(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】配送用冊子
(51)【国際特許分類】
B42D 15/08 20060101AFI20240116BHJP
B65D 27/34 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B42D15/08 A
B65D27/34
(21)【出願番号】P 2022188975
(22)【出願日】2022-11-28
(62)【分割の表示】P 2018071713の分割
【原出願日】2018-04-03
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】511279597
【氏名又は名称】共立印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088214
【氏名又は名称】生田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】若尾 正昭
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-171271(JP,A)
【文献】特開2002-037269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/08
B42D 15/02
B42D 1/00
B65D 27/34
B65D 27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓状開口部を有しない1枚の
コート紙からなる矩形紙を、長手方向に直交する中央ラインであって、該矩形紙が構成する平面の略中央部近傍を通る中央ラインを介して山折り式に折り曲げられて構成される外側表紙にて冊子本体が一体的に中綴じされ包装された配送用冊子であって、
該外側表紙を構成する矩形紙が、長手方向の一端側に形成された帯状延出部Aと,該帯状延出部Aの長手方向に直交する方向の一端側
に折り目線Aを介して該帯状延出部Aに連設された表4面部と、帯状延出部Aの該一端側とは反対側に表1面部とミシン目線Bを介して連設された帯状延出部Bとに区分けされ、該帯状延出部Bが、表1面部とミシン目線Bを介して接する側の端の中央部に、該帯状延出部Bと一体的に形成され表1面部側に延出するタブ部を有し、該タブ部は、その延出部の輪郭を構成するラインに沿って、該表1面部とは断絶しており、
更に、該矩形紙が、その長手方向に直交する中央ラインを介して表1面部と表4面部を構成するように山折り式に二つ折りにされて、該タブ部が一体的に形成された帯状延出部Bを有する表1面部と帯状延出部Aを有する表4面部が構成され
、前記ミシン目線Bは前記折り目線Aと平行な直線状に形成され、かつ、その切目の形状がくの字状であり、該くの字の一辺の長さが5mm~15mm、他辺の長さが2mm~4mm、偏向部の曲率半径が4mmであって、ピッチ(非切目部の幅)が1mmであることを特徴とし、
前記帯状延出部Aと前記帯状延出部Bとの間が、該帯状延出部Bの自由端と前記ミシン目線Bとの間に塗布された接着剤で接着されることで前記外側表紙にて冊子本体が一体的に中綴じされた配送用冊子。
【請求項2】
前記外側表紙は、一平面上に展開されたときに、
前記帯状延出部Bが、該帯状延出部Bの一部を構成しそれと一体に形成され、該帯状延出部Bと前記表1面部との間の区画ラインのほぼ中央部から、該表1面部が構成する平面と同一の平面内において、該表1面部に向かって延出するタブ部を有する構成を有し、前記表1面部が、帯状延出部Bと接する側の端部に、前記タブ部が構成する平面と同一の平面内に形成された凹部を有し、該凹部は、前記タブ部の輪郭と相似の輪郭を有し、該タブ部
の表面が、前記第1表面部の表面と同一の平面内に位置している構成を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の配送用冊子。
【請求項3】
前記配送用冊子は、
前記外側表紙により包装された態様において、
前記山折り式に二つ折りにされた外側表紙と、該外側表紙により包装された冊子本体とが、一体的に中綴じされており、
前記表4面部に具備された帯状延出部Aが、ミシン目線A又は折り目線Aが構成するラインAを介して、前記表1面部に相対する方向に折り曲げられており、
記帯状延出部Aの裏側表面と、帯状延出部Bの表側表面との間が、接着剤で接着されており、
前記外側表紙による包装の開封時において、
表1面部が有する帯状延出部Bに具備されたタブ部を、見開き側で、該表1面部が構成する平面から離れる方向に引張ることで、ミシン目線Bに沿って、該帯状延出部Bを表1面部から、破り取ることができる
ように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配送用冊子。
【請求項4】
前記ミシン目線Bが構成するラインBが、前記タブ部と前記帯状延出部Bと一体になって連続している領域により、前記矩形紙の長手方向に直交する方向に、上下に分かれており、それぞれ、前記帯状延出部Bの自由端であって、該矩形紙の長手方向に直交する方向に延在する自由端と実質的に平行であることを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の配送用冊子。
【請求項5】
前記封止された配送用冊子において、前記タブ部付延出部に具備されたタブ部の一部又は全部が、折込用延出部の自由端よりも、前記表1面部側に、延出していることを特徴とする請求項3又は4に記載の配送用冊子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製の新規な開封システムを有する配送用の中綴じ冊子(以下、「配送用冊子」)に係わり、具体的には、郵便、小包郵便又は宅配メール便等で配達可能な新規な配送用冊子に関し、より具体的には、商品・サービスを宣伝する大量の情報が掲載されたカタログやパンフレット等をダイレクトメール等でもって配送する際に好適に使用される配送用冊子に関し、更には、かかる配送用冊子に具備される紙製開封システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、商品カタログ又はパンフレット等のような情報量の多い宣伝用書面を、封筒に入れることなく低コストで郵送・配送することを可能とする配達用冊子や配送用冊子は広く知られている。かかる冊子においては、内容物が帯状の外側紙で封止された状態で配送先に配送され、それを受け取った受取人が、何ら道具を使うことなく開封できるような特性が要請されるが、かかる紙製開封システムとしては、剥離可能接着剤でもって接着されたフラップ部(二枚重ねの糊代部の一方)の自由端の端を指で掴んで、接着相手の部材表面から剥離させることで開封するシステムが主流を占めており、このような剥離可能接着剤を使用する紙製開封システムの代表例が特許文献1~2に開示されている。
