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特許7420920モビリティソリューションの開発及び分配のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】モビリティソリューションの開発及び分配のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/35 20180101AFI20240116BHJP
   G06F 8/38 20180101ALI20240116BHJP
   G06Q 10/101 20230101ALI20240116BHJP
【FI】
G06F8/35
G06F8/38
G06Q10/101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022511018
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2020070121
(87)【国際公開番号】W WO2021032372
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】201941033652
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】519224351
【氏名又は名称】ボッシュ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Bosch Limited
【住所又は居所原語表記】123, Industrial Layout, Hosur Road, Koramangala, Bangalore 560095, India
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アナンタ プラシャント
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラ プラディープ
【審査官】渡辺 一帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055588(JP,A)
【文献】特開2010-092484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0282399(US,A1)
【文献】豊岡 明 ほか,"UI設計ツールNINAによる組み込み機器UI開発の効率化",第69回(平成19年)全国大会講演論文集(1),社団法人情報処理学会,2007年,pp. 185-186
【文献】"ArcSuite Engineering Web統合情報管理システム",2014年,pp. 1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/10 -8/38
G06Q 10/101
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソリューションの共同開発及び分配のためのシステム(100)であって、
サーバ(124)と、
有線接続及び無線接続のうちの少なくとも一方を介して前記サーバ(124)に接続可能な少なくとも1つの端末デバイス(130)と、
認証後に前記サーバ(124)と前記端末デバイス(130)の少なくとも1つとの間の通信を確立する少なくとも1つのプロセッサ(122)と、
を備えるシステム(100)において、
前記プロセッサ(122)及び前記サーバ(124)は、
車両に関連するソリューションの開発及び分配のフレームワークを提供し、かつ、
アクセス要求に基づいて、少なくとも1つの端末デバイス(130)の表示インタフェース上に表示可能な複数のモジュール(120)を、前記少なくとも1つの端末デバイス(130)にレンダリングし、
前記少なくとも1つの端末デバイス(130)の入力ユニットを介してアクセス可能であり、それぞれ単独で及び組み合わせて使用可能である、前記ソリューションの開発のための前記複数のモジュール(120)から生成される命令であって、前記サーバ(124)と通信している前記少なくとも1つの端末デバイス(130)のユーザによって生成される命令を実行し、
前記開発されたソリューションを分配のために前記サーバに保存する、
ように構成されており、
前記複数のモジュール(120)は、デバイスモジュール(102)、ファームウェアモジュール(104)、データモジュール(106)、分析モジュール(108)、ソリューションモジュール(110)、ディスプレイモジュール(112)、デジタルインフラストラクチャモジュール(114)、エンゲージメントモジュール(116)及びビジネスモジュール(118)を含むグループから選択され、
