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特許7420881カメラレンズ調整機構、投影モジュール及び投影装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】カメラレンズ調整機構、投影モジュール及び投影装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240116BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20240116BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240116BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20240116BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240116BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G02B7/00 B
G02B7/04 E
G02B7/08 B
G03B21/00 D
H04N5/74 A
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022130750
(22)【出願日】2022-08-18
(65)【公開番号】P2023085191
(43)【公開日】2023-06-20
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】202123070909.9
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521476193
【氏名又は名称】安克▲創▼新科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲顯▼▲ツェン▼
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-160409(JP,A)
【文献】特開2019-168545(JP,A)
【文献】特開2005-062852(JP,A)
【文献】特開2006-072002(JP,A)
【文献】特開2006-301424(JP,A)
【文献】特開2007-219352(JP,A)
【文献】特開2007-232800(JP,A)
【文献】特開2015-118221(JP,A)
【文献】中国実用新案第206431413(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00-7/24
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N 5/222-5/257
5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラレンズの位置を調整することに用いられるカメラレンズ調整機構であって、
支持部材と、
前記支持部材の一側に位置する移動部材であって、前記カメラレンズが該移動部材に取り付けられ、該移動部材は第1所定方向に摺動可能に前記支持部材に接続され、前記第1所定方向に延びているラックを含み、前記ラックは歯状構造を含む、移動部材と、
前記カメラレンズの光軸に平行な自体の軸方向を中心にして回転し、歯が前記歯状構造と噛み合う歯車と、
接続ユニットと、
を含み、
前記歯車の外周輪郭の所定断面が前記第1所定方向に平行であり、前記所定断面は前記歯車の前記ラックに近い側に位置し、かつ、前記所定断面と前記カメラレンズの光軸とが同一平面にあり、
前記接続ユニットは、接続部と前記接続部に接続される制限部とを含み、前記制限部は前記支持部材の前記移動部材から離れた側に位置し、前記支持部材には、前記接続部が前記第1所定方向に摺動する摺動溝が形成されており、前記接続部は、前記摺動溝を貫通して前記移動部材に接続されており、
前記制限部の第2所定方向の最大長さがa、前記摺動溝の第2所定方向の最大長さがbであり、前記aは前記bよりも大きく、前記第2所定方向は前記第1所定方向及び前記カメラレンズの光軸に垂直である、ことを特徴とするカメラレンズ調整機構。
【請求項2】
前記第1所定方向は前記カメラレンズの光軸に垂直である、ことを特徴とする請求項1に記載のカメラレンズ調整機構。
【請求項3】
前記接続部は前記歯車の軸方向に延びており、
