(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ロータリバルブ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/48 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B65G65/48 L
(21)【出願番号】P 2022146842
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2022-09-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】江口 和也
(72)【発明者】
【氏名】山田 智輝
(72)【発明者】
【氏名】安田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大地
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-043835(JP,U)
【文献】実開昭61-005833(JP,U)
【文献】国際公開第2013/005384(WO,A1)
【文献】実公昭60-023301(JP,Y2)
【文献】特公昭55-008556(JP,B2)
【文献】特公平07-094662(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/48
C10B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるように前記ケーシングに設けられたロータと、
シール部とを備え、
前記ケーシングは、
筒状を呈し且つ水平方向に沿って延びる胴部と、
上方に向けて開口するように前記胴部の上部に設けられた入口部と、
下方に向けて開口するように前記胴部の下部に設けられた出口部と、
前記胴部の両端をそれぞれ閉塞するように設けられた一対のカバー部とを含み、
前記シール部は、
環状を呈し且つ前記ケーシングに設けられた第1のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第2のシール部材と、
前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において、前記第2のシール部材と交差するように前記ロータの径方向に沿って延びる複数の補助シール部材とを含み、
前記第1のシール部材は、外周縁側が前記ケーシングに固定され、前記ロータの側板のうち外周部と対面しており、
前記第2のシール部材は、前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記複数の補助シール部材はそれぞれ、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有している、ロータリバルブ装置。
【請求項2】
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるように前記ケーシングに設けられたロータと、
シール部とを備え、
前記ケーシングは、
筒状を呈し且つ水平方向に沿って延びる胴部と、
上方に向けて開口するように前記胴部の上部に設けられた入口部と、
下方に向けて開口するように前記胴部の下部に設けられた出口部と、
前記胴部の両端をそれぞれ閉塞するように設けられた一対のカバー部とを含み、
前記シール部は、
環状を呈し且つ前記ケーシングに設けられた第1のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第2のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第3のシール部材と、
前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において、前記第2のシール部材及び前記第3のシール部材と交差するように前記ロータの径方向に沿って延びる複数の補助シール部材とを含み、
前記第1のシール部材は、外周縁側が前記ケーシングに固定され、前記ロータの側板のうち外周部と対面しており、
前記第2のシール部材は、前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記第3のシール部材は、前記第2のシール部材を取り囲むように前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記複数の補助シール部材はそれぞれ、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有している、ロータリバルブ装置。
【請求項3】
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるように前記ケーシングに設けられたロータと、
シール部と、
ガス供給部とを備え、
前記ケーシングは、
筒状を呈し且つ水平方向に沿って延びる胴部と、
上方に向けて開口するように前記胴部の上部に設けられた入口部と、
下方に向けて開口するように前記胴部の下部に設けられた出口部と、
前記胴部の両端をそれぞれ閉塞するように設けられた一対のカバー部とを含み、
前記シール部は、
環状を呈し且つ前記ケーシングに設けられた第1のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第2のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第3のシール部材と
、
前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において、前記第2のシール部材及び前記第3のシール部材と交差するように前記ロータの径方向に沿って延びる複数の補助シール部材とを含み、
前記第1のシール部材は、外周縁側が前記ケーシングに固定され、前記ロータの側板のうち外周部と対面しており、
