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特許7420929ブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/138 20060101AFI20240116BHJP
   F04B 9/02 20060101ALI20240116BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B60T13/138 A
F04B9/02 C
F16H25/20 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022522997
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2020120884
(87)【国際公開番号】W WO2021073531
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】201910980645.9
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】姚宇▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼国杉
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼▲東▼林
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼静
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼楠
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521324(JP,A)
【文献】特開2011-149536(JP,A)
【文献】特開2016-133139(JP,A)
【文献】特開2013-099840(JP,A)
【文献】実開昭59-196586(JP,U)
【文献】国際公開第2019/076548(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101169111(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0345934(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00-17/22
F04B 9/00-15/08
F16H 19/00-37/16
F16H 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンと、作動チャンバを有するポンプ本体と、前記ピストンが前記作動チャンバ内で移動するように駆動するための伝動機構と、を含むブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリであって、
前記伝動機構は、スクリュー伝動アセンブリと、従動部材と、動力を前記スクリュー伝動アセンブリに伝達するための遊星歯車アセンブリと、を含み、
前記従動部材は、前記ピストンに固定接続され、
前記スクリュー伝動アセンブリは、前記従動部材を前記作動チャンバに対して相対移動させ、
前記スクリュー伝動アセンブリと前記従動部材との間に前記従動部材の移動を制限するためのストッパ部材が設けられ、
前記スクリュー伝動アセンブリは、前記従動部材とネジ接続されるスクリューと、前記スクリューの一端に固定接続される軸受内輪と、を含み、
前記ストッパ部材はストッパピンであり、
前記ストッパピンは、前記軸受内輪を貫通して衝突部を形成し、
前記従動部材には、前記衝突部と接触して位置を制限するための衝突構造が設けられることを特徴とする、ブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ。
【請求項2】
前記遊星歯車アセンブリは、駆動輪と、リング状内歯車と、遊星カバーと、複数の遊星歯車を含み、
複数の遊星歯車は、それぞれ、前記リング状内歯車と噛み合って接続され、
前記遊星歯車は、前記駆動輪と前記リング状内歯車との間に位置し、
前記駆動輪は、それぞれ、各遊星歯車と噛み合って接続され、
前記遊星カバーは、位置決め構造により前記リング状内歯車と嵌合して接続されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ。
【請求項3】
前記位置決め構造は、前記遊星カバーの内輪の周方向に設けられた溝と、前記リング状内歯車の外輪の周方向に設けられ前記溝と嵌合する突起と、を含み、
または、前記位置決め構造は、前記遊星カバーの内輪の周方向に設けられた突起と、前記リング状内歯車の外輪の周方向に設けられ前記突起と嵌合する溝とを含むことを特徴とする、請求項2に記載のブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ。
【請求項4】
前記スクリュー伝動アセンブリは、軸受外輪と、軸受ホルダと、を含み、
前記軸受外輪は、前記軸受内輪の外に嵌着され、
前記軸受ホルダは、前記軸受外輪と前記軸受内輪との間に架設され、
前記軸受ホルダにボールを収容するための複数の収容キャビティが設けられ
遊星歯車は、遊星ピンにより前記軸受内輪の上面に設けられ、
