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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】サーバ、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20240116BHJP
【FI】
G06Q30/0207 350
G06Q30/0207 334
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022137069
(22)【出願日】2022-08-30
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 貴郁
(72)【発明者】
【氏名】宮田 憲人
(72)【発明者】
【氏名】逸見 眞人
(72)【発明者】
【氏名】池田 燎太
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-081676(JP,A)
【文献】特開2020-102179(JP,A)
【文献】特開2016-149008(JP,A)
【文献】特開2002-318922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0253321(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の口座利用情報と、1つまたは複数のユーザアカウント情報と、1つまたは複数の選択可能特典数情報と、1つまたは複数の特典情報を格納する記憶部を備えたサーバであって、
前記サーバは、
デバイスから特典照会電文を受信し、
前記特典照会電文を受信することに応答して、前記選択可能特典数情報と、ユーザの選択特典に関する選択特典情報とを前記デバイスへ送信し、
前記デバイスから特典更新電文を受信し、
前記特典更新電文を受信することに応答して、前記ユーザの前記特典情報を更新し、
所定のタイミングになると、前記更新された特典情報を確定する、
ように構成され、
前記特典更新電文を受信することに応答して、前記ユーザの前記特典情報を更新することが、前記特典更新電文に含まれる前記ユーザが特典を選択した結果に関する選択結果情報に基づいて、前記特典情報を更新することを含
前記特典更新電文が、前記ユーザにより選択された、選択可能特典数未満の数の前記選択特典情報を含む場合、前記ユーザの過去の選択傾向から算出して、および/または、前記ユーザの予めの設定によって前記選択特典が決定される、
サーバ。
【請求項2】
1つまたは複数の口座利用情報と、1つまたは複数のユーザアカウント情報と、1つまたは複数の選択可能特典数情報と、1つまたは複数の特典情報を格納する記憶部を備えたサーバであって、
前記サーバは、
デバイスから特典照会電文を受信し、
前記特典照会電文を受信することに応答して、前記選択可能特典数情報と、ユーザの選択特典に関する選択特典情報とを前記デバイスへ送信し、
前記デバイスから特典更新電文を受信し、
前記特典更新電文を受信することに応答して、前記ユーザの前記特典情報を更新し、
所定のタイミングになると、前記更新された特典情報を確定する、
ように構成され、
前記特典更新電文を受信することに応答して、前記ユーザの前記特典情報を更新することが、前記特典更新電文に含まれる前記ユーザが特典を選択した結果に関する選択結果情報に基づいて、前記特典情報を更新することを含み、
前記特典更新電文に含まれる前記選択結果情報は、同じ前記選択特典情報を複数含む、
サーバ。
【請求項3】
前記サーバは、
前記記憶部から、前記ユーザの口座利用情報と、前記ユーザのユーザアカウント情報と、を読み出し、
前記口座利用情報と、前記ユーザアカウント情報と、が所定の要件を満たしているか否かを判定し、
前記所定の要件を満たしていると判定した場合、前記ユーザの選択可能特典数情報を更新する、
ようにさらに構成される請求項1または2に記載のサーバ。
【請求項4】
コンピュータにより実行される方法であって、
前記コンピュータは、1つまたは複数の口座利用情報と、1つまたは複数のユーザアカウント情報と、1つまたは複数の選択可能特典数情報と、1つまたは複数の特典情報を格納する記憶部を備え、
前記方法は、
デバイスから特典照会電文を受信することと、
前記特典照会電文を受信することに応答して、前記選択可能特典数情報と、ユーザの選択特典に関する選択特典情報とを前記デバイスへ送信することと、
前記デバイスから特典更新電文を受信することと、
前記特典更新電文を受信することに応答して、前記ユーザの前記特典情報を更新することと、
所定のタイミングになると、前記更新された特典情報を確定することと、
を含み、