前記第2のシール部材は、前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記第3のシール部材は、前記第2のシール部材を取り囲むように前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記複数の補助シール部材はそれぞれ、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記ガス供給部は、前記第2のシール部材及び前記第3のシール部材の間の空間又は前記ケーシング内の空間にパージガスを供給するように構成されている、ロータリバルブ装置。
【請求項4】
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるように前記ケーシングに設けられたロータと、
シール部と、
ガス供給部とを備え、
前記ケーシングは、
筒状を呈し且つ水平方向に沿って延びる胴部と、
上方に向けて開口するように前記胴部の上部に設けられた入口部と、
下方に向けて開口するように前記胴部の下部に設けられた出口部と、
前記胴部の両端をそれぞれ閉塞するように設けられた一対のカバー部とを含み、
前記シール部は、
環状を呈し且つ前記ケーシングに設けられた第1のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第2のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第3のシール部材とを含み、
前記第1のシール部材は、外周縁側が前記ケーシングに固定され、前記ロータの側板のうち外周部と対面しており、
前記第2のシール部材は、前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記第3のシール部材は、前記第2のシール部材を取り囲むように前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記ガス供給部は、前記第1のシール部材に設けられた供給孔を通じて、前記第2のシール部材及び前記第3のシール部材の間の空間にパージガスを供給するように構成されている
、ロータリバルブ装置。
【請求項5】
前記供給孔は、前記第1のシール部材のうち前記入口部寄りの領域に設けられている、請求項
4に記載のロータリバルブ装置。
【請求項6】
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるように前記ケーシングに設けられたロータと、
シール部と、
ガス供給部と、
第1の圧力測定部と、
第2の圧力測定部と、
制御部と
を備え、
前記ケーシングは、
筒状を呈し且つ水平方向に沿って延びる胴部と、
上方に向けて開口するように前記胴部の上部に設けられた入口部と、
下方に向けて開口するように前記胴部の下部に設けられた出口部と、
前記胴部の両端をそれぞれ閉塞するように設けられた一対のカバー部とを含み、
前記シール部は、
環状を呈し且つ前記ケーシングに設けられた第1のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第2のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第3のシール部材とを含み、
前記第1のシール部材は、外周縁側が前記ケーシングに固定され、前記ロータの側板のうち外周部と対面しており、
前記第2のシール部材は、前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記第3のシール部材は、前記第2のシール部材を取り囲むように前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記ガス供給部は、前記第2のシール部材及び前記第3のシール部材の間の空間又は前記ケーシング内の空間にパージガスを供給するように構成されており、
前記第1の圧力測定部は、前記入口部に接続された処理装置内の圧力を測定するように構成されており、
前記第2の圧力測定部は、前記ガス供給部により供給されるパージガスの圧力を測定するように構成されており、
前記制御部は、前記第2の圧力測定部による測定値が前記第1の圧力測定部による測定値よりも小さくなるように、前記ガス供給部によるパージガスの供給量を制御するように構成されている
、ロータリバルブ装置。
【請求項7】
前記ガス供給部によるパージガスの供給流量を測定するように構成された流量測定部をさらに備え、
前記制御部は、前記流量測定部による測定値が所定の閾値を超えたと判断した場合に所定の報知を行うように構成されている、請求項
6に記載のロータリバルブ装置。
【請求項8】
前記出口部に接続されたシュート部内のガスを系外に排気するように構成された排気部をさらに備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載のロータリバルブ装置。
【請求項9】
ケーシングと、
前記ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるように前記ケーシングに設けられたロータと、
シール部と、
排気部とを備え、
前記ケーシングは、
筒状を呈し且つ水平方向に沿って延びる胴部と、
上方に向けて開口するように前記胴部の上部に設けられた入口部と、
下方に向けて開口するように前記胴部の下部に設けられた出口部と、
前記胴部の両端をそれぞれ閉塞するように設けられた一対のカバー部とを含み、
前記シール部は、
環状を呈し且つ前記ケーシングに設けられた第1のシール部材と、
筒状を呈し且つ前記ロータの側板に設けられた第2のシール部材と、
前記第1のシール部材は、外周縁側が前記ケーシングに固定され、前記ロータの側板のうち外周部と対面しており、
前記第2のシール部材は、前記ロータの側板と前記第1のシール部材との間において前記回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側が前記ロータの側板に固定され、他端側が前記第1のシール部材と所定の間隔を有しており、