前記遊星カバーは、前記軸受外輪に固定接続されることを特徴とする、請求項2又は3に記載のブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ。
【請求項5】
前記スクリューと前記軸受内輪は一体成形された構造であることを特徴とする、請求項4に記載のブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ。
【請求項6】
前記スクリューは中空構造であり、前記スクリューの軸方向に沿って貫通孔が設けられることを特徴とする、請求項5に記載のブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載のブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリを制御するための制御方法であって、前記制御方法はピストンのゼロ点校正を含み、前記制御方法は、
モータを第1の方向に回転させて、遊星歯車アセンブリを第1の方向に回転させ、スクリュー伝動アセンブリを第1の方向に回転させ、前記スクリュー伝動アセンブリの回転によって従動部材をストッパ部材に近づくように移動させるステップS10と、
前記従動部材の衝突構造が前記ストッパ部材に接触すると、前記モータの動作を停止させて前記遊星歯車アセンブリと前記スクリュー伝動アセンブリの回転を停止させ、前記従動部材と前記ピストンの軸方向移動を停止させ、この時の前記ピストンの位置をゼロ点位置とするステップS11と、
を含む、制御方法。
【請求項8】
ステップS11の後に、前記ピストンの軸方向移動を下死点で自動的に停止させるステ
ップを更に含み、
前記下死点は、ポンプ本体の底部の内壁から所定の距離だけ離れた位置であることを特徴とする、請求項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記ピストンの軸方向移動を下死点で自動的に停止させるステップは、
前記モータを第2の方向に回転させて、前記遊星歯車アセンブリを前記第2の方向に回転させ、前記スクリュー伝動アセンブリを第2の方向に沿って回転させ、前記スクリュー伝動アセンブリの回転によって前記従動部材を前記ストッパ部材から離れた位置に移動させ、前記モータの現在の回転数又は前記スクリュー伝動アセンブリの現在の回転数をリアルタイムに取得するステップS20と、
前記現在の回転数が所定の回転数閾値を超えるか否かを判断し、前記現在の回転数が前記所定の回転数閾値を超えない場合にはステップS20を実行し、前記現在の回転数が前記所定の回転数閾値に等しい場合にはステップS22を実行するステップS21と、
前記モータの第2の方向の回転を停止させて、前記遊星歯車アセンブリと前記スクリュー伝動アセンブリの前記第2の方向の回転を停止させ、前記従動部材と前記ピストンの軸方向移動を停止させ、この時の前記ピストンの位置を前記下死点とするステップS22と、を含むことを特徴とする、請求項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2019年10月16日に出願した、名称が「ブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ及びその制御方法」の中国特許出願第201910980645.9の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、油圧ブレーキの技術分野に属し、特にブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
油圧式自動車ブレーキシステムにおいて、ピストンポンプは、走行ブレーキ及び/又はスライド調整に用いられる。ピストンポンプは、ブレーキ圧力を生成し、圧力が低下した後に車輪ブレーキから搬送されたブレーキ液を車輪ブレーキに返送して車輪ブレーキの圧力を再び向上させ、又は、スライド調整中にブレーキ液をマスタブレーキシリンダの方向に返送する。しかしながら、ピストンポンプの前回の動作が完成した後、ピストンの停止位置を決定しにくいため、次回のブレーキを行う必要がある場合、ピストンの現在の停止位置からブレーキ操作を行うと、ピストンポンプにより生成されたブレーキ圧力が所望の効果を達成することを確保できない可能性があることにより、走行安全に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の目的は、少なくとも1つの上記技術的課題を解決し、高圧液体を吐出する効果をよりよく達成することで、ブレーキシステムに安定したブレーキ圧力を提供することができ、動作安定性が高いブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の技術的解決手段は、以下のとおりである。ブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリは、ピストンと、作動チャンバを有するポンプ本体と、前記ピストンが前記作動チャンバ内で移動するように駆動するための伝動機構と、を含む。前記伝動機構は、スクリュー伝動アセンブリと、従動部材と、動力を前記スクリュー伝動アセンブリに伝達するための遊星歯車アセンブリと、を含む。前記従動部材は、前記ピストンに固定接続される。前記スクリュー伝動アセンブリは、前記従動部材を前記作動チャンバに対して相対移動させる。前記スクリュー伝動アセンブリと前記従動部材との間に前記従動部材の移動を制限するためのストッパ部材が設けられる。