前記特典更新電文を受信することに応答して、前記ユーザの前記特典情報を更新することが、前記特典更新電文に含まれる前記ユーザが特典を選択した結果に関する選択結果情報に基づいて、前記特典情報を更新することを含
前記特典更新電文が、前記ユーザにより選択された、選択可能特典数未満の数の前記選択特典情報を含む場合、前記ユーザの過去の選択傾向から算出して、および/または、前記ユーザの予めの設定によって前記選択特典が決定される、
方法。
【請求項5】
コンピュータにより実行される方法であって、
前記コンピュータは、1つまたは複数の口座利用情報と、1つまたは複数のユーザアカウント情報と、1つまたは複数の選択可能特典数情報と、1つまたは複数の特典情報を格納する記憶部を備え、
前記方法は、
デバイスから特典照会電文を受信することと、
前記特典照会電文を受信することに応答して、前記選択可能特典数情報と、ユーザの選択特典に関する選択特典情報とを前記デバイスへ送信することと、
前記デバイスから特典更新電文を受信することと、
前記特典更新電文を受信することに応答して、前記ユーザの前記特典情報を更新することと、
所定のタイミングになると、前記更新された特典情報を確定することと、
を含み、
前記特典更新電文を受信することに応答して、前記ユーザの前記特典情報を更新することが、前記特典更新電文に含まれる前記ユーザが特典を選択した結果に関する選択結果情報に基づいて、前記特典情報を更新することを含み、
前記特典更新電文に含まれる前記選択結果情報は、同じ前記選択特典情報を複数含む、
方法。
【請求項6】
ユーザによる特典選択を可能にするサーバであって、
制御部と、
ユーザアカウント情報と、口座利用情報と、特典管理情報とを格納する記憶部と
を備え、
前記制御部は、
ユーザデバイスから特典照会電文を受信したことに応答して、選択可能特典数および選択特典情報を前記ユーザデバイスに提供することと、
前記ユーザデバイスから特典更新電文を受信することであって、前記特典更新電文は、前記ユーザにより選択された、前記選択可能特典数以下の数の前記選択特典情報を含む、ことと、
前記特典更新電文に基づいて、前記特典管理情報に含まれる前記ユーザに関連付けられる前記選択特典情報を更新することであって、更新された前記ユーザに関連付けられる前記選択特典情報は、前記ユーザによる選択がなされていることを示すインディケーションを有する、ことと、
所定のタイミングになると、更新された前記ユーザに関連付けられる前記選択特典情報を前記ユーザに利用可能にさせることと、
を実行するように構成され、
前記特典更新電文が、前記ユーザにより選択された、選択可能特典数未満の数の前記選択特典情報を含む場合、前記ユーザの過去の選択傾向から算出して、および/または、前記ユーザの予めの設定によって選択特典が決定される、
サーバ。
【請求項7】
ユーザによる特典選択を可能にするサーバであって、
制御部と、
ユーザアカウント情報と、口座利用情報と、特典管理情報とを格納する記憶部と
を備え、
前記制御部は、
ユーザデバイスから特典照会電文を受信したことに応答して、選択可能特典数および選択特典情報を前記ユーザデバイスに提供することと、
前記ユーザデバイスから特典更新電文を受信することであって、前記特典更新電文は、前記ユーザにより選択された、前記選択可能特典数以下の数の前記選択特典情報を含む、ことと、
前記特典更新電文に基づいて、前記特典管理情報に含まれる前記ユーザに関連付けられる前記選択特典情報を更新することであって、更新された前記ユーザに関連付けられる前記選択特典情報は、前記ユーザによる選択がなされていることを示すインディケーションを有する、ことと、
所定のタイミングになると、更新された前記ユーザに関連付けられる前記選択特典情報を前記ユーザに利用可能にさせることと、
を実行するように構成され、
前記特典更新電文に含まれる前記ユーザが特典を選択した結果に関する選択結果情報は、同じ前記選択特典情報を複数含む、
サーバ。
【請求項8】
前記制御部は、
前記ユーザアカウント情報および/または前記口座利用情報から、前記ユーザに関連付けられる利用状況情報を読み出すことと、
読み出した前記利用状況情報のそれぞれが予め定められた要件を満たしているかを判定することと、
満たされているとの判定に応じて、前記特典管理情報に含まれる選択可能特典数を更新し、前記選択可能特典数が更新されたことを前記ユーザデバイスに通知することと
