第1部分102及び第2部分104をより詳細に見ることができる。吻合は第1部分102と第2部分104との間に形成されるものとする。可撓性超音波内視鏡116の遠位端部は胃壁部分102に隣接して配置されており、一方、光学スコープ装置114の遠位端部及びスネア118は小腸の第2部分104に隣接して配置されている。吻合の形成の開始が望まれる場合、ニードル120をワーキングチャネルから遠位に延ばして、第1部分102において胃壁に突き通し、次いで小腸の第2部分104に突き通す。次に、ループ156がニードル120の遠位部分のまわりに配置されるまで、スネア装置118の遠位端部を使用者が操作する。次いで、長尺状部材158を近位方向に移動させることによって、ループ156をニードル120のまわりに引き締める。
【0034】
胃103と小腸105との間に安定した接続を形成するために、第2ガイドワイヤ160を、ニードル120の管腔150を通じて、図11に見られるように、ガイドワイヤ160の遠位端部162が管腔150から小腸105内へ遠位に延在するまで挿入する。光学スコープ装置114によって可視化されるように、所望量のガイドワイヤ160がニードル120の先端部を越えて進められた場合、スネアループ156を長尺状部材158の遠位方向の移動によって緩めて、ガイドワイヤ160上に再配置し、そこでループ156を図12図13に示すように再度引き締めて、第1部分102と第2部分104との間に接続レールを形成する。この安定した接続は、使用者に吻合の両端から(すなわち、小腸内及び胃内から)の制御を提供する。ガイドワイヤ160をスネアループ156によって成功裡に捕捉した後、ニードル120を超音波内視鏡116のワーキングチャネルを通じて小腸及び胃から後退させて、図14に示すように、ガイドワイヤ160とスネア装置118とが胃及び小腸の壁を介して接続された状態にする。
【0035】
一実施形態において、ガイドワイヤ160は、スネアループ156がガイドワイヤ160の捕捉後に滑り落ちるのを防止するために、ガイドワイヤ160の遠位端部にバルーン又は他の拡張可能要素を備えていてもよい。具体的には、スネアループ156をガイドワイヤ160上においてバルーンの近位に配置する。次に、バルーンを流体又はガスのいずれかによってスネアループ156の開口の寸法よりも大寸に膨張させて、ループ156がガイドワイヤ160から脱離するのを防止する。
【0036】
別の例示的実施形態では、ガイドワイヤ160は、図17に示すように、遠位端部162においてT字形ワイヤ延長部161を備える。具体的には、遠位端部は、ガイドワイヤ160の長手軸線Lに直交して延びてT字形を形成するアンカー部163を備える。ガイドワイヤ160がニードル120の管腔150によって配置されるときには、アンカー部163は、アンカー163がガイドワイヤ160とほぼ平行となる挿入形態に拘束されている。しかしながら、次に、ガイドワイヤ160の遠位端部162はニードル120の遠位端部を過ぎて遠位に進められ、延長部161は、(例えば、その自然な付勢(natural bias)を受けて)アンカー部163がガイドワイヤ160に直交するその留置形態に移行する。よって、アンカー163を備えたT字形延長部161は、スネアがガイドワイヤ160から不注意で滑り落ちるのを防止する。
【0037】
位置決めがされると、ステント164がステント送達システム122を用いて吻合部位に配置され得る。カテーテル166をガイドワイヤ160上において超音波内視鏡のワーキングチャネル148を通じて図15に示すように遠位先端部が胃103の壁に達するまで進める。この時点で、カテーテル166が焼灼遠位先端部170を備えている場合には、使用者は、カテーテル166が遠位に進められる際に胃壁及び小腸壁を通る小さな穴が形成されるように、先端部170への電気エネルギー供給を作動させてもよい。カテーテル166は、小腸内の光学スコープ装置114によって見えるまで進められる。カテーテル166が吻合部位の所望位置に位置したら、ステント164の遠位フランジ部176を、当業者には理解されるように、ハンドル168上のアクチュエータによってカテーテル166の遠位端部から留置する。遠位フランジ176が標的部分104の小腸105の壁に隣接した適所に位置したら、カテーテル166を後退させて、胃壁と腸壁とを引き寄せる。次に、ステント164の近位フランジ174を標的部分102において胃103内に留置する。よって、この時点で、図16に示すように、遠位フランジ176は小腸105内に位置し、近位フランジ174は胃103内に位置し、管状本体172は小腸壁と胃壁とを架橋した状態で、ステント164全体が留置される。フランジ174,176は、胃103と小腸105との間の組織並置(tissue apposition)を維持しながら吻合地点からのステント164の移動を防止し、一方、管状本体172の管腔は2つの器官の間における流体連通を可能にする。
【0038】
吻合が完了したら、ステントシステム122を本体から後退させてもよい。次に、スネアループ156を緩めて、ガイドワイヤ160及び超音波内視鏡116を体内から除去し、続いて光学スコープ装置114及びスネア装置118を除去する。
【0039】
上述した実施形態に対して、それらの発明概念から逸脱することなく、変更がなされてもよいことが当業者には認識されるであろう。それらの実施形態のうちの1つに関連する構造的特徴及び方法を他の実施形態に組み込むことができることもさらに認識すべきである。従って、本発明は開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ変更物も添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に包含されることが理解される。
図1
図2
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