【0003】
特許文献1にはその課題として「〔課題〕封筒に入れて配達する必要がないとともに、チラシ又は折込み広告等の別刷り紙を挟んだ状態を保持しながら配達することができる配達用冊子を得る。」と記載され、その解決手段として「〔解決手段〕折り目Fを境として表表紙5及び裏表紙6からなる外側紙2と2つ折り状態の内側紙とを中綴じして冊子を構成し、裏表紙6の小口側端6Eを延出してなる延出部7を表表紙5の表面5A側に折り曲げ、折り曲げられた延出部7に接する表表紙5の接合部8の一部に切欠き9を形成して表表紙5の内側に差し込まれた別刷り紙11にも延出部7に接する接合部12を設け、表表紙5に別刷り紙11に記載された宛名13が露出する開口部10を設け、延出部7の接合部8,12側の面に接着剤層7Aを設けて延出部7と接合部8,12とを接着することにより前記冊子の小口側端を綴じて配達用冊子1を構成した。」と記載されている。
【0004】
また、特許文献2にはその課題として「〔課題〕例えばダイレクトメールとして、封筒などを用いることなく、そのまま配送することができ、しかも同封された返信用のはがきやファックス用紙などに、受取人が自分の住所・氏名を記入する必要がなく、受取人の手間を最小限にすることができる送付用冊子を提供する。」と記載され、その解決手段として「〔解決手段〕製本された冊子の裏表紙2bの自由端側にミシン目Cを介して連続する封着片2cを設けると共に、表紙2aと冊子本体5の間に、受取人の宛名Aを記載したはがきやファックス用紙などの別紙片6を剥離可能に貼着し、上記封着片2cを表紙2aに剥離可能に貼着し、上記宛名Aを表紙2aに形成した窓状開口部Oから露出させる。」と記載されている。
【0005】
上記に共通する紙製開封システムにおいては、剥離可能に貼着する接着剤が使用されており、開封時には、この接着剤が剥離可能であることが必須となっているが、配送時には十分な接着力が要請される一方で、配送冊子を受け取った受取人が、何ら道具を使うことなく、開封できるように構成するためには、小さな接着力が要請されるので、このバランスを取る必要があり、特殊な接着剤を使用せざるを得ないので、製造コストが高くなる傾向があるという潜在的な問題がある。
【0006】
また、剥離可能接着剤で接着されたフラップ部を接着相手の部材表面から剥離する際には、紙で形成されたフラップ部を、接着相手の部材表面にほぼ垂直な方向に引き剥がす動作が必要となるところ、この引き剥がし動作の過程で、フラップ部を構成する紙が伸びて一部カールした状態になり易く、剥がしたフラップ部が開封前のフラットな状態に戻らないために、開封後に見苦しくなるという潜在的な課題が残る。
【0007】
一方、配送用冊子に一般的に使用されているコート紙による包装の開封システムではないが、使用する紙の厚さが100μm程度以上の厚紙の場合には、素材が紙であると言う観点において共通の厚紙で構成された容器の開封システムとして、剥離可能な接着剤ではなく、ミシン目を予め所定の箇所に形成しておいて、そのミシン目に沿って容器の厚紙の一部を破る(容器の内側へ、又は、容器の外側へ)方式の開封システムが一般的に使用されており、このような開封システムには、その開封操作方式の違いにより二つに大別される。
【0008】
その一つは、ミシン目を有するジッパータイプで、2本の平行したミシン目あるいは相対する2本のミシン目で挟まれて帯状になった領域部分の自由端を指で掴んで破り取る方式のものと、もう一つは、1本のみのミシン目(一般的には、ほぼ台形状のラインを構成する1本のミシン目)を介して容器構成本体部と連続したフラップ部であって、その台形状の上部に一端が自由端となったタブ部が形成されたフラップ部のタブ部の自由端部を指で掴んで、容器の外側に向けて引っ張りつつ、あるいは、容器の内側に向けて押し込みつつ、台形状のミシン目に沿って、破る形式のものである。
【0009】
前者の代表例としては、特許文献3があり、そこには、課題として、「〔課題〕多くの情報が提供できる1枚の用紙からなる冊子状送付物を提供することである。」と記載され、その解決手段(即ち、発明)として、「〔解決手段〕1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物であって、用紙には、用紙を上下に二分割する左右方向折り込み線と、用紙を左右に三分割以上に分割する上下方向折り込み線が形成され6個以上の区画に区画されており、左右方向折り込み線上において上側の左右両端区画間、及び下側の左右両端区画間に挟まれた上側区画と下側区画が接する部分に切込が設けられており、上側の左右両端の一方の区画または下側の左右両端の一方の区画のいずれかに左右方向の外方に向かって糊代フラップが延設され、糊代フラップが、糊代フラップが延設された区画に隣接する左右方向の区画と接着されている。」と記載されている。
【0010】
しかしながら、前者の場合は、破り取った帯状の部材をゴミ箱等に入れて、周囲に散乱しないようにする手間が必要であり、生憎周囲にゴミ箱が存在しなかったときには、周囲に散乱したままの状態になって見苦しいこととなり、また、例え小さいとは言え環境負荷の一因になり易い。
【0011】
後者の代表例としては、配送用冊子の外側紙に使用される紙よりも厚い紙を使った開封システムが特許文献4に開示されている。特許文献3には、その要約として「〔要約〕容器10用の開放システムは、容器10の開口部の上に延在する端部折込部18A、および端部折込部18Aを覆う密封折込部16Aを含む。端部折込部18Aは、開放領域38を含み、密封折込部はミシン目パターン34、36を含む。ミシン目パターン34、36は、開放領域38上に延在する中心部分を含む第1のミシン目線34、および第1のミシン目線34から密封折込部16Aの一方の端縁に延在する第2のミシン目線36を含む。第1のミシン目線34は、第2のミシン目線36よりもより低い力で破れるように構成される。」と記載されている。
【0012】
しかしながら、後者の場合、特に、本願発明において企図する配送用又は郵送用の中綴じ冊子に適用した場合には、該冊子の外側を帯状に封止する紙製の開封システムが占める平面スペース以外の平面スペース(帯状の外側紙が提供する平面スペース)にも何らかの情報を印刷することが必要となるところ、その印刷用スペースが小さくならざるを得ないという潜在的な課題が残る。