前記接続ユニットは、前記接続部を囲んで設けられ、前記制限部と前記支持部材との間に位置する弾性部材をさらに含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載のカメラレンズ調整機構。
【請求項4】
前記接続ユニットは、前記接続部を囲んで設けられたガスケットをさらに備え前記ガスケット前記制限部との間には、前記弾性部材が位置し、前記ガスケットのうち前記弾性部材から離れた側面が前記支持部材に当接される、ことを特徴とする請求項3に記載のカメラレンズ調整機構。
【請求項5】
前記接続ユニットは、前記移動部材に固定される摺動部材をさらに備え、前記支持部材には、前記摺動部材が前記第1所定方向に摺動する制限案内溝が設けられ、前記制限案内溝が前記第1所定方向に延びていることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラレンズ調整機構。
【請求項6】
前記摺動溝は前記制限案内溝の底壁に位置し、前記接続部の一端は前記摺動部材に挿着される、ことを特徴とする請求項5に記載のカメラレンズ調整機構。
【請求項7】
前記接続部と前記摺動部材とは取り外し可能に接続される、ことを特徴とする請求項6に記載のカメラレンズ調整機構。
【請求項8】
前記接続ユニットは、前記摺動部材を囲んで接するように設けられ、前記制限案内溝に沿って摺動可能な保護部材を含む、ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載のカメラレンズ調整機構。
【請求項9】
投影用カメラレンズと、請求項1~8のいずれか1項に記載のカメラレンズ調整機構とを含み、前記投影用カメラレンズは前記カメラレンズ調整機構の移動部材に取り付けられる、ことを特徴とする投影モジュール。
【請求項10】
前記投影モジュールは、前記移動部材に配置されるカメラをさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の投影モジュール。
【請求項11】
前記カメラの光軸と前記投影用カメラレンズの光軸とが同一平面にある、ことを特徴とする請求項10に記載の投影モジュール。
【請求項12】
光学機器と、請求項9~11のいずれか1項に記載の投影モジュールとを含み、前記光学機器から発する投影光が、前記投影モジュールの投影用カメラレンズから外界環境に投射される、ことを特徴とする投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は光学画像形成の技術分野に関し、特にカメラレンズ調整機構、投影モジュール及び投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラレンズ調整機構は投影装置の重要なユニットの1つであり、投影装置のカメラレンズの位置を調整して、カメラレンズの軸移動機能を達成させるものである。
【0003】
関連技術では、モータにより歯車を回転駆動し、歯車によりネジ棒を回転させ、カメラレンズを移動させるのが一般的であるが、ネジ棒と歯車との伝動速度が遅く、効率が低く、カメラレンズの移動速度低下を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、カメラレンズの移動速度が遅いという従来技術の問題を解決するカメラレンズ調整機構、投影モジュール及び投影装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様では、本願は、カメラレンズの位置を調整することに用いられるカメラレンズ調整機構を提供し、このカメラレンズ調整機構は、支持部材と、支持部材の側方に位置する移動部材であって、カメラレンズが取り付けられ、第1所定方向に摺動可能に支持部材に接続され、第1所定方向に延びているラックを含み、ラックは歯状構造を含む、移動部材と、カメラレンズの光軸に平行な自体の軸方向を中心にして回転し、歯が歯状構造と噛み合う歯車とを含み、歯車の外周輪郭の所定断面が第1所定方向に平行であり、所定断面は歯車のラックに近い側に位置し、かつ、所定断面とカメラレンズの光軸とが同一平面にある。
【0006】
本願のいくつかの実施例では、第1所定方向はカメラレンズの光軸に垂直である。ラックに対する歯車の駆動力が光軸を通る所定断面により集中し、これにより、移動中のカメラレンズの揺れをさらに防止する。
【0007】
