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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】電力取引装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240116BHJP
   G06Q 40/04 20120101ALI20240116BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q40/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022108220
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2018206776の分割
【原出願日】2018-11-01
(65)【公開番号】P2022125203
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 広基
【審査官】成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-211594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を売りたい売電ユーザの希望売電量を含む売電情報を、ネットワークを介して複数の売電ユーザから取得する売電情報取得手段と、
電力を購入したい買電ユーザの希望買電量を含む買電情報を、ネットワークを介して複数の買電ユーザから取得する買電情報取得手段と、
前記複数の売電ユーザの各々の売電ユーザ、及び前記複数の買電ユーザの各々の買電ユーザ、の属する市場を、希望取引の容量によって分類する分類手段と、
前記分類手段により分類された市場において、前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる約定手段と、
を備え
前記約定手段は、前記希望売電量及び前記希望買電量から判断される希望取引の容量により分類された容量市場において、前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる
電力取引装置。
【請求項2】
前記分類手段は、前記希望売電量が予め定められた電力量未満である前記売電ユーザを小容量市場に分類し、前記希望買電量が当該予め定められた電力量未満である前記買電ユーザを前記小容量市場に分類し、
前記約定手段は、前記小容量市場において、当該小容量市場に分類された前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる
請求項1記載の電力取引装置。
【請求項3】
前記分類手段は、前記希望売電量が予め定められた電力量以上である前記売電ユーザを大容量市場に分類し、前記希望買電量が当該予め定められた電力量以上である前記買電ユーザを前記大容量市場に分類し、
前記約定手段は、前記大容量市場において、当該大容量市場に分類された前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる
請求項1記載の電力取引装置。
【請求項4】
前記約定手段は、前記分類手段によって分類された市場において、前記複数の売電ユーザの希望売電量、及び前記複数の買電ユーザの希望買電量の全てを約定させることができなかった場合には、当該分類された市場を超えて約定させる
請求項記載の電力取引装置。
【請求項5】
コンピュータに、
電力を売りたい売電ユーザの希望売電量を含む売電情報を、ネットワークを介して複数の売電ユーザから取得する機能と、
電力を購入したい買電ユーザの希望買電量を含む買電情報を、ネットワークを介して複数の買電ユーザから取得する機能と、
前記複数の売電ユーザの各々の売電ユーザ、及び前記複数の買電ユーザの各々の買電ユーザ、の属する市場を、希望取引の容量によって分類する機能と、
前記分類する機能によって分類された市場において、前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる機能と、
を実現させ
前記約定させる機能は、前記希望売電量及び前記希望買電量から判断される希望取引の容量により分類された容量市場において、前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる
プログラム。
【請求項6】
前記分類する機能は、前記希望売電量が予め定められた電力量未満である前記売電ユーザを小容量市場に分類し、前記希望買電量が当該予め定められた電力量未満である前記買電ユーザを前記小容量市場に分類し、
前記約定させる機能は、前記小容量市場において、当該小容量市場に分類された前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる
請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
前記分類する機能は、前記希望売電量が予め定められた電力量以上である前記売電ユーザを大容量市場に分類し、前記希望買電量が当該予め定められた電力量以上である前記買電ユーザを前記大容量市場に分類し、
前記約定させる機能は、前記大容量市場において、当該大容量市場に分類された前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる
請求項5記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力取引装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模発電所を頂点とし、電力需要家を裾野とする垂直統合型電力系統が変わりつつある。近年、太陽電池や燃料電池等により自家発電を行う電力需要家等が増えてきているためである。自家発電を行う電力需要家の中には、自家発電による電力量が消費電力量よりも上回る場合があるため、余剰電力を電力需要家間で融通し合う技術が望まれている。そこで、近年、余剰電力を電力需要家間で融通し合う技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載された技術は、発電体により発電された電力を貯蔵する蓄電部及び負荷の各要素を有する需要家に電力量融通制御装置を設け、この電力量融通制御装置によって電力制御を行う電力システムにおいて、前記需要家を複数設け、需要家間で前記電力量融通制御装置を介して電力量の融通制御を行うことを特徴する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-288162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力需要家間で電力を取引可能な装置を提供する際、価格優先の原則のみを重視すると、価格競争力の高いユーザ(売電ユーザ又は買電ユーザ)のみが取引でき(売ることができ、又は、買うことができ)、取引可能なユーザの数が少なくなるおそれがある。
本発明は、取引機会を多数のユーザに与えることができる電力取引装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、電力を売りたい売電ユーザの希望売電量を含む売電情報を、ネットワークを介して複数の売電ユーザから取得する売電情報取得手段と、電力を購入したい買電ユーザの希望買電量を含む買電情報を、ネットワークを介して複数の買電ユーザから取得する買電情報取得手段と、前記複数の売電ユーザの各々の売電ユーザ、及び前記複数の買電ユーザの各々の買電ユーザ、の属する市場を、希望取引の容量によって分類する分類手段と、前記分類手段により分類された市場において、前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる約定手段と、を備え、前記約定手段は、前記希望売電量及び前記希望買電量から判断される希望取引の容量により分類された容量市場において、前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる電力取引装置である。