【0013】
また、このようなミシン目を使った開封システムが適用できるような紙は一般的に厚紙や特殊なコート紙とならざるを得ないので製造コストが高くならざるを得ない。また、使用する紙として、郵便物の包装紙としては不向きの厚手の特殊紙が必要となるところ、通常の郵便物として郵送される場合に受ける重量上の制約があっても対応できるような配送用冊子の外側紙の場合には、外側紙を含めた冊子全体の厚さを出来るだけ薄くすることで配送用冊子全体の重量をできるだけ軽量にする必要があるので、例えば、コート紙のような厚さ140μm程度の薄い紙を使う包装の場合には、ミシン目を活用した開封システムは一般的に不適であると言う課題があり、その実、配送用冊子に関する技術分野においては、そのような開封システムは皆無のようである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2007-290140号公報
【文献】特開2012-171271号公報
【文献】特開2017-13265号公報
【文献】特表2013-513531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上のような代表的な発明を開示する特許文献において主張されている主な作用効果(即ち、発明により解決された問題点)は、
1)大量の情報が掲載された紙媒体を郵送や配送ができる
2)封筒を使用しないので低コストとなる
に集約されると考えられるが、これらの作用効果は、いずれも、発送者側あるいは製造業者側のみの課題に対応しており、かかる配達用冊子や配送用冊子を受け取った一般顧客等の受取人が潜在的に抱える課題を解決することを企図した先行技術は意外に数が少ない。
【0016】
このような配達用冊子や配送用冊子に関する問題点が内在する場面としては、
(1)製造段階;(2)輸送段階;(3)配達物を郵便受等に投函する段階;(4)配達物を受け取った受取人が開封する段階;(5)開封した後の段階、が想定されるが、これらのうち(1)~(3)の段階において遭遇する課題は、上記の各種先行特許文献に開示の発明によりほぼ全て解決されているものと思われるが、(4)~(5)の段階に遭遇すると思われる課題に注目すると、以下のような潜在的課題が存在することが理解できる。
【0017】
(潜在的な問題点)
1)剥離可能接着剤を使用した紙製開封システムの場合は、本体部から剥がす糊代フラップ部を引っ張る際にフラップ部の紙を構成する繊維が伸びて元のフラットな状態に戻らなくなり、開封後の状態が見苦しい。
2)ミシン目を有するジッパータイプの紙製開封システムの場合は、破り取った帯状の部材をゴミ箱等に入れて、周囲に散乱しないようにする手間が必要であり、生憎周囲にゴミ箱が存在しなかったときには、周囲に散乱したままの状態になって見苦しいこととなり、また、例え小さいとは言え環境負荷の一因になり易い。また、ジッパーを構成するミシン目が露出した状態とならざるを得ないので、配送用冊子の外側に印刷する場合や配送中に想定外の外力が加わって、そのミシン目の一部が破れることが懸念される。
3)台形状のミシン目が構成するラインに沿って破る形式の紙製開封システムの場合は、特に、本願発明において企図する配送用又は郵送用の中綴じ冊子に適用した場合には、かかる配送用冊子に求められる本来の機能、即ち、大量の情報を掲載すると言う機能の観点からすると、該冊子の外側を帯状に封止する紙製の開封システムが占める平面スペース以外の平面スペース(帯状の外側紙が提供する平面スペース)にも大量の情報を掲載又は印刷することが必要となるところ、その印刷用スペースが小さくならざるを得ない。
4)台形状のミシン目で破る方式の開封システムの場合には、紙が薄いと、ミシン目ではなく、タブ部の根本部から紙が破れるという現象が生じ易くなるので、紙の厚さを大きくせざるを得なくなり、製造コストが高くなる。
5)また、台形状のミシン目で破る方式の開封システムを本願発明において企図する配送用又は郵送用の中綴じ冊子に適用した場合には、配送物又は郵送物に課せられるサイズ上及び重量上の制約の観点から、該冊子の外側を帯状に封止する紙の厚さを出来るだけ薄くする必要がある。
6)大量の情報が印刷された冊子を受け取った受取人が、その冊子の表紙なり外側紙を実際に開けるかどうかは発送者側には未知数であり、開封率を向上させると言う観点から見たときの紙製開封システムの工夫が為されているとは言い難い。即ち、受取人が、同様な冊子を受け取ったときに、開けたいと言う衝動を喚起させる工夫が未だ不十分である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、上記課題を全て一度に解決できる方法を編み出すことに成功し、本発明を為すに至った。
即ち、第1の発明は、
冊子本体が外側表紙と共に中綴じされた配送用冊子であって、
該外側表紙の表1面部が、ミシン目線を介して延在するタブ部付延出部を有し、該タブ部付延出部が、タブ部であって、その輪郭線の少なくとも一部に沿って具備された打抜線又は連続切目線により自由端部が構成されているタブ部を有し、
該外側表紙の表4面部が、折り目線を介して延在する折込用延出部を有し、
該折込用延出部がタブ部付延出部と重ね合わせられて接着されており、
開封時において、前記タブ部付延出部に具備された前記タブ部の自由端部を把持して引っ張ることで、タブ部付延出部が、折込用延出部に接着した状態のままで、前記ミシン目線に沿って破れるように構成されている
ことを特徴とする配送用冊子に係る発明である。
【0019】
第2の発明は、前記第1の発明において、
前記ミシン目線が露出しないように、前記折込用延出部がタブ部付延出部の上に重ねられて接着されていることを特徴とする。
【0020】
第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明において、
前記タブ部が、前記タブ部付延出部と一体に形成されており、前記自由端部が、前記外側表紙の表1面部側に向かって、延出していることを特徴とする。
【0021】
第4の発明は、前記第1~3のうちのいずれかの発明において、
前記ミシン目線が、前記タブ部の前記打抜線又は連続切目線にそれぞれ連続する2本のミシン目線に分かれており、それぞれ、前記外側表紙の表1面部と前記タブ部付延出部との間の区画ラインに平行な直線を構成していることを特徴とする。
【0022】
第5の発明は、前記第3又は第4の発明において、