本願のいくつかの実施例では、カメラレンズ調整機構は、接続ユニットをさらに含み、接続ユニットは、接続部と接続部に接続される制限部とを含む制限部材であって、制限部は支持部材の移動部材から離れた側に位置し、接続部が、支持部材に備えられた接続部が第1所定方向に摺動する摺動溝を貫通して移動部材に接続される、制限部材を含み、制限部の第2所定方向の最大長さがa、摺動溝の第2所定方向の最大長さがbであり、aはbよりも大きく、第2所定方向は第1所定方向及びカメラレンズの光軸に垂直である。接続ユニットは移動部材と支持部材とを接続して、カメラレンズ及び移動部材を支持部材に移動可能に取り付けるものであり、接続部は移動部材と制限部とを接続するものであり、摺動溝は接続部が第1所定方向に移動可能であり、これにより、接続部は移動部材に同期して移動可能であり、接続部が移動部材の第1所定方向での移動に影響を与えることを回避し、また、移動部材及び制限部はそれぞれ支持部材の両側に位置し、そして、第2所定方向において、制限部の最大長さaが摺動溝の最大長さbよりも大きく、これによって、移動部材と支持部材との分離を制限部で抑制することができる。
【0008】
本願のいくつかの実施例では、接続部は歯車の軸方向に延びており、接続ユニットは、接続部を囲んで設けられ、制限部と支持部材との間に位置する弾性部材をさらに含む。弾性部材による付勢力で移動部材と支持部材との接触の密着度を調整し、移動部材が第1所定方向に摺動するときに受ける摩擦力を調整することができる。
【0009】
本願のいくつかの実施例では、接続ユニットは、接続部を囲んで設けられ、制限部との間に弾性部材が位置し、弾性部材から離れた側面が支持部材に当接されるガスケットをさらに含む。ガスケットは弾性部材に支持を提供し、弾性部材が摺動溝に嵌入することを回避し、また、移動部材とカメラレンズとが第1所定方向に移動するときにバランスを維持する役割を果たし、カメラレンズの傾斜を防止し、しかも、移動部材及びカメラレンズの第1所定方向の移動における弾性部材と支持部材との間の摩擦力を低減させることができる。
【0010】
本願のいくつかの実施例では、接続ユニットは、移動部材に固定される摺動部材であって、支持部材に摺動部材が第1所定方向に摺動する制限案内溝が設けられ、制限案内溝が第1所定方向に延びている摺動部材をさらに含む。摺動部材と制限案内溝とを組み合わせることによって、移動部材と支持部材とが摺動可能に接続され、移動部材の移動中の自由度が制限され、移動部材が第1所定方向に摺動するようにする。
【0011】
本願のいくつかの実施例では、摺動溝は制限案内溝の底壁に位置し、接続部の一端は摺動部材に挿着される。接続部と摺動部材との接続により、移動部材と制限部との接続が実現され、しかも、接続部は摺動部材に同期して第1所定方向に移動する。
【0012】
本願のいくつかの実施例では、接続部と摺動部材とは取り外し可能に接続される。接続部と摺動部材とが接続されることにより、移動部材を支持部材に取り付けることができる一方、接続部と摺動部材とが分離することにより、移動部材を支持部材から取り外すことができ、このように接続部と摺動部材とが取り外し可能に接続されることによって、支持部材への移動部材の着脱が容易になる。
【0013】
本願のいくつかの実施例では、接続ユニットは、摺動部材を囲んで接するように設けられ、制限案内溝に沿って摺動可能な保護部材を含む。保護部材は耐摩耗部品であり、摺動部材を保護することができ、摺動部材が制限案内溝の内壁に直接接触することで摩擦により摩損されることを回避しつつ、移動中の摺動部材と制限案内溝の内壁との間の摩擦力を減少させ、しかも、保護部材が摺動部材を囲んで接するように設けられているので、保護部材が摩損された場合、保護部材を交換することが容易である。
【0014】
第2態様では、本願の実施例は、投影用カメラレンズと、上記のいずれかに記載のカメラレンズ調整機構とを含み、投影用カメラレンズはカメラレンズ調整機構の移動部材に取り付けられる投影モジュールをさらに提供する。
【0015】
本願のいくつかの実施例では、投影モジュールは、移動部材に配置されるカメラをさらに含む。カメラは移動部材に連動して第1所定方向に移動することもでき、カメラは投影用カメラレンズにより投射される画面を撮影することができる。
【0016】
本願のいくつかの実施例では、カメラの光軸と投影用カメラレンズの光軸とが同一平面にある。カメラと投影用カメラレンズとが軸移動を同期して行ってもよく、これにより、カメラが投影用カメラレンズにより投射された画面を撮影することが容易である。
【0017】
第3態様では、本願の実施例は、光学機器と、上記のいずれか実施例に記載の投影モジュールとを含み、光学機器から発する投影光が、投影モジュールの投影用カメラレンズから外界環境に投射される投影装置をさらに提供する。
