(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 265/04 20060101AFI20240116BHJP
C08F 220/20 20060101ALI20240116BHJP
C08F 220/28 20060101ALI20240116BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C08F265/04
C08F220/20
C08F220/28
C09J133/14
(21)【出願番号】P 2022523143
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 KR2020014152
(87)【国際公開番号】W WO2021075899
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0128579
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522154825
【氏名又は名称】コザ・ノベル・マテリアルズ・コリア・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホ・キョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ス・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ホ・シン
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-183177(JP,A)
【文献】特開2019-014899(JP,A)
【文献】特開2013-133440(JP,A)
【文献】特開2017-095657(JP,A)
【文献】特開2016-035046(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0010754(US,A1)
【文献】特開2002-003546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-301/00
C08L 1/00-101/14
C09J 1/00-201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4~20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位および下記化学式1の化合物の単位を含み、重量平均分子量が2
40万
から350万である重合体成分および硬化剤を含む硬化性組成物であって、
前記重合体成分は、20~70重量%の割合で直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位を含み、
前記重合体成分は、化学式1の化合物の単位を直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して5~60重量部で含み、
前記硬化剤は、モル質量が500g/mol以下である多官能性アクリレートおよび多官能ウレタンアクリレートを含む、硬化性組成物:
【化1】
化学式1で、R
1は、炭素数3~8のアルキレン基であり、R
2は、水素または炭素数1~4のアルキル基である。
【請求項2】
重合体成分は、化学式1の化合物の単位を直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して7~60重量部で含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
重合体成分は、下記化学式2の化合物の単位をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物:
【化2】
化学式2で、R
3は、メチレン基またはエチレン基であり、R
2は、独立して、水素または炭素数1~4のアルキル基である。
【請求項4】
化学式2の化合物単位は、4~20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して0.5~50重量部で含まれ、化学式1の単位(A)および化学式2の単位(B)の重量比(A/B)は、0.01~20の範囲内である、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
重合体成分は、下記化学式3の化合物の単位をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物:
【化3】
化学式3で、Rは、水素またはアルキル基であり、Qは、炭素数3~20の非芳香族環構造の1価の置換基である。
【請求項6】
化学式3の化合物の単位は、直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して40~150重量部で含まれ、前記アルキル基は4~20個の炭素原子を有する、請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
硬化剤は、重合体成分100重量部に対して0.01~10重量部の範囲内で含まれる、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
多官能ウレタンアクリレートは、重合体成分100重量部に対して0.5重量部~10重量部の範囲内の割合で含まれ、上記多官能ウレタンアクリレート(C)およびモル質量が500g/mol以下である多官能アクリレート(D)の重量比(C/D)が、20~60の範囲内である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
シランカップリング剤、ラジカル開始剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤および粘着性付与剤からなる群から選ばれる1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
4~20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位および下記化学式1の化合物の単位を含み、重量平均分子量が2
40万
から350万である重合体成分および硬化剤を含む硬化性組成物の硬化物であり、ゲル分率が80%以上である粘着剤であって、
前記重合体成分は、20~70重量%の割合で直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位を含み、
前記重合体成分は、化学式1の化合物の単位を直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して5~60重量部で含み、
前記硬化剤は、モル質量が500g/mol以下である多官能性アクリレートおよび多官能ウレタンアクリレートを含む、粘着剤:
【化4】
化学式1で、R
1は、炭素数3~8のアルキレン基であり、R
2は、水素または炭素数1~4のアルキル基である。
【請求項11】
常温貯蔵弾性率が0.05MPa~0.2MPaの範囲内である、請求項10に記載の粘着剤。
【請求項12】
請求項10に記載の粘着剤を含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月16日付けで提出された韓国特許出願第10-2019-0128579号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
OCA(Optically Clear Adhesive)またはOCR(Optically Clear Rein)は、ディスプレイに適用される素材であり、例えば、モバイルデバイスや車両用ディスプレイに頻繁に用いられる。
【0004】
車両用に適用されるOCAやOCRなどは、モバイルデバイスに適用されるOCAやOCRと比較して要求物性がかなり異なる。
【0005】
車両用製品は、モバイル製品と比べて交換周期が非常に長い。したがって、車両用製品に適用されるOCAやOCRに対しては、モバイル製品に適用されるOCAやOCRと比べて極めて長期間の間物性が安定的に維持されることが要求される。
【0006】
また、車両用製品は、モバイル製品と比べて極めて高温に露出する場合が多くて、紫外線などや外部光に露出することがあり、季節の変化によって高温と低温が繰り返される条件に頻繁に露出する。