前記タブ部付延出部に具備されたタブ部の一部又は全部が、前記タブ部付延出部に重ねられた前記折込用延出部の自由端よりも、前記外側表紙の表1面部側に、延出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本願発明によれば、上記した(1)製造段階;(2)配送用冊子の外側表紙部に印刷する段階;(3)輸送段階;(4)配達物を郵便ポスト等に投函する段階;(5)配送用冊子を受け取った受取人が開封する段階;(6)開封した後の段階における潜在的課題が全て一度に解決できるという顕著な作用効果が奏される。
【0024】
更に、(7)従来の糊付けによる開封システムの場合は、糊付けされたフラップ部の長手方向の長さが約29.6cmの場合であって、一般の人が普通に開封しようとした場合、完全開封に約5~6秒かかるが、本願発明に係る開封システムの場合には、同じサイズの場合、約1~1.5秒となり、その結果、ほぼワンタッチと言う表現が適した形式で開けられ、加えて、人間が快感を覚える行為の一つであるところの新しいものを「破る」と言う行為が伴い、それと共に、本願発明に係る紙製開封システムに使用する紙が所定以上の厚さを有する場合には、ミシン目ラインに沿って「破った時に音が出る」という快感も楽しめるので、速さと開ける楽しさを同時に与えることが可能となり、開封率の向上が期待できると言う当業者が予想する範囲を超えた顕著な作用効果も奏される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願発明に使用される表紙(外側表紙用紙)を構成する矩形紙を平面状に展開したときの平面図である。
【
図2】本願発明に係る配送用冊子の外側表紙を平面に展開したときの平面図であり、ほぼ中央部に折り目線の跡が見える態様を示す。
【
図3】本願発明に使用される矩形紙を所定の状態に折り曲げ、かつ、所定の箇所に接着剤を塗布した状態であって、帯状の外側表紙用紙が封止できる状態になった態様を模式的に示す斜視図である。
【
図4】本願発明に使用される帯状の外側表紙用紙でもって封止された状態になった態様を模式的に示す表面
図Aと裏面
図Bである。
【
図5】本願発明に係る配送用冊子を所定の箇所(開封システムの設置された箇所)でもって開封した状態の態様を模式的に示す斜視図である。
【
図6】本願発明に係る配送用冊子の製造プロセスを模式的に示すプロセス図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本願発明に係る配送用冊子について詳細に説明するが、先ず初めに、本願発明に係る配送用冊子の製造プロセスについて図を参照しつつ以下説明する。
(製造プロセス)
本願発明に係る紙製開封システム及び該紙製開封システムを有する中綴じ型配送用冊子は、以下の手順で製造することができる。
【0027】
ステップ1:
図1において参照番号100で示された矩形紙100を、紙ロールから公知の方法で所定のサイズに裁断して準備する。あるいは、既に所定のサイズに裁断された紙を入手する。同図は模式図であり、実寸を表すものではなく、そこには矩形の紙が図示されているが、本発明においては、必ずしも、矩形紙に限定されるものではなく、本願発明の目的が達成できる構成要素の範囲を逸脱しない限りにおいて、如何様な形状の紙も使用できるが、本願発明に係る配送用冊子は、郵便法で定める第一種郵便物として使用されることも企図されているので、日本郵便株式会社で規定する定形郵便物として送付可能となるサイズ及び形状であることが好ましい。
【0028】
また、使用する紙の種類は、所謂コート紙が、配送時の耐水性の観点からして好ましいが、必ずしも、これに限定されるものではなく、配送用冊子の外側表紙用紙としての機能が提供できる紙であれば如何様な種類の紙でも好適に使用できる。また、紙の厚さとしては、普通タイプのコート紙のように、約140μmが好ましいが、必ずしも、これに限定されるものではなく、本願発明の目的が達成できる構成要素の範囲を逸脱しない限りにおいて、如何様な厚さの紙も使用できる。
【0029】
なお、
図2は、
図1に模式的に図示された矩形紙を外側表紙として使用して本願発明に係る配送用冊子を製造した後に、その外側表紙を平面に展開した態様を示すが、この
図2のほぼ中央部に参照番号125で示された一点鎖線は、後述の製造プロセスにおける説明の理解を助ける目的で、山折り線となる折り目線を便宜的に示すものであり、何ら実体の伴ったラインを示すものではない。また、
図1又は
図2に模式的に図示された矩形紙の左側端部に参照番号115で示された点線は、後述の製造プロセスにおける説明の理解を助ける目的で、山折り線となる折り目線を便宜的に示すものであり、何ら実体の伴ったラインを示すものではないが、外側表紙用紙を構成する矩形紙に使用する紙の厚さによっては、実体の伴ったミシン目(切目と非切目とから構成される)とすることも好適に行われることは論を待たない。
【0030】
ステップ2:
図1又は
図2において参照番号115で示された折り目線は、上述のとおり、必ずしもミシン目線である必要は無いが、以下の説明においては、便宜上、ミシン目線A(切目と非切目とから構成される)により構成されている場合を想定するが、この場合は、かかるミシン目線Aは、マイクロミシン等を使用して、非切目のサイズ及びピッチがそれぞれ所定の値になるように公知の方法で形成することで、参照番号110で示された帯状延出部A(後述の折込用延出部に相当する)を形成する。この場合のミシン目線Aを構成する切目と非切目のサイズ及びピッチの値は、好ましくは、0.2mm~0.5mm幅の刃を0.1mm~0.2mm間隔にて、より好ましくは、0.35mm幅の刃を0.15mm間隔にて具備するマイクロマシンにより得られる切目と非切目のサイズ及びピッチ値であるが、必ずしも、これに限定されるものではなく、本願発明の目的が達成できる範囲を逸脱しない限りにおいて、如何様な切目と非切目のサイズ及びピッチの値も使用できる。なお、このミシン目線Aを形成する目的は、このミシン目線Aが形成するラインに沿って、帯状延出部Aを折り曲げ機械でもって折り曲げたときに、シャープな折り曲げ線が形成されるようにすることではあるが、本願発明に係る配送用冊子の外側表紙に印刷する際、配送時又は郵送時に折り曲げられた箇所の紙が裂けないような強度を有するような切目と非切目のサイズ及びピッチの値となるように構成する必要があることは論を待たない。この観点からすると、外側表紙に使用する用紙の厚さを薄くせざるを得ない場合には、かかるミシン目線Aを具備することなく、単なる、折り目線として構成することが好適に行われる。なお、切目の形状は、本願発明の目的が達成できる範囲において、如何様な形状も使用でき、好適には、点状、線状、くの字状、Z字状、S字状、より好適には、線状が使用できる。また、ミシン目線Aのラインは、参照番号110で示された帯状延出部Aの自由端に平行になることが好ましいが、本願発明の目的が達成できる範囲を逸脱しない限りにおいて、如何様な切目と非切目の態様も好適に使用できる。なお、以下の説明において、