前記デバイスモジュール(102)は、少なくとも1つのソリューションに要求されるデータを収集又は生成する、前記デバイス及び前記デバイスのモジュールのうちの少なくとも1つの詳細を含み、
前記ファームウェアモジュール(104)は、前記デバイスモジュール(102)から選択された前記少なくとも1つのデバイスの動作に要求されるデータを、前記車両及び前記デジタルインフラストラクチャモジュール(114)に供給し、
前記データモジュール(106)は、前記少なくとも1つのデバイスによって生成されたローデータを保存及び前処理し、前記ローデータ及び処理されたデータは、前記少なくとも1つのソリューションの開発のために、前記少なくとも1つの端末デバイス(130)の前記ユーザに利用可能とされ、
前記分析モジュール(108)は、前記データモジュール(106)から受信された前記データの詳細な処理のための少なくとも1つのサブモジュールを提供し、前記少なくとも1つのサブモジュールは、人工知能(AI)、深層学習(DL)、機械学習(ML)のうちの少なくとも1つから選択されており、
前記ソリューションモジュール(110)は、問題、進行中のソリューション及び開発されたソリューションの貯蔵庫であり、
前記ディスプレイモジュール(112)は、前記少なくとも1つのソリューションのユーザインタフェース(UI)を開発するための複数のツールを提供し、
前記デジタルインフラストラクチャモジュール(114)は、前記車両のための前記開発されたソリューションの安全な実装及び配備に必要な接続のための複数のサブモジュールを提供し、
前記エンゲージメントモジュール(116)は、前記デバイスモジュール(102)、ファームウェアモジュール(104)、データモジュール(106)、分析モジュール(108)、ソリューションモジュール(110)、ディスプレイモジュール(112)、デジタルインフラストラクチャモジュール(114)及び前記ビジネスモジュール(118)に関する少なくとも1人の他のユーザとの対話により、コミュニケーションを可能にし、
前記ビジネスモジュール(118)は、開発されたソリューションの収益化を可能にする、
ことを特徴とするシステム(100)。
【請求項2】
前記システム(100)は、少なくとも2人のユーザ、即ち、ソリューション要求者及びソリューション提供者によって使用され、前記ソリューション要求者は、インタフェースを使用して問題を投稿し、次いでこれを前記ソリューションモジュール(110)に保存し、前記ソリューション提供者は、前記複数のモジュール(120)を使用して前記問題を解決し、前記ソリューション提供者は、独立して及び少なくとも1つの第2のソリューション提供者と通信してのいずれかによって、要求された前記問題を解決する、請求項に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記少なくとも2人のユーザは、同一の組織及び異なる組織のうちの少なくとも1つから選択される、請求項に記載のシステム(100)。
【請求項4】
ソリューションを共同開発及び提供するための、コンピュータによって実行される方法であって、
サーバ(124)と端末デバイス(130)との間に接続を確立するステップと、
前記端末デバイス(130)の入力ユニットによってアクセス可能であり、それぞれ単独で及び組み合わせて使用可能である複数のモジュール(120)を、前記端末デバイス(130)にレンダリングするステップと、
車両に関するソリューションを、前記複数のモジュール(120)により開発するステップと、
前記開発されたソリューションを、前記サーバ(124)により保存及び分配するステップと、
を含み、
前記複数のモジュール(120)は、デバイスモジュール(102)、ファームウェアモジュール(104)、データモジュール(106)、分析モジュール(108)、ソリューションモジュール(110)、ディスプレイモジュール(112)、デジタルインフラストラクチャモジュール(114)、エンゲージメントモジュール(116)及びビジネスモジュール(118)を含むグループから選択され、
前記方法はさらに、
少なくとも1つのソリューションに要求されるデータを生成するデバイス及び前記デバイスのモジュールのうちの少なくとも1つを、前記デバイスモジュール(102)により選択してアクセスするステップと、
前記デバイスモジュール(102)から選択された前記少なくとも1つのデバイスと前記車両及び前記デジタルインフラストラクチャモジュール(114)とのインタフェース形成及び通信を、前記ファームウェアモジュール(104)により可能にするステップと、
前記少なくとも1つのデバイスによって生成されたローデータを、前記データモジュール(106)により保存及び前処理するステップであって、前記ローデータ及び処理されたデータは、前記少なくとも1つのソリューションの開発に利用可能である、ステップと、