【発明の効果】
【0018】
本願の有益な効果は以下の通りである。歯車は、自体の軸方向を中心にして回転するときに、ラックを第1所定方向に移動させ、移動部材を第1所定方向に移動させ、カメラレンズは第1所定方向に移動駆動され、これにより、カメラレンズの位置が調整され、カメラレンズの軸移動機能が果たされ、歯車とネジ棒とによりカメラレンズを移動駆動する場合よりも、歯車とラックとの方が、伝動速度が速く、伝動効率が高く、これにより、カメラレンズの高速移動が可能になり、また、歯車が回転するときに、歯車のラックへの作用力は主に第1所定方向に沿う駆動力であり、そして、ラックに対する歯車の駆動力は主に光軸を通る所定断面に集中し、これにより、移動中のカメラレンズの揺れを回避し、カメラレンズの移動速度が遅く、画像形成の一致性が悪く、かつ、軸移動がスムーズに実施できないという従来技術の問題を解決する。また、投影モジュール及び投影装置は全てカメラレンズ調整機構を含み、このため、投影モジュール及び投影装置はカメラレンズ調整機構の特徴及び利点を有し、ここでは詳しく説明しない。
【0019】
本願の実施例又は関連技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は関連技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本願の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願の一実施例においてカメラレンズとカメラレンズ調整機構とが接続されたときの第1視角からの概略図である。
図2】本願の一実施例におけるラック、歯車及びカメラレンズの配置の概略図である。
図3】本願の一実施例においてカメラレンズとカメラレンズ調整機構とが接続されたときの第2視角からの概略図である。
図4図3のC部の拡大概略図である。
図5】本願の一実施例において移動部材と支持部材とが分離したときの概略図である。
図6】本願の一実施例において移動部材と支持部材とが分離したときの接続ユニットの解体概略図である。
図7】本願の一実施例における投影モジュールの構造概略図である。
図8】本願の一実施例における投影モジュールの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される特定実施例は本願を解釈するために過ぎず、本願を限定するものではない。
【0022】
本願の実施例は、カメラレンズの移動速度が遅く、画像形成の一致性が悪く、軸移動がスムーズに実施できないという従来技術の問題を解決するカメラレンズ調整機構、投影モジュール及び投影装置を提供する。
【0023】
第1態様では、本願の実施例はカメラレンズ調整機構を提供し、図1に示すように、カメラレンズ調整機構10はカメラレンズ20の位置を調整し、カメラレンズ20の軸移動機能を達成させるものである。
【0024】
また、図1に示すように、具体的には、カメラレンズ調整機構10は、支持部材11と、移動部材12と、歯車13とを含む。
【0025】
これらのうち、支持部材11は移動部材12を支持することができ、支持部材11全体の形状は板状、柱状又は塊状などとしてもよいが、本願はこれについて特に制限しない。支持部材11を製造する材料はアルミニウム、鉄や鋼などの金属材料であってもよいが、もちろん、ハードシリコンやプラスチックなどの材料であってもよく、本願はこれについても特に制限しない。
【0026】
移動部材12は支持部材11の側方に位置し、カメラレンズ20は移動部材12に取り付けられ、カメラレンズ20は投影用カメラレンズや他のカメラレンズであってもよく、移動部材12は第1所定方向AAに摺動可能に支持部材11に接続され、移動部材12は第1所定方向AAに延びているラック121を含み、ラック121は歯状構造を含む。移動部材12はカメラレンズ20を支持する部品であり、また、移動部材12は支持部材11に対して第1所定方向AAに摺動可能であり、これによって、カメラレンズ20を支持部材11に対して第1所定方向AAに摺動させてもよく、移動部材12全体の形状は板状、柱状や塊状などとしてもよいが、本願はこれについて特に制限しない。移動部材12を製造する材料はアルミニウム、鉄や鋼などの金属材料であってもよく、もちろん、移動部材12を製造する材料はハードシリコン又はプラスチックなどの材料であってもよいが、本願はこれについても特に制限しない。
【0027】
歯車13は自体の軸方向を中心にして回転し、歯車13の軸方向がカメラレンズ20の光軸Oに平行であり、歯車13の歯は歯状構造と噛み合う。