前記排気部は、前記出口部に接続されたシュート部内のガスを系外に排気するように構成されている、ロータリバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータリバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、高いシール性が要求される処理装置(例えば、コークス乾式消火装置)に用いられるロータリバルブ装置を開示している。ロータリバルブ装置は、処理装置内から排出された粉粒塊状物(bulk material)(例えば、コークス乾式消火装置においてはコークス)を連続的に後続の搬送装置(例えば、コンベアなど)に送り出す機能と、処理装置からの排出ガス(例えば、一酸化炭素、水素など)が装置外に漏出することを抑制する機能とを有する。
【0003】
特許文献1のロータリバルブ装置は、ケーシングと、ロータと、シール機構とを含む。ロータは、ケーシングに対して回転可能となるようにケーシング内に配置されている。シール機構は、シールリングと、複数の弾性部材とを含む。シールリングは、ケーシングとロータの側面との間の隙間をシールするように構成されている。シールリングは、ロータの側板の外周部とケーシングとの間の間隙に対して進退可能とされている。複数の弾性部材は、ロータの側板の外周部の近傍においてロータの周方向に沿って並ぶように配置されており、シールリングを当該間隙に向けて押しつけるように構成されている。これにより、当該隙間がシールリングによって封止されるので、処理装置からの排出ガスの漏出が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示するシールリングは、回転しているロータの側板と接触して摩耗が進行するので、定期的なメンテナンスを要する。また、特許文献1が開示するシール機構は、複数の弾性部材によってシールリングをロータの側板に押しつける構造であるので、部品点数が多く構造が複雑である。さらに、排出ガスの漏出抑制のために、各部品への高い精度と、高精度の組み付け技術とが求められる。
【0006】
そこで、本開示は、簡易な構成で排出ガスの漏出を抑制し且つメンテナンスの手間を大幅に削減することが可能なロータリバルブ装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ロータリバルブ装置の一例は、ケーシングと、ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるようにケーシングに設けられたロータと、シール部とを備える。ケーシングは、筒状を呈し且つ水平方向に沿って延びる胴部と、上方に向けて開口するように胴部の上部に設けられた入口部と、下方に向けて開口するように胴部の下部に設けられた出口部と、胴部の両端をそれぞれ閉塞するように設けられた一対のカバー部とを含む。シール部は、環状を呈し且つケーシングに設けられた第1のシール部材と、筒状を呈し且つロータの側板に設けられた第2のシール部材とを含む。第1のシール部材は、外周縁側がケーシングに固定され、ロータの側板のうち外周部と対面している。第2のシール部材は、ロータの側板と第1のシール部材との間において回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側がロータの側板に固定され、他端側が第2のシール部材と所定の間隔を有している。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るロータリバルブ装置によれば、簡易な構成で排出ガスの漏出を抑制し且つメンテナンスの手間を大幅に削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、コークス乾式消火装置の一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のロータリバルブ装置を主として概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、ロータリバルブ装置を部分的に破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0011】
[コークス乾式消火装置]
まず、
図1を参照して、コークス乾式消火装置100の構成について説明する。コークス乾式消火装置100は、コークス炉から導入された赤熱コークスC1を循環ガスにより冷却し、消火された(冷却された)コークスC2を得るための装置である。コークス乾式消火装置100は、チャンバ101と、集塵機102と、ボイラ103と、集塵機104と、ブロア105と、予熱器106と、コントローラCtr(制御部)と、ロータリバルブ装置1とを備える。
【0012】
チャンバ101は、赤熱コークスC1及びコークスC2を収容する容器である。チャンバ101内において、赤熱コークスC1及びコークスC2が上方から下方に向けて流れており、赤熱コークスC1を冷却するための循環ガスが下方から上方に向けて流れている。循環ガスは、例えば、窒素ガスを主成分とする不活性ガスであってもよい。循環ガスには、CO、H2等の未燃成分が含まれていることがある。
【0013】
チャンバ101の下部には、ロータリバルブ装置1が設けられている。チャンバ101内で冷却されたコークスC2は、ロータリバルブ装置1を通じて、コークス乾式消火装置100の外に排出される。この際、チャンバ101内のガス(CO、H2等の未燃成分)も、排出ガスGとしてロータリバルブ装置1に排出される。
【0014】
集塵機102は、チャンバ101において赤熱コークスC1と熱交換された後の循環ガスに随伴されるコークスダストC3の少なくとも一部を回収するように構成されている。集塵機102の入口側(上流側)は、配管D1を介してチャンバ101の上部と接続されている。
【0015】
ボイラ103は、集塵機102を通過した循環ガスから熱エネルギーを回収するように構成されている。ボイラ103の入口側(上部)は、配管D2を介して集塵機102の出口側(下流側)と接続されている。
【0016】