【0006】
好ましくは、前記遊星歯車アセンブリは、駆動輪と、リング状内歯車と、遊星カバーと、複数の遊星歯車を含む。複数の遊星歯車は、それぞれ、前記リング状内歯車と噛み合って接続される。前記遊星歯車は、前記駆動輪と前記リング状内歯車との間に位置する。前記駆動輪は、それぞれ、各遊星歯車と噛み合って接続される。前記遊星カバーは、位置決め構造により前記リング状内歯車と嵌合して接続される。
【0007】
好ましくは、前記位置決め構造は、前記遊星カバーの内輪の周方向に設けられた溝と、前記リング状内歯車の外輪の周方向に設けられ前記溝と嵌合する突起と、を含む。または、前記位置決め構造は、前記遊星カバーの内輪の周方向に設けられた突起と、前記リング状内歯車の外輪の周方向に設けられ前記突起と嵌合する溝とを含む。
【0008】
好ましくは、前記スクリュー伝動アセンブリは、軸受外輪と、軸受内輪と、軸受ホルダと、スクリューと、を含む。前記軸受外輪は、前記軸受内輪の外に嵌着される。前記軸受ホルダは、前記軸受外輪と前記軸受内輪との間に架設される。前記軸受ホルダにボールを収容するための複数の収容キャビティが設けられる。前記軸受内輪は、前記スクリューの一端に固定接続される。前記従動部材は、前記スクリューにネジ接続される。各遊星歯車は、遊星ピンにより前記軸受内輪の上面に設けられる。前記遊星カバーは、前記軸受外輪に固定接続される。
【0009】
好ましくは、前記スクリューと前記軸受内輪は一体成形された構造である。
【0010】
好ましくは、前記スクリューは中空構造であり、前記スクリューの軸方向に沿って貫通孔が設けられる。
【0011】
好ましくは、前記ストッパ部材はストッパピンであり、前記ストッパピンは、前記軸受内輪を貫通して衝突部を形成し、前記従動部材に前記衝突部と接触して位置を制限するための衝突構造が設けられる。
【0012】
本願は上記ブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリを制御するための制御方法を更に提供する。前記制御方法はピストンのゼロ点校正を含む。前記制御方法は、
モータを第1の方向に回転させて、遊星歯車アセンブリを第1の方向に回転させ、スクリュー伝動アセンブリを第1の方向に回転させ、前記スクリュー伝動アセンブリの回転によって従動部材をストッパ部材に近づくように移動するステップS10と、
前記従動部材の衝突構造が前記ストッパ部材に接触すると、前記モータの動作を停止させて、前記遊星歯車アセンブリと前記スクリュー伝動アセンブリの回転を停止させ、前記従動部材と前記ピストンの軸方向移動を停止させ、この時のピストンの位置をゼロ点位置とするステップS11と、を含む。
【0013】
好ましくは、前記制御方法は更に、ステップS11の後に前記ピストンの軸方向移動を下死点で自動的に停止させるステップを含む。前記下死点は、ポンプ本体の底部の内壁から所定の距離だけ離れた位置である。
【0014】
好ましくは、前記ピストンの軸方向移動を下死点で自動的に停止させるステップは、
前記モータを第2の方向に回転させて、前記遊星歯車アセンブリを第2の方向に回転させ、前記スクリュー伝動アセンブリを第2の方向に回転させ、前記スクリュー伝動アセンブリの回転によって前記従動部材を前記ストッパ部材から離れた位置に移動させ、前記モータの現在の回転数又は前記スクリュー伝動アセンブリの現在の回転数をリアルタイムに取得するステップS20と、
前記現在の回転数が所定の回転数閾値を超えるか否かを判断し、前記現在の回転数が前記所定の回転数閾値を超えない場合にはステップS20を実行し、前記現在の回転数が前記所定の回転数閾値に等しい場合にはステップS22を実行するステップS21と、
前記モータの第2の方向の回転を停止させて、前記遊星歯車アセンブリと前記スクリュー伝動アセンブリの前記第2の方向の回転を停止させ、前記従動部材と前記ピストンの軸方向移動を停止させ、この時の前記ピストンの位置を前記下死点とするステップS22と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本願に係るブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ及びその制御方法は、従来の技術に比べて、以下の有利な効果を有する。
【0016】
1、スクリュー伝動アセンブリと従動部材との間に従動部材の移動を制限するためのストッパ部材を設けることにより、従動部材が上向きに移動する(作動チャンバの作動容積が大きくなる)時に、従動部材が別の部材と衝突干渉することを回避することができ、更にストッパ部材によりピストンのゼロ点校正を実現することができる。即ち、従動部材がストッパ部材により阻止されて移動を停止すると、作動チャンバの作動容積が最大となり、この時のピストンの位置をゼロ点位置とすることにより、ピストンポンプアセンブリから吐出された液体が十分な圧力を有することを保証し、ブレーキシステムに安定したブレーキ圧力を提供できる。
【0017】
2、軸受内輪とスクリューは一体成形された構造であり、構造強度が高く、軸受内輪とスクリューが締り嵌めされる時に軸受内輪に変形が発生しないので、ピストンポンプアセンブリ全体の構造の安定性を保証する。
【0018】