前記デバイスモジュール(102)及び前記データモジュール(106)のうちの少なくとも1つから受信された前記データを、前記分析モジュール(108)により選択的に分析するステップであって、前記分析モジュール(108)は、人工知能(AI)、深層学習(DL)及び機械学習(ML)を含むグループから選択される、ステップと、
少なくとも1つの問題、部分的に解決された問題及び開発されたソリューションの貯蔵庫を、前記ソリューションモジュール(110)により提供するステップと、
前記開発されたソリューションのユーザインタフェース(UI)を、前記ディスプレイモジュール(112)により開発するステップと、
前記開発されたソリューションを、前記デジタルインフラストラクチャモジュール(114)により実装及び配備するステップと、
前記少なくとも1つのソリューションの開発のために、利用可能なデータ、コミュニティ、ネットワークに、前記エンゲージメントモジュール(116)によりアクセスし、接続し、通信するステップと、
前記開発されたソリューションを、前記ビジネスモジュール(118)により収益化するステップと、
を含む方法。
【請求項5】
少なくとも1人のソリューション要求者及びソリューション提供者により前記サーバ(124)にアクセスし、前記ソリューション要求者は、前記ソリューションモジュール(110)を使用して問題を投稿し、前記ソリューション提供者は、前記複数のモジュール(120)を使用して前記問題を解決し、前記ソリューション提供者は、独立して及び少なくとも1つの第2のソリューション提供者と共同してのいずれかによって、前記問題を解決する、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2人のユーザは、同一の組織及び異なる組織のうちの少なくとも1つに由来する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両モビリティソリューションの開発及び分配のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
特許第256171号によれば、遠隔地において開発者がインターネットアプリケーションを構築するための分散型開発環境が開示されている。要求されるビジネス機能を実行すべくアプリケーションとアプリケーションコンポーネントとが相互運用される環境における使用のために、ウェブサービス及びソフトウェアから構成されるインターネットホスト型ビジネスアプリケーションが開発されている。本発明は、ソフトウェア開発アプリケーションサービスプロバイダモジュール(DASP)、インスタンティエータモジュール、ビルダモジュール、アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)インフラストラクチャプラットフォーム(AIP)モジュール、及び、ホスト型生産環境モジュールを利用する。より多くのスキルを持つ人を雇用することができる、多様な場所に位置する開発者及び試験者は、世界中の人々を使用して24時間体制で作業を行うことができ、より低い労働率を有する国の人々に作業を振り向けることにより、コストを削減することができる。本発明に係るシステム及び方法は、開発の開始時に導入されるサードパーティと開発者とを提携させることによって、効率を高め、総ての当事者にとってのコストを削減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第256171号
【0004】
本開示の一実施形態を、以下の添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の一実施形態による、モビリティソリューションの開発及び分配のためのシステムを示すブロック図である。
図2】本発明によるモビリティソリューションの開発及び分配のための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
図1は、本発明の一実施形態による、モビリティソリューションの開発及び分配のためのシステムのブロック図を示している。システム100は、サーバ124又はクラウドと、有線接続及び/又は無線接続のうちの少なくとも一方を介してサーバ124に接続可能な少なくとも1つの端末デバイス130と、少なくとも1つのプロセッサ122と、を含む。プロセッサ122は、認証後に、サーバ124と、少なくとも1つの端末デバイス130との間の通信を確立する。有線接続とは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ユニバーサルシリアルバス(USB)に基づく接続、並びに、ネットワークへの接続を可能にする他の同様のケーブル及びアダプタをいう。