ボイラ103は、蒸気発電システム110の一部としても機能する。蒸気発電システム110は、例えば、ボイラ103と、配管111と、タービン112と、発電機113と、復水器114とで構成される。配管111は、一部がボイラ103内を通過し、残部がボイラ103外に位置している。タービン112及び復水器114は、配管111のうちボイラ103外に位置する部分に接続されている。発電機113は、タービン112に接続されており、タービン112の回転によって発電する。
【0017】
配管111のうちボイラ103内を通る部分を流れる水は、ボイラ103を流れる高温の循環ガスと熱交換して蒸気となる。蒸気は、配管111を通じてタービン112に導入され、タービン112を回転させる。これにより、タービン112に接続された発電機113において発電が行われる。タービン112を通過した蒸気は、配管111を通じて復水器114に導入されて水に戻され、再び配管111を通じてボイラ103内の循環ガスと熱交換する。
【0018】
集塵機104は、ボイラ103において熱交換された後の循環ガスに随伴されるコークスダストC4の少なくとも一部を回収するように構成されている。集塵機104の入口側(上流側)は、配管D3を介してボイラ103の出口側(下部)と接続されている。
【0019】
ブロア105は、集塵機104を通過した循環ガスをチャンバ101に向けて送り出すように構成されている。ブロア105の入口側(上流側)は、配管D4を介して集塵機104の下流側(出口側)と接続されている。
【0020】
予熱器106は、ブロア105によって送り出された循環ガスを水(温水)との間で熱交換して冷却し、冷却された循環ガスをチャンバ101に供給するように構成されている。予熱器106の入口側(上流側)は、配管D5を介してブロア105の出口側(下流側)と接続されている。予熱器106の出口側(下流側)は、配管D6を介してチャンバ101の下部と接続されている。
【0021】
コントローラCtrは、コークス乾式消火装置100を全体的に制御するように構成されている。コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、コークス乾式消火装置100の各部を動作させるための指示信号を生成し、それらに当該指示信号をそれぞれ送信する。
【0022】
[ロータリバルブ装置の詳細]
続いて、
図2~
図5を参照して、ロータリバルブ装置1の詳細について説明する。ロータリバルブ装置1は、
図2に例示されるように、ロータリバルブ10と、供給装置20(ガス供給部)と、排気装置30(排気部)と、圧力センサ40(第1の圧力測定部)とを含む。
【0023】
ロータリバルブ10は、振動フィーダ2を介してチャンバ101の下部と接続されている。振動フィーダ2は、チャンバ101から排出されたコークスC2を振動によってロータリバルブ10の入口部10Aに送り出すように構成されている。振動フィーダ2の周囲には、カバー部材2Aが配置されている。カバー部材2Aは、チャンバ101の出口からロータリバルブ10の入口部10Aにかけて振動フィーダ2を覆うように設置されている。カバー部材2Aは、チャンバ101から排出されたコークスC2の粉塵や排出ガスGが周囲に飛散することを防止する機能を有する。
【0024】
ロータリバルブ10は、振動フィーダ2から供給されたコークスC2を、出口部10Bから搬送装置3に向けて排出するように構成されている。ロータリバルブ10は、チャンバ101からの排出ガスGが下流側に漏出するのを抑制するように構成されている。すなわち、ロータリバルブ10は、コークスC2を下流側に排出する一方で、排出ガスGを下流側にできる限り流出させないことを目的としている。
【0025】
ロータリバルブ10の下方には、搬送装置3(例えば、ベルトコンベア)が配置されている。搬送装置3は、冷却された(消火された)コークスC2を、例えば貯留装置(図示せず)へと搬送するように構成されている。
【0026】
ロータリバルブ10の出口部10Bには、シュート部4が接続されている。シュート部4は、ロータリバルブ10の出口部10Bから搬送装置3にかけてこれらの周囲を覆うように設置されている。シュート部4は、ロータリバルブ10から排出されたコークスC2の粉塵や、ロータリバルブ10から漏出した排出ガスGが周囲に飛散することを防止する機能を有する。
【0027】
ロータリバルブ10の周囲は、例えば、建屋5によって囲まれている。建屋5は、例えば、チャンバ101の下部、振動フィーダ2、ロータリバルブ10及びシュート部4を取り囲むように設けられている。建屋5の内部は、例えば、ロータリバルブ装置1などのメンテナンスのための作業者の作業空間として利用される。
【0028】
ロータリバルブ10は、
図3に例示されるように、ケーシング11と、ロータ12と、シール部13と、駆動部14とを含む。ケーシング11は、ロータ12を内部に収容するように構成されている。ケーシング11は、胴部11Aと、一対のカバー部11Bとを含む。
【0029】
胴部11Aは、筒状を呈しており、水平方向に沿って延びるように配置されている。胴部11Aの上部には、上方に向けて開口する入口部10Aが設けられている(
図2参照)。胴部11Aの下部には、下方に向けて開口する出口部10Bが設けられている(同参照)。一対のカバー部11Bは、
図3に例示されるように、板状を呈していてもよく、円板状を呈していてもよい。一対のカバー部11Bの一方は、胴部11Aの一端を閉塞するように胴部11Aの一端に設けられている。一対のカバー部11Bの他方は、胴部11Aの他端を閉塞するように胴部11Aの他端に設けられている。
【0030】
ロータ12は、回転軸12Aと、複数のロータ羽根12Bと、内壁12Cと、一対の側板12Dとを含む。回転軸12Aは、胴部11Aの中心軸に沿って延びるように、一対のカバー部11Bのカバー部11Bを貫通している。すなわち、回転軸12Aは、水平方向に沿って延びている。回転軸12Aは、一対のカバー部11Bに対して回転可能に保持されている。
【0031】
複数のロータ羽根12Bはそれぞれ、平板状を呈している。複数のロータ羽根12Bは、回転軸12Aの延在方向から見たときに、放射状に拡がるように配置されている。内壁12Cは、筒状を呈しており、回転軸12Aを取り囲むように配置されている。内壁12Cは、複数のロータ羽根12Bのうち回転軸12A側の端部とそれぞれ固定されている。すなわち、複数のロータ羽根12Bのうち回転軸12A側の端部は、内壁12Cによって閉塞されている。