3、スクリューに中空構造設計を採用し、ピストンがストッパ部材から離れて移動する(下向きに移動する)時に、ピストンとスクリューとの間に負圧が発生することを回避することができる。または、ピストンがストッパ部材に近づくように移動する(上向きに移動する)時に、ピストンとスクリューとの間に正圧が発生して、ピストンの移動時に抵抗力が増加し、更にピストンを移動させる時に必要なエネルギー消費量が増加することを回避することができる。
【0019】
4、現在の回転数と所定の回転数閾値との関係を判断することにより、ピストンと作動チャンバの底面との間の距離を確認し、ピストンの移動を下死点で自動的に停止させることにより、ピストンがストッパ部材から離れて移動する(下向きに移動する)時に、ピストンが作動チャンバの底面と衝突することを回避できるので、ピストンの耐用年数を更に延長できる。
【0020】
本願の付加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか、又は、本願の実践により把握される。
【0021】
本願の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願の実施例に係るブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリの概略構成図である。
図2】本願の実施例に係るブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリにおける伝動機構の分解組立図である。
図3】本願の実施例に係るブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリにおけるスクリュー伝動アセンブリの分解組立図である。
図4】本願の実施例に係るブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリにおけるスクリュー伝動アセンブリの概略構成図である。
図5】本願の実施例に係るブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリにおける従動部材の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施例を詳細に説明する。上記実施例は図面に示される。図面において、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは、同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するためのものであると理解すべきではない。
【0024】
図1図5に示すように、本願の実施例に係るブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリは、ピストン2と、伝動機構3と、作動チャンバを有するポンプ本体1と、を含む。伝動機構3は、ピストン2を作動チャンバ内で往復移動させることで作動チャンバの作動容積を変更し、液体を吸入するか又は圧力を有する液体を吐出させる。伝動機構3は、スクリュー伝動アセンブリ32と、従動部材33と、遊星歯車アセンブリ31と、を含む。遊星歯車アセンブリ31は、駆動要素の動力をスクリュー伝動アセンブリ32に伝達することにより、スクリュー伝動アセンブリ32によって従動部材33をポンプ本体1内において作動チャンバに対して相対移動させる。従動部材33とピストン2が固定接続され、これにより、ピストン2は従動部材33によって移動できる(即ち、ピストン2は従動部材33と一体である)。スクリュー伝動アセンブリ32と従動部材33との間に従動部材33の移動を制限するためのストッパ部材34を設けることにより、従動部材33(ピストン2)が上向きに移動する(作動チャンバの作動容積が大きくなる)時に、従動部材33(ピストン2)が別の部材と衝突干渉することを回避することができ、更にストッパ部材34によりピストン2のゼロ点校正を実現することができる。従動部材33がストッパ部材34により阻止されて移動を停止すると、作動チャンバの作動容積が最大であることにより(即ち、この時にピストン2がゼロ点位置にある)、ピストンポンプアセンブリから吐出された液体が十分な圧力を有することを保証し、ブレーキシステムに安定したブレーキ圧力を提供できる。動作時に、駆動要素が動作して遊星歯車アセンブリ31を回転させ、更にスクリュー伝動アセンブリ32を回転させることにより、従動部材33(ピストン2)はスクリュー伝動アセンブリ32の回転によってストッパ部材34に近づくか又はストッパ部材34から離れるように移動する。ピストン2の移動は、作動チャンバの作動容積を変更する。
【0025】
具体的には、ポンプ本体1の作動チャンバに吸入弁口及び吐出弁口が接続されてもよく、作動チャンバの容積の変化によって圧力差が生じることにより、液体(作動油)が吸入弁口を介して作動チャンバ内に吸入され、又は、液体(作動油)が吐出弁口を介して作動チャンバ内から吐出される。
【0026】
具体的には、該ブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリは、更に、動力を提供する駆動要素を含む。本実施例において、駆動要素はモータであり、モータにモータコントローラ及び回転数センサが接続される。モータコントローラは、モータの停止及び動作を制御する。モータは、モータの時計回り回転及び反時計回り回転を行う。回転数センサは、出力軸の回転数を取得する。
【0027】