ここで、前記分類手段は、前記希望売電量が予め定められた電力量未満である前記売電ユーザを小容量市場に分類し、前記希望買電量が当該予め定められた電力量未満である前記買電ユーザを前記小容量市場に分類し、前記約定手段は、前記小容量市場において、当該小容量市場に分類された前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させても良い。
また、前記分類手段は、前記希望売電量が予め定められた電力量以上である前記売電ユーザを大容量市場に分類し、前記希望買電量が当該予め定められた電力量以上である前記買電ユーザを前記大容量市場に分類し、前記約定手段は、前記大容量市場において、当該大容量市場に分類された前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させても良い。
また、前記約定手段は、前記分類手段によって分類された市場において、前記複数の売電ユーザの希望売電量、及び前記複数の買電ユーザの希望買電量の全てを約定させることができなかった場合には、当該分類された市場を超えて約定させても良い。
また、かかる目的のもと完成させた本発明は、コンピュータに、電力を売りたい売電ユーザの希望売電量を含む売電情報を、ネットワークを介して複数の売電ユーザから取得する機能と、電力を購入したい買電ユーザの希望買電量を含む買電情報を、ネットワークを介して複数の買電ユーザから取得する機能と、前記複数の売電ユーザの各々の売電ユーザ、及び前記複数の買電ユーザの各々の買電ユーザ、の属する市場を、希望取引の容量によって分類する機能と、前記分類する機能によって分類された市場において、前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させる機能と、を実現させ、前記約定させる機能は、前記希望売電量及び前記希望買電量から判断される希望取引の容量により分類された容量市場において、前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させるプログラムである。
ここで、前記分類する機能は、前記希望売電量が予め定められた電力量未満である前記売電ユーザを小容量市場に分類し、前記希望買電量が当該予め定められた電力量未満である前記買電ユーザを前記小容量市場に分類し、前記約定させる機能は、前記小容量市場において、当該小容量市場に分類された前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させても良い。
また、前記分類する機能は、前記希望売電量が予め定められた電力量以上である前記売電ユーザを大容量市場に分類し、前記希望買電量が当該予め定められた電力量以上である前記買電ユーザを前記大容量市場に分類し、前記約定させる機能は、前記大容量市場において、当該大容量市場に分類された前記売電ユーザと前記買電ユーザとを約定させても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、取引機会を多数のユーザに与えることができる電力取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る電力取引装置の概略構成を例示した図である。
図2】電力取引装置のハードウェア構成を例示したブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る電力取引装置の機能構成を例示したブロック図である。
図4】記憶部が記憶する売電情報及び買電情報の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る電力取引装置が行う取引量決定処理を示すフローチャートである。
図6】電力取引装置が行う、変形例に係る取引量決定処理を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態に係る電力取引装置の機能構成を例示したブロック図である。
図8】記憶部が記憶する売電情報及び買電情報の一例を示す図である。
図9】分類部が分類した売電情報及び買電情報の一例を示す図である。
図10】第2の実施形態に係る電力取引装置が行う取引量決定処理を示すフローチャートである。
図11】第3の実施形態に係る電力取引装置の機能構成を例示したブロック図である。
図12】記憶部が記憶する売電情報及び買電情報の一例を示す図である。
図13】第3の実施形態に係る電力取引装置が行う取引量決定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る電力取引装置1の概略構成を例示した図である。
電力取引装置1は、発電した電力を売りたい者(以下、「売電者」と称する場合がある。)と、電力を買いたい者(以下、「買電者」と称する場合がある。)との間の、電力の取引を可能とする装置である。ここで、売電者は、太陽電池や燃料電池等により自ら発電を行い、発電した電力や蓄電した電力を売る、自然人又は法人であることを例示することができる。買電者は、自己で電力を使用するため、又は、購入した電力を他の者に売るために、電力を買う、自然人又は法人であることを例示することができる。以下では、電力取引装置1を用いて、電力を売る売電者を「売電ユーザ」、電力を買う買電者を「買電ユーザ」と称する場合がある。また、売電ユーザと買電ユーザとを区別する必要がない場合には、「売電ユーザ」と「買電ユーザ」とをまとめて「ユーザ」と称する場合がある。
【0009】
売電ユーザは、電力系統において、電力を供給し、買電ユーザは、この電力系統において電力を需要することを例示することができる。また、売電ユーザ又は買電ユーザは、電力取引装置1を所有する法人が設けた独自の送電線を介して、電力を供給又は需要しても良い。電力取引装置1を所有する法人は、売電ユーザが所有する発電設備と送電線との間に設けられた計測器を介して、売電ユーザが送電線に供給した電力量を把握することが可能である。また、電力取引装置1を所有する法人は、買電ユーザが所有する、電力を使用する設備と送電線との間に設けられた計測器を介して、買電ユーザが送電線から需要した電力量を把握することが可能である。
【0010】
電力取引装置1は、売電ユーザが所有する売電端末装置6と、買電ユーザが所有する買電端末装置7と、ネットワーク8を介して互いに通信を行うことが可能となっている。ネットワーク8は、装置間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)であることを例示することができる。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。また、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続するように構成しても良い。なお、売電端末装置6及び買電端末装置7は、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末等であることを例示することができる。
【0011】
図2は、電力取引装置1のハードウェア構成を例示したブロック図である。