【0007】
したがって、車両用製品に適用されるOCRでもOCAは、一般的な場合と比べて極めて厳しい条件下においてもさらに長期間信頼性が確保されることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、硬化性組成物を提供する。本出願では、長鎖高分子を有する重合体を硬化剤で化学的に架橋させると同時に、上記重合体に長鎖であり、末端がヒドロキシ基である側鎖を導入して、上記化学的架橋とともに水素結合による物理的絡み合い(entanglement)を誘導することによって、主鎖の切断を抑制ないし防止し、信頼性を確保できる硬化性組成物を提供することができる。
【0009】
これによって、本出願は、優れた耐光性を含む卓越した信頼性を有し、このような優れた信頼性が厳しい条件においても長期間安定的に維持できる硬化性組成物とその用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書において言及する物性のうち、測定温度がその結果に影響を及ぼす場合には、特に別途規定しない限り、当該物性は、常温で測定した物性である。用語「常温」は、加温または減温されない自然そのままの温度であり、通常、約10℃~30℃の範囲内の任意の温度または約23℃または約25℃程度の温度である。また、本明細書において、特に別途言及しない限り、温度の単位は、℃である。
【0011】
本明細書において言及する物性のうち、測定圧力がその結果に影響を及ぼす場合には、特に別途規定しない限り、当該物性は、常圧で測定した物性である。用語「常圧」は、加圧または減圧されない自然そのままの圧力であり、通常、約1気圧程度を常圧を指す。
【0012】
本出願は、硬化性組成物に関する。上記硬化性組成物は、一例示において、粘着剤組成物であってもよい。用語「粘着剤組成物」は、硬化前または後に粘着剤を形成できる組成物を意味する。本出願の粘着剤組成物は、一例示において、OCA(Optically Clear Adhesive)またはOCR(Optically Clear Resin)に用いられる。本出願による硬化性組成物は、光に過度に露出する条件および/または高温に露出する条件で長時間の間安定した信頼性を示すことができる。
【0013】
例えば、本出願の硬化性組成物は、50℃以上の高温で光に長時間露出する条件においても、耐光性が低下することなく、目的とする物性を有効に維持することができる。例えば、上記厳しい条件は、車両内部環境でありうるが、これに限定されるものではない。
【0014】
本出願の硬化性組成物は、無溶剤タイプ硬化性組成物であってもよい。用語「無溶剤タイプ硬化性組成物」は、溶剤(水性溶剤および有機溶剤)を実質的に含まない組成物である。したがって、上記硬化性組成物内で水性および有機溶剤の含有量は、1重量%以下、0.5重量%以下または0.1重量%以下であるか、実質的に0重量%であってもよい。
【0015】
上記硬化性組成物は、少なくとも重合体成分と硬化剤を含んでもよい。
【0016】
硬化性組成物に含まれる重合体成分は、シロップ成分であってもよい。上記シロップ成分は、2個以上の単量体が重合されて形成されたオリゴマーあるいは高分子成分と単量体成分を含んでもよい。このようなシロップ成分は、一例示において、いわゆる部分重合により形成することができる。すなわち、目的とする組成による単量体組成を部分重合させると、一部の単量体は重合されて上記オリゴマーあるいは高分子が形成され、残りの単量体は残存して上記シロップ成分が形成されることができる。したがって、本明細書において、下記に記述する単量体単位の用語は、上記重合体成分内では、上記オリゴマーまたは高分子を形成した状態で存在する単量体あるいは重合されずにシロップ成分内に含まれている単量体を意味し得る。
【0017】
上記重合体成分は、一例示において、単量体単位として、直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位および下記化学式1の化合物の単位を含み、重量平均分子量が220万以上であってもよい。
【0018】
重合体成分が上記のような高分子量を示すというのは、上記重合体成分が非常に長鎖高分子を含むことを意味する。
【0019】
通常、アクリレート重合体を含む粘着剤組成物またはその硬化物は、光に露出すると、アクリレート重合体の-C=C-結合または-C-C-結合の低い結合エネルギーによって分解が起こることがあり、このような分解鎖のラジカルによって主鎖(main chain)の切断が発生することがある。このような鎖切断部は、弱点(weak point)となって気泡の発生を誘発することができ、これは、信頼性の低下につながる。
【0020】
しかしながら、本出願では、上記のような長鎖高分子を含む重合体成分の化学的架橋および物理的架橋を通じて上記弱点の発生を効率的に緩和、防止および/または抑制することができる。
【0021】
上記重合体成分に含まれる直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、炭素数4~20のアルキル基であってもよい。上記アルキル基の炭素数は、他の例示において、16以下、12以下または8以下であってもよく、置換または非置換状態であってもよい。
【0022】
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばn-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートおよびテトラデシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれるいずれか1つまたは2つ以上を適用できるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
このようなアルキル(メタ)アクリレートは、重合体成分内に約20~70重量%の割合で含まれ得る。上記割合は、他の例示において、22重量%以上、24重量%以上、26重量%以上、28重量%以上、30重量%以上、32重量%以上、34重量%以上、36重量%以上、38重量%以上、40重量%以上、または42重量%以上であるか、68重量%以下、66重量%以下、64重量%以下、62重量%以下、60重量%以下、58重量%以下、56重量%以下、54重量%以下、52重量%以下、50重量%以下、48重量%以下、46重量%以下または44重量%以下程度であってもよい。
【0024】
上記重合体成分は、また、単量体単位として、下記化学式1の単位を含んでもよい。
【0025】
【0026】
化学式1で、R1は、炭素数3以上のアルキレン基であり、R2は、水素または炭素数1~4のアルキル基である。
【0027】
化学式1で、R1は、他の例示において、炭素数4以上であるか、炭素数8以下、炭素数7以下、炭素数6以下、炭素数5以下または炭素数4以下のアルキレン基であってもよい。上記アルキレン基は、直鎖または分岐鎖のアルキレン基であってもよく、これは、置換または非置換されていてもよい。
【0028】
化学式1で、R2は、他の例示において、水素またはメチル基であってもよい。
【0029】
上記化学式1の化合物としては、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートおよび/または6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどでありうるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
上記重合体成分内で上記化学式1の化合物の単位は、直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して5~60重量部の割合で含まれ得る。上記割合は、他の例示において、7重量部以上、9重量部以上、11重量部以上、13重量部以上、15重量部以上、17重量部以上、19重量部以上、21重量部以上、23重量部以上、25重量部以上、27重量部以上、29重量部以上、31重量部以上、33重量部以上、35重量部以上、37重量部以上、39重量部以上または41重量部以上であるか、58重量部以下、56重量部以下、54重量部以下、52重量部以下、50重量部以下、48重量部以下、46重量部以下、44重量部以下、42重量部以下、40重量部以下、38重量部以下、36重量部以下、34重量部以下、32重量部以下、30重量部以下、28重量部以下、26重量部以下、24重量部以下、22重量部以下、20重量部以下、18重量部以下、16重量部以下、14重量部以下または12重量部以下程度であってもよい。