好ましくは、従動部材33は、ネジ構造によりピストン2に接続固定される。即ち、従動部材33とピストン2は、ネジ接続で固定され、ネジ構造は、従動部材33の外周に設けられた雄ネジ331と、ピストン2の内周(即ち、ピストン2の内壁)に設置された雌ネジと、を含む。従動部材33の雄ネジ331とピストン2の雌ネジを嵌合させることにより、従動部材33とピストン2の固定接続を実現する。
【0028】
ピストンポンプアセンブリを車両ブレーキに適用する場合、毎回のブレーキの効果が予想できることを保証しなければならない。ピストンが変形すると、まず、ピストンがポンプ本体の作動チャンバ内でスムーズに移動しなくなり、ピストンポンプアセンブリのブレーキが運転者の動作にタイムリーに追従しなくなる。即ち、ブレーキに遅延が発生する可能性がある。次に、変形したピストンと作動チャンバとの間の同軸度が低下するという問題が生じ、動作時にピストンと作動チャンバ壁が摩擦により損傷しやすいため、ピストンの耐用年数に影響を与える。最後に、ピストンの変形により、ピストンと作動チャンバ壁との間に一定の隙間が生じて作動チャンバ内の気密性が低くなり、作動チャンバの容積が変化する時に液体を作動チャンバに吸入するか又は液体を作動チャンバから吐出する効果を保証できなくなり、ブレーキの信頼性に影響を与える。これらの問題はいずれも、走行中のブレーキの信頼性に影響を与え、運転の安全を脅かすことになる。
【0029】
本願では、ネジ接続により従動部材33がピストン2に固定されることで、従動部材33、ピストン2、作動チャンバが高い同軸度を有することが保証され、更に、作動チャンバの気密性を保証してブレーキシステムに安定したブレーキ圧力を提供でき、走行の安全性を保証することができる。他方では、従動部材33がピストン2にネジ接続されることで、両者の受力面積を増大させて応力集中の問題をよく回避できるので、ピストンポンプアセンブリの耐用年数を向上させることができる。
【0030】
好ましくは、図2に示すように、遊星歯車アセンブリ31は、1つの駆動輪(図示せず)と、リング状内歯車312と、遊星カバー311と、構造が同じである複数の遊星歯車313と、を含む。各遊星歯車313は、それぞれ、リング状内歯車312と噛み合って接続される。遊星歯車313は、駆動輪とリング状内歯車312との間に位置する。各遊星歯車313は、それぞれ、駆動輪と噛み合って接続される。本実施例において、駆動輪は、太陽歯車としてモータの出力軸に接続され、モータの動力を遊星歯車313に伝達し、遊星歯車313を回転させる。遊星カバー311は、リング状内歯車312に嵌着され、位置決め構造によりリング状内歯車312と嵌合して接続されることでリング状内歯車312を固定する。遊星歯車アセンブリ31は、体積が小さく、耐荷能力が大きく、動作が安定するという利点を有する。
【0031】
本実施例において、図2に示すように、遊星歯車313は3つあり、駆動輪の中心の周りに円周アレイを形成するように分布している。遊星歯車313、駆動輪及びリング状内歯車312は、いずれも、斜歯構造であってもよく、噛み合い性が高く、伝動が安定し、騒音が小さいという特徴を有する。加えて、斜歯歯車の重なり度が大きく、各対の歯車の荷重を低減し、歯車の耐荷能力を向上できる。理解できるように、駆動輪、遊星歯車313及びリング状内歯車312も平歯構造を採用してもよい。
【0032】
好ましくは、図2に示すように、位置決め構造は、遊星カバー311の内輪の周方向に設けられた溝3111と、リング状内歯車312の外輪の周方向に設けられ溝3111と嵌合する突起3121と、を含む。または、位置決め構造は、遊星カバー311の内輪の周方向に設けられた突起と、リング状内歯車312の外輪の周方向に設けられ突起と嵌合する溝と、を含む。突起3121と溝3111が締り嵌めを採用し、突起3121と溝3111により位置決め接続を行うことで、遊星カバー311とリング状内歯車312の組み立て及び接続を実現しやすくなる。
【0033】
具体的には、突起3121は複数設置されてもよく、突起3121は円周アレイ状にリング状内歯車312に分布する。リング状内歯車312の軸方向に沿って見ると、突起3121の断面は、矩形、三角形、台形、円弧状等の構造とできる。溝3111の数及び断面は、突起3121のそれらと対応する。
【0034】
好ましくは、図3及び図4に示すように、スクリュー伝動アセンブリ32は、軸受外輪321と、軸受内輪322と、軸受ホルダ323と、スクリュー324と、を含む。軸受外輪321は、軸受内輪322の外側に嵌着される。軸受ホルダ323は、軸受外輪321と軸受内輪322との間に設けられる。軸受ホルダ323には、ボール325を収容するための複数の収容キャビティ3231が設けられる。軸受内輪322は、ボール325により軸受外輪321に回転可能に接続される。軸受内輪322は、スクリュー324の一端に固定接続される。各遊星歯車313は、それぞれ、遊星ピン3131により軸受内輪322の上面に設けられる。遊星歯車313は、遊星ピン3131の周りに軸受内輪322に対して回転できる。また、遊星歯車313は、リング状内歯車312に対して回転することもでき、更に軸受内輪322(スクリュー324)を回転させる。従動部材33とスクリュー324がネジ接続を採用することにより、従動部材33は、スクリュー324の回転に伴ってスクリュー324に対して軸方向に移動することができる(ストッパ部材34に近づくか又はストッパ部材34から離れる)。遊星カバー311と軸受外輪321は、溶接により固定接続され、リング状内歯車312は軸受外輪321により遊星カバー311内に引っ掛けられる。理解できるように、遊星カバー311はネジにより軸受外輪321に固定接続されてもよい。