をさらに実行する、請求項6または7に記載のサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行などの金融機関において、顧客の取引状況に応じて、ATMなどの各種手数料を割引または無料にする、決済に利用可能なポイントを付与する、ローン支払いに関する優遇金利を適用する、などの特典を顧客に付与することが広く一般的に行われている。このような特典は、通常、銀行などの金融機関が定めた特典内容の中から、それぞれの顧客の取引状況に合致した特典が適用されて、顧客に付与される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-153147公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、例えば、特典は、それぞれの顧客(ユーザ)に割り当てられたステージ(「プレ」、「ブロンズ」、「シルバー」、「ゴールド」、「プラチナ」など)ごとに一律で設定されている。すなわち、同じ「シルバー」のステージの顧客は、どのような顧客であっても、「シルバー」のステージに設定された特典を付与されることとなる。その他のステージも同様である。
【0005】
ところで、顧客によっては、ATMで預金を引き落としたり、別の口座に資金を振り込んだりするといったことをあまり行わない顧客もいる。また、店舗の会計時に利用可能なポイントなどをあまり利用しない顧客もいる。しかしながら、特許文献1などの従来技術では、ステージごとに一律で特典が設定されるため、顧客によっては、全く利用しない特典ばかりを付与されてしまうといったことが発生していた。したがって、顧客(ユーザ)は、自身の使用スタイルに合わせた特典を付与されなかった。加えて、顧客(ユーザ)は、自身の使用スタイルに合わせた特典を選択することができなかった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ユーザが自身の使用スタイルに合わせた特典を選択できるサーバ、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるサーバは、デバイスから特典更新電文を受信し、特典更新電文を受信することに応答して、ユーザの特典情報を更新し、所定のタイミングになると、更新された特典情報を確定する、ように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デバイスから特典更新電文を受信し、特典更新電文を受信することに応答して、ユーザの特典情報を更新し、所定のタイミングになると、更新された特典情報を確定することができるようになる。その結果、ユーザが自身の使用スタイルに合わせた特典を選択できないという問題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書において開示される実施形態の詳細な理解は、添付図面に関連して例示される以下の説明から得ることができる。
図1】本発明に係るシステムを含むシステム全体の構成図である。
図2】本発明に係るシステムのシステム構成図である。
図3】本発明に係るシステムの特典管理情報の一例を説明する図である。
図4】本発明に係る例示的な実施形態の選択可能特典数の判定処理フローを説明する図である。
図5】本発明に係る例示的な実施形態の選択特典の照会処理フローを説明する図である。
図6】本発明に係る例示的な実施形態の特典選択画面の一例を説明する図である。
図7】本発明に係る例示的な実施形態の選択特典の選択処理フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(用語の定義)
本発明における、「特典」とは、例えば、銀行などの金融機関の口座を保有する顧客に対して、顧客の取引状況に応じて、付与される特定の権利などであり得る。特定の権利(すなわち、特典)は、例えば、「コンビニエンスストアでのATMの利用手数料無料(1回分)」、「銀行に設置されたATMの時間外手数料無料(1か月分)」、「振込手数料無料(1か月分)」、「一部の決済に利用可能なポイントを付与(所定のポイント分)」、「各種カードなどのポイント付与率を増加」などが含まれ得る。上記は単なる例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、「特典」はどのようなものを含んでもよい。また、本明細書では説明を目的に、銀行などの金融機関の口座を保有する顧客に対して、特典を付与することを前提とするが、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、他の様々な分野に本発明を適用してもよい。
【0011】
本発明における、「ユーザ」とは、銀行などの金融機関の口座を保有する顧客であり、かつ後述のユーザ特典アプリの利用者を含み得る。ユーザ特典アプリについては、後述する。
【0012】
上記定義された各用語については、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、どのようなものを含んでもよい。