【0028】
なお、歯車13は、自体の軸方向を中心にして回転するときに、ラック121を第1所定方向AAに移動させ、移動部材12を第1所定方向AAに移動させ、カメラレンズ20が移動部材12に取り付けられるので、移動部材12は第1所定方向AAに移動するときに、カメラレンズ20を第1所定方向AAに移動させ、これにより、カメラレンズ20の位置が調整され、カメラレンズ20の軸移動機能が果たされ、歯車13とネジ棒とによりカメラレンズ20を移動駆動する場合よりも、歯車13とラック121との方が、伝動速度が速く、伝動効率が高く、これにより、カメラレンズ20の高速移動が可能になる。
【0029】
さらに、図1及び図2に示すように、歯車13の外周輪郭Kの所定断面Sが第1所定方向AAに平行であり、所定断面Sは歯車13のラック121に近い側に位置し、かつ、所定断面Sとカメラレンズ20の光軸Oとが同一平面にあり、なお、図2においては、光軸Oは紙面方向に垂直である。
【0030】
なお、歯車13の外周輪郭Kにおいて第1所定方向AAに平行である断面は2つあり、一方の断面は歯車13のラック121に近い側に位置し、他方の断面は歯車13のラック121から離れた側に位置し、歯車13のラック121に近い側に位置する断面は所定断面Sである。
【0031】
またなお、歯車13が回転するときに、ラック121に対する歯車13の作用力は主に第1所定方向AAに沿う駆動力であり、駆動力は主に歯車13の外周輪郭Kのうち所定断面Sに相接する接点に集中し、即ち、駆動力は主に所定断面Sの所在する平面に集中し、このため、所定断面Sとカメラレンズ20の光軸Oとが同一平面にある場合、ラック121に対する歯車13の駆動力は主に光軸Oを通る所定断面Sに集中し、これにより、移動中のカメラレンズ20の揺れを回避し、カメラレンズ20の移動速度が遅く、画像形成の一致性が悪く、かつ、軸移動がスムーズに実施できないなどの関連技術の問題を解決する。
【0032】
本願の一実施例では、前記第1所定方向AAはカメラレンズ20の光軸Oに垂直であってもよく、これにより、ラック121に対する歯車13の駆動力は光軸Oを通る所定断面Sにより集中し、これにより、移動中のカメラレンズ20の揺れをさらに防止する。
【0033】
もちろん、第1所定方向AAはカメラレンズ20の光軸Oに対する垂直方向に対して一定の角度だけずれていてもよく、また、図1及び図2に示すように、本願の一実施例では、歯車13は駆動部材15がさらに設けられ、駆動部材15は、支持部材11に取り付けられ、歯車13を自体の軸方向の周りに回転駆動させるものであり、電動機やモータなど、駆動力を有し、歯車13を回転駆動し得るデバイスであってもよい。
【0034】
図3及び図4に示すように、本願のいくつかの実施例では、カメラレンズ調整機構10は接続ユニット14をさらに含み、接続ユニット14は制限部材141を含み、制限部材141は、接続部1411と、接続部1411に接続される制限部1412とを含む。
【0035】
これらのうち、制限部1412は支持部材11の移動部材12から離れた側に位置し、支持部材11は接続部1411が第1所定方向AAに摺動する摺動溝111を有し、接続部1411は摺動溝111を貫通して移動部材12に接続され、制限部1412の第2所定方向BBの最大長さがa、摺動溝111の第2所定方向BBの最大長さがbであり、aはbよりも大きく、第2所定方向BBは第1所定方向AA及び歯車13の軸方向に垂直である。
【0036】
なお、接続ユニット14は移動部材12と支持部材11とを接続して、カメラレンズ20及び移動部材12を支持部材11に移動可能に取り付けるものであり、接続部1411は移動部材12と制限部1412とを接続するものであり、摺動溝111は接続部1411が第1所定方向AAに移動可能であり、これにより、接続部1411は移動部材12に同期して移動可能であり、接続部1411が移動部材12の第1所定方向AAでの移動に影響を与えることを回避し、また、移動部材12及び制限部1412はそれぞれ支持部材11の両側に位置し、そして、第2所定方向BBにおいて、制限部1412の最大長さaが摺動溝111の最大長さbよりも大きく、これによって、移動部材12と支持部材11との分離を制限部1412で抑制することができる。
【0037】
またなお、接続部1411と制限部1412とは一体形成されてもよいが、もちろん、接続部1411と制限部1412とは個別に成形された後、溶接、粘着、ネジ接続、係合やリベット留めなどの方式で接続されてもよい。
【0038】