【0032】
一対の側板12Dは、
図3に例示されるように、円板状を呈している。一対の側板12Dの一方は、複数のロータ羽根12Bのうち一方の側部とそれぞれ固定されており、内壁12Cのうち一方の端部と固定されており、回転軸12Aと固定されている。すなわち、複数のロータ羽根12Bのうち一方の側部は、一対の側板12Dの一方によって閉塞されている。一対の側板12Dの他方は、複数のロータ羽根12Bのうち他方の側部とそれぞれ固定されており、内壁12Cのうち他方の端部と固定されており、回転軸12Aと固定されている。すなわち、複数のロータ羽根12Bのうち他方の側部は、一対の側板12Dの他方によって閉塞されている。
【0033】
このように、ロータ12は、ケーシング11内に配置された状態で、回転軸12A周りに回転可能となるようにケーシング11に設けられている。ロータ12は、複数のロータ羽根12Bと、内壁12Cと、一対の側板12Dとで囲まれた複数の空間V1(
図2参照)を有している。複数の空間V1は、チャンバ101から排出されたコークスC2を収容可能な収容空間として機能する。
【0034】
ここで、複数のロータ羽根12Bの先端は、
図4に例示されるように、ケーシング11の胴部11Aの内周面と近接している。すなわち、複数のロータ羽根12Bの先端と、胴部11Aの内周面とは、所定の間隔G1をもって離隔している。間隔G1は、例えば、1mm~5mm程度であってもよい。複数のロータ羽根12Bの先端が胴部11Aの内周面と近接していることにより、複数のロータ羽根12Bの先端側からの排出ガスGの漏出が抑制される。
【0035】
シール部13は、
図3~
図5に例示されるように、シール部材13A(第1のシール部材)と、少なくとも一つのシール部材13B(第2のシール部材、第3のシール部材)と、複数の補助シール部材13Cとを含む。シール部13は、耐摩耗性を有する鋼材によって形成されていてもよい。
【0036】
シール部材13Aは、
図3及び
図4に例示されるように、環状(リング状)を呈している。シール部材13Aは、円環状を呈していてもよい。シール部材13Aは、板状体であってもよい。シール部材13Aは、回転軸12Aの延在方向から見たときに、ロータ12の側板12Dの外周部と重なり合っている。すなわち、シール部材13Aは、ロータ12の側板12Dの外周部と対面している。
【0037】
シール部材13Aの外周縁は、ケーシング11の胴部11Aに、溶接等によって固定されている。そのため、シール部材13Aの外周縁とケーシング11の胴部11Aとの間には、隙間が形成されていない。シール部材13Aの姿勢の保持のため(変形抑制のため)に、シール部材13Aを胴部11Aに対して支持する支持材(図示せず)がこれらの間に配置されていてもよい。
【0038】
シール部材13Bは、筒状を呈している。換言すれば、シール部材13Bは、回転軸12Aの延在方向から見たときに環状を呈しており、ロータ12の側板12Dの外周部において側板12Dの外周縁に沿って延びている。シール部材13Bは、
図5に例示されるように多角環状を呈していてもよいし、円環状を呈していてもよい。
【0039】
シール部材13Bは、
図3及び
図4に例示されるように、ロータ12の側板12Dとシール部材13Aとの間において、回転軸12Aの延在方向に沿って延びている。シール部材13Bのうち側板12D側の基端は、ロータ12の側板12Dの外表面に、溶接等によって固定されている。シール部材13Bのうちシール部材13A側の先端は、シール部材13Aの表面と近接している。すなわち、シール部材13Bの先端とシール部材13Aの表面とは、所定の間隔G2をもって離隔している。間隔G2は、例えば、1mm~5mm程度であってもよい。
【0040】
シール部材13Bは、
図3~
図5に例示されるように、複数のシール部材13B1~13B3を含んでいてもよい。複数のシール部材13B1~13B3は、回転軸12Aの延在方向から見たときに、略同心円状となるように配置されていてもよい。すなわち、シール部材13B2は、シール部材13B1を取り囲むように配置されており、シール部材13B3は、シール部材13B2を取り囲むように配置されていてもよい。
【0041】
複数の補助シール部材13Cはそれぞれ、
図5に例示されるように、ロータ12の径方向に沿って延びており、シール部材13Bと交差している。複数の補助シール部材13Cは、回転軸12Aの延在方向から見たときに放射状に拡がるように配置されている。複数の補助シール部材13Cは、板状を呈していてもよい。
【0042】
複数の補助シール部材13Cは、
図3及び
図4に例示されるように、ロータ12の側板12Dとシール部材13Aとの間において、回転軸12Aの延在方向に沿って延びている。複数の補助シール部材13Cのうち側板12D側の一側縁は、ロータ12の側板12Dの外表面に、溶接等によって固定されている。複数の補助シール部材13Cのうちシール部材13A側の他側縁は、シール部材13Aの表面と近接している。すなわち、複数の補助シール部材13Cの他側縁とシール部材13Aの表面とは、シール部材13Bの先端とシール部材13Aの表面との間隔G2と略同等の間隔をもって離隔している。
【0043】
ここで、シール部材13Aには、
図2~
図4に例示されるように、少なくとも一つの供給孔Hが設けられている。供給孔Hは、シール部材13Aを貫通する貫通孔である。供給孔Hは、供給装置20から供給されるパージガス(後述する)を、シール部材13Aとロータ12の側板12Dとの間の空間V2に供給するための供給路を構成している。供給孔Hは、複数の供給孔Hを含んでいてもよい。
【0044】
供給孔Hは、
図2~
図4に例示されるように、シール部材13Aのうちロータリバルブ10の入口部10A寄りの領域に設けられていてもよい。供給孔Hは、
図3及び
図4に例示されるように、シール部材13B1とシール部材13B2との間の空間と連通するように位置していてもよい。図示していないが、供給孔Hは、シール部材13B2とシール部材13B3との間の空間と連通するように位置していてもよい。