【0031】
上記化学式1の化合物は、上記長鎖の重合体成分に、長鎖のヒドロキシ含有側鎖を提供することによって、水素結合などにより上記長鎖の重合体成分の適切な物理的絡み合い(entanglement)を誘導することができ、このような物理的絡み合いの形態は、後述する化学式2の化合物と共に適正割合で適用される場合に、さらに最大化することができる。このような物理的絡み合いは、化学的架橋とともに重合体の構造的安定性を向上させることができる。したがって、光露出による前述した主鎖の切断による信頼性の低下を効率的に防止することができる。また、上記化学式1の化合物による水素結合増加は、また、鎖末端のヒドロキシ基により誘発されうる主鎖(main chain)の切断効果を低減することができる。
【0032】
また、上記化学式1の化合物が後述する化学式2の化合物と組み合わせられると、水素結合力が増加することができ、目的とする物性をより効果的に確保することができる。
【0033】
重合体成分は、これによって、さらに、下記化学式2の化合物の単位を単量体単位として含んでもよい。
【0034】
【0035】
化学式2で、R3は、メチレン基またはエチレン基であり、R2は、独立して、水素または炭素数1~4のアルキル基である。
【0036】
化学式2で、R3であってもよいエチレン基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、上記メチレン基またはエチレン基は、任意に1つ以上の置換基で置換されているか、非置換状態であってもよい。
【0037】
化学式2で、R2は、他の例示において、水素またはメチル基であってもよい。
【0038】
上記化学式2の化合物単位は、直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して0.5~50重量部で重合体成分に含まれ得る。
【0039】
化学式2の化合物としては、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートまたは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0040】
上記割合は、他の例示において、1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上、7重量部以上、9重量部以上、11重量部以上、13重量部以上、15重量部以上、17重量部以上、19重量部以上、21重量部以上、23重量部以上、25重量部以上、27重量部以上、29重量部以上、31重量部以上または33重量部以上であるか、48重量部以下、46重量部以下、44重量部以下、42重量部以下、40重量部以下、38重量部以下、36重量部以下、34重量部以下、32重量部以下、30重量部以下、28重量部以下、26重量部以下、24重量部以下、22重量部以下、20重量部以下、18重量部以下、16重量部以下、14重量部以下または12重量部以下程度であってもよい。
【0041】
また、重合体成分内で上記化学式1の単位(A)および化学式2の単位(B)の重量比(A/B)は、0.01~20の範囲内であってもよい。このような割合は、他の例示において、0.05重量部以上、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.5重量部以上、1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上、7重量部以上、7.5重量部以上、8重量部以上または8.5重量部以上であるか、18重量部以下、16重量部以下、14重量部以下、12重量部以下、10重量部以下、8重量部以下、6重量部以下、4重量部以下、2重量部以下、1重量部以下または0.5重量部以下程度であってもよい。
【0042】
上記のような割合下で目的とする物性が確保されうる絡み合いを誘発できる水素結合力を確保することができる。
【0043】
他の例示において、上記重合体成分は、上記化学式1の化合物(A)、上記化学式2の化合物(B)およびアルキル(メタ)アクリレート単位(C)を全部合わせた合計100重量部に対して、化学式1の化合物(A)が1重量部~25重量部、化学式2の化合物(B)が1重量部~15重量部およびアルキル(メタ)アクリレート単位(C)が60重量部~90重量部の割合で含むこともできる。
【0044】
重合体成分は、さらなる成分として、下記化学式3の化合物の単位を単量体単位で含んでもよい。
【0045】
【0046】
化学式3で、Rは、水素またはアルキル基であり、Qは、炭素数3~20の非芳香族環構造の1価の置換基である。
【0047】
化学式3で、アルキル基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4の直鎖、分岐鎖または環状の置換または非置換のアルキル基が例示できる。
【0048】
一方、上記Qは、炭素数3~20の非芳香族環構造の1価の置換基であり、例えば、脂肪族飽和または不飽和炭化水素環状化合物に由来する1価の置換基であってもよい。上記環式化合物は、単環式であるか、縮合型またはスピロ型などのような多環式構造を有していてもよい。上記環構造の炭素数は、他の例示において、6以上または8以上であるか、18以下、16以下、14以下または12以下であってもよい。このような置換基としては、例えば、イソボルニル基(isobornyl group)、シクロヘキシル基、ノルボルナニル基(norbornanyl group)、ノルボルネニル基(norbornenyl group)、ジシクロペンタジエニル基、エチニルシクロヘキサン基、エチニルシクロヘキセン基またはエチニルデカヒドロナフタレン基などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
上記化学式3の化合物の単位は、直鎖または分岐鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して40~150重量部で含まれ得る。この割合は、他の例示において、45重量部以上、50重量部以上、55重量部以上、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上、80重量部以上または85重量部以上であるか、145重量部以下、140重量部以下、135重量部以下、130重量部以下、125重量部以下、120重量部以下、115重量部以下、110重量部以下、105重量部以下、100重量部以下、95重量部以下または90重量部以下程度であってもよい。
【0050】
上記のような割合で上記化学式3の化合物単位を含む重合体成分は、化学的架橋および物理的絡み合い状態で優れた要求物性を示すことができる。
【0051】
上記重合体成分は、上記に記述した単量体単位の他にも、目的に応じて必要な単量体単位を適切に含むこともできる。
【0052】
上記重合体成分を製造する方式は、特に限定されない。例えば、前述したシロップ成分の具現のために、目的とする割合で単量体を混合した後に、これを適正に部分重合させて、上記重合体成分を形成することができる。
【0053】
上記部分重合を行う方式は、特に限定されず、例えば、適切な光開始剤あるいは熱開始剤を適用した後に、目的とする単量体転換率を考慮して適正な条件で重合(例えば、奇異重合)を行うことで、上記重合体成分を製造することができる。
【0054】
上記重合体成分は、重量平均分子量(Mw)が約240万以上であってもよい。本明細書において用語「重量平均分子量」は、実施例に記載の方式で測定したGPC(gel permeation chromatiogryaphy)により測定されたポリスチレンに対する換算数値を意味し、その単位は、g/molである。また、本明細書において特に別途規定しない限り、任意の重合体の分子量は、該重合体の重量平均分子量を意味し得る。
【0055】
上記重量平均分子量は、他の例示において、約230万以上、約240万以上、約250万以上、約260万以上、約280万以上、約300万以上または約320万以上であるか、約600万以下、約550万以下、500万以下、490万以下、480万以下、約470万以下、約450万以下、約430万以下、約410万以下、約390万以下、約370万以下、約350万以下、約330万以下、約310万以下、約280万以下、約260万以下道(ド)は、約250万以下程度であってもよい。