【0013】
[実施形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るサーバ101を含むシステム全体の構成図である。サーバ101、およびユーザデバイス102のそれぞれは、インターネットなどの周知のネットワーク103を介して相互に通信可能に接続される。本明細書では、サーバ101を1つの装置として説明するが、サーバ101によって実行される様々な処理を複数の装置で分散して実行するように構成してもよい。図1において、ユーザデバイス102は1つずつしか示されていないが、これらは複数存在し得る。
【0014】
サーバ101は、ユーザデバイス102からの各種要求を受け付けて、所定の情報をユーザデバイス102に提供する。
【0015】
ユーザデバイス102は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレットデバイス、スマートウォッチおよび/またはスマートグラスなどの通信機能を備えたコンピュータであってよく、特定の装置に限定されることはない。本実施形態では、ユーザデバイス102は、ユーザAが利用することとする。
【0016】
(システム構成)
図2は、本発明の実施形態に係るサーバ101のシステム構成図である。図2に示すように、サーバ101は、一般的なコンピュータと同様に、バス210などによって相互に接続された制御部201、主記憶部202、補助記憶部203、インターフェース(IF)部204および出力部205を備える。また、サーバ101は、ファイル/データベースなどの形式で、アプリケーション206、ユーザアカウント情報207、口座利用情報208、および特典管理情報209を備えることができる。
【0017】
制御部201は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、サーバ101の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部203に格納されている各種プログラムを主記憶部202に読み出して実行する。主記憶部202は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。補助記憶部203は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0018】
図2の実施形態は、制御部201、主記憶部202および補助記憶部203を同一のコンピュータの内部に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、サーバ101は、制御部201、主記憶部202および補助記憶部203を複数個使用することにより、複数のコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成することもできる。また、他の実施形態として、サーバ101のための複数のサーバを設置し、複数サーバが1つの補助記憶部203を共有する実施形態にすることも可能である。
【0019】
IF部204は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。出力部205は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供する。
【0020】
アプリケーション206は、本発明に係る特典選択プログラム(すなわち、ユーザ特典アプリ)を格納する。特典選択プログラムは、サーバ101によってユーザデバイス102に提供され得る。ユーザは、ユーザ特典アプリを、ユーザデバイス102上で操作して、自身に付与された選択可能な特典を選択し得る。特典選択プログラムの機能は後述する。
【0021】
ユーザアカウント情報207は、ユーザ特典アプリを利用するユーザのアカウント情報を格納する。格納されるユーザのアカウント情報の例は、ユーザID、氏名、年齢、銀行口座番号、利用カードの種類/ランク、性別、電話番号、メールアドレス、職業、住所などの情報を含み得る。上記の情報は、各ユーザに付与可能な特典の判定処理の際に利用され得る。処理の詳細については、後述する。
【0022】
口座利用情報208は、各ユーザの預金残高、投資信託の残高、外貨預金残高、取引記録(例えば、預金の引き出し、預け入れ、振り込み、振替など)、ならびに/または、口座に関連付けられた各種カードの情報(例えば、クレジットカード、デビットカード、および/もしくはプリペイドカードなどの取引記録、利用カードの種類/ランクなど)、利用口座が給与受け取り口座に設定されているか否かなどの情報を格納し得る。上記の情報は、各ユーザに付与可能な特典の判定処理の際に利用され得る。処理の詳細については、後述する。
【0023】