【0035】
好ましくは、図3及び図4に示すように、スクリュー324と軸受内輪322は、一体成形された構造であり、スクリュー324と軸受内輪322の断面はT字形を呈することができ、軸受内輪322の円心はスクリュー324の中心軸線と重なっていてもよい。一体成形された構造により、強度が高く、スクリュー324と軸受内輪322が締り嵌めされる時に軸受内輪322に変形が発生することを回避できる。また、軸受内輪322の転動をスムーズにし、ピストンポンプアセンブリ全体の動作の信頼性を保証することができる。
【0036】
好ましくは、図4に示すように、スクリュー324は中空構造であり、スクリュー324の軸方向に沿って貫通孔3241が設けられる。貫通孔3241は、スクリュー324と同軸に設けられる。即ち、貫通孔3241の中心軸は、スクリュー324の中心軸と重なり、回転時にスクリュー324の重心が中心軸線にあることを保証する。スクリュー324を中空構造とすることにより、以下の効果を有する。
【0037】
1、貫通孔3241がピストン2とスクリュー324との間に形成されたキャビティを外部に連通させることにより、ピストン2が下向きに移動する(ピストン2とスクリュー324との間の軸方向距離が大きくなる)時に、キャビティ体積が大きくなり、負圧が発生することを回避できる。または、ピストン2が上向きに移動する(ピストン2とスクリュー324との間の軸方向距離が小さくなる)時に、キャビティ体積が小さくなって圧縮され、正圧が発生することを回避できる。これにより、ピストン2の移動時にキャビティ体積の変化による影響を受けないようにし、ピストン2の移動が正圧又は負圧の影響を受けることを回避して、ピストン2を移動させる時に必要なエネルギー消費量を効果的に低減できる。
【0038】
2、スクリュー324の材料コストを効果的に低減することができる。
【0039】
3、スクリュー324の質量を軽減することにより、慣性を減少させ、伝動時に、スクリュー伝動アセンブリ32の応答速度を向上させることができる。
【0040】
具体的には、貫通孔3241の孔径はスクリュー324の直径の1/5~1/2である。
【0041】
好ましくは、図1に示すように、軸受外輪321は、接続部材35によりポンプ本体1に接続され、遊星歯車アセンブリ31及びスクリュー伝動アセンブリ32をポンプ本体1に取り付けて固定する。本実施例において、軸受外輪321は、接続部材35によりポンプ本体1と一体に締り嵌めされ、ピストンポンプアセンブリが動作する時、遊星カバー311、リング状内歯車312、及び軸受外輪321はいずれも固定され、遊星歯車313、軸受内輪322及びスクリューを支持する。
【0042】
好ましくは、図4に示すように、ストッパ部材34は、ストッパピンである。ストッパピンは、軸受内輪322を貫通し、従動部材33に向かう側に衝突部342を形成する。衝突部342と接触して位置を制限するための衝突構造が従動部材33に設けられる。従動部材33が軸受内輪322(遊星歯車アセンブリ31の方向)に向かって移動する時、従動部材33に設けられた衝突構造が、軸受内輪322上の衝突部342に徐々に接近し、最後に接触して衝突信号を生成する。モータは、該衝突信号を受信すると回転を停止し、同時にスクリュー324は回転を停止し、ピストン2が移動を停止し、現在の位置に停止する。従動部材33の移動を制限するためのストッパ部材34を設けることにより、ピストン2が戻る時に、従動部材33と軸受内輪322が衝突干渉することを回避する。実際の応用において、更にストッパ部材34によりピストン2のゼロ点校正を行い、ピストン2が毎回動作する時にゼロ点位置にあることを確保することができる(定義:ゼロ点位置は、作動チャンバが最大作動容積にある時のピストン2の位置を指す)。
【0043】
具体的には、ストッパ部材34は、軸受内輪322にネジ接続される。ストッパ部材34の軸受内輪322を貫通する長さを調整することにより、衝突部342の長さを制御することで、ピストン2のストッパ部材34への移動ストロークを制限し、作動チャンバの最大容積を調整することができる。加えて、ストッパ部材34が衝突して摩耗した場合、交換も容易である。
【0044】
本実施例において、図5に示すように、従動部材33は、ナットであってもよい。雄ネジ331は、ナットの外側周方向の下端に設けられ、衝突構造はナットの先端に一体成形されたボス341であってもよい。ボス341が衝突部342と接触すると、ナット(ピストン2)は直ちに移動を停止し、この時のピストン2の位置をゼロ点位置とする。ナットの全長は40.3mm(3mmのボス341を含む)であり、雄ネジ331の長さは14mmである。理解できるように、衝突構造は、主に衝突部342を位置決めするため、ナットの上面に設けられたザグリ溝であってもよい。
【0045】
本願は、上記ブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリを制御するための制御方法を更に提供し、該制御方法は、ピストン2のゼロ点校正を含む。即ち、動作前に、まずピストン2をゼロ点位置に移動させる必要がある。これにより、ピストンポンプアセンブリが最初に液体を吐出する圧力が所望の値であることを確保し、ブレーキ効果が安定する。理解を容易にするために、本実施例は、モータと合わせて説明され、具体的なステップは以下のとおりである。
【0046】