電力取引装置1は、装置全体を制御する制御部101と、データ等の記憶に用いられる記憶部102と、操作受付画面や画像の表示に使用される表示部103と、ユーザの入力操作を受け付ける操作部104と、外部装置との通信に用いられる通信部105とを備えている。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)101a、ROM(Read Only Memory)101b、RAM(Random Access Memory)101cにより構成される。ROM101bには、CPU101aにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPU101aは、RAM101cを作業エリアに使用し、ROM101bや記憶部102から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPU101aがプログラムを実行することにより、電力取引装置1の各部が制御される。
【0012】
記憶部102は、半導体メモリなどの記憶装置であることを例示することができる。記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)であっても良い。
表示部103は、静止画像や動画像等を表示するディスプレイ装置である。表示部103は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであることを例示することができる。
操作部104は、ユーザからの操作を受け付ける入力装置である。操作部104は、ボタン、スイッチ、タッチパネルであることを例示することができる。
通信部105は、通信インターフェース(通信I/F)であることを例示することができる。
【0013】
なお、CPU101aによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体(光ディスク等)、光磁気記録媒体、半導体メモリ等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネット等の通信手段を用いて電力取引装置1にダウンロードさせても良い。
【0014】
図3は、第1の実施形態に係る電力取引装置1の機能構成を例示したブロック図である。
図4は、記憶部102が記憶する売電情報及び買電情報の一例を示す図である。
電力取引装置1の制御部101は、売電ユーザが売りたい電力量である希望売電量、売りたい電力量の売値である希望売電価格等の売電情報を、売電ユーザ(売電端末装置6)から取得する売電情報取得部10を有している。
また、電力取引装置1は、買電ユーザが買いたい電力量である希望買電量、買いたい電力量の買値である希望買電価格等の買電情報を、買電ユーザ(買電端末装置7)から取得する買電情報取得部20を有している。
【0015】
また、電力取引装置1は、売電ユーザの売電量及び買電ユーザの買電量等の取引量、及び、売電価格及び買電価格等の取引価格を決定する取引決定部30を有している。
また、電力取引装置1は、取引決定部30が決定した取引量を、売電ユーザ及び買電ユーザに通知する取引情報通知部40を有している。
【0016】
売電情報取得部10は、売電ユーザ(売電端末装置6)から希望売電量及び希望売電価格を取得した場合には、希望売電量及び希望売電価格を、売電ユーザに関連付けて記憶部102に記憶する。売電情報取得部10は、複数の売電ユーザから希望売電量及び希望売電価格を取得した場合には、各売電ユーザに関連付けて、その売電ユーザの希望売電量及び希望売電価格を記憶部102に記憶する。図4には、売電情報取得部10が、売電ユーザA(予め登録されたユーザIDが1)、及び、売電ユーザB(予め登録されたユーザIDが2)から売電情報を取得し、記憶部102に記憶した例を示している。売電ユーザAの希望売電量は1000(kWh)、希望売電価格は10(円/kWh)である。売電ユーザBの希望売電量は500(kWh)、希望売電価格は15(円/kWh)である。なお、売電情報取得部10は、例えば10(円/kWh)以上と、幅のある希望売電価格を取得し、希望売電価格に幅を持たせて記憶部102に記憶しても良い。
売電情報取得部10は、上記処理を、予め定めた期間(例えば1分)毎に繰り返し行うことを例示することができる。
【0017】
買電情報取得部20は、買電ユーザ(買電端末装置7)から希望買電量及び希望買電価格を取得した場合には、希望買電量及び希望買電価格を、買電ユーザに関連付けて記憶部102に記憶する。買電情報取得部20は、複数の買電ユーザから希望買電量及び希望買電価格を取得した場合には、各買電ユーザに関連付けて、その買電ユーザの希望買電量及び希望買電価格を記憶部102に記憶する。図4には、買電情報取得部20が、買電ユーザX(予め登録されたユーザIDが6)、及び、買電ユーザY(予め登録されたユーザIDが7)から買電情報を取得し、記憶部102に記憶した例を示している。買電ユーザXの希望買電量は1000(kWh)、希望買電価格は15(円/kWh)である。買電ユーザYの希望買電量は100(kWh)、希望買電価格は10(円/kWh)である。なお、買電情報取得部20は、例えば10(円/kWh)以下と、幅のある希望買電価格を取得し、希望買電価格に幅を持たせて記憶部102に記憶しても良い。
買電情報取得部20は、上記処理を、予め定めた期間(例えば1分)毎に繰り返し行うことを例示することができる。
【0018】
取引決定部30は、売電側及び買電側の約定率を決定する約定率決定部31と、約定率決定部31が決定した約定率を用いて売電側及び買電側の約定量を決定する約定量決定部32とを有している。第1の実施形態に係る取引決定部30は、複数の売電ユーザがいる場合には、これら複数の売電ユーザの約定率が同一となるように、約定量を決定する。また、取引決定部30は、複数の買電ユーザがいる場合には、これら複数の買電ユーザの約定率が同一となるように、約定量を決定する。
【0019】
約定率決定部31は、売電側の約定率である売電約定率を決定するとともに、買電側の約定率である買電約定率を決定する。約定率決定部31は、以下のようにして、売電約定率及び買電約定率を決定する。
約定率決定部31は、先ず、予め定められた所定期間における、複数の売電ユーザからの希望売電量の合計である希望売電総量、及び、複数の買電ユーザからの希望買電量の合計である希望買電総量を算出する。なお、図4に示した例においては、希望売電総量は、売電ユーザAの希望売電量の1000(kWh)と、売電ユーザBの希望売電量の500(kWh)とを加算した1500(kWh)である。希望買電総量は、買電ユーザXの希望買電量の1000(kWh)と、買電ユーザYの希望買電量の100(kWh)とを加算した1100(kWh)である。
【0020】
そして、約定率決定部31は、以下のようにして、売電約定率を決定する。
先ず、約定率決定部31は、以下の式(1)を用いて、最大売電約定率(%)を算出する。
最大売電約定率=希望買電総量/希望売電総量×100(%)・・・(1)
そして、最大売電約定率≦100である場合には、売電約定率=最大売電約定率とし、最大売電約定率>100である場合には、売電約定率を100(%)とする。
また、約定率決定部31は、以下のようにして、買電約定率を決定する。
先ず、約定率決定部31は、以下の式(2)を用いて、最大買電約定率(%)を算出する。
最大買電約定率=希望売電総量/希望買電総量×100(%)・・・(2)
そして、最大買電約定率≦100である場合には、買電約定率=最大買電約定率とし、最大買電約定率>100である場合には、買電約定率を100(%)とする。
図4に示した例においては、売電約定率=1100/1500×100=73.3(%)、最大買電約定率=1500/1100×100>100であるので、買電約定率は100(%)である。
【0021】
約定量決定部32は、以下の式(3)を用いて、売電約定量を算出する。