また、図3及び図4に示すように、本願の一実施例では、接続部1411は歯車13の軸方向に延びており、接続ユニット14は弾性部材142をさらに含み、弾性部材142は接続部1411を囲んで設けられ、制限部1412と支持部材11との間に位置する。弾性部材142はバネであってもよいが、もちろん、弾性部材142はシリコーン、ラテックスや伸縮性スポンジなどのデバイスであってもよい。
【0039】
理解できるものとして、移動部材12は、第1所定方向AAに摺動するときに、支持部材11と摩擦し、かつ、移動部材12と支持部材11とが密着すればするほど、移動部材12が第1所定方向AAに摺動するときに受ける摩擦力が大きくなり、弾性部材142の付勢力によって移動部材12と支持部材11との密着度が調整され、これにより、移動部材12が第1所定方向AAに摺動するときに受ける摩擦力が調整され、一般には、弾性部材142の圧縮の度合いが大きいほど、弾性部材142の制限部1412への反作用力が大きく、移動部材12と支持部材11がより密着する。
【0040】
さらに、また図3及び図4に示すように、接続ユニット14は、接続部1411を囲んで設けられ、制限部1412との間に弾性部材142が位置し、弾性部材142から離れた側面が支持部材11に当接されるガスケット143をさらに含んでもよい。ガスケット143は弾性部材142を支持し、弾性部材142が摺動溝111に嵌入することを防止し、また、移動部材12及びカメラレンズ20が第1所定方向AAに移動するときにバランスを維持する役割を果たし、カメラレンズ20の傾斜を防止し、しかも、移動部材12及びカメラレンズ20の第1所定方向AAの移動における弾性部材142と支持部材11との間の摩擦力を減少させることができる。
【0041】
ここでは、ガスケット143は、ガスケット143が第1所定方向AAに移動するときにガスケット143と支持部材11との摩擦を減少させるために、滑らかな金属ガスケット143であってもよい。
【0042】
また、図3及び図4に示すように、本願の一実施例では、支持部材11の制限部1412に近い側に制限溝112が設けられ、制限溝112は第1所定方向AAに延びており、ガスケット143は制限溝112内に位置し、制限溝112に沿って摺動可能であり、摺動溝111は制限溝112の底壁に位置し、制限溝112はガスケット143を収納してガスケット143を保護することができ、また、制限溝112はガスケット143の移動方向を制限し、さらに移動部材12及びカメラレンズ20の移動方向を制限する。
【0043】
図5及び図6に示すように、接続ユニット14は、移動部材12に固定される摺動部材144であって、支持部材11に摺動部材144が第1所定方向AAに摺動する制限案内溝113が設けられ、制限案内溝113が第1所定方向AAに延びている摺動部材144をさらに含んでもよい。
【0044】
理解できるものとして、摺動部材144と制限案内溝113とを組み合わせることによって、移動部材12と支持部材11とが摺動可能に接続され、移動部材12の移動中の自由度が制限され、移動部材12が第1所定方向AAに摺動するようにする。
【0045】
また、図5及び図6に示すように、本願の一実施例では、摺動溝111は制限案内溝113の底壁に位置し、接続部1411の一端は摺動部材144に挿着され、これにより、接続部1411と摺動部材144とが接続されることで、移動部材12と制限部1412との接続が実現され、しかも、接続部1411は摺動部材144に同期して第1所定方向AAに移動する。
【0046】
ここで、接続部1411は摺動部材144に取り外し可能に接続されてもよく、接続部1411と摺動部材144とが接続されることにより、移動部材12を支持部材11に取り付けることができ、一方、接続部1411と摺動部材144とが分離することにより、移動部材12を支持部材11から取り外すことができ、このように接続部1411と摺動部材144とが取り外し可能に接続されることによって、支持部材11への移動部材12の着脱が容易になる。接続部1411は摺動部材144にネジ接続されてもよいが、もちろん、接続部1411はスプライン接続や係合接続など、取り外し可能な接続方式で摺動部材144に接続されてもよい。
【0047】
また、図5及び図6に示すように、接続ユニット14は、摺動部材144に囲んで接するように設けられ、制限案内溝113に沿って摺動可能な保護部材145をさらに含む。保護部材145は耐摩耗部品であり、摺動部材144を保護することができ、摺動部材144が制限案内溝113の内壁に直接接触することで摩擦により摩損されることを回避しつつ、移動中の摺動部材144と制限案内溝113の内壁との間の摩擦力を減少させ、しかも、保護部材145が摺動部材144を囲んで接するように設けられているので、保護部材145が摩損された場合保護部材145を交換することが容易である。