S10では、モータを起動して第1の方向に回転させて、遊星歯車アセンブリ31を第1の方向に回転させ、スクリュー伝動アセンブリ32を第1の方向に回転させる。スクリュー伝動アセンブリ32の回転によって、従動部材33がストッパ部材34に近づくように移動し、ピストン2が従動部材33によってストッパ部材34に近づくように移動する。
【0047】
S11では、従動部材33の衝突構造がストッパ部材34に接触すると、衝突信号を生成する。該衝突信号を受信すると、モータの回転数センサが、衝突信号をモータコントローラにフィードバックする。モータコントローラが、動作停止指令を生成し、該動作停止指令を実行する。これにより、モータが第1の方向の回転を停止し、遊星歯車アセンブリ31及びスクリュー伝動アセンブリ32が回転を停止し、従動部材33及びピストン2が軸方向移動を停止する。この時のピストン2の位置をゼロ点位置とする。その他、位置制限により、ピストン2をゼロ点位置で自動的に停止させて、ピストン2が他の部材と衝突することを回避するようにしてもよい。
【0048】
好ましくは、制御方法は、更に、ステップS11の後にピストン2の軸方向移動を下死点で自動的に停止するように制御するステップを含む。下死点は、ポンプ本体1の底部の内壁から所定の距離だけ離れた位置である。具体的には、下死点は、ピストン2とポンプ本体1の底部の内壁(作動チャンバの底部)との間の距離が所定の距離に等しい時のピストン2の位置を指す。
【0049】
好ましくは、ピストン2の軸方向移動を下死点で自動的に停止するように制御するステップは以下を含む。
【0050】
S20では、ピストン2をゼロ点位置で停止させると、モータを第2の方向に回転させて、遊星歯車アセンブリ31を第2の方向にさせ、スクリュー伝動アセンブリ32を第2の方向に回転させる。スクリュー伝動アセンブリ32の回転によって、従動部材33がストッパ部材34から離れる方向に移動し、作動チャンバの作動容積がピストン2の移動に伴って徐々に小さくなり、作動チャンバが圧縮されて圧力を生成して作動チャンバ内の液体を吐出弁口から外へ吐出する。吐出された液体は、一定の圧力を有する。また、モータの現在の回転数(モータコントローラが回転数センサによりモータ出力軸の回転数を取得することができる)又はスクリュー伝動アセンブリ32の現在の回転数(即ちスクリュー324の回転数であり、モータの回転数を取得することによりスクリュー324の回転数を間接的に知ることができる)をリアルタイムに取得する。
【0051】
S21では、現在の回転数が所定の回転数閾値を超えたか否かを判断することにより、ピストン2が下死点に移動したか否かを決定する。所定の回転数閾値は、ピストン2がゼロ点位置から下死点に移動する時のモータ出力軸の回転数又はスクリュー324の回転数である。モータの現在の回転数又はスクリュー伝動アセンブリ32の現在の回転数が所定の回転数閾値を超えない場合には、ステップS20を実行し、モータの現在の回転数又はスクリュー伝動アセンブリ32の現在の回転数が所定の回転数閾値に等しい場合には、以下のステップS22を実行する。
【0052】
S22では、モータの現在の回転数又はスクリュー伝動アセンブリ32の現在の回転数が所定の回転数閾値に等しくなると、モータコントローラが、動作停止指令を生成し、該動作停止指令を実行する。これにより、モータの第2の方向の回転を停止させ、遊星歯車アセンブリ31及びスクリュー伝動アセンブリ32の第2の方向の回転を停止させて、従動部材33(ピストン2)の移動を停止させ、ピストン2を下死点にて停止させる。即ち、ピストン2が下死点に到達するとその移動を自動的に停止し、ピストン2が作動チャンバの底面に衝突することを回避する。
【0053】
モータの現在の回転数又はスクリュー伝動アセンブリ32の現在の回転数が所定の回転数閾値を超えない場合、モータコントローラは、動作継続指令を生成し、該動作継続指令を実行する。これにより、モータは第2の方向に回転し続け、モータの現在の回転数又はスクリュー伝動アセンブリ32の現在の回転数が所定の回転数閾値に等しくなる(ピストン2が下死点に移動する)と、モータの第2の方向の回転を停止させる。
【0054】
本実施例において、第1の方向及び第2の方向は、スクリュー324のネジの回転方向に基づいて決定される。例えば、スクリュー324のネジが右回りであれば、第1の方向は反時計回り方向であり、従動部材33はスクリュー324に対して上向きに移動し、第2の方向は時計回り方向であり、従動部材33はスクリュー324に対して下向きに移動する。スクリュー324のネジが左回りであれば、第1の方向は時計回り方向であり、従動部材33はスクリュー324に対して上向きに移動し、第2の方向は反時計回り方向であり、従動部材33はスクリュー324に対して下向きに移動する。
【0055】
本願のブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリの操作過程は以下のとおりである。まず、ピストン2のゼロ点校正を行う。次に、ピストン2をゼロ点位置から下死点まで下向きに移動させて、作動チャンバ内の液体を吐出してブレーキ操作を行う。最後に、ピストン2を戻して下死点から上向きに移動させ、作動チャンバ内に液体を吸入させる。具体的には、使用条件に応じて、ピストンポンプアセンブリの動作は連続的な過程であってもよい。即ち、ピストン2のゼロ点校正を行った後、ピストン2はゼロ点位置と下死点との間を連続的に往復移動する。
【0056】