売電約定量=希望売電量×(売電約定率/100)(kWh)・・・(3)
また、約定量決定部32は、以下の式(4)を用いて、買電約定量を算出する。
買電約定量=希望買電量×(買電約定率/100)(kWh)・・・(4)
図4に示した例においては、売電ユーザAの売電約定量は、1000×73.3/100=733(kWh)、売電ユーザBの売電約定量は、500×73.3/100=367(kWh)である。また、買電約定率は100(%)であるので、買電ユーザXの買電約定量は1000(kWh)、買電ユーザYの買電約定量は100(kWh)である。
このように、約定量決定部32は、売電約定率,買電約定率を決定した後に、売電約定量,買電約定量を決定する。それゆえ、売電ユーザ,買電ユーザは、売電約定量,買電約定量が、希望売電量,希望買電量に満たない場合がある。
【0022】
取引情報通知部40は、取引決定部30が決定した取引量である売電約定量及び売電約定価格を、全ての売電ユーザに通知するとともに、買電約定量及び買電約定価格を、全ての買電ユーザに通知する。
図4に示した例においては、取引情報通知部40は、売電ユーザAに対して、売電約定量が733(kWh)、売電約定価格が10(円/kWh)、売電ユーザBに対して、売電約定量が367(kWh)、売電約定価格が15(円/kWh)であることを通知する。また、取引情報通知部40は、買電ユーザXに対して、買電約定量が1000(kWh)、買電約定価格が15(円/kWh)、買電ユーザYに対して、買電約定量が100(kWh)、買電約定価格が10(円/kWh)であることを通知する。
なお、取引情報通知部40は、売電ユーザに通知した約定分の売電情報を記憶部102から消去しても良いし、消去しなくても良い。また、取引情報通知部40は、買電ユーザに通知した約定分の買電情報を記憶部102から消去しても良いし、消去しなくても良い。
【0023】
図5は、第1の実施形態に係る電力取引装置1が行う取引量決定処理を示すフローチャートである。電力取引装置1は、取引量決定処理を、予め設定された一定時間(例えば1分)ごとに繰り返し実行する。
電力取引装置1は、予め定められた所定時刻になったか否かを判断する(S501)。所定時刻になった場合(S501でYes)、電力取引装置1は、売電情報取得部10が取得した希望売電総量を把握するとともに、買電情報取得部20が取得した希望買電総量を把握する(S502)。その後、取引決定部30は、売電約定率を算出するとともに、買電約定率を算出する(S503)。S501~S503の処理は、約定率決定部31が行う処理である。
【0024】
その後、電力取引装置1は、売電約定量を決定するとともに、買電約定量を決定する(S504)。これは、約定量決定部32が決定する処理である。約定量決定部32は、S503にて決定された売電約定率に、各売電ユーザの希望売電量を乗算した値を、その売電ユーザの売電約定量とする。また、約定量決定部32は、S503にて決定された買電約定率に、各買電ユーザの希望買電量を乗算した値を、その買電ユーザの買電約定量とする。
そして、電力取引装置1は、S504にて決定した売電約定量及び買電約定量を、全ての売電ユーザ及び全ての買電ユーザに通知する(S505)。これは、取引情報通知部40が行う処理である。
【0025】
なお、所定時刻は、1日の始まりである0時であることを例示することができる。つまり、電力取引装置1は、1日に1度だけ上述した取引量決定処理を行い、この取引量決定処理を実行するまでの間の期間において、売電ユーザから希望売電量及び希望売電価格を受け付けるとともに、買電ユーザから希望買電量及び希望買電価格を受け付けることを例示することができる。ただし、電力取引装置1は、取引量決定処理を実行開始する、例えば10分前まで希望取引量及び希望取引価格を受け付けても良い。また、電力取引装置1は、1日に複数回上述した取引量決定処理を行っても良い。例えば、電力取引装置1は、30分毎に上述した取引量決定処理を行っても良い。
【0026】
上述したように、電力取引装置1は、電力を売りたい売電ユーザの希望売電量を含む売電情報を、ネットワーク8を介して複数の売電ユーザから取得する売電情報取得手段の一例としての売電情報取得部10と、電力を購入したい買電ユーザの希望買電量を含む買電情報を、ネットワーク8を介して複数の買電ユーザから取得する買電情報取得手段の一例としての買電情報取得部20と、を備える。また、電力取引装置1は、複数の希望買電量又は複数の希望売電量から、売電側又は買電側での約定の割合である約定率を決定する約定率決定手段の一例としての約定率決定部31と、算出された約定率を用いて、複数の売電ユーザの各々の売電ユーザの約定量、又は複数の買電ユーザの各々の買電ユーザの約定量を決定する約定量決定手段の一例としての約定量決定部32と、を備える。
【0027】
以上のように構成された電力取引装置1においては、約定量決定部32は、約定率決定部31が決定した約定率を用いて、複数の売電ユーザの約定量、又は複数の買電ユーザの約定量を決定する。それゆえ、例えば、価格優先の原則のみを重視することに起因して価格競争力の高い取引者(売電者又は買電者)のみが取引できることを抑制することができる。
【0028】
約定率決定部31は、複数の売電ユーザにて、約定率が一定となるように約定率を決定すると良い。また、約定率決定部31は、複数の買電ユーザにて、約定率が一定となるように約定率を算出すると良い。約定率決定部31が、複数の売電ユーザ又は買電ユーザにて、約定率が一定となるように約定率を決定することで、取引を希望する全てのユーザを均等に約定させることができる。その結果、取引機会を多数のユーザ(取引者)に与えることができる。
【0029】
なお、上述した実施形態においては、電力取引装置1は、売電約定価格,買電約定価格を、売電ユーザ,買電ユーザが希望した希望売電価格,希望買電価格に設定しているが、特にかかる態様に限定されない。電力取引装置1は、売電ユーザが高く売れた/買電ユーザが安く買えたと考える価格に自由に決めても良い。例えば、図4に示した例においては、希望買電価格が10(円/kWh)である買電ユーザYの買電約定量100(kWh)は、希望売電価格が10(円/kWh)である売電ユーザAの売電約定量733(kWh)の内の100(kWh)と取引が成立し、希望買電価格が15(円/kWh)である買電ユーザXの買電約定量1000(kWh)は、希望売電価格が10(円/kWh)である売電ユーザAの売電約定量633(kWh)と、希望売電価格が15(円/kWh)である売電ユーザBの売電約定量367(kWh)と取引が成立したとする。そして、電力取引装置1は、売電約定価格を売電ユーザが希望した希望売電価格に設定するとともに、買電ユーザXの買電約定価格を、10×633/1000+15×367/1000=12.5(円/kWh)以上、15(円/kWh)未満の価格に自由に決めても良い。あるいは、電力取引装置1は、買電約定価格を買電ユーザが希望した希望買電価格に設定するとともに、売電ユーザAの売電約定価格を、10(円/kWh)より高く、10×100/733+15×633/733=14.3(円/kWh)以下の価格に自由に決めても良い。さらに、電力取引装置1は、ある範囲内で価格を自由に決める際には、希望買電量が少ないほど買電約定価格を低く、希望売電量が少ないほど売電約定価格を高く決定しても良い。
なお、上述した実施形態のように、電力取引装置1が、売電約定価格,買電約定価格を、売電ユーザ,買電ユーザが希望した希望売電価格,希望買電価格に設定する場合には、売電約定価格,買電約定価格と、希望売電価格,希望買電価格との価格差による利益を、電力取引装置1を有する者がスプレッドとして取得することを例示することができる。
【0030】