【0048】
ここで、保護部材145は高マンガン鋼、炭化ケイ素、窒化ケイ素、強靭化ジルコニア、又は強靭化亜酸化アルミニウムなどの耐摩耗性材で製造されてもよい。
【0049】
なお、図6は摺動部材144及び保護部材145の両方が円筒状である場合を例示したものに過ぎず、実際のニーズに応じては、摺動部材144及び保護部材145は板状や塊状などの形状としてもよく、本願はこれについて特に制限しない。
【0050】
また、図6に示すように、本願の一実施例では、支持部材11のそれぞれの隅部に1組の接続ユニット14が設けられ、これにより、移動部材12と支持部材11との接続を強固にしながら、移動部材12が移動するときに支持部材11から分離することを回避する。
【0051】
ここでは、移動部材12が移動するときに受力のばらつきにより傾斜したりすることを防止するために、所定断面Sの両側に位置する接続ユニット14は所定断面Sに対して対称に分布してもよい。
【0052】
またなお、図6では、4組の接続ユニット14だけが例示的に設けられるが、実際のニーズに応じては、2組、6組、8組以上の接続ユニット14が設けられてもよく、しかも、好ましくは、接続ユニット14の組数は偶数であり、また所定断面Sの両側に均等に分布している。
【0053】
上記のカメラレンズ調整機構10に基づいて、本願の実施例はまた、投影モジュールを提供し、図7に示すように、この投影モジュールは、投影用カメラレンズ21と、上記のいずれか1つの実施例に記載のカメラレンズ調整機構10とを含み、前記投影用カメラレンズ21は前記カメラレンズ調整機構10の移動部材12に取り付けられる。
【0054】
なお、投影用カメラレンズ21は投影モジュールのカメラレンズであり、投影用カメラレンズ21は移動部材12に連動して第1所定方向AAに移動してもよく、これにより、カメラレンズの軸移動機能が発揮される。
【0055】
ここで、投影用カメラレンズ21は、ケース211と、ケース211内のレンズ212とを含み、移動部材12はケース211と一体成形されてもよく、ラック121は印刷、エッチング、彫刻又は切削などのプロセスによって移動部材12に形成されてもよい。
【0056】
レンズ212はガラス又は樹脂などの光学透明材料で製造されたものであり、レンズ212は1つ又は複数の曲面を有し、光の伝播方向を変えることができ、レンズ212を移動することにより焦点調節又は手振れ防止などの目的が図られ、レンズ212を移動することにより焦点調節又は手振れ防止を行う具体的な原理は本分野で公知のものであるので、ここでは詳しく説明しない。
【0057】
投影用カメラレンズ21では、レンズ212は少なくとも1つであり、投影用カメラレンズ21に複数の光学性能を持たせるために、レンズ212の数は通常複数であり、かつ、複数のレンズ212は投影用カメラレンズ21の光軸O’方向に配列され、複数のレンズ212は同じであってもよいし、異なってもよく、投影用カメラレンズ21が2つのレンズ212を含む場合を例として、2つのレンズ212は投影用カメラレンズ21の光軸O’方向に順次配列され、それぞれのレンズ212は複数のレンズ素子を組み合わせたレンズ素子群であってもよく、レンズ素子群のレンズ素子は外形や機能によって凸レンズと凹レンズとに分けられ、本願は、レンズ素子群のレンズ素子の材料、タイプやサイズなどについて制限しない。
【0058】
本願の一実施例では、前記投影モジュールは、前記移動部材12に配置されるカメラをさらに含む。
【0059】
ここで、カメラは移動部材12に連動して第1所定方向AAに移動してもよく、カメラは投影用カメラレンズ21により投射された画面を撮影してもよい。
【0060】
さらに、前記カメラの光軸と前記投影用カメラレンズ21の光軸O’とは同一平面にあり、これにより、カメラ及び投影用カメラレンズ21の軸移動を同期化し、カメラが投影用カメラレンズ21により投射された画面を撮影することに有利である。
【0061】
上述投影モジュールに基づいて、本願の実施例はまた投影装置を提供し、図8に示すように、投影装置は光学機器30と、上記いずれかの実施例に記載の投影モジュールとを含み、前記光学機器30から発する投影光が、前記投影モジュールの投影用カメラレンズ21から外界環境に投射される。
【0062】
ここで、投影装置は投影用カメラレンズ21を介してカーテンなどの装置に画面を投射してもよく、撮影用カメラレンズは投影用カメラレンズ21により投射された画面を撮影して、投影装置の制御部品にフィードバックしてもよい。