図1又は
図2において参照番号115で示された折り目線を、ミシン目線で構成しない場合(即ち、単なる折り目線として構成する場合)は、以下における「ミシン目線A」を「折り目線A」と読み替えるものとする。
【0031】
ステップ3:
図1において参照番号135A及び135Bでそれぞれ示されたミシン目線B(切目と非切目とから構成される)を、ジッパー型ミシン目線形成装置等を使用して、切目と非切目のサイズ及びピッチ(隣接する切目同士の間の間隔)がそれぞれ所定の値になるように公知の方法(例えば、打ち抜き式)で形成することで、参照番号130で示された帯状延出部B(後述のタブ部付延出部に相当する)を形成する。この場合のミシン目線135A及び135Bをそれぞれ構成する切目と非切目のサイズ及びピッチ(一つのくの字状の切目の端から相対するくの字状の切目の端までの間の間隔)の値は、好ましくは、くの字の一辺の長さが5mm~15mm、他辺の長さが2mm~4mm程度で、偏向部の曲率半径が4mmであって、ピッチ(非切目部の幅)が1mm、より好ましくは、くの字の一辺の長さが10mm、他辺の長さが3mmで、偏向部の曲率半径が4mmであることを特徴とするくの字型切目と、くの字型切目相互間の非切目の幅が1mmとなるようなサイズ及びピッチ値の打ち抜き刃を具備したジッパー型ミシン目線形成装置により得られるくの字状の切目と非切目のサイズ及びピッチ値であるが、必ずしも、これに限定されるものではなく、本願発明の目的が達成できる範囲を逸脱しない限りにおいて、如何様な切目と非切目のサイズ及びピッチの値も使用できる。なお、このミシン目線135A及び135Bをそれぞれ形成する目的は、本願発明に係る配送用冊子を受け取った受取人が開封する際に、帯状延出部Bの一端(表4面を提供する裏側表紙部(以下、「表4面部」)に接する端)側に具備されたタブ部140(
図4参照)を指で把持して帯状延出部Bと共に表1面を提供する表側表紙部(以下、「表1面部」)の面外方向に引っ張ることで、このミシン目線135A及び135Bのそれぞれが形成するラインに沿って帯状表紙用紙を破って開封することが出来るようにすることであるので、切目と非切目のサイズ及びピッチの値は、このミシン目線135A及び135Bのいずれも本発明に係る配送用冊子の外側表紙への印刷中あるいはその配送中においても引き裂かれないことを担保しつつ、受取人による開封時には、帯状延出部Bに一体的に具備されたタブ部140を指で把持して引っ張ることで容易にミシン目線135A及び135Bのラインに沿って帯状表紙用紙を破ることができるような強度を有するようなサイズ及びピッチの値とする必要があることは論を待たない。
【0032】
ステップ4:
図1又は
図2において参照番号140で示されたタブ部を、公知の方法で、参照番号130で示された帯状延出部Bと一体的に形成する、即ち、帯状延出部Bからその一方の端を越えて延設する。なお、このタブ部140の表面と、表1面部(参照番号120B)の表面及び帯状延出部Bの表面とは、同一の平面内に位置していることが本願発明の特徴の一つではあるが、この特徴は、必須の構成要素ではなく、本発明のタブ部と実質的に同一の機能を呈する部材であれば、如何なる部材も好適に使用できることは論を待たない。この場合、該タブ部140の根元、即ち、該タブ部140の輪郭線が、参照番号135A又は135B示されたミシン目線Bが構成するラインに、曲率半径R1のカーブを持って接続する一方の根元点から、相対する他方の根元点までを含めた該タブ部140の輪郭線に沿って、公知の方法でもって切断線(連続切目)(同図では実線で示されている)を形成して、該タブ部140の一部に自由端を形成する。このタブ部140を具備させる目的は、矩形紙100を
図3に図示されたようにミシン目線Aのライン115に沿って折り曲げて
図4Aに模式的に図示されたように、タブ部140の頭部側が、該折り曲げた後の帯状延出部B(参照番号110)より延設していることで、本願発明に係る配送用冊子の受取人が開封する際に、この延設部分を指で把持して引っ張ることで、参照番号135A及び参照番号135Bでそれぞれ示されたミシン目線に沿って、帯状延出部Bの当該端が破れるようにすることである。従って、かかる目的が達成できる形状及びサイズであれば、如何様なものでも良い。
【0033】
また、タブ部140は、帯状延出部B(参照番号130)と一体に形成されていることが好ましい(製造プロセスステップを最小限にすると言う観点において)が、本願発明の目的が達成される構成要素の範囲を逸脱しない限りにおいて、必ずしも、一体に形成される必要はなく、例えば、別途調製したラベルのようなものであって、帯状延出部Aの裏側(
図4Aに図示された見開き側から見たときの参照番号110で示された帯状延出部Aの裏側、あるいは、その下側に隠れている参照番号130(
図1又は
図2)で示された帯状延出部Bの表側)に接着剤でもって貼り付けられるものであっても良い。
【0034】
また、本願発明に係る配送用冊子の開封時に、このタブ部140の先端部(即ち、帯状延出部B(参照番号110)より延設している部分)を指で把持して引っ張って、参照番号135A及び参照番号135Bでそれぞれ示されたミシン目線に沿って、帯状区画部Bの当該端を破る際には、このタブ部140の根元の近傍領域(即ち、該タブ部140の輪郭線が、参照番号135A又は135B示されたミシン目線Bが構成するラインに接続する根元の近傍領域)に引き裂き応力が集中せざるを得ないので、かかる応力集中をできるだけ回避するために、当該根元部分の輪郭ラインは、表1面部(参照番号120B)の側に曲率中心を有する曲率半径R1のカーブ形状に構成されている。このような観点から、曲率半径R1は、好ましくは、5mm~9mmであり、より好ましくは、6mmである。また、その場合の曲率半径R1のカーブが描く円弧の中心角は、好ましくは、60度~90度であり、より好ましくは、90度である。このようにタブ部140の根元の輪郭ラインをカーブ状にする目的は、本願発明に係る配送用冊子の帯状表紙用紙を開封する際に当該箇所において発生する引き裂き応力の集中を回避しつつ、開封時に当該タブ部140と帯状延出部Bとが一体的に挙動することで帯状表紙用紙の開封が容易になるようにすることであるので、かかる目的が達成できる構成の範囲を逸脱しない限りにおいては、必ずしも、これらに限定されることはない。