無線接続とは、デジタル無線電話技術、例えば、時間分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、及び、Global System for Mobile Communication(GSM)、Wi-Fi、Bluetooth、ワイドエリアネットワーク(WAN)などをいう。さらに、ネットワークは、インターネット(ワールドワイド)又はイントラネット(ローカル)である。システム100は、車両に関連するソリューションの開発及び分配のためのフレームワーク又はプラットフォームが、プロセッサ122及びサーバ124により提供されることを特徴とする。プロセッサ122は、アクセス要求に基づいて、少なくとも1つの端末デバイス130に複数のモジュール120(層とも称され得る)をレンダリングするように構成されている。複数のモジュール120は、少なくとも1つの端末デバイス130の表示インタフェース上に表示可能である。プロセッサ122はさらに、ソリューションを開発するための複数のモジュール120から生成された命令を実行し、命令は、サーバ124と通信している少なくとも1つの端末デバイス130のユーザによって生成される。複数のモジュール120は、少なくとも1つの端末デバイス130の入力ユニットを介してアクセス可能であり、複数のモジュール120のそれぞれは、単独で及び組み合わせて使用可能である。プロセッサ122は、開発されたソリューションを分配のためにサーバ124に保存する。プロセッサ122は、サーバ124又はクラウドの不可欠の部分である。
【0007】
一実施形態によれば、複数のモジュール120は、デバイスモジュール102、ファームウェアモジュール104、データモジュール106、分析モジュール108、ソリューションモジュール110、ディスプレイモジュール112、デジタルインフラストラクチャモジュール114、エンゲージメントモジュール116及びビジネスモジュール118から成るグループから選択される。
【0008】
複数のモジュール120は、表示インタフェース、例えば、スクリーン又はタッチスクリーンなどにおいてレンダリングされる。言い換えれば、複数のモジュール120が端末デバイス130にロードされる。複数のモジュール120へのアクセスは、ウェブブラウザにおいて開かれているウェブフロント、ウェブサイト又はポータル132を介して行われる。さらに、複数のモジュールは、同様に、モバイルアプリケーションを介してもアクセス可能である。
【0009】
次に、複数のモジュール120について説明する。命令は、複数のモジュール120を使用しながら、コマンド、ロジック、プログラム、アクション、選択などに対応する。デバイスモジュール102は、少なくとも1つのソリューションに要求されるデータを収集又は生成するデバイス及びデバイスのモジュールのうちの少なくとも1つの詳細を含む。また、デバイスモジュール102は、プロプリエタリソース(所有権を主張し得るソース)及びeコマースソースから選択されたソースを介して、少なくとも1つのデバイス又はデバイスのモジュールへのアクセスを提供する。デバイスモジュール102は、ソリューション開発に関連するデータを生成するデバイス又はモジュール若しくはコンポーネントのリスト及び詳細、例えば、テレマティクスデバイス134のリスト及び詳細を含む。デバイスモジュール102内のデバイス及びデバイスのモジュールは、ハードウェアに依存しない。以下においては、デバイス及び/又はデバイスのモジュールは、理解し易くするために、デバイスと総称する。
【0010】
ファームウェアモジュール104は、デバイスモジュール102から選択された少なくとも1つのデバイスを車両と共に動作させるために要求されるデータへのアクセスを、デジタルインフラストラクチャモジュール114と共に提供する。ファームウェアモジュール104は、デバイスモジュール102内の各デバイスのためのロジック、プログラム又は命令のセットを含むファームウェアを提供する。ファームウェアは、予め保存されており、又は、ユーザと共同で開発されたものである。ファームウェアは、車両と接続されたインフラストラクチャとの間のインタフェース形成及び通信を可能にする。ファームウェアモジュール104内のファームウェアは、デバイスに依存せず、サーバ又はクラウドにも依存しない。
【0011】