また、上述した実施形態において、電力取引装置1の約定率決定部31は、所定時刻になったときの希望売電総量及び希望買電総量を基に売電約定率及び買電約定率を算出する際に、価格の束縛条件を買電価格>売電価格として、希望買電総量と、この希望買電総量を約定させることが可能な希望売電の合計である希望売電総量とを基に上記式(1)を用いて売電約定率を算出しても良い。そして、約定量決定部32は、上記式(3)を用いて、売電約定量を算出しても良い。取引決定部30は、買電ユーザが入力した希望買電価格を変更することはない。また、図4に示すように、買電約定率は100%となる。ただし、例えば、再生可能エネルギーの希望買電価格は22(円/kWh)以下、それ以外の電力の希望買電価格は20(円/kWh)以下というように、電源のCO削減率等により買電ユーザの入力値に幅が指定されている場合には、指定された範囲内で約定率(約定量)を決定しても良い。また、かかる場合も、希望買電価格の最も安いものと希望売電価格の最も高いものとを比較し、約定価格、約定量を算出することが望ましい。
また、逆に、価格の束縛条件を売電価格>買電価格として、希望売電総量と、この希望売電総量を約定させることが可能な希望買電の合計である希望買電総量とを基に上記式(2)を用いて買電約定率を算出しても良い。そして、約定量決定部32は、上記式(4)を用いて、買電約定量を算出しても良い。
【0031】
また、上述した実施形態において、約定率決定部31は、約定率を必ずしも一定となるようにしなくても良く、予め定められた範囲(例えば10%)の幅を持たせても良い。例えば、図4に示した例においては、売電ユーザAの約定率を70%、売電ユーザBの約定率を80%としても良い。複数のユーザの内、どのユーザの約定率を高めるかは、希望する取引量、希望する価格に応じて決定しても良い。
【0032】
例えば、希望売電量が少ない小口の売電ユーザは、希望売電量が多い大口の売電ユーザよりも価格競争力が劣り、大口の売電ユーザよりも希望売電価格を高く設定しなければならず、約定量が少なくなってしまいがちになることに鑑み、希望売電量に応じて約定率や約定価格等を変化させても良い。例えば、希望売電量が少ない売電ユーザの約定率が、希望売電量が多い売電ユーザの約定率よりも高くなるように決定しても良い。また、希望売電量が少ない売電ユーザの売電約定価格が、希望売電量が多い売電ユーザの売電約定価格よりも高くなるように決定しても良い。例えば、図4に示した例においては、最大売電約定率=1100/1500×100=73.3(%)であるので、1桁目を切り捨てて売電約定率を70(%)とし、売電ユーザAの売電約定量を、1000×70/100=700(kWh)とする。そして、希望売電量が少ない売電ユーザBの売電約定量を、1100-700=400(kWh)とする。かかる場合、売電ユーザBの売電約定率は、400/500×100=80(%)となる。
このように、約定率決定部31は、複数の売電ユーザの約定率の差を予め定められた範囲内とするとともに、希望売電量が少ない売電ユーザほど売電約定率が高くなるように売電約定率を決定すると良い。これにより、希望売電量が少ない小口の売電ユーザを、この電力取引装置1を介した取引に積極的に継続して参加させることができる。
【0033】
同様に、希望買電量が少ない小口の買電ユーザは、希望買電量が多い大口の買電ユーザよりも価格競争力が劣り、大口の買電ユーザよりも希望買電価格を低く設定しなければならず、約定量が少なくなってしまいがちになることに鑑み、希望買電量に応じて約定率や約定価格等を変化させても良い。例えば、希望買電量が少ない買電ユーザの約定率が、希望買電量が多い買電ユーザの約定率よりも高くなるように決定しても良い。また、希望買電量が少ない買電ユーザの買電約定価格が、希望買電量が多い買電ユーザの買電約定価格よりも低くなるように決定しても良い。
このように、約定率決定部31は、複数の買電ユーザの約定率の差を予め定められた範囲内とするとともに、希望買電量が少ない買電ユーザほど買電約定率が高くなるように買電約定率を決定すると良い。これにより、希望買電量が少ない小口の買電ユーザを、この電力取引装置1を介した取引に積極的に継続して参加させることができる。
【0034】
また、上述した実施形態において、電力取引装置1は、希望売電価格,希望買電価格の価格帯毎に分類し、分類された価格帯毎に、希望売電総量及び希望買電総量を基に売電約定率及び買電約定率を算出しても良い。分類する価格帯としては、希望売電価格及び希望買電価格が、(i)10(円/kWh)未満、(ii)10(円/kWh)以上20(円/kWh)未満、(iii)20(円/kWh)以上30(円/kWh)未満、(iv)30(円/kWh)以上、であることを例示することができる。例えば、図4に示した例は、上記(ii)10(円/kWh)以上20(円/kWh)未満の価格帯における売電情報及び買電情報の一例である。
【0035】
(取引量決定処理の変形例)
変形例に係る取引量決定処理においては、取引決定部30は、予め規定約定率を設定し、予め設定された規定約定率に到達するまでは上述した取引量決定処理と同じ手法にて決定する。そして、取引決定部30は、規定約定率に到達した場合には、未約定ユーザ同士で、価格優先の原則及び時間優先の原則の主なルールに従うザラバ方式により約定させる。規定約定率は、例えば10(%)であることを例示することができる。
【0036】
図6は、電力取引装置1が行う、変形例に係る取引量決定処理を示すフローチャートである。電力取引装置1は、この取引量決定処理を、予め設定された一定時間(例えば1分)ごとに繰り返し実行する。
電力取引装置1は、記憶部102に記憶されている、売電情報及び買電情報を把握する(S601)。その後、電力取引装置1は、既に規定約定率に到達しているか否かを判断する(S602)。これは、RAM101cにおいてセットされるフラグの設定において到達フラグがONであるか否かを判断し、到達フラグがONである場合に規定約定率に到達していると判断する処理である。なお、到達フラグは、後述するS606又はS615の処理にてONに設定される。
【0037】
規定約定率に到達していない場合(S602でNo)、電力取引装置1は、希望売電総量が希望買電総量よりも多いか否かを判断する(S603)。そして、希望売電総量が希望買電総量よりも多い場合(S603でYes)、電力取引装置1は、上述した式(1)を用いて売電約定率を算出する(S604)。
【0038】
そして、電力取引装置1は、売電約定率が予め設定された規定約定率に到達したか否かを判断する(S605)。規定約定率に到達した場合(S605でYes)、到達フラグをONに設定する(S606)。そして、上述した式(3)を用いて売電約定量を決定するとともに上述した式(4)を用いて買電約定量を決定する(S607)。上述したS601~S606の処理は、約定率決定部31が行う処理であり、S607の処理は、約定量決定部32が行う処理である。
そして、電力取引装置1は、S607にて決定した売電約定量及び買電約定量を、全ての売電ユーザ及び全ての買電ユーザに通知する(S608)。これは、取引情報通知部40が行う処理である。
【0039】
その後、予め定められた所定時刻になったか否かを判断する(S609)。所定時刻になっていない場合(S609でNo)、電力取引装置1は、S601以降の処理を行う。所定時刻になった場合(S609でYes)、到達フラグをOFFに設定し(S610)、本処理を終了する。
他方、規定約定率に到達していない場合(S605でNo)、S609以降の処理を行う。規定約定率に到達していない場合(S605でNo)であって、所定時刻になった場合(S609でYes)には、到達フラグがONにされることなく、強制的に本処理を終了する。
【0040】