【0035】
更に、このタブ部140の頭部の両端近傍の輪郭ラインは、帯状延出部Bの側に曲率中心を有する曲率半径R2のカーブ形状に構成されているが、この理由は、タブ部140の先端部(即ち、帯状延出部B(参照番号110)より延設している部分)を指で把持する際には、
図4に図示された状態での帯状延出部A(参照番号110)を、軽く、同図の紙面の裏側方向に若干折り曲げることで、タブ部140の表面が開封前は表1面部の表面と同一であった状態から、タブ部140が有する曲げ剛性(タブ部140の厚さの2乗に比例する)により、タブ部140の先端部が、表1面部の表面の高さ(当該部の紙の厚さに相当)から浮き上がることになり、この浮き上がりを利用して、タブ部140を指で把持することを容易にするためである。このような観点から、曲率半径R2は、好ましくは、5mm~9mmであり、より好ましくは、6mmである。また、タブ部140の先端部の両端近傍の輪郭ラインを曲率半径R2のカーブ形状にする目的には、このタブ部140に隣接する表1面部(参照番号120B)の面内において、タブ部140の両端近傍の輪郭に相対し、それと相似形に形成される凹型のリセス(recess)の根元近傍(タブ部140の先端部の両端近傍に相対する箇所)において、本願発明にかかる配送用冊子の外側表紙に印刷する際あるいはその配送時に、予想外の引き裂き応力の集中現象が発生して帯状表紙用紙が破れて破損することを防止することも含まれている。従って、曲率半径R2の値は、上記の観点における本願発明の目的が達成できる構成要素の範囲を逸脱しない限り如何様な値も好適に使用できる。この観点からすると、このタブ部140の頭部の両端近傍の輪郭ラインは、必ずしも曲線である必要は無く、直線が交差してできる輪郭ラインであっても好適に適用可能である。
【0036】
また、タブ部140に要請される機能の観点からすると、タブ部140を帯状延出部Bと上述のような態様でもって一体的に形成する場合には、タブ部140の部分の紙の厚さや面外曲げ剛性には好ましい値の範囲があるようであり、厚さについてのその範囲は、好ましくは、50μm~200μm程度であり、より好ましくは、140μmである。ただし、本願発明の権利範囲に影響を与えないとの前提の下で言えば、かかる範囲内の厚さの紙を本願発明に係る帯状表紙用紙に使用した場合には、後述する開封時の容易さの観点、及び、開封時に、帯状表紙用紙が、後述するミシン目135A及び135Bに沿って正しく破れるようにすると言う観点から、ミシン目の切目及び非切目のサイズとの関係値において、何らかの関数的な関係が存在すると考えられるので、この観点から、上述のミシン目線Bを構成する切目及び非切目のサイズとピッチを好適に選定する必要があると考えられる。いずれにしても、ここで言う厚さに関しては、特に、その他の構成要素との組み合わせによる影響もあると考えられるので、その範囲内において、本願発明の目的を達成できる構成であれば、必ずしも、上記の範囲に限定されることはない。
【0037】
なお、
図1に図示した矩形紙の製造プロセスとしては、上記のプロセス以外に一つのオプションとして、ロール紙の状態のままで、それを上記2~4のステップに供した後で、上記1の態様の矩形紙に裁断することにより、同様な結果が得られることは論を待たない。
【0038】
ステップ5:
以上のステップ1~4が終了すると、帯状延出部A(参照番号110),表4面部(参照番号120A)表1面部(参照番号120B)(表1面部と表4面部とは、山折り式の折り線125を介して連続しているので、これらの連続体としての要素を参照番号120で示すものとする)、帯状延出部B(参照番号130)とを有する矩形紙100が得られる。この場合の帯状延出部Aの幅(矩形紙100の長手方向に沿った幅)は、帯状延出部B(参照番号1130)の幅(矩形紙100の長手方向に沿った幅)よりも大きく、かつ、タブ部140の先端部の輪郭線と帯状延出部B(参照番号130)の自由端(即ち、タブ部140とは反対側の端)との間の幅よりも小さいことが要請される。これは、矩形紙100を
図3に図示されたようにミシン目線Aのライン115に沿って折り曲げて
図4Aに模式的に図示されたように、タブ部140の先端部側が、該折り曲げた後の帯状延出部A(参照番号110)より表1面部側に延出することで、本願発明に係る配送用冊子を受け取った受取人がそれを開封する際に、この延出部分を指で把持できるようにするためである。従って、矩形紙の長手方向の帯状延出部Aの幅、帯状延出部Bの幅、タブ部の延設サイズと、矩形紙の長手方向に直交する方向でのタブ部の幅は、それぞれ、好ましくは、
帯状延出部Aの幅:28mm~35mm
帯状延出部Bの幅:23mm~27mm
タブ部の延設サイズ(タブ部の根元の位置から頭部の位置までの長さ):最低10mm
タブ部の幅:20mm~30mm
であり、より好ましくは、
帯状延出部Aの幅:30mm
帯状延出部Bの幅:25mm
タブ部の延出サイズ:最低5mm
タブ部の幅:26mm
であるが、本願発明の目的が達成できる構成の範囲内であれば、如何なるサイズ、形状の組み合わせも好適に使用できる。
【0039】
ステップ6:
図3において参照番号150で示された帯状部が占める領域に相当する
図1における帯状延出部Bの接着剤塗布領域150(帯状延出部Bの短辺の一方から他方までの全体に亘って延在する領域)に、公知の方法でもって、接着剤を塗布する。この場合の接着剤の種類は、好ましくは、MB接着:QD-2760MAであるが、郵送用あるいは一般用の紙用接着剤であれば如何なる接着剤も好適に使用できる。また、接着剤を塗布する領域の幅(矩形紙の長手方向に沿った幅)、長さ(矩形紙の長手方向に直交する方向に沿った長さ)、形状(例えば、直線的な帯状、曲線的な帯状)については、好ましくは、
接着剤を塗布する領域の幅:3mm~8mm
接着剤を塗布する領域の長さ:帯状延出部の長手方向の両端からそれぞれ最大10mm除いた長さ
形状:帯状延出部の長手方向に沿った帯状
であり、より好ましくは、
接着剤を塗布する領域の幅:5mm
接着剤を塗布する領域の長さ:帯状延出部の長手方向の両端からそれぞれ5mm除いた長さ
であるが、本願発明の目的が達成できる構成の範囲内であれば、如何なるサイズ、形状の組み合わせも好適に使用できる。
【0040】
ステップ7:
図1又は
図2において参照番号125で示された折り線(