【0063】
以上は本願の好適な実施例に過ぎず、本願を制限するものではなく、本願の精神や原則を逸脱することなく行われる全ての修正、同等置換や改良などは、本願の特許範囲に含まれるものとする。
【0064】
[付記項1]
カメラレンズの位置を調整することに用いられるカメラレンズ調整機構であって、
支持部材と、
前記支持部材の側方に位置する移動部材であって、前記カメラレンズが該移動部材に取り付けられ、該移動部材は第1所定方向に摺動可能に前記支持部材に接続され、前記第1所定方向に延びているラックを含み、前記ラックは歯状構造を含む、移動部材と、
前記カメラレンズの光軸に平行な自体の軸方向を中心にして回転し、歯が前記歯状構造と噛み合う歯車と、
を含み、
前記歯車の外周輪郭の所定断面が前記第1所定方向に平行であり、前記所定断面は前記歯車の前記ラックに近い側に位置し、かつ、前記所定断面と前記カメラレンズの光軸とが同一平面にある、ことを特徴とするカメラレンズ調整機構。
[付記項2]
前記第1所定方向は前記カメラレンズの光軸に垂直である、ことを特徴とする付記項1に記載のカメラレンズ調整機構。
[付記項3]
接続ユニットをさらに含み、
前記接続ユニットは、接続部と前記接続部に接続される制限部とを含み、前記制限部は前記支持部材の前記移動部材から離れた側に位置し、前記接続部は、前記支持部材に備えられ、前記接続部が前記第1所定方向に摺動する摺動溝を貫通して前記移動部材に接続される制限部材を含み、
前記制限部の第2所定方向の最大長さがa、前記摺動溝の第2所定方向の最大長さがbであり、前記aは前記bよりも大きく、前記第2所定方向は前記第1所定方向及び前記カメラレンズの光軸に垂直である、ことを特徴とする付記項1に記載のカメラレンズ調整機構。
[付記項4]
前記接続部は前記歯車の軸方向に延びており、
前記接続ユニットは、前記接続部を囲んで設けられ、前記制限部と前記支持部材との間に位置する弾性部材をさらに含む、ことを特徴とする付記項3に記載のカメラレンズ調整機構。
[付記項5]
前記接続ユニットは、前記接続部を囲んで設けられ、制限部との間に前記弾性部材が位置し、前記弾性部材から離れた側面が前記支持部材に当接されるガスケットをさらに含む、ことを特徴とする付記項4に記載のカメラレンズ調整機構。
[付記項6]
前記接続ユニットは、前記移動部材に固定される摺動部材であって、前記支持部材に前記摺動部材が前記第1所定方向に摺動する制限案内溝が設けられ、前記制限案内溝が前記第1所定方向に延びている、摺動部材をさらに含む、ことを特徴とする付記項3に記載のカメラレンズ調整機構。
[付記項7]
前記摺動溝は前記制限案内溝の底壁に位置し、前記接続部の一端は前記摺動部材に挿着される、ことを特徴とする付記項6に記載のカメラレンズ調整機構。
[付記項8]
前記接続部と前記摺動部材とは取り外し可能に接続される、ことを特徴とする付記項7に記載のカメラレンズ調整機構。
[付記項9]
前記接続ユニットは、前記摺動部材を囲んで接するように設けられ、前記制限案内溝に沿って摺動可能な保護部材を含む、ことを特徴とする付記項6~8のいずれか1項に記載のカメラレンズ調整機構。
[付記項10]
投影用カメラレンズと、付記項1~9のいずれか1項に記載のカメラレンズ調整機構とを含み、前記投影用カメラレンズは前記カメラレンズ調整機構の移動部材に取り付けられる、ことを特徴とする投影モジュール。
[付記項11]
前記投影モジュールは、前記移動部材に配置されるカメラをさらに含む、ことを特徴とする付記項10に記載の投影モジュール。
[付記項12]
前記カメラの光軸と前記投影用カメラレンズの光軸とが同一平面にある、ことを特徴とする付記項11に記載の投影モジュール。
[付記項13]
光学機器と、付記項10から12のいずれか1項に記載の投影モジュールとを含み、前記光学機器から発する投影光が、前記投影モジュールの投影用カメラレンズから外界環境に投射される、ことを特徴とする投影装置。
【符号の説明】
【0065】
10 カメラレンズ調整機構、11 支持部材、111 摺動溝、112 制限溝、113 制限案内溝、12 移動部材、121 ラック、13 歯車、14 接続ユニット、141 制限部材、1411 接続部、1412 制限部、142 弾性部材、143 ガスケット、144 摺動部材、145 保護部材、15 駆動部材、20 カメラレンズ、21 投影用カメラレンズ、211 ケース、212 レンズ、30 光学機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8