一方、希望売電総量が希望買電総量以下である場合(S603でNo)、希望売電総量が希望買電総量より少ないか否かを判断する(S611)。希望売電総量が希望買電総量よりも少なくない場合(S611でNo)、希望売電総量と希望買電総量とは同じであり、売買が成立しているので、全ての売電ユーザに対して、希望売電量が売電約定量となったこと、及び全ての買電ユーザに対して、希望買電量が買電約定量をとなったことを通知する(S612)。その後、S609以降の処理を行う。
【0041】
希望売電総量が希望買電総量よりも少ない場合(S611でYes)、電力取引装置1は、上述した式(2)を用いて買電約定率を算出する(S613)。
そして、電力取引装置1は、買電約定率が予め設定された規定約定率に到達したか否かを判断する(S614)。規定約定率に到達した場合(S614でYes)、到達フラグをONに設定する(S615)。そして、上述した式(3)を用いて売電約定量を決定するとともに上述した式(4)を用いて買電約定量を決定する(S616)。上述したS611~S615の処理は、約定率決定部31が行う処理であり、S616の処理は、約定量決定部32が行う処理である。
そして、電力取引装置1は、S616にて決定した売電約定量及び買電約定量を、全ての売電ユーザ及び全ての買電ユーザに通知する(S617)。これは、取引情報通知部40が行う処理である。
規定約定率に到達していない場合(S614でNo)、S609以降の処理を行う。
【0042】
一方、S602にて、規定約定率に到達している場合(S602でYes)、電力取引装置1は、未約定分の希望売電量及び希望買電量をザラバ方式により約定させる(S618)。その後、S609以降の処理を行う。このようにして、取引決定部30は、規定約定率に到達した場合(S602でYes)には、所定時刻になるまで(S609でYesと判定されるまで)、未約定ユーザ同士をザラバ方式により約定させる。
【0043】
なお、所定時刻は、1日の終わりである24時であることを例示することができる。つまり、電力取引装置1は、1日に1度だけ上述した取引量決定処理を開始し、1日の終わりである24時になるまでの期間において、売電ユーザから希望売電量及び希望売電価格を随時受け付けるとともに、買電ユーザから希望買電量及び希望買電価格を随時受け付けることを例示することができる。ただし、電力取引装置1は、所定時刻を、24時の、例えば10分前である23時50分としても良い。また、電力取引装置1は、1日に複数回上述した取引量決定処理を行っても良い。例えば、電力取引装置1は、30分毎に上述した所定時刻を設定しても良い。
【0044】
また、上述した変形例に係る取引量決定処理において、S605にて、規定約定率に到達したと判断されない場合(S605でNo)、希望買電総量が少ないために規定約定率に到達していないと考えられるため、取引決定部30は、以下のようにしても良い。つまり、電力取引装置1を所有する法人が、バックアップ電力等を購入する目的で、規定約定率に到達するのに足りない分の電力量を購入するようにし、規定約定率に到達させても良い。また、S614にて、規定約定率に到達したと判断されない場合(S614でNo)、希望売電総量が少ないために規定約定率に到達していないと考えられるため、取引決定部30は、電力取引装置1を所有する法人が、規定約定率に到達するのに足りない分の電力量を売るようにし、規定約定率に到達させても良い。
【0045】
また、上述した変形例に係る取引量決定処理において、取引決定部30は、以下の式(5)又は式(6)にて算出される約定率の内、一方の式にて算出される約定率が規定約定率に到達した時点で、S605又はS614にて、規定約定率に到達したと判断しても良い。ユーザが、希望売電量又は希望買電量を多くすることで、有利に取引しようとすることを抑制するためである。
約定率=約定量/(希望売電量又は希望買電量)・・・(5)
約定率=約定量/(過去使用電力量又は過去生産電力量)・・・(6)
なお、過去使用電力量又は過去生産電力量は、前月の電力使用量又は電力生産量、前年度の電力使用量又は電力生産量であることを例示することができる。
【0046】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る電力取引装置2の機能構成を例示したブロック図である。
第2の実施形態に係る電力取引装置2は、第1の実施形態に係る電力取引装置1に対して、取引決定部30に相当する要素が異なる。以下、第1の実施形態に係る電力取引装置1と異なる点について説明する。第1の実施形態に係る電力取引装置1と第2の実施形態に係る電力取引装置2とで、同じ機能を有する物については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
第2の実施形態に係る電力取引装置2の制御部101は、売電情報取得部10と、買電情報取得部20と、取引決定部230と、取引情報通知部40とを有している。
取引決定部230は、売電ユーザ及び買電ユーザの属する市場を、予め定められた分類基準によって分類する分類部231と、分類部231によって分類基準に分類された市場において、売電ユーザと買電ユーザとを約定させる約定部232と、を有している。
【0048】
図8は、記憶部102が記憶する売電情報及び買電情報の一例を示す図である。
図9は、分類部231が分類した売電情報及び買電情報の一例を示す図である。
分類基準は、取引を希望する電力量である希望取引量であることを例示することができる。分類基準が希望取引量である場合、分類部231は、例えば希望取引量が100(kWh)未満である場合には小容量市場に、希望取引量が100(kWh)以上1000(kWh)未満である場合には中容量市場に、希望取引量が1000(kWh)以上である場合には大容量市場に分類する。
【0049】
図9に示した例においては、分類部231は、希望売電量が1000(kWh)(希望売電価格は10(円/kWh))である売電ユーザAを大容量市場に分類している例を示している。また、分類部231は、希望売電量が500(kWh)(希望売電価格は10(円/kWh))である売電ユーザBを中容量市場に、希望売電量が50(kWh)(希望売電価格は12(円/kWh))である売電ユーザCを小容量市場に分類している。
また、図9に示した例においては、分類部231は、希望買電量が1000(kWh)(希望買電価格は15(円/kWh))である買電ユーザXを大容量市場に分類している例を示している。また、分類部231は、希望買電量が100(kWh)(希望買電価格は14(円/kWh))である買電ユーザYを中容量市場に、希望買電量が80(kWh)(希望買電価格は12(円/kWh))である買電ユーザZを小容量市場に分類している。
【0050】
約定部232は、先ず、分類部231によって分類された分類市場毎にザラバ方式にて約定する。そして、約定部232は、分類市場毎の約定にて約定が成立しなかった未約定分について、分類市場を横断的にザラバ方式にて約定させる。
図9に示した例の大容量市場において、約定部232は、希望売電価格が10(円/kWh)で希望売電量が1000(kWh)であるのに対して、希望買電価格は15(円/kWh)で希望買電量が1000(kWh)であるので、1000(kWh)を約定させる。なお、約定価格は、10(円/kWh)でも良いし、15(円/kWh)でも良いし、10(円/kWh)と15(円/kWh)との間の価格でも良い。
【0051】
また、図9に示した例の中容量市場において、約定部232は、希望売電価格が10(円/kWh)で希望売電量が500(kWh)であるのに対して、希望買電価格は14(円/kWh)で希望買電量が100(kWh)であるので、100(kWh)を約定させる。なお、約定価格は、10(円/kWh)でも良いし、14(円/kWh)でも良いし、10(円/kWh)と14(円/kWh)との間の価格でも良い。そして、希望売電量の400(kWh)が未約定量となる。