【0045】
駆動部14は、回転軸12Aに接続されており、回転軸12Aを回転駆動させるように構成されている。駆動部14は、例えば、電動モータであってもよい。
【0046】
供給装置20は、供給孔Hを通じてパージガスを空間V2に供給するように構成されている。供給装置20は、
図2に例示されるように、配管21と、ブロワ22と、バルブ23と、流量センサ24(流量測定部)と、圧力センサ25(第2の圧力測定部)とを含む。配管21は、ブロワ22と供給孔Hとを流体的に接続するように延びている。
【0047】
ブロワ22は、配管21を通じてパージガスを供給孔Hに供給するように構成されている。ブロワ22によって供給されるパージガスの圧力は、例えば、6kPa~10kPa程度であってもよい。パージガスは、例えば、空気であってもよいし、不活性ガスであってもよい。バルブ23は、配管21に接続されており、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、配管21におけるパージガスの流通を許容する開状態と、配管21におけるパージガスの流通を妨げる閉状態との間で遷移するように構成されている。
【0048】
流量センサ24は、配管21のうちバルブ23の下流側に接続されており、ブロワ22によるパージガスの供給流量を測定するように構成されている。流量センサ24によって測定された測定値は、コントローラCtrに送信される。
【0049】
圧力センサ25は、配管21のうちバルブ23の下流側に接続されており、ブロワ22から供給されるパージガスの圧力を測定するように構成されている。圧力センサ25によって測定された測定値は、コントローラCtrに送信される。
【0050】
排気装置30は、シュート部4内のガスを系外(建屋5の外)に排気するように構成されている。排気装置30は、配管31と、集塵機32とを含む。配管31の一端は、シュート部4に接続されている。配管31の他端は、建屋5の外に延びている。
【0051】
集塵機32は、シュート部4内に存在しているコークスC2の粉塵や排出ガスGを、配管31を通じて吸引するように構成されている。集塵機32は、吸引した粉塵をフィルタ(図示せず)で捕捉し、排出ガスGを建屋5の外(大気)に排出するように構成されている。ロータリバルブ装置1によって排出ガスGの漏出が抑制されているので、集塵機32から建屋5の外に排出される排出ガスGは、環境にほとんど影響を与えない程度のごく少量である。
【0052】
圧力センサ40は、チャンバ101の下部に接続されており、チャンバ101の下部の内部空間における圧力を測定するように構成されている。圧力センサ40によって測定された測定値は、コントローラCtrに送信される。
【0053】
ここで、コントローラCtrは、圧力センサ40による測定値P1よりも圧力センサ25による測定値P2が小さくなるように(P1>P2となるように)、ブロワ22によるパージガスの供給量を制御してもよい。コントローラCtrは、測定値P1と測定値P2との差ΔPが略一定となるように、ブロワ22によるパージガスの供給量を制御してもよい。
【0054】
コントローラCtrは、流量センサ24による測定値Fをモニタし、測定値Fが所定の閾値Thを超えるか否かを判断してもよい。コントローラCtrは、測定値Fが閾値Thを超えたと判断した場合に、所定の報知を行ってもよい。所定の報知としては、例えば、ディスプレイ(図示せず)に測定値Fが閾値Thを超えた旨を表示することであってよいし、スピーカ(図示せず)から警告音や警告音声を流すことであってもよい。
【0055】
[作用]
以上の例によれば、シール部材13Aとシール部材13Bとの間に比較的狭い間隔G2が構成されているので、コークス乾式消火装置100からの排出ガスGがロータ12の側板12Dとケーシング11の胴部11Aとの間から漏出しても、間隔G2において圧力損失が生じて、間隔G2から排出ガスGが流出し難い。すなわち、ロータ12の側板12Dとケーシング11の胴部11Aとの間から、シール部材13Aとシール部材13Bとの間におけるシール空間に至った排出ガスGは、当該シール空間から流出し難い。そのため、シール部材13Aとシール部材13Bとを近接配置させる極めて簡易な構成により、排出ガスGの漏出を抑制することが可能となる。また、シール部材13Aとシール部材13Bとが接触していないので、これらの間で摩耗がほとんど生じない。そのため、シール部13のメンテナンスの手間を大幅に削減することが可能となる。
【0056】
以上の例によれば、複数の補助シール部材13Cが、シール部材13Bと交差するようにロータ12の径方向に沿って延びている。この場合、複数の補助シール部材13Cの存在により、ロータ12の回転に伴い排出ガスGもロータ12の周方向に沿って流れてしまうことが抑制される。そのため、シール空間に圧力損失がより生じやすくなる。したがって、排出ガスGの漏出をより抑制することが可能となる。
【0057】
以上の例によれば、複数のシール部材13B1~13B3が、回転軸12Aの延在方向から見たときに、略同心円状となるように配置されている。この場合、シール部材13Aと各シール部材13B1~13B3との間にそれぞれ比較的狭い間隔G2が構成される。すなわち、ロータ12の径方向において複数の間隔G2がシール空間に存在することとなる。そのため、コークス乾式消火装置100からの排出ガスGがロータ12の側板12Dとケーシング11の胴部11Aとの間から漏出しても、シール空間において圧力損失がさらに生じやすくなる。したがって、排出ガスGの漏出をさらに抑制することが可能となる。
【0058】
以上の例によれば、供給装置20が、複数のシール部材13B1~13B3のうち隣り合う部材の間の空間にパージガスを供給している。この場合、シール空間における排出ガスGの流動がパージガスによって抑制される。そのため、排出ガスGの漏出をいっそう抑制することが可能となる。
【0059】