本願の実施例に係るブレーキシステム用のピストンポンプアセンブリ及びその制御方法は、従来の技術に比べて、以下の有益な効果を有する。
【0057】
1、スクリュー伝動アセンブリ32と従動部材33との間に従動部材33の移動を制限するためのストッパ部材34を設置することにより、従動部材33が上向きに移動する(作動チャンバの作動容積が大きくなる)時に、従動部材33が別の部材と衝突干渉することを回避することができる。更に、ストッパ部材34によりピストン2のゼロ点校正を実現することができる。即ち、従動部材33がストッパ部材34により阻止されて移動を停止すると、作動チャンバの作動容積が最大となり、この時にピストン2がゼロ点位置にあることにより、ピストンポンプアセンブリから吐出された液体が十分な圧力を有することを保証し、ブレーキシステムに安定したブレーキ圧力を提供する。
【0058】
2、従動部材33とピストン2はネジ接続により固定され、締り嵌めによるピストン2の膨張変形の問題をよく回避できる。また、ピストン2と作動チャンバが高い同軸度を有し、ピストン2と作動チャンバが緊密に嵌合されているので、作動チャンバの容積の変化過程において気密性が高いことを保証することができる。
【0059】
3、従動部材33とピストン2はネジ接続を採用し、ピストン2と従動部材33は面接触であることにより、受力面積を増大させ、応力集中をよく回避することができるので、ピストン2の耐用年数を向上させることができる。
【0060】
4、軸受内輪322とスクリュー324が一体成形された構造であることにより、構造強度が高く、軸受内輪322とスクリュー324が締り嵌めされる時に軸受内輪322に変形が発生しないので、ピストンポンプアセンブリ全体の構造の安定性を保証する。
【0061】
5、スクリュー324に中空構造設計を採用することにより、ピストン2がストッパ部材34から離れて移動する(下向きに移動する)時に、ピストン2とスクリュー324との間に負圧が発生することを回避できる。または、ピストン2がストッパ部材34に近づくように移動する(上向きに移動する)時に、ピストン2とスクリュー324との間に正圧が発生してピストン2の移動時に抵抗力が増加し、更にピストン2を移動させる時に必要なエネルギー消費量が増加することを回避できる。
【0062】
6、現在の回転数と所定の回転数閾値との関係を判断することにより、ピストン2と作動チャンバの底面との間の距離を確認することにより、即ち、ピストン2の移動を下死点で自動的に停止させることにより、ピストン2がストッパ部材34から離れて移動する(下向きに移動する)時に、ピストン2が作動チャンバの底面と衝突することを回避できるので、ピストン2の耐用年数を更に延長できる。
【0063】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位で構成されて操作されなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものとして理解してはならない。
【0064】
また、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を示唆するものとして理解してはならない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明において、「複数」とは、明確で具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0065】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続であっても、電気的な接続であってもよく、直接的な連結であっても、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0066】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴とが直接的に接触することであってもよく、第1の特徴と第2の特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。そして、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあることであってもよく、第1の特徴の水平方向の高さが第2の特徴のものよりも高いことを単に示してもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下又は斜め下にあることであってもよく、第1の特徴の水平方向の高さが第2の特徴のものよりも低いことを単に示してもよい。
【0067】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例を示すものではない。そして、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切な形態で結合することができる。また、互いに矛盾しない限り、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0068】
以上、本願の実施例を示し、説明したが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものと理解すべきではなく、当業者であれば、本願の範囲において上記実施例に対して変更、修正、置換及び変形を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5