データモジュール106は、少なくとも1つのデバイスによって生成されたデータを保存し、前処理する。データモジュール106は、デバイスにおけるデータの処理、又は、サーバ124のインフラストラクチャにおけるエッジコンピューティング若しくは処理のためのデータの処理を可能にする。データモジュール106は、データモジュール106により生成及び処理されるデータに対する「データレイク」として機能する。データモジュール106は、プラグイン又は機能部の形態(他の形態も可能である)のサブモジュール、例えば、ハーモナイザ、フィッティング、オプティマイザ、量子化器などを含む。この場合も、プラグインは、要件に従って作成され、又は、既存のリストから使用される。新たなデータモジュール106が必要とされる場合、フレームワークは、別個のインストールの必要なしに、これらを同様に構築するために必要なツールを提供する。処理されたデータは、少なくとも1つのソリューションの開発のために端末デバイス130のユーザに利用可能となる。
【0012】
分析モジュール108は、データモジュール106から受信したデータの詳細な処理のための少なくとも1つのサブモジュールを提供する。少なくとも1つのサブモジュールは、人工知能(AI)、深層学習(DL)、機械学習(ML)、行動科学(BS)などのうちの少なくとも1つから選択される。分析モジュール108のサブモジュールは、自動車分野におけるドメインの経験及び専門性に基づいて作成される。例えば、内燃機関(ICE)、電気車両(EV)、種々のタイプの車両、例えば、二輪車、三輪車、四輪車、バス、トラックなどのためのハイブリッド車両のモデルに基づく較正を可能にするためのデータに基づくエンジンモデル、物理学に基づく機関モデル、燃料燃焼モデル、触媒モデル、排気モデル、車両運転モデル、パワートレーンモデル、エネルギ管理モデル、熱管理モデルなどである。
【0013】
ソリューションモジュール110は、問題、進行中のソリューション、及び、開発されたソリューションの貯蔵庫である。ユーザは、開発者、プログラマ、データサイエンティスト、エンジニア、研究者、学者、関係者、組織などから成る。問題が投稿されると、ユーザは、独立して又は共同で、当該問題のソリューションを提供するために作業する。ユーザは、投稿されていない自身の特定の問題に対するソリューションさえも自由に開発することができる。開発されたソリューション、問題、及び、進行中のソリューションは、ソリューションモジュール110により使用可能又はダウンロード可能である。ソリューションは、モバイルアプリケーションとして、又は、コンピュータ若しくは制御ユニット、コントローラなどによって実行可能な命令のセットとして、提供される。当該ソリューションは、車両に関連する総てのソリューションを含む。あるソリューションは、車両の駐車であり、他のソリューションは、電話に基づく車両診断などである。ソリューションは、車両内において実行され、又は、車両の外部ツールによって実行される。
【0014】
ディスプレイモジュール112は、少なくとも1つのソリューションのユーザインタフェース(UI)を開発するための複数のツール、例えば、車両のインフォテインメントユニットのためのグラフィカルUI、ユーザのモバイルデバイスのためのインタラクティブUIなどを提供する。
【0015】
デジタルインフラストラクチャモジュール114は、車両向けに開発されたソリューションの安全な実装及び配備に必要な接続のための複数のサブモジュールを提供する。デジタルインフラストラクチャモジュール114は、ベンダに依存しない、サーバに依存しない又はクラウドに依存しないことのほか、標準プロトコル、セキュリティ機能、支払いゲートウェイ及びその他多数のものを規定する、接続されたソリューション上における任意の開発を可能にする基礎である。
【0016】
エンゲージメントモジュール116は、デバイスモジュール102、ファームウェアモジュール104、データモジュール106、分析モジュール108、ソリューションモジュール110、ディスプレイモジュール112、デジタルインフラストラクチャモジュール114及びビジネスモジュール118に関与する又はこれを参照する若しくはこれに関連する少なくとも1人の他のユーザとの対話によって、通信を可能にする。エンゲージメントモジュール116は、より大きいリソースのコミュニティが集まって共通の案件に取り組むことを可能にする。アプローチは、インサイド・アウト(人材プールが組織内にある場合)及びアウトサイド・イン(観察範囲が可能となる組織、即ち、アカデミー、パートナー、ベンチャー企業、政府などを超える場合)又はその両方の組合せとなる。
【0017】
ビジネスモジュール118は、顧客の発見及び開発されたソリューションの収益化を可能にする。ビジネスモジュール118は、収益を生み出し、価格戦略を策定し、会計構造を維持すること、ただし、これらに限定されないことを可能にするための解決手段である。ビジネスモジュール118は、ビジネスを可能にするためにオンライン又はデジタルにおける市場を提供する。
【0018】