特典管理情報209は、ユーザに付与される特典に関する情報を格納し得る。図3は、特典管理情報209のデータ構造の一例を説明する図である。特典管理情報209は、ユーザID301、選択可能特典数302、選択特典情報303、および既定特典情報304を含み得る。ユーザID301は、ユーザアカウント情報207に格納されているユーザIDに対応し得る。選択可能特典数302は、後述の判定処理で判定されたユーザに付与された選択できる特典の数である。
【0024】
選択特典情報303はさらに、子分類として、選択特典A乃至Dの特典情報を含み得る。既定特典情報304はさらに、子分類として、既定特典E乃至Fの特典情報を含み得る。選択特典情報303および既定特典情報304のそれぞれの子分類は、単なる例であり、より少ないまたはより多い子分類(選択特典および既定特典)が存在してもよい。
【0025】
選択特典A乃至Dは、それぞれの選択特典がユーザに選択されたか否かを示しており、0は未選択、1以上は選択済みを示す。選択特典A乃至Dの初期値は「0:未選択」であり、ユーザに選択されると「1:1個分選択済み」に更新される。選択可能特典数302を複数付与されたユーザは、同じ選択特典を複数分選択してもよい。2つ同じ特典を選択した場合は、「2:2個分選択済み」となり、2個分の特典を選択したこととなり、以降何個分であっても同様である。また、特典内容によっては、複数個分選択する必要の無い項目もある。その場合は、1個分しか選択できないように設定され得る。
【0026】
選択特典A乃至Dの例として、「コンビニエンスストアでのATMの利用手数料無料(1回分)」、「銀行に設置されたATMの時間外手数料無料(1か月分)」、「振込手数料無料(1か月分)」、「一部の決済に利用可能なポイントを付与(所定のポイント分)」、「各種カードなどのポイント付与率を増加」などが含まれ得る。上記選択特典A乃至Dの例は単なる例示であり、本発明を限定することはない。上記以外の様々な特典が、本発明の要旨に逸脱しない範囲で設定され得る。
【0027】
既定特典情報304は、選択特典とは別に、選択しなくても自動的に付与される特典(以降単に既定特典と称す)である。これらは、上述の選択特典と内容が重複してもよく、しなくてもよい。例えば、「コンビニエンスストアでのATMの利用手数料無料(1回分)」という既定特典があり得る。ユーザは、例えば、既定特典としての「コンビニエンスストアでのATMの利用手数料無料(1回分)」では回数が足りない場合、選択特典で全く同じ内容のまたは類似の特典を選択することがあり得る。既定特典は単なる例であり、本発明を限定することはなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲で様々な既定特典を設定してもよい。
【0028】
ユーザデバイス102は、図2に示されるような、バス210などによって相互に接続された制御部201、主記憶部202、補助記憶部203、インターフェース(IF)部204および出力部205を備える。これらの構成要素の機能は、上述した機能と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0029】
上記では、サーバ101、およびユーザデバイス102のそれぞれが、ネットワーク103を介して相互に通信可能に接続される実施形態を説明したが、本発明の要旨は他の実施形態にも適用可能である。例えば、近年広まりつつあるクラウドサービスに見られるように、外部の任意のコンピュータに本発明の実施に必要なデータやソフトウェアを格納しておき、ユーザデバイス102が当該コンピュータにアクセスして、それらのデータやソフトウェアを利用する実施形態にも本発明の要旨は適用可能である。
【0030】
(処理フロー:選択可能特典数の判定)
図4は、本発明に係る、ユーザに付与される選択可能特典数302の判定処理を説明するフロー図である。本実施形態では、アプリケーション206に格納されている特典選択プログラムを用いることを説明するが、説明される機能は複数のプログラムによって実行されても構わない。
【0031】
以下、説明するフローは、ユーザアカウント情報207および/または口座利用情報208に格納されているユーザAに関連付けられた情報などに基づいて、ユーザAに付与可能な選択可能特典数302を判定する処理である。判定された選択可能特典数302は、ユーザデバイス102を介して、ユーザAに通知される。
【0032】