【0056】
上記重量平均分子量を示すレベルの長鎖の重合体成分は、後述する硬化剤と前述した水素結合によって適切な物理的絡み合いと化学的架橋構造を示すことができる。
【0057】
硬化性組成物は、上記重合体成分と共に硬化剤を含んでもよい。目的とする架橋構造の確保のために、上記硬化剤としては、2種以上の硬化剤を適用できる。
【0058】
例えば、硬化剤としては、モル質量が500g/mol以下である多官能性アクリレート、多官能イソシアネート化合物および多官能ウレタンアクリレートからなる群から選ばれる2種以上を適用できる。
【0059】
上記で用語多官能性アクリレートは、(メタ)アクリロイル基および/または(メタ)アクリロイルオキシ基などのアクリレート官能基を2個以上含む化合物を意味する。ここで、上記アクリレート官能基の数は、例えば、2個~10個、2個~9個、2個~8個、2個~7個、2個~6個、2個~5個、2個~4個または2個~3個の範囲内の数で存在していてもよい。適切な架橋構造のために、上記多官能性アクリレートとしては、二官能性アクリレートを適用することもできる。
【0060】
上記アクリレート化合物としては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリルオキシエチルイソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの二官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリルオキシエチルイソシアヌレートなどの三官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの五官能型;およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの六官能型などからなる群から選ばれる1種または2種以上が使用できる。
【0061】
一例示において、上記多官能アクリレートとしては、分子量が約500g/mol以下である成分を適用できる。上記分子量は、他の例示において、約450g/mol以下、約400g/mol以下、約350g/mol以下、約300g/mol以下または約250g/mol以下であるか、約50g/mol以上、約55g/mol以上、約60g/mol以上、約65g/mol以上、約70g/mol以上、約75g/mol以上、約80g/mol以上、約85g/mol以上、約90g/mol以上、約95g/mol以上、約100g/mol以上、約110g/mol以上、約120g/mol以上、約130g/mol以上、約140g/mol以上、約150g/mol以上、約160g/mol以上、約170g/mol以上、約180g/mol以上、約190g/mol以上または約200g/mol以上程度であってもよい。
【0062】
本出願では、上記分子量を有する多官能性アクリレートとして、脂肪族非環式多官能性アクリレートを適用できるが、これに限定されるものではない。
【0063】
硬化剤に適用できる多官能イソシアネート化合物は、2個以上のイソシアネート官能基を含む化合物であり、その例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートなどのようなジイソシアネートや、上記ジイソシアネートのうち1つまたはそれ以上の種類とポリオール(ex.トリメチロールプロパン)との反応物などが使用できる。
【0064】
上記ウレタンアクリレートとしては、ポリオール、多官能イソシアネートおよびヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの反応物または多官能イソシアネートおよびヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの反応物を適用できる。したがって、上記ウレタンアクリレートは、ポリオール単位、多官能イソシアネート単位およびヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート単位を含むか、あるいは多官能イソシアネート単位およびヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート単位を含んでもよい。
【0065】
上記でポリオールとしては、ジオールを適用でき、ジオールとしては、低分子量ジオール、ポリエン骨格を有するジオール、ポリエステル骨格を有するジオール、ポリエーテル骨格を有するジオールおよびポリカーボネート骨格を有するジオールから選ばれるいずれか1つまたは2つ以上を適用できる。上記低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールおよび/または1,6-ヘキサンジオールなどが例示でき、ポリエン骨格を有するジオールとしては、ポリブタジエン骨格を有するジオール、ポリイソプレン骨格を有するジオール、水素添加型ポリブタジエン骨格を有するジオールおよび/または水素添加型ポリイソプレン骨格を有するジオールなどが例示でき、ポリエステル骨格を有するジオールとしては、上記低分子量ジオールまたはポリカプロラクトンジオールなどのジオール成分とジカルボン酸またはその無水物などの酸成分とのエステル化反応物などが例示できる。
【0066】
上記でジカルボン酸またはその無水物としては、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸および/またはテレフタル酸などおよびこれらの無水物などが例示できる。また、ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールなどが例示でき、ポリカーボネートジオールとしては、上記低分子量ジオールまたは/およびビスフェノールAなどのビスフェノールとエチレンカーボネートおよび炭酸ジブチルエステルなどの炭酸ジアルキルエステルの反応物などが例示できる。
【0067】
上記ポリエン骨格を有するジオールとしては、水素添加型ポリジエン骨格を有するジオールを適用でき、その例としては、イソプレン、1,3-ブタジエンおよび1,3-ペンタジエンなどのモノマーの重合体末端にジオールを有する化合物およびこれらモノマーの重合体の末端にジオールを有する化合物が挙げられる。
【0068】
多官能イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リシンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)および/またはジイソシアネートジメチルシクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートおよび/またはジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが使用できる。また、3個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体およびイソホロンジイソシアネート三量体などを適用できる。
【0069】
上記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートおよび/またはヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、および/またはトリメチロールプロパンのモノまたはジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ、ジまたはトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのモノ、ジまたはトリ(メタ)アクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラまたはペンタ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基および2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物などを適用できる。
【0070】