本発明によれば、システム100は、少なくとも2人のユーザ、即ち、ソリューション要求者及びソリューション提供者によって使用される。ソリューション要求者は、この場合はソリューションモジュール110に保存された、ウェブサイト又はポータル132のUIを使用して問題を投稿し、ソリューション提供者は、少なくとも1つのモジュール120を使用して問題を解決する。ソリューション提供者は、独立して及び少なくとも1つの第2のソリューション提供者と通信してのいずれかによって、要求されたソリューションを解決する。少なくとも2人のユーザは、同一の組織及び異なる組織のうちの少なくとも1つから選択される。
【0019】
本発明の作用を理解するための一実施例を説明する。当該作用は、限定的に理解されるべきではない。異なる部署の複数の従業員又は同僚を有する組織を検討する。本発明のソリューションフレームワークは、例えば、ライセンス、サブスクリプションなどの形式で当該組織において使用されている。当該組織において、車両からの排出ガスの問題を解決するための作業グループが形成されている。作業グループの第1のメンバは、ウェブブラウザを介して、コンピュータ126上、例えば、ラップトップ上、デスクトップ上にソリューションフレームワークを開く。第1のメンバは、認証資格情報を使用してソリューションフレームワークにログインする。ログインが行われると、第1のメンバは、ウェブサイト又はポータル132のUIを介してソリューションフレームワークに問題の文を投稿し、次いでこれをソリューションモジュール110に保存させる。作業グループの第2のメンバは、アプリケーション又はブラウザのいずれかを介して、スマートフォン128を使用してソリューションフレームワークにログインする。第2のメンバは、問題の文を読み取り、デバイスモジュール102をブラウズして、適当なデバイスを選択する。第2のメンバは、車両に適合していることが必要とされるデータロギングデバイスを選択する。データロギングデバイスは、必要な承認の後、デバイスモジュール102から注文又は購入される。データロギングデバイスは、少なくとも1つの試験車両に適合している。データロギングデバイスの機能のために、チームの第3のメンバは、ファームウェアモジュール104から適当なファームウェアを選択して、車両の特定のメーカとのインタフェースを形成する。特定のファームウェアが利用不能である場合、第3のメンバは、エンゲージメントモジュール116により、コミュニティ内のファームウェアチームにアプローチする。エンゲージメントモジュール116によりファームウェアが作成され、車両と共に機能するようにデータロギングデバイスにインストールされる。数日間又は数ヶ月間にわたり、車両からのデータは、データロギングデバイスにより記録される。第3のメンバは、データモジュール106を使用して、記録されたデータを保存し、前処理して、所定のパターンを理解する。データは、利用可能なプラグインによって処理され、又は、(組織内部若しくは外部のいずれかの)エンゲージメントモジュール116を介して専門家にアプローチすることにより作成された専用のプラグインによって処理される。処理されたデータは、分析モジュール108において利用可能な、既存のエンジンモデル、データに基づく統計モデル、触媒モデルなどと組み合わせられる。最終的に、排出ガスの予測及び制御のソリューションが開発され、これがソリューションモジュール110において利用可能となるようにされる。作業グループがエンゲージメントモジュール116により設計者にアプローチし、排出ガス予測のためのユーザインタフェースを設計させる。設計者は、このためにディスプレイモジュール112を用いる。一方、同僚は、排出ガス予測に追加されるべき追加の特徴についての提案を提供する。
【0020】
排出ガス予測が開発された後、当該排出ガス予測は、排気モデル及び触媒モデルを使用して、ソリューションフレームワーク内の仮想環境において試験される。次いで、排出ガス予測は、デジタルインフラストラクチャモジュール114の1つ又は複数のサブモジュールを使用して車両において実施される。さらに、ビジネスモジュール118により潜在的な顧客に連絡することにより、排出ガス予測のコンセプトが収益化される。ビジネスモジュール118は、ソリューションとしての排出ガス予測の開発に関連するコストの管理も支援する。排出ガス予測ソリューションは、ソリューションモジュール110におけるアプリケーションとしても分配のために利用可能とされる。当該ソリューションに関心のあるいずれかのサードパーティは、必要料金を支払って車両に実装する。これは、単なる一例であり、発明の実施形態を説明するものである。このことは、単一のソリューションフレームワークを使用した、車両に関連する他の多数のタイプのソリューションに適用可能であるが、車両から生じるソリューションのみに限定されるものではない。
【0021】