以下、説明するフローでは、選択可能特典数302はすべてのユーザに一律で初期設定として、1個付与されることとする(選択可能特典数302が「1」)。所定の要件を満たした場合に、追加の1個分の選択可能特典数302を付与することとする。すなわち、所定の要件を満たしている場合、ユーザには選択可能特典数302が2個付与される。所定の要件を満たしていない場合、ユーザには選択可能特典数302は1個のみ付与される。これらは単なる例示であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、どのユーザに選択可能特典数302を付与するかなどの設定、選択可能特典数の初期設定値、および選択可能特典数の追加付与などが、変更されてもよい。例えば、所定のサービスおよび/または所定の口座を利用しているユーザに対してのみ、選択可能特典数302を付与するといったことも可能である。
【0033】
説明を目的に、選択可能特典数の判定の処理はある特定の月(以降単に、今月と称す)の初旬に実行されることとする。また説明を目的に、判定された選択可能特典数を上限に、後述する選択特典の選択のフローでユーザによって選択された選択特典は、今月の次の月(以降単に、翌月と称す)に利用可能となることとする。これらは単なる例示であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、処理の実行時期や特典の利用可能時期が設定され得る。
【0034】
S401にて、サーバ101は、所定の日付になったことに応答して、ユーザアカウント情報207および/または口座利用情報208に格納されているユーザAに関連付けられた情報を読み出す。所定の日付は、上述の通り、例えば、ある月の初旬である。ここでは、7月1日になったことに応答して、ユーザAの選択可能特典数の判定処理が実行されたこととする。
【0035】
S402にて、サーバ101は、読み出したユーザAの情報のそれぞれが対応する所定の要件を満たしているか否かを判定する。所定の要件とは、例えば、預金残高、投資信託の残高、および外貨預金残高が一定以上ある、デビット、クレジット、またはプリペイドカードの利用額および回数一定以上ある、各種利用しているカードのランク付けが一定以上のランクである、年齢が一定の範囲内である、利用口座が給与受け取り口座に設定されている、ならびに各種ATMの利用回数が一定以上ある、などである。所定の要件を満たしていると判定した場合、S403へ進む。所定の要件を満たしていないと判定された場合、追加の1個分の選択可能特典数302はユーザAに付与せず、処理を終了する。
【0036】
ここでは、ユーザAの利用状況から、所定の要件を満たしていると判定されたこととする。
【0037】
S403にて、サーバ101は、所定の要件を満たしていると判定した場合、ユーザAに選択特典の選択権を付与する。具体的には、サーバ101は、特典管理情報209に格納されているユーザAのユーザIDに関連付けられた選択可能特典数302の情報を更新する。ここでは、上述の通り、所定の要件を満たしているので、ユーザAの選択可能特典数302は「2」に更新されたこととする(基本として付与される選択可能特典数1個と、追加で付与される選択可能特典数1個との合計で2個分の選択可能特典数)。
【0038】
S404にて、サーバ101は、選択可能特典数302を更新したことを、ユーザ特典アプリを介して通知する。これは、例えば、ユーザデバイス102のディスプレイ上に表示されるユーザ特典アプリに選択可能特典数302を表示することで、ユーザAに通知され得る。
【0039】
以上の処理によって、ユーザAの利用状況に基づいて、選択可能特典数302を判定できる。ユーザAは自身が利用したいと考える選択特典を、ユーザ特典アプリを介して、判定された選択可能特典数302の数分だけ選択できる。選択特典の照会および選択の処理フローについては後述する。
【0040】
上記処理では、説明を目的に、選択可能特典数302の初期設定は「1」であり、所定の要件を満たした場合に、選択可能特典数302が「2」へ更新されることとして説明した。これらは単なる例示であり、選択可能特典数302の初期設定は「1」以外であってもよく、所定の要件を満たした場合に、追加で付与される選択可能特典数は1個でなくてもよい。本発明の要旨を逸脱しない範囲で、選択可能特典数の初期設定値および追加付与を変更可能である。
【0041】
(処理フロー:選択特典の照会)
図5は、本発明に係る、選択特典の照会を説明するフロー図である。本実施形態では、アプリケーション206に格納されている特典選択プログラムを用いることを説明するが、説明される機能は複数のプログラムによって実行されても構わない。
【0042】
以下、説明するフローは、ユーザAがユーザ特典アプリを介して選択特典を照会する流れで説明する。また、ユーザAの選択可能特典数302は「2」であることとして説明する。また、ユーザAがユーザ特典アプリにログインする際に、ユーザAのユーザIDは照合されていることとする。
【0043】