【0052】
また、図9に示した例の小容量市場において、約定部232は、希望売電価格が12(円/kWh)で希望売電量が50(kWh)であるのに対して、希望買電価格は12(円/kWh)で希望買電量が80(kWh)であるので、50(kWh)を約定させる。なお、約定価格は、12(円/kWh)となる。そして、希望買電量の30(kWh)が未約定量となる。
【0053】
図9に示した例では、中容量市場の、希望売電価格が10(円/kWh)の希望売電量の400(kWh)が未約定量であり、小容量市場の、希望買電価格が12(円/kWh)の希望買電量の30(kWh)が未約定量となる。それゆえ、約定部232は、30(kWh)を約定させる。なお、約定価格は、10(円/kWh)でも良いし、12(円/kWh)でも良いし、10(円/kWh)と12(円/kWh)との間の価格でも良い。そして、希望売電量の370(kWh)が未約定量となる。
【0054】
なお、図9に示した例では、大容量市場において約定が成立し、中容量市場と小容量市場において約定が成立していないため、約定が成立しなかった中容量市場と小容量市場を横断的にザラバ方式にて約定させているが、特にかかる態様に限定されない。もし、大容量市場においても約定が成立していない場合には、約定部232は、大容量市場、中容量市場及び小容量市場を横断的にザラバ方式にて約定させると良い。あるいは、約定部232は、3以上の市場において約定が成立していない場合に、約定が成立しなかった3以上の市場の内の一部の市場を横断的に約定させても良い。例えば、約定部232は、大容量市場、中容量市場及び小容量市場において約定が成立していない場合に、約定が成立しなかった、大容量市場、中容量市場及び小容量市場の内の、中容量市場及び小容量市場を横断的に約定させても良い。また、約定部232は、大容量市場、中容量市場及び小容量市場において約定が成立していない場合に、約定が成立しなかった中容量市場及び小容量市場を横断的に約定させた後、未約定分がある場合には、さらに大容量市場をも含めて横断的に約定させる等、段階的に約定させるようにしても良い。
【0055】
図10は、第2の実施形態に係る電力取引装置2が行う取引量決定処理を示すフローチャートである。電力取引装置2は、取引量決定処理を、予め設定された一定時間(例えば1分)ごとに繰り返し実行する。
電力取引装置2は、予め定められた所定時刻になったか否かを判断する(S1001)。予め定められた時刻になった場合(S1001でYes)、電力取引装置2は、売電情報取得部10が取得した希望売電量、及び、買電情報取得部20が取得した希望買電量を把握するとともに、分類分けする(S1002)。これは、分類部231が行う処理である。
【0056】
その後、電力取引装置2は、S1002にて分類分けした分類市場毎に約定させる、一次約定(取引)を行う(S1003)。その後、電力取引装置2は、S1003にて約定しなかった未約定分の希望売電量及び希望買電量を把握する(S1004)。その後、電力取引装置2は、未約定分について二次約定(取引)を行う(S1005)。S1003~S1005の処理は、約定部232が行う処理である。
そして、電力取引装置2は、S1003にて決定した売電約定量及び買電約定量、及び、S1005にて決定した売電約定量及び買電約定量を、全ての売電ユーザ及び全ての買電ユーザに通知する(S1006)。これは、取引情報通知部40が行う処理である。
【0057】
上述したように、電力取引装置2は、複数の売電ユーザの各々の売電ユーザ、及び複数の買電ユーザの各々の買電ユーザ、の属する市場を、予め定められた分類基準によって分類する分類手段の一例としての分類部231と、分類部231により分類された市場において、売電ユーザと買電ユーザとを約定させる約定手段の一例としての約定部232と、を備える。
このように構成された電力取引装置2においては、約定部232は、分類部231により分類された市場において売電ユーザと買電ユーザとを約定させるので、例えば、価格優先の原則のみを重視することに起因して価格競争力の高い取引者(売電者又は買電者)のみが取引できることを抑制することができる。
【0058】
そして、以上のように構成された電力取引装置2においては、分類基準は、希望取引の容量であり、約定部232は、希望売電量及び希望買電量から判断される希望取引の容量により分類された容量市場において、売電ユーザと買電ユーザとを約定させると良い。希望取引の容量が多いために価格競争力の高くなる取引者(売電者又は買電者)のみが取引できることを抑制することができる。その結果、希望取引の容量が少量の者に対しても取引機会を与えることができる。そして、これにより、取引市場を活性化させることができる。
【0059】
ただし、約定部232は、分類部231によって分類された市場において、複数の売電ユーザの希望売電量、及び複数の買電ユーザの希望買電量の全てを約定させることができなかった場合には、分類された市場を超えて約定させると良い。これにより、分類された市場の参加者が少なく、最終的に約定しないことを抑制することができ、ユーザに安心して参加を促すことが可能となる。
なお、分類基準は、希望取引の容量に限定されない。例えば、分類基準は、ユーザが電力を供給又は需要する地域、供給又は需要する電力の品質であっても良い。
【0060】
<第3の実施形態>
図11は、第3の実施形態に係る電力取引装置3の概略構成を示す図である。
第3の実施形態に係る電力取引装置3は、第1の実施形態に係る電力取引装置1に対して、取引決定部30に相当する要素が異なる。以下、第1の実施形態に係る電力取引装置1と異なる点について説明する。第1の実施形態に係る電力取引装置1と第3の実施形態に係る電力取引装置3とで、同じ機能を有する物については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
第3の実施形態に係る電力取引装置3は、売電情報取得部310と、買電情報取得部320と、取引決定部330と、取引情報通知部40とを有している。第3の実施形態に係る電力取引装置3は、買電ユーザに、電力の品質QE(quality of electricity)を考慮して買電させることを可能とする。電力の品質QEは、以下の式(7)を用いて数値化される。
QE=(P(CO)-R(CO))/P(CO)・・・(7)
ここで、P(CO)は、ある時点での一般送配電事業者の二酸化炭素原単位(kg-CO/kWh)であり、環境省・経済産業省が統計を公開している値である。ある時点とは特に限定されるものではないが、例えば、前年度の二酸化炭素原単位であることを例示することができる。R(CO)は、売電ユーザの売電力についての炭素原単位(kg-CO2/kWh)である。例えば、太陽光発電や風力発電、COフリーメタンによる発電等の場合はR(CO)=0である。燃料電池の場合は発電効率に応じてR(CO)が変化する。なお、燃料電池等のコジェネレーションシステムでは熱も有効活用しているため、単純な発電効率による炭素原単位ではなく、熱効率も含めた総合効率による炭素原単位を用いても良い。
上記式(7)によると、品質QEが1に近いほど電力の品質QEが高い。取引を行う買電ユーザは予め電力の品質QEの閾値を設定し、取引決定部330は、買電ユーザが設定した閾値に応じて複数の電力源を混ぜて、約定させる。
【0062】
図12は、記憶部102が記憶する売電情報及び買電情報の一例を示す図である。