図4に示す見開き側から見たときの山折り線)に沿って矩形紙100を折り曲げる。この場合の折り線には、公知の方法によるミシン目線が形成されていない方が好ましい。一般的には、使用する矩形紙の厚さが大きい場合とか、折り曲げ片の幅が小さい(細い)場合にはミシン目線の事前形成が必要で、厚さが小さい場合とか、折り曲げ片の幅が大きい(太い)場合には、ミシン目線が事前形成されていなくても、機械による折り曲げが可能であると思われ、普通のコート紙の場合であって、A4版サイズの矩形紙の場合には、中央部を走る折り線125に沿ったミシン目線は特に必要がないと思われる。
【0041】
ステップ8:
上記7のステップが終了すると、
図3に示すように、参照番号130で示された帯状延出部Aは、
図3の参照番号120Bで示された延出部B(
図4に示す参照番号120Bで示された表側表紙と同一のもの)の自由端(即ち、帯状延出部Bの長手方向に直交する方向の自由端)を越えて、矩形紙100の長手方向に延出する状態となる。
【0042】
ステップ9:
図5において参照番号160又は170で示された冊子となる印刷物と、上記8の状態となった帯状表紙用紙と、一体的に中綴じする。
【0043】
ステップ10:
上記8の状態で延出することとなった帯状延出部A(参照番号130)を、ミシン目線115に沿って、
図4に示す見開き側から見たときに谷折りとなるように、折り曲げる。
【0044】
ステップ11:
上記ステップ9で折り曲げられた帯状延出部A(参照番号110)を、
図1又は
図2において参照番号130で示された帯状延出部Bと重ねて、上記ステップ6で塗布された接着剤により、相互の帯状延出部を、貼り合わせる。
【0045】
以上の製造プロセスを経ると、
冊子本体が外側表紙と共に中綴じされた配送用冊子であって、
該外側表紙の表1面部が、ミシン目線を介して延在するタブ部付延出部を有し、該タブ部付延出部が、タブ部であって、その輪郭線の少なくとも一部に沿って具備された打抜線又は連続切目線により自由端部が構成されているタブ部を有し、
該外側表紙の表4面部が、折り目線を介して延在する折込用延出部を有し、
該折込用延出部がタブ部付延出部と重ね合わせられて接着された状態で配送できるように構成され、
開封時において、前記タブ部付延出部に具備された前記タブ部の自由端部を把持して引っ張ることで、タブ部付延出部が、折込用延出部に接着した状態のままで、前記ミシン目線に沿って破れるように構成されている
ことを特徴とする配送用冊子が得られる。
【0046】
また、かかる態様の配送用冊子の構成を細かく見ると、
前記ミシン目線が露出しないように、前記折込用延出部がタブ部付延出部の上に重ねられて接着されていることを特徴とすることが理解できる。
【0047】
更に、詳細に見ると、かかる態様の配送用冊子は、
前記タブ部が、前記タブ部付延出部と一体に形成されており、前記自由端部が、前記外側表紙の表1面部側に向かって、延出していることを特徴とすることも理解できる。
【0048】
更にまた、より詳細に見ると、かかる態様の配送用冊子は、
前記ミシン目線が、前記タブ部の前記打抜線又は連続切目線にそれぞれ連続する2本のミシン目線に分かれており、それぞれ、前記外側表紙の表1面部と前記タブ部付延出部との間の区画ラインに平行な直線を構成していることを特徴とすることが理解できる。
【0049】
加えて、更に詳細に見ると、かかる態様の配送用冊子は、
前記タブ部付延出部に具備されたタブ部の一部又は全部が、前記タブ部付延出部に重ねられた前記折込用延出部の自由端よりも、前記外側表紙の表1面部側に、延出していることを特徴とすることが理解できる。
【0050】
(開封プロセス)
次に、本願発明に係る配送用冊子を受け取った受取人が開封する際の開封動作を説明する。本願発明に係る配送用冊子を受け取った受取人は、以下のプロセスでもって、開封することとなる。
ステップ1.受け取った配送用冊子を、
図4Aに模式的に図示する状態(即ち、見開き側を上とする状態)にする。
【0051】
ステップ2.
図4に模式的に図示された状態での帯状延出部B(参照番号130)を、軽く、同図の紙面の裏側方向に若干折り曲げることで、タブ部140の表面が開封前は表1面部の表面と同一高さであった状態から、タブ部140が有する面外曲げ剛性により、タブ部140の頭部先端部の表面を、表1面部の表面の高さから浮き上がらせる。それに伴って、タブ部140の頭部先端部の裏面と表1面部の表面との間に若干の隙間が生じ、タブ部140の頭部の紙面断面の上端部(表面側上端部)の一部が表1面部の表面の高さから若干浮き上がって露出する。
【0052】
ステップ3.このときに露出した部分に指を引っ掛けつつ、浮き上がったタブ部140の頭部先端部を、指で把持しつつ、表1面部が構成する平面の外側に、引っ張って、帯状延出部Bの端に具備された上下のミシン目線B(
図1又は
図2に参照番号135A及び135Bで示されたそれぞれのミシン目線に沿って、帯状延出部Bの当該端を引き裂くようにして破ることで、受け取った配送用冊子を開封できる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を説明する。
(使用した矩形紙)
北越紀州社製、商品名:ミューマット
タイプ:マットコート0.14t
厚さ:約140μm
サイズ:A4版
紙質:マットコート紙(一般的なマットコート紙)
接着剤:強粘着接着剤 商品名:MB接着 QD-2760MA
ミシン目線形成用装置:
a)ミシン目線A形成用装置(プレス式):マイクロミシン(0.35mmの刃を0.15mm間隔にて配置)
b)ミシン目線B形成用装置(プレス式):ジッパー型(4mmのラウンドした刃を1mmの間隔にて配置)
【0054】
(製造プロセス)
図6のプロセス・フローチャートに従って、それぞれ、公知の方法(公知のユニット操作プロセス及び装置)により、中綴じ型の配送用冊子を調製した。
【0055】
(開封プロセス)
次に、上記にて調製された中綴じ型の配送用冊子を開封したところ、従来の糊付けによる開封システムの場合は、糊付けされたフラップ部の長手方向の長さが約(26cm)の場合に、完全開封に約5~6秒かかるが、本願発明に係る開封システムの場合には、同じサイズの場合、約1~1.5秒となり、その結果、ほぼワンタッチと言う表現が適した形式で開けられた。
また、人間が快感を覚える行為の一つであるところの新しいものを「破る」と言う行為が伴い、それと共に、本願発明に係る紙製開封システムに使用する紙が所定以上の厚さを有する場合には、ミシン目ラインに沿って「破った時に音が出る」という快感も楽しめるので、速さと開ける楽しさを同時に与えることが可能となったものと考えられ、従来の糊付けによる仕様より、開封率向上が期待できセールスプロモーションに貢献できるものと期待できる。