上記のような成分を適用して目的とするウレタンアクリレートを製造する方式は、公知となっている。例えば、公知の方式によってポリオールと多官能イソシアネートを反応させてイソシアネート基含有化合物を製造し、これとヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを反応させる方式や、ポリオール、多官能イソシアネートおよびヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを同時に反応させたり、あるいは多官能イソシアネートおよびヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを反応させる方式で上記ウレタンアクリレートを製造することができる。
【0071】
上記ウレタンアクリレートとしては、一例として、数平均分子量(Mn)が2,000~50,000g/molの範囲内のものが使用でき、二官能ウレタンアクリレート、すなわち(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基から選ばれる官能基を2個含むものが使用できる。上記数平均分子量は、GPC(gel permeation chromatograph)方式により測定された標準ポリスチレンの換算数値である。
【0072】
一例示において、上記ウレタンアクリレートとしては、二官能脂肪族多官能ウレタンアクリレートが使用でき、例えば、SUO 1020(SHIN-A T&C社)、SUO 1200(SHIN-A T&C社)、SUO 4120(SHIN-A T&C社)、SUO M2000(SHIN-A T&C社)またはSUO 2150(SHIN-A T&C社)などのような市販製品が使用できる。
【0073】
本出願では、上記のような硬化剤のうち、適正な2種の硬化剤を選択して使用することができる。一例示において、目的とする化学的架橋および物理的絡み合いを適切に達成するために、硬化剤としては、イソシアネート化合物を適用しなくてもよい。したがって、一例示において、本出願の硬化性組成物には、イソシアネート基を有する化合物が存在しなくてもよい。イソシアネート基を有する化合物であるから、上記ウレタンアクリレートの製造に適用されて、イソシアネート基がすでに消失した場合は除外される。
【0074】
上記のような硬化剤は、上記重合体成分100重量部に対して0.01~10重量部で使用できる。上記割合は、他の例示において、0.05重量部以上、0.1重量部以上、0.5重量部以上、1重量部以上、1.5重量部以上または2重量部以上程度であるか、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4重量部以下または3重量部以下程度であってもよい。
【0075】
2種以上の硬化剤が適用される場合に適用された各硬化剤の割合は、目的に応じて調節可能である。
【0076】
例えば、硬化剤として、上記モル質量が500g/mol以下である多官能性アクリレートおよび多官能ウレタンアクリレートを使用する場合に、上記多官能ウレタンアクリレートは、上記重合体成分100重量部に対して0.5重量部~10重量部の範囲内の割合で含まれ、上記多官能ウレタンアクリレート(C)およびモル質量が500g/mol以下である多官能アクリレート(D)の重量比(C/D)が、20~60の範囲内であってもよい。
【0077】
他の例示において、上記多官能ウレタンアクリレートは、上記重合体成分100重量部に対して0.5重量部以上、1重量部以上または1.5重量部以上であるか、10重量部以下、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4重量部以下または3重量部以下程度であってもよい。
【0078】
また、上記重量比(C/D)は、他の例示において、25以上、30以上または35以上であるか、55以下、50以下または45以下程度であってもよい。
【0079】
これによって、目的とする架橋構造を確保することができる。硬化性組成物は、上記成分の他にも、所要の成分をさらに含んでもよい。例えば、硬化性組成物は、ラジカル開始剤、例えば光ラジカル開始剤をさらに含んでもよい。
【0080】
ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4′-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン(thioxanthone)、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタル、アセトフェノンジメチルケタル、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]または2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
ラジカル開始剤は、例えば、硬化性組成物内で適切な割合で含まれ得、例えば、上記重合体成分100重量部に対して略0.1~3重量部の割合で含まれ得る。
【0082】
硬化性組成物は、また、シランカップリング剤をさらに含んでもよい。シランカップリング剤は、粘着剤の密着性および接着安定性を向上させて、耐熱性および耐湿性を改善し、また、厳しい条件で長期間放置された場合にも、接着信頼性を向上させる作用をすることができる。シランカップリング剤としては、例えば、ガンマ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ガンマ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ガンマ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ガンマ-アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ガンマ-アセトアセテートプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-アセトアセテートプロピルトリエトキシシラン、ベータ-シアノアセチルトリメトキシシラン、ベータ-シアノアセチルトリエトキシシラン、アセトキシアセトトリメトキシシランなどが使用でき、上記のうち一種または二種以上の混合が使用できる。アセトアセテート基またはベータ-シアノアセチル基を有するシラン系カップリング剤を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0083】
シランカップリング剤は、適切な割合で硬化性組成物に含まれ得、例えば、上記重合体成分100重量部に対して約0.01重量部~約5重量部程度の割合で含まれ得る。
【0084】
硬化性組成物は、また、必要な場合に酸化防止剤をさらに含んでもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、硫黄系酸化防止剤、フェニル酢酸系列の酸化防止剤またはリン系の酸化防止剤などを適用できるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
このような酸化防止剤は、硬化性組成物内で上記重合体成分100重量部に対して約0.01重量部~約5重量部または約0.01重量部~約1重量部で含んでもよい。
【0086】
硬化性組成物は、帯電防止剤をさらに含んでもよい。帯電防止剤としては、通常、イオン性化合物が適用される。イオン性化合物としては、例えば、金属塩または有機塩が使用できる。
【0087】
このような帯電防止剤は、硬化性組成物内で上記重合体成分100重量部に対して約0.01~10重量部で含まれ得、目的とする導電性などを考慮して適切な割合を適用できる。
【0088】