売電情報取得部310は、売電ユーザ(売電端末装置6)から、希望売電量及び希望売電価格に加えてR(CO)を取得する。そして、売電情報取得部310は、希望売電量、希望売電価格及びR(CO)を、売電ユーザに関連付けて記憶部102に記憶する。売電情報取得部310は、複数の売電ユーザ(売電端末装置6)から、希望売電量、希望売電価格及びR(CO)を取得した場合には、各売電ユーザに関連付けて、希望売電量、希望売電価格及びR(CO)を記憶部102に記憶する。また、売電情報取得部310は、取得したR(CO)に代えて、取得したR(CO)と上記式(7)を用いて算出した売電品質QEを記憶部102に記憶しても良い。
【0063】
図12には、売電情報取得部310が、売電ユーザA(予め登録されたユーザIDが1)、売電ユーザB(予め登録されたユーザIDが2)及び売電ユーザC(予め登録されたユーザIDが3)から売電情報を取得し、記憶部102に記憶した例を示している。売電ユーザAの希望売電量は200(kWh)、希望売電価格は10(円/kWh)、売電品質QEは0.3である。売電ユーザBの希望売電量は100(kWh)、希望売電価格は11(円/kWh)、売電品質QEは0.8である。売電ユーザCの希望売電量は100(kWh)、希望売電価格は12(円/kWh)、売電品質QEは1である。
【0064】
買電情報取得部320は、買電ユーザ(買電端末装置7)から希望買電量及び希望買電価格に加えて買電品質QEの閾値を取得する。そして、買電情報取得部320は、希望買電量、希望買電価格及び買電品質QEを、買電ユーザに関連付けて記憶部102に記憶する。買電情報取得部320は、複数の買電ユーザから、希望買電量、希望買電価格及び買電品質QEを取得した場合には、各買電ユーザに関連付けて、その買電ユーザの希望買電量、希望買電価格及び買電品質QEを記憶部102に記憶する。
【0065】
図12には、買電情報取得部320が、買電ユーザX(予め登録されたユーザIDが6)、買電ユーザY(予め登録されたユーザIDが7)、及び、買電ユーザZ(予め登録されたユーザIDが8)から買電情報を取得し、記憶部102に記憶した例を示している。買電ユーザXの希望買電量は200(kWh)、希望買電価格は10(円/kWh)、買電品質QEの閾値は0.5である。買電ユーザYの希望買電量は100(kWh)、希望買電価格は11(円/kWh)、買電品質QEの閾値は0.7である。買電ユーザZの希望買電量は100(kWh)、希望買電価格は12(円/kWh)、買電品質QEの閾値は1である。
【0066】
取引決定部330は、売電ユーザ及び買電ユーザの属する市場を、取引を希望する価格によって分類する分類部331と、分類部331によって分類された希望価格において、売電ユーザと買電ユーザとを約定させる約定部332と、を有している。
約定部332は、品質QEをも考慮して取引量を決定する。約定部332は、先ず、希望買電価格以下の価格帯のみで品質QEの閾値に到達可能か否かを判断する。約定部332は、品質QEの閾値に到達可能である場合には、買電ユーザの要求する品質QEを満足させるように約定させる。他方、約定部332は、品質QEの閾値に到達しない場合には、希望買電価格以下の価格帯の中に、P(CO)を下回る電力源があれば、時間優先の原則にて約定させる。これは、もし、希望買電価格以下の価格帯にて品質QEの閾値に到達しない場合には、約定が成立せずに、希望買電量全てを、炭素原単位P(CO)の発電所にて発電された電力を購入しなければならず、品質QEが0となってしまうからである。
【0067】
図13は、第3の実施形態に係る電力取引装置3が行う取引量決定処理を示すフローチャートである。電力取引装置3は、取引量決定処理を、予め設定された一定時間(例えば1分秒)ごとに繰り返し実行する。
電力取引装置3は、予め定められた所定時刻になったか否かを判断する(S1301)。所定時刻になった場合(S1301でYes)、取引決定部330は、売電情報取得部310が取得した希望売電量、及び、買電情報取得部320が取得した希望買電量を把握するとともに、希望の価格帯毎に分類分けする(S1302)。
【0068】
その後、電力取引装置3は、S1302にて分類分けした価格帯毎に、各買電ユーザの品質QEの閾値が1より小さいか否かを判断する(S1303)。閾値が1である場合(S1303でNo)、電力取引装置3は、品質QEが1、言い換えれば、R(CO)=0である太陽光発電や風力発電による売電力とする売電ユーザと、R(CO)=0の電力を買電力として希望する買電ユーザとの間で約定を成立させる(S1304)。例えば、図12に示した例では、電力取引装置3は、売電ユーザCの希望売電量100(kWh)と、買電ユーザZの希望買電量100(kWh)とを約定させる。
【0069】
閾値が1より小さい場合(S1303でYes)、電力取引装置3は、分類分けした価格帯毎に、上記式(7)を用いて算出された品質QEを把握する(S1305)。そして、電力取引装置3は、分類分けした価格帯毎に、その価格帯の売電力のみで各買電ユーザの品質QEの閾値に到達するか否かを判断する(S1306)。品質QEの閾値に到達する場合(S1306でYes)、各買電ユーザの品質QEの閾値を下回らない範囲で約定させる(S1307)。例えば、図12に示した例では、電力取引装置3は、売電ユーザBの希望売電量100(kWh)と、買電ユーザYの希望買電量100(kWh)とを約定させる。
【0070】
他方、品質QEの閾値に到達しない場合(S1306でNo)、価格帯の中に、P(CO)以下の電力源があれば、その電力源による電力を時間優先の原則にて約定させる(S1308)。例えば、図12に示した例では、買電ユーザXの希望買電価格帯では、買電品質QEの閾値0.5に到達しないが、同価格帯の中にP(CO)以下の電力源であって売電品質QEが0.3である売電ユーザAの売電力があるので、売電ユーザAの希望売電量200(kWh)と、買電ユーザXの希望買電量200(kWh)とを約定させる。
なお、S1301~S1308の処理は、取引決定部330が行う処理である。
【0071】
そして、電力取引装置3は、S1304、S1307、S1308にて決定した売電約定量及び買電約定量を、全ての売電ユーザ及び全ての買電ユーザに通知する(S1309)。これは、取引情報通知部40が行う処理である。
【0072】
上述したように、電力取引装置3は、電力を売りたい売電ユーザの希望売電量及び売る電力の品質QEに関連する情報の一例としてのR(CO)を含む売電情報を、ネットワーク8を介して売電ユーザから取得する売電情報取得手段の一例としての売電情報取得部310を備える。また、電力取引装置3は、電力を購入したい買電ユーザの希望買電量及び購入したい電力の品質QEの希望値の一例としての閾値を含む買電情報を、ネットワーク8を介して複数の買電ユーザから取得する買電情報取得手段の一例としての買電情報取得部320を備える。また、電力取引装置3は、買電ユーザが希望する品質の希望値を満たす範囲内で、売電ユーザと買電ユーザとを約定させる約定手段の一例としての約定部332を備える。
【0073】
このように構成された電力取引装置3においては、約定部332は、買電ユーザが希望する品質QEを考慮して約定させるので、高い品質QEの電力を欲する買電ユーザの欲求を満たすことができる。その結果、希望買電量が少量であっても高い品質QEの電力を選択的に購入するユーザの参加を促すことができる。また、希望売電量が少量であっても高い品質QEの電力を供給可能なユーザの参加を促すことができる。そして、これにより、多数の者に対して取引機会を与えることができ、取引市場を活性化させることができる。
【符号の説明】
【0074】
1,2,3…電力取引装置、10,310…売電情報取得部、20,320…買電情報取得部、30,230,330…取引決定部、31…約定率決定部、32…約定量決定部、40…取引情報通知部、231,331…分類部、232,332…約定部
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