更に、開封後に自由端を有するフラップとなる部分は、帯状延出部Aと帯状延出部Bとが接着剤でもって面接着されたものとなっているために、コシがあり、自動的に、元の状態、即ち、表1面部が構成する平面と同一平面内に戻るので、開封後の冊子の状態が見苦しくなかった。
【0056】
また、上述の本件発明には、以下のように特定される発明が含まれていることは論を待たない。
(第6の発明)、
1枚の矩形紙を、長手方向に直交する中央ラインであって、該矩形紙が構成する平面の略中央部近傍を通る中央ラインを介して山折り式に折り曲げられて構成される外側表紙にて冊子本体が一体的に中綴じされ包装された配送用冊子であって、
該外側表紙を構成する矩形紙が、長手方向の一端側に形成された帯状延出部Aと,該帯状延出部Aの長手方向に直交する方向の一端側にミシン目線A又は折り目線Aを介して該帯状延出部Aに連設された表4面部と、帯状延出部Aの該一端側とは反対側に表1面部とミシン目線Bを介して連設された帯状延出部Bとに区分けされ、該帯状延出部Bが、表1面部とミシン目線Bを介して接する側の端の中央部に、該帯状延出部Bと一体的に形成され表1面部側に延出するタブ部を有し、該タブ部は、その延出部の輪郭を構成するラインに沿って、該表1面部とは断絶しており、
更に、該矩形紙が、その長手方向に直交する中央ラインを介して表1面部と表4面部を構成するように山折り式に二つ折りにされて、該タブ部が一体的に形成された帯状延出部Bを有する表1面部と帯状延出部Aを有する表4面部が構成されることを特徴とし、
前記帯状延出部Aと前記帯状延出部Bとの間が、該帯状延出部Bの自由端と前記ミシン目線Bとの間に塗布された接着剤で接着されることで前記外側表紙にて冊子本体が一体的に中綴じされた配送用冊子に係る発明である。
(第7の発明)前記第6の発明において、
前記外側表紙は、一平面上に展開されたときに、
前記帯状延出部Bが、該帯状延出部Bの一部を構成しそれと一体に形成され、該帯状延出部Bと前記表1面部との間の区画ラインのほぼ中央部から、該表1面部が構成する平面と同一の平面内において、該表1面部に向かって延出するタブ部を有する構成を有し、前記表1面部が、帯状延出部Bと接する側の端部に、前記タブ部が構成する平面と同一の平面内に形成された凹部を有し、該凹部は、前記タブ部の輪郭と相似の輪郭を有し、該タブ部が、中央区画部に重ならない構成を有する
ことを特徴とする。
(第8の発明)前記第6の発明又は第7の発明において、
前記配送用冊子は、
前記外側表紙により包装された態様において、
前記山折り式に二つ折りにされた外側表紙と、該外側表紙により包装された冊子本体とが、一体的に中綴じされており、
前記表4面部に具備された帯状延出部Aが、ミシン目線A又は折り目線Aが構成するラインAを介して、前記表1面部に相対する方向に折り曲げられており、
記帯状延出部Aの裏側表面と、帯状延出部Bの表側表面との間が、接着剤で接着されており、
前記外側表紙による包装の開封時において、
表1面部が有する帯状延出部Bに具備されたタブ部を、見開き側で、該表1面部が構成する平面から離れる方向に引張ることで、ミシン目線Bに沿って、該帯状延出部Bを表1面部から、破り取ることができる
ように構成されていることを特徴とする。
(第9の発明)前記第6~8の発明のいずれかにおいて、
前記ミシン目線Bが構成するラインBが、前記タブ部と前記帯状延出部Bと一体になって連続している領域により、前記矩形紙の長手方向に直交する方向に、上下に分かれており、それぞれ、前記帯状延出部Bの自由端であって、該矩形紙の長手方向に直交する方向に延在する自由端と実質的に平行であることを特徴とする。
(第10の発明)前記8~9の発明のいずれかにおいて、
前記封止された配送用冊子において、前記タブ部付延出部に具備されたタブ部の一部又は全部が、折込用延出部の自由端よりも、前記表1面部側に、延出していることを特徴とする。
【0057】
また更に、上述の本件発明には、以下のように特定される発明が含まれていることも論を待たない。
(第11の発明)
紙製又はプラスチック製のシート状物から構成された包装手段又は収容手段に具備され、該シート状物の一部から構成された封止・開封システムであって、
該シート状物は、本体部、折り目線又はミシン目線Aを介して該本体部からその一方の端から延出する延出部A、ミシン目線Bを介して該本体部の他方の端から延出する延出部Bから構成され、
前記延出部Bは、
本体部とミシン目線Bを介して接する側の端の中央部に、該延出部Bと一体的に形成され本体部側に延出するタブ部を有し、該タブ部は、その延出部の輪郭を構成するラインに沿って、該本体部とは断絶しており、
前記延出部Aと前記延出部Bとの間が、該延出部Bの自由端と前記ミシン目線Bとの間に塗布された接着剤で接着されていることを特徴とする封止・開封システムに係る発明である。
(第12の発明)前記第11の発明において、
前記延出部Bが、該延出部Bの一部を構成しそれと一体に形成され、該延出部Bと前記本体部との間の区画ラインのほぼ中央部から、該本体部が構成する平面と同一の平面内において、該本体部側に向かって延出するタブ部を有する構成を有し、
前記本体部が、前記延出部Bと接する側の端部に、前記タブ部が構成する平面と同一の平面内に形成された凹部を有し、該凹部は、前記タブ部の輪郭と相似の輪郭を有し、該タブ部が、本体部に重ならない構成を有する
ことを特徴とする。
(第13の発明)前記第11の発明又は第12の発明において、
前記延出部Aが、ミシン目線A又は折り目線Aが構成するラインAを介して、前記本体部側に折り曲げられており、
前記延出部Aの裏側表面と、前記延出部Bの表側表面との間が、接着剤で接着されており、
開封時において、
帯状延出部Bに具備されたタブ部を、見開き側で、該本体部が構成する平面から離れる方向に引張ることで、ミシン目線Bに沿って、該延出部Bを表1面部から、破り取ることができる
ように構成されていることを特徴とする。
(第14の発明)前記第11~第13の発明のいずれかの発明において、
前記ミシン目線Bが構成するラインBが、前記タブ部と前記延出部Bと一体になって連続している領域により、2本に分かれていることを特徴とする。
(第15の発明)前記第13~第14の発明のいずれかにおいて、
前記延出部Bに具備されたタブ部の一部又は全部が、延出部Aの自由端よりも、本体部側に、延出していることを特徴とする。