以上の例によれば、供給装置20が、シール部材13Aに設けられた供給孔Hを通じて、複数のシール部材13B1~13B3のうち隣り合う部材の間の空間にパージガスを供給している。この場合、シール空間に直接パージガスが供給されるので、シール空間における排出ガスGの流動がパージガスによってより抑制されやすくなる。そのため、排出ガスGの漏出をよりいっそう抑制することが可能となる。
【0060】
以上の例によれば、供給孔Hが、シール部材13Aのうちロータリバルブ10の入口部10A寄りの領域に設けられている。この場合、コークス乾式消火装置100からの排出ガスGがパージガスによってケーシング11内に流入し難くなる。そのため、排出ガスGの漏出をよりいっそう抑制することが可能となる。
【0061】
以上の例によれば、コントローラCtrが、圧力センサ40による測定値P1よりも圧力センサ25による測定値P2が小さくなるように(P1>P2となるように)、ブロワ22によるパージガスの供給量を制御している。この場合、パージガスがコークス乾式消火装置100内に流入し難くなる。そのため、パージガスとして空気を用いた場合でも、コークス乾式消火装置100内のコークスC2と空気との反応が抑制される。したがって、排出ガスGの漏出を抑制するためのパージガスを極めて低コストで利用しつつ、コークス乾式消火装置100内におけるコークスC2の処理を円滑に実行することが可能となる。
【0062】
ところで、シール部13(シール部材13A,13B)が摩耗等して、これらの間の間隔G2が一定以上に大きくなると、排出ガスGの漏出を抑制するためにパージガスの供給流量が大きくなる。これは、コントローラCtrが、測定値P1と測定値P2との差ΔPが略一定となるように、ブロワ22によるパージガスの供給量を制御しているときに顕著となる。そのため、ブロワ22からのパージガスの供給流量が増大したとき、シール部13の摩耗等による間隔G2の拡大が推定される。そこで、以上の例では、コントローラCtrが、流量センサ24による測定値Fが閾値Thを超えたと判断した場合に、所定の報知を行うように構成されている。この場合、流量センサ24による測定値Fに基づいて、シール部13の摩耗等の状況を把握することができる。そのため、ロータリバルブ装置1を分解することなく、シール部13のメンテナンス時期を自動的に作業者等に報知することが可能となる。
【0063】
以上の例によれば、排気装置30が、シュート部4内のガスを系外に排出している。この場合、排出ガスGがロータリバルブ装置1の出口部10Bから流出したとしても、排出ガスGが排気装置30によって系外に排気される。そのため、作業者が立ち入ることがあるロータリバルブ装置1の周囲に排出ガスGが漏出することが抑制される。したがって、作業者の安全性をより高めることが可能となる。
【0064】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0065】
(1)供給装置20は、ケーシング11のカバー部11Bとロータ12の側板12Dとの間の空間(側室)内にパージガスを供給するように構成されていてもよい。この場合も、パージガスが側室内を満たすことにより、供給孔Hにパージガスを供給する形態と同様に、シール空間における排出ガスGの流動がパージガスによって抑制される。そのため、排出ガスGの漏出をいっそう抑制することが可能となる。
【0066】
(2)シール部13は、補助シール部材13Cを含んでいなくてもよい。
【0067】
(3)供給孔Hは、シール部材13Aのうちロータリバルブ10の入口部10A寄り以外の領域に設けられていてもよい。
【0068】
[他の例]
例1.ロータリバルブ装置の一例は、ケーシングと、ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるようにケーシングに設けられたロータと、シール部とを備える。ケーシングは、筒状を呈し且つ水平方向に沿って延びる胴部と、上方に向けて開口するように胴部の上部に設けられた入口部と、下方に向けて開口するように胴部の下部に設けられた出口部と、胴部の両端をそれぞれ閉塞するように設けられた一対のカバー部とを含む。シール部は、環状を呈し且つケーシングに設けられた第1のシール部材と、筒状を呈し且つロータの側板に設けられた第2のシール部材とを含む。第1のシール部材は、外周縁側がケーシングに固定され、ロータの側板のうち外周部と対面している。第2のシール部材は、ロータの側板と第1のシール部材との間において回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側がロータの側板に固定され、他端側が第2のシール部材と所定の間隔を有している。この場合、第1のシール部材と第2のシール部材との間に比較的狭い隙間が構成されているので、処理装置からの排出ガスがロータの側板とケーシングとの間から漏出しても、当該隙間において圧力損失が生じて、当該隙間から排出ガスが流出し難い。すなわち、ロータの側板とケーシングとの間から、第1のシール部材と第2のシール部材との間におけるシール空間に至った処理装置からの排出ガスは、当該シール空間から流出し難い。そのため、第1のシール部材と第2のシール部材とを近接配置させる極めて簡易な構成により、排出ガスの漏出を抑制することが可能となる。また、第1のシール部材と第2のシール部材とが接触していないので、これらの間で摩耗がほとんど生じない。そのため、シール部のメンテナンスの手間を大幅に削減することが可能となる。
【0069】
例2.例1のロータリバルブ装置において、シール部は、ロータの側板と第1のシール部材との間において、第2のシール部材と交差するようにロータの径方向に沿って延びる複数の補助シール部材をさらに含み、複数の補助シール部材はそれぞれ、一端側がロータの側板に固定され、他端側が第2のシール部材と所定の間隔を有していてもよい。この場合、複数の補助シール部材の存在により、ロータの回転に伴い排出ガスもロータの周方向に沿って流れてしまうことが抑制される。そのため、シール空間に圧力損失がより生じやすくなる。したがって、排出ガスの漏出をより抑制することが可能となる。
【0070】