1つの例として、本出願による粘着剤組成物は、光開始剤を含んでもよい。上記光開始剤は、光照射などを通して粘着剤組成物の重合反応を開始させることができるものであれば、どちらでも使用可能である。例えば、アルファ-ヒドロキシケトン系化合物(ex.IRGACURE 184、IRGACURE 500、IRGACURE 2959,DAROCUR 1173;Ciba Specialty Chemicals社製);フェニルグリオキシレート(phenylglyoxylate)系化合物(ex.IRGACURE 754、DAROCUR MBF;Ciba Specialty Chemicals社製);ベンジルジメチルケタル系化合物(ex.IRGACURE 651;Ciba Specialty Chemicals社製);a-アミノケトン系化合物(ex.IRGACURE 369、IRGACURE 907、IRGACURE 1300;Ciba Specialty Chemicals社製);モノアシルホスフィン系化合物(MAPO)(ex.DAROCUR TPO;Ciba Specialty Chemicals社製);ビスアシルホスフィン系化合物(BAPO)(ex.IRGACURE 819、IRGACURE 819DW;Ciba Specialty Chemicals社製);ホスフィンオキシド系化合物(ex.IRGACURE 2100;Ciba Specialty Chemicals社製);メタロセン系化合物(ex.IRGACURE 784;Ciba Specialty Chemicals社製);ヨードニウム塩(iodonium salt)(ex.IRGACURE 250;Ciba Specialty Chemicals社製);および上記のうち1つ以上の混合物(ex.DAROCUR 4265,IRGACURE 2022、IRGACURE 1300、IRGACURE 2005、IRGACURE 2010、IRGACURE 2020;Ciba Specialty Chemicals社製)などが挙げられ、上記のうち一種または二種以上が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
本出願の具体例において、粘着剤組成物は、上記光開始剤として、400nm以上の吸収波長帯を有する光開始剤を含んでもよい。本出願は、上記光開始剤の吸収波長帯を調節することによって、優れた硬化特性を具現することができる。
【0090】
上記光開始剤は、重合体成分100重量部に対して5重量部以下で含まれ得る。他の例として、約4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下または約1重量部以下であってもよく、約0.01重量部以上、約0.05重量部以上または約0.1重量部以上で含まれ得る。光開始剤が上記範囲内で粘着剤組成物に含まれる場合、粘着剤組成物の硬化効率が増加することができる。
【0091】
本出願は、また、上記硬化性組成物の硬化物に関し、この硬化物は、粘着剤であってもよい。上記粘着剤は、上記硬化性組成物が硬化して形成されたものであってもよい。
【0092】
1つの例として、上記粘着剤は、下記一般式1によるゲル分率が80%以上であってもよい。
【0093】
<一般式1>
ゲル分率=100×B/A
【0094】
一般式1で、Aは、上記粘着剤の重さ(単位:g)であり、Bは、上記重さAの粘着剤のエチルアセテートに対する不溶解分の重さ(単位:g)である。
【0095】
上記ゲル分率は、本明細書の実施例に記載された方式で評価することができる。
【0096】
上記ゲル分率は、他の例示において、約82%以上、84%以上、約86%以上、約88%以上または約90%以上であるか、約99%以下、約97%以下、約95%以下または約93%以下程度であってもよい。ゲル分率は、硬化性組成物に含まれる重合体成分の分子量や架橋度などによって左右され、これを勘案して適正範囲を達成することができる。
【0097】
1つの例として、上記粘着フィルムに含まれる粘着剤組成物の硬化物は、下記一般式2による全質量損失(TML)が2.0%以下であってもよい。
【0098】
[一般式2]
TML(%)=((Mf-M)/(Mi-M))×100
【0099】
一般式2で、Mは、7cm×7cmのサイズに切断された金網の重さ(g)であり、Miは、粘着剤を5cm×5cmのサイズに切断して上記切断された金網に付着した後に測定した重さ(g)であり、Mfは、上記粘着剤が付着した金網を150℃オーブンに1時間放置した後に測定した重さ(g)である。
【0100】
上記全質量損失(TML)は、他の例として、約1.8%以下、約1.6%以下、約1.4%、約1.2%または約1.0%以下であってもよく、下限は、特に限定されず、約0.0%以上、0.01%以上、0.05%以上または約0.1%以上であってもよい。粘着剤のTML(%)が上記範囲を満たす場合、厳しい光露出条件に長期間放置された場合にも接着信頼性を向上させるのに有利になり得る。
【0101】
1つの例として、上記粘着剤は、180度の剥離角度および300m/minの剥離速度で測定したガラス基材に対する剥離力が2,500gf/inch以上であってもよい。上記剥離力は、他の例として、約2,600gf/inch以上、2,700gf/inch以上、2,800gf/inch以上、2,900gf/inch以上または約3,000gf/inch以上であってもよく、3,900gf/inch以下、約3,800gf/inch以下または約3,700gf/inch以下であってもよい。
【0102】
上記剥離力の測定は、粘着剤をPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムにラミし、長さ約14cmおよび幅約2.5cmになるように切断した試験片を用いることができる。上記試験片をガラス基材にラミネーションしてガラスに付着させ、1時間の間ビルド-アップ(build-up)時間を付与した後、180°の剥離角度および300m/minの剥離速度で測定することができる。一方、上記剥離力は、3個の試験片に対する平均値であってもよい。
【0103】
粘着剤の剥離力が上記範囲を満たす場合、厳しい光露出条件に長期間放置された場合にも接着信頼性を向上させるのに有利になり得る。
【0104】
1つの例として、上記粘着剤は、常温貯蔵弾性率が0.05~2MPaの範囲内であってもよい。上記貯蔵弾性率は、本願の実施例に記載された方式で測定し、他の例示において、0.07MPa以上、0.09MPa以上、0.11MPa以上であるか、1.8MPa以下、1.6MPa以下、1.4MPa以下、1.2MPa以下、1.0MPa以下、0.8MPa以下、0.6MPa以下、0.4MPa以下、0.2MPa以下、0.15MPa以下、約0.14MPa以下または約0.13MPa以下であってもよい。
【0105】
上記貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定器(Advanced Rheometric Expansion System、TA社)を利用して測定することができる。具体的に、Strain 10%および周波数1Hzで、-20℃~100℃温度範囲で5℃の昇温速度で測定して、25℃での保存弾性率を求めることができる。
【0106】
粘着剤組成物の硬化物の貯蔵弾性率が上記範囲を満たす場合、厳しい光露出条件に長期間放置された場合にも接着信頼性を向上させるのに有利になり得る。
【0107】
本出願は、また、上記硬化性組成物またはその硬化物(粘着剤)を含むディスプレイ装置に関する。上記ディスプレイ装置は、一例示において、車両用ディスプレイ装置であってもよい。上記硬化性組成物またはその硬化物(粘着剤)は、上記ディスプレイ装置においてOCAまたはOCRに用いられる。上記ディスプレイ装置の他の構成や上記OCAまたはOCRの適用方式は、特に限定されず、公知の方式で適用することができる。
【発明の効果】
【0108】
本出願による硬化性組成物は、厳しい光露出環境においても優れた耐光性を確保することができる。また、本出願による硬化性組成物または粘着剤は、ゲル分率、全質量損失、剥離力および貯蔵弾性率が改善され、光に対する優れた信頼性を確保することができる。
【0109】
本出願では、長鎖高分子を有する重合体を硬化剤で化学的に架橋させると同時に、上記重合体に長鎖であり、末端がヒドロキシ基である側鎖を導入して、上記化学的架橋とともに水素結合による物理的絡み合い(entanglement)を誘導することによって、主鎖の切断を抑制ないし防止し、信頼性を確保することができる硬化性組成物を提供することができる。
【0110】
これによって、本出願は、優れた耐光性を含む卓越した信頼性を有し、このような優れた信頼性が厳しい条件においても長期間安定的に維持できる硬化性組成物とその用途を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0111】
以下、実施例に基づいて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【0112】
1.分子量の評価
重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を用いて以下の条件で測定し、検量線の製作には、Agilent systemの標準ポリスチレンを用いて測定結果を換算した。
【0113】