図2は、本発明に係る、モビリティソリューションを開発及び分配するための方法を示している。当該方法は、複数のステップを含み、ステップ202は、サーバ124と端末デバイス130との間の接続を確立することを含む。ステップ204は、端末デバイス130において複数のモジュール120をレンダリングすることを含む。端末デバイス130の入力ユニットによってアクセス可能な複数のモジュール120と、複数のモジュール120のそれぞれとは、単独で及び組み合わせて使用可能である。ステップ206は、複数のモジュール120により、車両に関するソリューションを開発することを含む。ステップ208は、開発されたソリューションを、サーバ124により保存及び分配することを含む。複数のモジュール120は、デバイスモジュール102、ファームウェアモジュール104、データモジュール106、分析モジュール108、ソリューションモジュール110、ディスプレイモジュール112、デジタルインフラストラクチャモジュール114、エンゲージメントモジュール116及びビジネスモジュール118を含むグループから選択される。
【0022】
デバイスモジュール102は、少なくとも1つのソリューションの開発に要求されるデータの生成を支援しつつ、デバイス及びデバイスのモジュールのうちの少なくとも1つを選択すること及びこれにアクセスすることを可能にする。デバイスモジュール102は、プロプリエタリソース及びeコマースソース(サードパーティ)から選択されたサーバ124にリンクされたソースを介してデバイスを取得することができる。ファームウェアモジュール104は、デバイスモジュール102から選択された少なくとも1つのデバイスと、車両及びデジタルインフラストラクチャモジュール114とのインタフェース形成及び通信を可能にする。
【0023】
データモジュール106は、少なくとも1つのデバイスによって生成されたローデータの前処理を可能にする。ローデータ及び前処理データは、少なくとも1つのソリューションの開発に利用可能となるようにされる。分析モジュール108は、デバイスモジュール102及びデータモジュール106のうちの少なくとも一方から受信されたデータの選択的な分析を可能にする。分析モジュール108は、人工知能(AI)、深層学習(DL)、機械学習(ML)、行動科学(BS)などのうちの少なくとも1つから選択される。ソリューションモジュール110は、少なくとも1つの問題、部分的に解決された問題又は進行中のソリューション及び開発されたソリューションの貯蔵庫を提供する。ディスプレイモジュール112は、開発されたソリューションのためのUIの開発を可能にする。
【0024】
デジタルインフラストラクチャモジュール114は、開発されたソリューションの実装及び配備を可能にする。エンゲージメントモジュール116は、利用可能なデータ又は要求されたデータについて、コミュニティ、即ち、少なくとも1つのソリューションの開発のためのネットワークとのアクセス、接続及び通信を可能にし、ビジネスモジュール118は、開発されたソリューションの収益化を可能にする。
【0025】
当該方法は、少なくとも1人のソリューション要求者及びソリューション提供者によってサーバ124にアクセスすることも含む。ソリューション要求者は、ソリューションモジュール110を使用して問題を投稿し、ソリューション提供者は、複数のモジュール120を使用して問題を解決する。ソリューション提供者は、独立して又は少なくとも1つの第2のソリューション提供者と共同でのいずれかによって、問題を解決する。
【0026】
本発明によれば、ソリューションフレームワークは、オンラインアプリケーションストアに基づくポータルを通してソリューションを開発及び提供するプラットフォーム群のプラットフォームを提供する。基本的な相違点は、適用範囲、複数のプラットフォーム、及び、車両のモビリティドメインにおけるソリューションフレームワークの種々の部分の編成の関係にある。本発明は、オープンソースコミュニティがモビリティに関する課題に貢献することを可能にし、中小企業又はベンチャー企業が大規模化し、大企業が関連世界におけるプラットフォーム及びソリューション事業へ多角化することを可能にする。本発明は、コネクテッドモビリティエコシステムを取り巻く構成要素であり、ソリューション開発を可能にするプラットフォームを提供する。プラットフォームのアイデアは、各モジュールによって構成要素を提供すること、従って、ソリューションを構築するためのフレームワークにアクセスする開発者又はユーザがモビリティを超えて対処し得るようにすることである。
【0027】
以上において説明した実施形態は、例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書において説明した多数のこうした実施形態並びに当該実施形態における他の修正形態及び変更形態が意図されている。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2