例3.例1のロータリバルブ装置において、シール部は、筒状を呈し且つロータの側板に設けられた第3のシール部材をさらに含み、第3のシール部材は、第2のシール部材を取り囲むようにロータの側板と第1のシール部材との間において回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側がロータの側板に固定され、他端側が第2のシール部材と所定の間隔を有していてもよい。この場合、第1のシール部材と第3のシール部材との間にも比較的狭い隙間が構成されている。すなわち、ロータの径方向において複数の隙間がシール空間に存在することとなる。そのため、処理装置からの排出ガスがロータの側板とケーシングとの間から漏出しても、シール空間において圧力損失がさらに生じやすくなる。したがって、排出ガスの漏出をさらに抑制することが可能となる。
【0071】
例4.例3のロータリバルブ装置において、シール部は、ロータの側板と第1のシール部材との間において、第2のシール部材及び第3のシール部材と交差するようにロータの径方向に沿って延びる複数の補助シール部材をさらに含み、複数の補助シール部材はそれぞれ、一端側がロータの側板に固定され、他端側が第2のシール部材と所定の間隔を有していてもよい。この場合、例2と同様の作用効果が得られる。
【0072】
例5.例3又は例4のロータリバルブ装置は、第2のシール部材及び第3のシール部材の間の空間又はケーシング内の空間にパージガスを供給するように構成されたガス供給部をさらに備えていてもよい。この場合、シール空間における排出ガスの流動がパージガスによって抑制される。そのため、排出ガスの漏出をいっそう抑制することが可能となる。
【0073】
例6.例5のロータリバルブ装置において、ガス供給部は、第1のシール部材に設けられた供給孔を通じて、第2のシール部材及び第3のシール部材の間の空間にパージガスを供給するように構成されていてもよい。この場合、シール空間に直接パージガスが供給されるので、シール空間における排出ガスの流動がパージガスによってより抑制されやすくなる。そのため、排出ガスの漏出をよりいっそう抑制することが可能となる。
【0074】
例7.例6のロータリバルブ装置において、供給孔は、第1のシール部材のうち入口部寄りの領域に設けられていてもよい。この場合、処理装置からの排出ガスがパージガスによってケーシング内に流入し難くなる。そのため、排出ガスの漏出をよりいっそう抑制することが可能となる。
【0075】
例8.例5~例7のいずれかのロータリバルブ装置は、入口部に接続された処理装置内の圧力を測定するように構成された第1の圧力測定部と、供給部により供給されるパージガスの圧力を測定するように構成された第2の圧力測定部と、制御部とをさらに備え、制御部は、第2の圧力測定部による測定値が第1の圧力測定部による測定値よりも小さくなるように、ガス供給部によるパージガスの供給量を制御するように構成されていてもよい。この場合、パージガスが処理装置内に流入し難くなる。そのため、パージガスとして空気(酸素)を用いた場合でも、処理装置内の処理物と空気との反応が抑制される。したがって、排出ガスの漏出を抑制するためのパージガスを極めて低コストで利用しつつ、処理装置内における処理物の処理を円滑に実行することが可能となる。
【0076】
例9.例8のロータリバルブ装置は、ガス供給部によるパージガスの供給流量を測定するように構成された流量測定部をさらに備え、制御部は、流量測定部による測定値が所定の閾値を超えたと判断した場合に所定の報知を行うように構成されていてもよい。ところで、シール部(第1のシール部材又は第2のシール部材)が摩耗等して、これらの間の隙間が一定以上に大きくなると、排出ガスの漏出を抑制するためにパージガスの供給流量が大きくなる。そのため、例9のように、パージガスの供給流量を流量測定部によって測定し、その流量の大きさが所定の閾値を超えたか否かを判断することで、シール部の摩耗等の状況を把握することができる。したがって、例9によれば、ロータリバルブ装置を分解することなく、シール部のメンテナンス時期を自動的に作業者等に報知することが可能となる。
【0077】
例10.例1~例9のいずれかのロータリバルブ装置は、出口部に接続されたシュート部内のガスを系外に排気するように構成された排気部をさらに備えていてもよい。この場合、排出ガスがロータリバルブ装置の出口部から流出したとしても、当該排出ガスが排気部によって系外に排気される。そのため、作業者が立ち入ることがあるロータリバルブ装置の周囲に排出ガスが漏出することが抑制される。したがって、作業者の安全性をより高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1…ロータリバルブ装置、4…シュート部、10…ロータリバルブ、10A…入口部、10B…出口部、11…ケーシング、11A…胴部、11B…カバー部、12…ロータ、12A…回転軸、12D…側板、13…シール部、13A…シール部材(第1のシール部材)、13B…シール部材(第2のシール部材、第3のシール部材)、13B1~13B3…シール部材、13C…補助シール部材、20…供給装置(ガス供給部)、24…流量センサ(流量測定部)、25…圧力センサ(第2の圧力測定部)、30…排気装置(排気部)、40…圧力センサ(第1の圧力測定部)、100…コークス乾式消火装置、Ctr…コントローラ(制御部)、G2…間隔、H…供給孔。
【要約】
【課題】本開示は、簡易な構成で排出ガスの漏出を抑制し且つメンテナンスの手間を大幅に削減することが可能なロータリバルブ装置を説明する。
【解決手段】ロータリバルブ装置は、ケーシングと、ケーシング内に配置され且つ水平方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能となるようにケーシングに設けられたロータと、シール部とを備える。シール部は、環状を呈し且つケーシングに設けられた第1のシール部材と、筒状を呈し且つロータの側板に設けられた第2のシール部材とを含む。第1のシール部材は、外周縁側がケーシングに固定され、ロータの側板のうち外周部と対面している。第2のシール部材は、ロータの側板と第1のシール部材との間において回転軸の延在方向に沿って延びており、一端側がロータの側板に固定され、他端側が第2のシール部材と所定の間隔を有している。
【選択図】
図4