<測定条件>
測定機:Agilent 1260 Infinity II
カラム:ガードカラム1個+カラムMixed-A(20μm)1個+カラムMixed-B(10μm)1個
(1)Mixed AカラムPart N0:PL1110-6200 PL gel 20μm MIXED-A 300x7.5mm
(2)Mixed BカラムPart N0:PL1110-6100 PL gel 10μm MIXED-B 300x7.5mm
カラム温度:35℃
溶離液:THF(Tetrahydrofuran)
流速:1.0mL/min
濃度:~1mg/mL(100μL injection)
【0114】
2.ゲル分率
粘着剤組成物の硬化物(粘着剤)を5cm×5cmのサイズに切断し、ポリエチレン瓶に入れ、重さ(a)を測定した。次いで、上記粘着剤が十分に浸るようにエチルアセテートを上記ポリエチレン瓶に入れ、24時間の間常温に放置した。
【0115】
次いで、14cm×14cmのサイズに切断された金網(重さ:b)に上記ポリエチレン病気内の粘着剤とエチルアセテートを注いでろ過した。その後、上記粘着剤がろ過された金網を110℃オーブンに2時間乾燥した後、重さ(c)を測定した。
【0116】
次いで、上記各測定された重さa、bおよびcを下記一般式1に代入してゲル分率(単位:%)を測定した。
【0117】
<一般式1>
ゲル分率=((c-b)/a)×100
【0118】
3.全質量損失(TML,total mass loss)
金網を7cm×7cmに切断し、上記切断された金網の重さ(M)を測定した。粘着剤組成物の硬化物(粘着剤)を5cm×5cmのサイズに切断して、上記金網に付着した後、粘着剤が付着した金網の重さ(Mi)を測定した。その後、粘着剤が付着した金網を150℃オーブンに1時間の間放置した後、重さ(Mf)を測定した。上記測定結果を下記一般式2に代入して全質量損失(単位:%)を測定した。
【0119】
<一般式2>
TML(%)=((Mf-M)/(Mi-M))×100
【0120】
4.剥離力
粘着剤組成物の硬化物(粘着剤)を厚さ50μmのPET(poly(ethylene terephthalate))フィルム(SG00、SKC)とラミして、長さが14cmであり、幅が2.5cmである試験片を製造した。上記でPETフィルムの長さは、14cmであり、その上に粘着剤を6cmの長さで付着した。
【0121】
上記製作された試験片の粘着剤を厚さ1.1mのガラス基材に2kgローラーで5回往復してラミネーションした。次いで、1時間の間ビルド-アップ(build-up)時間を付与した後、180度の剥離角度および300mm/min剥離速度でガラス基材に対する粘着剤の剥離力を測定した。上記剥離力は、3個の試験片に対する平均値とした。
【0122】
5.貯蔵弾性率
粘着剤組成物の硬化物(粘着剤)に対する貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定器(ARES(Advanced Rheometric Expansion System)G2、TA社)を利用して測定した。
【0123】
厚さが約100~200μm程度である粘着剤を3~6枚ロールラミネーションして、厚さが600μm程度である試験片を製作した。次いで、上記測定機のパラレルプレート(parallel plate)を利用して、Strain 10%および周波数1Hzの条件で-20℃~100℃温度範囲で5℃/分の昇温速度条件で測定して、25℃での貯蔵弾性率を求めた。
【0124】
6.信頼性
粘着剤組成物の硬化物(粘着剤)を対向配置されるガラス板の間に位置させて、ガラス/粘着剤/ガラスの順に積層した積層体を製作する。上記製作された積層体を50℃の温度5barの圧力で20分間処理した後、Q-sunチャンバー(Q-Lab、Xe-3)(1,600W/m2、Black Standard Temp.70℃、Chamber Temp.50℃)に投入して、時間別に気泡発生の有無を確認した。
【0125】
<評価基準>
◎:300時間以上~500時間の間気泡が発生しない場合
○:100時間以上~300時間未満の間気泡が発生する場合
△:24時間以上~100時間未満の間気泡が発生する場合
×:24時間が経過する前に気泡が発生する場合
【0126】
実施例1
重合体成分の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した2Lの反応器に2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)を43:37:10:10の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HEA:4-HBA)で投入して、単量体混合物を形成した。次いで、酸素除去のために窒素ガスを10分間パージングし、温度を約40℃に昇温させた状態で、反応開始剤としてエチルアセテートに約50重量%の濃度で希釈させたラジカル開始剤(I-184)を上記単量体混合物100重量部に対して約0.001重量部で投入し、(metal Halide Lamp)波長が約270~420nm(Peak 365 nm)程度であり、光量が約60mW/cm2程度である光を約30秒間照射して、重量平均分子量(Mw)が約331万程度であるシロップ状態の重合体成分を製造した。
【0127】
粘着剤組成物の製造
上記製造された重合体成分100重量部に対して硬化剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.05重量部と硬化剤(SHIN-A T&C社SUO-1020)2.0重量部を追加し、また、光開始剤(Igacure 651、Ciba Specialty Chemicals社)0.3重量部およびエポキシシランカップリング剤(KBM403、Shin-Etsu社)0.2重量部を追加した後、均一に混合して、粘着剤組成物を製造した。
【0128】
粘着フィルムの製造
上記で製造された粘着剤組成物を離型処理されているPETフィルム上に200μmになるように塗布し、(Black Light Lamp)波長が340nm~程度である紫外線を約2~3mW/cm2程度の光度で約180秒(平均光量756mJ/cm2)間照射して、硬化物(粘着剤)を得た。
【0129】
実施例2
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)を43:37:2:18の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HEA:4-HBA)で投入したことを除いて、実施例1と同じ方法で重合体成分を製造した。上記製造された重合体成分に含まれるアクリレート重合体は、重量平均分量(Mw)が約240万であった。
【0130】
また、実施例1と同じ方法で粘着剤組成物および粘着フィルムを製造した。
【0131】
実施例3
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)を43:37:15:5の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HEA:4-HBA)で投入したことを除いて、実施例1と同じ方法で重合体成分を製造した。上記製造された重合体成分に含まれるアクリレート重合体は、重量平均分量(Mw)が約300万であった。
【0132】
また、実施例1と同じ方法で粘着剤組成物および粘着フィルムを製造した。
【0133】
比較例1
重合体成分の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した2Lの反応器に2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)および2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)を43:37:20の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HEA)で投入した。次いで、酸素除去のために窒素ガスを10分間パージングした後、温度を約40℃に昇温させた状態で、反応開始剤としてエチルアセテートに50重量%の濃度で希釈させたI-184を0.001重量部を投入し、30秒間反応させて、重量平均分子量(Mw)が約405万であるアクリレート重合体を含む重合体成分を製造した。
【0134】
粘着剤組成物および粘着フィルムの製造