以下説明するフローでは、上述のS403のように、選択可能特典数302を更新したことを、ユーザ特典アプリを介してユーザAに通知していることとして説明する。これは例えば、アプリ上の任意の箇所に選択可能特典数302が更新されたことを表示することなどによって、ユーザに通知されてもよい。また、ユーザAがユーザデバイス102を操作して、ユーザ特典アプリを介してサーバ101へ選択可能特典数302の更新状況を通知するように要求してもよい。これらは単なる例であり、任意の方法でユーザに選択可能特典数302を更新したことを通知し得る。
【0044】
S501にて、サーバ101は、ユーザデバイス102から選択可能特典数302に関する情報の取得要求(以降単に、特典照会電文と称す)を受信する。
【0045】
S502にて、サーバ101は、特典照会電文を受信したことに応答して、選択可能特典数302、選択特典情報303、および既定特典情報304の少なくとも1つをユーザデバイス102へ送信する。上記送信された情報は、例えば、図6に示すような特典選択画面のような形式で、ユーザデバイス102上でユーザに表示されてもよい。
【0046】
図6の特典選択画面は、今月利用可能な特典、翌月利用可能な既定特典、翌月利用可能な選択特典(選択済みおよび未選択含む)、翌月特典変更ボタンなどを含む。翌月利用可能な選択特典は、例えば、ユーザによって選択されている場合、選択済みであることをレ点などで示し得る。選択されている選択特典が翌月利用可能となる。
【0047】
図6では、例示として、翌月利用可能な選択特典の中で、「コンビニATM手数料無料(1回分)」および「振込手数料無料(1か月分)」が既に選択されており、選択済みであることをレ点で示している。レ点の示されていない「銀行ATM時間外手数料無料(1回分)」、「ポイント付与(100p)」、および「各種カード決済時ポイント付与率増加」については、翌月分としての特典に適用されない状態である。
【0048】
選択可能特典数302、選択特典情報303、および既定特典情報304などの特典情報を、ユーザに表示する形式は、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、どのような形式であってもよい。
【0049】
以上の処理によって、ユーザAは自身の利用状況に基づいて判定された選択可能特典数302を照会(確認)することができる。選択特典の選択処理については、以下、図7を参照しながら説明する。
【0050】
(処理フロー:選択特典の選択)
図7は、本発明に係る、選択特典の選択およびその適用を説明するフロー図である。本実施形態では、アプリケーション206に格納されている特典選択プログラムを用いることを説明するが、説明される機能は複数のプログラムによって実行されても構わない。
【0051】
以下、説明するフローでは、ユーザAは、S501乃至S502で表示された特典選択画面上で選択特典を選択し、翌月特典変更ボタンを押下したこととする。翌月特典変更ボタンの押下に応答して、選択された選択特典の情報(以降、特典更新電文と称す)が、ユーザデバイス102によって、サーバ101へ送信されることとなる。
【0052】
S701にて、サーバ101は、ユーザデバイス102から、特典更新電文を受信する。特典更新電文には、ユーザAが選択した選択特典などの情報が格納されている。ここでは、説明を目的に、ユーザAは選択特典AおよびCを1つずつ選択したこととする。
【0053】
S702にて、サーバ101は、受信した特典更新電文に格納されているユーザAが選択した選択特典に関する情報に基づいて、ユーザAの選択特典情報303を更新する。具体的には、ユーザAの選択特典AおよびCの欄を「0」から「1」に更新する。サーバ101は、例えば、更新が完了した後に、選択特典の選択処理が完了したことをユーザデバイス102へ通知し得る(例えば、図6の特典選択画面上に特典を選択したことを表示する)。
【0054】
S703にて、サーバ101は、所定のタイミングになると、ユーザAの選択特典情報303を確定する。所定のタイミングについては、例えば、ユーザ特典アプリの運営者などが選択特典情報303の確定するタイミングを設定できる。例えば、翌月の1日になったら選択特典情報を確定すると設定することができる。所定のタイミングは本発明の要旨の範囲内であれば、どのようなタイミングであってもよい。
【0055】
以上の処理によって、ユーザAはユーザデバイス102を操作して、選択特典を選択することができる。上記S703にて確定された選択特典が、ユーザの利用可能な特典となる。上記S501乃至502の処理および上記S701乃至703の処理は、一連のフローとして実行されてもよく、それぞれ別のフローとして実行されてもよい。
【0056】
上記フローで選択された選択特典を所定の期間内(例えば、今月中)であれば何度でも選択および変更するようにしてもよい。例えば、今月の最終日(例えば、7月31日)までは選択および変更可能とし、翌月(例えば、8月1日)になった時点で選択特典を確定する(選択および変更不可能)ようにしてもよい。
【0057】
例えば、図6では「コンビニATM手数料無料(1回分)」および「振込手数料無料(1か月分)」が選択済み(レ点付き)となっているが、翌月利用可能な特典を、所定の期間内に、「ポイント付与(100p)」および「各種カード決済時ポイント付与率増加」へ変更してもよい。選択特典を選択および変更可能とする期間については、本発明の要旨の範囲内であれば、どのような期間であってもよい。
【0058】
[その他の実施形態]
上述の実施形態1においては、ユーザAが自ら選択特典を選択することとして説明したが、ユーザAが選択特典を選択しなかった場合、所定の選択特典をユーザAの選択特典として自動的に適用してよい。所定の選択特典は、ユーザ自身が事前に設定しておく、および/またはユーザ特典アプリがユーザの以前の選択傾向から算出するなどによって、決定されてよい。
【0059】
本発明のユーザ特典アプリは、例えば、従来から存在する銀行などの金融機関が提供する口座管理アプリケーションに組み込まれて実装されてもよい。
【0060】
別の実施形態では、1人のユーザが、同一支店にて同一名義で複数の口座を利用しており、複数の口座を同一人物が利用していると特定できる場合、複数の口座の口座利用情報を、1人のユーザの選択可能特典数の判定の処理に用いてもよい。
【0061】
別の実施形態では、例えば、ユーザに付与された特典が実行されなかった場合に、ユーザに他の特典を付与するようにしてもよい。例えば、ユーザが「給与振込があればポイント付与」といった特典を選択したが、該当する月に給与振込が無かった場合に、ポイント付与を実行しないようにしてもよい。この場合、ユーザに他の特典を与えるようにしてもよい。
【0062】
上述の用語の定義にて記載の通り、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、「特典」はどのようなものを含んでもよい。例えば、ユーザ特典アプリの運営者以外の事業体が特典の一部を提供してもよい。例えば、実施形態1にて記載した特典の中に、飲食店の割引クーポンなどが含まれてもよい。
【0063】
別の実施形態では、特定のサービスを利用していることを条件として、選択特典および/または既定特典をユーザに付与するようにしてもよい。例えば、ユーザ特典アプリの運営者が提供する別のサービスを、ユーザが利用している場合に、「ATMの各種手数料を無料にする」、「別の金融機関への振込手数料を無料にする」などの特典をユーザに付与するようにしてもよい。「手数料を無料にする」などの特典については、例えば、所定の期間内での利用上限を設定してもよい。
【0064】
別の実施形態では、ユーザ特典アプリの運営者が提供する別のサービスと連携するような特典を設定してもよい。例えば、ユーザ特典アプリの運営者が提供する別のサービスを利用することによって、別のサービス上でユーザに付与されるポイントの付与率を上昇させる特典などを、本願発明のユーザ特典アプリの特典に含めてもよい。また、ユーザ特典アプリの運営者が提供する別のサービスの利用に関する情報が、選択可能特典数の判定の際に用いられる情報に含まれてもよい。
【0065】
上記説明したハードウェアの構成要素は例示的なものにすぎず、その他の構成も可能であることに留意されたい。また、上記説明した処理の順序は、必ずしも説明した順序で実行される必要がなく、任意の順序で実行されてもよい。さらに、本発明の要旨の範囲内で、処理を追加、削除および/または組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
101 サーバ
102 ユーザデバイス
208 口座利用情報
209 特典管理情報
302 選択可能特典数
303 選択特典情報
【要約】
【課題】ユーザが自身の使用スタイルに合わせた特典を選択できるサーバ、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】
デバイスから特典更新電文を受信し、特典更新電文を受信することに応答して、ユーザの特典情報を更新し、所定のタイミングになると、更新された特典情報を確定するように構成されていることを特徴とするサーバ、デバイスから特典更新電文を受信することと、特典更新電文を受信することに応答して、ユーザの特典情報を更新することと、所定のタイミングになると、更新された特典情報を確定することと、含む方法、および当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7