上記製造された重合体成分を利用して実施例1と同じ方法で粘着剤組成物および粘着フィルムを製造した。
【0135】
比較例2
重合体成分の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した2Lの反応器に2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)および2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)を55:30:15の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HEA)で投入した。次いで、酸素除去のために窒素ガスを10分間パージングした後、温度を約40℃に昇温させた状態で、反応開始剤としてエチルアセテートに50重量%の濃度で希釈させたI-184を0.001重量部を投入し、30秒間反応させて、重量平均分子量(Mw)が約300万であるアクリレート重合体を含む重合体成分を製造した。
【0136】
粘着剤組成物の製造
上記製造された重合体成分100重量部に対して硬化剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.05重量部と硬化剤(SHIN-A T&C社SUO-1020)0.2重量部を追加し、また、光開始剤(Igacure 651、Ciba Specialty Chemicals社)0.3重量部およびエポキシシランカップリング剤(KBM403、Shin-Etsu社)0.2重量部を追加した後、均一に混合して、粘着剤組成物を製造した。
【0137】
粘着フィルムの製造
上記製造された粘着剤組成物を利用して実施例1と同じ方法で粘着フィルムを製造した。
【0138】
比較例3
重合体成分の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した2Lの反応器に2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)および2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)を43:37:20の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HEA)で投入した。次いで、酸素除去のために窒素ガスを10分間パージングした後、温度を約40℃に昇温させた状態で、反応開始剤としてエチルアセテートに50重量%の濃度で希釈させたI-184を0.001重量部を投入し、30秒間反応させて、重量平均分子量(Mw)が約260万であるアクリレート重合体を含む重合体成分を製造した。
【0139】
粘着剤組成物および粘着フィルムの製造
上記製造された重合体成分を利用して実施例1と同じ方法で粘着剤組成物および粘着フィルムを製造した。
【0140】
比較例4
重合体成分の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した2Lの反応器に2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)および2-ヒドロキシエチルアクリレート(HBA)を43:37:20の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HBA)で投入した。次いで、酸素除去のために、窒素ガスを10分間パージングした後、温度を約40℃に昇温させた状態で、反応開始剤としてエチルアセテートに50重量%の濃度で希釈させたI-184を0.001重量部を投入し、30秒間反応させて、重量平均分子量(Mw)が約158万であるアクリレート重合体を含む重合体成分を製造した。
【0141】
粘着剤組成物および粘着フィルムの製造
上記製造された重合体成分を利用して実施例1と同じ方法で粘着剤組成物および粘着フィルムを製造した。
【0142】
比較例5
重合体成分の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した2Lの反応器に2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)を43:37:10:10の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HEA:4-HBA)で投入した。次いで、酸素除去のために、窒素ガスを10分間パージングした後、温度を約40℃に昇温させた状態で、反応開始剤としてエチルアセテートに50重量%の濃度で希釈させたI-184を0.001重量部を投入し、20秒間反応させて、重量平均分子量(Mw)が約150万であるアクリレート重合体を含む重合体成分を製造した。
【0143】
粘着剤組成物の製造
上記製造された重合体成分100重量部に対して硬化剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.05重量部と硬化剤(SHIN-A T&C社SUO-1020)2.0重量部を追加し、また、光開始剤(Igacure 651、Ciba Specialty Chemicals社)0.3重量部およびエポキシシランカップリング剤(KBM403、Shin-Etsu社)0.2重量部を追加した後、均一に混合して、粘着剤組成物を製造した。
【0144】
粘着フィルムの製造
上記で製造された粘着剤組成物を離型処理されているPETフィルム上に200μmになるように塗布した後、1JのUVを照射して、粘着剤組成物の硬化物を含む粘着フィルムを製造した。
【0145】
比較例6
重合体成分の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易に冷却装置を設置した2Lの反応器に2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、イソボルニルアクリレート(IBoA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)を43:37:10:10の重量部の割合(2-EHA:IBoA:2-HEA:4-HBA)で投入した。次いで、酸素除去のために、窒素ガスを10分間パージングした後、温度を約40℃に昇温させた状態で、反応開始剤としてエチルアセテートに50重量%の濃度で希釈させたI-184を0.001重量部を投入し、30秒間反応させて、重量平均分子量(Mw)が約331万であるアクリレート重合体を含む重合体成分を製造した。
【0146】
粘着剤組成物の製造
上記製造された重合体成分100重量部に対して硬化剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.03重量部を追加し、また、光開始剤(Igacure 651、Ciba Specialty Chemicals社)0.3重量部およびエポキシシランカップリング剤(KBM403、Shin-Etsu社)0.2重量部を追加した後、均一に混合して、粘着剤組成物を製造した。
【0147】
粘着フィルムの製造
上記で製造された粘着剤組成物を離型処理されているPETフィルム上に200μmになるように塗布した後、1JのUVを照射して、粘着剤組成物の硬化物を含む粘着フィルムを製造した。
【0148】
上記実施例および比較例に対する評価結果を下記表1に整理して記載した。
【0149】
【0150】
上記表1の結果を通じて、化学式1の化合物(A)から誘導される反復単位および化学式2の化合物(B)から誘導される反復単位を含むアクリレート重合体を含む重合体成分;および2種の硬化剤を含む粘着剤組成物である実施例1~3の場合、耐光性に優れ、良好なケル分率、全質量損失、剥離力および貯蔵弾性力を有することを確認した。
【0151】
しかしながら、化学式1の化合物(A)から誘導される反復単位を含まないアクリレート重合体を含む重合体成分;および2種の硬化剤を含む粘着剤組成物である比較例1~3の場合、耐光性が劣ることを確認できた。また、化学式2の化合物(A)から誘導される反復単位を含まないアクリレート重合体を含む重合体成分;および2種の硬化剤を含む粘着剤組成物である比較例4の場合、耐光性および剥離力の両方が劣ることを確認した。
【0152】
一方、アクリレート重合体の重量平均分子量が240万に達しない比較例5の場合、および粘着剤組成物に1種の硬化剤のみを含む比較例6の場合、いずれも、耐光性が劣ることを確認した。